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1962-03-15 第40回国会 衆議院 商工委員会運輸委員会建設委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十五日(木曜日)    午前十時二分開議  出席委員  商工委員会    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 白浜 仁吉君 理事 長谷川四郎君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    小沢 辰男君       神田  博君    始関 伊平君       首藤 新八君    中垣 國男君       村上  勇君    北山 愛郎君       久保田 豊君    小林 ちづ君       多賀谷真稔君    中村 重光君       伊藤卯四郎君  運輸委員会    委員長 簡牛 凡夫君    理事 關谷 勝利君 理事 高橋清一郎君    理事 塚原 俊郎君 理事 福家 俊一君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       佐々木義武君    壽原 正一君       砂原  格君    竹内 俊吉君       三池  信君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    片島  港君       内海  清君  建設委員会    委員長 二階堂 進君    理事 加藤 高藏君 理事 瀬戸山三男君    理事 松澤 雄藏君 理事 石川 次夫君       綾部健太郎君    井原 岸高君       金丸  信君    徳安 實藏君       前田 義雄君    岡本 隆一君       兒玉 末男君    佐野 憲治君       日野 吉夫君    玉置 一徳君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       菅  太郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運 輸 技 官         (港湾局長)  坂本 信雄君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  高橋 末吉君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君  委員外出席者         議     員 井手 以誠君         議     員 阪上安太郎君         通商産業事務官         (企業局立地政         策課長)    馬場 一也君         自治事務官         (行政局振興課         長)      山本  明君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  新産業都市建設促進法案内閣提出第五五号)  産業雇用適正配置に関する法律案井手以  誠君外十八名提出衆法第一五号)      ————◇—————   〔早稻田商工委員長委員長席に着く〕
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより商工委員会運輸委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  先例にならいまして私が委員長の職務を行ないます。  内閣提出、新産業都市建設促進法案、及び、井手以誠君外十八名提出産業雇用適正配置に関する法律案を議題として審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。石川次夫君。
  3. 石川次夫

    石川委員 新産業都市建設促進法案につきまして若干の質問を試みたいと思うのでございますけれども、実は私商工委員会に出席しておりませんものですから、趣旨説明概要をパンフレットで伺っただけで、その範囲で考えてみますと非常に問題が多過ぎるし、またわからない点が非常に多過ぎるという感じがいたします。従って、質問の方も、整理がつきませんので手当たり次第に非常に乱雑な質問になるかと思いますけれども、その点は一つ御了承をいただきたいと思います。  まず第一に目的の項でございますけれども、「この法律は、大都市における人口及び産業過度集中防止し、」こうなっておるわけであります。ところで、この過度集中防止する具体的な方策というものが、この法案の中には全然盛られておらないという感じを受けるわけであります。この過度集中防止するというのは、この法案の中のどこに明示されておるかという点について、まず大臣の所見を伺いたいと思います。
  4. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 都市過度集中化是正して参らなければならぬことは当然でございますが、しかし、この法案といたしましては、御承知の通り、各地に新産業都市というものを作って、あるいはこの前議会で御承認を得ました低開発地域工業開発促進法というようなものも合わせまして、各地におけるそうした集中防止あるいは開発というようなことをいたすことによりまして、間接的にその効果を上げるということでございます。二の法案自身過大都市だけを何か扱うという目的ではございません。
  5. 石川次夫

    石川委員 そういたしますと、これは直接的に過度集中防止するという目的ではなくて、間接的な効果をねらうということのように了承いたしますけれども、たとえば例を東京にとりますと、現在すでに麻痺状態になっておるということが、内閣でも非常な問題として最近急速に取り上げられつつある現状であります。  ところで、過去の歴史をひもとくまでもなく、大きな都会というものは、その矛盾拡大によりまして滅亡した歴史というのが再三繰り返されておる。ことに東京都だけに例をとりましても、自動車だけでもこのままの状態で毎年十万台ずつふえるというような矛盾拡大されると、この東京都というものがどうにも持ちこたえられないというのは、火を見るよりも明らかであります。それにかてて加えて、交通ラッシュだけではなく、においの暴力、音の暴力、色の暴力というものが非常に輻輳集中いたしまして、これらで、ほとんど東京の連中というのは、非常に大きな刺激でなければものを感じないというような形になる。その東京都が流行の先端を切るということは、日本民族の将来にとっても非常に大きな問題ではなかろうかと考えておるわけであります。都市には都市の持っておる幾つかの機能があります。たとえば、文教があり、あるいは産業があり、あるいは政治というようないろいろな機能があって、その機能一つを分割をしてほかに移すというようなことでは、やはりその相互間に交通が頻繁になり、かえって交通ラッシュというものに拍車をかける危険があるわけであります。従って、そのうちの一つ機能文教なら文教政治なら政治という一つ機能をすっかりどこかへ移してしまうというような思い切った英断がないと、東京都はその矛盾拡大のゆえに滅亡すると言っても私は過言ではないという感じがするわけであります。この新産業都市建設促進法案だけでは、こういった問題の対策は何ら講ぜられない、こういうふうに考えるわけであります。−たとえば、一つの例として文教都市をほかに移して作るということになりますと、この新産業都市建設促進法案というようなことでは、適用の範囲外になるというふうに考えられるわけでありますけれども、その点は一体どうなるのでございましょうか。
  6. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この法案趣旨と申しますものは、むろん条文にもうたっておりますように、既設都市——既設都市と申しますか、ことに東京とか、大阪とかいうようなところに過度集中して参りますことは、経済機能の上から申しまして、あるいは国民生活の上から申しまして、ただいまお話のありましたような諸般の点から考えまして、望ましいことではございません。従って、東京自体をどうするかという問題については別個に考えるべきだと思いますが、しかし同時に、東京自体の問題を考えます場合に、今後の産業というものが地方のそれぞれの立地条件によって確立され得る素地を作っていくということでなければ、東京自体の問題を解決するという場合にも、解決が困難になってくるわけでございます。その意味において、地方にそうした新産業都市を作っていくということでございます。  そこで、今お話のように、文教関係全体を——官公立大学であるとかを移して学園都市を作ったらどうかという御意見一つは出てくると思います。当面のこの法律のねらいとしては、そうした文化的な問題というよりも、むしろ経済上の問題としての産業都市をまず作っていく、こういうことにあるわけであります。
  7. 石川次夫

    石川委員 そういたしますと、この法案では、過度集中防止するための間接的な一つの案として立てられただけであって、これだけではきわめて不十分であるというふうに了解してよろしいかと思います。  その次に、目的あと一つの問題といたしましては、「地域格差是正を図る」こういうことが出ております。この地域格差ということはよく言われます。あるいは産業間の格差とかいうことがよく言われておりますけれども、厳密にこの内容について規定づけるというような努力が今まであまりなされなかったのではないかという感じがするのですが、地域格差のとらえ方によっては、この産業都市建設の方向づけというものも変わってくる、こうわれわれは理解をいたしますので、この地域格差というものをどういうふうに理解をされ、その理解の上に立ってこの法案を作られたかという点をまず伺いたいと思います。
  8. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 地域格差という場合におきましても、何と申しますか、社会的生活の上の格差、あるいは学問的と申しますか、国民知識水準というような意味における地域格差の解消という問題も、むろん先ほどお話のありましたようにございます。しかし、今度の新産業都市法案としては、主として経済的な格差を解消する。そうして、全国的にそれぞれの立地条件によって、経済の十分な発展をはかり得るような方途を講じていく。それによって経済的な基盤を確立をし、またその地域的な格差をそれによって解消していく、こういうのがねらいでございます。
  9. 石川次夫

    石川委員 大体今のような考え方が大ざっぱに定義づけられると思うのでございますが、実は、たとえば農民生活の低いというようなことが、一応格差の場合に取り上げられますけれども、農民だけについて言っても、北海道の農民というのは、農民の中では生活水準が高い、こういうことになる。あるいはまた、地域格差というものにほんとう重点を置いてこの都市建設促進を行なうんだということになりますと、それこそほんとう山間僻地の方に持っていかなければならぬという考え方も出てくるわけであります。  ところで、この産業過度集中防止するという目的と、それと地域格差是正をはかるという目的、この二つ並べられてありますが、この二つ目的の中で、どちらにより多くの重点を置いてこの促進法案実現に移そうとするのか、その点を伺いたい。
  10. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新産業都市を作ることでございますから、経済的な産業立地条件が整っておりませんところに、無理に施策をいたしましても、そこに産業は興らないわけでございます。従って、そういう意味においては、産業立地に適するようなところにまず作ることが必要であります。従って、その地方のいわゆる格差是正するという視野に立っている、こういうわけでございます。
  11. 石川次夫

    石川委員 どうも明確でありませんけれども、その点については、この程度にしておきましょう。  それで、この新産業都市というのは、そのような地域格差是正するために、一応のでき得る可能性のある地帯設定をするという考え方でありますけれども、この新産業都市に新たに地域指定を行なったと仮定いたしますと、土地価格高騰が当然起こることが予想されるわけであります。しかもこの法案内容を見ますと、主管大臣が非常に多い。また、実現に移す現実的な手段というものが、この法案の中に明記されてありませんから、実際はどの程度実現できるかということは未知数であります。われわれから見ると非常に不安定で、実現可能性は薄いというふうな見方をせざるを得ないわけでありますが、そうなりますと、地域指定をやったということによって、土地価格高騰をするという結果だけに終わるんではなかろうかという感じも受けるわけであります。それで、あらゆる開発の問題、あるいは今度の新産業都市建設促進法案につきましても、土地の確保ということが前提条件であります。しかも、それに伴って価格が暴騰しない、価格抑制していくということが是が非でも必要だろうと思うのであります。ところで、経済企画庁では、最近物価を何とかして抑制しようということで、総合的な対策に非常に懸命になっておられるようでありますけれども、その中核としては、やはり今度の法案との密接な関係のある土地価格をいかにして抑制するかということが、価格全般の問題としても非常に中心重要課題ではないかというふうにも考えられるし、あるいはまた庶民が営々として働いて老後を送ろう、安住の地を求めようと思っても、都会あたりは非常に土地が高くて、安住の地も求めることができないということは、これは非常に政治責任だということを私は日ごろから考えておるわけであります。従って、価格対策の中で、今度の都市建設促進法案とも関連をいたしまして、対策として重点的に土地価格高騰防止をする、これがまず先決問題にならないと、この促進法案というものは、ほんとうに軌道に乗せることは不可能に近い、こう言わざるを得ないわけであります。この前提条件となる地価高騰というのものを抑制をするということについて、これとの関連においても、あるいは物価対策関連においても、どういう方法を内閣としてとっておられるか、この点を伺いたいと思う。
  12. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいまお話のありましたように、物価問題から見ましても、あるいは開発の面から見ましても、土地の問題というのは、非常に重要な問題であることは申すまでもございません。昨年秋以来、企画庁といたしましては、この問題をどういうふうに将来解決していったらいいかということで、実は省内にも数名の担当者をきめまして、将来この問題について取り組んでいく基礎的なただいま準備をいたしておるわけでございまして、他の委員会等でも申しましたように、もし将来、場合によりますと審議会等を作りまして、それらの意見を用いた上で何らかの処置をとっていくのが適当じゃないか、ただいま御指摘のございましたように、先般東京でおもちゃの組合が千葉県に移動をしようとした。ところが、土地価格問題のためにどうも移動ができなかったというような点もございます。従って、こういう問題は、この新産業都市法律とは別個に、やはり今の物価体系その他ともあわせて考えているわけでございまして、十分その点は考慮して参りたい、こういうふうに思います。
  13. 石川次夫

    石川委員 地価抑制対策ということにつきましては、この法案関連をして、とことんまで追及するという、ここは場ではないと思いますので、省略するつもりでございます。しかし、現在建設省土地宅地制度調査会というようなものが生まれておる、あるいは土地の補償の何か基準をきめるための小委員会があるというようなことで、いろいろあちらこちらでこの対策を考えておるようでありますけれども、この取組み方が非常に私はまだ不十分だ、ほんとうに真剣にこれに取り組んでもらわなければ、政治責任を免れることはできないということを痛感をいたします。この価格対策につきましては、現在のような態勢では、まだ三年、四年先にならなければ、結果が出ないというようなことになろうかと思いますけれども、東京都だけの一年間の地価の暴騰だけでも、これは大へんな額になります。これが全部不労所得になり、全部勤労階級生活の圧迫になってはね返ってくるというようなことであっては相ならぬと考えますので、この地価抑制というものは、あらゆる法案、特にこの新産業都市建設促進法案に関しましても、きわめて重要な中心課題になると思いますので、これを早急に対策を立てるということがなければ、この新産業都市建設促進法案というものは死物になってしまうということを憂えるがゆえに、この点について特に強く、内閣責任において、地価高騰対策を早急に立てられんことを希望いたしまして、この点についての質問は打ち切りたいと思います。  次に、経済企画庁の方では、三十六年度五千万円、三十七年度も五千万円、あるいは建設省では三十六年度千百万円、三十七年度千六百万円、それから自治省では三十六年度千万円、三十七年度も千万円程度、それから通産省では三十六年度二千三百万円、あるいは三十七年度三千万円というようなことで、それぞれ地域経済計画調査あるいは広域都市建設計画調査あるいは地方開発あるいは産業立地調査というようなことを、個々ばらばらにやっておるわけであります。これらの進捗状態は一体どういうふうになっておりますか。一応関係の方々に伺いたいと思います。
  14. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。今お尋ねの、経済企画庁に計上されておりまする五千万円の事業執行状況でついてお答えいたします。企画庁に、昭和三十六年度に初めて地域経済計画調査費というものが五千万円計上されたわけでございます。これはもう名称を見てもおわかりになりますように、地域経済関係のいろんな各種の事項の調整事業調整という意味でございまして、必ずしも現在問題になっておりまする新産業都市のみについての調査でございませんで、たとえば現在市町村別工業統計ができておりませんから、そういう市町村別工業統計の集計に要する費用の金額を申しますと、大体三百五十万円、あるいは現在各都道府県別行政投資実績が、大体終戦後から昭和二十五、六年度まではやっておりますが、それ以後はやっておりませんので、昭和二十六年度以降十カ年間都道府県別行政投資実績調査、そういうものに大体五百万円。それから、現在全国総合開発計画の草案で問題になっております拠点開発構想基準設定のための委託調査というものもいたしております。それから、これは、あるいは新産業都市の下準備調査と言えると思いますけれども、立地条件調査、たとえば地盤調査地下構造調査河川調査港湾調査というようなものに約二千五百万円。それから道路交通流動調査とか、いろいろな計画を図示するために必要な図面の作製、つまり空中写真による図面をいろいろな作業に便利なように修正した地図を作っておりますが、そういうものを合わせまして約千四百万円、そういう内容調査をやっておるわけでございます。
  15. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまお尋ね建設省実施いたしております広域都市調査でございますが、三十六年度から実施をいたしまして、この中身につきましては大都市圏中心とする調査と、地方広域都市調査と大別いたしまして、この二つ体系調査をいたしております。その目的は、建設省といたしましては、いわゆる大都市問題なりその他地方重要都市の整備に必要な計画を立てる必要もございますので、国土計画立場から実施をいたしておるわけでございます。進捗状況につきましては、大都市圏調査京阪神地域中京北九州のいわゆる既成大都市地域についての調査実施いたしておりまして、三十六年度は、それらの地域産業あるいは人口中心とする動態調査重点を置いております。三十七年度につきましては、中京北九州の両地区につきまして、引き続いて交通水資源土地利用等立地条件調査実施いたすつもりでございます。そして、三十八年度にいわゆるマスタープランを樹立するという予定でございまして、京阪神地域につきましては、東京中心とする地域と同様に、諸般大都市問題をめぐる情勢が緊迫いたしておりますので、三十八年度末にマスタープラン概成をいたしたい、こういうので三十七年度にその重点を指向いたしたいというわけでございます。地方広域都市調査につきましては、三十六年度二十カ所の調査実施いたしまして、今月末までにそのマスタープラン概成を終わりたい、明年度も引き続き二十カ所を実施いたしまして、三十八年度中におおむね全国枢要な地方広域都市マスタープランを五十カ所について終わりたい、こういう段取りで進んでおるのが現状でございます。
  16. 馬場一也

    馬場説明員 御質問通産省関係立地条件調査概要でございます。内容的に申しますと、三十三年から始めておりますが、全国既成工業地帯以外に、どの辺に工業適地があるかということの調査が進んでおりまして、三十三年から三十六年度を終わりますと、全国で二百十六の地域について工業適地調査ということをやっておるわけでございます。三十七年度は新規に四十一地区につきまして立地条件調査を行なって、さらにこの調査は年々データが古くなりますので、二年に一ぺんずつ補正と申しまして直しを行ない、新しいデータをとるという内容適地調査というのを一つやっております。それから、三十六年度から毎年全国で大体十地区を選びまして、その十地区に立地しております企業がどういう意味合いでそこへ行ったか、あるいは新規工場地帯へ行ってみたらどういう利点があり、不利があったかという工合に、実際分散いたしました企業アンケート調査というのを毎年行なうことになっております。その他いろいろ立地条件調査というものがございますが、それらを合わせて、立地条件調査費というもので三十六年度二千三百万円、三十七年度は三千三百万円の予算を持っておるわけでございます。
  17. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 自治省は要求しておりますが、まだ見えておりません。
  18. 石川次夫

    石川委員 今経済企画庁建設省、それから通産省関係地域開発基礎調査の案について概略伺ったわけでありますけれども、実は全国的にはよくわかりませんが、たとえば私の方の茨城県だけについて見ますと、これらの基礎調査が大体九カ所とか十カ所くらいにまたがって行なわれておるように思うのであります。しかもそれらの県それぞれが、基礎調査のあったものは全部今度の新産業都市建設促進法案の当然対象になるものだというふうな非常に大きな期待を持っておるわけであります。そうなりますと、たとえば茨城県に十カ所と仮定いたしますと、全国的には五百カ所になる。必ずしもそういう数になるかどうか正確ではありませんが、非常に大きな数が支離滅裂にあちこちから地域指定の形で申請が出てくるという可能性が多いわけであります。今伺った範囲でも、これらの各省調査はそれぞれ横の連絡もなしに、それぞれの好み、それぞれの目的に基づいて行なわれておるように思うのでございますけれども、これが新産業都市建設促進法案というものができた理由である、いろいろ横の調整をとらなければならぬということで今度の法案が出たという目的は一応了解いたしますけれども、しかし、今までのばらばらのものは今度の新産業都市建設促進法案によってほんとうにすっきりした一本のものになるというような希望は、とうていこの法案だけでは持てない。しかも各県とも自分の方が多くの指定がとれるという期待を持って目白押しに申請が出てくるということになると、膨大な数になるし、その調整もつかないという危険性もあるのであります。この中心として経済企画庁は、それらのもろもろの申請を整理して、この地域指定をどれくらいに押えていこうというお考えをお持ちになっておるかどうか、この点について伺いたいと思います。
  19. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今日までの各省調査は、それぞれ各省立場におきまして、その必要に応じて調査をされておるわけであります。しかし、そういう状態では必ずしも好ましいことではないわけであります。従って、新産業都市法律ができますれば、各省が持っております機能はそれは生かしていかなければなりませんから、その機能に従っておのおの利点のあるところは各省でやっていただきますけれども、それらを総合して一つ企画庁でまとめていこう、そしてそれによって問題の判断もし、解決もしていく、こういうことが今までの調査に対するわれわれの態度でございます。  そこで、いろいろな意味において調査個所が非常に多いじゃないか、従って、調査個所が多いから、そういう調査があったところはみんな今度の新産業都市指定されるのではないかという希望を持つのではないかという御質問でございますが、今日までの調査というものは、日本全国につきましていろいろな立地的な調査をいたしたり、あるいは水の問題について、あるいは地盤の問題について、その他交通の問題について各種の調査をしておるのでございまして、必ずしも調査をした中心都市自体が指定されるというものでないことは、これは申すまでもないことでございます。ことに今度の法案趣旨というものは、国土総合開発計画の中における拠点構想とでも申しますか、そういう中核的な都市を作り上げて、そうしてその周囲がその拠点を通じて開発できるというような立場に立っておりますので、そう多くのものが指定されるということには相ならぬと存じております。
  20. 石川次夫

    石川委員 今の答弁では、実は私の質問に対する明瞭な回答にはならないと思うんです。地方基幹都市を作るための調査自治省がやっている、広域都市建設省がやっている、工業立地条件というものは通産省調査をしておるというような、ばらばら目的で、ばらばら調査が行なわれておるわけでございますけれども、今度新産業都市建設促進法というものが出れば、これらの地方基幹都市を対象として自治省が調べているような調査目的の名称それ自体が、全部この新産業都市建設促進法案によるところの調査であるというように、名称それ自体も変えるということになりますか。
  21. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 少なくも新産業都市に関する限りにおきましては、その調査が総合されて参りますし、むろんそれに対応するような名称にもなろう。ただ、自治省自体としてはいろいろな角度の調査が必要であることはむろんでございまして、ただ単に新産業都市を作るだけの問題でなくして、地方各般の事情を調査して参らなければならぬのでございますから、そういう意味において自治省としての調査も残りましょうし、あるいは通産省の場合においても同じようなことが言えましょうし、あるいは建設省の場合においても同じようなことが言える、こう存じております。
  22. 石川次夫

    石川委員 実は一つの例をあげますと、各地方でもって工業誘致を盛んにやろうということで、土地の買収も大体目鼻がついたというようなときに、農林省は農林省の立場で農地転用については非常な権根を持っておるわけです。そうしますと、通産省の方は話はついたけれども、農林省の方はおっとどっこい、そうはいかないというような例も最近間々あるわけです。この点については別に問題として僕は提供したいと思っておりますので、きょうはこれに触れませんけれども、こういうことすら、ちょいちょいあるわけです。そうなりますと、今目的の違う基礎調査というものを各省ばらばらにやっているものが、新産業都市建設促進法というものができたからといって統合できるかどうか、あるいは数を相当制約して整理ができるかどうかというような点については、非常にわれわれとしては疑問があるということだけを申し上げておきたいと思います。  時間がありませんからその次に移りますけれども、国土総合開発法というものがございまして、これについては全国計画があります。それから府県計画があるし、数府県にまたがった計画というものがある。あるいはまた特定地域開発というものもありまして、たとえば首都圏、北海道、東北、九州、中国あるいは最近は北陸というものもできたし、あるいは産炭地というような特殊地域開発というようなものも出てきておるわけであります。  そこで、この新産業都市というものをこれから建設しようというからには、国土総合開発に基づいて、全国総合開発計画の一環として、この新産業都市の建設計画というものが提案をされなければならぬ、こう原則的には考えざるを得ないのでありますけれども、この開発計画の完成を待たないで新産業都市建設促進法が提案されているということは、私は何か時期尚早である、いわば本末転倒であるというような印象を受けます。先般私は新聞でちょっと見ただけでよくわかりませんけれども、近々のうちにこの全国総合開発計画というものが発表される段階になるのだということを企画庁長官が言われておるようにも拝見をいたしたのでございますけれども、これはあくまでも全国の総合開発促進法——これは昭和二十五年に改正されてできておりますが、その間十年間以上というものは、放置されたままになっております。私は非常に怠慢だというように考えるのでございますけれども、この国土総合開発法ができて、それにのっとってこの新産業都市法案というものを、その総合開発計画の上に乗せて推進をするというお考えなのかどうか。その場合に、今まであったいろいろな府県開発計画あるいにまた特定地域開発——先ほど申し上げたように、種々雑多なものがありますけれども、これとの調整を一体どうやってはかるおつもりか、この点について伺いたいと思います。
  23. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 国土総合開発計画がおくれておりましたことはまことに申しわけないことでございますが、いろいろな検討をする必要上相当の時間がかかりましたことは、やむを得ないことだと思います。昨年の七月十八日でございましたか、総合計画の草案ができまして、この点については広く世間の批判を仰ぐ必要がございまするので、今日まで批判を仰いできておりました。それについていろいろな意見もございますし、従って、最終的には四月中にこの確定をいたしたい、こういうふうに考えておりますので、国土総合開発計画の大筋の計画というものは、ごく最近にできるわけでございます。むろん今度の新産業都市計画というものは、その総合開発の中の一つの拠点構想とも申すような意味においてこれを実施して参りたいということを考えておりますと同時に、今お話しのような、特定地域における、たとえば中国の開発計画あるいは四国の開発計画あるいは九州の開発計画、いろいろな特定開発計画がございますが、それとの間の調整をとって参りますことは、これは当然のことでございます。
  24. 石川次夫

    石川委員 社会党の方で出されております産業雇用適正配置に関する法律というのは、大拠点、中拠点、小拠点というふうに、総合的なものの中から一体性を持った関連を持って一応この法案が出されておりますけれども、この新産業都市建設促進法案だけを見た限りにおいては、全国的な総合開発との関連というものが明示されておらないという点は、私は、一つの大きな抜け穴ではないか、欠点ではないかというふうに感ぜざるを得ないわけであります。  その点はそのくらいにいたしますが、実際問題として、特定地域開発関係と今度の新しい新産業都市建設促進法案、あるいは自治省建設省通産省経済企画庁で行なわれておる基礎調査というものの完全な一致点を見出して、調整をはかるというようなことについては非常な不安がある。私はこの法案が出たことが少し早過ぎたのではないか。全国的な総合開発というものが出て、しかる後に新産業都市というものがその上に乗っかってやられるのだということの方向づけがはっきりすれば、この法案に対しても幾らか信頼感が持てるという感じがいたしますけれども、現段階においては非常な不安だけが残る。これは抽象的なマスタープラン、だけはきめられますけれども、実現の段階で、いかにして具体的に推進するかという具体策というものは何もこの法案の中に盛られていないという点を指摘したいと思うのであります。  時間がありませんので端折って申し上げますけれども、次に、申請の点であります。都道府県知事が新産業都市の区域の指定を受けようとするときには、関係市町村長に協議の上申請書を出すということになっておりますけれども、この申請する場合のものさしというものは明示されておらない。これでは、先ほど申し上げたように、各省ばらばらに出して、ある基礎調査というものにたよって、この基礎調査があればそれで新産業都市になるのだという漫然たる期待を持っているところが大部分の都道府県ではないか、こう考えますので、この申請する場合のものさしがなしにこれだけの指示をしたということになりますと、非常な混乱が起こるのではないか、こう思うのであります。その点はどうお考えになっておりますか。
  25. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この問題は、地方的ないろいろの御意見も伺うことが必要でございます。中央はもちろん中央自身の考え方一つの尺度を持ってきめていくということも必要でございますが、同時に、地方の実情等につきまして、地方の方からの申請を受けて、そうしてそれを審議するということも必要であること申すまでもないのでございまして、そういう点については、両方の道が開かれておるように法律としては考えておるわけでございます。
  26. 石川次夫

    石川委員 どうもはっきりいたしませんが、こまかい点について御質問したいのでございますけれども、時間がありませんから省略いたします。  基本方針というものは、区域の指定があってから、経済企画庁長官が関係大臣の議を経て、総理大臣を経て審議会に諮る、そこで基本方針というものが知事の方に明示される、こういうふうに理解をしております。それから基本方針に基づいて知事は、各県に設けられた協議会の議を経て基本計画というものを作る、こういう順序になるのではなかろうかと思いますけれども、ここでは知事のイニシアチブを尊重して、知事に申請をさせて、あくまでも知事の意見を尊重するという建前になっておるように思うのです。ところで、この知事のもとに置かれておる各県ごとの協議会というものの中を見ますと、たとえば通産局長だとか港湾建設局長だとか、中央からの出先機関の長が、この協議会の中に入るという形になっておるように思いますけれども、それでは知事が純粋に地元の立場に立って、民主的に地元の意見を吸い上げて尊重するということじゃなくて、何か地方の協議会の中に、また出先機関としての中央の意見を反映してしまうということになって、これは円滑な連絡をとるという意味では、ある程度効果はあるかもしれませんけれども、ほんとうに知事の意見を尊重するという格好にはなっておらない、こういうように思うのですが、この点はどうお考えになりますか。
  27. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 むろん中央と地方との連絡の必要もございます。従いまして、中央から出ておる地方官庁の人たちが、知事の審議会等に入り、連絡をとるということは、当然必要なことだと思います。しかしながら、知事の意見及び都道府県議会の意向を尊重しなければならぬことは、もちろん当然でございますが、そういう意味において十分これが運営されることだと考えております。
  28. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 松島財政課長は見えましたか。
  29. 松島五郎

    ○松島説明員 まことに申しわけございません。おくれて今着きましたので、御質問を承っておりませんでしたので、恐縮でございますが、もう一度お尋ねのほど、お願い申し上げます。
  30. 石川次夫

    石川委員 先ほど質問したのですが、三十六年、三十七年にまたがりまして、自治省としては地方開発関連調査費という名目で基礎調査をやっておるわけです。三十六年、三十七年それぞれ一千万円程度の予算になっておりますけれども、その内容がどうで、どの程度進捗をしておるか、この点の説明を伺いたいと思います。
  31. 松島五郎

    ○松島説明員 これもまことに申しわけございませんが、私どもの方の役所の中のことでございますけれども、私のところで直接その仕事をやっておりませんで、具体的には振興課というところでやっておりますので、そういうお話でしたら、振興課の方に私から御連絡申し上げまして、至急担当の者を呼びまして、お答えをさせるようにいたしたいと思います。
  32. 石川次夫

    石川委員 それでは自治省の財政課長さんに伺いますけれども、この新産業都市指定をされる数が、まだ今明らかに示されておらない。これは非常に数が多くなって収拾がりかなくなるのじゃないかというような点を、われわれとしては懸念いたしております。そういたしますと、各地方で固定資産税あるいは不動産収得税というものの軽減措置、それを基本財政需要額として認めるというような特例を開くことが、この法案に出ておりまして、この限りにおいて、自治省というものは、非常に大きな関心をこの法案としては持たなければならぬということになろうかと思うのでございます。われわれが心配をしておるように、数が相当たくさん雑然と指定をされたと仮定いたしますと、地方財政における軽減によるところの財政の負担というものは相当なものになるし、またそれを補わなければならぬという、自治省としても大へんな負担になるのではないかというふうに考えるわけでございます。この金額はおよそのめどをどのくらいに置いて、これだけは絶対に地方財政の負担にならないように、地方財政需要額として認めるというきぜんとした、この法案に盛られておるような趣旨を一貫させ、実現させるという確信があるのかどうか、この点を自治省に伺いたい。
  33. 松島五郎

    ○松島説明員 お尋ねの点は、地方公共団体が固定資産税等の減免をいたしました場合に、従来は、減免は当該団体の任意の問題である、従って、交付税算定上、その減免に相当する額がその団体の税収入として入らなくても、取り得るものということで、交付税が特にふえるというようなことのない措置を講じていたわけでありますが、この法律におきましては、その減免をいたしました場合は、一定の条件に該当するものについては、基準財政収入額が減少するものとして算定する、従って、その分だけが交付税がふえるという形になるわけでございます。しかし、御指摘の通り、交付税がふえると申しましても、その団体についてはふえるわけでございますけれども、交付税の総体がふえない限りは、地方団体相互間のやりとりの問題にすぎないという点もあるわけでございます。そこで、その額が非常に大きなものとなります場合には、地方団体全体としての収入に欠陥を生ずるという問題になるわけであります。これが今後どの程度になるかということを今の段階において予測しますことは非常に困難でございますが、従来も交付税上の特別の扱いはいたしておりません。それぞれの地方団体におきましては、工場誘致のために減免措置等を講じてきておりますが、その実績等を見ても、そう大きな額にはなっておらないように思われます。従いまして、今後もその額が非常に大きくなって、そのために地方財政が非常な圧迫をこうむるというような事態になるものとは、ただいまのところ私どもは考えておりません。ただ、この新産業都市というものがどんどん発展していく、そのことは同時に望ましいことでございますが、それによって地方団体の収入に全体として大きな欠陥を生ずるというような事態が起こりますならば、それはその事態に即してまた問題を考えていかなければならない、こういうふうに考えておる次第でございます。
  34. 石川次夫

    石川委員 時間がありませんから、こまかい点は省略いたしまして、最後に一つ伺いたいのですが、先ほどから申し上げておりますように、自治省建設省通産省あるいは経済企画庁というようなところがばらばらに、終局的には国土開発のための基礎調査をいろいろやっておるというようなことであります。この前の水資源開発のときにもわれわれ痛感したのでありますが、こういうふうに国土を総合的に立地条件を立てて開発をしなければならぬ、非常に狭い日本の国土でありますから、これは総合的に全体的な計画を立てなければならない、こう痛感をいたしますけれども、いつの場合でも、いろいろ主管大臣が多岐にまたがりまして、この調整をはかることのためにのみきゅうきゅうとして苦心をいたしておるということが実態のようであります。従って、われわれといたしましては、どうしても今後この狭い貴重な国土を開発するためには、総合的な国土開発を一手に引き受けるところの国土開発庁、あるいは国土省というようなものを作らなければ、終局的には解決ができないのじゃないか。それが今後進めるべき行政改革の一番大きな問題点の一つではなかろうか、こう考えておるわけでございます。その点については、経済企画庁長官としての藤山さんにだけ、この答弁を求めることは非常に不当かもしれませんが、国務大臣の藤山さんとしてこれをどうお考えになっておるか、この点を伺いたいと思います。
  35. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 行政機構が時代の進展に伴いまして改善を要する点が多々ありますことは、ただいま御指摘の通りでございます。従って、最近、七人委員会として有力な民間の方々に、行政機構全般にわたって、改革、改善の方途を講ずるように御審議を願うことになっておるのでございます。そういうことによりまして、新しい観点に立ちまして、行政機構全般が今日の時代に即応するように改善されることを望んでおるのでございます。企画庁といたしましても、企画庁自体の性格から申せば、私どもは実施官庁であることを望まないので、なるべく計画をし、あるいは総合的な立場に立ってものを判断する役所であるべきではないか、こういうふうに考えております。
  36. 石川次夫

    石川委員 こまかい点その他いろいろ質問したいことがありますが、あとの質問者が控えておりますから、この程度で打ち司りますが、最後に意見だけを若干申し上げておきますと、この地域格差是正という目的に沿った意味での新産業都市建設といたしましては、非常に工業にだけ重点を置き過ぎておるのではないか、もっと総合的な意味での地域格差是正するという意味では、文化とか教育とか厚生とか、いろいろなものも総合的に考えられなければならない。この点が非常に不足をして、工業重点ということに傾く危険があるのではなかろうかという意見一つあります。それから、先ほど申し上げたことを繰り返すようでありますけれども、基本的な地価対策地価高騰抑制するということが前提とならなければならない、その点に欠ける点が多いということが一つ。それからいろいろな各省にまたがる横の連絡を調整をするという点、あるいは各地方から非常に大きな希望が出されて、数が多くなるのではないかという点、これらを整理をすることの見通しというものが、われわれとしては、善意に解釈をしても、非常に困難ではなかろうかということを考えております。  それからあと一つは先ほど申し上げましたけれども、国土総合開発というものが先にあって、その一環として新産業都市というものが生まれなければならないのに、先に新産業都市が生まれ、あるいは基礎調査というものが各省ごとにばらばらに行なわれているということは、主客転倒になっておるのではなかろうかという意見、あるいはまたマスタープランというものは作りますけれども、具体的にどう推進をするかという点が、各省それぞれの持ち分でやるんだということにはなっておりますが、基本計画が立って、その前にたとえば都市計画というものが実現に移っているというとき、それをどういうふうに切りかえていくのか、それをどう調整していくのかという具体的な推進の方法というものが、この法案では盛られておらないという点で、実現上非常に困難な点に逢着するのではないかというようないろいろな意見はございますけれども、あとの質問がありますから、大体私の質問はこの程度にいたしたいと思います。
  37. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 關谷勝利君。
  38. 關谷勝利

    ○關谷委員 運輸委員会関係といたしましては、この新産業都市建設促進法に関しましては、大体港湾の関係、臨港鉄道の関係、この二つが一番関連性が多いと思いますが、臨港鉄道の関係につきましては、肥田委員の方からお尋ねをすることになっておりますので、私はこれに触れないことにいたしまして、港湾関係につきまして重要な点を簡単に二、三点長官にお尋ねを申し上げたいと存じます。  新産業都市指定を受けた区域のうちで、臨海地区については、港湾の整備いかんというものが、この法律目的とする新産業都市の建設、発展に大きく影響するということは言うまでもないのであります。これらの地区の港湾の整備というふうなことについて、どのようにお考えになっておるのか、大きな大体の方針を伺っておきたいと思います。
  39. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新しく産業都市を作まりす場合に、その要件の一つとして、道路、港湾、交通の整備ということが必要であり、またその適地であることが指定一つの原則にもなっておるわけでございます。従いまして、港湾問題というのが、新産業都市を作ります場合には、非常に大きなウエートを持っておるわけでございます。従って、産業都市を作ります場合に、港湾の整備というような問題については、輸送の上からいいまして、相当重点を置いて整備の計画をして参らなければならぬことは当然でございます。そういう意味において、私どもは、新産業都市の場合において、港湾に相当な重点を置いておるのでございます。   〔早稻田商工委員長退席、簡牛運輸委員長着席〕
  40. 關谷勝利

    ○關谷委員 以前に港湾の十カ年計画が策定せられておりますが、その策定のワクが五千三百億というふうな数字が出ております。これがどういうところに基礎を置いて計算をせられてこのようなものが出たのか、これがどうしても実情に合いませんので、私たちはその計算の基礎を一度伺ってみたいと思うのであります。聞くところによりますと、これは経済企画庁と財政資金配分委員会とかいう委員会、この二つが相談した上で出した数字が五千三百億ということで、これは運輸省の港湾局あたりで計算いたしましたものを一取り入れたものではない、こういうことであります。経済企画庁と資金配分委員会との二つで決定したその計算の基礎はどこにあるのか、五千三百億を十カ年計画、その中で前五カ年で二千五百億という数字がどうしても実情に合いません。このような計画でやって参りますと、六大都市の船込みのような状態が現出をいたしますので、どこからこの五千三百億というものが出たのか、この計算の基礎を明らかにしていただきたい。
  41. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいま御指摘の問題は、所得倍増計画の中の数字かと思うのでございますが、その基礎につきましては、所得倍増計画を作りますときに積み上げ計算をいたしておりますので、担当者から御説明をいたすことにいたしたいと思います。
  42. 曾田忠

    ○曾田政府委員 私の担当ではございませんけれども、一応知っておる範囲内でお答えいたしたいと思っております。  所得倍増計画を策定するにあたりまして、いろいろ公共投資があるわけでございますが、それの計算の方法といたしましては、いわゆるマクロ的な方法をとっておるわけでございます。これはたとえば道路について申し上げますと、自動車台数を出しまして、その自動車台数に一台当たり幾らの投資が必要であるかという過去の実績等から見ました原単位を出しまして、それから道路全体の十カ年の行政投資のワクを出す。港湾について申し上げますと、港湾におきまする貨物の取り扱い量の十年後の数字を想定いたしまして、それに貨物の取り扱い量一トン当たりの原単位の金額を出しましてこれも過去の実績等によっておると思いますが、それをかけましたものが港湾に関します十カ年計画で、そういうマクロ的な方法で出したものと聞いております。
  43. 關谷勝利

    ○關谷委員 どうも実情にあわない数字が出てくると思いましたが、今お話を聞いておりますと、この貨物の動きの数量を見て、それから今までの過去の実績の港湾に投入した経費のトン当たりの数字を計算して、それで出したものがこうだというお話のようでありますが、そんなことをするからとんでもない数字が出てくるのであります。今まで港湾に対して投入いたしております資金は、ほかに比較いたしまして実に手薄いのであります。その手薄いものの、そしてあの船込み状態が起こらなければならぬという資本投下のおくれております数字をトン数で割り出して、やはりそのようなものをこれからの荷物のふえ方に対して計算をいたしますと、追い追い荷物がふえていきますと、小さいながら不足しておった港湾施設設備が大きくなればなるほど、荷物がふえればふえるほど比率が悪いままにこれをふやしていくということになりますから、やはり港湾の経費が足らなくなってくる。内務省当時には道路の倍というのが港湾の経費であったのであります。その後ずっと計算いたしましても、大体公共事業費の八%程度というのが港湾の経費であったのであります。それをめちゃくちゃに削られた。これは進駐軍の占領政策でもありました。日本で船を作ろうと言うた際に、アメリカが船を作らそうということになった。それが昭和二十五年でありまするが、その際に、船を日本が作り始めると大へんなことになるということで、英国が横やりを入れて、そうして船を作るのをもう取り消しができないということなら、港湾経費を削れということで、めちゃくちゃに削られてしまったのであります。これは昭和二十六年でありますか、昭和二十六年あたりにめちゃくちゃに削られて、そうしてほとんど港湾機能が喪失する程度にまで削ってしまった。その経費あたりを、その手薄い港湾の費用といいますか、それをその当時の荷動きのトン数で割った、まことに不合理な計算をなお続けておるということになりまするので、このような五千三百億というふうなこの計算が出てくるのでありまして、まことに不合理なことであります。これは、あなたは不合理でないと考えられますか、不合理であると考えられますか。
  44. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 所得倍増計画の中におきます計画については、やはり相当検討をしていく必要がある、これはむろんです。ことにわれわれが考えております以上の高度成長をやって、いろいろなひずみが出てきております。昨年、港湾の問題がほとんど行き詰まってしまったというような状況にあわてたわけでありますが、そういう日本の高度の成長が急激に進んでおるという場合における港湾対策というものは、やはり新しい観点に立って考えて参らなければいかぬとおもうのであります。そういう点については、今後の新産業都市を作ります場合におきましても、十分その点を考慮に入れて、そうしてその新産業都市が、同じ産業でありましても、どういう性格を持つのか。重工業的な性格を持つのか、あるいは石油化学的な化学方面の性格を持つようになるのか、そういう点もあわせて港湾の問題は考えて参らなければ、実情に合わないことではないか、こう考えております。  なお、こまかい点は運輸省から一つ御説明申し上げます。
  45. 關谷勝利

    ○關谷委員 運輸省から別に聞こうと思っておりません。実は私は、港湾のワクの設定が間違っておる、間違ったものは訂正をしていただかなければならぬということでお尋ねをしておるわけであります。そうして、この全五カ年計画を二千五百億で五千三百億のうちからやっております。これが今お話を聞いておりますと、間違った計算の基礎に立っておるというふうなことがはっきりといたまして、その上にこの新産業都市のこの法案が通過をいたしますると、また臨海工業都市とかいうものができて参りますると、今まで見込んでないところの港湾事業がふえてくるわけであります。それと、所得倍増計画あたりで考えておりました——木材の輸入あたりは著しくふえておるということになって参ります。そういたしますると、今の二千五百億が小さ過ぎて、それへもってきて新産業都市のこの港湾費が入って、木材の見込み違いが出てくる。経済の伸びは、あなた方の見込むのと大きな狂いが出て、非常に大きな発展ぶりを見せた、こういうことになって参りますと、この港湾の二千五百億というものは、今の実情に合わないのだということだけはよくおわかりであろうと思います。そういたしますると、これを一つずつ積み上げていくことが、一番確実な資料となるのでありまするが、そういうふうな資料が出た場合に、あなた方は、資金配分委員会経済企画庁とだけでこの港湾のワクは設定するというのでなくして、運輸省が提出をいたしましたその積み上げたこの積算に基づいて、ワクの変更を認める用意がありますかどうか。これは重大な点でありまするので、はっきりと御答弁を願いたいと思います。
  46. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 所得倍増計画におきます積み上げ作業等につきましては、運輸省にも御参加を願って検討したものであると私は信じておるのでございます。そういう意味におきまして、当時の事情から見れば最近の事情は変わっておる。でございますから、たとえば日本の公共投資というものが非常におくれておる。単に港湾だけでなくて、道路でもおくれておる。従って、たとえば岸内閣のときに道路五カ年計画で一兆円をやりましたのが、最近はそれを二兆一千幾らに直した。そういう日本の実情に応じて、たとえば改良五カ年計画というものを考えていくことが、これは当然私は政治の方向だと思います。また、新産業都市ができました場合に、必ずしも従来の港湾施設だけを利用するわけにいかない。新産業都市立地条件のいかんによっては、新設——新設と申しますとやや語弊があるかもしれませんけれども、新しく十分な港湾設備をしなければならぬような都市が出てくるかもしれないわけでありまして、そういう点について、十分な財政的措置を講ずるということは、これは私は政治的に当然なことだろうと思います。
  47. 關谷勝利

    ○關谷委員 私は、きょうまでずっとたくさんお尋ねをしたいと思いましたが、今の長官の御答弁で私は満足いたしまして、簡単に打ち切りたいと思いますが、これは今まできめられておりまする数字というものが、現実とあまりにも遊離したような数字が出ておりまするので、これはどうしても訂正をしていただかなければなりません。私は今、運輸省あたりで一つ一つ積み上げて作業を早くしろ、そうして、この新産業都市法律案が通過をして、そうしてそれが現実に現われてくる場合には、それあたりの計画も早急に現地から提出をさして、それを含めたものでの数字を早急に作成しろ、こういうふうなことを言うておるのでありますが、そういうふうな際に、ただ単に経済の見通しとか何とかというような抽象的なものでなくして、この積み重なった数字に基づいての港湾ワクということの設定について、長官が御協力を下さる、こういうふうなことでありますので、私はそれを期待をいたしまして、あといろいろ御質問を申し上げたいと思っておりましたことがたくさんあるのでありますけれども、これで質問を打ち切りますので、御協力をお願いいたします。御協力ができるということだけを御答弁を願えば、私はこれで質問を打ち切ります。
  48. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 先ほど申しました通り、日本の経済計画が進捗いたして参りまして、特に新産業都市というものができて参りますと、やはり港湾の問題についても新しい見地に立たなければならぬ。たとえば最近、御承知の通り、従来の天然的な港という以外に、新しく港を作る。たとえば苫小牧において、あるいは新潟においてそういうような問題もございます。従って、今後の新産業都市指定いかんによっては、そういう新たな見地に立った問題も起こってくるわけでございまして、当然そういうことについては、われわれ新産業都市機能を生かし得るような努力を港湾施設にすべきであると考えております。またいたすつもりでおります。
  49. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 片島港君。
  50. 片島港

    ○片島委員 長官にお尋ねいたしますが、政府案によりますと、国土総合開発法に基づいた全国総合開発の一環としてやろうということでありますが、現在あなたの方で作業を進めておられるこの全国総合開発計画草案というのについて、これは大体いつごろに完成の予定でありますか。
  51. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 昨年七月にその草案を発表いたしまして、世間の世論を聞いておりました。四月中に完成をいたしまして、そうして審議会等の議を経て発表いたしたい、こう考えます。
  52. 片島港

    ○片島委員 そういたしますと、この新産業都市建設促進法は、この総合開発計画が最終的な決定を見ないうちに出すということは、これは順序が違っておるのではなかろうか、また総合開発計画ができましたときに、この新産業都市建設促進法というものと食い違いを生ずるような結果がかりに出てきた場合には、またやり直す、こういうことになるのですか。
  53. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、国土総合開発計画の基本計画というものは、私どもの予定いたしておるところでは、四月中に最終決定をいたしたいと思います。  そこで、この新産業都市法案は、今国会の御審議を経て通過することになりますと、四月中に決定されました基本方針にのっとりながら、この産業都市計画を遂行していくのでありまして、その間に食い違いあるいは時間のズレ等はないと私どもは考えております。
  54. 片島港

    ○片島委員 先ほど石川委員からも質問がありましたが、新産業都市を作るということになりましても、相当政府が本腰を入れてかからなければ、都市作りというのは困難ではなかろうか。諸外国の例を見ましても、私は一昨年ストックホルムに行きましたときに、その郊外のベインビー、これはがけの山みたいなところですが、何もないところに政府が相当な力を入れて、そこに都市を新しく人工的に作っておる。しかも先ほど質問がありましたが、大都市集中しておる現在の状況、これを排除するという集中排除的な措置というものがとられておらない。非常にやわらかい、非常に緩慢な誘いをこれに作るだけであって、もう少しきびしく大都市から排除する。地方に行った場合には、新しく都市を作る場合には財政的な援助をする、たとえば財政的だけでなく電力料金などのごときも特別な配慮をする、そういったもっと積極的な腰を入れなければ、一方は抜けておって、新しい方はさっぱり力が入らぬということでは、これは効果を上げ得ないのではないか。その点いかがですか。
  55. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この法律自体が、大都市の過慶集中に直接な施策を講ずる法律ではございませんので、そういう点は首都圏整備の問題でございますとか、あるいは通産省でやっておられます工業立地の問題、それに対する規制の問題というような方面から、具体的にこれを規制して参るということでございます。そうした規制された工業が、あるいは規制される前に大都市集中しそうな工業が、新しい適当な立地条件を持った新産業都市ができて、そこに移り住み得る、あるいは新しくそこに立ち得るというような面から、大都市過度集中防止する効果があるわけでありまして、そういうねらいが前文にうたわれてあるわけでございます。
  56. 片島港

    ○片島委員 私は、法案にうたってある程度のことでは、大都市への集中を排除するということは、非常に困難だろう、そう思います。大ざっぱに言って、大体新産業都市を建設する地域の名前は、これはわからないでしょうが、現在の集中しておるところから新しく別のところに作ろうという地域配分と言いますか、その基準というものは、これには要件は書いてありますけれども、どういうところに地域的な配分をするのだということはないわけですが、それについての基準が何かきまっておるのでありますか。
  57. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新産業都市の持っております将来の性格のための要件としては、こういう要件が必要な状況にあるのだということは、法律そのものにうたってございまして、ただ、そういう条件のところをどういうところにきめていくかという問題は、国土総合開発の全体計画の中の拠点計画として考えて参らなければならぬし、たとえば地方開発全体あるいは地域格差の解消というようなすべての問題も考慮に加えて考えていくわけでありまして、現在のところまだ特別の一定の基準は持っておりません。
  58. 片島港

    ○片島委員 大体のそういう構想がないと、ここに要件は書いてありますが、これは解釈のしようで自分のところもこれに適合するのではなかろうかと思う人は、解釈によってどうにでも自分のところもそうだ、非常に条件のいいところでも悪くても、自分なりに解釈すれば、その要件に合致するということになるし、少し足らないだろうと思うところは、非常な無理をして、地方財政がそのために非常なむだといいますか、指定をされるということを一つの目安としていろいろ財政的な措置を地方でして、苦労する。しかし指定は当然もらえない。こういうことになって、そのために相当むだな投資が行なわれるのではないだろうか。やはり大体どういう程度、たとえば地域的に何地区くらいを指定するのだとか、あるいはブロック的にどうだとか、何かの基準がないと、うちも適合する、うちも適合する、こういうことになって、収拾がつかないようになる危険性もあると思うのですが、その点いかがですか。
  59. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 お話のように、各地の住民の方からすれば、自分のところが一番立地条件がいいのだというようなお考えになりやすいことは当然でございまして、そういう点については十分な理解は持ちますけれども、しかし、日本全体の計画としてそれが適当であるかどうかということは、考えて参らなければならないと思います。また、この国土総合開発計画は、国土の総合開発でございますから、ある地方の方はまるで手を触れないでいいのだというわけにも参らないし、また、やはり特定の地域開発計画等も立法されておりますので、それを全然無視するわけにも参らないと思います。でありますから、そういう意味において、国土総合開発の中の拠点計画というような意味で、ある程度ブロック的な考え方で考えて参らなければならない。ただ今日の実情を率直に申しますと、必ずしも行政区画と経済圏というものが一致いたしておらないようなところもございます。これは日本の実情から申しまして、下部の行政区画と必ずしも経済圏としての見方とは違う場合もございますので、その辺の調整というものは、相当指定にあたって重要な問題ではないかと思うわけでありまして、そういう点もあわせ考慮しながら、経済効果がその地方全体に、その指定された地域中心にして、その経済圏全体に有効に働き得るような拠点地域としてこれを考えていきたい、こういうふうに考えております。
  60. 片島港

    ○片島委員 そういたしますと、いろいろの手続を経て都道府県知事から申請が出るわけであります。また各県から相当、ただいま申し上げましたように、自分なりの解釈で適合するというので出てくる。しかし、指定にあたっては、経済圏の問題、その他全国的な視野から、どの地域がいいかということを御決定になる、こういうことであります。そうなりますと、いろいろあなたの方で調査をされ、また各省でも関係各省調査をしておるわけですか、知事が出してくるという申請は全く形式だけにとどまって、知事の申請というものはほとんど意味がない、こういうことになりはしないか。あなたの方で考えておられるような地域だけを上申してくれば問題はないのですが、そうでないということになれば、知事がせっかく市町村議会の議決を経、市町村長あるいは県議会というような段階を踏んでやってくるが、実際にはそれがほとんど形式だけに流れてしまうということになるのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  61. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 むろん中央において十分調査をいたします。中央としては、ただいま申し上げたような観点に立って、指定の問題を考えるべきは当然だと思います。しかし、地方のそれぞれの実情というものが、必ずしも中央に反映しておらぬ場合もあるのでございますから、そういう意味においては、地方の実情を十分知っておられまする地方議会あるいは知事その他関係者が、十分な地方の実情を説明して、そうしてそのいわゆる経済圏と申しますか、その中における自分の立場が非常な有効であるというようなことを主張されますことは、私は当然であり、また、それをある程度聞くことも必要ではないかと、こう存じております。
  62. 片島港

    ○片島委員 第一条の目的のところには、「地域格差是正を図るため、」と、地域格差是正ということを大きな柱にしておられるようでありますが、そういたしますと、第五条の要件と言いますか、その中にも、この地域格差を何とかして縮めるために必要な地域だという、一つの要件としてもそれを盛り入れるべきではないかと思いますけれども、いかがですか。
  63. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この地域格差是正いたしますことは、新産業都市のねらいの一つでございます。ただ、新産業都市ができたからといって、その新産業都市だけの地域格差是正されるというのではなくして、たびたび申し上、げておりますように、それが拠点となって、その周辺における全体の地域格差が向上していくというふうな場所を選ぶことが私は必要ではないかと思う。それには、第五条における要件等を整備しておりますると、おのずからそういう地位になってくるのじゃないか、こういうふうに考えておるのでございます。なお、地域格差是正する意味において、低開発地の工業開発促進法等もございますから、この拠点構想とそれらのものとをあわせて考えていくことによりまして、地域格差是正ということの大きな筋道の上に乗せていけるものではないか、こういうふうに考えておるのでございます。
  64. 片島港

    ○片島委員 低開発地域工業開発促進法が前に通過をしておるのでありますが、まあ関係の係官などが地方に出られたような場合、あるいは地方から意向をただしに来たような場合に、新産業都市でなくても、低開発地域として指定をする、こういうことになるんじゃなかろうかというようなことを聞いておるのです。そうすると、新産業都市、その次は低開発、こう順位が——低開発とこの新産都市との関係で、その順序は、新開発あるいは新産都市、低開発と、こういう順序になるのでありますか、そのところの関連をお伺いしたい。
  65. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今のお話しのような点だけで実は順位はつけられないのではないかと思うのでありまして、低開発地の工業促進と申しますのは、御承知のように、非常な都市的資格として十分でないような地域、それを少なくも現在の都市的レベルまで引き上げていくためには、工業の促進も必要だという意味から出ておるのでございます。従って、この新産業都市と低開発との中間をなすような都市というものがむろんあるわけでございます。   〔簡牛運輸委員長退席、早稻田商工委員長着席〕 従いまして、順序から申せば、いわゆる六大都市と申しますか既設工業地籍、あるいはその次に新しくできます新産業都市、そうして現にすでにある程度産業都市としての力を持っておるもの、そうしてそれは少しも持っていないが、しかし、促進をすることによって、少なくも現在のある程度の力を持っている都市になり得るような低開発地の促進、まあそういう立て方になっておるので、順序から申せば、そういう順序になるかと思いますけれども、そういう立て方でございます。
  66. 片島港

    ○片島委員 そういたしますと、ABCというようなことに分ければ、新産都市をAとすれば、Bがもう一つ中間にはさまつて、その次に低開発というCを考える、こういう順序、段階なんですか。
  67. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 まあABCと申しますか、そういうような順序かと思います。
  68. 片島港

    ○片島委員 いつでありましたか、もう一カ月ぐらい前かと思いますが、十幾つの県にあなたの方の係官が調査に行かれたようであります。あるいは新産都市とどういう関係になっておるのか、まあ早く言えば、うちは調査に来てもらっているからだいぶ有望だとか、いろいろやはり現地の人は考えるわけであります。あれはどういう目的調査に当たられたのか。
  69. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。最近、一カ月ほど前に、ちょっと数は忘れましたが、十幾つの県に企画庁から調査しに参ったわけでございますが、その目的といたしまするのは、工場誘致に伴いまして、それが地方財政にどういう影響を及ぼしておるであろうかということを、府県につきまして調査したということでございます。
  70. 片島港

    ○片島委員 それではやはり新産都市指定といったようなこととの関連もあるわけなんですか。
  71. 曾田忠

    ○曾田政府委員 特にそういう関連調査に参った意味ではございません。
  72. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 肥田次郎君。
  73. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は、重複しないように質問いたしたいと思いますから……。  この法案でも、やはり総理大臣の任命によるところの審議会制度というものが設けられております。それで、とかく最近、審議会あるいは調査会というものに対する答申だとか建議だとかというようなものが、どうもそのまますなおに採用されないような傾向があります。そういう非難も直接よく聞きます。それで、ここでやはり慣例的にこの審議会を設けられる内容になっておりますが、実際に、この審議会の答申あるいは建議がそのまますなおに扱われる——言葉の上ではそうお答えになると思いますけれども、一つ何か新しい心がまえというものがあるならお伺いしておきたいと思うのであります。
  74. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 審議会を設けます以上は、審議会の答申の御趣旨を尊重しますことは、これは当然でございます。ただ、審議会のメンバーの方の中にも、専門の方もおられますけれども、あるいは立法技術上若干そういう知識のない方もおありだと思います。従ってまた、そういう方の意見も聞くことが、一般的な常識的な意味からいえば必要なんでございまして、そういう意味においては、答申の趣旨を十分織り込んで立法化の方途をとっていく、こういうことになるわけでございます。
  75. 肥田次郎

    ○肥田委員 さらにお伺いいたしますが、先ほども御答弁がありましたけれども、なおお聞きいたしたいのは、やはりこういう法案提出される場合には、その裏づけというものがある程度考えられておるのじゃないか、こういうふうに考えるのです。要するに、この法案を作る以上は、当面どことどこか、あるいはどの地域かというような開発促進に必要な地域指定というような、こういうものが考えられておるのではないか。それがないと、この法案をわさわざ経企庁の方で現在——先ほどおっしゃったのには四月ごろには終了する、結論が出るとおっしゃいましたが、それ以前に出さなければならないほど、いわゆる拙速を要する問題ではないではないか、こういう気がいたしますので、その点をお伺いしたいと思います。
  76. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 お話は、国土総合開発計画が四月中には、ただいまの予定では、最終的な案として発表できることになります。この法律を通していた、だきますれば、それに対応して準備をして参りますと、ちょうど国土総合開発計画のできました直後から作業をしていけることになるわけであります。この作業も若干の時間を要する作業でございますから、ちょうど並行してマッチしていけるのじゃないか。この方が先になってしまうというようなことはないつもりでおります。
  77. 肥田次郎

    ○肥田委員 まあ、そういうお答えになると思いますが、実はこういう法案が出るからには、この法律だけではありません。今まで幾つかの法律が出ておりますけれども、それがなかなか実際に活用されるというところまで至っていない。それは同時に、その内容の具体性が乏しいということが原因をしておると思うのでありますが、そういう意味でお伺いをしたわけです。それから現在行なわれておりますいわゆる臨海工業地帯、こういうものと、それから新産業都市考え方というものとの区別といいますか、これを一つ念のために教えておいてもらいたいと思います。
  78. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今のお話は、国土総合開発計画の中における臨海工業地帯と内陸工業地帯とのお話かと思いますが、この問題についてもいろいろの御意見もございました。素案発表の段階にあたって、それらのものを参考にしてわれわれも考えて参りたいと思いますが、ただ単に臨海工業地帯というだけの意味において、新産業都市が既存のいわゆる国土総合開発計画の中で申しております臨海工業地帯と直接すぐにつながっていくというわけではございません。
  79. 肥田次郎

    ○肥田委員 今行なわれておるところの臨海工業地帯開発の区分についてはそういうことだろうと思いますが、問題点であるところの過度集中を防ぐという、こういうものの考え方として、現在行なわれておるところの、あるいは千葉だとか——当面千葉をさしていきたいと思いますが、こういうところについて、一体どういうふうにお考えになるのでしょうか。これなどは過度集中の中に入らないというふうにお考えになられているのでしょうか。
  80. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 千葉は川鉄ができまして非常に大きな臨海工業地帯になりつつある。従って、これは東京とあわせまして、あるいは横浜、川崎、東京、千葉というようなものの一連の集中状態というものは、過度集中傾向になり得ると思います、ですから東京の首都圏だけと必ずしも考えられないのではないかと思うのでありまして、そういう意味からいいまして、将来できるだけ経済圏の条件の備わっておりますようなところに工業立地の土地を求めて、そうして新産業都市を作りますことは、そういう過度集中を将来排除していく一つの道になると思うのでございます。
  81. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は実は先般千葉の工場地帯を見せてもらいました。なるほど今長官のおっしゃるように、多分にそういう傾向があります。たとえば、今後これらがどのような着想を持っておるのかということさえもうかがいがたいような面がありまして、いわゆる集中の上にさらに集中をしようという考え方があるのじゃないかという気もいたします。電力の問題にいたしましても、ちょっと私は聞いたのでずが、ここでは関東電力が六十万キロの発電容量を持った設備を今持っておるのであります。これは現在どうなんだということで聞きましたところ、これはおそらく半分ぐらいしか要らぬのじゃないか。そこで、じゃあ運転はどうしているのだということを聞きましたところ、大体七、八〇%出力の運転をやっておるのだ、こういうことであります。そんな能率の悪いことを、と言えば、夜になればずいぶん電力も余るから、従って、この火力の出力を落とすのではなしに、水力の方を落として火力の方を運転をしておるのだ、こういう説明でありました。しかし、その理由を聞いてみますると、最近の巨大な発電機は、能率を落とすことによって著しく力率が下がる、だから、そういう方法をとっておるのだ、こういう説明でありました。ですから、夜間は非常に電力が余っている。それをさらに百万KVAの増設の計画がもうすでに行なわれておる。そうなって参りますと、いわゆる過度集中の上にさらに無限大に集中するような傾向があるわけです。こういうものと新産業都市との区別ですが、これはむしろ新産業都市計画内容そのものが、これらに対する非常に大きな意味合いを持ってくるように思う。こういうことに対して、新産業都市計画考え方を、どういうふうにわれわれは理解をしたらいいのか、これも念のためにお伺いしておきたいと思います。
  82. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新産業都市は、日本の工業がここまで非常な勢いで進展して参ることをあまり予想されなかった点もあろうかと思います。こういうふうになって参りますと、新産業都市的構想というものは、もう少し早くあってしかるべきじゃなかったかというふうにも、私ども感じられるわけでございます。ことに科学技術が非常な勢いで進歩しております。たとえば川鉄が千葉にできましたときに、私どもあそこが港湾的にはたして十分なものであるかどうかということについては若干の疑問を持っておったわけでございますが、しかし、浚渫港湾というものが十分に考えられるような時代になってきておりまして、先ほども申しましたように、苫小牧なり新潟なりにもそういうような自然的条件以外の港湾もできて参ります。あるいは産業立地の上からいって、これはまだうわさでございまして、事実実現するかどうかわかりませんが、たとえば沼津湾は非常に深くて、十万トンくらいのタンカーを入れるなら、あそこの港が非常にいい。ところが背後地が工業地としてない。ところが近ごろはトンネルを掘る技術が簡単な——簡単なと申しても何ですが、比較的楽にできる。従って、あそこにトンネルを抜けば、その背後地である狩野川流域の平野に工場ができるというようなふうに科学技術が非常な変化をしてきておりますし、それによりまして従来考えております産業立地というものをだいぶ新しい観点から見直していく必要もある場合が私はあろうと思います。ことにタンカーでありますとか、あるいは鉄鉱の専用船というようなものは非常に大型になってくる、また大型船というものの建造が可能であり、またそれを動かす機関等の力もできてくるということになってきますと、やはりそういう意味における別個の構想も必要なんでありまして、従来の観念からいえば、必ずしも工業立地的に適当でないところでも、新しい科学技術の進歩に伴いまして、できてくる場合があるわけであります。そういう意味からいいまして、やはり新産業都市というようなものについて、新しい見地に立って、そういう新技術も考えながら、経済圏の中心になるようなところを考えていくということがこの際必要なんではないか。何か従来の都市あるいは港湾、そこを中心にしただけの問題では必ずしもないと思っております。
  83. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は千葉の一例をとりましたが、ここで百六十万KVAの電力といえば、私ははっきり数字を覚えていませんが、昭和二十五、六年ごろの日本の全出力は三百五十万から四百万KVAまでだったと思うのです。今日ではその規模が全く変わっていることもよくわかりますけれども、この一地域に対してこれだけの電力を必要とするような産業形態、こういうふうにななって参りますると、これは話を聞いてもわかるように、ここにこれだけの電力設備をいたしました、しかもこれは外資であります、そして今では電力が余っています、だからこの電力を昼も夜も使ってくれるような、いわゆる機械の性能に合わすために夜も電力を使ってくれるような、そういう会社がこの地域集中してくれなければ、百六十万KVAの電力は余ってしかたがないんです、こういう話を技術者はしておりました。ですから、過度集中を避けるとはいうけれども、実際になかなかそういうことは困難じゃないかという気がいたします。そこでこれはやはり申請制度というものがこの新産業都市の決定をするポイントになるのですが、これに対する弊害というものは、これは今さらわれわれが言うまでもないと思います。今日まで幾多の例があったわけですから、そういうような条件のもとに考えますると、これは申請制だとかあるいは過度集中を避けるとか、一つ考え方はあったとしても、実際に法案がこれから後に法律化して、実際に運営していこうという場合には、非常な大きな問題が出てくるのではないか。やはりこれは私は申請制というのではなしに、具体的に地域を総合計画の上に立って指定する必要があるのではないか。そうしなければ、いろいろな難問題を解決する方法はないかというふうに考えるのですが、そこまではまだお考えになっていませんか。
  84. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この法律の中におきましても、政府自体が指定することもできますし、また、地方から出て参りました申請を十分に検討いたしまして、そうしてその中から適当なものを選ぶということもできるわけでございまして、両々相待ってこの運営の万全を期していきたい、こういう立て方になっておるのでございます。
  85. 肥田次郎

    ○肥田委員 ここでちょっとお伺いをいたしたいのは、実は先般この連合審査会で社会党の提案がありましたが、社会党は、こういう地域の問題について、どういうふうにお考えになっておるのですか。
  86. 井手以誠

    井手議員 お尋ね産業人口過度集中をどう抑制するかという問題だと思います。これは私ども出しました産業雇用適正配置に関する法律案一つの大きな問題点でありまして、ある地区人口産業過度集中しないために、やはり工業の規制地域指定いたしまして、工場の新設、増設を禁止するということが第一であると考えるのであります。しかし、すでに過度集中をいたしましたいわゆる過大都市におきましては、これを分散する必要があると考えておるのであります。しかし、この分散は、憲法上の問題もありましてなかなかむずかしいのでありますが、私どもの法律に協力をして、すでに過大都市にある工場を地方に、いわゆる開発地区に分散しようというものに対しましては、工場の用地あるいは労務者住宅等について融資その他の特別配慮をしようということを法案にうたっておるのであります。すなわち、抑制から過大都市の解消ということまで私どもは考えておるわけであります。
  87. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は重ねて申し上げますけれども、これは大臣、あの申請制と、今言われたように、指定もできるというお考え方ですね。この比重は、しかし、実際には申請制の方へ傾いて、指定というようなことはなかなかむずかしいのじゃないか。もし指定ということが実際にやれるとすると、これは何らか政治的なくさみを持った結果がそういうふうに現われてくる、こういうふうにわれわれは気を回すのですがね。そういう印象がどうも消え去らないのです。今社会党の考え方のように具体的問題を備えてくると、これはどうしても前提条件というものがはっきりして参りますから、そう簡単にはいかないと思うのですが、申請よりも指定制の比重をうんと重く考えるというわれわれの考え方は、この法案の解釈では、これは差しつかえございませんか。
  88. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 おそらくこういう法案が出ますと、全国各地から非常に多数の要望と申しますか、申請と申しますか、地方的な開発計画というようなものが出て参るのではないかと思います。それについて審議会等でも十分な御審議をいただきまして、そうしてその中から適当なものを選ぶということをいたすわけでございまして、それが結局は、——おそらく政府が指定をしようというようなことを考えておりますのは、そういう出てきたもの以外の土地に何かそういうところがあるかどうか一そういうようなところは私はあまりないのじゃないかと思う。従って、指定制と申請制との調和がおのずからそこでとれて参るのではないか、こういうふうに考えております。
  89. 肥田次郎

    ○肥田委員 そこで、もう一つお伺いしたいのは、新産業都市あるいは現在すでに開発が進んでおるところの臨海一業地域に対する鉄道輸送の関係ですが、これはどういう着想を持っておられるのでしょうか、これの具体化についてお伺いしておきたいと思います。
  90. 高橋末吉

    高橋(末)政府委員 鉄道の整備関係につきましては、現在におきましても、輸送需要の生じますところにつきましては、それぞれ具体的な整備の遂行に当たっておるわけでございますが、新産業都市指定が行なわれますならば、従来輸送の関係とその他の関係とのバランスが必ずしも時間的にうまくいっていない場合もあったわけでございますが、今後はこういう点が総合的に十分検討されまして指定に移されるわけでございますので、その中で陸上運送のうち鉄道が負担しなければならない、受け持たなければならないという部分等もはっきりいたして参りますので、それに対応する整備を促進いたさなければならないと考えております。
  91. 肥田次郎

    ○肥田委員 いわゆる一つの型にはまった現在の運輸省のものの考え方といいますか、そういうものではなしに、長官のお考え方として、今までのようなやり方も一つあるけれども、新しい輸送の方法として、あるいは鉄道敷設というものに対して、特にお考えを持っておられるか、こういう意味のことをお聞きさしたわけです。
  92. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新産業都市を作ります場合の一つの大きな重点というのは、私は輸送関係だと思います。港湾、鉄道、道路、陸上輸送関係、これが十分でなければ新産業都市効果を発揮できないということになる。先ほど千葉の工業地帯をごらんになったお話がございましたけれども、実は私もあすこに参りました。埋立地は非常にたくさんできておる、新しい工場ができておる。しかし、川鉄の前の道路は相変わらず昔のままの道路です。あれでは輸送効率は上がりませんから、いかに新しい合理的な機械ができて、工場内の生産性が労働者諸君の熱意によって上がり、コストが低下しても、一歩工場の外へ出まして原料を輸送する、製品を出すという方のコストが、自動車の運行率も悪い、汽車の運行率も悪い、あるいは海上輸送の効率も悪いということになって、そのためにコストが高くなるということでは、せっかく工場内が合理化され、あるいは労働者の方々の努力によって生産性が上がりましても、ほんとうのコスト・ダウンはできない。新産業都市を作る意味一つ欠けてくると思う。でありますから、そういう意味においてやはり輸送関係というものは十分な考慮を払って、最初からこれを考えていかなければならぬ問題だと思う。外国が新しい都市を作る場合には、まず道路を作り、舗装して、あるいはガス管を作り、火道を作る、そうして新都市ができる。日本の都市を新産業都市として指定してもそうは参りませんけれども、しかし、少なくともそういう面がまず先に十分取り行なわれていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えております。
  93. 肥田次郎

    ○肥田委員 今の長官の最後のくだりは、実は私らもそう考えております。道路を作り、住む家を作り、そして所要の条件というものを先に整えて、それからいわゆる生産設備にかかっていく。この形でなかったら、寄せ集めの工場を誘致して、思い思いのことをやらせながら、逐次輸送路も確保していき、人の面も確保していくというのでは、全く本末転倒の感があるのです。  これは当の運輸省ということだけでなくて、あとで具体的な問題について少し触れたいと思いますけれども、大臣、今、国鉄の予定路線として幾つくらいあるとお考えになっておるでしょうか。大臣が御承知ないならそれでよろしいのですけれども、私はむしろ政府が常識として考えるべきことじゃないかと思いますので伺うわけです。
  94. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 まことに相済みませんけれども、国鉄の予定路線が幾つあるかということは、私存じておりません。
  95. 肥田次郎

    ○肥田委員 実は先ほど私が申しましたように、皆さんのご参考にしていただくという意味で、私はちょっと触れておきたいと思います。  この鉄道敷設法というものができたのが大正十一年、こういうふうに載っております。いわゆる朕帝国議会の時代であります。このときから始まって、鉄道敷設予定路線というのが現在では大体百七十八路線あります。ですから、古いものは四十年以上たっておるわけです。昨年も九件、鉄道建設審議会で新らしい予定路線が決定をされました。そのうちには実に雄大なものもあります。たとえば宇野一高松間を鉄橋で渡すような計画、経費にしても実に膨大なものを要するものが次から次へと出されていくわけです。片一方には、もう墓場の底に骨になっておるような予定路線というものがある。こういうものをかかえながら、現実にこの新産業都市建設に対して、運輸省あるいは国鉄をして輸送にマッチさせようということになれば、私は大へんな努力が要るのじゃないかということを考えます。それから先ほどもいろいろと御質問がありましたように、私もその点は実は同感なんですが、この予定路線の一事を見ても、その本質は非常にはっきりしてくると思います。この予定路線というものが百七十八路線も今日なおそのままになっておる。これには御承知のように調査、建設というような段階がありますから、なかなか鉄道の日の目を見るということがない。いわゆる実らざるところの種をまいて、そしてこの種は芽が出るんだ、芽が出るんだ、こういうやり方を今までしてきておるわけです。私はこの計画の中には実に日本の四十数年間の政治的ないろいろな問題が悲喜こもごも現われておるように思います。おれの村に鉄道が敷けるようになったぞといって電報を打たれた方もあるでしょうし、そうすると村は村で、もうおれの村は鉄道が敷けるんだぞということで大騒ぎする、地価は上がってくる。そういうような幾多の問題がこの中に介在しながら今日なお実現をしない、こういう状態は今度の新産業都市建設にあたっても同じように出てくるのじゃないか。ですから、私はこの点をやはり同じような一つのスタイルとして心配しないわけにはいかないのです。ですから、これをほんとうに新産業都市として、合理的に日本の経済格差をなくして、そして国民の所得倍増と生活の向上ということをお考えになるのなら、この根本的な計画の中には地域が初めから指定されるべきじゃないか、こういう条件の中でここに新産業都市を作るんだ、この内容はこういうものだ、こういう具体的なことがやられなければ、私の地域も新産業都市指定して下さい、こういうことになってきたのでは、ただいたずらに地価が暴騰して、生業を持っておる者がその生業を忘れて、俗にいいますところの投機欲と射幸心をそそるだけの結果に終わるのじゃないか、こういうことをこの鉄道予定路線とにらみ合わせて考えないわけにはいかないわけです。ですから、そういう点について、この法案ほんとうにそれに対して正しい運営ができるというふうにお考えかどうか、もう一度お聞かせ願いたいと思います。
  96. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいま鉄道のお話を承りまして、御意見は私どももごもっともな点が多分にあると思います。従いまして、今日のような、ある意味において交通革命の時代が来ておるわけでございますので、従って、今後鉄道の持ちます意味合い、あるいは道路輸送の持ちます意味合い、あるいは航空機におきます輸送の分野というものは、おのずからその地方的に大局から考えられてこなければならぬ時代が来ておるのではないかと思います。従って、過去数十年来のいろいろな長い間の歴史もございますから、にわかに捨てがたい問題もございましょうけれども、しかし、鉄道を敷設するよりも、むしろ道路を作った方がいいという場合もございましょう。また鉄道そのものの利点もあることはむろんでございまして、重量貨物を運ぶという場合、これは鉄道でなければならぬ場合が多いのでございますから、そういうものをにらみ合わせて今後やって参らなければならぬ。新しい日本の国作りの中におきます輸送というものは、そういう観点から考えるべきじゃないかと思います。御指摘のように、むしろ新産業都市をあらかじめ予定してきめていくべきじゃないかということでございますが、この点は政府としても十分な準備と検討をいたした上できめていくことが必要でございます。新産業都市というものは、その指定されました新産業都市が、私どもの考えからいえば、いわゆる国土総合開発の拠点地域でございまして、その指定された都市だけが繁栄するというのではなくて、その都市中心にした経済圏が全体に繁栄をし、向上をしていくということでなければならぬのではないかと思うのであります。そういう意味において、この新産業都市というものの指定を考えていくべきじゃないかという一つの原則的な考え方を私ども持っております。ただし、しかしそれではそういう都市はどういう都市であるかということを言うことは、軽率に過ぎるのではなかろうか、こう存じておるのでございます。
  97. 肥田次郎

    ○肥田委員 もう一点お聞きしておきたいのは、先ほど申しましたように、鉄道を敷設しようという場合に、いわゆる予定路線としての決定をするということになると、なかなか実現が困難だということは、今百七十八路線というものが残っておることでおわかりになったと思うのです。そこで新産業都市にマッチするような輸送方法の中に鉄道が必要であるとするならば、そういう形式を踏んでおったのでは、なかなか実現性が乏しいのではないか、こういう点を再度大臣にお聞きしたいわけです。と申しますのは、たとえば千葉のような関係、国鉄からも出資をする、そして地域の資本も集めて鉄道を敷設しよう、これも一つの新しい着想だと思いますけれども、こういうものよりもっとほかに何かあるのではないかという気もいたします。ですから、これは別な問題ですけれども、要するにそういう新産業都市に対する鉄道輸送が必要な場合には、予定路線のように、鉄道建設審議会のような機関にかけてそういうものをお考えになられるのか、そうではなしに、何か別な新しい方法によって鉄道輸送というものを考えておられるのか、この点を再度お聞かせ願いたいと思います。
  98. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新産業都市を作ります場合の鉄道輸送が非常に重要であることは、これは申すまでもございませんし、ことに新産業都市の性格から申しまして、かなり大工業が集まるところでございますから、そういう意味から言いますと、陸上輸送ばかりでなく、海上輸送ばかりでなく、それを連絡する鉄道輸送が大事であることは申すまでもないのであります。その点に十分な力を入れて参らなければならぬと思います。ただ、形式としては、当然一応鉄道審議会の議を経て新線建設は行なわるべきである。鉄道審議会においても、ただ単に百何十件あるから、従ってこの審議はその百何十件の順のあとであるというようなことではないという、私は鉄道審議会の良識も期待しております。運輸省の皆さん方も、そういう意味で新産業都市の育成のための鉄道ということを考えられるのだと固く信じております。
  99. 肥田次郎

    ○肥田委員 ちょっと関連して再度お伺いしますが、たとえば京葉地域において、そういうふうに、国鉄側からも出資をする、民間からも出資をさす、こういう形のものはそれではどういうようにお考えですか。将来の鉄道新設の手段として、こういう手段はやはりそのときに必要なのであって、本来はやはり鉄建にかけてやるべきものなのだ、こういうお考え方なのですか。
  100. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 国鉄が出資し、それから民間資本が出て、何か共同の会社を作るというようなお話かと思いますが、そういう点については、運輸行政本来の姿を一つ検討してみませんと、今にわかに私からその点申し上げるわけにはいかぬと思いますが、民衆駅等の問題もございます、いろいろな問題もございますから、国鉄の将来の運営等については、いろいろな観点から検討する必要もあろうかと思いますけれども、私から今運輸大臣を差しおきましてそういうことを申し上げるのは、いささか僭越かと思います。
  101. 肥田次郎

    ○肥田委員 私の質問を終わります。
  102. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 引き続きまして、岡本隆一君。
  103. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 先ほどから藤山長官にはだいぶ長い質疑応答でお疲れでございましょうと思うので、しばらく頭を休めていただきまして、その間に、お隣に、同じように頭がまっ白で上品な社会党のシャドー・キャビネットの一員がおられますので、一つ井出さんに御質問をさせていただきます。その過程の中で藤山さんからまたいろいろお話を承りたいと思います。  井出さんから、産業雇用適正配置に関する法律案というのが提案されております。この提案の理由を読みましても、また法文の第一条を読みましても、大部市への産業及び人口過度集中防止ということ、さらにまた地域的な経済格差防止するということ、こういうふうな点においては、その目的とするところが、新産業都市建設促進法、政府提案のものと大体において同じであろうと思われるのでございますが、この目的とするところにおいて何らか違った点があるのかないのか、まずそれを承りたいと思います。
  104. 井手以誠

    井手議員 一つの問題は、人口産業過度集中抑制するという問題でありますが、私どもは、先刻も肥田さんにお答えしましたように、抑制ばかりでなくて、進んで過大都市の解消をはからねばならぬ、これが一つのねらいであります。いま一つは、政府案におきましても、新産業都市ということで地域格差をなくそうという構想もございますが、私どもは国土総合開発という大きなねらいと、さらに地方の町村の開発というきめのこまかい点も考えまして、大拠点開発、それに中拠点開発、小拠点開発といふううに三つに分類いたしまして、全国数カ所の新たな広域経済圏の中核となる開発拠点を設けようじゃないか、さらに各府県に、県によって違いますけれども、三ないし五の数カ町村の区域にわたる経済圏の開発中心とする中拠点の開発、さらに農産物資あるいは海産物の加工を中心とする町村の開発、いわゆる小拠点の開発、こう三つに分けまして積極的にやろうというところにねらいがあるのであります。そういう点が政府案と基本的に違うのじゃないかと考えております。なお詳しくは阪上君が起案しておりますので、お答えしたしたいと思います。
  105. 阪上安太郎

    ○阪上議員 もう少し詳しく問題の異なっておるところを申し上げたいと思います。  私はまず第一番に、政府の新産業都市とわが党の法案との相違点としては、地域開発に対する方法論におきまして、基本的な考え方の相違があるのではないか、こういうふうに考えております。  御承知のように、地域開発に関する類型は大体大別して二つあると思っております。その一つは、非常に広範な大地域における地域開発というのが一つあります。それから、比較的に、拠点々々を開発していこうとする開発の方式がある、こういうことであります。たとえばシベリアのコンビナート開発であるとか、南イタリアの南部の開発であるとか、こういうようなものにつきましては、これは拠点主義をとっておりません。ところが比較的高度に国民経済が発展しております国におきましては、また領土の非常に狭い国においては、どちらかというと拠点主義に開発を持っていこう、こういう考え方になっておるようでございます。私どもがとりましたこの産業雇用適正配置、これはその二つの類型からいいますと、後者の拠点主義にのっとっておる、こういうことであります。ところが政府の案は、考え方は先ほど拠点主義だとおっしゃっておりますけれども、これは一つの拠点、大拠点だけを取り上げておる、こういうことであります。この点において大きな差異があるのではなかろうか、こういうふうにわれわれは考えております。  二番目には、ただいまございました政府案におきましては、地域指定をながめてみましても、全くの大拠点だけで、わが党のように小拠点とか中拠点とかというものがございません。これは地域開発の方式としては非常に間違った方式じゃないか、こういうように考えられます。ことに先ほどから問題になっております国土総合開発法に基づく国土開発プランというものの構想をながめてみますと、政府みずから持っておるのは、私は拠点主義じゃないかと思っております。そして大拠点、中拠点、小拠点というものをこれらの計画は持っておる。ところが今出されておる新産業都市にはそれがなくて、ただ一つの大拠点だけを考えておる。ここに開発プランとの間に大きな差がある。われわれはむしろ営々としてやってきた企画庁の努力を十二分に取り入れまして、そうしてわれわれはこの法案を出しておる。ここに差異が一つある、こういうことであります。  それからいま一つは、政府案には全く雇用の安定に対するところの配慮がない。私どもは雇用の安定に対するところの大きな配慮をいたしておる、こういう点であります。今ごろになりまして地域開発をやります場合に、あるいは工業の立地条件を考える場合に、雇用の安定を考えないような地域開発というものは、地域間の格差是正にはならない、こういうふうな観点でございまして、この点で大きな差異があるのじゃなかろうか、かように考えております。  それから先ほど井出さんからお話がありましたように、私どもは地域指定の場合に、工業制限地域というものを新たに設置いたしております。ところが、政府案にはこれがございません。従って、目的大都市集中排除ということをうたいましたといたしましても、政府案ではその目的を達成することができない。私どもでは、このことによってその目的の若干を達成することができるであろう、こういうように考えております。これも一つの大きな相違点であろうと思います。  いま一つは、政府案では国の財政援助の規模がございません。しかし、しいて言うならば、地域指定を受けたところの、これは政府案ではどういうことになるかわかりませんが、その中に市町村がございますので、それらが工場誘致をいたしまして、減免措置をいたしました場合に、地方交付税でもって減収を補てんしていこう、こういう考え方に立っておるようであります。私どもは、このことは非常に地方自治を圧迫するところのものである、こういう考え方を持っております。従って、私どもはその方法をとらずに、あくまでも政府の補助ないしは元利償還を伴いますところの、負担をいたしますところの特別地債というようなことでもって思い切った援助をしていきたい、このような考え方を持っておるわけであります。政府案によりますると、交付税主義でもって、交付税でもってやっていこう。交付税は元来地方自治体の財源でございます。そういったものでもって、国の大きな施策を自治体の財源でもってやっていこうという考え方は、地方自治を非常に大きく圧迫をいたしますので、われわれとしてはこれをとらない。  まだまだございますけれども、大体大別しますと以上のような点が大きな相違を持っているというふうにわれわ・れは考えます。
  106. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ただいま説明を承りますと、一応この法律産業人口適正配置を考えていくという点においては、政府から出されましたところの新産業都市建設促進法とほとんど同じような趣旨のものである。ただしその積極性が少し異なるようである、こういうふうな点のように思われるのでございます。  それでは一つ今度は藤山長官にお尋ねいたしたいと思うのでございますが、この政府案の中に、先ほどからも御答弁の中にございましたが、とにかく工業立地の条件を備えてそこへ工場を誘致するのだ、そういうことの中でおのずから工場や人口の疎開が行なわれていくであろうというふうな消極的な期待に基づいてこの法律が作られておる。ところが東京の状況を見ますと、首都圏整備法ができまして、一応そういうふうな意味において首都圏に幾つかの衛星都市を作る。そうしてまたその衛星都市へ今度はいろいろな条件を作って工場を引き寄せていこう、疎開をはかろう、こういうふうな考え方で行なっておられますが、一向それがはかどらない。はかどらないばかりでなくて、ますます人口はふえていく。ある点首都圏整備法によってその周囲に多くの衛星都市が作られますと、その衛星都市を背後にして、一そうまた東京が繁栄していく、そのために人口がますます増加していく、こういうようなことになりはしないかということも私たちはおそれておるわけです。幾ら疎開をやかましくいっても、第一に事業自体においてやはり経費の問題もあるでございましょう。またいろいろな従来からの惰性も続いて、一向疎開というものがはかどっておりません。従って、何らかの積極的な施策を講じなければ、とても産業人口の疎開という大きな目的は達せられない、こういうふうに思うのでございますけれども、せっかくこのような新産業都市建設促進法というような大きな構想を持った法律案を出され、しかもその目的として産業人口適正配置ということをうたう法律案をお出しになりながら、もう一歩進めて、もう少し積極的な意図のもとにこの法律を作成できなかったのかということが、私どもやや残念に思われるのでございます。長官は、これでもってはたしてその目的が達せられるというふうに思っておられるのか、あるいはまたこれで不十分とするならば、それに対してどのような補助的な手段をおとりになろうとされるのか、その辺を承りたい思います。
  107. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この産業都市自体は、私は積極的な施策だと考えておるのでございまして、大都市過度集中、工場集中というようなものを、新しい立地条件を持った産業都市を作ることによって将来それを押えていく、そして新しい産業都市として積極的に発達さしていくというので、これはその面からいいまして、私は積極的な施策だと考えております。ただ、東京あるいは大阪といってもよろしゅうございますが、そこをどういうふうにして制限していくかという問題は、別個の法体系において処理すべき問題だ。たとえば首都圏整備におきましても、区内における工場の制限等につきましては、通産省等がお考えになっておるようなわけでございまして、そういうような面から、東京をどうしていくかということは別個の立法にゆだねるべきだ、こう考えております。
  108. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 新産業都市を作っていくという意味においては、なるほど積極性はあります。しかしながら、すでに過度集中してしまった過大都市というものと、それに伴ってきておるところのいろいろな悪条件をどう解消していくかということについては、この法律はきわめて消極的だ、こういうふうに言わなければならないと思う。そしてまた国民が文化的な、さらにまた衛生的な生活をするためには、もう過大都市の性格というものは、そういう基準からおよそかけ離れてしまっております。だから新しい都市を築くということも必要でございますけれども、しかしながらやはり過大都市の再開発といいますか、改造といいますか、こういうことも同時に進めていかなければならない。そういうことを一挙に進めることがよし困難であるにいたしましても、そういうことを進めるのには、産業人口適正配置ということをうたう限りにおいては、やはりある程度の積極性を持たせなければならぬ。それには今お話が出ましたところの工場の新増設に対する制限を当然行なわなければならない。ところが首都圏整備法におきまして、せっかく工場の制限が行なわれておりますけれども、これはきわめて寛大なもので、きわめて粗雑なものであります。だから、このような程度の制限をもってしては、ますます東京でも大阪でも——大阪にはまだ制限がございませんが、東京都でまだまだこれから工場はふえていく可能性、余地は残っておるわけです。一体最小規模の工場の建設が押えられているのは幾坪ですか。
  109. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この法律の中に現在の過大都市の制限まで加えて参りますと、新産業都市を作ります積極的な意欲が薄れて、何か現在ある東京なり何なりの過大化防止重点が置かれるような形になることは好ましいことではないと思うのでございます。過大都市集中ということは、これは大きな問題でございまして、御指摘のように単に経済的な活動の上の問題ばかりではなくて、社会生活の上にも問題がございます。従って、たとえば今日以上になって参りますれば、都市における空気の汚染と申しますか、そういうような問題も考えていかなければならぬ。そういうものをすべて新産業都市の立法の中にいろいろ織り込んでいくということよりも、これは別の法体系で厚生省等が考えられていくべき問題であって、この新産業都市というのは、やはり新しい産業都市を作っていく、そうして現在の過大都市のこれ以上の集中を排除していく、そうして過大都市自体の問題としては別個の法体系でやっていくべきだ、こういうように考えております。
  110. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 銀座の方に行きまして、川のそばに行きますと、夏ですともうむっとする悪臭で、川のそばにいることにたえられないほどの臭気がた、だよっております。ああいうような状態を厚生省がどう解決しようとしても、これは東京都市改造をやらなければ解決しない。だから、その方向へ国としても当然進んでいただかなければならぬ。ところが、東京都における化学工場からは、どんどん廃液を流していくというようなこと、そこに屎尿処理もまじっているでありましょうが、とにかく東京都の再開発をしなければならない状態というものは、単に厚生省だけの問題では解決しません。だから、勢い新増設はうんと強い規制をやって、また工場が伸びようと思ったら、事業自体が伸びようと思ったら、疎開していかなければ伸びられない、こういう条件を作らなければだめだと思う。ところがそういう意図のもとに工場の制限というところの法律が出されておりながら、五百坪までは認められている。さらにまたこの法律ができたのが三十四年でございましたが、その当時からすでにあったところの工場というものは、それから後は敷地さえあれば、その敷地の中には無制限に工場を大きくしていける、こういうことになっておって、これは全く何のためにこの法律ができているのかわからない。十分に目的は達せられない。これは売春防止法と似たような法律だ、こういうようなことが言われているわけであります。だから、企画庁の方では、この法律をどういうふうにしたいというふうにお考えになっていらっしゃいますか。この法律はこのままでいいのか、あるいはまたこれは何とかもっと規制を強化しなければならない、こういうようにお考えになっていらっしゃいますか、大臣のお考えを承りたいと思います。
  111. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 企画庁として日本の経済の進路を考え、総合的な国土開発を考えております立場から申しますと、今日のような、たとえば東京過大化ということは、経済の活動におきましても、もはや限界が来ているのではないか、まして社会全般の生活の上に及ぼす影響も相当大きいのではないか、でありますから、この点は政府としても考えて参らなければならぬわけであります。民間がすでにたとえば第一生命は本社を神奈川県の足柄郡に移すというような計画があるが、むしろその方がいいんじゃないか。あるいは有楽町に集まっておる新聞社の方々は、あそこに集まっておったのでは夕刊の発送がおくれるから、むしろ新宿であるとかあるいは池袋であるとかに本社を移す方が、取材の関係からいってもテレ・タイプその他が使われるので、夕刊を上野まで送るというのは、あのまん中では困るというふうなことをみな実は考えてこられておるんで、たとえば豆電球の業者が集団的に秋田に移動しようじゃないかというふうに、民間でも、すでに今日以後の経済活動というものがこう過大都市化してくると非常に困難になるという事情を了解しておられるわけなんです。ですから、政府としても、そういう面から見まして、過大化の防止というような問題についてはやはり相当真剣に考えて参りますことが、今後の政治の上で必要だと思うのでございます。各省それぞれ御担当の部面においてその施策を考えておられるように考えておりますけれども、われわれ全体の経済の運営をはかるものの立場からいたしますれば、さらに各省に対してそういう意味の要望を申し上げて一つ御協力を願いたい、こう思っております。
  112. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 なるほど一部にはそういうことを考えている企業もございます。たとえていえば洋服屋さんか何かが埼玉県かどこかへ移転するというようなお話も先日新聞で見ましたが、そういうふうに自主的に疎開していくという人たちも一部あるのです。しかしながら、自然にまかしておいたのでは、とてもこの問題は早急に解決することはできない。かりにただいまお話しの新聞社が有楽町かいわいから新宿へ一部疎開されましても、それはやはり東京都内の問題です。疎開されたあとへはまた何か別のオフィスができるに違いない。だから、そういうことになりますと、必ずしも期待するような効果は上げ得ないと思う。一体この工場の規制の問題は、このままでいいとお考えでございましょうか、あるいはこれは何とかしなければならないのだというふうにお考えでございましょうか、通産省の御意見を承りたい。
  113. 馬場一也

    馬場説明員 いわゆる東京とか大阪とか既成の大工業地帯では、ただいまお話のございましたように、いろいろな交通問題その他社会条件そのものの隘路が非常に目立っております。ほかに工場の立地条件自体といたしましても、たとえば用水の問題、あるいは地盤沈下の問題、あるいは工場用地そのものが非常に少なくなって高いというようなことで、これから新しく大規模な工場を建てますのにつきましての立地条件というものが、ごらんのように非常に悪くなっております。しかしながら、こういう地域にはすでにたくさんの工場がございまして、この既存の工場自身がある程度その場で増産をしていく、能率化をしていくという活動は当然あるわけでございます。それに対する必要な補完投資と申しますか、最小限既存の工場が順当に生産を伸ばしていくということは、いずれにしても必要かと思いますが、これ以上に積極的に新しい大きな工場をこの場所にたくさん入れていくということは、もう物理的にもある限界にきておりますし、むしろこれからは、この法案で問題になっておりますような新産業都市の新しい工業地域というものを積極的に伸ばしまして、そちらの方にこれから伸びる生産の大部分を付加してもらうということが最も必要かと存じておるわけでございます。
  114. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 現在の既成の工場は、やはりある程度伸びる余地を認めてやらなければならない、だから現在のままの法律よりやむを得ない、こういうふうな御意向のようでございますけれどもそういうことですと、かりに、工場の敷地の中で今まで平屋だったものをどんどん立体化して、それでもってその工場の延坪数をふやしていくというふうなことも可能でございます。そういうことになりますと、やはりその工場は、疎開していくよりも、むしろその残っている敷地にもっと建て増しをする、あるいは平屋で使っていたものを立体化して、よりその規模を大きくしていくというふうな形でもって−東京というものは、これは産業人口過度集中というものを排除するどころか、まだまだこれからいろいろな文明の利器を利用し、さらにまた法の盲点を縫うて、ますますその企業としては国としてやらなければならない大きな方針と逆のコースをとっていくということが懸念されるわけでございます。だから、当然通産省も、従来の単純な業者の保護というような甘い考え方よりも、もっと大局的な見地に立って、日本の国の産業全体をどう育てていくか、もっと健全な雰囲気の中で健全に伸びていけるような指導方針をお出しになるべきである、また現在の日本の大都市の過密状態はもうそういう時点にまできておると思うのでございますけれども、あなた方のお考えというものはどうも惰性に押され過ぎるのではないか。その一番の適例が地盤沈下の問題であると思います。地盤沈下の問題に関して、今度ビル用水の規制の法律が出ようとしております。ところが、あんなものではだめじゃないか、工業用水も規制しなければだめじゃないかというふうな声が出ましても、通産省は頑として工業用水の汲み上げ規制には踏み切ろうとなさらない。何か今話し合いの模様でございますけれども、それがどの程度まで話し合いがついているのか。それとも、もう工場自体が沈んでいく、産業自体が、地盤沈下によって、もしこのまま放置するならば滅んでいくのだという観点になれば、ここまできたところの地盤沈下問題に終止符を打つべきだ。また工業用水の汲み上げも規制すべきだ。通産省としてもこういうようなところまで踏み切って、ビル用水の規制と同時に工業用水の汲み上げ規制もやるという方針をおきめになったのか、その辺のところを一つあわせて承っておきたいと思います。
  115. 馬場一也

    馬場説明員 私先ほどお答え申し上げましたのがあるいは言葉が不十分であったかと思いますが、既成の工業地帯立地条件が非常に悪くなっておりますので、これから新しく工場を建設していくという余地はおいおい少なくなりますし、あるいはもう物理的限界にきている状況にまで近いんじゃないかということであります。しかし、一方、ここには従来から立地をしておりました既存の企業が、狭いながらにその場所でいろいろ生産を能率化し、生産を伸ばしていくという余地も残っておるわけでございます。その面に必要な限りの補完投資というのはやはり最小限において必要であろう。しかし、これ以上は積極的にこの場所で大規模な増設とか新設とかいうことをやるために、非常に非能率な大きな投資をいたしまして、これを積極的に推進する必要は毛頭ないかと存ずるわけでございます。それから、ただいまの用水の汲み上げによります地盤沈下という問題は、これはもちろん工業の立地条件そのものを悪くする問題でございます。さらにもっと広く考えれば、その地域全体の社会条件を悪くする問題でございますので、これは、その必要に応じまして、たとえばビルの地下用水の汲み上げというものにバランスして、工業用水の汲み上げということにもし不十分な点がございましたならば、これを十分検討いたしまして、必要な限度にこの用水の汲み上げを規制すべきものであるというふうに考えるわけでございます。
  116. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ビルの規制にバランスしてという意味一つ御説明願いたいと思います。
  117. 馬場一也

    馬場説明員 御承知のように、大都市の地盤沈下のおそれの多い地域に対しましては、現在地域指定いたしまして、いわゆる工場の工業用水を地下水でくみ上げることにつきましては、現に工業用水法という法律によって一定の規制が行なわれておるわけでございます。一方ビルの地下水くみ上げにつきましては、ただいままでのところそういう法規制がなかったわけでございますが、最近地盤沈下の問題ということに関連をいたしまして、このビルの地下水くみ上げの規制につきましても、いろいろ検討が進められておるように私どもは伺っておるわけでございます。工業用水のそれと相関連いたしまして、工業用水のくみ上げにつきましても、これと十分均衡を保ち、不公平のないように、工業用水の従来やっておりました規制の方向を再検討すべきであるということを申し上げたわけでございます。
  118. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 建設省お尋ねしますが、ビル用水の規制の吐出口は幾らあるのでしょうか。それから、通産省お尋ねしますが、工業用水のくみ上げの吐出口の規制は何インチでしょうか。一つ両方並べて承りたい。
  119. 關盛吉雄

    ○關盛政府委員 ただいまのお尋ねは、住宅局で所管をいたしておりますので、私からお答え申し上げかねるのでございますが、御了承願いたいと思います。
  120. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 今、資料を私も持っておりませんので、数字を忘れましたが、ビル用水を今度規制しようとしている吐出口の口径と、それから従来から規制されておる工業用水とは数倍の開きがある。非常に大規模なものまで工業用水では認められておる。今度はビル用水規制が小さなところまで規制を強くしよう、こういうふうにしておるのです。ところが、幾らビル用水を規制いたしましても、現実に東京都でも大阪でも、工業用水としてくみ上げる地下水というものは、くみ上げ地下水の六、七〇%を占めている。いわば地下水のくみ上げのほとんどは工業用水だ。だから、大阪などでも、すでにもうその工業を経営しているところの経営者自体が、みずからの自滅行為だから、規制をされてもやむを得ない、こういうようなことを言っておる状態なんです。にもかかわらず、通産省の方ではなぜか工業用水の規制というものに踏み切られないのは、私たちにはふに落ちないのです。業者みずからがあきらめて観念しているのです。このままくみ上げたら自分たちの事業の基盤が沈んでいく、しかもそれは大都市そのものを沈めていくのですから、これは社会的な問題です。だから、企業自体がもうやむを得ないというふうに観念しておるのに、通産省の方で頑としてそれに抵抗しておられるというふうに、われわれには見受けられるのでございますけれども、それはいかなる理由に基づくものですか。その辺のところを御説明を願いたいと思います。
  121. 馬場一也

    馬場説明員 工場が、それらの地域におきまして、必要な工業用水を地下水で従来まかなっておったわけであります。この地下水のくみ上げを全面的に禁止をするというようなことは、現にそこで生産を続けております工場の生産を全然現在以下にしてしまう、あるいはほとんど生産ができなくしてしまうというようなことにつきましては、いろいろ問題が多いかと思います。しかしながら、そういう立地条件というのは、全体のものでございますので、やはりその地域の地盤の沈下の状況に応じまして、従前ある一定の規制を行なっておりますが、さらにかりにこれで不十分であるという場合に、その規制を全体の立地条件とにらみ合わせまして、これを再検討を加えるということにつきましては通産省は十分考えておるつもりでございます。
  122. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この問題はきょうの本筋とは少しはずれておりますから、私はこの程度にしておきたいと思います。しかしながら、工場の新増設の規制というものがあまりに甘過ぎる。日本は五、六百坪まで認めておるが、ロンドン、パリではすでに百数十坪くらいの程度までより認めておらないというような点も、あなた方はあわせお考えになって、国としてこう進むべきだ、こういうふうに指導すべきだ。国民を指導し産業を指導していくというのが政府の立場だ。もっと大局的な観点に立って再検討を加えていただくということを特に要望いたしておきたいと思います。  そこで、本題に返っていきたいと思いますが、この産業雇用適正配置に関する法律案では、大中小の拠点を作っていく、そしてそれによって産業適正配置をやるというふうなお考えの模様でございます。それでは大拠点地区というのはいかなる構想を持ったものであり、中拠点地区というのはどの程度の規模、どの程度産業意味するか。たとえば大拠点地区というのは、港湾あるいはその他を伴ったところの、コンビナートなんかを誘致するような地帯である、こういうふうに思われますが、そういうふうなものとして構想しておられるか。中拠点地区というのはどの程度か。藤山さんの構想によりますと、この拠点地区となるべきところは、どうも臨海地帯に主眼が置かれているというふうに思われますが、そうしますと内陸地帯は一体どうなるか。内陸地帯にある程度工場を吸収し得るような地点、たとえていえば信州、長野付近であるとか、あるいはまた滋賀県であるとか、やはり内陸地帯にも立地条件から見てある程度産業を吸収し得るような地域は相当あると思う。そういう点が政府案ではどう取り扱われているか。まず井出さんから先に……。
  123. 阪上安太郎

    ○阪上議員 お答えいたします。われわれの考えております法律案では、大拠点は、御指摘のありましたように、やはり臨海工業地帯というものを考えに持っております。しかし、それは既成の四大工業地帯以外の地域、こういう考え方をいたしております。主としてこれは重要産業、基幹産業を主体とする地域開発に持っていきたいと思います。なお、人口段階等につきまして、よく百万とか百五十万とかいっておりますが、そういうものは人口段階としてはわれわれは考えておりません。先ほどもお話がありましたように、広域経済圏として考えております。従って、政府案にありますような合併を前提条件とするようなものの考え方はいたしておらない、こういうことであります。それから、中拠点につきましては、これは主として内陸でございまして、数カ市町村を経済圏とする地域であります。大体おおむね一都道府県に、二、三カ所というような考え方になっております。小拠点につきましては、これは主として農村等を中心とした経済圏であります。従いまして、そこに持って参ります工業立地、産業立地は主として第一次産業に付随するところの加工業、こういったものを中心として開発していきたい。こういうような方式をとりました理由は、先ほどもちょっと問題がありましたが、大都市への集中を排除するために、抜本的には新都市を建設しなければなりませんけれども、これはきわめて高価なものにつきます。その集中排除には人口十万、二十万の都市を作るということになると、莫大なものになる。従って拠点々々を開発していく、大都市の周辺、内陸方面、それを再開発していくことによって大都市集中排除もあわせてやっていく、従って大都市からはできる限り遠距離をやりたい、こういう考え方であります。
  124. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいま日本の地域開発子、のものの現状を見ておりますと、一番大事な点が二つあると思います。一つは先ほど来御指摘の大都市における集中排除でございます。これにかわるべき拠点地域を作って、それを中心にして一つ経済的な発展をはかっていくという、いわゆる経済圏的な発展をしていかなければならない。これが必要な第一の場面だと思います。もう一つは、地方におきます低開発地域開発をどうしても促進して参らなければならなぬのでございまして、これが地域格差あるいは国民生活において収入を地方的に上げていく必要があろうと思います。従って、政府といたしましては、低開発地域における開発方針をすでに御決定をいただきました法律に従って進めていく。この二つが当面の非常に重要な問題だと私は思います。従って、その中間にありますいわゆる中都市、現在すでに自立はいたしておって、将来の規模として発展はしていきますけれども、しかし今すぐ政府が手を貸すという場合には、や、はり低開発地域の方に手を貸していくべきじゃないか。そして拠点と今の自立をしていきつつある都市との間を結ぶ、またその自立しつつある地方都市と低開発地域としてのいわゆる小さい町村、そういう方面の開発を、工業促進をやっていく、その工業促進の内容は、ただいま社会党の方が言われましたように、あるいは地方における農産加工物を中心にしたものもございましょうし、あるいは、先ほど来申し上げておりますように、たとえば天然ガスが出るから東京の豆電球の業者が秋田に行こうというふうな、そういうものが低開発地域に移っていくことができるわけであります。その二つの点が非常に重要でございますから、さしあたり政府としてはそれに力を入れてやっていく、こういうことでこの法案ができておるわけでございますし、低開発地域の工業促進法ができておるわけでございます。
  125. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それでは藤山さんにお尋ねいたしますが、この第二条にいうところの区域の指定の広さというものは、われわれはどういうふうに理解をすればいいのでしょうか。たとえば今のお話を承りますと、社会党の言うところの大中小に区分された三つですね。従って、これは全国に大拠点があり、そしてまたそれとかなり離れたところに、その条件に応じて中拠点、小拠点というものを全国的に散布させるというふうな構想のように聞こえます。それから、藤山さんの話を承りますと、政府案というものはある程度の大拠点主義でいこう、そうすると、その後背地域というものがまたおのずから自然発生的に繁栄し、そこに産業が分布していくであろう、こういうふうな構想のように承れるのでありますが、そのような理解でいいのでございましょうか。
  126. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 拠点構想と申しましても、そのこと自体は、人口を何十万、何百万にするとか、あるいは工業規模をこうするとかいうことだけにとらわれておるわけではむろんございません。今の海陸輸送の便益、その他労働需給の関係、あるいは地方開発の拠点となるべき状況にあるかないかというようなことがむろん問題になるわけでございまして、そういう点に力を入れまして新産業都市ができて参りますと、おのずからその経済圏と申しますか、必ずしも行政区画とは一致しておらないと思いますけれども、その経済圏全体の力が加わってくるというようなことになってくるわけでございまして、それが一つのねらいだ、そしてそれ以外の、今まだ非常に低開発であって、そして経済的にも困っておられる地方に対しては、低開発地域工業促進法で補っていく、将来余裕がありますれば、そういう中都市の設備その他についても考えていく必要がございましょうけれども、さしあたり二つの問題が非常に大きな問題でございますから、政府としては特に力を入れていく、こういうことでございます。
  127. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうしますと、どういうふうに承りましても、やはり大拠点——将来相当大きく産業が伸びるのであろうというふうな条件を備えたところに、いろいろな先行投資をやって、そこへ民間投資が集まってくるのを待つ、そうすると今度はこの大きな拠点を中心に後背地域が発展して、大きな経済圏というものが、全体が発展していくのではないか、こういうふうな構想に承れるのでございますが、そういたしますと、自治省にお伺いいたしますが、地方制度調査会で新産業都市建設促進法の構想を承ったときには、全国的に百万都市、それから五十万程度、三十万というふうな三段階のなにを散布させて、その地域の発展をはかっていくのだ、こういうふうな構想のように承ったのでございますが、その後政府の方針というものは変更になったのでしょうか。あのときの御説明と今の藤山さんの御説明とはかなり異なった考え方の上に立つように承れるのでございますが、その辺を承りたい。
  128. 山本明

    ○山本説明員 自治省が当初構想いたしておりましたいわゆる基幹都市という構想の中におきましては、ただいま先生のおっしゃいましたような構想が非常に強く入れてあったのでございます。政府におきまして、いわゆる新産業都市というものを各省意見調整の上に出して参りました現段階におきましては、やはりいわゆる拠点主義でございますから、大中小それぞれあるだろうと思います。当面新産業都市の対象にいたしまして、この所得倍増計画に合わせまして考えていこうという時期におきましては、国の公共投資の額の問題もございましょう。従って、重点的、集中的にそういう都市を建設していくのだ、このようにわれわれは了解をしておる次第でございます。
  129. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 あとに質問者が残っているようですから、それでは簡単にもう少し聞かしていただきたいと思います。  大体わかって参りました。そうすると、産業雇用適正配置に関する法律案は、大体全国的に開発拠点をばらまきたいというふうな考え方であり、それからまたこの新産業都市建設促進法案いうのは、いわゆる大拠点主義であるということがわかって参りました。  もう一つお伺いいたしたいのは、私参らなかったのでございますけれども、先日の地方制度調査会に出席した方の話を聞きますと、岡山の開発が議題として取り上げられておった。何かすでに岡山がこの新産業都市建設一つの候補地として、政府ではもう決定しておられるかの印象を受けたというふうなことでございますが、そういうふうなことであの日の会議が行なわれたのですか、それとも、いかなる理由で岡山というものが地方制度調査会で大きく問題として取り上げられたのか、その辺を承りたいと思います。
  130. 山本明

    ○山本説明員 地方制度調査会で現在当面の問題として検討いたしておりますことは、この新産業都市を建設する場合の事業につきまして、国と地方責任を明確にいたしたい、こういう考え方が第一点にあるわけでございます。そこで、審議会の委員さんたちとしては、現実に具体的などういう事業があるのかというような問題について検討したいという話がございました。そこで、私の方でいろいろな調査をしておりますけれども、私がたまたま行きましたところが岡山の水島でございましたから、私が現地を見ておりますから、お話をします際に何かと便利であろう、こういう意味合いで先般御説明いたしましたところが、さらに具体的に問題を突っ込んで聞きたいということでございましたから、岡山県の方から係の者に来てもらいまして、一緒に御説明したという経緯でございます。従って、これが直ちに新産業都市の対象に考えておるという意味ではありませんで、事業の具体例を聞きたい、こういう問題から一例として御推薦申し上げて御検討願った、このように御了解を願いたいと思います。
  131. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 産業人口の適性配置をやっていくのは、やはり国の責任  において、国が自主的な立場に立って行なわなければならないのです。やはり主導権は国が持たなければならない、こういうふうに私は思うのです。ところが、この新産業都市建設促進法案では、もちろんそういうふうな国がみずから積極的に乗り出すこともできるというふうななにはございますが、しかしながら、大体の基本方針としては、都道府県の知事の申請を待つ、こういうことになっておりますが、そういうふうなことでは、私は国が責任ある配置体系はとれないと思うのです。そこで、何か国としても、もちろん都道府県がいやがるものを押しつけるというような気持はないでしょうけれども、一定の考え方、日本の国土全体から総合的に見て、どういうふうな開発をやっていくのが一番いいか、これは国土総合開発法律から、あなたの方もそういうことは企画庁において十分計画はされておると思うのです。だから、企画庁においてされた基本的な方針に基づいて、この促進法ができ、またこの促進法を実施する場合にも、実施段階においては、そういうふうな計画というものは、すでに持っておられなければ私はうそだと思うのでございますが、そういうふうな腹案を今お出し願いたいというのではございません。しかしながら、腹案をお持ちになっての上のこの法律案の提案なのか、あるいはそういう点についてはまだ白紙でおられるのか、その辺のところを承りたいと思います。
  132. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新産業都市を作ります場合に、地方の協力と地方の意欲の盛り上がりがなければ、かりに政府が一つ地域指定いたしましても、十分に目的が達成されないことはおわかりいただけると思うのであります。従いまして、各地方からのそういう意欲による申請も受けることが私は必要だと思います。しかし、国土総合開発の見地から拠点的な問題としてこれを扱って参ります以上、企画庁自身もある一定の考え方を持つこともまた必要でございますし、また審議会等にかけます場合に、これは議決を願うわけでございますから、その場合に、地方申請に対して、企画庁としてどういう考え方であるかということを、その際に明確に申し上げなければならないのでございますから、そういう点については万遺憾なく準備をいたして参りたい、こう存じております。
  133. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 地点がどこになるかよくわかりませんが、しかしながら、国土の均等な開発、また国内に均等に産業を配分するというふうな構想から参りますならば、たとえていえば、北海道、東北、あるいは東海、近畿というふうな、ある程度経済ブロックと言うと語弊があるかもしれませんが、先ほどのお言葉の経済圏でございますね。この経済圏というものを構想に置いておられるのではないか。その経済圏を構想に置き、その中におけるところの拠点というものをどこにするかということが問題になってくるのではないかと思うのでございます。この経済圏ぐらいは、およそどのような経済圏でというふうなことは当然考えておられると思うのでございますが、そういう構想をお示し願いたいと思います。
  134. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知のように、国土開発計画というものがございますと同時に、衆議院で御立法なさいました特別地域開発の立法もございます。従いまして、それらのものもにらみ合わせて参りますことは、当然やって参らなければならぬことでございます。ただ、たとえば先ほど申しましたように、今の行政区画だけで考えられるか、あるいは今のような東北、関東とか、あるいは東北、北陸とかいうようなものの境が必ずしも明確に決定できない場合もあろうかと思うのでございまして、そういう点は十分な考慮をして参らなければならぬのじゃないか、こう思います。
  135. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ただ私がこの法案でおそれることは、この法案が通りますとその指定を受けるためのものすごい陳情合戦があり、地方が非常にむだな努力をやるのではないか、そうしてこの中でまたいろいろ不明朗なことが行なわれるのではないか、こういうようなことをおそれますので、こういうことを承るのでございますけれども、大体政府の構想が明らかになって参りますと、大体どこにおのずから落ちつくであろうということが、すべての人にわかるようになって参ると思います。  そこで、次に井出さんにお伺いしたいのでございますが、このあなたの方の第二十三条に、電気料金の特別措置ということがうたわれておりますが、これは、営利会社であるところの電力会社に対して、電気を低廉に供給せしめるというふうなことを要求してらおれる模様でございますが、これはいかなるお考えに基づくものでありますか。はたして電力会社がそれに応ずるか応じないかという問題があろうと思います、その次には、またどの程度の減額を考えておられるか、また減額せしめた場合に電力会社に何らの補償をなさるおつもりなのか、そういう点を承りたいと思います。
  136. 井手以誠

    井手議員 工場誘致という場合に、きめ手にもなろうと思われるのは電気料金でございまして、御承知の通り、電気料金の高低が生産コストに非常に影響が大きい。企業家にとっては非常に関心が深いものでございますから、何としても工場誘致の実現をはかろうとするには、電気料金が安いというところに魅力を与えなくてはならぬと思います。例をとりますと、現在低開発地域といわれる九州は、先般の料金引き上げによって全国一高いのでありますから、こういうところにいかに国が努力をいたしましても、指導をいたしましても、工場が分散するあるいは誘致できるというわけにはいかないのでありますから、何とかして電気料金を安く供給しなくてはならぬと考えて、二十三条に一条を設けたわけであります。  それではどうするかということになりますが、それはやはり全国平均を上回らない、できるならばそれよりも下回る料金で供給をしたい。しかし、簡単に営利会社が引き下げを行なうものではございませんから、もちろん補償ということを考えなくてはなりません。その補償が現在の法規でできるかどうかは相当研究を要する問題であります。しかし、政策料金ということでこれは認可制度でもございますから、その面でもできるかと思いますが、必要があれば別に法律をもって定めたいと考えております。その際引き下げられたものについては国が補償をする。しかし、欠損になったから直ちにその分だけ申請に基づいて補償するという甘い行き方ではいけませんので、理由の面についてもやはり国が監督をしていくということが必要であろうと思うのでありまして、やはり今までの幾つかの体系を考えて参りますと、電気料金を引き下げていくことが非常に大事であるということを考えまして、ここに一項を加えたことを特に申し添えておく次第であります。
  137. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この地域開発の構想というものは、一応公共的な先行投資をやり、工場のいろいろな立地条件を作って、そこへ民間資本を集める。そうしますと、相当な先行投資というものを行なって、それから相当長期間工場が集まるのを待つというふうな仕事になってくると思うのでございますが、大体どの程度の規模の先行投資を政府としてはお見込みになっていらっしゃるのか。たとえば道路は十カ年計画でもって何兆何千億、あるいはまた治山治水には何千億というふうな一応の計画が政府としてございますが、これだけの産業適正配置ということをお考えになる限りにおいて、これは非常な先行投資というものが必要でございます。従って、そのような先行投資の必要な計画を発表されるについては、そういうような財政的な裏づけの構想というものもまたあろうかと思うのでございますが、どういうふうな規模のものを構想としてお持ちでありましょうか。
  138. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 まだ御承知のように新産業都市としての指定を決定いたしておりませんので、ただ計算をいたすことはいかがかと思います。むろん新産業都市が決定いたしますと、従来のたとえば道路計画、それに対してどの程度のその新都産業市との連絡、あるいは新産業都市ができるために、その道路の幅員を広げるとか、そういういろいろな問題は、新産業都市が決定しまして、その決定されました位置によっておのずからきまってくることでございまして、そういうものがきまって参りますれば、従来の道路計画あるいは港湾計画に対して、どの程度のプラスをして先行投資をしていくかというような問題が、その際に大体の目安がきまっていくことになろうと思います。
  139. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 なるほど雲をつかむような話だ、こういうふうなことでございますが、お互いにそれは雲をつかむような話だということはわかっておるのです。だから、今正確な数字としてそんなものを提出してもらいたい、こう思って申し上げておるのではございません。しかしながら、大体一つの拠点都市を作るために、その間を結ぶ連絡の道路であるとかいうふうなものは、また国土縦貫自動車道路の建設とかいろいろななにもあることでございますし、これは除外いたしましても、間接の投資でなしに、その地域に対する直接の投資、たとえていえば工業用水道を作るのにはどれくらいかかるとか、あるいは工業用水を含めた上下水道のなにはどうなるとか、あるいはその地域だけの道路、港湾について今後どうなるかというような、一つ開発拠点を作るのにはおよそ何千億くらいかかるのではないかというふうなことくいらいは、ある程度持っておられるのではないか。しかもそれを幾つくらい作れば——規模はどの程度に置かれるかは別として、大中小幾つかを持てばおよそどれくらいになるのではないだろうか、これくらいのことは目の子算でそういう二とを置いてみて、しかも日本の現在の財政状況から進めて何地点作れるのか、そういうようなことくらいはおよそ試算してみるのでなければ、言ってきたものの中のいいところだけ何ぼでも作るのだということになれば、予算はべらぼうなことになるのであります。あるいは予算とにらみ合わせてやってみていくのだということになれば、一拠点作るのには平均どれくらいかかる、そしてまた財政規模はどのくらい先行投資にあれを見込んでおるのだということになれば、何拠点作れるのかということもわれわれ理解できるのです。こういうものを示していただかないと、ただ法案だけ出していただくと、国民は非常に大きな疑義を持ちます。おれのところもやってもらえるのではないか、おれのところもやってもらえるのではないかというので、ものすごい競争が出てくると思うのであります。だから、政府としては、およそ十年間に何千億投資をする、あるいはまた一拠点に対して平均どれくらいの投資を考えておる、こういうふうな考え方をお示し願いますと、新産業都市建設促進法の大体の構想がわれわれにわかって参りますが、それを一つ御説明願いたい。
  140. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 大体の構想といいましても非常にむずかしい点がございますので、むろんお話しのように指定されました新産業都市の条件によりまして、その地方にすでに国道改修工事が行なわれる、あるいはいわゆる高速道路がすでに計画されておるその近くであるとかいうような状況の際もございます。また、港湾等につきましても、ある程度既設の港湾を整備しているところが指定されるのか、あるいは先ほど申しましたように、今の科学技術からいえば、港湾の設備は浚渫等によってできる場合もございます。そういうことでございますから、先行投資を今幾らに計算するかというようなことは非常にむずかしい問題であって、ただ単にここで一都市当たり一千億要るのだとかなんとかいうふうな簡単なことを申し上げるものであれば、それは簡単でございますけれども、そういうことを申し上げてもむしろ御参考にならないのではないか。われわれは財政需要とあわせて考えて参らなければならぬことはむろんでございます。従いまして初めからそう多くの都市指定しょうとは考えておりません。しかし、指定された都市については十分力を入れて、そして育っていきますように持っていかなければならぬ。また指定そのものが全国全部を一斉に同一期目に指定する必要も必ずしもないのではないか、私はこう思っております。ただ国民の皆様に十分了解していただきたいことは、今まで申し上げたような線に沿って、地方の方々にどこにでもたくさんできていくんだ、何十とできていくんだということでないことだけは、十分な御理解を得ておきたい、こう思っておるわけであります。
  141. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 これは、最初私どもが新産業都市法案地方制度調査会で承りましたときには、大中小、いろいろな規模のものをあちこちに散布するという構想のような、そう数多いとは思いませんでした。しかしながら、少なくも二十、三十程度はできるんじゃないか、こういう印象を受けるような説明を受けて参りました。また、そういうふうな考え方が相当流れておると思うのです。ところが、ただいま長官から承りますと、もうこれは全国数拠点というふうなことより可能性はない、こういうふうに思われます。また、その指定を受けた地域の周辺というのが、自然発生的にその後背地として伸びていくであろう、こういうふうな御構想のようでございますか、これは相当そういうふうな政府の構想というものをはっきりさしていただいておかないと、各地方都市というものは、やはりどこの都市も、いかに自分の立地条件というものが貧弱なものであろうとも、伸びたいという意欲においては同じであります。だから、伸びる可能性があるかもしれぬ、おれのところも何とかなるかもしれないという、ふうなところは、夢を抱き、そしてまた非常な陳情合戦というふうなことになり、いろいろおもしろからぬことも出てくると私は思いますので、その点、政府の方も指導を誤らないようにしていただきたいと思うのです。いろいろお尋ねいたしたいこともございますが、長官もお急ぎのようでございますし、時間もございませんので、きょうはこの程度にしていただきます。
  142. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 玉置一徳君。
  143. 玉置一徳

    ○玉置委員 この法案は、手続の問題を主にしまして、いろいろな質疑を聞いておりましても、めくらが象をなでておるようなもので、一体どういうようなものであるかということが非常にわかりにくいと思うのです。長官が——委員長、私は経企長官だけに承ろうと思っております。ほかの方には承る必要はありません。長官はどうしたのですか。
  144. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ちょっと速記を待って下さい。   〔速記中止〕
  145. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 速記を始めて。  玉置君。
  146. 玉置一徳

    ○玉置委員 質問者が出ておって、委員長の許可なしに大臣が勝手に席を立ってしまうということは、まことにけしからぬと思いますが、委員長、どうお考えになりますか。
  147. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 十分注意いたします。
  148. 玉置一徳

    ○玉置委員 議事に協力いたします意味で、長官にだけ四、五点お伺いしたい、こう思います。  先ほども申しかけました通り、この法案は、手続その他を主にいたしまして、内容が実にはっきりいたしません。各委員に対する御答弁にも、地方長官からの申請があり、審議会できめてからでないと、いろいろなことが具体的に言えない。まことにごもっともとは思いますが、われわれがこれだけの重要な法案を審議するのには、非常にしにくいのです。政府の方でさきに出されました低開発地域法案といい、これといい、所得倍増計画によりまして、受けやすいような問題の法案をたくさんお作りになりますが、中身は非常にわれわれとしては審議しにくいようなものばかりです。そういう意味で、今後一つ十分資料をいただきまして審議を続けたい。きょうは長官がおいでになりますので、三つ、四つお伺いしておきたいと思います。非常に簡単に申しますので、簡明にお答えいただきましてけっこうです。  この法案を見ましても、いろいろ書いてありますが、一番初めの、大都市における人口及び産業過度集中防止ということは、ここに至ります四者の各草案にもほとんど同じことがうたってあります。このことは一番重点を置いておいでになるように思いますが、先ほど来いろいろお話がございました通り、この新産業都市法案ができまして実が実りますのに、あるいは五年、十年かかると思います。その間どんどんこの過度集中が続いていくと思いますが、これについて思い切って排除する何らかの措置を講じなければ、水の問題を見ましても、あるいは交通の問題を見ましても全く行き詰まっておるのは、先ほど来のお話の通りであります。これについて、思い切った抜本的な措置を同時に講じなければ意味がないと思います。そういう意味で、そういう具体策を近く提出する御意思があるかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  149. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この問題は当面喫緊の問題でございまして、従って、川島国務大臣も、官庁の疎開と申しますか、官庁都市の設立というような問題を提起して、ただいま御研究になっております。われわれとしては、非常な重要な問題でございますから、そういう問題について、政府が十分今後方針をきめて進めていかなければならぬ問題だと考えております。
  150. 玉置一徳

    ○玉置委員 これに関連いたしまして、行政機関あるいは文教機関と申しますか、その疎開とか、あるいは東京湾へ東京都が進展するのだとか、あるいは首都の移転というようなことまで、民間その他有識者からいろいろ提案がなされておるわけであります。こういう問題を官庁だけで私は考えていくのは無理だと思うのですが、民間有識者も入れまして、思い切った調査審議機関というものをお作りになるようにお考えになるかどうか、経企庁長官としてのお考えをお述べいただきたいと思います。
  151. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この問題は、直接経企庁が取り扱うべき問題とは今日の段階では考えておりませんけれども、しかし、日本の経済発展あるいは国民生活の向上、先ほど来申しておりますような生活政善というような面から見ましても、非常に重要な問題でございまして、日本の経済運営の一つの支点でございます。従って、企画庁としても、この問題については、十分意見をまとめて、そして各担当閣僚に申し上げたい、こう考えております。
  152. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで、新産業都市法案でありますが、先ほど各委員からも御質問がございましたが、国土総合開発という点から見ますと、新産業都市大拠点というだけの問題で、日本の経済の発展を望むのには、少し無理だ。従って、これはこの問題といたしまして、そういった総合的な法案なり具体策を同時に一つ御説明いただかなければいけないと思うのです。またそういうお腹もあるのではないか。ちょうど十年前に国土総合開発法ができまして、昨年の夏ようやくそれの具体案、草案をお作りなすった。この点につきましては、社会党案の方が若干詳しく説明されております。それにつきまして、そういった国土総合開発法によって、この大拠点でないいろいろなところをどういうような構想で政府は考えておるかという点も、やがて出てくるのではないかと思うのですが、そういう御意図があるかどうか。
  153. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 先ほど申し上げたと思いますが、国土総合開発計画を策定いたしまして、四月中にはこれの草案が確定することになろうと思います。各方面の意見を聞いて、草案を若干修正をいたしております。そして、それが確定いたしますれば、その線に沿って今後の全体計画を立てて参るわけであります。それとそごし相反するような条件はとって参りたくない、こう考えておるわけであります。従いまして、新産業都市の問題につきましても、国土開発総合計画の中の拠点計画となっていくというふうに考えております。また、議院におかれまして立法されました地方開発の問題がございます。これらのものも全体構想の中に取り入れながら、やはり考慮をして参るべき問題だと思います。また、先般臨時国会で御審議を願って成立を見ました低開発地工業の開発の問題も、国土総合開発の見地から見まして、低開発地をどうしてもやはりある程度力をつけ、そしてその結果として国民生活の向上をその面もはかって参らなければなりません。それがやはり国土総合開発の一環として大きな力になって参るわけでございまして、そうした意味における総合的な計画というものを持って参りたいと思います。御承知のように、いろいろな地方開発その他の立法がございますので、審議会等も非常にたくさんございます。これらのものも、ある場合には、私、これはまだ個人の考えでございますけれども、それらの調査審議会というものは、国土総合開発審議会の中の一つの部会としてもいいのではないか。そうして総合的に考えていくべきじゃないか。しかも、先ほど来申しておるように、必ずしも行政地区というものと経済地区というものとがぴしっと一致しておらぬ点もございますから、いわゆる行政的な地域を越えて話し合いをしなければならぬ場合もございますので、そういう面が必要であろうか、こう考えております。
  154. 玉置一徳

    ○玉置委員 三番目にお伺いいたしたいのは、新産業都市を作ると申しましても、要は国及び地方公共団体が工業投資を集中的に効率的にやっていくということで、新産業の拠点ができることを促進し期待するということだと思うのです。そこで、とりあえず公共投資のできますにつきましても、港湾の整備とか道表整備とかありますが、用地の確保ということが一番大事だ。用地の確保につきまして期待するだけじゃなくて、こういうところに指定されたところは、先般の土地収用法の強化されたもの、そういうものを適用するのだとかいうような何かの新しい機軸がない限り、今の土地を求めることも無理であろうと思います。先ほどもお話ししました通り、地方自治体が申請をしたときに、もう土地の暴騰というものが起こり得るのではないか。こういうものを規制していくような新機軸、あるいは先般の土地収用法を強化していくのを適用するとか、何かの形がないと、幾ら自由主義、資本主義の世の中とはいいながら、こういうものを期待するだけでは無理だと思うのです。そういう一番大事なところが抜けておるのではないかと思うのですが、長官のお考えを一つお述べいただきたい。
  155. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この法律を作りまして、一つの方向をきめて進めて参るわけでございますけれども、しかし、御承知のように、今日ままいろいろな立法がございます。たとえば土地造成にいたしましても、農地としての土地造成を農林省がやっておられますが、でき上がったときには、それは工業用適地になってしまうというような場合も、率直に申してないわけじゃないのでございまして、そういうような面については、やはり新たな観点に立ちまして、そうしてたとえば農地の造成として農林省がやっておられるものも、新産業都市関係から見れば、これは工業用地の造成をすべきであるというようなことにも切りかえる場合もあろうと思います。それらの点については、やはり今後各省間におきまして協調を保ちながら運営して参りませんと、むだも起こって参りますし、そういう点については、企画庁としても、この法案を通して進めて参る上におい、ては、十分調整もいたして参らなけれ、ばならぬ。また、必要がありますれば、新たに何らかの措置をして参らなければならぬ場合もあろうかと存じます。
  156. 玉置一徳

    ○玉置委員 それに関連いたしまして、大体公共投資をいたしますときに、いわゆる工場用地を造成する場合に、必ずこれは国と地方自治体とそれから工業企業そのものと三つがあるところで、相互に関連し協力をせなければ非常に無理ではないか。しかも先行投資をやるような形になりますから、たとえば海面の埋め立て、そういう造成をするときには、ことにそういうことになろうと思います。従って、全国一本化あるいは地域ごとかは別にいたしまして、それを効率的にやるためには、どうしてもまとめてやるような機関、できれば、外国に例がありますように、新産業都市造成公団と申しますか、というようなものでまとめてやらせ、あるいは予算が来年、再来年つくやらを有効的に、前に開銀等の融資でやっておくというような工合のものが必ずできるのじゃないか、こう思うのでありますが、これに対するお考えを……。
  157. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新産業都市を作ります場合に、関連しております公共投資というものは非常に広いのでございまして、従ってそれ自体を扱います公団もしくは公社のようなものを今作ることがいいかということになりますと、私どもはそれに対して疑問を持っております。ただ将来の研究問題としては十分研究して参る必要があろうかと思います。
  158. 玉置一徳

    ○玉置委員 それから四番目は、新産業都市を作りますにつきまして、産業の構造と申しますか、構成でございます。新しいコンビナートのあれをお考えになっておるのが相当部分になるのじゃないかと思うのです。そういうようなときに、土地造成はいたしますが、望ましい産業が、しかもそれが関連してうまく入ってくるようにするのにはどうしたらいいか。でなかったら、土地は造成しましても、あまり望ましくない、関連性の少ない産業が入りてくるのを防止することはできないと思うのです。こういう資本主義、自由主義の世の中なんですから、価格に応じて土地を買収された場合は、これを排除する方法がございません。というような意味で、望ましい産業を導入するように特別に助成をする方法あるいはチェックする方法、これにつきまして何かのお考えをお持ちになっておらなければ好ましくないと思うのですが、お考えがございましたら……。
  159. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 新産業都市を作ります場合に、何かコンビナート方式の工業だけをそこに持っていくということではないのでございまして、むろん立地条件のいかんによってそういうコンビナート方式の仕事が移っていく場合もございましょうが、同時に大都会集中しております各種のものが並存して移っていく、あるいはこれから興り得る新しい産業が移っていくというようなこともあるわけでございまして、必ずしも一つの方式にこだわるという考え方はございません。
  160. 玉置一徳

    ○玉置委員 これを最後にしておきますが、その意味はよくわかるのですが、今まで行き詰まって自由放任でやりっぱなしにしておいたために、非常に好ましくない状態が現出しておるこの過大都市防止する意味でこしらえるものが、また自由放任にしておきますと、同じことが二十年後に必ず起こるのじゃないか、こう思うのです。そういう意味で、せっかくこういうものをおやりになるのだから、望ましい産業の形態のあるべき姿というものを想定されて、それに導いていく方法としてどういうことを考えればいいかということは、あなた方の国土総合開発法にもその思想が若干出ておるのじゃないかと思いますから、特にお尋ねをし、お願いをしておるわけであります。  それで、それと関連をいたしまして、池田さんの所得倍増に先敗したという質疑に対する御答弁の中にも、期待はしておったけれどもできなかったんだ、資本主義の世の中では、期待をしておっても、そこまで行かずに過大に設備投資が行われることはやむを得ぬことだという。しかし、やむを得ぬことだといってほうっておくことは、国民経済上非常によろしくないのじゃないか。ましていわんや、このごろEECの問題もあれば、対外貿易の問題もありまして、だんだんむずかしくなってきている。その上に技術革新が思い切って行なわれる。このまま産業の拡張を置いておくというようなことは非常に望ましくないのじゃないか、こう思うわけです。そこで、二、三日前にありました石油の問題につきましても、ああいう技術提携が、精製業の六割五分、関連といたしましては、国際資本に押えられている一というと語弊がございますが、八割五分に近いというようなことになりますが、きょうまで放任されているわけです。今後こういう技術提携あるいは資本提携その他の提携、あるいはコンビナートの問題、あるいは系列会社の問題、こういうものは、もう一度現状に立ちまして、日本の国民経済の発展というところから考え直さなければいけない時点にきておるのじゃないか、こう思われるわけです。あるいはものによりましては、独禁法というものが、終戦後行なわれた独禁法と今とは全然角度を変えて見直さなければ、日本の国民経済の発展ということがむずかしいんじゃないかというように思われるわけです。いわば通産省でも若干勉強しかけております産業の新秩序と申しますか、そういうようなことにつきまして、同時にこういう新産業都市を作る場合にお考えなさっていいんじゃないか、こう思うのですが、こういう問題につきましての経企庁長官としてお考えをお伺いしたいと思います。
  161. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 自由主義経済の中におきまして法的規制をするということは、私は、最小限にとどむべきであって、それは公安を害するとかあるいは公共の利益を害するとかいうような場合は、これは当然やらねばならない。ただ問題は、これは政府の姿勢の問題ではないかと私は思うのでありまして、国民が非常な経済拡大の意欲を持っておりますときには、やはり政府としてはできるだけ慎重な態度をとっていく、また国民が何か企業意欲が意気消沈しているようなときには、政府はむしろそれを刺激していくというような方向に持って参らなければいかぬのであって、そこはやはり政府の姿勢よろしきを得ていくことが必要であろうと思うのでございまして、そういうことによって民間と政府とが十分意思の疎通をしながらやって参るのが必要だと思います。また同時に、今日の段階におきましては、御承知の通り必ずしも金融が正常化しておらぬような点もございますので、個々の事業会社が銀行との系列というような関係でもって競争的になる場合もございます。そういうような面は、一般的な経済の正常化に伴いまして、おのずから改善の道をはかっていかなければならぬのでございまして、そういう点について政府としても十分考えて参らなければならぬ点が多々あると考えております。
  162. 玉置一徳

    ○玉置委員 別に基礎産業を国有化しろというような意味で私は言っておるのじゃないのでして、そういう民間の創意工夫というものも大いに振起しなければなりませんけれども、ただに公害があるというだけではなくて、この輸出産業のむずかしいときに非常にむだがあり過ぎるんじゃないか、だから望ましい方向に持っていく責任はやはり政府にあるのじゃないか、今ではもうきのうかおとといの石油法に見ますごとく、猛烈な反対があればみな引っ込んでしまうというようなことでは、新しい国民経済の伸びというものは望み得ないんじゃないかということを憂えるわけであります。そういう意味におきまして、ことにこの新産業都市などというような考え方を持っていく以上、政府が民間産業にどういう点でどういうようにタッチするのかということは、非常にむずかしい問題だと思います。今後そういう方向に持っていかざるを得ないというところにきておることも事実だと思います。そういう意味一つ十分御考慮いただきますことをお願いを申し上げたい。  今度は十分審議をしたいのですが、きょうはこういう時間になりましたので、ほんの二、三の点を長官にただすことにいたしまして、今後機会を見てまたゆっくり質問をさせていただきたい、こう思います。
  163. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 長時間にわたり審議をお進めいただきましたが、本日の連合審査会はこれにて散会いたします。    午後一時五十分散会