○阪上議員 もう少し詳しく問題の異なっておるところを申し上げたいと思います。
私はまず第一番に、政府の新
産業都市とわが党の
法案との相違点としては、
地域開発に対する方法論におきまして、基本的な
考え方の相違があるのではないか、こういうふうに考えております。
御承知のように、
地域開発に関する類型は大体大別して
二つあると思っております。その
一つは、非常に広範な大
地域における
地域開発というのが
一つあります。それから、比較的に、拠点々々を
開発していこうとする
開発の方式がある、こういうことであります。たとえばシベリアのコンビナート
開発であるとか、南イタリアの南部の
開発であるとか、こういうようなものにつきましては、これは拠点主義をとっておりません。ところが比較的高度に国民
経済が発展しております国におきましては、また領土の非常に狭い国においては、どちらかというと拠点主義に
開発を持っていこう、こういう
考え方になっておるようでございます。私どもがとりましたこの
産業と
雇用の
適正配置、これはその
二つの類型からいいますと、後者の拠点主義にのっとっておる、こういうことであります。ところが政府の案は、
考え方は先ほど拠点主義だとおっしゃっておりますけれども、これは
一つの拠点、大拠点だけを取り上げておる、こういうことであります。この点において大きな差異があるのではなかろうか、こういうふうにわれわれは考えております。
二番目には、ただいまございました政府案におきましては、
地域指定をながめてみましても、全くの大拠点だけで、わが党のように小拠点とか中拠点とかというものがございません。これは
地域開発の方式としては非常に間違った方式じゃないか、こういうように考えられます。ことに先ほどから問題になっております国土総合
開発法に基づく国土
開発プランというものの構想をながめてみますと、政府みずから持っておるのは、私は拠点主義じゃないかと思っております。そして大拠点、中拠点、小拠点というものをこれらの
計画は持っておる。ところが今出されておる新
産業都市にはそれがなくて、ただ
一つの大拠点だけを考えておる。ここに
開発プランとの間に大きな差がある。われわれはむしろ営々としてやってきた
企画庁の努力を十二分に取り入れまして、そうしてわれわれはこの
法案を出しておる。ここに差異が
一つある、こういうことであります。
それからいま
一つは、政府案には全く
雇用の安定に対するところの配慮がない。私どもは
雇用の安定に対するところの大きな配慮をいたしておる、こういう点であります。今ごろになりまして
地域開発をやります場合に、あるいは工業の
立地条件を考える場合に、
雇用の安定を考えないような
地域開発というものは、
地域間の
格差是正にはならない、こういうふうな観点でございまして、この点で大きな差異があるのじゃなかろうか、かように考えております。
それから先ほど井出さんから
お話がありましたように、私どもは
地域指定の場合に、工業制限
地域というものを新たに設置いたしております。ところが、政府案にはこれがございません。従って、
目的に
大都市集中排除ということをうたいましたといたしましても、政府案ではその
目的を達成することができない。私どもでは、このことによってその
目的の若干を達成することができるであろう、こういうように考えております。これも
一つの大きな相違点であろうと思います。
いま
一つは、政府案では国の財政援助の規模がございません。しかし、しいて言うならば、
地域指定を受けたところの、これは政府案ではどういうことになるかわかりませんが、その中に市町村がございますので、それらが工場誘致をいたしまして、減免措置をいたしました場合に、
地方交付税でもって減収を補てんしていこう、こういう
考え方に立っておるようであります。私どもは、このことは非常に
地方自治を圧迫するところのものである、こういう
考え方を持っております。従って、私どもはその方法をとらずに、あくまでも政府の補助ないしは元利償還を伴いますところの、負担をいたしますところの特別地債というようなことでもって思い切った援助をしていきたい、このような
考え方を持っておるわけであります。政府案によりますると、交付税主義でもって、交付税でもってやっていこう。交付税は元来
地方自治体の財源でございます。そういったものでもって、国の大きな施策を自治体の財源でもってやっていこうという
考え方は、
地方自治を非常に大きく圧迫をいたしますので、われわれとしてはこれをとらない。
まだまだございますけれども、大体大別しますと以上のような点が大きな相違を持っているというふうにわれわ・れは考えます。