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1962-04-18 第40回国会 衆議院 商工委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十八日(水曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 白浜 仁吉君 理事 中村 幸八君    理事 長谷川四郎君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    遠藤 三郎君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       神田  博君    齋藤 憲三君       始関 伊平君    首藤 新八君       中垣 國男君    中川 俊思君       野田 武夫君    林   博君       原田  憲君    岡田 利春君       北山 愛郎君    久保田 豊君       小林 ちづ君    中村 重光君       西村 力弥君    伊藤卯四郎君  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         通商産業大臣  佐藤 榮作君         建 設 大 臣 中村 梅吉君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         法制局長官   林  修二君         総理府総務長官 小平 久雄君         公正取引委員会         委員長     佐藤  基君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  小沼  亨君         経済企画政務次         官       菅  太郎君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         大蔵政務次官  天野 公義君         厚生技官         (環境衛生局         長)      五十嵐義明君         厚生事務官         (薬務局長)  牛丸 義留君         農林政務次官  中馬 辰猪君         通商産業事務官         (企業局長)  佐橋  滋君         中小企業庁長官 大堀  弘君         運輸政務次官  有馬 英治君         運輸事務官         (観光局長)  梶本 保邦君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君  委員外出席者         総理府事務官         (公正取引委員         会経済部下請課         長)      辻  吉彦君         総理府事務官         (公正取引委員         会経済部取引課         長)      後藤 英輔君         警  視  長         (警察庁保安局         防犯少年課長) 綱井 輝夫君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    有吉  正君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      上田 克郎君         文部事務官         (初等中等教育         局初等教育課         長)      上野芳太郎君         農林事務官         (農林経済局参         事官)     松岡  亮君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月十七日  中小企業基本法案松平忠久君外二十六名提出、  衆法第二四号)  中小企業組織法案松平忠久君外二十六名提出、  衆法第二五号)  中小企業基本法案宮澤胤勇者外二百六十二名  提出衆法第四二号)  中小企業基本法案永末英一提出参法第一  〇号)(予)本委員会に付託された。 同月十八日  下請関係法案松平忠久君外二十八名提出、第  三十九回国会衆法第二二号)、委員会の許可を  得て撤回された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案内閣提出第一三〇号)  不当景品類及び不当表示防止法案内閣提出第  一三七号)  下請関係法案松平忠久君外二十八名提出、第  三十九回国会衆法第二二号)の撤回に関する件      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出不当景品類及び不当表示防止法案を議題とし、質疑を続けます。  本日は特に内閣総理大臣の御出席を願っております。ただいまより三十分という約束でお見えを願っておりますので、お含みの上、質疑を願いたいと思います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 総理が三十分ということでございますので、まず総理に集中して御質問いたしたいと思います。  この不当景品類及び不当表示防止法は、第一条に目的が定めてあるように、一般消費者利益を保護することを目的とした法難でございます。この法律はむしろわれわれが歓迎をする法律なんです。しかももっと完璧なものを希望しておる。むしろおそきに失した、こういう考え方を持っておるのでございます。  そこでまず第一に、消費者保護ということについて総理にお伺いいたしたいのですが、総理は先日アメリカケネディ大統領が議会に消費者についての特別教書を送ったことは御承知だと思うのです。アメリカ大統領もこのようにして消費者行政ということについて大いな関心努力を払っておる。ところがわれわれ見ておりまして、池田内閣消費行政という面に対してあまり関心がないのではないか。いや物価対策なんかを閣議で話し合っておる、こういうふうなことを言われると思いますが、今日まで政府がとってきた消費者保護政策並びに今後どういうような方法をとろうとしておるのか。いわゆる消費者行政に対する池田総理の基本的な考え方をまずお伺いいたしたいと思います。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 お話しのようにケネディー大統領は、消費者組織を有しない唯一団体である。この組織を有しない唯一団体である消費者利益を保護することは、政府の責任だということを、本年三月十四日に教書国会に出しました。そしていろいろ今後消費者のための措置をとることを五、六項目あげておったと思います。今回の鉄鋼価格引き上げに対しましてケネディが強くこれに反対し、それを取りやめさせたことも、その現われだと考えます。わが国の今までの経済政策というものは、これはまあ敗戦のこともございましたでしょうが、戦争以前におきましてもおおむね生産中心とした行政が多かった。で、こういう高度成長をやり、経済発展をいたしますためには、ケネディの言を借りるまでもなく、消費者を保護するということはやはり経済政策の片っ方の大きい面でなければなりません。従いまして、政府におきましても、こういう点にかんがみまして、昨年は国民生活向上対策審議会を設けまして、消費者状況を改善すべき点等につきまして研究を始めております。また、今年度から国民生活研究所を、まあ基本的な問題を研究していこうというふうに手をつけておるのであります。何分にも生産の分よりも消費の分の方の行政は一そうむずかしゅうございます。しかし、先ほど申し上げましたように、どうしても政府としては強力な施策をこれに持っていかなければならぬという考えのもとに、消費者物価の上がるこの機をとらえまして、あらゆる方法消費者利益のために消費者価格上昇をできるだけ抑制するという方向で今進んでいるわけでございます。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 総理もただいまおっしゃいましたように、今までは生産者中心生産の面から行政をやってきた、こういうことなんです。従って、むしろ消費者はその犠牲になってきた、こういうことを池田総理自体がお認めになると思うのです。たとえば、今おっしゃいました、今国会で成立を予定せられている国民生活研究所法にいたしましても、今度特殊法人として出て参りましたが、その前身である国民生活研究所はいわゆる財界の寄付によってできた団体でございまして、その発行しておる機関誌を見ても、「生産消費」ということになっておる。調査の面を見ましても、すべて消費にマッチした生産をするのではなく、生産に合わせた消費を誘発するという行き方でありました。従って、そこにいろいろな過大広告あるいは宣伝が行なわれてくるわけなんです。それが今日まで消費者に対して大きな犠牲をしいてきたと思うのですが、そういう点についてはどういうふうに考えておられますか。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問の要点がちょっととりにくいのでございますが、先ほど申し上げましたごとく、日本産業経済政策というものは、従来生産重点が置かれたということは、これは新興の日本としてやむを得なかったかもわかりません。しかし、生産消費というものはうらはらでございます。従いまして、健全な消費ということも考えて、生産の方でもこれを調整すると申しますか、あるいは価格の点、品質の点等につきまして十分の注意をしなければならぬ。ことに薬品薬事関係につきましては、従来も政府はそういう方向でいっておるのであります。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、私の言っているのは、消費というものをまず見て、消費に合うようなものを作っていく、これが消費財生産だと思うのです。ところが、先ほど総理みずからもおっしゃったように、生産中心考えていく、従って、でき上がったものに消費者をくっつけていくというのが今までの状態だったわけです。そういうやり方は逆なやり方である。消費というものをまず見る、そして消費者の好むもの、必要とするものを作っていく、これが消費財生産だと思うのです。ところが今まではそういうこととは関係なくものを作ってしまう、そうしてそれを消費者に押しつける、その押しつけていくところにいろいろと過大な広告なり、欺瞞的な宣伝をやらねばならないという事実があった、そういうことを申し上げておるわけなんです。今、薬事法等をおっしゃいましたが、薬事法の六十六条でしたかには、なるほどおっしゃるようにこの誇大広告禁止規定があります。これはあと厚生大臣にお伺いするつもりでおりますが、この条文はほとんど動いておりません。従って、今日までは消費者犠牲にしてきたところの行政であったといわねばならないと思うのであります。たとえば池田さんが内閣を組閣せられて以来、一枚看板として掲げて参りました所得倍増計画でございますが、あれは結局はムードを起こしたにすぎません。その結果はどんどんと物価を上げて参りました。消費者に大きな犠牲をしいたと思いますが、これは池田内閣所得倍増計画物価値上がりの大きな原因となり、そういうムードを作っていく。ここに消費者を大きな犠牲にした、こう申し上げておるのですが、そのように総理考えられませんか。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 生産消費を見越しての生産でございます。消費の見通しのないところに生産ができようはずはございません。政府行政重点が今まで生産の方に置かれたということは、何でもかんでも作ってこれを国民に押しつける、こういう意味生産行政に力を入れたという意味じゃございません。やはりこういうものがみんなの嗜好に合い、消費されるということを見通して生産が行なわれた、それをいうのであって、要らないものを作って押しつけるというふうなことは私はないと考えております。  それから高度成長政策というムードを作って、そうして消費者が迷惑をした、こういうことでございますが、私は他の機会においても言っておりますように、日本の今までの経済のようなことではわれわれの生活向上はできない。従って、日本国民生活先進国並みに持っていくためには、他の国よりももっと高度成長をしていかなければならぬ。しこうして日本人にはそれができるのだ。日本人高度成長をやるだけの能力と熱意を持っておる。これをつかまえて私は高度成長をやっていこうとしておるのであります。物価はある程度上がりました。しかし、それにも越して国民所得は上がってきておる。私は、高度成長ができたから減税も行なわれ、社会保障制度も拡充強化でき、そうして文教政策にも相当力を入れられるようになった、これは国家経済高度成長の賜であると思う。ただ問題は、高度成長の過程におきまして、所得ももちろんふえました、また物価も上がったけれども、所得がふえたほど上がっておりません。所得がふえるにつれて物価が上がっていくということは、これはネセサリー・イーブルかもしれません。やむを得ない話かもわかりませんが、しかし、できるだけ物価が上がらないようにするのが政治だ、こういうので、最近の物価上昇を見まして、これを上がらないようにしていこうとしておるのであります。物価が上がったから、高度成長がいけないのだという考えは私は持っておりません。やはり日本人の持ち前を使って、高度成長をして、われわれの生活をよりよくすることが政治の要諦であると私は確信いたしておるのであります。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 総理は確信しておられるようですが、その確信が若干くずれてきたことは事実であります。総理が言われた高度成長計画が、結局は物価値上がりのもとをなしたことはいなめない事実であります。何ぼ物価が上がっても、所得が上がればいいとおっしゃるが、所得物価上がり工合はどうかといえば、物価の方が先を越しております。先ほど、また日本消費者水準を上げていく、それが高度経済成長である、こういうふうにおっしゃったのですが、六畳の居間に親子四人の生活をしておる、そこにテレビがある、洗たく機がある、こういったような生活、これがはたして文化的な均衡のとれた国民生活だと言えるでしょうか。さらに総理は今日まで消費者のためにほんとうに取り組まなかったという一つ原因は、消費者保護を担当する専門の部局が今日の内閣の中にないじゃありませんか。経済企画庁がやっておるとおっしゃるかもしれませんが、あとで触れますが、物価安定政策にいたしましても、作文を作るのが経済企画庁であって、実際は何らそれを実施する権限を持っていない。それぞれの主管庁がやっておるのです。たとえば通産省にいたしましても、通産省の方は、やはり生産の上に立ってやります。従って、たとえば電気器具等を見ましても、洗たく機にいたしましても、テレビあるいはトランジスター・ラジオ等にいたしましても、その他薬品にいたしましても、半年もすれば変わってしまうんです。ラジオなんか見てごらんなさい。半年もすればデザインが変わってしまう。自動車だって、いつも次々とデザインが変わるのです。そういう中において、やはり消費を見越してじゃなくして、まず生産が先行して、それに消費をくっつけるような政策をとってきた。それが今日までの政府消費者行政であります。もう一度信念をお伺いいたします。
  10. 池田勇人

    池田国務大臣 四人家族でテレビを持っておる、こういうお話でありますが……。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 六畳の間を使っておる場合というのです。
  12. 池田勇人

    池田国務大臣 六畳の部屋でテレビを持つ、そのことがいいか悪いかという問題につきましては、それは議論がございましょう。しかし、日本通信工業発展ということは、やはりテレビラジオ普及に負うところが非常に多いのであります。もちろん生活程度から申しますと、テレビを主題にして申し上げまするならば、アメリカ合衆国が一番たくさんテレビがございましょう。アメリカは六千五百万台、イギリスが千五十万台くらい、日本が今八百五十万台、九百万台になろうとしておる。日本人生活よりも三倍上の生活をしておるフランスが二百五、六十万台しかございません。日本の人口の半分でございますから、家庭を半分にいたしますと、日本が四百万台、フランスが二百五十万台、しかし生活程度の方は、フランスの方が日本より三倍、ドイツだって三百万台しかない。日本ドイツの三倍持っておる。このこととがいいか悪いかということはやはり国民性によるものであります。日本人ぐらい文化的知識欲の旺盛な国民はございません。こういうところから来ておるのでございましょう。そうしてまた日本技術が非常に進んできて、テレビを買わなければいかぬ、——私は十年くらい前のテレビアメリカテレビを見たときに非常に高い。日本でも四十万円くらいする。しかし、日本のこういうテレビ普及か、今ではラジオテレビについては世界で第一番の技術が進んでおる、これはやはり国民熱意だと思う。だからそういうところがありますから、テレビあるいはラジオ状況なんか、これはいかにもぜいたくのようでございますが、科学の進歩と国民のそういう気持でいっているので、あながちこれを生活水準の差で、テレビ普及を論ずるわけにはいかぬと思う。きょうの新聞に出ておりますあのソニーのテレビの小さいの、あれなんか、やはり日本人の力で、技術で、手先でできる。これが何か変わり過ぎるから、そういうことはいけないんだという、道徳的の点ばかりからは、議論するのもいかがかと思うのであります。伸びゆく日本にはそういうことはあり得る、あながち非難すべき点でもないと私は考えております。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、私はテレビ普及について言っているんじゃないですよ。なるほどフランスは、私も行きましたが、それはテレビ日本ほど普及いたしておりません。私もテレビ等を作っておる会社の出身ですから、電気器具が多いからいけないと言っておるのではないのです。六畳の間に一家四人も五人も間借りしておって、そこにずらり洗濯機テレビ、その他の電気用品その他が並んでおるというようなこういう生活が、はたして正常な生活だと考えておるのか。あなたのおっしゃる高度成長計画による消費者生活というものは片ちんばである。このことを言っておるのです。そのことは、すなわちあなたの政策の中に住宅政策だとか、その他の問題が十分これに伴わないからこういった片ちんば生活になるのだ。この片ちんば政策をどう考えていくのか、こういうことを聞いておるわけです。  さらにもう一つは、先ほど申しました消費者行政を専管する部局が一体どこなのが、今後そういった専管部局を作るつもりはないのか、こう聞いておるのです。
  14. 池田勇人

    池田国務大臣 これはわれわれの生活に衣食住、こういうのがある。まず食を解決し、衣を解決します。そうして今度は住です。しかし、住というものは食あるいは衣、食糧、衣料のように簡単にいきません。しかし、われわれは十年計画を立て、今後五、六年の間にはこの住問題も解決しようと極力力を入れておることは御承知の通りであります。で、今のように国民所得も相当ふえてきた。しかし、住を求めるには十分でない。そこでやむを得ずと申しますか、日本人の特質として文化的なああいうものを持っておる。それは六畳を間借りしてテレビを持つということは、一見ぜいたくなようかもわかりませんが……。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 ぜいたくと言っているのでない。
  16. 池田勇人

    池田国務大臣 一見消費行き過ぎのように思われますが、これは戦後の状況からしてここまでいったのです。そうして五、六年あとには住宅を持てるようにしてやろうという努力をしておるのであって、住宅がないからテレビを持つべきではない、そういう議論にはならないのです。私はそういうような状態だから、今後は主として住宅に力を入れなければならない、こういうことで進んでおるのであります。  しからば今後消費者行政のために別の官庁を設ける必要があるかないかということにつきましては、われわれも考えておりまして、今せっかく御審議願っておりまする臨時行政調査会におきましても私は検討があることと考えておるのであります。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 第一点の方につきましては、総理、焦点をぼかしてはいかぬと思うのです。私はテレビを持っておる、洗たく機を持っておるのがぜいたくだとは言っていないのです。それはあたりまえなんです。ところが一方一家四人なり五人なりが六畳の間借りをしておるというこの状態を言っておるのです。この状態片ちんばである。従って、これをどのようにして是正していこうとしておるのかということをお伺いしておるのです。  時間がありませんから、その点をお伺いして、次にいきますが、消費者行政を担当する部局については、臨時行政調査会の方で、こういうことですが、一つ総理の方からも積極的にそういうものを作りたいという諮問をしていただくよう希望をいたしたいと思います。  そこで、今日の状態を見ますと、まず経済企画庁が総合的な計画をする、それから実際の場面にあたっては、独禁法というものを通じて公正取引委員会が取り締まっていく、これだけが消費者行政であります。ところがここに佐藤公取委員長がおりますが、この公正、取引委員会がきわめて弱体である。きわめてたよりない。まず予算の面から見ましても、日本公取委員会に相当するものがアメリカでは連邦取引委員会、すなわちFTCと言われるのですが、ここの予算人員を見ますと、定員八百人以上、年間予算が二十億円以上なんです。ところが、日本公取委は二百四十人の定員で、今年度の予算は一億六千万円であります。今度のこの不当景品類及び不当表示防止法、こういう法律が出て参りましても、これに対する予算人員の確保というものがないのです。従って、法律は作るが、中身はない。池田内閣の出してくる法律案にはこういうのが多いのです。たとえば、当委員会において審議をいたしました新産業都市建設促進法、大きく振りかぶっておりますが、中身は一体何です。こういうのこそむしろ不当表示法にひっかかるべき法案である。池田内閣所得倍増計画、一体中身は何だ、大きな広告ばかりやって宣伝した、これこそ欺瞞的過大広告の最たるものであると思うのでございますが、いかがでございますか。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 所得倍増計画は大広告だとおっしゃいますが、いかがでございます、昭和三十五年におきましては、前年に比べまして一六・七%の国民所得上昇じゃございませんか。そして私は腹八分目と九%と計画をいたしましたら、三十六年度は九%ではなしに、名目で一五%くらい。九%が逆に一五%の国民所得。これは非常に低く見たので、逆じゃありますまいか、私はそう思っております。行き過ぎたからこれを押えようとしておるのであります。この高度成長をとやこう言いますが、これは世界の趨勢じゃございませんか。きのうアメリカサクラ娘が二人来られまして、どうです日本は、一昨年ケネディ大統領選挙でニュー・フロンティアということを言ったが、私は四、五年前からやっている。そうでしょう、それでどんどん家が建っております、こう言って感心しておりました。決して所得倍増高度成長過大広告だというようなことは全然ございません、過小であったと思っております。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 なるほど一面において、数字の上において成長を示しておる。これは設備投資行き過ぎだ、こういうことに原因をしておるのですよ。あなたの言っている高度成長政策がいわゆる経済の二重構造をますます深めていく、一部の人たちのためのものであったということは、もう偽り得ない事実なんです。従って私は、一般消費者立場からものを言っている。あなたのように、独占あるいは大企業立場からものを言っているのじゃありません。その意味においては、先ほどおっしゃったように、過小でなくて、まさに過大広告欺瞞広告であります、欺瞞宣伝であります。それから先ほど私が言いましたように、アメリカ連邦取引委員会と、日本公取委のあり方についてどう考えておられるか。  さらに時間がないから続けますが、この法案か出るにあたっては、通産省及び広告業者等から反対があって、何回か修正せられております。アメリカの実情を見ますと、連邦取引委員会、すなわちFTCが主宰して制定しておる業界の適正広告基準というものが数百ございます。さらに経営改善協会といいますか、これの手によって、これが相当な権威をもって自粛をいたしております。現在日本においては、広告、景品類は野放しの状態であります。そういうことについてどのように考えておられるのか。この法案について、腹の中では賛成をしない向きがだいぶあるようです。佐藤通産大臣は笑っておられまするが、われわれは通産省が大きな反対をしたと聞いておるので、あなたにあとで質問いたします。総理はこれについて一体どう考えておられるのですか、広告が今日のような野放しの状態になっているのを、——だからこの法案を出したと言われましょうが、それについて総理はどう考えておられますか。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 アメリカの公正取引関係予算日本とを比較になりますが、これは経済とか行政機構が違っておりますので、一がいにアメリカが非常によくて日本が非常におくれているというわけでもございません。やはり日本の実情に沿ったように、できるだけ人員及び経費は少なくしていかなければなりませんが、必要に応じましてこの機構はだんだん拡充強化されなければならぬと考えます。また、広告が野放しということでありますが、自由経済のもとにおきまして、そしてまた技術革新のこの時勢におきまして、広告は必要でございます。これは先般も和名業態の広告費の状況を調べるように指示いたしましたが、大体昨年度ぐらいで二千数百億円の広告料でございましょう。これはむだかというと、そうではございません。技術革新のときにはなければいかぬ、そして広告して、たくさん品物が売れるようになれば、いわゆる生産性が上がって、そしていい品質のものが安くできる、ただ国民がほんとうに健全な消費というものを頭に置いて広告をよく理解するということが必要である。われわれは広告を押えようという気持はございません。ただ、広告の場合において過当に、たとえばハワイへ行かすとか、何百万円のものを表示に出すとか、こういうことは取り締まらなければいかぬ。それを取り締まるからといって、私は広告を否定するものでは絶対にございません。やはりこういう時勢のときには、広告というものは非常に必要なものであります。これが消費者のためにもいいということを考えております。ただ行き過ぎは何でも悪うございますから、行き過ぎを押えようとしておるのであります。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 私も広告それ自体がいかぬとは言わない。今日のああいう大きな景品をもって、しかも子供のものにまで射幸心をあおるようなことでやる宣伝方法、こういうことを言っておるのです。さらにそのことは教育にも大きな影響があると思うのです。今日広告費に幾らかけておるかよくわかりませんが、大体二千億円、これは表面に出たものですが、二千億円くらいかけておる。これが各物価の中に占める割合も大きいと思うのです。それは必要な、親切な広告はいいと思います。しかし、問題は今のような野放しの状態である。そういう点を言っておるわけなのです。  さらに、もう時間がないようですから続けて申し上げたいと思いますが、きのうの閣議で、政府は三月十九日の閣議で決定した物価安定政策、これに物価動向に伴う時期的な財政運用をはかる等、六項目を追加せられたわけなのです。この中に社用消費の節約、これはいいのです。及び個人消費の健全合理化と貯蓄の奨励を行なう、こういうことが入っております。先ほど来言っておるように、高度経済成長所得倍増計画といってあおっておいて、ここであわててデフレ政策をとろうとしておるのじゃないか、このように思うわけなのです。また総理は先日京都の知事選挙に応援に行かれたときに、福知山において、物価上昇国民にも責任がある、こういうように言っておられるわけです。重大な発言だと思うのです。あなたはその前に経済のことはおれにまかしておけと大みえを切ったわけです。おれにまかしておけと言った結果がこのような状態になってきた、そうするとこれは国民にも責任があるのだとうそぶいている。これは戦前の内閣ならまさに総辞職に値いするような発言であります。従いまして、この問題は別に破り上げることになっておりますので利は言いませんが、閣内においても意見の不統一があって、今問題をかもしておることは御承知の通りであります。私に経済をまかしておけと言っておきながら、今さら責任を国民に転嫁するような発言は断じて許せないと思いますが、総理いかがでございます。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 私の発言の一部をおとりになってとやこう言われることは、これは言論自由でございますから別に差しとめませんが、もちろん私は高度成長政策は、先ほど来申し上げましたように、日本政府政策としては当然やらなければならぬ、そうしてそれによりまして私は国民生活が非常に進んできておる、向上しておると確信いたしております。昨日物価問題につきましていろいろ財政の時期的調整ということを言っておりますのは、やはり消費者物価をできるだけ上げないように、できれば今上がっているのを少しでも下げたいというためには、いろいろな財政的措置をしなければなりません。たとえば魚介類につきましても豊漁貧乏、あるいは産地には非常に滞貨が多く安い。しかし、消費地はこれが非常に枯渇しているというときには、いろいろ冷蔵貨車を作る、冷凍船を作る、あるいは冷蔵庫を産地、消費地に作る、こういういろいろな財政的措置を早急にやらなければならぬ。こういうものはやはりやっていかなければならぬ。そして先般センメトなんかでも起こりましたように、非常に需要が多くて値上がりするときには、運送その他について考えなければならぬ。そういう与えられた財政規模の中におきましても、できるだけ急ぐものをやる、急がないものはあと回しにする、そういうことを言っておるのでありまして、決してデフレ政策をとろうというのじゃありません。デフレ政策は私はとるべきでないと考えております。  ただ、今土地の値上がりとかなんとか問題になっております。あるいは大工、左官の賃金が上がっておる。今建築が行なわれておる。ビルは別にいたしまして、日本住宅その他を見ますと、東京都内はもちろん、別荘地に行きましても、だれが家を建てているかといったら、ほとんど社用族です。健康保険その他の財源をもちまして、何々会社、何々組合、それで個人で別荘地に家を建てるとか、あるいは東京都内で個人でやろうというのは、住宅公庫とか住宅関係のものは別でございますが、大がい社用でございます。私はその点におきまして、特に物価政策に、社用消費というものを極力押えなければならぬ、こういう気持で入れたのでございます。デフレ政策をとろうという気持はございません。  それから私は、福知山で——もちろん政府の責任でございます。ただ、あなたが先ほど来言っておられるように、国民も少しはお考え願って、今の社用のあれも考えなければいかぬし、そして健全な消費をやっていこう、いたずらにムードに追い立てられることなく、健全な消費考えてもらいたい、こういうことを言っておるのであります。あくまで政府の責任であることは当然でございます。私は自分の責任を国民に転嫁しようという気持は毛頭持っておりません。あらゆる方法をもって政府は責任を持ってやっております。しかし、国民におきましても、ちょうど昨日の閣議決定で言っておるように、国民に健全な消費をお願いするということは当然であります。国民としてそういうふうに進んでいくという責任は、国民にもあるのだ、もちろん政府が全責任でやるということは前提として言っておる。そのすぐおしまいの方だけをとらえての発言で、国民にも責任がある、私はそんなけちな気持は毛頭持っておりません。全責任を持って私がやっておるということをはっきり申し上げます。(拍手)
  23. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 時間が参りましたから……。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは時間がありませんから、続けて一問一答でなく申し上げます。総理は、全責任を私はとります、こうおっしゃったのですから、これは承っておきます。そこで本年度物価上昇率は二・八%ということが目標でありますが、これは先ほど言われたような全責任を持つという上に立って二・八%維持できるかどうか。それから電気その他公共料金がなお上がろうとしております。こういうようなものに対してどう処理しようとしておるのか。それから、一つ大きな問題に土地対策といいますか、宅地あるいは土地の高騰というものがものすごいのです。従いまして、先ほど言った生活のアンバランス、こういうものにも大きな影響を与えておる。土地の値上がり、宅地の値上がりも池田ムードがもたらした結果であります。従って、土地、宅地の高騰に対して、これは二年も前からわれわれ言っておりますが、政府は一体どのような措置をとろうとしておるのか。  それから、福知山発言でございます。一言半句をもって批判せられては困るというが、かつて美濃部博士が天皇機関説のときに、そういうようなことを言いました。一音半句をもって言っておるのじゃないのです。あなたは大きく経済はおれにまかせておけと言っておきながら、話の最後は知らぬ、しかし、最後にはやはり国民も責任がある、こう言ったのです。それだからそれを言っておる。  同時にまた、藤山企画庁長官の先日の経済同友会における発言、こういうことで、すでに経済政策において閣内で行き詰まりが来ておるということははっきりしておる。そういうことについては総理はどのように経済政策について転換していこうとするのか。  それから、きのう六項目を加えましたところの閣議決定の物価安定政策にいたしましても、作文にすぎません。私が申しましたように、ここからにおうものはデフレ政策をとろうとする、このようににおってくるわけですが、それの具体的な実施、これはそれぞれ所管庁がやる、こうおっしゃるだろうと思いますが、いつからこれをやろうとしておるのか、そういう点をお伺いいたします。
  25. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問の第一点の消費者物価の今年の見通しは、お話しの通り、昨年の暮れに二・八%の上昇を見込んでいろいろな政策を立てております。しかし、遺憾ながら、この三月まで消費者物価は上がってきております。これが三月からずっと横ばいした場合においてやはり二・八%になるかというと、そうはならないのです。昨年の暮れには二・八%を見込んだ。そうして総生産は五・四%、こう見込んでおりました。しかし、生産は見込みの通り落ちません。あれは一、二月ごろから九%程度の下落で、下半期に一二%の増、こう見て五・四%にしました。今の消費者物価の二・八%は、三月、四月からずっと消費者物価が横ばいのときに、前年に比べますともう二・八%より上になっておる。これは暦年度と年度と違いますが、三、四%くらいにこれからの横ばいでもそうなってくる。これは今の自由主義経済のときにいろいろな見込みをやりますが、九%で抑えようとしても名目的には一五・六%もいく。だから私は二、三カ月前に、あまり数字のことは言わない、こう言っておる。実際にそうなってくるのです。だからこういうことはあまり数字にこだわらない。福知山でも、こうなってきたときに、五・四%を三%に変えますかと言うから、私はそういうことは言わない、こう言った。これからのことはなかなかわからない。ただ考え方としては、行き過ぎはいけないということを言っておる、だけです。そうして消費者物価もこれから下げる、こう言っておるのであります。  土地の値段の問題につきましても、土地の造成その他で施策を今考えております。また電気料の値上げも、通産大臣もおられますが、私はまだ聞いておりません。今私が一番頭を悩ましておるのは、私鉄運賃の値上げをどうするかということで、これは今検討いたしておるのであります。  それから藤山発言でありますが、何も閣内の不統一は全然ない。言い方が違うだけであります。われわれも通産大臣を初めとして、設備の行き過ぎは抑えなければならない。これはデフレ政策というのじゃない。行き過ぎを調整しようという調整政策であるのであります。閣内の不統一は全然ない。御心配は要らないと思います。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 最後に要望だけ……。
  27. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 もう時間がきておりますので……。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 時間が来ておりますので、これでやめますが、数字に強い池田さんが数字にこだわらないとか、やはり少し強気ですが、経済政策に誤りがあったということは、どうやら腹の中ではお認めのようです。これ以上は言いません。閣内の意見の問題はこれ以上追及いたしません。またの機会にいたします。  そこで希望しておきたいことは、消費者行政という立場に立って。総理が今までの施策を振り返って反省をして、前向きの姿勢でやっていただきたいということであります。
  29. 池田勇人

    池田国務大臣 誤解があるといけませんから申し上げますが、私は先ほど来申し上げましたように、高度成長政策は失敗ではない。これは日本民族の越えていかなければならない関所であります。それを越えることによって、よりりっぱな土地が見つかる。ちょうど昭和二十四年のときに非常な非難を受けました。二十八年のときにも非難を受けました。三十二年にも非難を受けました。私はこの非難に耐えて、そうして四度目のいわゆる経済発展のための施策を講じておるのであります。非難は甘んじて受けますが、今後の状況をごらん下さいましたら、おわかりだと思います。私は決して所信を変えてはおりませんということをここにはっきり申し上げておきます。  消費者行政につきましては、先ほど来言っているように、従来の、戦前また戦後の行政が、主として生産面に頭を使っておった。しかし、それでは高度成長した経済ではよくない。今後消費者関係の施策をやらなければいかぬ。そこで生活向上対策審議会とか国民生活研究所を設けて今後大いにやっていこうとしておることを、ここではっきり申し上げておきます。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 三十分程度ということでこちらは紳士ですから守ってきたんですが、どうも議論の途中で別れることになって、最後は総理が言いたいことを言って、こっちは逆に言えないということは、これはどうも片手落ちなんで、今後一つ考えていただきたいと思います。  そこで法制局長官総理につきまとうのがあれか知らぬが、とにかく総理が出たので帰ろうとしているのですが、一つだけお伺いしておきます。  本法の十一条なんですが、これは行政不服審査法の適用除外の規定なんですが、そこに「(昭和三十七年法律第  号)」となっているのです。これは現在当議院において審議中なんで、これが通れば入れると、こういうことだと思うのですが、法律の格好として、これが空白のままにわれわれは採決できるかどうかということをちょっと考えておるわけなんですが、この問題は一体立法技術からいってどうなんです。さらにかりに行政不服審査法が今国会で成立しなかった場合はどうなるか。この条文は死ぬのか、削除するのか。私内閣委員会の方とも連絡をして聞いてみました。どうも今国会中で必ず上がるという保証もないようでございます。その場合に、こういった条文を置いておくこと、これは一体どういうことになりますか。
  31. 林修二

    ○林(修)政府委員 これは純粋に実は立法技術の問題で、いろいろ考え方がある問題でございます。御承知のように、行政不服審査法案をこの国会に出しておりまして、しかもこの法案より先に出しております。政府といたしましては、当然に行政不服審査法案国会を通過するということを前提として出すのは、これはやむを得ないことと思います。そこいらは実は国会の御判断によることでございますけれども、立法技術としては、やはり行政不服審査法案政府が出しております以上は、やっぱりこれは通るという前提で、しかもそれを前に出しておりますから、それを前提としておかなければならぬということは、立法技術としてはやむを得ないと思うのでございます。ここで法律の番号が空欄であること、これは成立しておりませんものでこれも書きようがない。書きようがないので、従来これは田中先生よく御承知だと思いますが、こういう場合には、成立すればそのときに自動的に番号が入るという建前でやっておるわけでございます。それで、その点は従来の立法技術で、ずっと国会で御承認を願っておりますので、特にこれだけを別な取り扱いをしたわけではないわけでございます。その点は御了承を願いたいと思うわけでございますが、ただ問題は、今、内閣委員会でこの行政不服審査法案が審査されておりますが、政府といたしましてはもちろん通ることを希望いたしております。この法案は御承知のように、古い訴願法を全面改正して、いわゆる行政処分に対する不服申し立てを整備しようというので、内容も実は相当民主的にしたもので私たちおそらく通るであろうと確信はいたしております。しかし、もしも通らなかったらどうするということでございますが、通らなければこの法律がないわけでございますから、この条文は動かないということにならざるを得ません。それで、それは不体裁じゃないかという御議論はあるかもわかりませんが、これは実は同じ国会に関連する法案が幾つか錯綜して出る場合には、どうもある程度やむを得ないことで、最終段階において国会においていろいろの御修正の手続があれば別でございますけれども、提案としてはどうもこういう形でやらざるを得ない、万一通らなかった場合には、この条文は動かないということにならざるを得ない、まあ割り切って言えば、そういうことになります。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ、こういう出し方は前例がある、現在においてはこれより仕方がない、もし行政不服審査法が通らなければ、十一条は動かない条文として残るだけだ、来年通ったら改正案を出して、三十七年法第何号を三十八年法第何百何十何号と入れる、こういうことですか。
  33. 林修二

    ○林(修)政府委員 まあ結論は大体そういうことに相なります。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっとおかしいが、これはまた国会においてということだから、そういうふうにいたします。  次に、経済企画庁長官はどうしていますか。質問の順序は経済企画庁長官のが順序になるのですが、おいでにならないので、偉い順序ということにして、次は佐藤通産大臣にお伺いいたします。  先ほどちょっと触れておりましたが、この不当景品類及び不当表示防止法、これは相当通産省の方において難色を示された、こういうことを聞いておるのです。この法律の当初案には、あらゆるものに表示義務をつけよう、こういうような考え方が出ておりましたのが、通産省の反対によってついえ去ったと聞いておるのです。大体通産大臣としては、あるいは通産省としては、この法律をまま子扱いというか、冷たい目で見ておるのではないか、こう思うのですが、いかがなんですか。
  35. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま田中さんから、通産省は反対だったというお話ですが、実は私の耳に入っていないものですから、公取の佐藤さんに聞いたのですが、通産省は反対したが、何か権限上の問題で少し異論を唱えたということでございます。私自身の耳に入らない程度でございますから、そう御心配になるような筋のものではないと思います。私自身は、参議院の予算委員会で、この種の法案の扱い方について、民社の赤松議員から聞かれました。実は私はこの種の法律案は強く賛成なんです。不当の広告、これはもう取り締まるべきだ、こういうお答えをしたのです。その後、与党内でもこの法律案の原案を得ることになりまして、大体希望の、また期待するような法案になった、かように考えておりますので、ただいま御指摘の通産省が反対している云々は、いわゆる法案審議といいますか、その立案の過程におきまして、あるいはその字句なり権限なりについて、各省がいろいろ主張することがあるようですが、そういうように御了承いただいて、法案自身の精神に反対しているものではない、これは一つ誤解のないように願いたいと思います。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣、そういうようにおっしゃいますが、これは大臣が聞いておられたか聞いておられないか、それは別といたしましても、通産省当局からものすごい反対があったということは事実なんです。なるべくならこれは日の目を見ずに殺したい——最後に通産省公正取引委員会との間に覚書を交換して話がついたと聞いておるのです。その覚書を一つ公表してもらいたいと思います。
  37. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 ただいま大臣が答弁されましたように、法案提出する前の段階におきましては、通産省の所管に非常に関係がありますので、いろいろの点で公取と折衝した事実がありますことは、間違いのないことであります。ところで、実際はその後の公取と通産省との話し合いで、われわれと公取との間には完全に了解点に達して法案提出になったわけでありまして、現在の法案の成立について通産省がどうこう言うということは全然ないわけであります。その問題にしました点は、いわゆる懸賞規制の趣旨はけっこうでありますけれども、画一的な規制では困る、商品別に基準があるべきではないかということをわれわれの方は公取の方に強く要望いたしたわけでありまして、その点は公取の方もこれを了とせられまして、そういうふうの趣旨に表現を改められたわけであります。  そのほか広告自体につきましては、通産省が所管をしておるわけでありますが、広告業界で最近ようやくいろいろの関係団体が協議会等を設けまして、自主規制をする運びになって参りましたので、その成果を見きわめた上で法的な措置をされたらいかがかという点を申し上げたわけでありますが、ただいまも大臣の答弁にありましたように、いろいろの点で広告行き過ぎ等がありますので、その意味において、われわれの方は、最終的にこういった規制が行なわれることもやむを得ないということで了承いたしたわけであります。  通産省と公取との間の覚書でありますが、これは大臣の御答弁通りで、大臣にまではあげておらないわけでありまして、私の段階で公取の事務局との間に覚書を交換いたしました。覚書の交換というのは、いろいろの法律につきまして、運用上それぞれ話し合うことがあるわけでありまして、こういったことをここで申し上げるのはいかがかと思いますが、覚書の内容は四点ございます。第一点は、商店街、同業組合の行ないます懸賞販売につきましては、規則の特例を設けることというのが第一点であります。第二番目は、商工組合の調整規定の認可と公取の取引規約の認定とが重複しないように配慮するということが第二点であります。第三番は、この法律の指定、制限、禁止、認定等につきましては、通産省に事前に協議をしていただくというのが第三点。第四点は広告表示等に関する通産省の権限はこの法律によっては変更されるものでないという四点についての覚書を交換したわけであります。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 通産省側としてはなかなかりっぱな一札をとっていると思うのです。さすがに実力局長だと思うのです。  それはそれといたしまして、先ほどの話にもありましたが、いわゆる業界の自粛機関と称して、全国広告協議会というものができたことは知っております。しかし、これはあなたが言うように、業界で広告を自粛しようというのが目的ではなくて、この法律に反対するためにできた業界の団体なんです。それをあふったのは通産省なんです。いかがですか。
  39. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 決してこの法案に反対する期成同盟式な考え方で作ったわけではありませんので、従来広告についてはいろいろの過大あるいは欺瞞広告というようなものが横行いたしまして、消費者に迷惑をかけておるという事実がありますので、広告主あるいは広告の媒体等が寄り合って、いわゆる広告の倫理綱領というものを作って、これを業界の自粛によって一つ問題を起こさないようにしていこうじゃないかという話し合いが、自然発生的にできたものでありまして、通産省が当法案に反対するために云々というようなことは、全く事実無根であります。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 そのくらいにしておこうと思うのだが、この協議会は実際今まで何をやってきたかというと、この法律成立に反対をした、これが今日までのこの協議会の唯一の行動なんです。それだけは事実なんですから、認めてもらわなくちゃならぬと思うのです。  それから三年ほど前に通産省広告法というのを考えられた、こう聞いておる。いわゆる許可、認可とかあるいは規制、取り締まり、こういうことを考えておられたようですが、この広告法案なるものが日の目を見なかったのは、どういうわけですか。
  41. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 初めの広告協議会につきましては、昨年発足いたしまして、ただいま私が説明しましたように、業界が自主的に広告の倫理綱領をきめてやっていこうという、いわゆる自主的な運動を展開しようというやさきに今度の法案が出たものですから、その意味においていわゆる自主的運動を展開しようというときに法的規制をやられるのはいかがかということで取り上げた問題が本法案に反対だったということが、事実上、時間的にそういうことになったと思いますが、決して広告協議会自体は本法案に反対するために成立されたものでないことをもう一度申し上げておきます。  広告法につきましては、通産省の事務官レベルで議論されたことはありますが、省としてあるいは局としてこの問題を法制化しようというような取り上げ方をした事実はありません。
  42. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 ちょっと田中さんに申し上げますが、文部省から上野初等教育課長、大蔵、運輸、建設、公取、農林、それぞれお越し願っておりますのでどうぞ。
  43. 田中武夫

    田中(武)委員 時間の関係もあるから、これで佐橋さんのことについては御信用しておきましょう。  通産大臣の時間の関係もあるようでかすら、大臣にお伺いいたしますが、この過大懸賞販売というやつ、ことにトリスでハワイへといったような、あるいは何百万円といったような見たこともないような賞品をつけるということ、こういうことができ得るのは大企業なんであります。従いまして、今日までのこの広告あるいは懸賞のやり方は、大企業が自分のためにやっておる。これは広告ですからその通りでしょうが……。その限りでは中小企業はそれはやれない。従いまして、中小企業政策の面からも過大広告あるいは過大懸賞販売というようなものは考えねばならないと思いますが、いかがでしょうか。  もう一点、この過大広告あるいはこれは安売りに関する広告ということにもなりますが、これは小売商の過当競争を誘発いたします。従いまして、小売商業調整特別措置法の観点からいきましても、小売商の過当競争排除の面からも考えねばならないと思います。  第三点、政府は自由化を十月から踏み切ることになっております。すでにだいぶ自由化されております。この自由化対策との関連においてもこれを考えねばならない。たとえば自由化になれば外国の大きな会社が乗り込んできていろいろと宣伝あるいは懸賞をつけるであろう、こういう面からも過大広告、過大な懸賞販売は取り締まる必要があろうと思いますが、以上三点についてどのように考えられておるのか、また対策としてお持ちでありましょうか。
  44. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど総理からもお答えしましたが、PRの必要なことは、これはだれしも異存はないだろうと思います。ただ行き過ぎたりあるいは事実と違ったりするところに問題があると思います。その意味では大企業は大企業なりに、また中小企業は中小企業なりにPRをしておることは御承知の通りでございます。いわゆる過大広告なるものは、中小企業においてはできないだろうと思いますが、PRは中小企業も適当にやっておる。これはテレビをごらんになりましてもあるいはラジオをお聞きになりましても、そういうのが出ております。日々の新聞広告等を見ましても、大企業に限るものではないと思います。むしろ特殊な過大懸賞というものは中小ではやれないだろう、それは御指摘の通りだと思います。だから私どもPRという点では、そういう意味では、同じように産業に機会を提供すればよろしいし、そうしてその行き過ぎは押える、こういうことでなければならぬだろう、かように思います。  また第二の点で、中小企業の問題ですが、中小企業もただいま申し上げるように適当に利用しておると思います。その範囲においては、とやかく言うべきではない、むしろ新しく産業を興す場合に、PRは必要だろうと思います。どこまでも行き過ぎは困るということであります。またこのPRの結果が競争を誘発するという心配がある。これももちろんそういう御懸念があるだろうと思います。だから自由競争の場合において、これが適正に行なわれる場合には望ましいことだと思いますが、いずれにしても行き過ぎはどれもよろしくない、かように実は思いますので、そういう点の指導をしたいと思いますのが本来の趣旨でございます。また先ほども消費者行政のお話が出ておりますが、私どもは一面業界自身に対して、ただいま申すような適正なPRをすることを指導いたしますが、政府政府なりにたとえばJISマークを設定するとか、あるいはまた品質表示法を皆さん方の御審議をいただくとか、そうして適正な信頼に足る品物を勧めて、消費者行政を正しくするというか、消費者利益を十分保護する、こういうような立場をとっておることも御了承いただきたい。
  45. 田中武夫

    田中(武)委員 要は中小企業対策あるいは小売商業の過当競争に対する排除あるいは自由化問題にまで考えていかなければ広告というものは大へんなことに相なる、こういうように考えておるので、大体大臣御了承のようですから……。  それからもう一点ですが、日本消費者協会というのがありますね。これは日本生産性本部の後身として残っておるわけなんですが、通産省からわずか百万円程度だと思うのですが、補助が出ておる。これをもって消費者のためのものだ、こういっても、それはそうでなくて、これはむしろ先ほどから言っておる業界のための存在なんです。労働組合でいうならばむしろ御用組合だ、こう思うわけなんですが、この日本消費者協会へ通産省はわずかでも補助金を出しておるんですが、そのあり方及び今後の指導をどう考えておられますか。
  46. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 日本消費者協会について補助金を出しておる、それで消費者行政は万全だ、もしかように申したら、いわゆる過当広告で取り締まりを受けると思います。(笑声)そういう意味でそういうことは申しませんが、私はこれは一方大きな前進ではないかと思います。年々その事業範囲も拡大されるようでありますし、またいわゆる中産階級以下の大衆もこういう制度のあることを一つ御理解いただいて御利用を願うようにいたしたいものだと思います。この点は参議院の予算委員会で詳細にわたって御質問を受けたのであります。あるいは構成人員あるいはまた発会式を挙行した場所が不適当だとか、その値いろいろお話を伺ったのでございます。もちろん今後そういう点を参考にして、本来の消費者行政のあり方を、こういう機関も通じて——こういう機関もですが通じて、一般の理解を得るように深めていきたい、かように考えております。
  47. 田中武夫

    田中(武)委員 通産省に対してはまだいろいろ質問がありますが、大臣は何か琉球の太田主席との会談の関係があるそうですからまたの機会にします。——けっこうです。あとは実力局長に残っていただきます。(笑声)  そこで、佐橋局長、まことに済みませんが、あなたこの委員会関係者ですから、一番あとにしていただきまして、そこにずっと大臣に来てもらうことにしていたのが、政府委員の方が見えておりますので、順次一省ずつ片づけていきたいと思います。  まず農林関係、前に出て下さい。——実は悪趣味でそのように各省を並べたわけではありませんので、これは本会議質問の予定であったので、十人の大臣を要求しておいた。そういうことで各省に来ていただいたので、御了承願いたいと思います。そこで農林省にお伺いいたしたいのですが、その第一点は、行き過ぎ広告あるいは過大な欺瞞的な懸賞広告、こういうようなもので純朴な農村の人たちがあるいは通信販売とか何とかいうようなことで大へんな犠牲をこうむっておる。この事実はお認めになると思うのですが、この法案並びに広告のあり方等について純朴な農村の人たちを守っていこうという農林省の立場から、どのように今後考えておられるかという点が第一点。  もう一点は、農林物資規格法というのがあります。その法律の第八条でいろいろ規定をいたしており、そうしてその政令によってジュースとかカン詰とかいろんなものが指定せられております。俗にこれをJASマークといっておるそうですが、今日までこのJASマークの運用はどのようになっておるのか。そうしてこの農林物資規格法による規格と違ったものを規格としてやった場合には、どういうような取り締まりをしてきたのか、そういったような点についてお伺いをいたします。
  48. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 関連して農林省にお伺いしますが、これは誇大広告その他の取り締まりに重点を置いた法案である。私はその一つとして広告に連関したことですから、PRに連関したことですから、特に農林省にはっきりお答えをいただきたいと思うことは、今のように大企業と農業との関係が非常にアンバランスになってきた段階では、農林省も流通過程の合理化ということを言っておりますが、私は今までいろいろと農民のことをやってきて感じておることは、農畜産物の市場におけるいわゆるPRなりなんなりというものが非常におくれておる。しかも実際にはこれを実施する機関というのがほとんどない。従って、これはどうしても国なりあるいは府県なりというものが何らかの援助をして、農畜産物のPRをもっと大企業と太刀打ちできる程度にやって参らなければ、これは市場でもってどうしても農民たちはごまかされてしまう。この点において非常に不利をしておる点が多いのが実情であります。  そこで、私は農林省にお伺いいたしますが、今まで農畜産物、特にこれからの畜産物並びに果樹その他についての宣伝あるいはPRについては、どのように農民ないしは業界に対して指導しておられるのか、あるいは農林省が前向きでそれに対して今までどの程度の補助なり援助なりをやっておるのか、あるいはそういうものを今後どうやるつもりであるか、この三点を、この法案とは直接関係はありませんけれども、明確に一つお答えをいただきたいと思います。
  49. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 先ほど総理あるいは通産大臣の方からもお答えがあったように、農林省におきましても、過大なる広告については農民の立場においていろいろ支障がございます。そこで従来は御承知の通り肥料とか農薬等については相当以上の厳格な法律を作っておりますけれども、今回農機具についても、従来はある程度役所の行政指導にまかしておって、やや野放しの状態にありましたのを、特に農機具についての法律案を制定いたしたいと考えて、先般衆議院においても通過をいたしたような状態であります。  なお、農林物資のうちで、先ほど来御質問があった農林物資規格法の問題でありますけれども、これは昭和二十五年に制定をせられましてから漸次改正をせられておりますけれども、特に昭和三十五年度においては従来の格付制度に改正を加えて、工場製品については、いわゆる新しい格付の方式の制定を採用いたしております。ところが最近におきましては、例の牛カン事件というのがございまして、消費者の方々に非常な御迷惑をおかけいたしたようなことにかんがみて、いろいろ農林省においても検討の結果、これの法律を作って、相当強い規制を加えたらどうだろうかというような議論もございましたけれども、最近工場等が合理化されて、新しい製品あるいは優秀な製品が相当多量に生産されておるというような状況にかんがみまして、そこまでの規制を加えるということはいかがであろうかということに結論いたしまして、特にえさの法難等もございまして、御承知の通りえさの法律案におきましても、農林省の規格をつけたいものはつけなさい、試験を受けたいものは試験を受けなさいというような方向で、漸次消費者の方々の関心を強めていきたいということにかんがみて、農林物資の規格法につきましても、今回の改正案におきましては一応従来の通りの方式を継続することに相なりまして、そういう行政指導の面から進めて参りたい、かように考えております。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 純朴な農民を守るという立場から、広告をどう見ているか。
  51. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 それは大臣の方からいずれお答えがあると思います。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣は来るんですか。
  53. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 きょうは参りません。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣が来て答えなければ、この法律案は通らないですよ。
  55. 松岡亮

    ○松岡説明員 第二、第三の点にも関連いたしまして私から一つ具体的に申し上げます。  消費者、これは農村の方も含めて、消費者に対する日本農林規格、JASのPRをどうやっていくかということを申し上げます。予算につきまして今資料を持っておりませんので、大体どういうやり方をしているかということを申し上げまするが、まず直接的には都道府県を通じまして農林規格の制定、内容等についての普及をはかっておるのでございます。さらにラジオ放送、これには相当補助金を出しておりまするが、ラジオ放送を通じまして、特に農村に伝達しやすい時間を使いましてラジオ放送で農林規格の普及をはかっておるのでございます。それから都道府県を通じます場合も、都道府県の生活改善指導員等を通じまして、どういう農林規格をつけられておるか、こういう点について、できるだけ広まるように努力いたしております。そのほか農林省が発行しておりまするいろいろな雑誌等、これはすべて農協や単位農業団体まで配っておりますけれども、それらにも必ず掲載しまして普及いたしております。そのほか、間接にはJASを制定いたしますつど、新聞あるいはHNK等のテレビラジオの協力をいただきまして、その趣旨とそれから内容等について一般の理解を深めるように努力をいたしておるのでございます。なお、今回公正取引委員会の方から出されました法案によりまして、さらに日本農林規格とその表示が一致して実施されますように、さらに万全を期して参りたいと考えておるのでございます。
  56. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 もう一度中馬さんに申し上げますが、私の言っているのは農林物資の規格——農林物資というのはつまり農民が買う方のものでですが、農民の売る方のものに対する宣伝というのが、ほかの製品についても非常に立ちおくれをしておる。ですから、値段をたたかれる、あるいは不当に上げられる。流通過程の合理化だけではだめなのだ、ほかの宣伝が非常に進んで参りましたから……。ところが農畜産物については、水産物も含まれますが、ほとんど宣伝というものが適切に行なわれておらない。わずかに原料になって、つまり食品工業の原料になっておるその製品についての宣伝はある。しかし、そのもとになるものについてはほとんど宣伝がない。しかもこれを担当し得るような団体が今の段階では十分育っておらない。ですから、これに対して農林省は、この宣伝の立ちおくれを今までどういうふうに指導してきたか、そのための予算をどのくらい使っておるのか、これからこの農畜産物、水産物の立ちおくれた宣伝をどういうふうにやっていくのか、これを聞いておるのですよ。農林規格物資だけではないのだ。
  57. 田中武夫

    田中(武)委員 うしろの方で私の意見と久保田さんの意見が食い違っておる、こういうようなことを言っておりますが、それは農林物資規格法の施行令第一条で指定しておるわけなのです。その中には農民の生産するものと、それを原料として大メーカーが作るところのジュースとかアイスクリームとかあるいはカン詰とか、バタ、ソーセージ、こういったものが入っておるのです。従いまして、この農林物資規格法の運用及びこれに関する宣伝については二つの見方がある、これは当然でありますので、そういうように分けて一つ考えていただきたい。決して意見が違っておるのではありません。
  58. 松岡亮

    ○松岡説明員 ただいま田中先生のお話がありましたように、農林規格におきましても、生産者としての農民と消費者としての農民と両面の保護の問題がございますが、農林規格の力で現在指定品目になっておるのは四十六品目、さらに規格を設定されておりますものが百四十五品種ございますが、そのうちで農民の生産するものにつきましては、これはほぼ農村でよく規格が知られておりまして、取引の基準として採用されておるのでございますが、加工食料品、ただいま御指摘のありましたジュースとかハム、ソーセージ等につきましては、これは一般の消費者と同様、農村にどう普及するかということが相当な問題でございます。それで先ほど申し上げましたように、これはまだ必ずしも十分とは申し上げられませんけれども、直接に都道府県とかあるいはラジオ放送、都道府県の生活指導員というようなルートを通じまして、その普及をはかっておるのでございます。  それから久保田先生の御指摘になりました問題はちょっと性格が違いますが、これはおそらく農産物、特にくだものとか畜産物、そういうものをどうやって一般の消費者宣伝して、その販路を広げるとかという趣旨の御質問だと思います。この点につきましても決して十分とは私ども考えておりませんが、まず申し上げなければなりませんのは、第一に流通されております農産物の取引額の約七割に相当するものは、政府価格支持をやっております。従って、その直における生産者の保護は行なわれておるのでありますが、しかし、畜産物、園芸農産物等については、さっき申し上げました放送その他によって、できるだけ消費を広げるように、これには相当補助いたしておりまするが、今せっかく努力をいたしております。そのほか消費者といいますか、原料として使いますメーカーとの協議会を開いて、その取引を円滑にさせる、知事のあっせんによってその調整をやる、そういうような措置をとっておるのでございます。
  59. 田中武夫

    田中(武)委員 第一点の過大広告一般についてどうですか。
  60. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 従来農林大臣におきましても、主として農村団体である農協等を中心として、常に団体の方々は呼びかけて、過大広告についての不当なる流通等についての規制を加える。あるいはまた都道府県特に農業改良普及員あるいは生活改善普及員等を通じて、農民に対しては過大広告に惑うことがないように指導を加えております。
  61. 田中武夫

    田中(武)委員 答弁がなお不足であります。  そこでもう一度申し上げますが、過大な広告あるいは通信販売ということで、詐欺行為にひとしいようなことが横行しておるわけです。大体通信販売のこの種のものにひっかかるのは、農村の人の方が多いわけです。こういうことについて過大、欺瞞あるいは詐欺的広告を、農村を守るという立場から農林省はどのように考えておるのか、こういう質問なんですが、よろしいです。あらためて文書で、こうやっておりますということを出して下さい。時間がありませんので、そういうようにいたします。それでは農林省はけっこうです。  次に、建設大臣が見えましたから、先に建設大臣にお伺いいたします。時間の関係もありますから、この際聞くものは固めて聞きます。従って、固めて答弁をいただきたいと思います。大臣は今突然に入ってこられたのでどうかと思いますが、不当景品類及び不当表示防止法という法律を今当委員会審議しております。その第二条に定義というのがあって、この法律の対象となるものは「不動産に関する取引を含む。」ということになっておるのです。  そこで、あなたにお伺いするわけなんですが、今日土地の入手難ということが一つの大きな経済発展を妨げておると思うのです。特に住宅敷地を手に入れるということは、大きな困難になっております。そこにつけ込んでいろいろないわゆる欺瞞、過大な広告をいたしております。ここに持ってきたのは一カ月に出たところのこの種の広告なんですが、大体金曜、土曜に配布するのです。そして日曜とか土曜日にサラリーマンがここに連れられてくるようになっておるのです。またお読みになったかどうか知りませんが、四月七日の朝日新聞の夕刊ですが、「うっかり行けぬ土地さがし」という見出しで、駅から七分が何と車で四十五分もかかる。ガス、水道、電気すべて完備しておるというが、行ってみたら、どの辺にも電線もなければ、ガス、水道なんかなおさらのことです。そうして自動車に乗せて連れていって自動車代をおどし取るとか、あるいはだまして、あるいは強制的に手付金を取る。契約書のうしろに小さく解約したときは手付金を取り上げるとかなんかと書いてある。それをたてにおどすとか詐欺をするとか、こういう行為が横行しておりますことは御承知と思います。従って、この種の広告ぶりを見ても、どことも書いてない。駅から七分とか五分とか、こういうような広告の乱発といいますか、こういうものに対して建設大臣はどのように考えており、今後どうしていこうとしておるのか。今まで一体こういう実態に対してどうしてきたのか。  さらにもう一点は、先ほど申しましたように、土地の値段がどんどん上がっておる。これは二年も前からわれわれは盛んに言っておるのですが、いわゆる土地の価格というものについて何らか行政的な政策を打ち出すべきである、必要ならば法律を作るべきである、こういうように主張してきておりますが、そういう点についてまだ政府としての、あるいは建設省としての意見を何ら聞いておりませんが、それをどのように考えておられるのか。  それから買い入れだけでなくて、いわゆる賃貸借等の場合にも変なことがたくさん行なわれております。これも一々あげなくてもよいと思います。これは新聞あるいは週刊誌で取り上げた事実がたくさんあります。そういうようなことについて、建設大臣の御所見と今後の対策、並びに今まで何をしてきたか、こういう点についてお伺いいたします。
  62. 中村梅吉

    中村国務大臣 御指摘の通り、土地販売業者の目に余るような広告が非常に横行しております事実は、私どもも毎日の新聞を朝あけてみますと、今お示しのような広告がたくさん出ております。また現に私どもの身内でも、新しく子供が世帯を持ちたいということで、この新聞を見て各地を案内された人がありまして、行ってみますと広告とはまるきり違う。買える地所は一つもない。また私の知り合いのある人は、行ってみたが、非常に景色がいいところに駅から自動垣で連れていかれて、しかもその日にどうしても買わせるようにうまく持ちかけられたので、手付金をもって買ってきてしまったが、あと考えてみると、あれはやめればよいと思ったが、まああそこまで行ったんだから仕方がない、将来のためと思って買っておきました、というようなことも聞いておりますし、現実にあまり行き過ぎ広告が横行しまして、一般大衆が非常に迷惑しておることを私ども痛感いたしております。  そこで、問題の処理でございますが、建設省といたしましては、先年宅地建物取引業法を制定いたしまして、業者の登録制度をしいて、そうしてこういうようなことの規制の一助にいたしたいということで進めて参っておるわけでありますが、この登録は都道府県に扱っていただいて、都道府県知事が登録をすることにいたしております。そこで広告の取り締まりということは、今までどうしても既存の立法では方法がございませんで、今度幸い今御審議をいただいておりまする不当表示の防止に関する法律が制定されるようになって国会にも提案されておりますので、この法律ができますと、この法律でしっかり縛って規制していくことができるか、こう思いまして、この法律の成立を私ども大いに期待をいたしておる次第でございます。現状としましては、広告だけでは、どうも他にも相当行き過ぎ広告がたくさんありますので、不動産の業者だけ広告のゆえをもって処置をする制度もはっきりございません。そこで今のやり方としましては、そのために実害をこうむった人が現われて、監督者でありまする都道府県に申し出がありますと、これに対しては登録の取り消しの手続等をいたしまして、宅地建物取引業者としては、登録しておるということが一つの信用を得る道でもあり、また登録した業者には保証金を納めさせておりますので、登録の取り消しという道で牽制をしておるというのが現状でございます。ただそれならばもっとしっかりやったらばどうかという御意見もあり、われわれもそう考えておるのでありますが、新しい制度でございますので、各都道府県もたくさんの人員を持っておりませんので、届け出があったり訴えがあったものに対して処置をするという程度に現在はとどまっておる様子で、こちらから捜査をしまして、こういうようなものを取り消していくというところまでなかなか徹底をしないうらみは確かにあるわけでございます。この点は各都道府県を行政指導いたしまして、今後だんだんと強化して参りたいと思っております。  それともう一つは、実際に調べてみますると、登録をしていない業者でやっておるものが非常に多いようでございます。これらもこの法律の制定を見ましたならば、それと宅地建物取引業法との関係を十分につけまして、われわれとしましては今後努めて遺憾のないようにやっていきたい、こういう熱意には燃えておりますが、現在制度上非常に欠陥がありましたので、そんなようななことになっております。この今御審議をいただいておりまする法律の成立を私どもは非常に期待をいたしておるというのが現在の状態でございます。  それから第二点として御質問のございました土地の価格の問題につきましては、私就任以来非常に憂慮をいたしておりますることで、今国会にすでに法律は成立をいたしまして、その施行の準備中でございますが、宅地制度審議会を設けまして、ここにいろいろな問題点を付議いたしまして、今まで懸案になっておりますことを処理していきたい。実はこの点について建設省としましてはすでにあらゆる角度から研究をいたしまして、いろいろな問題点をしぼっております。一、二例をあげますと、土地が投機対象にされて、買い取っておいて値の上がるのを、空地のまま、使いも貸しも売りもしないで持っておる。あるいはまた、投機対象とまでいかなくても、大企業その他が将来を見越して、まあ土地を買っておけば損がないだろうということで、要するに投資の対象としておるということが、一般の土地の需要者の需要を一そう窮屈にするという事情にございますので、こういう問題の税法上の措置あるいはその他私権を、憲法の基本的な観念に照らして支障のない程度で、押えるのには、どういうふうに押えるかというような点等、いろいろ検討をいたしておるわけでございますが、これらは私権の保護との関係でもございますから、税に関しては税の権威者あるいは法律制度のいろいろの理論上の問題がございますから、法律の学者その他権威のある方々に審議会を構成していただきまして、ここに十分われわれが今までしぼってきておりまする問題点あるいは外国の立法例等を集めまして、付議して、ここで濾過をしていただいて、制度化していきたい、こう思っております。半面現在ある制度を運用して、いかに土地価格の高騰を牽制していくかということにつきましては、まず第一考えられますことは、住宅金融公庫に政府の財政資金をできるだけつけまして、東京で申しますれば、二十三区あるいは周辺の市町村、他の地域で申しますならば府県、市町村等の地方公共団体が、この低利の資金を住宅金融公庫から借りまして、宅地造成をしていただく、まあ見たところ腐ったような土地を安く手に入れまして、これを区画整理をし、道路、排水、下水その他の整備をしまして、原価で売却をしていただく、これをできるだけ広くしていく必要がある。また、住宅公団にも同様の宅地造成をしていただくというようなことを考えまして、三十六年度及び三十七年度はさらに大幅にこの資金のワクを広げまして、現在では、全国にわたりまして千何百万坪かの宅地造成をこういう道によって行ないまして、そうして利潤の加わらない安い宅地を公共の手によって分譲すれば、周辺の地価の高騰をある程度牽制できるのじゃないか、こういう考え方から、実は目下のところではそういうことに努力をいたしておりますが、さらに一歩進めて、宅地、土地全体についての制度的な検討をする、あるいは評価鑑定の制度等もわれわれ研究をいたしておりますが、まあいろいろ予想されますることを学識経験者の方々に付議して、そこで濾過して制度化していきたい、こう思っておるような次第でございます。
  63. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣がもう実情をよく御存じなんで、慎重に事を運ぶのもけっこうだが、早くやってもらわなければいけない、これを強く要望しておきます。  それから、大臣自体もおっしゃいましたが、どこそこ駅前地主何の何兵衛、あるいは所も何も入っていないのもおるわけなんです。これは明らかに登録業者でないと思うのです。こういうものに対しては、法律を待つまでもなく、現在のやつで直ちにやってもらわなければいけないと思います。  そこで、これに関連してだが、きょう警察庁来てもらうのを忘れておったのだが、法務省見えておりますね——来ていないですか。それではこれはあとにいたしますが、法源省と警察庁に、これはむしろ過大広告なんというのじゃなくて、詐欺行為だと思うのですが、直ちに捜査を開始しろ、こう言いたいところなんです。意見だけ申し上げましたが、建設大臣どうも御苦労さんでした。  次に厚生省にお伺いします。   〔委員長退席、長谷川(四)委員長代理着席〕  これももう時間がありませんから、一回聞くだけでいきます。薬事法の六十六条に、誇大広告の禁止という規定があります。この規定を今日まで厚生省はどのように運営してきたか。あまり運用せずに、空文に等しい存在ではなかったかと思うのです。今日医薬品等の広告には相当目に余るものがあります。従いまして、今日までのこの条文の適用及び今後これをどう活用していくかということ、それから今審議しておる不当景品類等の防止法案との関係をどのように考えるか、それが一点。  もう一点は、これは今なかったらあとでもらいたいのですが、この薬事法第六十七条の誇大広告の禁止に関連する政令はどのようなものが出ておるのか。これが載っておらないので、ちょっと検討してみたいと思うのです。この薬事法六十六条の違反に対しましては、八十五条四号で二年以下の懲役または十万円以下の罰金となっている。それからも先ほど要求いたしました政令違反に対しましては、八十六条の九号によって一年以下の懲役または五万円以下の罰金ということになっている。従って、六十六条違反が出た場合に、まずこの罰則が先にいくのか、それとも今審議しているこの不当景品類及び不当表示防止法が動くのか、その点について公取委員長と双方の御意見を伺いたいと思います。
  64. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 まず第一点でありますが、薬事法六十六条の誇大虚偽の広告禁止の規定でありますが、これは現在この規定に基づきまして適正広告基準というものを作りまして、それによってまず指導をやっておるわけでございます。この解釈というものは、具体的な問題として非常に限界点がむずかしい問題でございますので、私どもが中心となりまして適正な広告基準というものはいかなる範囲のものかということの基準を作りまして、それに基づいてそれに違反するものは強力な指導をして是正をしていく、そういう方策をとっておるわけでございます。さらに、その適正広告基準のもう一つ周辺として、業界自体で自粛規程というものを作っておりまして、それによってまず業界で自粛をする。それ以上に私どもで適正基準の違反があるかどうか、それがさらに悪質なものは法律の違反として処罰する、そういうふうな段階をとって現在運用しておるわけであります。  それでこの六十条とただいま審議されております不当景品類及び不当表示防止法案との関連でございますが、薬事法は御存じのように主として国民の保健衛生の上から見た虚偽誇大の広告基準でございますので、取引の問題なりあるいは経済的な問題としての虚偽誇大の広告の禁止ということは、薬事法の法規からも直接は運用できないわけでございまして、このたびこの法案が成立しますならば、経済的な問題、特に値引きなりあるいはその他不当の景品の問題なり、そういう問題があわせて指導なり取り締まりなりできるわけでございまして、薬事法の企図いたします六十六条の法の趣旨がさらに完全に実施されるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。この点に関しましては、公取の方とも十分な連携をとって、具体的な法の運営に当たりたいと思うわけでございます。  それから、六十六条とこの法案の処罰との前後関係でございますが、同じ行為がいずれに属するかということは、薬事法の精神からいきますと、品質の問題なり六十六条のこの医薬品の品質規定から見た違反広告というふうなものは、むしろ六十六条の法律違反とし一週目があると思いますが、こちらの不当景品類及び不当表示防止法法律違反というものはその観点が違うわけでございますから、具体的には同じ事犯が両方から処罰されるということもあり得るかと思いますけれども、その点は別に私どもとして法の運営上支障がないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  65. 小沼亨

    ○小沼政府委員 ただいまの厚生省の局長のお答えの通り、六十六条との前後関係でございますが、六十六条で厚生省で処罰の対象になるというものについては、本法の六条の排除命令を出す必要がないということになってくるし、六十六条でおやりになれないもので、どうしても排除命令を出さなければならないものがあれば、今度の法律で排除命令を出す、こういうことになります。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、まず医薬品等については薬事法が先に働くんだ、こういう趣旨なんですね。あるいは二つの罪が競合する場合もある、そういうふうに理解していいのですね。  それから厚生省にもう一つ聞いておきたいのですが、さっき六十六条を言ったのですが、六十七条の広告制限もありますね。そういう政令とか基準、これを、きょうなかったら、あとでいただきたい。  それか薬の乱売問題が相当話題を呼んだことは御承知の通りでありますが、これは誇大な広告といいますか、そういうことになろうと思うのです。これはむしろ六十六条の方で何とかなるのじゃないか、こうもすら考えておるのでありますが、今の御答弁によると、まず業者の自粛あるいは行政指導ということで、六十六条ないし六十七条は動いていない、こういうことを認められたと思うのです。そういうことだからこういう状態が起こるのです。  もう一つは、一般の大衆食堂、こういった食堂も厚生省の管轄であろうと思うので、ついでにお伺いしておきますが、ショー・ウインドーには大きなカツが出ておる、あるいはいっぱい飯が盛ってある。ところが実際入ってみると、量は半分であり、質も悪い。それは見ただけでは質はわからぬが、どうもそういうのが多いのですよ。こういうのも誇大表示だ、こういうように思うんだが、そういう点について厚生省並びに公取の御意見を伺いたいと思います。
  67. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 第一点の、薬事法とそれからこの法案との競合の問題でございます。これは公正取引委員会からも御答弁があるかと思いますが、私の方の考えは、これは薬事法の法の運営からいいまして、主として薬事法で規制をするのが最も先行すべきものじゃないか、しかし、法の規制の観点が違うわけでございますので、この点に関しましては、この法案の成立過程におきまして、公取の方と十分連絡いたしまして、公取がこの法案の運用をされる場合にも、事前に厚生省の薬務局の方と連絡をして、適正な運用をはかっていただくようにいたしたいと思います。  それから第二点の六十七条の政令の問題でございますが、この政令は、政令で定めるガンその他の特殊疾病ということで、その病名を書いておるわけでございます。簡単な政令でございまして、悪性腫瘍その他をその中に追加しておるだけの問題でございます。  それから、薬の乱売と六十六条との関係でございますが、六十六条はあくまで医薬品の品質、効能、そういうものに対する誇大、虚偽の広告の規制でございまして、乱売というようなものは、むしろ価格というような問題が、割引その他で大きく宣伝されている、これはむしろ今度のこの不当景品類なり不当表示防止法案によってその取り締まりが完全にいけるのじゃないか。私どもは六十六条で規制ができない点をこの法律によって規制をして、両方相待って乱売の対策にも役立つのじゃないか、かように考えております。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 今まで乱売問題はどういう対策をとってきたか。
  69. 牛丸義留

    ○牛丸政府委員 今まで乱売問題は、むしろ乱売品として流通している医薬品が、どういう経路を持って入手されたか、それがたとえば規格外の品物とかあるいは使用期間がはずれているようなものとか、そういう医薬品の品質の不良というものを媒介として監視をしておって、どうしても乱売そのものに対してずばり薬事法の規制ができない、そういううらみがあったわけでございます。その点は今度の法案の成立によって十分な規制ができるようになるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  70. 五十嵐義明

    ○五十嵐政府委員 大衆食堂についてのお尋ねでございます。私ども食品衛生法の立場から、飲食店の許認可あるいは衛生指導、指導取り締まりをやっておるわけでございます。これは食品衛生法の立法の趣旨から、公衆衛生上の建前で、飲食による危害を防止するという観点から指導監督をやっておるわけでございまして、そのショー・ウインドーの品物と実物との差というようなことがもし問題になりますれば、むしろただいま御審議いただいている法律で問題とすべきじゃないか、かように存じます。
  71. 小沼亨

    ○小沼政府委員 薬事法との関係でございますが、この点につきましては、両方が競合するということもあり得るかと思いますが、先ほど申し上げましたように、食品の品質、内容等に関して薬事法に反するというものにつきましては、やはり薬事法に優先していただく。薬事法でどうしてもできないものにつきましては、われわれの方で排除命令、かようなことになっております。  それから食堂の表看板と中身の違いというものは、やはり表示で実際のものよりも優良であるように見せるというようなことで、当然この法律にひっかかる問題もあろうかと思います。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 厚生省が薬事法だけで今の乱売という問題は取り締まれないのだという、法律の建前はそうかもしれませんが、しかし、あなたの方の所管のこういう問題について、適切な行政措置をまず打ってもらわなくちゃ困る。この法律だけにたよる以前に、やってもらいたかったと思うのです。それからこの法律の立案過程にあって、最初は厚生省は多分この六十六条等の規定があるからということだと思うんですが、薬品はこの法案不当景品類その他のこの法案の対象外に置け、こういうことを主張せられたと聞いておる。そういうことじゃ困るので、今後そういう問題について六十六条の発動ということは厳格にやってもらわなければいけない。同時に公取委員会とも十分な連絡をとってもらいたい。それから公取委員会は何も原局にそう遠慮する必要はない。びしびしとやってもらわなければ困る。そういうことを希望いたしておきます。それでは資料だけをあとでもらうことにして、厚生省けっこうです。  それでは、今度は大蔵政務次官に、簡単に並べて質問をします。  証券取引法の五十八条は不正取引行為の禁止というのがあります。昨年十月ごろにはいろいろ株価の問題その他で物議をかもしました。従って、その過程にあっては、五十八条が動かねばならないような事態がたくさんあったと思う。それに対してこの法律の五十八条は、一体大蔵省はどのように運営したか、これをお伺いします。  それからもう一つは、これはさっきの厚生省と同じ答えになろうかと思いますが、同法百九十七条二号によって五十八条違反の行為は三年以下の懲役または三十万円以下の罰金となっておる。この場合と、この不当景品類及び不当表示防止法との関係。  さらにもう一点は、いろいろとみやげものとか名物、これの原産地が問題になります。たとえば、酒を例にあげますならば、私は兵庫県なんですが、灘という字をよく使う。灘の生一本と言います。一体灘というのはどこをさしておるか。どうもわれわれの郷土を乱用してもらったら困るのです。こういった産地の虚偽表示というのがたくさんあります。ことに酒においてはそういうのが著しい点があろうと思いますが、こういう点についてどういう取り締まりをしてきたのか、今後どういう態度で臨もうとするのか。  以上三についてお伺いいたします。
  73. 天野公義

    ○天野政府委員 証券取引法に関連する問題でまずお答え申し上げますが、証券取引法五十八条に違反するという不正取引行為が行なわれる場合においては、この法律によって処断されることは当然でございます。ところがそれと離れまして、誇大広告というような問題になりますと、ちょっと性質が違うわけでございまして、誇大広告等につきましては、業界とも話し合い、いろいろ行政指導も行ないまして指導いたして参ったわけでございます。誇大広告に関連いたしました問題について五十八条の適用を受けた例は、今のところはございません。  それから酒の問題でございますが、酒につきましては、誇大広告に関連した問題につきましてもう少し申し上げますと、今度の法律と競合するような場合ももちろんあるわけであります。競合した場合その他につきましては、具体的な事例に基づきまして証券取引法並びに今度の法律を勘案しまして判断をする、こういうことになろうかと思います。それから酒につきましては、いわゆるおけ買い人の問題等ありまして、従来の取引慣習といたしまして、いわゆる灘地帯の業者がおけ買いをして、そうしてそれを自分のところのものというようなことで売っている例もあるわけでございますが、これは従来の慣習としてやっておるわけでございますし、またその内容につきましても、その生産者が責任を持って蔵出しをするということになるわけでございまして、これを直ちにいかぬというわけには参らないのではないかと思うわけでございます。  それから灘の地帯でございますが、これもいわゆる灘といわれるきわめて常識的な範囲でありまして、行政区画的にこの範囲は灘である、ここから外は灘以外であるというわけにもちょっと参らないわけであります。常識的には、いわゆる灘五郷というようなところをいっておるように了解いたしております。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 罰則の問題。証券取引法五十八条違反のときの、本法と……。
  75. 天野公義

    ○天野政府委員 先ほど申し上げましたように、今度の誇大広告に関連した問題につきましては、この法律だけでいく場合もございますし、また証券取引法と競合して考えなければならないという問題も当然起こると思います。これにつきましては、具体的な事例が起きました場合によく検討するということでございます。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 どうも次官の答弁はあいまいなんですがたとえば五十八条の一号ですが、技巧をもって云々という言葉があるのです。今までこの五十八条が一回も動いたことがないということは、むしろ私大蔵省は怠慢ではなかったかと思うのです。あの証券ブームの中においては、これに該当する行為はたくさんあったと思うのです。それは投機心から株を買った人も多いだろうが、首をつったりした奥さんが出てきた。ここにセールスマンあるいは窓口等のいわゆる不公正な取引行為をとった、あるいは技巧によってたぶらかしたということがあり得ると思うのです。今までそういうことがなかったということは、これはちょっと聞こえませんと申し上げたいわけなんです。  それからさっきの、酒その他の産地の問題ですが、これは当然表示ということになろうと思いますが、公正取引委員会の所見を聞きたい。同時に、この五十八条違反の問題について、証券取引法百九十七条二号とこの法律との関係、これもお伺いいたしておきたいと思います。
  77. 天野公義

    ○天野政府委員 証券取引法に違反するような不正取引があった場合には、当然この法律で処断されるわけでございますけれども、その広告や、いわゆる株を買う、売るということにつきましては、これは直ちにそれがどうというわけには参らないわけでございまして、現在のところ、広告関係に関連した問題として、五十八条で処断したということはないわけでございます。
  78. 小沼亨

    ○小沼政府委員 証券上の誇大な広告ということ、実際と全然合っていないような広告表示のために、消費者に非常に迷惑をかけるという問題が今後あれば、当然それに対しては対処することになろうかと思います。
  79. 田中武夫

    田中(武)委員 すなわち、原産地とかそういうものの虚偽も対象になる、こういうように理解してよろしいのですね。——それから、厚生省にしても大蔵省にしても、こういう規定はすでにあるんです。それがいつも動いていないのです。厚生省も動いていなければ、大蔵省もこういう条文があるということを忘れておられるかと思われるくらい、いまだかつてないということです。ここに私、政治の姿勢があると思うのです。法律は作ったが、いわゆる大企業あるいは独占といったような側に立って、生産の側に立って、不合理な条文は、あることを忘れる。そこに消費者保護が抜けておった、こういうことがはっきり言えると思います。これ以上申しませんが、以後、五十八条の運用については適切な措置を望みたいと思います。
  80. 天野公義

    ○天野政府委員 証券業界等につきましては、誇大広告でわれわれども非常に不愉快な思いをしたり、また不愉快な感じを持ったりして、これでいいのかということをずいぶん考えさせられたこともあるわけでございます。今後も、大蔵省としては、誇大広告のないように十分監督をし、また、業界とも連絡をとってやっていく方針でおるわけでございます。  なお、酒の問題につきましては、酒団法に基づきまして、蔵元の表示もいたしていることになっておるわけでございます。
  81. 田中武夫

    田中(武)委員 御苦労さまでした。  それでは次に、藤山長官、待つこと久しかったわけなんです。時間の関係があるから、実力大臣にはじっくりと聞きたいと思ったのですが、簡単に聞きます。  まず第一点は、今審議しておりますとの不当景品類及び不当表示防止法経済企画庁は、いわゆる消費者の側に立って消費行政を担当しておる機関だといわれておるのです。そういう立場から、この法律をどのように考えておられるか。  第二点は、自由化が進んでおります。ことに、十月から九〇%か何かの自由化をやられるわけなんです。自由化対策としても、この過大広告等は考えていかなければならないと思います。と申しますのは、外国の大きな企業等が乗り込んできて、いろいろな大きな景品をつけるとかそういうことをすると、とうてい日本では太刀打ちしていけないという状態になるわけです。従って自由化対策のことについても、これは関係を持っておるのです。だからそういう点。  それから、各商品内における広告宣伝費は一体どの程度含んでおるか。これは全部じゃないですが、たとえば医薬品、化粧品、酒類、電気器具、繊維といったようなものがおもなものだと思うのですが、そういう調査はできておりますか、いかがですか。
  82. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 この法律が制定されますことは、消費者行政の上において適切でございまして、ただいま御指摘のございましたように、不当な広告により特に射幸心等を刺激して、そうして不当に購買力をあおるというようなことは、健全な消費者立場を害することむろんでございまして、私どもはその点から申しましても適切だと思います。また、不当な広告を誇大にいたすことによりまして、コストにも影響する、広告費が非常に大きいウエートを占めるというようなことも考えられるわけでございますが、ただ、その点が一体どの程度に商品価格の中に反映してくるかということにつきましては、ただいま検討をいたしておりますので、今まで完全な数字は持っておりません。しかし、やはり不当な広告をすることがないようにして参りますことは、消費者行政の上で一番大事だと思います。また、自由化に伴いまして、外国商社等が日本に来て誇大な広告をする、あるいは、外国に商品を買う人を連れていくとかなんとか有利な立場もあり得るかと思うのであります。   〔長谷川(四)委員長代理退席、板川委員長代理着席〕  そういう点を考え合わせまして、こういうようなことについては適切な法律だ、消費者行政立場からそう考えております。
  83. 田中武夫

    田中(武)委員 これはむしろ、長官が今広告費の占める割合を調べていないとおっしゃったが、調べておられると思うのです。それじゃ私の方で調べたのを申し上げますと、あるいは少し違うかもしれませんが、これは電通ですかあすこの発表ですけれども、三十五年度で千七百四十億円ですか、そうしてどういう工合にやっておるかというと、機械器具関係で大体原価の二〇%は宣伝費であります。それから、食料品で一四%、医薬品等で一二・四%化粧品が八・六%、この数が合っているかどうか知りませんが、こういうようになっておる。二〇%あるいは一四%というような大きなウエートを広告代が占めるということは、私は、物価対策の面からいっても考えねばならぬと思うのです。従って、物価対策の面から長官はどのように考え——この法律は今度通りますが、この法律以外に行政措置として何らかの方法考えなければ、こういった過当競争による宣伝費を全部大衆がかぶっておるという結果になるわけです。その点について一つ経済企画庁長官の御所見を伺いたいのです。  もう一つは、きのうの閣議で、去る三月九日閣議決定いたしました物価安定総合対策、これに六項目の新しいものを加えられました。これはそれぞれやはり原局を担当するところが実施することになろうと思うのですが、私は経済企画庁長官に勇気を持ってもらいたいと思います。あえて先日の発言云々じゃないのですが、遠慮せずにやってもらわなければ、せっかくきめた閣議決定の物価安定総合対策、ことにこのあとの新たに追加せられた六項目の実現等は、相当の勇気が必要と思うのです。そこでこれを具体的に消費の面に現わしてくるのには、どういった考え方を持っておられるのかということ、さらに一体これはいつごろからはっきりと実施できるような運びになっておるのか、こういう点についてお伺いいたします。
  84. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 ただいまお話のありました広告費の占める位置というような点については、ある程度事務当局から御答弁申し上げます。ただ、それがどの程度物価そのものの水準にはね返ってくるかという数字になりますと、なかなかむずかしいところがあろうかと思います。従って、そういう点については十分検討いたしますが、広告そのものは、正当な広告によって消費者の方に正当な商品の選択ができるような広告であれば、これは消費者行政の上に非常に役に立つと思います。ただ不当な広告によって消費者を惑わし、あるいは消費者消費性向を不当にあおるというようなことは、物価対策の上から考えましても適当でないわけでありまして、そういう意味において広告が正常化していくということが、一番物価対策の上では望ましいことではないか、こういうふうに考えております。  昨日きめました閣議決定、これはそれぞれ各省に実施をお願いするわけでございますけれども、お話しの通り、これの具体的実現を進めて参りますためには、相当決意を持ってやって参らなければならぬことはもちろんでございます。また各省にもそういう物価対策の重要だという観点に立って、それらのものを扱っていただきませんと、十分な成果を上げ得ないと思います。これらの具体的施策につきましては、近く経済閣僚懇談会等を開きまして、その問題それぞれについて十分みんなで話し合いながら検討を進めていくという考え方でただいま進行さしていきたい、かように存じております。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 実際の効果を上げる時期はいつごろを目標にしておるのですか。
  86. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 物価対策は、御承知の通り、本年度の重要課題でございまして、私はじんぜん日を送っておったのではならぬと思います。従いまして、できるだけ早急に進めて参りたい、こう存じております。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 せっかくいい総合対策をお作りになっても、失礼ですがこれが企画庁段階だけだったら作文に終わるわけです。従って、企画庁長官としては、これがほんとうに効果を現わす、それもできるだけ早く、こういう方向に対して勢力をしてもらわなければならないと思います。  もう一点は、物価を担当しているといったら悪いが、大体物価担当といえば現在経済企画庁だと思うのです。この経済企画庁長官として、ことに公共料金の問題、たとえば最近私鉄の運賃が問題にあがっております、あるいは電気料金もまた上げるといったようなうわさがあります。その他公共ないしこれに準ずるものの値上げが続々と考えられておるような、あるいはすでに独禁法違反ではなかろうかと思うような協定行為によって上げておるという状態、こういう状態についてどういうようにお考えになり、どう対処をしようと考えておりますか。
  88. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 逆の順序から御答弁申し上げる方が適当と思いますが、独禁法違反というような問題につきましては、厳重にこれを取り締まっていただくことが必要だと思いますので、公正取引委員会等に対してそれをお願いし、なおそのために必要ならば、公正取引委員会の機能等についての拡充というような問題も、きのうはすでに取り上げておりますので、今後そういう点について十分公正取引委員会の活動ができるように持って参りたいと考えております。  一般公共的な料金につきましては、これは私どもとしては基本的に問題を考えていかなければならぬと思っておるのでございます。今日の物価のこういうように騰貴してきた原因というものは、やはり一ぺん考え直していかなければならない。そこからくるアンバランスというものがいろいろな面に現われております点があるわけでございます。従って、ある程度全体の景気の上昇というものを、過度にならないように、安定的成長という線に持って参って、そうしてならして参らなければ、ある面におきますアンバランスが起こって、その面を訂正していかなければならないという点が起こってくることは当然でございます。経済成長して参ります面において、たとえば労働賃金の問題も、あるいは輸送力等の問題についても、著しく急激に膨張して参りました段階におきましては、それらのものが必ずしも過去の状態のままでよいというわけにはいかない。そのこと自体が物価の上に影響してくるということになれば、それの改善をはかって参らなければならないと思うのであります。あるいは労働の問題につきましては、労働の移動性を高め、あるいは職業訓練等によりまして新しい方途を見つけていくような労働移動の道を開いて参らなければならないと同時に、輸送面等でも、たとえば今お話しのような私鉄料金の問題につきましても、ある程度長期にわたって物価の安定を策していくというような、輸送力の増強というような問題について十分な施策をして参らなければ、一時的にはこうやくばりができましても、ほんとうの改善ということは期待し得ないと思うのでありまして、そういう意味において前向きでもって、やむを得ないものについてはある程度この際地ならしをして、そうしてその地ならし  の上に立って今後それらのものが上がっていかないように、数年間は上がっていかないように一応の地ならしをする必要があろうかと思うのであります。そういう面から考えまして、ただ単に公共料金であるから押えるというだけの考え方ではいけないのじゃないか、こういうふうに存じております。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと気になるような発言もあったわけでありますが、要は物価の値上がりを押えて安定性を持たせていくということについて、藤山長官の御健闘を祈ります。遠慮なくやって下さい。  それから今、長官の方から触れられたわけでありますが、現在の公取委員会はほんとうに人員予算がお粗末です。あえて委員長がお粗末とは言いませんが、お粗末です。そこでこういう法律を作っても、これをほんとうに完全に実施をするのには相当の人員、従って予算も要ると思いますが、これが全然考えられていないという状態です。これは政府からは独立した機関ではあるけれども、大体多くのことは公正取引委員会をまま子扱いにしておるように思います。せめて経済企画庁長官ががんばって人員予算の確保に努めてもらいたい。すなわち本法案の完全な実施のために、一つ公取のしりをたたいてもらいたい、このように思います。
  90. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 昨日の閣議で出ました物価対策の上で、一審の「物価動向に配意した財政運用の時期的調整」ということは、要するに三十七年度の予算というものは、すでに御決定を願って実施の段階に移っております。物価関係に必要なもの、たとえば公取を強化するというようなことは、できるだけきまった予算の中でやる。そうして、それで足りないものは、将来参議院選挙後に国会があるとか、そういうときに、公取の方から、自分の組織をこういうふうにしてもらいたいということで、もし足りないものは、そういうことによって本年度の追加予算等でやることを、一つみんなが考えなければならぬという意味において、こういうような時期的調整というものを一番最初に予算の運営の上で出したわけでございます。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ長官、けっこうです。  今長官も言われたんですから、公正取引委員会も遠慮なしに一つ、補正予算等において主張すべき点は主張していく勇気を持ってもらいたいと思うのです。  次に、運輸省見えていますか。——それではだいぶ時間が長引いて、まだ本題に入っていないので、簡単に申し上げます。この法案と関連してでありますが、運輸省にお伺いいたしたいのは、旅行案内書その他で旅館の案内等が出されております。ところが実際行ってみると、その旅館の実情とガイドにもらった案内書とはだいぶ違う。たとえば設備等も違うし、あるいは料金にしても千五百円と書いてあるが、実際に千五百円というところはない、こういった状態が多いのであります。そこで運輸省としては、こういう観光案内について、今日までどのような指導をし、また今後どうしていこうとするのか。  それから公正取引委員会に対しましては、そういう観光案内と内容が異なるときには、本法でいう不当表示になるだろうと思うのですが、その御所見。  さらに観光地のみやげものなんですが、いかがわしいものがたくさんあります。いわゆる上げ底だとか、外から見たものと中身の大きな違い、こういう点についても、しばしば問題を起こしておりますが、運輸省としては、今までどういう指導をせられ、今後はどうしようとせられているのか。同じ観点に立って、公取委員会委員長はどう考えておるのか、お伺いいたします。
  92. 有馬英治

    ○有馬政府委員 この問題につきまして、運輸省といたしましては、日本ホテル協会、観光旅館連盟等を通じまして、不正確な表示がないように指導して参りました。ただ表示をした場合に、税金だとかサービス料は、これを付記するように指導しておるのでありますが、それが付記されないような場合がたまたまあるようにも聞いております。同時に、またシーズンが終わって、閑散な旅行シーズンになりましたときに割引をしておるのであります。ところが、その割引の期間が、いつからいつまでということがはっきりしない。従いまして、シーズンのときに行って、値段が違うんじゃないかというような誤解も起こるようでございまして、たまたまそういうような御迷惑をかけている場合もあるようでございますが、運輸省といたしましては、極力旅館、ホテル関係の機関を動員いたしまして、そういった弊害のないように努力して参りました。今後も全力をあげて仰せのような弊害のないように努力する考えでございます。  なお、みやげものにつきましては、今日まで、昭和三十二年でございますか、各地の商工会議所を中心といたしまして、全国観光土産品連盟というものができておりますが、そういうものが優良なみやげものを推薦する。同時に、また不正のないように、場合によっては立ち入り検査などをやって、厳密に指導をして参ってきておりますが、お説のような上げ底的なものも、安いみやげものの中にまだあるように思われます。これもそういった機関を通じまして、今後極力弊害のないように努力をしていく考えでございます。
  93. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 ただいまのお話の、旅館等の問題、これはやはりこの法律でいうところの「商品又は役務の内容又は取引条件」に関する表示でありますから、それが違っておれば、不当表示ということはあり得ると思います。みやげものも同様です。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 もう時間がありませんから、重ねて質問はいたしません。この観光事業に関連することについては、実は観光局長、友人でして、大いに信頼しておりますので、観光局長の健闘を待ちましょう。  ついでですが、これは国鉄の方に言ってもらったらいいと思いますが、かつて私はこの委員会において、「こだま」その他のいわゆる特急、これは窓は二重である、窓から物が買えない、それから入口は自動開閉である、停車は名古屋を除くと、大てい三十秒あるいは一分程度、従って、それに乗っている間は外界から隔離されているような状態です。そこで、この食堂車がすべてをやっていることは独占じゃないか、こういうふうに申しましたところ、そのためかどうか知りませんが、去年のダイヤ改正の十月一日から、弁当とお茶を別に売るようにしました。これはいいことだと思うのですが、まだこの中に不公正取引が行われている。と申しますのは、汽車が発車すると、食堂がまず食事の予約をとりに参ります。何回か乗っている者は、弁当を売りに来ることも承知しておりますが、大ていの者は弁当がないと思ったから、先に予約してしまう。それが済んでから、弁当を売りに来ると盛んに放送しております。列車食堂でございますという放送をやっている。同時に、私は予約をとるのに先立って、当列車は何々駅から何々駅の間に弁当とお茶の販売をいたします、こういうようなことを放送してやることが公正な取引確保だ、こう考えます。これは直接運輸省ではないと思うが、これは観光局長の方にも関係があるしいたしますので、国鉄とも十分連絡をとって、改善してもらいたい、こう思います。
  95. 有馬英治

    ○有馬政府委員 運輸省に関係がございます。運輸委員会においてもたびたび御注意をいただきました。昨年から駅弁会社というものを別個にこしらえまして、ただいま実施しているわけでございますが、制度が実施されましてからまだ日がたっておりませんので、お客様方に十分に認識を与えていない面もあるかと思います。仰せのような点は、十分運輸省の方からも国鉄に注意をしまして、遺憾なきを期したいと思います。
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 次に文部省の初等教育課長が見えておりますが、課長さんだからいけないと言うのではないが、ちょっとこれでは満足な答弁がもらえないのじゃないか、こう思うのですが、もしできなければ、あとで答弁してもらいます。  先ほどからこの質問を聞いておられたから十分おわかりだろうと思いますが、この過大広告、ことに懸賞広告、懸賞販売、こういうことが青少年を毒しているという事実。朝のテレビを見ていると、テレビに幼年用あるいは少年用の雑誌なんかの一部を映すわけです。それから話をさして、あとは何月号を見て下さいというようなやり方をしておる。ことにキャラメルを買って、何点そろえば何をやろうとか、ホームラン賞とかなんとかいうことで射幸心をあおっているという事実がたくさんございます。教育の上から見て、これらの懸賞販売あるいは過大広告等が、青少年の教育に及ぼす影響について、どのように判断をしておられるか、またそういう観点から今日までの懸賞広告あるいは過大広告についてどのような措置をとってきたのか。さらにテレビを見ておると、いわゆるコマーシャル・ソングといいますか、そこの宣伝の歌を盛んに流しております。子供は何も知らずにそれを覚えてしまって、盛んにコマーシャル・ソングを歌いまくっておる。これなんかも童心を毒するものだと思うのです。そういう点について教育の立場からどう考えるか、また今までどうしてきたのか、さらにどうしようとするのか、お伺いいたします。
  97. 上野芳太郎

    ○上野説明員 お答えいたします。ただいまお話しの過大広告なりあるいは懸賞、そういうものによる販売が子供たちによくない影響を与えているんじゃないかというお話は、私どもも心配している問題でございます。子供たちの健全な育成をはかるという立場から、学校教育の全体を通じまして、また地域の実情なり子供たちの経験というものに即しまして、学校の教育はいろいろ編成をされ、行なわれておりますが、新しい教育課程におきましては、道徳の面で指導要領の中に物やお金を大切に上手に使うということを指導するようになっております。これは一年生から指導しておりますが、そのほかにも合理的な生活態度を養うということを非常に重視して指導をいたしております。そのほかに、また社会科等においてもいろいろな指導が行なわれますが、身のまわりの具体的な問題としては、学級会活動におきましてきわめて民主的な子供たちの話し合いを中心として問題の解決をはかるという点で、いろいろな事象を取り上げて、先生が子供たちに健全な生活態度を育成するということについて努力しているわけでございます。これは新しい学習指導要領が昨年から実施されておりますが、この実施によりまして、そういう点につきましても充実してきて参っておると思いますが、私どもは今後におきましても、これはこれからの社会に生活をしていく子供たちの生活能力、生活態度を養う上において非常に重要な問題でございますので、今後も指導を十分いたしていきたいと思っております。  それからコマーシャル・ソングの問題でございますが、これにも御承知のようにいろいろなコマーシャル・ソングがあると思います。私どもは健全な音楽というものを幼児のうちから育てることが、人間形成の上で、特に日本の社会環境においてきわめて重要であるということを考えまして、小学校の一年生におきましては、従来は音楽の授業時間が二時間であったのでありますが、昨年からこれを三時間にいたしました。三時間やっております例は、ほかの一流国におきましてどこにもないのであります。そういうような音楽教育が情操陶冶の上で非常に重要であるという立場から、音楽教育を充実する。そうしてその中にはわが国の古来伝わっておりますいろいろな唱歌あるいはその他の民謡等のいいものを取り上げてそれも扱う、そういうようなことで、音楽教育を充実しまして、健全な音楽を子供たちが好み、またそれを歌うというふうに指導いたしているわけでございます。そういう点で、ただいまの御質問の点につきましては、重要な問題でありますから、今後とも努力をして参りたいと思います。昨年以来新しい学習指導要領の実施につきまして、非常にいい傾向に向かいつつあるのではないかというふうに考えております。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 問題の焦点だけぴしゃっと言ってもらったらいいので、あまりほかのことは言わなくてもけっこうなんです。  そこで、そういうような射幸心をそそるような広告、ことに懸賞販売、これが青少年の教育によくないことはあなたも認められておるでしょう。従って、そういうことをやっている業者、言えというならば名前をあげますが、直ちにそういうことをやめてくれという申し入れをする決意がありますか、いかがですか。
  99. 上野芳太郎

    ○上野説明員 この問題につきましては、帰りまして上司に報告をいたしまして、必要があれば関係各省と連絡をとって処置するようにいたしたいと思います。
  100. 田中武夫

    田中(武)委員 だから課長ではだめだと言ったのです。一つ帰って相談をした結果を私に書面をもって回答願いたい、必要であるならば何出版会社。何製菓会社、一々事実をあげます。よろしいですか。直ちにその措置をとる、そういうことでやってもらいたい。上司にお伺いを立てて云々ということではだめなんです。だから課長ではだめだと言ったのです。仕方がないですから、文部省はこれで終わります。  次に、法務省見えましたね。先ほど来法務省を待っておったのですが、あなたも新聞をごらんになればよく御承知と思いますが、土地売買についてこのようなチラシが金曜日、土曜日、日曜日にかけて折り込まれていることは事実であります。これは認められると思います。これにはとんでもないものがたくさんあるわけであります。過大広告というよりかむしろ詐欺行為、こういうものがたくさんあると思うのです。これは私は、今やっている不当景品類及び不当表示、これでなく、むしろ詐欺罪その他の刑法の問題になると思うのですが、そういう点についてはどうでしょう。たとえば駅から何分というようなことで行ったのが、とんでもないところに連れていかれたという事実があります。四月七日の朝日新聞の夕刊ですが、駅から歩いて七分が車で四十五分かかった、そして車代をとられる、あるいは強制的に契約をとられる、こういう事例がたくさんある。先ほど建設大臣も来てもらってそのときに一緒に聞きたかったのだが、あなたの方がおくれたから仕方がないが、この種の中には詐欺行為というものがたくさんあると思うのです。こういうことについてどう思うのか。同時に詐欺行為としてこれは警察庁に言うべきだと思うのですが、直ちに捜査を開始する用意があるか、いかがです。
  101. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 広告の中に非常に誇大なものがあり、しかもそれが行ってみると実情と違っておるというような、事実に反した広告、仰せのように詐欺的なと申しますか、そういう広告のたくさんございますことは承知いたしております。そのような詐欺的なとも申すべき広告がすぐ詐欺罪になるかどうかという点につきましては、これはなかなか学説上問題があるようでございまして、直ちに詐欺罪になるというふうにも言い切れないのでございます。従いまして、すぐ捜査をするかというようなことにつきましては、その広告のみをもってすぐ捜査に着手するというわけには参らないと思います。
  102. 田中武夫

    田中(武)委員 これが過大広告である、直ちにこのことだけが詐欺になるとは言い切れない、その通りだと思う。これにひっかかっていってそしてばかを見た、こういう具体的な事実があれば、私は詐欺になると思う。しかし、これは被害者から申告がなければいかぬとかなんとか言うだろうと思うのですが、私は実は今委員長代理として委員長席におる板川君と一ぺん実際にこれを見てみようと思っておるのです。あなた方も一応、法務省がこれに出かけるのはどうかと思うのですが、所轄の警察署あたりで一応実態をお調べになったらどうかと思うのです。この中には詐欺、暴行、脅迫、あらゆるものを事実含んでおるのです。だから、そういった観点から一つこの種のものを取り締まる、こういうことについては、直ちに詐欺とはいえないとしても、疑いのあること、またそういうことが現実に行なわれていることは、想像がつくのですよ。だからそういう点についてどう関心を示されるか。
  103. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 仰せの通り、この実態がどうであるかということは、これは取り締まり当局として承知しておかなければならないし、詐欺でないにいたしましても、そこに暴行があり、脅迫があるということになれば、それはそれぞれの犯罪になるわけでございまして、警察当局におきましては、おそらくそういう実態につきましてはそれぞれ内偵、査察をしておると思います。本日この席には警察当局はおいでになっておりませんけれども、私から関連の事項としてお取次をいたしたいと思います。
  104. 田中武夫

    田中(武)委員 四月七日の朝日新聞の夕刊に、名前まで入っておるのですが、東京都豊島区西巣鴨二ノ二四〇六の斎藤浜子さんという人の体験談が出ておるのです。これは具体的にひっかかっておる事実です。抽象的ではいけないということなら、この事実を示しますから今読み上げた人、この人について一ぺん実態を調べてもらいたい、一つそういうように希望いたしたいと思います。  さらにもう一点ですが、懸賞販売、ことにそれが抽せんを伴う場合、外国では富くじ類似行為として取り締まっておるわけです。日本にもたくさんこの種のものがありますが、一体日本は今日までこの種の富くじ類似行為としてこういうものを見てきたかどうか。いわゆる懸賞販売で抽せんによる懸賞をつけるという行き方、これは刑法百八十七条による富くじ類似行為ではなかろうかと思うのですが、そういう点はいかがです。外国ではすでに刑法によって取り締まっておりますが、いかがでござますか。
  105. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 ただいまお尋ねの点は、刑法百八十七条に直ちに該当しないというのが私どもの解釈でございます。しかし、そういう実態が取り締まる法規があるかないかという点になりますと、いろいろ議論があるのでございますけれども、独禁法等にも若干これに似た規定があるわけでございますが、直ちにその規定をもってこれらに対処することができるかということになりますと、公正取引委員会におきましても法律上の疑義を感じておるやに聞いておるのでございまして、今回提案されて御審議になっております不当景品類及び不当表示防止法案というようなものは、これらに対処する手段というふうに私どもは理解いたしておるのでございます。
  106. 田中武夫

    田中(武)委員 刑法百八十七条の構成要件を一つ言って下さい。
  107. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 刑法百八十七条は、条文をごらんいただけばわかるのでございますが、「官銭ヲ発売シタル者」とありまして、それだけでは意味がおわかりにくいと思うのでございますが、ここにいう景品等をつけ加えますのが富くじを発売したということになるかどうかということなのでございまして、失礼でございますが、若干この百八十七条の解釈を申し上げますと、この規定で重要な点と判例上されておりますことは、もちろんこの罪は風俗を害する罪というふうに理解されておりまして、その風俗を害するという点はどの点にあるかというと、射幸心を著しくそそるというところにあるわけでございます。しかし、それは単に射幸心をそそるだけじゃなくて、これが刑法の中の罪として、古くからどこの国の刑法にもございますが、それが刑法の罪とされておるゆえんのものは、射幸心を著しくそそるだけでなくて、これをやることによってだれかがもうけ、だれかが損をするという一つの背景がなければいかぬということになっておるわけです。これは刑法がそういうものを規定します以上、反社会性が著しいものでなければなりませんので、そういう解釈は相当だと思います。  そこで今の景品の場合を申しますと、確かに富くじ類似的な行為でありますけれども、富くじそのものであるかないかということにつきましては、むずかしいと思うということを先ほど申したわけであります。それは正当に買います商品が相当な価格をもって売買されておるものであります限り、それにつけ加えて景物をくれるのに抽せんということの手段がそこへ用いられるといたしましても、お客さんの方はそこで損をしないわけだと思うのです。そうなりますと、この富くじを発売して、買っただけでは、ならないわけなんで、どうしてもそこに、たとえば無価値にひとしいようなものを売っておって、それに抽せん券がついておって非常に高いものをくれる、こういうことになりますと、買う方の人は、たとえば当たりさわりがあるかもしれませんが、かりにチューインガムのようなものを考えてみますと、チューインガムの無価値にひとしいようなものを買う人は、チューインガムを買うのじゃなくて、その中に入っておる抽せん券を買うといったような事実状態が客観的に見得るものでありますならば、これは富くじというふうに見てもいいと思います。しかし、現在よく巷間にありますようなものは、それはそれなりに価値がある商品で、それ相当の代価で売っておるのですが、それよりもさらに販路を広めるために、今言ったような抽せんの方法によって景物をつける、こういうことになりますと、富くじには当たらないということになろうかと思うのでございます。
  108. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたがおっしゃったようなことがあるのですよ。無価値のようなものを景品でつって売る、抽せん券でつって売るという事実もあるわけなんです。だからだれかが損をしなければと、こう言うのですが、たとえばトリスでハワイへ、こういうことで、ハワイへ行きたいということで、その抽せん券を目当てにボーナス全部トリスを買ったという人もおる。こういうのは損害とは何ぞやということになろうと思うのですが、これはあなたがこういうような場合はなり得るというような場合があり得るのですよ。それは事実調べなければわからぬですが、ただそういうことはたくさんあるのです。広告の中には、あるいは懸賞販売にはありますので、この法律の百八十七条には「富籤」となっておって、類似行為云々がないから、外国では類似行為があるので含むのかどうか知りませんが、そういう点はやはり検討の余地がある。それから反社会性の問題、あるいは射幸心をあおるという問題、あるいはそのために抽せん券で当たればという射幸心からの損失の問題等々、やはりあなたのおっしゃるようなことがあり得る、こういうように思いますので、一つ十分検討してもらいたい、こう思います。
  109. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 十分検討さしていただくつもりでおりますが、今トリスのお話がございましたが、トリスが水みたいなものであって、それ自身無価値なものを買うというのじゃなくて、トリスはトリスなりに相当な価格でお客さんは買っている。ハワイへ行きたいために全財産なげうって買った人があるかもしれませんが、それはそれとは違うのでありまして、私の申し上げておるのは、商品そのものが商品的に価値のないものを、買う方の人もトリスの内容の酒を買うのじゃなくて、抽せん券を買うのだというような客観的な事実関係が認められる場合には、富くじになるということもあり得るということを申し上げているわけであります。  ただ外国にも例があるということでございまして、私ども研究不十分でございますが、アメリカの連邦の富くじ罪に関する規定を見ますと、日本の富くじ罪と同じようにやはり類似行為は罰しておらないのでございますが、各州の方へ参りますと、罰しておるものがあるやに私どもうかがえるわけです。と申しますのは、禁止せられておるところはその抽せん券が無効であるということを表示した抽せん券が入っているようでありまして、そういう点から見まして、取り締まっておるところもある。しからば取り締まるのと取り締まらぬのとはどういうけじめをつけておるのかということが問題でございますけれども、日本にも御承知だと思いますが、明治四十二年の内務省令でこの類似を取り締まる規定があったわけでございますが、これの取り締まり方につきましても、指定をしてすぐそれに違反すれば罰をかませるという形式がよろしいか、まず排除命令を出して、その排除についての当不当を争わして、それの審決が確定した上で刑罰を課する。なおそれをやる場合には、刑罰を課するというワン・クッションを入れた取り締まり方法がいいかというようなことが議論の対象かと思うのでございますが、本法案はワン・クッションのやり方をとっておるように私ども考えておるのであります。そこで、それでは取り締まりが手ぬるいということになれば、内務省令的な考え方もあり得ると思うのでございますが、これはもっぱら立法技術に属する問題だと思います。
  110. 田中武夫

    田中(武)委員 法務省はけっこうです。  これから本番に入りますが、佐橋局長と公正取引委員会に集中してお伺いいたします。  まず最初にお伺いいたしますが、通産省の方から家庭用品品質表示法というのが出ております。この法律の名前も表示という言葉が使ってあります。これら法律における表示という言葉は同じように考えていいのですか。家庭用品の表示とこの法律でいう表示はどういうふうに違うのですか。
  111. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 家庭用品品質表示法では、個々の商品を消費者に対してその性能なり正しい使い方を示そうというのがこのねらいでございまして、われわれの表示というのは非常に狭い意味で、むしろ広告などは含まれておりませんので、家庭用品品質表示法でいう表示と、現在審議されております法案の表示とは表示の内容が違う、こういうふうに解釈いたしております。   〔板川委員長代理退席、委員長着席〕
  112. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 お話しの、表示という意味が違うかどうかということでございますが、表示というのは、内容といいますか実質それを外に示すということで、法律によってその表示の範囲は違うかもしれませんが、表示という言葉は別に違うとは思っておりません。
  113. 田中武夫

    田中(武)委員 その通りなんです。表示という法律用語は変ってはいけないのです。しかし、双方とも指定するとかなんとかいうことになっておるのです。そこで違ってくる、こういうことになると思うわけなんです。そこで、まず聞くのですが、家庭用品品質表示法とこの法律との法益はどういうふうになりますか、双方にお伺いいたします。
  114. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 現在御審議になっております公正取引委員会法案は、いわゆる不公正競争の防止というところに主眼が置かれておりまして、われわれの方の提案いたしております家庭用品品質表示法は、即物的に個々の商品の正確な表示というところをねらっておりますので、その点においていわゆる対象が違う。しかし、結果的に消費者保護の見地に立つ点においては両方同様かと考えております。
  115. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 消費者保護という共通な目的でありますけれども、われわれの方は消極面と申しますか、悪いものを押えよう、向こうはいい方をはっきりさせよう、こういうことじゃないかと思います。
  116. 田中武夫

    田中(武)委員 なかなか名答弁をしておると思うのですが、この二つの法律が競合する面は出てこないのですか。たとえば家庭用品品質表示法において指定せられたものの虚偽の表示をした、そういうような場合には、家庭用品品質表示法という法の方が先に動いていくのか、本法でいくのか。さらに今日初めて表示ということが出てきたのではなく、たとえば繊維製品品質表示法、ですか、そういうのが今まであったわけなんです。今度それが幅を広げて家庭用品までいくというのがどうやら家庭用品品質表示法の趣旨のようでありますが、今日までの繊維製品の品質表示は法の目的に沿って動いてなかった。というのは、一目見ただけで、綿が幾らか、化学繊維が幾らかわからない。従って、これらは何%が綿、何%が毛、あるいは何%が化繊、こういうような目的を持って作られたと記憶いたしております。ところが、その後の実際を見ておりますと、純毛、純綿と書いてあるだけで、何%でどうというものはあまり見かけないのですが、過去において品質表示法の立場に立って通産省はどのような監督をしてきたのか、また公正取引委員会はそういうような事実について知っておったのか、もし知っておったとしたら、何らかの手を打ったか、いかがでございますか。
  117. 佐橋滋

    ○佐橋政府委員 御指摘の、家庭用品品質表示法と本法とで競合する場合があるのではないかという点でありますが、これは明らかにあり得ると考えます。これは公正取引委員会通産省と十分連絡をして運用して参りたいと考えておりますが、われわれの考えではまず家庭用品品質表示法が動く、こういうふうに考えておるわけであります。  あとの繊維製品品質表示法の点につきましては、御承知のように、繊維製品品質表示法は、任意表示と強制表示と両方の規定があるわけでございますが、強制表示の条項は繊維製品品質表示法の施行期間中には発動されておらなかったわけでありまして、また新しい繊維がここ数年来出てきたためにいろいろの混淆を来たした点もあるかと思いますが、そういう点は今度の拡充いたしました法律で適正な運用をして参りたいと考えております。
  118. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 家庭用品品質表示法で表示義務を命じた場合に、その義務に違反して、私の方の立場でいえば、不当な表示をしたという場合には、おそらく法律的には両方の法律の問題になると思います。しかし、運用上の問題は別でありまして、これは要するに同じような目的を持っておるのでありますから、家庭用品の方で十分是正効果を上げられるならば、しいてわれわれの方の法律でやらなくていい場合もあり得るかと思います。  それから、従来の繊維製品の問題につきましては、私の方の調査が足りなかったと申しますか、実例はなかったようであります。
  119. 田中武夫

    田中(武)委員 もう時間がだいぶ迫ったから、あまりこまかいことを言わぬつもりですが、実例がなかったということじゃない、そういう実例ばかりだというのです。
  120. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 実例というのは、私の方で問題とした実例、そういう意味であります。
  121. 田中武夫

    田中(武)委員 ところが、たくさんあるのですよ。一ぺん調査してもらいたいと思います。  それからこの両法案が競合する場合、これは両方とも動く場合もあれば、一方だけが優先する場合もあり得ると思うのです。そのときには通産省公正取引委員会でなわ張り争いでなく、消費者保護立場から十分な措置を希望いたします。  家庭用品の問題については後日また詳しく御答弁を願いたいと思っておりますので、次に本法案の内容に入っていきたいと思います。  まず第二条の定義でございますが、ここでいう二項の「表示」の内容はどうか、こういうことできのう板川委員が質問いたしておりました。しかし、私はあのときに言ったんだが、答弁はなかったと思いますが、いわゆるラベルとか説明書、広告、こういうものははっきりわかっておりますが、たとえばセールスマンの口上といいますか、これは録音でもしなければ証拠が取れないということになろうとは思いますが、この「表示」にはセールスマンの口上、こういったようなことも含みますか、いかがですか。
  122. 小沼亨

    ○小沼政府委員 通信、電話または訪問販売の販売員による宣伝、つまりセールスマンの口上もこれで指定するという対象に考えております。
  123. 田中武夫

    田中(武)委員 この法律の二条の三行目に「附随して相手方に提供する物品」云々となっておるのですが、この「附随して」ということはどういう範囲を考えておられるのですか。
  124. 小沼亨

    ○小沼政府委員 これは直接その取引の条件といいますか、附随という非常に狭い意味ではなくて、この取引に関連して相手方に提供する物品というようなことに解釈したいと考えております。ですから、たとえば現在新聞業の特殊指定の中で、拡大販売手段としていろいろ、なべ、かま類を配っておる、直接新聞の取引と関係ないということで、それをもとにして勧誘するのではなくても、一般的にそういうものを配れば、それはやはり不公正な取引方法としておりますが、その程度のものもやはりこの「附随して」の中に入ると考えております。
  125. 田中武夫

    田中(武)委員 俗に選挙違反の場合に、きせるとかくわとかいうことがあるのです。きせるというのは前とうしろに金がついている。くわは先に金がついている、こういう意味なんです。従ってこの附随という問題も、同時にとってもらうために、買ってもらうためにこれを上げますという場合と、事前に一般的に渡しておいてから、あとから頼みにいく場合、あるいはそういことを含みにしてあとから渡す場合、いろいろあるのです。このきせるとくわ、それからせったというのですか、こういう表現があるのですが、この三つとも含みますか。前に金がついておるのとうしろに金がついておるのと両方に金がつく場合、この場合は金というよりか、附随して物品とか何とかいうことになろうと思いますが、このせったとくわときせる、いかがですか。
  126. 小沼亨

    ○小沼政府委員 附随して取引に関連してということで解釈いたしますれば、田中先生のおっしゃった点がみな入ってくるのではないかと思います。
  127. 板川正吾

    ○板川委員 関連して。——二条の一項で「取引に附随して」という工合に書いてあります。これは二条の二項では「取引に関する」というふうに、「附随して」と「関する」とを区別して表現されておる。表示の場合は「関する」、景品の場合には附随してとこういうふうになっておりますが、大体両方ともそういう特別の区別する意図がなくて、「附随して」ということも関連してというような意味だ、こういうふうに解釈をしてこれから指導される、こういうことなんですか。
  128. 小沼亨

    ○小沼政府委員 その通りでございます。
  129. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと途中ですが、警察庁を呼んでおったがそのとき間に合わなかったので法務省の人に言ったんですが、こういう土地売買のチラシ、これが御承知のように金、土日くらいにどんどん入っておるわけです。これを実際に当たってみると、過大広告だというような範囲で済まされないような、いわゆる詐欺的なもの、あるいは自動車に乗って駅から七分だというので行ってみると自動車で四十五分もかかる、しかもその自動車賃を要求する、あるいは少し圧力をかけるというか、大きく言えば脅迫によって手付をとる、こういうのが事実あるわけです。そういうものについて具体的に調べておられるかどうか、あるいはまたそういうことに対して調査——捜査まではちょっとどうかと思うが、それをするような考えはあるか、こういう点が一つと、これはもう法務省に質問が終わったのですが、懸賞販売、ことに懸賞販売の中において抽せんによって大きな、見たこともないような、考えてみたこともないような、ハワイへつれていってやるとか、あるいは電気製品一そろい全部やるとか、こういうような行為、これが刑法百八十七条の富くじ類似行為とはならないか、そういう点をお伺いするつもりだったので、実は法務省と警察庁が一緒だったら都合がよかったが、そういう点なんです。あとは法務省と相談を願いたい。竹内刑事局長が見えておったので話しておきましたから……。
  130. 綱井輝夫

    ○綱井説明員 第一点の土地販売のおもに新聞の折り込みが多いと思いますが、これが犯罪の疑いがあるのではないか、それについて何か考えておるかという御趣旨の御質問であります。この点につきましては、私どもの方でも、最近の土地の値上がりその他によりまして十分注意を払っておりまして、さきには悪質ないわゆる地面師とか純然たる詐欺に該当する者の検挙をいたしたわけであります。チラシ等についても、最近特に数がふえておるようにも聞いておりますし、またうわさ話はいろいろ聞いておりますので、目下調査をいたしております。ただ、その関係で非常に頭をめぐらして考えておるようでありますので、その実態がどうであるか、その実態に応じて、もし犯罪の疑いが濃厚であるということになれば、適当な措置をとりたい、かように考えております。  第二項につきましては、富くじの場合には、刑法の規定する富くじは、かける、いわば一般公衆の方から金銭ないし財物の拠出、それを基礎にして財物の得喪が争われるという点が特質であります。一般の懸賞募集の場合には、業者がその利益の一部を割いて提供する、消費者としてはその物品を正当なる値段で購入しておるという限りにおいては、刑法に規定する富くじ類似行為には該当しない。しかし、それらの懸賞のための費用が物の値段そのものに含まれておる、また消費者の側でもそれを承知の上であるというふうになれば、あるいは該当するおそれも出てくる、かように考えております。
  131. 田中武夫

    田中(武)委員 これは一応法務省とやったあとですが、抽象的なものだけでは困るということだったら、具体的な事実をここに持ってきておりますから、投書者の住所氏名もありますので、控えていってあとで善処願いたい。これで警察庁はけっこうです。  引き続いて条文に入りたいのですが、この三条、四条。これは三条の方は二条の一項、四条の方は二条の二項を受けた規定だと思うのです。これは結局、すべて公正取引委員会の指定に待つということになろうと思うのです。  そこでこの四条の一号にもありますが、「実際のもの又は当該事業者と競争関係にある」云々と、こうある。いわゆる抽象的誹謗行為である、こう思うのですがいこれとは逆に特に不利益な点と言いますか、欠陥を隠蔽した販売方法、こういうのはこれに該当しますか、どうなんです。
  132. 小沼亨

    ○小沼政府委員 第四条の三号の「前二号に掲げるもののほか、」「一般消費一考に誤認されるおそれがある表示であって、不当に顧客を誘引」するということで、これの運用で指定をする、指定できるものは指定でやっていくと  いう考えであります。
  133. 田中武夫

    田中(武)委員 板川君がきのう質問したそうで、できると解釈いたします。  四条の一号、二号を見た場合に同じような規定があるのだが、片一方は品質、規格にかかり、片一方は価格にかかっておる。それから三号が表示にかかっておると思うのです。そこで一号には「著しく優良」と、こうある。これは品質、規格ですから、優良という言葉になると思うのです。二号の方では価格が「著しく有利」あるいは安価ということになろうと思います。これを特に優良とか、特に有利とかいうように、かりに特にということにした場合と、著しくとした場合とでは範囲が異なりますか。
  134. 小沼亨

    ○小沼政府委員 これは「著しく」でございますが、実際上特にという意味と同じようなことになると考えております。
  135. 田中武夫

    田中(武)委員 私はこの種の条文は厳格に解するというのが建前だ、こうなるのであって、ここで「著しく」というと、相当縮小解釈が行なわれるのではないか。そうすると、本法の目的達成にも合ってこない。従って、特にというのがいいのじゃないか、こう考えておりますが、実際の運用にあたって、これは「著しく」という小さな観点でなく、特にというのと同じような考え方で運用する、そういうことで了解したいのですが、よろしいですか。
  136. 小沼亨

    ○小沼政府委員 そういうことで運用も考えております。
  137. 田中武夫

    田中(武)委員 時間がないので急ぎますが、この法案の一番中心は第六条だと思うのです。いわゆる独禁法の特例法としてこの法律を作る、いわば略式裁判のようなもので、ねらいはこの排除命令にあると思うのです。そこで、この排除命令でございますが、この条文の中で「その行為の差止め若しくはその行為が再び行なわれることを防止するために」云々となっておる。この「差止め」ということは、いわゆるインジャンクションの命令、こういうふうに解釈していいか。それから「再び行なわれることを防止する」ということは、ここで出した結論は後に審決と同様に見なされるわけですが、これは事後に対してあるいは遡及して効果を及ぼすものかどうか、いかがですか。
  138. 小沼亨

    ○小沼政府委員 ただいまのインジャンクションの点か、——われわれ通常独禁法でインジャンクションと申しておりますが、東京高裁に差しとめ命令をお願いする、そういう意味でしたらば、このインジャンクションというものは、そういう意味でなく、公取が排除命令として出すものでございます。  それから「その行為が再び行なわれることを防止する」ということは、差しとめたにかかわらず、それから先同じようなことが繰り返し行なわれるというおそれがある場合には、将来に向かって行なわないように排除命令を出す、そういうことでございます。
  139. 田中武夫

    田中(武)委員 私が言っているのは、この命令を出すことが、この法案の一番の中心なんです。これが出て三十日たって不服の申し立てがなければ、公取委員会の審決と同様になる。これは現にあるものを差しとめるということと、もう一つは、これと同様の行為が今後行なわれないような予防措置をする。それじゃ、今まで来たもの、いわゆる遡及権としてはどういうことになるんですか。  それから、いわゆる差しとめ、インジャンクション、これが出されることによって、三十日の期間があるのですから、直ちに効果は発生しない。三十日たたないと確定しない、こういうことでしょうね。
  140. 小沼亨

    ○小沼政府委員 差しとめ命令を出しまして、三十日以内に異議がなければ、ここで審決と同じ効力を持つ、こういうことでございます。  過去において行なわれたものに遡及するということは、この法律でもできないわけでございまして、現在行なわれているのを差しとめることと、将来行なわれないようにする、そういうことでございます。
  141. 田中武夫

    田中(武)委員 過去に起こったも損には遡及はできない。それによっての害をこうむったというような場合は、たとえば、民法、たとえば刑法といったようなものが働く、こういうことになるわけですね。
  142. 小沼亨

    ○小沼政府委員 そういうことだろうと考えます。
  143. 田中武夫

    田中(武)委員 きのう板川君が質問しておりましたからなんですが、十条の公正競争規約、このことによってこの法律の除外を認めよう、これはそういう意味だと思うのです。そこでアウトサイダー規制ということが問題になるんですが、十条二項四号は「脱退することを不当に制限しない」ということがあるわけです。これとの関連において、この法難の運用において第十条の公正競争の規約というものがどういうようになるか。四号のこれがあれば、実効が上がらないのじゃないか、こういうようにも考えるんですが、運用はどう考えておられますか。
  144. 小沼亨

    ○小沼政府委員 昨日も申し上げましたが、こういう業界の自主規制に対しまして、強制加入、脱退拒否というようなことはやはり問題かありますので、加入、脱退は自由にする。そういうことで、公正競争規約でせっかく一定の秩序が保たれているにもかかわらず、飛び出して勝手なことをするということになりますれば、結局三条なり四条の問題で直接法律の対象として取り上げる。そういうことになるわけでございます。
  145. 田中武夫

    田中(武)委員 大体これは今の排除規定を中心とした独禁法の除外規定、そのほかそれぞれ手続をきめたものですから、独禁法との関係において理解していけばいいので、この程度で笠間を終わりたいと思いますが、先ほど言った十一条の行政不服審査法を適用しないということは、これの独禁法違反に対しては東京高裁ですか、これでこういう除外規定があるということで、この処分それ自体が行政処分ではないということではないでしょう。
  146. 小沼亨

    ○小沼政府委員 その通りでございまして、これは結局東京高裁につながっておるということで、この十一条の規定が入っていると解釈しております。
  147. 田中武夫

    田中(武)委員 きのうも申しましたが、これを運用するには、相当な人員の確保と委嘱による調査あるいは知事等からの請求権、こういうものを十分見ていかなければ、運用できないと思うのです、しかもこの法律は、あげて公正取引委員会の運用に待つということです。従って、公正取引委員会の姿勢いかんに、この法律は通っても十分活動ができるかできないかがかかっておるわけです。そういう点から、われわれも協力いたしますが、あなた方自体も、公正取引委員会人員の確保、予算の確保、そういう点について十分努力をし、作った法律が空文にならないように、腹をきめてやってもらいたい。特に公正取引委員長の決意を伺いたい。そしてなおきのう質問をしましたが、四十一条に規定はあるけれども、そのための調査費というものは別にないという状態なら、空文になるおそれがあるのです。従って、そういう点についても遠慮なくやるべきだ。少しこのごろ日の当たらない場所にあなた方は置かれつつある。これが政府の施策の方向なんです。そこで独立機関としての公正取引委員会は、十分な決意がなければいかぬ。従って最後に、この法律はあげてあなた方の手にかかっておる。指定とかすべてそうなっておる。この法案をわれわれ通すに当たって、あなた方の決意を十分伺っておきたい、このように思います。
  148. 佐藤基

    佐藤(基)政府委員 御心配の点ごもっともでありまして、われわれ独立機関といたしまして法律の運用に当たるのでありますが、その法律の運用に必要な予算人員というものは、これはまた別な方法政府の方からもらうわけでありますから、それが不十分であるというと、ついこの法律の運用も不十分になるおそれがあるので、少なくとも現在におきましては、昨日も申しました通り、この法律を出すについて、事務局で十分やれるかという点を実は十分念を押したわけであります。現在の定員で相当やれるというのでこの法案を出すことを決意したのです。しかしながら、お話の通り、最近におけるところの広告等につきましては、いろいろ問題がある。ことに消費者行政の見地から一生懸命やらなければならぬ点が非常に多いものでありますから、予算の不足等につきましては、けさほど藤山長官もちょっと触れられたと思いますが、われわれとしてもできるだけ努力して、この法案法律になった後における運用を十分確保していく覚悟でおります。
  149. 田中武夫

    田中(武)委員 まだたくさん質問したい点はありますが、生理的要求もあるようでございますから、この程度で一応終わりたいと思います。しかし、今答弁を聞いておれば、だいぶ無理をした答弁があったと思います。しかし、あなた方がそれでやれるのだと言うから、そのように理解いたします。法律の条文から見て、たとえば欠陥の点を隠蔽するのが四条の三号に入るのかという点は疑問があります。しかし、あなた方がそれだけの気持を持ち、それだけの決意を持ってやろうとするのですから、あとはあなた方を叱咤激励する、そしてお手並みを拝見しよう、そのような考えで、一応きょうの質問を終わります。
  150. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 以上で本案についての質疑は終局いたしました。      ————◇—————
  151. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 次に、内閣提出下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本案について質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  153. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 この際、お諮りいたします。第三十九国会提出され、継続審議になっております松平忠久君外二十八名提出下請関係法案は、提出者から成規の手続をもって撤回の申し出がございました。  同案の撤回を許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  155. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 次に、内閣提出下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案に対し、中村幸八君、田中武夫君及び伊藤卯四郎君より 自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党共同提案の修正案が提出されております。
  156. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 まず、提出者より趣旨の説明を聴取することといたします。田中武夫君。
  157. 田中武夫

    田中(武)委員 下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案の修正案につきまして、自由民主党、社会党並びに民主社会党を代表し、委員各位の御同意を得まして、その提案の趣旨説明を申し上げたいと思います。  まず最初に案文を朗読いたします。  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案に対する修正案  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第四条の改正に関する部分の前に次のように加える。  第二条の次に次の一条を加える。  (下請代金の支払期日)  第二条の二 下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。  2 下請代金の支払期日が定められなかったときは親事業者が下請事業者の給付を受領した日が、前項の規定に違反して下請代金の支払期日が定められたときは親事業者が下請事業者の給付を受領した日から起算して六十日を経過した日の前日が下請代金の支払期日と定められたものとみなす。  第三条中「及び下請代金の額」を 「並びに下請代金の額及び支払期日」に改める。  第四条第二号を次のように改める。  二 下請代金をその支払期日の経 過後なお支払わないこと。  第六条の改正に関する部分の前に 次のように加える。  第四条の次に次の一条を加える。  (遅延利息)  第四条の二 親事業者は、下請代金の支払期日までに下請代金を支払わなかったときは、下請事業者に対し、下請事業者の給付を受領した日から起算して六十日を経過した日から支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該未払金額に公正取引委員会規則で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならな い。  以上であります。  先ほど御決定になりましたが、わが社会党といたしましては、すでに撤回をいたしましたけれども、前国会から下請関係法というのを提出し、今日まで当委員会において継続審議をなされておったのであります。この法案の採決に当たりましては、一事不再議という問題等もありますので、わが方の下請関係法の撤回をせねばならない。わが方の法案は、御承知のように組織、法定を中心としてまとめたものであります。従いまして、その面は入らないから、附帯決議に譲るといたしましても、この下請代金に関する点におきまして、少なくとも受領した日から六十日以上にわたり、今日手形がだんだん長くなって、お産手形とか台風手形とか、こういうふうなものが出されておる。そのために下請企業が大いに困っておるということは、皆さん御承知の通りであります。従いまして、六十日を経過したものに対しては利息を付する、こういうねらいが一点であります。  さらにこの六十日ということをつけることによって、あるいはそれ以前の短い期間によって決済せられた向きが六十日ということで延びはしないか、こういうことが考えられましたので、第二条の二に「かつ、できる限り短い期間内において、」ということを入れたわけでありまして、この修正が今まで短期間で決済をなされていたものに対して、それを長くするという意思でないことは十分に御了解も願えると思います。  本法案審議過程において親企業と下請企業との関係の問題あるいはその手形の問題等においてはすでに論議が尽くされておると思いますので、その理由等は省略いたしまして、以上をもって提案の説明を終わりたいと思います。
  158. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  159. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 本修正案については質疑の通告もありませんので、原案並びに修正案を一括して討論に付します。  討論の通告はありませんので、直ちに採決いたします。  まず田中武夫君外二名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  160. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたされました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  161. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決いたされました。     —————————————
  162. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 次に、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党を代表して岡本茂君、板川正吾君及び伊藤卯四郎君より本案に対し附帯決議を付すべきとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を聴取することといたします。岡本茂君。
  163. 岡本茂

    ○岡本(茂)委員 自由民主党、日本社会党並びに民主社会党を代表して、ただいま議決されました下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案を提出し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。   政府は、本法によって下請取引の公正を図るほか、下請事業者が親事 業者と対等な地位を確保するため、その自主的組織の結成及び育成を図る等各般にわたり積極的施策を講ずべきである。  従来下請事業者が親事業者の従属支配下に置かれる傾向にありましたことはいなめない事実であり、特に景気の後退期においては親事業者がその優越的地位を利用して自己の経営困難を下請事業者に転嫁し、景気調節のクッションたらしめた事例が多く見られるのは御承知の通りであります。  現行下請代金支払遅延等防止法及び今回の改正案は、このような事態に対処するために積極的に運用されなければならないのはもちろんでありますが、真に下請取引関係の正常化をはかるためには、法律による取引面の規制とともに、下請事業者の地位を親事業者と対等の地位にまで引き上げることが必要であり、むしろこれが根本的な措置であると考えられるのであります。  特に、最近の金融引き締めが中小企業にしわ寄せされる傾向にあり、さらに貿易自由化を控え、下請事業者の経営が困難の度を加えることが予想される今日におきましては、下請事業者の地位の確立は焦眉の急となっております。  この意味において、政府は下請事業者が協同組合制度あるいは商工組合制度を十分に活用してその組織化を推進するよう積極的な指導を行ない、自主的な組織の強化による地位の向上を全面的に援助すべきものと存ずるのであります。  以上の観点から本決議案を提出した次第でありますが、何とぞ全会一致をもって御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  164. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 以上で説明は終わりました。  採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  165. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 起立総員。よって、本動議の通り附帯決議を付することに決しました。  この際、小平総務長官及び中小企業庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。小事総理府総務長官
  166. 小平久雄

    ○小平政府委員 ただいまは下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案を御可決いただきまして、ありがとうございました。  本法の施行につきましては、従来から政府もできるだけ努力を払って参ったわけでありますが、今回の改正の趣旨にのっとりまして、一そうの努力をいたすつもりであります。  なお、附帯決議の御趣旨につきましては、十分これを尊重いたしまして、御期待に沿うよう努力をいたしたいと存じます。
  167. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 大堀中小企業庁長官
  168. 大堀弘

    ○大堀政府委員 ただいま小平総務長官から御発言がございました通り、ただいまの附帯決議の御趣旨を体して積極的に努力いたす考えでございます。     —————————————
  169. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 お諮りいたします。  本案に関する、委員会の報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次会は明日午後零時三十分より理事会、午後一時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十七分散会      ————◇—————