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中村国務大臣 御指摘の通り、土地販売業者の目に余るような
広告が非常に横行しております事実は、私どもも毎日の新聞を朝あけてみますと、今お示しのような
広告がたくさん出ております。また現に私どもの身内でも、新しく子供が世帯を持ちたいということで、この新聞を見て各地を案内された人がありまして、行ってみますと
広告とはまるきり違う。買える地所は
一つもない。また私の知り合いのある人は、行ってみたが、非常に景色がいいところに駅から自動垣で連れていかれて、しかもその日にどうしても買わせるようにうまく持ちかけられたので、手付金をもって買ってきてしまったが、
あとで
考えてみると、あれはやめればよいと思ったが、まああそこまで行ったんだから仕方がない、将来のためと思って買っておきました、というようなことも聞いておりますし、現実にあまり
行き過ぎた
広告が横行しまして、一般大衆が非常に迷惑しておることを私ども痛感いたしております。
そこで、問題の処理でございますが、建設省といたしましては、先年宅地建物取引業法を制定いたしまして、業者の登録制度をしいて、そうしてこういうようなことの規制の一助にいたしたいということで進めて参っておるわけでありますが、この登録は都道府県に扱っていただいて、都道府県知事が登録をすることにいたしております。そこで
広告の取り締まりということは、今までどうしても既存の立法では
方法がございませんで、今度幸い今御
審議をいただいておりまする不当表示の防止に関する
法律が制定されるようになって
国会にも提案されておりますので、この
法律ができますと、この
法律でしっかり縛って規制していくことができるか、こう思いまして、この
法律の成立を私ども大いに期待をいたしておる次第でございます。現状としましては、
広告だけでは、どうも他にも相当
行き過ぎた
広告がたくさんありますので、不動産の業者だけ
広告のゆえをもって処置をする制度もはっきりございません。そこで今の
やり方としましては、そのために実害をこうむった人が現われて、監督者でありまする都道府県に申し出がありますと、これに対しては登録の取り消しの手続等をいたしまして、宅地建物取引業者としては、登録しておるということが
一つの信用を得る道でもあり、また登録した業者には保証金を納めさせておりますので、登録の取り消しという道で牽制をしておるというのが現状でございます。ただそれならばもっとしっかりやったらばどうかという御意見もあり、われわれもそう
考えておるのでありますが、新しい制度でございますので、各都道府県もたくさんの
人員を持っておりませんので、届け出があったり訴えがあったものに対して処置をするという程度に現在はとどまっておる様子で、こちらから捜査をしまして、こういうようなものを取り消していくというところまでなかなか徹底をしないうらみは確かにあるわけでございます。この点は各都道府県を
行政指導いたしまして、今後だんだんと強化して参りたいと思っております。
それともう
一つは、実際に調べてみますると、登録をしていない業者でやっておるものが非常に多いようでございます。これらもこの
法律の制定を見ましたならば、それと宅地建物取引業法との
関係を十分につけまして、われわれとしましては今後努めて遺憾のないようにやっていきたい、こういう
熱意には燃えておりますが、現在制度上非常に欠陥がありましたので、そんなようななことになっております。この今御
審議をいただいておりまする
法律の成立を私どもは非常に期待をいたしておるというのが現在の
状態でございます。
それから第二点として御質問のございました土地の
価格の問題につきましては、私就任以来非常に憂慮をいたしておりますることで、今
国会にすでに
法律は成立をいたしまして、その施行の準備中でございますが、宅地制度
審議会を設けまして、ここにいろいろな問題点を付議いたしまして、今まで懸案になっておりますことを処理していきたい。実はこの点について建設省としましてはすでにあらゆる角度から研究をいたしまして、いろいろな問題点をしぼっております。一、二例をあげますと、土地が投機対象にされて、買い取っておいて値の上がるのを、空地のまま、使いも貸しも売りもしないで持っておる。あるいはまた、投機対象とまでいかなくても、大
企業その他が将来を見越して、まあ土地を買っておけば損がないだろうということで、要するに投資の対象としておるということが、一般の土地の需要者の需要を一そう窮屈にするという事情にございますので、こういう問題の税法上の措置あるいはその他私権を、憲法の基本的な観念に照らして支障のない程度で、押えるのには、どういうふうに押えるかというような
点等、いろいろ検討をいたしておるわけでございますが、これらは私権の保護との
関係でもございますから、税に関しては税の権威者あるいは
法律制度のいろいろの理論上の問題がございますから、
法律の学者その他権威のある方々に
審議会を構成していただきまして、ここに十分われわれが今までしぼってきておりまする問題点あるいは外国の立法例等を集めまして、付議して、ここで濾過をしていただいて、制度化していきたい、こう思っております。半面現在ある制度を運用して、いかに土地
価格の高騰を牽制していくかということにつきましては、まず第一
考えられますことは、
住宅金融公庫に
政府の財政資金をできるだけつけまして、東京で申しますれば、二十三区あるいは周辺の市町村、他の地域で申しますならば府県、市町村等の地方公共
団体が、この低利の資金を
住宅金融公庫から借りまして、宅地造成をしていただく、まあ見たところ腐ったような土地を安く手に入れまして、これを区画整理をし、道路、排水、下水その他の整備をしまして、原価で売却をしていただく、これをできるだけ広くしていく必要がある。また、
住宅公団にも同様の宅地造成をしていただくというようなことを
考えまして、三十六年度及び三十七年度はさらに大幅にこの資金のワクを広げまして、現在では、全国にわたりまして千何百万坪かの宅地造成をこういう道によって行ないまして、そうして利潤の加わらない安い宅地を公共の手によって分譲すれば、周辺の地価の高騰をある程度牽制できるのじゃないか、こういう
考え方から、実は目下のところではそういうことに
努力をいたしておりますが、さらに一歩進めて、宅地、土地全体についての制度的な検討をする、あるいは評価鑑定の制度等もわれわれ研究をいたしておりますが、まあいろいろ予想されますることを学識経験者の方々に付議して、そこで濾過して制度化していきたい、こう思っておるような次第でございます。