○藤山国務
大臣 物価の問題で、過度の
経済の拡大ということは、先ほど申しましたように、
日本の
経済構造の上から、あるいは過去におきます
経済条件の
整備が伴っておらない上に
影響をして、そうして出てきたことは、これはもう明らかな事実だと思います。従って、ある
程度経済の過度の成長ということを抑制して参らなければならぬことは申すまでもございません。そこで、そういうものがどういう面に現われてきたかと申しますと、たとえば需要供給の
関係におきまして、供給が足りないから
物価が上がったということ自体も
考えられますけれども、しかし、今日の生産活動というものは相当に旺盛でございますから、必ずしも需給のバランスがくずれたからだけというわけにはいかぬと思います。ただ、
消費が非常に旺盛でございますから、従ってその
消費が旺盛なだけにやはり
物価に
影響することは、これは申すまでもないのでありまして、その点はわれわれも認めておるのでございます。ただ、御承知の通り、今日のような状況でありますと、過度の成長をしました結果として、たとえば輸送の
方面が十分に今の
経済発展に対応していないということも
一つでございます。それから、労働
関係の移動というような問題、これが私ども必ずしも十分だとは
考えておりません。むろん合理化をし、その他をする。一方では、その結果として余剰の人員が出てきておるにかかわらず、他方では、中小企業等でもって、高度の成長をし、新しく自由化等に対処するために技術的革新もやらなければならぬが、その技術者が得られないというようなこと、そして、そういう面における移動の円滑化を欠いておるというような点も
考えられます。そうしたいろいろな理由をこの際ある
程度是正して参ることを進めて参らなければ、長期にわたります——ここ二、三年のことを
考えてみましても、
物価を安定さしていくことにはならぬかと思うのでありまして、そういう意味においては、ある
程度過去におきます財政投融資の
関係におきましても、あるいは労働者の移動、再教育あるいは新職場に対する訓練等の設備等に対しても、十分な制度がこの際確立されなければなりません。そういう面について、やはりある
程度予算措置もして参らなければならぬことは当然のことだと思うのであります。
でありますから、そういうような基本的な
立場に立ちまして問題を
考えて参りますと、一面御承知の通り農業基本法もできまして、農業
日本の構造改革というものも
考えていかなければならぬのでありまして、そういう点が総合的に
考えられなければならぬことはもちろんでございます。そういう
施策がおくれて参りますれば、二、三年で行き詰まってしまう状態が現出するのではないか。でありますから、そういう面については十分な
施策を講じて参る必要があろうかと思います。ただ、それと同時に、当面
消費者物価が上がっておるわけでございまして、これをどう押えていくかということは、今のような輸送
対策とか、労働者の訓練とか、再就職の問題とか、実質教育をやるとか、そういうような問題だけでは必ずしも当面の
対策は片づいていかないのであります。そこで、当面の
対策として、やはりいろんな面において各省が指導をし、そうしてそれを進めて参らなければならぬ。その間に今申し上げたような条件を改善しながら進んでいき、あわせて数年のうちに安定した
物価態勢のもとに進めていくという道をとらなければならぬのではないか、こういうふうに私は
考えております。でありますから、若干本年度の
予算の規模が大き過ぎる、それで
国民消費の全体の
消費の中で政府の
消費が多過ぎるということも、議論にはむろんなります。しかし、ある
程度これをやらなければ、今言ったような点についての欠陥が直ちに露出してくると行き詰まってしまう。都市交通そのものを
考えてみても御承知のような状況でありますから、そういう面については、今後の貿易バランスその他のことを
考えながら、弾力的に
予算は運営していく必要はございますけれども、そういう面については力を入れていかなければなりませんし、その問の救済に対する、あるいは社会保障というものに対しても、できるだけ政府は力を入れて、そうして
物価安定の進み得るような道を
考えていかなければならぬ。そういうようなことで、総合的に
考えながら当面の問題を処理していくということで、それではお前が言うようにこう横ばいでいけるのかということになるわけであります。私は、必ず横ばいでいけるということを実は申し上げているのではなくて、これは努力
目標なんです。従って、その
目標に向かって、あるいは
目標以内に今後は全部をやっていかなければならず、またやっていくことが努力
目標を立てました政府の責任でもあると思うのでございまして、そういう意味におきまして、いろいろな力を合わせていきたい。でありますから、総合
対策を
数字的には政府として決定することはできると思いますし、その中においてとるべきものはとって
施策に出していく。その一環として総合
対策の中にもうたわれることでもございますし、また四月一日から施行しなければならぬことでございますから、
間接税の引き上げ等に対する大蔵省を
中心にした各省との連絡によります処置等についても、本日の閣議で、第一次総合
対策ができます前に内容の
一つとして決定したようなわけでありまして、逐次そういう面について強化をして、できるだけの努力をして参りたい、こう
考えておるのでございます。