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久保田(豊)
委員 今の
お答えは、一応言葉としてはあれですが、非常に矛盾しております。そういうお
考えでのあれなら、
知事が
事業主体になって
申請をしてやるなんてばかなことにならぬはずです。これは国が全体の
工業立地の立場からぴしっと全般をにらんで、どこへどう
配置するということをきめなければ、
知事が
自分の県だけのことを
考えてやって、そんなうまい
配置ができるわけはありませんよ。その点については私
あとでもう一度触れますが、大体におきましてこの点の
検討が不十分なように思うのです。もし今のような
お話で、そういう
観点からやるなら、
国自身がこういう大
産業都市の
建設の
計画をみずから持って、みずから実行するということでなければ、
ほんとうにうまい話にいくはずがありませんよ。
知事が
自分の県を
土台にして
——自分の県を
土台にすれば、これはみんな手前みそになりますよ。そういう手前みそ的におれの県にもおれの県にもと言ってきて、うまいそういうことができるわけがありません。ですから、そういう点で、根本において、
調整はされたのでしょうが、私は筋が通っていないと思う。そういう点も含めて、
国自体が
ほんとうの
計画を持っておるのか持っていないのか。
文章としてなりあるいは抽象的な
方針の
検討はされたかもしれないが、これは、具体的にする場合には問題は
計画です。そういう
計画を持っておってするというなら話はわかる。しかしどうもこれを、ずっと
文章だけ読んでみますと、そういう
計画はないし、そういう
計画という点について見ると、今までの
建設省の
計画なりあるいは
自治省の
計画なりあるいは
——通産省ははっきりした
立地の再
配分計画というものはないようですけれども、一応今まで
考えていたもの等をやるとすると、そこに非常に大きい食い違いがあるから、この点は
文章としてではなく、事実として、あるいは
計画としてどう
調整をされたかということを聞いているわけです。その点は
あとでもう一度触れます。
第二点に移ります。その次は、従って今の話にも
連関してくるわけですが、
区域の
指定は、
申請は大体
知事が出すことになっておるわけですね。
市町村長の
同意を得て
知事が出すことになっておる。その
指定の
申請には
一定の
条件があると思うのです。その
条件とは具体的にどういうことを
考えているのかという点です。特にその場合において、将来の
都市の
人口や
地域や大きさについては、これまた当然
一定の
基準がなくてはできぬはずです。そこへ持ってくる新
産業はどういう種類を持ってくるのか。
石油の
コンビナートを持ってくるのかあるいは
製鉄の
コンビナートを持ってくるのか、あるいは
中小企業を持ってくるのか、あるいは
機械産業を持ってくるのか
——機械産業の中にもいろいろあるはずです。そういうものと、そこに持ってくる
企業の数とかあるいは
企業の
規模とかあるいはその年間の総
生産高というもの、
産出高はどのくらいのものとか、あるいは、
就業労働者とか、そこへ移住してくる人間はどのくらいのものを見込んでおるのか、こういうふうな点。特に大事な点は、今
お話がありましたように、
公共事業に
先行投資をする、こういうのでしょう。そこへ持ってくる
企業については、大体において、あらかじめ
知事が、
知事の
責任においてここへこういうものを作れば何が来るんだという約束をしなければ、作ったものは、使えませんよ、これが狂えば、要するに大きな
負担がかかるのですから。その
負担をペイするところがない。
地方団体が償うのにきまっている。そういう点については、これは何も規定してない。何もありません。これじゃ私は、
知事としたって、いいかげんな山勘でもって政治をするなら別問題ですけれども、
責任を持ってやるなら、この状況を明確にしなければ、
知事はうかつに
申請はできないはずです。現に、たとえば、至るところで、やれ
製鉄コンビナートができるとか、何ができるとかいって、
地方がうんと
公共投資をしているでしょう。きょうの新聞を見ても、
堺地区では、八幡ですか、神戸製鋼ですか、どこか大きな
製鉄所があそこへ進出するのを、ことしは
規模を縮めるとかいうことである。そうなると、埋め立てなり何なりうんと銭をかけたやつが、大きな
コンビナートが来なくなって、
連関のほかの
企業も来なくなるということになると、とたんにそこの
財政というものは破綻するはずです。私の
地区なんかもそうです。たとえばアラビア
石油が来る、あるいはそれに
連関していろいろのあれが来るということでいろいろ用意しておったところが、最近のいろいろな
情勢から、これがまだ
めどがつかないということになりますと、私のところはまだ手をつけておりませんからいいが、もしこれが手をつけておったら、その間の
地方の
公共投資というものは全部むだ
——むだということはありませんけれども、一時ストップして、たちまち
市町村なり県の
財政がいびつになってしまいます。従って、これには
知事の
申請の
手続が書いてありますが、
責任を持ってやるならば、そういう
申請について
一定の
条件をつけるのは当然です。ところがこれは何もない。特に
知事がそこに持ってくる大
企業なり
連関企業の誘致を、ある
程度の
めどができなければ
責任を持ってできないのかどうか、そういうふうにして
知事に
責任を負わせることが、国の
産業再
配置なりあるいはいわゆる
地方の
所得格差を是正するという国の大きな
方針からいって適当かどうか。こういう点についてどういうふうに
考えられておるのか。それらの点について
検討をし、あるいは
方針を持っておられるのかどうか。少なくともこの法文と、それについての
役所側の説明を聞いた範囲では、そういうことは何もない。一番生きた大事なことについては何も触れていない。聞いてみると、
あとは全部
行政措置にまかせる、こういうべらぼうな法律というものは私はないと思う。ここはどうなんですか。