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1962-08-03 第40回国会 衆議院 社会労働委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年八月三日(金曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長代理理事 齋藤邦吉君    理事 藤本 捨助君 理事 柳谷清三郎君    理事 小林  進君 理事 五島 虎雄君    理事 八木 一男君       安藤  覺君    浦野 幸男君       加藤鐐五郎君    海部 俊樹君       佐伯 宗義君    田中 正巳君       永山 忠則君    松山千惠子君       森田重次郎君    渡邊 良夫君       大原  亨君    河野  正君       島本 虎三君    田邊  誠君       滝井 義高君    吉村 吉雄君       井堀 繁男君    本島百合子君  委員外出席者         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      尾村 偉久君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      五十嵐義明君         運輸事務官   渡辺 道夫君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 七月十一日  委員赤松勇辞任につき、その補欠として山口  シヅエ君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員大橋武夫辞任につき、その補欠として灘  尾弘吉君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員大石武一君及び八田貞義辞任につき、そ  の補欠として田中正巳君及び森田重次郎君が議  長の指名委員に選任された。 八月三日  委員安藤覺君及び山口シヅエ辞任につき、そ  の補欠として石田博英君及び赤松勇君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員石田博英辞任につき、その補欠として安  藤覺君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件(コレラ対策に  関する問題)      ————◇—————
  2. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)委員長代理 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がございますので、これを許します。滝井義高君。
  3. 滝井義高

    滝井委員 昨日から本日にかけて各日刊紙を非常に騒がしております大阪商船貨物船の、いわゆる十七人のコレラ菌保菌者の問題についてでございます。かつて灘尾さんが厚生大臣の当時、やはり台湾の方からコレラ日本侵入をするおそれがあるというので、多分一人の船員か何かの死体の問題を中心にして騒いだことがありました。しかし今度の問題は、すでに南方に相当のコレラ発生をしておって、しかもわずかに半月かそこらの間に台湾から日本国内に入ってくるという、こういう非常に急速なコレラの北上の姿が現われてきておるわけですね。そこでまず第一に、現在東南アジアフィリピン台湾等におけるこのパラコレラ発生状態というものが、一体どういう状況であるかという概要を御説明願いたい。
  4. 尾村偉久

    ○尾村説明員 現在東南アジアより流行して参っておりますコレラの概況を申し上げます。  昨年の四月にインドネシア、セレベスから散布されたと思われますものが、その後東南アジア各国、すなわち香港インドネシア——ジャワ島を含むインドネシアの諸島、マカオ、それから香港の地続きである中共の広東等、これらを風靡いたしまして、さらに本年の初頭になりまして北ボルネオに移りましてサラワク、これらに蔓延をいたしまして、そのまま一部はその地域からとだえましたけれども、まだ残存しておる地域がございます。  それから、もう一つの形は、これは大陸から逆に入りましたかあるいはインドネシアの方から入ったか、その侵入経路はわからぬのでございますが、昨年の九月にフィリピンに入りましたものがものすごい大流行になりまして、最盛期には一週間に千名の患者発生という時期がございましたが、現在なお終息せずに、フィリピンでは総患者発生数は、これは届出数だけで一万五千名、それから死亡者二千百名というような状況で、現在なおフィリピンの南部の方に週間ほぼ五十名ないし六十名の発生を続けております。従いまして、ほぼこのフィリピン流行状況はもう一年に近くなる、こういう状況でございます。従いまして、このフィリピンが今東南アジアにおきます流行中心地域になっておる、こういう状況でございます。  このフィリピン状況は、四年前にタイ国バンコックにおきまして、二万名の患者を二年間に——二冬越したわけでございますが、二年間に継続発生した状況とほぼ匹敵する流行の速度、かような形でございますが、フィリピンのこの流行状況にかんがみまして、先ほども御指摘のようにフィリピンに対する日本への侵入防止対策というものを昨年以来すでに強くいたしまして、海の関係者漁業関係者等予防注射を初めといたしまして、フィリピンから来航検疫の強化、並びに逆に、流行中心地であるフィリピン患者を早く現地で根絶えすることに協力するということのために、わが国から治療薬剤等を無償で、赤十字を通じまして政府へこれを寄贈するというようなことをいたしました。  なお、フィリピンの一番の最盛期まで、今回流行しておりますエルトール型という菌の種が国際伝染病としてのコレラ指定を公式にされておらなかったということのために、国際的にお互い侵入防止の手段といたしまして、国際術生規則並びにそれぞれの国の検疫法を適用できないということがまた国際間の流行に拍車をかけておりましたので、日本提案国となりまして、本年のWHOの理事会並びに総会に、このエルトール型のコレラ等の病気は全くコレラそのものと同じである、菌のごく一部の生物学的の細菌学的性状が違うのみであるということで、コレラ指定を提案いたしました。これが本年の五月の総会で議決されまして、従来のアジアコレラ中心といたしますいわゆる昔の真性コレラ、これに編入をいたしまして、全くコレラという認定になったわけであります。従いまして、この後は、日本といたしましても一そうこの対策がやりやすくなっておったのでございます。  今言いますようなフィリピン流行が終息しませんままに七月十七日に台湾侵入し、初発をいたしました。その侵入経路は、あるいは小さな漁船によりフィリピンないしは大陸接触した者から搬入されたともいわれておりますけれども、これは公式の原因の決定的な発表はありませんので、いずれにいたしましても、さような形でこの流行地域から台湾侵入した。この十七日に初発をいたしましてから、台海中部初発以来、連日十名ないし三十名程度の毎日発生を見まして、北は台北まで、南は屏東台南というところに急速にこれが蔓延をいたしまして、しかもこれは沿岸地帯のみを通じてではなく、内陸の方向にも飛び飛びにこれが急速に発展をしたということで、本月一日現在、その公式の届出件数は百五十九名、なお疑いを持って伝染病院に入院しておる者がこのほか二百名、合わせて三百六十名近くの患者発生いたしました。公式のコレラによる死亡者は七名ということになっておるわけでございます。  この十七日に初発いたしまして、二十一日にわが国にさような情報が入りましたので、直ちに、従来行なっておりましたフィリピン流行対策とやや趣が異なる、すなわちフィリピンの場合には船で来るのに十日以上の期間がかかりますので、コレラは長くとも五日間以内にほぼ発病するという潜伏期間以後に来ますので、いずれも感染しておれば航海中に何らかの通信連絡ができるという状況でありましたので、それに応じた処置をとっておったのでございますが、台湾の場合には最短三日、高雄からでも四日ということでございます。潜伏期内に来るという非常に危険な状況でございますので、特別な措置をとりまして対台湾コレラ侵入防止対策、こういうことにいたしました。  なお、かような状況でございますので、フィリピンのとき以上に、現地における蔓延初発時期に日本も協力して食いとめるために、先方が非常にコレラワクチン不足を告げましたので、発生以来十日目に、日本で手持ちの百万人分のコレラワクチンを、政府から日赤を通じて急遽空輸いたしました。到着の翌日に台南市内五十万人に使用開始される、こういうような状況で、対策の一環としてこれも実行したわけでございます。従いまして、今にもきてはいかぬということで非常な防疫対策をしいておったわけでございますけれども、高雄を七月二十七日の夜出航いたして参りました、ただいま御指摘大阪商船御影丸が、七月三十一日に門司入港いたして参りました。これは商雄市における滞在の日数が長かったので、現在まだ高雄港並びに基隆港、すなわち台湾開港場は、いわゆる法規で言います汚染地域指定されておりませんので一切強制措置はできないのでございますけれども、これにかわる臨船検疫門司港外でいたしましたところ、さような平時がわかり、さらに、一名の船員荷雄滞在中に一日間下痢をした、ただし治療を受けて一日でなおったということを聞き出すことに成功いたしたものでありますので、危険船ということで強い勧奨をいたしまして、全員即時採便ということで、三十八名の船員全部から採便をいたしましてこの検査を開始する。しかしながら、まだ三十八名全部が健康状態でございますので、これに上陸禁止措置ができませんので、仮検疫済みという法規上の措置によりまして、いつでも疑いの証拠が出れば取り消して、また港外に出してやるという条件になっております仮検疫済みによる入港を許したわけでございます。  その後検索を急ぎまして、大体普通の検索の最低時間である四十八時間日、昨日二日に至りましてこの結果が判明したところによりますと、十七名が今のところエルトール型ということで、今朝の十時に判明するはずでございますが、要するにコレラ菌というものを十七名が保有しておるということが判明いたしましたので、これは日本領土に入る前に検疫発見台湾罹病保菌者ということで、これを直ちに措置場抑留隔離をいたしました。なお同船者残りの者も全部隔離すべきでございますけれども、このうちの健康者四名はその前日に、将来船をかわるというような予定もございまして、そのために郷里に四名が帰るということでございましたので、この仮検疫済みの裏づけになっております行き先を明示して、行き先地保健所に届け出てその指事を受ける、こういう条件付によりまして四名は各地に帰郷いたしました。その他の者は、昨日この判明と尚時に措置場に収容隔離すべきところ、台風通過中でございまして、船を放棄することができないということで、十七名を取り上げたら残りの人数では台風下の船の保安上の条件に合わないということで、逆に会社側から新たな五名を保安要員の部署に乗船さして、船を操縦しながら台風通過を待つ、こういう措置をとりました。ただし、外界とは全部遮断する。それから新たに加わりました五名も、台風通過後も健康な他の従来の全長と同様に隔離する、こういうことを承知の上で乗船を許す、こういうことをいたしました。なお、税関官吏入港町四名立ち入り検査をいたしましたが、この税関官吏もろとも隔離収容対象にいたしております。かような状況でございます。  さらに、十七名全員が無症状保菌者であるということでありましたところが、昨日の夜半に至りまして、ごくごく軽症の症状と言えるわけでございますが、三名が軟便の臨床症状が一日二回程度あるということでありました。この三名は症状プラス菌陽性でございますので、コレラ患者という法規的な扱いになり、他の十四名はコレラ菌保有者ということになりまして、これは取り扱いは一切同様でございますが、さような形で現在は症状も進むことなく隔離収容いたしまして生活しておる、こういう状況でございます。  なお、ただいま申し上げました四名につきましては、同船者十七名がコレラ菌保有者ということが確定いたしましたので、直ちに全国の立ち回り先衛生部並びに保健所が昨日中に連絡がつきまして、全部その地元の伝染病院隔離いたしました。大阪の場合には、家族が希望いたしまして家族一緒に入りたいということでございますので、家族ごと伝染病院隔離収容いたしております。従いまして、同船来航者全員、ただいま全部監視下並び隔離下にある。門司周辺につきましては、さような形でございますので、とにかく一日に入港いたしておりますのと仮検疫済みであったために、門司市内とあの近辺に一日間、ある数の船員が立ち回ったということでございますので、その立ち回り先消毒並びに衛生監視を、全部調べた上で厳重にいたしております。さような状況でございますので、門司市民全員——約十六万人と思いますが、そのうち約二万人はもうフイリピン以来やっておりますが、これに全員一、二日のうちに予防接種をする。下関側は対岸でございますので、沿岸住民につきましてはやはり全員予防接種をするということで、これはワクチンの供給もいたしまして、昨日著しく進行いたしました。海につきましては、ただいまのように検疫錨地移動する前に一日間入港いたしておりますので、昨日の夜半二十三時に福岡県知事山口県知事が、関門海峡の一定の水域につきまして漁撈禁止水泳禁止措置を、伝染病予防法の条項に基づいて発動した、こういう状況になっております。  以上の通りでございますので、大体これは一日だけ立ち入ったということがまことに遺憾でございますけれども、水ぎわにおきまして検疫発見ということで、国内発生ということでございませんで、白河の罹病者がそのまま来まして日本領土上陸前に発見して隔離した、こういうケースになっております。かような形でございますので、これを中心として急速に蔓延ということはないというふうに考え、またさように努力いたしておるわけでございます。  ただ、こういう形で今後日台航路を通じましてくるということはますます考えられますので、実際は高雄港と基隆港がまだ指定港にはなっておりませんけれども、これも日本防疫上の問題で汚染された船舶ということに全部認定するという日本の見解に基づきまして、昨日以後は台湾から来る船は全乗員検便をする、検便の結果がほぼ二日かかりますが、この間は検疫錨地から一切移動させずに、国内との接触は全部禁止しておる、結果が判明次第それぞれ解除なりあるいは収容処置を講ずる、こういうことで昨日からいたしておるわけでございます。  なお、日台空路があるわけでございまして、航空機でも入る可能性がある。理屈から言いますと、航空機では三、四時間で参りますので、もちろん感染者があるといたしますれば、全然これは臨床的には発見できない時期でございます。ただ昨年以来、フィリピンの一万五千名を初め、インドネシアその他の二万余名の発生状況を、情報お互いに交換しておりますが、空路によりまして外国から侵入したというケースが一例も今までのところわかっておらない、さような形で、従来も各国がこれらの国から空路の場合には絶対に予防接種をやった者のみが乗る、しないで来た者は即時その場で予防接種強制する、こういうやり方によりまして、現在までのところ発生を見ておらないということでございますので、わが国といたしましても、大体空路から来る乗客の階層が今回のアジア流行しておりますエルトールコレラ流行のちょうど対象にはずれておりまして、さようなものから出ておらぬという形で、現在のところは、各国がとっておりますこの予防接種中心の空路検疫ということはこれを厳重にいたしましたが、こういう形でしばらく模様を見る、こういうふうに対処いたしておるわけでございます。  なお、この台湾コレラ侵入に対しまして、物品による侵入ということがございますので、これは環境衛生局の所管である生鮮青果物魚類対策といたしまして、先般来やはり厚生省としては対策をとっておりますので、これは環境御生局長から御説明を願う、かように存じます。
  5. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、三十八人の乗組員の中で十七名が保菌者あるいはコレラ患者である。そうしますと、二十一人については何ら異常を認めない、こういうことなんですね。そうしますと、その二十一人は現在どういうようにしておるのか。その中の四人については、他の船に乗りかえるというので郷里に帰った。しかし、保健所の方でその人に面会をして隔離をしておる。こういうことなんですね。そうしますと十七人ということになる。十七人は現在どうしているわけですか。
  6. 尾村偉久

    ○尾村説明員 この十七名の無菌者の中には船長も含んでおりますけれども、これはただいま船の上に健康隔離をいたしておりまして、これは先ほどちょっと御説明いたしましたように、現在、今朝まで台風通過中で荒天港域指定されておりますので、移動も困難ということでブイにつないだまま台風に対処する船上操作の勤務についておるわけでございます。なお、先ほども申し上げましたように、五名を荒天業務の加勢にわざわざ乗り組ました。これがありませんと保安条件に合いませんものですから。かような過程でございまして、この船をあとに残し得る状況になりますと同時に彦島措置場健康隔離いたすことにいたしております。おそらく本日、この船から上陸できる状況に海上がなるというような報告でございますので、さように措置する、こういうふうにいたしまして、一方の十七名の保菌者が、菌がなくなりまして全く無歯状態全員がなるまではこれを隔離いたしておく、こういう予定にいたしております。
  7. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、船長以下の十七人と、現在これは台風のために船を操作しておるわけですが、そのほかに五人の追加の乗船員がおるわけですね。そのほかに税関から四人入っておるわけですね。十七人プラス九人、つまり二十六人が現在船に乗っているわけですね。この二十六人については、保菌者の十七人が菌がなくなるまでは健康隔離をする、こういうことですね。
  8. 尾村偉久

    ○尾村説明員 実際には、検疫法の規定によりますと、この無菌者健康隔離、いわゆる同船接触者と言っておりますが、これは法規上は五日間でございます。コレラの場合には五日の滞留を法規で命ずることができますけれども、ただ実質的には、今度の十七名の保菌者状況でもおわかりのように、向こうの高雄には十七日から二十七日まで滞在いたしておりまして、しかも出航の前日、二十六日に一名だけが下痢症状を起こしたということでございます。上陸時マクワウリその他を食べたそうでございますが、それから推定いたしますと、今の保菌状態の継続あるいは保菌状態になった時期というものが、はたして五日間以内かどうかも今のところ実は推定不可能でございます。予防接種を全部繰り返しやっておる方々でございますので、この十七名から現在は頻回の検査でも菌は出ておりませんので安全でございますが、あるいは今後万々一腸壁のどこかにひそんでおって出ることがあってはいかぬということになりますので、法規の許す範囲の五日を経過いたしましたならば、これは船主側と、それからもちろん当人たちと、これによりましていわゆる勧奨隔離という形で応じてもらいたい、こう存じておるわけでございまして、強制はできませんが、しかし今の十七名の同僚がまだ保菌状態で、三名は患者状態でおりますので、これはもう必ず応じていただける、こういうふうに今までの折衝状況では存じておるわけでございます。ですから、全部完全になるまでは、初めての日本侵入ケースでございますのでまあ協力してもらって、万全になるまで策をとる、こういうふうに実は希望しておるわけであります。
  9. 滝井義高

    滝井委員 それで船にいる方はわかりましたが、そうしますと、すでに故郷に帰った四人が、現在保健所でその者に面会をして隔離病棟隔離しておるわけですが、その状態はこの四人についても同じなんですね。それから同時に、今の局長の御答弁のように腸壁その他にひそんでいるかもしれぬという疑いを持つとすれば、この四人の者が故郷に帰って、家族その他ともう食事をしておると思うのです。あるいは排便もやっているわけですね。そうしますと、当然その四人の立ち回り先の家屋、便所ですか、こういうようなものについて万全の対策をとっておかなければならぬと思うのですが、そういうことは手抜かりなくやっておられるのでしょうか。
  10. 尾村偉久

    ○尾村説明員 このうち把握いたしまして、直接すべての処理報告がありましたのは、大阪が昨日の午後ございました。これは私が直接聞いたものでございますのでよくわかっておるのでございますが、これは到着と同時に家庭に帰った。帰って、もう待ちかまえておりました衛生当局が直ちに連絡いたしまして、あそこの市の伝染病院隔離を勧めた。ところが帰って家族一緒になりましたので、家族も心配いたしまして、妻子三名も一緒に連れていってくれということで一緒健康隔離をした。直ちに検便をいたしまして、実は四十八時間でないと正確にいきませんが、大体二十四時間のペプトン水倍養によりまして無歯と有菌はわかるわけでございますが、それによりますと、まだ二十四時間にもなっておりませんでしたが、全然はえないということで、やはり門司における無菌と同様と認めるということが公式な報告でございます。他はまだそこまでの詳細なのはなくて、電報で連絡がついて所要の伝染病院隔離したというところまでわかっておりますので、今後も今のような同様の措置をいたしますが、ただこれは地方の、他に赤痢その他の入っております伝染病院にはたして五日をこえてこれを置いておく方がいいか、それとも今の連日検使をやりまして無菌状態であれば、いわゆる伝染病予防法にいう家庭指導管理ということに付しまして、便所を厳重に毎日消毒する、それから本人外出を禁止するとか、そういうような形で、無菌状況にある間は厳正な自宅管理でもいいのではないかと思いますが、おそらくこれは他に転船するということを言ったわけでございますけれども、これは会社とも折衝をしておりますが、場合によっては、むしろ都合がよければ逆送をいたしまして、また彦島同僚がいる間一緒につき合ってもらってあそこでカン詰になる、こういう方がすべての条件がいいのではないかと思っておりまして、これは五日間たちましてから、それぞれの四衛生当局と御本人の意向によりまして解決したい、こう存じております。
  11. 滝井義高

    滝井委員 特に上陸している四人については、人権を侵害しないように厳重な対策を立てていただきたいと思うのです。  次は、この御影丸砂糖を積んできているわけですね。そうすると、その砂糖は現在陸揚げをしたのですか、まだその船のままに赴いておるのですか。その場合に、もし陸揚げをしたとすれば、荷役をやっているわけですね。労働者が揚げているわけですね。そういう労働者との関係、それからその砂糖は一体どう処理をされるつもりなのか、この点を御説明願いたい。
  12. 尾村偉久

    ○尾村説明員 これは仮検疫済みが当日出ましたので、入港して荷役は開始いたしました。全体で積んでおります約三千トン余の砂糖の梱包のうち、これは未精製糖でございまして、あと精製処理をするものでございますが、これのうちの半分である約千六百トンが荷役を終わりまして、保税倉庫に入っております。これが直ちに、今の菌保有の見込みありということが、昨日を待たずして一昨日中に、途中である程度推定がついたものでございますから、荷役を中止いたしまして、保税倉庫にそのまま移動禁止をかけまして、密閉しております。これは適切な消毒が終わらぬ限り移動禁止ということにいたしております。  なお、これにタッチいたしました荷揚げ人夫、これはやはり理屈上は船内からかつぎ出したわけでございますので、船内立入者という可能性がございますし、また消毒を要する汚染物に触れたということでございますので、全部福岡県の衛生当局に調べてもらいまして、昨日この方々には外出禁止、いわゆる自宅隔離——いろいろな措置がございますが、その措置をかけ、本人にも十分説明をする、こういう措置を昨日以来とっております。ただこれらの方々は沖仲仕、荷揚げ人夫でございますから、今後これを伝染病予防法の発動という形にいたしまして、次々とこういうふうに本物の伝染病ということがわかってきましたから、さような形によって休業中の生活保障等のことを十分考えないとこれは非常に工合が悪い、それらはもう衛生部当局が十分考えて、困らないように処置していくという指示をいたしております。
  13. 滝井義高

    滝井委員 問題はそこに一つあるわけです。そうしますと、問題は二点になる。物の方の砂糖移動禁止するということになりますと、これは相当の損害——どこに出るか知りません。輸入業者に出るのか輸出業者に出るのかわかりませんが、そこらの損害の問題が出てくる。それから今言った荷役に従事する労働者の諸君の賃金の問題、生活保障の問題が起こってくるわけです。こういう問題を一体具体的にどう処理する方針なのか、予算的には一体どこからそういうものが支出されるのか、あなたの方でおわかりになっておれば御説明願いたいし、それからあなたの方の所管でなければ所管の官庁をちょっと呼んでもらって、こういうことは当初に明らかにしておかないと、あとになって陳情その他で明らかにするということでは、やはり防疫対策までいかなくなる。従ってその点をあなたの方で御答弁ができなければ、だれか答弁のできる人に一つ来ていただいて、明白にしておいていただきたいのですが……。
  14. 尾村偉久

    ○尾村説明員 今の荷揚げ人夫に対しまして、伝染病予防上、知事が必要と認めまして一定の予防措置を講ずる、これが予防法できつくうたわれておりまして、これによりまして、ちょうど今のケースで、だれでもというわけではございませんが、こういうようなケースで権力をもってその必要な期間働けなくするとなりますと、伝染病予防法でも補償が可能なようになっております。ただし、今までのところでは、補償の額とか、そういうようなもののこまかい規定というものはございませんので、これを発動してきめて、はたして有利かどうかという問題は、最近こういう例がないものでございますので、これは検討しなければいかぬと思いますが、最低の場合でも伝染病予防法の発動はできる。ただし、今のようにこれが日雇い人夫としての健康保険に入っておるとか、あるいは一般の健康保険加入者でございますと、やはり他から命じられて疾病予防のために病人と同じように労務不能にさせられるわけでございますから、かような形が、もし他の法規で、ふだん掛金しておるもので傷病手当金をもらえるというような形になれば、これはまた、より有利な方法で解決するのも一つの手かと存じますが、私どもの方の公衆衛生法規の中では、最低かようなケース伝染病予防法処置はし得る、こういうふうになっておりますので、今直ちにどこで救済を約束するということまでは、こういう事態でございますので、まだそこまでよそとの連絡をいたしておりませんが、十分検討いたして、注悪いたしたいと思います。  それからなお、砂粒の消毒方法につきましては、これは現在まだ私の方では、入っておる風袋そのものが詳細わかっておりませんので、これを薬液消毒にいたすか、あるいは倉庫の工合によりましてはいわゆるガス消毒による消毒が適当かどうか、こういうことはまだきめておりませんので、今のところはとにかく移動禁止で封印ということをいたしておりますので、この進行状況によりましてはさような完全な消毒をしていく。ただし砂糖の場合には、今までの学者の見解では、台湾から入ってくるものは、バナナのようなものは別として、砂糖と食塩が入って参りますが、砂糖そのもの、それから食塩そのものではコレラ菌というものは生存を続けないというのが学説の常識になっておりまして、これはかたまりなり結晶の中に入ればすみやかに死滅する、菌としては存在しない、こういうようなことになっておりますので、中身までこれを無理して消毒するかどうかというのは、まず必要ないだろうという見解でございます。接触した風袋を外からそのままで消毒して、あと使うに足りれば、食塩も砂糖もいずれも精製の場合にみんな加熱なりいろいろな処理がどっちみち行なわれるわけでございますので、一般の家庭に入手されるまでは必ず安全になると見ておるのでございますけれども、ただこの点は、やはり国内に搬入されますと食品の一種になりますので、これは先ほどのバナナと一緒に食品衛生法上の問題でございますので、環境衛生局の所管になるわけであります。
  15. 滝井義高

    滝井委員 当然砂糖でも、こうなるとみんな神経質になってしまうのです。当初原爆マグロで非常に神経質になったと同じで、この砂糖は、おそらくたたき売りしなければ売れない格好になるのではないかという心配があると思うのです。それで環境衛生局の御答弁をいただきたいのですが、そういうような場合の損失の補償——あとでバナナのことも質問するつもりですが、そういうものとともに当然何らかの対策を、これは今から講じなければならぬと思うのです。私は、今度の問題はこれだけでは終わらないと思うのです。だから運輸省にもちょっと来てもらいたいのですが、台湾との間のやはり交通遮断の問題も起こってくると思うのです。国民政府の方からは日本の外務省に、駐日大使を通じてバナナの輸入禁止を解除してくれ、そんなことをやらないでくれという申し出さえあると新聞は報じているわけです。蒋介石と日本とは特殊な関係がありますから、これで台湾との間に交通が断つことになると、だいぶ日本の外交の方針も違ってくることになるのです。コレラが外交方針を変えることになるのだが、社会党にとってはいいのだが、自民党さんにとってはそうもいかぬ場合が出てくるので、そういう対策を、環境衛生局としては物の面における、特に食品の面における補償の問題あるいは対策の問題、これをどうお考えになっているのか、あわせて御説明願っておきたい。
  16. 五十嵐義明

    ○五十嵐説明員 コレラ問題をめぐります食品衛生の問題でございます。この件につきましては、南方のコレラ発生以来、公衆衛生局防疫対策と対応いたしまして、環境衛生の面あるいは食品衛生の面からコレラ侵入の防遏に努力をして参ったわけでございます。バナナにつきましては後ほど御説明いたしたいと思います。  ただいまの砂糖の補償の問題でございますが、いろいろ外交上の問題あるいは経済上の問題もあろうかと存じますが、私どもがただいままで検討いたしました結果によりますと、食品衛生法上は、その廃棄その他の処分を命じましてもその損失を補償するという考え方は、食品衛生法上はとらないという見解に立っておるわけであります。
  17. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、こういう重要なコレラ対策上、廃棄した食品衛生関係のものについては損失の補償が出てこないということでございます。これは、そうしますと別個の、何らか政治的な考慮を他の面で払わなければならぬ。そうすると、こういう場合、他の面で払う法律上の根拠は何かありますか。
  18. 五十嵐義明

    ○五十嵐説明員 私どもの立場からは、そこまでまだ十分検討いたしておりませんので、ここでお答え申し上げられない次第でございます。
  19. 滝井義高

    滝井委員 次は、この御影丸門司におる間に、排便その他を海上に放棄しておると思うのです。だからこそ、さいぜんあの付近一帯に漁撈を禁止し、遊泳を禁止しておるわけです。この漁撈の禁止川間ですが、公衆衛生的に見た場合に、もちろん海水の中でコレラ菌が五日か一週間くらいは生きるかもしれないが、それ以上は生きないでしょう。しかし、あそこに船を係留てしおる、あるいは彦島あたりに抑留といいますか、隔離をしておるというような状態の間は、やはりあの付近の漁撈はできかねると思う。海水浴等もできかねると思うのですが、そこらあたりをもう少し国民にわかりやすく、衛生当局の見解を明白にしておいていただきたいと思うのです。
  20. 尾村偉久

    ○尾村説明員 これは先ほど説明いたしましたように、伝染病予防法の規定によって、汚染水基として知事がそれぞれ権力を発動できるようになっておりまして、今未明に発動した、こういう報告を受けたわけでございます。実はこの地域の範囲とか、あるいはまた、現地の海の状況から必要であるかどうかというようなことは、現地の知事の判断にまかす以外にないのでございまして、私どもの方で適当、不適当と言うことは、どうにもいけないわけでございます。ただ根本は、今の伝染病予防法という法律にこういうものがあるというような形で、その趣旨にはたして今回の条件が、海の状況等からみまして合っているかどうかということは、十分向こうと接触を保ちまして判断して、日数等につきましても、はたして今度出しました十日というものが適当かどうかという問題もよく聞いてみたいと思います。ただ、普通の今までの伝染病の偽の排出によって海が汚染されたという場合に、第一に心配するのは湾でございまして、湾の場合にはある程度その中で海水が動かずに循流しておる。従ってこれは薄められることもなくて、一定日数の生存可能期間いるであろうということで、こういうことを第一に考えております。先般のフィリピンから来ました協邦丸のときにも、府京湾に入れずに三崎の沖で押える、そういうこともやったわけであります。関川のような水流の激しいところで、はたしてあそこの帯状の幅だけにやった場合に、水それ自体は、何万倍、何十万倍というものが一日に干満のときに玄海灘から入ってきまして、一方は瀬戸内に入るということになりますと、そこの水は全然似ても似つかぬものが毎日あちらこちら動く。唯一考えられますのは、漁撈禁止という形でかけましたのは、あそこに生息しております魚が、ある程度の時間そこで食べるであろうということが一番常識的に考えられる。これらのために、そこで網を入れてそこに常在する底魚なりを——しかしそれにいたしましても、往来する魚は、いたりいなかったり変わったりしますから、これは学問的に非常に問題があります。それから遊泳禁止だけは、これは海辺でやりますので、打ち上げられて汚染されるということで、海のまん中でやられる水泳を予定しているよりも、むしろ海辺で砂地そのものも含めて、いろいろな意味で汚染される、そこで泳げば水が口中に入るということが考えられる、さような形でありますので、この点は権限はあくまで知の権限でございまして、伝染病予防法は、全面的にはそういうような部分は厚生大臣なり中央から容喙できない形になっておりますが、しかし理屈に合わぬと、国民一般がこれはどうもおかしいとなっては協力を求められませんから、この点よく連絡をいたしてみたい、こう思っております。
  21. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、現在漁撈禁止のために、下関あるいは戸畑等における漁業者ですか、いわゆる漁民、それから魚市場の関係者、それからその関係者は当然関西方面に相当の魚を送るわけですが、こんなものは、やはり原爆マグロの初期と同じように、だれもしばらくの間マグロを食べなくなっちゃったように、関門の魚は買わないという形が出てくると思います。ここらあたりが、今のような御見解だと、やはり相当積極的な衛生思想を入れた御指導をしていないと、あの地区の漁業関係者は壊滅的な打撃を受けると思うのです。こういう対策というものは、環境衛生局だけではできない問題で、農林省その他とも関係があると思いますが、しかし、これは相当真剣に考えておかなければ大きな波紋を呼ぶと思うのです。そういう点について何かお考えになっておりますか。
  22. 尾村偉久

    ○尾村説明員 確かにいろいろな生活なり業務を制限する。コレラを伝播させないという目的でございますけれども、しかし御指摘の通りでございますので、このコレラ対策につきましては、厚生省だけでは非常に不都合な点がございますので、フィリピン侵入対策以来関係の各省連絡会議というものを持っておりまして、これの所管の部局と、厚生省が世話役になりやっております。昨日も午前中これを実施いたしまして、ちょうど御指摘のように、今後コレラ対策がもう少し逼迫いたしますと、物品あるいは人間の往来その他についていろいろな制限をしないとこの目的を達しないという事故が起こるので、国民へのPR、あるいはまた、それぞれの所管の法律をある程度発動してもらう点もございますので、これらの協力を十分説明して求めたのでございますが、もちろんこれは、国内コレラ蔓延させないという趣旨は了解されまして、具体的に進めば、それぞれの具体的なやり方を各省ごとに私の方から連絡して、直ちにそれに協力する、こういうところが実はきのうでき上がったわけでございます。これはもう、これから進めるについてはぜひやっていかなければならぬ。そうなりますと、今朝ありました関門港域漁撈禁止、それと水泳禁止というのは、また直ちに各省の会議報告いたしまして、関係の部面には連絡、協力してもらう、こういうことにいたしたいと予定いたしております。
  23. 滝井義高

    滝井委員 水産業界が無用の恐怖に陥らないように、ぜひ一つ積極的な御指導をお願いいたしたいと思います。  次は、門司等を中心とする防疫体制についてでありますが、十六万の門司市民は予防接種をほとんどおやりになった、二万くらいはもう先にやっておった、こういうお話でございました。そうすると、門司ばかりではなくて、少なくとも北九州百万の人口を有する小倉、八幡、戸畑、若松等くらいは、やはりいつでも体制ができる姿をとらなければならぬと思うのです。一体それだけのものをやり、あるいは台湾から入ってくる船というのは、聞くところによると一年に四百七十隻くらいあるのだそうですか、しかもそれが長崎、大阪、横浜、神戸というところに来るわけです。そうすると、今度の門司に起こったような例がいつ起こるかわからないという事態もあるわけですから、従って、当然予防接種液は万全の策を整えて置かなければならぬと思いますが、現在そういう体制——ポリオのワクチンみたいにむずかしくはないでしょうけれども、体制があるのかどうかということですね。
  24. 尾村偉久

    ○尾村説明員 御指摘の通り、各日台航路関係のある港は今後危険でございますので、それはフィリピンの航路と大部分ダブっておりまして、むしろ台湾の方がそれより少し少ないという状況になっております。フィリピンは、年間日本に入りますものの大体一割、二千隻、台湾は、大体それの三分の一程度、四百七十隻でございます。たださようなことでございますので、約百三十万人、昨夏以来港の関係の仲仕等、あるいはもちろん船に乗り込むような官庁等も最優先でございますが、それから一部の漁業関係、こういうものは、すでに港湾関係中心にいたしまして百三十万人が予防接種を終わっておりまして、さらにこれが六カ月を超過するものに先般来また追加免疫、これは〇・五を追加すればいいわけでございますが、これをまた実施中でございます。そのほかに、現在四百五十万人分の、でき上がっていつでも使えるワクチンを厚生省が統制下に置いてありまして、いつでも使えるようになっております。これを昨日五十万人分——倉庫はそれそれの業者がそれぞれ自分で保管しておりまして、ただ使用を統制しておるわけでございますが、九州の熊木の化血研の会社のものが北九州向けにさっそく出荷したわけでございます。さような形でございますので、今直ちに必要な部分は、関門中心に地方の逐次実行可能な拡大計画によりましてこれを割り当てていく、すみやかに実施する。それからその他の方も、現在港湾関係の方のやるべきものの使用拡大を指示してありますので、それぞれの港を所管しておる衛生部局から必要量が今私の方へどんどん入って参りまして、ただこれがばく然と県下全部に、人口の何分の一という工合に県下に薄くばらまいては、これは非常に効果が薄いのでございます。そうなりますると、またほんとうに必要なときに必要な地域の中の人口をまた引き抜きましてやらなければならぬというようないろいろな不自由がございますので、その点は関係の港の一番近接した部面から重点的に拡大をしていく、こういうような形で相談して、現段階ではある程度査定する、こういう形にいたしております。もちろんほんとうの意味で必要な部分は次々と補給する、こういう形にいたしております。ただ、この四百五十万人分では、まだ国内発生しておりませんが、従来の各国発生状況を見ますとあまり十分でないという形で、また次の生産を現在開始いたしております。ほぼ一カ月でこれができ上がります。さような形でございますので、相当量、現在手持ち量以上大体八月中にまた増加する、こういうような予定で今の最終の目標量、今後生産を八月末に幾ら、九月末に幾らというようなことは、現在薬務局と私の方の局、それから地方からの要望量を参考にいたしまして、最終決定をごく近く省内でいたしたい、こう存じておりますが、もうすでに必要な部分はどんどんメーカーが仕込みに入っておるという状況でございます。
  25. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、その予防接種の人的体制ですね。たとえば門司において、すでに十万をこえる人々を一口くらいでやってしまったというその人的体制というものは、どういうようにしておやりになっていますか。
  26. 尾村偉久

    ○尾村説明員 これは保健所だけでは決してこういうような形はできるものではないのでございまして、計画的に地域の医療機関、保健所、市のあるところはもちろん市当局の衛生当局はもとより、市立病院、公立病院、かような形を軌長いたしまして、短期間に一斉に手を広げてきめた地域はやる。一番効果がございますので、全面的な医療機関の応援を得てやっておるということであろうかと存じます。今後もさような形で、短期間に多数ができる、こういう形は、そういうふうに指導を私の方もしていきたい、こう思っております。
  27. 滝井義高

    滝井委員 次はバナナです。すでに二十九日に横浜に入ったバナナというのは、名古屋その他にも発送されているように報道されているわけですね。七月十七日に台湾初発をして、さいぜんの尾村局長さんの御説明にもありました通り、三日かそこらでやってくる、こうなりますと、すでに台湾コレラが明らかに発生した後にバナナが積み出されて、そうして日本の港に入ってきて、日本国内に輸送されてしまっておるわけですね。これはバナナは青果市場等の室の中に入れてはおるでしょうけれども、一体十七日以降に入ったバナナの運命というか、行き先というか、そういうようなものを確実に押えて処分ができるものかどうかということですね。二十九日か三十日に入ったのはできると思うのです。しかし、二十日前後に入ってきたというようなものについては、これは全く五里霧中じゃないかという感じがするのです。食塩、砂糖というのは、コレラ菌がついておっても、問題はあるけれども、多く煮たり精製するわけです。しかし、バナナはあのまま食うわけですから、これがやはり大衆は一番心配しているところだと思うのです。そういう点を、ここでわかりやすく明白に、あなた方のとった処置対策を御説明願いたい。
  28. 五十嵐義明

    ○五十嵐説明員 バナナの問題でございますが、これは御指摘のように厚い皮がかぶっておりますけれども、なまで食べるものでございます。衛生上の危険がきわめて大でございます。そこで私どもといたしましては、台湾コレラ発生状況に注目をいたしておったわけでございますが、このバナナの輸入を衛生上禁止するということにつきましては、衛生上の見地と、先ほど指摘にもございましたように経済上の問題等もございますので、学問的な根拠を明確にいたさなければならないわけでございます。そこで私どもは、台湾のその当時の積み出し港である高雄港付近の汚染状況に注目いたしておったわけでございますが、たまたま二十五日に高雄初発患者が出たわけでございます。その日に出港いたしましたのが、ただいま御指摘の船でございます。それ以前のものにつきましては、現地説明によりましても、両雄付近には発生いたしておりませんし、また必要があれば、安全な地域から集荷したものであるという証明をするという説明でございまして、それ以前のものについては私どもは安全と見たわけでございます。二十五日に出港した船が二十九日に入港いたしました。これにつきましても初発患者が出た日に向こうを立ったわけでございますので、積荷その他につきましては、その前に数日、日にちがあったかと思います。これをいかにするかということを問題にいたしまして、問題の重要性から、直ちに食品衛生法に基づく食品衛生調査会の部会にこれを諮ったわけでございます。その結果、台湾の現状は、汚染地域指定されておるところ以外の地域でも広範にコレラ蔓延し、あるいはコレラ菌によって汚染されているおそれがあるという理由から、今後のバナナの輸入は禁止すべきであるという意見がまとめられたわけでございます。  なお、入荷中のものでございますが、それは禁止の発動をいたしますまでにすでに日本に向かっておる船、あるいはこちらに着きました船が、第一船を含めまして四つあるわけでございます。それらにつきましても、汚染されておる危険があるので、適切な措置を講ずべきであるという意見が出されたわけでございます。そこで私どもといたしましては、そのバナナの移動を禁止いたしまして、それに対して廃棄処分をとるという手続を運んだわけでございます。すでにこのバナナの荷物は、第一船につきましては、御承知のように十六都道府県の室の中で熟成をしておるという段階で、一般の市場には出ていない。その段階で荷を押えておったわけでございます。そこでホルマリン燻蒸等による消毒を行ないまして、それにさらに重油をかけて焼く、あるいは塵芥処理場等で焼却し、その上埋め立てをするというような措置で廃棄処分をするということにいたしたわけでございます。なお、第二船、第三船、第四船につきましても、同じようにこれを陸に揚げずに、あるいは消毒した上、陸に揚げてこれを焼却する、あるいは焼却した上、外洋で廃棄する、あるいはできれば本国に送り返すというような措置で病毒の国内への侵入を防ぐという措置を講じた次第でございます。
  29. 滝井義高

    滝井委員 運輸省の船員局厚生課長さんがいらっしゃっていますし、局の外航課長補佐さんもいらっしゃっていますが、今厚生当局からいろいろ御説明がございましたが、今コレラが一番流行しておるフィリピン、それから今後流行がだんだん激しくなろうとする台湾、こういう地区と日本との間には、フィリピンとの間に千隻、台湾との間には四百七十隻ばかり一年間船の往来があるわけですね。この運航をコレラ流行期間中とめてしまうことはなかなかできないと思うのですが、一体運輸省としては船舶の運航の問題についてどういう方針で臨もうとするのか。これは厚生省の所管はその上に積んでくるものであり、乗ってくる人が問題だが、そもそもその船を動かすあるいは航空機の航行も監督する運輸省の方針というものが、今後の防疫対策を立てる上に非常に重要になってくるわけですが、これを一体どうお考えになっておるのか。特に台湾からやってくる船は三日か四日で着いてしまう。いわば潜伏期の間に来るわけです。フィリピンは、船の上で発病する可能性が出てくるから、これはまず割合早く押えやすいのですが、台湾からのは、そうはいかぬという問題があるわけですね。従って、運輸行政としては、おのずから取り扱いはフィリピン台湾とは違ってくるわけです。そこらを何かあなた方で御検討になって、こういう方針でやりたいということがあれば御説明を願いたいと思います。
  30. 渡辺道夫

    ○渡辺説明員 実はきょう、課長その他局長が、この問題につきまして船主を呼びまして懇談をしておりますので、僭越でございますが、私が参りました。御存じのように、航海をとめるということは運輸省として一応できませんので、どこまでも船主と協議の上、厚生省その他の今後の取り扱い方針に待ちまして、船主に現在の事情を説明しまして、こういうような国内取り扱いをしているということを十分認識させまして、船主自体の自粛において行なっていきたいというふうに今やっております。船主協会においてすでに今懇談をしておる状態であります。
  31. 滝井義高

    滝井委員 具体的に航海をやめさせるという権限はない。船主に自粛をさせるというのは、結局船主をして台湾フィリピンとの貿易を、あるいは船の運航というものをしばらく遠慮をさせる、必要やむを得ないもの以外はやめてもらう、こういうことなんですか。
  32. 渡辺道夫

    ○渡辺説明員 さようでございます。大体船主といたしましても、この前、日本郵船の船舶がバナナを積んで参りました。それが陸揚げできない、あるいは海に放棄する、向こうへ送り返すとかいうことで、相当デマレージその他で損害をこうむっておりまして、そんな関係がございますし、船主の方は、御存じのように荷物がまだ台湾の船主の荷物になっておるものですから、こちらで廃棄するとか、そういう問題は非常にむずかしいことでありますので、どこまでも自主的に船主自体から解決していただくというふうにやっておるわけです。
  33. 滝井義高

    滝井委員 わかりました。  次は、この検疫所の防疫体制です。われわれも二、三検疫所を見たことがありますが、検疫所というのは、いざ鎌倉のときにはこれは非常に働かなければならぬが、平時は実に閑古鳥の鳴くようなさびれ方なんですね。従って、人的体制が一体そろっておるかどうかということです。今後台湾フィリピンその他から入ってくる船の一々全部についての検便もやるし、検疫体制を強化していくということになりますと、相当な予算的な措置も要るだろうし、それから人的な整備もやらなければならぬと思うのですが、そういう予算上の問題は一体どうなっていますか。
  34. 尾村偉久

    ○尾村説明員 現在十六カ所の大きな港に本所がございまして、この各本所に所属する中小港、これに支所ないしは出張所を持っておりまして、これを合わせまして三十六年末までで五十五カ所、本年度十月一日にまた小さい港に六カ所開設いたしますので、六十一カ所になるわけでございます。これの総人員は、今までの五十五カ所に対しまして七百五十九名、これが正規の定員でございます。これがそれぞれ、大きいところは門司のように総職員五十名とか六十名とか、空港のように六十数名とかいうような大きいところがございます。最小の出張所は、ほぼ年に十隻とか多いところで三、四十隻、月に一、二隻、こういうようなところは三名というようなことになっております。これで業務をやっておるわけでございます。ふだん仕事がないといいますが、今約年間二万隻、飛行場では四飛行場でございますが、ここには年間非常に多い人数、これは乗客が主でございますが、約三十万人の来港客を検疫する、こういうふうにやっております。しかも毎日三直制でございまして、原則としては日没後、深夜にはやらなくてもいいように法的にはなっておりますけれども、最近はできるだけおそくまで検疫をする、また未明にできるだけ早くやって不便をかけぬということをやっておりますので、これは相当忙しいのであります。しかし、平常の検疫体制は全員検便するわけでございませんで、今までの門司のように、航海中に検疫伝染病のおそれある証拠をいろいろ尋ね出した場合にはやる。普通は臨床健康診査だけによる検疫でやっておりますので、これだけの数を適切には現在のところこなしておりまして、深夜も必ずやってくれという若干の希望が普遍的に出たことはございますが、検疫所の人員不足のために来方がおそくて、あるいは非常に工合が悪くて、このために船の入港業務に支障を受けたというようなことは今までは聞いておりません。従いまして平素の場合には、一応現在のところ曲がりなくやっておる、こう存じております。ただ、こういうふうにいよいよ非常事態になりまして、ある港に集中したという場合には、今回も博多検疫所とそれから徳山下松の検疫所から、一番のエキスパートである部門の応援者を出してやっておりまして、大体従来も、そういうふうにあるところに集中いたしますと、そこに全国の検疫所員を、適当に応援体制をしきましてこなしていく。専門家でありませんと、急にしろうとのいろいろな関係者を呼びましても、ああいうふうに船に乗ったり、あるいはまた係留所にカン詰になってやるというような作業が多いものでございますから、お互いの間を融通する、これが一番能率が上がるものですから、さような形で大体曲がりなくやっておるわけでございますが、しかし、一斉に次々と今回の門司のようなものが神戸に起き、横浜に起きると、よそへ出すどころでなくて、みなもらいたくなるという形になりますと非常に困るわけでございますが、この点も、実はフィリピン以来演習計画を立てておりまして、いよいよその港に入った場合、他の港に入らぬ場合には、その港に集中するという配置計画を立てております。大体月に一ぺん演習をやっておりますが、いよいよ他の検疫所から融通できないという場合には、もよりの大学なり、あるいは背後にあります県並びに市の病院と一定の協定を結んで応援をしてもらう、こういうようなことを、大部分の大きい検疫所は大体昨年以来やっております。しかし、それでも足らないというときには、これはもう実質的に相当に補充をいたしまして、暫定的には予備金その他で賃金予算というようなものを取りまして、ちょうどポリオのときに、この雇い上げ者を臨時に送ってやるという形を幾つか活用したように、これはまたそのときに臨時体制はして、十分手が行き届くように、これは本省としてはかってやらなきゃいかぬ、こう思っております。現在のところは、大体今の状況では、本年中に急速に何らかの定員を急増加いたしましてやらないと、この体制に応じられないというふうには考えておりません。
  35. 滝井義高

    滝井委員 これで終わりますが、台湾で起こって、日本の内地まで船を来さして、そしてあわてて四人も上陸さしてしまうということは非常に醜態なんです。私はその前に、もし起こった場合のことを考えて、二つのことを言って私の質問を終わりたいと思います。  一つは、現在日本の医薬品の中で、リンゲルが非常に不足しております。私などは、寡聞にして医者になってから二十年ばかりになるけれども、コレラを見たことがないのです。しかし、われわれが昔、成書で習ったのではリンゲルが必要です。ところが今はリンゲルがない。非常に少ないです。従って、まずワクチンの問題もあるが、リンゲルをやはり相当整える必要があると思うのです。  それからいま一つは、最近のコレラに対する治療法、さいぜんちょっと電話してみましたら、これを医務局長の方では今討議中だそうですか、これはやはり全国の医者に知らせる必要があると思うのです。日本にはコレラが、終戦の後、引揚者その他であって以来ないですから、その後のコレラに対する最も斬新な治療方法というのは、一体どういう方法でやったら一番いいのかということを、ころばぬ先のつえで指導しておく必要があると思うのです。こういう点は、もちろん尾村さんや五十嵐さんの所管ではございませんけれども、これはやはり十分医務局と御連絡をとって、今のうちに周知徹底をさしておく必要があると思う。これも知っておって損はないことなんです。はやらなければなおけっこう、日本国内コレラ蔓延しなければけっこうなことなんです。従って、そういう点も一つぜひ配慮をしていただきたいと思うのです。  それから、こうなってきますと、予算は今までの公衆衛生局なり環境衛生局の予算では、私は足らないのじゃないかと思うのですが、そういう場合は、一つ自由に予備費を出してもらう体制はあるのでしょうね。
  36. 尾村偉久

    ○尾村説明員 第一点のリンゲルの問題と、それから第二点の治療法につきましては、関係局にもよくお願いいたしまして、コレラ対策の上からも、ぜひ協力を願うことにいたしたいと思います。  それから予算の点は、実例を申し上げますと、実は昨年のフィリピンのものも九月から起こりまして、従って、昨年の既定予算ではとてもまかない切れませんので、予備費をお願いいたしまして、港湾の衛生対策費その他といたしまして、実はそれらの清掃その他いろいろな資材の確保、そういうような予算は、当初予算の数倍に当たる金額を、昨年二度にわたって予備費をちょうだいいたしまして、これをフィリピン対策として各検疫所に回し、実施をいたしました。従いまして、本年はその実績も入れまして、本年の当初予算である程度見込んできまっておりますけれども、さらにこの台湾問題がもう少し逼迫して必要ならば、去年の実績から見まして、この予備費は支出してもらえるものと、こう存じております。
  37. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)委員長代理 河野正君。簡単に願います。
  38. 河野正

    ○河野(正)委員 今まで、いろいろ長い時間論議がございましたが、そういう論議と重複しない、しかも重要な点で若干触れてみたいと考えます。  その第一は、今までの論議を聞いておりますと、大体コレラ発生をして、その後の対策なり、あるいはその後の責任のとり方なり、そういう点について主として触れられたと思う。そのこともきわめて重要です。しかし、最も重要視しなければならぬ問題は、ことしの初春におきましても、実は数百万のインフルエンザの罹患者が出て参りました。昨年、一昨年は、御承知のように莫大な小児麻痺患者発生をいたして参りました。このように毎年毎年日本においては伝染病が発生し、非常に大きな打撃を人命の上にも、あるいは経済的な面におきましても与えて参ったことは、もう御案内の通りでございます。ところが、それらの出て参りましたいろいろな現象を見て参りましても、実際に私どもが強く注目しなければならぬ点は、すべてそういう面に対する対策というものが、後手の対策をとられて参った。たとえば、小児麻痺においてもさようでございます。インフルエンザにおいてもさようでございます。インフルエンザのごときも、わずか数億円の予防注射に対する予算を節減したそのために、六百万か八百万の罹患者を出さなければならぬという事態が生まれて参りました。今度の場合も、よく検討して参りますと、半前における抜本対策というものが欠除しておったのじゃなかろうか、そういうことを私どもはしみじみと感じております。と申し上げますのは、もうすでにいろいろとお話がございましたように、台湾では北から南の端まで各地で、沿岸地帯のみならず、山間地帯においてもコレラ患者というものが発生している、こういう事情であったことは、もう既定の事実でございます。そういう事情のもとに置かれながら、実は先ほど報告がございましたように、御影丸がいよいよ関門海峡に来なければわからなかった。関門海峡に来て、初めてそのための処置というものが行なわれた。もちろん、その中でたまたま一名の下痢患者発生したということを聞き込んだので、万全の処置ができたという御報告がございました。しかし、台湾は北から南の端まで侵淫地帯でございますから、従って、明前においてそういう画における対策というものが万全を期せられておったならば、この御影丸が関門海峡に入港しない前に、そういう処置が行なわれておったのではなかろうか。そういうことを考えて参りますと、今度のコレラ発生もそうでございますけれども、流感あるいは小児麻痺、そういう各伝染病あるいは疫病に対しまする根本対策というものが明確に樹立されておらぬ。今日、私どもが国をあげて心配をしなければならぬ、憂慮しなければならぬ事態というものが、そういうところに端を発しておるのじゃなかろうか、そういうことを考えて参ります。そういたしますると、なるほどコレラの場合には五日間の期日設定等の問題がございます。そういう点、現在の法規の中ではいろいろ問題等もございます。そういう点から、もしそういう点に対します対策というものがやりにくければ、この際、やりやすいように伝染病予防法の改正等もございましょう。いずれにしても、そういう伝染病なり疫病というものを国内において発位せしめないということが私どもの一番大きな願いでございますから、そのために、国がこの際、大きく根本的対策に取り組むという方針が示されなければならぬ。そういう根本対策が示されない限りは、コレラの次はまた何か別の疫病というものが発生するおそれがある。こういうイタチごっこみたいなことが繰り返されますから、この際、伝染病あるいは疫病に対します法改正その他ございましょうけれども、根本対策というものを立てるべきじゃなかろうか、そういうことを考えるわけでございますが、一つこういう点を明確にお示しいただきたい。
  39. 尾村偉久

    ○尾村説明員 御指摘の通り、現在やっております中で、伝染病に関係いたしますものにつきましては予防接種法、伝染病予防法、これが中心になりまして法的にはこれを活用してやっておりますが、伝染病予防法はもう何十年という古い法律でございます。適時改正はいたして参っておりますが、根本の骨組みというものは昔の形になっておりますので、従いまして、現在伝染病予防調査に関する会議を持っておりまして、これは相当な、りっぱな専門家の会議でございますが、これにも伝染病予防法の基本的な改正を含めまして、伝染病予防の根本対策を、別な伝染病である結核予防法に基づく結核予防対策の基本対策を作ったごとく実はお願いしておるわけであります。ただこれは人間の権利義務を拘束するような部分が非常に多い法律でございまして、これの改正というものはなかなか慎重を要するわけで、もうだいぶになって検討が続いておるわけでございます。従いまして、それの方で根本的な対策は一そう確立する、こういうふうに期しておるわけであります。しかし、とりあえずは現行の法律の中でもできます予防接種、これをもっと公的な性格を入れまして十分に事前に大量にやっておくということは、これは必ずしも法律を改正せぬでもできる部面が多いものでありますから、これを中心に、ことしの秋並びに来年につきまして、大体今あります種類の定期予防接種等を強力にやるような方策を今実は考えて研究を進めておるわけでございます。さような形で御了承をお願いいたします。
  40. 河野正

    ○河野(正)委員 なるほど現行法でも、今御指摘予防接種法の中で対策を考えていくというようなことも、それはできるでございましょう。しかし、今度の場合で問題になっておりますように、予防接種しておったので症状がよくなったということであって、保菌者というものはたとい予防接種をいたしておりましてもやはり入ってくる、こういう可能性がございます。そこで私は、そういう現存のいろいろな法律ということもございましょう、しかし、なるほど局長がおそれられますように人権の問題等もございますけれども、やはり人権を尊重して参りましても、尊重することはけっこうでございますけれども、そのために国民がきわめて憂慮すべき状態に置かれるということも私はきわめて重大な問題だと思う。そこで、調査会において鋭意御検討中ということでございますけれども、私はやはり、今御指摘申し上げますように抜本的対策を立てなければ、現行法だけでは万全を期していくことは不可能であろうというふうな考え方に立っておりますし、幸いにして調査会でも鋭意検討中でございますならば、これはできるだけ早く促進していただいて、そうして抜本的な改正を行ない、対策の万全を期していくという方向で一つ善処願いたい。  そこで、時間がございませんから、次にもう一点申し上げます。それは、今度の状態を私どももいろいろと憂慮して参りました。その中で、新聞等で報道されますことに対しましても関心を持って参りました。ところが、どうも厚生省のやって参りましたいろいろな処置の中で、国民がやや不安を持つというような現象が一つございます。それはどういうことかと申しますと、たとえば凝集反応によって最初は疑似コレラであろう。しかし、どうも新聞等の記事から私どもが理解いたしますると、血清に若干問題があるかもわからぬ。そこで凝集反応では陽性であったけれども、しかし血清に若干問題がある。そこで、もう少しこれは確認するために時間を置きたい、こういう報道が出て参りました。そこで私どもも、当局が示されます結果につきましては信頼を持ちますけれども、どうも過程においては国民が疑惑を持つような報道がなされておる。そのために、やや国民が、この問題について当局のいろいろな措置、方針に対して不安を持ったのではなかろうか。実は私自身も持ちましたので、こういうことでなくて、やはり凝集反応をやって諸検査をやって、それで結果が出てきたならば、それについて厚生省は、確固たる自信を持って国民にお示しになる、これは当然必要だと思います。こういう点についてやや欠くる点があったのではなかろうか、こういうふうに思いますが、この点いかがですか。
  41. 尾村偉久

    ○尾村説明員 御指摘のように、国際的にもコレラ決定の順序というものはきまっておりまして、一番初めの四十八時間日のところでは定量凝集反応、これの使用する血清でございます。報道に現われましたような形で皆さんに不信感を抱かせたことは、まことに申しわけないことでございます。ただ実質は、フィリピンコレラ対策で、本年の当初に一斉にこれに合う必要なものを検疫所が全部備えたわけでございます。今回、むろんまだ有効期間でございまして十分いいのでありますが、ただ何せ日本初発で入ってきたという形でございますので、ごく最近製造したものをこの四十八時間以内にもう一ぺん重ねてやる、こういうことをやりまして、それをありのまま発表したために、前のが全然工合が悪くて今度ので初めてという、たしか誤解を受けたのではないかと思いまして、今後こういうことのないように気をつけることにいたします。決してこの前に配給したものが悪いものではないのでございます。万々一ということで、ごく最近の、一番最新のものを空輸してもう一ぺんやったというものであります。こういう形でございます。
  42. 河野正

    ○河野(正)委員 実は申し上げたいことがたくさんございまして、やらせていただければ数時間でもけっこうでございますけれども、委員長に御協力申し上げる意味であと一問でやめておきます。  それは行政指導の問題であります。これは主として五十嵐局長の方に関係がございますが、先ほど説明を聞いておりますと、バナナ、そういう食品に対します廃棄については、薬品消毒あるいは重油等をぶっかけて焼却をやるというような御報告でございました。ところが、けさ方の新聞を見ておりますと、実は名古屋では焼却をするのだけれども、実際は焼却せずに市の汚物処理場に埋没をするということであったので、地域住民が非常に憤慨されたというようなことが報道されております。そういたしますと、なるほど国会では適当に薬品消毒をするとか、あるいは重油をぶっかけて焼却するというようなけっこうな報告がございますけれども、実際の現地では必ずしもそういうふうにいっていない。そこで、もし私どもが、厚生省が国会で明らかにされましたようなことを信頼しておりましても、実際の現場ではそういうことが行なわれていないというこでは、どうも私ども、あなた方の行政指導についても疑惑を持たざるを得ない。そういうことについて、私ども幾らここでいろいろと国民の憂慮を申し上げて、そして万全を期していこうというようなことで意見を申し上げましても、どうも信頼することができないということで、そういうような行政の面で若干欠けている点があるのではなかろうか、私はそういう考え方を持っております。これは新聞に出ておるわけですから、あなたの方はそういう行政指導をされたでしょう。ところが、現場では必ずしもそういう行政指事をそのまま実行されたことはないということでございますから、この点は十分お考えいただかないと、実際防疫の万全を期することができるかできないか、非常に疑惑を抱かざるを得ない。そういうことでございますから、御存じであるかどうかわかりませんけれども、これは中央紙に載っておりますので、この事実を御指摘申し上げて御所見を聞きたいと同時に、一つあなたの善処をこの際お願いしておきたい、かように考えます。
  43. 五十嵐義明

    ○五十嵐説明員 バナナの廃棄処分につきましては、時間を争う問題でございますので、電話で指示いたしますと同時に、文書によりまして伝染病予防法にきめられた明確な数字をあげて、その消毒方法その他を指示いたしたわけでございます。なお、神戸等、大量の処分にあたりましては、こちらから係官を派遣いたしまして立ち会わせて、また、県当局、市当局、検疫所の協力を得るという態勢をとりまして廃棄の完全を期したわけでございます。しかしながら、ただいま御指摘の名古屋につきましては、数量等の関係から私どもの係官が直接参っておりません。あるいはどういうような措置が行なわれましたのか事実を承知いたしておりませんので、私どもは私どものその指示に基づいてやったものと考えておりますが、なお事実を調べまして、万一少しでも危険なような問題が報道されておりますならば、重ねてその事後措置をやらせると同時に、今後ともそういうことのないように万全を期して参りたい、かように考えております。
  44. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後零時二分散会