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阿部説明員 私は、
経済企画庁で公共用
水域の
水質保全について主管しておるものでありますが、御
指摘のように、三十三年十二月に
法律が成立されたわけでございますけれども、全面的に施行されましたのは三十四年四月からでございます。このうち、
水質保全二法といわれておりますうちの
工場排水等の
規制に関する
法律は私の
所管ではございませんので、先生御
承知のように、これは
関係各省の共同所官でございます。
この
水質保全法ができましてから、三十四年四月からでございまが、
経済企画庁に
水質に関します保全、
調査の二課を設けられまして、全国の
汚濁されておるといわれておりますところの
河川水域の
調査に取りかかった次第でございますが、先生御
承知のように、この
水質の
問題は、沿革的には非常に古い
問題であろうと思うのでございます。その加害と
被害の因果
関係と申しますか、関連
関係が非常にむずかしい
問題でございます。また行政的に見ましても、
法律的には、できましたのが三十三年の暮れというふうでつい最近のことでございますが、これの諸外国の立法例その他を見ましても、各国の特色が非常にございまして、一律先例となるべきものはないわけでございます。わが国の場合も、
水質の
規制の仕方は、保全法によりますと各
工場、事業場にありましては
排水口で
水質の
基準を押えていく、結果におきまして、
河川なり海
水域なりをきれいにしていくという建前になっておるわけでございます。従って、今御質問のございますように、三十四年に
法律が施行されましてから、現在三一七年度までに、各年度に七
水域ずつ
調査に取り上げまして、現在まで二十八
水域を取り上げておるわけでございますが、今申しましたように、歴史的な沿革が非常に新しいものでございますから、どういう
方法の
調査をやるかという、その
調査自体のやり方が非常に
問題になったわけでございまして、これは保令法に基づきますところの
水質審議会で
調査方法部会という特別の部会を設けていただきまして、従来も
水質の
研究をされておりました先生方に諮問いたしまして、一応
調査方法をきめていただきまして、その
調査方法に基づきまして、ではどこを取り上げるかという
問題があったわけでございますが、そのために、また
基本計画部会というものを作りまして、
関係各省、各都道府県から現実に
排水その他で
問題がある、あるいは将来
問題があり得るであろうというような個所を御推薦いただきまして、その
基本計画部会に諮りまして、全国で百二十一の
水域を
指定いたしまして、この
水域を今後
調査して参るというふうにしてございます。現在、ただいま申しました二十八
水域はこの百二十一カ所のうちの内数でございますが、その
水質の
調査のやり方は、ある特定の時点だけとらえたのではその結果がわかりませんので、少なくとも一年はかかる、その
河川の状況、利用の状況なり
水域の流れ方、
排水する方にありましては、その操業の
状態からどういう
排水が出るかということで、毎月一回なり年に何回なりきめまして、採水やら採泥するわけでございますが、そういう
関係で少なくとも一年かかる。一年かかりましても、その後に特殊な事態が起こるとか、あるいは
調査漏れがあるというような
関係で、二年ないし三年かかっておったのが現状でございます。三十四年から取り上げられまして、三十四年度から
調査に取りかかりました七
水域につきましては、ほぼ
調査が終わった
段階でございます。
そこで、先ほど先生お話しのございましたような
江戸川の
問題につきましては、結果も出、因果
関係と申しますか、いわゆる利用
産業である河口部の水
産業あるいは上水道に対する
排水作業の原因がはっきりいたしましたので、この
規制の告示を本日付で
企画庁長官として出す、これが第一回でございますが、
あとの六
水域につきましても、ほとんど
調査としては終わったような状況でございますので、少なくとも今年中には
結論を出して、はっきり告示の格好にいたしたいというふうに思っております。
ただ、個々の
河川につきましては、先ほど申し上げましたように、その原因の何たるかということが非常にわからない場合が多いわけでございます。たとえば
石狩川の
上流部につきましては、これは農地の
被害が主でございます。そのほかに漁業もございますが、その原因といわれておりますのは、いわゆる水生菌といわれておる特殊な菌でございます。ところが、この菌がなぜ発生するかということでございますが、これが非常に学問的にわからない。それから学問的に見ましても、水生菌の種類が七十幾つあるのだそうでございますが、そのうちその
実態がはっきりしたものが十数種しかない。
石狩川上流の水生菌は、はっきり水路に入っておるのか入っていないのかということが、わからなかったのが現状でございます。それで
企画庁といたしまして、
関係各省の
研究所、試験所、あるいは各大学の先生方にそういう
実態をお話し申し上げて、いろいろで解析をお願いいたしまして、その結果によりまして適切な
——押さえる手段がないことには、
基準をきめましても守られないということになりますので、その結果待ちということが、従来
調査が終わっても
基準の格好に出ないというのが主たる慣行でございます。従って、御心配になられますような、
各省がいろいろ権限を主張したために
基準がおくれるということではなしに、一にわれわれ事務当局としまして
結論が出しにくいと申しますか、はっきり押え手がつかないものでもって、結果として
基準を定めて強制するということはいかぬじゃないかということでおくれておるのが
実態でございます。ただ現実には
被害が出ておるわけでございますから、その
被害が出ております地域につきましては、保全法に基づきますところの
和解の仲介を極力進めまして、お互いに話し合いをして公正な
結論を導く。
和解の仲介は、各都道府県に
和解仲介員の候補者を十五名御推薦願いまして、そのうちから五名の方に、個々の案件についての
和解の仲介をお願いするという格好になっております。現実は、これは保全法施行以来十八件
和解の仲介の申し出がございまして、十四件はこれによって
解決しております。これは必ずしも金銭的な
補償という
意味で
解決したのではなしに、特別な水路を設けるとか、あるいは特殊な設備を当該地元の府県なり市町村でお作りになる、あるいはそういう
自治体にやらせるというような格好で
解決しておりまして、この
制度は今後とも大いに育成して参りたいというふうに思っております。この場合の
和解仲介の事務費は、大体国と申しますか私の方で、府県に交付金として交付して実際やらしている
状態でございます。
大体以上でございます。