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1962-04-19 第40回国会 衆議院 社会労働委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十九日(木曜日)    午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君    理事 小沢 辰男君 理事 齊藤 邦吉君    理事 藤本 捨助君 理事 柳谷清三郎君    理事 小林  進君 理事 五島 虎雄君    理事 八木 一男君       安藤  覺君    井村 重雄君       伊藤宗一郎君    浦野 幸男君       大石 武一君    大橋 武夫君       加藤鐐五郎君    藏内 修治君       中山 マサ君    永山 忠則君       楢橋  渡君    松浦周太郎君       松山千惠子君    米田 吉盛君       河野  正君    島本 虎三君       田邊  誠君    滝井 義高君       吉村 吉雄君    井堀 繁男君       本島百合子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         総理府総務副長         官       佐藤 朝生君         厚生政務次官  森田重次郎君         厚生事務官         (大臣官房長) 山本 正淑君         厚 生 技 官         (医務局長)  川上 六馬君         厚生事務官         (保険局長)  高田 浩運君  委員外出席者         議     員 小沢 辰男君         厚生事務官         (医務局次長) 鈴村 信吾君         厚生事務官         (保険局次長) 熊崎 正夫君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 四月十九日  委員中村英男君辞任につき、その補欠として堂  森芳夫君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月十八日  医療費予算増額等に関する請願安宅常彦君紹  介)(第四一〇五号)  社会保障費増額等に関する請願外七件(安宅常  彦君紹介)(第四一〇六号)  引揚医師特例受験資格に関する請願井堀繁男  君紹介)(第四一〇七号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第四四六九号)  同(松明忠久紹介第四六一一号)  外傷性せき髄障害者長期傷病給付及び休業補  償費の給付承引上げ等に関する請願井堀繁男  君紹介)(第四一〇八号)  同(局本虎三紹介)(第四一〇九号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四四三六号)  同(森島守人紹介)(第四四七二号)  同外一件(井堀繁男紹介)(第四六一〇号)  業務外せき髄損傷患者医療費全額国庫負担等  に関する請願島本虎三紹介第四一一〇号)  療術の制度化に関する請願伊藤卯四郎君紹  介)(第四一一一号)  戦争犯罪関係者補償に関する請願逢澤寛君  紹介)(第四一一二号)  同(宇野宗佑紹介)(第四一一三号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第四二〇七号)  同(保利茂紹介)(第四六〇七号)  同(村上勇紹介)(第四六〇八号)  全国一律八千円の最低賃金制確立に関する請願  外四十一件(加藤清二紹介)(第四一一四  号)  同外二十一件(久保田鶴松紹介)(第四一一  五号)  同外七十五件(鈴木茂嘉郎紹介)(第四一一  六号)  同外三件(田中武夫紹介)(第四二〇五号)  同外三十件(坂本泰良紹介)(第四三三一  号)  同外八件(中村重光紹介)(第四三九三号)  同外十五件(安井吉典紹介)(第四四二九  号)  栄養士法改正に関する請願佐伯宗義君紹  介)(第四一一七号)  老人福祉法制定に関する請願津雲國利君紹  介)(第四一一八号)  同(石田薄英紹介)(第四一九八号)  同(北澤直吉紹介)(第四一九九号)  同(演野清吾紹介)(第四二〇〇号)  同(古川丈吉紹介)(第四二〇一号)  同(池田正之輔君紹介)(第四三六四  同(鴨田宗一紹介)(第四二六五号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第四二二一号)  同外十二件(岡崎英城紹介)(第四三二二  号)  同(濱野溝吾紹介)(第四三八九号)  同(古井喜實紹介第四三九〇号)  同外九十九件(松永東紹介)(第四四二八  号)  同(大沢雄一紹介)(第四四六六号)  同(中村高一君紹介)(第四四六七号)  同(古井喜實紹介)(第四五〇三号)  同(米田吉盛紹介第四五〇三号)  労働者災害補償保険法及びじん肺法の一部改正  に関する請願津雲國利紹介)(第四一一九  号)  引揚者給付金等支給法改正に関する請願外六  件(久野忠治紹介)(第四二〇三号)  同(保科音四郎紹介)(第四二六七号)  同外八十九件(上村千一郎紹介)(第四三三  三号)  同外十一件(浦野幸男紹介)(第四三三四  号)  同外六件(江崎真澄紹介)(第四三三五号)  同外二十四件(海部俊樹紹介)(第四三三六  号)  同(中垣國男紹介)(第四三三七号)  同外四件(中野四郎紹介)(第四三三八号)  同外八件(丹羽兵助紹介)(第四三三九号)  同外二十七件(早稻田柳右エ門紹介)(第四  二四〇号)  同(太田一夫紹介)(第四三九一号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第四四六八号)  元南満州鉄道株式会社職員の戦傷病者戦没者遺  族等援護法適用に関する請願外二件(田中龍夫  君紹介)(第四二〇三)  同(綾部健太郎紹介)(第四三二七号)  同(大久保武雄紹介)(第四三二八  同(田中龍夫紹介)(第四三二九号)  同(山手滿男紹介)(第四三三〇号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第四三八六号)  同(池田清志紹介)(第四三八七号)  同(中馬辰猪紹介)(第四三八八号)  同(内海安吉紹介)(第四四二六号)  同(足立篤郎紹介)(第四四六五号)  労働者災害補償保険法及びじん肺法の一部改正  に関する請願外三件(戸叶里子紹介第四二〇  四号)  同外一件(淺沼掌子紹介)(第四三二〇号)  同(逢澤寛紹介)(第四四五五号)  環境衛生関係営業運営適正化に関する法律  の一部改正に関する請願永山忠則紹介)(  第四二〇六号)  同(野田卯一紹介)(第四二六六号)  同(青木正紹介)(第四三二三号)  同(小輝太郎君紹介)(第四二二四号)  同(中村英男紹介)(第四三二五号)  同(湯山勇紹介)(第四三二六号)  同(浦野幸男紹介)(第四三八三号)  同(關谷勝利紹介)(第四三八四号)  同(三和精一紹介)(第四三八五号)  同(秋山利恭紹介)(第四四二二号)  同(田口誠治紹介)(第四四二三号)  同(高津正道紹介)(第四四二四号)  同(三浦一雄紹介)(第四四二五号)  同(輝輝寛紹介)(第四四五六号)  同(伊藤幟紹介)(第四四五七号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第四四五八号)  同(金子一平紹介)(第四四五九号)  同(上林山築吉君紹介)(第四四六〇号)  同(小沢辰男紹介)(第四四六一号)  同(野田卯一紹介)(第四四六二号)  同(前田義雄紹介)(第四四六三号)  同(八木徹雄紹介)(第四四六四号)  同(愛知揆一君紹介)(第四四九六号)  同(木村公事紹介)(第四四九七号)  同外一件(久保田円次紹介)(第四四九八  号)  同外一件(床次徳二紹介二)(第四四九九  号)  同外一件(保利茂紹介)(第四五〇〇号)  同(山本猛夫紹介)(第四五〇一号)  同外一件(井手以誠君紹介)(第四五九五号)  同(井堀繁男紹介)(第四五九六号)  同(内海清紹介)(第四五九七号)  同(大野伴睦紹介)(第四五九八号)  同(澁谷直藏紹介)(第四五九九号)  同(鈴木義男紹介)(第四六〇〇号)  同(田澤吉郎紹介)(第四六〇一号)  同(舘林三喜男紹介)(第四六〇二号)  同(八田貞義紹介)(第四六〇三号)  同(古井喜實紹介)(第四六〇四号)  同(保岡武久紹介)(第四六〇五号)  同(米山恒治紹介)(第四六〇六号)  ハンゼン氏病患者援護に関する請願山口丈  太朗君紹介)(第四二六八号)  離島及び無医村の医療対策に関する請願(牧野  寛索紹介)(第四三三二号)  同外一件(堀昌雄紹介)(第四四三七号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第四四七〇号)  同(松、平忠久紹介)(第四六一二号)  旧満州国日系軍官等遺家族援護に関する請願  外一件(出中龍夫紹介)(第四三九二号)  原爆被害者援護法制定に関する請願齋藤邦吉  君紹介)(第四四二七号)  旧満州国日系軍官等遺家族援護に関する請願  外二件(堀内一雄紹介)(第四四七一号)  福岡県に国立光明寮設置に関する請願伊藤卯  四郎紹介)(第四六〇九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  参考人出頭要求に関する件  臨時医療報酬審査会設置法案内閣提出第一〇  一号)  ばい煙排出規制等に関する法律案内閣提  出第一四二号)  生活保護法の一部を改正する法律案八木一男  君外十一名提出衆法第九号)  医療法の一部を改正する法律案滝井義高君外  十一名提出衆法第二八号)  医療法の一部を改正する法律案藤本捨助君外  六名提出衆法第四三号)      ————◇—————
  2. 中野四郎

    中野委員長 これより会議を開きます。  藤本捨助君外六名提出医療法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。
  3. 中野四郎

    中野委員長 提案理由説明を聴取いたします。小沢辰男君。
  4. 小沢辰男

    小沢(辰)議員 ただいま議題となりました医療法の一部を改正する法律案提案理由説明いたします。(「、資料がないぞ」と呼ぶ者あり)恐縮でございますが、印刷は後ほどお届けしますので、ゆっくり御説明をいたしますから、御聴取をいた、たきたいと一思います。
  5. 中野四郎

    中野委員長 資料は後ほど提出いたさせます。
  6. 小沢辰男

    小沢(辰)議員 国民皆保険達成を目睫の間に控えて、これがための基礎的条件整備の一環として、医療機関適正配置が緊急の施策として要望せられておることは御承知通りであります。医療機関適正配置施策は、一方において、無医地区その他医療機関の不足する地域においてこれが新増設をはかることを要請するとともに、他方、医療機関に対する需要がすでに十二分に満たされている地域においては、これが新増設規制してその乱立を防止することを期待するものであります。特に近時、一部大都市等において、国家的ないしは公的性格を有する病院が、当該地域医療需要と無関係に、いわば非計画的に設置され、または増設される傾向にあることにかんがみ、かような傾向を是正すべき必要性は早くから当委員会においても論議されてきたところであります。  このような情勢に対処し、この際医療法改正して、三公社、労働福祉事業団を初めとし、都道府県、市町村その他公的医療機関開設者国家公務員等各種共済組合健康保険組合等が開設する病院について、その新増設等により、当該地区病床数が一定数をこえるようになる場合には、開設等許可を与えないことができるようにいたしたいのであります。もちろん、真に医療機関適正配置をはかるためには、単に公的性格を有する病院のみならず、私的医療機関をも含めて、これが総合的規制を行なうことが望ましいのでありますが、現段階において直ちに私的医療機関規制をもあわせ行なうことは、必ずしも適当でないと考えられますので、この点につきましては医療制度調査会において慎重な討議が行なわれることをわが党は期待し、本法律案においては特別の措置をとることといたしておりません。  本法律案による規制を行なう場合の地域の選定、地域別必要病床数算定等の基準は厚生省令で定めることになっておりますが、厚生大臣がこの省令を定めるにあたっては、医療審議会意見を聞いてその適正を期さねばならないこととなっております。また、都道府県知事は、病床の新増設等許可を与えない処分をする場合は、都道府県医療機関整備審議会意見を聞かなければならないこととし、その処分適正化をはかることとしております。  以上が本法律案提案理由でございますが、わが党を代表して提案理由説明に当たらせていただきましたけれども、何とぞ満場の皆さんの御賛同を得たいと考えます。
  7. 中野四郎

    中野委員長 これにて本案提案理由説明は終わりました。     —————————————
  8. 中野四郎

    中野委員長 次に、本案内閣提出臨時医療報酬調査会設置法案ばい煙排出規制等に関する法律案八木一男君外十一名提出生活保護法の一部を改正する法律案及び滝井義高君外十一名提出医療法の一部を改正する法律案、以上五案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
  9. 滝井義高

    滝井委員 臨時医療報酬調査会設置法について質問申し上げます。総理府総務長官所管大臣である内閣総理大臣出席をお願いいたします。  そこで、まず……。
  10. 中野四郎

    中野委員長 ちょっと滝井君にお断わりしておきますが、総務長官は今通告いたしましたが、内閣総理大臣は、御承知通り本日は外交官を全部新宿御苑に招待して、ただいま向こうに行っておられますから、午後二時ごろまではおそらく問に合わぬと思いますので、御了承願っておきます。
  11. 滝井義高

    滝井委員 この法案所管大臣総理大臣です。一切の任命は総理大臣がやるのですからね。厚生大臣は全然関係がないのです。   〔「この前の理事会で、外交官の招待をしても出ろということは申し上げてある」と呼ぶ者あり〕
  12. 中野四郎

    中野委員長 以上、お知らせだけしておきます。
  13. 滝井義高

    滝井委員 所管大臣総理大臣ですからね。だから灘尾さんは、この法案については中立的な立場でなければならない、これは総理府に置いているんですから。従って、灘尾さんがおいでになっていますから、灘尾さんに関連する部分から質問をするわけですが……。
  14. 中野四郎

    中野委員長 ちょっと滝井君、総理府の副長官は今来ておられますが、長官の方は今こちらから通告いたしましたから、どうぞお進め下さい。
  15. 滝井義高

    滝井委員 昨年十一月の十六日に、法律第二百二十七号をもって社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律が告示をされましたこの社会保険審議会及び社会保険医療協議会法国会審議をされるにあたりまして、与党の八田委員からこういう質問がされております。「それからもう一つ、今度の改正法案について支払い側からだいぶ不満がある、また、社会保障制度審議会から意見書が出されたということを聞いておるのですが、この点に関して、この改正案国会成立して、こういった支払い側の反対とかあるいは社会保障制度審議会意見書に見られるように、うまく人選なんかやっていけるというふうな御自信がございますか。」すなわち、中央社会保険医療協議会なり地方の社会保険医療協議会というものが、うまく発足できるかという質問でございます。これに対して灘尾厚生大臣は、「ただ私は、医療協議会が現在のままの状態でこれからまた半年も一年も続いていく、厚生省医療協議会も満足に開くことができないということは、実は医療保障に関する行政前進をはかっていく上から申しますと、耐えがたいことであります。なるべく早く正常な状態に持って参りたいというのが私の衷心からの念願であります。」これは去年の十一月ですよ。途中は抜かしますが、さらに語を継いで、「御賛成のもとにこの法案成立すれば、各方面の方々の御参加に対しまして、全力を上げて誠意を尽くしてお話申し上げまして、ぜひ参加していただきたい。あちらが入ればこちらが入れらないというようなことでは、これは医療協の体をなさないということになって参りますから、私は責任を持ってこの点については努力し、説得をし、御協力をいただきたいと考えておる次第でございます。こういうことになっております。まさかこれはお忘れになっていないと思う。  さらに、今度は私の質問に対して、「もし今回の医療協議会改正案国会を通過するならば、今後の医療協議会運営政治的責任を持って必ず順当にやり得るという確信を持ておるという答弁が私はほしいわけです。そういう確信がおありになるかどうか。」これがわれわれがこの法案を通すときの大前提だった、いわば決定的な条件だった。それに対してあなたはどう言ったかというと、「私は、いろいろ問題の多いさなかにこの法案の御審議を願っておるわけであります。従いまして、せっかく皆さんの御賛成を得てこの法案成立いたしました場合に、私の庶幾しておりますことが実現できないということになれば、重大な政治責任を実は感じておるわけであります。」こういうことになっております。「全力をあげて目的の達成努力するつもりでおります。一体、この政治責任というものをどうするつもりなのかということです。私は昨年十一月にこういう御質問を申し上げて、そして中央医療協改正法律案を通したのです。そして今度の国会の冒頭においても、少なくとも予算衆議院を通過するまでには中央社会保険医療協議会発足をしてもらいたい、こういう要請をいたしました。あなたは努力するとおっしゃいました。しかし、今なお海のものとも山のものとわかりません。当時私は、政府は、自己に都合のいい憲法調査会というようなものは、社会党が入らなくともさっさとやっておいでになる、ところが、今度自分が都合の悪いことになると、医療協議会というようなものは委員も任命せずに、そのまま放置しておる、一体この政治責任はどうしますかということをお尋ねしたわけです。あなたは努力をするとおっしゃったわけだが、もうちょっと待ってくれ、もうちょっと待ってくれというと国会は終わってしまう。御案内の通り中央社会保険医療協議会の四名の公益委員というものは、国会の同意を必要とする。もう国会は、余すところ二十日前後しかない。予算衆議院を通過するまでにというのに、予算はもう参議院を通過してしまった。国会は今大みそかです。大みそか段階になってなおこの国会を通った法案が動かないということは、法治国家としては、政府国会の権威を踏みにじったことになる。だから私は、あなたの政治責任というものをはっきりさせてもらわなければならぬと思う。一体あなたは、どういう政治責任国会に対しておとりになるおつもりですか。
  16. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この前の臨時国会におきまして、御質問に対しましてお答えを申し上げました心持は、ただいまもその通りであります。何の変わりもございません、私といたしましては、中央医療協議会発足をはかりますために努力をいたしておるところでございますが、残念ながら今日までまだその解決を見るに至っておらないのでございます。ただ、私は、その点につきましては国会皆様方に対しましても相済まぬ次第である、かように考えまして努力をいたしておりますけれども、今もって結論を得ないのでございます。今後一そうの努力を払いまして、この解決をはかって参りたいと存じておる次第でございます。  私は、国会においていろいろ御論議が行なわれ、しかる後に国会を通過いたしました法律でございますので、この法律の施行については、関係方面の御協力をぜひ得たいと思うのでございます。いろいろ意見がありましても、  一応国会通りましたものについては、療養担当者側といわず、支払者側といわず、それぞれ御協力を願いたいものと、かように考えておる次第でございます。不幸にしていまだそこまで参っておらないことをまことに残念に存じておりますが、私としましては、さらに努力を傾けましてこの解決をはかって参りたい、かような考え方をいたしております次第でございます。いずれにいたしましても、この医療協議会組織という問題は、関係方面にそれぞれ御協力を願わなければ運営のできない問題でございますし、これを抜いて医療問題を論議することもいかがであろう、かように考えますので、私はやはり御納得のいくまで、御理解のいくまで、できるだけの努力を尽くして御協力を得たいものと衷心より念願をいたしておる次第でございます。
  17. 滝井義高

    滝井委員 それでは少しも政治責任はないじゃないですか。いやしくも主管大臣国会で、医療協議会に関連する法律を通そうとするときに、私は政治責任を持って必ず円滑にやります。こうおっしゃった。しかも、六カ月、一年と医療協議会が開かれないことは、はなはだこれは医療保障前進のためによくない、こうあなたはおっしゃっておる。そうして通したのにもかかわらず、これが通ったならばうまくいきますと言っておったのに、六カ月たってまだうまくいかない。ちっとも法律を通したときから前進していないですよ。これで一体法治国家所管大臣と甘えるかということです。こうなりますと、ますます池田内閣医療行政責任というものは、灘尾さん一人ではどうにもならぬということです。委員長、これはやはり内閣総理大臣に、どうしてもこの段階で出てもらわなければならぬ。観桜のことも大事かもしらぬが、総理が出るまで私待ちます。今の御答弁では、国会で約束をして、残念でございますが、もう私ではどうにもできませんということです。努力をします。努力をすると言うが、じゃ一体この法律が通ったならば、今われわれに審議をしようと言っている臨時医療報酬調査会発足するという自信があるか、自信はないはずですよ。ありますか。これが通ったならば、必ず全部うまく運営できるという自信がありますか。
  18. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 このただいまの中央医療協議会組織をめぐっての問題は、なかなか容易に解決のしにくい問題でございます。私は、この法律案成立ということと中央医療協議会組織ということとの間に格別約束した覚えもございませんし、また取引の材料にしているつもりもございません。ただこの法律案成立支払者側において熱心に希望しておられるということは、これは事実であります。従って、この法律案成立すれば、それだけ支払者側の気持もまた変わってくるであろうということは私期待できると思いますけれども、最後的解決を見ることができるかどうかということを、今直ちに私が申し上げるわけには参らない。しかしながら、私としましては、この問題を解決する私の責任といたしましては、あくまでも、国会で通過いたしました法律に従って中央医療協組織をはかっていくというところにある、かような判断のもとに今川努力をいたしておる次第でございます。
  19. 滝井義高

    滝井委員 灘尾さんの努力は何回聞いたかわからないです。予算の通るときも努力をすると言った、まだ今日も努力を続けられておると思います。それについては感謝しますが、結果が現われてこないのです。法治国家で、法難が通っておってそれを実施できないという大臣だったら、これは落第です。だから従って、灘尾さんではもう努力するだけで実効が上がらぬから、一つ最高責任者である総理大臣を呼んでいただきた、観桜会といっても国会大みそかです。桜なんか今見なくたっていい。総理大臣は個人のわれわれを呼んでいるのです。呼ばれたわれわれが、お客さんが行っておらぬのですから、これは無理な要求じゃないです。法律を作ってその法律を動かせない、動かせないその上にまた法律を作って、さらに動かないような情勢を作ろうとしておる。だからぜひ総理大臣を呼んで下さい。ここで待ちますから。
  20. 中野四郎

    中野委員長 滝井君、先ほど申し上げた通りで、すでに外交官を招いておられるおりからですから、これはお互い了解すべき点だと思いますので、他の点についてお進めを願いたいと思います。
  21. 滝井義高

    滝井委員 これが済まなければ進まぬです。一番大事な点です。かなめです。
  22. 中野四郎

    中野委員長 総理府の副長官もおりますから、どうぞお進め願います。滝井君、発言を続けて下さい。
  23. 滝井義高

    滝井委員 そうはいかぬです。だから待ちます。
  24. 中野四郎

    中野委員長 御発言を続けられないようならば、別途また次の方の発言に移らなければなりませんから、お進めを願います。
  25. 滝井義高

    滝井委員 総理大臣出席要求いたします。
  26. 中野四郎

    中野委員長 滝井君に重ねて申し上げますが、総理大臣出席のできない理由を今申し上げている。御了解ができなくて発言を続けられないなれば、委員長において次の発言者を指名しますが、よろしゅうございますか。それでなかったら続けて下さい。
  27. 滝井義高

    滝井委員 所管大臣総理大臣です。総理大臣に絶対来てもらわなければ……。この法律の性格から見て、厚生大臣はアウトサイダーなんです。これは厚生大臣なんかタッチするようになっていない。
  28. 中野四郎

    中野委員長 御注意申し上げますが、すでにあなた方の通告に従ってこちらから総理大臣に通告してあるのです。重ねてそうこういうことを申されなくても、そういうことをしておるのです。——滝井君、発言しませんか。発言はまず副長官質問を続けて下さい。それからお互いに理事会を開くなりどうなりいたしますから……。   〔「総理大臣を呼べ」と呼び、その他発言する者あり〕
  29. 中野四郎

    中野委員長 滝井君、再度御注意申し上げますが、発言になりませんか、どうですか。
  30. 滝井義高

    滝井委員 私は要求していますから……。
  31. 中野四郎

    中野委員長 まず副長官質問いたしませんか。
  32. 滝井義高

    滝井委員 総務長官が来ておらぬし……。あなたが力でやるなら自由だ。委員長の職権で自由に首を切るなり何なりして下さい。   〔発言する者あり〕
  33. 中野四郎

    中野委員長 暫時休憩いたします。    午前十一時四十一分休憩    午後四時四十分開議
  34. 中野四郎

    中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。大石武一君。
  35. 大石武一

    ○大石委員 それでは、ただいま提案になっております臨時医療報酬調査会設置法案につきまして、二、三のお尋ねをいたしたいと思います。  この法案につきましては、昨日来井村重雄君あるいは井堀君、滝井君その他から、いろいろと御質問があったようでございます。従いまして、これから私のお尋ねすることも、あるいはこれらの諸君の御質問なり、あるいはそれに対する大臣の御答弁なりに入っておる部分もあるかもしれませんけれども、そして重複するきらいがあるかもしれませんけれども、その点は一つ御了承願いたいと思います。  私がなぜこのような質問を、与党でありながら、あえてするかということを簡単に申し上げたいと思います。御承知のように、法律というものはわれわれの国民生活を規制するものであります。従いまして、この法律に違反をすれば、あるいは生活上の不便を受け、あるいはまた、処罰を受けることにもなるわけであります。従いまして、法律というものは、ほんとうに国民の生活を幸福にするものであって、国民にいささかの不安も与えないものでなければならぬと考える次第でございます。そういう点から考えますと、ただいま御提案になっております臨時医療報酬調査会設置法案というものは、わずか数条の法律案でございます。しかも大事な点は、一条か二条でその重要な点をまとめておりますので、その内容につきましては、判然としない点が非常に多いのではなかろうかと思います。従いまして、このような点から、ただいま日本医師会その他におきましても多少の不安を感じて、この法案に対する二、三の反対もあるやに聞いておりますが、それは明らかにこの法案の内容がはっきりしておらないから、将来どのような職業上の規制が行なわれるか不明な点にあると思うのであります。従いまして、その点を明瞭にいたしますれば、医業に従事する者も、むしろ安心をして将来の発展を期し得ることができるかもしれないという観点から、あえてこの不明な点を明瞭にいたしたいというつもりで御質問申し上げる次第であります。  第一番目にお尋ねしたいことは、第二条に本調査会の目的が書いてございます。しかしこの目的は、簡単な字句でございまして、もう少し具体的な目的について、お話しを願えればしあわせだと思います。
  36. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 法律の内容にわたってのお尋ねでございますので、便宜政府委員からお答えを申し上げさしていただきます。
  37. 高田浩運

    ○高田政府委員 第二条に、「調査会は、内閣総理大臣の諮問に応じ、適正な医療報酬の算定の基準に関する事項を調査審議する。」とございます。おそらく御質問の趣旨は、「適正な医療報酬の算定の基準に関する事項を調査審議する。」とありますから、一体どういうことを調査審議するのであるか、こういう点かと存じまして、その点について申し上げたいと思います。  医療費の引き上げをずっと顧みてみますと、最近には三十六年にございました。その前は三十三年、その前は二十六年ということで、一定の時期に上がったわけではなしに、端的に申し上げれば、いろいろ引き上げの強い要望等がございまして、それに関連をしていろいろな経過を経てこういうふうな年に上がってきた、こういう状況になっております。  そこでまず第一に、一体医療費の引き上げをいつ行なうべきであるか。たとえば三年に一回なら三年に一回行なう、二年なら二年に一回行なう、そういった引き上げの時期というものが、やはり一つの重要な審議事項になるかと思います。  それから第二に、その引き上げの基礎となるべき資料でございますが、三十六年の引き上げにつきましては、二十七年の実態調査が一つの基礎資料になりました。言いかえれば、十年前の資料を引き伸ばして使ったということでございます。これは結局、その日にアップ・ツー・デートの資料がないからでございます。その意味から、そう、いった引き上げの基礎としての実態調査というものを、一体いかなる時期に、いかなる感覚を持って行なうかということが一つの重要なポイントかと思います。  それから、同じく調査を行なうにいたしましても、たとえば二十七年の調査につきましては、病院については二十分の一、一般診療所につきましては二百分の一の抽出によりまして、いわゆる実態を調べた。現在のすなわちザインを調べただけでございます。ところが調査というものは、引き上げの資料として使うべき資料としてはそれでよろしいかどうか。言いかえれば、そのサインだけでなしに、いわゆるモデルについての調査をして、それを十分考慮のうちに入れるべきであるかどうか、こういう点がやはり一つの重要な問題点であろうと思います。  そのほか調査のやり方等につきまして、これはいろいろ問題があると思いますし、それから調査の結果の評価につきましても、いわゆる今までは平均値をとっておりましたけれども、これは平均値をとるかあるいはバルクライン方式をとるか、そういった問題が重要な問題であろうと思いますし、これらが審議の対象になろうかと思います。  そういった実態調査の時期、やり方の問題、それからそういった資料を使いまして実際に算定にとりかかります場合において、算定に組み入れます医療費の、要素となるべきもの、これは一体どういう内容を見るべきであるか。たとえば人件費でありますとか、あるいは衛生材料等の諸経費でありますとか、あるいは減価償却でありますとか、そういうもののどういう要素を組み入れるか。おのおののそういった医師の収入あるいは従業員の人件費、こういった各要素についての評価の方法ないし今申し上げました実態調査のほかにどういった資料を一体使うか、こういった点がやはり重要な審議の対象となるべきものだろうと思います。  それらの詳細の点につきましては、また御質問に応じてお答えいたしたいと思いますけれども、一応これだけ申し上げておきます。
  38. 大石武一

    ○大石委員 一曹大臣にお尋ねいたしますが、これから御答弁をいただく場合には、大臣ばかりでなく、局長その他からもいろいろと御答弁があると思います。その場合に、局長の答弁はすべて大臣答弁である、絶対に責任は同じであるという点を御確認願いたいと思います。これは局長に対して失礼なことでありますが、それはいろいろな将来の問題を含んでおりますので、その点ははっきりと大臣から御言明をいただきたいと思います。
  39. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 便宜政府委員答弁をしてもらう場合もあろかと存じます。そのときの政府委員答弁は、私が黙っております限りは、私の答弁と御了承願ってけっこうでございます。もしその政府委員答弁が、私の考えておることと違っておるとすれば、そのときには私申し上げます。さように御了承願いたいと存じます。
  40. 大石武一

    ○大石委員 ただいま保険局長の御答弁でありますが、今までの医療費の引き上げは二十六年から三回にわたって現在まで行なって、これは定期的に行なったのじゃなくて、そのつど要求によって引き上げたものであるという答弁でありましたが、全くその通りだろうと思いますが、この要求によって、つまり要求があった場合のみ医療費の引き上げを行なったということが妥当でありましょうか。それはただ、よかったか悪かったかという簡単な御判断をお聞きしたいと思います。
  41. 高田浩運

    ○高田政府委員 これは医療費の引き上げという点からいたしますと、やはりもっと科学的に検討して、科学的な立場で引き上げを行なうことが適当であろうと思うし、その趣旨からすれば、必ずしも最善の方法とは考えておりません。
  42. 大石武一

    ○大石委員 これは末梢的な問題でありますが、言葉じりだけれども少しやります。なるほど科学的な方法でもってやればもっとベターであったかもしれぬけれども、今までのやり方は必ずしも万全ではないというお話でありますが、全くその通りだと思います。これは要求があったから引き上げたというのは、ほんとうの正しい行政ではないと思う。当然国民皆保険を目ざして、医療費というものがおのずから一つの方程式や方式によって算出される、あるいは政府なり法律規制によって医療費がきめられる。自由診療ではなくなっている時代でありますから、そういうことを考える場合には、当然医療担当者あるいは医療従業者なりの要求があった場合にのみ医療費を上げて、それまではほおかぶりしておった。科学的な算定方式がなかったということは大きな間違いであった。当然医療行政としては、非常に不適当であったと思います。その点について率直なる御反省がありましょうか。
  43. 高田浩運

    ○高田政府委員 従来医療費の引き上げにつきましては、大石先生御存じのように、ずいぶん紛糾を重ね、あるいは問題をかもしてきたのが実情でございます。こういう状態というのは、やはり社会保険を円滑に運営をし、社会保障を順調に伸ばしていく上からいったならば、私はそういう状態は適当でない、もっとすっきりした形でいくべきものだと考えております。
  44. 大石武一

    ○大石委員 もう少しはっきり言いますと、このたびの臨時医療報酬調査会設置法案というこの法案が出たのは、そのような行政上の手落ちがあったから出てきたと思う。私はこの内容はどういうものだかまだはっきりわかりませんから、これから鮮明しなければならぬので、はっきりそのために出たかどうかということは言い切れないけれども、おそらくはそのような今までの厚生省の手落ちがあった、だからこそ要求があった場合に医療費を引き上げざるを得なかった。しかもその場合に、なるほどいろいろのむずかしい問題があって、必ずしも厚生省だけが悪いとは私申し上げません。いろいろな社会情勢があって、厚生省の立場とすればつらい立場があったろうと思う。それは十分わかります。わかるけれども、一応このような法案を出す。なぜ出したかということは一番大事な問題なんです。ただこれは社会保障制度審議会から勧告があったから出したとか、前の大臣がそういうことをしたから出したということだけじゃない。そんなことじゃないと思う。さらにもっと大きな意義があった。その意義は何であるかと申しますと、今までは正しい医療報酬の算定方式の準備がなかった、あるいは定期的な引き上げのものの考え方がなかった。それによっていろいろなむずかしい問題が発生したと思う。だからその反省の上に立って、今後はそのような不手ぎわのないように、ほんとうに正しい医療費の引き上げなり引き下げが行なわれて、医療担当者も被保険者も、みんな安心してりっぱに医療をしたり受けたりすることができるような行政を作り上げたいというお考えから、この法案をお出しになったのだろうと思いますが、大臣いかがでございましょう。
  45. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 大体御趣旨の通りだろうと思うのであります。従来とかく診療費の問題につきまして、紛争を生じておりましたことは御承知通りであります。しかし、この診療報酬の問題、医療保険を順調に発展させますためにも最も大事な問題だと思います。しかしながら、それにつきまして政府当局においても十分な調査が従来は行なわれていない、だいぶ古い資料を使ってそれを引き伸ばしてきておる、こういうようなところを率直に先ほども政府委員がお答え申し上げましたわけであります。そういう程度の資料しか持たない。その関係で、医療協議会等でも始終御批判を受けておりましたようなわけでございます。同時にまた、支払者側あるいは療養担当者側、それぞれの材料はお持ちになっておると思うのであります。みんなが納得するような材料もまだでき上がっておらないというような状況、これが従来の診療報酬問題をめぐりまして、いろいろ紛糾する一つの大きな種になっておったのじゃないかと思うのであります。政府としましては、さようないわゆる診療報酬をめぐっての紛争といいますか、混乱といいますか、そういうふうなものをなるべく回避したい。そしておとなしくお互いにお話し合いをし合って、そして物事が進んでいくような姿でありたいというふうに念願しております。その関係上、適正な診療報酬を求めるのには一体どうしたらよろしいかということを、社会保障制度審議会に御諮問申し上げたという経過になっておると考えるわけであります。従って、従来のあり方に対しまして政府自身も検討をすべき問題である、こういうふうな考えのもとに諮問をいたしましてその御答申をいただいた、こういうわけでございますので、今大石委員の申されましたように、従来のあり方というものに対する反省の上に立っての提案だ、かように御了承いただいてよろしいと思います。
  46. 大石武一

    ○大石委員 よくわかりました。そのお考えならば、この法案は慎重に審議して参りたいと思います。  次に、保険局長の御答弁でありましたが、何を調査するのか、調査する内容につきましては、引き上げの時期であるとかあるいは引き上げの基礎となる資料、いろいろな実態調査にいいものがないからこれをいたしたいのだというふうなことを申されましたが、さような医療の実態であるとか、あるいは国民経済の実態であるとか、そういうものを調査するだけの機関なんでございますか、それ以上の目的がありますか。
  47. 高田浩運

    ○高田政府委員 私の言葉が足りなかったために、多少誤解を生じたかと思いますけれども、この調査会自体が調査をいたすのは、いわゆるルールを作るために必要な限りにおいての調査でございまして、診療費の引き上げあるいは改定をするためのいろいろな実態調査をこの調査会自体が行なうという趣旨で申し上げたわけではございませんで、むしろどういう調査を行なうべきかということについての見解を立てるということを御審議いただくという意味で、調査の問題を申し上げた次第でございます。そのほかに、実態的な診療報酬の要素でありますとか、これを評価する資料の問題あるいは時期の問題、こういうことになろうかと思います。実態調査と申しますのは、そういう意味での審議事項の一つだ、そういう意味で申し上げた次第であります。
  48. 大石武一

    ○大石委員 そうすると、ただいまの御答弁では、いつまでも変わらないとは言えないけれども、今後十年なり二十年なりこのルールを適用すればりっぱな診療報酬の算定ができて、医療担当者もある程度納得しているし、国民も納得した医療費が出せるというようなルールを作りたいというのが根本の理由なんですか、そういうわけですな。
  49. 高田浩運

    ○高田政府委員 さようでございます。
  50. 大石武一

    ○大石委員 そうすると、そのルールを作るためにはいろいろな調査をしなければならぬ。その調査もあわせてやって、その調査の結果によってルールを作るということにあるのでしょうな。早い話が、昔は、今の有機化学の根本であるベンゼン核、カメの子がたった一行の式で作られているのですね。しかし、その陰には幾多の研究なり論文があると思う。そのように、おそらくここに医療費を算定するルールができれば、それはそうむずかしい問題ではないと思う。中心になるものが、一ページの中に入るような数行のもので私はできると思う。しかし、それを作るためにいろいろな実態を調査しなければならぬ、こういうことなんでしょうか。
  51. 高田浩運

    ○高田政府委員 調査それ自体は、ルールを確立するために、それを調査審議するために必要な限りにおいての調査でございます。従って、いわゆる診療費改定の基礎となるべき実態調査ほど大がかりなものにするかどうかということは、これはまた別個の問題だと思います。従って、ルール自体につきましては、十分審議を尽くして、争いの余地のないりっぱなルールができることをわれわれとしては期待いたしておりますけれども、これは御承知のように、非常にむずかしい問題も含んでおりますので、十分御審議をいただいた上でそういうりっぱなルールを−作って答申をしていただく、こういうことをわれわれは期待をいたしております。
  52. 大石武一

    ○大石委員 少し混乱しているのじゃないかと思うのです。いいですか、あなたは医療費を変える引き上げるか引き下げるかはわかりませんが、変えるためのあれをやるのではないというお話でありましたが、それは間違いだと思う。医療費を変える必要はない、今のままでよいなら、何もこんなめんどうな調査会を作る必要はない。やはり医療費は変えなければならぬ、変わるべき性質のものであって、物価が高騰して、経済情勢が変わっていけば当然変わるべき筋合いのものでありますから、これは医療費を変えるということを前提としての調査会でなければならぬと思いますが、その点、もう一ぺんはっきりした御意見をお聞きかせ願いたいと思います。
  53. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私のお答えで不十分な点は、また政府委員から補足いたさせます。  この調査会に私どもが期待しておりますものは、そのときそのときの医療費を幾らにするかというものではございません。これは御承知だろうと思うのであります。具体的なそのときそのときの医療費をどうするか、上げたり下げたり——下げる場合ほとんど考える余地はないと思いますけれども、上げるという問題は、中央医療協議会で具体的に政府が相談するわけでございます。政府中央医療協議会に、そのときそのときの診療報酬というものを御相談をする場合に、政府として何かそれをはじき出すものさしがほしいという心持でございます。そのものさしをこの調査会において、公正中立な立場にある方によって御検討を願って、願わくは適当なものさしを教えてほしいというのが、政府のこの法案を出す心持でございます。従いまして、具体的な診療費を幾らにするか、どう上げるかという問題の前に、何かそこにものさしがありますれば、厚生省としては、従来よりもより適切な診療報酬をはじき出して、そして御相談することができるのじゃないかという、さような意味を持っての調査会、かように御了承を願いたいと思います。
  54. 大石武一

    ○大石委員 かりにただいまの診療費を上げる−下げる場合は別として、上げるためには、いろいろな資料が要る。その資料のものさしがほしいというお話なんでありますが、これはよくわかります。そうすると、そのものさしを作るためにこの調査会法を作るわけなんですね。そうすると、そのものさしの内容はどんなものですか。もう少し具体的に、ただ単にものさしと言ってもいけませんから、それはどのような基準を持ったものさしであるか、大体の考え方をお聞きしたいと思います。
  55. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この調査会に対しまして、そういうものさしについて調査審議を願いたい、こういうつもりでおるわけであります。政府といたしまして、こういうものさしが作りたいが、どうかというような態度ではないわけであります。政府が具体案を持って、そうして調査会に諮問をするというのではなくして、権威のある方々によって十分慎重に調査審議を願って、何とか一つそういうものさしを考え出していただきたい、こういう心持でこの調査会を設けようとするわけでございます。今こういうものを作ってほしいとか、こういう考えがあるとかいうわけじゃございません。ただ先ほど保険局長のお答え申し上げましたことは、大体私どもが考えてみますれば、ものさし移り行く今日の経済社会のもとにおきまして、適正な診療報酬を療養担当者側にお支払いするためには、一体医療報酬というものはどうあるべきか、どういう点を医療報酬として考えの中に入れなければならぬか、あるいはその要素に対する評価の問題もございましょう、あるいはまた、どういうふうな状態であれば診療報酬を引き上げるという事態として考えてよろしいか、そういうふうないろいろな問題について、適切なものさしを与えていただければ非常にしあわせだ、かように私どもは考えておる次第でございます。現実にわれわれが一つの案を持っておって、そしてここへ諮問するというのではなくして、中立的な立場にある、しかも権威のある方によってそういうものさしをぜひ考え出していただきたい、こういう心持でございます。
  56. 大石武一

    ○大石委員 ちょっとお尋ねしますが、そうすると、医療報酬を算定するものさしを作りたいということなんですね。そのものさしを作るのは、全部五人の委員の方におまかせをして、私は何にも案がございませんというお話らしい。これはしろうとならそれでいいのですが、いやしくも自分が診療報酬の引き上げをしたいから提案する、その土台になるものさしを作る場合に、どんなものさしになるか、委員全部におまかせして自分に案がないというのでは、ちょっとたよりないと思うのです。しろうとが考えたって、ものさしを作るためには、それは一体一丈、二丈もある長いものさしがいいのか、二尺のものさしがいいのか、鯨尺がいいか、かね尺がいいか、何か根本的な方向がなければ、ただおまかせするだけではちょっと無責任過ぎはしないかと思うのです。大臣としては無理でしょうけれども、局長がもう少し、たとえば経済状態を入れるとか、あるいは国民の医療経済の実態を基準にするとか、そういういろいろな方向あるいは要素が入るはずですが、それについて何らのお考えがないとすればあまりに無責任きわまるし、当然なければならぬと思うのですが、これをお聞かせ願いたいと思うのです。
  57. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この調査会を特に設けたいという趣旨は、私先ほど申し上げた通りでございます。厚生省が原案を作って、そしてそこへ御諮問申し上げるというようなつもりではないのであります。十分学識のあるりっぱな方によりまして、適正な医療費を算出するにはこういうものさしを使ったらよろしいという結論を出してもらいたいという気持でございます。この委員になられる方々には、それぞれりっぱな方を選んでいただきたいと私どもは思っておりますが、この委員の方々が調査をお進めになる段階におきましては、各方面の御協力を得なければなりません。政府の諸機関あるいは地方の団体、ないしは関係団体の方々の御協力を得なければなりませんし、意見も十分聞かなければならぬと思います。また、この委員を補佐する者として、それぞれ専門の分野において学識経験のある人を専門の委員としても御委嘱いたしまして、協力してもらわなければならぬ。また、厚生省としましても、厚生省の能力においてできるだけ御協力はしなければならぬ、かように考えておる次第でございますが、問題の調査審議にあたっては、委員の方々を中心といたしまして、その方々の御判断によって適当な結論を出していただきたい、こういう趣旨でこの調査会を作りたいと思っておるわけでございます。
  58. 大石武一

    ○大石委員 そうすると、はっきり申しますと、ものさしを作る場合には、厚生省には何らの腹案も見識もございません、しかるべき適当な人を選んだならばその人に全部まかして、その人の作ってくれたものさしをそのまま推しいただいて、それを基準にして使います。こういうことなんでしょうか。今のあなたのお話は、選び方とか専門に置くとかいうのは形だけなんです。形を作っていく話なんです。それは一番根本の使命、魂というものがなければならぬ。その魂については、われわれは魂を持っておりませんから、その形だけ作ったものをそのまま受け入れて、それをものさしといたします。こういうことなんですか。
  59. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は、この調査会におきましては、先ほど来申しておりますように、厚生省が原案を作って、そうしてそれの調査をするというような考え方じゃなくして、学識のある方によってそういうものさしをぜひ検討して一つ出していただきたい、こういう趣旨の調査会でありますので、私は決して、これは厚生省が無責任であるとか、あるいはまた、何らの見識もないという問題とは関係がないと思います。厚生省意見を求められれば、厚生省としては厚生省の持っておる能力の限りにおいては御協力もしなければならぬ、かように考えておりますが、調査会それ自体といたしましては、そこで自主的に一つ御検討を願って、何らかのものを案出していただきたい、こういう心持でおるわけであります。
  60. 大石武一

    ○大石委員 それは押の問答になりますからこれでやめますけれども、何でこんなにうるさく聞くかといいますと、一体そうなれば、厚生省がある方向を持って、そしてものさしを作っていこうという場合と、全然腹案がなくて、任命された委員に全部まかして作ってもらうというのでは、ほかに対する影響が非常に違うのです。そうすれば、委員に全部まかせるというならば、委員の人選にも重大な問題が出て参りますし、判断も、関係団体その他に与える影響も非常に大きいと思うのです。ですから、こういうことをくどく聞いておるのでありますが、今のお話では、腹案はあってもなくても、とにかく腹案は出さないで、任命した委員にすべておまかせして、そしてものさしを作ってもらう、そういうお考えのようでありますが、一応そのように解釈いたしておきます。  次に、さっきの大臣の御答弁にありましたが、ものさしを作って、今度は中央医療協議会において、そのものさしを基準として医療費の引き上げを行なうのだと申されました。それは筋だと思いますが、その場合に、そのものさしというのは自動的に動いて、中央医療協議会に診療費引き上げの相談が出てくるのか、厚生大臣かあるいは厚生省が、医療費を上げなければならぬ時期だという判断のもとに医療費値上げを考えて、それをものさしによって計算していくのか、どっちでありますか、そこのところは……。
  61. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題は、具体的な診療報酬を決定するのは、これは厚生大臣でございます。厚生大臣が必要であると考えれば、具体的にその問題と取っ組むということに相なるわけでございます。今私どもが、この調査会においてどのようなものさしが一体出てくるかということを、予見するわけにも参らぬわけであります。かりの例として申し上げますれば、たとえば物価がこのような状態になってきておるじゃないか、あるいは人件費がこうなっておるじゃないか、いろいろそういったふうなものについて、ある何%なら何%と申しましょうか、パーセンテージが出てきた、それだけ上がってきた、こういうときには診療報酬について厚生省は再検討をすべきである、かようなかりにものさしがあるといたしますならば、われわれといたしましてはこれを尊重いたしまして、そこで具体的に診療報酬を算定いたしまして、そうして中央医療協議会に具体的に御相談をする、こういうことになろうと私は思うのでございます。しかしながら、今から、どんなものさしが出ますか、御審議の結果を待たなければわからぬことでございます。私も的確なことを申し上げるわけに参りませんけれども、そのものさしのいかんによって厚生大臣のとるべき方途はおのずから変わってくる、こういうことにもなろうかと思います。大体そのものさしにおいて、たとえば厚生省の調査はこういうふうにすべきである、そしてその調査の結果としてこういう数字が出たならば、厚生大臣はこうすべきである、あるいはその調査は、年に一回やりますか二年に一回やりますか、何かそこらに、たとえば一年置きにこの種の調査を行なうべしというようなことがありますれば、厚生省としてはそれに従って調査する、その結果に基づきまして具体的な診療報酬の問題をきめる、こういうことになるかと思います。いずれにいたしましても、繰り返すようでありますが、どんなものさしがいただけるかということまで、今私はかれこれ申し上げるわけに参りませんが、その結果によって厚生大臣のとるべき道はおのずからきまってくるであろうと考えるのであります。
  62. 大石武一

    ○大石委員 今わかりましたことは、たといどのようなものさしができても、医療費を引き上げる場合には、厚生大臣責任において、厚生大臣中央医療協議会提案するのだ、それは厚生大臣がその時期を判断するのだということですね。それもよろしゅうございましょう。その場合に、厚生大臣は、さっき言ったように、経済状態が現在こう変わったから医療費を上げなければならぬだろうと考えますと、医療費引き上げの提案医療協議会にするわけですね。そのような場合にその提案をする。たとえば一点十二円とか十五円とか、その単価を作る、結論から言えば、今の状態から言えば単価を作ることですね。その単価を作る場合に、そのものさしによって科学的におのずから出るのですか。たとえばあなもた御承知のように、今米価を算定する場合に生産費並びに所得補償方式というのがございます。これは農家の労力がどのくらいかかるか、労賃は一日何円か、肥料代は何ぼであるか、生活費はどうであるかということを全部積み立てていって、米価が算定されるということに基礎はなっているわけですが、そのような方式でお考えになっておるのか。もしそのような方式をお考えになっているとすれば、そのものさしによって、おのずから、三年前と現在と、改定しようという時期の物価の変わり方、経済の変わり方がこう違っておるから、このような方式によって一点十五円という単価が出るというようにおやりになるのですか。これ以外にそのルールはないと思うのですが、その具体的内容をお聞かせ願いたいと思います。
  63. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 どのようなルールができますか、また調査会においていろいろ検討せられました結果、ここまではこういう調査はぜひやってほしい、あるいはこういう時期においてこういう調査を行なうべきである、いろいろ考えられるわけでありますが、その点について今私の方で、どういうものさしがいいとか悪いとかということを申し上げるわけには参らない。そこのところを一つ厚生省を離れた中立的な立場にある民間の有識者の手によって十分御検討願って、そのものさしを作っていただきたいというわけであります。その結果によって、おのずから変わってくるわけでございます。厚生省としましては、十分慎重に各方面意見を聞き、調査もせられ、そして慎重に判断せられました結果でき上がりましたものさしというものは、おそらく各方面の御納得のいくようなものが生まれてくるのではなかろうか、かようにこれを期待しておるわけであります。従いまして、そのものさしにつきましては、厚生大臣としてはこれを尊重いたしまして、その線に沿って考えてみることが、この調査会設置の趣旨から必要なことであろうと考えるのであります。要は、今申しましたようにどんなものができますか、そこのところを、実はさような方八一によってぜひ検討し、また判断していただきたい、かように思っておる次第であります。
  64. 大石武一

    ○大石委員 それじゃ、くどいようですが、もう一ぺん。ルールというような言葉あるいはものさしという、言葉を使っておるが、それはどういうことを意味するのです。あなたは、どういうものができるかおわかりにならないと言いますが、医療費を算定するものさしがほしいということです。ものさしとかルールというのは、もう少しはっきり言えば、一体どういうことなんですか。
  65. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 現実の診療報酬を適正にしよう、常に適正な状態に置きたいということが私どもの念願でございます。現実の診療報酬を適正にするためには、その算出の何かよりどころとなるようなものがほしい。皆さんの御納得のいくようなものがほしい。そういうものがあれば、診療報酬の問題をめぐってのいろいろな紛議というようなものもかなり回避されるので一はなかろうか、かように考えまして、このものさしといいますか、ルールといいますか、この法案では基準という言葉を使っておりますが、さようなものを求めておるわけであります。厚生省としましては、適正な診療報酬というものを始終得たいという念願のもとに、現実の診療報酬をはじき出す前提となるような何か基準をぜひ作ってほしい、こういうような心、つもりであります。
  66. 井村重雄

    ○井村委員 関連して。私は昨日大臣質問したのですが、今大石委員からの質問に関連して重ねてお尋ね申し上げたいのは、昨日の大臣答弁では、ものさしなり基準を作るけれども、それを直ちに点数規定にかければ自動的に診療報酬が出るのではないのだ、あくまで厚生大臣が自主的に中央医療協議会に諮る、医療報酬の単価を諮問するのだ。しかし、従来の厚生省の一方的なデータによって出した単価は、ややもすれば医療担当者及び保険者双方からその信憑性を疑われて、紛争の種になった。しかるがゆえに、今回は、厚生大臣中央医療協議会医療費の値上げや値下げ、単価をきめる腹づもりを作る前に、何によった方がよいかというふうなデータを、甲、乙、丙という幾つかのデータを持って、腹づもりをする基礎がほしいのだ。その基礎を公平中立なる調査会で作ってもらいたい、こう私は解釈しておるのですが、お間違いないのでございますか。
  67. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は、本日も昨日も、別に変わったことを申し上げておるつもりではないのでございます。要するに、中央医療協議会において適正な診療報酬を作るために、中央医療協議会に御相談するわけでございます。その中央医療協議会に御相談するのについて、厚生省において——もちろん先ほど申しましたように、具体的な診療報酬を決定するものは厚生大臣であります。厚生大臣が具体的な診療報酬を決定するために、中央医療協議会に御相談する。その前に、皆さんの御納得のいくようなものさしに従って、あるいは基準に従って算定していけば、従来のごとき資料をめぐる紛争でありますとか、いろいろな紛議というものがよほど回避されてくるのではなかろうか。また、厚生省といたしましても、ただそのときそのときの思いつきで診療報酬を上げたり下げたりというのではなくて、何かそこによりどころがあれば、お話もしやすいというふうにも考えるわけであります。また、おそらくでき上がりましたものさしというものは、支払者側におかれましても、医療旭当者側におかれましても、御納得のいくようなものを作っていただけるものと私どもは期待するわけであります。またそれ以上のものを作りましても、なかなか実行できないということになりましょうし、そういうわけでございますので、今までの紛議の種になりましたようなものがだいぶ解消されてくるのではなかろうか、そういう意味でこの種のルールというものを作っていただければ、厚生大臣の参考として、具体的な診療報酬を引き上げる問題を御審議願う場合においても非常にやりやすくなってくる、こういうふうに私どもは考えておる次第であります。心持は、きのうもきょうも変わりはないつもりであります。
  68. 大石武一

    ○大石委員 ただいまの大臣のお考え方が正しいと私も思います。当然、厚生大臣責任において医療費の値上げの価格を中央医療協議会に出す、その場合には国民にも、医療担当者にも、みんなできれば納得できるような数字において出す、これは正しいお考えです。そうすると、それを出すというのは、客観的な妥当性なり、その時代に合う公平なものでなければならないわけです。そうすると、そのルールというものは、ちょうどベースボールのルールと同じようになるわけですね。ベースの上をひざから胸まで通ればストライク、それより出れば、高ければボール、曲がって入ればストライク。ベースボールのルールと同ようなものを一般に適用するものなんですね。普遍的なルールなんですか、それとも今言ったような一つの要素を集めてやるというのですか、それとも一つのルールがあって、物価がどのくらい上がれば医療費も何ぼ上がるというルールなんですか、どっちなんですか。
  69. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 学識のある方々によりまして、その慎重な審議の結果によってできましたルールということになりますれば、そう無理なものはできない、かように考えるわけであります。一般国民生活に妥当するような、あるいは診療担当者側あるいは支払者側というような方面に対しても妥当するような、何らかのルールができ上がるものと期待しております。いかなるルールができるか、また、結論を出し得るかということは、調査会の皆さん方の御研究の結果に待つ以外にない、かように考えておる次第であります。
  70. 大石武一

    ○大石委員 次にお尋ねしたいのは、臨時医療報酬調査会設置法案とありますが、この臨時というのは、どういう意味ですか。
  71. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 政府といたしましては、この問題は重要であり、かつ同時に、なるべく早く結論を得て今後の診療報酬の問題に対処したい、かような考えでございますので、一応二年間の調査期間というふうにいたしわけであります。二年間に何とか一つなるべく早く結論を出していただきたい、こういう心持で臨時という名前をつけたわけであります。
  72. 大石武一

    ○大石委員 ただ早くしたいというお考えで臨時という名前をおつけになったというだけなんですね。ほかに意味はないのですね、この臨時というのは。
  73. 高田浩運

    ○高田政府委員 この調査会は、御承知のように医療協と違いまして、いわゆる先ほどから話のありましたルールをきめれば、それで役目が果たせるわけなんです。つまりルールをきめれば、すでにその目的を達成したことになるので、存在の意味がなくなるわけです。そういう意味で臨時の調査会でありますし、その期間は、二年の間には何とかそれだけの仕事をやっていただけるであろうということで、期間を二年ということにしたわけであります。
  74. 大石武一

    ○大石委員 今、初めてわかりました。厚生省の考えておるのは、私がさきに言ったようにあるルールを作ったら、それを、当てはめれば医療費を上げなければならないときに当てはめていけば、いつでも妥当な単価が出るという公式を作るということにあるわけですね。結局、根本はそうなんでしょう。それで任期が終わる。公式を作るだけであれば、あとはそれでいいのだから、やめてしまえばいいのですから、今の答弁からいけば、一つの方式を作って、それを当てはめていけば、いつでも妥当なものが出るという方式を作っていくということなんですね。
  75. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 大石委員の言われる公式という言葉の内容がどういうものであるか、私どもにはよくわからないのでありますが、厚生大臣といたしまして具体的に診療報酬の問題を検討し、また算出いたします場合に、よりどころとなるような何がしかの結論が出れば、それを尊重してその線に沿ってものを考えていくというだけのことでありまして、特別な算出方式というものが出るものやら出ないものやら、私どもはそこまでは何も考えてはおりません。何らかの適当なものができ上がりますれば、これに従ってやっていこうというわけでございます。どういうふうな基準ができるかということが、これからの問題となるわけでございます。一応その基準ができますれば、この調査会といたしましてはその使命終われりということになるわけであります。将来その基準というものが日本の社会に不適当であるというふうな事態が起これば、また別でございます。さしあたりのところは、これでやっていけるというふうなものを出していただければ、一応調査会としての使命は終われりということになるわけでございますから、私どもは、恒久的な調査会を作る必要はないのではないか、かように考えておる次第であります。
  76. 大石武一

    ○大石委員 今厚生省に、御承知のように医療制度調査会というものがございます。厚生大臣は、ここにおいて医療制度のあり方について全面的な検討をして、正しい医療制度を打ち立てて、将来はそれを医療行政の中心にいたしたいというお考えでお進めになっておるようでございますが、その調査会は、私が申しましたような目的で動いているんでしょうか、それとも違う目的でしょうか、ちょっとお伺いいたします。
  77. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 医療制度調査会は、医療制度全般にわたっての調査を、行なう調査会である、私はかように考えております。
  78. 大石武一

    ○大石委員 その点は、調査をするのはわかったが、ただ調査をするだけでは困るのであって、それを今度は医療行政の基準にしようというお考えかと思いますが、そのような御意思でございましょうか。
  79. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 医療制度調査会は、これは諮問機関でございます。厚生大臣が諮問をいたしております以上、その答申についてはこれを尊重してものを考えるのは、これは当然のことだ、私はかように考えておるわけであります。
  80. 大石武一

    ○大石委員 そうすると、現在の医療制度調査会というのは活動して、いろいろと調査中でございます。いずれ、ことしか来年中には結論が出ることに相なっているわけですな。あるいはもっと延びるかもしれませんが、一応そういうわけでしょう。ところが、これは党内の問題でありますが、われわれ自民党の議員医療法の一部改正という法律案を出したいと念願しまして、今現に提案されておりますが、その前にいろいろ党内の機関に諮りましたおりに、厚生大臣はこういう言明をされた。その内容については別に私は反対をしようとは思わないけれども、今このような方向については医療制度調査会において検討中である、いずれ近い将来にその結論が出ますから、そのときにあらためて厚生行政医療行政の一環として政府提案をいたしたいという気持がありますから、この議員提案議員の考え方には賛成いたしかねますという発言をされました。これは間違いありませんな。その発言も、厚生大臣のお考えも私は悪くないと思います。一つの考えでございます。ところが、この医療報酬ということは、医療行政一つの大きな中心でございます。これは当然医療報酬のあり方につきましても、医療制度調査会において検討されてありましょう、されなければならぬ問題なんです。最も大きな問題の一つなんです。当然それは医療制度調査会においても検討されておるわけでございますが、その答申を待たないで、なぜこれを臨時に急にお出しになったのでありますか、その理由をお聞きしたいと思うのであります。
  81. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 医療制度調査会におきましては、医療制度の全般についていろいろ御検討願っておるわけでございますが、この社会保険等の診療報酬の適正化を期するという意味におきましては、厚生省から離れたこの種の特別の機関によりまして調査、審議を願うことが適当であるというふうなことから、別にこの機関を設けてやることにいたしたようなわけでございます。さように御了承願います。
  82. 大石武一

    ○大石委員 そうすると、大胆にお尋ねいたしますが、医療制度調査会というのは、診療報酬ということは除外して研究をお進めになっておるのか、それともこの臨時医療報酬調査会と同じように白紙でまかしてあるのか、それとも調査会に対しては、診療報酬は別個にやるから、お前の方は診療報酬には手をつけないでくれということで注文をつけてあるのか、どちらでありますか。
  83. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 医療制度調査会は、大石さん御承知のように、医療制度万般にわたっての御調査を願うわけであります。厚生省として現在御検討願っております問題につきまして、厚生省の原案を示して、これによって御検討願っているというふうに私は承知いたしておりません。白紙の状態において御検討願っておるものと考えております。この臨時医療報酬調査会は、これは総理府に置きまして、厚生省を離れたところで、内閣総理大臣の諮問機関としてこの調査をしてもらうということになっておるわけであります。おのずから別個の機関ということに相なるわけであります。医療制度調査会においては、診療報酬の問題には触れてはならないということはもちろんないと思いますけれども、二つの機関がありまして、しかも医療制度というふうな建前から検討いたしまするならば、診療報酬の問題は、私の考えでは、医療制度調査会の方では、これは厚生大臣の諮問機関でございますので、幾らでも連絡できる問題でございます。適宜あんばいすることによって矛盾は生じないと考えております。
  84. 大石武一

    ○大石委員 そのような御答弁をされますと、さっき社会党の滝井委員要求されたように、総理大臣を、主管大臣をここに呼ばなければ検討できないということになるんです。そうなりますよ。法案を見ると、主管大臣総理大臣なんですから。私は、総理大臣はすべて形だけのことであって、実態は厚生大臣が最高の責任者になる、あなたの御責任だ、こういう考えのもとに質問しているんです。ところが、医療制度調査会は私の所管、厚生省の調査会であるけれども、これは総理大臣の調査会であると申しますと、どうしても総理大臣がここへ出てこなければ内容がわからないということになるわけなんです。そのような御答弁では困ると思うのですが、これはこのくらいにしておきます。  しからば、この医療報酬調査会の主管大臣総理大臣あるいは厚生大臣である。そのような場合に、総理大臣厚生大臣の診療報酬に関する連絡とか扱い方について、どういうことになりますか、それをお聞きしたいのです。
  85. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 政府部内の問題でございますので、総理大臣と私との間において、矛盾やそごを来たすことのないようにお互いに気をつけて参りたいと思います。
  86. 大石武一

    ○大石委員 固まりましたが、次にお聞きしたいのは、この第三条で、委員は五人をもって組織するということなんですね。その五人の委員を選ぶにあたっては、どのような方面から、どのような人を選ふという御腹案がございましょうか。
  87. 高田浩運

    ○高田政府委員 調査会の任務に照らしまして、それにふさわしい見識の人を委員として選ぶということになると思いますが、現在のところ、医師でありますとか、あるいは支払い団体でありますとか、そういった直接の利害関係の方々は、別個の立場で御協力をいただくという意味において、委員という範囲としては考えていないわけでございます。これらの問題は、具体的な人選の問題でございますので、ここでこういう範囲ということを申し上げるには時期尚早だと思います。
  88. 大石武一

    ○大石委員 先ほど大臣は、われわれは白紙である、ルールを作ってほしいという希望を持っておる、しかし、どのようなルールができるか自分らにはわからない、できるだけ公平妥当な、みんなが賛成されるようなルールを作りたいと思って、その五人の委員にお願いするのだというお話なんですな。そうすると、その五人の委員というのは、重大な責任を持つことになるわけですね。そうでしょう。ほんとうに資格のある者が、能力のある者がその委員となって正しいルールを作り出すという場合に、初めて厚生大臣なり総理大臣の希望が達成されるわけでありまして、この委員人選が誤ったならば、重大な厚生行政の上にそごを来たすことになります。従って、どのような基準で、どのような方向で委員が選ばれるかということについては、重大な関心を持たなければなりません。そういう意味におきまして、当然これは学識経験のある者から総理大臣が任命するのでございますが、政府部内の問題でございまして、十分に厚生大臣総理大臣と御連絡があるという話でございますから、今総理大臣をここにお呼びしなくても、厚生大臣の腹案がおありだと思いますが、そのような資格のある者があるのかないのか、どのような方向からお選びになるか、その基準をお聞きしたいと思います。
  89. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この調査会の設置の趣旨、目的に最も適合した方を選びたいということになるわけでございます。直接診療報酬に利害関係を持つ側の人は、劈頭に申し上げましたように別の角度から御協力願う、また十分意見も聞くでしょう、また御協力も願うというふうに、かように考えておる次第でございます。委員五人というものにつきましては、さような立場を離れて、公正中立な立場にあるとだれしも認められるような、しかも学問的に権威のある方にお願い申し上げたい、かように考えておる次第でございます。
  90. 大石武一

    ○大石委員 その公正中立はけっこうでございますが、かりにこの法律国会通りますと、直ちにその人選に着手しなければならぬ。委員がなければ発足できませんから、第一番に着手することは人選なんです。従って、今のうちから、この国会は五月七日でおしまいでありますから、当然五月七日を過ぎたならば、直ちに、法律が通れば委員を人選しなければならぬのであります。そうすると、なるほど公正妥当な、公平な、だれが見ても一正しい人を選ばなければならぬ。それはどのような一それじゃだれが相談をして選ぶのか、何かそのようなことはありませんか。総理大臣はそれほどの知識がおありだとは思いません。厚生大臣もそれほどの知識がおありだとは思いませんが、あるいは厚生省の幹部に相談して選ぶのか、さらにもっと広い方面から人を集めて、委員を選ぶための委員を考えるのか、何か腹案がございますか。
  91. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 委員の人選のやり方の問題で、ございます。これは各種調査会、審議会等において政府がお願いをする、いつものやり方と同じようなやり方ということに相なろうと思います。総理大臣の御所管のことでありますけれども、もちろん関係の深い厚生大臣には御相談のあるものと私は考えております。またこちらからも、総理の権限を侵すわけには参りませんけれども、意見を申し上げてもよろしい問題だと思います。これは政府部内におきまして十分検討いたしまして、政府責任において御委嘱申し上げたい、かように考えております。
  92. 大石武一

    ○大石委員 それは、結論はおっしゃる通りですが、先ほどのお話では、直接利害の関係のない者を選ぶというお話でしたね。ところが、実際においては、今、日本は国民皆保険でありますから、面接利害の関係のない中立の人間は一人もございません。いいですか。ですから、言葉のあやではありません。ありませんから、もう少し狭くくくって、あなたのおっしゃるのは、日本医師会に所属している医系の者とかあるいは健保連その他保険団体に関係している保険団体の代表者、そういう者は入れない、むしろ普通の大学の教授とか学者から選ぶというお考えだろうと思いますが、大体そのような方向でお考えですか。
  93. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 大体さような考え方でおります。      ————◇—————
  94. 中野四郎

    中野委員長 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りをいたします。  内閣提出臨時医療報酬調査会設置法案について、来たる四月二十五日午前中参考人の意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお、参考人の選定につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。      ————◇—————
  97. 中野四郎

    中野委員長 次に、連合審査会開会の件についてお諮りをいたします。  本委員会において審査中の内閣提出ばい煙排出規制等に関する法律案について、他の委員会から連合審査会開会の申し出がありました場合には、その委員会と連合審査会を開会することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十六分散会