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灘尾国務大臣 お答えを申し上げます。
昨年の八月一日を期して
保険医総辞退というような
紛争がございましたことは、御
承知の
通りでございます。とれにつきましては、さような
事態を回避したいということでいろいろ
努力をいたしたわけでございますが、三十六年七月三十一日に、今お尋ねになりました自由民主党の政務
調査会長並びに
日本医師会長、歯科
医師会長及び私の名前を連ねました合意書というものができたのでございます。この道行きにつきましてはいろいろございましたが、当時
厚生大臣と
医師会との間で直接いろいろ
お話し合いをするというような情勢でなかったわけでございますので、自由民主党の方でいろいろあっせんをし、奔走をせられました結果、最後の妥結点としてこの合意書ができたのでございます。その
内容は、
多分お手元にあるのではないかと私は思いますが、念のために申し上げますれば、「
医療問題について
政府、自民党及び
日本医師、歯科医師両会は左記の
通り合意に達したのですみやかにこの実現を期する。」記といたしまして、「
医療保険制度の抜本的改正。」それから「医学研究と教育の向上と
国民福祉の結合。」それから「医師と慰者の人間関係に基づく自由の確保。」「自由
経済社会における
診療報酬制度の確立。」この四つの項目について合意に達した。なお、右によって八月一日に予定の
保険医総辞退は行なわれない。それから
厚生大臣の
設置する
懇談会に両
医師会代表は参加する。これが七月三十一日付をもちましてできました合意書でございまして、との結果、八月一日に予定せられておりました
保険医総辞退という
事態が起こらなくて済んだ、こういう
経過になっておるわけでございます。この合意書に対しまして、私も名前を連ねておるのであります。私は、それを拝見いたしました際に、ようやくこの四つの項目について合意するということで
保険医総辞退という
事態が回避されるという
お話でございましたので、私もこれを了承いたしましたようなわけでございます。かつて
委員会においても御質問もあったと思うのでございますけれ
ども、いずれもみな重要な項目でございます。われわれといたしまして、まじめに検討すべき問題であると思うのでございます。ただ、同時に、具体的には何にも書かれておるわけではございません。要するに、
医療保険制度を抜本的改正をしようじゃないか、あるいはまた、自由
経済社会における
診療報酬制度の確立をはかろうじゃないか、こういう御趣旨のものと私は
了解いたしたのでございます。従って、掲げられております言葉
通りに受け取って、そうして私
どもこれを了承しようという
経過で、私も名前を連ねるように立ち至りましたようなわけでございます。
それから、いま
一つのお尋ねの
懇談会の
了解事項というものでございますが、幸いにいたしまして、
保険医総辞退というような
事態が回避せられることになりました。私、就任以来考えておったことでございますが、いわゆる
国民皆
保険、こういうような
事態になりました場合に、それぞれの立場の者がいろいろ意見がある、あるいは利害が対立するということはもちろんあり得ることでありますけれ
ども、
お互いに
協力して、平和なうちにこの
国民皆
保険の
内容、実質を
改善し、向上させていかなければならぬ、
お互いに協調していかなければならぬ、こういう
心持が基本的に必要じゃないか、こういう考えもございましたので、この
懇談会ということを頭に描いておったわけでございますが、その
懇談会を、
事態が終結いたしました後に開きまして、数回にわたって会合いたしたのでございます。これは
支払者側並びに
診療担当者側大体同数が出席せられまして、それに私が加わりまして、いわばひざを交えて
お話をしたというような形のものでございます。要するに、懇談をいたしたということでございますが、その懇談の結果といたしまして、一応の区切りをつけたときに、
懇談会了解事項というものを作りまして、発表もいたしましたようなわけでございます。この
内容につきましては、一々申し上げることもいかがかと思いますから、
多分お手元にあると存じますので、それで御了承いただきたいと思うのでございます。私としましては、この
懇談会において、
支払者側もまた
診療担当者側も
了解せられたことでございますので、これを逐次
実行可能なものから取り上げていって進めて参りたい、こういうような
心持でおりましたようなわけでございますが、その後に至りまして、ややできかかっておりました協調的なムードというものがこわれて参りまして、現在、非常にむずかしい
状態にあるわけでございます。これにつきましては、次の問題についてのお答えによって御了承をいただきたいと思うのでございます。
厚生省といたしましては、今申しましたように、この
懇談会で
了解せられましたような事項の
方向に向かって逐次進んで参りたいと考えておりましたが、同時に、前の
通常国会、すなわち古井前厚生相の当時に、今回御
審議を願っております
臨時医療報酬調査会法案、並びに前の
臨時国会で御
審議を願いました
医療協議会に関する
法律案、この
二つを前の
通常国会で御提案したわけでございましたが、不幸にしてこれが成立しないままになっておりました。
臨時国会に臨むにあたりまして、私は、
社会保障制度審議会の
答申によりましても、この両者を含めて、適正な
医療報酬を求める
方策として
答申をいただいておりますので、本来、両方一緒に出すのが適当であったかと思うのでございますけれ
ども、当時の事情といたしまして、この
臨時医療報酬調査会法案を
提出する運びにまでは至らなかったのでございます。また、会期もきわめて短いことでございましたので、結局、片一方を思い切りまして、それはあと回しということで、
医療協議会に関する
法案を
提出いたしましたわけであります。その
医療協議会の
法案が、
社会保険審議会あるいは
社会保障制度審議会等の
答申内容と若干食い違っておりましたことは、井堀さんも御
承知の
通りであります。
答申通りにやらなかったということについて、実はかなり手痛いおしかりをこうむった。同時にまた、
答申通りに
医療報酬調査会の
法案を出さなかったということでも、だいぶ手ひどい攻撃を受けたわけでございます。また、国会におかれましても、なぜ一体
医療報酬調査会法案を今回出さなかったのか、こういうふうな趣旨の御
質疑もいただいたわけであります。そういう
経過をたどりまして、前の
臨時国会が終わりましたわけでございますが、この
経過を通じまして、
支払者側の諸君が非常な不満を抱かれたわけでございます。
中央医療協議会の重要な要素が修正せられておるではないか、なぜ一体
諮問機関の
答申通りにやらなかったのか、こういう問題、同時に、
医療報酬調査会法案を同時に出さなかったという、この御不満というものが非常に強くなったわけでございます。さようなことから、従来協調的なムードで進みかけておったのでございますけれ
ども、残念ながら、そのムードがこわれてしまったというふうなことで、私としましては、まことに残念に存じ、また遺憾にも存じておる次第であります。おそまきながら、今回の国会におきまして
医療報酬調査会法案も
提出いたしまして、昨年の
通常国会において両
法案を出したような形に持って参りたいというので、今回御提案を申し上げましたようなわけでございます。この中央
医療協がいまだに
組織せられないということは、何と申しましても、
政府といたしましても皆さん方に申しわけないととろであります。できるだけ早く
組織いたしたいと存じておりますけれ
ども、今もって問題が
解決するに至らない。非常に残念に存じております。できるだけ私
どもとしましても手を尽くしまして、また、多少時間がかかりましてもどんなにいたしましても、これは最初に申しましたように、いろいろ現在の形の上においては
対立抗争みたいな形もございますけれ
ども、そうあってはならない。どこまでもやはり
お互いが協調的な
気持でやっていくという姿に持って参らなければならぬと存じますので、かれこれと苦慮いたしておるような
状況でございます。
これが現在までの
経過でございまして、私は、地方
医療協はどうやら出発することができましたけれ
ども、いまだに中央
医療協を出発させることができないということにつきましては、非常に遺憾に存じ、国会の
皆様方に対しましても相済まない次第と存じておりまして、今後ともに
努力を継続いたしまして、何とか発足するようにいたしたいものと念願いたしておる次第でございます。