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1962-04-18 第40回国会 衆議院 社会労働委員会 第30号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十八日(水曜日)    午前十一時四十八分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君    理事 小沢 辰男君 理事 齋藤 邦吉君    理事 藤本 捨助君 理事 柳谷清三郎君    理事 小林  進君 理事 五島 虎雄君    理事 八木 一男君       安藤  覺君    赤澤 正道君       井村 重雄君    池田 清志君       伊藤宗一郎君    浦野 幸男君       大石 武一君    大橋 武夫君       海部 俊樹君    藏内 修治君       倉石 忠雄君    佐伯 宗義君       始関 伊平君    白浜 仁吉君       壽原 正一君    中山 マサ君       永山 忠則君    楢  橋渡君       原田  憲君    松浦周太郎君       米田 吉盛君    渡邊 良夫君       淺沼 享子君    河野  正君       島本 虎三君    田邊  誠君       滝井 義高君    吉村 吉雄君       井堀 繁男君    本島百合子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         厚生政務次官  森田重次郎君         厚生事務官         (大臣官房長) 山本 正淑君         厚生事務官         (保険局長)  高田 浩運君  委員外出席者         厚生事務官         (保険局次長) 熊崎 正夫君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 四月十八日  委員加藤鐐五郎君、佐伯宗義君、八田貞義君、  早川崇君、松山千惠子君、米田吉盛君及び渡邊  良夫辞任につき、その補欠として赤澤正道君、  始関伊平君、壽原正一君、原田憲君、海部俊樹  君、白浜仁吉君及び池田清志君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員赤澤正道君、池田清志君、海部俊樹君、始  関伊平君、白浜仁吉君、壽原正一君及び原田憲  君辞任につき、その補欠として加藤鐐五郎君、  渡邊良夫君、松山千惠子君、佐伯宗義君、米田  吉盛君、八田貞義君及び早川崇君が議長指名  で委員に選任された。     ————————————— 四月十八日  医療法の一部を改正する法律案藤本捨助君外  六名提出衆法第四三号)は本委員会に付託さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  臨時医療報酬調査会設置法案内閣提出第一〇  一号)  ばい煙の排出規制等に関する法律案内閣提  出第一四二号)  生活保護法の一部を改正する法律案八木一男  君外十一名提出衆法第九号)  医療法の一部を改正する法律案滝井義高君外  十一名提出衆法第二八号)      ————◇—————
  2. 中野委員長(中野四郎)

    中野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出臨時医療報酬調査会設置法案、はい焼の排出規制等に関する法律案八木一男君外十一名提出生活保護法の一部を改正する法律案及び滝井義高君外十一名提出医療法の一部を改正する法律案、以上四案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。井村重雄君。
  3. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 私は、臨時医療報酬調査会の問題について、軒下質疑を行ないたいと存じます。  この調査会法案は、すでに前厚生大臣古井厚生大臣時代提出された案件でありますが、これが提案されるに至った動機等についてお伺いをいたしたいと存じます。
  4. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 ただいまお尋ねの中にもございましたが、この法案は、昨年の通常国会において政府側から提案いたしたものでございます。この法案を提案するに至りました経過でございますが、井村委員も御承知通りに、従来医療報酬の問題をめぐりまして、診療報酬の問題は中央医療協議会厚生大臣諮問することになっておるわけでございます。中央医療協議会状況が、常に正常を欠くような事態が継続して参ったわけでございます。昨年古井厚生大臣時代に、この診療報酬の問題をめぐって医療協議会が常に正常を欠いておる、従って、適正な医療報酬を随時定めていくということにも政府としては困難を感じておるような事態でございましたので、社会保障制度審議会に対しまして適正な診療報酬を求めるための方策を問うたわけでございます。政府といたしましては、白紙の状態においてその方策を尋ねたわけでございます。  これに対しまして社会保障制度審議会の方におかれましては、一つには、診療報酬を算定する、適正な診療報酬を求めるための基準ルールをまずきめる必要があるのではないか、そしてルールに従って診療報酬をきめるのがよろしいのではないか、同時にまた、医療協議会の方につきましてはその構成を変えていく、そしていわゆる三者構成と申しますか、支払者側診療担当者側並びに公益側、この三者をもって構成する医療協議会を作ったらよろしいのではないか、大体この二つのことを含んだ答申があったわけでございます。これに従いまして古井厚生大臣時代要綱を定めまして、さらに社会保障制度審議会要綱諮問し、その答申を得てさきの通常国会で提案をいたしましたところ、不幸にもこの二つとも成立するに至らなかった経過があるわけでございます。  私の代になりましてから、先般の臨時国会におきまして医療協議会の方の改組法案の御審議をお願いいたしまして、これは修正をせられまして御可決をいただいたわけでございます。今回、続いて当時の答申の中に含まれておりましたところのいま一つの、ルールをきめる調査会を御審議をお願いしたい、かように存じまして、臨時医療報酬調査会法案提出いたしましたようなわけでございます。  要は、適正な診療報酬を求めると同時に、医療協議会運営を円滑ならしめる、こういうような趣意から出発いたしましてこの法案ができておりますようなわけでございます。御了承いただきたいと存じます。
  5. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 従来は、診療報酬中央医療協議会諮問をいたして、その協議の場において決定することになっておった。ところが、昨年は医療費値上げの問題で支払い側医療担当側の間が容易にまとまらないというので、社会保障制度審議会にどうしたらいいかという答申を求めた。そこで新たなる構想中央医療協議会というものを作ったらどうかという答申もあった。と同時に、並行的にこの調査会答申が出てきた。しかしこれは、あくまで私としては両者納得の上でいくべきものであって、従来の慣行通り、早く法律が決定された中央医療協議会というものをあくまで成立せしめて、これが従来通りに、新たな構想によって成り立った医療協議会でどうしてもきまらないという場合において、次の段階に、この調査会に持ち込むというところの親切さがあってよかったのじゃないか。中央医療協議会がいまだに成立をしない、一回も協議もしない、諮問もしない、そのまま捨て置いて、いわゆる経済行為である診療報酬規定調査会の設立を一方的に急ぐということは、あらゆる面において、さらに両方の紛争を将来に持ち越すものでないかと心配されるのでありますが、いかがですか。
  6. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 中央医療協議会がいまだに組織ができない、この事実に対しましては、私はまことに恐縮いたしております。きわめて残念にも存じておる次第であります。できるだけ早くその組織を見たいものと存じておるようなわけでございます。  ただ、この臨時医療報酬調査会の問題につきましては、すでに皆様承知通りに、前回の臨時国会におきまして中央医療協議会法だけを政府が提案いたしまして、その方が済んだというこの形につきまして、私、実は非常なおしかりを各方面から受けたようなわけでございます。もともと社会保障制度審議会答申は、この両者あわせての答申でございました。まずもって診療報酬の算定の基準となるようなものを一つこしらえる、そしてそれに基づいて、具体的の診療報酬については厚生大臣医療協議会諮問する、こういう形であるべきだ、こういうふうな答弁ができて、その通りであります。その点がございましたので、一面におきましては中央医療協議会がいまだに組織されないということについては、私としましても非常に責任を感じておる次第でございます。同心に、この問題もあわせてこの際解決しておきたい。そして医療費問題について正常な状態を何とか招致いたしたい、かようなつもりで考えておるような次第でございます。
  7. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 中央医療協議会が成立しないということについて、大臣は非常に責任を感ぜられ、憂慮しておられることは、数々の委員の質問の際の答弁了解をいたしておりますが、私の心配するのは、一方が出れば一方がへこむ、との調査会にも——私は必ずしも医師会を代弁するものではございません、公正な立場で私は御質疑申し上げるのでありますけれども、とにかく中央医療協議会ができた、医師会了解してとれに参加した、保険者団体がこれに加わらない。この調査会については医師会がまた反対をしている、保険者側がこれを条件にして支持をしておる。こういうふうなシーソー・ゲームを繰り返しておっては、私は紛争解決しないと言うのです。たといこの調査会法議会を通過いたしましても、これの施行上非常なる混乱を生じ、また争いが深刻化してくる、私は憂慮の上から申し上げるのでありまして、こういう意味合いにおきまして、この調査会を作る前提というものが整備されておらないということは、私は非常に残念だと思うのであります。社会保障制度審議会答申もさることながら、昨年の紛争がありましたときに、ここにありまする医療懇議会了解事項でありますか、これは実によくできておるのであります。この筋書き実行に対して、厚生当局がある程度忠実に、この懇談会了解事項を一歩でも二歩でも前進をして忠実にこれをやってくれるならば、おそらく医師会といえども了解をしておるであろうと思うのであります。今日いろいろな社会保険診療上における混乱の問題、いわゆる事務簡素化社会保険統合等の問題がいろいろ論議され、了解事項として出されておりますけれども、これらの前提条件に対する実行意欲がごうも見られない。ただここに、診療報酬規定する調査会を急いでいこうということについての医師会側の、医療組当者側憂慮ということも、私は了解できると思うのでありますが、これに対するお考えはいかがでしょう。
  8. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 昨年の紛争のあとを受けまして、医療懇談会を催しましたわけでございます。その結果は、各方面の御協力をいただきまして、従来とかく対立抗争の形でありましたものが、幾らか協調的な方向に向かってきたような心持がいたしまして、その点は非常にうれしく思っておるのであります。そしてその懇談会ででき上がりましたいわゆる了解事項というものは、私としましては、もちろんできるものからこれを実施していくという心持に何の変わりもございません。意欲がないじゃないかという仰せでございますが、私はやりたくてしょうがないのであります。しかしながら、その後のいわゆる診療報酬緊急是正、それから次の臨時国会、こういう経過をたどりまして、残念ながらこの協調的なムードというものが破壊されてしまったのであります。現在ではさような状態でございますので、私の最も関心事としておりますところの協調してやっていただく場を作ることに実は一番腐心をいたしておるわけで、その過程にあるというふうに私は考える次第でございます。  何さまそういう状態でございますので、お互いに相談し合って進めていかなければならぬ事柄が進められないという、まことに私としましては残念きわまる事態に追い込まれておるような状況でございますので、何かそのじゃまになるものを一つ一つ解決いたしまして、お互いに協調して、政府も、支払者側も、診療担当者側も、いろいろ意見の相違はございましょうけれども日本社会保障医療保障のために協力するという心持を持って、気持よく相談し合うという状態を、何とかでかしたいという気持のもとにやっておるわけであります。何さま現状ごらん通りでありまして、それをやろうにもやれないような事態でございますので、時間がかかりますけれども、私といたしましてはできるだけの努力をしまして、そういうふうな空気、そういうふうな場面ができ上がるように最大の努力を払って参りたいと思っておるようなわけであります。
  9. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 お気持はよくわかるのでありますが、この医療懇談会了解事項には、大体医療内容改善行政機構の整備、診療報酬の適正、いろいろな問題が掲げられておるのであります。私も残念に思うことは、こうした問題の解決を急ぐことに一歩前進をして、しかる後に報酬調査会というふうなものが発足すればよかったのではないか、この問題に少しも手を触れないで、いきなりこの調査会法を急ぐということは、やはり順序を誤ったのではないかというふうな感じを受けてならないわけであります。  そこでお尋ねいたします。これは将来の日本医療制度に重要な問題でありますが、公的医療機関私的医療機関と平和共存せしめるという考え方なのか、結局私的医療機関の自然的な消滅を待ち、国家医療にしようという考え方なのか、ここに筋金を一本はっきりと打ち出してもらわないと、私はこの問題は容易に解決すべき問題ではないと思うのです。今日自由主義経済のもとにおいて、英国のロイアル・コミッティにひとしいような強力な機関を設けて、診療報酬を一定のワク内にはめて押しつけるということは自由職業にあり得ることかどうか、もし今日、自由職業においてその報酬国家が権力的に、わずか五人や六人の委員会で決定したという例があるならば、日本の例あるいは諸外国の例をお伺いいたしたいと思います。
  10. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 私は、現在、私的医療機関をつぶして公的医療機関にかえるというような考え方は持っておりません。ただ、いわゆる国民医療保険の中におきまして、公的な施設もございましょうし、私的な施設もございましょうが、それぞれそのところを得て、和調和しながらやっていくことが望ましい姿ではないかと思うのであります。先ほどお話に出ました医療懇談会におきましても、開業、医制度長所は十分発揮するようにしようじゃないかというような話も出ておりましたことは、御承知通りであります。さような意味でございますので、私的な医療施設をこの際公的なものにかえてしまうというような気持は毛頭ございません。問題は、それぞれの長所を発揮しながら、相共存していくというところがよろしい姿ではないかというように考えておるようなわけでございます。ただ、今お話しになりました、いろいろな問題が片づいてからこの報酬調査会をやったらどうかというお気持もわからぬではございませんが、現在の健康保険等診療報酬をきめるのは、法律厚生大臣ということになっておるわけでございます。その厚生大臣診療報酬をきめるのにつきまして、いろいろいざこざを生じておる。診療担当者側からも、もちろんあるわけであります。また支払者側から言えば、それぞれ経済にも関係してくる問題でございます。いろいろ御議論があるわけでございますが、一面において支払者側の希望いたしておりますところは何か、もっとすっきりした形で診療報酬をやってほしい、もっと合理的な姿できめてほしい、お互いに力で奪い合うようなことはしたくないというようなお気持が、多分にあるかのようにも私は思うのであります。そういうふうな点から、厚生大臣が具体的に診療報酬をきめます際に、もちろん具体的な場合には医療協議会にかけるわけでございますが、その前に厚生大臣が案を策定いたします場合に、何かそこに、みなの納得のいくようなルールに従って作ってくれればよろしいのではないか。これは支払者側から申せば、さような希望を多分に持っていらっしゃるというように私は思いますので、問題の正常化をはかって参りますためには、やはりこの問題もこの際片づけておいた方が一歩前進するというような考え方をいたしておるわけであります。
  11. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 社会保険運営をすっきりした姿にする、社会保険単価決定厚生大臣がこれを告示する、そういう規定でありまして、従来もさような慣行になっておりますが、そのつどいろいろな不愉快な問題が派生してくるから、すっきりした姿でこの調査会を作って、それを参考にして厚生大臣がこれをやるのだという筋書きはよくわかります。けれども、いわゆる厚生行政として経済行為が先ばしって、何かしら医療報酬というものを規制することに急ぐのあまり、本来の厚生行政の姿がゆがめられておりはせぬか。たとえば、私の申し上げたいことは、医療懇談会内容を繰り返すのではありませんけれども医療機関整理統合にいたしましても、ほとんど今日無計画な状態である。いわゆる公的医療機関というものが、過剰に保護されておるという事実をどうごらんになりますか。あちらこちらに、いわゆる二重投資のごとく、デラックスな診療機関が建って、あたかも一流のホテルのような観を呈しておる反面、今日まだ無医村解消しない。もしも公的医療機関に対する年金事業団その他のいわゆる投資を、ほんとう無医村解消する気持であるならば、これらの何分の一かを国家投資するならば、私は今日早急に無医村解消できると思うのです。国民保険というものも、単に組織を急ぐあまりに、その内容はちっとも充実していない、こういうことに熱意がないのじゃないかという問題が一つであります。また去年、一昨年あたりから出ておる病院ストに対しても、単にこれは医者というものは労務管理が不手ぎわだという、こういうように  一方的に指摘するだけで、これらの解決に対して小さな指導課を設けたりするだけであって、一体この原因がどこに起きるのか、医者自体がやっているのか、あるいは病院診療所看護要員待遇要員不足等にくる問題がある。今度医療制度調査会から、看護要員の確保を怠っているじゃないか、養成機関が足りぬじゃないかというふうな答申も出ておるわけです。これに対して何らの手を打ってないのです。私は昨年通常国会で、看護婦が足りないのだと指摘しましたが、現在各種病院公的医療機関であると私的医療機関であるとを問わず、ほんとう完全看護病院において、四ベッド一人、六ベッド一人と医療法に定められた要員が確保されておるかどうか、また、これらの待遇改善あるいはベースアップ等に対して、一般の企業のように景気がよいから需要増によってこれをまかなうとか、ベース・アップできる余地がありましょうか。百ベッド病院幾ら満床にいたしましても、百ベッドの収入よりないのでございます。これらの病院病院スト解消に対しても、全く今のところ無策じゃございませんか。また、いろいろいわれておるところの公的医療機関あるいは各保険者団体病院では、一〇〇%、一二〇%の医療サービスが行なわれておる。しかし今日、国民保険診療はどういう状況でございますか。国民保険というものは、単にわれわれが、皆様方組織だけを完備するということじゃございません。国民にひとしく平等なる医療サービスするのが、私はほんとうのヘルス・サービスではないかと思うのであります。こういう点でいろいろ今日まで叫ばれておる地域差解消甲乙一本化、これらについて、保険局長作業が進められておりますか。ちっともこれらの問題に現実的な作業が進められておらないのであります。そうしていわゆる経済行為のみにきゅうきゅうとしておるということは、私はある一部において、厚生行政保険者団体代弁者だ、代弁行為をやっているのだと、これは誤解されてもやむを得ない点があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  12. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 ただいま井村委員からお述べになりましたことは、いずれも私は重大な問題だと存じております。病院設置の問題につきましても、常に皆さんの方でも問題になさっていらっしゃる。政府といたしましてもこれを問題といたしまして、医療制度調査会等諮問いたしましたりしまして、何かそこに病院適正配置でありますとか、あるいは過剰な二重投資三重投資というふうなことのないように、そして同時に、また今おっしゃいましたように、無医地区というようなものに対する対策についても検討いたしておるつもりであります。ことに国民保険の今日、お話しになりましたところは、現在の欠陥を御指摘になっております。私どももその点につきましては同じように考えておりますので、この点につきましては十分検討して参りたい。  それからまた、病院ストの問題あるいは病院管理の問題、こういうような問題につきましてもなかなかむずかしい問題でございます。政府は、この問題につきましても熱心に検討をいたしておる。また、病院指導等といたしましても、従来よりも進んでやって参りたい、こういうつもりでやっておるわけでございます。地域差の問題あるいは甲乙二本の問題というような問題も、確かに重要な問題でございます。この問題につきましては、先ほどお述べになりました昨年の懇談会の際にも話に出ておる問題でございます。私ども考え方方向は、御承知をいただいておるであろうと思うのであります。しかし、こういうふうな問題を具体的に解決いたしますためには、現在のようにいわゆる国民保険、こういう姿になっておりますというと、診療者側担当者側の御協力もいただかなければならぬし、同時にまた、経費を負担する側の意向というものも十分そこに反映しなければ、さような問題をひざ突き合わせてお互いに穏やかに話し合いが進められない。そこに私は一番の悩みがあると思うのであります。その悩み解消いたしますために、先ほど来申しておりますように努力しておるのでありますが、なかなか思うように参りませんので、実は非常に残念に存じております。しかしこの努力は、今後の日本社会保障制度、特に医療保障制度完備充実をはかって参りますためには、どうしてもやっていかなければならぬ、こういうようなつもりでおるわけであります。
  13. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 もちろん医療行為は対象があって行なわれるものでありまして、受け取る側と支払う側においても権利を主張することは、これは当然であります。しかしながら、今日の保険財政を見ますと、あるところは非常に豊かな保険財源を持っておる、あるところは非常な低所得の犠牲を払っておる。今日中央医療協議会においても、いろいろ強力に権利を主張して自己の力を温存しようというのは、いわゆる財源豊かな保険者団体である。そういうところは私ども非常に考えなければならぬ。もちろん医療は、単なる従来の保険という観念を捨てて、社会保障制度であるから、いろいろ国家財源も負担しなければならぬけれども、いわゆる本来の理念から言えば、相互扶助の精神によって、豊かな財源のある団体と非常に乏しい財源団体お互いにプールをやって、相互扶助によって完全なる、ひとしい医療を与えるのが私は当然だと思うのです。ところが、今日の医療機関配置その他を見ますと・非常に国家の恩恵を受けておる公的医療機関が、ますます国家の手厚い保護を受けている。そうしてささやかな私的診療機関が、これが間接的に迫害をされていくというこの現状において、お互いに誤解と相剋摩擦が起きることは当然であるから、その根源を刈り取らなければ、私はどんな調査会諮問機関を設けても円滑にいかないと思うのでありますが、一体保険局では、数年来から呼ばれておるこの社会保険統合の問題、いわゆる完全治療医療内容向上等に関する格差是正問題等について、ほんとうに取り組んでおられたのかどうか、この熟慮がない以上は、幾ら調査会を作ってもうまくいかないと思うのですが、いかがですか。やっておられる事実がありますか。
  14. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 お話のように、各種保険総合調整の問題は非常に大切な、重要な問題に今ございます。同時にまた、反面において非常にむずかしい点を含んでおるわけであります。それで、この点については、やはり重要な問題として慎重に考えなければならない面がありますので、私ども事務的に検討いたしますと同町に、社会保障制度審議会に二年前から検討を続けていただいておる次第でございます。反面におきまして、これが総合調整につきましては、制度上の問題もありますけれども、やはり現実的な問題としては、これを一緒にして平均化するということでは、これはまた問題でございますので、やはり全体としてよくするという方向にそのことを考えなければならぬと思いますし、その意味において、日雇い健康保険でありますとか、あるいは国民健康保険でありますとか、そういった、どちらかといえば給付の状況あるいは財政の状況が低い状態にある保険にてこ入れをしまして、それを底上げをしていくというのがやはり現実的な当面の政策目標になるのではないか。こういうような観点に基づいて、いろいろ国会でも御鞭撻をいただき、あるいは御審議をいただいて、その方の推進をはかっていく。一方、全体の総合調整の問題については、また非常にむずかしい問題を含んでおりますので、いろいろ検討しておる、こういうような次第でございます。
  15. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 それでは、ただいまの保険局長のお答えは、各種社会保険統合する意思はないという表明と解してよろしいですか。
  16. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 井村さんの御質問の統合というお言葉の意味がよくわからないのでございますが、いずれにいたしましても、今日医療保険をとらえて考えました場合に、各種医療保険が行なわれておる。また、その内容等を見ておりましても、必ずしも同一ではない。われわれの考えといたしましては、先ほどお話もございましたように、国民ひとしく医療保障を受けるというようなところまで持って参りたい、また新しい技術、新しい医学あるいは薬学、こういうふうなものがこの医療保障の中に取り入れられなければならぬという考えのもとにものを考えておるわけでございます。それをいたすにいたしましても、現実問題といたしましては、なかなか容易なことではないと存じます。しかし、今の医療保険制度の総合調整というような言葉を、私ども現在といたしましては使っておりますが、その総合調整という道はないかというのでわれわれも検討し、同時にまた、社会保障制度審議会等にその総合調整について御審議をわずらわしておるわけでございます。方向といたしましては、私どもは、やはり各種保険間のアンバランスをなくする、そしてまた、全国的に適正な医療機関配置によりまして、新しい医学、新しい薬学というようなものがこれに取り入れられていくというような、つまり内容の向上をはかっていく、また給付のアンバランスを是正していく、こういうふうな考え方のもとにやっておるわけであります。問題が問題でありますだけに、早急に結論を得るということはなかなか困難だと思いますが、先ほど局長も申しましたように、現在当面の問題として考えておるものは、低いところをまず一つ上げていく、地ならしをやっていく、こういうようなつもりで問題と取り組んでおるようなわけであります。
  17. 中野委員長(中野四郎)

    中野委員長 この際井村君に申し上げますが、昼食の関係もありますから、この際一時三十分まで休憩して、再開直後から御質疑を願いたいと思います。  この際、一時三十分まで暫時休憩をいたします。    午後零時二十五分休憩      ————◇—————    午後二時五十二分開議
  18. 中野委員長(中野四郎)

    中野委員長 休憩前に引き紡ぎ会議を開きます。  質疑を続けます。井村重雄君。
  19. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 午前中に引き続き、重ねて二・三御質問を申し上げます。  この調査会の発足について、われわれは医師会の要求を聞いてみますと、社会保険全体の機構の問題が並行して作業せられなければならない。保険行政に対する厚生当局の熱意がどこにあるか。単に先ほど申しましたように、経済行為のみが先ばしって、本来の保険行政が従であるというふうな観念を与えるということは、非常に間違いではないかどうか。ことに保険者団体中央医療協議会に入らない。しかも、この調査会法案の可決が前提条件であるというふうなことは、非常に今後に悪例を残すわけであります。そこで、この社会保険統合というような問題は、先ほどお答えの通り非常に膨大な作業を要する困難なる事業であります。けれども、結局日本社会保険は、御存じの通り、発足当時は、私が昨年申し上げました通りほとんど救貧政策として施行された一わけであります。当時の国民所得と医療費というものの非常な大きなアンバランスの関係上、いわゆる救貧政策としてとれが発足したのでありますけれども、今日文明国においては、いわゆる医療保障という観点にある緯度立って、ウエートを置いていかなければならぬわけであります。従いまして、保険が非常に多種多様であり、その給付内容、給付の程度、いろいろ違いますけれども、これは早急に統合して、国民にひとしく、いわゆる今日の高い医療を給付すべき責任があるわけでございます。従いまして、やはり本来の保険行政から言えば、何らかの方途によってこれを整理統合して、本来の医療行政に持っていくべき一つの踏み足を出して、誠意を披瀝しなければ相ならぬと存ずるのでありますが、この点について重ねてお答えをお願いいたします。
  20. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 お尋ねの問題につきましては、しばしば議論になった問題でございます。お話通り、現在のいわゆる医療保険各種保険制度がございまして、その内容等におきましてもつり合いのとれていないものがあるわけでございますから、ひとしく医療保障というような観点から、国民に進んだ今日の医療を給付しようという考え方からいたしますれば、これらの諸制度の問の調整をはかる、あるいは総合をはかっていく、こういうことは、方向としてはだれしも考えるところだろうと思います。政府といたしましても、毎々申し上げております通りに、この問題は今後解決すべき問題としても最も大きな課題と考えておる次第であります。そういうふうなことでございますが、この作業というものは、なかなかそう簡単には片づかない。各種諮問機関の意見も聞きますし、政府自身も勉強いたしまして、逐次その方向に向かって進んで参りたい、かような努力を現在いたしておるところであります。従いまして、その問題については、前から申しております通りに、政府としては真剣に検討を続けておるところだ、かように御了承いただきたいと思うのでございまして、とりあえずの措置といたしましては、総合しようにも、調整しようにも、あまりにかけ離れておるというようなものにつきましては、これの底上げをはかっていって問題の解決を容易ならしめようというようなことで、国民健康保険等について格別の力をいたしておるようなわけでございます。
  21. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 そこで、昨年の七月三十日に厚生大臣並びに自由民主党の政務調査会長、日医、日本歯科医師会日本薬剤士会が四カ条の合意書、おそらく御存じだと思うのでありますが、今日新聞紙上を見ますと、この四カ条の申し合わせによって、いわゆる公約違反だ、厚生当局には何らの誠意がないというふうなことで、日本医師会あたりから相当猛烈な反対が出ておるようでございますが、これに対して厚生大臣はいかなるお考えを持っていらっしゃいますか。
  22. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 いわゆる合意書なるものに対しまして、厚生大臣の態度がこれに反しておる、こういうふうな御批判があるように私も伺っております。この合意書なるものができました経過については、すでによく御承知だろうと思うのでございます。昨年のいわゆる保険医総辞退という事態が起こりまして、何とかこれを収拾しようというので、当時与党であります自由民主党の幹部の皆さんの間でいろいろ奔走せられたわけであります。最後に至りまして、医療保険制度の抜本的改正、それから医学研究と教育の向上と国民福祉の結合、医師と患者の人間関係に基づく自由の確保、それから自由経済社会における診療報酬制度の確立、この四項目について合意に達した、こういうことになっておるわけでございます。当時の経過を申し上げますれば、これらの項目を含んでおりますいわゆる合意書なるものに対して厚生大臣は同意するかどうか、こういうふうなお話でございました。あすはいよいよ総辞退という前の日の話であったと記憶いたしております。いろいろ奔走せられました結果、これだけの四項目について厚生大臣が同意するならば総辞退も取りやめる、あるいはまた、厚生大臣が考えておる医療懇談会にも出席しよう、こういうふうなお話でございます。私はそのときも申し上げたのでございますけれども、この四項目は、項目として考えます場合、いずれも重要な問題でございます。きわめて重要な意義を持つ問題だと私は思うのです。同時にまた、直ちに結論の出る問題は一つもない。また、これをお善きになりました方が、どういうおつもりで、具体的なお考えを持ってお書きになったのか、それはわれわれは承知することはできないのであります。承知いたしておらなかったわけであります。その事態のもとにおきまして、私はここに掲げられておりますところの四項目については、文字通りに受け取って、きわめて重要な研究すべき、検討すべき問題として私はこれを了承いたしましょうということでサインをいたしましたようなわけでございまして、項目それ自体は、いずれも日本医療の問題につきまして私は重要な意義を持っている、検討に値いする問題と考えておりましたが、当時この内容の具体的なものは何もなかったのであります。私は文字通りにこれを受け取ったというふうにその当時も申し上げたつもりでございますが、さように御了承いただきたいと思うのであります。
  23. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 では、この四項目については、やはり厚生大臣としてはサインされた以上は、誠意を持ってこれを尊重し、できる可能な限りにおいて実現するということについてはお変わりございませんですね。
  24. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 今申し上げた通りでございます。この四項目につきましては、厚生大臣がサインをいたしておるわけであります。従いまして、これに対して不誠意な態度をとることは私としてはあり得ない、十分検討すべき問題と考えております。ただ申し上げておきたいと思いますことは、書いておるこの字句と申しますか、これについては何の異存もありませんけれども、この内容につきましては、あるいは私が具体的に考えることとほかの者がお考えになることと、違う場合もあり得るかと思うのであります。そういう点は一つ御了承の上で、私ども答弁を御了承願いたいと思うのであります。
  25. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 そこでこの調査会構成メンバー、法案によりますと、委員の数を五名ということに限定されて、五名をもって組織するということになっておりますが、その構成人員はどういう方面からお選びになさるおつもりでございましょうか。もしこの中に、あるいは医学に通暁した者を入れる予定かどうか、また、財政経済のみの専門家をもってなされるのか、この委員構成というものについてお伺いをいたしたいと思います。
  26. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 委員構成につきましては、この調査会設置の目的に最も適合した人を選ぶということは、これは申すまでもないことだと思います。法案内容に当たりますので、この点のお答えは政府委員からお答えさしていただきたいと思います。
  27. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 調査会委員につきましては、調査会の目的にふさわしい見識のある方を考えてしなければならないと思いますが、これにつきましては、やはり直接の利害関係者につきましては、これはこの調査会の目的からいたしまして、委員としてでなしに、むしろ専門的な知識を供給していただくという意味において別個の立場で御協力をいただく、かように考えておる次第でございます。
  28. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 それでは、この五名の委員の中へは、たとえば医療担当者でなくても、中立的な立場で広範なる医学の知識を持っている者も入れないというように理解してよろしいですか。全然そういうふうなものを入れない、別個の立場のものだというふうに解してよろしいですか。専門委員のできることは次に私もお尋ねいたしますけれども、五名の委員の中には、医学、医育、医療、あるいはその他に関して全然知識のないものを、別個のもので組織するというお考えと解してよろしいですか。
  29. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 医師でありますとか、あるいは支払い団体の代表者でありますとか、そういう直接の利害関係者は考えないということが現在のところは適当であろう、こう考えております。
  30. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 重ねてお聞きしますが、私は別に医療担当者とか、支払い側とかいうような対立的なものを考えているのではなしに、とにかく非常に大きな、医療機関の死命を制するともいわれるこの社会保険診療報酬の算定ルールをきめる委員であるから、その中に、医学なり、薬学あるいはその他医療ということについて全然知識のない者ばかりで組織するのか。いわゆるだれが見てもこれは公平中立的な色彩であるけれども、広く医学ということに理解を持っている者を任命するのか、その中に入るのかどうか、全然それはオミットするのかということなんです。
  31. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 これは具体的な人選問題でございますから、ここでこういう種類のものをどうするこうするということを申し上げるのは、いささか早計だと思うのでありますが、今申し上げましたように、医師でありますとか、支払い団体の代表でありますとか、そういう直接の利害関係の方は別個の立場で御協力をいただく、かように考えております。
  32. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 もちろん今この場でどうこうは言われないと思うのでありますが、私ども、別に見て、代表的な者を選べと言うのではありませんけれども、いわゆる医療担当者全体の不安というものは、自分が給付する、自分が振り方である医療行為を、何の関係もなく、ちっとも医療に素養も知識も何にもない第三者によって、これが自動的に決定されるということについての大きな不安を持っているのでありますから、そうした点を十分考慮に入れてもらいたいと思うのであります。これは私の希望であるかもしれませんが……。
  33. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 先ほどお答え申しましたように、この調査会におきましては、どなたがごらんになりましても最も公正な、あるいは中立的な立場にある、かような方をお願いしたいと思っておるわけでございます。今保険局長がお答え申しましたように、特にどこかにつながりが深いとか、縁故が深いとかいうふうな疑いを持たれる人は避けるべきじゃないか、かような考え方をいたしておるわけであります。ただ人数がごく少数でございますので、どの範囲の人にお願いできるかというふうな問題は、具体の場合として考えなければなるまいかと思うのでございます。いずれにいたしましても、この調査会を五人の人だけの恣意によって、五人の独断によってやるような、そういう人は選びたくないのだ、広く関係機関の御協力もいただく、また専門家もそろえて、衆知を集めて結論を出していただきたい、こういう考え方をいたしておるわけでございますので、御了承をいただきたいと存じます。
  34. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 社会保障制度審議会答申を見ますと、これは「診療報酬算定のルールを確立し、及びそのために必要な調査を行う中立的な機関として、医療報酬調査委員会を設け、厚生大臣は、この委員会の結論に基づいて診療報酬の案を定め、これを中央社会保険医療協議会諮問する。」とあるのは、その通りでございますか。
  35. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 その通りのつもりでおります。
  36. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 それではこの委員会で決定するのは、いわゆる診療報酬をはじき出す一定の方程式あるいは函数を出すのか、また、生活保護費の算定の基準のようなものを作るのか。どういうものをこの委員会で作るのですか。決定機関であるのか。中央医療協議会において自由討議ができて、その場所において最終決定を見るような運び方をされるのか、お聞きをいたします。
  37. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 具体的なそのときそのときの社会保険診療報酬は、御承知のように厚生大臣がきめるわけでございます。その具体的な診療報酬につきましては、中央医療協議会諮問をして、そこできめるということになるわけでございます。従って、現在行なわれておりますところの医療報酬と同じように、中央医療協議会において具体的に診療報酬額というものがきまる、こういうふうに御承知を願いたいと思います。ただ、厚生大臣がその具体的な案を作るに際しまして、いかなる基準によってものを考えるかというふうな、その基準となるべき事項について調査会の方で御検討を願う、こういう趣旨のものであります。調査会の結論が出ましたならば、厚生大臣法律的には別に拘束もされぬと思いますが、この設置の趣旨にかんがみまして、その基準を尊重して、そして今度は具体のそのときそのときの事態に即して診療報酬額はきめていく。これは医療協議会に相談する、こういうことに相なると私は思います。
  38. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 では、大へんくどいようでありますけれども、この臨時医療報酬調査会では具体的な診療報酬を決定するのではない。あなたが社会保険診療報酬を決定するに先だって、どういうものさしを使った方がいいか、どういう資料を使った方がいいか、その資料あるいはものさし、そういうふうなものの答申を得て、それをあなたの自由裁量によって中央医療協議会にかけて、そこで最終的に厚生大臣が決定する、こう解してよろしいのでございますね。
  39. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 大体お話し通り私も考えております。もちろんこの調査会を設けまして、りっぱな方、各種機関の意見も聞き、専門家の意見も聞き、いろいろ御検討の末得られました結論に対しましては、この調査会設置の趣旨にかんがみまして、厚生大臣としてこれを尊重して参るのは当然だと思います。それを尊重して、その線に沿って具体的にそのときそのときの診療報酬額をきめる、これは中央医療協議会にも御相談すべきことである。そこできまる、こういうふうに御承知を願いたいと思います。大体の御趣旨は、お話し通りだろうと思います。
  40. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 それでは、従来対立関係にある中央医療協議会における紛争は、やはりその場において繰り返されるというふうな事態は同じではございませんか。
  41. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 従前通り対立抗争が激化するとか、あるいは激しい事態のもとにやるということは、最も期待せざるところであります。また、それを避けようと思って実はこれを出しているわけでございますが、この調百会において中立的な学識のある方々が一つの結論をお出しになるということになりました際には、その結論はおそらく国民の皆さんの納得を得られるものだと思うのであります。それに従ってやるということになりますれば、従来ややもすると厚生省の出している資料はどうも古いではないかとか、いろいろな御議論もございましたが、そういったふうな基本に関する御議論は避けることができるではなかろうか。そうしますと、高いとか安いとかいう議論はございましょうけれども、話が非常にやりやすくなって参るではなかろうかと思いますので、私どもは、この法案の提案の理由でも申し上げております通りに、こういうものができて、それによって厚生大臣がやるということになれば、少なくとも従来の論争というものはよほど緩和され、あるいは少なくなってくるものと考えるわけでございます。医療協議会の方も、従来通り対立抗争の姿でいくということが避けられ得るものという期待のもとに、実はこの法案を出しているわけであります。
  42. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 そうすると、この調査会で決定した何らかの数値、あるいはアルファであるかベ−タであるかガンマであるかわかりませんけれども、それを点数規定にかければすぐ医療報酬が算定されるという形になりますから、やはりこの調査会で動かすべからざる決定がでっち上げられるわけではございませんでしょうか。
  43. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 どういうふうな結論が出ますか、実は私きょう的確なものを持っているわけではございません。また、私どもが案を持ってこの調査会にお諮りしようという考えは毛頭ないわけであります。権威ある方々によって十分御検討を願って、適正な医療報酬を算定するにはどういう基準に従ったらよろしいか、それを出していただこう、こういうことでございますので、どんな形のものができ上がりますか、今から予測するわけには参らぬと思うのでございます。また、それさえ見れば、それでもう何もかもきまってしまうというような形のものは、おそらく出ないのではなかろうかというふうに私ども思いますけれども、これはむしろ調査会委員の方々の御努力によって、何か一つ考え出していただきたいという気持でこの法案を作っているわけでございます。
  44. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 なるほどおっしゃる趣旨はよくわかりますけれども、やはり誤解の生ずる向きとかあるいは危惧の念を抱くということは、非常に公正妥当なる中立的機関であるから、これの決定したものが最も正しいのだ、正しい姿なのだというふうに、これがいやおうなしに押しつけられるというところに、医師と患者の人間的自由関係、あるいはまた、広い意味で言えば自由経済主義の原理に反するじゃないか、一つも苦情を処理するところがないというところに、今発足しようとするのに大臣自体がどういうものが出るかわからぬのだ、どういう運び方になるのかわからぬのだとおっしゃるごとく、一般の医療担当者の危惧している面はそういうところにあるではないでしょうか。何といいますか、この調査会を隠れみのにして官僚絶対主義を押しつけて、これは中立公平な機関の決定であるから、これに異議を申し立てるならば国民全体に反旗を翻すものであるというがごとき誤られた言葉で押しつけられるではないかというようなことを心配しているではないかと思うのですが、この運営については、もう少し何らか構想なりを明らかにされる御意思はございませんでしょうか。
  45. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 ややもすると官僚独善であるとか官僚ファッショであるとかいうふうな御批判を受けて、恐縮いたしているわけであります。そういう心持はさらさらございません。ことに今度の調査会は、ごらん通りに、本来診療報酬を決定するものは厚生大臣である。従って、厚生省に設置せられるのが普通の姿ではないかと思うのでありますけれども、特に厚生省は避けて、総理府に設置するというふうなことにいたしているのも、厚生省が勝手にどうこうするというふうなあれではなくて、公平な中立的気持一つやっていただきたい、こういう心持から出ておるし、社会保障審議会の気持もそこにあったかと私は思うのであります。この問題につきましては、いろいろ御心配もあるようでございますけれども、従来の診療報酬がどういうふうにしてきまっているかということをお考えいただきますならば、この方法をとることによって、少なくとも従来の診療報酬決定の仕方よりもよほど合理的な、また納得のいくものが出てくるのじゃなかろうか。従来もまんざら無根拠でやっているわけではございませんけれども、かつて調べましたような資料をもって、その後の物価なりあるいは人件費なりというふうなものの移動を織り込んで現在のものがきまってきておるわけであります。そこにいろいろ議論があるだろう。この報酬調査会において、一体医療報酬というものの構成要素はおよそどんなものであろうか、あるいはどの程度のウエートをそれぞれの要素に渇いたらよかろうか、また、それを出すには一体どういう資料によったらよかろうか、あるいはまた、調査を必要とするとすれば、いかなる時期にいかなる調査をしたらよかろうか、こういうふうなことがかりに答申でも出たといたしますならば、私は、それだけでも厚生大臣は助かると思います。ややもすると、厚生省の調べた資料が間違っておる、あるいはおれの方の調べたのはこれだというふうなことで、資料そのものについて争いが起こってきておる、こういう状態では、なかなか静かにものごとを進めていくわけには参りませんが、せめて今申し上げましたような点についてでも、皆さんの御納得のいくような結論が出れば、よほど話し合いはスムーズにいくのじゃないか、私はかように考えます。いずれにいたしましても、私の方からこういうものを作っていただきたいという案を持っての諮問ではございませんで、一つ自由な立場で公正に御検討願いたい、こういう意味の調査会でございますので、御了承いただきたいと思います。
  46. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 その点は、その言葉通りきょうは了解をいたしておきますけれども、それにしてはわずか五名で、事務局は構成はできるでありましょうし、また、いろいろな専門委員会もできることでありましょうけれども、非常勤で、きわめて短い期間で、はたして大臣のおっしゃるような、そういう広範なしかも正しい資料が、こういうふうな臨時的なもので、納得のできるものができるかどうかというふうな点でありますが、巷間これが中央医療協議会の権限と非常に混淆する、むしろ中央医療協議会に第一義的に、厚生大臣が自信のある資料をもって診療報酬算定の協議をやって、この機関を付随的に、どうしても処理がつかないというふうな場合に、しからば公平なる第三者機関にこれを持ち込むという仲裁裁定機関にするような考え方の人もあるようでございますが、そういうふうなお考えはございませんですか。あくまで中央医療協議会が第一義的に、本来の使命のごとく、まずここにおいて双方、売方、買方、また第三者の学識経験者の三者構成委員会で十分練って、結論が得ない場合に、この苦情処理あるいは仲裁機関として、こうした公平な第三者的な機関を置いた方が納得がいくのじゃないか。何かしらん中央医療協議会と混淆したり、また同町に、今あなたは、これがあれば大臣としても今までの出した資料と疑われないで非常にけっこうだというふうに、荷が軽くなるようにおっしゃいますけれども、それではかえって隠れみのに使われるんだというふうな揣摩憶測も流れはしないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  47. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 ただいまの井村さんのお話でございますが、中央医療協議会厚生大臣諮問機関で、医療報酬をきめるのは、申すまでもなく厚生大臣であります。その医療報酬をきめるのについて、各方面を代表する方に出ていただいて御相談をする、こういう形のものでございます。そこで利害関係者がお互いに利害を主張して、そうして争いが解決しなければ仲裁に付するというふうなものとは、基本的に考え方が違っておると私は思うのであります。今お話しになりましたような形も一つ考え方であろうかと思いますけれども、現在の建前から申しますと、あくまでも厚生大臣諮問機関である、こういうふうに御了解願いたいと思います。その諮問機関に相談して、そのときそのときの具体的な診療報酬額というものを決定して参るわけであります。従って、これと今度お願いしておりますところの報酬調査会とは別のものであるということでございますので、そういうふうにお考えをいただきたいと思うのであります。中央医療協議会と権限が混淆しておるとか紛淆しておるとかいうような考え方は、私どもいたしておりません。いわゆる社会保険診療報酬をどの程度にきめるかという問題は、中央医療協議会に御相談してきめる問題でございます。
  48. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 重ねてお尋ねしますが、従来中央医療協議会においていわゆる三者構成であっても、担当者側保険者側とがいろいろ激突して、その紛争の中に大臣厚生当局が巻き込まれて、どうにも解決つかない面がいろいろあって苦労なさったことはよくわかっておるのでありますけれども、やはりこうした厳格な報酬をきめる場合に、これの苦情処理、異議の申し立て、あるいは仲裁裁定をしてもらうという機関、そのはけ場がないというところに、お互いにデッド・ロックに乗り上げてくるんだと思うのです。この調査会ができて、公正なる資料と自負されるその資料をもって中央医療協議会に臨まれても、おそらく過去の紛争はやはりある程度絶えぬのじゃないか。そうした場合に、一つの抜け穴といいますか、台風の抜け口を作って、苦情処理なり最後のあきらめの場所、あきらめの話し合いの機関を作ってやらなければ、これは金の問題でありますから、なかなか容易なことではないと思うのです。私は、この調査会自身をどうこう、いい悪いを直接今批判いたしません。しかし、そういうことに対する何らかのお考え、これを提案された際に何らかの構想を持っていらっしゃらないかということを重ねてお聞きするのでありますが、いかがですか。
  49. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 医療報酬のきめ方につきましては、私は現行法の上に立っておるつもりであります。別に現行法と変わった考え方は現在持っておりません。従いまして、厚生大臣がきめました医療報酬について、その厚生大臣のきめたところに対して別に苦情処理の機関を設ける、あるいは仲裁裁定の機関を設けるというふうなことは考えておりません。ただ、現行法によって中央医療協議会において具体的な調査、審議をお願いする場合に、その案を作成するのについて、基準となるべきものをこの調査会において考えていただいたらいいのじゃなかろうか、その基準を作るに際しましては、関係の向きの御意見も十分聞かれた上で、御検討の末に結論が出るものと考えますので、私はその点については、でき上がりましたものは——頭から反対するという気持があれば別でありますが、お互いに意見を出し、資料を出して十分御検討になり、最後に得られた結論というものは、関係する向きの方々も御納得のいくような線がまとまってくるのじゃなかろうか、かように存ずる次第であります。
  50. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 そこで、この調査会事務局を作りまして、いわゆる調査権を与えていろいろな資料を集めるわけでありますが、関係団体の意見を十分反映せしめるとあるのでありますが、これらは、どういう手段を用いられて関係団体の意向を事前に十分反映させられるのですか。
  51. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 関係団体に対しましては、「意見を申し出る機会を与えなければならない。」ということになっております。意見の申し出あるいは資料の提出その他について御協力をいただくということで、それらの機会を十分与える、むしろ積極的に御協力いただくというふうに、これは運営していかなければならぬと思います。先ほどお話がありますように、この調査会でいろいろ審議していく過程におきまして、十分関係団体の御協力を得て、従って、その結論というものについても、十分それらの方々の御意見が反映をして、協力体制ができるということでなければ、これは結論が出ましてもなかなかうまくいかないことは当然のことでございまして、その辺のところは、調査会運営として十分配意せられるべきことだと思います。  それからなお、専門委員の任命等につきましては、これは調査会委員の皆さん方の御意見等も拝聴した上できめらるべき問題だと思います。それらの点につきましても、十分会の運営あるいは結論が妥当に参りますように配意せられるべきことは当然のことだと思います。
  52. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 それでは調査資料を集め、あるいはいろいろ結論に達するまでには、文書、口頭その他をもって関連団体から十分意見を聴取されて、また非常に重要な問題は、医師、薬剤師、歯科医師その他国民経済全般にわたって非常に膨大な資料を集めなければならぬと思うのです。そうしなければ、そういうふうな適正報酬というものは簡単に出てくるものではないと思うのでありますが、そういう点では、関係諸団体の意見を十分聴取し、反映させるという点については十分お考えをいただいておりますですね。
  53. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 むしろこれはそういう趣旨で、法案の条文等についてもそういう意味を十分表わしておることと思いますし、おっしゃることは調査会運営上配慮すべきこと、当然配慮しなければならないことだと考えております。
  54. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 臨時とありますが、大体どれくらいの期間を予定されておりますか。
  55. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 一応この法律にありますように二年。
  56. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 それでは今日非常に急テンポで経済情勢は変転をいたしておりますが、二カ年で使命を終わるのか、またその後にはどういうふうなお考えをなさるのか、一たんきめられた資料は、二カ年間その資料をものさしとして使うという御予定なのか、どういうことなんでしょう。
  57. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 一応その調査資料というものにつきましては、これはこの使命でありますいわゆるルールをきめるための資料でございまして、直接その資料をもととして診療報酬をきめる、直接の資料というふうにはわれわれ考えていないわけでございます。従って、ルールを考えていくについて資料が足らないということであれば、これはそれとして当然とるべきことでございます。また逆に考えまして、診療報酬をきめるための直接のものと違いますから、必ずしもアップ・ツー・デートのものであることがどうしても必要であるかどうかということについては、これはまた別途の立場からの考慮というものもあり得ることだと思います。そういうわけで、資料とそれから調査会の使命なり仕事との関係は、今申し上げたような関係にあると私とも理解いたしております。  それから二年の間に調査会の使命が十分終わり得るかどうかということについては、これは非常に大切な仕事でございますし、急ぐ仕事でございますから、早く仕事をし遂げていただくということが望ましいことでございます。しかし、どうしても二年で日にちが足らないということになれば、それはそのときに万全を期する土から考慮を払うべき余地は十分あり得ると考えます。
  58. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 しかしこれは、およそそのときの保険診療費の算定の、ある程度ものさしとなるべき幾つかの資料であるから、国民経済の変動によって、毎月とは申しませんけれども、年々歳々これは変わるべき性格を持っているのじゃないかと私は思うのですが、二カ年で一応資料収集を終えて、それが三年、四年後に全部当てはまって間に合うものかどうか、こういう点で、まだ私は理解をしにくい点があるのですが、その点をもう一度明らかにしていただきたいと思います。
  59. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 調査会を作って、調査会委員の方々によって何らかのルールを作っていただきたいという立場から申し上げますと、こういうものができるであろうとか、ああいうものができるであろうとかということを、われわれが申すべき筋のものではないと思うのであります。ただ、一応私ども考えてみますのに、たとえば医療報酬をきめる場合に、この種の資料を整えなければならないということをおきめいただければ、それも一つルールだ、かように思うのであります。そのルールに従って作りました資料というものは、これは永久不変のものではないと思う。また、その資料に基づいて——きわめてラフなことを申し上げますけれども、たとえば物価というものを調べておかなければならないということになりますれば、その物価についての資料はどういうものを一体調査すべきであるか、あるいはいかなる時点においてこれを調査すべきであるか、あるいは年に一回とか二年に一回とか、その調査の時期はどうあるべきであるかというふうなことが一つきめられますと、これに従ってあとは資料を整え、その資料に基づいて物事を考えるということができるわけでございます。これはきわめてラフなことを申し上げてはなはだ恐縮でございますが、仮の話としてまあそういうように考えるわけでございます。この調査会で具体的な資料を作って、そしてどうするということよりも、むしろ資料としてあるべきものはこういうものが必要なんだ、こういうものをもって、それを基礎にしてものを考える、こういうふうにきめていただければ、それだけでも非常に物事が考えやすくなってくる、こう私は考えるわけでございます。そういうふうにお考えいただいてよろしいのじゃないかと思います。
  60. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 それでは大臣、これの答申というものは、諮問機関として委嘱された以上はこれは尊重しなければならぬけれども医療報酬を算定する場合に、法的に厚生省はこれに必ずしも拘束されるものじゃないのですね。
  61. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 純粋な法律論から申しますれば、拘束されるものではないのであります。
  62. 井村委員(井村重雄)

    井村委員 とにかく一応私はこれで質問を終わりますが、長年の厚生当局また保険者団体医師会の対立というものは、国民全体も非常に迷惑しておると思うのであります。これはお互いに精力を費やして非常に迷惑を来たしておると思うのであります。と同時に、この医療問題は国民全体にとってきわめて重要な問題であろうと思います。そこにいささかも誤解なく、非常にスムーズにいかねばならぬということは、私が申し上げるまでもないことであります。しかしながら、今日の保険行政というものは、なお非常な混乱期にあるということだけはお認めをいただけると思うのであります。また、医療報酬そのものも適正であるかどうかという、この算定はなかなか困難であります。ことに自由職業の、こういうような知能労働に対する報酬の算定は非常にむずかしいのであります。こういう点で、これがいろいろ官僚独裁だとか、口悪い言葉ではありますけれども、独善だとか統制だとかいうふうな言葉は、今日非常に忌みきらわれることもまたやむを得ない事実であります。先ほど私が繰り返して申しましたように、やはり公的医療機関私的医療機関というものが平和共存でお互いにその役割を果たしていかなければならぬということを、私ども痛感させられておるわけでありますけれども、ややもすれば、今日、公的医療機関国家の非常に厚い援護を受けておる、そこに私的医療機関であるものが、自分の将来なり運命というものをおそれて、いろいろな誤解を生ずることも、これはやむを得ないことと思うのであります。従いまして、こうした法案を出されたあなた方の本意は従来紛争のあったこの医療費をできるだけなごやかに、納得のいくように解決したいという御趣旨でありますから、やはりそれに並行して、前提となる保険行政、医療内容の向上、国民医療の普及ということ、また、ぜいたくな公的医療機関設置もさることながら、無医村解消ということについても格段の努力をして、厚生当局保険者団体のいずれにも片寄っておるのじゃないのだ、ほんとうに公正な立場で国民医療を考えておるのだという熱意と誠意を披瀝されれば、やはりおのずから道は開けると私は思うのであります。今日、いろいろ従来の厚生省出身の官僚が、保険者団体のいわゆる経営下に入るということが、中央、地方を通じて、多少ひがみで見ればありがちであります。そこに、えこひいきがありはしないかという誤解も生じてくるわけであります。どうか将来とも公正なる医療行政、厚生行政をおやりになって、各種団体の確執、誤解を解いて、国民の迷惑にならない真の保険行政を進めていただきたいということを希望いたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。
  63. 中野委員長(中野四郎)

    中野委員長 井堀繁男君。
  64. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 臨時医療報酬調査会設置法案内容はきわめて簡単な内容でありますが、その持つ使命は、社会的に大きな問題を投げかけておるものの解決をなし得るかいなかを握るものであると思いますので、念のため、まずこの法案の中にどういう意味を持つかという点をごく事務的にお尋ねをして、本質に触れていきたいと思います。  まず第一に、一条の関係で、説明はきわめて簡単でありますが、内容は非常に大きく影響するものと思われますのは、「適正な診療報酬の決定に資するため、」という表現でありますし、また第二条における、この調査会の使命を明らかにするものと思いまする「適正な医療報酬の算定の基準に関する事項を調査審議する。」という表現であります。この中で医療報酬の算声基礎を作るということになりますと、かなり広範なものにわたると思いますが、一応これに対する提案者側である政府の算定基準というようなものを、あらかじめとの調査会に提示されるものであるか、もしくはそういうものに対して全くこの調査会の自由意思に待つものであるか、この辺は両方相待ってやるのであるか、そこら辺に対する見解をただしておくことが、あとの質問をいたす上に大切だと思いますから、簡単なことだと思いまするが、一応お伺いしておきたいと思います。
  65. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 今お話しの点につきましては、私どもこういう案でいきたいというようなことでお諮りをするつもりは、現在のところはございません。もちろんこの調査会においていろいろお仕事をなさる上において、私ども、かねがねその方面の関係の仕事をしております立場において御協力を申し上げることは、これは当然のことでありますが、現在のところはさように考えております。
  66. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 次に、第二条第二項の「自ら調査審議して」という調査の内容、次に第三条関係では、「委員工人をもって組織する。」ことになっており、第五条関係では「専門委員を置くととができる。」ようになっております。この調査会が五人の委員と専門委員医療の算定基準を調査決定するということは、ちょっと表向き見まして不可能に近い仕事を担当することになるのではないかと思うのでありますが、多くのスタッフを持ち、長い間の経験を持ちます厚生省はもちろんでありますが、ここには第六条関係で関係団体を指示しておりまして、こういうものと協力関係をとりつつ行なわれるというふうに理解できるのでありますが、まず第一に、五人の委員で、第一条の今御説明のありましたような問題を、審議はできるといたしましても、最も重要なことは調査に重点があると私は思うのであります。五人のスタッフと、専門委員が何名か、ここに明らかになっておりませんが、第五条の専門委員はどのくらい必要とお考えになっておりますか、まずこの関係をお尋ねしてみたいと思います。
  67. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 先ほどもちょっと申しましたように、調査と申しましても、かりに実態調査のようなものを考えますれば、診療報酬をきめるための直接の基礎としての調査をやるという趣旨ではございませんで、ここに書いてあります基準ないしルールをきめるための必要な調査というふうに御理解をいただきたいと思います。  それから委員の人数五人というのは、社会保障制度審議会答申にも、ごらんいただきますように、「少数の学識経験者をもって構成し、」とございますので、五人くらいが適当であろうかということで、五人ということに提案いたした次第であります。専門委員は、現在のところ一応十名というふうに考えております。
  68. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 そこで、ほぼわかったような気がいたしますが、基準というのはそう大がかりな調査を必要としない、小人数で取りまとめることができるというふうに理解してよろしいでありましょうか、もう一度念のために伺っておきたいと思います。
  69. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 大がかりであるかないかということについては、これはいろいろの見方の問題がありますから、それは別といたしまして、やはりその関係の役所、公共団体ないし関係の団体、そういったところの十分の御協力を得ますれば、むしろ五人程度の少数の方が適当であろうか、こういうふうに考えております。
  70. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 大事な点でありますから、くどいようですが、もう一度伺っておきます。見方によればというあれですけれども、少なくともこれを提案なされるところの確定的なものがなければならぬと思う。見方によって変わってくるようなことでは大へんなのでありまして、これからお尋ねしようとする前提になることでありますから、はっきり一つお答えをいただきたいと思います。それは、この基準というのはそう広範にわたる調査を必要としない、限られた五人くらいの人でやれる、あるいは専門委員を加えても十人くらいでやれるという程度のものを意図されておるのか、あるいは第六条関係を見ますると、関係団体に対して資料の提出を求めることができる、あるいはその二項においては、関係団体に対して、その意見を出す機会を与えるといったようなことになりますと、私は関係団体をこれはどういうふうに——これを伺ってからでいいと思いますが、関係団体というのは医療団体だけではなくて、他の場合のことも考えられておるのかどうか、あるいはこの関係団体というのは医療団体だけであるか、ここをまず伺ってみましょう。
  71. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 どの程度の資料を使うかということは、もちろんこれは調査会の調査審議の過程においておのずから選択あるいはきまってくるものでございまして、今私ども、ここでどの程度の資料ということをあらかじめ予見するということはいかがかと思うのでございますが、しかし、いずれにいたしましても、その五人で何もかも全部、末端までの調査も全部やるということは、これは御推測の通りに不可能だろうと思います。やはりこれは関係の役所でありますとか、あるいは関係の団体というものの十分の協力を得なければいけないことだと思いますし、それから現実に、実際の調査をすることもございましょうし、あるいは既存のデータから選択的に必要な資料を抜き出すというような場合もありましょうし、これはいろいろなケースがあろうと思いますが、いずれにしても、それらの資料に基づいてのいわゆるルールについての判断は五人の方々にお願いをする、こういうふろに御理解をいただいたらと思うのでございます。
  72. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 関係団体といったら、どれをさすのですか。
  73. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 これは医療関係の団体も、それからいわゆる保険者と申しますか、支払う方の団体も、すべて関係のある団体はという意味でございます。
  74. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 診療報酬を決定する機関は、三者構成でりっぱな医療協があるわけです。この団体の関係者が、この場合に、今あげられたようなものと全く同じようなものになるのかどうか、もう一度念のためにそこを伺っておきたい。
  75. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 これは先ほども申し上げましたように、この調査会運営の過程におけるやり方、それから結論の出し方については、これは十分関係団体の御意見を聞き、あるいは理解を深め、あるいは納得をしていただくということが、やはり自後の医療協議会等において進めていく上には、一つの大きな前提条件であろうかと私どもは考えておるわけであります。そういう意味で、そういった医療関係、あるいはまた、保険の経費の方を受け持つ方の関係の団体という、そちらの御意見を聞くことがやはり適切な措置であろうということを考えております。
  76. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 私ここで伺っているのは、六条の関係団体というのは、これとこれとこれを考えているというふうに、一つおっしゃっていただけませんか。
  77. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 これは今申し上げましたように、医療関係の団体あるいは支払い関係の団体、そういうことが主としてここで予定をされておりますけれども、しからば支払い関係の団体は、現実にある何と何という団体というようなことは、これは調査会審議の過程において、調査会皆様方の御意見なりその必要性に応じて具体的に出てくる問題でございまして、今私の方で、ここでこれとこれの団体ということにきめてしまうということは、ここに書いてある趣旨ではないと考えております。
  78. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 くどいようですが、もう一度伺いますが、これは第一条で明らかになっておりますように、「社会保険等」と「等」という言葉もありますけれども、この法律の全体は、診療報酬を決定するのは中央医療協が大臣諮問にこたえて行なうという明らかな法律があるわけです。そのために必要な基準を、要するにここで調査審議するということではありませんか。そうすると、関係団体というのは、おのずからきまってくるのではないでしょうか。それとも今言う保険関係の診療報酬以外の問題もこの調査会にお願いするということになりますと、関係団体はむやみに広範になると思います。その点を明らかにしておく必要がありますから、はっきりと伺っておきたい。今あなたのお答えになりましたことで言いますと、関係団体というものが不特定で、幾らでも広がってくるようになりますと、問題はおのずから違ってくると思います。私どもの解釈が間違っておりましょうか。
  79. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 第一条に「社会保険等の」云々とありますのは、端的に申し上げれば、いわゆる社会保険、それからそのほかには労災補償における医療費の関係、それから公務災害補償における医療費の関係、そういったものを一応立案の過程においては予定をいたしたのでございます。大部分の分野としてはやはり社会保険の分野ということにこれはなるかと思いますが、従って、その第六条の関係団体というものも、今申し上げました目的に従って、これはおのずから範囲というものはあり得ると思いますけれども、ただ私が先ほど申し上げましたのは、ここで一つ一つ団体の名前をあげるということは、これは適当なことではないのではないだろうかという趣旨で申し上げた次第であります。
  80. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 これは私はあとからお尋ねする上に非常に関係が深いと思いますから、なおはっきりさしておきたいと思います。こういうものは、なるほどこの団体を一々列挙していただかなくてけっこうです。ここの前提になっておりまする社会保険関係の医療のために必要な診療報酬基準をきめるということに限定されておるか、あるいはそれがもっと広がってくるかということは、非常に今後のお尋ねをする上に大切でありますから伺っておるのであります。むやみに広げられないのだ、社会保険診療報酬を決定するための基準をこの調査会にお願いをするのだ、この範囲内における関係団体だというのであればこれはいいのでありますけれども、その点をもう一ぺん伺っておきたい。
  81. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 その点は、第六条に「調査会は、その所掌警務を遂行するため必要があると認めるときは、」ということになっておりますので、従って「その所掌事務を遂行する」云々ということは、第一条、第二条がこれはかぶってくるわけでございますから、当然この第一条の目的の範囲内というふうに御理解いただきたいと思います。
  82. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 第一条にこだわったのは、「社会保険等」という言葉が入っておるからです。私、社会保険ということでいいのではないかと思われたので、「等」という点に疑問を持って今のような質問が起こってきた。所掌というのは、「等」がある。「等」とは将来を予定して、おのずから社会保険等ができるというお考えなのか。——社会保険以外の医療の問題に影響力を持つことは言うまでもありませんよ。私が聞いているのは、この法律規定するからにはあいまいな点があってはならぬのじゃないか、明確にする必要があるのじゃないかと思ってお尋ねしておるのです。質問の趣旨がのみ込めないかもしれませんが、あとでお尋ねをする上に必要なことでありますから、もう一ぺん伺います。
  83. 高田政府委員(高田浩運)

    高田政府委員 それは今申し上げましたように、第一の社会保険等という意味は、社会保険、それから労働者災害補償法、それから公務員の災害補償法、そういったものを予定しまして社会保険等といたしたのであります。
  84. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 一応社会保険等というのは、社会保険あるいは社会保険と同意味を持つような既存の制度を意味しているというふうに理解したいと思うのであります。  そこで私は、このようなお尋ねをいたしまするのは、次に本格的な質問を試みたいと思うのであります。それは今度の問題は、単に医療報酬基準というものを、いかに合理的な結論を出すかという点にあるのでありまして、単なる学問的な、科学的な的確な結論を得ることが非常に至難である、というのは、利害関係がはっきり対立した中においてその答えを求めようとしておるところにあるわけでありますから、特に前提は開業医、ことに自由主義経済のもとにおける医療現状から、当然その人たちが医療報酬を通じて収入の道をはかる、あるいは自分の地位を経済的に要請していくという自由は保障されなければならない現段階でありまするから、ここから起こってくる要求はこういうものできめつけることは実際上不可能である、また一方は、社会保険それ自身を育成していくための社会的な要請ももちろん前提になるでありましょうが、危険でありますから、支払者側の意思というものも、できるだけ負担が軽くて効果を高く求めていくということは、これまた当然であります。この両方の立場を異にしたものが、今争いをかまえておるのであります。こういうさ中においてこの問題が取り扱われるということが、本委員会における最も重要な、注意を払うべき点であろうと思うからであります。この点を明らかにしないで、ただ観念的にこういう問題を取り扱うということは危険でもあると思うのです。言いかえますなら、政治問題になっておるのであります。その政治問題をも解決し得るような結論を与えるということが、本国会におけるわれわれの重要な任務でありまするし、政府は特にこの問題にはかなり深入りしておりますから、どうしてもその経過なりあるいはその実態というものを正確に把握してこの問題を論議しなければ、私はほんとう解決にならないし、また、よい立法と言い切れないと思う。でありますから、法案自身はきわめて簡単であると思うのであります、今の程度の質問である程度理解できるのであります。  そこでお尋ねをいたしまするが、この問題に深い関係を持っておりまする次の三つの点について、私の調査が間違っておりましては結論に大へんな相違が出てくると思いますから、念のために次の三点について一つ政府の御答弁を願って、それからさらに時間の許す限り真相を究明しつつ質問を続けていきたいと思います。  その第一は、昭和三十六年八月、自民党と両医師会との間に、当時、医師団体の方では保険医総辞退というような、きわめて社会的には重大な反響を呼ぶ態度を前提にして、医師の立場を守ろうとした運動が発展しようとした時期に、自民党の代表と医師会の代表との間で話し合いをして、ある程度の結論を見出して妥協が行なわれたと聞いておるのであります。この問題の了解事項といいますか、あるいはどういう形のものでありますか、これが今日この問題を論議する上にきわめて重大な前提になると思いますので、これは政府では答弁できぬということでありますならば、他の方法で明らかにしなければならぬと思いますが、しかし今日、そういうことを隠す必要はないと思うので、その内容をはっきりお互いに確認して次の質問をしてみたいと思うのであります。私の手元にあります資料は、ごく簡単にその了解事項というものがございます。  それから第二に明らかにしてもらいたいのは、昨年の臨時国会で、自民党、社会党の共同修正によりまして、医療協議会、すなわち中央医療協、地方医療協を含む、正確に言いますならば社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案が成立をしておるのであります。この協議会が、今日地方は曲がりなりにも実施段階に入っておるわけですが、中央医療協というものは、今日全く法律の推進が不可能な状態に放置されておる。その理由は何かということをこの際明らかにしておかないといけないと思うのですが、この事情を一つ明らかにしていただきたい。  この二つの事柄をまず伺いまして、それから順次お尋ねをしていきたいと思います。
  85. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 お答えを申し上げます。  昨年の八月一日を期して保険医総辞退というような紛争がございましたことは、御承知通りでございます。とれにつきましては、さような事態を回避したいということでいろいろ努力をいたしたわけでございますが、三十六年七月三十一日に、今お尋ねになりました自由民主党の政務調査会長並びに日本医師会長、歯科医師会長及び私の名前を連ねました合意書というものができたのでございます。この道行きにつきましてはいろいろございましたが、当時厚生大臣医師会との間で直接いろいろお話し合いをするというような情勢でなかったわけでございますので、自由民主党の方でいろいろあっせんをし、奔走をせられました結果、最後の妥結点としてこの合意書ができたのでございます。その内容は、多分お手元にあるのではないかと私は思いますが、念のために申し上げますれば、「医療問題について政府、自民党及び日本医師、歯科医師両会は左記の通り合意に達したのですみやかにこの実現を期する。」記といたしまして、「医療保険制度の抜本的改正。」それから「医学研究と教育の向上と国民福祉の結合。」それから「医師と慰者の人間関係に基づく自由の確保。」「自由経済社会における診療報酬制度の確立。」この四つの項目について合意に達した。なお、右によって八月一日に予定の保険医総辞退は行なわれない。それから厚生大臣設置する懇談会に両医師会代表は参加する。これが七月三十一日付をもちましてできました合意書でございまして、との結果、八月一日に予定せられておりました保険医総辞退という事態が起こらなくて済んだ、こういう経過になっておるわけでございます。この合意書に対しまして、私も名前を連ねておるのであります。私は、それを拝見いたしました際に、ようやくこの四つの項目について合意するということで保険医総辞退という事態が回避されるというお話でございましたので、私もこれを了承いたしましたようなわけでございます。かつて委員会においても御質問もあったと思うのでございますけれども、いずれもみな重要な項目でございます。われわれといたしまして、まじめに検討すべき問題であると思うのでございます。ただ、同時に、具体的には何にも書かれておるわけではございません。要するに、医療保険制度を抜本的改正をしようじゃないか、あるいはまた、自由経済社会における診療報酬制度の確立をはかろうじゃないか、こういう御趣旨のものと私は了解いたしたのでございます。従って、掲げられております言葉通りに受け取って、そうして私どもこれを了承しようという経過で、私も名前を連ねるように立ち至りましたようなわけでございます。  それから、いま一つのお尋ねの懇談会了解事項というものでございますが、幸いにいたしまして、保険医総辞退というような事態が回避せられることになりました。私、就任以来考えておったことでございますが、いわゆる国民保険、こういうような事態になりました場合に、それぞれの立場の者がいろいろ意見がある、あるいは利害が対立するということはもちろんあり得ることでありますけれどもお互い協力して、平和なうちにこの国民保険内容、実質を改善し、向上させていかなければならぬ、お互いに協調していかなければならぬ、こういう心持が基本的に必要じゃないか、こういう考えもございましたので、この懇談会ということを頭に描いておったわけでございますが、その懇談会を、事態が終結いたしました後に開きまして、数回にわたって会合いたしたのでございます。これは支払者側並びに診療担当者側大体同数が出席せられまして、それに私が加わりまして、いわばひざを交えてお話をしたというような形のものでございます。要するに、懇談をいたしたということでございますが、その懇談の結果といたしまして、一応の区切りをつけたときに、懇談会了解事項というものを作りまして、発表もいたしましたようなわけでございます。この内容につきましては、一々申し上げることもいかがかと思いますから、多分お手元にあると存じますので、それで御了承いただきたいと思うのでございます。私としましては、この懇談会において、支払者側もまた診療担当者側了解せられたことでございますので、これを逐次実行可能なものから取り上げていって進めて参りたい、こういうような心持でおりましたようなわけでございますが、その後に至りまして、ややできかかっておりました協調的なムードというものがこわれて参りまして、現在、非常にむずかしい状態にあるわけでございます。これにつきましては、次の問題についてのお答えによって御了承をいただきたいと思うのでございます。  厚生省といたしましては、今申しましたように、この懇談会了解せられましたような事項の方向に向かって逐次進んで参りたいと考えておりましたが、同時に、前の通常国会、すなわち古井前厚生相の当時に、今回御審議を願っております臨時医療報酬調査会法案、並びに前の臨時国会で御審議を願いました医療協議会に関する法律案、この二つを前の通常国会で御提案したわけでございましたが、不幸にしてこれが成立しないままになっておりました。臨時国会に臨むにあたりまして、私は、社会保障制度審議会答申によりましても、この両者を含めて、適正な医療報酬を求める方策として答申をいただいておりますので、本来、両方一緒に出すのが適当であったかと思うのでございますけれども、当時の事情といたしまして、この臨時医療報酬調査会法案提出する運びにまでは至らなかったのでございます。また、会期もきわめて短いことでございましたので、結局、片一方を思い切りまして、それはあと回しということで、医療協議会に関する法案提出いたしましたわけであります。その医療協議会法案が、社会保険審議会あるいは社会保障制度審議会等の答申内容と若干食い違っておりましたことは、井堀さんも御承知通りであります。答申通りにやらなかったということについて、実はかなり手痛いおしかりをこうむった。同時にまた、答申通り医療報酬調査会法案を出さなかったということでも、だいぶ手ひどい攻撃を受けたわけでございます。また、国会におかれましても、なぜ一体医療報酬調査会法案を今回出さなかったのか、こういうふうな趣旨の御質疑もいただいたわけであります。そういう経過をたどりまして、前の臨時国会が終わりましたわけでございますが、この経過を通じまして、支払者側の諸君が非常な不満を抱かれたわけでございます。中央医療協議会の重要な要素が修正せられておるではないか、なぜ一体諮問機関答申通りにやらなかったのか、こういう問題、同時に、医療報酬調査会法案を同時に出さなかったという、この御不満というものが非常に強くなったわけでございます。さようなことから、従来協調的なムードで進みかけておったのでございますけれども、残念ながら、そのムードがこわれてしまったというふうなことで、私としましては、まことに残念に存じ、また遺憾にも存じておる次第であります。おそまきながら、今回の国会におきまして医療報酬調査会法案提出いたしまして、昨年の通常国会において両法案を出したような形に持って参りたいというので、今回御提案を申し上げましたようなわけでございます。この中央医療協がいまだに組織せられないということは、何と申しましても、政府といたしましても皆さん方に申しわけないととろであります。できるだけ早く組織いたしたいと存じておりますけれども、今もって問題が解決するに至らない。非常に残念に存じております。できるだけ私どもとしましても手を尽くしまして、また、多少時間がかかりましてもどんなにいたしましても、これは最初に申しましたように、いろいろ現在の形の上においては対立抗争みたいな形もございますけれども、そうあってはならない。どこまでもやはりお互いが協調的な気持でやっていくという姿に持って参らなければならぬと存じますので、かれこれと苦慮いたしておるような状況でございます。  これが現在までの経過でございまして、私は、地方医療協はどうやら出発することができましたけれども、いまだに中央医療協を出発させることができないということにつきましては、非常に遺憾に存じ、国会の皆様方に対しましても相済まない次第と存じておりまして、今後ともに努力を継続いたしまして、何とか発足するようにいたしたいものと念願いたしておる次第でございます。
  86. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 そこで、もう一つお尋ねしてみたいと思いますのは、自民党と両医師会との間の懇談会で話し合いがまとまったその際に、私はできたことをここで繰り返してもやむを得ぬと思いまするが、今後にいろいろ関係を大きく持ってくると思いますから、一応遺憾の意を表しながら、厚生大臣の見解をもう一度明らかにしたいと思いまするのは、こう言ってはなんでしょうが、医師会と自民党との間でこういう話し合いをするということはあり得ることでもありますし、あの場合においては望ましいことであったかと私は思うのであります。しかし、国務大臣が、しかも担当大臣がそういう、要するに懇談了解事項というか、あるいは交渉の結末に対する始末書に同意して署名するというようなことは行き過ぎではないか。世俗の言葉で言うと、焼け火ばしを握らされたような仕儀になって、これは私は千慮の一失だと思うのです。灘尾さんのような思慮の深い大臣が、これはどういう意味から言いましても、私は弁護できないのではないか。今後もあることでもありまするが、その始末はつけなければならない。私がこういうことを申し上げるのは、要するに保険を一日も早く理想の姿へ推進さしていきたいという意欲からであります。こういう問題で一番迷惑を受けるのは被保険者です。言いかえまするならば、国民福祉のための社会保障の重要な部分が停滞したり、あるいは後退をするようなことがあるとしたら許されないと思うのです。そういう意味で、私はその責任は追及されざるを得ないと思う。まことに遺憾ではありますけれども、そういう点に対して非常に残念に思っておる一人であります。特にわが党は、こういう問題についてはかなり経過についても関心を持ちまして、あのときには公開質問状を自民党にも出しました。まさか大臣がと思いましたのに、こういう事態が発生いたしましたことは非常に残念に思っております。そこでその解決を促進するためには、要するにその際の申し合わせというものを、われわれしりぬぐいしなければならぬ結果になっておると思います。国会自身が、その問題に対して配慮しないで法案審議できなくなったということは、まことにわれわれにとっては遺憾しごくである。  そこで今御説明がありました中で、私の手元にありまする資料でもう一度お尋ねをしてみたいと思います。それは診療報酬についてというので、次のように述べてある。「国民保険下、医療担当者の診療報酬については、医学医術の進歩に応ずるとともに、国民生活水準の向上をも配慮して、今日の経済体制の下における適正な診療報酬の実現を図る。」こういう前文で、一、「適正な診療報酬は、特に経済成長のテンポが速い時期においては、社会経済の推移に即したものでなければならないので、関係者の協議により医業経営の実態、国民の負担および保険財政などに関する調査を実施し、その結果に基づいて、適正な診療報酬の実現を期する。なお、現行の診療報酬につき、特に緊急是正を適当と認められる事項については、政府部内でとり急ぎ十分な検討を加え、成案を得次第、医療協議会にはかる。」二、「診療報酬地域差」の撤廃、以下省略します。三、「甲乙二表の一本化」、これも以下省略いたしますが、こういう内容のものが、当時医師会と自民党の間に了解されたということであります。この点間違いないでしょうか。
  87. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 この点は、そうではないのでございます。先ほどの四項目、きわめて抽象的なものでございますが、四項目の合意書というものにつきましては、私も名前を連ねてサインをしておるということを申しました。この懇談会了解事項と申しますのは、その後におきまして、関係者の間の何とか協調的な気持をもって、お互いに物事を相談しながらやっていこうというふうな気持を醸成して参ろうという考えのもとに、私が——これは厚生省でございます。厚生省の私が、実は医療関係、療養担当者側並びに支払者側の方々の御出席を願って、そうして私が進行係を勤めていろいろ懇談をしたという、そのものが了解事項として出てきておるわけでございます。これは自由民主党とは関係のないことでございます。
  88. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 それから次にもう一つ明らかにしておきたいと思いまするのは、さきにお答えを願いました中央医療協議会が発足しようとする際に、関係団体の間に、折衝についてかなり御努力された経過をわれわれは伺っております。意見の一致を見ることができなかった。特に今度の改正によりまする支払者側といいますか、事業主並びに被保険者の代表の方から、中央医療協に対する委員の選出について異議が出た。その際に、厚生省とこれらの代表委員との間に、懇談会がたびたび行なわれたようであります。その際に、ある程度の了解事項というものができた。その一つに、今度の調査会法案の問題が深い関係を持っておると思いますので、これも私の一方的なあれかもしれませんが、その話し合いの中でどの程度の事柄が公表できますか、公表できる範囲内において伺いたい。
  89. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 支払者側の皆さんの協力を求めますために、私も、また事務当局も、いろいろお話し合いをいたしたわけでございます。私は、お集まりを願いましたときに、私の所見として二、三申し上げたことがあるのでございます。おそらくそれをおっしゃっていらっしゃるのじゃなかろうかと思うのであります。自分としてこういうものの考え方をしておるということを支払者側に申し上げた事実はございます。そのことじゃございませんでしょうか。
  90. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 それから医療担当者側から予定されておる八人の委員のことにつきましては、いろいろ伝えられておりまするが、それは全く最初から委員を出さぬのでありましょうか、あるいは条件によってということでありましょうか、その辺の交渉の経過について伺いたい。
  91. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 中央医療協議会委員構成につきましては、今申しましたような状態にございますので、医療担当者側に対しましても、まだ具体的なお話し合いはいたしておりません。大体各方面の御了解を得た上でと、かように考えておりますので、具体的な話し合いはいたしておりません。ただ私としましては、この中央医療協議会に対しましては、医療団体側の御協力を得られるものと期待をいたしておるような次第でございます。
  92. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 問題は、私はその中央医療協議会の発足が大前提になるのではないかと思います。さらに、その発足以前に、本法案をめぐって解決のためにプラスするような働きを作用させるということが、何よりも大切ではないかと思うわけであります。それで実は、交渉の経過をそう詳細に発表することはもちろん適当でないと承知をしておりまするが、しかし、ある程度のことを理解しないで、こういう問題の審議は、時間の空費になるおそれがある。あるいはもっと積極的なそういう関係の解決に、マイナスになるようなことをもやはり考慮しなければならぬ事態であると思うわけであります。冒頭に申し上げましたように、私どもは、ぜひ一つ医療担当者側とあるいは支払者側との紛糾を一日も早く合理的な結論に導くことが、国民全体としての要望である。ことに被保険者にとりましては、そのために被害を受けるようなことが現実に起こっておる。特に医療の問題は、非常に心理的な影響が患者にとっては大きく響いてくるのであって、しかも、それは生命に関する問題でもあります。こういうような問題が紛糾のままに、長期放任されるということは耐え得ざるところである。でありますから、大乗的な見地に立って、両者の意見の調整が一日も早く行なわれて、そしてスムーズに安心して医療が受けられるような状態を作り上げる任務がおのおのあると思う。私どもはかような見地に立って、両者の言い分は、もちろん言い分として十分聞かなければならぬと思います。その解決に役立つような法案審議が行なわれなければ、いかに名文で合理的な法律文書につづられたものでありましても、実効が上がらないのでは何にもならないと思うからであります。そういう点で、私は本案の審議は非常に重大だと思うのであります。今までお尋ねをしたのも、そういうことを考えて従来にない質問の仕方をしておるわけであります。でありますから、その経過なり実際の姿というものを、この委員会でも、われわれとしては正確に把握することが必要だと思ったからであります。もちろん、こういう席で、そういう形でこういうことを知ろうとすることが適切であるかどうかは、問題があるかもしれません。しかし、一段階として、この形において質問を試みることも大切だと思いましたので、実はお尋ねしたわけであります。でありますから、全部ぶちまけて伺うことがいい場合と悪い場合とがあることを承知して、実は伺っておるわけであります。そういう意味でお尋ねしておるのであります。  私どもがどうしてもこの際知らなければなりませんことは、開業医の立場を代表する三団体が、猛烈に、この機会を逸せずに、自分たちの地位なりあるいは現実と将来とを結びつけて有利な条件を確保しょうということは、自由主義経済のもとにおいては当然なことだと思います。でありますから、その方を応援するような力が国会の中でこう然と起こり、また反対に支払者側——今日の健康保険あるいは厚生年金保険のような場合は、支払者側というものは被保険者と必ずしも意見が一致するものではありません。しかし今の姿は、一応被保険者を代表する委員と、それから支払者側、俗にいう使用者側の委員とが共同歩調をとっておるという点が、まだ問題が悪い姿に発展しない以前の姿であるから、この際にこそ問題を早く処理すべきであると考えるのであります。しかし、これが三者三様の対立をするようになりますと、その圧力がそのまま国会に加わってくるというようなことになりましては、問題の解決は不可能になってくると思います。法案審議は中心をそれて、むしろ紛糾の中に国会自身の審議が巻き込まれると思いますから、こういう点の配慮が私はこの際非常に大切だと思いますので、あえて私はこういう質問をしておるわけであります。ぜひこういう問題を解決する努力を私どもはやらなければならないと思います。それで本日はごく概括的なことをお尋ねしたわけでありますが、これからはそういうものにプラスになるように、質問をする方も答える方も努力をすべきではないかと思うのであります。  それで先ほど答弁願いました中で、もう少し明らかにしたいと思いますのは、これはそういう意味で、厚生大臣は閣僚として問題を進めるだけでは本格的な解決にならないと思います。今度はやはりその跡始末をするための措置をとる必要がある。このためには、私はこういう形で審議をする……(「定足数がないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)途中ですが、私実は理事でもありませんし、会議の進め方についてどういう取りきめになっておるのかわかりませんが、今社会党の理事の発言によりますと、定数不足の委員会ではちょっと質問ができませんので、その間話し合いをして下さい。
  93. 中野委員長(中野四郎)

    中野委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  94. 中野委員長(中野四郎)

    中野委員長 速記を始めて下さい。
  95. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 本法案の推進をはかるためには、もろもろの条件をやはり克服しなければならないと思いまするが、その中で、さきの臨時国会で成立をいたしました社会保険医療協議会法案のその後の経過についていま少しくお尋ねしてみたいと思いますが、この案が社会党、自民党の共同修正になりまして、委員会が採決を諮る際に、わが党の態度は当時明らかにいたしました。それは、修正案の公益側の代表が、答申案の場合には、社会保障制度審議会答申案に政府が忠実でないのみならず、さらにそれが三転して修正を加えられたのでありますが、私どもは、当時社会保障制度審議会答申案に多少の不満があるといたしましても、こういう制度を尊重していくという建前から、答申案が尊重されることを希望しておったわけであります。それが政府によって修正、さらに両党の修正が行なわれておりまするが、その修正のおもなる点は、公益側を代表する委員の四名が、両院の承認を得る人事にした点であります。これはその当時も意見を述べましたので、その重複を避けてお尋ねをしまするが、こういう委員の選び方は、三者構成という建前を数の上でアンバランスにしただけではなく、さらに今度は、それを補うという意味であったかと思うのでありますが、逆に異質の——すなわち利害関係を代表する委員公益側委員とがそれぞれの立場を異にするということは、これはもう最初から明らかであります。しかし公益側委員だけ、一部の委員だけを国会の承認人事にするということは、一つ委員会構成する上にも不合理があるじゃないか。また、そういうやり方について、関係委員がそういうものに協力するということは問題があるのではないかということで、われわれは難色を持っておりました。しかし、要するに多数の意見によりまして決定をなさったのでありますから、将来を見守ってきたのでありまするが、私どもの案じましたように単なる杞憂でなく、全く今日中央医療協の発足ができないというのも、重ね重ね残念であるとともに、遺憾の意を表する次第であります。そこで、この問題を今どうするというわけにはいかぬといたしましても、少なくとも両者の委員の参加が得られ、すなわち利害関係を代表いたしまする事業主及び被保険者の代表、それに医療担当者の代表者がそれぞれこの委員会委員を送り、さらに政府は、すみやかに四人の委員を国会の承認を求めるという手続がなされなければならぬのは、これは最小限度の政府責任だと思います。これが今日実現できないのは一体いかなる理由であろうか、この点を明確にする必要があると思いまするので、許される範囲内でけっこうでありまするから、それぞれの三つの立場をとる委員、特に政府が国会に承認を求めなければならぬ人事が今日なされないということには、それぞれ理由があると思いますので、それらの理由について一つお答えを願いたいと思います。
  96. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 御指摘になりました点につきましては、私もまことにごもっともに存じます。今日なお中央医療協議会が発足するに至っておりません主たる理由は、先ほど来申しておりますように、いわゆる支払者側の御協力がまだ得られないというところに私はあるかと思うのでございます。これが御協力を得られて、療養担当者側並びに支払者側からそれぞれ委員を充足することができる状態になりましたならば、政府といたしましても、国会に対しまして公益側を代表する方の御同意を求めるという手続をとりたいと存じておりますが、問題は、利害の対立いたしておりますいわゆる支払者側と療養担当者側との間において、支払者側の御協力をまだ得られないという遺憾な状態にありますので、諸般の手続を進めるわけに参らないという残念な状態にあるわけであります。
  97. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 この問題の解決がなされないと、ここで臨時医療報酬調査会法が成立してもやはり無意味な状態を繰り返すことになることに変わりがないので、どうしてもこの問題の解決をわれわれはこの機会に見通していかなければいけない。それで私の仄聞するところによりますと、支払側と被保険者側を代表する委員は、ある点で全く意見が一致して、当局にもいろいろな要望をしておるようであります。その要望事項がいれられれば欣然参加するというふうに聞いておるのですが、その要望事項というものを——私はある程度知っておりますが、この際明らかにする必要があると思いますから、御発表願いたい。
  98. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 私の承知いたしておりますところでは、大ざっぱに申し上げまして、二つ問題があるかと思います。一つは、この臨時医療報酬調査会法案の成立ということ、いま一つは、療養担当者側構成についての問題、具体的に名前を申し上げるのもどうかと実は思うのでございますが、療養担当者側病院を代表する、いわゆる組織診療、そういう側を代表する委員の人選、こういう問題について御希望があるように私は伺っておるのであります。大体この問題が関係方面においてそれぞれ納得せられれば、問題は解決が近いのではなかろうかと思います。
  99. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 二つのうち一つがこの法案の通過にかかっている、そこに問題があるわけであります。それから医療担当者側の三団体との間にはある程度話し合いをつけておかないと、この法案が通過することによって、プラスになればいいが、マイナスになるようなことになりますと、またここで従来長い間不測の状態にありましたものを、今度は変わった形で続けていくということになる公算が強いのでありますが、この点に対する見通しであります。単なる見通しでは済まぬかもしれませんが、こういう点を、ある程度この委員会厚生大臣としては意思表示しておく必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  100. 灘尾国務大臣(灘尾弘吉)

    灘尾国務大臣 この法案に関しまして、支払者側といたしましては、この法案が昨年の審議会の答申通りの姿で通ることを希望しております。そうなれば問題はないわけでありますが、医療担当者側の方においては、これに対しましていまだ賛成をしておられないのが現実の姿でございまして、私は非常に残念に存じております。なかなか御了解をいただけないという姿でございます。  ただ、実は私率直に申し上げたいと思いますが、中央医療協議会の問題にいたしましても、ともかく国会で議決せられ、通過せられた法律でございます。従いまして、いろいろ御意見がありましても、この法律については御協力をいただきたい。将来また不備な点を直すとかいうことは別といたしまして、ともかく国会を通過した法案に対しましては、たといそれまで反対しておられてもこれには御協力いただきたい、こういう考えできておる。従って、今の支払者側の諸君に対しましても、いろいろ御希望はありましょうけれども、この国会で成立した法律案に対しては協力してほしいという気持があるわけでございます。この点は、同様に医療担当者側の皆さんに対しても私は申し上げたいと思うのであります。従来さような点において、たとえば中央医療協議会運営等におきましても御意見があろう、あるいは御反対のお気持もあろう。しかしながら、その協議会をボイコットするとかなんとかいうことではなしに、やはりその場においてお互い審議を尽くして結論を得られるように、お願いいたしたい、こう思っておりましたけれども、なかなかそういかないのが今日の姿でございます。今回の場合におきましても、この臨時医療報酬調査会法について、医師会側におかれて、あるいはその他関係団体におきましていまだに反対の態度でおられるということは、私はまことに残念に思っております。さりとてこの法案を、それでは療養担当者側が今反対であるから、これは引っ込めなければならぬかということを考えます場合に、やはりこの国会においてぜひ御審議を願いたい、また国会の御論議を通じまして医療担当者側の皆さん方の御理解も得たい、また通りましたならばぜひこれには御協力をいただきたい、これがほんとうの筋道ではなかろうかと私は考えまして、現在まだ御賛成はいただいておりませんけれども、あえてこの法案提出いたしたようなわけでございます。十分御論議をお尽くし願いまして、それによって御理解も深め、また国会で御承認をいただいたならば、これに対しては関係団体ともにぜひ協力してほしいもの、こういうような気持を持ってこの法案提出したようなわけでございます。
  101. 井堀委員(井堀繁男)

    ○井堀委員 問題のあり場所はきわめて明確になっておると思うのであります。しかし、本案は、先ほども繰り返し述べておりますように、単に法案審議事務的に行なうことによって推進のできない本質がきわめて明確になったと思います。その問題の解決のためにどうすればいいかということを含めて質問を続けたいと思いますので、本日はこの程度で留保いたしたいと思います。
  102. 中野委員長(中野四郎)

    中野委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明十九日午前十時より委員会を開会することとし、これにて散会をいたします。    午後四時五十八分散会