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灘尾国務大臣 今回の予算で、いろいろ御審議をいただいているわけでありますが、
お話の
通りに予算を要求する立場と申しますか、
厚生省としましては、少なくとも世帯主の七割
給付はやりたい、かような心持でいろいろ
検討をいたしておりましたわけであります。予算の折衝に
あたりまして、結局は
保険財政ないしは
国保財政というような
関係が強いわけでございますけれ
ども、ともかく今回は療養
給付率の五分
引き上げということに主力を注ぎまして、これを実現するということになりまして、御期待に沿うことができなかったわけでございます。ただ先ほど局長からも
お話し申し上げておりますように、ただいまの
国民健康保険の
状態でもって事足れりというふうに私
どもも
考えてはいないわけであります。この七割
給付、これは世帯主の七割
給付ということを申しているわけでございますが、これもしかし究極の目的ではない。七割をもっと上げなくてはならぬということも
考えなければならぬ問題でございます。お言葉にもございましたけれ
ども、目標はそんな低いところにはないわけでございますけれ
ども、スタートのラインがだいぶ下がっております。これを逐次回復していく、そしてだんだん上げていくということを、現実問題としてやらざるを得ない。なかなか一挙にはそこまでいかない。これは
一つは
保険ということでございますので、やはり被
保険者の方の御
負担ということも
考えなければなりませんし、同時にまた国もこれに対する援助をするといたしましても、国の援助にもおのずから限界があるので、逐次問題を
解決していくという方向で進まざるを得ないと思うのであります。経済の高度の成長をはかり、
国民所得の増大をはかり、
国民生活の
向上をはかっていくということが、お互いの究極の目的でございます。そういうふうな施策がだんだん実を結んで参りますならば、現在
保険料の
負担が苦しいというような方々も、ある程度解消せられるであろうということも
考えられます。同時にまた国の方から申しましても、
国民の所得が増大すれば、必ずしも今のように、
国民の税金につきましても、二割で固定しなければならぬとか、二割以下でなければならぬとか、そういうこともない。社会保障
関係の進んでおる国々の
国民の税
負担の
状況を見ますと、日本のように低い国はないと思う。これもしかしやはり
国民にそれだけの力がついてくれば、少々税
負担が上がりましても響き方は軽いということにもなりましょう。そういったような道を
通りまして、ひとり
国民健康保険のみならず、社会保障全体について
政府としても
考えていかなければならない問題であります。さしむき
国民健康保険が、実は
医療保険といたしましては、
厚生省として最大の関心事でございます。今回の御審議を願いますものは、療養
給付費の五分
引き上げということを中心としての案でございますけれ
ども、私
どもはこれでいいのだ、これで十分なんだというふうな
考え方はもちろんいたしておりません。むしろ
国民健康保険を中心として、日本の
医療保険をいかにして
改善充実するかということを、当面課せられた大きな課題として、真剣に取り組んでいかなければならぬと思います。この
国民健康保険の一番の弱点と申しますか、難点と申しますかは、何と申しましても
保険財政の基盤が弱いということ、安定していないということであります。
一つにはいわゆる皆
保険になりましたのがこの間で、
実施早々のことでありますので、そういったふうな面もあろうと思いますけれ
ども、御
指摘にもありましたように、何さま地方の、ことに
国民健康保険の被
保険者の方々の所得の水準があまり高くないわけであります。そういう点で、
財政上の問題が大きく
国民健康保険にかぶさってくる。これをどういうふうに
解決していくかということが今後の問題でございますが、その方途といたしましてはいろいろございましょう。一般的に申せば、今申しましたように
国民の所得をふやすということが、何よりも大事なことだということがいえる。何と申しましてもお互いの共同の力によって、
医療保障の実を上げようという建前でございます。そういう意味から申しますと、
国民の所得能力の増大ということをはかる政策が、非常に大きな意義を持つと思うのであります。それはそれといたしまして、現在の
財政基盤を強化する
方法としましては、私はいろいろな
考え方があるだろうと思うのです。現在のような
方法だけでやっていいものかどうかということでございます。先ほ
ども話に出たのでありますけれ
ども、直接に
国民健康保険の
財政を強化するという
方法もありますし、同時にまた間接に
国民健康保険の
財政支出を軽減するというふうな方向の施策も
考えて
考えられぬわけじゃない。たとえて申しますと、
国民健康保険の
実施されております地域において、保健活動、いわゆる健康保持の活動が強化されるとか、あるいは栄養の
改善ということが進んでくるとか、こういう施策が進んで参りますれば、おのずから
病気は減ってくるわけであります。
病気が減ってくれば、少なくとも療養
給付に対する
国民健康保険の
負担は減ってくる、またそうなくちゃならぬと私は思います。
そういうふうないろいろな
方法がありましょう。国が
負担するだけでいいのか、あるいは市町村にも
一つ御心配願った方がいいのか、いろいろな問題があろうと思うのでありますが、ともかく現在の
国民健康保険の
状況に、私
どもも皆さんと御同様に満足いたしているわけではございません。これをむしろ
医療保障の中におけるまずもって取り上げて真剣に
検討すべき問題として、私
どもは扱っておるわけであります。またいろいろお知恵も拝借いたしまして、なるべくすみやかに
国民健康保険の
財政基盤が一そう強化せられる。さらに七割
給付あるいは八割
給付というようなことが実現できるように持って参りたい、こういうつもりでせっかく事務当局にも勉強してもらい、
関係の諮問機関等にも
検討をわずらわしておるわけであります。御協力をぜひいただきたいと思います。