○滝井
委員 その着目をもう一歩中に入ってみる必要があると思うのです。私は今の
医療政策というものは、これくらい巧みな、ずるい
医療政策はないと思う。まず第一に
診療報酬の額、これは公定料金というものは国が決定するのですよ。そうでしょう。そうして間違ったのは監査をやるわけです。これは
私的医療機関であろうと、
公的医療機関であろうと、みな同じです。
医療内容が規制をされて、その
内容に対して払うお金、報酬が
健康保険では規制をされているわけです。これは
公的医療機関であろうと
私的医療機関であろうと、全部同じです。しかも対象が同じです。そうするとこれを一体どうして私的と公的とに区別しなければならぬか。区別するところは
一つある。それは税金です。片方は税金を坂らない。片方は税金を取るのですから、これで区別したらいい。貸し出しの面で区別するならば、理論的には
診療報酬その他も区別しなければならぬことになる。ただ税金の面だけは、その所得が
個人に帰するか、公のものになるかという違いがある。違うところはここだけですよ。あとは
医療機関については違うところはないのです。だからここで規制しておればいい。それを二段、三段と金融の面から、床面積から、貸し出しの限度額まで差別をつけなくてもいいということです。それをもしあなたがそういう
政策をおとりになるならば、今や自由民主党の皆
保険政策と逆行した
政策を金融
政策はとっておるということです。皆
保険以前の昔ながらの自由
診療を主体にしてものを
考えておるのです。そうじゃないでしょう。自由
診療というものはないですよ。税金をごらんになっても、もとは一割とか二割くらいまで、ここ四、五年くらい前まではありました。ところが最近は急激に自由
診療というものは減ってきているのです。そうすると
私的医療機関と
公的医療機関というものは、同じ
状態で仕事をやっているのです。ただしかし最後の利潤の帰属がどこになるかという違いだけです。ここで調整したらいいのであって、あとの貸し出しその他は、私は均等、平等でなければならぬと思うのです。この理論というものは私は明白だと思う。それから新築や増改築でも、昔建てた
病院は古くさくなったらだれも来手がない。りっぱな
病院がどんどんできるわけですから、必然的に保安上、耐火上、こういうものは都市としてはやりかえなければならぬということは、保健所なり消防署、労働基準監督署が
指摘している。こういうことを許さぬからこそ、このごろ
精神病院を見てごらんなさい。みんな焼け死んでしまった。いつかの本
会議でだれかも言ったように、パチンコ屋には冷房や暖房の装置があるけれ
ども、
日本の一流の大
病院には冷房、暖房の装置がないじゃないか。こういう差別がつくから冷房、暖房はできないのですよ。もう少し岩尾さん、頭を切りかえて、今の自由民主党の
医療保険政策というものは一体いかなるものなんだということをお
考えになったら、これは一視同仁ですよ。一視同仁の
政策をとっている。
私的医療機関であろうと
公的医療機関であろうと、全部同じワクの中にはめ込んでいるのですからね。それで
公的医療機関だって、岩尾さん、一ぺん聖路加
病院においでになってごらんなさい。一体われわれのような貧乏人が聖路加
病院に入院しておるかどうか。これは税金がかからないのです。
公的医療機関ですよ。あるいは日赤の中央
病院においでになってみたらいい。そういうところはみんな特別のベッドを持って金をお取りになっておる。その営利性というものだけに焦点をしぼってみたら、普通の
私的医療機関よりも激しい営利性を持っていますよ。
病院の経理をごらんになってみたらわかる。
健康保険制の収入とそうでない特別の収入との比率を、行ってお調べになってごらんなさい。
健康保険で一文も払わずに入れておるのかどうか。差額金を取っておるのかどうか。みな差額金をとっております。きのうも
指摘しました
健康保険の
保険局の足元にある
健康保険の
病院でも、今度新しく建てたものは全部差額徴収です。そういう
実態です。営利性という
内容に入って、営利性はいずれが多いかと言うと、
公的医療機関の方が多いですよ。そうしないと独立採算制だからやっていけない。あなたは国家公務員だから、国家公務員に所属する虎の門
病院に行って、病床を全部お調べになって下さい。一体国家公務員がよけい入っておるか、
健康保険や、生活保護や、その他の者が入っておるか。入院しておるのは共済組合の者は少ないですよ。これは一体なぜです。それは独立採算制ですから、うんとかせがなければ大へんですと言う。あそこに行って聞いてごらんなさい。私は国会の専門
調査室に聞いてもらったのですが、そう言うのです。営利性の面からいったら、それの方が営利性があるのです。こういう点もう少し
内容に立ち入って御
検討なさらぬと、表面的にこういうものだけで決定されたのでは非常に困るのです。何も私は
私的医療機関の味方をするわけではない。ただ
病院、
診療所というものを一視同仁に見て下さい。そうして最後の
段階では、これは税金を取るのと取らないのと区別して下さい、これでいいと言うわけなんです。それでどうです。だいぶ頭を縦に振られるから、納得がいったと思うのですがね。それだったらあなたも御協力をしてこの均衡、
公庫と事業団とを同一歩調にしてもらいたい。これを
一つ御言明いただきたいと思う。きょうは大蔵
大臣のかわりに来てもらっておるわけですから、責任を持って御言明をいただきたい。