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1961-12-16 第40回国会 衆議院 社会労働委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会招集日昭和三十六年十二月九日)(土曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 中野 四郎君    理事 大石 武一君 理事 齋藤 邦吉君    理事 永山 忠則君 理事 藤本 捨助君    理事 柳谷清三郎君 理事 小林  進君    理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君       安藤  覺君    井村 重雄君       伊藤宗一郎君    浦野 幸男君       江崎 真澄君    小沢 辰男君       大橋 武夫君    加藤鐐五郎君       藏内 修治君    佐伯 宗義君       澁谷 直藏君    中山 マサ君       楢橋  渡君    八田 貞義君       早川  崇君    松浦周太郎君       松山千惠子君    山本 猛夫君       米田 吉盛君    渡邊 良夫君       赤松  勇君    淺沼 亨子君       大原  亨君    河野  正君       五島 虎雄君    島本 虎三君       田邊  誠君    中村 英男君       吉村 吉雄君    井堀 繁雄君       本島百合子君     ————————————— 昭和三十六年十二月十六日(土曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 中野 四郎君    理事 大石 武一君 理事 斎藤 邦吉君    理事 小林  進君 理事 滝井 義高君    理事 八木 一男君       安藤  覺君    小沢 辰男君       八田 貞義君    松浦周太郎君       松山千惠子君    山本 猛夫君       米田 吉盛君    赤松  勇君       淺沼 亨子君    島本 虎三君       田邊  誠君    中村 英男君       吉村 吉雄君    井堀 繁雄君       本島百合子君  出席政府委員         厚生政務次官  森田重次郎君         厚生事務官         (大臣官房長) 山本 正淑君         労働政務次官  加藤 武徳君         労働事務官         (大臣官房長) 村上 茂利君  委員外出席者         議    員  小沢 辰男君         厚生技官         (医務局長)  川上 六馬君         厚生事務官         (医務局次長) 鈴村 信吾君         厚生事務官         (保険局長)  高田 浩運君         厚生事務官         (保険局次長) 熊崎 正夫君         厚生事務官         (年金局長)  小山進次郎君         厚生事務官         (援護局長)  山本浅太郎君         労働事務官         (大臣官房労働         統計調査部長) 大宮 五郎君         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 十二月九日  国民年金法の一部を改正する法律案中野四郎  君外二十五名提出、第三十九回国会衆法第一八  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  国民年金法の一部を改正する法律案中野四郎  君外二十五名提出、第三十九回国会衆法第一八  号)  厚生関係及び労働関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 中野四郎

    中野委員長 これより会議を開きます。  国政調査承継要求に関する件について、お諮りいたします。  一、厚生関係及び労働関係基本施策に関する事項。  二、社会保障制度、医療、公衆衛生社会福祉及び人口問題に関する事項。  三、労使関係労働基準及び雇用失業対策に関する事項。  以上、各事項について、その実情調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面よりの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中、調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中野四郎

    中野委員長 御異議なしと認め、そのように決しました、      ————◇—————
  4. 中野四郎

    中野委員長 次に、第三十九回国会において提出され、今国会に継続されておりまする中野四郎君外二十五名提出国民年金法の一部を改正する法律案議題とし、調査を進めます。
  5. 中野四郎

    中野委員長 提出者より、その趣旨の説明を聴取いたします。小沢辰男君。
  6. 小沢辰男

    小沢(辰)議員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国民年金法の一部を改正する法律案について、その提案理由をさらにもう一度、今国会冒頭委員会で御説明を申し上げたいと思います。  国民年金のうち、無拠出制福祉年金につきましては、御案内のごとく、恩給法による公務扶助料など他の公的年金を受けておりますと、その支給が停止されることとなっておるのでございます。わが党といたしましては、低所得階層生活保障をその理念とする福祉年金実情等にかんがみまして、この制限緩和する改正法案を去る三十九国会提出し、継続審査となっておるものであります。  改正法案の概略について申し上げますと、まづ第一に、公的年金の額が二万四千円以下でありますときは、その限度で、公的年金福祉年金併給いたしたいと考えております。  次に、公的年金公務により死亡し、または廃疾となったことに基づいて支給されますときには、この二万四千円を七万円に引き上げまして、その限度で、両者を併給いたしたいと考えておるのでございます。  以上がこの法律案提案をいたしました理由でございますが、何とぞすみやかに御可決あらんことを望む次第でございます。     —————————————
  7. 中野四郎

    中野委員長 質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
  8. 滝井義高

    滝井委員 国民年金法の一部を改正する法律案提案理由説明が今ございました。  そこで、政務次官にお尋ねするわけですが、国民年金法が制定をせられた経緯を見てみますと、他の年金あるいは恩給併給しないという一貫をした建前を政府はとってきたわけです。それが最近になりましてから、急に政策転換が行なわれてきたわけですが、この政策転換が行なわれた理由は、一体どういうところにあるのか御説明願いたいと思います。——これは局長じゃなくて、政治的な問題ですから、政務次官にぜひお願いしたいと思うのです。大臣かわりですから、これは事務当局の御答弁は、小山さん要りません。こまかい数字になったら事務当局にやっていただきたいと思います。政党政治ですから、政党がはっきりした腹をきめた方針を打ち出しておるわけですから……。
  9. 森田重次郎

    森田政府委員 いろいろの実情等調査いたしました結果、やはりそういうふうな方向をとった方がいいというふうな結論に達しましたので、ただいまのような態度をとったわけでございます。
  10. 滝井義高

    滝井委員 いろいろな実情調査をされて、そういう方向になったというのですが、一番大きな理由はどういう理由ですか。
  11. 森田重次郎

    森田政府委員 実情政府委員説明させたいと思います。
  12. 滝井義高

    滝井委員 それではちょっと困るのですがね。これは事務当局の考えではないはずなんです。こういう案は一貫をして反対ですというのが、事務当局の今までの答弁だった。しかし政党政治ですから、政党の意向によってこれは変わってくるわけですから、それならば一つ大臣をお呼びしていただきたいと思うのです。これはやはり森田さんではお気の毒ですよ、自分が立案をし、推進した人ではないわけですからね。
  13. 中野四郎

    中野委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  14. 中野四郎

    中野委員長 速記を始めて。  森田政務次官
  15. 森田重次郎

    森田政府委員 お答えいたします。  同じく戦争に従事した子弟のある場合、生存して帰った場合には、子供生活を見てくれて、その日の生活に不安のない人でも老齢福祉年金が受けられる。不幸にして子供が戦死した場合には、生活を見てくれる者がなく、わずかに公務扶助料だけで生活せざるを得ないような苦しい人でも受けることができないというような実際上の悩みが各地で訴えられましたので、先ほど申し上げたような結論に到達いたした次第でございます。
  16. 滝井義高

    滝井委員 兵隊に行って生きて帰った兵士のお父さんお母さん処遇と、なくなった子供を持ったお父さんお母さん処遇が違うということは事実です。しからば公務扶助料福祉年金併給したら、死んだむすこを持ったお父さんお母さんは全部恩典に浴するかというと、そうではないわけですね。ここにまたアンバランスが出てくると思うのですが、この対策はどうされるおつもりですか。
  17. 小山進次郎

    小山説明員 ただいまお尋ねの問題は、少なくとも福祉年金との関係においては、もうそういうふうなことに基づく不満というものはなくなるわけでございます。
  18. 滝井義高

    滝井委員 今のことは福祉年金に限った問題ではない。生活の問題なんですよ。生活の問題につながってきておるわけです。五万三千二百円程度ではどうも食えないんだ。ところが一方は、むすこが隆々たるからだで帰ってきたから、これはまあむすこに養ってもらえる。しかもその上に福祉年金がついておる。片一方では、五万三千二百円程度しかもらってなくて、子供もなくなったから、これじゃ食えません、こういうことなんですね。これは何も年令には制限がないんです。六十五才の姿と七十才の姿が違うというわけにはいかないと思うのです。日本の現在の雇用状態から考えたら、もう六十こえたら仕事はないですよ。しかし六十以上で仕事につきたい、仕事に無理してついていらっしゃる方が、日本雇用構造を見てみると非常に多いのです。これを一体どうするかということが先でなければいかぬ。そうすると、五万三千二百円では、なくしたむすこを持っているお父さんお母さん方が食えぬのだというこの現実をどう打開するかということが先行しなければならぬ。これは一体どこに原因があるかというと、昭和二十九年の一万五千円ベースにあるわけです。だからこれを直す以外にない。これをどう直すんだ。食える姿に直すことです。そうしますと、これは遺族のすべてに均霑していくわけです。私はこの政策が先だと思うのです。これを厚生省はどうしておやりにならないのかということです。これは政務次官よりお聞かせ願いたい。これをどうして先におやりにならないのか。今のような政務次官の御答弁ならば、まず、むすこをなくした、五万三千二百円で食えない、この現実に立ってこれを全部上げるということですか。その場合に、たとえばむすこが働いてうんと金をもうけていらっしゃる、別なむすこが。戦死しなかった——長男がなくなって、次男、三男が働いていらっしゃるのです。その場合に、その所得制限をやることはいいけれども、一万五千円のベースでは食えないのだから、これをまず上げるということが先行すべきだと思う。そうしないと、併給論では、じゃ七十才以上の人は全部もらえると遺族の人は思っているかもしれない。ところが、あにはからんや全部もらえない。所得制限がついておるのだから。七十才になって、自分むすこをなくした。今度は政府の月千円、一万二千円の福祉年金がもらえるだろうと思っておったら、通知がきてみたら、あなたは年間十五万円の所得がありますから、これはだめですよ、十四万円の所得がありますからだめですよ、所得は十三万円以下ですから、というと、また遺族の中でしぼられてくるわけです。そうでしょう。そうすると、これはまた不満が出てくるわけです。ですから、まず食える姿を作るということが第一です。そうしますと、これは、不満はぐっと緩和する。食えるということが第一ですから。福祉年金をもらうということが目的じゃないのですから、御遺族の御主張は。全遺族が今のような一万五千円ベースでは食えないから何とかしてくれ、これが第一です。だからこれを先にやることが政策順序です。ものには順序がある。その順序を誤って、七十才以上の、しかも所得の低い人たちを先に、こういう考え方では——これは全部が食えないのですから、全部が困っているのですから、だから問題がある。だから、この問題に対して厚生省はいかなる基本方針をとるかということがさいぜんの御説明から出てこなければならぬと私は思う。
  19. 小山進次郎

    小山説明員 議論の整理をいたします意味において申し上げたいと思いますが、問題は二つあるわけであります。滝井先年がおっしゃった問題は、これは一つ別の基本的な問題としてあるわけであります。それから併給問題は併給問題して、かりにその問題が何らかの形において一つ解決に達したとしても、あり得るわけなんであります。つまり遺族は、われわれは不当に扱われているというふうに今感じているという実態があるわけであります。先ほど政務次官が御説明申し上げました実情というのは、そういう実情なんであります。同じく戦争むすこを参加さして、一方は生きて帰って比較的楽な暮らしをしているのに福祉年金を受けている。おれの方は子供をなくして、しかも非常に苦しい生活をしているのに、何だって差別待遇をして、しかもいろいろよくわからない理屈をこねてわれわれに福祉年金というものをよこさないのかという、そこに問題があるわけであります。従って、その問題はその問題として、併給問題は考えていかなくちゃいけない。しかしそれだけで、それでは戦争子弟を送って戦死させて、しかももう身寄りもないという人々の生活問題が片づいているかどうかという、もう一つの大きい問題については、これは滝井先生御指摘のような問題はあり得ると思うのであります。
  20. 滝井義高

    滝井委員 小山さん、私の指摘した問題が根本的問題です。根本を片づけずして末端はだめなんですよ。これは末端では不満が解消できない。御遺族目的は、われわれは社会保障じゃないのだとおっしゃっている。公務扶助料なり恩給をもらうというのは、社会保障じゃないんだ、こうおっしゃっている。まず、これで一つむすこ国家へ捧げたのだから、われわれの老後をきちっと保障することは国の責任だと、国家責任論を唱えておるのです。その国家責任論を唱えておるときに、国家責任を回避して、ちゃちな月に千円しかやらない併結論でごまかそうとするやり方はいけない。だからまず国家責任をとろうとすれば、食える態勢を作ってやるといこうとなんです。これを先行しなければならぬ。それをすりかえてごまかそうとするところに問題がある。だからこれはごまかしちゃいけない。まず根本論を片づけて、一万五千円のベースでは食えないという現実に立って、今二万四千円ということを言われているのですが、二万四千円ベースに上げましょう、そうすると三百五、六十億の金が要りますが、それを出しましょう、こうなれば遺族の方は千円の金を、今の法律体系併給しないとなっているものを、無理にくれとは言わないのですよ。ところがこういうものをやらないところに問題がある。だから政府としては、一体責任を持って根本問題を片づける意思があるかどうか、これは私は大臣にお聞きしたいところです。政府として根本問題をこの国会で必ず片づけるというものがあるかどうか。末梢の問題は末梢ですよ。政策を立てるときは、根が立たなければ枠は育たないのですからね。これは日が照れば葉っぱだけ枯れてしまいますよ。だからこの根本について厚生当局はどう考えておるかということです。やるのかやらないのか、これを一つはっきりしてもらいたい。もう予算の査定がありますよ。これをはっきりしてもらってから、その次の枝葉の問題にいきましょう。政務次官、おやりになるのかやらないのか。
  21. 森田重次郎

    森田政府委員 今の根本問題については、総理府の方の管轄の問題もありますので、そちらの方と折衝いたしまして、ただいまの根本問題を処理する方向に交渉中でございます。
  22. 滝井義高

    滝井委員 それなら総理府総務長官か副長官を至急に呼んでいただきたい。根本の問題がないと、幹がなければ葉はできないのですから、花は咲かないのですから、この幹の根本のところをはっきりすることが必要だと私たちは考えておるわけです。そこでそれに対する政府の腹がまえというものを聞いて、初めて今度は枝葉の問題になっていくわけです。もし遺族の方が、ベースアップというものが財政上その他の事由で非常に低いものしかできないということになれば、今度は特に遺族の中で生活が困るという方については、こっちは社会保障なんですから、この社会保障で補てんをしていく必要が出てくるのです。これが政策としては順序です。その場合には、今与党さんの方で出している案は非常にけちな案です。たった千円で、二万四千円にしようというのですから。こんなものでは食えないですよ。私たち社会党はきょう予算要求をしますが、六十才から千円、六十五才から二千円、七十才から三千円いただこうというのです。このくらい修正をやらなければならぬ。だからわれわれは一つ与党から出ている案の修正をきょうは要求して、与党さんがこれに賛成をすれば、これは一挙に通します。そこでこれはおそらく与党さん大賛成だろうと思うのです。まさかここで、いやいや、社会党さんそれでは困るというわけにはいかぬと思う。従ってそういう方針で私たちは行きたいと思っておるのですが、これはちょっと横に置いておいて、今度は政府の方に尋ねるわけです。  政府は大蔵省の予算要求で、大きなものを五つ要求されておるわけですね。本人所得制限緩和配偶者公的年金制限撤廃夫婦受給制限撤廃母子福祉年金の加算の引き上げ、公的年金との併給五つです。いま一方、自民党さんが議員立法として、公的年金との併給だけお出しになっておるわけです。おそらく政府はこの五本を柱にした国民年金法の一部改正法律案をお出しになると思うのです。政党内閣ですから、私は内閣というものが予算要求をせられるときには、これは意思統一をされて出すものだと実は心得ているわけです。そうしますと、一体ことしの政府予算というものは、自由民主党と話し合いをしたのか、しないのか。どうですか政務次官、十分自由民主党意思統一をはかった上で予算要求をせられ——もう法律案の草案なんか出ているのを私見たことがありますが、これは全部なっていますね。意思統一をされて出されたのか。自由民主党さんの方が、五つをやろうというもののうちのたった五分の一だけをおやりになったというのは、これは同じ政党内閣意思が違うわけです。議員立法でも、これは党の政調会その他の了承を得なければ出せないはずですから、まさか中野四郎君外何名ということで委員長が独断で出したのではないと思うのです。その間の意思統一というのは一体どうなっているのか。
  23. 森田重次郎

    森田政府委員 意思統一いたしております。
  24. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、これから小沢提出者にお尋ねするわけですが、意思統一ができておるのに——本人所得制限緩和なんというものは、小沢さんがお出しになったときより前から、ずっと問題になっていたわけですね。これはわが八木委員が熱烈に主張をして、政府もやります言っておったわけなんです。ところが小沢さんの方の御提案は、公的年金との併給だけになっておるわけです。意思統一ができておって、議員立法をおやりになろうとするならば、当然政府予算要求で、もう予測をしておったわけですから、それらのものをお出しにならなければならなかったのですが、それができなかった理由というのはどこにあるのでしょうか。
  25. 小沢辰男

    小沢(辰)議員 私どもは党で公的年金受給者に対する福祉年金併給立法の了解を得ましたときには、この法案内容でごらんいただけますように、予算的には来年度から実施するということでございます。従いまして一方において当然こういうような法律措置ができますと、おっしゃるように所得制限緩和あるいは免除を受けた者の免除期間に相当する国庫負担の問題というものが関連してくること、またそういうことを並行して措置をしていかなければ、いわゆる均衡がとれないということは十分承知いたしておりますので、政府与党立場から、政府にも予算要求を出させまして、党の方でもこの点は最重点事項一つにあげまして、目下予算折衝をいたすつもりで準備を進めておるわけでございます。従っておっしゃるように、むしろ私どもはそういう点についてはっきりした均衡を考えながら、予算措置その他の面を全部進めておるということを御了承いただきたいのでございます。  なお党の関係というよりも、むしろ立法者を代表いたしまして私は、関連があるので申し上げたいのでございますが、公的年金併給の問題よりも恩給ベースアップの問題が先行すべきじゃないかという御意見でございますが、これはそれぞれの所管と体系がありますので、当然ベースアップをしたから併給はいいんだということにならない。それぞれの立場で、やはり社会保障社会保障の面から進めていくし、同時にそういう恩給の問題の方はその方として進めていくべきなんで、これは並行して同時にわが党としても来年度の予算編成にあたりましては十分措置を考えたい、こういうように考えておることをはっきりここで申し上げたいと思います。
  26. 滝井義高

    滝井委員 並行して同時におやりになる、私はそれを言っておるわけです。並行をするについても、やはり均衡というものがあるわけです。従ってやはりもとは何かというと、幹を確立することが必要です。公務扶助料だけで食える体制を作ることが先決です。そしてなお家族その他で食えない面については社会保障がつけ加えられていく。なぜならば社会保障というものは、たとい遺族であっても、お金をうんと持っておればできないのです。これは今の日本財政状態から、できないのです。だから七十才以上でも十三万円以上となっておる。七十才以上の御遺族が全部もらうということはないのですよ。そうすると、七十歳以上の遺族でも五万三千二百円では困るという人があるわけですから、そういうところをやはり解決しなければならぬ。だからどうしても全部に一ぺん網をかぶせることが必要です。そうして網の中でやはり困る方に併給という問題が出てくるはずなんです。だから先のものの考え方としては、五万三千二百円のベースアップが先行すべきです。  そこで今の御答弁に対してお尋ねするわけですが、そうしますと政府としては、現通常国会にお出しになる国民年金法の一部改正案は、公的年金との併給の問題はどこでお出しになるつもりなのか。議員立法がたとい出ておっても、なおそれもひっくるめてお出しになる方針なのか。それを一つここではっきりしておいていただきたい。
  27. 小山進次郎

    小山説明員 この問題は、やはりもう少し問題が煮詰まらないときまりかねる問題だと思います。いずれにしても予算内容が固まりますれば、固まったものに応じた法案を考えていくわけでありますが、その場合に、その部分の問題がすでに解決をしておれば、それはそれで必要がないわけでありますし、解決をしていない場合にどういうふうにするかということは、そのときの具体的な事情のもとにおいてきめられることになるわけであります。
  28. 滝井義高

    滝井委員 いいですか、政党政治ですよ。政党政治で、今小沢さんがここで言うのは少なくとも自由民主党を代表しておる。これは総裁のかわりですよ。自由民主党としては両方やります。こう言明をされた。併給もやります。恩給ベースアップもやります。少なくともやるとおっしゃった。ところがあなたの方は、予算がきまらないからまだ公的年金を入れて出すかどうかもわかりません、こう言われますけれども公的年金との併給はここに出しておるのです。しかもこの状態でいったら小沢さん、幾らかかりますか。
  29. 小沢辰男

    小沢(辰)議員 ただいま御質問の公的年金併給予算が通り、所得制限あるいはその他国民年金の、特に福祉年金部門についての改正予算要求が通った場合に、この法律の形をどういうような形に——別にさらに追っかけて出すのか、これはこのままにしておくのか、いろいろなお尋ねがございましたが、政府与党でございますから、与党政府は十分相談の上でこれらの措置を決定して、あらためて国会にその意思を表明するという形になることは当然でございます。それからもう一つは、従ってその場合に、あるいはいろいろな場合が考えられるわけでございますが、政府提案ですべてをひっくるめてやるか、あるいはまたその形を別のものとして全部一本でいくか、これは政府与党の十分なる協議の上で態度を決定してから申し上げたいと思います。  それからなお予算の問題でございますけれども併給の問題については、今日現在の扶助料の額から考えますと、この法案を実施した場合に一年間約七十億かかるということは、前国会でも申し上げた通りでございます。
  30. 滝井義高

    滝井委員 今七十億かかると言いますが、政府の要求が五十二億ちょっとになるわけですね。これはことしの福祉年金改正の要求の自然増その他を加えても、半ば以上をこえているわけです。だから、従ってこの福祉年金改正の一番の山場はこれになるわけですよ。併給問題になる。ところが今小沢さんの答弁でも、これをどうするかはさきになって与党政府と打ち合わせる、こうおっしゃった。ところが与党は今公約年金との併給法律をお出しになっておるのですよ。与党出しておるということは、これは少なくとも政府にもその意思が通じていなければならぬと思う。こういうものは全然通じていないのですか。これはお出しになるからには、通じておるはずなんです。政党内閣である。森田さんだってあるいは灘尾さんだって、れっきとした自由民主党の党籍を持っておる党員です。だから通じていないはずはない。そうすると、これが先行して、前国会以来継続審議として出されてきておるわけでしょう。そうすると政府としては、五番目のこの公的年金との併給が、法律として現に出ておるという現実に立ったときに、一体あとの一、二、三、四項目だけを切り離して出すつもりなのか、一緒にひっくるめるかということは、これはやはりきまっておらなければならぬ。それを予算がきまってから私たちは態度をきめるということはおかしい。現実に片方は出ておるのですから。そうすると、それを包含してくるということになれば、何も同じことを二度やる必要はないから、じゃそれは待ちましょう、きょうはこれで質問をストップしておきましょう、こういうことになる。どうですか。そこをはっきりしてくれるならば、社会党もこの法案修正を自民党と話し合います。そうしてきょうでも通します。
  31. 森田重次郎

    森田政府委員 与党とその責任の行政官庁でございますから、その間に了解のあることはもちろんでございます。しかし厳密に言って、この法律提案責任主体という点から考えますれば、議員立法でいく場合、それから政府提案でいく場合は、やはりそこに立法上の技術といいますか、テクニックが異なるわけでございます。従いまして、今現に提案されているものが簡単に通るということになりますれば、党もこれと調節のとれるような提案をすることになりましょうし、もしこの点がむずかしいといったようなことになったりして、どうしても包括的なものにしなければならぬというような場面が到来いたしますれば、それに対してまた現実的な立場から検討して提案することになると思うのであります。
  32. 滝井義高

    滝井委員 どうもはっきりしないのですが、現在公的年金との併給の問題を、もう与党がきちっと方針をおきめになって、あなた方と同じ内容のものをお出しになっておるわけです。これは同じですよ。いわばその部分だけをとれば一事不再議になるだろう、しかし他の部分を加えても、法案の体裁としては一事不再議にならぬと思うが、この公的年金併給の問題が先に通ってしまいますと、政府は非常に苦しい立場になる。五つを含めて出してこられても、それは政府の方では今度は通りかねることになる。なかなか難航します。こういう技術上の問題があるわけです。だからこういう点は、与党がこれは早く通してくれと非常にお急ぎです。政府の方はまだ予算もきまってない。五十二億になるかならぬかも、大蔵省との折衝段階では、まだわからぬわけです。しかし与党はもう態度をきめて法案出しているのです。ここなんです。ここにいわゆる日本政党政治が確立されていないというところがあるのです。大蔵省の意向を伺わなければ五十二億が決定できないのです。与党が決定しているにもかかわらず、それが現実のものにならぬという政党政治の悲劇があるのです。だから五十二億というものは、与党が党議決定をしてここに出したからには、当然有無を言わさず、大蔵省は、この五十二億については、すなわち公的年金との併給については、もう無条件でなければならぬはずです。法律出しているのですからね。これは党議決定しているのです。政党内閣で、政党政治法案出して、党議で決定されておるものがなお低迷やむかたなき状態にあるということが、これは政党政治の悲劇です。こういう点を私は改めなければいかぬと思う。その改める責任は、政府に党から入っているあなた方にあるのです。政党政治一つの大きな問題があると思うのです。(「悩みだ」と呼ぶ者あり)悩みだとおっしゃったけれども、その悩みは乗り越えなければならぬと思うのです。これは厚生大臣と大蔵大臣とをコントロールしたら、憲法に手をつける必要はないのです。政党から出ているのですから、最優先政策でおやりになったらいい。四千五百億以上の財源があるのですから、その中の一%そこそこの五十億の金が出せないはずはないです。やろうと思えばすぐできるわけです。政党の方でコントロールしたらいい。この点に対する森田政務次官政党人としての、あるいは政党から出られておる政務次官としての、政党政治政務次官としてのお考え方はどうなんですか。
  33. 中野四郎

    中野委員長 その前に小沢君の発言を許します。
  34. 小沢辰男

    小沢(辰)議員 御承知の通り、この法案は前臨時国会にわが党が提案したわけであります。わが党の方ではこの問題については、もうおっしゃいましたようにはっきりした意思を決定いたしております。もちろん予算編成権は政府にあるわけでありますが、政党政治でございますので、当然私はここで確信を持って、この点の予算の裏づけというものは今度の予算編成で必ず行なわれるということを確信いたしております。  しかしながらここで私お願いかたがた申し上げたいのですが、立法府の意思というものは、両院を通過して初めて法律の形ではっきり確定をするわけでございます。従いましてすみやかに御審議の上、一つこれを通過させていただきまして、立法府の意思をはっきりと明確に打ち出していただくことが、私は非常に大事ではなかろうかと思いますので、特に提案者として滝井先生にお願いを申し上げておきます。
  35. 森田重次郎

    森田政府委員 ただいまの御議論のように、現実的には一つの悩みだと思います。しかし大蔵省、厚生省あるいは議員立法と、それぞれ一つ立場が与えられているのでありますから、私らはその現実を一応そのまま受け取って、その処理された段階に適応するような態度で今度善処していきたい、こんなふうに考えておるわけであります。
  36. 滝井義高

    滝井委員 私もう少しこの法案の具体的内容その他に入りたいと思いますが、十二時までという約束でありますし、この問題だけでなくて一般の問題もありますが、八木さんも一般の問題がありますから、この問題に関する質問は、きょうは一応このくらいにして、来週またやらせてもらいます。  なおわれわれも、国会意思によって決定をせられるというならば、公的年金との併給問題については与党と話し合いさせていただきます。そしてわれわれ社会党考え方も、さいぜんちょっと述べておきましたが、多々ますます弁ずるというところだろうと思います。社会保障の前進のためにわれわれの意向も盛らせていただいて、できればこの法案修正して来週早々でも一つ国会を通過せしめる。これはまさか与党はしり込みをして反対することはないと思いますので、そういう形で一つ今のいろいろの質疑応答の過程の中の政党の悩みをも解消して、大蔵省官僚にがちっと一本与えられるくらいの勇気を持っていただくことを与党にお願いして、ここまでの質問を一応終わって、あとの質問は来週に繰り越させていただきます。      ————◇—————
  37. 中野四郎

    中野委員長 厚生関係及び労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。八木一男君。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  38. 中野四郎

    中野委員長 速記を始めて下さい。
  39. 八木一男

    八木(一)委員 厚生政務次官に御質問申し上げたいと思いますが、大臣かわりとして、責任を持ってお答えを願えるべきだと思いますが、それについての政務次官の御決意を伺いたいと思います。
  40. 森田重次郎

    森田政府委員 政務次官大臣かわりをやるのだそうでありますし、私にわかっておることは責任を持ってお答えいたします。
  41. 八木一男

    八木(一)委員 厚生省の方で、大蔵省に対して予算の諸要求をしておられます予算要求に対して、大蔵省の査定をしたらしきものが新聞記事その他の情報で流れておるわけであります。そこで拝見をいたしますと、その中にほんとうに国会で審議をされた問題について、それを重要視されてない向きがあるようにどうしても見えるわけであります。国会で、国会の構成の要素である自由民主党社会党、あるいは民社党の各党が一致して決議したものは、文句を言わずに取り上げるのが当然であります。それが大蔵省の主計局の判断でへずられる、あるいはへずられるだけではなくて、第一次査定で全然ないというような状況がある。そういうことに対して、政党内閣大臣かわり役をしておられる厚生政務次官としてはどのようにお考えですか。
  42. 森田重次郎

    森田政府委員 予算はそれぞれ民意をもって、そうして党とも連絡をとり、要求したものであります。従いましてこの要求通りのものをぜひ実現させたい、その所信は今もって変わっておりません。
  43. 八木一男

    八木(一)委員 その中で、いろいろの要求をされているけれども、ことに各党一致で国会で決議をされたものは、これは国会意思であって、国民の意思であります。それを一官庁のそれを担当しておる者の、この問題については精通していない議論をもってこれにチェックをするというようなことは、国会に対する非常な無視であって、国会に対する無視ということは国民に対する反逆ともいえることであろうと思う。いかに明敏な頭であると自負心があっても、すべての国民の代表の国会で審議をされ、満場一致で決議されたことは、日本じゅうのすべてのりっぱな人が、すべての立場に立って決定をしたことである。それを、ただ財政運用の一つの原案を作る任にあるお役人が、それに対して別な意味の、その人だけの考えた理屈でチェックをするということは許されないことだと思いますが、それについてどう思いますか。
  44. 森田重次郎

    森田政府委員 大蔵省には大蔵省の総合、現実というようなことがあると思います。しかしただいまの八木委員の御高見は、私はまさにその通りでなければならない、こう原則的に了承しております。その趣旨にのっとって今後とも努力いたしたい、かように考えます。
  45. 八木一男

    八木(一)委員 大蔵省には大蔵省全体の、たとえば予算規模であるとか、そういうようなことの計画はもちろんあろうと思います。大蔵省は予算の原案を作る権限はないけれども現実にそれを作る担当官庁でありますから、それについてはいろいろの意見があるでしょう。いろいろなことから編成されるでありましょうけれども、その財政運用の総ワクなりに意見があろうとも、その個々の問題については、国会で満場一致で決議されたことは文句を言わずにいれる。あとの問題で、国会の満場一致で決議されたというものはそうたくさんあるはずはない。それは予算総額から見れば百分の一にも千分の一にも足りない。それは優先的というよりか無条件でいれて、そのうちで財政操作をしてしかるべきであって、それに対して、その問題に専門でない官庁の人たちが、自分たちのひとりよがりで作った理屈上のチェックをするということは許されないことだと思いますけれども、それについて再度御意見を伺いたいと思います。
  46. 森田重次郎

    森田政府委員 御高見の通りだと考えております。
  47. 八木一男

    八木(一)委員 そのようなときに、その問題の担当の、たとえば厚生省関係のこともあるでありましょう、労働省の関係のこともあるでありましょう、それからほかの建設省あるいは文部省、いろいろな関係のこともあるでありましょうが、議決された以上は、国会意思を諸官庁が全部知っておらなければならない。その問題について実際の促進をする責任を持っておられるわけです。それが通らなければ、これは大臣から、政務次官から、各局の局長まで、全部国民の意思の上に立った厚生行政というものができないという決意を持って、全員辞表をたたきつける、一文でも削られたら全員辞表をたたきつける、断じて一文も削らせないというような決意を持っていただかないと、日本の国政が大蔵省の主計局の公務員によって支配されることになる。それだけの決意をお持ちであるかどうか。
  48. 森田重次郎

    森田政府委員 できるだけそういう立場から努力するつもりであります。
  49. 八木一男

    八木(一)委員 できるだけではいけない。国会で議決されたことは重んじなければならない。また重んじなければ非常な追及を受けるということを大蔵省が知っておりますから、ある程度重んずるのはあたりまえでしょう。これはいろいろな角度から徹底的に審議されたことであって、一件々々は予算規模からすれば一万分の一にも足りないことです。その一万分の一にも足りないことが大蔵省の操作でできないはずはない。それを一文でも削ることになれば、国民の意思による国会の審議の重大なことが、大蔵省の担当官によって曲げられるということになる。これは政治の常道に反するわけです。びた一文でも、一銭一厘でも引かれたならば、その問題の担当者である厚生省責任者は、一切責任を持てない、全員辞表をたたきつけるか、あるいはその方針を変えることを内閣総理大臣に迫る、そのくらいの覚悟をしてもらわなければ、国政のひん曲った道がまっすぐにならない。できるだけということでなしに、断じて責任を持ってやり遂げる、私も辞職をします。厚生大臣も辞職をさせます。そのような政治を曲げるようなことがあったら、内閣不信任案をあなたが議員責任において出させる、そのくらいの決意を示してもらわなければならない。それについての御見解を伺いたい。
  50. 森田重次郎

    森田政府委員 極力その趣旨において努力いたします。
  51. 八木一男

    八木(一)委員 当委員会で各党の満場一致で決議された案件について、厚生政務次官は御存じでありますか。
  52. 森田重次郎

    森田政府委員 今具体的に存じておりません。しかしそういう重要な問題については、原則論としてただいまの答弁の通りいたす所存であります。
  53. 八木一男

    八木(一)委員 今のような決意を示していただいたことはいいです。いいですけれども、案件を御存じなければ、この数日間にこの通りにいくかどうかが第一次査定ではきまってしまうわけです。もちろん復活要求がある。そのような不当なことをしたら、われわれは内閣を倒してもまっすぐ進むという決意は持っているけれども、そんなむだなことをする必要はない。第一次査定の中で入れば、お互いのエネルギーの消耗はない。ほかの予算の編成に時間が促進されるということになる。その意味で、厚生政務次官が具体的に決議の内容を今御存じないということは、これは非常に残念であります。といって、非常にお忙しいですから、個人攻撃はいたしませんけれども、即時決議の内容を全部——これは三十分もあったら聰明な政務次官ですからすぐ頭にのみ込める。すぐ勉強されて、今決意をされたのですから、その問題について断じて促進をされるということをされなければならない。即時その勉強をしていただきたい。具体的な内容を御存じであれば、もちろんそれでけっこうですけれども……。
  54. 森田重次郎

    森田政府委員 具体的にどれが満場一致であったかということを今存じていないと申し上げたのですが、しかし予算内容についてどれが重点であるかということについては了承いたしております。従って、どの問題がもし第一次査定で削減されるようなことがあれば、それは絶対に譲らないというようなことについては考えております。
  55. 八木一男

    八木(一)委員 御熱意はわかりますけれども、そこで一つ大事なことがあるのです。省議の方で、どれが重点である、これは断じて譲らないということは、厚生省の重大な責任者の、大臣に次ぐ責任者としての決意を持っておられることは非常にけっこうで、その通りがんばっていただきたいと思いますが、その要素に、省議として大事であると考えることの裏づけとして、国民の代表である国会で、各党満場一致で二回も議決したことを活用してもらわなければならない。ですから、重点はわかると言われるけれども、その重点については国会の議決というものを無視されてはいけないということを大きな要素として、断じて削らせないということでやっていただく必要があろうかと思う。いろいろお忙しいですから、御勉強はしていただきたかったけれども、現在の時点においてはそのことは文句は申しませんから、どうぞ即時御勉強願いたいと思います。また補佐をされる方も、厚生省の重点政策として厚生政務次官に御説明をし、厚生政務次官の御活動を要請しておられるのはいいけれども、それに加えて、それ以上に、国会意思はどうであったということを厚生政務次官にやはり説明して、政務次官がほんとうに職責を果たされるような補佐をしていただく必要があろうと思う。具体的な話といたしまして、厚生省年金関係の要求の中で、各項目があるわけでございますが、その中でまず第一に一番大事なことが、免除国庫負担をつけて、たとえ免除を受けた者といえども年金免除期間の要件によって減ることがなくて、極端にいえば全額免除であっても、全期間免除であっても年金はもらえるようにするということが、満場一致の決議の中の、特に具体的に抽出した第二項にうたってあるわけです。これはここで決議したからという問題ではなしに、今非常に問題になっておる拠出年金は社会保険的であって非常に問題を含んでいるのを、まっすぐで、国民がこれを理解して協力して、非常に喜ぶ方向に向ける重要なかぎなんです。免除国庫負担というやつは。それについて非常に深い理解を持っていただいて、これについての促進を強硬にしていただく必要があろうと思う。   〔委員長退席、齋藤(邦)委員長代理着席〕 びた一文でもこれをへずるとか、この方向に文句をつける場合には、今おっしゃったように、厚生大臣とともにあなたは内閣に辞表を提出されて、主計局と対決をする、そのくらいの決意でやっていただく必要があろうと思う。その問題についての厚生政務次官の御意見を伺いたいと思います。
  56. 森田重次郎

    森田政府委員 ただいまの問題、御期待に沿うよう懸命の努力をいたします。
  57. 八木一男

    八木(一)委員 免除国庫負担について、そういうふうにやっていただくのはいいのですけれども、ポイントを各政府委員の方からお聞きになると思いますが、国会意思としてのポイントを要約して申し上げておきますから、一つぜひじっくり聞いておいていただきたいと思います。簡明に要約して申し上げます。その点は何かというと、まず第一に、拠出年金制の年金というものは憲法第二十五条から出ているという問題です。憲法第二十五条の、国民に文化的健康的な生活を保障する、それから国は社会福祉社会保障という条文がありますね。それから出ているわけです。社会保障の一環として拠出年金制というものがやられている、ということは、社会保障であって社会保険でないということ、その一字の違いは非常に大きいのです。社会保障であって社会保険でないということです。社会保障というものは、必要な人に対して所得保障なり医療保障が必ずいくということ、社会保険というものは、保険料を払った割合に応じて反対給付をもらうという精神で、その社会保険というものは、今まで過渡的にびっこで育った社会保障のまがいものの一つ体系なんです。社会保障とは似て非なるものです。ところが社会保障をやるといって、社会保険的に今まで具体的にいろいろな諸制度ができ上がりつつあるためにすりかえられて、社会保険というものが絶対に大事だというふうにけしからぬ連中からはされている向きもあるわけです。ところが憲法でいっていることは、社会保障であって社会保険ではない。社会保険なんというものは、社会保障をやるあまり上手でないシステムの一つ方向なんです。それは天のてっぺんと地の底くらいに意味の違いがあるのですが、それと同じような大事なこととして、間違った議論がされているわけです。この問題についても、社会保険という間違った議論によって大蔵省の抵抗が起こっているように私は理解する。ですからそういう理屈に厚生政務次官が負けて、厚生大臣が負けてもらってはいけないわけです。また大蔵省の人もりっぱな国家公務の担当者ですから、ほんとうに厚生省の方が一生懸命おっしゃれば、その理屈はわかるはずです。わからなければならないはずです。また免除国庫負担というものは、今の拠出年金がたとえば定額制の保険料を取っているから、金持ちの人も貧乏人の人も同じだけの保険料を納めなければならないことになっている。松下幸之助さんでも、たとえばさっき傍聴に来られた方でも、同じ保険料を納めなければならぬ。そうなれば、結局生活がそれほど豊かでない人については納めにくいわけです。大衆的には負担が困難なんです。困難だから払えないことが起こるわけです。ところが払えないことが起こると、払えない時期があると、結局その年金が減らされる。ある程度以上払わないと年金がもらえないことになっている。   〔齋藤(邦)委員長代理退席、委員長着席〕 これが今の拠出年金制度の一番根本的な欠陥です。それを埋めるものとして、今まで一般的に理解されている問題は、そういう払えない人は免除をいたしますということがいわれているわけです。ところが今までの免除は、その意味を果たしていないわけです。払えない保険料を強制徴収しないということだけであります。そのとき払わなくてもいいということだけであって、一部遺族や障害については要件になることがありますが、一番根本の柱である老齢の方の給付については、免除にはなったが年金額をふやす要件にはほとんどなっておらないわけです。ですから期間的に年金制度からほうり出されるだけであって、そういう払えない人が年金を受ける要件にはならないわけです。保険料を払いにくいような人は、年をとったときに一番年金の必要の度が強い人です。一番年金が必要なのに、払えない人が高い保険料を払わせられる。無理やりにとられることもある。それが免除をしてもらってほっとしたけれども、その免除年金をふやす要件にはならないということであっては、社会保障の意味をなしていないわけです。ですから今の拠出年金制を社会保障制の意味の方に姿勢を正すためには、免除した部分について国庫負担を入れて、その権利を確保して、免除を受けた者についてもその間減らさないで年金がもらえるように、極端に言えば一文も保険料を払っていない人であっても、国庫負担分で年金が出るようにということが一番肝心なことであります。ですから、この免除国庫負担というものは年金制の根幹をなすもので、いいところもありますけれども、かなり曲がっているところもある。それをまっすぐにする一番大事なてこなんです。これは理屈がむずかしいから、いろいろの大衆団体がそれほど多くは来ません。わかれば日本国民全体が大賛成すると思うけれども、聰明な厚生政務次官に御説明するのにもこれだけの時間がかかるくらいですから、非常に大事なことだが、大衆団体の具体的なすわり込みその他の要件にはならない。そうなると、結局それを軽視する向きも出てくるわけです。それであってはいけないのであって、ほんとうに大事なことであればこれをやらなければならない。そういう意味で社会労働委員会では徹底的に論議をして、この前の通常国会、それから臨時国会、二回同様の決議を、これは与党の方も猛烈に積極的でありますので、満場一致でしているわけであります。そういう点、あとでごたごた言いにいかなくて済むように、内示までに入るように、即座にやっていただく必要があろうと思う。それについてもう一回厚生政務次官の御決意を伺いたい。
  58. 森田重次郎

    森田政府委員 ただいまの御高説、ありがたく拝聴いたしました。しかも野党、与党ともに一致の決議だということもよく了承いたしました。それほど大事な問題だと思いますので、御期待に沿うように必ず懸命の努力を重ねたいと思います。
  59. 八木一男

    八木(一)委員 決意を伺いましたけれども、そのためにはきょう厚生大臣に来ていただかなければならなかったわけです。厚生大臣に直ちにその通りに動いていただくように政務次官から言っていただきたいと思います。厚生大臣はもちろん閣議で政務次官は次官会議で、また大蔵省とも直談判でやっていただきたいと思います。それから年金局長なり官房長なりは命をかけてやってもらわなければならない一番中心でありますから、小山さんの決意のほどを承らせていただきたいと思います。
  60. 小山進次郎

    小山説明員 政務次官のお指図に従って全力を尽します。
  61. 八木一男

    八木(一)委員 それでは時間の節約上、今度は小山さんに伺います。ほかに夫婦の受給制限の撤廃というものを出されております。これも決議の内容に入っております。政務次官御存じであろうと思います。御存じがなければすぐに勉強されたい。これも決議事項に入っておりますので、小山年金局長からそれについての経緯をお聞かせいただきたい。
  62. 小山進次郎

    小山説明員 これは、初め社会保障制度審議会が答申したところに従って減額をしておったわけでありますが、実情調査してみますと、夫婦がそろって福祉年金を受けなくてはならないような人が、実際上はかえって苦しい生活をしておるということがよくわかったのであります。そういう意味合いにおいてぜひ撤廃をしたいというので、要求をしております。
  63. 八木一男

    八木(一)委員 政務次官に申し上げますが、今夫婦が受給されていると、片方千円で、千円ずつもらわなければならない。ところが七百五十円ずつです。年額にすると十二倍かけたものですけれども、そういう妙なことがあるわけです。たとえばおじいさんとおばあさんの二人で——老齢者に福祉年金を上げるという意義は申し上げるまでもない。しかし一千円では足りない。それをおじいさんとおばあさんだから七百五十円ずつにする、こんなばかげたことはない。これはあらゆる論議で、千円にしなければならないということがここで決議されているわけです。そのことについても同様の決意でやっていただきたいと思います。そのほか、たとえば配偶者の公的年金制限の撤廃とか、福祉年金加算額の引き上げとか、母子所得制限緩和、これは御承知の通り、今の所得制限の十三万円を十五万円に上げようというわけです。これは十五万円というようなけちなことでなくて、ほんとうは二十万円くらいまで上げなければならないと思います。とにかく大蔵省のいろいろな考え方も入り、与党の方も入っておりますから、この十五万円はことしの春からしなければならぬということだった。ところが諸準備があって、事務的な準備もあり、来年は必ずやることにするという大蔵省との話し合いもあって、それで附帯決議にして、今度の三十七年度の予算に入るということは、ほとんど一〇〇%確約をされておる。それが査定中では、十五万円を十四万円にしたらどうかという、とんでもないことが出ているらしい。こういうことについては断じてやっていただかなければならないし、受給制限の撤廃の方も、全部今の附帯決議の中に入っております。ですからこの点についてはよく御勉強になって、満場一致の附帯決議を、びた一文も引かれたり、またはずされたら、厚生省大臣以下全部辞表をたたきつけるというくらいの決心でやっていただきたいということの再度決意を披瀝していただきたいと思います。
  64. 森田重次郎

    森田政府委員 同様に努力いたします。
  65. 八木一男

    八木(一)委員 もう一つ、今の重要な問題についてお伺いいたします。特に免除国庫負担その他については、内閣社会保障制度審議会申し入れと称するものが、新聞では中間答申となっておりますが、社会保障総合調整の中で、それが特に来年度の予算で組まれなければならないという意思をもって、十一月に申し入れがされております。これは社会保障制度審議会設置法第二条で、社会保障制度審議会のそういう問題については、内閣が尊重しなければならない義務があるわけです。ほかのあいまいな審議会とは違うのです。ですから法律違反なんです。これを入れなければならぬ。そういう点も法律違反を国家公務員がやらないように、大蔵省の査定をする連中に、教育をそのような意味でやっていただきたいと思います。同僚委員が待っておられますから、私はまた来週やることにして私の質問は終わりますけれども厚生省の方は退場は困ります。  ただ一点、労働省を呼んでおりましたから官房長に聞きますが、労働省は実にけしからぬと私は思うんです。労働大臣以下全部辞職をした方がいいと思う。厚生省も実にけしからぬと思うことがたくさんあるし、なまけている点があるけれども、労働省くらい社会保障についてなまけている省はない。一般財政支出でやるべきものを失業保険の積立金でやる、そんなことは許されるものではない。そんなものを予算に組んで堂々と出される。一体何を考えておられるか、労働省の見解を伺わせてもらいたい。
  66. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 ただいまの御質問の御趣旨は、失業保険の積立金の運用についての問題だと思いますが、積立金の運用につきましては、失業保険特別会計法に従いまして運用しておるわけでございます。けしからぬというお言葉がただいまございましたけれども、われわれといたしましては、保険の本旨に従って適正に運用されるように極力努力しておる次第であります。
  67. 八木一男

    八木(一)委員 反省が一つもないでしょう。失業保険の積立金というものは、失業保険の被保険者のものですよ。金を寝かしておいてもいけないから、それに関連あるものに融資するというならまだ許せます。融資じゃなくて出しているじゃないですか。労働省の予算要求の最初に、労働力の確保と雇用の拡大、要求予算八十五億五千九百万円。うち失業保険特別会計五十五億円。他に失業保険積立金の特別融資八十一億五千三百万円。融資ならわかりますよ。労働者の財産であるものをほかのものに使うとは何事ですか。失業に対する施策、失業問題に関連があると言いたいんでしょう。それは一般財政で出すのがあたりまえでしょう。そういう論議はさんざんされているのに、そのまま予算出して、済みませんと言えば通ってしまうと思って、労働省はたなに上げている。こんなばかな話が世の中にありますか。大蔵省が金がないからこっちを使ってくれと言うなら、それはけしからぬけれども、財布のことばかり心配している大蔵官僚であれば、そのくらいの意見は言うだろうことは、許せませんけれども、推測もつきますが、労働省自体が労働者の金をいろいろの給付の改善に充てないで、失業保険の改正案を積極的に出そうという意思も示さないで、ほかのものにどんどん一般会計の金と同じように使う、そんなことは許されることではない。それについてどう思いますか。
  68. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 失業保険の問題につきましては、給付改善その他の制度的な問題と、それから積立金の運用の問題とがあると存じますが、給付の改善等につきましては、先生御承知のように社会保障制度審議会におかれまして、他の社会保障制度との総合調整というような見地からいろいろ御議論いただいておるところでございます。制度的な問題につきましては、将来社会保障制度審議会等におきますところの答申等を拝見いたしまして、極力改善に努力したいと思っております。  なお積立金につきまして、その積立金を失業保険本来の目的、ないしは保険料を拠出しましたところの労働者あるいは使用者のために還元し、適切に使うようにという御趣旨であると存じまするが、従来融資の面につきましては、労働省としては特別な融資制度はなかったのでございますが、来年度の予算要求に関連いたしまして、雇用調整のための特別融資制度を新規の要求として提出いたしまして、目下大蔵省と折衝しておるような次第でございます。直接労働者に還元するかいなかという点について、これは御議論もあろうかと存じまするが、失業情勢の比較的悪い地域におきまして、雇用機会増設のための融資あるいは他の地域に就職するための住宅等の関係の融資といったような形におきまして、失業情勢の特に悪い地域におきますところの雇用情勢を改善するためにこのようなものを創設したいというふうに考えております。
  69. 八木一男

    八木(一)委員 ちょっとピントはずれの答弁なんです。積立金の融資は労働者のために還元して使うべきである、それは当然であって、あなたも不十分ながらやろうとしておる。われわれはもっと十分にやらなければいけないとしている。その点は、融資の方は別にかまいません。融資ではない。一般財政で支出すべきものに金を出さないで、積立金をほかのものに使ってしまう。使ってしまえば積立金はそれだけなくなるのですよ。融資ならばこれは返ってきますし、利殖もできますから、これは労働者の金ですし、融資ならば労働者のために使うのはあたりまえなんです。それはいいのです。融資に文句を言うのではない。積立金の金を、使い切る方に出している点がある。これはけしからぬ。積立金がたくさんあれば、計算をして、給付をふやすことをすべきなんです。失業保険は黒字があるのです。積立金なり黒字の方は給付の改善をしなければならない。積立金の計算については、どのくらい失業者が出るとか何とか計算がありますから、いろいろなへ理屈はつきますが、へ理屈は時間の関係で抜きにして、失業保険会計は黒字がある。その黒字を給付の改善に向けることが失業保険の本旨なんです。その中の運用は労働者のためにするのが本旨なんです。ところが失業保険会計の中から、ほかの一般財政ですべきものに金を出しているということは間違いであります。それについては、計算上そうしないと赤字が出るかもしれないというようなことをおっしゃるかもしれない。そうじゃない。その前に、失業保険については国庫負担三分の一があった。それが黒字だからというので四分の一にした。さらに黒字があるならどんどん給付を改善して——それ以上に改善したら赤字が出る要素があるならば、四分の一が三分の一になるという閣議の決定があるはずです。ですから給付の改善をどんどんすべきだ。その給付の改善をすべきことを一切怠っておいて、ほかのものにその金を出すというようなことは許されないと思うのです。社会保障制度審議会の答申を待つと言われるけれども、今まで失業保険について答申したことを十分実行したことがありますか。総合調整ということで、社会保障制度審議会の権威を悪用して、問題を進めることをなまけている。今までの決議は一つも実行していない。底上げをしろとか、給付を改善しろという答申はいつも出ている。そういうことは一切しないで、今のは総合調整の結論を待つまでは動かせませんと、一つの審議会の権威を片一方では無視し、片一方では悪用して、制度の前進のストップのために使う、そういうようなでたらめなことは許されない。制度審議会は全体の総合調整の案は考えておるけれども、その総合調整の方向に従った具体的な直ちにの前進は一つもとめてはおらない。そういうことをやるべしということで中間答申もしているわけです。待ってからやりますというようなことは制度審議会の意思とは反するわけです。そういうふうに制度審議会の意思とは別なこと言って、制度審議会の意思であるごとく逆用して、制度の前進をとめるというようなことはけしからぬと思う。今度の通常国会に失業保険法の改正——たとえば六割の給付を八割にするとか、給付期間が今のように短いのを大幅に延長する、そのような改正案を出すということであればいいわけです。そういう決意があるかどうか。決意がなかったらとんでもない問題になります。そんなことになったら労働大臣に直ちに責任をとってやめてもらわなければならぬ。そういう無能な大臣では労働者はたまらぬということになります。その点について、失業保険の改善の改正案を出すかどうか、時間がありませんからほかのよけいなことは要りません。労働省としてその決意を持っておるかどうか。出さなければ責任をとって労働省の幹部が全部やめる決意があるかどうか、それについて伺いたい。
  70. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、保険内容の改善につきましては、これは失業保険のみが独走するという点につきましては、社会保障制度審議会で目下御検討いただいておるところでございます。そういった他の制度との関連を考慮いたしまして、慎重に検討いたしておるわけであります。また国庫負担率等につきましても、これは先般の国会におきまして、三十四年度から三十六年度までの収支の実績に照らして検討を加え、昭和三十八年三月末までに所要の法律改正を行なうように規定されているところでございまして、そういったいろいろの制約もございますので、慎重に検討しておるところでございます。
  71. 八木一男

    八木(一)委員 時間がないからそれだけでよろしい。  制度審議会の答申を待つと言われるけれども、制度審議会では失業保険について向上することを今まで何回も言っているわけです。それから今失業保険というものは完全にならなければいけないのです。今六割程度の給付であるけれども、あなたは労働省の専門家ですから、私が言わなくてもわかっているだろうけれども日本の賃金水準は猛烈に低いのです。低い水準の六割では、失業期間中食えない。諸外国も六割くらいの給付と思いますなんという答弁は許されない。諸外国の賃金は高いのです。八倍もある賃金の六割ではいける。三倍もある賃金の六割ならばややいける。八分の一とか三分の一とか、そういう賃金の六割では、失業保険期間中は食えない。失業保険期間中食えないと、労働の安売りが起こるわけです。食えないから、労働条件が悪くても仕方がなしにそこへ勤めなくてはいけない。そういうことで労働者の賃金が下がっておる。それがてこになって、ほかの労働者の賃金も下がるわけです。労働省としては、当然賃金が安定向上しなければいけないということは考えておられる。その一つのてこにもなる失業保険というものと、一般の雇用と切り離して考えてはいけないのです。職業訓練さえすればいいというような答弁は許されない。職業訓練もやったらいいと思うけれども、失業保険の制度自体をよくすることによって労働の安売りが防がれる、そういう要素があるわけです。そういう要素を知りながらそれをしないということは、賃金を安いままくぎづけにする労働政策をとっているといわれても仕方がありません。労働省としては断じて開き直って、失業保険は断じて上げるのだ、日本の賃金は少ないから十割にしなければならない。失業保険の給付期間中は全失業期間中でなければいけないというような態度を、労働省自体が出しているわけです。それをわれわれ国会で問題点を指摘して、これをこうしなければいけないということを皆様方に教えてあげているのに、それに対してとやかく言って、それにブレーキをかけるような発言は、労働省がその問題について全然熱意がない。もっと言えば失業保険を悪くして、労働者の労働力の安売りをしょう慂して、独占資本に利益を与えようとする気持であるとすら想像しなければならないということになるのです。大体失業保険を三分の一を四分の一に下げられるなんという、そんな労働省はあったものじゃありません。社会保障は前進をしなければならない。それをなぜ三分の一を四分の一に下げられるのか。今の改善があって会計が赤字になれば、三分の一にすることがあるかもしれない。その後になったら黒字になりますよ。給付改善をして赤字になったときに三分の一に戻るのです。そんなことをやったら失業保険は縮まる一方じゃないですか。給付改善をして財政上赤字が出たら三分の一になる。それをやると黒字になることはきまっているのです。来年から猛烈に不景気になって、赤字の要件が出てくるかもしれないけれども、今まで猛烈に黒字です。黒字にしておいてそんな理屈を言っては、黒字になっても四分の一のままだということになってしまう。それを手をこまねいて待っているような労働省があるか。労働省というのは労働者に対するサービス官庁です。労務行政ばかりする官庁ではないのです。ところが労務行政ばかりやっている。そういうことじゃなくて、失業保険を失業期間中全部給付する、それから失業保険の給付率を六割では足りないで、ほかの賃金が独占資本のやり方で上がらない以上は、最低賃金で上げるとともに、失業保険給付の方を労働省の施策によって上げていく、八割では足りない、九割では足りない、十割だ。そのくらいの決意を持たなければいけない。その半分にもいかないような改善案も今考えていない、総合調整が出てから出す、そんなことでは困る。あなたと話してもしようがありませんから、この問題について、通常国会の一月までに失業保険法を改善する法律を出されたい。出されなければ、労働大臣並びに労働省幹部全部に対してわれわれは不信任の意を表さなければならない。池田内閣に対しても、断じて労働者を裏切る制度である、弾圧をする政党である、独占資本に奉仕をする政党であるということで追及をしなければならない。このような意味で、失業保険法の改正案を断じて出すために、官房長としてはこれから即時に法律を作って、即時に予算要求をする、このような決意を持っていただきたいと思いますが、それについて答弁ができればしていただきたい。できなければ、あなたの労働行政に対して、熱意に対してわれわれは不信任の意を示したい。
  72. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 労働省としましては、御承知のように、ほとんど逐年のように保険法の改正をお願いいたしまして、内容の改善をはかってきたところでございます。たとえば時期日数の短縮であるとか、あるいは日雇い日数の引き上げというようなことで、いろいろやってきたところでございますが、先年御指摘のような失業保険の給付内容の改善につきましては、これは非常に他に影響するところが大でございますので、失業保険制度の総合調整という問題もございますので、慎重に考慮しておるところでございます。決してこれは後退とかあるいはストップとかという気持ではございませんので、先ほども申しましたように、他の制度との関連を十分勘案いたしまして、さらに前進を続けるという基本的な理念のもとに検討を加えておるような次第でございます。
  73. 中野四郎

  74. 島本虎三

    島本委員 私の方は、時間の関係がございますから、失業対策事業に限って質問します。  おもに私の聞きたいのは三点、まず一つは現在の失対労務名に対する待遇の改善をどのように考えているか、これを一つ。それから期末手当並びに石炭手当等について、これを考えているかどうか、この点三つをお聞きします。
  75. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 失対労務者の処遇の問題につきましては、同じ失対労務者の中にありましても、労働能力の高い人々も相当おるわけでございます。そういった方々につきましては、常用に転換するように、転職その他の制度によって常用化の促進をはかるという考えを持ってやっておるわけであります。こういった施策にもかかわらず、失業対策事業は、なお引き続いて就労する労務者に対しまして、賃金とか、今先生申されました石炭手当等いろいろな問題があるわけでございますが、そういった問題については、大蔵当局とも目下鋭意折衝中でございます。
  76. 島本虎三

    島本委員 労働省の方としては、大体そういうような基本的な考え方の上に立って、どれほど値上げをしてやった方が妥当だと認めておられるのか、また、石炭手当をどれほど支給された方がこれは適当だというふうに考えておられるのか、その基本的な考え方とその額の点をお示し願いたい。
  77. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 その点につきましては、予算要求当初におきましては、当時求め得られる資料を基礎にしまして要求したわけでございますが、その後いろいろなデータがだんだん固まって参り、なお大蔵省と折衝中の非常に微妙な問題もございますので、かなりの引き上げをいたしたいというふうに考えております。その率等につきましては、発表を差し控えさしていただきたいと思います。
  78. 島本虎三

    島本委員 官房長としては、ここに私はっきり聞いておかなければならぬのですが、前の石田労働大臣の当時に、いろいろ委員会等で責任ある発言をなすっておること、これが現在の労働大臣に至って、政策その他立場の違いから、そういうようなことがほごになるようなことがあるものかないものか、また前の労働大臣が明確にこれを言明したことは、大臣が変わっても現在そのように実施されるのが官房長としての一つの努めじゃないかと思うのですが、その点私の考えに間違いがあるかないか、その点を一つはっきり聞かしていただきたい。
  79. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 御指摘の通り、福永労働大臣のもとにおかれましても、施策を積極的に推し進めておるところでございますが、特に失業対策事業につきましては、先ほど申しましたように、失対労務者の常用化促進、雇用奨励制度といったような従来ありませんでしたところの新しい施策を来年度は実施いたしたいと考えております。何と申しますか、前向きの姿勢はさらにさらに強く出ておるというふうに私どもは考えておる次第であります。
  80. 島本虎三

    島本委員 その促進した結果等について、なおデータによって調べたいと思いますが、きょうは時間がございませんから、委員長に御協力して、この問題はこの次にします。  今言ったうちで、石田労働大臣から現在の福永労働大臣に引き継がれて、これはもう基本的な行き方に変わりはないというこの考え方の上に立って、石田大臣当時に初めていわゆる一日一円というような、石炭手当に見合うもの、石炭手当そのものではない、しかし見合うものというような表現で、一日一円ずつ寒冷地の方の労務者にこれをつけた。今後これを正式の制度にして、こういう幽霊のようなものにしないようにこれは改善いたしますということは言っておりました。この点、制度そのもの、額そのもの、こういうようなものをはっきり皆さんの方で改善するように措置したかどうか、この点をお聞きいたします。
  81. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 結論はまだ大蔵省と折衝中でございますので、出ておりませんが、そういった点についても十分配慮いたしまして、大蔵省と折衝しておる次第でございます。
  82. 島本虎三

    島本委員 そうすると、結局期末手当の増額の点と石炭手当の支給についての制度化の点は、十分これも考えて措置しているのだ、交渉もしているのだ、こういうように考えてよろしゅうございますか。
  83. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 制度の形の問題は、いろいろ御議論があると思いますが、労働省といたしましては、実質的に内容がよくなるようにということを主眼に置きまして、鋭意折衝しておる次第でございます。
  84. 島本虎三

    島本委員 日雇いの労務者の立場は、非常勤の特別職による地方公務員という資格だと思うのです。これはやはりそういうような資格だといたしますと、この前提が間違いであるという場合には、私はもう引きますが、非常勤の特別職による地方公務員であるということになりますと、国家公務員の場合には、また地方公務員の場合には、それぞれ石炭手当というようなものの制度も確立しておって、それによって運営しておる。しかしながら今言ったような身分を確立しているならば、それによっていろいろな現在の状態を是正してやるのが労働省としての立場じゃないかと思うのですが、今私が申しました日雇いの立場があやふやでなければ私の言うことが正しいということになりますが、これは逢いますか。
  85. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 お言葉にもございました特別職でございますから、特別職ということで実は不安定な状態にあるのではなかろうかとも言えるわけでございますが、しかしそういうことは別といたしましても、労働省としては、労務者の待遇改善ということについては格段の考慮を払っておるわけでございます。ただいま申しました諸手当の問題につきましては、さらに引き上げられますように、大蔵省と折衝しておるような次第でございます。
  86. 島本虎三

    島本委員 そうすると、石炭手当の支給については、制度化とともに増額の点も考慮しているのだ、こういうふうに理解していいのですか。
  87. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 やがて数日後に大蔵省の内示もあることと存じますので、今この席でどういう形でどうかという点についてはお答えすることを差し控えさしていただきます。
  88. 島本虎三

    島本委員 最後に言いますが、私ども聞いておるのは、これはあなたを決して侮辱することにはなりませんが、大蔵省に対して一番腰の弱いのは、郵政官僚と労働官僚だなんということを聞いておりますから、そういうような点を激励するような意味において、その結果を待ってくれというならば、これは十分自信のある言葉である場合には、私どもも待ってけっこうなんですが、そうでなければお手伝いもしなければなりますまいし、いろいろな点でそれが通るように世論も考えなければなりますまい。皆さんが考えておるのが至当であるならば、これを推進するのが正しいと思います。しかしながら、偶然腰の弱い方の筆頭に立たされるようなら、これは心配でしょうがないでしょう。もしそうだとすれば、ほんとうにこれは困りますから、この制度化の点と増額の点は、これは十分考えて善処しますとはっきり言い切るならば、それでいいですが、この点まだあやふやですから、まかしてくれというのでは、何をまかしていいかわからぬじゃございませんか。一つ安心できるように言っていただきたいと思います。
  89. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 労働省としましては、十分理由のある、合理的な要求につきましては、労働者独自の力をもってしましても断固として貫徹するつもりでございます。何分にも、再三繰り返して恐縮でございますが、まだ結論の出ない、つまり政府内で目下検討中の事項でございますので、具体的な数字等につきましては差し控えさせていただきたいと思います。
  90. 島本虎三

    島本委員 じゃ、もう一つ質問をしますが、これはどういうことになりますか。前の労働大臣もこの点等については、増額と制度化の点は、将来考えて善処したいと言っておったのは、あなたも御承知の通りなんです。従って前の労働大臣の意向を継いで今回の福永労働大臣は対処するというならば、当然そのことについて前進的な態度を示すべきである、示した予算を大蔵省に要求するのが、正しいと思うから、そのことを言っておるのです。こういうような態度でやっておるというなら私は引き下がります。それを何かわからぬような態度でいるから食い下がっておるのです。これはどうなんです。
  91. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 御指摘のような方向で要求し、折衝している次第であります。
  92. 島本虎三

    島本委員 大いにがんばっていただきたいと思います。それで私は終わらしていただきます。
  93. 中野四郎

    中野委員長 小林進君。
  94. 小林進

    小林(進)委員 医務局長に伺いますが、あなたの方は病院の設備の縮小をおやりになりますか。
  95. 川上六馬

    ○川上説明員 国立病院でございますか。——別に縮小は考えておりません。
  96. 小林進

    小林(進)委員 考えておりませんね。それでいいのです。それから……。
  97. 川上六馬

    ○川上説明員 ただし、こういう点は今後の状勢に応じなければならぬと思うのは、たとえば結核療養所なら結核療養所というもののベッドを今減らそうという考えは全体として持っておりません。しかし地区内に見ますと、非常に利用率の高くなるのもありますし、利用率の低くなるのもありますから、そういう点はそれに応じて考えなければならぬ。しかし全体的に今縮小ということを考えておるわけではございません。
  98. 小林進

    小林(進)委員 そういうことを言うから、私はさっきから聞いているのです。私が縮小する気があるかないかということは、全般の数字を言っているのじゃないのです。地区的にも、あるいは全国のトータルにおいても減らす気があるかないかと言っているのです。私の質問の中には、その地域の問題も入っているのです。その地域によっては利用度が少ないという、その利用度というのはどこから出しますか。結核の患者はないというのか、ないから減らす言っているのか。その利用率が悪いというのは、原因を追及してあなた方は減らすというのか。あなた方のいわゆる独立採算性のそろばんが合わぬからといって、金にならない患者は入れない。片方で締め出しておきながら、利用度が少ないから減らすなどという本末転倒した医療行政が現実に行なわれているじゃないか。だからあなたは減らさないと言うならそれでよろしいけれども、その地域に利用度が少ないから減らすなどということなら、私は了承できない。ほんとうにその地域において結核療養患者が少ないかどうか、その入院患者が少ないかどうか、その資料を出して裏づけをしてもらわぬければ、了承できない。
  99. 川上六馬

    ○川上説明員 その地方の、医療需要に応じて、やっぱり考えなければならぬ問題だと思います。たとえば小林さんがおられます新潟の療養所というものは、七百の病床があるわけですけれども、最近ではおそらく五百人くらいの患者を扱っておると思います。そういうような状態が続いておりますと、一方においてまたこれをふやさなければならぬような、非常に利用度の高いような療養所が出ました場合に、やっぱり七百人の定員をそこにいつまでも置いておくというようなこともなかなかできませんで、これはやはり全体として調整をはからなければならぬと思います。病床の数というものを今にわかに変えようと思いませんけれども、実際の運営としてはそういうことはあり得るということを御了承願いたいと思います。国立病院のようなものは、これは採算がとれないからどうするということは考えておりません。むしろ国立は採算のとれないようなところの医療を担当するというのが、国立の一つの使命だというふうに考えております。結核にいたしましても、措置入院が強化されておりますので、それに対応してベッドの利用率が上がることを期待をいたしております。そういう点については遺憾のないように努力いたしたいと思います。
  100. 小林進

    小林(進)委員 だめですよ、新潟なんかおっしゃったって。新潟なんか措置入院の希望者は少ないじゃないかと言うが、結核の病人は一番多いのだ。入院させてもらいたいという希望者は一番多いのだ。しかし実質は資格の問題で抑えつけておいて、入れないでおいて、一方で利用率が少ないからベッドを減らすぞ、現実にこういう矛盾が出ている。これは重大問題ですから、あなたは通常国会では覚悟しておいて下さい。七百ベッドが二百ベッドあいているのは、患者が少ないためにあいているのじゃないのです。利用者が少ないためにあいているのじゃないのです。利用者は、入院する資格を与えてくれ、措置入院の資格を与えてくれといって山ほど出しているじゃないか。保健所から集めたら、要措置入院の資格者は新潟で五千人もいるにもかかわらず、わずかに一千人何ぼ、四分の一しか許可してないじゃないか。あとの四千人は入りたくても入れないのだ。そういうようなことをしておきながら、利用度が少ないの、何が少ないのという、へまちゃらな答弁ばかりしている。局長は勉強が足らない。新潟へ行っていらっしゃい、あしたからでも。そんなことではだめです。  時間がないから官房長、新任早々だからまだ対国会との関係を知らぬかもしれぬけれども、あなた方はわれわれ国会議員に対する資料を円滑に回しておりますか。あなた方は、この七月に厚生省社会保障の長期展望、長期計画を新聞にお出しになりましたね。それが相当ディスカッションの材料になった。われわれにその資料を回しましたか。国会議員なんというものはこんなものを回さぬでよろしいという考えなんでしょう、あなたは。それをおれはもらいに行った。もらいに行ったら、ないと言った。何です。一事が万事ですよ。私は一つの例をあげているだけの話だ。
  101. 山本正淑

    山本(正)政府委員 私も最近官房長になったわけでありまして、過去において資料をお渡ししたはずでございますが、十分でなかったらもちろん気をつけなければなりませんが、先般の厚生白書はすぐお回ししたはずでございます。
  102. 小林進

    小林(進)委員 あなたはよこしたのだけ宣伝しているけれども、言わぬことは言わないでいい。いやしくも新聞に発表したものは——われわれは国民の代表なんだよ。新聞に発表すると同時に、われわれのところに、国民の代表にもちゃんとこれを見ていただきたいという、そういう心がまえがなくちゃいかぬ。何だ、新聞に発表したり何かして、そして一カ月たっても二カ月たってもよこさぬ。それでおれの方でもらいにやったら、そんなものはありませんという返事だ。そういう失敬千万な、それは一事が万事だよ。これがいわゆる官僚だな。官僚の国会議員に対する潜在的な意識なんだ。それが現われているのですよ。僕はたった一、二の例の資料の問題を言っているのではない。あなた方の国会に対するこの軽視の態度、国民の代表を国民の代表と思わない不遜な態度がおれは気に要らない。これは何をおいても閣議と同時に国会関係委員のところに出すという、こういう心がまえを持たなければ、だめだ。気をつけなさい。  それからいま一つ政務次官、官店長にも関係があるから申し上げますが、あなたは省内における人事やすべての省内職員のことをつかさどっておられるのだから、政務次官にも言いたいのだが、一体今役所はどこにあるのですか。厚生省はどこにありますか。課長や局長の常置の位置はどこにありますか。係長、局長、高級の職員の常におられる場所はどこなんですか、はっきりして下さい。
  103. 山本正淑

    山本(正)政府委員 霞ケ関でございます。
  104. 小林進

    小林(進)委員 霞ケ関何丁目ですか。
  105. 山本正淑

    山本(正)政府委員 二番地と記憶しております。
  106. 小林進

    小林(進)委員 建物はどこにありますか。
  107. 山本正淑

    山本(正)政府委員 玄関に厚生省という看板を掲げてあります。
  108. 小林進

    小林(進)委員 その中に、局長、課長は常置なのでしょう。しかるに今いないじゃないですか。われわれが電話をかけたり何かしたところで、いない。いないどころじゃない、みんなどこかへ行っている。いわゆる予算の編成でございますの、何でございますのということでいないじゃないか。しかし予算編成は、いやしくも内閣につながるいわゆるアシスタントの一員として閣僚の中へ入るのならいいけれども、たまたま電話して、局長はどこへ行っておる、課長はどこへ行っておる、官房長はどこへ行っておると聞くと、社会部会へ行っています。労働部会へ行っています。厚生省の中に社会部会があるか、労働部会があるか、どこの部会だと言ったら、自民党の労働部会でございます。自民党の社会部会でございます。どうもわれわれの見るところによれば、もはや局長、課長はあなたの言われる厚生省という看板の中にはいないで、彼らはいわば一つ政党の労働部会や社会部会や何々部会というところへ出勤するのがあたりまえだと考えておる。そういう風潮はありませんか。ないと言うなら、私は断固戦いますよ。もし三権分立というものがあるならば、この憲法の三権分立を乱しておるのは官僚ですよ。何です。われわれが電話かけたときに、社会部会へ行っていますの、労働部会へ行っていますのと、そういう不謹慎な風潮が日本の官庁の中に流れてきて、民主政治がうまくいきますか。笑いごとじゃないですよ。最近、特にこの二、三年その風潮ははなはだしい。あなた方の常置の出席場所は霞ケ関の看板じゃないのだ。一つ政党のそういう部会へ出席するのが常勤の場所だと心得ている不心得者がたくさんいますよ。みんなここへ呼んで下さい、局長、部長、一人ずつ言ってやるから。そんなことで役人の秩序が保たれますか。そうして予算編成で忙しい。予算編成をするのだったら、内閣所属厚生大臣としてやりなさい。それならばわれわれも、予算編成で忙しいようだから、国会も少しは遠慮してあげましょうかということになる。われわれ委員会も、少しは委員長の言う通り時間を控えてやろうかという気持になるが、あなた方のやることはそうじゃないでしょう。とんでもないところで予算の審議をやっている。とんでもないところで官僚が踊っているじゃないですか。なぜわれわれを代表して政党から政務次官を入れているのか、一体政務次官は何をやっているのですか。あなたに怒ってもしようがないが、そういう不謹慎な無秩序はやめなさい。それだけは官房長の仕事だからやってもらいたい。きょうは一ぱい質問することがあるけれども、時間が少ないから、これでやめておきますが、実にけしからぬと思う。
  109. 山本正淑

    山本(正)政府委員 いろいろ御注意を願いましたが、各局長、課長それぞれの仕事を担当いたしておりまして、その仕事を推進する上におきまして最大の努力をいたしておりますので、御了承を願いたいと思います。
  110. 小林進

    小林(進)委員 どうかそうやってもらいたい。そういう党の部会なんかがあったら、そのために政務次官があるのだから、政務次官を活用してその部会の折衝をやりなさい。そうしてあくまでも行政というものは国民に奉仕する。あなた方は政党政派に中立でなければならぬ。行政の中立性というものは正しく行なわれなければ憲法は乱れるのです。行政は乱れるのですよ。それを最近の役所は、あまり自民党の政権が続いたものだから、内閣政党を混同している。あなた方は政党に隷属し、政党に所属し、その仕事をするのが高級官僚の仕事だと思っている。これこそ行政の秩序を乱し、政治の中立性を乱す、重大なことですよ。これは大へんなことです。だからその間違いをここで注意したからには、私は今後事あるごとに徹底的にやりますから、よく皆にも注意しておいて下さい。官房長には、これで終わります。
  111. 中野四郎

    中野委員長 ちょっと速記をとめて……。   〔速記中止
  112. 中野四郎

    中野委員長 速記を始めて。   本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十六分散会