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1962-07-07 第40回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年七月七日(土曜日)    午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 秋山 利恭君 理事 永田 亮一君    理事 岡本 隆一君 理事 角屋堅次郎君    理事 下平 正一君       大石 武一君    上林山榮吉君       仮谷 忠男君    岸本 義廣君       首藤 新八君    谷垣 專一君       辻  寛一君    原田  憲君       本名  武君    前田 義雄君       宮澤 胤勇君    保岡 武久君       石田 宥全君    久保 三郎君       五島 虎雄君    島本 虎三君       中島  巖君    永井勝次郎君       西宮  弘君    安井 吉典君       湯山  勇君    玉置 一徳君  委員外出席者         警  視  正 百瀬  涓君         農林事務官         (大臣官房長) 林田悠紀夫君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  久我 通武君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         農 林 技 官         (振興局農産課         長)      石川  里君         農 林 技 官         (振興局園芸課         長)      石井 一雄君         農 林 技 官         (食糧庁総務部         検査課長)   中  正三君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    田中  勉君         通商産業技官         (鉱山局鉱業課         長)      大木  恒君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局鉱         山課長)    小関  伝君         気象庁長官   和達 清夫君         建 設 技 官         (都市局技術参         事官)     奥田 教朝君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建 設 技 官         (道路局一級国         道課長)    村上 永一君         建設事務官         (住宅局長)  斎藤 常勝君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         自治事務官   河村  榮君     ————————————— 五月三十日  委員仮谷忠男君、纐纈彌三君、壽原正一君、五  島虎雄君及び二宮武夫辞任につき、その補欠  として内海安吉君、伊藤宗一郎君、保科善四郎  君、西宮弘君及び日野吉夫君が議長指名で委  員に選任された。 同日  委員伊藤宗一郎君、内海安吉君、保科善四郎君、  西宮弘君及び日野吉夫辞任につき、その補欠  として纐纈彌三君、仮谷忠男君、壽原正一君、  五島虎雄君及び二宮武夫君が議長指名委員  に選任された。 同月三十一日  委員纐纈彌三君辞任につき、その補欠として小  川平二君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小川平二辞任につき、その補欠として纐  纈彌三君が議長指名委員に選任された。 七月七日  委員纐纈彌三君、松澤雄藏君、足鹿覺君、小林  進君、田口誠治君、中村英男君、二宮武夫君及  び吉村吉雄辞任につき、その補欠として本名  武君、岸本義廣君、西宮弘君、石田宥全君、湯  山勇君、安井吉典君、久保三郎君及び永井勝次  郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岸本義廣君、本名武君、石田宥全君久保  三郎君、永井勝次郎君、西宮弘君、安井吉典君  及び湯山勇辞任につき、その補欠として松澤  雄藏君、纐纈彌三君、小林進君、二宮武夫君、  吉村吉雄君、足鹿覺君、中村英男君及び田口誠  治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月七日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、本年六月以降の梅雨前線豪雨等による被害状況等について、関係当局からそれぞれ説明を聴取することにいたします。警察庁百瀬説明員
  3. 百瀬涓

    百瀬説明員 梅雨前線による大雨被害状況警察措置の概要について御説明いたします。  七月一日から九州南部地方に雨が降り始まりまして以後、ずっと今日まで降ったり曇ったりしておるわけですが、特に三日夕刻九州地方、五日瀬戸内海沿岸地方愛知を中心とする中部地方集中豪雨がございまして、西日本二十八府県に、昨日の午後八時現在までに、お手元に配付してございますが、そのような被害が発生しております。  おもな被害につきまして御説明いたしますと、人的被害死者四十八名、これは熊本十三名、広島十一名、大分、岡山各四名、愛知三名というふうな被害でございます。被害の態様といたしましては、がけくずれによるものが割合多いようになっております。その他、川へ転落をしたあるいは川で流されたという死者でございます。行方不明が十名、負傷者五十三名、罹災世帯約一万六千世帯罹災者約七万七千名、家屋の被害、全半壊流失約二百三十棟、床上浸水約七千二百棟、床下浸水約五万四千棟というふうな被害が出ております。  これを昨年の梅雨前線に比べますと、昨年は六月二十四日から七月十日までの問に死者三百二名、罹災世帯八万三千というふうな被害でございまして、昨年よりはやや被害程度が少ないかと思います。  なお、被害の発生いたしました西日本二十八府県においては、警察官の出動は延べ約一万二千名で、それぞれ警備、警戒、救助活動を行なっております。  以上でございます。
  4. 濱地文平

  5. 林田悠紀夫

    林田説明員 農林省関係被害状況を御説明申し上げます。  お手元資料として御配付申し上げておりますように、三十七年度の梅雨前線豪雨によります農林水産関係被害といたしましては、六月の梅雨前線長雨、それから豪雨によりまして、施設関係といたしましては十四億四千二百十九万一千円に及びます被害を見ております。それからその次のページに、農作物被害概況というのがございますが、これは特に六月以降の長雨によります農作物被害でございまして、約百七十億の被害を見ております。その被害内容につきましては、五ページにつけてございまして、特に麦類あるいはイモ類野菜相当被害が出ておる次第でございます。  それから七月の梅雨前線によります施設関係被害といたしましては、一ページにございますように二十億九千六百七十八万一千円の被害を見ております。特に農業用施設農地関係、それから林業関係荒廃地、そういうところに被害が多く生じております。  これに対しまして、農林省といたしましては、六月の長雨に対する対策といたしましては、すでに共済金保険金の仮渡しをいたしましたり、あるいは天災融資法の発動の準備を進めましたり、あるいは等外麦の買い上げをやったりいたしております。なお、七月の災害につきましては、現在現地調査をいたしております。  なお、このほかに、北海道の十勝岳の噴火によります農作物被害がございまして、目下の調査のところでは、大体畑作物八万町歩、水稲約三千町歩について、降灰によりますバレイショあるいは豆類、てん菜、トウモロコシのような作物に被害を見ております。
  6. 濱地文平

  7. 久我通武

    久我説明員 六月初めに降りました長雨の方から申し上げたいと存じます。  六月初めの梅雨前線によりまして農作物に及びました被害は、麦類が最も大きな被害を受けておりますが、この被害範囲相当に広範でございます。麦類収穫期がおそい地方におきましても、これは麦の立毛のまま被害が出ておるというようなところもございます。早く刈り取りましたところは、野積みをいたしておるのが流失するというようなことのために相当被害を受けております。しかも穂発芽をいたしましたり、品質が非常に悪くなりまして、従って、収量にはなりますけれども品質上非常に悪いものが相当に多量になっておるわけでございます・  全国で申し上げますと、小麦の被害が約三十七万町歩被害量が約十七万一千トン、被害見込みの試算をいたしました金額が、六十五億というような金額になっております。そのほか、六条大麦被害百種が七万八千町歩被害量が約七万三千トン、二条大麦が約六万二千町歩で、四万七千トンという被害が出ておるわけでございます。全体合わせまして約百四十億が麦の被害でございます。そのほか、菜種あるいはバレイショ野菜類等がございますが、総計いたしまして約百七十億の被害になっております。
  8. 濱地文平

  9. 山内一郎

    山内説明員 お手元に、昭和三十七年六月上旬以降の梅雨前線豪雨による被害概況建設省という資料が配付してございます。内容は、公共土木施設被害都市施設被害住宅被害となっておりますが、私から、概略、ほかの局の所管の分も御説明をさせていただきたいと思います。  一ページをお開き願いたいと思います。ここに公共土木施設被害総括表が書いてございます。災害の区分として、直轄災害補助災害、それから六月、七月上旬、計というふうになっておりますが、七月上旬の分には、昨日降りました分についてはこの中にまだ記載されてございません。従って、これから多少ふえる見込みでございます。直轄災害が、六月、三億五千万円、七月上旬、五億、合計しまして八億五千百万円、河川砂防道路内訳はそこに書いてある通りでございます。補助災害は、六月、二十九億一千百万円、七月上旬、二十五億三千万円、合計して五十四億四千百万円、それを全部合計いたしますと六十二億九千二百万円、こういうような数字になっておるわけでございます。例年と比較いたしますと、大体例年並みである、昨年は長野県の大水害がございましたので、金額は非常にふえておりますが、それ以外の年と大体同じくらいの程度である、こういうことが言えると思います。  二ページは、直轄河川で六月分の出水を見ました河川名、水位の状況、雨量、被害状況、こういうものが記載してございます。地方建設局所管別に見ますと、北陸地方建設局中部地方建設局でございまして、河川名はここに書いてある通りでありますが、この中には被害のないという川もございます。従って、被害のあるところを申し上げますと、手取川が四千二百万円、常願寺川が五百十万円、千曲、犀川一緒にしまして五千三百五十万円、信濃川が六千百三十万円、天竜川上流が一億五千二百万円、合計して三億一千三百九十万円、こういうような状況でございます。  三ページは、同様に直轄河川の七月分でございます。中国地方建設局九州地方建設局管内被害がございまして、まだ被害調査中のところがだいぶございます。ただいまわかりましたところで、これらの川につきまして合計して四億八千八百万円、六月を合計いたしますと八億二百万円、こういう状況でございます。  四ページは、直轄砂防関係でありまして、北陸地建信濃川上流手取川、この二つの水系につきまして被害状況として、被害額は二千四百九十三万円、こういうことでございます。  五ページ、六ページは、一級国道指定区間被害状況でございます。六月分では、近畿地方建設局管内で二十七号線、八号線の、おのおの京都府、滋賀県管内におきまして被害が発生いたしております。被害金額は一千百六十万円になっております。六ページに七月分が書いてございますが、地方建設局関係いたしておりますのは、九州中部中国、三つにわたっております。おのおの被災個所はここに書いてある通りでございまして、金額といたしましては一千二百六十万円、六月分を合計いたしますと二千四百二十万円、こういうふうになります。  七ページから十ページまでは、補助災害公共土木施設府県関係でございます。六月分を被害の日によりまして区分してございます。七ページは、六月九日から十日までの分、これにつきましては、ここに書いてあるような県、それからおもな被災地、おもな被害河川が書いてございますが、京都府、兵庫県がこのうちでも被害が顕著なものになっております。合計いたしまして二十億五千五百万円。八ページは、六月十三日から十四日の分となっておりまして、このうち長野県が三億一千二百万円、これが一番大きく被害を受けた県になっております。総計は五億五千四百万円。九ページは、六月下旬の二十四日、二十五日の分でございまして、中国九州地方被害を受けております。これは総計が三億一百万円、六月分を全部合計いたしますと二十九億一千百万円、こういう数字でございます。十ページは七月分の災害でございます。昨日も雨が降っている関係上、その分はここにはまだ漏れているわけでございます。これらのうち、被害の激甚なところは愛知県、和歌山県、福岡県、熊本県、こういうような県でございますが、昨日の雨で山口、広島等中国地方被害が発生いたしております。七月分の計は二十五億三千万円、これらを六月と全部合計いたしますと五十四億四千百万円、こういうようになります。  十一ページは都市施設災害でございまして、六月分はございませんが、七月分として、ここに書いてございますように、豊橋市、武雄市、鹿島市、唐津市、これらの愛知、佐賀県の市におきまして、公園、都市下水路、これらの被害がございます。被害額合計は六百四十一万六千円、ここに書いてある通りでございます。なお、まだ調査中の分もございます。  それから十二ページは住宅被害でございますが、六月分、七月上旬の分の総計が上に書いてございます。全壊が、六月分十七戸、七月上旬分六十三戸、流失が、六月はなくて、七月上旬分十三戸、おのおの合計をいたしますと、全壊八十戸、流失十三戸、半壊はその下に書いてある通りでございます。六月の九日から十四日分につきまして県ごとにその詳細が記載してございます。ごらんをいただきたいと思います。  それから十三ページは、七月分につきまして同様に県別内訳が出ております。全壊は、総計いたしまして六十三戸、そのうち、熊本県が二十二戸で最高になっております。流失床上浸水床下浸水、これはここに記載してある通りでございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。     —————————————
  10. 濱地文平

    濱地委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。永田亮一君。
  11. 永田亮一

    永田委員 先ほど来の御説明で大体大まかなところはわかりましたが、私も参議院選挙であちこち回っておりまして、相当被害のひどいところを見て参りました。道路とか農地とかの問題はまたあとで御質問することにして、直接私が見た中で一番ひどい被害を受けておると思われるのは、タマネギ被害でございます。ちょうど選挙でライトバンの車なんかで通っておっても、被害を受けたタマネギを全部道に積み出してあるために通れないのです。道路に腐ったタマネギを山のように積んであるものですから、自動車がすべってしまって、しかもそれがずっと長く山のように積んであるために通れないので、迂回をして通るということがたびたびございました。そのタマネギ悪臭を発しまして、そこら近辺の人もそこを通るときには目が痛くて通れないというような状態でございましたので、一応関西方面タマネギ被害状況について、どの程度やられておるのか、おわかりだったら御説明を願いたいと思うのであります。
  12. 林田悠紀夫

    林田説明員 タマネギの六月災害によりまする被害につきましては、面積で三千九百八十町歩でありまして、被害量としまして三万三千二百トン、被害見込み金額としまして三億六千四百八十万円でございます。
  13. 永田亮一

    永田委員 今のお話を聞いて、数字だけではぴんとこないと思うのですが、私は現実に見てきて、主として淡路で見たのですが、淡路で裏作は麦をほとんどやらない、タマネギが多いのです。それで、二千二百五十ヘクタールぐらい植えていますが、これが冠水をして流失したり、半分ぐらいは腐った。冠水面積がやはり六百ヘクタールぐらいあると思うのです。今さしあたって一番問題になっておりましたのは、腐ったタマネギをどう処置するかということで、みんな当惑しておったのです。道へ山のように積むと通れなくなるために、川まで持っていってみな捨てる。川へ捨てると、下流の方の魚がみんな死滅してしまう。今漁業組合とえらくもめております。どこも川に捨てたタマネギのために養魚の魚が死んでしまう。それから海岸から二キロメートルくらいのところは漁ができない。魚が寄ってこないわけです。そのために漁業組合が非常に怒って町の方へ文句を言ってきておる。そういう状態であります。海岸の港の方面へ行ってみますと、船が港へ入ってくるのに、一面にタマネギが浮いているものですから、それをかきわけてみな入ってくるというような状態なんです。それで、非常な悪臭を発しますので、町の方では困ってしまって、穴を掘って腐ったタマネギを埋めろということを今指導しておる。ところが、今の御説明にもあったように、淡路だけでも八千五百八十トン、二百三十万貫のタマネギですから、この二百三十万貫のタマネギを穴を掘って埋めるといったって、これはそこへ掘ることも大へんだし、何百台のダンプカーで運ぶにしても、そのタマネギを運ぶ費用だけでも町が非常な負担をしなければならぬ。ちょっと自治省の方にもお尋ねをしたいのですが、町が非常に困ってしまって、町が臨時に金を出すにしても、穴を掘る費用とか、ダンプカーで運ぶ費用とか、漁業組合なんかに対する補償だとか、そういうことで淡路島の四、五カ町村がみんな手を上げてしまっているわけです。自治省として特にこういう問題について交付税の問題などで考えていただきたいと思うのですが、町の当局が非常に困っておりますので、何かそれに対する対策をお考えいただけるかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  14. 松島五郎

    松島説明員 ただいまお尋ねのございましたタマネギ腐敗処理の問題でございますが、私どももこの件につきまして地元町村長さんからお話を伺っておるところでございます。西淡町とかいうととろでは、このために三千万円程度費用が要るというお話を承っております。ただ、こういう農業災害に属しますものの処理について、町がその全部を町費をもって負担する以外に方法がないかどうか、この辺にいろいろまだ検討すべき問題があるのではないかというふうには考えておりますが、いずれにいたしましても、町の負担に属しますものにつきましては、私どもといたしましても特別交付税等の際に十分考慮して参りたいと考えておる次第でございます。
  15. 永田亮一

    永田委員 それでは農林省園芸課長にちょっとお尋ねいたします。その腐ったタマネギ処理自治省でお考えいただいてけっこうでございますが、ただそのタマネギ母球の確保問題とか、その種の問題があるのです。こういうものが全滅いたしておりますので、そういう方面について農林省の方でどういうお考えか、お尋ねしたいと思います。
  16. 石井一雄

    石井説明員 ただいま御質問のございました母球の確保の点につきまして御説明申し上げます。非常に技術的な問題で、こまかくなりまして恐縮でございますが、地元からの陳情あるいは県からの陳情がございましたので、それをあわせまして、どう実際にこれを確保するかという点で、私ども一緒になりまして研究をいたしたのでございますが、状況は、地元で設けております母球圃というものがございますけれども、これは大体において八割くらいが被害を受けておる、かように私ども承っております。従いまして、二割がどうにか残ったものでございます。残りの八割は、この地域には淡路甲高という特定の品種がございまして、かわりのものを他の地域に求めることが容易でもございませんので、この地域でこれを確保するといたしましても、残ったもののうちからいいものをまた集めるということであろうと思います。これは集めましたものを、この地域では従来から香川県及び兵庫県の北部にその採種委託いたしておるわけでございます。この委託は従来と変わりなく委託を続ける、こういう地元計画のように承っております。さらに、現在この母球を確保いたしまして、この十月ごろに委託地へ送りまして、そこで採種のための栽培が始まるわけでございますが、それまでの間の処理といたしましては、従来は、委託地へ送りまして委託地でその間冷蔵いたしまして、植付までの管理をする、こういう慣例でございますけれども、本年は現地にこれを冷蔵いたしまして、その植付の直前にこれから出しまして委託地へ送って採種をする、そういうふうな計画を目下立てつつあるようなわけでございます。従いまして、それらの母球の選出、さらに選出しました母球委託までの管理、これが非常に大事であると存じまして、県にも、適切な援助をするように私ども申し上げているような次第でございます。そういうことで母球の件は現地でやっておるわけでございます。
  17. 濱地文平

  18. 久保三郎

    久保委員 私は、六月初句からの異常降雨による農作物被害、その中で特に麦類被害についてお尋ねをしたいのであります。  先ほども御説明があったように、農作物被害全体として約百七十億と出ておりますが、特に私の出身県である茨城県においては、麦類被害は約十八億となっております。しかも、作付面積の半分以上がこの被害にかかっておる現状でございます。ついては、この被害についての対策であります。先ほど説明はなかったようでありますが、まず第一に、天災融資法を発動する準備はしておるのかどうか、その中身というか、政令等についてはいかように考えて、いつの時期にこれを出すのか、この点をまず第一にお伺いしたいと思います。
  19. 坂村吉正

    坂村説明員 麦類被害については、先ほど官房長から答弁がございましたが、さっそく天災融資法を発動するということでただいま準備をいたしております。政令制定につきましては、被害総額が正式にまとまりますということと、それから融資希望額がございまして、それを現在取りまとめ中でございます。大体目標は、十日前後には統計調査部資料がまとまるというふうに聞いておるのでございまして、そこら辺を目標にいたしまして数字の整理をいたしております。
  20. 久保三郎

    久保委員 局長がおっしゃるように、十日ごろ大体政令の基礎になる数字がまとまるというお話でありますが、そうしますと、今月一ぱいぐらい政令制定についてはかかるわけでありますか。
  21. 坂村吉正

    坂村説明員 できるだけ早くと思っておりますが、実はまた七月に九州地方で非常な被害が起こっておりますものですから、とりあえずの措置としては、天災融資法を発動するからいろいろつなぎ融資をしておくようにということで、金融機関等には通知をいたしております。そういうことでございますが、あるいは七月の被害もまとめて政令にいたしますか、あるいは前のものは前のもので別に政令をきめますか、そういう点はもう少し数字を検討した上でできるだけ早くやりたいと思います。
  22. 久保三郎

    久保委員 政令の定め方については、あとからあとから出てぐるということもありますが、われわれの希望としては、一応区切りをつけて、先のものは先に出して、被害農家に対して一応の目安をつけてやるということがさしあたり必要ではないか、かように考えますので、この点十分配慮の上、早急に手段を講じてほしい、こういうふうに思います。  そこで、次に麦の買い上げの問題でありますが、御承知のように、穂発芽等が非常に多くて、そのための被害が多いのであります。それに加えて品質の低下はもちろんでありますから、等外上並びに等外下についても政府買い上げ措置を講ずべきではないか、こういうふうに考えておるわけでありますが、この点農林省としていかがですか。
  23. 田中勉

    ○田中説明員 等外の問題でございますが、食糧庁といたしましては、今年度におきましてすでに等外上の検査規格を特別設定いたしまして、とのものについて買い上げの措置を決定いたしております。そこで、等外上にかからないものの麦の買い上げの要望が実は出ておるわけでありますけれども、等外上以下の規格につきましては、私どもも、それらの麦の製粉試験なり、精麦の試験なり、いろいろやってみたわけでありますが、食糧として、商品として流通する規格といたしましては等外上がぎりぎりの線である、こういうことに私ども認定をいたしておりまして、等外下の買い上げの点につきましては、現在のところ私どもは買い上げの対象としては考えておりません。
  24. 久保三郎

    久保委員 今のお話で、等外上は買うけれども、商品価値としてぎりぎりの線であるから、等外下についてはもちろん買うことはできかねる、こういうことであります。よく中身を知りませんが、麦の規格としていわゆる等外上というものを設定して買い上げるということは、規格の緩和ということに相なるわけでありますか。麦類の規格、この緩和を望んでいるわけでありますが、この点についてはいかがでしょう。
  25. 田中勉

    ○田中説明員 規格の緩和ということは、私ども、検査規格の建前から、そういうことを考えておりません。問題は、等外上をさらに等外上以上に幅を広げるということにつきましては、買い上げました麦の製品になる度合いというようなことから見て、これはぎりぎりの線だと考えておるわけであります。ただ、ことしのように、作柄によりまして、出て参ります麦の色沢なり、そういう点で非常に普通の年と違っておりますので、検査に当たりましては、そういう点は、丁寧な措置、観察なり検査をするようにというような指導をいたしておる次第でございます。  なお、御質問にはございませんけれども相当の量が等外下というようなことになるわけでございまして、生産者団体の方からも、これは飼料として販売をいたしたい、こういうような希望も出ております。この等外下につきましては相当幅がございますので、等外下の中でも、比較的いいものは飼料としても十分価値のあるものである、こういうような状態でございますので、私ども食糧庁といたしましては、現地の検査官等に、集荷団体の側から、等外下のものについても、比較的上位のものは飼料として流通をしたいというような希望が出て参りましたならば、それらの仕分け等について協力させるように指導いたしておる次第でございます。
  26. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、今のお話では、等外下について飼料等に回せるものはそれを買わせるということでありますか、それとも、食糧庁としてこれまた取引に介入して買うということに相なるのでございますか。
  27. 田中勉

    ○田中説明員 等外下の方の飼料として適当なものというようなことになりました場合には、当然、生産者団体と買い受ける側の需要者というものがあるわけでございますが、そういう間に食糧庁の第一線の検査官が入りまして、この程度のものはやはり飼料として一つの適格性があるのじゃないか、こういうようなことで、その取引について、品定め等について協力をさせるように指導いたしておる次第でございます。政府は買い上げのことは考えておりません。
  28. 久保三郎

    久保委員 次に、ビール麦の問題であります。やはり被害は同様でありまして、しかもビール原料であるビール麦は不足で、国外から麦芽を輸入する、こういう現況でありますが、こういう状況から見て、発芽能力のあるものは原料買い上げというふうに指導すべきだということを考えておるわけでありますが、これについていかような方針でありますか。
  29. 田中勉

    ○田中説明員 ビール麦の契約の規格というものは、一等ないし三等ということになっておるわけでございますが、ことしは四等規格程度になるものが相当あるわけであります。ビール会社側におきましても、先ほど御指摘ございましたように、国内のビール麦の生産がややもすれば需要に追いついていない、そのためにモルトの輸入というようなこともあるような現状下におきまして、やはり発芽力のあるもの等につきましては、必ずしも一−三等というような契約規格に限らず、四等の中におきましてもできるだけそういうものを買い上げていきたい、こういう希望をビール会社等は持っておるわけでございます。もちろん、これは発芽力の問題に限界があることは確かだろうと思うのでありますが、この間に立ちまして、食糧庁といたしましては、検査の面におきまして、そういうビール会社等の希望の線、それから生産者の売り渡しの希望の線、そういう線に沿いまして、検査はその取引にマッチするようなことでやって参りたい、こういうふうに考えております。
  30. 久保三郎

    久保委員 ビール麦についてはいろいろの問題があるわけでありますが、最近、当局のお骨折りもあったと思いますが、やや軌道に乗りつつあるわけであります。ところが、軌道に乗りつつある今日こういう災害を受けて、ビール麦耕作農民としては非常な不安があるわけであります。これは一つは品種の問題もあると思います。特に中間種は非常に倒伏が多いということは事実であります。そういうことからいきまして、今後は短評早生種の契約栽培を対象に入れるようにやるべきだという声もあるわけであります。これについては農林省全体としてどういうふうに考えておられるのか伺いたい。
  31. 石川里

    ○石川説明員 お説のように、中生種等につきましても、契約の対象にできればするように、今後会社と打ち合わせをして進めて参りたい、かように考えております。
  32. 久保三郎

    久保委員 さらに続いて農産課長にお尋ねしますが、ビール麦は、御存じの通りいろいろな問題があるわけですが、こういう天災等による場合、契約栽培でありますから、当然これに対する補償というか、そういうものも制度として織り込んでいくべきだと思いますが、そういう考えはございませんか。
  33. 石川里

    ○石川説明員 今後検討して参りたいと思います。
  34. 久保三郎

    久保委員 契約栽培全体として考えてもらうわけでありますが、特に災害に関連してこの点を確立してほしいと思います。  さらに、先ほどのビール麦の問題でありますが、いわゆる等外麦四等ですか、これの扱いについて先ほど説明がありまして、発芽能力いかんでありますが、買わせるようにしよう、こういうような意味でありますが、どうも少し消極的ではなかろうかと思うのであります。ビール会社にすれば、品質のいいものだけを買い上げたいのは当然であります。少ないものは外国から麦芽輸入ということでやるわけでありますが、実際においては検査員の認定、あるいはビール会社の意思、こういうものによって左右されるわけであります。食糧庁といたしまして、特に検査立ち会いというか、そういう場合に、極力農民の側に立って買わせるという方向へいかぬと、農民は救われないと思うのでありますが、こういう点について積極的に指導していくのかどうか。単に第三者的な立場から、これはいいだろうとか、悪いだろうとかいうことだけで指導していくのか、どっちですか。
  35. 田中勉

    ○田中説明員 食糧庁の立場といたしましては、ビール麦につきましては、ビール会社と生産者との間の契約が実態になっておるわけでございますので、食糧庁の買い上げの対象にもいたしておらないわけであります。従いまして、この取引にあたりましての検査の面において食糧庁がその機能を発揮しておるわけでございます。国内の生産された醸造用の麦が、所要の数量が災害その他によってビール会社において確保できないというような問題については、むしろ契約の担当であられます振興局とか、こういう方面においていろいろ御指導いただくと思うのであります。食糧庁の立場として、買わせるとかなんとかということまでの指導というものは、検査の面だけの関与でございますので、両者の間において、この程度のものを買いたい、こういうことになりました場合に、そのような検査の規格というか、認定をいたす、こういう立場にあるわけでございます。
  36. 久保三郎

    久保委員 これは経済局か振興局かわかりませんが、今食糧庁からお話があったように、分野はその方である、これはその通りであるかもしれぬ。ついては、そういう指導というか、要請というか、そういうことを最近ビール会社等にしておりますか、いかがですか。
  37. 石川里

    ○石川説明員 契約は、自主的な当事者の契約ということに従来相なっておりますが、御承知のように、最近ビールの需要が非常に増大いたしまして、国産ビール麦では不足を来たすために、モルトを輸入しなければならないというような事態になっておりますので、農林省も、従来の方式から、さらに行政指導をいたすという方向で極力国産自給化をはかろうという線でただいま話し合いをいたしております。それに関連いたしまして、契約の内容等につきましても相談をいたして、農家が不安なく生産ができ、所要量が確保できるような方向で進めたい、かように存じておるわけであります。
  38. 久保三郎

    久保委員 どうもやっていないようであります。これからでありましょうが、少なくともビール麦の現況、あるいはビール生産の現況、こういうことからいきまして、もう少し強力な行政指導というか、そういうものを早急に打ち立て、被害農家をして再起をはかってもらわなければいかぬと思う。これはひとり農家のためでなくて、ビール産業そのものにも関連が大きいのでありますから、再生産ができないような形でほったらかしては、断じて日本の農業なりビール生産なりの問題から見て当を得たものとは思えないのであります。よって、これは強力な指導をぜひお願いしたいと思います。  そこで、先ほどの話にまた戻りますが、食糧庁に一つ要請したいのであります。麦の等外下については、それぞれの購買機関との交渉でやってもらうのだ、こういうお話でありますが、飼料に回し得るものなら食糧庁として買い上げの措置をとって、飼料需給安定法ですか、こういうところの関係ともからませて処置をするのが当然ではないかと思うのですが、いかがですか。
  39. 田中勉

    ○田中説明員 食糧庁といたしましては、くどいようでございますが、極力、生産者団体、中央、全販段階でございますが、そういうところまで、等外の下などの相当発生する麦の販売、取引というようなことについて最大の努力をしてもらうように要望はしております。その間に立ちまして、検査上ある程度品定めというような協力を求められれば、私の方といたしましても積極的にそういう面の流通、取引の円滑化をはかるために、検査規格にはございませんが、そういう品定め等について末端の検査官を協力させるようにいたしておる次第であります。
  40. 久保三郎

    久保委員 次に、農災法であります。仮払いの措置は、この報告を見ますと、考えているということでありますが、仮払いの措置を早急にとってもらうことと、もう一つは、特に商品価値のある麦を除いてはあとはくず麦でありますから、こういうものについては評価額に入れてほしい、こういうことは当然であろうと思います。ともすれば、今の農災法の大きな欠点の一つである評価の問題は、従来いろいろ問題がある。でありますから、耕作農民の立場に立って評価額の算定をすべきだと思うのであります。等外上以外も評価額に入れる、こういう方向をとってほしいという要望が強いのでありますが、これに対してはどうでありましょうか。
  41. 坂村吉正

    坂村説明員 共済金の支払いの問題につきましては、先ほども申し上げましたように、必要がありますときには特に仮払いをする、それから国としても必要があれば被害概算金の支払いはどんどんやって参りたいというようなつもりでおりますが、いろいろな陳情のある方々のお話を聞いてみますと、まだそこまで具体的に進んでいないようであります。実際問題として損害評価がそこまで終わっていないというような状況のようであります。それから損害評価につきましては、おっしゃる通り、普通の評価方法ではなかなか救済されない面もございますから、一応私どもは、去年の集中豪雨相当麦が被害を受けておりますために、そのときに、損害評価方法については特別な損害評価をするように、そういう指導をいたし、通知もいたしております。そういう線でやるようにということでことしも指導していきたい、また実施の状況を見て、どうしても困るようであれば考えたいというふうに考えております。
  42. 久保三郎

    久保委員 どうしても困るようであれば考えてみたいということですが、現実に農家の声が、幾段階かありますので、農林省まで達しない面が多少あろうと思う。事実は早急にそういう手段を講じてほしいということでありますが、今まで申し上げたいろいろな問題について早急に明確な手を打ってほしいということを要望して私の質問を終わります。
  43. 濱地文平

  44. 湯山勇

    湯山委員 今の久保委員の御質問に関連して食糧庁の方へお尋ねいたしたいことは、等外下の買い上げについてでございます。数年前に同じような長雨による被害がありましたときには、等外下も買い上げの対象にしますし、当時は赤さびも相当発生しましたが、それについても買い上げた前例があると思います。今回等外の下を特におはずしになるというのは一体どういうことなんでしょうか。こういうことは公平に、前例があればそれを踏襲するという方法が私は適切なのではないかと思うのですが、その点いかがでしょう。
  45. 田中勉

    ○田中説明員 御質問の点がよくわからなかったのでございますが、等外の下を政府が買ったということはございません。等外上がぎりぎりの政府の毎年の臨時特例の限界の規格でございまして、等外の下は今まで食糧庁の方としては買ったことはございません。
  46. 湯山勇

    湯山委員 ずっと前に等外下に当たるようなものについてもできるだけ買い上げる。当時、赤さびについても厚生省の方と話し合って、その分について赤さびの粒の少ないものについては、同じように飼料とか、そういう方面に回すために、政府の方で直接買い上げしたかどうか存じませんけれども措置をとられた前例があるはずですが、御記憶ございませんでしょうか。
  47. 田中勉

    ○田中説明員 政府としては、等外上として買う場合におきましては、被害粒の規格というものの原理がございます。その被害粒の中に各種の被害粒が入ってくるわけでございます。その中におきまして、赤カビというようなものにつきましては、これはたとえば小麦なんかの場合におきまして、製粉いたします場合に粉として非常に不適格な粉が生産されるというようなことで、特に等外の上の中におきましても赤カビ等の混入工合等についてはよくこれは注意をして買い上げするというようなことをやっておったと思いますが、いずれにいたしましても、総体の規格において等外上の規格に合致したものに限定して買っておることでございまして、等外下はおそらく民間の流通とか、そういう面においての指導的な取引を助長した、こういうことだろうと思います。
  48. 湯山勇

    湯山委員 そういう御説明だと、今回の場合、農家が等外下の麦を持ちぐされするというような事態は起こさないような方法を講じていただけるのかどうか。先ほどの御説明では、ただ単に検査等において協力するというようなお話でございましだけれども、実際はなかなか地方ではそういうことは困難な場合が多いと思います。何とか政府の方で対策を講じて、せっかく作ったものを持ちぐされにするようなことはしないようにする、こういうことのお約束ができるかどうか、いかがでしょうか。
  49. 田中勉

    ○田中説明員 先ほども申し上げましたように、特に現地の協同組合、それから県段階の経済連、あるいは全国団体の全敗連、こういう集荷団体の系統組織を最高度に利用いたしまして、需要のある面等については積極的にこの結びつきを考えるような指導を一つやって参りたいと思っております。しかしながら、これはやはりその品物が飼料に向くような品物でもございますので、その辺の結びつきが必ずしも発生の地帯等によっては円滑にいかない面もあろうかと思いますが、食糧庁といたしましても極力そういう集荷団体の積極的な活動を助長するような方向でやって参りたい、かように考えております。
  50. 湯山勇

    湯山委員 それから次に、先ほどちょっと御説明のありました規格決定の問題でございますけれども、色つや等によって等級が下がるというようなことについては、今回の場合は特別に考慮するというようなお話もあったかと思います。先般裸麦についての説明がございました中では、実際は、色沢が悪いということで等級を落とされる、そういう懸念が非常に強いということで、そういう陳情もあるわけでございますが、先ほどお話の中では、そういうことについては特別な配慮をせよというようなお話でしたけれども、これは通牒とかなんとかで特にそういう御指示があったわけでございますか、この点は具体的に一つ明確にしていただきたいと思います。
  51. 田中勉

    ○田中説明員 色沢の問題等がことしの作柄によりまして例年と違いまして、かなりくすんだような色のものが非常に多いだろうと思います。そういう点において、ただ単にそれをくすんでいるからということだけで、簡単な検査というようなことでなくて、十分慎重な検査をするようにということは、通牒は出しておりませんが、それぞれの検査標準品とか、こういうものの査定会というようなものが地区別にございますので、よくことしの検査にあたっては丁寧な検査をするようにというようなことの口頭指示はいろいろやっております。
  52. 湯山勇

    湯山委員 その口頭指示は、食糧庁の方から各食糧事務所長になされたわけですか。
  53. 田中勉

    ○田中説明員 もちろん、関東ブロックとか、あるいは東海ブロックとか、こういうところで検査の標準品を設定いたします場合に、特に私どもの中央からもそれに出席いたしまして、担当のそれぞれ食糧事務所の関係のところにそういうような口頭の指示をやっております。ことしの作柄につきましては、先ほど申し上げましたような、いろいろ色沢その他の面から見てくすんでいるような問題がございますので、十分注意して検査をするようにということは、われわれの末端機関に対してもそういう指示をいたしております。
  54. 湯山勇

    湯山委員 もう少しはっきりおっしゃっていただきたいのは、色沢等については慎重な検査をするとか注意をするとかいうようなことでなくて、そういう色沢が悪いというようなことの理由で、それだけの理由でもって等級を落とすというようなことはしない、こういうことなんでしょうか。
  55. 田中勉

    ○田中説明員 色沢の問題は、これはかなり主観的なものになるわけで、検査規格の中においても、標準品程度ということになっておりますが、これはあまり被害を受けていないようなものが入っておるわけでございます。全般にことしの天候等によりまして色沢はさえない、こういうようなもの等につきましては、私の方として、簡単にそれを色沢がさえないから等級を落とすとか、こういうことのないように注意をさせております。ただしかし、いろいろな被害状況によりまして、雨でそういうつやが出ないとか、この程度のものはよろしいでしょうけれども、その他、細菌、カビとか、こういうものによって色が変わっているものもあるわけですから、そこはやはりよく注意をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
  56. 湯山勇

    湯山委員 私がお尋ねしておるのは、雨のために色沢がさえないということだけですから、今の御説明で納得いたしますが、私の聞く範囲では、今の御答弁の趣旨は不徹底だと思います。そこで、一つあらためてそういう点について通牒を至急出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  57. 田中勉

    ○田中説明員 先ほど私、各ブロック等のそれぞれそういう査定会というような会議等におきまして口頭指示をしているということを申し上げたわけでございますが、なお最近の状況によりまして、特に私の方といたしまして、各末端の食糧事務所の方に、そのような点についても注意をするようにという電報を出しております。
  58. 湯山勇

    湯山委員 大へんけっこうでございますから、ぜひお願いいたします。  それから経済局長にこの際関連してお尋ねいたしたいのは、今の等外下は食糧庁としては買い入れをしないということになれば、これは当然減収量として保険の対象になる、こう考えていいわけでございますか。
  59. 坂村吉正

    坂村説明員 食糧庁が買い入れをしないから当然保険の対象になる、こういうことじゃございません。そこは直接の関連はございませんけれども、損害評価の方法につきましては、昨年の例等もございますので、私詳細今頭にございませんけれども、いろいろ技術的に特別な損害評価をするように、こういう通牒を出して指示いたしておりますので、相当救済ができるんじゃないかと思います。
  60. 湯山勇

    湯山委員 それからもう一点最後にお尋ねいたしたい点は、この農林省の御報告の中にも果樹被害という項目だけはございますけれども、具体的な内容は示されておりません。そこで、果樹の被害で一番大きいのはミカンだと思います。ミカンは、長雨のために実のとまりが大へん悪い。そこへ持っていって、長雨中に相当激しい落果があります。しかも、そこへ持っていって病虫害駆除ができなかったというようなことから、新芽も萎縮している、中には根くされが出かかっている、こういうことで、今の段階でも相当被害がございますけれども、さらにこれに土用の照りつけが参りますと、ミカンには相当大きな被害が出てくるのじゃないか、こういうことを心配しているわけです。特に瀬戸内海沿岸のミカン地帯には共通して出ておる現象だと思いますが、そういう御調査ができておるのかどうか。それから、そういうことに対しては農林省としてはどういう措置がとられるのか。それから、ビワにつきましても、これは量は少ないと思いますけれども、雨のために玉割れが相当出ております。ビワの玉割れのものについては、これは加工もできないということで、結局そのまままる損ということになって参ります。さらに、袋が破れたものについても、大小にかかわらず傷がついている、こういうことでございまして、これは御報告の中にも内容にわたったものがございませんから、そういう御調査ができておるのかどうか、あるいはそれに対してどういう対策がとられるのか。なお、この際、こういうことがあることから考えてみましても、当然共済対象に果樹を入れるというようなことについては早急に検討すべき段階ではないかと思いますが、それらについての農林省の御見解を伺いたいと思います。
  61. 久我通武

    久我説明員 最初にお尋ね調査の点だけまず申し上げます。  お話のございましたように、調査結果によりますと、確かに瀬戸内海あるいは四国等の柑橘の被害が果樹類の被害では一番大きいのでございます。ただ、ここに明瞭にあげておりませんのは、果樹の被害が、お話のございましたように非常にむずかしい被害でございますから、まだ不正確なものを御報告申し上げてはと存じまして遠慮しておりますが、この十日までにまとめます分には、相当詳細に果樹の被害も出てくるはずでございます。お話のございましたような点につきましては、園芸課長等とも十分打ち合わせをいたしながら、特にこれらの点をよく見て被害を報告するようにということで調査いたしております。
  62. 石井一雄

    石井説明員 ただいま御質問のございました果樹の被害のこまかい内容についてでございますが、ただいま総括して統計調査部長から御説明申し上げました通りでございます。従いまして、具体的な非常にこまかい被害状況はまだ詳細に承知しておらないのでございますが、想像されます被害といたしましては、一つは落果という問題でございます。これは長雨によりますところの生理的な落果であろうかと思いますが、そういうふうになって参りますと、これは一つには木自体の生理的な機能の低下、もしそういう点から起こる落果であるとするならば、やはり樹勢の回復ということについて、ある程度あと措置が技術的には必要であろうかと存じます。それからもう一つございました、ビワで実が裂けるという点でございますけれども、これはおそらく、水の供給が非常に潤沢になりまして急速に果実が膨張いたしまして皮が裂ける、こういう現象は、種類によりましてしばしばあることでございまして、それであろうかと思いますが、かりにそれでありますれば、木そのものに対する影響はそうひどくないのではなかろうか、かように想像いたしておるのでありますけれども、具体的には、先ほど申し上げましたこまかい調査によりまして検討して参りたいと思います。
  63. 坂村吉正

    坂村説明員 果樹共済の問題ですが、これは前々から当委員会に御報告申し上げておりますように、予算も計上しまして調査研究をいたしておる段階でございます。いつまで調査研究しておるんだというお言葉が出るかもしれませんが、非常にむずかしい問題でございまして、だいぶ前に日本でもやった例もございますが、非常な失敗をしておりまして、アメリカあたりでも果樹の共済はやはり失敗しておるわけでございます。といいますのは、災害が起こりますと一般的に値段が上がりまして、どの程度のものを保険したらいいのかという問題が非常にむずかしい問題でございます。まだ設計の段階まで進んでおりませんけれども、できるだけ何とか形をつけたいと思って一生懸命勉強いたしております。
  64. 湯山勇

    湯山委員 今、果樹の被害についての農林省の御見解がございましたが、対策としてはどういう対策が予想されるわけでしょうか。たとえば樹勢回復のために肥料の補助をするとか、あるいは天災融資法による融資をするとか、あるいは成園を持っておる人が新植したものがあると思いますが、そういうものが融資を受けておる場合の融資の支払いの繰り延べとか、いろいろな方法が考えられると思うのですが、予想される対策はどういうものでしょうか。
  65. 林田悠紀夫

    林田説明員 果樹の被害につきましては先ほど申し上げた通りでございますが、その被害対策としましては、やはり樹勢の回復ということが非常に重要な問題であろうと存じます。あるいはまた、病虫害の防除、これも重要な問題であると存じますが、そういう対策につきましては、やはり天災融資法を発動いたしまして、それにより経営資金を低利に供給いたしましてそういう対策を立てる、かようにいたしたいと存じます。
  66. 湯山勇

    湯山委員 これで終わります。
  67. 濱地文平

  68. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 三十七年の梅雨前線豪雨に関する各種災害の問題について、関係委員からいろいろお尋ねがありましたが、私は数点についてお伺いいたしたいと思います。   〔委員長退席、秋山委員長代理差席〕  きょうは気象庁の長官もおいででありますが、私ども必ずしもこういう点については専門ではございませんけれども、本年度の梅雨前線豪雨の形態あるいは本年度の気象の長期見通し、これは従来からの累年的な分析検討の上に立って、今後のいわゆる気象の長期見通しについては気象庁としても判断を立てられておると思うのですが、これからの心づもりとして、本年度の気象の長期見通しをどういうふうに立てておられるか、まずこの点についてお伺いいたしたいと思います。
  69. 和達清夫

    和達説明員 本年度の梅雨前線は、御承知のように、七月一日から今日まで活発に活動して参りまして、北九州中国西部あるいは和歌山県、三重県、愛知県、長野方面に二百ミリ以上のところが相当多く、各所に被害をもたらしました。近年の梅雨前線といたしましては、昨年は非常に強かったのでありますが、まず毎年の現象ではないかと思われます。なお今年は、ただいま梅雨前線は南方に移動しておりますので、これがさらに北方に参り、もう一度大雨の危険がないとは言えないのであります。本年の梅雨明けは平年よりも少しおくれ、中旬終わりから下旬にかかるのではないかと予想されます。
  70. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、この梅雨前線のみならず、気象庁の従来の累年的な判断からして、ことしの九月、十月にかけての気象の見通しというものをどういうふうに判断しておられるかという点もあわせお伺いしたかったわけでありますが、その点はどうでしょうか。
  71. 和達清夫

    和達説明員 九月、十月の台風期までに至る見通しにつきましては、今日ちょっと資料を持って参りませんでしたので、今日わかっている程度でございましたらば、至急調べまして後刻お答えいたしたいと思います。さらに十分に調べての御答弁でございましたならば、資料を少し勉強しましてお届けいたしたいと思います。
  72. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは、災害対策特別委員会関係としては、予測でありますから、心づもりということになりましょうけれども、やはりせっかく気象庁があり、そしてまた、従来の気象の類型的な判断から、本年度は一体どういうふうに推移するだろうという推定をおそらく立てられるという段階であろうと思いますので、そういう点はぜひ適当な機会に参考資料として御提示願いたいというふうに思います。  本論に入りまして、これは本年度の問題に入る前に、後ほど中島委員からも御指摘になることだろうと思いますが、私ども過般過年度災害長野県を回った者といたしまして若干申し上げておきたいと思うのですが、今回の梅雨前線豪雨によって上伊那、下伊那方面被害というものについていささか心配をしておりましたが、今日までの段階では、必ずしも憂うべき状態にまでいっていないというふうに感じておりますけれども、しかし、過般来現地を回りました私どもの感じからいたしますと、あの方面集中豪雨における被害の様相、あるいはそれに対するところの災害復旧という問題から見て、今日予定をされておる予算の配賦状況をもってしては、これはやはり再度災害というものの危険を食いとめていくことはできない、やはり速急に既定経費以上の予算を追加して災害復旧を急がなければならぬという感を一つは深くしたわけでありますが、この点、建設省あたりとしては特に関係が深いわけでありまして、過般の調査の結果に基づいてどういう方向で努力、検討をされているかという問題がございます。  同時に、現地側に参りまして切々として訴えられた問題は、いわゆる集中的な被害を受けた被害者の集団移住の問題でありますが、これもやはりその後いろいろ自治省あるいは農林省関係各省においては努力をされておることだとは思いますけれども、過般来、あるいはラジオを通じて、いまだおくれておる被災地状況の中でこういう集団移住者の嘆きが放送されるということになっておるわけでありまして、こういう集団移住対策という問題は新しいケースでありましたけれども、少なくともこれはもう本年の年度当初ぐらいまでにはすでに万般の配置を終わっていなければならぬ、それがわれわれが災害調査に行く段階でもなおかつまだもたもたしておる、そして第一線の県あるいは関係市町村においても、いわゆる国の最終的な決定待ちという段階で、困っておるのは被災者だという関係に置かれておるわけであります。この点については、後ほど中島委員からも、本年度災害の問題に触れる前にお触れになると思いますけれども、われわれ災害現地調査をした責任ある一員として、この問題についてはどういうふうに今されておるのか、自治省農林省、特に繰り上げ施工その他予算追加等の問題について関係の深い建設省等の考え方をお伺いしておきたいと思うわけであります。
  73. 山内一郎

    山内説明員 昨年長野県に大災害がございまして、その処置についていろいろやって参ったわけでございます。特に災害復旧につきましては、従来の年よりも一そう促進をいたしまして、長野県について重点的にやって参ってきているわけでございます。本年度予算についてもすでに第一次を配賦いたしまして、極力復旧を進めておるわけでありますが、さらにその保留分につきましても、先般いろいろ緊急の度合いに応じまして各県に予算を配賦して、現在その執行に当たっておるわけでございます。今後の問題でございますが、その保留分も入れまして、はたして十分にいくかどうか、こういう点につきましてはさらに検討して参りたいと思っておりますが、まず保留のいきました状況をにらみ合わせましてさらに今後どういう処置をとるべきであるか、あるいはこの予算で十分であるかどうか、あるいは足りないかどうか、こういうことをよく調査検討してその後の対策をとって参りたい、こういうふうに存じております。
  74. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 農林省関係で御答弁申し上げます。  長野災害につきましては、昨年からことしにわたりまして相当重点的にやっておるわけであります。なお、先般来からも長野県についての復旧事業費の問題等ございまして、それは廃工率との関係もあるわけでありまして、第一次割当はいたしましてただいま県営で復旧をやる、こういった形で相当スピードを上げてやっておるわけでございます。なお事業費の本年度分についての保留もございますので、ただいま建設省からもお答えがありましたように、事業の進行、廃工率の状態と実態に即するようによく検討いたしまして、さらに第二次割当を追加していきたい、こういうふうな考え方でございます。  それから集団移住の問題、これは自治省からお答えがあろうかと思いますが、県当局からも六月の終わりごろに計画が出たわけでございまして、その中にも多少問題もあろうかと思いますが、自治省とも相談いたしまして、至急これが実施段階に移れるように、そういうふうに考えて促進いたしております。
  75. 松島五郎

    松島説明員 担当いたしております振興課長がただいま海外に出張中でございますので、私詳細承知いたしておりませんが、後ほど文書をもってお答えをさせていただきたいと思います。
  76. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 本問題については後ほど地元の中島委員からもさらに御指摘になろうと思いますので、時間の関係上私は次に移りたいと思いますが、ただ一言申し上げておきたいのは、一つは長野等の災害復旧の問題で、いわゆる河川復旧、あるいは治山関係、あるいは耕地復旧、こういう方面のいわゆる設計施工の、改良復旧を織り込んだ程度というものについては、私は関係各省としても相当意欲的にやっておられるように現地を回って判断して参りました。特に治山面は、ああいう土地の状況でありますので、相当積極的にやらなければならぬというふうに思いますし、その点についてはさらに意を用いなければならぬかと思いますが、河川復旧その他の各般の設計基準というものを現地の施工程度から判断いたしますと、相当意欲的にやっているように判断をいたしております。要は、結局施工完了を急ぐ、これが現地側の非常に強い要請であって、建設省としても農林省としましてもそれにやはりできるだけこたえていただきたいというふうに思います。  なお、集団移住の問題については、ただいまお話がございませんでしたけれども、これは答弁があるなしという問題ではなくて、もうすでに速急にやっていなければならぬ問題がいまだにおくれておるというふうなことが、報道機関を通じて報道されるということは、せっかく特別に本特別委員会が設置されている国会の立場から見ても、非常に残念な事態でありまして、これらのことについては、努力はされておると思いますけれども、とにかくこれらの完了を急いでもらいたいというふうに、特に希望を申し上げておきたいと思います。  本年度の梅雨前線豪雨による災害問題に入りまして、先ほど関係委員からもお話がございましたので、簡単に数点についてお伺いをいたしたいと思いますが、この点については全国的な被害が生じておるわけですが、私どもの出身の三重県の場合でも志摩方面とか、あるいは紀北、紀南方面を中心にいたしまして今日まで約二億円程度被害を生じておりまして、大半は土木災害あるいは農林水産災害、あるいは家屋その他を含んだ公共施設関係、民間関係ほぼ折半したような被害状況に相なっておると思います。ただ、今日の時点でいろいろ対策として問題になりますのは、先ほど来御指摘がありましたように、農作物関係ではやはり麦あるいは菜種、こういうふうな関係の問題が一つ重要でありますが、この際食糧庁関係にさらに重ねてお伺いしたいわけでありますけれども、本年度の等外麦の上の買い上げの問題であります。従来の経緯から判断をいたしましても、本年度の場合は特に従来以上に等外麦上の買い上げをやらなければならぬ趨勢にあろうと思います。この際食糧庁として、いわゆる規格品に入る検査数量のもの、これは三麦関係に分けて今日推定しておられれば一番いいわけでありますが、そういう問題と、等外麦の上をどの程度買い上げるような条件にきておると判断しておるか、特に等外上の問題についてはもちろん無制限買い上げという前提に相なるわけでありまして、そういう前提に立って、等外上の問題については、従来の例よりも相当上回るというふうに趨勢として判断をされますが、それらの見通しについてどういうふうに今日判断をしておられるか、お伺いしたいと思うわけであります。
  77. 田中勉

    ○田中説明員 ことしも御指摘のように等外上あるいは下位等級のものが相当出てくるだろうと思います。ただいま私の方は的確な数字をつかんでおりませんので、等外上がどの程度出るかということをここではっきり申し上げる段階でございません。ただ、今ちょうど麦の買い上げがそろそろ始まりました段階でございますので、私の方で概略の見通しを立てておりますのは、相当の量になるという工合に考えております。かりに一割ということになりますれば、三麦合計の買い入れが百五十万トンでございますので、等外上は十五万トンということになります。これが一割五分ということになりますれば、二十二、三万トン、こういうふうになります。そこで、これは私個人の感じでございますが、やはり二十万トンは上回るのではなかろうか、こういう工合にも見ております。もちろん、この数量が相当な数量になりますと、私ども売却操作等にはいろいろ問題があるわけでございますけれども、食管法の建前からいたしまして、等外上の規格を設けて買う措置を決定いたしました以上、もちろんこれは御指摘のように無制限買い入れをやって参るわけでございますから、抑制というふうなことは考えておりません。
  78. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほど農林省官房長が質問に対してお答えになっておりましたが、天災融資法の発動問題については、当面現行法の発動ということで国会が開会されるまではいくことに相なろうと思うわけですが、今日までの被災状況あるいは今後予想される今日以降の災害状況から見て、やはり天災融資法の問題についても、梅雨前線集中豪雨等の被害に対するところの従来の特例法等でやった措置、そこまで前進させていきたいというふうな前提に立って考えておられるのか、当面までの被害状況の中ではとりあえず現行法の建前で天災融資法の発動をやる、こういう御意向であるのか、その辺のところはどういう判断に立っておられるのか、お伺いをしておきたいと思うのであります。
  79. 坂村吉正

    坂村説明員 被害状態は、先ほど御報告がありましたように、百七十億というふうな、非常に大きな金額になっておるのでございますが、深度につきましては、昨年の集中豪雨などに比べますと、深度そのものは幾らか浅いのではないかというふうに思います。しかし、相当被害でございまして、私どもの感じといたしましては、とりあえず普通の天災融資法で見ていく、全体の被害の扱いを激甚にするかどうかということは、激甚災害の法律も継続審査中でございますので、そういうものとのかね合いで十分検討して参りたいと思っております。
  80. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほど建設省の方から梅雨前線豪雨による被害状況についてお話がございまして、直轄災害の問題あるいは補助災害の問題についてのいろんな項目的な具体的なお話がございましたが、これからいよいよ本番の台風期に入るという関係もありまして、当面の緊急の災害復旧というもは、これは当然急がなければならないのですが、それの態勢、あるいはそういう問題に対する予算的な措置というふうな問題をどういうふうに運んでおられるのか、当面の対策についてお伺いしておきたいと思います。
  81. 山内一郎

    山内説明員 直轄関係と補助関係とは多少違いますが、直轄関係につきましては、さっそくどうしても次の台風までに至急措置しなければならないものがある、これをまず予算を流用してさっそく仕事をやる、それに引き続いて予備費を要求してそれを補う、こういう措置でやっておるわけでございます。補助関係につきましては、さらに大災害のところにおきましては、さっそく緊急査定をやりまして、復旧方法をきめて予算要求をする、こういうことでございますが、なお、ある県によりましては、総額は少ないけれども緊急な個所がある、こういうところがあろうかと思います。そういうところにつきましては、わずかな個所でありましても、さっそく復旧の方法を協議いたしまして、さしあたり県費で立てかえてやらせる、こういうような措置で、逐次緊急なところから措置をして参っておるような状況でございます。
  82. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 同僚委員の質問もさらに多数控えておりますので、とりあえず本日の段階ではこの程度で終わらせていただきたいと思います。
  83. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 中島巖君。
  84. 中島巖

    ○中島(巖)委員 非常に時間がおそくなりまして、二十分というふうに制限をされておりますので、過年度災害のことのみにつきまして、一括して関係各省に対して質問をいたし、御答弁をお願いいたしたいと思うわけであります。  最初に建設省関係といたしましては、先ほど角屋委員からもいろいろ質問がありまして、努力されておるということであって、具体的に災害の復旧率などについて数字のお示しがなかったのでありますけれども、この前の災害対策特別委員会におきまして、河川局長より、本年度の災害復旧事業費の額なんかについてお示しがあったわけであります。その額からいたしまして、とうていこの三・五・二の比率は維持できないということは、ほぼ総額においてはっきりいたしておるのであります。そこで、昨年度の六月集中豪雨の伊那谷の状況でありますけれども、この直轄関係などはずいぶん進んでおるようでありますが、市町村工事などは、昨年度のものは当年度において大体二〇%程度しか進んでおらないわけであります。そこで、端的に申し上げまして、第二年度の三十七年度において直轄関係は何%程度の進捗率になるのか、補助関係として県関係は何%程度の進捗率になるのか、それから補助関係としての市町村関係は第二年度の本年度でどれだけできるのであるかということを、各別に数字でお示しを願いたいと思うわけであります。  第二点といたしましては、御承知のような山くずれが非常に各所にありまして、ほとんどあの地帯はしま馬のような状態になっておりまして、結局、天竜川の河床状況とか、あるいは小渋川総合開発の砂防堰堤とかに関連して抜本的な砂防対策をしなければ、この災害は今後非常に大きなものになる、これは建設省でも認めておるところと思うのであります。そこで、この砂防に対して予算措置をどんなふうに考えられて、本年度、さらに来年度の予算編成期にもなるが、どういう方針でおやりになるのか、この砂防関係が第二点。  それから第三点といたしまして、現在門島ダムの一部の上流地域被害激甚地域に対して、約五メートル、十メートルというような高い堤防を築いて、その土地を、新聞で見ると約二十億とか申しますが、遊水池にするというような腹案があられるそうでありますけれども、それはどの程度進んでおるか。  それから私の考えといたしましては、かつて昭和二十一年と思いますが、岩沢技監当時で、今の山本次官が治水係長時代に、建設省は抜本対策として、千三百万円を当時の天竜川電力からとりまして、そして一千万円で川路側へ五本の水制を入れ、三百万円で姑射橋の下の岩をとって、これが抜本対策であると言っておったのでありますけれども、今日かような現況になっておる。従いまして、今の建設省の言うところの遊水池も、数年後にはやはり当時の抜本対策と同じような結果になるのではないか、こういうように考えますけれども、はたしてこれが抜本対策の自信があるのかどうか、この三点について建設省にお伺いいたしたいと思います。  次に、農林省に対してお伺いをいたしますけれども、たしかこの前の説明では、本年度農地関係災害復旧事業費は、全体に対して約三〇%というような数字が出たわけでありますが、現在農地災害復旧関係は二〇%しか進捗していない。そういたしますと、第二年度の本年度でもって五〇%しかできない、こういうことが事実ではないかと思うのでありますけれども、これに対して本年度どれだけやられるか、この点をはっきりお伺いをいたしたいと思います。  さらに、農林省に対して第二点といたしましては、これは自治省の方にも御答弁を願いたいと思うのですが、農地災害地方公共団体で施行した場合の地元負担に対する起債の充当率は、当年度は七〇%、次の年の二年度は五〇%、これが現在行なわれておる措置のように思いますけれども被害軽微の市町村の場合と、非常に激甚市町村の場合とあるわけであります。たとえば、標準税収入が二千万円程度で、市町村工事を十億もかかえておるという激甚災害が昨年にはあるわけであります。従って、この激甚災害程度によって、二年度の起債の充当率五〇%とか、あるいは初年度七〇%とかいうように、その村の財政状態によってきめるべきではないか、比較的軽微な村も、被害の激甚な村も同じように初年度七〇%、次年度五〇%ときめることは、これは当を得ていないと考えるわけでありますけれども農林省のお考え方、それから自治省のお考え方をお伺いいたしたいと思うのであります。  次に、自治省関係に対して御質問をいたしますが、この前もこの問題について結論を得なかったのでありますけれども、この災害復旧、ことに農林省関係災害復旧事業をやる場合においては、つなぎ融資というものが要るのであります。これは政府においても認めてつなぎ融資制度をとっておる。ところが、先ほど申しましたように、標準税収入が二千万くらいしかないところで、十億というような大きな数字をかかえておりますと、このつなぎ融資の利子だけでも標準税収入以上になるような村があるのです。そこで、地方財政法のたしか第五条の四項だと思いましたけれども災害復旧事業に対しては起債を認めるということがあるわけです。その四項に災害復旧事業という項目があるわけです。従って、法律から見ても、当然これは災害復旧事業として起債を認めるべきだと思うのでありますけれども、これは災害復旧事業ではないという解釈であります。当然災害復旧事業費の中には事務費まで入っておる。そしてつなぎ融資災害復旧以外に一銭も支出のできない金なのでありますから、これは当然災害復旧事業費と認めて起債を認むべきものだ、法律でもそうなっておるのでありますし、実際問題としてもただいま申しました市町村の財政負担が大きくなるわけでありますが、これらに対するところの御見解をさらにあらためてお伺いをいたしたいと思うのであります。  その次に、自治省関係といたしまして、集団移住の関係についてお伺いをいたしたいのであります。先ほど角屋委員からもこの点について質問がありましたけれども、いま少し具体的にお示しを願いたいと思うのであります。昨年の災害対策特別委員会において、政府は集団移住の法律をこしらえるべしということを決議したわけでありますけれども、その後、立法作業上いろいろな支障がありましてできなくて、財政措置で行なう、こういうことにきまったわけであります。われわれの方にも非常に認識不足のところがあったと思いますけれども災害復旧費をもって集団移住に充てるというような大きな柱を立てたところに大きな間違いがありまして、根本の柱は、やはり集団移住の措置をとる、その中の一項目として災害復旧費もそれに充当する、こういうような要綱でなければいけなかったと今私どもは考えているわけであります。それはそれといたしまして、とにかくすでに一年余たちまして、遅々としてこれらの措置が進まずにおる。たとえば、国会において集団移住に対する立法措置を講じる、従って、これらに対する金が来るというようなことで、私の方の宮田村では受け入れ態勢をこしらえまして、二十何戸を入れて、村費でもってすでに二千六百万からの金を使っておる。この前私が質問いたしましたときは、振興課長は千二百万いっておるということを言っておりましたけれども、事実は百五十万しか来ておらぬ。村の財政がどうにも立ち行かぬ、こういうような状態になっておるわけであります。従いまして、これは当然災害復旧費だけではなくして、その他の予算措置を、あるいは交付金とか、あるいは特別交付金とか、あるいはその他の措置であるとか、いろいろな措置でもって見てやらなければ目的が達成できるものではないから、それらの点についてお考えであると思うのであります。先ほど振興課長の出席を要求いたしましたけれども、振興課長も行政局長もお留守のようでありまして、その担当の方がお見えでないようでありますが、ただいま申し上げたことを具体的に書面で至急御回答願いまして、委員長にお願いいたしますけれども、もしこの会議録に間に合いましたら会議録に載せていただきたい、こういうようにお願いいたすわけであります。  以上、時間を制限されておりますので、建設省関係農林省関係自治省関係を一括して質問いたしたわけであります。御答弁をお願いいたします。
  85. 山内一郎

    山内説明員 最初は災害復旧事業の進捗率の問題でございますが、直轄災害は、いろいろ今までに御説明いたしましたように、昨年の災害は本年度で予定通り完了いたします。それから補助事業につきましては、今までに御説明いたしましたのは、三十六年災につきましては六七%の進捗率をはかる、こういうことでやって参ったわけでございます。その後、予算編成時といろいろ条件が変わっておりまして、最終の数字が最近になってまとまりつつある状況でございます。その状況の変わりましたという点を申し上げますと、そのときにはまだ査定は完了してなかった、それから標準税収入というものもそのときに推定でやっていた、それから本年の四月にPWが改定になっているわけでありまして、そういうような点を現在数字を詰めつつある段階でございますが、六七%には達しないということは大体確かという段階になっております。  次は砂防関係でございますが、これは、御承知のように、さしあたりの応急措置として特緊砂防として昨年度からやって参っているわけでございますが、これは大体予定通り進んでおります。  なお、根本的な対策として、天竜水系の砂防をどういうふうにするかという点につきましては、直轄砂防を極力ふやして参る。なお補助砂防につきましても、どういうような措置を今後根本的にとるべきであるかどうか、こういう点につきましては、天竜川水系の全般の基本計画関係して参ってくると思います。その点も大体目鼻がつきまして、それでは具体的にどういう個所をどういうふうにやるか、これを現在計画中でございます。その計画ができましたら、これをできるだけ早く仕上げるという意味において来年度の要求をしたい、こういうふうに考えております。  それからなお天竜川水系の全般の具体的の計画でございますが、基本的には大体固まりまして、従来計画のなかった——先ほどお話がございましたような川路、竜江地区につきましては、従来堤防計画がなかったので、これを新しく追加をしてやる、なお、従来ございました低水路の護岸工事というものもさらに徹底的にやって参りたい、こういうようなことで今後の方針を大体建設省としてはきめておるような次第でございます。なお大蔵省との関係もございますので、こういうことで今後進めて参るわけでございますが、これによりまして従前よりもさらに十分な計画ができまして、実行の速度を早めて参れば、大体今後昨年のような大災害は起こらない、こういう自信を持ってやっておるわけでございます。  以上、簡単でございますが、お答えといたします。
  86. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 農地、農業施設関係の復旧につきましてお答え申し上げます。  三十六年災につきましては、ただいま建設省からもお答えがありましたように、三十六、七年で六七%の進度率で予算が組んでございます。これは御承知のように、廃工率を考えて、六七%で進行していくということになっております。また、六七%の中には、緊急復旧と、通常の四年で復旧する二・二・三・三という率でいく場合、二つ突っ込んで六七%でございます。緊急復旧の方はこれを上回る、こういうことになると存じます。  そこで、長野県の災害でございますが、昨年の災害は、御指摘のように、天竜川水系に大体集中しておるというような状況になっております。農地の分につきましては、三十六、三十七年で、ただいまのところは、事業査定額に対しまして、御指摘のように農地について約五割、施設については五割をこす、五一%をこす程度に相なります。先ほどからお答え申しましたように、これは廃工率を考えない災害復旧額に対しましての進度率でございまして、廃工率等も出て参ろうかと存じます。それを加味しますと大体予定進度に達するのじゃないかと考えております。  なお、長野県につきましては、先ほどからお答え申し上げましたように、進度率は、重点的な予算配分をいたしておりますので、多少全国平均より上回っておる次第でございます。先ほど述べましたように、今後の事業の推移等を考えまして、保留分からもこの秋からは長野に優先割当を行ないたい、こういうふうに考えております。なおそれで予定進度に達しないというようなときにおきましては、大蔵省ともよく相談をいたしまして何らかの措置をとりたい、こういうふうに考えております。  それから集団移住の点でございますが、集団移住の問題につきましては、移住計画が固まりますれば、それに対応いたしまして、その災害を受けました地区の災害復旧額分を自治省に移用いたしまして、それによって移住者に配分する、こういうことに相なっておるわけでございまして、その移住計画が、先ほど申しましたように県から出て参っております。それについて、その移住戸数をきめる中にも多少問題の戸数もございまして、ただいま県と打ち合わせを自治省とも通じながらやっておるわけでございますが、その移住計画が固まりますれば、先ほどお話したように、至急農林省からの移用をいたしまして、移住に差しつかえないように配分したい、こういうことに相なろうと存じます。  以上、簡単でございますが、お答えいたします。
  87. 松島五郎

    松島説明員 お尋ねのございました激甚な被害を受けた関係市町村の農地災害復旧事業費に対する起債の充当率の問題でございますが、災害程度が非常に大きい場合は、原則として五〇%でございますが、程度に応じまして弾力的に運用いたして参りたい、かような方針となっております。  第二番目の、つなぎ融資に対します利子を再度起債にするという問題でございますが、現在の建前からいって、借金の利子をもう一度借金にするということは、その団体の財政負担を重ねて参ることになりますので、私どもといたしましては必ずしも適当ではないというふうに考えておるのでございます。しからば、それに対する別途の対策としては何をやるのかという問題でございますが、災害が起こりますと、被害程度に応じまして、いろいろな今御指摘のありましたつなぎ融資の利子でありますとか、その他諸対策に要します経費が必要となって参りますので、それらの事情を勘案いたまして、特別交付税の配分にあたりましては、農地あるいは公共土木全体をひっくるめました公共災害の査定額を基準にいたしまして、その一定割合を特別交付税をもって交付するという措置を講じておるわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、その特別交付税でこういった関係の経費もまかなわれるということを期待いたしておるわけでございますが、ただ、非常に大きな場合のような、必ずしもそれで十分でないというようなお話もときに伺いますので、この点につきましては、一時つなぎ融資の利息について特別交付税を交付することを考えたことがございます。ところが、実際問題といたしまして事務的にも非常にむずかしい問題がございます。と申しますのは、非常にこまかくなって恐縮でございますけれども、その団体の歳計現金が——一たん歳計現金になりますと、何に使われるというように特定されません関係上、一方において歳計現金があって、一方において借り入れが行なわれておるというような事態がある場合もございます。そういう場合にも、それはいけないんだと一がいに言うことのできない場合もございます。それからまた、明らかに経理上適期に借りたならば利子負担も少なくて済むんじゃないかという場合もあろうと思います。そういうようなことから、一度こういうものを特別交付税の対象にしようということで調査をいたしたのでございますけれども、各団体から出て参ります資料は非常に区々にわたりまして、統一的な処理がなかなか困難だというようなことで、今日は先ほど申し上げました災害の額に応じて配分いたします特別交付税の中でこういったものを処理していただく、こういうふうに考えておるわけでございます。しかし、御指摘のように全然問題がないわけでもなく、また私どももその点について検討をいたしたこともございますので、今後ともまたこういう問題を、具体的な問題ができましたならば、とらえて、適切な処置を講じていくようにいたしたいと考えております。  それから集団移住の問題につきましては、先ほど角屋先生にもお答えいたしましたように、まことに申しわけございませんが、私直接担当いたしておりませんのでお答えいたしかねますが、御質問の御趣旨はすみやかに関係者に伝えまして、適切な回答を早急にいたしますように手配をいたしたいと思います。
  88. 中島巖

    ○中島(巖)委員 建設省にもう一度お伺いいたしますが、遊水池問題などは見解の違いでありますから、今日はこれ以上言っても始まりませんが、そこでさらに明確にしたいのは、市町村関係の補助事業は、二年度の本年度は、大体において何パーセントぐらいまでに進ませる御予定であるか。  第二点といたしまして、河川局長は、本年四月にPWが改められた、こういうお話でありましたけれども、昨年度でとの査定をしたときの査定額の工事費では、人夫賃も高くなった、あるいはその他資材が暴騰したために、本年度現在出す工事は、とうていあのときの査定額では妥当でないから、建設屋が請負をしないというような事態が多くあると思う。そこで、この査定を再査定するということはできないだろうから、との前の質問では、非常にあいまいだけれども、設計変更において単価更正ができる、こういうように言われたように思うのでありますが、これは農林省も同じことでありますけれども、そういうような処置をとられておるのかどうか、この二点をお伺いいたしたいと思います。  それから、農林省関係の今の御答弁を総合しますと、結局、農地農業用施設災害復旧は、大体において二年度の本年度五〇%、こういうように了承していいように思いますが、それでいいのであるか。それから、農林省からも御答弁いただきたく質問したのでありますが、御答弁がなく、自治省の方から御答弁があったのですが、農地の激甚災害地方公共団体の施行に関するものの地元負担に対する起債は、当年度七〇%、二年度五〇%のようであるけれども、あまりにも被害激甚で、公共団体の財政とにらみ合わして、ひどいものに対しては、弾力的に二年度の起債も五〇%にこだわらずにお認めになる、こういうような御答弁でありましたけれども、そのお認めになる程度は、激甚災害であれば当年度と同じぐらいの額までお認めになるのかどうか、その辺、率の見当のつく程度の御答弁をお願いいたしたいと思います。  それから先ほど、つなぎ融資に対しましては、自治省で、これに対しては旧来の慣例でやらねばならぬというような、大へん強い御意思のようであります。しかし、この特別交付税というものは、交付税額のたしか百分の六と限られておったわけであります。従って、この財源に一定の限度がある以上、これらを見るということは他に影響を及ぼすものであって、私は無理があるのじゃないかと思う。災害みたいに不時に起こって、そうして先ほど申し上げましたように、災害激甚村では、二千万円しか標準税収入のない村が、つなぎ融資の利子だけでも二千万円要るというような状態でありますから、これを実際面とにらみ合わして、自治省当局で大蔵省とも御協議願って何とか適切な処置をとって、法律にもある通り起債を認めるべきである、こういうように考えるのでありますが、これに対してもう一度御答弁をお願いいたしたいと思います。  それから集団移住の問題は、先ほど申しましたように、何と何と何との処置で見ようということについて、担当課の方から早急に一つ書面で答弁をしていただきたい、かように委員長にお願いするわけであります。  以上、再質問いたします。
  89. 山内一郎

    山内説明員 市町村は県工事と違って区別してどうかというお話でございますが、その点は、県の方に県工事と市町村工事の両方の予算を一括して配賦しまして、県にきめさしている、こういうことでございます。従って、それを県も市町村も平均して、予算査定当時においてただいまの予算では六七%の進捗を見る、こういうことになっているわけでございます。  もう一点、労賃が上がってきましたので、それが措置できるようにやる方法の問題でございますが、それは設計変更なりあるいは再調査をやったりして、いろいろそのやり方がございますが、できるようにやって参る、こういうことを申し上げたわけでございます。従って、六七%が実際にその通りいくかどうか、この点につきましては、予算編成の当時と状況が変わって参っておりますので、総額というものをこの際はっきりつかみ直しまして、はっきりした進捗率をつかみたい、こういうことで現在まだ作業をしている段階であります。従って、県、市町村の総合進捗率六七というものが達せられるかどうかという点につきましては、今のところでは六七にはとうてい達せられない見込みである、こういうことでございます。
  90. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 農地と農業施設の復旧進度でございますが、先ほど申しましたように、廃工率を考えない場合は、現在の三十七年度までの割当で農地については五〇%、それから施設については五一%、こういうことに相なっております。先ほどから申しますように、片一方では廃工が出てくる場合があればこれを上回る、ただし、建設省からもお答えがありましたように、労賃あるいは資材の値上がりというマイナスのファクターもあるわけでございまして、そういう点は実情に即して実施するようにやる、こういうことに相なります。その実態をよく把握いたしまして、進度を失しないように第二次割当のときには考えていきたい。なおそれでも問題がある場合には、大蔵省ともよく協議をいたしたい、このように考えております。  それから農業関係の起債の充当については、先ほど自治省からお答えがありましたように、三十六年度の当年災の場合には七〇%、過年災の場合になりますと五〇%ということでかねてから実施しておるわけでございます。なお、この点については、自治省とも実情に合うようによく御相談いたしたい、こういうことであります。
  91. 松島五郎

    松島説明員 過年災の激甚の場合の充当率がどの程度上がるのか、見当を示せという御質問でございましたが、まことに申しわけございませんが、私、起債の方を直接担当いたしておりませんので、具体的に何%まで上がっておるかという詳細を承知いたしておりませんが、初年度が七〇%でございますので、次年度につきましても、激甚なものはおおむねその近くまで上げるという方針で運用されているのではないか、かように考えております。  それからなお、つなぎ融資の利子について、災害復旧債としてもう一度起債を起こすという問題でございますが、先ほども申し上げましたように、借金の利子についてもう一度借金をするということは、結局負担を後に残すということにもなりますので、私どもといたしましては、できるだけそういう形にならないような措置がその年度において講ぜられることが望ましい、かような考え方を持っておるわけでございます。そういう意味で、特別交付税の配分等にあたりましても、実情をよく十分検討いたしまして適切な措置を今後とも講じて参りたい、かように考えております。
  92. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 ただいま中島委員自治省に対する御要望のありました点につきましては、早急に委員長まで書面にて提出願いまして、委員長においてしかるべく善処いたしますので、御了承願います。     —————————————
  93. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 次に、十勝岳噴火の状況につきまして説明を聴取することといたします。和達気象庁長官
  94. 和達清夫

    和達説明員 十勝岳は本年五月の下句から火山性地震が頻発し始め、爆発を警戒いたしておりましたが、六月二十五日午後十一時ごろに大きな爆発をいたしました。この爆発は、大正十五年に爆発した大正火口とほぼ同位置でありまして、硫黄採鉱所の建物を崩壊させましたために、死者四名、行方不明一名、負傷者九名の被害を出した次第であります。この爆発では相当多量の火山灰を火山から東の方に向かいましてオホーツク海に抜けるまで降らせました。その程度は、女満別におきまして二、三ミリ、場所によってはそれよりも多量に降っております。この爆発は、ただいま申し上げましたように、今年の五月ごろからその活動の開始を示しておったのでございますが、気象庁といたしましてもその点に留意し、よく注意を喚起し、また臨時の観測等をつとめておりました。ただ、観測施設が十分でございませんのと、なお火山の爆発に対する学問的の問題もございまして、爆発の大きさあるいはその時期等につきましてもう少し的確な予想がつかなかったことは、はなはだ残念でございますし、かつまた、気象庁の観測員自体も二名まで負傷いたしたということは、はなはだ残念なことでございます。今後は、日本の活火山は相当たくさん活動いたしておる次第でございますので、さらに火山の監視という問題、また火山災害に対してできるだけ気象庁といたしましてお役に立ちたいと努力いたしております。     —————————————
  95. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 質疑の通告がありますので、順次これを許します。本名武君。
  96. 本名武

    本名委員 ただいま長官から御説明がありましたので、御説明の限りにおいては一応了解いたすのでありますが、ただ問題は、常にあります水害やあるいは冷害と違いまして、非常に変わったケースの問題点がたくさんあろうと思いますので、その点について二、三お伺いしたいと思います。  まず第一に、活動開始を予知されまして、非常に用心をしながら調査をしておられたということでございますが、なぜあのような火口に近いところにある建物を破壊し、人間に死傷を生じたか。この一事をもってしても、せっかく用心しながら調査をされていたのに対して、注意をされたその注意の仕方、あるいは予報の仕方というものがどういう方法でやられたかということが一点。  それから、この爆発の規模が非常に不明確であった。それは観測施設が不十分であるとか、あるいは職員が足らないとかという意味の御説明があったようでありますが、一体そういうことはどうして起きているのか、予算が少なくてできないのか、あるいは技術が足らなくてできないのか、そういう点を一つ明確にしていただきたい。  まずそれだけを冒頭に伺っておきます。
  97. 和達清夫

    和達説明員 第一の御質問の、わが国の活火山におきまして、火口の付近に人が行くとか、そこに長く滞在するとかいう問題でありますが、活火山におきましてはいつ大爆発をいたすかもしれないわけでございますから、できるだけ近寄らないにこしたことはないのでございます。現在もそういう注意をいたしてはおりますが、どうしても爆発は非常に長い年数のうちに一度でございますので、いろいろな仕事をする人は危険なところに行って作業をすることもございます。今後そういう点についても十分に注意すべきではないかと思っております。  なお、観測員の方は、まことに私の方としても残念でございますが、ふだんはおらないのでありますけれども、運悪く、そこへ機械を据えつけてそれを調整に参ったときのできごとでございました。今後特にこういうことにつきましては十分に留意し、また今後そういうことが起こらないように、学問的にも基準等を定めることによって災害を防ぎたいと思っておる次第であります。  なお、そういう点に関しましても、もう少し火山の活動状況が日ごろ把握されておるということが大切でございますが、現在わが国で活火山といわれているものが約五十ございまして、その中で、特に注意を要する、近年において危険な度合いが多いというのが約二十ございます。その中で、気象庁が指定火山としまして監視をいたしておるのが十三でございます。これらは定期的に見回りをするとか、場合によっては簡単な観測施設を設けるというようなことをいたして監視をいたしておるのであります。その十三のうちで四火山に対しましては、火口の遠からぬところに観測所がありまして、そこに機械を据えて火山の活動を観測し、日ごろ注意をいたしておる次第であります。こういうようにわが国にたくさんの火山がありまして、ことごとくの活火山に対しまして施設をいたすことは最も望ましいのでございますが、何分にも数の多いことと、活動があるいは強くあるいは静かになるというようなことから、先ほどから申し上げましたように、十三の火山について一応私どもは見回りをいたしたり観測をいたしたりしておる次第でございます。火山の被害もわが国にとりましては災害の一つでございまして、火山の活動を監視するということも大切でございますので、気象庁におきましても計画を立てまして、今後さらに火山の観測とその活動の監視ということについて、少なくとも被害の生ずるような火山につきましてはさらに強い体制をとりたいと計画をいたしております。
  98. 本名武

    本名委員 今の御説明では、危険を感じて観測機を持って上がったときにたまたま起きたということですが、私はその前に何か調査をしておられたと思うのです。と申しますことは、あの爆発が起きて間もなく、テレビだと思いましたが、会見をやっている。その場にいた技術者の話を聞きますと、十分に危険性を感じて調査はしていたのであるが、これ以上徹底した予報、予知は発表できなかった、しかもこういうふうに大きくなることもわからなかった、こういう意味の話をしている。それで、どうしてそうなのかと聞いたら、予算が足らないからだと言う。それならば、一体予算は、気象庁としては、例の天気予報を含むところの一般業務の予算の中で見ておられのか、そうなるとまた予算編成上の一つの問題にもなってくる。いずれにしましても、そういうようなことで、今後起きるであろう——今長官もおっしゃったように、日本には火山による災害が多いと考えておりながら、これから善処いたしますということでは、はなはだ遺憾にたえないと思うのでありますが、そういうようなことを技術者なりあるいは職員が堂々と言って、あたかも自分たちの職務に対して非常に不誠意なような印象を与えることはよくない。と同時に、予算編成上の欠陥があるならば、これも改めて、先ほど長官のおっしゃったような改善策を速急にとらなければならない。  もう一つは、実は意外なことには、私は専門家でないからわかりませんけれども、あの何方メートル以上も吹き上げるような爆発があったときには、上空は必ず風は西から東へ吹くものだ、こういうことが定説であるという。それならば、爆発が起きそうだ、あるいは起きたときに、直ちにそういうことをなぜ風下の地域に対して予報しなかったか。こういうことは職務外であるか知らぬが、しかし大事なことである。これがないために、西風によって影響を受ける火口から東方にある市町村が非常な被害を受けたということであります。こういうことが、はたして、予算がないからとか、従来のやり方では思うようにできなかったから、あるいは設備が足らぬということでのがれられるかどうか。まだそのほかお聞きしたいのですけれども、時間の関係もありますからこの程度にしたいのですが、一体そういうことはなさらなかったのかどうか、それから実際調査をしておられたか、それは気象庁の責任において調査なさったか、あるいは委託してやられたか、委託してやった場合には、その結論なり調査の経過に対する責任は一体どこに負わせるか、その点だけちょっとお聞きしたい。
  99. 和達清夫

    和達説明員 私どもといたしましても、火山の情報を出し、注意するときに、灰の分布に対してもう少し意を用いなければならぬということは、御指摘の通りと思います。私ども今後十分反省いたしまして、そういう点を改めたいと思います。しかし、日本の気流といたしましては、西風が普通でございますので、東へいくことは常識としてどこの火山においてもそう思っていただくこと、冬はそれに北風がかかり、夏は南風がそこへまざりますので、季節によって多少違いますが、火山から東の半分の方が灰の降るところ、特に東の方は平均的に一番多いということであります。  その次に、委託した問題でござますが、確かにその場所そのものがあぶないところでございまして、委託する前に、ここはあぶないといって委託すべきでございましょう。そこで作業をしているところがございましたので、観測を委託した次第であります。私どもとしては、そういう知識がありながらそこへ委託したということには責任を感じます。今後、むしろ、一般のこういう場所は、火山があぶないという注意の方に努力いたし、そして委託する場合には、もちろん安全性も十分考えまして委託いたしたいと思います。
  100. 本名武

    本名委員 爆発の場合の定説は、今のお話にもありましたし、われわれもこのことがあって知ったのでありますが、東へ吹き流れるという、このことが周知徹底されてない。一般農民やその他はそういうことは知らない。従って、たとえば新得町のように、四百人近いものが避難をせざるを得なくなっている。農作物被害があるばかりでない、人畜に被害を生じてきた、こういうことに対して、それは常識であり定説であるから、知らせなくてもよかったということは、私は、今後各地に起こることを予測するならば、まず重点的に十三の山に目をつけておやりになると同時に、そういった方面も啓蒙指導されるのが気象庁の仕事ではないかと考えるので、その点今後抜かりのないように善処をしていただきたいと思います。  そこで、これは非常にむずかしいことかもしれませんけれども、今被害地を回ってみますと、われわれは実は火山に対する知識が非常に少ないということをしみじみと感ずるのであります。それはどういうことかと言うと、作物の葉に灰がたまっても、雨が降って流してくれればいいんだろう、あるいはほうきでたたき落とせばいいだろう、こういう程度が常識であります。人間が避難しなければならないほど亜硫酸ガスその他の被害によって危険を感じたところは、まあこれは大へんだからといって逃げるんだが、農作物に対してはそういう程度の知識しかない。こういうことに対して対策をとる場合、こんな誤解の上に立った安心感ではなくて、将来起きるであろうその被害を考えたならば、私はやはり災害対策として考える前に、火山観測の技術からいって、でき得るならば、あの火山は一体いつになったら元へ戻るのだ、あるいはまた、噴火の時間的な間歇的なものは一体どうだ、それから、方向は東ではあるけれども、あの下に行って中へ入ってよく見ていると、一、二時間で変わる、わずかではあるけれども変わる、こういう方向というものは、将来うんと極端に変わるようなことがあれば大へんだが、変わるにしても一体どの程度に変わっていくか、現在は二十四カ市町村で十万町歩に灰が降っておる、まだ今後続くかもしれない。従って、対策をとるときには、十万町歩に対して警戒をし、あるいは災害対策の処置をすればいいのか、まださらに広がる、こういうことを明らかにしなければいかぬ。  それからもう一つは、噴出されるものの成分でありますが、これは気象庁でおやりになるのか、厚生省の所管かどうかわかりませんけれども、大体において今度非常に心配されることは、硫黄によるところの亜硫酸の被害、それから鉄分の被害、こういうものが非常に心配される。さらにそれが地上に降り、あるいは木の葉に積もる。木の葉に積もりました場合には、気孔は葉の裏側に大体あるから、これはいいとしても、実は日光が当たらない、光線が当たらない、同化作用はストップしてしまう、従って、そのために成長を阻害される、あるいは収穫が得られなくなるという心配がある。こういう知識が全然ないというので、現地においても非常に苦しんで指導している。従って、気象庁の責任において、今申し上げましたような見通しをつけられるかどうか。つくならば早くつけて、現地に対して、さらに爆発は続くぞ、あるいは降灰の範囲はこうなるぞということを的確に私は示す必要があろうと思うが、そういうことはできますか。
  101. 和達清夫

    和達説明員 おっしゃること、まことにごもっともと存じます。それには応急対策と恒久対策とございまして、火山が爆発しましたときに、時々刻々に情報を流し適切な対策をとることと、日ごろ、こういう火山が爆発しましたときにはこういうふうになるから、こういうだけのことを用意しておくべきであるということと、二つあると思います。前者につきましては、気象庁におきまして今後ますます適切な情報を出しまして、災害対策にマッチするようにいたしたいと思います。それから恒久対策につきましては、農林省ともよく御相談いたしまして、日ごろ、火山地帯の付近に対しましては、いざ爆発すればこういうふうになるのが普通であるから、日ごろ用意しておくようにというような一般的な啓蒙をいたしたらよろしいのではないかと思います。その方面に努力いたしたいと思います。
  102. 本名武

    本名委員 では、気象庁の方の話はちょっと中止いたしまして、農林省にお伺いいたします。  今回のこの爆発によって起きた被害程度調査は今進行中であろうと思います。詳細な報告はないかもしれませんが、どの程度の報告をおとりになっているか、そうして対策として将来考えられることは一体どういうことか、そういうことをまだお考えになっていないかどうか、調査が完了していないから考えられないということになるかもしれませんが、これは現地では非常に急いでおりますし、伺うところによると、農林省からもわざわざ派遣されて現地におもむいたということでありまして、その点は非常にけっこうなことなんですが、そういう御準備が今あるかないか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  103. 久我通武

    久我説明員 ただいま御質問がございました降灰による被害でありますが、先生よく御承知のように、われわれは一応被害の尺度を作っておりまして、それで適正な被害を押えるということに努力して参っておるわけでございます。実は火山灰によりますところの被害の尺度というのは、十分なものができておりません。降灰を受けました面積は、ただいま先生のお話にありましたように、われわれの報告では一応八万三千町歩ということに目下のところなっておりますが、灰の降りましたのはわかります。そうして被害を受けておる状態もわかるのでございますが、まだ明確な尺度ができていないということのために、今日ではこの被害程度はまだつまびらかになっておりません。しかし、降灰がありました後直ちに作物の被害の専門家を三人ばかり派遣いたしまして、現地で尺度を作りまして、目下調査をいたしておる最中でございます。近日中に、不十分ではございますけれども、大体の被害状況も判明するかと存じております。
  104. 本名武

    本名委員 そういうことだろうと想像はいたしておりましたが、至急一つ調査の上善処していただきたいと思います。  ただ、ここで一つ伺っておきたいことは、たとえば、こういう災害は、流れたとか、つぶれたとか、あるいは凍りついたとか、枯れたとかいうのではなくて——現在目に見えて被害をこうむったものがある。それはどういうのかと言うと、たとえばバレイショのようなものは、硫黄分を含んだ降灰物があると、たちまちぺしゃんこになってしまって、写真もありますけれども、枯れてしまう。そのまま直ちに目に見えて被害がわかる。そのほかのものは、成長期でありますから、かなり元気がいいので、灰が積もったくらいではなかなかしおれない。しかし、これが日にちがたちますと、だんだんしおれてくる。それから水が硫黄分に化学作用して亜硫酸が強くなる。従って、噴火はやんでも、被害あとで起きてくるという状態です。それから、雨が降ればいいと喜んでおる。なるほど葉っぱの上はきれいになりますが、それが土の中に入って酸性が強化され、それが水に流れる。現に十勝岳に水源地を持つ川の下流では、すでにペーハーが三・五に下がっておる。従って、たんぼに入る水がペーハー三・五ということになると、稲作に影響することは当然です。そういうことが起きつつある。従って、災害地に、しかも即座には被害が現われない。いろいろな形でこういうふうに被害が現われる——全くおもしろい、変わったケースだと思う。このケースに対して今まで何ら具体的な処置がなかったというが、せめて現行の天災法くらいは指定に入れて、それで今の耕作農民なり被害者を救ってやるというような考えは、今ここで決定していただくわけにはいかないか、その点一つ考えをお聞きしておきたい。
  105. 坂村吉正

    坂村説明員 ただいま申し上げましたように、被害状況がまだ正確に把握できておりませんが、非常にひどいようでもありますし、できれば天災融資法に乗っけて融資の道は講ずるというようなことで考えたらどうかというつもりで、私どもは今いろいろ研究いたしております。
  106. 本名武

    本名委員 そういう方向で研究されるということですから、行って現地をごらんになればよくわかりますし、また先ほど気象庁の方からお話があったように、日本は、十勝岳の爆発だけではない、国全体が数多くの火山系を持っておる国ですから、この機会に将来を戒める意味からも、あるいは将来の災害を防止する意味からも、そしてもし万一不幸にあったならば、これを救う意味からも、ぜひ法律的な処置を講じていかなければならないというふうに考えますので、その点は一つしかるべくお願いいたします。  それから同時に、人間の始末でありますが、これは厚生省関係になると思いますので、別な機会に論じたいと思いますが、家畜の場合、これはどういう扱いになるか。共済の方で扱えると思いますけれども、非常にみじめなものです。草も食わなくなる。あわばかりふいて、食わない、大騒ぎしている。もちろん、人間が避難をするのに、かさをさしてマスクをかけなければ外に出られないというような状況でありますから、相当被害が将来出てくるだろうと思う。こういうことに対して、積極的に現地を指導して、資金も必要であり、またそれらの補償制度というようなものも考えていかなければならぬ。   〔秋山委員長代理退席、委員長着席〕  それから、これはほうっておきますと人災になるおそれがある。さっきも申し上げたので、重複して申し上げません。人災になるから、その点を一つ。たとえば土壌の酸性の問題、あるいは水質の問題、ペーハーの下がる問題等、人災になりますから、時間がないから私は一々申し上げませんけれども、これらに対して十分な処置を一応考慮されておく必要があるのではないかと思います。  それから、先ほど二十四カ町村の百万町歩と申し上げましたが、この百万町歩被害というものは、直接被害を受けたところはまだ十万町歩までいってないかもしれない。灰を受けたところは、一昨日までの現実を見ますと、日に口にてきめんに被害をこうむっておりますから、先ほど気象庁から伺いましたように、将来の見通しをまず立てていただき、その見通しのもとに農林省としても適切な作物に対する指導をやっていただかなければならないと思います。あとのことにつきましては、もう少し被害調査が進んでから、厚生省とあわせていろいろ伺うことにいたしたいと思います。  私はこれでは終わります。
  107. 濱地文平

  108. 安井吉典

    安井委員 今本名委員からいろいろ御質問がございましたし、時間も二十分と限られておりますので、できるだけ重複を避けて、数点についてお尋ねをいたしたいと思うわけであります。  まず初めに、今なお鳴動を続けているわけでございますが、これから先どういうふうな動きになるか、このままおさまるのか、それとも、もっと激しい状態に入っていくのか、そのお見通しを今までお知りの範囲内で一つお聞かせいただきたいと思います。
  109. 和達清夫

    和達説明員 現在の火山学では断言はできないのでございますけれども、従来の経験と今までの観測の結果からは、もうそれほど大きな爆発はなかろうというように考えております。
  110. 安井吉典

    安井委員 爆発以前におきましてもう少し予測が十分できたのではないかとか、あるいはまた、そうじゃないとか、そういったような事情を、先ほどの問答もございましたし、私も二、三お尋ねしたいわけでございますが、時間の関係がございますので、それは省略いたします。どう考えても、私ども現地の事情を知っている者の立場からいいますと、本格的にあの山の爆発を観測するという体制が今までなかったのではないか、そういうようなことをしきりに考えさせられるわけでございます。現地所管は旭川気象台だと思うのですが、あの山の火山観測のために旭川気象台に与えられた予算はどれくらいあったのですか。
  111. 和達清夫

    和達説明員 ここで申し上げるほどの額はございません。それらは地震観測とか、場合によっては気象観測と複合にいたしておりまして、北海道全体で十万円、二十万円——しかし、それは火山の消耗品とか、そういうものでありまして、実際には、人員とか通信とか、いろいろ複合でやっておるわけであります。しかし、先ほども申し上げましたように、完全なる火山観測の体制のできているのは、今年度から火山観測の計画が進行しておりまして、二カ所できました。それから準完全——と言うとおかしいのですが、それが二カ所、あとの十三カ所の分は、移動班と申しまして、いつ活動するかわからぬものに対して移動していく分でございます。そういうものが今十勝へ行っておるわけでございます。それでございますから、今後は準施設というものをふやしていきまして、そうしてここで予算というものをしっかりお答えできるようにいたしたいと考えております。
  112. 安井吉典

    安井委員 北海道全部で約十万円ということでありますが、北海道というのは九州と四国を合わしたより広いのでありますから、それを思いますと、火山に対する政府の考え方といいますか、態度というものがいかに薄いかということを考えざるを得ないわけであります。そういたしますと、十勝岳は、先ほど火山についての区分がございましたが、そのうちの指定火山には今入っていないわけですね。
  113. 和達清夫

    和達説明員 入っております。
  114. 安井吉典

    安井委員 指定火山に入っていて、観測所持っている火山に入っていない、そういうことだというふうに理解するわけでありますが、実際のところは、旭川気象台で、毎年問題があるものですから、ほうっておくわけにはいきませんで、年に二、三回の観測は行なっていたようです。しかし、それはその十万円の予算からではなかったようです。といいますのは、噴火口がこちらへ向いております美瑛町あるいは上富良野町等が町費を持ち出して旅費その他を調達して、どういう名前で行なわれているかよくわかりませんが、何かでやっておるようであります。しかし、それはどう考えても筋の通った行き方ではないと思います。また、そんなことをやっておりましたら、将来どういうふうな事態が起きるかもわかりません。現に三十八年前はあの山の大爆発は多くの人命を奪い、特に上富良野、美瑛町を泥海にしてしまった、そういう前科者であるわけですが、今さらに火をふいている、こういう際でございますので、やはり今度のこの機会を通しまして、あの山についての監視態度をもっと強くしていただく必要があるのじゃないか、だから火山観測所の予算を明年度はぜひとってもらわなければいけないのではないか、そういうふうに思うわけでございますが、お考えを一つ伺いたいと思います。
  115. 和達清夫

    和達説明員 わが国の火山全体の計画を持っておりますけれども、特に十勝岳の最近の活動にかんがみまして、ただいま仰せのこと十分考慮いたしまして、予算折衝に臨みたいと思います。
  116. 安井吉典

    安井委員 すると、来年度の予算要求の中には、十勝研の火山観測所の設置についての予算を要求される、そういうことですか。
  117. 和達清夫

    和達説明員 現在の計画では、移動班という、活動をしたときだけそこに持っていってやるのが入っております。恒久的観測所の設置は、他の火山にもまだ十分及んでおりませんが、その点はここで必ずと申し上げるほどまだ計画ができておりませんけれども、十分考慮いたしまして、予算折衝に臨みたいと思います。
  118. 安井吉典

    安井委員 予算がつくかつかないか、これは全体的な財政計画の中できめられることだと思いますけれども、ぜひここに設けるのだという、そういう御意図でやはりお進めをいただきたい、このことだけを特にお願い申し上げておきます。  問題がずいふんたくさんあるわけでございますが、先ほど農作物被害の問題について本名委員も触れておられましたので、その問題について二、三お伺いしたいわけでありますが、天災融資法の中には、火山の噴火という言葉は例示の中にはないわけですが、何々等の天災という言葉の中にこれはたしか入ると思うのです。先ほどからのお話の中にもそういうふうな御趣旨があったように思いますが、確実に入るわけですね。
  119. 坂村吉正

    坂村説明員 昨年も、浅間の噴火と鹿児島の桜島の噴火をあわせまして、天災融資法の発動の中に入れてやっておる例もございますので、被害の実情に応じまして天災融資法にのっけていくようにしたらどうかという心づもりで、いろいろやっております。
  120. 安井吉典

    安井委員 農作物被害のあり方の中にもずいぶんいろいろな態様があるわけで、たとえば火山灰で葉がいためられてしまった、あるいはまた、その中の強い酸でやられてしまったとか、きょうは畜産局長においでを願っておりませんけれども、草について家畜飼料という面で相当大きな被害が出てくるということも考えられます。それから特に新得町におきまして災害救助法が適用されましたほど、亜硫酸ガスによる被害で、目がまっかになったり、目まいで倒れたり、吐きけを催す者も現われてくる、こういうようなことから開拓部落の人たちが避難をしたわけでありますが、これは牛馬だけを連れて避難をしておるようです。しかし、残った二千三百羽の鶏、豚百十頭、綿羊二十余頭の小家畜は、ただ死を待つばかりの状態だというふうな報道が行なわれております。それまでは連れて逃げるゆとりがないものですから、ほうり投げていったのだと思います。こういうような被害もあるわけでございます。それからもう一つ考えられますことは、避難をすることによって、農家の人がそこにおれば十分に手入れが行き届くはずの田畑が、これはいつまで避難をしていなければいけないかわからないわけでありますから、それによって管理が不十分であるために、水田だったら水が十分かからなかったり、そういうような管理不十分によって災害を強めるというふうな場合が予測されるわけです。これはあとになってみなければわかりませんけれども、そういうふうな場合も予測されるわけでありますが、今申し上げました災害といいましても、灰が降ったりというような、そのもの自体による被害でなくても、管理が十分に行き届かないために間接的に起きた被害、こういうものまで農業災害の中の要素に入れるべきだと思うわけでありますが、いかがでありますか。
  121. 坂村吉正

    坂村説明員 御質問の御趣旨は、農業災害の中に入れていいかということでございますか、それとも、農業災害補償法の中の対象にすべきだという御趣旨でございますか。
  122. 安井吉典

    安井委員 問題は、適用法は違いますけれども、両方の場合それぞれについてどうかということです。
  123. 坂村吉正

    坂村説明員 私の関係のことで申し上げます。  農業災害補償法の共済関係で申し上げますと、大体家畜の共済の場合には死廃と病傷とございますが、これは原因がどうこうということまでありませんから、そういうことのために死んだとか、あるいは病気になったとかいうような場合には、もちろん、当然共済の対象になろうと思います。それから水稲というような場合に、そういう噴火のためにあと非常な影響が起こりまして収穫が減ったというような場合、あれは「その他気象上の原因に困る災害」ということになっておりまして、「気象上の原因に困る災害」というのは、噴火と地震を含む、こういう建前で現在法律もできておりますので、噴火によっていろいろ水稲等に災害が起こった場合には、当然農業共済の対象になるというふうに扱っております。
  124. 安井吉典

    安井委員 これはもう少し災害状態が明らかになりましてからさらにいろいろお尋ねしたいと思います。ほかにずいぶん問題があるものですから、一応この問題はあと回しにいたしまして、次に鉱山関係の問題に移りたいと思いますが、その前に、農地局長がおいででございますので、この点だけ一つ伺っておきたいわけであります。  あの地帯、特に富長野地帯は、従来でも十勝岳の爆発によりまして酸性が非常に強くて、そのために、灌漑用水の酸性除去のための土地改良事業をぜひやるべきだというふうなことで、ようやくその問題も緒につき始めているわけでございますが、おそらくこの火山の噴火によりまして事はさらに進んできていのではないかと思います。ですから、今お進めになっております酸性除去の事業、あるいはまた、今後新たに別なケースが出てくるかもしれません。そういうようなものに対して十分配慮すべきでないかと思うわけでございますが、一つお考えを伺いたいと思います。
  125. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 十勝岳の爆発によりまして、降灰による被害が作物その他農地の面にもあろうかと存じます。御指摘のように、畑については、降灰それ自体がどういうふうな影響を及ぼすか、化学的な問題だろうと思います。また、水田については、灌漑用水が毒水となってくるだろう、そういう点の問題と存じます。ただいま問題になりました新得につきましては、開拓地が非常な被害を受けて避難なんかいたしておる事態につきまして、ただいま農地局からもそういう面の専門家を一人派遣いたしまして、実情を調査中でございます。畑地、水田ともどういうふうに今後処理するか、その報告を待ってよく検討して参りたい、こういうふうに考えております。
  126. 安井吉典

    安井委員 農業関係の問題につきましては、さらに日をあらためてもっと——今の御答弁だけではどうも満足できないような気がいたしますので、後日に譲りたいと思います。  次に、あそこの火口で操業をしておりました磯部鉱業所の硫黄採掘事業の関係でございますが、あそこで、採掘の作業中ではなかったわけでありますけれども、五名なくなったわけです。さらに被害者も出しているわけでございますが、噴火口の作業では、これは気象庁長官お話もございますが、いつ爆発というような事故が起きないとも限らない非常に危険な作業だと思うわけでありますが、現在までこの鉱山の鉱区は一体どういうふうになっているのか、あるいはまた、施業案の許可はいつごろから行なわれているか、採掘の方法、それから鉱山保安についてこれまでどういうふうな措置がとられてきているか、それらの点について伺いたいわけであります。これは作業中の事故でないことは明らかでありますけれども、すぐその現場に近いところに作業員の宿舎や事務所などもあったという事実もございますし、これがもし作業中であれば、大へんな災害の拡大というようなことになったと思われますので、一応それらの点につきまして伺いたいと思います。
  127. 大木恒

    ○大木説明員 十勝鉱山は、大正八年に東京硫黄株式会社が操業を始めました。これは粗糖精白用として硫黄の生産を開始いたしましたが、大正十五年に大爆発によりまして百六十数名の犠牲者を出しまして、一時中断いたしたわけでございますが、昭和二十九年に、これは早稲田大学の先生方の調査に基づきまして現鉱業権者の磯部硫黄が生産を再開して今日に至っております。元山採鉱場と、さらにそれから下手に製練所を設けております。その間索道でもって鉱石を運搬しておるようであります。製練は、オートクレーブ方式のいわゆる蒸気製練でございます。採鉱は、これはほかの硫黄山と異なりまして、鉱山の噴気を煙道に導いて、そこから直接に硫黄を採取している方法でございます。いわゆる火口硫黄と一般に称している採掘方法でございます。現在品位は、硫黄分で七〇%の製練原鉱を採掘しておる、そういう状況でございます。  今回の問題につきまして法的に御説明申し上げますと、鉱区を禁止する、いわゆる鉱区を制限する規定が現行鉱業法にはございます。ございますが、その鉱区に関する制限の規定の内容は、もっぱら一般公益あるいは他産業と比較しまして、鉱物を掘採することが適当でないという場合に限り、鉱区の設定制限が鉱業法第十五条でもって規定されておるのでございます。今回のようないわゆる天災に対して鉱区を禁止する規定はございません。そのために、どういうところでこれを見ていくかといいますと、鉱業法第六十三条によりまして、施業の段階でもって監督を実施しているわけであります。これは御承知のように、通産局長が認可いたしますが、その前に、所轄鉱山保安監督部長と協議いたしまして施業の内容を認可しております。今回の場合は、こまかく施業の内容として規定はしておらないのでございますが、大綱を規定いたしまして、そのあとは全部鉱山保安法によりまする保安規程に委任いたしてあります。保安規程につきましては、鉱山保安局の鉱山課長から御説明があると思いますが、鉱業法あるいは鉱山保安法の体系によりますと、そういう形でもって監督を実施しておるわけでございます。  なお、今回の爆発に際しまして、鉱山側は、あとから御説明があろうと思いますが、保安規程その他を十分尊重いたしまして、特に気象庁と事前の連絡をとりながらその情報の提供を受け、さらに危険度の判定を受けておったように御報告されております。
  128. 小関伝

    ○小関説明員 ただいま鉱業課長から御説明がありましたように、施業案を認可いたします場合には、通産局、それから鉱山保安監督部並びに北海道庁と協議をいたしまして施業認可をしておるわけでありますが、この中に危険防止ということにつきましては大綱をうたいまして、その詳細につきましては、鉱山保安法に規定されます保安規程というのがございまして、これは鉱山保安監督部長が認可をいたす内容のものでございますが、この中に、非常事態の予知の問題、それから退避の問題、あるいはそのほか訓練の問題、こういうことを規定いたしております。従いまして、ただいま鉱業課長から御説明がありましたように、旭川の気象台との連絡、あるいは通産局あるいは鉱山保安監督部あるいは北海道庁と連絡をとりまして、お互いの指導あるいは監督を受けながら、予防措置あるいは訓練措置、そういうものを実施するというのが実情であります。  それから第二に、労災補償の問題に関連いたしますが、当省といたしましては、労働者災害補償保険法によります補償につきましては、労働省と連絡をとって実施しておりますが、今回の場合は、業務上の災害と認定するかどうかにつきましては、札幌におきます労働基準局の担当の課長が参りまして現在調査中であるということでございまして、これは労働者の業務上の災害と見るかどうかにつきましては、今後労働省と協調しながら検討して参りたいというように考えております。
  129. 安井吉典

    安井委員 そうしますと、噴火口が全部鉱区になっておるわけでありますか。わかりませんか。
  130. 大木恒

    ○大木説明員 詳細ちょっと存じませんが、大体噴気して参ります噴火口を中心にしまして鉱区が設定されておると存じております。
  131. 安井吉典

    安井委員 これはほかの炭鉱なんかの坑内保安とまた趣きが違いまして、相手が悪いわけで、いつどうなるかわからないというふうな状態で、鉱山関係の保安担当者でも、この火山はいつふくかわからないわけであります。そういうような意味で、施業案の認定だとか、あるいはまた、保安規程の適用の段階におきまして、これはどうなんですか、気象庁長官の何か判があって認可をするとか、そういうような規定にはなっていないわけですか。
  132. 大木恒

    ○大木説明員 現行制度におきましては、先ほど山課長が道庁と協議すると申しましたのは、これは国立公園の関係でございまして、道庁と協議いたしておりましたが、火山爆発の関係で気象庁関係と協議はいたしておりません。
  133. 安井吉典

    安井委員 ほかの鉱山で、やはりこういうような噴火口での硫黄採掘の例は多いわけですか。
  134. 大木恒

    ○大木説明員 北海道では阿寒湖、それから知床半島があります。これは非常に昔にふいたものであります。そのほか、内地におきましては、すでに老衰期に入っている火山については相当採掘が行なわれております。たとえば群馬県地帯の死火山、あるいは硫黄島の硫黄、こういうものが火山関係の硫黄として採掘をされております。松尾鉱山を除いては、ほとんど八割程度がいわゆる休火山地帯の硫黄の生産ではないかと想像しております。
  135. 安井吉典

    安井委員 いずれにいたしましても、休火山的なものは別といたしまして、さりき気象庁の方でお話のありました指定火山ですか、そういうような部門につきましては、この際ちょうどいい機会でございますので、もう一度施業案等について再検討していただくことが適当ではないかと思いますので、その点一つお願いをしておきたいと思います。  それからこの山の場合に、これからあと火口での採掘が続けられるお見込みであるかどうか、その点一つ伺いたいと思います。
  136. 大木恒

    ○大木説明員 この災害で今は絶滅をしてしまったような関係です。現場にも近づけないというところで、将来どういうふうになりますか、火山が中止をいたしまして、さらに相当採掘に十分な噴気が形成されておりますれば、あるいは採掘がされるというようなことも考えられると思いますが、現在のところでは、火山の活動いかんにかかるかと考えております。
  137. 安井吉典

    安井委員 保安施設の検査でありますが、大体こういうふうな硫黄鉱山の場合は毎年どういうふうになされておりますか。それから、特に最近に監督的な調査をなさった時期、あわせて一つお答えを願います。
  138. 小関伝

    ○小関説明員 鉱山保安局といたしましては、鉱山の危険度に応じまして、第一種、第二種、第三種というようなことで、特に危険度の大きいものは第一種ということで、年間に監督する回数は何回というふうにきめております。同鉱山につきましては、第二種ということでおそらく採掘されておったというふうに考えております。最近の監督では、この春に一度監督官が参りまして監督をしておる、そういうことで、さらにまたこの秋にもう一度監督に参るという予定にしておったと思います。  それから保安施設関係でございますが、特にここにあります保安施設といたしましては、爆発の場合に起こります落石防止ということが一番大きい問題でございまして、特に宿舎のほかに待避壕を設けまして、その中に非常の場合には待避をするという措置をとっておるということでございます。
  139. 安井吉典

    安井委員 保安施設の場合は、ほかの鉱山と違いまして、つまり気象的な問題が一番大きな問題になってくるわけです。それだけじゃありませんけれども、そういうことになってくるわけでありますが、このような調査が特にこの山について行なわれました場合には、気象台やその他の調査との関連、こういうようなものについて十分な配慮が当然なされるべきだと思うのでございますが、この点はいかがでございますか。
  140. 小関伝

    ○小関説明員 先ほど申し上げましたように、旭川の気象台の方から定期的においでを願いまして、当地に施設しております地中温度計並びに地震計というものを常に観測いたしまして、この観測の結果を旭川の方に報告いたし、また異常のあった場合には特にその報告をいたしまして指導を受けるということにしております。
  141. 安井吉典

    安井委員 時間がなくなってしまいましたので、あとの質問を端折りますが、特にこの際遺族の補償の問題、さらに、鉱山がこれからずっと休むわけでありますが、その休業の補償、それから、もししばらく仕事をやめるとすれば、それに伴ういろいろな労働問題、これは労働省の直接の所管だと思いますけれども、鉱山監督の立場におきましてもぜひ特段の御配慮をこの際お願いしておきたいと思います。  特に地方財政の関係でございますが、観測の負担地方公共団体がずいぶん持っておるという事実があるようであります。そのやり方はどうかわかりませんけれども、財政区分の明確化という上からいって、あまりおもしろくない行き方であり、当然国費で見るべきものは見ていく、そういう仕組みでなくてはならないと思うわけでありますが、その点を一つ。  それから今度の噴火に伴いまして災害救助法の発動、こういうような法的の措置は当然のことといたしまして、救助作業、それから給食、被害予防のための啓蒙宣伝だとか、それから、私も現地に見舞いに参りましたけれども相当広範な警備対策が現在なおとられておるわけであります。それから死亡者とか負傷者に対する対策、こういうようなことで、関係地方公共団体は非常に大きな支出をしておるようであります。それから、特に美瑛町は、白銀というところに町営の温泉旅館を持っております。その白銀という温泉地帯は、全員避難をして、人っ子一人現在はいないわけであります。そういうような町営事業が非常に大きな被害を受けておるという問題もありますが、いずれにいたしましても、当然特別交付税その他地方財政措置で考慮できる問題につきましては、十分自治省において御考慮を願うべきだと思うわけでございますが、お考えを一つ伺いたい。
  142. 松島五郎

    松島説明員 ただいまお話のございました観測費用の市町村負担の問題でございますが、これは私どもかねてから、国が持つべきものは国が持つ、地方団体が持つべきものは地方団体が持つという建前を明らかにして、その相互間の負担関係を乱すことのないようにということを関係各省にもお願いを続けてきておるわけでございます。ただいま御指摘のございました問題につきましては、今後気象庁においてもいろいろ御努力なされることと考えますが、私どもも引き続きその方向に向かって努力をいたして参りたい、かように考えております。なお、関係市町村の災害に対応いたしますためにとりましたいろいろな活動に要します経費につきましての特別交付税につきましては、実情を十分勘案いたしまして適切な措置を講じて参りたいと考えております。
  143. 濱地文平

  144. 永井勝次郎

    ○永井委員 私は農業関係を重点にお尋ねいたしたい。  爆発の灰の降った東側、広い地域において被害を受けた地帯の中心地に私の郷里はありまして、六月三十日、それから七月一日、これはその中心で経験したわけであります。私は七月一日と七月二日、二日間現地調査をいたしました。先ほど来伺っておりますと、被害調査は、いずれ現地に行ってから調査した上でという話でありますが、私は、被害がどのくらいあるか、被害を固定してどういう状況だという報告を受けるということは、これはずっと先でもいいと思うのです。現実に灰が降って、作物が今生育しておる盛りだ、その被害を最小限度に食いとめて、今後の営農上技術的に、あるいは現地措置としてどういうふうにするかという緊急当面の問題を急速にどうして取り上げないのか、こういうことです。でありますから、降った灰の性質はどういうものだ、どのくらいの量が降っておる、現地状況はどうだ、こういうことに適応して今直ちに何をしなければならないかという指導が必要だと思うのですが、これに対してどういう措置をしておるか、振興局長その他関係当局から、緊急措置をしておる実態をお知らせ願いたい。
  145. 林田悠紀夫

    林田説明員 今回の十勝岳の噴火につきましては、農林省の技術者を直ちに現地に派遣いたしまして、その技術者の持ち帰りました報告によりましていろいろな措置を行なうということで、今技術会議を中心にしまして研究者が集まり検討中でございます。何分にも面積が十万町歩近い広範なところに及んでおりまして、たとえば酸性土壌になりましたならば、それを全面的に石灰で解消するというようなことも非常に困難性があるわけでございますけれども、目下いろいろ検討いたしておるような段階でございます。
  146. 永井勝次郎

    ○永井委員 検討はけっこうなんですけれども、今作物の生育盛りで、一つの原則があるわけでしょうから、当面直ちに今やらなければならぬことはこういうことだ、そうしてそれをやらしておきながら、こちらの研究が済んだらすぐそれに対応する、こういう段階的な措置でもやらなければならぬじゃないか。それはいずれ報告を受けてからと、のんきなことを言っておるうちに、作物は腐ってしまうわけですね。だから、当面緊急な事態として、現地に行ってみますと、ビートであるとか、バレイショ、色豆、ハッカ関係相当灰をかぶっております。これはちょっとやそっと払ったくらいでは落ちないような状況です。ただ、大豆などは、すべすべしているから、割合に青い色をしている。あとは泥水をかぶったような土色をしておるわけです。こういうような関係を、この作物はどうしたらいいか、払えといったって、まだ小さいのですから、強く払えば葉っぱが飛んでしまう。何か緊急措置がありそうなものだと思います。これが一つ。  それから家畜関係はやはり飼料の問題があると思います。ちょうど今、進んだところは、牧草の一番刈りをやって山に積んでいます。おくれたところは、刈ったばかりで全面にかぶっているわけです。こういうものを洗って、石灰を少し入れて食わしたらいい、こういうことを言っておるのですけれども、洗うといったって、これはなかなか容易でないと思います。ひどいところは、一反当たり三トンの灰が降っています。場所によっては、黒い鉄色をしたような重い灰が降っておるところと、石灰の粉のようなのが降っているところと、こういうようにいろいろあるわけですけれども、そういう地帯で、家畜飼料なんかやはり今措置しませんと、じりじり健康に障害が来ると思います。灰の降った地帯を見ますと、農家の庭にコイを飼ったり金魚を飼っているところは、みんな死んでいます。ですから、コイが死んだり金魚が死んだりしているところを見ると、相当やはり被害がある、こう見て差しつかえない。こういう関係を家畜対策としてはどうするかということをやらなければいかぬ。あるいは、ずっと開拓地帯なんかは、農地局長もこれはお考え願わなければいかぬ。大体川の水を飲料に大部分使っている。ところが、山から何から全面に降っているのですから、雨が降ったそっちの方から流れてくるのは、相当そういう降灰の影響を受けている。そういう水を飲んでいいのかどうか。それを簡単に矯正するにはどうするか、こういうことが直ちに考えられる。農作物に対してはこう、家畜に対してはこう、それから人体に対してはこう、飲料水その他についてはこう、そのうちにそちらの研究したものをずっと報告を作って対策を立てる、こういう何段がまえかの緊急措置があるべきものだと思うのですが、どうですか。これはもう一週間以上経過しているのに、直ちにやらなければならぬそういう問題について、こちらの方へいずれ調査が来るだろう、被害調査はまとめてから報告する、のんきな話で、皆さんのお話を聞いていると、どこに火山噴火の事態が起こって——そこに生活している人たちがその灰の中で毎日胸を悪くしておる、気管がえがらくなってくる、そういう事態の中に生きている人の不安というものにもっと対応した行政というものがあっていい。関係局長、簡単でいいですから、御答弁願いたいと思います。
  147. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 開拓地の話が出ましたが、新得には今技術の方の関係の者を出しております。おそらく現地ですぐやれる措置現地指導でやっていることと思います。また、道からもまだ十分な報告が参っておりません。道の方で農務部あるいは衛生部等が現地調査班を送って調査しながら、やはりその場その場で特に緊急なものは現地指導の手を打っておることと存じますが、そういう点についてまだ十分報告が入っておりません。おそらく、新得等についても、やれるところはやっていくと思います。今直ちにここでどういう手を打ったらいいかという点については、まだ十分全体的な問題として申し上げる段階に至っていないのはまことに遺憾であります。現地ではそういう手を打たしておる次第であります。
  148. 永井勝次郎

    ○永井委員 二十四時間その中でのがれることのできない、そういう環境の中で生活しておるという問題と、それから今生育盛りですから、そういう問題とあわせて緊急措置をするという姿勢くらいはとらなければならぬ。被害対策はいずれなんというのんきな報告をここで聞こうとは私は思わなかった。残念と思いますが、直ちにもっと緊急対応のかまえをしていただきたい。それから恒久対策としては、何としても一反に三トン以上の酸性の強い灰が降っておるわけですから、農作被害は本年度だけの被守で済むわけですが、土壌の条件というものは、今後相当長期にわたって被守が持続するわけですから、どうしてもこの酸土矯正は徹底的にやらなければいけない。ジリ貧になっていくわけです。とれに対して来年度予算に緊急にやることが必要です。これは恒久対策として必要ですが、当面の対策としても、これから秋にかけての耕作上どういうふうにしたらいいかという——石灰が必要なら、のんきなことを言っていないで、できる限りの範囲で大いに石灰を散布するような措置が必要だと思います。それについて、官房長は予算を握っておるのですから、どういうふうに対処されるか、聞きたい。
  149. 林田悠紀夫

    林田説明員 まことに先生のおっしゃる通りでございますが、現地におきましても、北海道に国立の試験場もございますので、今みんな集まりましていろいろやっておるような次第でございます。それで、石灰の問題につきましては、現地へ技術者を派遣しておりますから、帰って参りましてからいろいろ報告を聞きまして検討させていただきたいと思います。
  150. 永井勝次郎

    ○永井委員 私は現地を視察したのですが、道庁の人も言っておるが、そういうところに行く人はいわば下の方で、予算をどうするとか、これに対してどうするとかいう政策的なことを言っては、上の方から、何よけいなことを言ったとやられると困るから、自分では思うのですが、ただ見て、気の毒だ、こう言うだけで、前向きの姿勢で一つもやっていないのです。ただ、いずれ調在してから、こういうのですから、行くにあたっては、そういう緊急な問題についてはこちらは予算をどんどんやらなければいけないという、前向きの積極的な姿勢を申して、そして気合いをかけて出れば、現地でこう言えると思うのです。けれども、無用なことを言ったらどやされると思うから何も言わないで、ただ見ている、指導もしてないというのが現地の現状です。ですから、そういうことはもう皆さんわかっているんだから、もう少しこの緊急対策について、今からでも出先に電話でも何でもかけて、必要な最小限度の費用は出さなければいかぬから、すぐに運べというように気合いをかけていただきたいことを要望して、少しくらい中央の皆さんが前向きになっていただくことを期待したいと思います。
  151. 濱地文平

    濱地委員長 島本虎三君。
  152. 島本虎三

    ○島本委員 二点にしぼって要領よく聞きますから、お願いします。  今までの先輩に対する答弁で大体わかりましたが、ここで一つ重大だと思うのは、これは災害救助法の適用を受けて、もうすでに関係町村の住民が数百名避難しているということも、はっきり事実になって示されておるわけです。そうすると、これは農産物が全滅しているか、またはそれと同じような状態になっている、これじゃ開拓農民の生活はどうして成り立たせるのかという点は大きな問題だと思います。ことに当面の対策はまことに不安、調査だけで、具体的なものは何もできておらない。ことに現地の空気は、これは依然として亜硫酸ガスが多くて居住がむずかしい。そして含有量はさっぱり減少していない。これが将来だんだん人体に被害がなくなっても、飲料水の問題では依然としてこれはまだ考えなければならない、こういうような問題がやってきたならば、避難していったところの部落民、こういうような人たちに対して、再び帰れということは今すぐ言えないはずです。そういたしますと、開拓農民の生活については、現在どうしているのか、この指導は万全であるはずだとは思いますが、しかし、これは現行法だけで完全にやっていけますかどうか、この点に対して一つお考えを明確に承りたいと思います。
  153. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 開拓地の被害相当あると思います。詳しいことは、先ほどから申しますように、よくわかっておりません。現にいたしております。また、道からも十分な報告はまだ来ていない段階でございます。開拓地の問題をどうするか、飲料水の問題等もございまして、これはやはり総合的に営農ができるかどうかという点から判断しなければならないと思います。これは再々申し上げて恐縮でございますが、十分な調査ができまして、そこで元のところで営農ができるかどうかという判定をしなければならぬかと思います。またその上で、新しいところに移らなければならぬというようなことになれば、そういう面の対策を講じていかなくちゃならぬと思います。まだ十分どうするというところまで今の段階では申し上げられないのであります。
  154. 島本虎三

    ○島本委員 十分にできていないから、できたならば、そのときで間に合うだろうということでは、これは私どもの方としてはまことに不安なんです。現地へ行って見ている先輩なんかは、ここではっきり今だったら同じ場所で営農は困難じゃないかということさえも訴えられているのです。その対策自身も、開拓農民の生活はどうするのだというような点を考えておかなければだめなんです。こういうことは、私は今ここで言ってもしようがないと思うのですけれども、十分考えておいて、そうして現行法だけでやっていけなければ、特別立法だって考えて、もっともっとこれはやるべきじゃないかと思う。  それともう一つは、農作物はほとんど全滅しておる、まだ降灰量も相当多い、こういうふうになっていて、作業している人たちも下痢や頭痛を訴えている、そうして全員がもう避難しておる、こういうような状態だ。その状態そのものは十分調べられておるとは思うのですが、噴煙や放射能の関係だとか、または降灰、ガスの影響の関係、ことに人体には、そのものが永久に不具廃疾になるようなおそれはないのか、それを吸って作業して、また、そういうような灰に当たったがために、これが将来健康上に思わしくないような事態を生じさせてはならないと思うのですが、こういうような点は十分考えられておるとは思うのですが、はっきり御答弁願いたいと思います。
  155. 庄野五一郎

    ○庄野説明員 道の衛生部が調査に入っておるという報告だけで、その結果はまだ全然参っておりません。督促をいたしたいと思います。
  156. 島本虎三

    ○島本委員 それでは全然答弁になっておらぬのですね。わからぬ、わからぬなんです。わからぬ、わからぬだったら、もう何を言ってもわからぬのですから——わからぬ、わからぬという答弁では、その住民の中にはまことに思わしくないような風潮もある。もうすでに一週間をこえてもなおわからぬのです。普通の災害は二、三日でデータができ上がってくるのです。ところが、一週間を経ても、わからぬ、わからぬ、どういう対策なのか、被害があるのかないのか、わからぬ、こういうような状態で、一体どうなるのか。私の方では、選挙が忙しかったものだから、さっぱりこの対策は進めていないのだろうという住民の呪詛の声もあるのですから、これは最も大事なことなんです。早くこの対策を急いで、そういうようなことはない、ほんとうに住民のために必要な立法は完全に講じて救済をする、こういうようなことでなければいけないと思うのです。人体に対する影響、それから開拓農民に対する生活の保障、こういうような点はまことに大事ですから、早くこういうようなデータを集めて、対策の万全を講じていただきたいということを強く要望します。これ以上は幾ら聞いてもだめですから、今回はこれでやめます。今度はもう少しデータをそろえてからゆっくりやりますから、その節は懇切丁寧に答弁していただきたいと思います。     —————————————
  157. 濱地文平

    濱地委員長 この際、お諮りいたします。  先般、宮城県北部地震による被害状況並びに復旧状況、及び長野県における昨年の水害の復旧状況調査のため、それぞれ現地委員を派遣したのでありますが、すでに災害対策特別委員打合会においてそれらの対策について検討されたところでありますので、この際、派遣委員の報告については、これを会議録に掲載することにいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 濱地文平

    濱地委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十六分散会