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井堀委員 私は民主
社会党を代表いたしまして、ただいま議題に供せられております
公職選挙法等の一部を
改正する
法律案、すなわち政府
提出にかかるもの、次に、
社会党より
提出されておりまする
公職選挙法等の一部を
改正する
法律案に対する
修正案、さらに
自民党高橋英吉君外四名より
提出されておりまする
公職選挙法等の一部を
改正する
法律案に対する
修正案、五三件に対しまして、それぞれ
立場を明らかにいたして参りたいと思います。
まず第一に、
政府提案にかかる原案並びに
自民党の
修正案に対しましては、
反対の
意思を明らかにいたしたいと思います。次に、
社会党修正案に対しましては、多くの不満を持つものでありまするけれ
ども、原案よりはるかにすぐれておる点がありますので、わが党といたしましては、わが党の所見を加えながら、
社会党の
修正案に賛成の
意思を表明いたしたいと思います。以下、その理由を述べたいと思うのであります。
去る三月の一日に
政府原案が
提案されましてから、今日まで
審議を続けて参ったのでありまするが、
政府案に対しましても、あるいは
自民党の
修正案に対しましても、まだ十分
審議を尽くしたいと思いましたが、はなはだ残念ながら
質疑が打ち切られたことに対しまして、非常に不満を感じ、かつ、その措置に対しまして強く抗議をいたしたいと思います。
まず、この法案の性質でありまするが、申し上げるまでもなく、
選挙法は
日本の議会制度の基礎を築くものでありまして、この法案が各党共同して真剣に討議され、よき結論を得ることが、議会政治を守る上からもきわめて重要であったと思うのであります。しかるところ、本日は野党でありまする
社会党の欠席のもとで、かかる重要法案が採決されることを、返す返すも遺憾に思う次第であります。政府が
提案理由に強く主張しておりますように、民主政治の健全な発展を期する
ためには、
選挙が公明かつ適正に行なわれなければならぬとしまして、その
ための措置として、ここに
選挙制度審議会の
答申を尊重するという建前で本案の
提案が行なわれたことを強調いたしておるのであります。しかるに、本案の
内容を検討いたしますと、多くの点で、これから指摘をいたしますような重要なる欠陥を認めなければなりません。たとえば
連座制の
強化、政治資金の規正の合理化、これらにつきましては、全く骨抜きにして
提案がなされております。ことに高級公務員の立候補の制限は、これを無視して、顧みられていないのであります。かくのごとき、
答申案の趣旨を重要な
部分において無視した
政府原案に対しまして、非常な憤りすら感ずるのであります。
申し上げるまでもなく、この法案を
提案されますまでの経過についてでありますが、一昨々年十一月に行なわれました衆議院の
選挙におきまして
買収、
供応といったような悪質な
選挙腐敗の実情が
国民の間から強く非難されまして、その
国民の非難に対しまして政府が
選挙制度に対する改革を余儀なくされましたことは、記憶に新たなところであります。この
世論にこたえまして、政府は
選挙制度審議会設置法案を
提案するに至りましたことも、今さら説明するまでもありません。ことにこの
審議会設置法の第三条に、ことさらに
答申を尊重する
意味のことを
規定いたしておるのは、申し上げるまでもなく、この歴史的な経過に対する政府の反省を
意味するものであったと思うのであります。かかる実情からいたしまして、今回の
政府原案は、
答申を尊重して、——すなわち民主政治の最も重要なことは、たとえそれが政府の諮問機関であったといたしましても、
国民の
意思を直接に問うことの困難な
現状にありましては、こういう制度を尊重するということが、民主政治のあり方として当然といわなければなりません。従いましてその
答申が、結果においてもし
目的に沿わないような場合があり得たといたしましても、それは民主制度のもとにおける当然の帰結として、
日本の
国民全体がその
責任を負うというのが当然であろうと思うのであります。私
どもは立法権を尊重いたしまするとともに、この民主制度のきびしい原則を守るべきであったと思います。この点において
政府原案が、さきに述べましたように、最も重要な
部分をことさらに除き、あるいはこれをざる法にいたしましたことは、こういう
意味においても返す返すも遺憾にたえぬところであります。
さらに、この法案が
提案されまする経過は、さきに述べましたように、政党並びに政府に対する
国民の非難に対する反省の実を表わす
一つの
方法であったと思うのであります。こういう
意味におきまして、この法案が
審議会の
答申に忠実であるということは、政党並びに政府の重要な任務であったと思うのであります。それが、以上申し上げますように、重要
部分でその
答申にそむきましたことを遺憾に思うことはもちろんでありまするが、かてて加えまして、今回
高橋英吉君外四名から
提案されました四項目にわたりまする
修正は、さらにこれを後退せしめる性質のものを多く持っておることを、われわれは
質疑の中で明らかにいたしました。このことをここで繰り返そうとは思いません。このように原案自身が
世論の非難を受けるような
内容であるのに、それを後退せしめるというのでありまするから、論を待たずその不法をなじらざるを得ないのであります。私
どもはこういう
意味におきまして、今回の
自民党高橋英吉君外四名の
提案されました
修正案に対しましては、その撤回を希望いたしたのであります。ことにこの
修正案に対しまして、野党第一党である
日本社会党が
審議を拒否してもその阻止に当たろうといたしましたことについては、われわれはその
方法においては同意するととはできませんけれ
ども、その情熱、その強い主張については、全く同意をせざるを得ないのであります。そして、結果におきましては、貴重なる
審議の時間を空費することについて、まことに残念な状態を展開いたしましたことは、御案内の
通りであります。わが党は微力ではありまするけれ
ども、
国会正常化を要請されておりまする現下におきまして、このように与野党の対立、しかも、以上申し上げましたような民主政治の基礎を確立する重要法案について、かかる状態を一日も早く、寸時もすみやかに解消することの
ために努力をいたして参ったのであります。残念ながら最後のどたんばに至りまして、いささかトラブルを生じたということは、非常に遺憾に思う次第であります。
以上のような次第でありまして、われわれは
社会党の
修正案に対しましては、
質疑で明らかにいたしましたように、多くの欠陥を指摘いたしました。足らざるものや
行き過ぎたものなどについても、意見を開陳して参りました。ここではそのことを省略いたしますが、冒頭にも申し述べましたように、
政府原案、
高橋英吉君外四名の
提案されました
修正案よりは、
答申案に近い
内容のものであるという一点から、
社会党の
修正案に賛成をいたすものであります。以上の理由を、ごく簡単ではありましたけれ
ども申し述べまして、わが党の態度を明らかにいたし、
政府原案、
自民党修正案に
反対をし、
社会党の
修正案に同意をいたし、わが党の意見の大要を申し述べまして、討論を終わりたいと思います。(拍手)