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1962-04-17 第40回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十七日(火曜日)    午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 竹山祐太郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 坂本 泰良君 理事 島上善五郎君    理事 畑   和君       荒舩清十郎君    仮谷 忠男君       薩摩 雄次君    田中 榮一君       中垣 國男君    林   博君       福永 一臣君    太田 一夫君       坪野 米男君    堀  昌雄君       山中日露史君    山花 秀雄君       井堀 繁男君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君         文部事務官         (社会教育局         長)      齋藤  正君         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (選挙局長)  松村 清之君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁刑事局         捜査第二課長) 槇野  勇君         検     事         (刑事局刑事課         長)      羽山 忠弘君         検     事         (刑事局参事         官)      海治 立憲君         文部事務官         (初等中等教育         局中等教育課         長)      西村 勝己君         自治事務官         (選挙局選挙課         長)      中村 啓一君         自治事務官         (選挙局管理課         長)      桜沢東兵衛君     ————————————— 四月十七日  委員小林進君辞任につき、その補欠として坪野  米男君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公職選挙法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇八号)  国会議員選挙等執行経費基準に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第一〇九  号)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法等の一部を改正する法律案及び国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案一括議題といたします。  右両案並びに公職選挙法等の一部を改正する法律案に対する島上善五郎君外二名提出修正案を一括して、質疑を続行いたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。井堀繁男君。
  3. 井堀繁男

    井堀委員 社会党修正案のうちで、高級公務員立候補制限の項についてお尋ねをしてみたいと思うのであります。  審議会答申は、国または公社公団もしくは公庫法律で定める職にあった者は、離職後最初に行なわれる参議院全国区の選挙立候補することを禁ずるように処置することを求めておるのでありますが、政府案は全くこれを見送っております。この点では社会党修正案はこの答申に対してきわめて忠実であります点に対して、まず敬意を表する次第であります。そこで、この答申案精神は、われわれもよく理解ができるのであります。社会党修正案も、この趣旨を全面的に生かすために非常な苦心をされておる点については、われわれも十分了解ができるのでありますが、問題は要するに徹底した弊害の除去をするということに改正の目的があるわけでありますから、この点ではさきの質問者からも明らかにされたようでありますが、要するに、徹底した弊害の排除ということになりますと、高級公務員のほとんど全部が、その程度相違こそあれ、影響力を持つことはいなめないのであるが、さりとて全面的にこれを禁止するということが、はたして合理的であるかどうかという問題に悩みがあるようであります。そこで、この制度の中で最も弊害の多いと思われるものを社会党は六十数職をあげておるようでありますが、まず第一に高級公務員の点にしぼってお尋ねしてみたいと思うのであります。  同じ高級公務員でありましても、そのおのおのの使命が異なるわけでありまして、これは当然でありましょうが、たとえば警察庁検察庁はきわめて強い国家権力を行使し、もしくは指揮監督をするのであります。また防衛庁は、その職務自体政治的にも、また社会的にも及ぼす影響はきわめて大きいのでありまして、こういったような国家防衛というような大義名分のもとに、強力な権力とともに、要するに、偉大な力を行使するきわめて徹底した組織を持っておるのであります。こういう人たちだけの場合を考えてみましても、たとえば防衛庁の場合は事務次官だけに限るとか、警察庁あるいは最高検の場合は次長程度までにしぼることにしておるわけであります。ここら辺については私は問題があると思うのであります。さらに各省の場合にいたしましても、その組織の力を選挙に利用しようという点からだけにしぼって考えてみましても、社会党修正案では、地方支分部局を持つといったようなものに重点が置かれてしぼられておるわけであります。しかしこの点も、その組織をはたして選挙にどう利用するかということについては、私は具体的に全体を当たったわけではありませんけれども、今社会党があげているもの以外にも、むしろもっとそういう影響力を巧みに利用できるポストがあるのでございます。さらに私は、社会党制限を加えようといたしましたものの中で、重要なものを見落としておるのではないかと思いまするのは、たとえば国から交付金とか補助金助成金を受けている地方公共団体や公法人、会社などは、この修正案の上では明文になっておらないのですけれども、実質的にはかなり強い金銭的なあるいは物質的な支配力というものが、選挙の場合には大きく利用される危険性がある。こういうようにあげてみますると、高級公務員全体の中からどれを選び出すかということについては、なかなか問題がある。そこで私は今の場合に法律でこれこれの職種を規定するということは、措置としてはきわめて明確になると思うけれども、以上言ったような点について多くの不合理や、捕捉を全く免がれるような欠陥が生ずる。だからこの点をどうして補完するかということについて、実はお尋ねしようと思うわけであります。結論はそこにしぼってお尋ねをしていくわけでありますから、その前段として、以上述べたような高級公務員のしぼり方についてもう少し工夫を要すべきではないかという点を順次聞いて、今の結論に入っていきたいと思います。私のお尋ねする前提を明らかにいたしました。  そこでまず第一に、この間の参考人の公述の中でも、防衛庁幕僚長の問題がたまたま出てきました。政党としては最も当選確実の可能性立候補の場合に条件にすることは、半面またやむを得ぬかと思うのです。こういう点で、さっき言いましたような権力組織の中でも、民主主義の最も警戒をする警察権力検察権力あるいは国防上の権力というものは、権力の中でも最も危険なものである。それが政治の中に多少でも作用するということになると、民主主義の崩壊を招くような危険すらあると思う。そのために公安委員会のような制度を設けて、警察権力政治権力をはっきり隔離するような措置をとっておるくらいです。この点に対しては、私は高級公務員の中でももっと明確にしなければならぬものだと思うのです。そういうものを、高級公務員一本にしぼってやっているところに無理があるのではないか。こういう点についていろいろ苦心過程においてああもしたい、こうもしたいということがあったと思うのですが、こういうわけでできなかったという事情等がありますれば、一つ伺っておきたいと思います。
  4. 島上善五郎

    島上議員 お話ごもっともな点もありまするし、私どももこれをしぼるには非常に研究し、苦心したところであります。ただ、こういったふうにあげること自体にいろいろ議論もあるようでございますから、私どもとしては、あげるに際してはなるべく広範囲にわたらないように——影響力のある部局が他にもありますことは、私どもも承知しております。ほとんど五十歩百歩ではないかという御議論もあろうかと思います。しかし今申しましたように、極力しぼろう、いわゆる特定地位特定機関特定の線、こういうふうにしぼりますれば、憲法に抵触するという論議もなかろうと信じまして、特定地位ということについて今申しましたように極力しぼろう、なるべく広範囲にわたらぬようにしよう、そういう見地、そういう前提に立って、五十歩百歩と思われるようなところもありましたけれども、たとえば今お話がありましたように、地方支分部局を持たないで、直接の指揮命令系統でなくても、少なくとも影響力を持っておるところがありますけれども、第一段としましては、この要綱の(イ)の項にありますように、全国的に地方支分部局を持って、その機構を通じて強い影響力を持っているところという観点から、こういうふうにしぼったわけであります。地方支分部局を持たないでも、今のお話のように、交付金等関係で強い影響力を持っているところがあるますけれども、一応今申しました建前からこれをはずしたわけであります。それから防衛庁警察庁及び検察庁が強い権力を持ち、一歩誤りますれば民主主義土台そのものを危殆に陥れる危険のある役所であることも、よく承知しております。ですから、これについてはもう少し広げてはどうかということも、案を作成する過程には考えましたけれども、やはり前段の、ポストを定める際に極力範囲をしぼろう、縮めよう、広範囲にわたらぬようにしようという考えをこの際も一応取り入れまして、こういうふうにごく限られたポストにしぼったわけであります。似通っているポストがあるということは御説の通りで、どうしてもこういうポストをこの中に加えるべきだという強い御意見がありますれば、その際には私ども修正をして若干つけ加えることには、もちろんやぶさかではありませんけれども、ただ、その際にも今申しましたような考えを貫いて、なるべく範囲をあまり広げない、こういう考えで今回は参りたい、こう考えておる次第であります。
  5. 井堀繁男

    井堀委員 次に、同じような関係ですけれども、特に答申の中では公社公団公庫に限定して答申しておるようであります。これは私どもも、今は過渡期であると思っておりますが、事業団のようなものが公庫公団とどれだけ相違があるかの点について、他の委員会などで検討をしておるわけであります。公団事業団というものの相違を、いろいろな団体を通じてあげてみますと、公団の場合は総裁と呼ぶものを、事業団では理事長というような、その長の呼称に相違がある程度であって、実質的には事業団公団も遜色はない。むしろこういう禁止事項対象になる場合には、事業団にはるかにウエートの高いものすらあると思われる。これは答申に出てなかったから、そういうものを対象にしなかったというのであるか、あるいは、そういうものも検討したが、そういうものはこの際該当させないということにおきめになったのか、そこの辺のいきさつもあると思う。これは高級公務員と違いまして、今後いろいろな意味において、政府出資金もしくは政府委託を受けてこういう種々の活動をやる団体ですから、この点は私はむしろ今後の問題になるのではないかというくらいに思っております。あなたの方であげておるのは三公社、それに公団は道路と住宅公団、二つあげておりますが、公団はたくさんあります。それから公庫の場合は、国民金融公庫、住宅金融公庫農林漁業金融公庫中小企業金融公庫に限定してあります。公庫もかなりあって、一つ一つあげてお尋ねすると明らかになると思うが、私はもっとその対象にのぼせなければならぬ公庫があると思う。特に事業団なんか。こういう点に対してどの程度の御検討をなさったのか、この機会にちょっとお尋ねをしたい。
  6. 島上善五郎

    島上議員 今回の立候補制限につきましては、参議院全国区のみに限定したというところは、私は議論のあるところだと思うのです。制限することが必要であるということになりますれば、参議院地方区あるいは衆議院、やがては地方議員にまで少なくとも検討を進めなければ、一貫性がない。そういう点では私どももそう思っております。従いまして、今後の課題としてこれらは検討したいと私ども考えております。この答申にもありますように、今回は参議院選挙を目の前にして、参議院全国区に限る。審議会答申考えも、自余の問題は今後検討を進める、こういう考えのようですから、全国区に限ったということ。従いまして、公団及び公庫を選定する際に、やはり全国的な強い影響力を持っているもの、そういう見地から、局部的、地方的にはもっと影響力を持つ、あるいは弊害を持つと思われるものもありますけれども、それらは参議院全国区という対象から考えて今回は、検討はいたしましたけれども、はずした理由はそこにあるのであります。
  7. 井堀繁男

    井堀委員 私ども考えは、むやみやたらと制限を拡大することには必ずしも賛成するものじゃありません。そういう公の地位あるいは組織権力選挙活動のために悪用されないようにするための、最小限度のものであってほしいことは全く同感であります。ただこの場合、参議院全国区に限っておりますけれども、今御答弁の中にありましたように、参議院全国区だけに著しく弊害が現われたので、まずこれをしぼる。その弊害がまた他の衆議院あるいは地方議員選挙あるいは地方の首長などの選挙の場合にも、これに劣らないような弊害が出てくれば、当然今回の立法はそういうものを誘導する性格を持ってくると思うのであります。でありますから、そういうものを見通してかからなければならぬ事柄一つだと思うわけであります。  そこで、今までの質疑応答で明らかになっておりまするように、一体どの範囲に限定するかという線を、どこで認定するかであります。今日の場合、立法府権限に属するのでありますから、立法権を持つ国会国民委託を受けてきめることが当然であると思うわけであります。しかし、その立法府においても、保守あるいは革新といったような政策性格を異にして論議をするものではなくて、立法府としては共同責任の上に立って判断のできることだと思う。でありますから、その特定地位も、抽象的には幅があっても、一つの線は出てくると思うのであります。今、質疑応答の中で明らかになったように、もしそれを一部の団体政党議員の個人の主観に基づいてやるということになれば、結果がいかに正しくあっても許せぬことだと思うのであります。やはりこれは、抽象的にいいますと、主権者である国民意思によって決定すべき重大な事柄だと思うわけであります。そういう点からいいますと、今回の修正案は、立法府責任において踏み切ろうということに限定しておるそうであります。この点で、実は私どもの党としては一つの見解を持っておるわけであります。そこでこういう認定を、あらかじめ選挙の際にわれわれが国民に公約した事柄でありまするならば、多少幅があってもいいと思いますけれども、今回のような経過から見ましても、政府も特別の法律を作って、国民の大部分を代表するというふうに見ておるかしれませんし、あるいは一部になるかもしれませんが、とにかく審議会のようなものを設けてこれに諮問したということは、民意を尊重しようとする一つの行き方をとっておるわけであります。でありますから、その答申が無条件に受け入れられるような状態であれば、これは多少あやまちがあっても許されると思うのであります。今までの論議でも明らかなように、政府案はこれを逃げておる。これは不都合だと思うのであります。当然の責任を放棄した非難をまぬがれぬと思っておるのであります。そこを社会党がとってかわって修正をされたという努力に対しては、全く敬意を表するのでありますけれども、これも今の議論で明らかになりましたように、まあこの辺という大まかな線を引いたということになりはせぬか。これはやはり今言った意味で、立法府としては重大な責任を負うわけであります。でありますから、形をどう整えたらいいかということについては、法制局専門家意見も聞かなければならぬことかと思いますが、常識的にわれわれ判断いたしますならば、こういう特定地位の限界を認定するという場合には、一応広く国民意思を問うような方法を、この際むずかしくても工夫しなきゃならぬ問題ではないか。それだけに値する重大な事柄だと思うのであります。これは先ほど来の質疑応答で十分だと思うわけであります。というのは、一つには、それを誤りますことは、たびたび議論になっておりまするように、憲法で規定されておる基本人権にも影響してくることでもありましょうし、それから民主政治議会政治に重大な汚点を残すようなことにもなるのでありますから、こういうような問題については、やはり結果がまずくてもよくても、国民の総意をどういうように集約していくかというような手続だけは、法律の中で規定すべきではないか。それはどういう方法が望ましいかということについては、問題がいろいろあると思う。しろうと考えですけれども、やはりその意思を聞くための措置というものをこの中に当然必要とするのではないか。総選挙の際に、最高裁判所の判事に対する国民投票を求めておるのでありますが、こっけいに近いようだと言う人もおるようでありますし、非常に迷惑だという声も聞かぬわけではございません。しかし私は、あの制度それ自身は、裁判というものが人民の名において行なわれるという筋を通そうとするところに、大切なところがあると思うのです。あまり適当な例でなかったのでありますけれども、そういう一例を見ても、こういう種類のものは、一応立法権権限内でわれわれが一つ一つ定めても、最後はやはり国民投票に問うような道を開いておくべき筋のものではないかと思います。この点について御検討なさっておるかどうか、いかがですか。
  8. 畑和

    畑議員 今の井堀委員質問趣旨はわかりました。しかしそれをどう法律で規定するかというような問題は、なかなかむずかしい。単にこの問題だけではない。これに類似した広範な案件の場合に適用される議論だと思います。確かにそういうことは必要でありますけれども、それを規定するやり方がなかなかむずかしいのではないか、まだそれを実は考えてみたことはないのです。今あなたに害われて初めて、なるほどそういう考えがあるということはわかりましたけれども、しかしそれをどう法律で規定するか、どういうやり方でやるかということになりますと、なかなか大きな問題になりまして、単に選挙法改正の問題ではなくて、これに類似した全般に適応する考え方だ、かように考えております。従って、その趣旨はわかりましたけれども、そういう考えでやるべきだということはわかりましたけれども、その方法を、実は正直な話、考えたことはない。同時に、考えるとしても、なかなかむずかしい問題だ、かように考えております。
  9. 井堀繁男

    井堀委員 私これは全くずぶのしろうとで、どういう方法法律の中へ規定したらいいか、まだはっきりしたものを持っておるわけではありませんので、あとでわれわれもう少し検討してみることにして保留しておいてもいいのですが、そうむずかしく考えなくてもできるのではないかと思います。  もう一つは、御存じのようにここで六十四、五のものを規定しましても、一回選挙をやってみると、それよりももっと弊害のひどいものが出てくるかもしれぬ。それからこれは固定しないから、たとえばここにあります各省部局にしましても今の状態ではこれだけを制限しておけばいいのかもしれない、しかし政府政策が大きく変わったり、あるいは国の経済がはなはだしく変化を遂げるような場合には、削られなければならぬ、落とさなければならぬものが出てくると思う。さっきのあなた方の、できるだけ狭くしていこうという趣旨からいえば、そういう場合は、人権を制約するようなものは減らしていくということになると、大幅にずっと削らなければならぬ。それからまた、新たにふやしていかなければならぬ。これは、あなた方が検討している以後に出たものかもしれませんけれども防衛庁幕僚長立候補するなんということがあるようであります。そういうように、事態は必ずしも定差していない。そういうものを法律できめるということになると、これは時限立法でもありませんしいたしますから、どうしてもそこに、立法技術の上からも、たとえば三年に一回ずつ改選が行なわれる参議院全国区ということだけに限定して考えるならば、三年の間に一定の時点をとらえて確定すれば、ここの場合は弊害はない。そういうふうに限定することもできるし、そのたびに法律を変えていくということも一つやり方かもしれません。そういうことでやるとするならば、これは三年に一回ずつ国会検討してきめるというようなことにすることも、一つ方法でありましょう。しかしさっき申しましたように、立法府だけでは責任の負えないものだとするならば、そういう場合はやはり、その結果を参議院全国区の場合だけで投票に問うということは、そうむずかしいことではないように思うのであります。そうしてわれわれの行為を国民意思によって決定づけていくというような道も、そうむずかしいことではないのではないかと思うわけであります。私は、これにはぜひそういう配慮を加えて、ぜひ答申案を生かしていくべきである、政府のようにああでもない、こうでもないというようなことをいって態度をあいまいにすることは、先ほど来言っておりますように、——われわれは今回の審議会というものを単なる政府諮問機関というふうに理解したくないのであります。それは諮問機関でありますけれども、こういう国の政治基本を左右するような選挙法、ことに大きな改正を行なう場合に、国民意思をできるだけ大幅に尊重していこうという意図のもとに出た審議会であります。それでこそ法律に、答申を尊重するということを義務づけておるわけでありましょう。そういう点で、答申案の中でも最も重視しておりまするこういうものを規定しないということは私は許されぬと思うので、ぜひ一つどういう形かで、高級公務員、これに類する者の立候補制限は、参議院全国区に限ってでもやってみるべきではないか。その結果悪ければまた批判されるので、その場合にはわれわれも批判されるが、同時に審議会のような制度に対しても、あるいは審議会共同責任をとっていくという、要するに民主主義のルールを前進させていくということがきわめて大切だと思います。私はこの部分的な改正よりも、そういう精神が大切だと思いますので、ぜひ一つこれは実現させてほしい。そのためには政府のたびたび言っておるような、そういう弁解は許されない。それから社会党修正の際に苦心をされた、最も困難な部分改正しようと苦心されたことがあるのではないか、こう思ってお尋ねしたわけであります。私もまだこの問題について法制局と話し合ったこともありませんので、また適当な時期を見て法制局の方の意見を求めてみたいと思っております。これは保留して次に進みたいと思います。  次に連座制の強化の問題でございますが、これも第一と同じような意味において、政府が重大な責任を回避しておる点だと私は思うのであります。答申案は、総括主宰者出納責任者、これは従来もありまするが、さらに、相当広範囲にわたる運動を主宰した者、これはやや抽象的で非常に問題があると思いますが、次に、事実上出納責任者職務を行なった者、それから今問題になっておりまする、候補者の父母、配偶者、子、兄弟姉妹政府案は全く、どういうつもりでおるか知りませんけれども質問するのにもわれわれは恥かしいように思われる。故意に答申案をのがれたのであるとしか思われませんが、こういう法律は便宜政府が提案をしたというふうに軽く考えるわけにはいかぬのであります。やはり一応答申案を盛り込んで提案すべきものである。大切な部分でありますから、こういう点について社会党修正案がかなり答申案に忠実で、その精神を尊重することに努められている点については、前同様全く敬意を表しておるところであります。そこでこの点について島上君は、提案趣旨説明の際に、世論は厳格に過ぎるのではないかという、しかし今日の選挙の腐敗の現状にかんがみて、きびしきに失することもまたやむを得ぬというような、答申案精神と同じようなことを述べられた、これは大切なことだと思う。われわれもたびたび繰り返して言っておりますように、こういう連座制のような制裁を強化していくということは、選ばれてくるわれわれにとっては不面目なことです。国民も必ずしもこういうことを好むものではないと思うのであります。しかし必要なる悪といいますか、今日の腐敗した選挙を何とか積極的に打開しようとすれば、制裁もまたやむを得ぬという点に意見の集約があるわけであります。こういう点に立ってでありますが、そこでよろめいてはいかぬ。こういう制裁を強化することは必要悪だと踏み切ったら、徹底せぬといかぬ。中途半端なやり方はこういう場合は最もよくないことだと私ども考えておる。そういう意味で実はお尋ねをするわけであります。  そこで、皆さん選挙の実戦経験の深い方ばかりでありますから、多くを述べなくてもいいと思いますが、総括主宰者出納責任者、これは把握するのに困難はありません。しかし、相当広範囲にわたり選挙運動を主宰した者とか、あるいは、事実上出納責任者と同じような職務を行なった者ということになりますと、これもすぐそれが連座につながるわけでありますので、その事実をどうして把握するかということは、この際われわれは十分検討しなければならぬと思うのです。届出の制度でもあって、出納責任者総括主宰者と同じように、これはこのくらいの範囲の仕事をやらせる、これはこのくらいの範囲をやらせるということがあらかじめ何かで規定されて公然となっておれば、これはいいと思う。しかし相当とか広範囲とかいう、社会通念であろうと思いますけれども、こういうようなものは、どこまでが一体その業務を行なった者か、これは数字に表現することが全く至難な事柄だと思うのです。でありますから、ある警察は、そういう事犯を事前に防止するために、選挙管理委員会などと協力して、そういうことをやらぬように警戒をするという行き方もあるかもしれません。しかしあまりやると選挙干渉になるから、実際的にはそういうことはやらぬだろう。また、やれない。そうすると、結果を見てということになると、結局捜査ですけれども、これはほかのものと違って、歩いた跡が残っておればいいのでありますけれども、おそらくどこまで歩いたということによって運動をやったと言うわけにはいかぬし、法定額のこれだけの金額の何十%やったからどうというようなことも言えないでしょう。事務員が金の勘定を全部やる場合もあるでしょう。出納の中だって、全く事務的な金銭の出納をやる場合と、それから選挙運動の参謀の一人として、金銭は扱わぬけれども、その意思はやはり選挙戦術の上に重要な影響を持つというような場合がある。その事実をどうして認定し、把握するかということです。この点については、社会党さんの方にも、いろいろ研究されたと思いますから、伺い、さらに、きょうは直接そういうお仕事にこれからタッチしていただく当局の人の専門的な見解も尋ねておきたい。他のことと違いまして、議員地位に関する決定的な問題になるわけであります。従来と違ってくると思います。それだからといって、こういうものを中途半端にするということは絶対にいけない。踏み切った以上は徹底してやる、そのかわりに、細大漏らさず表に浮き出すような捜査が可能な道もやはり考えていく。この前から話が出ておった、運が悪かったというような、そんなべらぼうな事柄は許されることではない。この点は一つ十分検討をいただきたいと思います。まず、社会党の方で、その点についてどういうところまでやっておるか、それはまかせるというのかどうか、この点もありましょうが、一つ正直なところを話して下さい。
  10. 畑和

    畑議員 御答弁申し上げます。  ただいま御質問の項目は、政府案を私どもの方はそう直しておりません。従ってあとで、詳しくずっと専門的にやっていらっしゃる自治省の方から答弁があると存じますが、われわれとしても、修正案の中にはその項目は使ってないけれども、一応出してある関係上、確かに井堀委員の言われましたように、この点は明確には捕捉しがたい欠点があるわけです。一体総括主宰者ということ自体、実は相当裁判のときなんか問題になるわけであります。総括主宰者として届け出るわけではありませんから、従って総括主宰したかどうかということ自体が、非常に大きな問題に、刑事裁判のときには事実なっております。それから出納責任者ですが、出納責任者の方は一応届出をいたします。ですからこれはいいですけれども、ただ事実上出納の相当大きな部分を占めたとか、出納責任者の名前は別の人になっておるけれども、実際にはほとんど出納責任者と同じ仕事をしておるというような人は、やはりはまると思います。それを捕捉しなければならぬ。そこで今度の規定では、そういった人ののがれることを防止するためにカッコをいたしまして、結局「告示された額の二分の一以上に相当する額を支出した者を含む。」ということにしておりまして、それも含まれるから、相当出納関係について重要な役割をした人は、これによって捕捉される。しかし、幾ら金を使ったかということははなはだむずかしい問題で、実際に捜査の段階において、その事実上の出納責任者あるいはその補助者が法定選挙費用の二分の一以上のものを使ったという証明がつかなければ、その条項に当てはまらぬということになるわけでありますけれども、しかし今度は、今までの現行法に比べて、その点若干の進歩をいたしておるわけであります。確かに井堀委員のおっしゃる通り、明確な捕捉の仕方ということは、なかなかむずかしいことであるわけであります。われわれ社会党としても、そういう点も一応検討いたしまして、この項目については政府案でよろしい、また答申案の線にもこの点は沿っておるという考えで、政府案と同じようにしたわけでございます。
  11. 井堀繁男

    井堀委員 警察庁槇野捜査第二課長がおられますので、専門家ですから、ちょっとこの問題についてお伺いしてみたいと思います。  今の質疑応答を聞いていただいたと思うのですが、この答申案も、また政府の原案も、社会党修正案も、連座制を強化しようという点については、程度の差はありますが、その方向はやはり強化の方向へ向いていることは明らかであります。われわれも望ましいことだと思っております。むしろこの際連座制を強化することによって——イギリスの場合多少違いますけれども、私はイギリスの公明選挙への転換の一つの機会を与えた大きな働きをしたものは、やはりこの連座制の強化にあったと思う。だから、これはぜひやりたいと思っております。しかしそれをやるために一番大切なことは、候補者自身が、失格になるのでありますから絶対にそういうことをやってはいかぬという、そう効果がてきめんに上がるものなら、これはちっとも心配しません。しかしそういうように手のひらを返すようには、外国の例を見てもなっておりません。何回かの選挙の間に非常な成果を上げたのです。今度の場合は、この政府の原案が通ったのでは非常にぬるいですから、私の考えで言えば一番悪い姿になる。なぜかというと、連座制を少し強化してきたのですから。しかし失格することは前よりはもっと強化されてくるわけです。しかし実態は、この法律の中でもありまするように、はっきり出納責任者のように届出の義務をつけているようなものは、その人を見ればいいのです。けれども、相当のと思われるとかというような認定は、結局捜査当事者がそういうある程度のめがねを持つわけです。法律自身そういうものです。だからその人が近視か遠視かによって、物理的に違ってくるわけです。しかし、人間ですからそういうものがありません。これは広範にやっただろうと思うということでねらいをつけて捜査をするとか、そういうけじめがこの際不明確なんです。だから、その判断が前提になって捜査活動というものが進められてくるのではないかと思う。最初から浮かび上がっているものをつかむのと違うわけであります。あるいは、捜査の途中において打ち切ったり進めたり、変化を生じてくることもあるでしょう。それが直ちに候補者の身分に及ぶような問題でありますから、なるべくそういうあぶないものには触れぬようにしようということになってくると、よほど露骨な現象が出てきたものだけになってしまって、実効が上がらなくなってしまう。たまたま何かの関係でそういうものが浮かび上がってきたのでひっかけたということになると、運の悪いやつがひっかかるということになる。これは実際上私は、この政府案が通ったとしても、社会党修正案が通ったとしても、のがれることのできない一つの大きな事実問題になってくると思う。だから従来捜査に直接の経験をお持ちになっておりまする課長の見解を、この点で伺っておいて審議の参考にしたいと思います。今のところこれからの問題ですが、要するに過去の経験を通して、そういう意味一ついいお答えを聞きたいものです。
  12. 槇野勇

    槇野説明員 途中から参りまして、十分御質問のあれがわからなかった点もあるのでありますが、ただいまの御質問は、捜査上、連座に該当するような事実をどういうふうにとらえるかというような御質問のようでございますけれども、われわれといたしましては、ここに連座の対象になるような総括主宰者なり、あるいは数個に分けられた地域主宰者あるいは父母、配偶者、兄弟、子供、こういう者について、直接連座と申しますよりも、買収あるいは利害誘導で加重規定がございますので、こういう加重規定の適用につきまして、はたして、地域の主宰者であるかどうかというふうな認定の問題が出て参るわけでございます。その場合に、この法律によって判断することになろうと思いますが、あくまでもこの条文の解釈上、客観的に把握できるものについてのみわれわれは捜査を進めることができるわけでございますので、各条文によって判断していく以外に方法はなかろうと思います。
  13. 井堀繁男

    井堀委員 それは伺わなくともわかるわけです。私が伺いたいのは、これは他の事犯と違いまして、いろいろなケースがあると思うんです。今あなたは親族の問題まで出しましたけれども、親族はわかりますよ。親、兄弟、親族、縁者は戸籍謄本を見ればすぐわかります。そんなものはすぐわかる。ここに言っているのは、その前の、相当広範囲にわたって選挙運動を主宰した者。私は、主宰というのは一人でいいんじゃないかと思うんですけれどもね。それから、事実上出納責任者職務を行なった者。職務ということになると幅があると思うんですね。そういう者が、先ほど言うように、悪質事犯を起こした場合に問題になるわけですね。またそれをしなければ、親兄弟などと違いまして、総括責任者と出納責任者だけを届け出して、この人はきめておく、それをロボットにしておいて、実質上やらなかったならば、何もならない。しかし、これはどうしてもやらなければならぬ。どうしてもこれは逃げるわけにはいかぬのです。だからこれをどうしてわれわれが把握するだろうかということがはっきりのみ込めませんと、この法律は何のためにできたかわからぬことになってしまう。あなた方はできた法律でやればいいわけでしょうけれども、今われわれはその法律を作るために苦しんでいるので実はお尋ねするのです。だから、決してあなた方の責任をどうこう言うのではありません。専門家として、実際こういう場合はどうなるだろうかということがお聞きしたいところなんです。ですから、もちろんこれは買収とか供応とか、悪質事犯があったのに限るにきまっておりますけれども、今までの実際からいいまして、私が伺いたいのは、最初から買収の現場をつかまえたり、供応の現場をつかまえて検挙したという例はほとんどないんじゃないですか。私ども調査してみますと、最初は個別訪問を検挙してみて、あるいは供応になるかならぬかわからぬけれども疑わしいと思うようなものをあげて調べている間に、法律の規定している供応になったり買収になったりするという経過から事犯が浮かび上がったということを、方々のわれわれの実態調査の中で聞いておるわけですね。そうするよりしようがない。何もわかるはずがないわけですね。選挙はほかの犯罪と違いまして、いずれ候補者になる人あるいは選挙の主宰者になる人、参謀になるくらいの人は、選挙法をちゃんと研究しまして、ある程度の知識を持っている人たちによって行なわれるわけでありますから、違反になるということがわかっていてやるようなばかな人はない。巧妙に、紙一重のところまでやるというのが従来の傾向ですからね。それを把握していくんですからね。非常に無理なことを注文しておるので、それを今度はまたさらに困難が一つ加わってくる。これは問題の焦点になる。ですから、できたものをあなた方はおやりになる、あとのことはとにかくとして、それが生まれるかどうかという悩みを続けているときに、実はあなた方の経験を参考にしたいと思いますが、いかがですか。そう固くならないで一つ経験をわれわれになまでお聞かせをいただきたいという意味お尋ねしておるわけです。  そこで、最初から網を張っていて、そこへ来るのをつかまえるというのなら、これはある程度できると思います。しかしそれにしても、それが総括責任者に該当する、あるいはそれに類似する人、あるいは出納責任者の業務を行なうような人であるかどうかということは、最初に知っておかなければいかぬということです。それを知らなければいかぬ。父母、兄弟の場合、それを知らないで、戸籍を調べないで、ただ親子だろうとか、親類だろうとか、兄弟だろうとかいうような断定でやるわけにはいかぬでしょう。これは把握に困難だと思いますが、それがあなた方の仕事の中に一つ加わってくると思うのです。実際やれますかどうかということも非常に疑っておるのです。調べてみた結果、結論が出てくることはあろうと思う。しかしそれは私は、この法律の実効を上げる意味においては意味がないと思う。そして先ほど来繰り返しておるように、たまたま見つかった者は運が悪い、そういう者がたくさんあったにもかかわらず、そういう者が捜査の線上に上ってこないというのであるならば、これを立法者の責任になってくると思う。だから、それが可能だということなら法律を作ってもいいが、最初からその辺に非常な困難があることを知りながら作るのは、私はよくないと思うのです。それで今お尋ねをしているのです。
  14. 槇野勇

    槇野説明員 従来からも総括主宰者というものの認定については、おっしゃるような問題があるわけでございます。われわれといたしましては、たとえば買収事犯でありますと、買収事犯としての構成要件の資料をまず集めて、買収罪としての捜査を遂げまして、その後においてその被疑者が総括主宰の地位にあるかどうかということを——初めからある程度わかる場合もございましょうけれども、それと同時に、あわせて諸般のいろいろな資料を収集して認定することになるのが通例でございます。従いましてあとの、数個に分けられた地域主宰者についても、同様な状況があるわけでございます。
  15. 井堀繁男

    井堀委員 あるわけだというのですが、それは、事実はだれが見てもそう違わないと思うのです。総括主宰者とか出納責任者はわかるのです。だけれども、相当広範囲というのはどこにも規定がないのですよ。だからこういう答申精神法律の中で生かしてこなければ、政府案は全くざる法になると私が言っておるのは、こういうところに問題があるわけです。最初から出納責任者とかあるいは総括責任者とかあるいは親族というものがきまっておるならいいですよ。こういうものだけやるというのならいいですよ。だけれども最初からここで審議しているのは、答申案に対してわれわれはどうあるべきかということが第一に問題になっておる。既存の法律を言っておるわけじゃないのです。これからそういうものを入れるとすればどういうことになるかということが問題になって伺ったわけですから、誤解せぬように。この答申案の中にありますように二、三項にあげておるようなものは、要するにこれは連座制を強化するからにはそこまで徹底しなければいかぬというわけで、これはわれわれ毛その通りだと思う。それを法律の中に生かしてきた場合に、実際捜査の上でどうなるかということを聞いておるわけですから、何もほかのことをお考えにならないで、あなた方の経験の中で、そういう場合はこうだということを言っていただきたいということでお尋ねをしておるのです。何かあなたの発言から責任を生ずるようなことを引き出してどうこうという考えは毛頭ありません。ただこの答申案に忠実でありたいという考え方から、これを法律の中に入れたらどうなるかということを心配して、実は聞いておるのです。けれども今あなたのお話では、そういうことは一向気にせぬでもいいように聞こえるので、それならそれでいいのですよ。しかし、ちょっと不安ですから聞いたわけなんです。こういう条項が入っても、出納責任者あるいは総括責任者と同列に捜査を要する場合に、何も困難がないとおっしゃるなら、それは一つの見解だと思う。それはどっちでもいいんですよ。けれども、いろいろなことを前提にしてお答えいただくと、私の質問が徹底しないわけです。これは別に政府にもお伺いいたしますし、社会党にもこれからお尋ねをするわけです。そのために参考に伺っておるわけです。
  16. 槇野勇

    槇野説明員 ただいま申し上げました通り、総括主宰者の場合には、現行法においても届出制でございませんので、認定行為が伴います。また今度の新しい改正案におきましても、地域主宰者の場合、「数箇に分けられた選挙区の地域のうち一又は二以上の地域における選挙運動を主宰すべき者として公職の候補者又は第一号に掲げる者から定められ、」、こういうふうに規定しておりますので、まずやはり、買収罪でありますと買収の捜査を遂げてから、総括主宰者かどうかということの捜査をしなければならぬので、買収罪にプラスそういう活動が必要である、特にこの地域主宰者につきましては、数個に分けられたというのはどういう状態をもって数個に分けられたのか、それから、候補者その他から定められたというのはどういう状態をもって定められたのかということについて、こちらで十分に調査を遂げませんとこの規定が動きませんので、そういう仕事がさらに加わるということは事実でございます。
  17. 井堀繁男

    井堀委員 そこで社会党お尋ねするわけですが、答申案に忠実であろうということになりますと、答申案精神は、言うまでもなく、連座制を強化して、それが厳正公平に適法化して実効が上がることを願っておるわけです。その点は私は正しいと思う。そうしなければ連座制を強化しても、効果を上げる場合にも、その弊害の方が先に強く出てくるという危険性があるわけです。しかし僕は答申精神を今言うのはあれですけれども、そこで捜査の経験者の意見を今聞いたわけなんです。答申案に忠実だということが社会党修正の一番の眼目ですから、連座制を強化する場合には、今言うように、親族の問題はあとでお尋ねしますけれども、総括責任者とか出納責任者とかいう限定をした者だけつかんだのでは、これは悪く言えば、そういうものを二人あげておいて、だれが見てもわかるようにしておいて、実際それに同じような行為を他の者にやらせた場合には、何にもならなくなる。それは要するに連座の対象にする、そういう悪質犯は対象にするということでなければ、実効が上がらぬのじゃないかということが答申案精神にはあるわけです。この辺は社会党はどういうふうにお考えですか。
  18. 畑和

    畑議員 とにかく連座制を強化して選挙界の腐敗をとりあえず粛正していこう、こういう大精神ですから、従ってそのために連座をする人の行為が公職の候補者の当選に影響する、そういった人をまずきめなければならぬのであります。徹底した議論からいいますと、全選挙運動者を登録させて、それを全部、買収行為を起こしたら当選人に影響させるようにすべきだという議論もございます。これは現にこの間、公述人の長谷部さんもそう言われております。むしろ自分はそういう主張であったと言っておる。しかしわれわれの方としては、そこまでやることもなかなか無理であろうということで、たまたま答申を尊重して政府案の方が作られておりますから、その点はわれわれもいじくらないで、ただ例の親族関係のものだけをいじってあります。それ以外は全部政府案の通りであります。井堀委員の言われるのは、そうきめてもなかなかそれが捕捉できないではないかということだと思うのです。しかしこれは人のやることですから、これ以外には私は方法はないと思うのであります。幾ら捜査が困難であり、また解釈上なかなか困難であるといっても、やはりどこかでそれをやらなければならぬ。どこかでちゃんと規定しなければならぬということになりますと、やはりこうした規定にならざるを得ないのではないか、かように考えるわけです。もしほかに方法がございましたら、一つ井堀さんにお教えいただきたい。
  19. 井堀繁男

    井堀委員 いや、私が言っているのじゃなくて、答申案の中の連座制を強化しよう——これは日本だけじゃありません。これは審議会人たちも、やはりいろいろな例をあげて検討したのだろうと思います。実質的に連座制を強化して宿弊を改めようというからには、ふん切らなければいけないという精神が脈々として流れている。それはきびし過ぎるというかもしれませんけれども、その点、政府案というのは、あっちでも逃げよう、こっちでも逃げようという努力はよく出ている。そこで社会党修正案は、答申案に忠実であるということが、大上段に振りかぶっている一つの主張ですから、特に連座制というものは必要悪というてもやるというからには、徹しなければ、中途半端では、政府案社会党修正案五十歩百歩だということになる。中途半端の場合には、及び腰で出た方がよけいいけないと思う。そういう点で、非常に大切なところだと思って実は伺ったわけです。それで、あなた方すぐ答えていただけないと思いまして、専門家にわざわざ御出席願って、そういう法律ができれば実効が上がるか上がらぬか——上がるという御意見のようです。それならと思って、実は相当用意して伺ったわけです。しかし、修正案には出ていないのはどういう意味かということを知りたかった。政府と同じようにというお気持であれば、何をか言わんやです。それは議論にわたりますけれども、やはりこういうときはふん切る。私は親族縁者の問題よりは、ここだと思うのです。親とか兄弟とか、そういう親族の問題は、これはあとでお尋ねをしますけれども、新しいものだから非常にマスコミも言うておりますけれども、ほんとうの問題は、私はこの二項、三項だと思う。カムフラージュを許さない、峻厳にやる。これは捜査当局もえらいこっちゃと思うけれども、そういう力をかりる場合には、やはり中途半端なことではいけない。ずるいやつが勝って、正直者がばかを見るようなことは、こういうところにもあってはいけない。こういうところには、そういうことは許されぬくらいの峻厳な——それがはっきりすることによって、自粛が行なわれるという大きな効果をねらっておるわけです。とにかく今度の選挙には連座制があるということで、自粛するということになる。効果を上げるということは、これはイギリスの結果というものはそういうところにあると思う。しかも同じ選挙区で二回も立候補を禁止するというわけですから、ただの連座制じゃなしに、実質的に政治的生命を取り上げられるようなところがあるから、これは自粛しようということになって緊張し、自粛は自然に実効を上げるというところにあると思う。僕は審議会答申はそこをねらっておると思う。これは社会党さんも言っておるように、あるいは政府も繰り返し言っておるように、こういう制裁を強化することは望ましくない。われわれもそうだ。しかしやむを得ぬ。ふん切る以上、ここまでやるというところに問題があったのじゃないか。これはまたこれから御相談して修正できるかもしれませんが、そういうときの一つの課題になる。私は中途半端はいかぬと思う。こういうものは、ふん切ったら、痛くてもかゆくてもしようがない。つらくても歯を食いしばってやるということが、特に国会の場合に最も大切なことだと思って、実はお尋ねしたわけです。急所がはっきり出てきましたから、修正のときには一つ御相談しましょう。これは一つ保留をしておきます。  そこで、せっかくお役所も来ておりますから、法務省の刑事課長さんにちょっと伺っておきます。連座制の問題は、今度は候補者の父母、配偶者、子、兄弟姉妹、こういう人たちが新しく加わって入ってくるわけです。これが俗にいう悪質違反を犯した場合、それから——今まで、これは審議会でも議論されておりますように、とかくそういう人たちによって選挙界が毒されたという事例を強調されておる。僕はそれはよくわかる。これは日本の家族制のいいところであり、また欠点でもある。将来はだんだん変わっていくかもしれませんが、まだ何といっても孝行という美徳は、親子の間での切り離しがたい道徳基準になっておる。要するに長い日本の伝統がある。そういう関係で、親族というものが陥りやすい最も弱い点をこの際切開手術をやろうというのですから、私は一つの前進だと思う。そういう趣旨には私ども大賛成です。ところが、そういう者が悪質違反になったかならぬかということは、最初からわかっちゃいないのですからね。これから選挙取り締まりの方針やなんか指示される場合に、そういうものをマークしていくことは間違いないですね。注意して見ていなければ、あとからでき上がったものだけではいかぬと思う。今まではあいまいだったけれども、今度はちゃんと特定なものになりましたね。候補者の親、兄弟、こういうものに限られている。政府案は同居と書いてありますから、これはちょっと範囲が狭くなるでしょう。範囲が狭いか広いかの違いです、社会党案と政府案は。同じことだと思う。同居家族が多ければ、選挙前にみんな分散させるかどうか知らぬが、そういうことは別にして、とにかくはっきりしている。それだけはマークしていかなければならぬ。一体、こういう法律ができ上がりますと、これは法務省としては、今後の刑事行政の上で新しい一つの課題であります。そういう者をマークするというようなことについて、弊害はないものでしょうか。また、そういうものを適当にやるような方法等を、何か工夫されてないでしょうか。
  20. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 御質問の、マークするという点がよくのみ込めないのでございますが、選挙違反に限りませんで、すべて犯罪捜査と申しますものは、意外な端緒から始まるものでございまして、あらかじめ計画を立てるとかいうことはなかなかできにくいのでございます。この法律ができたから、選挙違反の親族をあらかじめマークするというようなことはないと考えられます。
  21. 井堀繁男

    井堀委員 けしからぬことを言うと思う。この法律ができたら、出納責任者とか総括主宰者というようなものは、あらかじめはっきり見ていなければいかぬと思う。事犯が起こったときだけ、出納責任者を呼ばわったり、あるいは総括責任者が問題になったりするものじゃありませんよ。それはやり方が悪ければ、選挙干渉になる。要するに、そういうことをマークするということは、あらかじめ知っておることでしょう。だから何か事犯が起こってきて——選挙事犯がなければ、そのものがなくて済むかもしれませんが、あるかないかということは、そこでまた問題が出てくるわけです。捜査の問題をちょっと伺ったのであるけれども、では、あなた、そういう買収とか饗応というものは、どうして一体あがってくるのですか、事実問題をちょっと聞いてみたい。あなた方にしても、事実に対してある程度の知識がなければ指揮監督ができない。だから、今度の場合親族というものは——候補者が出たら、あの人には同居家族が何人おるかということで、最初からその人に違反がある、この人には違反がないということはわかりっこないでしょう。だからちょっと聞きたいことは、そこで二つに分かれるわけです。あなたの方で、選挙事犯に対しては事前に何らの準備もなくて、選挙が終わった結果においてやるというならいいですよ。だけれども、そうじゃないでしょう。いつもあなたは選挙が始まる前にいろいろな会議を開いて、あらかじめ選挙の取り締まりについて指示を出すということが今までの慣例じゃないですか。そういうことをおやりにならないで、結果だけ見て、あるかないか知らないけれども、ノー・タッチで、済んでからということなら、公式的に、表向きそういう買収供応という悪質事犯が起こったときに問題になるわけですから。あったかなかったかということは、一般ならばいいですよ。取り締まり当局というものは、一体どうしてそういう事実を把握するのでしょう。あなた方の目の前で買収をやったり供応をやればなんでしょうけれども、これは出てくるのを待っているのですか。そのことをちょっと伺っておきたい。
  22. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 ほとんど現行犯のようにして検挙する事例もございます。たとえば戸別訪問のごときは、そういう事例があるのでございます。それから、そういうようなことの取り調べから派生いたしまして、たとえば住居等を捜索するというようなことから、金銭の手控えというようなものを発見いたしまして、やがてその金がどこからきたかということからたどりますと、それが結局は候補者につながる、あるいは出納責任者につながる、あるいは親兄弟につながる。この法律ができましたら、そういうことになるのではなかろうかと思うわけでございまして、最初からそういうところがぴしゃっと出てくるのは、なかなかむずかしいのではなかろうかというふうに考えております。
  23. 井堀繁男

    井堀委員 むずかしくも何もないのですよ。最初からというのは、あなたの方の取り締まりの方針というものが、さっきも言うように現行犯から問題が出てくるというならば、それでいいと言うのですよ。しかし実際はそうじゃないのじゃないか。とにかく選挙違反というものを、起こったものだけ取り締まるというのではなくて、そういう事態を事前に防止するという役目もあるわけです。それは選挙管理委員会の仕事が大部分だろうと思うのですけれども、今まで出納責任者の届出を義務にしたのは、そういう点を明確にしたいからなんです。この法律でも、今度親族を入れてきたということは、これは問題は悪質違反さえなければ何も関係がないのですから、こんな法律はどうでもいいのです。いいにきまっていますよ。だから選挙違反というものの取り締まりというものは、最初から法律をどんどん作ってみたって——ここで最初からやるについては、制裁規定を強化しようということなんです。答申案はもっときびしいのです。答申に忠実でありたいという考え方は同じです。ただ、どこまで忠実かどうかということは差があるのです。それを今論議しているのです。その場合に並行して起こってくる問題は、そういう違反の事実をどうして把握するかということが関連として出てきているわけなんです。だからそういう場合に、親族という限定をここに覆いてきたわけです。今までは親族であろうが何であろうが、悪質違反が起こったときは連座に関係がなかった。今度は連座に関係するのです。だから、そこに今度の新しい一つのなにがあるわけです。その場合に、一般と同じような考え方であるのか、あるいは、そういう場合には特別の注意を払う事項になるのだが、そういうものに考慮をするのかしないのかということを聞いているだけです。いやそういうものはということならば、これは幾らでも作っていいのですが、実効が上がるか上がらないかということをわれわれは考えなければなりません。それで実は聞いているわけです。質問の仕方が下手かもしれないけれども、経過を御存じだろうと思って実は聞いているわけです。
  24. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 たとえばこの法律ができまして、この法律ができたということにつきまして非常に不注意と申しますか、せっかくこういう法律ができましたのにぼやぼやいたしておりまして、違反を見ながらそのまま過ごしてしまったというようなことがありますと一大事でございます。そこで、選挙前にこういう法律改正などの問題を含めまして会議を開きまして、必要な注意をする例になっておりますが、先ほど申し上げましたように、これらの人々が違反に上がってくるかどうかは、きわめて偶然的な状況に左右されることが多いのでございます。それともう一つ、御承知のように、選挙違反と申しますのはきわめて短期間の間に捜査を打ち切るということにいたしておりますので、どんどんほかの方で選挙違反を追及いたしておりますときに、まだはっきり上がるか上がらないかわからない方の親兄弟のところに精力を注ぐということも、なかなかできかねるような状況もございまして、端緒をつかみましたら、そこに精力を集中して捜査をするということに相なろうかと考えるのでございます。
  25. 井堀繁男

    井堀委員 そこで、政府に、政府原案について実はお尋ねをするわけでありますが、答申案精神は、きわめて明らかなように、連座制を強化するということで、結局これをもって従来の腐敗選挙を一掃するのに大きな役割を期待しているわけです。私もその点は大切だと思います。しかしこの制度が、政府案のように、あるいは社会党案のように、程度相違は結果にもそのまま現われてくると思うのでありますが、いずれにしても、この実効を上げようとすれば、一つには、この制度が生まれることによって失格があるだろうと思う。しかもそれは従来の総括責任者や出納責任者という限られたものではなくて、範囲も広がってくる。特に今度の場合は、親族が入ってきて——政府案は同居を入れておるから少し狭くなる。社会党は拡大しておるわけでありまして、程度相違はある。どちらがいいかということならば、程度を拡大することが望ましいというのが答申案精神です。  そこで問題は、その実効を上げるかどうかということは、こういうものがあっても、警察やあるいは検察当局が、その捜査に対してどういう態度をとるかということによって、その実効はうんと変わってくるわけです。それで実は参考に伺ったのでありますが、質問の要旨がのみ込めないようでもありますし、そのまま御答弁を用いるといたしますならば、何ぼこういう連座制を強化してみても、取り締まりが議員の身分に及ぶような問題ですから、反響が大きいにきまっていますが、手かげんするようになったら意味がないと思うのです。この連座制の制裁を強化するということは、ここに大きな問題があると思うのです。だから、それは従来よりはましだという程度の問題では、答申案にこたえることにならないと思うのです。  そこで、実は政府に聞きたいと思うのですが、この答申案精神は、さっきから言っているように、かなりきびしいものなんです。社会党もその点では、一部政府と同調したと言っておられる。そうすると、私は、この答申案精神に対して忠実でないということになると思うのです。だから検察や警察当局の従来の考え方から一歩も出てこないのみならず、あるいは後退するかもしれない。これは先ほど来の捜査当局の御意見なりあるいは法務省の御意見もありますように、一体どうしてこの連座制対象になってくる事実を、すなわち悪質な違反をこういう関係者が犯したかどうかということなんです。これはここでは歯にきぬ着せる必要はないと思うのでありますが、先ほど来繰り返しているように、買収とか供応とかいうように——供応は形に出てきますから見えますよ、大ぜいの人を集めれば。しかし供応も巧妙にやれば——そしてそれは限られた人よりか多い方がひっかけられるにきまっていますから、それでふやせということを言っているわけです。それをふやすと同時に、もう一つには捜査当局がこういう悪質違反というものについては、細大漏らさず厳正公平に、全体の候補者に徹底した捜査をする——捜査ということになると問題がありましょうが、何でも疑ってかかってやったのでは選挙干渉になっちゃうでしょう。これは非常にむずかしいところだ。だからそれは従来の選挙法改正の場合と異なって、関係が今言う取り締まりや捜査の関係者に影響のあることで、それで実はお二方に質問したのでありますが、質問趣旨がのみ込めないのかどうかわかりませんが、かなりはっきりしてきたと思うのであります。これはやり方がちょっと強くなれば、選挙干渉の危険が起こってくる。それから手控えておったら、これは実効がなくなってしまう。どうしてもそこに関係がいやが応でもかかってくると思うのです。こういうものはある程度見通してわれわれがこういう立法行為を工夫しなければならぬ問題になってきたと思うのでありますが、この点に対して一つ政府の見解をお尋ねいたします。
  26. 大上司

    ○大上政府委員 ただいま大臣がお見えになりましたが、井堀委員の最初からの御質問を拝聴いたしておりました関係上、私から便宜御答弁申し上げます。なお補足的な面については、あとから大臣がお話になると思います。  さて、そこでおっしゃる通り、なるほど本法案についての新しい点として、連座制による当選者の失格、これに対するところの親族あるいは主宰者あるいは地区的な責任者というものと、非常に範囲が広がっている。そこでいわゆる連座制というものの大変革と同時に、どうしてこれを把握するのかということが御質問趣旨と存じます。従いましてこれの運営者としては、ただいま槇野課長から御説明がありましたが、お説の通りわれわれがここで御審議願って立法する、従ってこの運営面においてはいろいろな解釈あるいは具体的な方法等によって結論が違ってくることは、われわれとしても社会通念上一応認められる点であります。従ってこの法案を提出するにつきましては、一番むずかしい把握の点をどうするかという点については、われわれとしては万全を期していきたい、従ってこれを提案するまでにおいては、当局ともいろいろ打ち合わせもしてみました。こういうよううな結論から見まして、われわれとしては法の趣旨を生かして運営に当たっていきたいと思っております。  なお具体的な点については、法令の解釈上から、便宜上選挙局長から答弁させます。
  27. 井堀繁男

    井堀委員 そこでもう一問質問して次に移りたいと思いますが、社会党も一緒に御答弁願います。  これは、この答申案精神に忠実であろうとすれば、どうしても教科書の強化は取り締まりに関係が出てくると思うのです。だから悪く心配すれば、選挙干渉の危険も生じてくると思うのです、これに忠実であろうとすれば。これはイギリスの例でもわかりますように、そのことをあらかじめ予定して立法しているのですね。ところが今回の場合は、今の政府の答弁でもわかるように、今までの質疑応答の中でもわかるように、あるいは捜査当局や検察庁の御意見を聞いてみましても、従来の態度に一つも変更を加えていないのですね。まだこれはできてないのですから、今のところはそうでしょうが、しかし加える必要があると思うので参考に伺ったわけですが、その用意も何もない。そうするとこの法律ができてきますと、結果からわれわれ想像しますと、どうしても実効を上げようとすることになる。そうすると、さっき言うように答申案の中から重要な部分を削っておりますから、これは問題がない。しかし入れるべきだという意見があるようですから、あとで各党の相談になると思う。そうすると、これはこの間から言っているように、捜査についても、ただ単に人をふやすとかあるいは取り締まりを強化するとかいうような、単なる手段では解決しないと思う。だからこの法の精神を生かして、どうしても実効を上げようとするということになりますと、法の前にやはり厳正公平であるということになりますと、一応疑いがかかってくる。連座制対象になる親戚が出てきます。親戚の行為というものは、従来と異なって十分な監視が必要になってくると思う。それも、さっきもわかったようなわからぬような答弁をしているのですが、選挙違反の取り締まりというものはそうなんですよ。それだから逆に言うと、運の悪いやつがひっかかるというような、そういうことになったら、この制裁規定というものは弊害ばかり出てくる。これをきめた以上は、やはりそういう事実があったら必ず連座にひっかかってくるということにしなければいけない。そうすると、その事実をどうして把握するかということは、もう当然の事項になってくる。  この点に対して、社会党政府の見解を一つ伺っておきたいと思う。取り締まりの方も従来通りでよろしい、そうじゃないとすれば、どういう方法をとるかということを聞かしてもらいたい。社会党の方は、直接的にやる方法はないから政府におまかせせざるを得ない立場にあるのですけれども、そういうものをどう想定しているかということは立法者としては大切なことであるから、その点お聞きしたい。それから政府当局としては、この法律が誕生してくれば、法の前に厳重に、免れることのできないように法を適用しなければならぬ。これに対して、一体今まで通りでいいか、あるいはどうするかということが、あらかじめ用意されているはずだと思う。この点をどうぞ一つ……。
  28. 畑和

    畑議員 順序は逆かもしれませんけれども、私どもの方から先に答弁いたします。  井堀委員の御質問でございますが、もちろん連座制を今度は強化したということについては、今度の案では、答申案を出発点として政府案も相当前進はあるとしても、われわれ社会党では、答申案を一番尊重した修正案を出しております。しかし、ともかく連座制を強化することによって選挙を粛正しようという大精神に基づいておることは間違いない。従って捜査当局におきましては、当然その精神に沿って、そこに留意をして捜査をすべきだと思う。ただそれが選挙干渉に陥るようなことであってはならないという、また一つの要請もございます。そこで非常にむずかしいことになると思うのであります。まあ結局選挙が終わってからの取り締まりが多くなると思いますが、その場合にも、ともかく連座制強化の精神を捜査当局も検察当局も体してやるべきであるというふうにわれわれは考えます。ただ大して違いないというような考えで、従来の通りでいくべきでない。けれどもまた反面、捜査ということはなかなかむずかしいことのようでして、初めから色めがねで見るというようなこと、実際には相当に色めがねで見ていると思いますけれども、そういうことをここで言えと言っても、なかなか捜査当局が言うはずがない。やっているうちにだんだんと普通の買収、それから特別加重のこの規定に触れるかどうかという問題になってき、さらに失格、当選に影響する連座という問題がだんだん浮かび上がって、だんだんと捜査の範囲が広がってくる。こういうことは現実でございます。私も、捜査したことはございませんが、弁護したことはございますので、そういうことはわかっておりますけれども、そういう点でともかく連座制強化の点を頭に置いて、それで捜査当局がやっていく、ただしいたずらに選挙干渉になってはいかぬ、こういうことであります。われわれはそういう考えで、こういうふうに運用してもらうべきものとして修正案も出した次第であります。
  29. 安井謙

    ○安井国務大臣 今お話があります通り、選挙犯罪の摘発あるいは捜査というのは、非常にむずかしい限界ややり方があろうと思います。いろいろ御懸念や、また今御指摘になったような問題も十分考えていかなければなるまいと思うのであります。ただ、連座制が強化されたといいますが、結局適用の範囲が広がったわけで、捜査したり摘発していくという態度は、一般の悪質犯を従来でも検挙していく、そして捜査するという態度に格別変わりがない。それがいろいろ調べた結果、今後は連座が適用される範囲が広がっておる、こういうふうに考えてしかるべきものではないかと私は思うのです。
  30. 井堀繁男

    井堀委員 政治資金の問題についてまだお伺いしたいと思いますが、これはこの次にしましょう。  文部省にせっかくおいでいただいておりますから、前回ちょっとお尋ねして残っておる部分もありますから、この点だけ片づけておきたいと思います。今度の選挙制度審議会答申の中で、第三委員会答申部分で、前回お尋ねをして、ある程度問題のあるところがわかったような気がいたしますが、さらに残っている問題をお尋ねをいたします。  私のお伺いいたしたいのは、一つには公明選挙の実を上げるためには、一方には、先ほど来問題になっておりますように制裁規定を強化したり、あるいは選挙管理の合理的な徹底をはかったり、あるいは政党の自粛活動が必要になったり、いろいろあると思うのです。第三委員会が、もっぱら公明選挙運動を推進するための諸般の問題を討議されている中で、学校教育及び社会教育の充実に言及してきたことは、従来にないことだと思う。非常に私はこの点については関心を持っておるわけです。というのは、これはすぐの間に合わぬかもしれない。しかしこれは基本に触れておると思う。特に教育がこれに入るときには、いろんな意味において効果も上がるかわりに、また大きな弊害考えなければならぬ。それだからこそ教育基本法の八条でしたかに、一方には良識ある公民の政治教育を尊重するとともに、その実効を上げるための教育活動が規定されておるわけであります。しかし教育がもし時の政治権力と結託してしまったり、あるいはそれに追随するようなことになりますと、もう民主主義はそこから崩壊してくるわけでありますから、教育というものはあくまで人民の手になければならぬという民主主義の鉄則が一方にあるわけであります。それだけに教育と政治関係の問題は、一方には積極的に推進されなければならぬが、他方には十分警戒しなければならぬものが同時にあるわけです。これは言うまでもないことだと思うのであります。そこで今度の答申の中で、この前もちょっと説明がありましたが、それによりますと、小学校では六年、それから中学では三年ですか、それから高等学校、すなわち学習指導要領で大きな方針が確定しておる。さらに今度は四月から新しいこの精神を盛り込んだものに改められると伺ったのです。それで資料をこの前お願いをして、申しわけないのですが私もまだ全部読んでおりませんけれども、この教育の際に、私が冒頭に申し上げましたように、教師と生徒の関係にも及んでくると思います。従来の指導要領を拝見したのでありますけれども、小学校の場合においても、議会政治あるいは政治史あるいは国の理想、天皇の地位やあるいは国民の権利義務といったような、憲法の規定に基づく基本的なものを一応列挙しておるようであります。非常に重要なことだと思います。それから中学校の二年の内容になりますと、近代民主主義の原則あるいは民主政治組織と運営、特に選挙政党の項においては選挙制度のあらましに触れるというようなこと。小学校のときはごく基礎的なものでしょうが、中学校の三年生になりますとかなり具体的なものが教えられることになっておる。それから高等学校になりますともっと高度のものになりますから、高等学校の場合、中学三年の場合のこういうものの中に、実は今度の答申の内容が大きく盛り込まれて変化を遂げられてくると思うのです。教育基本法にありますように、国民の良識が高まってきますならば、われわれが今苦しんでおるような問題は解消される大きな力になると思うのです。そういう意味で、私は将来につながる大きな問題だと思いますから、実はこの機会にお尋ねをいたしておるわけであります。御迷惑と思いますが、時間もあまりありませんので——前に時間がなかったので簡単にちょいちょいと触れて、西村課長からお答え願ったのでありますが、きょうは局長も見えておりますから、この点に対する新しい指導要領をどういうようにお考えで、どういうようになされるのか、方針だけお伺いしたいのであります。
  31. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 ただいま御質問がございました点についてでございますが、お示しになりましたように、教育基本法の条文には、良識ある公民としての政治的教養を尊重しなければならぬということがうたってございます。従ってそういうものにつきましては、学校教育の面におきましては法以前の問題として、当然に政治的な教養というものを義務教育の段階におきましても取り入れなければならぬのでございます。ただその際に、子供の心身の発達の段階に応じた取り入れ方をいたしますので、もちろん小学校におきましては非常に程度の低いものでございます。だんだんに義務教育の最終段階になりますと、中学の三年にはかなり詳しく、憲法あるいは民主政治組織、運営、あり方、そういうものに関連いたしまして、選挙あるいは選挙権の行使、選挙管理委員会の任務、その他選挙に関連したいろいろな事柄、あるいはまた公明選挙につきましても、かなり詳しく出すようになっております。従ってその基本は、今御質問がございましたように、小、中学校等におきましては、小学校学習指導要領あるいは中学校学習指導要領に根拠を置いているわけであります。その指導要領に根拠を置きまして、それを受けて、教科書の場合は教科書の検定基準というものがございまして、その基準に従って教科書が検定されるわけでございます。これはもちろん先ほどお述べになりましたような、立場の中正あるいは公正ということから教科書の検定をいたすわけでございまして、現在出ております中学校の三年の社会の教科書につきましても、これは検定教科書でございますので、内容はいろいろ違いますが、たとえば選挙制度に関しましては、小選挙制度あるいは比例代表制度等の各国の事情もわかるような内容になっております。それからまた政党政治政党のあり方、選挙、代表の選出、投票それから政治への関心ということがどういうよい結果を生むかというようなこと、それから過去から現在にわたりますところの選挙権の拡大の歴史、そういうものもかなり詳しく入っております。結論としましては、やはりそういう政治的な教養というものを義務教育の最終段階において国民の常識として備えてもらいたい、こういう趣旨でございます。その記述のほかに、いろいろ写真、図表等を加えまして、公明選挙を行なうにつきましての各種の運動あるいは選挙権の行使の場合のいろいろな注意、選挙管理委員会の任務それから投票場の風景、あるいはまた教科書によりましては、かなり詳しく選挙違反の問題等を記述したものもございます。要するにそういう内容になっておりますが、根本は先ほど申し上げましたように、義務教育の最終段階におきまして政治あるいは選挙というものに関心を持って公正な選挙権の行使ができ、しかも民主政治のよりよい発達を期するということが趣旨でございますので、現在の学習指導要領におきましては、そういう目的を持って教科書あるいはその他の学校の行事や教育活動にそれを取り入れるようにいたしておるわけでございます。
  32. 井堀繁男

    井堀委員 この答申をごらんになったものと思いますから、あれしませんが、教科内容の充実をはかる、それから副読本などの教材の使用を考慮すると書いてあります。そこで教科内容の問題は、今の指導要領の変更になって出てくると思いますけれども、これは小学校、中学校、高等学校、全部用意ができております。
  33. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 御承知のように、昭和三十六年に小学校の教科課程は全面的に改正いたしまして、中学校の改正は本年やるわけでございます。高等学校も明年からやる予定で、その移行措置に移っておりますが、これらの学習指導要領に基づいて教科書というものはすでにできております。
  34. 井堀繁男

    井堀委員 そこで一つその教科書を、これは学校によって違うでしょうから、そういうものを全部というわけにはもちろんいかぬと思いますが、大部分集めておられると思うので、そういうものをこっちへ分けてもらえるような便宜を計らえますか。
  35. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 これは非常に種類も膨大なものでございまして、全部お目にかけるわけには参らぬと思いますが、また必要に応じまして、提出いたしたいと思います。
  36. 井堀繁男

    井堀委員 もちろん全部は必要としません。ここに答申されておりまする精神を貫くためにある程度ということになります。これに関係のある資料だけでもちろんけっこうです。抜粋してもいい。そういうものを一つ提出してもらいたい。委員長から要望していただきたい。  それから社会教育局長が見えておりますから、この点だけ一つ承っておきます。この前ちょっと触れましたが、公民館あるいは図書館、婦人学級、青年学級の問題については、法律でもかなり義務づけられておるようでございます。そこで、ここにも今後答申に基づいて相当の資料を流すことになると思うのであります。そういう資料を提供する義務が従来もあり、今度は選挙関係して直接資料を流すことになると思うのですが、そういう資料を用意されておりますか。これからされますか。
  37. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 今回の答申も、従来公民館その他で行なわれております社会教育の営みの中で、その基礎として公民教育ないし市民教育が政治的な常識を持つ、また選挙に関しては自分の持っておる権利を行使するという観点では、従来やっておったことを土台にいたしまして、それをさらに積極的に推し進めるということの趣旨であろうと思います。先般お答えいたしましたように、こういういろいろな活動の参考になります、その基本のプログラムの組み方の一例の指導助言は従来もしております。また録音教材等については、公明選挙連盟の方々その他政治学者等が、政治基本に関するようなことにつきましては録音のテープを作成して、そして利用に供しておるわけでございます。今後その問題につきましては、実は社会教育審議会の中に成人教育を扱う分科会というのがございまして、その中で公明選挙の問題につきまして特に部会を設けております。この審議会委員の中には、従来も公明選挙関係で活躍されておる方も入っておりまして、今後の進め方についてなお検討していきたいということになっております。
  38. 井堀繁男

    井堀委員 従来も社会教育法によって、国なり地方公共団体の任務や、それぞれのことが規定されておるのでございます。さらにそれに今度の答申が出て、より具体的に積極的な要求が出てきておるわけでありまして、これが早晩いろいろな具体的な義務になって出てくると思うのですが、これもどういう資料を出されるか。これからの問題として、そういう場合にこの委員会にも一つ資料を回してもらいたいと思います。  それから、これは閣僚の一人である自治大臣に伺った方がいいと思うのですが、以上のようにこの仕事は直接には、公民関係では公民館の仕事とか図書館の仕事とか——特に公民館の問題は、どういう資料が出るかによって違ってくる。従来も積極的にやってきた。こういう公民館の側から、責任者といいますか、運営の義務者といいますか、そういう人が非常に問題になってくるのですが、こういうことについて何か政府としては御検討になったことがありますか。
  39. 安井謙

    ○安井国務大臣 ただいま、公民館に対して具体的に人事その他で何か特別な考えがあるか、こういう御質問でございますが、今のところ、特に人を入れかえるとかなんとかいうところまで考えておりません。地方団体を通じ、管理委員会を通じまして、そういうところとも十分今後連絡を強化してやっていきたいと思っております。
  40. 井堀繁男

    井堀委員 公民館の、たとえば館長が特定政党の有力な幹部であったりなんかするということは、今後こういうことになりますと弊害が出てくると思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えですか。
  41. 安井謙

    ○安井国務大臣 公民館というものの性格上、そういうふうなことがあってはなるまいと思いますので、これは十分注意を喚起して、管理委員会等とも連絡して、そういう一方に偏することのないように考えて運営をするように指導していきたいと思います。
  42. 井堀繁男

    井堀委員 これは地方の市町村長の権限に属するかと思うのですが、あなたは監督の直接のあれでありますから伺いますが、政党の有力な幹部というよりは、あそこを選挙運動の足場にしておるのではないかと思われるような露骨な運営が行なわれているという事例が幾つかあります。私の知っている範囲内でもあるのです。これは今の選挙法によっては罰せられたり禁止されたりはしておりませんけれども、しかし今申し上げたように公明選挙運動の推進のためのいわば基礎的な活動の母体になる。それから今度の答申によりますと、公明選挙推進のための有力な要するに機関になるわけです。もちろんそういう場合は変更されるようになるのではないかと思いますが、そういうことは可能ですかどうですか、人選について。
  43. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 社会教育法には、公民館の活動として、やはり政治的に中立でなければならぬという規定もあるわけでございますから、公民館が特定政党を支持し、あるいはその主張のみを推進するということは、社会教育法の建前から許せないことであります。
  44. 井堀繁男

    井堀委員 承知しておりますけれども、実際は地方の市町村長の仕事にまかされておるのではありませんか。これはやはり監督はあなたの方だと思います。そういうことを御存じでしょうか。
  45. 安井謙

    ○安井国務大臣 私もよく実態をきわめておりませんが、今の井堀委員お話のような事実があるとすると、これは公民館の運営上も好ましくないことでございます。また、ことに選挙の公明化という点からも、あってはなるまいと思いますので、今後は地方団体をできるだけ十分指導いたしまして、そういうことのないように努めていきたいと思っております。
  46. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 午前の会議はこの程度とし、午後は一時二十分より理事会を、引き続き委員会を再開いたします。この際、休憩いたします。    午後零時五十三分休憩      ————◇—————    午後一時四十七分開議
  47. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井堀繁男君。
  48. 井堀繁男

    井堀委員 第三委員会関係について政府にちょっとお尋ねをしておきたいと思います。午前中お尋ねをいたしました関係事項のほかに、前会にもちょっと触れましたが、第三委員会答申の大きい数字の二番目にあります「民間運動との協力」関係についてお尋ねをしてみたいと思います。これは、たしか前田先生の公明選挙推進連盟、この団体は一般によく知られた団体でありますが、こういう団体を育成していかれることはもちろんだと思いますが、この答申案によりますと、この種の団体をさしておると思いますけれども、「国は民間の推進団体と常に密接な協力関係を保ち、特にこれらの団体のうち必要あるものに対しては積極的な財政措置をとるべきである」との答申がなされておるわけでありますが、この団体についてお尋ねしてみたいと思うのであります。こういう中央における団体、あるいは全国的なものかもしれませんが、公明選挙推進のための運動をやっております、ここでいっております民間の団体、推進団体に相当するものがどの程度あるか、それが現在どういうふうな活動をしておるか、それを簡単にちょっと……。
  49. 松村清之

    ○松村(清)政府委員 ここでいっております民間の推進団体といたしましては、今お話に出ました公明選挙連盟、そのほかに、ここで財政的措置考えております団体をまず申し上げますと、今の公明選挙連盟のほかに、全国の都道府県に、民間団体として公明選挙推進協議会という団体がございます。これは現在どの府県にもございます。それからもう一つは、市町村においてやはり公明選挙推進協議会という民間団体が、これは全部の市町村ではございませんが、今これが育成がはかられつつあります、本年度におきましては、この市町村の推進協議会というものが各市町村に設けられるように一つはかっていきたいと思っております。当面、国からの財政的措置対象となります民間団体としてはそういったところでございますが、そのほかにも、青年団とか婦人会とか、社会教育関係とか、そういった全国的な組織を持った団体が相当数あるのでございます。
  50. 井堀繁男

    井堀委員 都道府県並びに市町村の公明選挙推進協議会のことについて、ちゃっとお尋ねしてみたいと思います。  都道府県の場合は、大体各都道府県みなそれぞれ誕生しておるようでありますが、市町村の場合はまだ一部で、これはやはり全体的に一応地方へ行きわたる方針と思われますが、そこで、この推進協議会というものが今後相当活動を期待されると思いますし、それから財政的援助がどのくらいなされるかあとで伺いますが、その機能が活発になるに従って、やはりその性格が問題になってくるのじゃないかと思うのであります。一体、この協議会は自発的に組織されるものと思うのでありますが、そういう人選などについて、自治省では改善を必要とするような点についてお気づきでありましょうかどうか、ちょっと具体的にお答え願います。
  51. 松村清之

    ○松村(清)政府委員 申し上げるまでもなく、民間団体でございますから、自主的にこれが結成をはかっておるわけでございます。従いまして、その人選等についても、別に自治省として関与しておるわけでごはざいませんが、今のところ、この公明選挙推進協議会のメンバーで不適当だというような話を聞いておるものはございません。
  52. 井堀繁男

    井堀委員 不適当だとはっきりしたものはとにかくとして、改善を要すべきものがあるのじゃないかと思うわけであります。というのは、従来は、各府県とも必ずそうとも言えませんが、私どもの調査した範囲では、非常に活発な、積極的な行動をしているところもありますし、有名無実に落ちているところもある。積極的に活動しておるか消極的かということは、今後積極的にやるように財政的裏打ちをしたり、その他の特例をされることによって前進されると思うのであります。これはまあ府県の名前を言っていいかもしれませんが、私が行ったときに、棄権防止の運動を一つ取り上げてみますと、棄権防止運動を徹底的にやったところほど選挙違反の率が非常に高かった。裏を返せば、推進連盟運動というものは、ある特定の人のために積極的な選挙活動をしたのではないかと思われるような節等があるわけであります。ここは非常にむずかしい問題と思います。そこで、公明選挙推進に名をかりて、あるいは棄権防止に名をかりて、特に棄権防止運動の場合は、これは一県一区の選挙区であったのですが、大体候補者五人のところですから、選挙区は大選挙区ですけれども、おのずから要するに根拠地があるわけです。その根拠地へ向かって棄権防止運動をやると、そこだけ当選率が非常に高くなる、そうすると均衡が破れてくるというような結果が、ある県に私行ったときに、参考人からそういう意見が出た。こういう例がたくさんあるわけであります。でありますから、それを分析していきますと、いずれの党にも属しないとか、あるいは特定候補者に特殊の関係を持たないといってみても、なかなかこれはむずかしい問題だと思うわけです。こういう点に対する推進連盟を組織する場合に、選考基準その他の問題について指示されたことがありますか、また問い合わせ等もありますか。
  53. 松村清之

    ○松村(清)政府委員 先ほど申し上げましたように、公明選挙推進協議会は最近において結成されたものでございまして、今お話に出ました棄権防止運動は、私の推測では、選挙管理委員会がやったのではないかというふうに推測するわけでございます。公明選挙運動の歴史は十年になるわけでございますが、当初は、一票を大切にする、一票を捨てない、こういうことが非常にわかりがいいし、初歩的な運動としてそういう目標を持っておりましたために、従来はとかく棄権防止というものに非常に強く運動が行なわれた傾向がございます。しかし、その場合におきましても、選挙管理委員会はもとより、それに関連する団体におきましても、政治的中立、公正という点から、特定の人、特定の党派に有利なような結果を来たす、そういう棄権防止運動というものは、私は、広い全国のことでございますから若干の例外はあったかと思いますが、そういうことはないと確信しております。そして最近におきましては、やはりもうそろそろ、棄権防止というよりも、適格者を選ぶという方向へ公明選挙運動の目標を重点に置くべきではないか、こういう意見も持ち上がっておりまして、最近における公明選挙運動は、棄権防止ももちろん大事でございますけれども、適当な人を選ぶ、こういう面に運動の目標が向いてきておりますから、今後はお話のような問題もだんだん少なくなってくるというふうに私は考えております。
  54. 井堀繁男

    井堀委員 推進協議会のメンバーは、どういうふうに選んだらそういう弊害をチェックすることができるか、何かそういう構想をお持ちでいらっしゃいますか。
  55. 松村清之

    ○松村(清)政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、自主的に民間団体の結成ということをはかるように考えておりますために、私どもといたしましては、この人選については別にかれこれという案は持っていないのでございます。ただ、選挙管理委員会等がその民間団体の結成、育成等の問題にはおそらく相談も受けると思いますので、そういう際には、その地方において片寄らない人、あるいは党派に片寄らない公正な人選がされるように、選挙管理委員会としては責任を持ちながら、そういう方向で協力しておることと思います。
  56. 井堀繁男

    井堀委員 そこで、実際問題になりますので、あとでまた詳しくお尋ねする機会も持ちたいと思っておりますが、私どもの案もあります。今後の公明選挙運動の推進勢力になるのはこの協議会だと思うのです。協議会の人選あるいは協議会の活動などについては、一党一派に偏した、あるいは特定の人のための特別の行為があってはならないということは、言うまでもないことでありますけれども、やはり実際に選ぶ場合においての問題が幾つかあると思う。それから、活動などについても問題がたくさんあると思う。今回はこういうものに期待することが大であるだけに、注意を要すべきことだと思う。  次にもう一つ、話し合い活動が今後非常に重視されてこなければならぬと思うのです。この話し合い活動の指導的役割を選挙管理委員会が持つことになると思いますけれども、非常にいい例を私ども見せてもらったことがあります。静岡県のテングサで有名な稲取、あそこを視察に行ったことがあるのです。その当時、その地域における選挙違反の例も少ないし、棄権も非常に少ないし、幾つかの選挙でかなり優秀な成績を上げておりました。これは、あそこで婦人の活動が中心をなしていたことが非常によかったと思う。今後もこういう活動の中で婦人が積極的な活動をやることが望ましいというような感じを受けて帰ったわけであります。今日ではまるで変わっちゃったらしいのだが、地域のこういう話し合い活動というものが今後やはり重視されてくると思う。予算もこういうところに引当つぎ込まれてくるだろうと思うのです。それだけに、その指導者、助言者の選任は、ことに今度の答申では養成といっておりますが、重要だと思いますので、私はここで、こういう答申のように、助言者を養成する何か具体的計画がおありであれば、それを一つ伺いたい。できるなら内容等についても詳しく伺いたい。
  57. 松村清之

    ○松村(清)政府委員 話し合い活動におきましては、この助言者の占める地位ということが重要であることは、御説の通りでございます。従いまして、本年度の公明選挙運動の一つの柱といたしまして、話し合い活動の助言者養成、こういう計画をいたしておるわけでございますが、この助言者の養成に当たりますのは、都道府県の選挙管理委員会、それから公明選挙連盟、ここには民間の権威ある推進団体選挙管理委員会と書いてありますが、そういうものでございます。これは先般大臣からもお話があったかと思いますが、この助言者に参加する人員も、本年度五万三千三百三十名、これは各都道府県を通じての数でございますが、そういう状況になっております。具体的には、講座を設けてしかるべき人の話を聞いたり、演説会を開いたり、いろいろあると思いますが、これらは都道府選挙管理委員会あるいは公明選挙連盟というところで、その地方の実情に即した創意工夫をこらした方法考えてもらいたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  58. 井堀繁男

    井堀委員 五万三千人の助言者を養成するという、この前大臣の答弁もありましたが、そこで、そういう仕事を推進していくための選挙管理委員会が問題になりますので、ここでは「民間の権威ある推進団体」となっておりますが、こういう問題の具体的な内容というものをもう少し詳しく、資料でもいいから提出してほしいと思います。それで、これはまたあとで、その内容を見て質問していきたいと思います。たとえば、五万三千人の人間を選挙管理委員会を通じて選ばせるとか、またその養成はこうやるというような内容などで非常に変わってくると思いますので、ただここで通り一ぺんの答弁ではちょっと理解しにくいと思いますから、できるなら——こういうものはかなり詳細な計画が立たなければならなぬのじゃないかと思います。五万三千人というような、これは少ない人数ではありますが、これだけを集めるのでも大へんだと思います。そういうような関係一つ知りたいと思いますから、資料を出していただきたいと思います。
  59. 松村清之

    ○松村(清)政府委員 各都道府県の選挙管理委員会の助言者養成計画、あるいは公明選挙連盟のそういう計画を取りまとめられると思いますので、後日資料として提出いたします。
  60. 井堀繁男

    井堀委員 以上のような二点をお伺いしまして問題になりますのは、一つには、選挙管理委員会の充実強化がこの面からも強く要請されると思うのであります。選挙管理委員会関係答申もかなり具体的に出ておりますので、選挙管理委員会を整備強化していくためのいろいろな準備もあるだろうと思いますが、そういうものもこの際資料として一つ出していただきたい。そういうものをちょうだいして、次会にまた詳しく質問いたしたいので、きょうはこの程度にいたしておきます。
  61. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 本日はこの程度とし、次会は、明十八日午前十時三十分より開会いたします。  これにて散会いたします。    午後二時八分散会