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1962-07-10 第40回国会 衆議院 建設委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年七月十日(火曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 加藤 高藏君 理事 薩摩 雄次君    理事 瀬戸山三男君 理事 田村  元君    理事 松澤 雄藏君 理事 石川 次夫君    理事 中島  巖君       逢澤  寛君    井原 岸高君       大沢 雄一君    木村 公平君       久野 忠治君    徳安 實藏君       丹羽喬四郎君    廣瀬 正雄君       前田 義雄君    山口 好一君       岡本 隆一君    兒玉 末男君       實川 清之君    日野 吉夫君       三宅 正一君    田中幾三郎君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁水         資源局長)   崎谷 武男君         総理府事務官         (経済企画庁水         資源局水資源課         長)      森  五郎君         建設政務次官  木村 守江君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (都市局技術参         事官)     奧田 教朝君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (河川局次長) 鮎川 幸雄君         建 設 技 官         (道路局長)  河北 正治君         建設事務官         (住宅局長)  齋藤 常勝君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 六月四日  委員山口好一君及び田中幾三郎辞任につき、  その補欠として濱地文平君及び西村榮一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員濱地文平君及び西村榮一辞任につき、そ  の補欠として山口好一君及び田中幾三郎君が議  長の指名委員に選任された。 七月十日  委員金丸信君及び齋藤邦吉辞任につき、その  補欠として久野忠治君及び丹羽喬四郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員久野忠治君及び丹羽喬四郎辞任につき、  その補欠として金丸信君及び齋藤邦吉君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設行政基本施策に関する件(梅雨前線豪雨  による被害概況公共用地取得に伴う損失補  償基準河川に関する問題)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  まず昭和三十七年六月上旬以降の梅雨前線豪雨による被害概況について政府当局より説明を聴取いたします。山内河川局長
  3. 山内一郎

    山内説明員 お手元資料が配付してございますが、その資料に基づきまして御説明をしたいと思います。  まず一ページをお開きいただきますと、公共土木施設被害の六月以降の分が総括で表わされております。これをごらんいただきますと、直轄災害補助災害に分けまして六月、七月上旬と分けてございますが、六月から申し上げますと、直轄災害被害報告が三億五千万円、その内訳河川砂防道路となっておりますが、河川が三億一千三百万円、十万円以下は省略いたします。砂防が二千四百万円、道路が、これは道路局関係になりますが、一千百万円、補助災害が二十九億一千百万円、合計して三十二億六千百万円、こういうふうになっております。引き続きまして、七月上旬さらに豪雨が続いたわけでございますが、七月上旬の直轄災害が十三億五千二百万円、そのうち河川が十三億二千九百万円、道路関係が二千三百万円、補助が六十億四千二百万円、合計して七十三億九千五百万円、こういうふうになっております。それを合計いたしますと、右下をごらんいただきますように、百六億五千六百万円、この梅雨前線災害は、例年に比較をいたしますと、昨年の長野県よりはだいぶ少のうございますが、普通の平年よりもやや上回っている、こういう状況でございます。  以下内訳が書いてございますが、二ページには直轄河川関係の六月十三日から十四日の分、六月はちょうど三回参ったわけでございますが、そのうちの十三日から十四日分、これは地方で申し上げますと手取、常願寺、千曲、犀川、信濃川でございますので、大体北陸地建関係、それから天竜上流、これが中部、こういうふうになっておりまして、大体中部北陸地方被害が参っているわけでございます。河川名はここに書いてある通りでございまして、全体の合計右下をごらんいただきますように、三億一千三百万円、こういう状況でございます。  三ページは同じく直轄河川の七月上旬の分でございますが、七月上旬も二日以降連続的に降ったりやんだりしております。そういう関係上、これらの川につきまして、最高水位が二回下がってはまた上がった、こういう状況の川がございます。河川名で申し上げますと、芦田川、太田川、郷川、これは中国地建管内です。それから筑後川菊池川、遠賀川、本明川、六角川で、中国地建管内は今回の水位最高のところをごらんいただきますと、五日の日でございます。筑後川につきましては、同じく今回の最高をごらんいただきますと、四日の日と八日の日と山が二つ来ておる。四日から減水を始めまして、また八日に降っている、こういう状況でございます。菊池川も同様でございます。遠賀川、本明川、六角川は八日の豪雨によって出水を見た、こういう状況でございまして、今回の最高水位計画高水位をごらんいただきますと、出水の度合いがわかるわけでございます。現在金額については調査中のところもございますが、今までわかっているのを合計いたしますと、右下一つ上でございますが、七月分の十三億二千九百万円、六月を合計すると十六億四千二百万円、こういうふうになります。このうち筑後川の五億、これが最高になっているわけでございます。  次は、直轄砂防関係で、ございますが、これは六月十三日、十四日の豪雨によりまして、河川名信濃川上流、手取川に堰堤の被害を生じているわけでございます。被害合計は、右下をごらんいただきますように、二千四百万円、こういうふうになっております。  五ページ、六ページは道路局関係でございますので、七ページに参ります。  これは補助災害につきまして、六月以降を区分してございますが、六月九日、十日分として七ページに記載してございます。まず合計をごらんいただきますと、右下の二十億五千五百万円、そのうち兵庫県が一番最高になっておりまして、八億二千六百万円、次が京都の六億九百万円、従って、六月上旬の豪雨は、兵庫京都、そういう付近中心になっているわけでございます。  八ページは、十三日から十四日の分でございまして、まず合計右下でごらんいただきますと、五億五千四百万円、これの一番大きいのは長野県の三億一千二百万円で、長野県を中心にした豪雨による被害でございます。  次は九ページに参りまして、六月下旬、二十四日、二十五日の豪雨による災害でございますが、合計右下の欄にございますように、二十九億一千百万円、これの中心になるところは、中国九州全般被害をこうむっている、こういう状況でございます。六月分の計が、従って、二十九億一千百万円でございます。  十ページは七月上旬分でございますが、これは七月二日以降連続的に降っておる豪雨による被害でございますが。最近の分はまだ調査中のものもございまして、まだ相当数字は変動する見込みでございます。合計は十一ページの右下から一つ上をごらんいただきますと、六十億四千二百万円、こういう状況でございまして、おもなところを拾って参りますと、十ページの上から三つ目愛知県の五億四百万円、和歌山県の五億二千万円、島根県の三億五千万円、広島県の五億八千万円、佐賀県が十億一千二百万円、これはまだ相当ふえる見込みでございます。長崎県が八億二千四百万円、熊本県が六億一千九百万円、こういうような状況でございまして、特に七日、八日にわたる有明海を中心といたしました沿岸の地方被害が激甚になっているわけでございます。六月、七月合計いたしまして、八十九億五千四百万円でございます。  被害概況は、河川局の所管の分につきましては、大体以上の通りでございます。
  4. 河北正治

    河北説明員 それでは次に、道路局の分でございますが、一級国道指定区間直轄災害といたしてありますので、道路局で所管いたしております。  ただいま河川局長が御説明いたしました資料の五ページでございますが、印刷はページの数字があるいは抜けているかと思います。「(3)一級国道指定区間被害状況」というところをごらんいただきます。  六月九日では近畿地建の二十七号線の和知町で一カ所法面筋壊がございました。舗装が一部こわれました。  それから六月十三日には、一級国道八号線の滋賀の琵琶湖畔飯浦でやはり舗装が一部こわれました。いずれも一車線交通可能でございます。被額は総計一千百六十万円になっております。  それから六ページでございますが、七月四日ないし六日の分は、現在判明いたしておりますのは、九州地建一級国道三号線の山鹿近所におきましては三カ所、土砂崩壊、それから法面崩壊等がございます。それから一級国道三十四号線、長崎市内の入口のトンネルのところでやはり法面崩壊がございます。いずれも一車線交通は可能でございます。  それから七月五日に中部地建一級国道一号線で豊橋市内吉田大橋、それから豊川市内白鳥跨線橋法面崩壊がございました。いずれも交通には支障はございません。  それから七月六日には、中国地建管内一級国道二号線の防府市、それから広島県福山市、岡山県の笠岡市それぞれ法面崩壊または土砂崩壊がございました。いずれも一車線交通には支障ございません。  合計いたしますと、七月分で九カ所、二千三百二十万円、六月分を合わせますと十一カ所で三千四百八十万円ということになっております。以上でございます。
  5. 奧田教朝

    奧田説明員 都市施設被害について御説明申し上げます。都市施設につきましては、六月はございませんで、七月以降の、七月上旬の被害でございまして、被害主要地区は、福岡佐賀熊本三県及び愛知県に一カ所発生しております。  県別に申し上げますと、愛知県が百五十万円、それから福岡でもって千七百五十四万、佐賀でもって約三百九十万、熊木で二百七十七万ございまして、合計いたしまして二千五百七十一万円という報告になっております。
  6. 齋藤常勝

    齋藤説明員 住宅被害について御説明申し上げます。十三ページをお開き願います。六月九日から十四日までの分につきましては、全壊が十七戸、半壊が二十五戸となっております。七月上旬の分につきましては九日十三時現在におきまして、全壊が二百二十戸、流失が四十二戸、合計いたしまして二百六十二戸、半壊が二百七十三戸という数字になっております。
  7. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で説明は終わりました。     —————————————
  8. 二階堂進

    二階堂委員長 この際お諮りいたします。被害実情調査のため必要が生じました場合には、現地に委員を派遣することにいたしたいと存じますが、その際の委員派遣承認申請手続等に関しましてはすべて委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  10. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、公共用地取得に伴う損失補償基準について政府当局より説明を聴取いたします。關盛計画局長
  11. 關盛吉雄

    關盛説明員 お手元に、「公共用地取得に伴う損失補償基準要綱昭和三十七年六月二十九日閣議決定」という印刷物と、「公共用地取得に伴う損失補償基準要綱施行について」、これも同日付の閣議了解印刷物と、それからそれのもとになりました「公共用地取得に伴う損失補償を円滑かつ適正に行なうための措置に関する答申」、この三部の印刷物を差し上げてございます。実は去る六月二十九日に閣議におきまして、損失補償基準に関する要綱の、つまり大綱にあたるものを閣議決定されたのでございます。その施行につきましては、閣議了解事項という形で同様に閣議了解がなされたのでございまして、目下この要綱の線につきまして各省庁において統一基準を作成する準備を進めておるというのが、現在の段階でございます。この補償基準要綱基礎になりましたものが、御承知の通りに、公共用地損失補償基準を策定するための審議会が本年の三月末日までにその審議を終了いたしまして政府答申が行なわれたものでございまして、この答申の線を尊重いたしまして要綱ができ上がったのでございます。この答申に盛られております事項が今回の要綱になっておりますからして、従いまして、御説明を申し上げます順序は、答申の方に従いまして、要綱に触れて御説明申し上げたい。こういうふうにいたしました方が御理解が十分お願いできるというふうに考えております。従って、答申について順序を追いましてごく概略要綱に触れまして申し上げたいと思います。  まず答申でございますが、この答申の三ページから内容が述べてあるわけでございまして、答申になりました事項は、第一といたしましては「統一的な損失補償基準の確立」ということでございます。従って、この統一的な補償基準を確立するためには、四ページの初めの方にありますように、まず第一に補償すべき範囲を明確にすることが必要であるということが述べてございまして、その補償項目について補償額算定方法統一化が必要であるということが第二の問題でございます。そして第三は、そのような損失補償基準実施の面で適正な確保の措置を考える、こういうことになっております。  そのような体系で、まず第一番目に議論されまして答申が行なわれましたのが「補償項目整理統一」でございまして、これが四ページの半ば以降に書いてございます。  そこで、問題になりました項目のまず第一として述べておりますのは「精神損失に対する補償」でございます。これは現在電源開発に伴う水没その他による損失補償要綱に謝金という制度があるわけでございますが、この制度につきましていろいろ論ぜられました結果、この項目を特別に取り上げる必要はないのではないか、むしろこの項目は、社会生活上どうしてもこういう損失補償しなければならないとする場合は、通常損失として認め得るものは当然その中に入るべきであって、そのような項目とならないものについては、これは不明確な補償項目であるから、それ単独で取り上げるのは適当ではない、こういう趣旨の問題でございます。  それから第二の問題は、事業損失に対する補償でございまして、事業損失に対する補償につきましては、新たにこの答申におきましても、事業施行されます場合に、その施行予定ということによって付近の一帯の土地低落をする、たとえば火葬場が来るとかあるいは終末処理場が予定されるということの結果、その事業を行なう場所価格低落をするというようなことがありますのが、往々見られる現象でございまして、現在の判例、学説は契約時の価格収用裁決時の価格によるものでもって取得するということを補償金の額の決定基準といたしておりますが、当該土地を所有する人は、その土地を他に求めなければなりませんので、このような場合におきましては、現在の取り扱いとは別に考えなければいかぬ、すなわち、このような場合には、その事業が行なわれなかったという原状の姿において価格評価すべきである、こういう点がこの土地評価についての現在の取り扱いと変わった答申になっておりますから、この点につきましては、お手元要綱の第七条の三項におきましてその趣旨を成文化いたしておるわけでございます。  次に第二、第三の六ページの部分は、残地の問題とそれから取得せらるべき土地以外の問題でございます。残地につきましては、ただいま申しましたようなことも理論上はあり得るのでございますけれども、残地残地としての価値を喪失するということについては、全体としての利用価値の減少に伴う部分補償すべきであるけれども、事業損失補償対象にはならないということを答申がうたっておりますので、要綱の四十一条にはその規定を設けておるわけでございます。  それから問題は、第三でございまして、これは事業を行なう場所そのものではなしに、その付近地におきまして工事実施しておるとかあるいは工事実施後におきまして非常に騒音が発生する、あるいは日陰になるというような問題あるいは臭気を発する、こういうような問題に対する対応策はどのようにすべきかということでございます。これは今回の答申におきましても、閣議決定要綱におきましても、要綱は四十一条におきまして、さらに了解事項の第三におきましてこのようなものの取り扱い方につきましては、損失補償という項目で取り上げるべきであるということになっております。社会生活上受忍すべき範囲をこえるものにつきましては、民事訴訟法による損害賠償というような訴えを提起して初めて行なうということに限ることなく、現実具体ケースによりまして、起業者賠償金として支払うべきであるという処理の仕方でございます。これは今後の社会の実態から見まして、こういうような取り扱い方をだんだん拡張することが非常に必要であろうということでございます。  それから第三は、生活権補償の問題につきましては、生活権の立て直しについての問題が現実の問題となるわけでございまして、生活権という具体権利を設定することはなかなか法律的にもむずかしい点もございますので、生活権補償という補償項目は設ける必要は認められないけれども、公共利益となる事業施行に伴って生活基礎を失う者がある場合には、生活再建措置を講ずべきものであるという答申でございますので、今回の閣議了解事項の第四におきまして、そのようなことを決定いたしまして、各方面の実施についての協力を求めることの取りきめが行なわれたのでございます。  それから今回の補償基準におきましては、第七ページのところにありますように、生活権補償の要求との関連におきまして特に議論されました点は、慣習上認められた利益に対する補償というものをどのような取り扱い方にするかという点でございまして、この(イ)の中ほどに書いてございますように、権利という実体法上の権利ではなくても、社会通念権利と認められる程度にまで成熟したものにつきましては、これは現行補償基準の中に該当するという整理の仕方をいたしまして、補償対象にすべきものである、こういう答申でございまして、従って、この規定によりまして、要綱の第二条の第五項におきまして、その対象として取り上げるべきことを定められておるので、ございます。  それから(ロ)の点は、いわゆる土地等権利を有する者に雇用されている者に対する補償でございまして、土地取得せられたという場合に、その土地の上で事業をやっている人が継続して雇用している人々に対しましては、事業が停止もしくは廃止するということによって、いわゆる失業者としての保険等金額を給付するような制度がありますけれども、しかし新たに今回の答申におきましては、まだ社会政策が十分でない現状におきましては、離職者補償といたしまして、その企業に雇われている人々に、再就職に通常必要とする期間における従前所得額範囲内で適正な額を基準として補償すべきであるという新たなる答申が出て参っておりますので、今回の要綱の第四十六条におきましては、これらの人に対する再就職に通常必要とする期間における従前所得補償すべきことを定められておるのでございます。  それから時おり特別措置法の際にも国会で議論の出ました生活共同体から分離される者に対する措置、いわゆる少数残存者に対する補償につきましては、要綱の第四十五条におきましても、その答申趣旨通り、受忍の範囲をこえるような著しい損失があり、公平の原則に著しく反するような場合については、少数分離者に対する補償は認めるべきであるという形で結論が出たのでございます。  なお、この答申におきましては、追加払いがありますとか協力奨励金につきましては、統一的な補償基準が設定されますならば、収用契約取得の時期の違いによる物件価格の差異はあっても、補償基準というものが違うということは理論的にはあり得ないので、追加払いという制度はおかしいではないか、あるいは協力奨励金のような場合も、そのあとさきによって奨励金を出すという制度は、統一基準の作成という観点から不合理ではないかという形で答申がありますので、追加払いにつきましては、要綱の第三条、協力奨励金取扱方につきましては、了解事項の第二において、この答申趣旨通り決定をいたしていただいたのでございます。  そのようなことが補償項目統一に関する問題でございまして、第二は、算定額方法統一の問題でございます。これにつきましては、物件の種類によりましていろいろございますので、土地それから土地に関する所有権以外の権利、それから営業補償、それから離作料漁業補償というような問題につきまして、個別にその取り扱いの態度を答申がきめてありますので、その結論を要点にして申しますと、まず第一の土地価格につきましては、答申の九ページになりますが、従来の補償基準にはいろいろな評価方法が示されておりますけれども、土地の正常な取引価格をもって基本とすべきであるということに帰着するわけであります。これは要綱の第七条にその種の規定が置かれておるわけでございますが、いわゆるこの正常な取引価格というものは何であるかということをめぐりまして、たとえば売買実例でありますとかあるいは収益還元価格でありますとか、あるいは取得価格及び投資額、あるいは課税の場合の評価額感情価値特殊利用価値、現在の利用方法土地附加物、これらについてのそれぞれの価値は、一面的な、部分的な理由はあるけれども、それは評価の点につきましては統一される基準ではないということをうたっておりますので、そのような精神規定が盛り込めるように要綱に挿入してあるわけでございます。  それから土地に関する所有権以外の権利評価のうち特に問題になりました点は、使用貸借による権利でありまして、この使用貸借は十一ページのところに(イ)としてございますが、これは賃借権価格一定割合中心として定めるべきであるということに要綱の第十二条で定めておりますが、答申は三分の一程度、こう割り切っておりますけれども、これは各具体ケースによっていろいろあろうと思いますので、要綱一定割合というように定められております。それから占有権につきましては、これはつまり権原のある本権の反映でありますので、いわゆる不法占有というものに対する補償を行なう必要はないということを占有権について答申がうたっておりますので、要綱の第十三条においてそのことを規定しておるわけであります。  それから第三の営業補償等につきましては、営業を廃止する場合、営業を休止する場合、営業規模を縮小する場合につきましてそれぞれ要綱第三十一条、第三十二条、第三十三条におきましてこの答申規定趣旨通りに定められておるわけでございます。  それから離作料につきましても同様でございまして、農業を廃止する場合とそれから農地を再取得するまでの農業を休止する場合の措置と、それから経営規模を縮小する場合、これらにつきましては三十四条、三十五条、三十六条というところにこの趣旨内容を盛った規定を定めることにいたしたわけでございます。  それから漁業補償につきましては、特に漁業権取得対象といいますか、譲渡性というものがありませんので、純益を資本還元した額を基本といたしまして、さらに資源としての漁場の将来性等も勘案いたしまして評価をするということになった点が、従来の補償基準取り扱い方と変わっております。この詳細につきましては要綱の十七条、要綱の三十八条、要綱の四十条というところに規定されておるのでございます。  それから建物その他の物件の移転料につきましては、この答申通りに、移転料の算出の方法といたしましては要綱の二十四条、それから物件の移転に伴いまして法令上施設の改善をすべきことになっている場合の費用につきましては、補償対象と定めることはできないけれども、別途融資のあっせん等を補償と相まって行なう生活再建措置の中に盛るべきであるということになっておりますので、閣議了解事項の第四においてそのことを定めております。  それから立木補償につきましては、立木を搬出するところの伐採搬出の費用は、これは損失と考えるべきものではありませんので、従って要綱の三十条の第二項におきましては立木を伐採搬出する場合の損失補償につきましては伐採の適期前に伐採しなければならないということに基づく損失、及び一時に伐採しなければならないために搬出費が増加した、あるいはまたそのために木材の価格低落を来たすというような場合における損失補償するというように定めることにいたしておるのでございます。  それから第八の空中または地中の使用に対する補償は、特に国会では線下補償の問題としていろいろ議論があったところでございます。この最終的な結論要綱の第二十条におきまして空中または地中の使用に対する補償は年々払いとする場合におきましては土地の賃料、それから一時払いとする場合におきましては土地価格に、それぞれ土地の利用が妨げられる程度に応じて適正に算定した割合を乗じて得た額を補償するということでございます。補償金の額の取り扱い方はそのようになっております。民法の空中または地中の使用権の法律体系が今後新たになれば、これは百パーセント法律的な議論が解決することになりますが、今までのところの結論をとりまとめたのは、このような結果になっておるのでございます。従って、このような補償基準はまだ細目がたくさんございますので、補償のいわゆる基準の大綱でございますから、この大綱に基づく細目も加えまして、第三にありますように国、政府機関または公共団体の行なう事業につきましてはこの基準によらなければならないものとするというように、早く必要な措置を講じなければなりませんので、了解事項の第一におきましてそのことを閣議で了解されまして、目下関係各省におきまして監督する公団、公社等も含めまして、この補償基準要綱によりまする実施基準を作成中でございます。おおむね本年の九月ごろから新しい要綱実施されるというようになる予定でございます。これらが公共用地取得に伴う損失補償基準要綱でございます。  なお答申に盛られております内容は、公共補償の問題と鑑定評価制度の問題があったのであります。この公共補償の問題は大体の大綱を答申がうたっておりますので、その答申趣旨に従いまして閣議了解事項の第四におきまして公共補償について、それから鑑定評価制度につきましては第五におきまして、ただいま宅地制度審議会において審議を進めて、すみやかに結論を得たくわれわれも考えておりますが、調査審議をするということに定められております。  以上、補償基準要綱及び答申をいただきました建設省といたしましての今日までの協議の内容と経過の御説明を申し上げたわけであります。
  12. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で説明は終わりました。ただいまの説明に対する質疑は後日に譲ることにいたしたいと思います。     —————————————
  13. 二階堂進

    二階堂委員長 次に河川に関する問題につき質疑の通告があります。これを許します。  岡本隆一君。−企画庁から水資源局長、水資源課長がお見えになっております。
  14. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 水資源開発促進法に基づきまして、先般総理大臣から京都知事あてに淀川水系についての指定について、意見を求められております。淀川指定水系の問題について、お尋ねをいたしたいと思います。  この総理大臣から水系指定についての知事の意見を求める書類の中に、淀川を水系として指定したい。その水系には木津川、桂川、神崎川などの支河川、それから琵琶湖などの湖沼及びこれらに流入する河川をすべて含むというふうに、淀川水系のすべてを水系指定をするというふうなことでございますが、そのあとで、なお水資源開発水系の指定に引き続いて行なわれる水資源開発基本計画の決定については、必ずしも当該水資源開発水系に属するすべての河川及び湖沼について、同時に決定をしなければならないものではないと解する、こういうふうにただし書きのようなものがつきまして、そして水資源の開発の基本計画にはとりあえず部分的に指定を行なっていく、こういうふうな御意向のようでございます。  そういたしますと、こういうふうな解釈をせざるを得ぬと私は思うのです。淀川水系を水系指定する。しかし基本計画を立てるときには、その中の一番水資源の開発に都合のいいととろだけより食いしてやっていくのだ、こういうふうに理解できるのでございますが、そういう御意向なんでしょうか、企画庁の方の御意向を一つ承りたいと思います。
  15. 森五郎

    ○森説明員 実はただいまの先生の御質問は、水資源局が五月一日に発足いたしまして、その前までは総合開発局で事務を取り扱っておりました。従いまして、五月一日から水資源局ができましたので、われわれそちらへ参ったわけでございますが、ただいまの御質問の御趣旨も、三十七年二月二十八日付内閣総理大臣から各県知事に対しまして、御意見を求めた、その内容に関しての御質問でございます。もちろんわれわれ水資源局は総合開発局から引き継ぎを受けておりますので、そういう事情にございますので、御質問に対してお答え申し上げたいと思います。  まず、この水系の中に、支河川はもちろん入っておるのでございますが、その中で部分的に——基本計画を決定するのは、全部を決定しなければならないということが、確かに書いてございます。これは水系と申しますと、御承知のように、淀川、いわゆる琵琶湖から大阪までというものだけではございませんで、それに支河川が入ることは当然でございまして、これはもう第一条の精神から見ましても、当然広域的に水を必要とする地域ということでございまして、非常に狭くそれを限定するという意味ではもちろんないわけでございます。だからと申しまして、その全部について基本計画をきめるということは、実際問題としてなかなかむずかしゅうございますので、一応淀川水系については部分的ということにしたわけでございます。この基本計画をきめるためには、いろいろ基礎調査をしなければならぬということもございますので、まだ基礎調査も必ずしも全部でき上がっておるというわけではないという事情から、部分的というふうに御解釈いただきたいと思います。
  16. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この促進法には、水系指定をする前には基礎調査を行なわなければならぬということが第二条にはっきり規定されておる。だから当然私どもは十分な基礎調査が行なわれて、その基礎調査に基づいたところの水系の指定が行なわれ、同時にその基本計画が立てられたものであるというふうに理解しておるのでございますが、ただいまのお言葉でありますと、基礎調査も十分に行なわれておらない。だから部分的な計画より仕方がないのだ、こういうふうな御意向でありまして、第一、この開発促進法の本来の立法の趣旨にも頭から反して、間に合わせの基本計画を立てられておるというふうにしか受け取れませんが、いかがでございますか。
  17. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 今の岡本先生のお話でございますが、基礎調査具体的な現場についてそれぞれやっておるところももちろんございます。将来の大計画といたしまして、これから基礎調査をするところもございます。しかし現在の段階におきましては、建設省のやっておりますダムを公団なりが作るとか、そういったことから差しあたりスタートしなければ公団の引き継ぎができませんので、その辺が何といいますか、十分な基礎調査をしないというのではなしに、差しあたり公団が引き継ぎを要しますものにつきまして、調査済みのものから建設にかかっておるものでありまして、緊急に水の利用を要することもありますので、将来の大計画はもちろん調査を十分進めていかなければ基本計画は樹立できませんが、差しあたりできる部分からやっていこうということでございまして、場当たりとか、間に合わせとかいったことは、これはともかくといたしまして、現場においてはそういうことで参らざるを得ない、こういうふうに考えております。
  18. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この促進法並びに公団法が論議されましたときに、委員会では治水や同時にまた後進地域の開発との関連というものが非常に重要視されておった。それで水資源地域からただ水の収奪を行なっただけでこの水資源の開発が行なわれるのでは困るということが非常に大きな問題になったことは、あなた方も御承知であると思うのです。従って水資源の開発が行なわれた場合には、必ずその水系についての治水の問題、同時にまた後進地域開発の問題をやっていくのだということを何回も企画庁長官からも御説明があったのであります。だから当然基本計画がきめられるときにはそういう問題も一緒に含めて解決していくのだ、むしろ私どもの理解では水資源の開発のためというよりも治水あるいは後進地域の開発というものの解決の中で水資源を開発していく、こういうふうな意味が強く含まれておるという理解の上に立って、この法律が成立しておると私どもは考えております。ところが、今度の水系指定のあとで出されてきておりますところの基本計画を見ますと、とりあえず一番安く手近に水の得られるところからとっていくのだというふうなことになっている。しかしながらこういうことが一たん行なわれますと、このようなものを基本計画として一応決定されますと、おそらくそれは食い逃げになると思うのです。いいところだけとって食い逃げしてしまう。あとに残された後進地域の問題やら残された地域の治水の問題はもう長い間なおざりにされるということが当然起こってくると思うのです。だからこういうような問題は、当然本来の立法の趣旨から非常にかけ離れた、またその当時論議されたときに一番おそれられた——そういうことになりはしないかというので一番おそれられた結果がまた現実にここに出てきておるということで、私どもはこういうものを了承しがたいのですが、その点についてのお考えを承りたい。
  19. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 先生のおっしゃいますように、法案の審議の過程におきまして水資源を水資源のあるところから収奪するばかりでなくて、さらに治山治水、後進地域の開発というようなことを全部あわせて考える、こういうことについては十分議論もなされましたし、私どももそのつもりで作業を進めております。おっしゃいますように、こういうものは食い逃げになっては困るというお話でございますが、それは当然のことでございまして、その点は先生のおっしゃることを十分に私どもとして頭に置いてやっていくつもりでございます。
  20. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 それでは、この基本計画の中に、水資源開発促進法の第一条にある「水源の保全かん養と相まって、河川の水系における水資源の総合的な開発及び利用の合理化の促進を図り、」こういう項目がどの程度にどこで生かされておるのかということを一つ具体的に御説明願いたい。   〔委員長退席、薩摩委員長代理着席〕
  21. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 この基本計画につきましては、御承知の通りその本来の、先生の先ほどからのお話のように、水系の需要供給を全部がっちりと固めて、どこどこでどういう事業を行なうのだということを、必ずしも全部を計画として明らかにしたものではございません。これはまことに残念でございますが、先ほどからさしあたりという言葉を使いましたけれども、さしあたり公団が建設省から引き継ぎます一部のものにつきまして、これは法律で引き継ぎますにつきましても基本計画、実施方針、実施計画というような段階を要求しておりますので、そういう前提に立ちまして、今度の基本計画を作ったわけでございます。従いまして、淀川水系の開発につきまして考慮しなければならぬ治山治水の計画につきまして、今度の計画には具体的にどこに現われたということはございませんが、ただダム建設中の高山ダムにつきましても、もちろん利水の面も考えますけれども、治山治水を十分に考慮して、従来建設省がお立てになっている計画に基づいて、それをそのまま継承していく、こういうことでございます。その辺で治山治水の配慮は前提として十分になされておるものと私どもは考えております。
  22. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 基本計画といえば、これは根本的な方針です。こういう意味なんです。あなたのおっしゃるのは、当面の方針ということなんです。お言葉を承っておりますと。だからこれは名称を変えていただかなければいかぬと思うんです。基本計画のうちの当面の方針、こういうふうな名称であるなら私どもは了解できる。しかし基本計画といえば、これは淀川水系の開発の憲法のようなものになってくると思うんです。それを何どきでもそんなにぐるぐる動かせるような基本計画というものなら、これはたよりないものですね。基本計画という限りは、そんな軽々しいことで基本計画という名称が付せられたり、あるいはまたそういうことが策定されてはならないと思うんです。基本計画という名前がつけば、これはもう一応当分はこの方針でいくというふうにどうしても受け取られます。だから、もしも調査がまだ不十分であって、完全な基本計画ができないとするならば、なおこの部分については調査は不十分だが、大体こういうふうなことをやっていきたいというふうなことぐらいを書いたところのものを含めて、もっと広範囲な、全水系におけるところの基本計画の大綱を出して、その中の一部分具体的にこうやるというふうな方針として打ち出していただかなければならないと思うんです。その点についての考え方の相違があると思うんですが、しかし、それじゃこれを今の基本計画の部分的計画というふうに名称を訂正されるお考えはございませんか。
  23. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 おっしゃいます通り基本計画というものは淀川水系開発の憲法であるべきだというこれは、私ども気持においては実は隔たりはないものと思います。でございますが、先ほど申し上げましたように、淀川水系につきまして徹底的に調査をし、淀川水系につきましてどこを開発してどういう施設を作り、どういうことを考慮してどういう需要に対処していくか、これは、能力の点もあるかもしれませんが私ども全部がまだなかなかつかめません。この淀川水系の憲法というものを作るには、かなり念入りな調査、それこそ各方面十分な調査をした上でなければできない、事実はそういうことだと思いますので、これは御了承を得たいと思います。ところが一方で、建設省がすでにかかっております特定のダムにつきましては、これはもうすでに具体的に計画も進行しておることでございまして、これを水資源開発公団に引き継ぎますためには、法律上の要件といたしまして、これを基本計画に織り込み、実施方針を出し、公団から実施計画を出して各方面に御相談申し上げる、こういう手続を経なければ公団としては事業ができない、さような状態でございますので、基本計画の一部といいますか淀川水系の憲法であるべき基本計画は現状においてはできませんが、さしあたり緊急の水需要に対処するためにもダムの建設は急がなければならない、引き継ぎは急がなければならない、かような事態でございますので、基本計画全貌のうちのわずかな部分かもしれませんが、この点だけが具体化しておる、さような状況でございますので、御了承願います。
  24. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 それじゃ私はこういうふうに理解してかまいませんか。すでに建設省で計画して長柄可動ぜきや高山ダムの建設の計画が進められておる、これはもう、公団が出発したところだから、さしあたり出発したところにそれぞれの手続が促進法できめられておるから、基礎調査をやり、基本計画を立て、その上に立って都道府県知事その他の機関と相談をした上でやらなければならぬという手順をきめられておるから、これは基本計画というべきほどのものではないけれども、とりあえず一応そういうことにして事業を始めるのだからそれでごめんこうむりたい、こういうふうな理解でよろしいですね。ほんとうの意味の基本計画じゃない、こういうことでいいのですね。
  25. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 ほんとうの意味の基本計画の確かに一部を出しておるわけでございます。ですから、それはほんとうの意味の基本計画ではないとおっしゃっても困るわけでございますけれども、先ほど申し上げたようなことでございますので、おわかり願えると存じます。
  26. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 それ以上は水かけ論になりますから……。  そこで、この基本計画の案を見ていきますと、水需要の見通しについて、上水道用水と工業用水と農業用水と、三つに分けて書いてあります。その三つについて、まず上水道用水では「本水系流域内の諸都市並びに流域外の阪神地帯の一部地域における上水道整備にともなう必要水量」というふうに書いてございますが、そうすると流域内にこれからどんどん都市が発展してくると思うのです。そうすると、そういうところに供給するところの上水道用水というものの配分は優先的に行なわれる、こういう意味ですか。
  27. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 水系を指定しておりますので、一応その水系の流域外と流域内とに分けて考えておりますので、流域外につきましては、流域外の上水道用水を、特に先ほど基本計画らしくないというお話がありましたけれども、一応供給、需要の見通しのところには、流域外の分については特別にはっきりと書いてございますが、流域内については別に明らかに書くことはいたしておりません。それはおっしゃる通り、流域内は流域内の都市の発展によりまして水が要るといったことは、当然まず第一義的にはその水系でまかなう、こういう考え方に立っております。   〔薩摩委員長代理退席、加藤(高)委員長代理着席〕
  28. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうしますと第二の工業用水について「大阪市、尼ケ崎市及び西宮市における地盤沈下対策としての地下水の代替用水並びに」とございますが、流域内各地における工業開発に使うところの用水というものが、第二義的に扱われているような感を受けて、この記載方法でありますと、ちょうど地盤沈下対策に今度の基本計画が立てられておるというふうに——地盤沈下対策というものももちろん重要視しなければなりませんけれども、しかしながら、「並びに」というふうな書き方をすると、そういう印象を受けるのですが、従属的な意味なのかあるいは並立的なものなのか、「並びに」という言葉は並立的な意味に解釈できるのでありますけれども、それを特に承っておきたいと思います。
  29. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 確かに字句の点でそういう印象をお受けになるかもしれませんが、別にこれはどちらが優先するとかいうことを申しておるつもりでございません。ただ私どもの今予想しております需要の見通しの中で、一応はっきりしておるようなもの、たとえば工業用水について申し上げますならば、通産省で工業用水の計画がございますが、それにはっきり考えているもの、こういったものについてはっきりと出したということでありますので、別に従属的とかそういうことではございません。
  30. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 農業用水についても北摂とかあるいは河内とかいうところは水系外になっております。水系外のところと水系内流域のところで、それも同じような意味であなたはこの文書を書かれておられますが、水系内における農業用水の供給に合わせて、水系外のところで余裕があれば回す、こういうふうな意味の記載の方法が行なわれなければならぬと思うのに、水系外のところを先に書いて、ばかに水系外のところを特別扱いにされたような記載の方法ですが、こういうのはどうかと思うのです。これは誤解を招きはしないかと思うのですが、いかがでしょう。
  31. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 流域外と流域内の問題は、実は相当誤解を招いたり、ややこしい問題に発展する可能性が多分にあると思いますので、私どもといたしましては、一応各関係省と相談いたしまして、流域外のものについてははっきり各省で考えられるものを書く、流域内のものについては書かなくても、需要が当然予想されるならば、それは考えなければならぬ、こういうことで書き方といたしましてはこういうふうになりました。
  32. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これは蛇足のようですが、これをすなおに読んでみますと、非常に流域外を重要視したような書きようでありますので、一応念を押したまでのことであります。  そこで供給の目標でありますが、高山と宇陀川と青蓮寺のダム、それから琵琶湖の水位調節施設、これは南郷の洗いぜきと天ケ瀬ダムを意味すると思います。同時に将来の計画として立てられておるいわゆる締め切りなども予想されておると思いますが、そういうような点の淀川の三つの支流の中で宇治川と木津川との施設が記載されております。しかし桂川については何にも触れられておりません。そこで上桂川筋というものを今度の水系の基本計画の中でどうお考えになっておられるのか。当分こっちの水は安上がりにできるからこっちの水を使うのだ、桂川筋については、今度の基本計画では何も考えていないのだ、こういうふうなことなのですか。
  33. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 淀川水系につきまして、先ほどから申し上げましたように、全体の需要供給をはっきりいたしますときには、おそらく桂川も何らかの施設を必要とする部分に入ってくるかと思います。その辺は先ほど先生の御指摘のありましたように、実は淀川水系全体の調査がまだ十分でもございませんし、必ずしも淀川水系のフル・プランというものもできておりませんので、今のような状況になっております。まず経済的に安いところから手をつけるということも、常識的にはさような場合もあるかもしれませんが、何しろ現段階におきましては、淀川三川の中で桂川だけは一応今のところは出ておりませんけれども、桂川につきましても、現在政府といいますか、建設省におきまして調査をやっておりますので、この調査をいたしまして需要の目標というものとにらみ合わせまして、いずれ具体化する時期がくると思います。具体化するときには、桂川についてどういう施設をするか、これは基本計画の中でもはっきり事業としてうたわれてくるわけでございます。
  34. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 利水の問題からでなしに治水の見地からいきますと、もちろん高山ダムは重要な意義があります。天ケ瀬ダムを建設して高山ダムを建設して、その次には宇陀川、青蓮寺をやる前に桂川筋のダムを建設すべきである、これは治水の見地からいけば私は優先順位というものはそうなってくると思います。なるほど宇陀川、青蓮寺のダムによって名張市は非常な恩恵を受けるでしょう。もちろん名張市の問題も解決しなければなりませんが、しかし名張市以上に水害の常襲地帯として一番今大きな問題となってきておるのは伊賀上野市と亀岡市です。この宇陀川、青蓮寺によって、伊賀上野市と亀岡市が毎年二回ぐらい必ずどこかつかるというととは救済されないのです。だから淀川水系の水資源の開発と同時に治水問題というものをやっていこう、私らの立場からいえば、利用者の側というよりも資源供給側というふうな立場からいけば、これは利水よりも治水をやって、その治水ダムによってたくわえられた水をどんどん利用してもらったらいいんだ。こういう考え方に立つ者にとっては、宇陀川、青蓮寺よりも、伊賀上野盆地及び亀岡地帯の桂川筋の洪水の解決の方が先決問題だ。同じ貯水の施設として金を入れるなら、そういう方面からまず金を入れるべきじゃないか、こういうように私は考えるのでございます。しかもそういう地点の治水対策には全然触れないで宇陀川、青蓮寺を先にここへ明記してあるというのは、どういう理由に基づくものでしょうか。
  35. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 今ここに宇陀川、青蓮寺を書いておりますのは、宇陀川、青蓮寺の方が若干調査が進んでおるというふうに私ども承知しております。お話しのように、どの辺から先に手をつけていくか、あるいはもちろん治水を前提といたしますが、利水のダムを作るのにはどこから手をつけていくか、これはかなり検討を要する問題でございます。この辺は建設省その他とも十分に何回も協議している問題でございますが、今後もその事の軽重に誤りのないように十分検討して参りたいと考えております。
  36. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 調査ができておらない——その調査は建設省の調査をとりあえず引き継いだところだから、お借りしているんだ、こういうふうな御意向のように思えるのですが、建設省から御意見を承りたいと思うのです。私は今言ったように、むしろ宇陀川、青蓮寺よりも桂川筋及び伊賀川筋の治水問題の解決の方が優先されるんじゃないかというふうに考えますが、建設省側ではどのようにお考えでしょうか。河川局長から承りたい。
  37. 山内一郎

    山内説明員 御承知のように、桂川水系は近年非常に災害がございまして、何とかこれを根本的に対策を講じたい、こういうことで極力桂川水系の治水基本計画、特にダムの計画につきまして調査を進めている段階でございます。ただ一部地元の反対等ございまして、ダムの調査もまだ満足にできていないという状況は、岡本先生御承知の通りでございまして、これは私の方といたしましては極力地元の方の納得を得まして調査を進めて参りたい、今も進めつつあるところでございます。そこで桂川水系のたとえば二、三のダムの治水計画並びに水資源の開発ができるかどうか、まだそこの段階までも至っておりませんが、洪水調節のためには必ず作りたい。余裕がございましたら、水資源の開発もあわせてやりたい、こういう考えで進んでおります。従って、そういうような計画ができました段階になったときに、まだ宇陀川とか青蓮寺が着工されていない場合には、先生の言われますように、治水の面からいえば桂川の方が優先されるべきだと思います。ただ計画の面で、もちろん計画がないのに進めるわけには参らないと思います。従って、現在はその調査に極力力を尽くしておる、それができましたときには、新しき観点から考えましてこの基本計画も当然改定すべきである、こういうふうに私は考えております。
  38. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 ダムができる場合には、調査をどこも頭から大歓迎というところはないと思います。水没する地域についてはどこも反対すると思います。しかし、今までその反対を押し切ってある程度熱意を持って地元の説得にかかり、ほんとうにやる気があればそういうような強い説得工作が進められなければならないと思います。ところが今のところ私どもの感じておる範囲では——これは感じておるという言い方でありまして、とりようでいろいろだという御答弁もあるかと思いますが、しかしながら地建側ではあまり強い説得工作というものを、去年一年一向やっておらないように私は思っております。もしもほんとうに強い説得工作をやりたいということなら、京都府なりあるいはわれわれの側におっしゃっていただけば、私どもは地元のことでもありますから大いに協力もいたします。しかし、そういう協力の要請も一向ございません。むしろ考えようによれば、反対しておるからあと回しにするのにはちょうど都合がいい、こういうようなことで反対があるからそれを口実に使われておるのではないかとすら思えば思えないこともないと私は思うのでございます。だからそういう点はもっと積極性を、建設省なりまた地建の方でもってダム建設の計画を進めていただきたいと思います。  それと一緒にこれはどこで作る水も大阪で使う限りにおいては同じだと思います。だから宇陀川、青蓮寺をあと回しにせよとかそういうことを言うのではございませんが、しかしそういうような計画が宇陀川、青蓮寺だけをさして、しかも基本計画の中に桂川筋についてのダム建設を全然織り込まれておらないというところに桂川筋住民の非常な不満がある。だから、今もしあなたの方で計画として述べ建設をこのまま進めていくのだということであれば、おそらく亀岡の住民はそんなことでは大阪へ水をやらないぞ、だから高山にダムを作るなら作ってみろ、高山の住民の反対よりも亀岡の住民の反対で基本計画に対する強い反対運動が出てくると思います。だからそういう意味においては基本計画の中へ桂川筋におけるダム建設というものを、かりに地域を一応明示することができなくても、そういう言葉をはっきりと入れておいていただくべきだと思うのであります。そしてこの基本計画では三つの支流の治水問題も同時に解決していくのだという気がまえを示されるべきだと思うのでありますが、これは企画庁と建設省と両方からそれについての御答弁を願いたい。
  39. 山内一郎

    山内説明員 この基本計画は水資源開発の基本計画でございますので、たとえば桂川水系のどこかのダムを入れるといたしますと、やはり水資源の開発が入ってないと入れられないわけです。従って治水の面もあわせたいろいろな利根川の総合開発といいますか、そういうことになりますと、桂川の水系は必ず明記されるべきでありますけれども、水資源開発促進法に基づく基本計画でございますので、その点まだ自信がないという段階でございます。自信と申しますのは、水資源の開発もできる、こういう自信ができましたときには、先ほど申し上げましたようにこれは当然改定すべきである、こういうふうに考えております。
  40. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 高山ダムの上流に宇陀川、青蓮寺ができるわけですね。そこでできた水は下へ流れるのでしょう。それを大阪で使うのでしょう、そうじゃないですか。そうすると別の流れ、桂川で多目的ダムを作ってそれが下へ流れて大阪で使う、同じ水じゃありませんか。だから桂川筋の水では大阪の工業用水に役立たないということにはならないと思います。だから、そういう意味で別にどっち側へダムを作ったところで水資源の開発になると思います。それがならないという理由を一つ説明願いたいと思います。
  41. 山内一郎

    山内説明員 まだならないということを申し上げる段階ではないということを申し上げておるわけでありますが、まだダムの形もきまらない、従って、ダムの有効容量といいますか、それもきまらない、従って、あるいは全部洪水調節に使われることも考えられます。そういたしました場合には、ダムをからっぽにしておかないと下流の洪水には対処できない、こういうことでございますので、その水が利用できる余地があるかどうかという点がまだわからない、こういうことを申し上げておるわけでございます。もしできれば、当然今先生の言われましたように、全部淀川に流れる水でございますので、それは当然水資源の開発の基本計画に入れるべきである、そのときに改定すべきである、こういうことを申し上げているわけでございます。
  42. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 その言葉ではちょっと私は了解しにくいんですがね。形もきまらない、あるいは大きさもきまらない、しかしながら一応今宮村ダムとか鎌倉ダムとかいうものが計画の案としてあがってきて、同時にまた幾分かの調査費もついてきて、航空写真もとっておられる。だからこの地点はダム・サイトにすれば大まかなところどのようなものができるだろうくらいのことは、専門家のあなた方ならおわかりになると思う。だからこの水資源開発の基本計画というものは数量すら明示されておらないのです。この基本計画にはどこに、どの地域に幾らの水がいく、どれだけの水を開発しなければならないというふうなことすら明示されておらない、年次的な計画もこれにはついておらない。この基本計画というものはそれほど大まかなものなんです。それほど大まかな基本計画の中に桂川筋の水の開発計画というものを織り込むことができないという理由が私には了承できないのです。だから、それはそうなってくると何かもうちょっとほかに理由があるのではないか、こういうふうなことを疑わなければならないと思うのですが、何かほかにそういう理由があるのですか。
  43. 山内一郎

    山内説明員 この点経済企画庁からもお答えをしたのでございますが、はっきりしたものは名前はあがっている。水の用途別需要の見通し及び供給目標において大体水資源の開発ができるという可能性のはっきりしているものは名前はあがるけれども、それ以外はやはりまだあがっていないのでございまして、まだ調査が十分でない。従って、はたして将来あげられるかどうかもわからないというものは、はっきりした名前があがってないということでございます。格別な理由はございませんが、ただいま言ったような理由で桂川の名前があがってない、こういうことでございます。
  44. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、桂川筋には洪水調節用のダムは作れるけれども、多目的ダムは作れない、こういうふうな意味にとれますが、そういうことですか。
  45. 山内一郎

    山内説明員 そういうような可能性もありますので、まだあげてない、あるいは水資源の開発の可能性も調査が進むにつれて出て参るかもしれませんが、そういうまだ今の段階でははっきりしない、はっきりしないものはまだ具体的な名前をあげていない、こういう段階でございます。
  46. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 はっきりしないということはどういう意味ですか。そういう地点がないという意味ですか。それともあるいは地点はあっても反対が強いからできないというふうな意味なのか、あるいはやる意思がないという意味なのか、あるいはまた桂川筋に作ったのでは地域的にその利用価値が少ない、こういうふうな意味なんですか。どういう意味にとればいいのですか。
  47. 山内一郎

    山内説明員 ただいままでの調査ではダム地点は二、三点あるという、こういう調査の結果が出ております。ただそこにダムを作る場合に洪水調節に全容量をとられてしまうかどうか、とられるとすると水の余裕、利水の余裕がなくなってくるわけでございます。下流の治水のためにそのダムの容量を全部あけておかないといけないというような計画になれば、水資源の基本計画の中にあがってこないわけでございますが、そういうおそれもある。従って、ダム地点というものは、これはあるのでございまして、治水のためには建設省としましては今後地元の方の御協力を得て推進して参りたい、こういうふうに考えております。
  48. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これもまた議論が千日手になりますからこれ以上続けませんが、この基本計画の中に桂川筋がはずされておるということについては、私は非常に不満に思いますから、その点企画庁の方でも建設省の協力を得て調査を急いで、早くそういうふうな案を出してもらいたいと思います。それからもう一つこの高山ダムの建設事業という項目を見ておりますと、高山ダムの事業目的に阪神地域の上水道用水を確保するものとすると書いて、なお、発電及び洪水調節の機能をあわせ有する、こういうふうな記載の仕方でございますが、建設省が早くから出しておりますところの、たとえば三十七年三月に出しました高山ダム事業計画書の中には、この一番に、その目的の中に洪水調節がうたわれておりますが、ところが今度はそれが一番に上水道用水に変わってきてしまっておる。それからまたこの建設省の案では、計画書では水道としては阪神工業地帯の水需要に応ずる、秒五トンの水を補給する、こうなっておりますね。ところがこれによりますと上水道用水を確保する、こういうふうに阪神地方の水需要という、上水道及び工業用水を合わせて含まれて使われるというふうなものが、上水道だけに変わってきておるということは、どういう理由なんでしょうか。
  49. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 御指摘の通り、高山ダムの事業目的の書き方が非常に誤解を招いております。これは高山ダムは今建設省からお話がありました通り、もともとは洪水調節を非常に重要な目的として建設計画が進められておりまして、これは別に変わっておりません。ただ水資源開発の基本計画におきましては、一応水を利用する建前から水の利用という点を強調する意味で、最初に阪神の水、こういうふうに書きました。これは非常に誤解を招いたようでございますが、これは先ほどの水資源開発審議会におきましてもその辺の議論が出て参りまして、これは考え方を改めるといいますか、表現の仕方を改正すると申しますか、いずれにしても基本計画そのままでは、洪水調節がなお書きのような格好になっておるのではどうも御納得を得にくい点もございますので、これは改定するつもりで各省と相談いたしております。なお、御指摘の阪神の水需要に対処するという点は、私どもといたしましては関係各省と相談をいたしまして、ことに工業用水は通産省の関係がございますので、通産省あたりの計画を十分聞きまして、さしあたり高山ダムから、これは洪水調節を主目的といいますか、非常に大きなウエートを占めております。利水の面は水の量にいたしましてもわずかなものでございます。でございますので、これはさしあたり厚生省、通産省等とも話し合いまして、一応基本計画の現在の案におきましては上水道というふうに書いております。
  50. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうしますとその次の長柄可動堰で、これは上水道用水及び工業用水道というふうに二本建になっている。そこでこの高山ダム建設のアロケーションの場合、そうするとこれは工業用水道の方はそのアロケーションの中には加わらないことになるわけですか。
  51. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 基本計画が一応今の案のままできまり、主務大臣から実施方針を示され、それから公団から実施計画を出す段階で逐次アロケーションの問題は具体化して参りますが、今のように上水道だけということになりますと、高山ダムについては工業方面のアロケーションはなくなる、かようなことになります。
  52. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 公団がやる場合、大阪の地盤沈下の対策の用水をやる、それには一番大きく使うのは工業用水道と冷房用水、そのために大量の水が要るから長柄可動堰と高山ダムの水を使う、こういうことですね。そのための資源開発、そうすると公団が淀川水系の水を供給する場合に、両者の建設費というものをガラガラ計算にして上水道及び工業用水にかけていくのか、あるいは別々にかけていくのか、これはかなり水の値段が違ってくると思います。今なにを見ますと、高山ダムの方は上水道、それから可動堰の方は工業用水と上水道、こういうことになりますと、建設費がだいぶ違うのですね。ここのなににも書いてございますが、総額七十億だ。ところが高山ダムの建設費はたしか六十二億ですね。そうすると可動堰の費用は八億ということになるわけですね。ところで供給される水の量は高山ダムは秒五トンです。ところが可動堰の方は十トンですから、合計あなたの方で示しておられるのは、だから十五トン出る。そうするとトン当たりの価格に直していきますと、六十二億から、この中には分類がございますが、アロケーションのなにがございますが、治水用に大体半分出しまして、治水及び農業用水に六割ほど出まして、水道用には大体三九・六%ということがこれに記載されてございます。そうしますと結局六十二億かかるものから、その約四〇%の五分の一ということになりますと、秒一トン当たり大体高山ダムは五億につくのです。ところが長柄可動堰の方を計算しますと、これは七十億から六十二億引きますと、八億ですから、それを十トンで割りますと、トン当たり八千万円ということになるわけですね。だから片方は五億の水だ、片方は八千万円、非常に水の価格が安いのですね。工業用水だから安いのを提供してやろう、上水道は使用量が少ないのだから高くてもいいじゃないかというようなお考えなら、これでもいいのですけれども、そういうような意味でこれは分けて計画が立てられておるのですか。アロケーションの場合でもそのようにアロケートとしていくつもりですか。そういうお考えでありますか。
  53. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 御指摘の通りの問題はございます。ただ私ども今申し上げますのは、一応費用の概算が出ておりますが、高山ダムが六十二億、長柄が残り差し引き幾らというふうに、実ははっきりとまだ現段階では考えられないわけでございます。この辺が実は詰まっておりません。費用の問題はまだ不確定要素が多分にございます。でございますので、今先生の計算通りですということがはっきりとはまだ現段階においては申し上げにくいことでございます。  それともう一つ、長柄と高山の水の計算が先生のお話しのような問題もございますので、もう少し考えようじゃないかという有力な意見もございます。その辺につきましては、なお各省非常にそれぞれの主張がございますので、今後調整していかなければならない問題が残っておるわけであります。この点につきましては、こっちの水は苦いというようなことがないように善処して参りたいと思います。
  54. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 しかし基本計画でこういうふうにきめられましたら、私はそういうことになると思うんですよ。それが基本計画なんだから、基本計画で高山ダムは上水道用だ、それから長柄可動堰は工業用水だ、こういうふうに基本計画できめられましたら、私はそれは、通産省の方はそういうふうにきまればこれを承知しないと思うのです。これは基本計画でそうきまっておるのだからということで、当然そうなっていく。それでいくのが悪いということではないのです。しかし、そういうふうな水に私は色はつかないと思う。どっちの水も同じだと思うのです。どっちの水も同じだから、公団として一つにやって、ガラガラにして考えていくやり方もあるし、こういうふうに水には色がつくのだ、こういうふうに片一方の水は高いのだから、高い方は上水道で使って下さい、工業用水道は安いのにいたしましょう、どうせ大量要るのだから、こういう考え方でいくのならそれも私はいいと思うのですよ。しかし将来あらゆるところでそういう考え方が出てくると思う。ここで一つこれを出せば、将来公団の水の価格の立て方というものに、こういう精神、方針というものが打ち出されてくる、こういうことになると思うのです。この基本計画というものはそういうふうなことをやるのだ、そういう方針を立てるのだということをはっきりここにこの基本計画で出しておる。私はそう理解するのです。その理解は間違いないでしょうか。
  55. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 ただいま淀川水系だけで今の二つの事業だけにつきまして御指摘のような問題がございますが、将来の問題といたしましては、もっと全体的に考えまして、水をだんごのようにもっとまるめて、水の料金といったようなものをもう少しならすというようなことは、これは必要であろうと考えます。ただ現段階におきまして、先ほどお話のありましたアロケーションの問題その他で、今すぐにそれじゃどうするというところにもなかなか参りかねますので、これもたびたび同じ言葉を使いますけれども、さしあたりの段階といたしまして、高山、長柄についてはさようなことで今までのところ進んでおります。
  56. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 このことは、私は利根川のなにをいただいておりませんが、利根川についてはやはり河口堰がございます。だから同じ問題が出てくると思うのです。これは日本のこれから後作られた水の使い方というもの、その料金のきめ方というものについての基本的な非常に大きな問題でありますから、よく御検討願わなければならないと思う。私もまたもう少しこの問題を勉強してみたいと思います。  その次に、御承知のように木津川、宇治川、桂川、三本の川からできておりますが、そうすると、宇治川については天ケ瀬ダムがございます。天ケ瀬ダムにつきましてはダム使用権の設定予定者は発電と水道になっております。これは京都府が水道に使って関西電力が発電に使う。大阪の工業用水、水の需要というものは天ケ瀬の中には含まれておらないということですね。ただしこれは建設省からの計画案で、少し古いのでしょうが、日が書いてないからわからないのですけれども、どうでしょうか。
  57. 山内一郎

    山内説明員 天ケ瀬ダムの計画はこの基本計画に入っておりません。現在多目的ダム法による多目的ダムの建設を建設省は実施しておりまして、基本計画がきまっております。従って、そのダムの水は現在はっきりきまっている用途に使う、こういうことでこの中には含まれておりません。
  58. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 私の感情から言いますと、大阪という大工業地帯の工業用水は可動せきでできた一番安い水を使う。京都府が水道をとるときには高い建設費を使った天ケ瀬ダムの水を使わなければならない。また大阪も上水道に関する限りは非常に高い水を使わなければならない。こういうことになって、結局淀川で作られる水をあんばいよく大阪の工業用水に安く吸いとられている、こういう考え方が出てくるのです。だから天ケ瀬も当然プール計算して水の価格のきめ方について、またダム建設その他についての分担金の割当というものについては、すでにきまったものといえばそれまでかもしれませんが、しかし一応の再検討というものが行なわれなければ不公平ができるように思うのですが、どうですか。企画庁はそのようにお思いになりませんか。
  59. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 御指摘のような問題がございますので、将来の水の価格といいますか負担の仕方につきまして、これは相当重要な問題として各省とも実はいろんな意見がございます。私どももなかなか右か左か簡単に割り切ってきめられる問題でもないのでございます。十分に検討させていただきたいと思います。
  60. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 それではもう一つお伺いしますが、桂川筋にはダムはないのですね。だからそこから工業用水をとる分には、別に取水のために金はかからないのだと思うのですが、そういう理解でいいですか。
  61. 山内一郎

    山内説明員 桂川といいますか、淀川全水系につきましてまだ水の余裕があればとることはできると思います。しかし全体の利水計画によって、わかりやすく言いますと、今は従来の既得権で全部河水が使われている状態だと思いますが、そういう状態であれば新しくとることはできないと思います。ただどこかの地点でとりましてすぐその下流に戻される、こういうことになれば、そういうことは許されるのではなかろうか。場所によって違うと思いますが、具体的でないと確かなお答えはできませんけれども、概括は以上申し上げた通りでございます。
  62. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 たとえば亀岡の少し上流で郡是製糸が最近大きな工場を建設中である。あそこで水を使っているかいないか知りませんが、かりにああいうところで水を使いましたら、あそこではこれは自分の流域内の水でありますから、京都府の知事が差しつかえないと思って許可をすれば、これは何ぼ使ってもかまわぬというふうに思うのですが、そうじゃないでしょうか。
  63. 山内一郎

    山内説明員 流域内の水でございましても他の府県に関係がある場合には、京都府の知事はやはり下流の県と協議をする必要がありますので、その協議の段階において私が先ほど申し上げましたように既得の水利権が侵害されるかどうかという点がつまびらかにならないと、はっきりしたことは申し上げられない、こういうふうに考えます。
  64. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうするとこういう矛盾が出てくるのです。たとえば亀岡というところでは、その上流はどんどん改修をやる。だから速度が早くなってどんどん流れてくる。また今まで上流で河川の改修が行なわれない間は上流ではんらんして広く湛水されるから、亀岡はそう水害にやられなかった。ところが上流の改修は進む、護岸は堅牢になり、あふれるところがないから狭窄部の方でもってはんらんしてくるというふうなことが、今亀岡のはんらんの原因だと思うのです。ところがその狭窄部の開さくは許されない。だから京都府は連年の災害に対して非常な経済的負担をしなければならない。そのような経済的な負担の上におけるところの桂川筋の水なんですね。今度はその水を桂川流域において使ってしまったら、大阪で工業用水がなくなるから使ってもらっちゃ困る、こういうふうなことでありますと、これは水資源開発促進法及び公団法の審議のときに言われたところの、迷惑はかけっぱなし、水は取り徳、こういうふうな現象が出てくるのではないかということになってくると思うのですが、そういう点の解決はそれじゃ一体どうなるのですか。水は使えないわ、はんらんする水には苦しめられるわ、これは非常に片手落ちなあり方だと思うのですが、これはどうです。
  65. 山内一郎

    山内説明員 先ほど使えるか使えないかということはまだはっきりしないというお答えをしたわけでございますが、協議する必要はある。従って上流の県においてはダムを作ることばかりやらされて、ちっとも水が使えないという点につきましては、この基本計画におきまして、上流地点に作ったダムによる水は関係の県で十分御納得がいくように、そういう点を考慮して基本計画に組み入れる、こういうことになっているわけでございます。
  66. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 その基本計画の中へは治水計画が取り入れられるべきだ、こういうわけですね。一方的に犠牲だけ負わしておいて、治水計画は上には作っておらない。そこの水は利用できるかできないかわからないから作らないのだ、こういうことでは、一応これは上流に対するところの犠牲をまるっきりかけっぱなしで水の収奪を行なっている、こういうことになってくるわけです。そういう意味において、私ども基本計画というものの中に桂川筋におけるところの治水計画をなぜ入れないのかということを言うのです。私の言い方に無理はないと思うのですが、一つ御答弁願いたいと思います。
  67. 崎谷武男

    ○崎谷説明員 基本計画はどうしても、先ほど申し上げましたように、利水の面を強調するような表現の仕方になりますので、その点につきまして若干誤解を受ける点があろうかと思います。これは、治水というものは利水の前提というか、不可分のものでございますし、治水については建設省が十分な計画をお持ちのわけでございます。ですからその両方相待ってといいますか、たとえば治水計画だけを見ていただきますと利水の方は考えておらぬ、水資源開発の基本計画の利水の面を強調しておる点だけをごらんになりますと治水を考えていない、こういうおしかりを受ける場合があろうかと思いますが、これは両方相待って治水、利水にわたって水の有効的な活用をはかっていく、こういうことになると考えております。
  68. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 もう一ぺん、先ほどの河川局長の御答弁ですが、桂川筋で水を取る、それがそのまま還流される場合には使ってもいいのだというふうなお話であったと思うのですが、そうするとたとえば農業用水に使いましても、農業用水は大体還流されます。蒸発によるところのロスはどの程度ありますのか、二、三割程度あるかもしれませんが、大体において還流されます。それから冷却用水にいたしましても、あるいは化学的な工業に使われる水にいたしましても、ロスはあっても大体において還流されると思うのです。だからそういうふうなことでありますと、滋賀県では自分のところでできる水だ、だから自由に使って、取水の問題については他府県とは別に協議も何も要らない、ところが京都府の場合に協議しなければならないということでございますが、それじゃ、下流の大阪府とだけ協議をすればいいのかあるいはどの範囲の協議の成立が必要なのか、そしてまた大体においてそのように七、八割は還元されるというふうな水であれば、これは京都府でもって知事が使用の許可をどんどん出してもいいのかどうかという点について承っておきたいと思います。
  69. 山内一郎

    山内説明員 先ほど既得権侵害をしないかどうかの一つの考えられる例として、すぐ還流される場合には大体いいのじゃなかろうかこういうことを申し上げたわけでございます。従って、それは具体的に還元する場所の問題もございます。取るところと還元する場所の間に既得権がございましたらこれも問題になりますから十分に調査しないといけないと思います。従って、そういう点を考慮しながらなお関係があります県につきましても、実態によってこれは滋賀県には全然関係がないとか、なければようございますが、あるいは関連がございましたらやはり滋賀県とも協議しなければならない、従って取る場所とか量とか還元する場所、そういうことによって個々別々に考えて参るのが至当ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  70. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 むしろ大阪府との関連です。上流から流れてきた水ですから滋賀県とは関係がないと思うのですが、むしろ下流との関係になってくる。
  71. 山内一郎

    山内説明員 大阪府に関係があるとすれば協議しなければいけない。従ってその実態をよく把握いたしまして、関係があるかどうかということをつかんでからでないと具体的にははっきりとお答えできないのじゃないかと思います。
  72. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 私はよく知らないのですが、そうすると従来から水の使用許可を出す場合に一々そんなことをやってないでしょう。水を使いたいというと、大体知事が認定して、これならということで使わしているのじゃないでしょうか。それとも建設省の方でも相当強い監督が行なわれて、水の使用の規制というものが行なわれているのかどうか。
  73. 山内一郎

    山内説明員 今後の新しい問題については、昨今非常に水の問題がうるそうございますので、従来もそうでございますが、厳格にやらせるように県に話しております。
  74. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういうことになって参りますと、もう水の使用というものは厳格に規制をされる、しかもその中間地帯にあるために上流から流れてくるはんらんにはずいぶん苦しめられる、しかも苦しめられながら水の使用というものは思うにまかせない、こういうふうな形でもって基本計画が今立てられておるとするならば、この基本計画というものは京都府にとっては迷惑しごくな基本計画ということになって参るわけであります。だからこれはもう一度よく検討していただきまして、京都府の知事からも意思表示が行なわれていると思うのです。だからそういう知事の意見も十分尊重していただきまして、このなにの中にはやはり意見を求めるということになっておりますし、意見を求めるということは意見を尊重するのだということを何べんか委員会でもって企画庁長官もその他の方も説明しておられますから、十分意見を尊重されまして、円満にこの問題の解決に当たられることを強く要望いたしまして、一応この問題についての質問を打ち切ります。
  75. 加藤高藏

    ○加藤(高)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十七分散会