○
北山議員 実は私もただいまの政府側の答弁を聞いておりましてまことに不満でございます。私自身がいろいろ
質問をしたいような気持になるのですが、おそらく腹の中ではこういう法律があった方がいい、特に警察なんかはそう思っておると思うのです。ですから率直にそういうふうに言った方がいいと思うのですけれども、そうじゃなくてやはり役所らしい、役人らしい答弁に終始していることはまことに残念であります。特に、ここに警察庁が出した資料がございますが、
夜間犯罪と防犯灯との関係なんかについても、防犯灯あるいは
照明がないための
犯罪が多いということ、あるいは防犯灯があったために、
照明があったために効果があったというふうな事例がたくさん載せられてあるわけであります。私自身もこれを
提案した動機の
一つは、例の数年前の荒川の
通り魔事件でたくさんの女の方々が犠牲になりましたが、そのときに新聞の端の方に荒川のその地区の婦人会が
街灯の
電気料金を軽減してもらいたいという決議をしたということが載っておったわけであります。ですからいかに
夜間暗いところを歩くことが危険か、あるいは子供たちにそういうところを歩かせることを親たちが常に心配しておる、そういう気持はおそらく全国的にあるのじゃないか、従って、こういうことを単に地元の
住民に自分の
負担でもって
設置をさせて、そうして政府や
国会が黙って見ておっていいだろうか、こういうことを率直に
考えたわけであります。この警察庁の事例の中にも、札幌市内の
通り魔事件とか釜石市内の殺人事件、
東京都内の事務員殺しとか、また
東京都内における婦女暴行事件とか、いろいろ具体的なケースが書いてあります。こういう点で、私は警察庁が率直にこの防犯灯あるいは
街路照明が必要だということについて
説明をすべきだ、むしろ要望すべきだと思うのであります。おそらく警察庁は、立法
措置がなくて、仕方がないから行政
措置で防犯灯を
設置するという運動をただ宣伝しておるにとどまっておるのじゃないかと思うのです。また先ほどの政府側の答弁の中の、
道路法にいう
道路の一部であるかどうかという問題でありますが、
道路法第二条には確かに
管理者が
設置したものだけが
道路照明であるというふうにされております。しかし、これは建前として
道路照明が
道路の一部であるということをむしろ認めておるものだと私は思うのであります。しかも
現状は、それ以外に
沿線の
住民が
道路照明をつけるのに
道路転用願を出して
道路を使わしてもらって
街灯をつける、そんなばかばかしい話は私はないと思う。
街路についたところの
照明は
道路交通のために必要であるにもかかわらず、
沿線の
住民が
街灯をつけたいから
一つ道路を占用させていただきたい、こんな逆なことをやっておる。これをわれわれは打破しなければならぬじゃないか、やはり原則として公道における
道路照明というものは
管理者の方に
責任があるのだという建前をここではっきりする必要がある、こう
考えて、私は立法
措置がぜひ必要だと
考えておるわけであります。
それから政府側の答弁の中にいろいろ
統計上の問題あるいは技術上の問題についてまことに不明確です。これは調査しておらぬという証拠なんです。
街路照明というものは、
国民の
生活福祉に非常に関係のある問題でみんなが心配しておる問題で、この問題について政府が調査もしておらないという
現実を暴露しておると思うのです。これは
道路局の方で、現在
予算がないから
路面くらいで済ませておるので、まだ
照明までは手が及ばない、こういう御
説明でありますが、調査くらいはしておっていいと思うのです。しかも、
一級国道についての
照明灯をつけるのに一灯当たり非常に金がかかっておる。私は、なるべく安い
経費で効果的な
街路照明というものはどうあるべきかということを技術的に、少なくとも
建設省は調査をし、研究をしておく、これだけの熱意が必要だと思うのです。私は先年そのことを
道路局に聞きましたところが、調査がない。ではどこへ聞いたらいいかといったら、神田に
照明学会というものがあるということを教えられて、
照明学会に電話をしたところが、さっそくしてもらいました。要するに
道路照明についての研究すらもしておらぬ。ここにも私は問題があると思うのであります。少なくともこういう点は改めていただきたい。いろいろな
交通事故の問題にしても警視庁の管内の事例だけが載っておりますが、これも調査項目がおそらく不十分でありますために全部を網羅しておらないと思うのであります。全国的な
統計に至っては警察庁にもない、こういう実態であります。しかし、われわれが身辺で見聞きし、また実際に自動車に乗ってみて、向こうからくる自動車のヘッドライトで目がくらんで手前のものが見えなくなる。ですから横断する人をはね飛ばす、こういう
事故がたくさんあると私は思う。
東京付近の幹線
道路あるいは
国道一号線ですらも、あるところもありますけれども、おそらく
照明のないところがある。こういう
現状を
交通の安全なりあるいは防犯という
立場からどうしたらいいかということを、少なくとも政府が取り上げて調査をし、研究をし、そしてなるべく少ない
費用で国も地方団体も
住民も協力をしてこれを
整備する、ここに今度の私どもの
提案の
趣旨があるわけであります。全部国でやれとか、全部地方団体でやれとか、こういうことは言っておりません。
沿線の
住民にもやはり
負担してもらう、こうしてみんなが金を出し合って、この重要な
道路照明、
街灯の問題を推進してもらいたいというのが、この立法の
趣旨でございます。
いろいろ申し上げたいことはたくさんありますけれども、
予算がないないといいながら地主補償には数千億も出そうという話すらもある。だから金がないなんというようなことは言ってもらいたくない。これ以外のいろいろな案件についても、これを全部文字
通り一ぺんにやろうとすれば、何千億もかかるようなことをぼつぼつやっておるのが
現状ではないか。そういう点を
考えるならば、問題は、
住民の福祉に身近な問題を、みんなが心配しておる問題を、政治が取り上げるか取り上げないか、こういう問題だと思う。現に昨年、これは与党の方でも取り上げて検討された。また政府の方でもわざわざ数回にわたって協議をしたはずです。
建設省、自治省、警察庁それから
通産省、これが協議をした結果、話がまとまらないから行政
措置でやっている。なぜまとまらないか。おそらく各市町長がしり込みをするから、大蔵省がこんな新しい問題を取り上げると
予算がかかるということを心配するから、あるいは
通産省が
電気料金が引き下げになる、
政策料金が入ってくると、今の独占大
企業といいますか、電力資本の
利益に影響するなんということをあるいは
考えたかもしれない。われわれはそう邪推せざるを得ないのです。
電力事業というものが公益
企業である、それだからこそ特別な独占
企業としての保護を受け援助を受けておる。ところが
料金の方は
原価主義だ、そんなばかな話は私はないと思うのです。ですから当然必要なものは
政策料金をどしどし採用すべきだ、こういう
趣旨を全部盛り込んでおるわけであります。もちろん新しい
法案でございますから、いろいろ内容的に見ましても完全でない点もあろうかと思いますが、私どもとしては
昭和三十五年以来、いわゆる三年越しの
法案でありまして、初めてきょう審議されたということはほんとうにうれしく思いますが、どうぞこの問題の重要性というものをよく認められまして、なるべくすみやかに皆さんの御協力を得て、こういう
街灯整備の問題が立法化されるように私は衷心からお願いを申し上げたいのであります。