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1962-05-06 第40回国会 衆議院 建設委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年五月六日(日曜日)    午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 加藤 高藏君 理事 薩摩 雄次君    理事 瀬戸山三男君 理事 田村  元君    理事 松澤 雄藏君 理事 石川 次夫君    理事 中島  巖君 理事 山中日露史君       逢澤  寛君    井原 岸高君       大沢 雄一君    大倉 三郎君       木村 公平君    金丸  信君       丹羽喬四郎君    徳安 實藏君       佐野 憲治君    前田 義雄君       實川 清之君    坂本 泰良君       三宅 昭一君    日野 吉夫君       田中幾三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      樋詰 誠明君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建設事務官         (都市局長)  前田 光嘉君         建 設 投 官         (河川局長)  山内 一郎君         建 設 技 官         (道路局長)  河北 正治君         建設事務官         (住宅局長)  齋藤 常勝君  委員外出席者         議     員 北山 愛郎君         警  視  長         (警察庁保安局         防犯少年課長) 綱井 輝夫君         警  視  庁         (警察庁交通局         交通企画課長) 藤澤 三郎君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     山本  悟君         専  門  員 山口 乾治君     ――――――――――――― 五月六日  委員齋藤邦吉辞任につき、その補欠として丹  羽喬四郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員丹羽喬四郎辞任につき、その補欠として  上村千一郎君が議長指名委員に選任された。 四月二十八日  東京目白茅野市及び磐田間路線の二級国  道編入に関する請願増田甲子七君紹介)(第  五一四三号)  同(中澤茂一紹介)(第五二六〇号)  同(井出一太郎紹介)(第五二六一号)  同(下平正一紹介)(第五三四三号)  東京本郷川越市、富岡市及び松本間路線  の二級国道編入に関する請願増田甲子七君紹  介)(第五一四四号)  同(中澤茂一紹介)(第五二六二号)  同(井出一太郎紹介)(第五二六三号)  同(下平正一紹介)(第五三四四号)  国民のための公共事業推薦等に関する請願(安  宅常彦紹介)(第五二〇〇号)  同(谷口善太郎紹介)(第五三三三号)  建設業法施行令の一部改正に関する請願外一件  (五島虎雄紹介)(第五二〇一号)  山田橋取付道路改良工事促進に関する請願(  瀬戸山三男紹介)(第五四〇三号) 同月三十日  一級国道三号線西方、川内間の舗補に関する請  願(池田清志紹介)(第五五五二号)  県道人吉川内線の二級国道編入に関する請願(  池田清志紹介)(第五五五三号)  横浜国際港建設計画より戸塚駅前土地区画整  理事業除外に関する請願外五件(米田吉盛君紹  介)(第五五五五号)  同外一件(飛鳥田一雄紹介)(第五六二八  号)  都市計画街路放射線補助第一二八号線拡張促進  に関する請願花村四郎紹介)(第五六二九  号)  東京目白茅野市及び磐田間路線の二級国  道編入に関する請願松平忠久紹介)(第五  七六六号)  東京本郷川越市、富岡市及び松本間路線  の二級国道編入に関する請願松平忠久君紹  介)(第五七六七号) 五月一日  宅地建物取引業法の一部改正に関する請願(廣  瀬正雄紹介)(第五九五〇号)  同(青木正紹介)(第六一五八号)  同(綾部健太郎紹介)(第六一五九号)  同(荒舩清十郎紹介)(第六一六〇号)  同外一件(井堀繁男紹介)(第六一六一号)  同(生田宏一紹介)(第六一六二号)  同(大沢雄一紹介)(第六一六三号)  同(片山哲紹介)(第六一六四号)  同(金丸信紹介)(第六一六五号)  同(鴨田宗一紹介)(第六一六六号)  同(木村公平紹介)(第六一六七号)  同(小泉純也君紹介)(第六一六八号)  同(坂本泰良紹介)(第六一六九号)  同(薩摩雄次紹介)(第六一七〇号)  同(瀬戸山三男紹介)(第六一七一号)  同(田中伊三次君紹介)(第六一七二号)  同(田中榮一紹介)(第六一七三号)  同(田村元紹介)(第六一七四号)  同(徳安實藏紹介)(第六一七五号)  同(野田武夫紹介)(第六一七六号)  同(濱野清吾紹介)(第六一七七号)  同(松永東紹介)(第六一七八号)  同(松山千惠子紹介)(第六一七九号)  同(森島守人紹介)(第六一八〇号)  同(米田吉盛紹介)(第六一八一号)  東京目白茅野市及び磐田間路線の二級国  道編入に関する請願中島巖紹介)(第五九  六一号)  東京本郷川越市、富岡市及び松本間路線  の二級国道編入に関する請願中島巖紹介)  (第五九六二号)  国民のための公共事業推進等に関する請願(島  上善五郎紹介)(第六〇一三号)  川内川上流右岸栗野北方地先改修工事促進  等に関する請願池田清志紹介)(第六一五  三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十八日  東北自動車道建設促進に関する陳情書  (第八五三号)  西湘バイパス道路早期着工に関する陳情書  (第八  五四号)  九州、中国及び四国間の連絡道路実現に関する  陳情書  (第九二二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  街燈整備促進法案川村継義君外十七名提出、  第三十九回国会衆法第一一号)  建設行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  川村継義君外十七名提出街燈整備促進法案議題といたします。
  3. 二階堂進

    二階堂委員長 提出者より趣旨説明を聴取いたします。北山愛郎君。
  4. 北山愛郎

    北山議員 私は提案者を代表して、ただいま議題となりました街燈整備促進法案について、その提案理由要旨を御説明いたします。  この法案は、第三十四国会以来毎国会社会党から提案し続けてきた三年越しの法案でありまして、国民生活福祉に重大な関係にある街路灯整備の問題が、今日まで審議されないままに放置されたことに遺憾の念を禁じ得ないのであります。  御承知通り街路照明道路法第二条に規定するように、道路の一部として考えるべきものであり、道路管理者は本来道路照明整備する責任を負うているものといわなければなりません。しかるに、道路照明はほとんど何らの施策を持たないままに放置せられ、その結果、わが国の道路照明は、はなはだしく立ちおくれているのであります。自動車交通の激しい主要幹線道路においてすら夜間は暗黒となり、通行に不便を与え、また交通事故の大きな原因となっております。  昨年度警視庁管内交通事故のうち、前照灯眩惑によるもの四百四十二件、街路灯がないか、不足によるもの千八百二十件に達し、多くの死傷者を出しているのであります。これらの統計はきわめて不備でありますが、直接間接道路照明不足による事故を全国的に調査するならば、想像以上のものがあると思うのであります。  これを社会生活文化の観点から見ても、一部都市の盛り場、商店街は真昼の明るさであるのに、官庁街公園広場住宅地農村地域照明が不十分で、電気利用が一部に片寄っており、通行者に不安を与え、犯罪の温床となっていることは、警察自体防犯灯設置運動を行なっていることからも明らかであります。  このような状態を放置し、街路照明責任沿線住民負担させ、単に行政指導防犯灯設置の宣伝だけに終わっていることは、政治の貧困以外の何ものでもありません。  本法案はこのような現状を是正し、道路その他公共広場公園などの照明についての国及び地方公共団体責任を明らかにし、住民負担を軽減し、町や村を明るくしようとするものであります。  その要旨を述べますと、第一に国や地方公共団体に対し、その管理する道路等街灯整備を義務づけること。第二に地方公共団体街路照明基準を作ること、その基準については主務大臣は必要な助言を行なうこと。第三に、街路照明管理者たる国、地方公共団体責任であるが、街灯設置によって利益を受ける者には、協議により費用の全部または一部を負担させることができること、また国または地方公共団体以外の者が街灯設置しようとするときは、これに補助することができること。第四に地方公共団体街灯整備経費について、国はその財源措置を行なうこと。第五に通商産業大臣街灯電気料金を認可する場合には、他の電気料金よりも軽減するよう特別の措置をとらなければならないことなどを内容といたしております。  道路照明電気料金戦前多くの都市では無料あるいは低額料金であったはずであり、戦後も昭和二十四年までは二割引きとなっておったのでありますが、その公共性にかんがみ、少なくとも大企業工場の使用する電力料金程度、おおむね三分の一には引き下げ、急速に道路照明を拡充して、近代国家としての文化施設整備すべきものと考えるのであります。  以上が本案要旨でありますが、街路灯設備の立ちおくれは、国民のための福祉行政の盲点であり、町を明るくして犯罪をなくそうというのが、多くの住民の声であることを十分御賢察いただき、各位の御賛同を得て、すみやかに本法案が成立するよう心から切望し、趣旨説明を終わるものであります。
  5. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  6. 二階堂進

    二階堂委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。田村元君。
  7. 田村元

    田村委員 提案者に一、二点お伺いをいたします。  本案は、趣旨としては非常にけっこうなことだと私は思うのでございますけれども、現実にその予算措置ということになって参りますと、これは非常な大きな問題をはらんでおると思う。たとえば提案者の方では三十億くらいという予算措置考えておられるようでございますが、たとえば一、二級国道という主要幹線道路だけの街灯整備するだけでも、聞くところによると、一千億というような莫大な費用がかかるといわれております。いわんや地方道まで含めますと、実に無慮数千億という金が必要となるのではなかろうか、かように考えるのでありますけれども、いわば二階から目薬というような予算措置で満足のいけるような姿に相なるかどうか、提案者としての一つ御答弁を承りたい。
  8. 北山愛郎

    北山議員 まことにごもっともな御質問でございます。  現在国道になりあるいは県道その他市町村道あるいは公園広場等街灯を理想的な形に整備するのには莫大な経費が要るだろうと思うのであります。これは、一つにはやはり道路照明その他の街路照明等について従来この問題が放置をされまして、主として住民負担によってこれを補ってきた、こういうことでございまして、その仕事がいわば堆積をしておるために、これを一度で解決をするという場合においては御意見のようなことに相なるだろうと思うのであります。しかし、この法案ではその点をも考慮いたしまして、一ぺんに道路管理者管理をする道路についての道路照明は、管理者責任である、こういうふうに原則としては規定してございますけれども、その経費は全部その管理者の方で負担するということではなしに、やはり沿線住民利益を受けるという限度でもって、相談の上で一部あるいは全部というのを負担してもらう、こういうことで参りたい、というふうに法案がなっておるわけであります。三十億というのは、この事業を始める当初としてのいわば非常に腰だめ的な概略の数字でございまして、やはり逐次この問題を進めて参らなければならぬ。これに取りかかる場合には、初年度としてはこの程度でやって、漸次これをふやしていくということに考えておるわけであります。いずれにしましても、経費がよけいかかるから問題を放置しておいていいということにならないのでございまして、むしろそれだからこそ、それほど道路照明の問題がおくれておるために、一日も早くこれを国なりあるいは地方公共団体責任として問題を取り上げる、こういうことで急速に整備して参らなければならぬ。漸次相当な財政負担が出ると思います。しかし、道路などにつきましても、現在、路面整備だけでも予算が足りないという現状でありますから、路面整備した上で街路照明というふうにいきたいというところでございますけれども、現実はそうじゃなくて、やはり交通の激しいような道路につきましては、当初から道路照明というものを道路の一部として整備をする、いわば路面だけでは道路ではない。夜間は一定の照明度を持つのがすなわち道路であるという考え方で、少なくとも大都市付近、主要な都市などについてはそういう措置を並行してやって参らなければならぬのではないか、こういう考え方でおるわけであります。
  9. 田村元

    田村委員 御趣旨のほどはよくわかりました。その理想とされるところは、私も大賛成でありますけれども、しかし、現実に常識以上の莫大な金がかかるのでありまして、初年度三十億といいますけれども、かりに三千億かかるとすれば、これは百年かかる、伸び率等考えていっても相当なことはこれは目に見えておるわけであります。でありますから、むしろこういう問題はもっと慎重に、国の財政状態等考えながら財政当局等とも相談をしつつ論議すべき問題ではなかろうかと私は思いますけれども、そういう御趣旨で、あればそういうふうに承っておきます。  次にお伺いいたしたいのは、戦前割引があったとか、あるいは無料であったとか、いろいろな問題もあったでありましょうけれども、今回の電気料金というものは原価計算主義で徴収されておることは、すでに提案者も御承知通りであります。でありますから、そういう企業の実態まで変えるというのならばこれは別でありますけれども、少なくとも今日の形式では、私は、ここで電気料金を大幅に街路の方への割引等措置を講じたならば、必ずや一般利用者需用者に対するはね返りがくるもの、これをおそれるものであります。こういうことに対して提案者はどういうふうにお考えになりますか。
  10. 北山愛郎

    北山議員 ただいまの御質問のいわゆる電気料金の問題が、いわばこの法案街路照明というものを進める場合に最も大きい問題ではないかと思うわけであります。確かに現在では電気料金供給規程というものが原価主義ということでできておるわけであります。しかし、法律でもってその供給規程原価主義でなければならぬというふうにはなっておりませんので、やはり通産大臣供給規程基準をきめる際にその考慮をして、いわゆる公共性の強いようなこういう道路照明等電気料金については特別の措置を講ずるということは、決して不可能ではないし、また当然そうすべきものである、こういうふうに考えるわけであります。これは電力事業というものがやはり公益事業としての性格を持っておる、しかも税制の上でも、あるいは財政投融資の面でもいろいろの国の援助を受けておりますので、当然その電気料金をきめる場合におきましても、一切原価主義で参るということは、私どもとしては了解しがたいのであります。現状がそうであるならば、むしろこれを変更して、やはり一部については政策料金を加味べきである、こういうふうに考えるものであります。事実、今度東京電力あるいは九州でございましたか、料金をきめる場合に一割引ということになったということは、少額ではございますが、しかし街路灯というものの公共性という立場から見てここに政策料金としての性格を加味しておるのである、こういうふうに考えるのでありまして、原価主義が金科玉条であるというふうには考えられませんし、またそれは原価主義というものに、公正な基準のもとにやはり政策料金的なものを加味すべきである、それが公益事業として当然である、こういうふうに考えるわけであります。そういう性格がありますから、沿革的に見ても昭和二十四年まではたしか二割引でありましたし、また戦前においては多くの都市では街灯料金サービスといいますか、無料で扱ったような例も少なくないのであります。現在の電気料金のきめ方、いわゆる供給規程というものの原価主義というものについて疑問を持っておる。これに必要な政策上の変更を加えるべきものである、こういうふうに考えてこのような規定を挿入したわけであります。また実際外国などに比べましても、大企業工場等電力料金一般家庭用定額灯とか、定額料金と比べますと、日本の場合には非常に差が開き過ぎておるわけであります。大体三倍くらい家庭用料金が高い。外国ではそんなに開いておらないというような点から考えましても、私は現在の電気料金のきめ方、いわゆる供給規程というものの基準を再検討すべきである、そしてこういうものは当然少なくとも大企業工場並みの、現在のような家庭電気料金と同じような料金でなくて、大工場に供給する料金と同じ程度には引き下げるべきものである、こう考えるわけであります。また、それに対する減収の措置ということについては、全体としての税制なり、あるいは財政投融資なり、こういう措置の中で吸収し得るのではないか、こう考えておるわけであります。
  11. 田村元

    田村委員 通産省おられますか、今の提案者の御説明でありますが、戦前はこうこうであったとおっしゃるけれども、あるいは無料サービスであったとおっしゃるけれども、今日よりもなお街路灯の少なかった時代のことで、これは全国の道路全部に街路灯をつけるということになったら、戦前と比較する基礎自体が全然変わってくると思うのです。しかし、一がいに私もそういうふうにきめつけるわけには参りませんが、通産省としての考え方、私の質問並びに提案者の御説明に対してどのようにお考えか、一つ通産省の見解を明らかにしてもらいたい。
  12. 樋詰誠明

    樋詰政府委員 街灯料金につきましては、今北先生お話しのように、東京九州の両電力会社につきましては、大体一割引になっております。これは田村先生先ほどお話しがございましたように、現在の電気料金の立て方が原価主義ということで貫いておるのでございます。たまたま電気料金制度調査会が三十五年の一月に、電気料金はこうあるべきだといった答申を出されたわけでございますが、この中にも原価主義を貫くべきだということで、現在の電気料金の立て方は、政策料金は全然とらないという立て方をとっております。ところが実際には今北先生のお話もございましたように、また田村先生の御意見の中にございましたように、われわれといたしましても、できるだけ公衆の街路灯あたりは何とか安くして、そして明るくしたいという気持を持っております。そこで、いろいろ検討いたしました結果、街路灯は御承知のように深夜大体つけておる。普通の工場需用がやんでいる、むしろ電気が余っている深夜にともしているという点、それから徴収費が、行けば大体町会等でまとめて料金を払ってもらえるというようなことで、徴収費が非常にかからないといったような点から、実際の家庭料金に比べまして、いろいろの点でコストが安いということが言えるわけでございます。そこで、それらの点を勘案いたしまして、東京並び九州電力のような最近料金改定を行ないましたところにつきましては、一般家庭よりも街路灯は実費で安いじゃないかということで、通産省で指導いたしまして、若干の値下げをさせたわけでございます。ところがそれ以外の七つ電力会社につきましては、今後電気料金改定というようなことがあれば、当然われわれといたしましても、東京並び九州の先例にならないまして、現在の料金制度のもとにおきましてもできるだけ低くするというふうに指導していきたい、こう思っておりますが、御承知のように最近の電気需用が非常に大きな伸びを示しておりますので、資本費が莫大になりまして、大部分電力会社は今のところ経理的に非常に苦しくなっておる。ここでもし電気料金改定をするというようなことをやれば、結局上げるといったような数字が出てくるおそれが非常にあるわけでございまして、われわれは今の電気料金改定するのを今すぐやるということは、あるいは街灯にとっては若干の値下げということができるかもしれませんが、ほかの一般的に需用者の値上がりというようなことでも来たしたのではまずいのじゃないか、こう思っておりますので、今のところ全面的な料金改定ということは一切いかぬということで押える立場をとっておるわけであります。たまたま今国会通産省の中に電気事業審議会という審議会を作っていただきましたが、そこにおきましては、今北先生お話しにありました電気料金政策料金をある程度とってもいいかどうかということを、電気料金の全体の改定というようなことと切り離しまして、政策料金をとるべきかどうかということも一つあわせて検討していただこうということでやっておりますが、もしそういうことになりますれば、さらに現在の料金体系のもとにおいても何らかの政策料金的なことをとる余地があるかどうかということについては、もう一度考えてみたいと思っておりますが、今すぐ七つ会社電気料金の全面的な改定なしに若干の割引をするということは、通産省としてはいたしかねる。御趣旨は非常に賛成でありますので、今後あらゆる機会を利用してこういう街路灯料金が安くなるようには努力いたしたいと考えております。
  13. 田村元

    田村委員 趣旨はいいのですから、通産省も大いにその意味でお考えをなすったらよかろうと思います。  次に、私は建設省にお尋ねをいたしたいのでありますが、この提案理由の中にも、道路付属物としての街灯ということで責任性の明確をうたわれておるわけでありますが、現行道路法では道路付属物ということの範囲をどのように規定されておるか、あるいは考えられておるかという問題なんですが、これはどうですか。
  14. 河北正治

    河北政府委員 御承知のように、街灯道路管理者が立てたものが、道路法上の付属物として街灯の扱いをしております。そのほかに、街灯にはもう一種類ございまして、必要と思う者が道路占用許可をとりまして立てる場合のいわゆる占用物としての街灯と二種類あるわけであります。
  15. 田村元

    田村委員 建設省にいま一点。それは建設省一級国道の一部を現在直轄しておりますね。そこで、現在までの建設省管理しておる直轄部分街灯設置状況、あるいはそれに関する費用のあらましを一つ説明願えませんか。
  16. 河北正治

    河北政府委員 一級国道の今お話しにありました建設大臣管理しておりますいわゆる指定区間の延長は、三十六年度末において三千六百キロであります。その間にあります道路法上の付属物としての街灯数は千八百三十灯であります。それを立てました経費は、ちょっと詳細にわかりかねますが、三十六年度に設置した分につきましては三百十三灯で六千二百万円ほどかかっております。それから三十七年度に設置いたす予定のものが約八百灯、これが約二億を予定しております。そのほかにこの街灯電力料金かございますが、それが現在統計はございませんが、昨年神奈川県で立てられましたあの第二京浜の照明程度のものにいたしますと、一年間に電灯料がたしか一キロ当たり三十万円ほどかかると思います。
  17. 田村元

    田村委員 これはわずか三百灯で六千万円とか、大へんなことに相なるわけで、今、大蔵政務次官もここへお見えになったが、運の悪いときに来られたもので、大がいこの話を聞かれただけでびっくりされただろうと思うのですけれども、あまり深く御質問しても時間の関係がありますから、これはこの程度にしておきます。  次は自治省に伺いますが、現在、国道といっても、建設省が直轄で管理しておる国道の区間はほんのわすかですね。あとはみな地方公共団体がやっておるわけです。これに全部街灯をつけるということになったときに、補助金制度もどうかという話ですが、自治省、自信がございますか。この補助金を全部に渡すということになれば、あるいは交付税等でまかなうにしてもえらいことになると思うのだけれども、自治省はどう考えますか。
  18. 山本悟

    ○山本説明員 地方団体で管理しております道路は、御指摘の通り国道、県道、市町村道と、道路の大部分でありまして、この全体に街灯等の設備をつけるということになって参りますと、その経費は莫大なものになると存ぜられるのであります。現在の地方財政の状況のもとにおきまして、従来とられておりました程度のものは、地方財政計画上あるいは単独事業費その他の決算上の算入ということで見られておると思いますが、今後大きく取り上げるということになって参りますと、国庫補助制度がとられましても地方負担が当然伴うわけでございまして、地方財政上非常に大きな問題になるのではないか、かように存ぜられるわけであります。また、これらにつきまして、管理費というような点につきましても莫大なものを要するのではないかという工合に存ぜられますので、現在の地方財政の状況のままではこの問題は困難ではないかというふうに思います。
  19. 田村元

    田村委員 次に、防犯灯は、昨年の三月の閣議決定事項でしたか、警察庁の方、そうですね。
  20. 綱井輝夫

    ○綱井説明員 そうです。
  21. 田村元

    田村委員 その後防犯灯設置はどういうふうに進んでおるのですか。
  22. 綱井輝夫

    ○綱井説明員 昨年三月に、御指摘のように整備要綱ができまして、その後関係機関あるいは民間等々でこの運動を進めました結果、昨年一カ年間で設置された数字は、約二十二万三千五百灯というふうに見られております。
  23. 田村元

    田村委員 先ほどから提案者並びに関係当局の御説明を伺いまして、趣旨としては非常にけっこうなのでありますけれども、現実の問題としてこれはある意味においては雲をつかむような話に感ぜられる。でありますから、これは将来どうしてもやらなければならぬ問題ではありましょうけれども、もう少し財政的にいろいろと検討をして、慎重に扱うべきものではなかろうか、かように考えます。その辺に駐車場を作るという程度のものじゃないので、提案者にももう少し慎重にお考えを願いたいと私から希望するわけであります。  最後に、大蔵政務次官にちょっと御質問申し上げますが、この法案は全国の道路道路付属物として街灯を作れという法案なんです。そこで、全部をつければ数千億という金がかかるけれども、とりあえず初年度は三十億くらいで、漸進的にだんだんと完備していこうという法案でありますけれども、大蔵省としては、これに対してどのようにお考えか。これは答弁を御用意なさっておられないと思うので、私からいきなりぶしつけに聞いたのではまことに申しわけないと思うけれども、しかし、この程度のことは御答弁できるだろうと思うので、ちょっと伺うわけであります。
  24. 天野公義

    ○天野政府委員 御趣旨の点はよくわかりまして、大へんいいことだろうと思いますけれども、それでは三十七年度はどうかといいますと、予算措置ももう立てたことでもありますし、今後の問題はどうかということになりますと、国や地方公共団体のいろいろな財政措置考えなければなりませんし、長期的な大きな問題でありますので、ほんとうに慎重に検討していかなければならない問題であろうと思います。
  25. 二階堂進

    二階堂委員長 石川次夫君。
  26. 石川次夫

    ○石川委員 街灯整備促進法案の御趣旨を伺いまして、まことにもっともだと思います。特に、警視庁管内だけの統計しか出ておらぬようでありますが、前照灯幻惑による事故が四百四十二件、街灯がないか、不足によって起こった事故が千八百二十件、一人の命は、地球の重さより重いということがよくいわれております。街灯があって、照明が一定の基準を越えておるというようなことで、初めて道路として認め得るというふうな考え方は、やはり世界先進国並みに日本でも持たなければならぬことではなかろうかと考えております。  それで、私事になって大へん恐縮でありますが、実は、私のうちが一級国道六号国道に面しておりますが、そこから、ちょっと入ったところで、街灯がないために、婦女暴行が頻発しております。その中でも結婚を前に控えたという人の問題が起こりまして、これをきっかけにして、どうしても街灯をつけてもらいたいということを市役所の方に陳情して、街灯をつけてからそこの地帯でのそういう事件は一件も起こらなくなったという現実の問題が私の身近にあったものだから、なおさら街灯というものはどうしても必要じゃないか、いま少し町を明るくしなければならぬという必要を痛感しております。  あと一つ、実は、去年ヨーロッパの方に参りまして、ついでに、私一人でソビエトに行ったのでありますが、ソビエトでは、ヘッド・ランプは全然自動車につけさせません。ソビエトのことを言いますと、反発される方も多いかもしれませんが、いいことはいいと思ってはっきり認めなければならぬと思いますが、スモール・ランプだけで自動車が走っております。そのかわり街灯は実に整然と整備されておるというような状態を見て参りました。前照灯幻惑による事故は非常に多いわけでありますから、なるほど、こういうことならば、都内の非常に混雑をしたところでも事故は起こらないのではないかということで、非常に感心をしたわけであります。  そういうふうに、犯罪の問題、あるいはまた事故防止の問題からいいましても、一定の基準照明をつけたものを初めて道路として認めるというような考え方にしなければならぬ。田村さんの方から、いろいろ予算の関係や何かで実施困難ではなかろうかというような御質問もあったようでありますけれども、考え方はあくまでもやはり街灯があるのが道路であるという考え方でいかなければならぬという意味で、提案者の御趣旨には、われわれとしてはまことに賛成せざるを得ないことでありますけれども、これに関連しまして、今までの経過の中で、自民党が、治安対策特別委員会を昨年持ちましたときに、これを大きな問題として取り上げまして、自治省、警察庁、建設省通産省あるいはその他の関係官庁で協議をして、その結果、立法措置はとらないで、行政措置でやろうというふうにきめたように聞いておりますけれども、その後、行政措置を行なったというふうなことを寡聞にしてわれわれ聞いておりません。従って、その経過は一体どうなっておるか。これが行政措置が適切にとられておらないということから、ここで協議が整ったという形にはなっておらないのではないかというふうに考えられるわけなんです。これは建設大臣が大へんこの問題では関係されておると思うので、その辺のいきさつについて伺いたいということと、あわせて、私が先ほど申し上げましたように、防犯の関係、事故防止の関係から、どうしてもやはり街路灯は一定基準以上を義務づけてやる、いきなりは予算の関係があって全部完備するということはむずかしいかもしれませんけれども、ある意味での立法措置は、どうしても必要だ、こう思うわけなんです。それが必要であるかどうかという点について建設大臣の御意見あるいは自治省と警察庁あたりの見解を一つ伺いたいと思います。
  27. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 街路灯が必要でありますことは、私どもも同感に存ずるのでございますが、ただ問題は、まだ道路整備ということが相当日本はおくれておりまして、整備に目下精一ぱいの努力をいたしておるのでありますが、これとても意のごとく進んでいないような状態でございます。従いまして、街路灯も全面的にただいまの御提案のように整備をしていけばよろしいことは間違いないのでありますが、そういうような諸般の情勢から見まして、私どもとしましては、道路交通の激しいところとかあるいは横断者、歩道者の多いところとか、緊要な部分についてまずさしあたり整備をいたして参りたいということで年々計画を立てまして、三十七年度におきましても、先ほど事務当局から御説明申し上げましたようにできるだけの整備をはかっていきたい、かように考えておるのであります。従いましてこの種の事柄は、趣旨はいいことで間違いないのでありまして、経費の関係あるいは一般道路整備事業との関係等もありますから、固定した立法等によらずに、考え方は私ども同感でございますから、行政措置として極力財政の事情の許す限りあるいは道路整備の状況とにらみ合わせまして、逐次整備して参るのが妥当ではないだろうか、目下のところ私どもさように考えておる次第でございます。
  28. 綱井輝夫

    ○綱井説明員 警察といたしましては防犯灯がふえればふえるほど、あるいは交通事故防止の面から、あるいは犯罪一般、刑法犯防止の面からも非常にけっこうなことでございますので、そういう御趣旨には非常に賛成でございますが、法律上の問題あるいは予算上の問題等もございますので、今後とも各関係機関と連絡をとりましていろいろな措置を進めて参りたい、かように考えております。
  29. 石川次夫

    ○石川委員 どうも立法措置が必要かどうかということに対する答弁が、あまりはっきりしないようです。やはり一定の標準を与えた道路道路として認めるという考え方になるということが必要だと思うので、その前提としては、ある意味での基準というものをはっきり設けるということで立法措置がなければ、どうもあちらこちらで非常に不均衡が生まれ、どうしても手ぬかりができるということにならざるを得ないんじゃないかという点で、われわれとしては立法措置がどうしても必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。  その点はそのくらいにしまして先に進みますけれども、今の道路照明現状は一体どういうことになっておるか、一体どのくらい照明というものに基準を設けて、犯罪防止のためにどの程度にしなければならぬかというような点での一応の資料というふうなものを、道路局あるいは警察庁あたりでお持ちになっておるかどうか、この点をまず伺いたいと思います。
  30. 綱井輝夫

    ○綱井説明員 これは非常に技術的な問題がございますので、いろいろ関係機関と打ち合わせをしたいと思いますが、現在手元に資料を持っておりませんので、特に御必要のような場合にはあとから差し上げるようにしたいと思います。
  31. 河北正治

    河北政府委員 一級国道の指定等につきましては、先ほどお答えしましたように千八百三十灯でございます。二級国道以下については、統計がただいまのところございません。
  32. 石川次夫

    ○石川委員 私は一級国道全般についてやるということにした場合に一体どういうことになるかというふうな資料をお持ちかどうか、それを伺ったわけです。それはまたあらためて伺いますけれども、警察庁としてはやはり防犯の意味からいってもどうしても街路灯を完備しなければならぬということから先ほども御説明がありましたよう一に、設置指導をやっておるように伺っておりますけれども、これは都内だけでも四百四十二件、及び街路灯がないあるいは不足による千八百二十件というような交通事故が生まれている。これで全国的には一体どういうふうな件数になるかというと、およそ都内から類推すれば、街路灯のないことによって起こる事故というものは相当あるのではないかと思うのですけれども、そういう資料に基づいて街路灯が必要であるというデータその他が相当出てくると思うのですが、この資料は一体どこでお持ちになっておりますか、それを一つ伺いたい。これは自治省の方でしょう。
  33. 山本悟

    ○山本説明員 現在防犯灯の関係で負担者別に見ますと、国及び地方公共団体のほか各種の町内会、商店会等で管理費を持っているものが相当数あるわけでございまして、全部が全部公費の負担という格好で管理しているものではないというふうに存じております。
  34. 石川次夫

    ○石川委員 的はずれの答弁ばかりで困るのですが、実は今伺っているのは、全国的には街路灯のないために起こっている事故が一体どのくらいあるか、その統計資料はどこでお持ちになっているか、こういうことを伺っているのです。
  35. 山本悟

    ○山本説明員 自治省では御指摘の統計は持っておりません。
  36. 石川次夫

    ○石川委員 警視庁だけでも相当大きな件数があるというところから推して見ると、相当の事故があると思うのです。先ほどのことをまた繰り返すようになりますけれども、モスクワなんかは街路灯だけにたよって自動車交通をやっているというようなことであるから、前照灯幻惑によるところの事故というものは、ほとんど皆無に等しいのではないかということで、この点は非常に感心させられたわけです。日本ではそういうことによる事故は相当の数に上っていると思わざるを得ない。従って、そういう統計の上に立って資料を見ればどうしてもやらなければならぬという気持にならざるを得ないのではないかという数字が、そこから当然生まれてくるのではないか。ところが観念的にただ警視庁関係の資料だけで、ばく然と費用がかかるとかなんとかおっしゃっているけれども、全国的な数字が出れば、これは大へんだということにならざるを得ないという意味で、この資料すらもないということでは、私は街路灯に関する熱意が非常に不足しているのではないかと考えざるを得ないわけです。  それから次に移りますけれども、街路灯電気料金の話が先ほど田村さんの方から質問がありましたから私は省略いたしますけれども戦前はたしか二割引という措置もあったし、現在は九州電力と東電は料金改定のときに一割引きというようなことを現実に行なっているという御説明を受けたのでございますけれども、電気料金の算出の仕方はわれわれとしてはいろいろ疑問の点がたくさんあるわけであります。大企業のところにはあれほど安くして、原価主義といっても少し安過ぎるのではないかという批判もあるわけです。そういうところから言いましても、政策料金ではないといっても、政策的な意味を加味されている電気料金というものが一部に存在しておるという観点から考えまして、人間の生命を守る、事故防止あるいはまた犯罪を防止するという意味からも、この街路灯に関する考え方というものは公益的にどうしても必要なんだということになりますと、これは家庭電気料金というものではなしに政策的な意味を加味いたしまして、安い値段で電気料金というものを算定をし、これを賦課するということが私は必要ではないかと思う。これは提案者趣旨に全く同感であります。この点については先ほど公益事業局長の方から御説明がありましたからあえて追及はいたしませんけれども、街路灯料金を軽減してくれという陳情——町内会やあるいは商店会等で負担をしておりますが、相当ひんぱんに陳情が出ているのじゃないかと思うのです。この現状は一体どういうことになっておりますか、一つお知らせ願いたい。
  37. 樋詰誠明

    樋詰政府委員 全国市議会の議長さんあるいは東北六県の商工会議所の連合会、それから第十回青少年問題九州地区会議といったようなところから街路灯に対する電気料金の特別割引をしてほしいという趣旨の陳情をいただいております。
  38. 石川次夫

    ○石川委員 これは基本的な考え方からいえば、一定の照明を与えた街路灯を備えたものが、道路としての資格を備えるという考え方にならなければいかぬと思うので、そういう点からいえば、やはり街路灯というものは相当私は軽減してしかるべきではないか、こう思わざるを得ないわけです。その点については電気料金改定のときもそうでございますけれども、これは建設大臣としてもよほどしっかりお考えいただいて、この街路灯電気料金というものは、今までいろいろいきさつがあってめんどうな問題ではありますけれども、ぜひこれは安くするいうと住民の世論といいますかそういう要望にこたえるような方向で考え方を進めてもらわなければ困る、こういうことを強く御要望申し上げておきます。  それからオリンピックを前に控えまして、この道路照明というものは日本の場合は相当問題になるといいますか批判をされるのじゃないかと考えておる。オリンピック道路というものは今どういうふうになっているかわかりませんけれども、街路灯を備えるというふうなことはあと回しだということになっているのじゃないかという気もするのです。しかしながら、外国に行かれた方はおわかりになっておるように、およそ街路灯のない街路というものはほとんど存在しないといってもいいくらい外国ではきちんと街路灯を備えたものが道路であるという考え方になっている。この場合に外国からオリンピックで来て批判を受けないような態勢になっておるかどうか、そういうふうに予算措置ができておるかどうか、その点を道路局長に伺いたいと思います。
  39. 河北正治

    河北政府委員 オリンピック関係の道路は目下建設中でございますので、照明につきましてもその工事過程において十分考えていきたいと思います。それからその他都内の一級国道につきましても三十七年度約十二キロばかりの街路灯設置の計画を持っております。
  40. 二階堂進

    二階堂委員長 ちょっと石川委員に申し上げますが、理事会の申し合わせもございますので、時間の都合で、あとまだ田中幾三郎君よりも発言の申し出がありますので、なるべく簡単にお願いいたします。
  41. 石川次夫

    ○石川委員 委員長の御要望ですからあと一回で質問を打ち切りたいと思いますが、今申し上げましたように、防犯上あるいはまた事故防止という観点から、これはほんとうに国民の強く熱望している点であると思うのであります。今伺いますと予算措置あるいは電気料金の問題等いろいろ困難な点は多いと思いますけれども、何とかしてこれは実現したいという提案者の御趣旨にわれわれとしては全面的に賛成をしたいと思うのでございます。  提案者に伺いますけれども、いろいろ困難な点はありますが、どうしてもこれを実現したいという北山さんの熱意というものはよく理解できるわけでございます。しかし今の御答弁において、立法措置なしに、何か腰だめ的といいますか思いつきでもってアトランダムにやるというふうなことでは街路灯整備というものは不可能じゃないか、非常に立ちおくれるのじゃないかという点でわれわれとしては非常に心配しております。その点について北山さんの方に御意見があれば伺いたいと思います。
  42. 北山愛郎

    北山議員 実は私もただいまの政府側の答弁を聞いておりましてまことに不満でございます。私自身がいろいろ質問をしたいような気持になるのですが、おそらく腹の中ではこういう法律があった方がいい、特に警察なんかはそう思っておると思うのです。ですから率直にそういうふうに言った方がいいと思うのですけれども、そうじゃなくてやはり役所らしい、役人らしい答弁に終始していることはまことに残念であります。特に、ここに警察庁が出した資料がございますが、夜間犯罪と防犯灯との関係なんかについても、防犯灯あるいは照明がないための犯罪が多いということ、あるいは防犯灯があったために、照明があったために効果があったというふうな事例がたくさん載せられてあるわけであります。私自身もこれを提案した動機の一つは、例の数年前の荒川の通り魔事件でたくさんの女の方々が犠牲になりましたが、そのときに新聞の端の方に荒川のその地区の婦人会が街灯電気料金を軽減してもらいたいという決議をしたということが載っておったわけであります。ですからいかに夜間暗いところを歩くことが危険か、あるいは子供たちにそういうところを歩かせることを親たちが常に心配しておる、そういう気持はおそらく全国的にあるのじゃないか、従って、こういうことを単に地元の住民に自分の負担でもって設置をさせて、そうして政府や国会が黙って見ておっていいだろうか、こういうことを率直に考えたわけであります。この警察庁の事例の中にも、札幌市内の通り魔事件とか釜石市内の殺人事件、東京都内の事務員殺しとか、また東京都内における婦女暴行事件とか、いろいろ具体的なケースが書いてあります。こういう点で、私は警察庁が率直にこの防犯灯あるいは街路照明が必要だということについて説明をすべきだ、むしろ要望すべきだと思うのであります。おそらく警察庁は、立法措置がなくて、仕方がないから行政措置で防犯灯を設置するという運動をただ宣伝しておるにとどまっておるのじゃないかと思うのです。また先ほどの政府側の答弁の中の、道路法にいう道路の一部であるかどうかという問題でありますが、道路法第二条には確かに管理者設置したものだけが道路照明であるというふうにされております。しかし、これは建前として道路照明道路の一部であるということをむしろ認めておるものだと私は思うのであります。しかも現状は、それ以外に沿線住民道路照明をつけるのに道路転用願を出して道路を使わしてもらって街灯をつける、そんなばかばかしい話は私はないと思う。街路についたところの照明道路交通のために必要であるにもかかわらず、沿線住民街灯をつけたいから一つ道路を占用させていただきたい、こんな逆なことをやっておる。これをわれわれは打破しなければならぬじゃないか、やはり原則として公道における道路照明というものは管理者の方に責任があるのだという建前をここではっきりする必要がある、こう考えて、私は立法措置がぜひ必要だと考えておるわけであります。  それから政府側の答弁の中にいろいろ統計上の問題あるいは技術上の問題についてまことに不明確です。これは調査しておらぬという証拠なんです。街路照明というものは、国民生活福祉に非常に関係のある問題でみんなが心配しておる問題で、この問題について政府が調査もしておらないという現実を暴露しておると思うのです。これは道路局の方で、現在予算がないから路面くらいで済ませておるので、まだ照明までは手が及ばない、こういう御説明でありますが、調査くらいはしておっていいと思うのです。しかも、一級国道についての照明灯をつけるのに一灯当たり非常に金がかかっておる。私は、なるべく安い経費で効果的な街路照明というものはどうあるべきかということを技術的に、少なくとも建設省は調査をし、研究をしておく、これだけの熱意が必要だと思うのです。私は先年そのことを道路局に聞きましたところが、調査がない。ではどこへ聞いたらいいかといったら、神田に照明学会というものがあるということを教えられて、照明学会に電話をしたところが、さっそくしてもらいました。要するに道路照明についての研究すらもしておらぬ。ここにも私は問題があると思うのであります。少なくともこういう点は改めていただきたい。いろいろな交通事故の問題にしても警視庁の管内の事例だけが載っておりますが、これも調査項目がおそらく不十分でありますために全部を網羅しておらないと思うのであります。全国的な統計に至っては警察庁にもない、こういう実態であります。しかし、われわれが身辺で見聞きし、また実際に自動車に乗ってみて、向こうからくる自動車のヘッドライトで目がくらんで手前のものが見えなくなる。ですから横断する人をはね飛ばす、こういう事故がたくさんあると私は思う。東京付近の幹線道路あるいは国道一号線ですらも、あるところもありますけれども、おそらく照明のないところがある。こういう現状交通の安全なりあるいは防犯という立場からどうしたらいいかということを、少なくとも政府が取り上げて調査をし、研究をし、そしてなるべく少ない費用で国も地方団体も住民も協力をしてこれを整備する、ここに今度の私どもの提案趣旨があるわけであります。全部国でやれとか、全部地方団体でやれとか、こういうことは言っておりません。沿線住民にもやはり負担してもらう、こうしてみんなが金を出し合って、この重要な道路照明街灯の問題を推進してもらいたいというのが、この立法の趣旨でございます。  いろいろ申し上げたいことはたくさんありますけれども、予算がないないといいながら地主補償には数千億も出そうという話すらもある。だから金がないなんというようなことは言ってもらいたくない。これ以外のいろいろな案件についても、これを全部文字通り一ぺんにやろうとすれば、何千億もかかるようなことをぼつぼつやっておるのが現状ではないか。そういう点を考えるならば、問題は、住民の福祉に身近な問題を、みんなが心配しておる問題を、政治が取り上げるか取り上げないか、こういう問題だと思う。現に昨年、これは与党の方でも取り上げて検討された。また政府の方でもわざわざ数回にわたって協議をしたはずです。建設省、自治省、警察庁それから通産省、これが協議をした結果、話がまとまらないから行政措置でやっている。なぜまとまらないか。おそらく各市町長がしり込みをするから、大蔵省がこんな新しい問題を取り上げると予算がかかるということを心配するから、あるいは通産省電気料金が引き下げになる、政策料金が入ってくると、今の独占大企業といいますか、電力資本の利益に影響するなんということをあるいは考えたかもしれない。われわれはそう邪推せざるを得ないのです。電力事業というものが公益企業である、それだからこそ特別な独占企業としての保護を受け援助を受けておる。ところが料金の方は原価主義だ、そんなばかな話は私はないと思うのです。ですから当然必要なものは政策料金をどしどし採用すべきだ、こういう趣旨を全部盛り込んでおるわけであります。もちろん新しい法案でございますから、いろいろ内容的に見ましても完全でない点もあろうかと思いますが、私どもとしては昭和三十五年以来、いわゆる三年越しの法案でありまして、初めてきょう審議されたということはほんとうにうれしく思いますが、どうぞこの問題の重要性というものをよく認められまして、なるべくすみやかに皆さんの御協力を得て、こういう街灯整備の問題が立法化されるように私は衷心からお願いを申し上げたいのであります。
  43. 二階堂進

  44. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 時間があまりないようですから、私は基本的な問題について一、二お尋ねをいたしたいと思うのであります。この提案趣旨説明にもうたってありますが、街路灯道路法第二条の規定で道路の一部であるということを書いてありますが、道路法によりましてもわかりますように、やはり道路付属物道路と一体をなして、一部をなしておる。従いまして、この道路管理の内容に、道路路面のみでなく、街路灯も入ると思うのでありますが、その点を御答弁願いたい。
  45. 河北正治

    河北政府委員 御指摘の通り道路管理者設置したものが道路法付属物である街灯でございます。
  46. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 そこで私は街路灯設置する義務をこの法律で与えることがどうとかという問題でなしに、その以前の問題として、街路灯設置する責任というものが当然出てくると思うのであります。先年仙台市におきまして、道路のまん中に穴があいておりまして、そこを通行する自動車でございましたか自転車でありましたか、そこへ落ち込んで非常なけがをした。そこで管理者管理するときに義務を尽くさなかったということで、国家賠償法によって仙台の市長を被告として損害賠償を起こし、一審では市長の敗訴になりました。管理すべき義務を怠ったので当然賠償法によって責任を果たすべきである。仙台の高等裁判所にもこの一審の判決が維持されたように私は記憶いたしておるのであります。先ほど来街路灯のないために犯罪が起こる、あるいは事故が非常に起こる。この調べによっても千四百数件から街路灯のないために事故が起こっておる。そうしますると、この第十八条の一項の規定によって、設置すべき街路灯設置していなかったということは、道路管理責任を果たさなかったという結論になります。従いましてこの街路灯がなかったために自分自身が道を誤ってけがをした、こういうような場合には、やはり私は道路管理者責任を果たさなかったということで、国家賠償法によって責任を負うべきものであるという結論が、この仙台における地方裁判所の判例に見るように起こってくると思う。これは法務省の人がいないからなんですが、どなたか御答弁いただけますか。
  47. 河北正治

    河北政府委員 法律論で、道路管理者のどうこうということは、私ちょっとお答えいたしかねますが、先ほども大臣が、たしか石川先生の御質問でしたか、田村先生の御質問でしたかにお答えになられたように、私どもといたしましては、とにかく道路の改良、舗装に今までは重点を置いて参りました。街灯等の整備というよりも、むしろ改良舗装というものに重点を置いて参りましたことは確かでございます。一級国道につきましては新しい交通事故の防止という観点からも、街灯整備に最近では十分意を注いでおるつもりでございます。
  48. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 これは交通事故を防止するという交通事故の方から見ないで、事故を起こした責任という管理者立場から考究しなければならないのであって、単に道路の新設あるいは路面の舗装ということは、交通そのものをよくするといういわゆる行政上の措置から来るのでありますけれども、事故を起こしたその責任をいかにするかという点からいえば、当然道路管理の内容になるところの街路灯設置責任という問題が法律上出てくるわけです。私の郷里の紀州に矢ノ川峠というのがありますが、そこは非常に道路の悪い、曲折の多い、勾配も非常に急激な峠でしたけれども、十数年間国鉄の事故一つも起こらなかった、無事故であります。私どもそこを通ってみますと、雨が降れば飛行機がちゃんと、写真をとって、どこの点がくずれておるということを見て、自動車が通る前にそこに標識をちゃんと立てる、つまり道路管理が完備されておったがために、注意を喚起したがために十数年間無事故であった。ですから道路整備ということあるいは事故防止、犯罪防止ということを考える場合には、その事故が何で起こったかという責任立場から考究しなければならないので、あって、予算が少ないとかどうとかいう問題じゃないと私は思うのです。街路灯がないためにそこで人が殺された、その責任まで国家賠償法によって言うことはできないかもしれません。しかしその場所が、街路灯がないために何回もそういう犯罪が繰り返されて、ここは危険な場所であるということを知りつつ、なおかつそこに街路灯をつけなかったということが明らかになった場合には、やはり街路灯がなかったために人殺しが起こった、それに対する責任を民事的に追及するようなこともないとも限らないと思うのであります。従いまして、その管理責任をどこまでやるかということは問題でありますけれども、しかし管理をしなかったということのために事故が起こったときには、当然国家賠償法によって責任があるのでありますから、むしろ街路灯設置の義務というものはこの法律から生まれてくるのではなくして、そういう国家賠償法という大きな立場からその責任が出てくるのでありますから、そういう点を十分に頭に置いていただいてこの政策を推し進めていただかないと、政策をあやまるのではないかと私は思う。  建設大臣が見えましたからもう一ぺん繰り返して今の点だけお伺いします。これは建設大臣も法律家ですから御存じだろうと思うのですが、先年仙台の道路のまん中に穴があいておって、島野君が市長でしたけれども、管理が十分でなかったというので国家賠償法によって請求訴訟を起こされて、仙台市長が敗訴になった。高等裁判所でもこの判決を維持されておるように私は記憶するのでありますが、この街路灯道路の一部である、十八条の規定によって設置される街路灯道路の一部であるとしますならば、路面と同じように道路管理の内容になる、その道路管理の内容であるところの街路灯設置すべきところへ設置しなかったがために事故が起こったという場合には、やはり道路のまん中に穴があいておったのと同じように、管理責任を尽くさなかったから、そこに起こった事故に対して管理者に対して責任を追及されるということがあろうと思う。これは一つ一つ事故について管理者責任があると私は申しません。申しませんが、だれが見てもそこに街路灯をつけなければ事故が起こるというおそれがある場合に、そこに街路灯をつけない場合には、やはり私は街路灯をつけないことは道路管理を十分に尽くさなかったということによって、国家賠償法によって管理者としての責任を追及される場合があり得ると思うのですけれども、どういうお考えでしょうか。
  49. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 先ほど来いろいろ拝聴いたしておりますと、交通安全のための街路灯犯罪防止のための防犯灯と一緒になったような議論のように、いろいろ混線しておるように思います。街路について、道路の構造の一部として照明が要るとすれば、これは交通安全ということが主でなければならぬと私は思います。従いまして、外国の事例はよく存じませんが、将来日本の国で街路灯を逐次整備していくにいたしましても、やはり幹線道路あるいは主要道路ということに自然なっていくので、犯罪のための照明ということになりますと、むしろ町村道でありますとか区道でありますとか住宅地道路でありますとか、地方道の範囲が非常に多いのじゃないかと思います。従いまして、この二つはやはり区別して監察をしていく必要があるだろうと私は思うのであります。今のような御意見は、もし法律で道路と名のつくものは国道にせよ都道府県道にせよ市町村道にせよ、全部照明をして歩行者があかりがなくても歩けるように、あるいは犯罪の防止になるように照明すべきであるという法律ができれば、これは今のように照明がないから犯罪が起こったのである、従ってそれはそちらに責任があるという議論は成り立つかもしれませんが、今の段階ではそういう議論は私の常識では成り立たないように思うのであります。
  50. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 大臣のおっしゃる通りこれは二つあると思うが、私の申し上げるのは道路法に言う道路、従いまして、道路法の二条に掲げるところの道路付属物付属物のうちには街路灯が入る、しかも、その十八条の規定によるところの道路管理ということでありますから、この点に限れば道路管理者としては街路灯をそこにつける責任がある、この街路灯をつけなかったために事故が起こったという場合には、やはり国家が、管理者がこの責任を負わなければならぬ、どの道路にもということは私言っておるのじゃありません。この道路法に言うところの道路管理者としての内容に属する街路灯をつけなかった場合に事故が起こった、この場合だって十分に注意しておればいいかもしれませんけれども、しかしだれが見てもここに街路灯をつけなければ事故が起こるという、そういう条件の場所には、やはり街路灯をつけなければ私は国家の責任というもの管理者責任というものが起こり得るのではないかということを申し上げておるのであります。
  51. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 先ほど道路局長がお答えを申し上げましたように、現在では道路管理者道路照明のために街路灯設置いたしました場合には、その街路灯道路付属物になるということになっておるわけでございます。すべて道路街路灯をつけなければならないという義務、つけの法制は、現在のところないのであります。道路法の第二条の二項でありますか、これに「第十八条第一項に規定する道路管理者の設けるもの」、設けたその街路灯道路の一部をなす、こういうことになっておりますので、先ほどの問題とはちょっと現在の制度が違うんじゃないかと思うわけであります。
  52. 田中幾三郎

    ○田中(幾)委員 解釈は、私も少し研究いたしてみましょう。それにしても管理者のつけた街路灯だけが道路の一部であるから、それのみが管理の内容だ。その点さしあたってここで議論をするわけにいきませんから進めませんけれども、しかし一歩進んでこういう趣旨から推論していけば、少なくとも一級、二級という国道については、やはり路面と同じようにそこの交通の安全をはかるということも、管理者としての設置責任ではないけれども、道路の安全をはかるための責任というものが出てきやしないかと思うのでありまして、この点は法律を待たずに当然に出てくるような気がいたしますので、その点は法律を待たずして政府の設置責任ではないかと考えるのでありまして、その点を少し頭に置いていただいてこの法案の後の審議を進めていただきたい。その他の点については政治上、行政上の問題でありますから、きょうは時間がありませんのでまた機会をみてお尋ねをいたしたいと思います。本日はこの程度でやめておきます。
  53. 日野吉夫

    ○日野委員 関連。僕仙台ですが、損害償賠の訴訟の問題の経緯は田中さんの言われる通りです。ただ、今の管理者が作った照明施設、そうしたものには管理の義務がある、こういう解釈のようですが、今仙台でこういう実例があるのです。防犯上あるいは危険防止の建前から、都市計画で作った街路灯に、町内会等が見るに忍びなくて、管理者がやらぬから照明灯をつけているのです。水銀灯などをつけてこの施設を市に寄付した。市はこの寄付を採納したということになれば、これは管理者が作ったものじゃないけれども、管理は当然市の責任になるとわれわれは解するのだが、それは今の道路法の二条二項、それをも含む管理者が施設したものだけという今の大臣の解釈のようだが、そういう寄付を受け付けたということになれば、これは当然管理者がそれらの照明灯に対しても責任を負うと解すべきものじゃないだろうか、その点はどうですか。
  54. 河北正治

    河北政府委員 地元で作っていただきまして、寄付申し出がありまして、道路管理者がこの寄付を受け入れた場合には、その照明灯は道路付属物である街灯になります。
  55. 日野吉夫

    ○日野委員 私もこの法律の賛成者になっておるようですが、実例を申し上げますと、やはりこれは将来義務づける必要があると思うのです。そういう方向に将来は考えていただきたい。町を明るくすること、危険を防止すること、そういうことに反対する何らの理由はないし、われわれ、うちの周辺に非常な危険が迫っておる。都市計画で新しい法案の関係から道路を作ったら、暗いものだからアベック道路になったり、いろいろの事態が起こって、夜中に若い子の悲鳴を聞くというようなことが起こって、やむを得ずそういう施設を町内でもって作って、それを寄付したというようなことになっているので、やはり街路灯は明るくし、これを義務づけるという方向に将来持っていくべきだと思いますが、それに対して建設大臣意見を伺っておきます。
  56. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 先ほども申し上げましたように、道路整備自体がまだ非常に不十分な現段階でございますから、私どもとしても、先の将来のことはお話のように考えますが、さしあたっての問題としましては、交通量の多いところ、あるいは横断歩道者の多いようなところ、事故の起きやすいようなところ、こういう個所を一定の規格に基づきまして選定をして、こういう緊要な場所にまず整備をしていくということが先決問題ではなかろうかと思います。かように進めて参りまして、さて十分に財政上の余裕もでき、電力の経常費である料金負担問題も解決ができるような時期がくれば、これはまた別の問題であろうと思いますが、さしあたりとしましては、私どもとしましては、そういう角度で緊要な部分に急いで整備をしていきたい、こう思っておるわけでございます。      ————◇—————
  57. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、治山治水事業計画に関する件について、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、田村元君より、本委員会において決議されたいとの動議が提出されております。  田村元君より趣旨説明を聴取いたします。田村元君。
  58. 田村元

    田村委員 私は、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党を代表いたしまして、治山治水事業十カ年計画を改訂する決議案を提案いたしたいと思います。  まず、案文を朗読いたします。  治山治水事業十箇年計画改訂決議案  政府は、近年頻発する風水害が、わが国の産業、経済、民生に甚大な打撃を与えている実情にかんがみ、治山治水事業を格段に推進し、もって国土の保全と防災の万全を図るため、すみやかに治山治水事業十箇年計画を再検討し、これが抜本的改訂を期すること。右決議する。  この決議案の提案に関する理由を簡単に御説明申し上げたいと思います。  最近、風水害の発生状況は、はなはだ激しく、かつ頻発であります。狩野川台風、伊勢湾台風、さらに昨年度においては梅雨前線豪雨、第二室戸台風等の大災害が相次ぎまして、国民生活に対しましてはもちろん、わが国経済の発展にも重大な影響を与えておることは、諸君周知のところであります。  政府は、このような実情にもかかわらず、国土保全の基本である治山治水事業については、単に計画の繰り上げ施行と称して当面を糊塗しているにすぎないと私は考えます。  かつまた、災害に伴う新たな緊要事業の発生に伴って、計画上の残事業費は著しく減少して、すでに昭和三十八年度、九年度の二カ年の残事業費を合わせましても昭和三十七年度の予算に及ばないというような現状であります。治山治水事業十カ年計画の目標達成に大きな支障を与えておることはまことに憂慮にたえない次第であります。  かかる事態にかんがみまして、政府はこの際、すみやかに治山治水事業十カ年計画を再検討し、抜本的にその改訂をはかるべきであると考える次第であります。  そのような趣旨から本決議案を提案いたした次第でありまして、何とぞ全会一致の御賛成を賜わりますようにお願いを申し上げて、趣旨弁明にいたします。
  59. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動機に対しまして発言の申し出があります。これを許します。中島巖君。
  60. 中島巖

    中島(巖)委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、ただいま田村元君より提案になりました治山治水事業十カ年計画改訂決議案に賛成するものであります。  現在の治水事業十カ年計画は去る三十五年末閣議決定したもので、治山治水緊急措置法に基づき三十五年度から前期五カ年間に三千六百五十億、四十年度から後期五カ年間に四千八百五十億、合わせて八千五百億に相当する事業を実施するものとしております。  ところが、昨年夏から秋にかけて集中豪雨、第二室戸台風など予想以上の災害が続発し、治水対策強化の声が高まり、このため、政府は三十七年度予算案で特に中小河川の改修、低地の排水施設、下流部の高潮対策、上流部の砂防など諸対策の促進強化に力点を置き、事業費八百十七億と、前年度に比べて二三%増に当たるほどの予算拡充をはかって、治水十カ年計画の年平均伸び率二・六%であるのに比べてかなり大幅な増大であります。建設当局の説明によると、このような三十七年度の拡充は主として治水計画の繰り上げ実施、すなわち、予算の先食いでまかなっておるのであります。この結果は、三十八年度以降の事業計画にかなりの影響を及ぼし、もし次々に繰り上げ実施を行なうと仮定いたしますれば、治水十カ年計画の根本体系が全くくずれることとなっております。特に大阪、東京の高潮対策の強化は、当初としては来年度から三カ年計画で約百六十億に上る事業計画を起案いたしておると聞いております。これは前期五カ年計画で予定した高潮事業費の三倍近くに当たるものであって、この新規増額分では、とうてい繰り上げ方式ではまかない切れるものではないと思います。このほか、治水事業にかかる被害工事など工事単価は三十五年、三十六年にかけて平均一五%程度の値上がりを示しております。このような要素を加味すると、どうしても治水十カ年計画の抜本的改訂が必要になってきておると思うのであります。  こういうような意味からいたしまして、政府はすみやかに昭和二十八年度を当初とする治水新十カ年計画を策定すべき必要に迫られておると思うのであります。  以上簡単に申し上げまして、三党代表の田村元君の原案に賛成の意を表するものであります。
  61. 二階堂進

    二階堂委員長 他に御発言はありませんか。——別にないようでありますので、本動議の通り議決し、議長に報告の上、関係方面に参考送付することにいたしたと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  この際、中村建設大臣及び天野大蔵政務次官より発言を求められております。これを許します。中村建設大臣
  63. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 御承知通り、日本の国は毎年災害が襲来いたしまして莫大な損害を受けておる現状にありますので、この災害を防止するために治水事業を極力活発に進める必要のありますことは、私どもも心から痛感いたしておる次第でございます。なお、現在実施中の治水十カ年計画の前期五カ年計画について見ますと、すでに昭和三十七年度が五カ年計画の三年目でございますが、残された二年度分の予算は三十六年、三十七年にわたりまして相当余儀なく先食いをして繰り上げ施行いたしてきておるのであります。残った計画量をあとの二年に均分いたしましても、三十七年度より相当下回るような状態になってきておりますから、何らかの措置を講じなければならない段階にきておりますことは、私どもも承知いたしておるわけでございます。従いまして、御決議の趣旨に対しましては、極力御趣旨を尊重いたしまして、御期待に沿うように微力を尽くしたい、かように考えております。
  64. 天野公義

    ○天野政府委員 治山治水事業が非常に重大なことであることは御承知通りでございまして、三十五年に十カ年計画を立ててその実行を着々と急いでやっておるような次第でございます。現在の計画の点から言いますと、所得倍増計画のうちに入っておりますし、また、これに関連するいろいろな計画がございまして、この変更ということになりますと、その計画にいろいろと波及するおそれもありますので、軽々にこれを変更するということはなかなかむずかしいのではないかと思う次第でございます。ただいま御決議をいただきました趣旨にもかんがみ、その趣旨を十分尊重いたし、また、計画発足後、高潮対策等におきましては、新事態も発生いたしておるわけでございますから、建設省当局からの御提議がありました場合におきましては、御決議の点を尊重しながら慎重に検討して参りたいと思っております。
  65. 二階堂進

    二階堂委員長 次回は明七日月曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後零時二十八分散会