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1962-04-18 第40回国会 衆議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十八日(水曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君    理事 松澤 雄藏君 理事 石川 次夫君    理事 山中日露史君       逢澤  寛君    井原 岸高君       金丸  信君    徳安 實藏君       廣瀬 正雄君    前田 義雄君       山口 好一君    岡本 隆一君       兒玉 末男君    佐野 憲治君       實川 清之君    日野 吉夫君       三宅 正一君    田中幾三郎君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 榮作君         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         通商産業事務官         (企業局長)  佐橋  滋君         建設事務官         (計画局長)  関盛 吉雄君         建設事務官         (都市局長)  前田 光嘉君         建設事務官         (住宅局長)  齋藤 常勝君  委員外出席者         建 設 技 官         (住宅局建築指         導課長)    前岡 幹夫君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 四月十七日  委員兒玉末男辞任につき、その補欠として栗  林三郎君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員栗林三郎辞任につき、その補欠として兒  玉末男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月十三日  建築物用地下水採取規制に関する法律案(  内閣提出第一四一号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建築物用地下水採取規制に関する法律案(  内閣提出第一四一号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  建築物用地下水採取規制に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  前会に引き続き質疑を続行いたします。岡本隆一君。
  3. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 通産大臣は時間に制限があるそうでございますから、先にお伺いしたいと思います。  地盤沈下対策としてビル用水規制が出て参りましたし、また工業用水法改正しようという御意向、まことにけっこうであります。ところで地盤沈下対策という立場から考えていくときには、ビル用水規制工業用水規制も同じ考え方に立脚してやっていかなければならない。従って、元来ならこれは地盤沈下防止のための地下水くみ上げ規制に関する法律というふうな形で一本化したものでなければならない。ところが、これが別々に行なわれておるという点に私は少し不満を持っておるわけであります。そこで工業用水法改正案とそれからビル用水規制法案とを比べてみますと、相当な開きがあるわけであります。それでまず第一に工業用水法について、私たち立場から、国土保全という考え方からいって疑問点に思い、それから不満に思う点を二、三通産大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、第三条で「政令で定める地域」という許可を与える場合の条件でございますけれども、この政令で定める規制を行なうところの地域というのは、まず第一に地下水に対する水の供給量ですね。地下水の流れておる範囲において水をくんでいけば地盤沈下は起こらないわけです。だから、まず第一にそれぞれの水脈ごと許容量というものを測定して、その許容量範囲を越えてくみ上げが行なわれるおそれがある、こういうふうな場合には一応規制の対象にするというふうに考えなければならないと思うのでございます。原則的にそういう考え方に立って立法措置を講じていただくのが本来の建前であると思うのですが、この法律ではそうなっておらないのです。だから、国土保全上これでいいと思っておられるのか、あるいはやむを得ないからというふうなお考えなのか、その辺のところからまずお伺いしたいと思うのです。
  4. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私も、専門的ではございませんが、最近地盤沈下が非常にやかましくなりまして、いわゆる工業生産を担当するそういう意味工業用水、こういう立場だけからの規制では不十分だ、もっと積極的に、産業のあり方から見ましても、社会、国民生活に重大な影響を及ぼさないようにすることから当然経済的に考うべきことだし、世論の要求も非常に熾烈だからというので、今まで比較的制限がゆるかったものを今回強化していこう、こういう措置をとりました。その場合におきまして、ただいま岡本さんの言われるように、水脈許容量、これがまず第一に基準になるわけでございます。だから、指定地域云々、あるいは地盤沈下防止地域だとか、いろいろかようなことを申しておりますが、これは出てきた現象ではなくて、基礎的にはただいま御指摘になるような点を基準にして、そしてそれぞれの地域指定していこう、こういう考え方でございます。
  5. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういう考え方でありますと、第三条の二項の前項の政令規制を行なう地域というものは、現に地盤沈下して、すでに公害が発生しておる、水害が出たり、あるいは高潮に襲われたり、そういうふうな公害が発生しておる地域、それがまず第一の条件ですね。第二の条件として、「かつ、その地域工業用水道がすでに布設され、又は一年以内にその布設工事が開始される見込がある」こういうふうな二つ条件がつけられておるのです。だから工業用水道布設されなければ地域指定できないのです。そういうことになっておるという点で、これはビル規制にはないのです。ビル規制には、公害が発生するおそれがある場合ということだけより規定されておらない。ところが工業用水については、一応既存の水のくみ上げの権利というものを保全してやるという配慮があるのであろうと思うのでありますけれども、しかし、その配慮は別に考えたらいいと私は思うのです。規制地域としては一応ここはどんどんくんじゃいかぬのだということをぽんと打ち出す必要があると私は思うのです。ところがそれが、こういうふうなつけなくてもいいものをくっつけて、権利保全というものばかりを——ばかりというと語弊がありますが、非常に重要視して、一方ここはすでに公害の発生しているところなんだということを業者のすべてに知らしめることによって、くみ上げを行なっているものあるいは行なおうとするもの、そういうふうな人に、ここはもう水をどんどんくんじゃいかぬのだということをまず知らさなければいかぬと思うのです。そのためにはまず地域指定をやることが必要であると思うのです。もしすでに与えられておるところのくみ上げの権利というものを保全してやるためには、それは法律上そういう地域についてはすでにくんでいるものは、これにも経過措置がございますが、この経過措置をもう少し緩和していけばその権利保全はできるはずなんです。だから権利保全ということと、それから国土保全ということと二つを天びんにかけたとき、この改正権利保全に重点を置いて、国土保全というものを非常に軽視しておられると思うのでございますが、それについての大臣のお考えを承りたい。
  6. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 両方考えたつもりでございますが、法文の問題、事務当局からお答えさせたいと思います。
  7. 佐橋滋

    佐橋政府委員 ただいまの御指摘でございますが、地盤沈下を現に来たしておるということは、必ずしも条件ではございませんので、水位が低下しておる場合あるいは汚水塩水が混入するおそれのある場合というのが、一つ条件になっておるわけであります。工業用水布設可能性というのが、一つ条件になっておりますが、これは御承知のように、ただいまも御指摘がありましたが、工業につきましては、水というのがいわゆる生命でございまして、この既得権を剥奪するのには少なくとも代替水源というものの可能性がないと、これは非常に問題があるかと考えますので、現在われわれといたしましては、地盤沈下地帯あるいは地盤沈下を来たすおそれのあります場所につきましては、工業用水道布設を優先的に考慮いたしておりますので、こういった条項がありましても、これが制約になるということは、われわれの方としては考えておらないわけであります。
  8. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 なるほど水質保全ということは、これはもとより別問題です。水質保全ということと地盤沈下問題とは別問題です。あるいは随伴現象として出てくるかもしれませんが、とにかく私たちが問題にしておるのは、国土保全ということを問題にしておる。水質が汚濁するかせぬかは工業用水の方の、工業の問題であって、産業の問題であって、国土保全の問題じゃない。だから私たちが、この今度の問題を大きく取り上げて、工業用水法改正せよ、未利用水規制せよと大きく主張するゆえんのものは、国土保全という立場に立脚していくときに、この指定区域というものは、水質保全をする必要があるために指定されるのは、何ぼでも広く指定していただいたらけっこうです。しかしながら違った意味において、国土保全のために指定していくというふうな意味におけるところの指定は、これは水道布設される予定のあるところでなければいかぬ、こういうようなことをつけ加える必要はないと私は言うのです。むしろここは地盤沈下がすでに始まっておる、水をどんどんくみ上げちゃいかぬところだ、というところをまず指定して、そこで今度は、それじゃすでにくみ上げておるものについてはこういう措置を講じてあげます、こういうことを二段階にやれば、経過措置としてはかればいいのである。工業用水ができるまでは現在くみ上げているものは許可しましょう、こういうようにすればいい。そうでなければ指定されないところは工業用水道ができない、政府の方で計画しておらない、計画しておらないが、すでに地盤沈下は始まっておるというところがあるでしょう。そういうところはやっぱり新たにくもうとするものはとめるということをやらなければだめじゃないですか。それを私は言うのです。
  9. 佐橋滋

    佐橋政府委員 この三条で規定しております地下水水位の著しい低下あるいは汚水塩水混入というのは、決して水質を問題にしておるわけではありませんので、これは肺病の現象と同じで、塩水汚水が混入するような事態になりますと続いて地盤沈下が起こるということをわれわれの方は予期をいたしまして、そういう事態が出てくればこれはもういわゆる地域指定としての条件をかなえたものだ、こういうように予防的に考えておるわけであります。ただいま御指摘工業用水法は三十一年から施行いたしておりまして、そのときには今回の改正前でありまして、これは地下水の合理的な使用をはかるのだというところに主目的があったわけでありまして、地盤沈下は副次的な目的であったわけです。ところが今回の改正で、いわゆる水の合理的な利用とあわせて主目的地盤沈下を規定したわけであります。その意味におきまして、前からありますいわゆる工業用水工業にとって絶対なものであります関係上、代替水源条件というものを規定しておるわけでありまして、これはただいま、おそれのあるような場合、あるいは地盤沈下を現実に来たしているような場所におきましては、現実問題として工業用水道布設計画を立て、現に実行いたしておりますので、事実問題とすればこの条項がじゃまになって、地盤沈下地帯あるいはそういうおそれのある地帯指定できないということはないと考えております。
  10. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それではお伺いしますが、今度この改正をされましたら——現在指定されておる地域、たしか七つの地域指定しておられますね。今度この改正に伴って、じゃもっと範囲をお広げになるおつもりなのかどうか、お広げになるとするならば、主としてどの地域に対してお広げになるおつもりか、そういった点についてお伺いしたい。
  11. 佐橋滋

    佐橋政府委員 大阪のまだ指定になっておらない、いわゆる城北地帯だとか、あるいは西宮とかというようなところを現在考えております。
  12. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それでは大阪は、大阪市としては将来計画として大阪全市に条例でもってくみ上げを規制したいというふうな意図を、すでに早くから大阪市の出しておる地盤沈下対策の文書を見ますと書いてございますが、大阪市については全市について規制区域とされますか。
  13. 佐橋滋

    佐橋政府委員 問題のある地域は全部であります。
  14. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうすると、単にその地域だけでなしに、たとえば川口あたりがやっぱり荒川と江戸川とにはさまれたデルタ地帯であって、どんどん沈下しておる。「日本用水」という雑誌が出ておるのですが、すでに鉄道の鉄橋をかけかえしなければならないというふうなところまで沈下が進んでおるというふうな模様でございますけれども、ああいう地点というものは探せば——探さなくても相当あると思うのですが、われわれが求めていけば、資料を探して見ていけば幾らでも出てくると思うのですが、そういうことで、すでに建設省ではわかっておる、また通産省でもすでにお調べであろうと思いますし、また役所同士相談されたらすぐそういう資料は出てくるわけであります。そういう地盤沈下がどんどん進行しており、年間数センチもどんどん沈んでいくというふうな地点も相当広範囲にあると思うのでございますが、そういう地域をどうされるおつもりですか、どんどん指定をしていかれるのかあるいは指定をされずに当分いかれるのか、その点を承りたい。
  15. 佐橋滋

    佐橋政府委員 ただいま御指摘川口あたりも問題がありますので、これも地域指定をするつもりでおります。われわれの方でも地盤沈下地帯というのは、予想されるところは調査が済んでおりますので、逐次指定をして参りたいと考えております。
  16. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 逐次指定という逐次は、何年くらいの間にその指定ができる見通しを持っておられますか。指定をするためには、この法律に従えば一年以内に布設工事が開始される見込みが立っていなければならない。そうしますと、工業用水道計画というものを政府の方で立て、それで地方自治体でやり、同時にまた政府がそれに補助をする。すでに工業用水道計画が立っておらなければこれは指定できないのですよ、この法律では。この法律このままでここ二、三年のうちにそういうもう年間十センチ以上もどんどん沈んでいくというところを指定できる見通しがあるのですか。それでは、あるなら具体的な計画と、あなたの方でどれだけの年間工業用水を拡張していく計画を立て、どれだけの地域年間広げられるかということが年次計画としてすでに立っておらなければ、こういう法律に基づいたところの指定ができるというふうなことはおっしゃれないと思うのでございますが、いかがですか。
  17. 佐橋滋

    佐橋政府委員 工業用水道計画につきましては、さきに発表しました十カ年計画を持っておりまして、現在いわゆる国家の補助事業でやっておりますのが十八カ地点、そのほか市町村、いわゆる公共団体単独起債でやっておりますのが大体それとほぼ同数でありまして、われわれの方としては全部計画を持っておりますので、ただいま先生の御指摘のような問題の地点につきましては、優先的に工業用水道を配置いたしまして、この指定が非常な制限にならないようにやって参るつもりでございます。
  18. 二階堂進

    二階堂委員長 岡本君にちょっと申し上げますが、通産大臣はちょっと所用のためお出かけにならなければならないのでございますが、簡単にお願いいたします。
  19. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この工業用水法の中には、国の責任ということが織り込まれておらないのです。国土保全の見地からいうならば、どんどん地盤沈下していくところにおいては国の責任において代替用水を供給して、地盤沈下防止をやるという決意を国が示さなければならない。これは、大臣にそういう点よく考えていただかなければならぬと思う。地盤沈下を起こした責任は一体どこにあるのかということです。大阪などでは、すでにもう昭和の初年に、室戸台風のときに地盤沈下が起こっているのが気づかれておった。そしてそれは、戦後間もなくからすでにどんどん沈下しておるということも叫ばれておった。そのためにだんだん橋と道路との間にズレができて、そしてなにを足していったり、妙な、町に奇形的な変形が行なわれておるということも御存じである。そんなふうにして地盤沈下というものが進んでいるにかかわらず、今日まで工業用水のくみ上げというものが野放しにされてきておるというところに問題があるわけなんです。一つは、これは私は政府無為無策であったと思います。一つは、これはやはり沈下しておるのを知りながら自分の足を食っておるような形で、工場が沈む、大谷重工や何か工場が沈んでしまっておる、工場が沈むまでどんどん水をくみ上げて使っていった業者の愚かさというもの、私は無責任なエゴイズムとも言えると思うんですがね。そういうものがあると思うんですね。こういうものが両々相待って今日の地盤沈下を起こしておるときに、やはり国は責任を持って地盤沈下対策と真剣に取り組んでいくという気がまえを見せなければならない。だから、ある程度の速度以上に沈下をしていくところについては、急速に沈下対策として代替用水を供給するというところの一つ決意を国は示さなければならない。だから、この工業用水法改正をやられる限り、ビル用水規制を強化し、同時に工業用水規制を強化するとともに、早急に国は代替用水を供給するという決意を示さなければならない。だから国の責任において、ビル用水や何かにも、最後に国等援助というのがございますが、国等援助というよりも国の責任という項目を一項当然つけ加えるべきだと私は思うのですが、大臣どうお考えになりますか。
  20. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今回の法律がだいぶ考え方が不十分だ、こういうことで御批判をいただいておりますが、在来通産省としての考え方、今地盤沈下も主たる目的にするといいますか、工業用水工業生産に必要な用水の確保と地盤沈下という二つ目的のために今回の改正をするのでございますから、この法律で国の決意というものが明確になったと思います。またそうなくちゃならぬと思います。ただいま岡本さんからお話しになりましたが、今日までの技術的な知能というか、そういう面でも最近の地盤沈下に対する対策などよほど進んで参っておりますから、人知の進歩、そういうことも今日のような改善を見るのでございましょう。あながち政治の責任だ、あるいは無能だ無策だとこう言ってしまうのも私はどうかと思います。ことに大阪あるいは尼崎地帯、またあとで出て参りました新潟地区等におきましても、それぞれその地方に必要な対策を講じて参っておると思います。またもちろん国の責任ということも感じますが、これは同時に地方自治体責任においても処理すべき事柄だと思いますし、また関係事業者等も、そういう意味では、御指摘になりました通りやはり反省を必要とするのではないかと思います。だから、そういう意味で全般の、この地盤沈下に対して、しかも一面工業生産は落とさずその都市の繁栄をはかりたいという目的とあわせて全体が協力していかないとうまくいかないんじゃないかと思います。工業用水などもそれぞれ計画が進められておりますが、今日までとかく工事の進捗がおそいとかということで、国の予算的補助もございますが、また起債等につきましても特別に政府があっせんするとかいうようなことでめんどうを見てきているというので、まあ在来からのやり方についてはよほど欠くるところがあったが、今回はさらにそれを一歩進めていくというので、ただいまの立法を見ておるわけでございますから、そういう意味一つ御賛同いただいて、全体の協力によって自然と戦う、これに打ち勝つ、こういう状態を作るべきではないか、私はかように考えます。
  21. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 第五条の第二項でございますけれども、地下水水源保全に著しい支障を及ぼすおそれがない場合には指定地域の中でも基準に合わないところの揚水施設許可することができるというふうなことが書いてございますけれどもこれはどういう場合が該当するのですか。私には何か法案を無視して、どうしてもくまなければならぬというようなことを言ってきた場合に、それを許可してやるための逃げ口上のように思えるのですが、これはそうではなくて、具体的にはどういう場合には、この地盤沈下が始まっておる、しかしながら揚水施設許可しても差しつかえないのだ、こういうことになるのですか。
  22. 佐橋滋

    佐橋政府委員 現在の運用でもこの点は非常に厳格にやっておりますが、地盤沈下を招来しております地域につきましては、こういった例外的な許可を認めておりません。法律上そういうことがあり得る場合は、いわゆる予報地帯でございまして、たとえば製氷工場だとかいうような場合に、非常に低温度の水を要求し、しかも、その量が大したことはないというような場合にこの条項を発動することがあり得ると考えておりますが、現在大阪等地盤沈下地帯指定を受けておりますところでは、こういった許可をいたしておりません。
  23. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それじゃもう一つお伺いしますが、工業用水法によるところの指定区域で、これは建設省とも関係があるのですが、工業用水指定されている、ビル用水指定されている、そういう地域で、工業用水でくみ上げている水を使ってビルをどんどん冷房しておるというような場合には、それはどうなるのですか。そういうことはできないのですか、それともできるのですか。
  24. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 私どもの方でビル用水規制しておる場合に、建築物用地下水というのは、定義に書いてございますように、冷房設備水洗便所その他政令で定める設備の用に供する地下水ということになっておりますので、たとい工業用水用として作りましたポンプによって吸い上げた水でありましても、これをこのような設備に使う場合におきましては、建築物用地下水になりますので、これは禁止されるということになろうと思います。
  25. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 通産省、それでいいですか。
  26. 佐橋滋

    佐橋政府委員 今度新しくビル用水規制法ができるわけでございますが、従来はいわゆる事業場工場以外の事務所といいますか、そういうものは工業用水として一本で規制しておりますので、工業用水としてくみ上げたのが、そちらの方の冷房に回るというようなことがあり得たわけであります。今度の場合にも工業用水は除くことになっておりますので、その間の調節はしなければならぬと思っております。
  27. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 意味がわかりにくいのですが、明確に言っていただけませんか。たとえば工業用水をくみ上げておりまして、それでもって同時に工場建物を、作業がしやすいように冷房をやる、そういうことはビル用水規制が今度行なわれますと私はできないと思うのです。それが工場冷房するのですから、これはやはりビル用水ですね。建築物冷房ですから、工業用水工場冷房には使えない、こういうように私は理解するのですが、どうですか。
  28. 佐橋滋

    佐橋政府委員 工場のエア・コンディショニング等作業上どうしても工場内の温度を高温にしておかなければならぬ、いわゆる温度をある一定の限度に保たなければならぬというような意味での冷房は、これは工業用水でございまして、これは工業用水法規制をいたすわけであります。工業用水法と今度のビル用水規制法とは基準も全然同じでありますので、その点についての問題はないかと考えております。
  29. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 建設省、今のお答えでようございますか。私はそうではないと思うのです。新たにビル用水規制というものが行なわれますと、現在工業用水でくみ上げておって、たとえば二十一センチあるいはそれ以上のものもくみ上げが許されております。ところがビル用水規制が入りますと、今度はビル用水に使うのには新たな規制が入ってきます。だから建物を冷やすにはクーリング・タワーを、地盤沈下をしているところでは作らなければならぬと思うのです。工業用水だといってくみ上げて、それも同時にビル冷房にもどんどん使って、それでもって地下水をより多く使っているというふうなことになりますと、今これは一部工業用でございますというふうなわけにはいかないと思います。そこには厳格な区分ができてこなければならないと思います。たとえば冷蔵業者のように、これは主たる目的が部屋の冷房そのことだけが工業用だというのならまだ話はわかりますが、作業しやすいようにというふうな形において冷房が行なわれておるというふうな工事は、このごろは工場の近代化でもってどんどんできてきております。だからあるいはまた同時に事務室にもどんどん回していると思います。だからそういうふうな水は、工業用水として許可されているものがそのまま流用されるということは私は間違っておる、こういうふうに理解するのでございますが、それは住宅局長いかがお考えになりますか。
  30. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 ただいまのお話のような場合に、企業局長が言われましたような例の場合におきましては、企業局長が言われた通りだと考えておる次第であります。特に地域が重複する場合におきましては、技術的基準をきめる場合におきましても、通産大臣と協議してという法律上の規定もございまして、調整をとっていくということに相なりますので、問題はなくなるだろうと考えます。
  31. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 なれ合いの答弁をしてはいかぬですよ。地域が重複した場合には決して何じゃないでしょう。私の思い違いですか。工業用水としては相当今までは寛大に扱われておった。だから、基準というものが非常にゆるかった。ところがビル用水というものを新たに規制を持ち込んでいけば、それが非常に厳格になります。厳格になれば工業用水は使えないはずです。だからそれをいや、今まで使っていたのをそのままというふうな、そんなことはこれは夏になれば相当大量の水を使うのですから、使えばやはり一トンの水は何ミクロンか土地を沈めていくのです。だからちっとやそっとの水を横に流しても——お役所は横流しをときどきされるから、横流しにはなれているから水くらいの横流しは何ともないというようなお考えをされる小もしれませんが、そういうような考え方はいけないと思うのです。だからビル用水規制をやれば、やはり従来工業用水として許可を受けていた何も、それはやはりビル冷房には使えない、こういう理解の上に立たなければならないと思うのですが、どうですか。
  32. 佐橋滋

    佐橋政府委員 役所が横流しを認めておるとか言われましたが、そういうことは私あまりないと思います。  ただいまの御指摘の点でありますが、現在までは、御承知のように工業用水の方は直径二インチということになっておりますが、今度の改正で、それがビル用水規制と同じ一インチまでを認めまして、それから先は許可にかかるわけであります。従来二インチで認められておりましたのも、今度の代替水源がいわゆる給水が可能になれば、ある一定の期間で既設の井戸といえども全部閉鎖をさせるわけでありまして、新しく認める場合には、ビル用水規制法と全く同じ基準で認めていくことになりますので、その点についてはいささかも問題がないとわれわれは考えております。
  33. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 新しく認めるものを私は言っているのじゃないのです。この経過措置で大きなものがそのまま認められているでしょう。だから、それを何に使ってはいけない。ビル用水規制が入ればビル冷房用には使えない、私はこう言うのです。
  34. 佐橋滋

    佐橋政府委員 既設の井戸、現在まで認められておりましたものでも、今度の場合になると基準が低くなるわけでございます。だから、基準に合わなくなるわけです。たとえば三インチのもので認められたのが今度は一インチになるわけですから、その既設で認められておる井戸も、給水が可能になりますればこれを強制転換させるように法律改正いたしておりますので、今まで取っておった水は、給水可能になれば強制的にその井戸をやめさせるわけでありまして、これから新しく認めるものはビル規制法と同じようになりますし、既設のものも同じ基準に、ある一定の期間を置けば切りかわって参るわけでありますの者、こういう点については問題がないと考えております。
  35. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 今まで二インチまでのものが野放しだったわけだしよう。今度はそれが一インチになるわけですね。そうすると、一インチから二インチの間の今まで野放しになっておったがこれからは規制されるという、その限界のものが相当あるわけです。そういうものが今度新たに規制を受けながら特に認められるわけですね。ところが、ビル用水が入ってきますと、ビル用水が全部一インチでしょう。そうすると、全域についてビル冷却用は一インチよりできない。ところが、従来工業用水ということで、既得権を持っておる二インチのものでくみ上げながら、その水をどんどんビル用水に回させるということはどうか、こう私は言っておるのです。だから、それはやはりビル用水規制を受けて、ビルの冷却用にはクーリング・タワーをつけなければいかぬ、こういうことになるんじゃないですか。それを、工業用水としてくみ上げを特に経過措置として許したものを何すれば、これはせっかくビル用水規制法を作ったことが意味をなさないのじゃないか。どうしても工業用水になくてはならないからというのでくみ上げを認めるのだから、それをビルに転用させるということを認めてはいかぬということを言うのです。
  36. 佐橋滋

    佐橋政府委員 私はちょっと先生の御質問のあれがわからないのですが、工業用水は水そのままが使われることもありますし、大部分の水というのは、御承知のように工業用水でも水自体が原料になる場合ばかりでなくて、いわゆる冷却用に使われる場合が非常に多いわけであります。今の一インチから二インチのものというのは、工業用水に関してはあまりそう数はないと思いますが、これも強制転換させるわけでありまして、ビルの場合でも経過的に、従来それ以上のものを使っております場合でも、クーリング・タワーを置いて切りかえていく。われわれの方は工業用水を給水して、それの最短期間で切りかえていくということでやっておりますので、その点についての矛盾はないと私どもは考えております。
  37. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ちょっとこれは千日手みたいになってきましたからこの程度で……。  それでは通産省へのお尋ねはこれで終わりたいと思いますが、私は、通産省工業用水というものについてやはり既得権の尊重ということを念頭に置かれることは、立場としてよくわかります。よくわかりますけれども、国土保全ということから考えていくと、やはり既得権の温存ということに少し偏重しておられるかのように思いますので、今後、私も党内でこの改正案をもう少し強化するような努力をしたいと思いますけれども、通産省の方もそういう点についてもう一度、国土保全という見地からどう考えていけばいいかという点について再検討をお願いいたしたと思います。  大体今まで質問したことで済みましたから、あと二、三点だけ御質問いたしておきます。  第四条第四項の「都道府県知事は、第一項の許可に、地盤沈下を防止するため必要な条件を附することができる。ただし、その条件は、その許可を受けた者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。」こういうことが規定されてございますが、その知事が指定されたところでくみ上げを許す場合の地盤沈下防止に必要な条件というのはどういうことか、具体的に一つ御説明を願いたい。
  38. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 第四条第四項で、許可の場合に条件をつけることができるというこの条件は、たとえて申しますと、工事をやりました場合にストレーナーの位置が適当なものになっておるかどうかというようなことを確認いたしますために立ち会いをする、こういったような程度の条件をつけていくというふうに考えておる次第でございます。
  39. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうすると、不当な義務ということは、どういうことを予想してこういう言葉を使っておられるのかその辺を伺いたい。
  40. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 ここで「不当な義務を課することとなるものであってはならない。」というように書いてございますけれども、これは念のためと申しますか、こういうような条件がすべて過酷にわたっていた三、あるいはまた不当なものであってはならないということを規定したにすぎないのでございまして、ここで出てくる条件というものは、先ほど申し上げましたような点しかあまり考えられないわけでございます。
  41. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 第五条でございますけれども、国または都道府県が地下水をくみ上げる場合にこれは協議をすればいいということになっておりますが、それではこの協議をする場合に大体許可をする——許可というと語弊がございますが、協議が成立をする条件というのは、一般の他のビル用水規制の場合と同じであろうと思うのでございますが、こういう何に対しては特例を認められるのですか、あるいは特例を認めずに行なわれるのですか。
  42. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 この場合に、特例として、協議をもって許可にかえると規定をいたしましたのは、公共団体の場合でございますので、このようにしただけでございまして、その場合の協議の基準と申しますか、そういうものは一般の許可基準と全く同様でございます。
  43. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 今度首都圏整備の工業団地の建設というふうな法律が出て参っております。ああいう場合に、工業団地を建設すれば当然地下水を使うということを考えなければならない。そうすると、将来その地域にはまた地盤沈下問題が起こってくるということもある程度考えられないことはないわけです。従って、工業団地を建設する場合には工業用水道の敷設が先決条件になっておるのかどうかという点。それからまた、くみ上げの許容量というものをあらかじめ測定しておいて、その範囲においてくみ上げを許可していく。そして、これから後建設する工業地帯については、せっかく工業用の施設は作ったが、地盤沈下を起こしてくる。あとから道路を堀り起こして工業用水道を作っていく、そういうような悪循環、二重投資はやらないようにされる計画を持って今首都圏の整備のことを考えておられるのか、将来に対すところの国の考え方、方針というものを建設大臣から承っておさたい。
  44. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 首都圏の過度の人口集中を排除するための衛星都市の建設でございますが、そういった工場を含んだ衛星都市の建設地域指定しようとするのには、もちろんそこの用水関係、交通関係地下水関係、あらゆる角度から検討いたしまして、それぞれの問題に照らし合わせて不都合がない、こういう地域指定していくわけでございます。従って、もしそれが臨海地帯等でございまして、地盤沈下のおそれがあるとかいうような場合には、工業用水計画というものと並行しなければ指定をしないということにしていく考え方でございます。従いまして、新しく指定しました市街地開発地域について、今御指摘のございましたような矛盾の起こらないように最善の注意を払っていきたいと思っております。
  45. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 大体以上で質問を終わりますが、この地下水ビル用水規制については私異議はございませんけれども、工業用水の方の改正がこれと並行しておらない、ひどいズレがございます。その点については私も非常に不満を持っておりますし、工業用水規制というものをわれわれはやはり地盤沈下対策としてもう少し真剣に考えていかなければならないのではないか、こういうふうに思いますので、大臣も閣内でそういう点についての制度の改善に努力されるようにお願いして、私の質問を終わります。
  46. 二階堂進

    二階堂委員長 石川次夫君。
  47. 石川次夫

    ○石川委員 岡本委員の方から建築物用地下水採取規制に関する法律案につきましていろいろ御質問がありました。この法案それ自体は確かにおそきに失したうらみがあるといえども、ないにまさることは当然でございますから、決して賛成しないというわけじゃございませんが私は実はこれは不勉強で実態がよくわかりませんものですから、二、三の点をしろうとに教えてやるつもりで御教示を願いたいと思います。  まず第一に、具体的な問題として東京都に限定をして教えてもらいたいと思うのですけれども、東京都の場合には、この法案採取許可を受ける場合に、地域指定を行なうという地点が一体どの程度のものになるか。これはまだ最終決定にはなっておらぬかもしれませんが、どういう地点が東京の場合には特定の地域指定されるかという点を伺いたい。
  48. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 今御質問のございました東京都についてはどの程度のものであるかというお話でございますが、現在地盤沈下現象が起こっておりますところは、主として江東地区から隅田川の河口にかけての面でございまして、いわゆる沖積層の相当ございますようなところでございます。そういうところにつきましては、いろいろ調査もしておりますが、最も早く問題になりますのは江東地区であろうと考えております。江東地区につきましては、現在工業用水指定地域になっておりますが、この点につきまして、今後急速に調査をいたしまして、ビル用水についても指定をしていきたいというように考えている次第であります。
  49. 石川次夫

    ○石川委員 常識的に考えても江東地区ということはわかるのですが、実は江東地区だけ規制することによってはたして地盤沈下が防げるかどうかという問題、私しろうとでわかりませんが、いろいろな学説があろうと思います。地下用水採取というものは、その地区だけが沈下するというのではなくして、ずっと一帯の流れになっておるから、上の方でくみ上げたものでも、間接的にかもしれませんが、影響があるのではなかろうか。従って、地盤沈下する場所だけ指定することによって万全の対策になるかという点に非常に疑問を感ずるのでありますが、その点はどうでありますか。
  50. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 地域指定する場合におきましては、この法律にも書いてございますように、地下水採取によりまして地盤沈下するという因果関係を突きとめませんと、採取規制により地盤沈下を防止するというような効果が上がらないわけでございます。そのためには、いろいろな調査が必要になってくるわけでございまして、単に地盤沈下の量を調節するというだけではございませんで、あるいは水位の観測でございますとか、あるいは地質の調査でございますとか、地盤の水準の測量でございますとか、どれだけの水量を取っているかというような調査の結果に基づきまして、その因果関係を学問的に探求して、その結果、ここは主たる原因が地下水のくみ上げによるという場合には指定をしていきたい、こういうように考えております。
  51. 石川次夫

    ○石川委員 今御説明がありましたけれども、私が言いたいのは、地盤沈下を起こしている地点地域指定だけでは抜本的な対策にはならないであろうと思います。要望しておきたいことはその辺の調査は、いろいろ議論の分かれるところもあるのではなかろうかと思いますけれども、その地域だけ調べればよいということではなくて、一帯の関連する地帯についても十分検討されて、地盤沈下のよって起こる原因の地域、現実に起こっている地域ということではなくて、地盤沈下の起こることによって影響ある地域をも含めて指定をしなければならぬと考えますので、その点慎重に考慮をされて調査していただきたいと思うのであります。また、東京だけに限定してわかりやすく説明を願いたいのでありますが、建築用地下水のくみ上げということになりますと、これは冷房用あるいは水洗便所ということになりますが、何と言っても大きいのは、冷房関係ではなかろうかと思います。そこで伺いたいのは、さらに大きな影響のあるのは工業用水で、これは言うまでもないと思います。ただ、工業用水ビル用水この二つに分けまして、この法案工業用水と密接不可分の関係があると思いますが、ビル用水に関してだけはほとんど異論がないような法案になっております。工業用水に関しましては、その水量も相当多いというような点で、岡本さんからも適切な御質問があったのであります。そこで数えてもらいたいのは、東京都に限定いたしまして、工業用水ビル用水はどの程度の量になるか。正確な数字をつかむことはほとんど困難と思いますが、常識的に考え工業用水が何トン、ビル用水が何トンというようなことが大体おわかりになっておりますか。
  52. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 江東地区について考えてみますと、工業用水が二十五万トン、建築物用水として地下水を使用しているものが二万トンというようなことになっておるわけであります。千代田区、中央区というようなところでとっておりますのが十一万トンでございます。
  53. 石川次夫

    ○石川委員 二万トンというのはちょっと少な過ぎるような気がするのですが、夏と冬ではだいぶ違うだろうと思うのです。冷房用というものは非常に大きな影響を与えるのですが、二万トンというのは、これは一年を通じての平均のことを言っているのか——夏と冬とは大へんな違いがあるのじゃないかと思いますが、その辺の数字わかりますか。
  54. 前岡幹夫

    ○前岡説明員 ただいまの御質問、感じとして非常に少ないという御意見のようでございますが、東京の中央地区、それから東京全般についても、大阪よりは若干その傾向が強いのでございますが、大体地下水は当てにならない、そういうことで、建っております建物の大部分、それから今後建ちますやつも、ほとんど全部といっていいくらい、すでにクーリング・タワー・システムに切りかえられておるからでございます。
  55. 石川次夫

    ○石川委員 それにしても、二万トンというのは、冬ですか夏ですか、平均ですか。
  56. 前岡幹夫

    ○前岡説明員 夏でございます。
  57. 石川次夫

    ○石川委員 大体わかりましたが、先ほど十一万トンと言ったのは、千代田図、中央区も含めての東京都全体の数字ですか。二十五万トンは江東地区だけで、十一万トンは東京都全体というのか、その辺の数字が、ちょっとあいまいですから……。
  58. 前岡幹夫

    ○前岡説明員 十一万トンと申しますのは、千代田区、中央区だけでございます。そのほか、全都とかそういう広範囲の調査は、現在私の方で資料を持っておりません。
  59. 石川次夫

    ○石川委員 大体わかりましたけれども、二十五万トンに見合う千代田区、中央区は、それではどういう数字になるのか。
  60. 前岡幹夫

    ○前岡説明員 工業用水の二十五万トンと申しますのは、これは工業の分散に関係がございますので、ほとんど大部分が江東地区ということでございます。
  61. 石川次夫

    ○石川委員 そうしますと、二十五万トンはほとんど江東地区で、千代田区、中央区にはあまりないだろうというお話、わかりますけれども、二十五万トンが、江東地区だけじゃなくて、千代田区、中央区を含めて二十五万トン、しかも千代田区、中央区というものは、合わせると十一万トンになるというと、ビル用の地下水というものは相当あるということになるのです。そうなりますと、私は工業用水が圧倒的に多いのじゃないかというふうに考えたのですけれども、必ずしもそうじゃなくて、ビル用の地下水というものは相当多いということになると、江東地区だけの規制をしただけでは、地域指定は不完全だということが、こういう数字から当然出てくるのじゃないか。そうすると、千代田区、中央区を含めての指定というところまで範囲を広めていかないと、江東地区の関係工業用水だけの規制をしたのでは、地盤沈下の回復にはならないということが、はしなくもこの質問を通じてはっきりしてきたような気がするわけです。その点はどうお考えになりますか。
  62. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 先ほど申し上げましたのは、さしあたって問題になるところが、江東地区であろう、こういうふうに申し上げたわけでございまして、千代田区あるいは中央区等のビル街につきましての地盤沈下という問題につきましては、地下水採取したということによりまして、若干の沈下があったようでございますけれども、最近の調査によりますと、その後、あまり沈下していないわけでございます。そういうような実情がございますので、いろいろ地盤、地質の関係等がございまして、その点もう少し深く検討いたしてみませんと、今後も災害の生ずるおそれがあるということで指定してまで規制をする必要があるのかどうかという点につきましては、まだ検討の余地がございますので、そういう点で今後の検討に待ちたい、こういうように考えております。
  63. 石川次夫

    ○石川委員 あまり長く質問する気持はないのですけれども、今の答弁で私の言いたいのは、ビル用の地下水というものは、千代田区、中央区は実際に地盤沈下が行なわれていないかもしれないけれども、この数字から見ると、地下用水のくみ上げが相当ある。水というものは江東地区だけにあるのじゃない。ずっと流れてくる。たまたま中央区、千代田区の方ではなかなか地下用水というものはくみ取れないという実態もあって、クーリング・タワーも相当使っておるのでしょうが、それでも十一万トンという数字に上る。これと江東地区あるいは工業地帯との関係は無関係ではない。江東地区だけくみ上げたからといって、そこだけのくみ上げた地下水関係地盤沈下が起こるとは考えられない。これは私だけの説じゃなくて、学者もそういうことは定説になっている。従って、この場合には調査というものは相当慎重にやって、しかし、おそくなっていいということではない。早急にやらなければならぬ。ですから、地盤沈下が現実に起こっているところだけを対象にしてやるのでは、きわめて不十分ではないか。国土保全の点からいって、その点は十分慎重な調査をやらなければならぬけれども、地域指定についてはきわめて限定された範囲では不完全だという点を十分考慮してもらいたいということをお願いしたい。  それからあと一つは、経過措置として、二年間の間に太いものは細くする、一インチ以下にするというような経過措置がとられておることは当然だと思いますけれども、二年間たって経過措置の期間を経た後においては転換しなければならぬ。転換する場合には、国の適当な援助とかなんとかいうことを具体的にはどういう方法でやるか。そのやり方いかんによっては、やらないで済ましてしまうことになる危険性もあるわけですから、やはり法律規制する以上は、法律できちっと転換が行なわれるということは十分考えなければならぬ。それだけの費用の援助というものを、どの程度予算措置なりあるいは具体的なほかの金融措置を考慮しておるかということを伺いたい。それから、あわせて費用の見込みというようなものをお考えになっておられるか。
  64. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 転換をいたします場合の財政的と申しますか資金的な援助につきましては、私どもが当初考えましたのは、なるべく低利の融資をすることによりまして転換がすみやかになるようにということを考えたのでございます。そういうことで、三十七年度の予算を編成するにあたりましても、政府の金融機関と申しますか、そういうようなところから何らかの形で融資がいくようにということで努力したわけでございますけれども、その点は成功しなかったわけでございまして、この点はまことに申しわけないと思っております。しかしながら、中小企業金融公庫でございますとかあるいは開発銀行等におきまして、一部ではございますけれども、この転換のための融資の道も開かれておりますので、その方の融資によりましてこれを促進していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、大阪の場合におきましては、公共団体におきまして、公共団体が市中銀行に一定の金額を預託いたしまして、その預託された資金をもとにいたしまして、さらにこれにつけ加え市中銀行から融資しておるわけでございます。そういうものに対しても国がどういうふうにまた援助していくかということは今後の問題であろうと考えております。  それから、お話しのございました転換にどの程度の資金がかかるかということにつきましては、一坪につきまして大体六千円ないし一万円程度の資金がかかるということを伺っております。それは大阪について検討して出てきた数字でございまして、建物によりましていろいろな補強工事等もしなければならぬ場合も出てくる場合がありますので、ケース・バイ・ケースによって若干違って参りますけれども、大体そのくらいの見当になっておるわけであります。
  65. 石川次夫

    ○石川委員 坪六千円から一万円だとこれは相当な費用になると思うのです。いろいろ改造、入れかえたり、家をこわしたりするようなことになるので、そういう費用になることも考えますけれども、そうなりますと、全体としてこの転換の対象になるものを全部含めると一体どのくらいの概算になるかという点も考えて、それに対する融資をどうするのだというところまで考えないと、そう強制的な規制をやってみても実効に乏しい、ひいては国土保全目的に沿わぬということになるおそれがあると思いますが、その辺はどうお考えになっておりますか。
  66. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 おっしゃる通りでありまして、このような転換を強力に推進する場合におきまして、その裏づけとしてできるだけの資金的な援助と申しますか、そういうものがなければいかぬということは、私どもその通りと考えております。その点につきましては、先ほど申し上げましたようなことで、いろいろの方面から資金が十分になるように今後十分に努力していきたい、かように考えております。
  67. 石川次夫

    ○石川委員 もう私質問をやめますけれども、この質問を通じて感じますことは、地盤沈下というものの原因を調査するということは非常にむずかしい問題だということは、よくわかりますけれども、これは急速にしかも慎重に、先ほど言ったように限定された地域ということだけでなくして、影響のある全体の地域に対する適用ということも含めないと完全な対策にはならないということを考えます場合に、今の程度の調査のあり方ではどうも心もとないという感じがする。正直申しまして非常にむずかしいかもしれぬけれども、心もとないという感じを受けるのと同時に、最後に質問をいたしました資金の問題についても、ほんとうにこれをやろうという熱意があるなら政府の資金を融資するというところまで慎重な配慮がなければ実効が期待できない、こう思いますが、その点について建設大臣の御意見を承りたいと思います。
  68. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 私どもとしましては、御指摘の通りでありまして、この法律を円滑に施行し、効果を上げるためには資金的な措置について政府が十分の努力をいたすべきであると考えております。ただ、昭和三十七年度の予算編成にあたまりしては、私どもこの立法の予定を持っておりましたので、その予定の上に立ちまして、実は予算編成上財政投融資等の方法によりまして、政府機関による金融機関から正規の資金的な援助の道を開きたいと思いまして努力しましたが、まだ法律も制定されていない段階でございましたので、思うような成果を上げることができなかったわけでございます。そこで、さしあたりは先ほど住宅局長が申し上げましたような方法によって実施をはかっていきたいと思いますがいよいよこの法律が、国会の議決をいただきまして成立いたしましたならば、その暁には明年度から何とかわれわれがかねてから考えておりましたような方途を実現に移したい、かように考えておりますわけで、この点につきましては私どもとして全力を尽くして参りたいと思います。
  69. 石川次夫

    ○石川委員 今の答弁で大体了解いたしますが、大阪、尼崎、江東地区の地盤沈下というものは、きわめて深刻な問題だということは私が現実に見て痛感しているところであります。これは常識ですし、今さら申すまでもありませんが、その原因はほとんど地下用水だということ、これも定説に近いと思います。そうなりますと、これは国土保全立場からきわめて重大だという場合に、ただ規制するという法案だけでは完璧ではないというふうに感じますので、この資金をどういうふうに融資するかというような点も、十分に予算的措置も含めて配慮しなければならぬ、こう考えますので、その点を要望いたしまして私の質問を終わります。
  70. 二階堂進

    二階堂委員長 他に御質疑はございませんか。——他に御質疑はないようでありますので、本案に対する質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  72. 二階堂進

    二階堂委員長 引き続き、本案を討論に付するわけでありますが、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、本案を採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  74. 二階堂進

    二階堂委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  お諮りいたします。ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認めさよう決定いたしました。  次会は来たる二十日金曜日午前十時理事会、同三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十六分散会      ————◇—————