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1962-04-11 第40回国会 衆議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十一日(水曜日)    午前十一時七分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 加藤 高藏君 理事 薩摩 雄次君    理事 瀬戸山三男君 理事 田村  元君    理事 石川 次夫君 理事 山中日露史君    理事 中島  巖君    綾部健太郎君       逢澤  寛君    金丸  信君       丹羽喬四郎君    松田 鐵藏君       徳安 實藏君    廣瀬 正雄君       山口 好一君    佐野 憲治君       實川 清之君    坂本 泰良君       三宅 正一君    日野 吉夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局長) 水野  岑君         建設政務次官  木村 守江君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (住宅局長)  斎藤 常勝君  委員外出席者         建設事務官         (計画局参事         官)      志村 清一君         建設事務官         (河川局次長) 鮎川 幸雄君         専  門  員 山口 乾治君     ――――――――――――― 三月二十九日  委員兒玉末男辞任につき、その補欠として矢  尾喜三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員矢尾喜三郎辞任につきその補欠として兒  玉末男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十九日  建築物用地下水採取規制に関する法律案(  内閣提出第一四一号)(予) 四月二日  首都圏市街地開発区域整備法の一部を改正する  法律案内閣提出第一四九号)(予) 同月四日  首都圏既成市街地における工業等制限に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一四八号)(予) 同月二日  押切川を乱川に合流の請願外九件(牧野寛索君  紹介)(第三二六九号)  川内市田海、楠元両町地内の河川改修工事直轄  施行に関する請願池田清志紹介)(第三三  一九号)  鹿児島県栗野町地内の河川道路改修等に関す  る請願池田清志紹介)(第三六〇九号) 同月九日  佐野行田線舘林渡良瀬橋間等道路舗装及  び拡張に関する請願笹本一雄紹介)(第三  八〇八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月六日  四日市、敦賀間道路国道昇格に関する陳情書  (第六五五  号)  公営住宅付加賃料制度反対に関する陳情書  (第七一三  号)  二級国道唐津佐世保線早期整備に関する陳情  書  (第七三八号)  長崎三重港線と瀬戸を結ぶ外海幹線道路改良  工事促進に関する陳情書  (第七三  九号)  地方道佐鹿町江迎線改良舗装促進に関する  陳情書  (第七四〇号)  国土開発縦貫自動車道四国自動車道予定路線  決定に関する陳情書  (第七七六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  建築物用地下水採取規制に関する法律案(  内閣提出第一四一号)(予)  首都圏既成市街地における工業等制限に関  する法律の一部を改正する法律案内閣提出第  一四八号)(予)  河川に関する件      ――――◇―――――
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  予備審査のため、本委員会に付託になっております建築物用地下水採取規制に関する法律案及び首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
  3. 二階堂進

    二階堂委員長 まず両案に対する趣旨説明を聴取いたします。建設大臣中村梅吉君。
  4. 中村梅吉

    中村国務大臣 ただいま議題と相なりました建築物用地下水採取規制に関する法律案につきまして提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  近年わが国経済の発展に伴いまして、地下水採取が著しく増大いたしましたため、大阪その他各地におきまして地下水位が異状に低下し、さらには、地盤沈下を引き起こしている状況にありますが、この地下水採取の大きな部分を占める工業用水採取につきましては、御承知の通り、昭和三十一年に制定された工業用水法によってその規制が行なわれているのであります。ところが、最近、経済の飛躍的な伸長、市民生活の著しい向上によりまして建築物用地下水採取が増大し、これがまた各地において地盤沈下をさらに激化している実情にあるわけであります。  たまたま昨年九月第二室戸台風が襲来いたしまして、各地災害発生させ、特に地盤沈下している地域においては人命及び財産に多大の損害を与えたことは周知の事実でございますが、建築物用地下水採取が重大な原因となって地盤沈下し、これに伴って高潮出水等による災害が生じていることを考えますとき、早急にその採取規制をする必要が痛感されるのであります。  このような実情にかんがみまして、政府といたしましては、建築物用地下水採取について地盤沈下防止のため必要な規制を行なうことといたし、本法律案提案することといたしたのであります。以下その要旨を御説明申し上げます。  第一に、建築物用地下水採取規制する地域は、その地域内において地下水採取したことにより地盤沈下し、これに伴って高潮出水等による災害が生ずるおそれがある場合において、関係都道府県知事及び関係市町村長の意見を聞いて政令指定することといたしました。  第二に、建築物用地下水採取規制する地域内において吐出口が六平方センチメートルをこえる揚水設備により建築物用地下水採取しようとする者は、都道府県知事の認可を受けなければならないこととし、この場合、知事は、建設省令で定める技術的基準に適合していると認める場合でなければその許可をしてはならないものとすることといたしました。  第三に、建築物用地下水採取規制する地域政令指定された際、現にその地域内の揚水設備建設省令で定める技術的基準に適合しないものにより建築物用地下水採取している者は、指定の日から二年を下らない期間建設省令で定める期間をこえては採取することができないことといたしました。  なお、この法律施行の際、すでに地盤が著しく沈下しているため、これに伴う高潮出水等による災害発生のおそれが著しい地域につきましては、猶予期間を特に一年または六カ月に短縮することといたしました。  第四に、この法律に違反した者に対しましては、許可の取り消し、建築物用地下水採取制限その他違反を是正するため必要な措置をとることを命ずることができることといたし、予想することができなかった急激な地盤沈下に伴う災害発生のおそれが著しい場合においては、建築物用地下水採取を放置し得ないと認められる限度において必要な措置を命ずることができることといたしました。  以上のほか、土地の立ち入り、報告の徴収、立ち入り検査国等援助等について所要の規定を設け、この法律の円滑な施行を確保することといたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  首都圏既成市街地における工業等制限に関する法律は、首都における産業及び人口過度集中防止するために、東京都区部及び武蔵野、三鷹両市工業等制限区域内とし、この区域内においては製造業の営む工場作業場並びに大学高等専門学校及び各種学校教室一定規模以上のものについては、制限施設として許可を受けなければ新設できないこととしているのでありまして、昭和三十四年四月施行以来約三年を経過したものであります。  この法律施行その他人口過度集中防止の諸対策を実施して参ったのでありますが、首都の現状を見ますと、依然として人口集中はやまない状況であり、交通難の異常な深刻化を初めとして、生活環境の悪化、公共施設不備等都市過大化による弊害はとみに深刻の度を加えている状況にあります。  これが対策といたしましては、市街地開発区域整備によって首都に対する産業人口の流入を防止するとともに、首都人口の分散をはかる一方、工場学校等の新増設に対する制限を強化して、首都に対する産業及び人口集中を抑制することがきわめて緊要と考えられるのであります。  この観点から、改正案におきましては、第一に制限施設規模につきまして、工場作業場については、従来千六百平方メートル以上であったものを千平方メートル以上に、大学及び高等専門学校教室については、従来二千平方メートル以上であったものを千五百平方メートル以上に、各種学校については、従来千平方メートルであったものを八百平方メートル以上に、それぞれ引き下げるとともに、以前に制限施設であってその後に制限施設でなくなっていたものを再び制限施設にしようとする場合及び許可を受けて制限施設を設けた者がその団地内で拡張をしようとする場合には、従来は許可を受ける必要がなかったのでありますが、これをいずれも許可を受けなければならないことにしようとするものであります。  第二に、工業等制限区域になったときに、すでに存していた施設については、従来は、届け出をした場合には、その団地内では、無制限拡張することができ、また届け出をしない場合でも拡張分基準面積に達するまでは許可を必要としなかったのでありますが、これを新設の場合と同じように許可を受けなければならないことにしようとするものであります。ただし、学校については、教育公共性等を勘案いたしまして、改正法施行の日から三年間また理工科系大学及び高等専門学校については、科学技術教育の振興の観点から、当分の間、改正法施行の日における団地区域内で施設拡張する場合においては、許可を必要としないこととしようとするものであります。  第三に、国に対しては、従来は「許可」を「承認」と読みかえて適用されていたのであります、施設を管理する行政機関の長と東京都知事協議にこれを改めようとするものであります。  以上が改正案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決されるようお願いいたします。
  5. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で両案に対する趣旨説明を終わりました。     —————————————
  6. 二階堂進

    二階堂委員長 質疑の通告があります。順次これを許します加藤高藏君。
  7. 加藤高藏

    加藤(高)委員 建築物用地下水採取規制法案並びに工業用水改正法案二つ法律案について一、二点御質問申し上げたいと思います。  地盤沈下の問題は、わが国の枢要な地域において特に著しい現象でありますだけに、まことに適切な措置と存ずるものでありまして、私は本問題に対する政府当局の態度に深い敬意を表する次第であります。しかしながら、ただいま議題となっておりますところの建築物用地下水採取規制に関する法律案につきまして、あらためて政府の所信をただしたいと思いますことは、本案は今まで法律規制していなかった冷房装置水洗便所などに使用する地下水くみ上げ規制いたしまして、地盤沈下防止し、地盤沈下に伴って生ずる災害から国民の生命、財産というものを守る、保護をはかることを目的とするものでありますが、具体的には揚水機吐出口断面積が六平方センチをこえる揚水設備規制対象とする、また既設の揚水設備についても、原則として二年以上で、政令で定める期間を経過した後は使用許可しない、そして地盤沈下防止に実効ある措置をしていく、こういうところが本案の骨子であると思うのであります。従いまして、私は原則的には本案を了とするものでございますが、この機会に、私はこの法律施行上問題となると思われる二、三の点につきまして御当局の明快なる御答弁を承っておきたいと思います。  まず第一点は、揚水機吐出口断面積が六平方センチ以下の揚水設備は、規制対象から除外されておりますけれども、六平方センチ以下の揚水設備でも相当量揚水が可能であることを考えますと、実際に地盤沈下防止の完璧を期するというためには、動力を用いる設備はすべて一応は規制対象として、その上で技術上の基準に照らして許可すべきものは許可するというのが妥当ではなかろうか、かように考えておるのでありますが、またそれはそれとして規制対象となる揚水設備許可水準が第四条第二項におきまして省令にゆだねられておる。この基準の定め方いかんによっては本立法効果というものが非常に減殺される、あるいは骨抜きになるのではないかという点も懸念されるのでありまして、地盤沈下をしている地域、特に沈下のはなはだしい大阪などにおきましては、市民本案成立を一日も早くと、実際問題といたしまして首を伸ばして待っておるというような状態でありますが、これは市民の全体が、本案成立いたしますれば、大阪においては吐出口断面積が六平方センチをこえる揚水設備使用許可されなくなる、許可基準というものは当然にこのように定められて、地盤沈下はこれによってとどまるであろうというふうに理解しておるからであろうと思うのであります。大阪地方におきまする最近の調査によりますると、二百メートル以上の深いところで沈下現象が顕著になっていることが明らかになっております。新潟の場合、特殊な例かもしれないのでありますけれども、あの激しかった地盤沈下原因となった井戸は、ほとんどが五百メートル以上の深井戸である、こういうことを考え合わせますと、この技術上の許可基準をどう定めるかということによって、この法律効果に大きな差異が生ずることにもなる、かように考えますので、この機会におきまして政府当局考えておられる許可基準というものを、不安を持っておりまする大阪あるいは新潟その他の市民の納得のいくような方法を具体的にお示しを願いたい、かように考えておるわけであります。  第二に、附則の第二項の地盤沈下の著しい地域に関する特例についてお伺いしたいと思うのであります。第六条第二項によりまして、既存の設備原則として二年以内の省令で定める期間使用できることになっております。附則の第二項はこれに対する特例として、地盤沈下の著しい地域においては一年、あるいは政令で定める区域については六カ月に短縮することができる、このようになっておるのであります。ことに沈下の激しい大阪の場合におきまして、すでに地盤沈下防止条例というものを制定いたしまして、すでにもう下地はできておりますから、私ども考え方から申しますればもっとも短い期間、六カ月にすべきものであろうと考えますし、また六カ月というのに非常に無理な事情がある、また無理な地域があると申しましても、これを一カ年ぐらいの猶予期間にとどめるべきものであると考えておるのでありますが、この点について政府当局のお考えを承りたいと思うのであります。  最後にお伺いいたしておきたいことは、第十六条の国等援助の問題であります。大阪におきましては、すでに冷房用水のクリーニング・タワー方式への転換を促進するために、昨年度より府並びに市がおのおの一億五千万を出資いたしまして、計三億円の資金を設定し、さらに金融機関の協力を得て十億円の融資ワクを設ける。さらに半額の利子補給をも行なって助成策を講じておるような次第でありまして、さらに三十七年度は、この資金を二倍に増額して、融資ワクも二十億になっているそうでありまして、すでに大量の水の採取者につきましては六億円の融資の先が具体的に決定しているというように聞いておるのであります。このように自治体では転換促進に努力しておるのでありますが、この建築物用地下水採取規制に関する法律制定によって地盤沈下防止を確保するということは、一地方公共団体の問題ではない、すべて国土保全という大きな立場からして、国にとりましても重要な施策であるということは申し上げるまでもないと思うのでありまして、しかも短期間転換を完了するというためには、国としては積極的にこの経済上の援助を行なうべきものであると考えるのでありますけれども、この点につきましても、政府当局はいかなる具体策をお持ちになっておるか、この点をはっきりとお示しを願いまして、現在地盤沈下に悩んでおりまする地方に対しまして安心を与えるような御答弁をお願いしたい、かように考えておるのであります。  以上、はなはだ簡単でありますけれども、三点にわたりましての御答弁をお願いいたします。
  8. 中村梅吉

    中村国務大臣 大へんに重要な問題点につきまして御指摘をいただきまして、お答えをいたしたいと思いますが、吐出口断面積平方センチ以下のものを除くようにいたしました点につきましては、実はストレーナー位置、その他それによる揚水量あるいは及ぼす影響、いろいろな角度から検討いたしました結果、まずこの程度方法規制をするのが妥当であろうという結論に相なりましたような次第で、この点につきましては、今日までこれらの点につきまして十分検討の任に当たって参りました政府委員からお答えをなお詳しく申させるようにいたしたいと思います。  それからの六条の二項の特例でございますが、これは、ある程度猶予期間は、実施上円滑を期するためにやむを得ないという角度で基本がきめられたわけでございますが、しかしながら、災害にあるいは地盤沈下等の社会的に及ぼす影響の激甚な区域につきましては、なお期間短縮等をいたしまして、規制対象になる人には気の毒でありますが強化していく必要が痛感されますので、このような処置をとりましたような次第でございます。  第三点の資金的な関係でございますが、これにつきましては、私ども三十七年度の予算編成の際から最も苦慮をいたしました問題点一つでございます。何とか明確に一定融資期間を定めまして、そこに財政投融資等の道を完全に開きまして、措置をいたしたいと考えておったわけでございますが、構想自体も新しい構想でございますし、まだ法律もできておらない段階でございますので、三十七年度の予算編成段階におきましては十分の措置がとれなかったわけでございます。しかし、本法制定によりまして、これは第十六条に、要するに、国は、技術的な助言や援助のほかに、資金のあっせんについても努めなければならないという訓示規定と申しますか、義務的な条項を入れさしていただきましたので、本法成立いたしました暁におきましては、次の年度からの措置につきまして最善を尽くしてこの趣旨に沿うようにいたしたい、こう思っておるわけでございます。なお、具体的にはこういった財政的な援助の道、あるいは融資の道をどういう機関にやらしたらばいいかということも非常に問題があるわけで、われわれ建設省としましては建設省の所管いたしておりまする——まあビルは住宅ではありませんが、住宅金融公庫等資金をつけて、ここに貸し出してもらう、それにはもっとも住宅金融公庫法の一部改正をいたしまして、先般、今国会におきましても、住宅金融公庫法の一部を改正して、宅地造成の規則をする、この規制に対する資金援助の道を住宅金融公庫に取り扱わせるようにいたしまして、公庫法の一部改正をお願いし、すでに法律案成立いたしたようなわけでございますが、類似のような方法によって住宅金融公庫にさばかせるようにすれば、所管も一つでございますし、非常に都合がいいのじゃないか、こう考えて三十六年度予算編成においてもその主張をいたしたのでございますが、本来からいえば、住宅金融公庫住宅資金の供給をするのが建前で、直接にどうも該当いたしませんし、まだ法律制定されていない段階でございましたので、いろいろな行き悩みで今日に至っているわけでございます。本法成立後におきましては、われわれとしましては、この十六条の精神に沿うように最善を尽くす考えでおるわけでございます。
  9. 斎藤常勝

    斎藤(常)政府委員 ただいま御質問のございました中で、大臣から御答弁いただきましたことにつきまして補足的に御説明申し上げます。  第一の、六平方センチの問題でございますが、これは吐出口断面積平方センチ以下のものは、この法律対象からは除いたわけでございます。こういうふうな考え方をいたしました根拠は、一般的に家庭等で使います、たとえば飲料用井戸でございますとか、そういうようなものをこの際はこの対象から除いていこうということを考えたわけでございまして、ただいまその揚水量が非常に大きいのではないかというお話もございましたけれども、私どもが計算いたしますると、一日フルに揚水いたしましてもせいぜい二十トン内外というようなことでございまして、非常に微量な水量でございます。こういう点から考えまして、また、この六平方センチ程度吐出口のポンプということになりますると、いわゆる浸潤水と申しまして、浸潤水から揚水をするというような程度でしか使用できないわけでございます。浸潤水から揚水というのは、ほとんど地盤沈下には影響がないという前提に立ちまして、このような除外をいたしたわけでございます。  それから第二点の技術的基準省令で定めます技術的基準につきまして、これが慎重に定めなければならぬということは、まことにごもっともなことでございます。私どももこれを規定するに際しましては、いろいろな調査前提といたしまして、最も慎重に、具体的に決定していきたい、かように考えているわけでございます。特に大阪の場合につきましては、ただいまお話もございましたように、二百メートル以深の場合におきましても、これが地盤変動影響があるのではないかということが、最近の調査でだいぶ強くなって参りましたので、私ども技術的基準をきめます場合に、吐出口断面積とそれからストレーナー位置、この二つの点で技術的基準をきめていくわけでございますが、それを具体的にどの程度にするかということにつきましては、特に深さにつきましては、今お話のように、二百メートルよりももっと深いところでありましても、これは規制に属するという考え方で参りたいと考えております。最も具体的に話せということでございますので、私どもが今考えておりますのは、吐出口は二十平方センチないし三十平方センチ、その間のようなところを指定をいたしたい、それに対するストレーナー位置は、二百五十メートルから三百メートルくらいというようなところが適当ではなかろうかと考えておりますけれども、これもさらにデータを詳細に調査いたしまして、早急に誤りのないように指定をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから著しい地域につきましての附則第二項の特例でございますけれども、これを大阪の場合について考えてみますと、私どもが今一応予定しておりますのは、現在市の条例指定となっております東区、西区、南区、北区、それに浪速区の五区につきましては、特例の六カ月を適用いたしたいというふうに考えております。それからそのほかの、現在工業用水関係指定となっております福島でありますとか此花あるいは西淀川、東淀川の一部といったような地区につきましては、一年ということで指定をしたいというふうに考えておる次第でございます。この指定に際しましては、地元と十分にまた協議をいたしましてやって参りたいと考えておる次第でございます。
  10. 加藤高藏

    加藤(高)委員 浸潤水は大して影響がないとか、いろいろお話がございましたが、そうした面につきましての資料等がありましたならば、この次に出していただきたい、かように考えております。  これで私の質問を終わります。
  11. 二階堂進

    二階堂委員長 中島巖君。
  12. 中島巖

    ○中島(巖)委員 私は、別に質問ではないのですが、昨年十二月地盤沈下関係大阪を視察いたしまして、これは非常に重大な問題だというように感じたわけであります。それからまた大阪の商工会議所の会頭たちからも、この地盤沈下の問題は地下水くみ上げが大きな原因であるから、この規制法律を作ってくれ、こういうようなことを公式の席上で非常に要望されたわけでありまして、この法律案の提出は、むしろおそきに失している、こういうように考えておるわけであります。しかし、この法律案の細部にわたってのいろいろのことは、われわれしろうとではなかなか理解のできないことであります。大筋としては賛成でありますけれども、こういう法律案の内部のいろいろの点について、はたしてこれが妥当であるかどうかというようなことについて、私どもとしてはこれに関する知識が非常にないわけであります。そこで委員長に対して要望することは、国会も会期末であり、現地の諸君を呼んで事情聴取というようなことも、期日がなくて非常に因難でありますから、当面問題になっていて、直ちにこれを適用せんならぬところは、大阪とこの東京都の深川地区じゃないかというように聞いておるわけであります。そこで、この法律案に関して大阪のこの適用を受ける団体とすれば、商工会議所あたりではないかと思うのです。そういうようなところから、これに対する意見書を早急にとっていただきたい、こういうことを要望いたしておくわけであります。  以上であります。
  13. 二階堂進

    二階堂委員長 承知いたしました。      ————◇—————
  14. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、河川に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。坂本泰良君。
  15. 坂本泰良

    ○坂本委員 私は、筑後川総合開発計画の一環として行なわれております下筌・松原ダムに対する強烈な反対があるわけでありますが、今下筌ダム用地が土地収用法によって収奪されようとしておるのでありますが、この土地収用の点についても多数の不備欠陥がありますから、その点について質問をいたしたいと思うのであります。  その前に申し上げたいことは、下筌・松原ダムの反対は、筑後川総合開発計画そのものを云々するものではないのでありまして、建設省が公共のためと称し、すなわちダムによって筑後川の洪水を調節して、その下流の地域の洪水被害をなくそう、こう主張しておりますが、これは口実でありまして、表面上の理由にすぎない、これは発電を加えた多目的ダムと称して、電力発電、いわゆる電源開発のためである、こういう主張が数年来の反対の闘争と申しますか、それによりまして、日本における専門科学者の注目するところとなり、その専門科学者の鑑定等によりまして明らかになりつつあるのであります。熊本県側の室原氏ら志屋部落の反対君たちは、筑後川下流住民のためにならない下筌・松原ダム計画には、祖先伝来の土地や住宅、墳墓の地を犠牲に供すべきではない、こういう理由のもとで、いわゆる下筌のダム地点、蜂之巣城に立てこもって、死んでも不当な九地建の計画には応ずることはできないと、決死の抵抗をしておる始末であります。国民の所有権すなわち財産権は、旧憲法二十七条におきましても、その所有権を侵害することはできない、こういうので、所有権を保障しておりましたが、旧憲法時代は、公益という名目で、当時の軍閥、陸海軍用地、飛行場用地等々、強制的に土地の所有権を剥奪して参ったのであります。新憲法もまた、第二十九条におきまして、財産権を侵してはならないとして保障しておりますが、今回は、この憲法では、公共のためというのがありますから、この公共のためと称して強制権を発動して国民の所有権を剥奪しておる、こういう状態ができておるのであります。しかしながら、新憲法の民主的立場において土地収用法の改正となり、旧憲法時代に比較いたしまして、国民の所有権、保障された財産権の守護と申しますか守る立場においては、新憲法は旧憲法の比ではないのであります。しかしながら、やはり例の砂川問題、これは米軍立川飛行場の滑走路の拡張の問題で、まだその反対が四、五年たっても続けられておりまして、その間滑走路の構築は、砂川町の農民の土地の取り上げに対する非常な抵抗によりまして実現せずにおる始末であります。新島問題は自衛隊の射撃場の設置というところでこれまた国民の財産権が侵害されようとしており、また下筌事件も、これはいわゆる電力資本が国家権力によって、洪水調節という美名のもとに、あの阿蘇山の奥の静かな、農業、林業に従事しておる素朴な山間の部落民が侵害されて、そしてあの豊かな小国杉の植林、山間の耕地、先祖伝来の住宅等々を剥奪されようとしておる、こういう状態にあるのであります。従いまして、今や下筌・松原多目的ダムは国家予算数十億を費やして付帯事業が進められ、先ほど申しましたような下筌ダム地点の土地の強制収用が、不当な事業認定によって熊本県収用委員会において進められておる、こういう状態であります。ところが一方、建設大臣を相手としますところの事業認定無効の訴訟が東京地方裁判所に提起せられまして、書面上から見ても不当であるというようなことで、わざわざ東京地方裁判所の実地検証が数回行なわれ、反対派室原氏らの申請する七名の鑑定人、さらに建設省側が申請しております六名の鑑定人の鑑定書が提出される、こういうような状態にある。この問題は、冒頭に申し上げましたように、建設省の不法な計画が専門科学者によって暴露されつつあるのであります。そこで本日は、九地建による下筌ダム地点の強制収用に対する事業認定申請が違法であるという観点に立ちまして、これに基づきまして正しいと主張せられる建設省の事業認定処分の点を究明いたしたい、かように存ずるわけであります。  そこで第一にお尋ねいたしたいことは、熊本収用委員会に提出されておる事業認定申請書を見ますと、土地収用法十六条によって事業認定がなされ——これは十八条の間違いじゃないかと私思うのですが、事業認定申請書には十六条と書いてあります。さらにこの付属事業計画書というのがついておりまするが、これを見ますといわゆる多目的ダム法第四条によるところの本件ダム計画に基づく事業認定申請ではないじゃないか、こういうふうに考えられるのです。この点は先般昭和三十七年度の予算の審議に際しまして、第四分科会において尋ねましたが、どうもはっきりいたしませんから、あらためてここにお聞きしたいのでありますが、収用法施行規則三条一号による参考書類を事業認定申請書には添付されておるかどうか、まずその点をお聞きしたいと思います。
  16. 志村清一

    ○志村説明員 三十四年の九月に事業認定申請書が土地収用法第十六条の規定に基づきまして提出されておりますが、その事業認定申請書には施行規則第三条によりまする添付書類は添付されております。
  17. 坂本泰良

    ○坂本委員 そこでお聞きいたしたいのでありますが、多目的ダム法によるところの事業認定申請であれば、事業に要する経費及びその財源として特定多目的ダム建設工事特別会計によってすでに支出されておると思いますが、この点がただ特定多目的ダム建設工事特別会計と書いてあるだけなんですが、それではいけないと私は思うのです。そういうような会計があるかどうか、会計があったならばどうしてそれを添付しなかったか、この点をお聞きしたい。
  18. 志村清一

    ○志村説明員 ただいまの坂本先生のお尋ねは、添付書類に書かれておりまする財源に関する記載が不十分ではないかという御趣旨かと存じます。事業認定申請書に財源について記載することといたしておりますのは、土地収用法で事業認定をいたします際に、当該事業を遂行する意思と能力があるかを判定する資料として重要でございますので、さような資料を記載することにいたしておるわけでございますが、本件の場合におきましては、添付書類にもございますように特定多目的ダム建設工事特別会計から支出されることが明らかでございますので申請書の記載で十分かと考えたわけでございます。
  19. 坂本泰良

    ○坂本委員 ちょっとその前に聞きたいことがあるのですが、下筌ダム建設についての本件の事業認定の申請ですね。これは私がそうだろうとさっき言いましたが、多目的ダム法に基づくところのものであるかどうか、もし多目的ダム法に基づくものであれば、その基本計画がなければならぬと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  20. 志村清一

    ○志村説明員 この松原・下筌ダムの事業認定でございますが、土地収用法におきまして、第三条第二号に規定がございます。すなわち「河川に治水若しくは利水の目的をもって設置する」ダム等の施設という規定がございます。この規定に基づきまして事業認定をいたすわけでありまして、それが多目的ダム法による多目的ダムかどうかということにつきましては、別個の問題と考えております。
  21. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうすると、下筌・松原ダムについては昭和三十三年度から予算がついておりまして、それは特定多目的ダム建設工事の特別会計に類する、いわゆる昭和三十二年三月三十一日公布の法律第三十五号の特定多目的ダム建設工事特別会計、これで昭和三十三年度からの予算がついておると思うのですが、この点はいかがですか。
  22. 志村清一

    ○志村説明員 土地収用法関係を担当しております私どもといたしましては、松原・下筌ダム関係につきましては収用法第三条第二号の河川に関する工事というふうなとらえ方で押えております。それを認定するにあたりましては、収用法の第二十条に事業認定の要件といたしまして、当該事業を遂行する十分の意思と能力を有するかどうかという点につきましては、予算措置その他についてすでに手当ができているというふうに考えまして、事業認定するにしかるべしと決定いたしたわけでございます。
  23. 坂本泰良

    ○坂本委員 私の聞いているのは、下筌・松原は特定多目的ダム工事だと思うのです。ですからそうすれば特定多目的ダムの点で事業認定を受けなければならないと思うのですが、そうするとあなたのおっしゃるのは、その前提とするところは、下筌・松原ダムが特定多目的ダムの建築法じゃない、こういうふうにおっしゃるのですか。
  24. 志村清一

    ○志村説明員 私が申し上げましたのは、土地収用法第三条第二号に、「河川に治水若しくは利水の目的をもって設置する」ダムその他の施設という規定がございますが、この規定に妥当するものと考えたいと申し上げたわけでございます
  25. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうしますと、土地収用法第三条二号の工事であって、特定ダムに基づく工事でない、こういうふうにおっしゃるのですか。
  26. 志村清一

    ○志村説明員 特定多目的ダム法による工事であるかどうかということについては、直接土地収用法には関係ございません。第三条第二号の規定に該当するかいなかという点を判断したわけでございます。
  27. 坂本泰良

    ○坂本委員 特定多目的ダム法に基づく建築工事を行なっておいて、そうして事業認定の申請はそうでない、三条二号のダム事業認定だ、こういうふうにおっしゃるのですか。
  28. 志村清一

    ○志村説明員 このダムは事業認定の申請書にも書いてございますように、主として治水の目的をもちまして計画し、副次的に発電効果をも考慮に入れた計画でございますが、さような趣旨に第三条第二号の規定も読めるわけであります。第三条第二号の規定に該当するかいなかというのが、土地収用法上の問題としてわれわれに課せられた問題でございますので、第三条第二号に該当するかいなかについては、該当するというふうに考えたわけでございます。
  29. 坂本泰良

    ○坂本委員 おかしいと思うんですがね。三条二号にはもちろんダムというものはあるわけです。しかし、それは多目的ダム法によるダムでなくて、普通の電源開発なんかのダムだと思うのです。そうするならば、電源開発もこれはやることだから、電源開発をやる会社側からもやはり事業認定の申請をしなければならない、こういうふうに考えるわけですが、そうじゃないのですか。と申しますのは、特定多目的ダム法による建設工事だから、それに基づいて事業認定の申請をした、こうすればわかるけれども、そうでなかったならば、この河川の方の事業認定とダムの方の事業認定と二つなければならぬと思うのです。その点いかがですか。
  30. 志村清一

    ○志村説明員 何べんも申し上げて恐縮でございますが、三条の二号は「治水若しくは利水の目的をもって設置する」施設でございまして、二つに分ける必要はなかろうと考えております。
  31. 坂本泰良

    ○坂本委員 治水または利水の目的で事業認定をやられるならば、これは特定多目的ダム建設工事として建設省はやっておられる、それじゃまたダムの方については、別に事業認定がなければならぬ、ただ治水、利水だけの事業認定ではできないのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、その点いかがですか。
  32. 志村清一

    ○志村説明員 治水、利水の目的をもってするダム等の施設でございますから、ダムもその中に入るというふうに考えております。
  33. 坂本泰良

    ○坂本委員 治水または利水の中にはダムも入る、こういう御見解で、この下筌・松原ダムに対する事業認定は申請をし、それを許されておる、こういうことに承っていいですか。
  34. 志村清一

    ○志村説明員 さように考えております。
  35. 坂本泰良

    ○坂本委員 それからこの事業認定の申請書は十六条だとおっしゃるのですが、十八条ではないかと思うのです。その点いかがですか。
  36. 志村清一

    ○志村説明員 法文上の問題でございますが、土地収用法十八条は事業認定申請書の書き方について書いておりまして、第十六条は「この章の定めるところに従い、事業の認定を受けなければならない。」という規定でございます。十六条によって申請するというふうなことでけっこうだと考えております。
  37. 坂本泰良

    ○坂本委員 わかりました。十六条で申請をする。しかし、その申請については十八条の要件を具備しなければならぬ、こう思うのですが、その点はいかがですか。
  38. 志村清一

    ○志村説明員 その通りと考えます。
  39. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、十八条の二項の一号によって事業計画書の内容をつけなければならぬ、こういうふうに思うのです。その事業計画書は土地収用法の施行規則第三条の一号に基づいて作らなければならないと思うのですが、それに基づいて作られておりますか。
  40. 志村清一

    ○志村説明員 先ほどもお答えいたしましたように、添付書類は添付されていると考えております。
  41. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、ダムの点も含まれるとおっしゃるのですが、施行規則第三条第一号の場合には、必ず参考書類を添付しなければならない。参考書類のおもなものは、いわゆるダムの発電がありますから、費用分担、いわゆる建築費についてアロケーションの問題が参考書類として提出されていなければならぬと思うのですが、その点は添付してありますかどうか、そのアロケーションの、いわゆる電力会社の建築費は幾らぐらいになっているか、その点を承りたい。
  42. 志村清一

    ○志村説明員 添付書類の事業に要する経費及びその財源に関してでございますが、先生も御承知の通り、建設工事費等につきまして金額をはじいておりまして、その財源といたしましては、ダム建設工事特別会計によるというふうにいたしておりますことは、先ほど申し上げた通りでございますが、この点につきましてさらにアロケーションまでの添付書類が要るかどうかという問題かと考えますが、こういった費用の一部を他の者に負担させる等の関係の資料を添付しなければ、当該事業を遂行する意思と能力があるかどうかを判断することができないかと申しますと、さようではない、さようなアロケーション添付書類がなくても事業の認定は行なうことができると私どもは解しているわけでございます。
  43. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、そういう添付書類はついていない。さらにアロケーションについてはきまっているか、どうか、この点をお伺いいたします。
  44. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 アロケーションの問題でございますが、この両ダムは洪水調節とそれから発電、この二つの目的をあわせてやるものでございまして、その点については、はっきりいたしておりますが、まだ詳細な調査はできませんので、アロケーションをやるためには、詳細にダムの費用が幾ら、それからなお発電の専用物につきまして詳細なそれができないと、アロケーションができないのでございまして、費用の概略については現在の調査でわかっておりますが、アロケーションの段階にはまだ至っていない、こういう状況であります。
  45. 坂本泰良

    ○坂本委員 九州地方建設局が出しておられるパンフレットを見ると、松原・下筌ダム建設費は百十七億円、それからアロケーション、いわゆる事業所の電気事業者の負担金額は十五億円、こういうふうに言われておりますが、そういう点はまだはっきりしていないわけですか。
  46. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 先ほども申し上げましたように、アロケーションという段階になりますと、詳細に調査した結果でないと言えないわけでございまして、ただいま先生の言われます数字は概略の工事についてやってみると、大体こういうふうになるという数字だと思います。   〔委員長退席、田村委員長代理着席〕
  47. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、百十七億円の国家の費用を使って、それに対して電気事業者が負担する金額が十五億ということになれば十二、三%にしかならぬ。そういう僅少な金額で本件のダムを作られる考えですか。
  48. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 この両ダムのおもな目的は、洪水調節が目的でございまして、なお発電のための余裕も多少考えてやった方が経済的である、こういう観点から計画を作っているのでございまして、従って十分な発電はできない。そういうような従来のアロケーションの方法がございますが、いわゆる金額につきましては、その目的の占めるウエートといいますか、それによってはじき出すべきものでございます。従って詳細につきましても、この程度の発電の負担になるのではないか、こういうふうに考えます。
  49. 坂本泰良

    ○坂本委員 次に、先ほどお話がありました三条二号の規定ですね、下筌・松原ダムは、この三条二号の規定で計画通りのものができるかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  50. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 土地収用法に関する申請書に計画が書いてございますが、大体この計画通りできる見通しでございます。現在のところも、この調査段階におきましてもこの計画に大きな狂いはない、こういう考えであります。
  51. 坂本泰良

    ○坂本委員 時間がたちましたから、先ほど質問事項でお願いしておいたことについて聞きたいのですが、その前に昭和三十五年二月四日に九州電力株式会社社長佐藤篤二郎から建設大臣村上勇殿あてに「下筌ダム使用権設定許可申請書」というのが出ているわけですが、その申請書によりますと、「下筌ダムに就いて別紙計画書の通り発電用に利用いたしたいと思いますので特定多目的ダム法施行規則第七条により関係図書類を添え申請いたしますので御許可下さいますようお願いいたします。」それから関連しておりますから、もう一つ昭和三十五年二月四日付九州電力株式会社社長佐藤篤二郎から村上建設大臣あてに「下筌ダム流水占用許可申請書」というものが出ておりまして「左岸大分県日田郡中津江村大字栃野字ツメの平、右岸熊本県阿蘇郡小国町大字黒淵字鳥穴に於て貴省建設の下筌ダムに就いて別紙計画書の通り発電用に流水を占用いたしたいと思いますので特定多目的ダム法施行規則第十二条により関係図書類を添え申請いたしますので御許可下さいますようお願いいたします。」それから昭和三十五年二月四日付の同九州電力株式会社から同村上大臣にあてて「下筌ダム河川敷地占用ならびに工作物新築許可申請書」「左岸大分県日田郡中津江村大字栃野字ツメの平、右岸熊本県阿蘇郡小国町大字黒淵字鳥穴に於て、貴省建設の下筌ダムに就いて別紙計画書の通り発電用に河川敷を占用し工作物を新築いたしたいと思いますので特定多目的ダム法施行規則第十条ならびに第十一条により関係図書類を添付申請いたしますので御許可下さいますようお願いいたします。」この三つの申請書に、いずれも関係法に基づく特定多目的ダム法施行規則条項は違いますけれども、その規則に基づいて関係図書類を添え申請いたします、こうなっておるのですが、その申請書にはどんな関係図書類を添えて申請してありますか、その点をお伺いしたい。
  52. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 ただいま先生の言われました申請書の内容につきまして、私直接見ておりませんので調べてからお話し申し上げたいと思いますが、ただダム使用権設定許可申請書には付属調書を正式には受け取ってない、こういうことになっております。その他につきましてはよく調査をいたしましてお話を申し上げたいと思います。
  53. 坂本泰良

    ○坂本委員 下筌ダム使用権設定許可申請書には、図書類がついてないのですか。
  54. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 ダム使用権設定許可申請書には、正式にはまだついておりません。
  55. 坂本泰良

    ○坂本委員 正式についていないというとどういう意味ですか。非公式にはついているということですか。
  56. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 話の内容としては聞いておりますが、正式な書類は出ていないということでございます。
  57. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうしますと、ただ話を聞いただけですから——添付書類というのは書類をつけて出すのが添付書類ですね。そうすると添付書類のついていない申請書を建設省は受理された、こういうことになると思うのですが、その点いかがですか。
  58. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 先ほど河川局長から答えましたような状況で、正式の添付書類がついておりませんので、建設省といたしましては、施行規則による手続を全部終了いたしておりませんので、正式に受領いたしたとは考えていないわけでございますが、そういう意思表示があったというふうに私ども考えておるわけでございます。
  59. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、下筌ダム使用権設定許可申請書という私がさっき読み上げましたその文書は出ているのですか。そしてその文書の内容である特定多目的ダム法施行規則第七条により関係図書類を添えて申請いたしますのでという、この関係図書類はついていない。ついていないのを受け付けておる、こういうことになるのですか。
  60. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 内容についてはお話の通りでございます。従いまして、正式な受理には至っていないという段階でございます。
  61. 坂本泰良

    ○坂本委員 正式の受理になっていないというのは、どういう意味ですか。預かる意味ですか。その点はっきりしてもらいたい。
  62. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 施行規則の第七条による要件を全部満たしていないので、そういうものはいわゆる要件を満たしていない書類でございますので、そういう書類を完全な書類としては受理していない。ただし、そういう意思表示があったということが考えられるということでございます。
  63. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、昭和三十五年二月四日に九州電力株式会社社長佐藤篤二郎からこういう意思表示があった、そういう意味でこの書類を受け付けておる、こういうことですか。
  64. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 書類の受付はいたしておりますけれども、書類としての要件を備えていないというふうに考えておるわけでございます。
  65. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういたしますと、書類としての要件を備えていない書類を受け付けておる、そういうことができますか。そういうことができる法的根拠はどこにあるのですか。
  66. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 受付というのは法律上の問題ではなくして、いわゆる受理はいたしておるわけでございますが、いわゆる法律上の効果発生する書類としては受け取っていないというふうに申し上げたわけでございます。
  67. 坂本泰良

    ○坂本委員 役所がそういうあいまいな書類の処置ができると思うのですか。またそういうことができる規則か何かがあるわけですか。あったらその根拠を承りたい。
  68. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 私どもは、この書類につきましては将来において完成さるべき内容を持つべきものであるというふうに考えておるわけでございまして、その付属書類等が必要な場合はそれを十分に補充していただくということを考えなければならないわけでございます。従いまして、全部完成しない前に部分的なものとして受理してはいけないかどうかという点は、これは必ずしもそうは言えないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  69. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういうことが役所としてできる法的根拠はどこにあるか、それを聞いておるのです。
  70. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 これは法的根拠と申しますか、そういう点についてのお答えを申し上げるわけでございませんが、いわゆる書類としては不完全な書類であるということはいかなる場合にもあるわけであります。しかし、そういうものは受理をいたしますけれども、それは完全な要件を備えていないので、将来にそれを十分に補備していただくということがあるわけでありますので、そういうことを待って、そういう際には完全な書類として受け付けるべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
  71. 坂本泰良

    ○坂本委員 昭和三十五年二月四日です。受理されたのは、もうすでに二年以上もたっているのですね。そういう不備な書類をただ受理しておく。受理しておくという法的根拠もわからぬで、二年半もそうして放置して受け付けておる。さらに書面によりますと、関係図書類を添え申請いたしますというのだから、添えなかった書類ならば受理されるわけにいかぬと思う。備えておる書類の内容が、十枚のうち一、二枚足らないとか、そういうのはあとで補充せいとかどうとか、そういう点なら了解できるけれども関係図書類を添え申請いたしますという申請書にそれがついていない、それをあとで補充させる、しかも二年以上もそれを放置する、それはどういうわけですか。建設省はそういうことをしていいわけですか。
  72. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 御指摘のように、関係書類は十分に整ってないわけでございますが、ここの整ってないのは、御承知のようにまだダム建設の全体につきます調査等、現在実施しておる段階でございまして、全部その調査等が済みますと、そういう点につきます書類も完備するわけでございます。従いまして、そういう書類が完備いたしまして、初めてこのダム使用権設定の申請の書類として完備するわけでございます。しかし現在のところは、そういう添付書類がついておりますので、私どもといたしましては、その正式な要件を満たした書類としては受け取っていない、ただそういう意図を持つ内容を示しておる書類として受け取っておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  73. 坂本泰良

    ○坂本委員 くどいようだからよしますが、最後にだめを押しますが、関係図書類を添え申請いたしますという以上は、その書類が現についていないのは、これは受け付けるべきじゃないし、その書類を、九電側でできた場合に出したら、そのとき受け付けたらいいと思うのです。それを建設省が受け付けておる、これに非常に不審を持つわけなんです。ですから、そういう書類を受け付けていいという法的根拠があるかどうか、さらに二年以上も放置してあるのをそのままでいいかどうか、その点をもう一つ最後にお聞きしておきます。
  74. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 たびたび同様な内容のお答えになって恐縮でございますが、建設省といたしましては、いわゆる特定ダム法施行規則の第七条による正式な要件を備えた書類としては受け取っていない、こういうように申し上げておるわけでございまして、ただそういう正式な要件を備えていない書類としては、これが法律上の関係はございますけれども、そういう意思表示があったものとしてこれを受理しておる、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  75. 中島巖

    ○中島(巖)委員 関連して。僕は下筌ダムのことについてはあまり詳しくないのですが、一言関連質問さしていただきたいと思います。下筌ダムは建設省でやっておる直轄の多目的ダム工事である、こういうように考えるわけです。そこで今問題になりました下筌ダム流水占用許可申請書、これですが、これは何法の何条によってこういう書類を出すわけなのか、その点お伺いしたいと思うのです。
  76. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 ただいまの御質問の要点に即したお答えにならないかと思いますが、下筌ダムの建設工事は何法によるかという点についてお答え申し上げたいと思います。これは特定多目的ダムは特定多目的ダム法によりまして、河川法による工事であるわけでございます。従いまして、河川法によりますとともに、特定多目的ダム法におきましては河川特例を定めておるわけでございますから、従って、その河川法と特例法によって仕事をやっておるわけでございます。
  77. 中島巖

    ○中島(巖)委員 関連質問であまりくどくならぬ程度にお伺いいたしますが、それで直轄事業でありますから、おそらく建設省の方でこのダムの本体の設置その他を行なうと思うのです。その場合において一番最初に基本になるのは、堰堤規則によって書類なんかを提出しなければならぬ、こういうように考えるわけなんです。そこででき上がった本体をいわゆるアロケーション方式によって電力会社に負担さして、そして電力会社の方へその工作物を占用させる。これはいつも占用に対して、ダムの調節なんかに対してたびたび問題になるのでありますけれども、そこで、それまでの経過はどういうふうになっておるかということを河川局長から、大ざっぱでいいから説明をお聞きしたいし、それから次長からも、今問題になっておる下筌ダムの流水占用の許可、これはおそらく多目的ダム法か何かにあるのだろうと思うけれども、僕は不敏にして知らないのですが、こういう書類は何法の同条によって提出せんならぬ書類であるか、このことだけをお伺いしたい、こう思うわけです。
  78. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 この松原・下筌ダムにつきましては、昭和三十三年度から事業を実施いたしているのでございますが、御承知のように現在の段階は、非常に地元の一部の反対がございまして、まだ本体工事というところまでは至っておりません。いわゆる準備工事の段階で、工事用道路の整備とか、そういうようなことをやっている段階でございます。
  79. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 流水占用許可にりきましては、特定多目的ダム法の第三条によりまして、河川法十八条の規定による流水の占用の許可が必要になるというわけでございます。
  80. 坂本泰良

    ○坂本委員 さっきの御答弁では、今度は、「下筌ダム流水占用許可申請書」と「下筌ダム河川敷地占用ならびに工作物新築許可申請書」、これには関係図書類の付属書類がついていないかどうかわからぬ、こういうことでございますね。
  81. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 ただいま私が承知いたしておりませんので、よく調べてからお答え申し上げたいと思います。
  82. 坂本泰良

    ○坂本委員 これはおそらくまだついていないと思うのです。また聞くところによると、ついておるけれども、今これを出すと、百十七億も国民の税金を使ってダムを作る、しかし電力会社には十五億、わずかなあれしかできない。基本計画もつけて出しているけれども、出すと、やはりこのダムは洪水調節のダムでなくて電力会社のための電源開発のダムだ、こういうふうにいわれるから、わざと引っ込めておるんじゃないか、こういうふうにいわれておるのです。これは真実かどうか私もわかりませんが、これは特定多目的ダム法によって基本計画ができていなければならぬはずだ。できていなければ工事を進めるわけにいかぬと思う。ですから私は五月七日までの今国会の間に、もう一回委員会におきまして、基本計画の点と、今申し上げました付属書類の点、これを一つお聞きしたいと思いますから、調査しておいていただきたいと思います。  時間がありませんから、さっき時日の点について、書面をやっておきましたから、その点について三点ばかりございますからお許し願いたいと思うのです。  第一は津江川。これは栃原部落までは津江川というそうで、それから上流は鯛生川——鯛生金山の鯛生川。それから中津江の村。上野田川、川原川の二つの川は上津江の村がある。この四つの川が直轄あるいは適用河川となったが、建設省が告示を官報に掲載された年月日、これをお聞きしたい。
  83. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 これらの川につきましては、河川法の第四条の支派川の認定によりまして、大分県の告示として昭和三十四年八月十七日、この日から適用河川になっております。
  84. 坂本泰良

    ○坂本委員 そうすると、これはやはり規定に基づいて官報に掲載してあるのですか。
  85. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 規定に基づいて掲載してございます。
  86. 坂本泰良

    ○坂本委員 次は、河川法による直轄工事——先ほどお話があったわけですが、これはいつから直轄工事に入られたか、それから直轄工事の予算は、調査予算であるか、工事予算であるか、この点いかがですか。
  87. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 ダムが二つございますが、下筌ダムは昭和三十四年八月二十日、松原ダムにつきましては三十三年四月十六日、告示になっております。  予算につきましては、昭和三十三年度から予算がついております。
  88. 坂本泰良

    ○坂本委員 その三十三年度からの予算は、工事予算ですか、いかがですか。
  89. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 正確には、ちょっと調べないとわかりませんが、三十三年度から工事予算だと思います。
  90. 坂本泰良

    ○坂本委員 この予算は、特定多目的ダム建設工事の特別会計の財源としてこれを支出しておられるかどうか、その点を伺いたい。
  91. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 三十三年度から、ダム特別会計の予算として計上されております。
  92. 坂本泰良

    ○坂本委員 それから、松原・下筌ダム計画は、現在の状態では、河川法による直轄工事としてやっているものであるか、あるいは特定多目的ダム法によるダム工事か、この点どちらですか。
  93. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 御承知のように、特定多目的ダム法は河川法の特例でございますので、いろいろ段階におきまして、工事の法律に基づく手続におきまして、完全に多目的ダム法の手続が終わっておるかどうか、こういう点について多目的ダム法のダムに完全になっているかどうかという点は問題があると思いますが、河川工事であることはもう間違いございません。  なお、多目的ダム法の第二条の定義にも、多目的ダムとは云々とございまして、その辺までは多目的ダム法によってやっておりますが、その後の基本計画、アロケーションの問題、そういうところにはまだ入ってないという段階でございます。
  94. 坂本泰良

    ○坂本委員 最後に一言お聞きしたいのは、アロケーションの問題ですが、特定多目的ダム法による工事だとしますと、建設大臣が徴収する受益者負担金、第十四条第一項の規定による借入金並びに付属雑収入をもってその歳入とし、多目的ダム建設工事に要する費用、事務取り扱い費、同法の規定による借入金の償還金及び利子、法第十二条の規定による還付金並びに付属費をもってその歳出とする、こういうふうにありますから、先ほどおっしゃったように、本件工事が多目的建設ダム工事の特別会計としてやっておられるということになれば、当然アロケーションの事業者の負担金がすでに定まって、その負担金の徴収がなされておらなければならぬ、こういうふうに思うのですが、その点はなされておりますかどうか。なされておるならば、どういう金額あるいは比率でなされておるか、その点お尋ねしたい。
  95. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 先ほど申し上げましたように、まだアロケーションもきまっておりませんので、受益者の負担金は入っておりません。従ってそれがなければ多目的ダム法によるダムではないのではないか、そういうふうに言えるかどうかという点に問題があると思います。ただ河川工事でやっておることは間違いない。完全にこの多目的ダム法による手続が完了して初めて多目的ダムというのかどうかとういことになれば、まだそこには至っていない、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
  96. 坂本泰良

    ○坂本委員 そういうふうにまだどちらかわからないのに、将来は特定多目的ダム法によって発電をやる。まだアロケーションもきまっていない段階でダム地点に対する事業認定をして、その地点だけの国民の土地を収奪するということはできないのじゃないか、こういうふうに考えますが、その点いかがですか。
  97. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 工事が何法によってやって、どういう法的根拠でそういう土地収用とかなんとかができるかという点になれば、これは河川事業であることは間違いないのでございます。従って河川法によってできる、こういうふうに解釈いたしております。
  98. 坂本泰良

    ○坂本委員 河川法によってできるというのですが、本件は下筌・松原ダムの特定多目的ダムとして工事が進められて、法的にはそういうふうになっていないけれども、そういうことで進められているでしょう。しかし、その要件が整っておらずに、ただ河川法に基づいてそのダム地点の土地を土地収用法で収奪する。これはもってのほかであって、できないことであるし、またしいて言ってもこれは権利の乱用じゃないか、こういうふうに考えますが、そういう点についてはいかがですか。
  99. 志村清一

    ○志村説明員 坂本先生御存じのように、土地収用法によりまして、事業を認定する要件といたしまして、第二十条の各号がございますが、その中の起業者が事業を遂行する十分な意思と能力を有するものであるかどうかという点についての御疑念かと思うのでありますが、先ほども申し上げましたように、アロケーションがきまりませんでも、国の予算といたしまして、はたして国の直轄でやるのに能力があるかどうかというふうに考えますと、アロケーションがきまっていなくても十分能力があると判定できるのではないかというふうに考えた次第でございます。  なおこの第二号につきましては、先生も御承知の通り、国といったような当然信用できる事業主体についてまでこういった要件が必要かどうか、必要でないのじゃないかというくらいの学者の意見もあるようでございますが、今回の場合につきましては、国だからということではなく、特別会計の中において国として十分予算措置をするという建前になっておりますので、この条項に該当するものと考えておるわけであります。
  100. 坂本泰良

    ○坂本委員 国がやるからというあなたたちの考えがいけないのです。国がやろうとしておるのは、筑後川下流百万の農民の洪水調節にならぬじゃないですか。それよりも、電力会社の発電のために下筌・松原にしわ寄せして高堰堤のダムを作る、そこに大きい疑問があるから志屋が反対しているわけです。だから問題は、筑後川上流は二つの大きい玖珠川と大山川とに分かれていて、その洪水を調節して下流の水害をなくそうとするわけでしょう。それを片一方の大山川の下筌・松原だけに高堰堤のダムを作って——ほかにバック・ウォーターとかいろいろな問題がありますよ。また地質の問題とかいろいろありますけれども、そういう点はきょう時間がないから申し上げませんが、その二つにしぼってそこにやるから、あそこのりっぱな小国の杉の植林のいいところも水没させ、そして学校が二カ所、先祖代々の三百戸の水没ができるでしょう。そういうところをせぬでも、ほかにもっと砂防ダムを強化させてやるということが学者の意見でも出ておるのに、そうせずに、電源に対する基本事業計画も示さずに、アロケーションの問題もあいまいにして、そうしてダムの工事だけどんどん進めて、すでにそのダム地点の土地を事業認定によって収用して収奪しようとする、そこに大きな問題があるわけなんです。だから国の仕事だからといって全部信頼できないが、本件に関しては絶対信用ができない。科学的にも下流の洪水調節というのはなかなかできないわけです。それを君たち、反対するならそのダム予定地の土地だけを強制収用で取って追っ払って勝手にやるぞ、あとはそのダムがバック・ウォーターその他でどうなろうと、計数上はこうしております。ああしておりますといって、作った先のことは考えずにどんどんやるから、先のことまで考えて、国の九地建のやっておられるこのダム工事が真に公益のためであるかという点に大きい疑点があるから反対闘争が起きているわけです。私なども、この熊本県の志屋部落の方々がそういう考え方に立って熱心に、また自分の生命をかけて反対しておるから、なるほど、しかも科学者のりっぱな鑑定も出て、必ずしもあそこの二カ所に高堰堤を作るべきでない、高堰堤を作ったらさらに熊本県の杖立温泉もバック・ウォーターによって水害をこうむる、そういう観点まで出てきておる状態にあるわけです。ですからまだ事業認定が無効になるかどうか、裁判にもなっていないのに、事業認定をやって、そして熊本県の土地収用委員会にハッパをかけて、土地収用委員会は前二回は公平にそれを進行しようとしたら、事業認定を建設省がやっているのを何をぐずぐずするか、こういうことをやると承知しないぞと言ってきのうは強引にやろうとし、またそれに収用委員会が乗ってきたから混乱が生じてきているわけです。そういう問題を考えずに、ただ国がやるから正しいのだ、アロケーションもできていないが、予算もついているから間違いないのだ、どんどん進めるのだ——それじゃ私は国民のための九地建の事業じゃないと思うのです。だから今両方から鑑定人が出て、やはり裁判所も疑いを持って、実地検証をやるし、さらに鑑定人も双方任命をしてやっているのだから、そういうことを待たずに、もし敗訴でもしてしまえば大へんだから、早いうちに事業認定で収用してあの蜂の巣の土地をとってしまえ、そういうふうに強引にやっておられるとしか思えない。私の郷土であり、私の選挙区であるところのあの志屋部落の人がそのような重大な疑問を持って、その疑問に対して九地建が納得するようなことも与えずにやるから、私たちは彼らとともに決然立ってやっておるわけなんです。ですから、そういうところはもう少し慎重にされて、単なる書面の問題にしても、添付書類をつけて出さなければならぬ書類を、添付類書がないのを受け付けておいて、そういうような意思表示があったことのために受け付けております。二年以上もほうっておいて、付属書類を出さないのをまだそのままにして言いわけをするというのは、建設省は九地建の代弁者じゃないか、こういうふうに言われても私はやむを得ないのじゃないかと思うんです。ですから、国家の権力でやるべきでない。せっかく行政事件訴訟特例法という法律があって、その行政事件訴訟特例法に基づいて事業認定の無効確認の訴訟が提起されておるわけです。それが少なくとも一審の判決が片づくくらいまでは、土地収用法という権力に基づいて国家がそのダム地点の土地を剥奪せぬでもいいのじゃないかと思うのです。どうです、そういう点も少し——まだこのダム建設は五、六年かかるでしょう。もう少しやはり反対者が納得いくように、少なくとも判決の出るくらいまでは静観をして、そしてもし判決で負けたならば、調査をやり直して、ほんとうの筑後川の総合開発をやるべきだと思うのです。筑後川総合開発には決して反対じゃないのです。しかし総合開発という名前で、あの松原・下筌の二つの高堰堤のダムを作って、そしてそこを水没さしてしまう。これは重大な問題ですよ。もう少し善処して、納得のいくような方法をとって、建設省が始めたのだから必ずやらなければならぬというような旧憲法時代の考えは捨てて、強引にやらずに、民主的な方法でやるというようなお考えはないですか、どうですか。これは大臣に聞かなければならぬことですが、大臣はお帰りになったから、責任者たる河川局長、いかがですか。
  101. 志村清一

    ○志村説明員 先ほど先生の御質問の中で、私の申し上げました言葉が足らなかったために誤解があったのではないかと存じますので、訂正さしていただきます。と申し上げますのは、事業認定の要件について先ほど申し上げましたのは、国が事業をやるからには事業認定の要件は何も考える必要はないと申し上げたのではございませんので、二十条の二号に書かれてございますように、予算措置等につきましては、一部の学説では、国が予算まで組んでやっていくなら、それはあらためて検討して、はたしてそれだけの金が出せるかどうかというふうなことまで調べる必要はないのじゃないかという意見もあると申し上げただけでございます。その他の要件について、国がやるから一切正しいのだというような建前を申し上げたわけではございません。  それから次に収用委員会の問題でございますが、先生もよく御存じの通り、収用委員会は土地収用法で準司法的な独立の機関でございまして、収用法を担当いたしておりますわれわれといたしましても、収用委員会にこうせいああせいというようなことは申し上げることにはいかないのでございます。収用委員会が独自の立場において審議をする建前になっているということだけを申し上げておきます。
  102. 坂本泰良

    ○坂本委員 九地建は、おとといですか、二日前に九地建の局長室に新聞記者を集めまして、総務部長が、東京の裁判も五月ごろには片づくであろう、熊本の収用委員会は二度もやって何もしない、関連のないことばかりやる、だから上申書を出して今度は強行するのだ、こういう新聞記者発表をしました。熊本の収用委員会には上申書を出して、そして収用委員会も土地収用のこととか、こむずかしい多目的ダムの関係、アロケーションの問題等、わからないから、庄司弁護士からその点を詳しく説明して、そして足らない書類があるからそういうものを出させる。われわれの考えでは、その書類を完備しなければこれは却下すべきだという考えを持っておりますけれども、だれが考えましても補充させる。補充したら、進めよう。そういう点までやろうとしておるのに、委員長は今度は中野という弁護士の委員にかわりまして、その人が間髪を入れず、九地建に説明を許します、こっちがそれはこの前と話が違うじゃないですか、実質審理に入る前に形式的に審理してもらうことがあるからそれをやりたいと言ったのに、委員長は庄司弁護士に、それじゃ次回にそれをやりなさいということでおとといになっておる。それをその質問は許しません。そんなことがあるかといって混乱をしている。そうすると片一方は、九地建の方は、そういう混乱をしても聞こえぬでも聞こえてもいい、われわれはただしゃべればいいというところでやった。だからたまりかねて途中でその発言を中止して、庄司弁護士の陳述に移ったわけです。そういう新聞記者会見といい、上申書を出して熊本県の収用委員の係と打ち合わせておいて、間髪を入れずにそういうふうに強行する。だから、あなたがいかに予算の措置があるから、そういう点もあるから安心しろと言っても、九地建のやること自体がすべてそういうことであるから、客観的に見てそうなってくるわけです。だから、そういうことのないように、反対する人は、みずから自分がそういうふうに水没してなくなる、あの長年育て上げて、よそよりも倍も大きくなる小国杉の植林が水没してしまう、そういうことを考えたならば、そういうような強引な方法はやらずに、もっと合理的に、たとい一年、一年半、二年ぐらいは延びても、合理的にやってこそ私はりっぱな工事ができるのではないかと思うのです。今のやり方はあまりにも三百代言式であり、やることは全く強引なんです。ですから、そういう点についてもっと合理的に善処されることはないか。これは大臣がおられませんから、局長の御意見を一つ承っておきたい。
  103. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 松原・下筌ダムにつきまして、われわれが一番いいのではなかろうかという計画のもとに一部準備を始めているわけでございますが、いろいろ先生も言われましたように、ほかの玖珠川にダムができるかどうか、あるいは砂防工事の点とか、いろいろ御批判がございます。その点につきましては、そのたびごとにいろいろ検討いたしまして、われわれの計画がどこか間違っているかどうかという反省をしてやっている段階でございます。今のところそういう点もございませんので、従来の線に沿っているわけでございますが、ただいま御指摘の九州地建が熊本土地収用委員会でどういうことをやっているか、よく調べまして、もし行き過ぎというような点がございましたら、よく考えて慎重にやって参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  104. 坂本泰良

    ○坂本委員 どうもおそくまでありがとうございました。本日の建設省の御答弁もありましたように、まだ資料のわからない点——なお、これはほんとうに部落の方々の心情を察しますと、やはりこの国会の開会中にこの委員会を通じて問題の真相を明らかにしていくと同時に、やはりわれわれは国家の政策が間違っていたならば、これを改むるにはばかるなかれでございまして、この問題はさらにお聞きしたい点もありますので、今月の末にでもぜひもう一回委員会を開いていただいて、事実を明らかにする機会を作っていただくことをお願いして質問を終わることにいたします。
  105. 田村元

    ○田村委員長代理 次会は、来たる十三日金曜日午前十時理事会、同三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時一分散会