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1962-03-02 第40回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二日(金曜日)    午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 加藤 高藏君 理事 薩摩 雄次君    理事 瀬戸山三男君 理事 田村  元君    理事 松澤 雄藏君 理事 石川 次夫君    理事 中島  巖君 理事 山中日露史君       逢澤  寛君    綾部健太郎君       金丸  信君    徳安 實藏君       丹羽喬四郎君    松田 鐵藏君       岡本 隆一君    兒玉 末男君       佐野 憲治君    實川 清之君       日野 吉夫君    三宅 正一君       田中幾三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         建設政務次官  木村 守江君         建設事務官         (計画局長)  関盛 吉雄君         建設事務官         (都市局長)  前田 光嘉君         建設技官         (道路局長)  河北 正治君         建設事務官         (住宅局長)  斎藤 常勝君  委員外出席者         参  考  人         全国建設業協会         会長         株式会社大林組         社長      大林 芳郎君         参  考  人         横浜建築局長 内藤 亮一君         参  考  人         日本不動産銀行         鑑定部長    嶋田 久吉君         参  考  人         辻建設株式会社         社長      辻 熊次郎君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 三月一日  委員兒玉末男辞任につき、その補欠として畑  和君が議長指名委員に選任された。 同日  委員畑和辞任につき、その補欠として兒玉末  男が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  駐車場法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇六号)(予)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議開きます。  まずお諮りいたします。  去る二月二十七日、内閣提出の新産業都市建設促進法案につきまして、商工委員会連合審査会開催を申し入れることに決定いたしましたが、なお、井手以誠君外十八名提出産業雇用適正配置に関する法律案につきましても、あわせて同委員会連合審査会開会を申し入れることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 去る二月二十七日、本委員会予備付託になりました内閣提出駐車場法の一部を改正する法律案議題といたします。
  5. 二階堂進

    二階堂委員長 まず本案趣旨説明を聴取いたします。建設大臣中村梅吉君。
  6. 中村梅吉

    中村国務大臣 ただいま議題となりました駐車場法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  御承知通り、最近における自動車交通量増加とこれに伴う道路交通の渋滞はまことに著しいものがありまして、このため都市機能のはなはだしい低下を招いている実情にあります。  このような実情にかんがみ、政府におきましては、街路その他交通施設整備促進交通秩序確立等各般施策を鋭意進めて参っておるのでありますが、都市道路交通の混雑を招来している大きな原因の一つとしての駐車問題について、路上における駐車規制強化路外における駐車施設のすみやかな整備を行なうことにより、現存道路の完全な利用を可能にすることが特に緊要と考えております。現行駐車場法は、都市における自動車駐車のための施設整備に関し、駐車場整備地区指定とこれに伴う路上駐車場設置路外駐車場整備並びに大規模建築物に対し駐車施設付置を義務づけることなどを内容としているのでありますが、制定以来の運用の経験に照らし、このような緊迫した交通情勢に対処いたしますためには、駐車場整備地区拡大路外駐車場整備促進駐車施設付置義務強化等なお一段とその規制内容等強化整備する必要があると考えられるのであります。以上がこの法律案提出することにいたした理由であります。  次に、この法律案要旨を申し上げます。  第一に、駐車場整備地区として指定することのできる範囲拡大したことであります。現行法におきましては駐車場整備地区は、商業地域内において、その自動車交通の輻湊の著しい地区について指定することができることとなっておりますが、これを当該地区の周辺の地区自動車交通の著しく輻湊するものについては、商業地域以外の地域についても指定することができるようにいたしたことであります。  第二に、建築物に対して条例駐車施設設置を義務づけることができる場合を広くしたことであります。  まず、付置義務を課することのできる区域を本法案による改正後の駐車場整備地区はもちろん、商業地域全般に広げるとともに、さらに、劇場、百貨店その他特に駐車需要を発生させる程度の高い特定用途に供する建築物については、都市計画区域内で条例で定める地区においても付置義務を課することができることといたしました。  次に、駐車場整備地区商業地域においては、延べ面積三千平方メートル以下の建築物であっても、特定用途に供する延べ面積条例で定める一定規模以上あるものについては付置義務を課することができることといたしました。  また、一般に、建築物増築の場合につきまして、増築によって建築物全体の延べ面積条例で定める規模以上となるもの等についても、付置義務を課することができるように改めたわけであります。  なお、建築物特定用途以外の用途から特定用途用途がえする目的で大規模の修繕または模様がえをする場合についても、付置義務を課することができるようにいたしたわけであります。  第三に、都市計画として決定した路外駐車場設置について国が資金の融通及びあっせんに努めることを定めたことであります。従来とも、路外駐車場建設のための資金確保に努めて参ったのでありますが、路外駐車場建設を一そう推進するため、この際法律上これを明文化したものであります。  第四に、路上駐車場整備促進し、管理合理化をはかるため、その設置について、一級国道指定区間については都道府県または指定市が、市の区域内の国道及び都道府県道については当該市が、特別区道については都が、それぞれこれを行なうことができるように改めました。  その他本法における自動車範囲拡大駐車施設有効保持の規定の整備等について所要の改正をいたすことといたしたわけであります。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げる次第でございます。
  7. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で趣旨説明は  終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  8. 二階堂進

    二階堂委員長 建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  本日は、本調査のため参考人として全国建設業協会会長大林芳郎君、横浜建設局長内藤亮一君、日本不動産銀行鑑定部長嶋田久吉君、辻建設株式会社社長辻熊次郎君、以上四名の方々が御出席になっておられます。  この際参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用中のところ、わざわざ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございました。本日は、特に建設資材労務等をめぐる業界の近況、公営住宅建設状況、地価問題、中小建設業界実態等調査するため諸君の御出席をわずらわした次第であります。それぞれの立場で忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。ただ時間の都合もありますので、最初に御意見をお述べ願います時間は、お一人大体十分ないし十五分程度に願い、後刻委員からの質疑もあろうかと存じますが、そのとき十分お答え下さるようにお願い申し上げます。  それでは、はなはだ勝手ながら、御発言の順序は委員長に御一任願うことといたし、大林参考人よりお願いいたします。大林参考人
  9. 大林芳郎

    大林参考人 私は全国建設業協会会長をいたしております大林芳郎であります。本日は主として公共工事中心として建設資材価格労賃等建設業界に及ぼしている状況につきまして参考人として意見を述べさせていただきます。  まず最初建設資材価格及び労賃に関連して意見を申し上げます。  皆さんもすでに御承知通り昭和三十五年度及び昭和三十六年度におきまして、政府公団、公社及び地方自治体発注いたしまする公共工事が逐年増加いたしました上、一般産業界設備更新拡充がまことに旺盛でありましたため、建設業界はすこぶる繁忙でありまして、現在、量の上では相当大量の工事を保有し、その消化に専心している次第でございます。しかしながら、この間この建設工事量の急激な増加によりまして、建設関係労務者があらゆる職種にわたって極度に不足いたしましたため、昭和三十五年秋から昭和三十六年夏にかけまして労務賃金は激騰に次ぐ激騰を重ねますとともに、建設資材木材砂利砂等の一部天然資材不足をいたしまして、その価格の著しい高騰を見ました。  これに対処いたしますため、建設業界におきましては経営近代化施工合理化機械化による工事原価の低減、技能労務者養成による労務者確保にあらゆる努力を傾けたのでありますが、何分にも一般産業界の旺盛な設備拡張に伴い雇用が増大いたしました一面、建設関係労働屋外労働であることなど一般生産工場に比べまして労働条件に差のあることなどの関係で、その急速かつ大量の養成には大きな困難がありました。また建設生産工場生産におけるごとく大量生産方式によってコストダウンをはかるにも限度がありまして、目的を容易に達し得なかったのであります。  かような情勢下におきまして政府等から発注されまする公共工事特に学校工事特に学校建築工事公営住宅工事におきまして建設業界にとりましてまことに重大な事態が生じて参ったのであります。  まず、地方公共団体発注する学校及び公営住宅工事について申しますと、昭和三十五年秋から暮れにかけまして発注者側予定価格業者見積もり価格との間に大きな開きが出て参ったのであります。発注者側予定価格をもっていたしましてはとうてい受注しがたいこととなったのであります。これらの工事は主として中小業者といわれる建設業者が請け負っておるのでありまして、これらの中小業者は主として官公庁工事に依存しておるのでありますが、それらの工事受注いたしました中小業者倒産のうき目を見る者が生じて参ったのであります。この状況にかんがみまして、業界といたしましては、全国建設業協会中心となりまして、おりから原案編成中でありました昭和三十六年度政府予算に関しまして、これらの学校及び公営住宅工事について行なわれる国庫補助の額を引き上げられるよう関係方面に強く要望したのでありますが、政府予算編成はその年における実施価格によるということで、遺憾ながら昭和三十五年八月ころの実施価格によって三十六年度予算が決定いたしたのであります。  昭和三十六年に入りまして発注されました三十五年度予算残工事につきましては、発注者業者歩み寄りによりまして、設計を変更して規模程度を変えるとか、また、業者赤字ないしそれに近い線を覚悟受注により辛うじて全工事契約を了するまでにこぎつけ得た模様でございます。次いで、昭和三十六年の四月に入りまして、新年度学校工事公営住宅工事が次々と発注されるに至ったのでありますが、お手元にお配りいたしました建設資材価額及び労賃の推移に関する印刷物にも示されておりますように、この間におきまする労務賃金及び一部資材費騰勢は引き続き著しいものがありまして、そのため全国各地におきまして入札の不調、業者赤字受注増加いたしまして、われわれのうち主としてこれら工事に依存いたしております中小業者苦境は目に余るものがあり、前年に引き続き倒産者が続出する惨状を呈したのでございます。  全国建設業協会におきましては、これに対処いたしまして、四月以降中央地方関係方面業界実情を訴え、しばしば要望、陳情、説明会懇談会国会請願等を重ねまして、中央に対してましてはこれら工事についての国庫補助額補正増額を、地方に対しましては工事発注単価増額要望し、特に昨年九月六日には東京に全国建設業者約三千名が参集いたしまして公共工事適正単価確保のための業者大会開催し、関係方面の理解と認識を深めることに努めたのであります。  この結果、昨年九月下旬開催臨時国会におきまして、学校建築には約十億円、公営住宅には約十三億五千万円、率にいたしまして約一〇%の国庫補助増額が認められ、一方地方自治体におきましてもこれにならい工事費補正増額が行なわれ、昨年秋以降の残工事がこの補正せられた単価発注されつつあるのであります。しかしながら、これらの工事につきましては、予算補正前におきまして発注側予算とわれわれ業者見積もり額との間には約四〇%の開きがあったのでありまして、この補正によりましても、なお三〇%近い開きがあるわけでありまして、この差は前年同様発注者側設計変更業者出血覚悟受注による歩み寄りによりまして補っているのが現況でございます。  このような現況にかんがみまして、業界といたしましては、現在審議中の昭和三十七年度予算原案につきまして、公営住宅及び学校工事に対する国庫補助額を三十六年度の当初予算よりも五〇%引き上げるよう引き続き強く要望を続けてきたのでございますが、三十七年度におきましては労務費は多少の高騰を見るとしても、資材費は前年度に比べ低落する見込みであること等の理由によりまして、用地費を含め若干増額された以外にはさしたる増額が認められずに原案が決定したと伺っておるのでございます。  昨年中ごろ以来一連の景気調整策によりまして、木材価格は一応落ちつきを取り戻しておりますものの、最近にはセメントの価格が上向き傾向にあり、砂利砂等品不足は依然として解消いたしておりませず、その上運賃高騰、特に都会地におきましては交通規制強化される趨勢にあり、その成り行きいかんでは、運賃のみならず工事費全般増高が予測される状況でございます。また、他方労賃騰勢は一応とまりはいたしましたものの、今後低落することはとうてい見込み得ない情勢でございます。  本年度におきましては、一般産業界工事発注は若干減少するといたしましても、公共工事の量の増大を考え合わせますと、建設工事の総量は昨年に比べましてさして減るとは考えられないのでありまして、四月以降におきまして公営住宅学校等工事が現在の政府原案の線で発注されますならば、本年におきましても昨年同様発注者予算業者見積額との間に相当な値開きが予想されるのであります。従いまして、これら工事を主として施工しつつあります地方中小業者は、昨年同様、いやそれ以上の苦境に立たされることは明らかでございます。  聞くところによりますと、学校住宅等に対しまする国庫補助額昭和三十二年から昨年秋の補正に至りますまでほとんど改定されていなかった由に伺っておりまして、この間の建設工事費騰貴率建設工業経営研究会資料によって見ますと、木造につきましては約五〇%、鉄筋コンクリート造につきましては約二三%となっておるのでございまして、この種公共工事予算がいかに低いかということは、このことからでも御推察願えると思うのでございます。  所得倍増国民生活安定向上公共施設の充実を標榜されつつある政府におかれましては、住宅学校等の単なる量的な増加にとどまらず質的な向上に留意さるべきでございますのに、昨今はむしろこれと逆行していると申せるのではないかと思うのでございます。今日の状況は、極言いたしますれば、中小建設業者犠牲によって学校住宅建設されつつあると申せるのでございまして、政府におかれましてはこの際建設業界実情工事施工現況を十分に把握せられまして、われわれ業者が安んじて協力できる態勢におきまして公共施設積極的拡充をはかるべきであると私どもは確信いたしております。  以上が、主として国庫補助による地方自治体住宅学校工事現況でございますが、次に政府が直接発注いたしまする公共工事及び道路公団国鉄等政府関係団体発注いたしまする工事につきまして、若干申し上げたいと思います。  昨年度は、政府道路整備新五カ年計画の第一年度に当たりまして、建設省やその他政府機関であります日本道路公団、首都高速道路公団及び都道府県等におきまして多量の道路工事発注せられましたのを初めといたしまして、国鉄新幹線工事治山治水のための工事等規模土木工事が相次いで発注せられまして、業者は目下その消化に懸命の努力をいたしておるのでございます。これらの土木工事におきましては、直接工事費の中で労賃、コンクリート、骨材等が占める割合が大きいだけに、労務者の絶対量の不足によりまする労賃高騰砂利、砂及び運賃等騰貴の影響ははなはだしいものがございまして、このままで推移するならば、工事完成のときにおいて相当大幅な赤字となることは必至の情勢にあります。この状況は特に一昨年及び昨年初頭に受注した工事に著しいのでありまして、この期間におきまして受注いたしました建設省発注工事道路公団名神高速道路工事、同じ期間発注されました国鉄新幹線工事等は、ほとんどすべて実施工事費受注当時の予定価格を大幅に上回ることになっておるのでございます。  われわれといたしましては、発注官公庁に対しまして経済情勢激変による工事費値増し要求を強力に続けておるのでございますが、日本道路公団におきましては請負契約経済情勢変動による請負金値増し要求はできないことになっておりまして、また国鉄新幹線工事におきましては、物価変動に基づく値増しをする必要があるかいなかは国鉄当局の認定によることとされておりますこと等のため、今日までのところこの窮状は全く打開されておらないのでございます。さらに昨年の夏ごろ以降に発注せられましたこれらの工事は、予定価格業者見積額との間に大幅な差を生じまして、入札が不調となりましたり、入札最低入札者発注者が協議をいたしましても容易に妥結点に達し得ませず、建設業者はこれらの工事適正価格受注することに難渋をいたしておるのでございます。どうかこれも、政府におかれましては業者窮状を十分に検討せられまして、経済情勢激変等業者の責任でない工事費増高につきましては早急に救済策を講ぜられますよう切望してやまないものでございます。なお、三十七年度発注されまするこれらの工事につきましては、発注時の時価による適正な予定価格によられるよう措置せられますとともに、関係方面の指導に努められますよう強く望む次第であります。さらに、先ほど申し上げました日本道路公団名神高速道路工事に関連いたしまする請負契約は、片務性がはなはだしいものでございますので、早急に合理的な双務的なものに改められなければならないと考える次第でございます。  次に、ここで要望申し上げたいことは、公共工事予算算出の基礎となっております建設関係労務者賃金及び資材価格を正確かつ権威をもって調査する機関設置していただくことでございます。現在政府及び自治体におかれましては、労務賃については年に一回発表されまする労働省の一般職種別賃金によっておられるようでございますが、これは毎年八月から十二月ごろにかけまして調査いたしましたものを翌年四月ごろ発表するのが通例でございまして、年に一回行なわれるだけでございますので、発表時と調査時との間にはかなりの時間的ズレがございます。また、この一般職種別賃金は主として政府直轄工事に使用されるものでありますため、低い目に押えられがちでありまして、工事発註最盛期における賃金実情とは大きな開きを生ずる結果となっておるのでございます。また、建設資材価格には日銀の卸売物価指数その他の資料を用いておられるようでございますが、総じて建設資材価格の実勢を反映したものとは言いがたいようでございます。  最近のように労賃及び物価変動が相当激しい時期におきましては、発注者におかれまして常に正確かつ公正な標準単価を把握されることが必要でありますし、しかもその単価発注者にも受注者にも信頼が置けるものでなければならないと思うのでございます。私は政府におかれまして真に第三者的な立場において建設工事における労賃及び資材価格調査する機関設置を早急に検討されんことを望む次第でございます。このことは公共工事のより一そう円滑かつ公正な遂行に役立つところがきわめて大きいと存ずる次第でございます。  次に、現在緊急失業対策法に基づいて実施せられておりまする特別失業対策事業臨時就労対策事業及び一般失業対策事業につきまして意見を申し述べさせていただきます。以下これらを便宜失事業と称させていただきますが、現在政府及び地方自治体において実施されております各種公共建設工事は、特別失業対策事業または臨時就労対策事業として実施されておるものが多いのであります。これらの工事におきましては、一定員数のいわゆる登録失業者一般職種別賃金を基準として雇用しなければならないのでありますが、これらの労務者は老齢であるか、労働意欲に欠けてはなはだ非能率的であるばかりでなく、一般職種別賃金をもってしては雇用し得ない現状でございまして、建設事業の円滑な遂行をはなはだしく阻害し、特失臨就事業の本旨であります事業効果を発揮し得ていないのであります。この結果ある県におきましては、昨年四月これら失対事業としての工事を総返上することを宣言するに至ったというような事例さえ生じているのであります。そもそも失業対策事業は国の社会政策として行なわるべきであるにもかかわりませず、その大きな部分が建設業者犠牲において行なわれるということは、はなはだしく失当と申さなければならぬと存じます。わが全国建設業協会におきましては、これにかんがみまして、昨年五月、労働大臣及び建設大臣に対しまして、これら特別失業対策事業及び臨時就労対策事業一般公共事業に切りかえられるよう要望したのであります。その後政府におかれては、三十七年度において失業対策事業制度を廃止して新たな雇用対策事業を行なわれる御計画と仄聞しておりましたところ、結局吸収率及び吸収人員等を若干修正するのみで、依然この事業を継続することとなったのでありまして、はなはだ期待に反した次第であります。承るところによりますと、吸収率を引き下げた分は別途に特別公共事業として吸収をはかられる由でありますが、これは結局ところを移しかえたに過ぎないのであります。一般公共事業として従来通り吸収率のワクの中において実施せられることとし、特別公共事業のごとき新規事業の設定は厳に避けられることを要望するものであります。  なお、これから申しますことはやや専門にわたり過ぎるかとも存じますが、昨年度特失臨就事業実施にあたりまして、特に次の諸点について意見を申し上げさせていただきたいと存じます。それは第一に、事業費単価を引き上げますことと、労務費労務賃金労務管理費を明確に区分されたいのであります。  第二に、高齢者不具者等事業に不適格な者を吸収の対象から除くことであります。  第三に、吸収する労務者について雇用主である建設業者に選考の権利を与えられたいことであります。  第四に、労働意欲の欠除する者の就労を拒否した場合における一切の事後の措置は、職業安定機関において配慮することとされたいことであります。  第五に、職業安定機関吸収人員をあっせんすることが不可能な場合は、雇用主である建設業者が手持ちの労務者を代替使用し得ることとして、この場合未吸収人員に対する労務賃金等の返還を要しないこととされたいのであります。  第六に、炭鉱離職者に関する緊急就労対策事業についても、特別失業対策事業臨時就労対策事業と同様に吸収率八五%を一〇%引き下げるとともに、前述の諸事項と同様の趣旨を適用することとされたいのでございます。  以上、失業対策事業としての公共建設工事現況とこれに対する要望を申し述べた次第でありますが、その趣旨といたしまするところは、国の重要施策であります失業対策事業の健全な発達をはかるとともに、国内における建設事業を円滑に遂行することを願うのにほかならぬ次第であります。どうかよろしくおくみ取りを願いたいと存じます。  以上をもちまして、私の意見の発表を終わらしていただきます。大へんありがとうございました。(拍手)
  10. 二階堂進

  11. 内藤亮一

    内藤参考人 私は横浜市の建築局長内藤でございます。本日公営住宅建設現況につきまして、事業主体である地方公共団体側の一人として参考意見を述べさしていただく機会を与えていただきましたことにつきまして深く感謝申し上げます。  公営住宅法は御承知のように、昭和二十六年議員提出法案として審議され、制定され、現在まで約十年余りを経ておるものでございます。その間超過収入者に対する措置その他の点につきまして、数次にわたる部分的な改正は行なわれましたが、すでに十年余りを経過いたしまして、いろいろな点で再検討を要する時期となっておると私どもは存ずるわけでございます。重要な問題というものはいろいろございます。しかしながら、本日は時間の関係もございまして、三つの点について参考意見を申し上げたいと存ずる次第でございます。  その第一は、補助単価と補助率の問題、第二は、これは簡単に触れる程度にいたしますが、宅地制度あるいは地価の問題、これは後ほど嶋田参考人からもお述べになると思います。第三番目が公営住宅に対する基本的な考え方の問題、主として管理上の問題というようなこと、これもできるだけ簡単に触れさせていただきたいと思うわけであります。  第一の単価の問題あるいは補助率の問題でございますが、御承知のように、公営住宅法第七条第一項に国の補助の規定がございます。第一種公営住宅は二分の一、第二種は三分の二を補助しなければならない。これは議員提出法律でありまして、普通政府提出法律でございますと、予算範囲内において二分の一以内をとか、三分の二以内を補助することができるというように多少逃げを打ってあるのでございますけれども、この法律は逃げを打ってございません、「補助しなければならない。」とはっきり規定してあるわけでございます。しかしながら、第七条の第三項の規定において「建設大臣の定める標準建設費をこえるときは、標準建設費をその費用とみなす。」という規定がございます。せっかく第一項において三分の二あるいは二分の一を補助しなければならないと明確に規定してありながら、第三項において建設大臣が定める標準建設費というものが補助の単価の基準になるということになりまして、これが問題を生じておるわけでございます。せっかくの第一項の親心が生きていないと私は信ずるものでございます。  発足当初、すなわち昭和二十六年に制定されたわけでございますが、当初の標準建設費は若干一般実情、すなわち私どもが予算を計上し、工事発注する実際の予算——地方公共団体といえども不当な高い価格予算に計上するわけでございません。できるだけ市の財政の健全化あるいは節約をはかるために妥当な予算を計上するわけでございますけれども、若干標準建設費よりそれがいつも上回っておるというようなことを続けておったわけでございますが、それでもそれはあるいは五%であるとか、一〇%であるとか、ある程度地方公共団体もやむを得ないというような気持で忍んで参ったわけでございます。しかしながら、先ほど大林参考人からも述べられましたように、最近は特に地価の高騰、毎年丸々都市の郊外における著しい地価の高騰、それから一昨年来の建設関係労務者の労銀の値上がりあるいは一部資材の値上がりというようなことが生じまして、その問題が特に地方公共団体として重大な関心を持たなければならなくなったわけでございます。そこで、もちろん建設大臣の定められる標準建設費も、たとえば昨年も補正予算によって是正されております。これらにつきましての建設省御当局の御尽力は、私ども十分これを感謝するものでございますけれども、遺憾ながらそれらは一般労賃なり地価なり、あるいは一部資材の上昇に追いつかないというのが実情でございます。現在におきましては、たとえば昨年度横浜市の公営住宅実施状況なんかを見ますと、法律に第二種は三分の二補助と書いてございますが、二分の一補助に足りない。実際、市が実施いたしますところの単価に比較いたしますと二分の一補助に及ばない。それから法律に二分の一補助しなければならないと書いてありながら、これは三分の一にも足りないといったような実情であります。先ほど大林参考人から、地方公共団体建設省のいわゆる標準単価建設大臣の定める標準単価発注するのだろう一そういう地方公共団体もあると思います。しかしながら横浜市は、また多くの都市は、それでは建設業者受注してくれない。どうしても実情に合うように予算を計上しなければならない。その計上いたしました結果から見ますと、以上のような状況に相なるわけであります。  たとえば、お手元に印刷物をお配りすることだけは遠慮いたしましたけれども、横浜市は、昨年度も本年度公営住宅五百戸の予算を計上いたしました。これに対しまして標準建設費によりまして国から補助をいただいております。市はもちろん当然法律によって負担すべきもの以外に負担いたしておりまして、そこで市が投入いたしますところの資金を、もしも標準建設費が横浜市が実際発注する単価をもって標準建設費とされますならば、逆算いたしますと、五百戸の公営住宅でなくて八百四十七一尺五割以上の戸数の建設ができるわけであります。そういたしますと、五%だとかあるいは一〇%くらいの単価の違いは、これは見解の相違もありましようし、また国が一般的に土地なりあるいは物価の値上がりを抑制するという政治的な意味もありましよう。若干これは見解の相違に基づくところもございましようから、その程度ならば地方公共団体は今までも忍んできたわけでございますけれども、もう最近の状況になりますと、とうてい地方公共団体は、地方財政の上から忍ぶことのできないような実情に相なっておるわけでございます。単に地方がそれだけ負担をすればいいだろうというようなことは、見方によっては言えるわけですが、ここに家賃の問題が生じてくるわけであります。  御承知のように家賃の算定は、公営住宅法の第十二条に規定してございます。それによって、たとえば最近横浜市も三十六年度公営住宅ができ上がりまして公募するわけでございますが、家賃をそれによって算定いたしますと、第一種の住宅で四千七、八百円、川崎のごときは地価が高い関係もありまして五千円くらいの数字になるわけです。第二種は約三千何百円から四千円近い。そうしますと既存の住宅、たとえば横浜市のごときも横浜駅からバスで行ったら十分くらいの非常に便利のいいところに七、八年前に建設した鉄筋コンクリートの四階建てのアパート、それらが当時の建設価格で家賃を算定いたしまして、その後若干の家賃の補正をいたしておりますが、第一種の住宅が二千八百円。ところが最近建設いたしました相当土地の不便な交通の不便な、地価の安いところでありますから不便なところですが、そういうところの第二種の、より低額所得者の入るところの住宅の家賃が三千六百円、これではあまりにもアンバランスだということで、これも川崎市のごときも五千円という家賃がはじき出されるわけですが、それを社会政策上四千四百円とか四千二百円に下げざるを得ない。また第二種のごときも三千六百円はあまりにひどい、何とか三千円を割るようにしたいというので苦慮をしておるわけであります。すなわち地方公共団体法律の定める補助以外に資金を投入いたしまして、しかも家賃の点において法律に定められた限度以下にするというようなことにいたしまして、今後こういうことを続けますと、地方財政上非常に禍根を残す、あるいは困難な事態が生ずるといったような二つの大きな問題が出てきておるわけであります。  そこでこれをどう解決するかという問題について若干の私見を申し上げたいと思います。これは建設省御当局も、住宅局の方も、また大蔵省の主計局の方もいろいろこの標準単価の問題については御苦心願っておることは十分私ども認めます。かりに私が大蔵省の主計官であったとすれば、そんなら実情に合うように、よろしい、それじゃ五割増しましようというようなことは、なかなか簡単にはできないと思うのです。それぞれ立場があり、この問題についての解決は、現在の段階のようなやり方をやっておったのでは解決されない。どう解決するかと申しますと、理想的な解決方法といたしましてはいろいろございますが、一つの例をあげますと、アメリカ合衆国の住宅法の第百四条に地方の負担金という条項がございます。その前に百二条でしたか、三条に、国庫の補助金という規定がございます。これは三分の二以内を補助することができるという規定になっております。一方地方の負担金の中に三分の二補助基準の場合は、地方公共団体に対して三分の一以上の負担を要求してはならないということがはっきり規定してあるのであります。これはアメリカはどういうふうにして立法されたか知りませんけれども、連邦政府法律は、連邦住宅庁、HHFAですが、そこの長官を制限しておる。法律がいろんな理由をつけて三分の一の負担でいい場合に三分の一以上の負担になるような行政をやってはいけないというような、行政のやり方を規制するようなはっきりした規定がうたわれておるわけであります。こういう規定がありましたならば、私どもこういう場所に出まして参考の意見を申し上げる心要もないし、また予算編成時期になりまして、地方公共団体住宅担当課長が全国から集まりまして、お忙しい皆さん方のところにわざわざ陳情に及ぶ必要もない。法律の一つの規定ですべてが解決するのではないかと思うわけであります。しかし、こういうような規定は、現行のほかの法律にはございません。公営住宅法は幸いにして議員提出法律でございますから、そういう模範的な法律を作っていただければ、まことにありがたいわけでありますけれども、これがそう簡単にはできないということになりますと、次善の策ということになります。次善の策といたしましては、現行の第七条の第三項、建設大臣が標準建設費を定める場合には、あらかじめ住宅対策審議会の意見を聞かなければならない、この条文だけはぜひ何とか一つこの国会でそういうふうに直していただきたい。これはせっかく公営住宅法が議員提出法律でございますので、僅か一条の半条分、一項でございます。建設大臣が標準建設費を定める場合にはあらかじめ住宅対策審議会の意見を聞かなければならない——しかも住宅対策審議会はわざわざ作る必要はございません。現在できておるわけです。その意見を聞かなければならないということになると、その住宅対策審議会には、地方公共団体の代表者もおりますし、あるいは建設業界の事務局長ですか、どなたかも入っておられる。あるいは関係官庁の方も入っておられる。学識経験者の第三者も入っておられるということで、おおむね妥当な形になっているけれども、これはいろいろな立場々々によって単価がこれでは安過ぎるとか高過ぎるとかいう意見が出てくるのは当然でございます。これは前例といたしましては、あるいは米価審議会とか、あるいは医療費の審議会、いろいろございます。これは先ほど申しましたように、単に地方財政に関係するばかりではなく、家賃に関係いたしまして公営住宅全体の混乱を招くもとでございますから、何とかこれは一つ、きめます場合にせめて住宅対策審議会で十分練って、その案を参考として建設省は大蔵省に予算の折衝をするということにすれば、今のようなもののきめ方よりは数等進歩するのじゃないかというように私ども思いまして、もし今度の国会においてわずか一項目でございますけれども、修正していただくことができましたならば、私はここへ参りました目的の大部分は達したというように思うわけでございます。公営住宅法は議員提出法律でございますから、まあ政府の——私は政府にも申し上げてあります。建設省も一つこれを御提案になったらどうでしょう、しかしなかなか御提案いただけませんから、そこで哀訴嘆願いたしましてお願いいたす次第でございます。  しかし一方国家財政がございまして、単価を上げれば国の予算にも響いてくるわけでございます。そこで同時並行いたしましていろいろな点をあわせて考えて御参考に供したいと思いますのは、土地区画整理事業のように精算補助による方法も一つございますが、これも実際問題としてはなかなかむずかしいだろうと思います。もう一つは、これは私見でございまして別に横浜市の意見でもなく、地方公共団体を代表した意見でもございませんが、というのは、補助率をもう一ぺん考え直す、あるいは家賃の算定方法を考え直す。たとえば土地につきましては、学校建築なんかは土地の補助金はございません。そこで土地については国庫補助はございません。これを、現在やはり三分の二なり二分の一なりの補助があるわけでございますけれども、家賃の算定の場合に土地については補助以外、つまり地方負担分の地代相当額を家賃に加えるということになっておりますけれども、これをもう土地については家賃に加えないというような制度を考えて、家賃の不均衡是正の一端にすることも一つの方法かと思うわけであります。あるいは土地についての補助率は現在、先ほど申しましたように三分の二なり二分の一であるわけでございますけれども、これを三分の一の補助率、地方公共団体が、三分の一を負担する、あとの三分の一だけを地代、家賃に算入するとか、多少芸はこまかくなりますけれども、補助率をもう少し再検討するのも一つの方法かと思います。  最後に構造の方法、設計の方法あるいは施工合理化、これらのことも研究いたしませんと、労働者はいよいよ不足する、不足すれば労銀の値上がりはどうしてもやむを得ない、こういうこともございますので、これらはいろいろ現在も建設省のあるいは建築技術研究所で御研究になっておると思いますけれども、構造なり施工合理化ということも当然同時並行いたしまして、単価の値上がりをできるだけ抑制していくことも必要だと思います。  また前渡金制度、地方公共団体に国は前渡金を渡し、また建設業者に対して前渡金を、今は任意になっておりますけれども、これを公営住宅については義務づける、地方公共団体建設業者に対して前渡金を三分の二なら三分の二の支給をしなければならないといったようなことも、——これがいいか悪いか存じませんけれども、いろいろな点で施策を合わせていたしませんと、法律の一条項の改正だけでは十分だとは思っておりません。  次は用地、土地の問題でございます。これは最近新聞なんかで拝見しますと、経済企画庁でもいろいろな経済施策といいますか、物価に対する施策を十項目程度あげておりまして、それに宅地制度の問題、地価の高騰の抑制をはかるというようなこともあがっております。なお聞くところによりますと、宅地制度審議会を設けるという法案が今度の国会に提案されまして、四月からいよいよ政府も宅地制度についての本格的な検討に入るということは、これはまことにけっこうでございますけれども、この問題が現在の公営住宅建設の一つのネックになっておるというように思うわけであります。特に大都市立場を代表いたしますと、東京とか大阪あたりにも建設省からは平家建の公営住宅の割当があるのであります。これはあの土地の広いアメリカにおいても、御承知のようにニューヨーク市は公営住宅は全部二十階です。人口七、八十万のピッツバーグで四階か五階、人口が十五万くらいのニューヘブンなどになりますと二階というわけで、地方公共団体実情に応じた公営住宅を作っておるわけであります。そこで地価を抑制しなければならないという場合に、東京、横浜、大阪、名古屋、これらに平家建の住宅を作るということは、逆に言えば地価の高騰促進している非常に皮肉な見方でありますけれども、そういうこともいえるわけであります。これは逆に言えば建設省の指導方針として、五大都市、六大都市にはもう木造はもちろんのこと、平家建は作ってはいけない、少なくとも二階以上にするようにということにいたしませんと、皮肉な見方をすれば公営住宅が地価の高騰に一役をになっておるというような現状が見られるわけであります。  その他宅地制度をどうするかということについて、私なりに意見がございますけれども、時間がございませんので、この際は省略させていただくつもりでございます。  次に住宅管理制度、公営住宅そのものをどう考えるかというような問題も、時間もございませんから簡単に申し上げますと、これは先ほど申し上げましたように非常に建設年次の古いものは、相当便利な場所の鉄筋コンクリートが二千何百円、最近は第一種が五千円近く、四千円をこえる、また第二種ですら三千円をこえるといったようなアンバランスが出ております。これらについては若干不均衡是正の制度もございますけれども、これらをさらに徹底して、公営住宅はほんとうの社会福祉的な住宅とする、一般的には住宅公団住宅一般庶民の住宅であるというようなバランスの問題、その点から見ますと、住宅公団法律の規定もございましょうが、御承知のように主として大都市周辺にやっておるのでございまして、人口の地方への再配分ということから考えますと、むしろたとえば岡山県の水島地区とか、茨城県の日立だとか、そういうところにこそ住宅公団住宅を作って、日本の住宅の大都市集中を是正するという意味からいいまして、全国の各府県にとにかく住宅公団住宅があるのだ、そうして収入の超過した方は住宅公団に入るのだというような制度に持っていかなければ……。
  12. 二階堂進

    二階堂委員長 なるたけ簡単に願います。
  13. 内藤亮一

    内藤参考人 こういう現実はなかなか変わらない。本来の目的を再検討しなければならない時期だと思っておるわけであります。  以上、私の参考としての見方を申し上げたわけでありますから、皆様方もよろしく一つ御配慮いただければまことに仕合わせに存ずる次第でございます。どうもありがとうございました。  (拍手)
  14. 二階堂進

  15. 嶋田久吉

    嶋田参考人 私、日本不動産銀行嶋田でございます。  日本不動産研究所と関係いたしまして、長い間土地問題と取り組んで参ったのでございますが、御承知のように、土地はほんとうに魔物でありまして、くる年くる年もうこの辺でとまるかと思いながら、次の年には相当上がっていくというのが、われわれ今までながめてきた経過でございます。しからば、どのように上がったかということを一応申し上げ、そしてどうしてそのように上がったかということ及び対策について、時間がないそうですから簡単にお話し申し上げて終わりたいと思います。  戦前からどういうように上がってきたかという地価の上昇を考えます場合に、二つの見方がある。一つは指数的にいく方法と、絶対の金額がどう上がったかという問題、絶対の金額は、たとえば十万円のものが十二、三万円になるということは、率では、二、三割の上昇にすぎませんが、住宅地で一万円のものが一万二、三千円に上がるということは二、三千円の絶対の金額の違いであり、五千円のものが五割上がって七千五百円になったという場合と比較していただくと、その差額の上昇に重点を置くか、比率すなわち指数的な考察だけに置くかという問題が一つ。それからもう一つは、ただ名目的に指数が上がったという観点だけから見るか、あるいは貨幣価値との関連がどうなるかということを考えますと、ただ名目的な指数が上がった場合と、それと貨幣価値との関連、すなわち物価指数との関連において考える、その二つを考えて、実質的にほんとうに上がったということを考えなくてはならぬのじゃないかと思うのであります。  戦前の、たとえば昭和十一年を一〇〇といたしまして、勧銀時代から現在は日本不動産研究所で調査いたしております全国の市街地平均指数について説明申し上げますと、その指数は、現在において全国平均が千三百五十二倍になっておる。しかるに物価指数は三百五十七倍くらいにしかなっていないことを見ますと、これは実質的に三・七九、すなわち三・八倍くらい実質的に物価指数をオーバーして上がっているということは、土地というものが非常に顕著に上がったことを示すものであろうと思います。御承知と思いますけれども、戦前におきましては戦時体制の関係もあったと思いますが、工業、住宅それから商業の順に上昇しておったのでございますが、終戦後におきましては、これが逆転いたしまして、商業、住宅、工業の順にしばらく上昇しておったのでありますが、最近におきましてはこれがまた戦前の姿に返って工業地、住宅地、商業地の順に工業地の方の上昇が非常に強くなって参りました。そういうことでございまして、地価の上昇を論ずる場合に、絶対的な差額で考えるか、指数で考えるかということを注意しなくてはならないのじゃないかと思います。  それと物価指数との関連であります。これを東京都におきまして、三百五カ所の標準地を三十年からとって非常に克明に調査したわけでございますが、三十年を一〇〇と考えますと、三十一年から二年までは一割くらいの上昇であったのでありますが、ここで一つのなべ底景気を突き破って好況の岩戸景気に入ったわけですが、そこで一躍して今まで一割の上昇であったのが、平均三割の上昇となり、三十三年から四年にかけては五割五分という最高の上昇を示しております。それから三十五年になりまして一四一というように若干は下がっておりますけれども、相当の上昇を示しております。  このような概要でありまして、このようにどうして上ってきたかということは、皆さんもすでに御承知のことと思いますが、私の観察いたしましたところ、御承知のように、土地はみずから価値を持っておるものではなくて、私の考えでは、人との関連、需要との関連において土地の値は変動するものではないかと思うのです。ここにおいてアメリカの価値創造、すなわち土地の価格を作り上げるものにどういうものがあるかということをちょっと読んでみますと、その一つといたしまして、民族的、地理的な分布の集中ということがありますので、これは戦前からの考えで私ぴんとこなかったのでありますが、今日から考えますと、すなわち国土は狭くてたくさんの人口をささえなければならない、その限られた国土、資源に生活、あるいは産業活動が集中する、その集中するところは、最も効率のよい、住むに文化的な快的な都会へと集中するのは当然ではないか、そこにおいてそういう現象が一つの大きな原因ではないかと思います。あとはこれに随伴する終戦後の住宅あるいは産業復興に伴う宅地需要の面ですが、第一の大きい原因はここにあったのじゃないかと思います。すなわち民族的な人口の集中的移動がここに起こって、そこの土地の需要というものを引き上げていった。ここにおいて少ない国土を最有益に利用していくという方法が、打ち立てられなければならなかったのではないかと思うのでありますが、これは過去のことになりますので、いたし方ないことだと思いますが、少ない国土をいかに最有益に使うか、これは後ほど対策として申し上げたいと思いますので、この辺にとどめたいと思います。  それから終戦後は、御承知のように土地対策を考えるよりも、まず住まう家を求めたい、すなわち宅地よりも家屋が非常に尊重されて、都市の場合においても、土地は付帯的であり、われわれの住まう家屋、また作業をし生産をする建物そのものが非常にほしかった時代でありまして、宅地造成の問題が取り残されたのも、この辺にあったのではないか。しかし最近におきましては、家屋よりも土地本位の不動産の取引が行なわれるようになりました。ここにおいて住宅政策は、位置的に、あるいは規模によりまして、公共団体または公社、公団等によって、あまり一定した計画がなくて思いのままに集団的に買いやすいところから土地を買いあさってそこに建てられていき、ある集団が形成されますと、その周辺部が上がっていく、そこに有効需要でない浮動的な需要、すなわちほんとうに利用または収益する人でない浮動的、投機的な需要が介入する余地があったのじゃないかと思います。  それから第三番目に、それならば農地法との関連性でありますが、戦前におきましては、御承知のように中央線あるいは京葉等においては、自由にある程度伸びたのでございますけれども、終戦直後は特に農地法が強力でありまして、一つの土地の周辺には一つの鉄の輪をはめられたかのごとき観を呈しまして、そこに自由な発展がはばまれて限られた、いわゆる土地の有限性の壁をますます強くしたのではないかという感を深くしておる次第でございます。  そこで対策でございますが、対策といたしましては、先ほど申し上げましたように、狭い、たくさんの人口をささえなくてはならない、産業活動もしなくてはならないという国土をいま少しかわいがっていくべきではないか。土地資源をもう少しフルに活用すべきではないか、そのためには国土省または国土局とでも申しますか、こういう総合計画性のある土地調査の根本を打ち立てられていくことが非常に必要ではないか。そしてその一定の利用計画のもとに秩序ある快的なそして効率的な宅地を造成していく。それに随伴いたしまして、鑑定、土地の評価の問題があると思います。これは土地の価格と格づけをしていく一つの規範だと思いますが、一がいに鑑定制度と申しましても三つの段階があると思います。第一の段階は普通われわれ民間でだれでも自分の住んでおる付近を売り買いしようとする場合は、ある程度の批判力があると思います。それが第一番目の鑑定評価の力であり、第二はそれが専門的に流通される、いわゆる取引される場合の、あのくらいなら売ってもいいといういわゆる周旋、取引業者の持つ一つの鑑定能力ではないかと思います。第三番目に、もう少しハイアーな、御承知のように土地はたくさんの人に接触面が非常に強うございまして、非常に自然の力が大きいと申しますか、ある土地があるのであります。それは住宅に使ってもただ無言で奉仕しておりますし、それが商業に使われても、ある特殊の許可地帯に指定されても、無言のままわれわれに奉仕してくれるわけであります。土地はたくさんの階層の方、たくさんの業種の方に奉仕するわけでございますので、専門的な鑑定能力のある方が非常に必要になってくるのではないか。ここにおいて国土の非常に大規模調査が行なわれまして、事業計画が打ち立てられ、そのあとに随伴いたしまして、鑑定能力のある者が土地の格づけをいたしまして——これは必ずしも私は円の表示でなくても、等級または指数でもいいんじゃないかと思います。標準地を設けるか、あるいはかって明治初年または昭和の初めに賃貸価格、公定地価等を設けられたように、数年に一回ある格づけ調査または等級をつけられていく。そしてそれを公示することによって一般の民間の方の取引にも腰だめ的に役立たせる。それから課税の面におきましても、御承知のように当今におきましては、相続税の面、固定資産税の面、不動産取得税、登録税等いろいろな税がまちまちな評価をいたしておりますが、御承知のように三十九年からこの税制の方は一丸となって一本の案にしぼろうといたしておるわけでありますが、さらに、これを一歩進めまして、税の面だけでなくてすべての日本の評価能力を結集いたしまして、あらゆるものに共通する格づけを行なう。税の面はそれの幾ばくとする、買収の場合はそれの幾ばくとするというように、共通な座標を設けて取引の場合にもそれをある程度有力な資料に格づけていくというような方向に持っていかれるべきではないかと思います。  それから大都市周辺における宅地の問題でございますが、これは住宅だけの問題でなくて大きな宅地政策のもとに、先ほど申し上げました大きな国土政策のもとに一つの宅地計画が打ち立てられて、そこに、非常に緊急に住宅対策を要する東京都等におきましては、すみやかに大規模で快的で廉価に供給されるニュー・タウン式なものを造成していただくことが非常に急務ではないか。そう急務でないような都市におきましても、再び東京のような爛熟した弊害を伴わないように、やはり同じような組織的な宅地政策を打ち立てられて、そのもとに、宅地開発が進行されていったならばいいのではないかと思います。  さしあたり感じましたことを述べまして、御参考に供する次第でございます。
  16. 二階堂進

    二階堂委員長 最後に辻参考人
  17. 辻熊次郎

    ○辻参考人 私は中小企業をやっております辻と申します。社長なんていうことはなかなかおこがましいようなことでございますが、現在法的に会社を組織すれば、やはりだれか社長がいなくてはならないようなことで社長をやっておるものでございます。  大小の企業を問わず、大林参考人が述べられました通り、現在の公共事業発注価格、それに対する労務者不足あらゆる過去におきましての陳情その他は、業を同じくする私たちも考えておることは同感でございます。また私が申し上げたいと思います中小業者の困窮状態がどういうことになっておるかということは、大林会長を私は今さら見直したのでありますが、大会社の会長であり、全建の会長としてわれわれ中小業者の代弁をしていただいて、この席から感謝の意を表します。決しておだてるのでも持ち上げるのでもございません。われわれの困っておることをこれからるる申し上げまして、御参考に供したいと思います。話い合い、すなわち皆様方の前で陳述させていただくということは、民主主義の根本理念といたしまして、私こういう機会を与えていただきましたことを厚く感謝するものでございます。  私ども中小建設業者は、先ほど大林会長からお話になったように、公共工事に依存する業者が大部分でございます。わが国の経済の飛躍的発展に伴いまして基盤産業整備拡充、民生の福祉安定をはかる公共建設事業は、今や一兆数千の予算をこえ、政府施策の中核をなすものであります。かかる情勢下におきまして、われわれ中小業者並びに公共事業に携わるものの使命は重大でございます。  この重要施策完遂を達成するために、日夜われわれはまじめな協力と努力を続けて参ったたのございますわしかるにわれわれ建設業界の現状は、重要資材騰貴並びにこの資材の入手難、特に現在のセメント入手難は相当困難なものであります。労務賃金高騰並びに政府施策による金融の引き締め、公共工事受注を主とする中小建設業者は、倒産の寸前にある事情でございます。ここにおきまして、われわれはやめるにやめられない。われわれの家族でもまた下請業者でも、数百世帯がおることを考えますときに、どうしてこの商売をやって現在を打開すればいいかと毎日煩悶、おうのうを繰り返しておるのが、われわれ中小業者実情でございます。この実情を救済するためには、政府は現下の経済情勢に即応するところの適正工事費の積算にあたり、従来の慣行、規定、予算にとらわれることなく、現実の市場価格を正確に把握されて、適正なる単価をもって、新年度よりといわず、明日といわず、今日より発注されるところの工事に対して、織り込まれるよう、われわれ中小業者は切望しておる次第でございます。  最近におきます入札状況予算落札の一、二の例を申し上げます。大林会長から、公営住宅または学校建築等につきましての御説明がございましたが、われわれ中小業者は、地元の区、その他の学校建築に依存するものが多数ございます。ところで学校建築単価はどうか、ただいまわれわれがやっておりまする卑近な例を一つ御説明申し上げて、御参考に供したいと思います。区役所発注のRCで、学校の五百十七坪の単価は、鉄筋コンクリートで五万七千二百円でございます。これをわれわれが見積もり価格といたしましたのは、当初三千二百五十万、役所の予定価格は三千八万、約八%オーバーしておったのでございます。これは昨年の十一月の予算でございます。それで、以上学校の現在の予定価格から、当初実行予算に組みましたものよりどれだけの損害をしておるかということは、この最近におきましてのセメントの値上がりです。われわれ中小業者は、このセメントの入手を市販の材料業者に求めておったのでございます。ところが今日セメントは入手困難になりまして、市販の小売業者には十分の一くらいの程度しか回って参りません。それを各中小業者が獲得しているような次第でございます。そこでわれわれは、官庁工事でございますので、工期がありますし、また工期におくれれば信用を失墜する。こういうような困難な状況から、このセメントの代理業者、特約店、卸売業者に依存するようなことになったのでありますが、これは長い間の取引があり、また大企業には一年間の受注計画契約をしておるから、とうてい回すことはでき得ないんだ、それだけセメントに困っておるならば、あなた方は生コンクリートを利用すれば何とか回してやろうというのが現状でございます。それでわれわれは現場打ちのコンクリートの単価を見積もったのでありまして、当時一立米に要する資材と、それから打ち込みを通じまして、立米に三万円という実行予算を組んだのでございます。ところが昨年の十月ごろまでは、この生コンクリートの相場も約五千円内外で持ち込めて、そうして打ち込みはできたのでございますが、このセメントの窮迫のときに、昨年の十一月ごろから非常に逼迫いたしまして、この値上がりは立米に千二、三百円の値上がりを示しまして、われわれの最初の現場打ちの実行予算三万円に比較いたしますると、生コンクリートを使用した場合には三万七千五百円、こういったような結果が生ずるのでございます。そうして、およそ鉄筋コンクリートの工事によりまするところのこのわれわれの資材はどういうことであるかといいますと、コンクリートのボリュームが相当な額を占めるのでございます。こういった値上がりから生じまするところのものは、五百十七坪の学校に対しましては、セメントの値上がりだけにいたしましても百四十何万、それから今度はこれを仕上げまするところの左官並びにブロックその他の事業に使いますセメントは、どうしてもこれは袋によるところのコンクリートのセメントでなくては現場の施工はでき得ない、こういう現状でございます。そこでこういったことにつきましても、左官等の値上がりは当初より二割、それから先ほど来全建会長が申し上げました通り労務者のお役所の御予算の現行PWはどうであるかと申しますると、大工が七百七十円、トビ職七百二十円、土工が七百円、こういったようなことが現在の予算単価の基礎になっておると思いますが、現在われわれが払っておりまするのは、大工がその約倍に至りますところの千三百円、トビに至りましては千二百円、土工に至りましては千円、雑役夫に至りましても三百五、六十円のPW、要するに今日われわれは大体八百円内外を払っておるのであります。こういった損害を見まするときに、昨年の十一月に受注した工事において、もはやすでに一五%くらいの赤字を出しておるのが現状でございます。参考までに、セメントの入手にわれわれはどういったことをやっておるかということをお聞きを願いたいと思います。われわれは、磐城の方その他の方に何とかセメントを分けていただくんだというようなことを聞きまして、行ったのでございます。そうしてみますと、現場渡しが三百七十五円、磐城あたりから百袋を持ってきますなれば、運賃が一万九千円、二万円くらいとられるのでございます。そうすると、これを現場へ持って参りましたセメントの価格は、三百七十五円、プラス運賃二百円、要するに五百七十五円かかるのでございます。それで、二日間に一往復のものならば、三日間に三往復やりたいというふうな現状によりまして、運転手にスピードを出せ、とは命じませんが、やっておるのであります。そうすると、笑いもできない副産物が飛んで参ります。スピード違反で検挙になりまして、四千円の罰金だ、こういうことになりますと、さらに一袋に四十円の加算をしておる、まあこういう笑えない現状でございます。あまりに赤裸々なことを申し上げまして、皆さんお笑いかと思いますが、これはほんとうに死活問題に関する現状でございますから、どうかまじめにおくみ取り下さいまして、われわれのこの業を十分心に入れていただきたい、かように考える次第でございます。  以上は、セメントの入手難並びに労務者の困難を申しのべたのでございますが、時間もないようでございますから……。  そこで、われわれといえども何とかして落後しないようについていきたいという考え方から、労務者不足その他機械の合理的な使用によりまして、機械の購入を昨年の春はまだ景気がよかったですから、いたしました。そういたしますと、苦しい中から三割のキャシュを払いまして、六カ月あるいは十カ月の約手払いにいたしました。ところがわれわれ業者は、コンスタントに仕事をとることができ得ない。それはどういう現状かと申しますと、お役所によりましては、機材がなければ指名の参加の条件がないんだというようなこと。なお、今日のような経済状態の悪化したようなときには、中小業者に頼んでまた途中で投げられたのでは困るのだ、だから大業者に頼んでおけば間違いないだろう、これはごもっともだと思うのです。われわれ小業者も、やはり受け入れ態勢をもっと真剣に考えて、驥尾に沿うような運営をせなくちゃならぬということは、十分承知はいたしておりますが、何分、金詰まりの折から、われわれとしてはそういう資金の持ち合わせがございません。無理をして機械を購入しますれば、工事がコンスタントにございませんので、その機械は遊休しております。しかしながら一方、書いた約手は落とさなくちゃならぬ。また、それでは仕事がなければ、機械を人に貸してでもマージンをとればいいじゃないかというような考えがあるかもしれません。しかしながら、われわれといたしましても、いつお仕事が出るかわかりません。人に機械を貸しておれば、ある日限にあかなければ、今度は自分が使用するときに使えないような状態でありますので、やはり倉庫のすみに置いておくようなことが現状でございます。これはわずかな一例ではございますが、これも切実な問題でございますので、どうかおくみとり下さいますようにお願いします。  次に、政府の現在の金融政策について、われわれは運転資金に困っておりますので、少し申し上げたいと思います。中小企業の融資は年々増加しておることは間違いありませんが、貸付に要する書式及び要件の厳格のために、特に緊急を要するわれわれ中小業者の金融は、一刻を争う状況でございまして、いかなる良薬、名医といえども、このカンフル注射のきくだけの体力のあるときに注射をしなければ病人も蘇生しない。同様にわれわれはそういうめんどうくさい金融を求めておれば、もはや手形の書きかえ寸前にありますので、そういった状況から判断をしていただきまして、早急に融資のできるような、われわれ業界特有な金融機関設置をしていただきたい。またその金融は、われわれ業者同士の相互の保証人程度ぐらいにおいて、金融の打開策を考えていただきたい、こういう施策を希望するものでございます。  それで、われわれはそういった困難な状態にあって、この中小業者は何を希望しておるかと申しますと、現在の経済情勢に即応しますところの予算化を願いたい。中小業者経済安定策としてスライド制の実施を願いたい。金融引き締めによる中小業者救済のため、業界特殊金融機関設置、これにより長期金融政策を樹立していただいて、早急かつ安易な融資を願いたい。  それから、ただいまわれわれ業者が前渡金をもらっておりますところの各保証会社の剰余金は、われわれ業者の積み立て、あるいはその賦課金によって生じた剰余金でございますので、中小企業の救済のために、業界中小業者に御融資できるようなことをお考え願いたい。中小業者に対して工事を均等に配分していただくために、現在の工事発注を早急に発注を願いたい、かように希望するものであります。また中小業者は非常に赤字ということで人件費に悩んでおります。そのために、現在の官公署の入札参加に要する書類は非常に煩瑣でありまして、まことに各官公署とも書類の統一ができていないのであります。国の発注にかかるこういったような書類は、統一していただくべきでないかと考えておる次第でございます。  また最近われわれ中小業者が圧迫を感じておりますことは、大資本をもって大企業化し、機械化をもって、そして何ら経験年数も何もない業者が、この大資本をもって各官庁に入札の参加をされて、われわれの領域を荒らされる。しかし、営業は自由でございますので、何とも申し上げませんが、およそわれわれの営業を始めました当時は、営業実績二カ年以上、納税証明がどれどれ以上というようなことで、こういうように規制されて参ったのでありますが、何とかここにその二カ年ぐらいな営業経験を有した者でなければ、大企業であっても新しい業者にはこの指名参加を許可しないというふうなことでありませんと、そういったいかに資本力を有しましても、営業者労務者、特に労務者、技能者の持ち合わせばないと思うのであります。そこで資本力によってわれわれの下方、それから技術者等が引っこ抜かれるようなことが現況でございます。これはまことに遺憾千万で、われわれの生活の脅威と感ずるものでございます。こういった点も十分おくみ取り願いたいと思うものでございます。  以上申し上げましたことは、ほんとうに卑近な例でございますが、それでわれわれは技能労務者を今までどういうところに求めておったのかということを申し添えまして、これに対する御要望をいたしたいと思います。  従来、技能者、要するに左官、大工その他は徒弟制度によって養成されておったのが現状でございますか、現在のこの中小業者の徒弟制度では、この養成期間中には何らその賃金を払うこともできません。ただ小づかい程度をやってきましても、これは逃げていきます。そこで政府要望いたしますことは、これが対策といたしまして、現在の職業訓練所その他の養成施設を増設していただきまして、そしてこれに入所中の者にも政府として相当額の補助金の施策を講じていただくようなことはでき得ないものでございましようか。  また小規模工事に対しましては単価の引き上げを願いたい、と申しますことは、現在われわれの受注しておりますところの工事は、たとえば住宅にいたしましてもせいぜい三十二戸一棟くらいをわれわれに発注下さるのであります。そういたしますと、われわれにいたしましてもタワーあるいはミキサー、現場事務所、現場事務員は相当に置かなければなりません。これが現状でございます。そういたしますと現場経費はかさむのであります。同じ単価をもって律せられるならばこの付帯工事、その現場経費に相当差異が生ずるものと考えるのであります。大企業に発注されますならば、三十二戸建くらいでありましたら、三棟四棟まとめて発注されるのが現状でございます。そういたしますと、地域的のプランによりましてはタワーなんかも一基で済む場合がございます。現場事務所も一棟でございます。われわれ一棟に対しまして現場の技術員を三人置くとして、四棟やれば十二人置くかと申しますとそういったことは必要ございません。こういったようなことも御勘案願いまして、小規模のものは単価を一律に律せられることなく、われわれに対しますところの小工事に対しましては相当の価格を計上していただきたいと、かように考えるものでございます。  はなはだ失礼でございますが、大林会長が述べられましたように、四月からの交通規制によって、われわれ重量物資の運搬にあたりましては、これが輸送力半減並びに輸送賃の高騰によりまして、ますますわれわれの窮状が出てくるのではないか。こういったことを勘案いたしますと、まことに寒心にたえないものでございます。今日お呼び出しいただきましたことは、現在の中小企業の実態についてということでございましたので、どうか今申し上げましたような事柄をこの建築行政施策にくみ入れられまして、そしてわれわれの今日の窮状をお救い下されんことを切に希望いたしまして御参考に供した次第であります。まことにありがとうございました。(拍手)
  18. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で参考人方々の御意見の陳述は終わりました。     —————————————
  19. 二階堂進

    二階堂委員長 委員より質疑の通告がありますので順次これを許します。松田鉄造君。
  20. 松田鐵藏

    ○松田委員 私は大林さんにちょっとお伺いしたいのでございますが、大林さんの先ほどの御意見によりますと、工事に対する単価が非常に安いということと、それから物価騰貴によっていろいろな資材が高くなっておるということでありますが、市内における大きなビルを作る場合、ああいうビルなんかは今の政府単価、そういうものとは全然別個にして、ほんとうにあなた方の事業面からいく単価でもって建築されておることだろうと思いますが、その点はどうですか。
  21. 大林芳郎

    大林参考人 今の御質問は、民間の工事でございますが、もちろん私ども見積もりを出すときは現在の時価によって見積もりをいたしまして、発注者に対しまして見積書を提出するわけでございます。そして発注者の方の御予算と申しますか、発注者の方と協議をいたしまして、納得のいくところで契約ができるわけであります。私どもは時価でもって見積もっております。
  22. 松田鐵藏

    ○松田委員 そこで私はちょっと調査しておる点からいきまして、これは重大な問題であるのですが、次の委員会の参考までにお聞きしてみたいと思うのですが、公団等における資材、たとえばセメント、骨材、こういうものは全部公団の支給でございますか。それともセメントのみが支給でございますか。
  23. 大林芳郎

    大林参考人 建築工事の方は、ほとんど大部分が業者持ちでございます。土木工事の方は、セメントなどは発注者の御支給の場合が多うございます。
  24. 松田鐵藏

    ○松田委員 その発注者の支給だけにとどまっておりますか。その点、どういう工合になっておりますか。
  25. 大林芳郎

    大林参考人 ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんが、建設省の地建などのお仕事の場合、セメントの御支給の場合は、これは無償支給でございます。ですから、見積もり価格からは抜けているわけでございます。私どもは、セメントについては全然現場で、建設省からちょうだいいたしまして、それ以後、打つ手間と申しますか、そういうものは見積もりに計上しておるわけでございます。
  26. 松田鐵藏

    ○松田委員 公団はどうでございますか。
  27. 大林芳郎

    大林参考人 ちょっと詳しく記憶いたしておりませんが、たとえば道路公団なんかの場合も、最近は生コンクリートで工事をすることが多うございますから、セメントというよりも、生コンクリートを御支給いただきます場合と、それから私どもが生コンクリートまで自分の責任で購入いたしまして作業をいたします場合と、両方あるわけであります。
  28. 松田鐵藏

    ○松田委員 あなた方の経済状態からいきまして、また工事の作ることからいきまして、どちらの方が一番便利なのでございますか。
  29. 大林芳郎

    大林参考人 私ども業者立場から申しますれば、原則としましては、セメントあるいは生コンクリートを私どもの手で一切扱わしていただく方が、より仕事もやりやすうございまするし、能率的な仕事ができると確信いたしておりますので、そういうことを従来お願いし続けてきておるわけでございます。
  30. 松田鐵藏

    ○松田委員 その公団なり建設省なりが、生コンクリートなりセメントを支給するという裏に、何かあなた方業者に対する不安といおうか、そういうものがあるがために、そういったあり方を現在やっておるというようにお考えになりませんか。
  31. 大林芳郎

    大林参考人 私ども、政府あるいは公共団体のお仕事を受注しております者は、ただいまは大体指名入札によりまして業者がきめられておりますので、そういう点は、業者の能力等は十分に検討されまして指名業者をおきめになっておると思いますので、私ども指名に参加しております業者としましては、そういう点は御不安はないと確信しております。
  32. 松田鐵藏

    ○松田委員 辻さんにちょっとお伺いいたしますが、あなたは中小建築業界の代表であって、土木はおやりになっていないのですか。
  33. 辻熊次郎

    ○辻参考人 私の方は建築が大体八割くらい占めておりまして、二割はやはり土木——小さい区道その他に参加をいたしております。
  34. 松田鐵藏

    ○松田委員 二割くらいしか土木をやっていないということになれば、全部の御意見としてお聞きするわけには参らぬだろうと思いますが、あなたの感じからお答え願えれば大へんけっこうだと思うのですが、中小の土建業者は、大林さんなんかのように大きな業者に、建築は圧迫される。しかし、土木の方は、圧迫されるようなことはございませんか。
  35. 辻熊次郎

    ○辻参考人 先ほど来申し上げました通りに、やはり一部——これはお差しつかえがあるかどうか知りませんが、東京都の昨年までにおきますところの道路工事その他の指名方法といたしまして、道路工事の機械を自己が保有していなければ入札の参加の資格がないのだというような制限を、間接ではございますが、業界から受けたことがございます。そういったことによりまして、先ほど申し上げましたように、無理して機械を購入をする。そうすると工事をとるときにはいろいろな条件がつきまして、おれの地元であるとか、おれの続きであるとか——これは大業者がしょっちゅうやっておられるものは、そういう条件があるのは御無理もないと思いますし、そういうところはやってけっこうと思います。やはり委員会とかなんとか、そういうふうなものがございまして、われわれ中小業者は遠慮したらいいじゃないかというふうなことは二、三あったように聞いております。
  36. 松田鐵藏

    ○松田委員 これは一つの例でありますが、私は北海道なんです。北海道においては、北海道の開発局でもって毎年仕事をさしておるのですが、現在は大体三五%が、北海道民でない、大きな資本を持っておる業界の者がやっておるのです。それがために——あなた方のように、横浜のような年じゅう暖かい、仕事のできところと違う、冬は休んでいなければならない、北海道に在住しておりまする北海道の土建業者、実にもう十一月済んだら仕事ができない、そういうところにおる中小の土建業者が、大きな資本を持っておる業者に三五%も指名をとられている。先ほどお話はありましたが、あなた方は、北海道の業者から見たらまだ私はしあわせだと思っているのです。これは北海道の例でございます。あなた方の内地の方は私は存じませんが、そういうように、役所が大きな資本力を持っておる者を優先して、あなた方に圧迫が加わるようなことがあったら、これは実際困りものじゃないかなと私は思っておるのです。そういうことがあるかないか、お聞きしたいと思います。
  37. 辻熊次郎

    ○辻参考人 われわれ業者も、やはり営業をやっております以上は、何とか大きくなりたい、もう少し伸びたいという意欲は持っております。しかし、われわれといたしましては、やはり民生の安定、福祉に貢献する、こういう事業でございまするので、柄にもない工事を請け負おうというような欲ばり方はしておりません。また大企業でなければでき得ない大工事がございまするので、そういった工事にまで無理に参加を願いたいという欲望も持っておりません。しかしながら、われわれの現在の施工能力、施工実績の倍額や三倍額の工事に対しては、われわれはできる自信を持っておるのでございます。  そこで、現在の建設省の格づけの問題でございますが、こういった問題はもっと安易に願って——上下自由自在のようなことを現在でも願っておるのですが、なおその範囲を広げていただいて、そうしてわれわれ中小業者にもこの入札に参加の機会を与えていただきたい。こういう要望は、われわれクラスの業者全部がそういうことを考えているんじゃないか、私かように考えます。
  38. 松田鐵藏

    ○松田委員 大へんどうもありがとうございました。大体次の委員会にセメントの問題から一つやっていこうというわけで今参考としてお聞きしたのであって、これでもう私は大へんありがたい御意見だと思います。  委員長、これで私は終わります。
  39. 二階堂進

    二階堂委員長 石川次夫君。
  40. 石川次夫

    ○石川委員 私は前から問題になっておりますように、建設費の単価が相当上がりまして、業者の方が非常に困っておられるというのですが、業者立場を擁護するという意味じゃなくて、現実の問題としては相当標準作業というものを手抜きするような危険があるんじゃなかろうか、逆にそれにとどまらないで、公共事業予算遂行というものが危ぶまれるという危険があるんじゃないかということで、参考人に一つお伺いをしたいというところで、きょうは非常にお忙しいところおいでいただきまして貴重な御意見を伺わしていただきましたことを心から感謝いたします。  伺いたいことはたくさんございますけれども、あとから質問をされる方もありますし、大へん時間も経過しておりますから、三点、四点ばかりのごく簡単な点だけを伺いたいと思います。  まず大林さんにお伺いいたしたいのですが、地方で実際仕事を見ておりますと、第一種、第二種の木造、これは中小企業の立場で辻さんの方からの御意見でもけっこうでございますけれども、立ちぐされとか、途中で仕事ができなくなってほうり出すという実例もまのあたり見ているわけです。そういうようなことはほんとうにお気の毒だというふうに考えますけれども、ぼつぼつあちらこちらで倒産をする方も出ておるように見受けられますけれども、実際倒産してもよかろうと思われるものが案外店を張って何とか食いつないでいく、こういうように思うわけですけれども、その方法としては資産の食いつぶしとか、金を借りるとかいろんな方法でやりておられるのだと思いますけれども、実際の実情としてA、B、Cというふうに建設業者を分けて倒産あるいは倒産寸前とか、あるいはほとんど倒産と同様だと思われるのがどのくらいの比率を占めているか、これは数字は出ませんから非常に困難でございましょうけれども、大体どのくらいあるというふうに推定をされますか。あるいはこのままの状態にいったのではもうことしのうちにはどのくらい参ってしまうのではなかろうかというようなおよその検討はおつきになるのじゃないかと思いますので、私はなはだしろうとで非常に雑な質問をして恐縮でございますけれども、その点をざっくばらんに伺いたいと思うのです。それとその救済方法としては、辻さんの方から一つ金融機関を作ってもらいたいというような痛切な、ほんとうに血の出るような叫びだろうと思うのですけれども、この金融機関建設業者に限ってやるというような特別な機関設置するということなのかどうか、ちょっと私聞き漏らしたものですから、その点をまず第一に伺いたいと思うのです。
  41. 大林芳郎

    大林参考人 ただいまお尋ねの土建業者倒産につきまして、私建設業協会で調査いたしました限りでの資料がございますので、それを少し御参考になるかと思いますので申し上げさしていただきます。  先ほども意見のときに少し申し上げましたように、一昨年から昨年にかけまして全国的に、いろいろな原因があると思うのでございますが、かなり私どもの建設業協会の会員で倒産者が出て参りました。これを各地方の協会に連絡をいたしまして調査いたしましたところでは、昭和三十五年の四月から三十六年三月までの間に倒産業者数は、私どもの会員の中での——私どもの会員と申しますのは約一万八千名余りになっておりますが、その中でその期間に百二十六社でございます。それから昭和三十六年の四月から九月の末までの調査では、百三十三社が例産いたしておりました。この中で三十五年度の方はそういう調査をいたしておりませんが、ただいまあとで申し上げました三十六年度の九月末までの分は資本金別にこれを分けますと、百三十三社のうち百万以下の業者が二十五社、百万から二百万までの業者が四十三社、二百万から三百万までの間が十四社、三百万から四百万までの間が七社、四百万から五百万までの間が六社、五百万から六百万までの間が九社、六百万から一千万までの間が五社、一千万から五千万までの間の資本金の業者が二社、それから一億以上の業者で一社、合計百十二社、そのほかに調査が十分できませずに資本金の別がわかりません業者が二十一社、合わせて百三十三社ということになっておりまして、十月以降今日までの分は現在調査中でございまするので、はっきりわかっておりませんが、御承知のような情勢でございますので、それから後につきましては単なる赤字倒産だけでなくて、黒字倒産的なものもあるいは出ておるのじゃないかと思いますが、これはまだ集計ができておりません。
  42. 辻熊次郎

    ○辻参考人 金融機関の問題につきまして述べよということでございますが、私は中小業者の金融機関または困難な情勢は各種産業の面においてもしかりだ、かように考えます。特にわれわれだけを救済してくれということは、望みたいのではありますが、そういうことも考えておりません。そこでわれわれも利用しておりまするが、東京都のごあっせんによりまして十年前に東京都建設業信用組合というものを設置していただいたのでございます。これには中小業者並びにこれに関連する材料業者が加入をしております。それでこれの理事諸公は各地域から業者が出ております。業者の実態を把握し、内容調査は非常に安易でございます。そういったものを利用してやっておりまするので、非常に貸付その他につきましてもスムーズに運営をして、これを利用する業者は相当恩恵に浴しておるのじゃないか、かように考えます。しかしながら、先ほど来申し上げますように、中小業者の救済といいましてもなかなかこれは困難な問題でございまして、また大林会長を引っぱり回すようで申しわけありませんが、ただいま全建、東建の方に建設業信用組合は間借りをいたしておりますが、そこでわれわれからお願いいたしまして、まず切実な中小業者を大企業が助けてくれる近道の問題は、われわれのこの中小金融機関に預金をしてもらうことだ。こんなような早合点をいたしまして、お願いいたしましたところ、トップクラスの皆様方のあたたかい御同情によりまして、あそこへ越してから預金が何億というようにふえた、かように考えております。そこでもう一つお願いいたしたいことは、先ほども申し上げました通りこの東日本、西日本、それから九州、北海道ですか、四つの前渡金に対する保証会社がございます。これに最初業者の基金と、一銭、今は五厘になっておると思いますが、そういったことと、それに前渡金の保証をするために、これはむろん政府が作った機関でございますが、利息を払っておるのでございます。そういった利息を払っておるのがいろいろ積み重なりまして、最近になりまして徐々に返還はしておりまするが、四、五カ年は積み立てて、この積み立てを返還しなかったと思いますが、現在におきましては多少ずつ返済しておるように思いますが、はっきりしたことはつかめませんが、四億や五億の預金があるのじゃないかというように推測をいたしております。その金はどういうことになっておるかは知りませんが、やはりこの前渡金は一流金融機関に預託をいたしまして、そしてその工事に使用する、工事の材料業者の請求書によって支払われておるのでございます。ただし、市中のわれわれの利用する信用組合だとか信用金庫なんというものは利用されておりません。そこで、そういった金の余剰金を、われわれの業者から生み出した余剰金であるから、これははなはだ拙速な言い方でありますが、われわれの業者の方へ還元していただいて、そして融資を願ったら、まことに現在われわれは助かるのじゃないかというような考えをいたしております。そして、そういった業界を通じまして、各県の方にも、各業界が何とか金融機関でも自主的に設置した場合に、そういったような融資の方法も御考慮を願えれば、全国的に助かるのじゃないかというような考えをいたしております。
  43. 石川次夫

    ○石川委員 公営住宅建設状況で大へん参考になる御意見を伺いましたけれども、現行七条をあらかじめ住宅審議会の意見を聞かなければならないとするのは大へん参考になります。ただし、これは例によって審議会の意見で尊重されない場合が多いものですから、その実質上は問題がありますけれども、大いに御意見を尊重したいというように考えます。それと同時に、アメリカの住宅法の百四条、それから何条でしたか、地方負担金を三分の一以上に要求してはならぬというこの条例、どこかわかっていますか、局長の方で。その条文を参考までにあとで出して下さい。  それから大林さんに、これは別にここで議論をするつもりはありませんから、ただ意見として申し上げますけれども、臨時特別失対の方に非常に御苦労なさっていることはよくわかりますし、それから全国市長会でもいろいろな意見が出ております。大体皆さん方と同じような意見が多いようです。それから非常に採算倒れになろうとする建設業の苦況に対して、こういった思い切った案が出ることもよくわかりますけれども、事は、人間を切っただけで、あとの始末はしないというわけにはいかぬものですから、これはなかなかそう簡単にはいかぬ問題だろうというふうに想像されます。しかし、御意見のほどはよくわかりました。  それから地価の問題ですが、これは伺いたいことはたくさんあるのですけれども、時間がありませんから一、二点だけ伺います。それは御意見の中で、土地というものはみずから価値を持つものではないので、人との関連において、たとえば民族的、地理的、分布図などの要件によってきまってくるんだというようなこと、大へん参考にはなりました。また御意見通りだろうと思うのです。しかし、現在日本でたとえば国土開発をやる、あるいは新産業都市法案が今度の国会でも提案されておりますけれども、何といっても土地を獲得するというこの前提条件が確立されないでああいうことをやっても、土壌あるいは根を育てないで花だけをいじっているというような感じがするわけです。どうしても土地の問題の根本である地価を抑制するという抜本的な対策が成り立たないと、すべては砂上の楼閣に終わるのじゃないかということで、われわれもこの点については非常に懸念をしておるわけでございます。先ほどおっしゃいましたように、土地それ自体はみずから価値を持つものではないという考え方になりますと、しからば地価をどこに求めるかという点で、私は非常に浮動してしまうのじゃないかという心配をするわけなんです。やはり地価というものはかくなければならぬという一つの原則というものを確立しておいて、それでもって英断をふるって地価の抑制をする、その点で食いとめるんだという非常に勇気のある態度がないと、際限なく地価が上がる。そして地価が上がって不労所得で利益を受けるという人は、これは法律的には犯罪でないかもしれないけれども、道義的には犯罪以上の犯罪だというふうに私は考えているのですけれども、しかし、地価の高騰を食いとめるための対策として、先ほどおっしゃられたような鑑定人の制度というものは非常に参考になりました。そこでみずから価値を持つものではないというふうな社会的、自由競争のような関係できまるんだというような関係でいきますと、地価の基本原則というものは確立されないのじゃないか。従って地価というものはかくあらねばならぬ、ここで食いとめるんだというような一つの原則をきちっときめてかからないと、土地対策というものは抜本的にできないのじゃないかということを考えるのですが、その点についての御意見を一つ伺いたいということと、それから、前提条件抜きでいろいろ申し上げて恐縮でございますけれども、評価とか鑑定制度というものを設けなくてはならぬということを、われわれもつとに考えてはいるわけです。そこで民間の関係とか取引業者関係というのではなくて、最後に三番目におっしゃいました専門の鑑定人というものを公認の制度にして、鑑定人を通さなければ土地の売買はできないのだというふうなことにまでいかなければならない。これも一つの方法です。それだけで解決ができるとは思いませんけれども、そういった場合、そういうことの成功の可能性というものは一体あるのかどうか、可能性があるかどうかということでちゅうちょしていたのではなかなかできませんよ。どうしても地価対策の一環としては熟視しなければならぬことだと思うのですけれども、その点についての見通しを専門家の嶋田さんに伺っておきたい。この一点だけを伺っておきます。
  44. 嶋田久吉

    嶋田参考人 地価の問題について、それはみずから価値を生まないこれはある程度自然的条件においては成り立つと思っておりますけれども、経済的条件において非常に人為性によって動いておるのではないかということを申し上げたわけであります。地価のある程度の調整の問題、これは先ほど申し上げましたように、鑑定制度と両輪の関係があると思いますが、総合的な利用計画性がなくて、非常に放任的に無計画に利用性が異動して参りますと、せっかくあるときに格づけいたしましても、またそれが非常に動いてくるようになりますので、私はある程度国土のセンサスをすみやかに行なわれて、そのもとに利用計画性をはっきりさせる、その利用計画性のもとに一つの鑑定制度というものがくっついて、そしてできますれば、先ほど申し上げましたように税制の面だけでなくて、これはすでに御承知と思いますが、三十九年からは固定資産税と相続税、それから登録税が一緒の基準でいこうということに大体答申案がなりまして、三十九年の固定資産の評価がえのときから行なうということになっております。これは市町村が主力となって市町村の負担においてやることになるわけでありますが、こういう重大な土地に関する格づけ評価のような問題は、もう一歩進めて、建設の面、あらゆる産業の面からも考えて、それから農業のブレーンも動員した、全国の評価能力を広範に結集した格づけをいたしまして、それが中心となって、公示されていくならば、ある程度の調整がとれていくのではないかと思う次第でございます。
  45. 石川次夫

    ○石川委員 この土地の問題は非常にむずかしいですから、大体その辺で打ち切っておきますけれども、国土をフルに使うということで国土省を作るということは、われわれも非常に賛成でございますけれども、それにしても新産業都市指定地域になり特定開発地域になるということになり、道路ができるということになると、その点だけでもう土地が上がってしまうということで、それが次の開発の非常な支障になるというふうな現状を繰り返しておったのでは、せっかくの国土省ができても、何の意味もなさぬのではないか。それよりも非常にドラスティックな考え方になりますけれども、理論的に積み上げていった一つの土地価格というものを決定してしまうということで、各地域別に標準価格をきめてしまう。鑑定人を通さなければ売買できないという程度のところまで腹をきめてかからないと、総合開発それ自体が進まないのではないか。気の毒なのは、勤労者が退職手当をもらっても、土地が高いために安住の地を求めることができないというようなことは、あまりにもみじめじゃないかということを痛感しているわけなんです。私個人の意見かもしれませんけれども、この需要供給関係とか社会的条件、そういうようなことをいろいろ考えていきますと、なかなかこれは土地価格対策はきまらないのじゃないかということを痛感するわけなんです。その点について何か御意見があれば伺いたい。それで私の質問を打ち切ります。
  46. 嶋田久吉

    嶋田参考人 それはある程度利用計画性に安定性を持つならば、自由な商品的な性格を持っている現段階においては、ある程度の調整ができるのではないかと思うのです。あるものは、住宅であったものが今度は商業地になるというような一つの変動性が伴ってくるならば、そこに格づけが行なわれる。それをなるべく少なくするためには、国土の一つの利用計画性というものを確立していただく必要が非常にあるのではないか。そのことに、収益性に基づいた一つの価格というものが確立されればいいのでありますが、今はただ希少性で——土地の価格の根源は快適性と収益性にあると思いますがその収益性及び快適性の上に立たないで、ただ株式と同じように元本の値上がりのもとにおいて動くような大勢は、私ももちろん非常に嘆かわしい価格の動向だと思っておりますけれども、ある程度事業収益性が安定して参りますと、そこに価格はおのずから落ちつきを持ってくるのではないかという考えを持っておるわけであります。  それから、これは御参考でございますけれども、土地の面と取り組みます場合には、ある程度将来の食糧問題についても取り組む必要があるのじゃないか。それについては、日本の国土資源は少ないけれども、われわれの科学の進歩がやがて主要食糧の合成に成功するならば、この土地資源の窮屈さが相当やわらぐのじゃないかと思いますので、こういう食糧合成の点は相当研究されておると思いますけれども、すみやかに実現の方向に向かわれたならば、土地資源が非常にゆとりがつくのではないかというような考えをひそかに持っておるのでございます。御参考までに申し上げます。
  47. 二階堂進

    二階堂委員長 逢澤寛君。
  48. 逢澤寛

    ○逢澤委員 先ほど来大林参考人と辻参考人の方から、現行の請負単価の是正方のいろいろの角度からお話しになりましたが、そこで私は、大体の重要点はお話になっておりますから、それの漏れておる点について、二、三参考人意見をお聞きしたいと思います。  ただいままでお話しになった中には、断片的にはだんだんあったけれども、具体的にこういうような点が官公庁における設計あるいは契約条件の中に漏れておる、区々になっておる——先ほど大林さんからもお話しになったが、民間会社と官公庁発注書の内容とに違いがある、こういうことであります。具体的にいいますと、あるいは木材とかセメントとか、鉄とかいうような材料、あるいは労務などの直接費関係のことについては、明細に計上がされておるが、間接費については設計に計上してない。ところが、間接費というものが一契約の中に占むる割合は相当大幅なものである、こういうような御意見も断片的にはあった。そこで私が伺いたいのは、官公庁の中にも、聞きますところによると、間接費を計上しておる発注公署もあるが、間接費を計上してないところもある、こういうことですが、それをわかりましたら知らしていただきたい。わかりませんければ、あとからでもよろしいから、それを知らしていただきたいと私は思います。といいますのは、今、辻参考人からもお話しになりましたが、一日二万円も運賃を払う、運賃ということは適正な価格で、諸君に公開してもいいことだ、しかしながら、その輸送賃を軽少ならしめるために、一日に一回行けるところを一回半も行ってもらわなければならぬということは、われわれの立場からは運転手に対して指示できぬ、けれども内容はそういうことである、その場合には運賃以外の何ものかを払わなければならぬという御指摘があった。これと同じような意味合いで、要するに直接費でなしに間接費というものが一点工事を施行する上においては相当の割合を占めてきた。しかるに、これを計上しておるところと計上していないところがあるとすれば、そういうようなことが積もり積もって一年間を通じての収支の面に大きなマイナスを来たすのではないか。従って、私どもが研究したいのは、すでに全建の方からも要望書が出ておりますように、契約内容の統一化ということが出ておるが、その契約内容を統一する上においては、今間接費に対しても発注者はこれを適正なワクの中で計上しなければいかぬ、こういうことになると思うのです。このことについてわかりましたから、具体的にお知らせをいただきたい。私が今例をあげましたような問題や、あるいは労務者を募集するにしても、募集費というものを計上しているかしていないか、また募集されたら、それに対する仮設住居費というようなものを発注者は計上しているかしていないか、こういうことは一かど工事経営していく上において大きな経済の点を負担するものだという点を、わかりましたらお答えを承りたい。わかりませねばあとから資料にして出していただきたい。
  49. 大林芳郎

    大林参考人 ただいまの逢沢さんからの御質問でございますが、私ども工事の費用を見積もりますときに、直接工事費のほかに、現場の経費なり一般管理費は、営業して参ります以上当然これをプラスいたしまして、総工事価格にいたすわけでございます。ただ、官公庁の場合は、発注されますときの予算を一応おきめになりまして、入札にお出しになる。また私どもは私どもの見積もりで入札に参加いたしまして、私どもの見積もりが予定価格以内にとどまりますればいいわけでございますが、それが食い違いました場合は、再入札しないまでも、最低入札者と折衝いたします場合に、内訳の明細書をごらんいただきまして折衝するわけでございます。その場合に、当然まず直接工事費から、発注者予算と私どもの見積もりがどう食い違っているかという検討になると思うのでございます。私どもの考えておりますことがなるほどもっともであったという場合は、もちろん私どもの方が金額が大きい場合でございますが、発注者の方はそれを御訂正になる。昨今の現状ではそういうことが多いわけでございますが、そうしますと、御発注者の方は、直前におきめになりました予定価格を、総額はなかなかそこでは動かされない。といたしますと、これはごらんになっていると思いますけれども、直接工事費の方を修正されれば、一般管理費なり現場経費の方が縮まってくるわけでございます。さらにその方も、私どもの考えております必要な経費はぜひとっていただくようにそこで交渉するわけでございますけれども、何分にも官公庁の従来のやり方として、そこで総額を修正するということまではなかなか踏み切っていただけぬものですから、ついいろいろな事情から、やむを得ず不十分ながら、間接費と申しますか、一般管理費が少ないのを承知しながら受注しなければならぬということも起こっているわけでございます。私どもこれにつきましては私どものいろいろな専門家が研究いたしまして、工事の総額によって当然一般管理費の率は違ってくると思いますが、そういうものを非常に詳細に、建設工業経営研究会という業者の中の専門家から作りましたものがございまするので、それで建設省なりそのほかの御官庁にもその率を参考にぜひ一つ御研究願いたいということを以前から申し上げております。その資料につきましては、先生のお手元へ後ほど届けさせていただきたいと思います。  それから、ぜひこの際に私としましてお聞き願いたいことは、労務費の問題につきましてただいま先生からお話ございましたが、昨今、工事の安全でございますね。これは非常にやかましく私ども気をつけておるわけでございますが、工事がふえるにつれまして、少し事故がふえてきておりますので、これはぜひとも一つ事故を低減して工事の能率を上げなければならぬのでございます。これもどうも発注の方の方に伺いますと、その費用は入っているのだとはおっしゃるのでございますけれども、どうもだんだんいろいろと伺いますと、十分でないように伺います。これはぜひ労務費のほかに労務管理費というものを、別に御発注の方でも費目をお分けになって計上していただきたいということをかねてお願いはしておるわけでございます。こういう点は業界として一致した希望でございますので、参考までに申し上げておきます。
  50. 逢澤寛

    ○逢澤委員 もう一点お尋ねしたいことは、先ほども、さきの質問者からお話がありましたように、今にも倒産しそうな状態だという世論があるのに、ひょろひょろしているが息を続けておるということ、そのようなことも私どもしばしば聞くのでありまするが、何ゆえにそういうような状態におるかということを、私どもに訴えてきておるものからいいますると、以下申し上げるようなことを訴えてきておるのですか、これは事実でしょうかどうでしょうか。それは先ほど参考人から述べられましたように、最近工事量が非常に膨大になってきた、特に大型の工事が鉄道では東京−大阪の新幹線を三カ年間に数百億をもってやる、あるいは道路公団とかダムとかあるいは大きなビルの建設とかいうような大型な工事、しかもその工事量というものが飛躍的に大きくなってきた。そこで、建築の場合にもそうでありますが、土木の場合には、これらを消化するのには現行の特殊の重機械を最高度に使うということ、そうしなければそれはとても人の力だけではいかない。重機械、あるいはブルドーザーとかあるいは掘さくに対する重機械等々を大型のものを大量に使って、そしてこれを消化していく。先ほど辻参考人からもその一端をお話しになっておりましたが、この重機械に対する償却率というものは、莫大な何億、何十億というような資本を投下して、機械によれば一年でもう九五%までは消耗するというようなものがある。それが、大蔵省が仮定をしておるところの償却年数というものは五カ年にもなっている。一年でめげてしまうものを五カ年にもこれを償却するという。文字の上では、従ってかりに一億円のそれに投資をしておるものとすれば、五カ年で償却するとすれば、一年に二千万円ずつ、一年でこれが使用不能になっておれば、一億円というものはその年にもう償却しなければならぬ性格のものだ。それを五カ年にするということになれば、あとに七千万円も八千万円も残っておる。帳簿の上では財産だ。破産じゃない。先ほどそういったことを大林参考人も言われたが、黒字破産になる。そこでこれに対するころの業界の考え方ですね。これはどういうふうにすべきか、実質はどういうふうにするかということは、これは中小業者もさることながら大企業の人たちにもそれは致命傷だ。今まで参考人がお話しになっためげそうになったのがなかなか表面めげぬというのは、実質には力がない。力がないけれども、帳簿の上では力があることになっている。従って、業者が一たび破産するということになると、大きな赤字が出る。かりに一カ年の消化能力が、三十億円の消化能力を持っておるものが、それが破産をした場合四十億も五十億もの負債があるということになる。これは他の業界では想像のできぬようなことだと思う。それは何かといえば、今私どもに訴えてきている事実が、これを証明する。実際は力がない、破れた機械を持っているんだけれども、帳簿価格というものがある。けれどもそれが、請負業というものの一カ年の受注高と消化高とにかなりの開きがある。あなた方の、かりに大林さんの例でこの考課表を拝見しても、一カ年の受注高と決算期における手持高とを見ると、手持高が受注高におよそ匹敵するだけの手持高を持っているから、工事量を持っているから、そこに実際は金はなくとも経済力を持っている。融通力を持っている。融通力を持っているから、そこに続いてきた。ところが、それが一たびつまずいてくると、だっと倒れるから、さきに申し上げたように大きな赤字が出てくる。そういうことを私どもに訴えてきている。これは私どもが信じていいことかどうか。従って、私どもがあなたにお尋ねしたいことは、市機械に対する償却年度というものは、これはすみやかに是正すべきではないかということを深く考えておりますが、参考人の御意見を拝承したい。
  51. 大林芳郎

    大林参考人 ただいま工事機械のことにつきましての御質問でございますが、ただいまお話しのように、確かに昨今、ここ一、二年道路公団あるいは国鉄の大規模工事が一斉に発注されましたので、比較的規模のまとまりました建設業者は、この工事消化に今盛んに没頭しておるわけでございます。お話しのように、とても昔のような手でやります作業ではいけないわけでございまして、ほとんどが機械化施工と申しますか、しかもその工事機械もお話しのようにだんだん新鋭の大型のもの、能率の非常に上がるものを駆使しなくてはならぬということでございますので、業者規模も、これを受注しております中には比較的規模の大きい業者もそれほどでない業者もいるわけでございますが、その大小にかかわらず、相当な工事機械を新規に購入いたしまして、一斉に工事にかかっているわけでございます。こういう工事は、もちろん日本の公共施設の現状を考えますれば、私ども業界としましては、まだいろいろ波はございましょうけれども、まだ数年間はこういう工事機械を働かせて引き続いてやっていくだけの仕事は発注されるであろう、特に道路のごときは欧米その他に比べて非常におくれておりますから、そういうことを考えておりますけれども、しかし、昨今のように金融の面で日本の経済情勢が非常に悪くなってきて、景気調整をされる、金融の引き締めになってくるということになりますと、運転資金の面から非常に苦しい事態が起こってくるということが、一つのつまずきの原因になることがございましょう。そういうあまり大きい規模でない業者の方が、非常に大型の機械を、設備資金を相当投入されてお買いになった場合は、この借入金の返還のこともございまするし、一方非常に新しい運転資金はそう簡単に借り入れができないというような場合は、それ以外にその他の仕事をある程度お持ちになっていないと、なかなか営業資金としての運転がむずかしいという事態も起こるのじゃないかと思うのでございます。そういう場合は一種の黒字倒産的な形で、先生がおっしゃいましたような、中をあれしてみれば、そういう大型の工事機械が残るだけであるというような形も起こるのじゃないかと思います。実は私どもはたして業者自身がどこまで工事機械を手持ちしていけばいいのか、これは際限がないわけでございます。しかし、それも私ども業者にも能力の限度がございますから、各業者が全部工事機械を持ってやらなくちゃならぬかどうかという点も非常に問題がございまするので、業者がよりより相談いたしまして、何か共同で工事機械を持つような方法、あるいは工事機械を専門に貸与するような会社を、もうこの辺でぼつぼつ考えていかなくちゃならぬのじゃないか。そうして、そういう専門の貸与する業者ができますれば、私どもは一方において手持ちの工事機械も使うし、その限度を越えました場合は、そういう貸与会社の工事機械も借りていく。一方貸与会社の方から見れば、業者が全部そういうような考え方になりますれば、それで経営も成り立っていくようにもなるのじゃないかというようなことも考えられます。これは数年前に建設省の方でも相当そういうことをお考えいただきまして、ある程度具体案までお練り願ったのでございますが、いろいろな点で立ち消えになりましたので、非常に残念に思っておりますが、業界だけでできない場合は、あるいは国の援助を借りるなりいたしまして、お願いをするようなことも考えてみなくちゃならぬのじゃないかと思っております。工事機械の将来の問題につきまして、そういう考え方もいたしておるわけでございます。
  52. 逢澤寛

    ○逢澤委員 今の問題について詳細なお答をいただいたのでありまするが、償却面のことについて一つ……。  それから、もう一点は、これはお答えいただかなくてもいいのですが、先ほど辻参考人からもお話しになったように、官公庁発注に対してはなかなかお断わりがいたしかねる。安いと思ってもなかなか率直な拒絶ができない。単価が安くても、まあ長い間の得意先だから一つやってくれぬかと言って肩をたたかれると、どうも断わり切れない。これは一つは業界の伝統の長所かもしらぬ、美徳かもしらぬけれども、こういうような経済状態になっては、そんなことを言うては商売が成り立たぬ。のみならず他人に迷惑をかける。倒産になるおそれがある。  そこで、これは大林参考人に聞きたいのですが、それらに対する対策、これは得意先に向かってはあまり言えることじゃないが、しかしながら自己を殺してまで注文者の求めに応ずるというと、これは一ぺんや二へんならできるかもしらぬが、こんなことが連続すると結局は破産になってくるのだから、こんなことに対する何か対策などがありまするか、また対策を講じられておるかなどについて一つ伺いたい。
  53. 大林芳郎

    大林参考人 機械の償却につきましては、逢澤先生からお話しのように、建設工事機械は特殊でございまするので、従来一般の工場の機械などとあまり率が変わらなかったのでございますが、だんだん要望いたしまして改善はされてきておりますけれども、まだ私ども十分ではないと思っておりますので、今後もそういう改善をされますように、だんだん努力していかなくちゃならぬと思っております。  それから、ただいまの、工事官公庁の場合に断わりにくいのじゃないかというお話でございます。これはいろいろな入札制度の問題にも関連をしておるのでございますが、私どもやはりできない値段でこれを受注することは、これは国のためにもいいことじゃない。また私自身のためにもいいことじゃない。だから、そういう点は十分一つ念頭に入れて、自主的な受注態度と申しますか、折衝と申しますか、ということをされるように、業者の皆さん方にお願いと申しますか、申し上げて、お互いに努力をしようじゃないか−結局できない値段で引き受けますことが業界全体にも悪い影響になるわけでございますから、決して不当な利得を得るという考えは毛頭ないわけでございますが、適正な価格受注するようにお互いに努力しようということは、常に相戒めているわけでございます。
  54. 二階堂進

    二階堂委員長 三宅正一君。
  55. 三宅正一

    ○三宅委員 われわれもかねて、単価実情に即さないために、非常に業界が困っておられる事情を承知しておったわけでありますが、本日承りまして、まことに深刻な事情がわかったわけであります。この点については、実情に即して単価を引き上げさせるようにわれわれも努力をいたしますが、しかしこの際私は主として大林さんを中心にしてお伺いしたい点があるのであります。  それは、公共事業単価を安くするということが、これは国の百年の大計であります。今のようなむちゃくちゃに単価が一年に何回ずつか上がっていかなければ業者は損するというような状態をそのままにしておきますれば、これは悪循環でもってどうにもならぬことは明らかであります。従いまして、私は、当面の実情に対しては努力をするが、業界自体は専門でありますから、私は単価引き下げについていろいろ建設的な御意見があって適当だろうと思うのであります。その点について、しろうとでありますけれども、私どもの考えておる点を二、三点指摘をいたしまして、建設協会会長としての大林氏の御意見を承りたいと思うのであります。  今日単価を高くしております一番大きな原因は、何といっても地価の暴騰だと思います。建築費の六割、七割は地価に入ってしまうというような状態でありますれば、これはどうにもならない。道路費にしても、道路の買収費というものはむちゃくちゃに高い。鉄道の建設にいたしましても、これが高いということになりますれば、その単価ははね返りまして、たとえば自動車の高速道路ができれば、自動車の通行料が高くなってしまう。それはまた物価にはね返る。鉄道の運賃が高くなる。それは物価にはね返る。悪循環を繰り返すだけでありますので、地価に対しまするほんとうに抜本的な対策というものを、業界の利益から考えても、私はもう考えなければならぬ時期だと思うのであります。従いまして、地価の問題については、きょうは嶋田さんから非常な役に立つ御意見を承りましたが、私ども自体も、単に土地増価税だとかあるいは空閑地に対する課税だとか、そんなことでなしに、もっと根本的に考えた土地基本法のようなものを作りまして、それに関連した必要な法律というものは一つ整備いたしまして、ここで土地問題に関する一つの抜本的な施策をやらなければ、それこそほんとうに日本の経済というものは悪性インフレの方向をたどっていくと思うのでありまして、こういう点についての土地の問題は委員長にもお願いしておきますけれども、別個に私ども勉強いたしまして、本格的に質問いたしますし、われわれの考えも述べますし、そうして業界等の意見、学識経験者の意見等も聞きまして、これはわれわれの党だけでやるのではなしに、できますならば建設委員会を主導力にいたしまして、超党派でもってこの問題に取り組んでいくべき段階だと存じます。  そこで、私は大林さんに承りますが、建設業界としても、これらの点についての専門のスタッフ等を動員して何らかの今までに調査した点があるかないか、ありましたならば、それらの資料を、きょうどうこうということでありませんが、われわれの手元に一つ提出してもらいたいと存じます。これが第一点であります。  それから、嶋田さんの方の問題につきましては、いずれまた本格的に一つお伺いいたしますから、いろいろお教えを願いたいと存じます。  単価引き下げの第二の点は、これは私はしろうとでありますから教えを請うのでありますが、まず第一に、われわれの今日まで常識として持っておりましたのでは、戦前戦後を通じまして、談合等によって建設費の単価というのは非常に非近代的な余分な費用というものがかかっておる。もう建設業界自体が大きなものにもなってきましたし、輸出産業としてもやれる程度にまで近代化して参りましたが、しかしまだ今日においても談合等による相当非近代的な浪費というものがあるのではないか。あるとすればこれをどういうふうに、だんだん直す方策を考えておるか、ないならば非常によろしいが、これが現にあるのではないかということを私は疑っておるのでありますが、この点はどうでありますか。  第二の問題は、資材の中におきまして、労務費がだんだん高くなるのはあたりまえであります。そのかわり、それに匹敵する能率とか生産性とかいうものを労務者自体に上げさせなければならぬし、機械化等の関連において労務費が上がりましても、建築単価、道路単価等が上がらぬようになったことは、近代国家として当然な話であります。そういう際において、私は、建設費の単価の中で下げ得る要素、たとえば大企業で生産しております鉄とかセメントとかいうものは下げ得るのではないかと私は思います。まだ高いと思っております。たとえばセメントについて言いますならば、先ほど辻さんからお話がありましたけれども、今日のセメントの製造能力におきまして、何カ月か経過的に非常に足らぬで暴騰させたということについては、指導する方の行政官庁に責任があるか、あるいはセメント業界に責任があるか、これは別といたしまして、少なくとも私は道徳的には追及しなければならぬ大きな問題ではなかったかと思います。今の日本のセメントの製造能力におきまして、こういうふうな不始末を起こしまして、倒れかけておる中小企業などを倒すようなことをいたしましたことは、セメント業界の大きな責任だと私は思っておりますので、この点については単価の中の非常に大きな要素でありますから、建築業界において、近代的な技術においてまだまだセメントなどは下げ得るのではないかというように、計算等もしておられるのじゃないかと思います。そういう点について建設業界などが発言しなければ、単に自分の団体の利益だけで単価を上げてくれということだけでは、私はほんとうに尊敬して教えを請うという立場にもなれぬし、協力するという立場にもなれぬと思います。鉄についてもその通りであります。例をあげると、日本の肥料が数年前に非常に高かった。これを肥料二法という法律を作りまして合理化をさせました。そのためには資金等も国が出しておりますが、同時に生産費の計算をやりまして、毎年ともかく肥料価格というものはずっと下がってきております。私は、今日鉄についてもセメントについても、近代的な機械でさらに装備をさせることにより、それを国が援助することにより、同時に社会への責任として、独占価格なんということで、それを高くさせずに、また経過的にも品物が切れるなどということをさせないことは、なし得るのではないかと思うのでありまして、この点どれくらい下げ得るか、あなたの方の資料がありましたならば、一つお教えを願いたい。同時に、こういうものを使っておられる業界として、こういうふうにやればもっと下がるはずですという建設的な意見が出てくるのが、私はあたりまえだと思うのですが、それがありましたらお教えを願いたい。  それから、さらにもう一つ、中小建設業に関する問題であります。だんだん仕事が近代化して参りましたり機械化して参りましたりする際におきまして、何といったって中小企業の水準をもう少し引き上げなければだめでありますが、もう今日においても私は二つの形態になっていると思います。一つは大企業の下請の形態でいっておる。この下請業者の形態に対しましても、賃金不払いがあったときにそれを下にかぶせるとか、そんなことはないでしょうけれども、ヨーロッパと同じように対等の立場に立ってこれを引き上げるという線における建設業界などの努力というものも、やっておられるとは思いますが、一つやっていかなければならぬと思います。それから、独立の建設業者に関しましても、私はもう少し素質も上げなければいけませんが、同時に機械貸与公団のようなものを作ってみたり、資金についても援助してみたり、そのかわり手抜きとか変なことは絶対させない。それから分野についても、私ども中小企業の産業分野の確保に関する法律というものを中小企業に対しては考えなければならぬと思っておりますが、統計などを見ておりますと、公共事業等いろいろ建設費などがふえて参りました。それを大きいところがほとんど取ってしまって、中小企業の事業量はほとんどふえておらぬ状態です。大きいところが取っておる中には下請に回されておる分もあるでしょうから、表面に出た統計だけで見るべきではないと思いますけれども、私は、現在まじめにやっている中小企業——それはふまじめな非常に非近代的な中小企業というものがつぶれることはやむを得ないということはあり得ると思いますけれども、一体これを引き上げるについて建設業界としてはどんな施策をやっておるか、それからどういう御意見があるか、立法としてどういうことをやったらいいかというような点について、時間もありませんから、一つ大局的なお教えを願いたいと存じます。
  56. 大林芳郎

    大林参考人 ただいま三宅先生から御質問でございます。まず第一の地価の問題でございますが、どうも残念ながら業界は非常に多忙でございまして、建設業協会としましては、地価の問題、土地の問題につきまして、業者として何か具体的な方策についていろいろ考えるというところまで実はまだ及んでおりません。しかし、確かに関連のあることでございますから、今後関係団体とも連絡をとりまして、研究はいたして参りたいと思っております。  それから、第二番目の、談合等によりまして無用の費用がかかっておるんじゃないかというお尋ねでございまするが、戦前はそういう点についてある程度不明朗な点もなかったとは言えないと思うのでございますが、戦後はそういう点はきわめて明朗になっておりまして、今日の業界ではそういうこと等による無用の費用がかかるというようなことは絶対にないと私ども信じております。  それから、第三番目の主要建設資材、特に鉄、セメントというものについて、今後、もっと価格を下げなくてはならぬが、どの程度下がるか、またそういうことについて何か方策を業界で考えておるかというお話でございます。実は一昨年から昨年にかけまして工事量が非常にふえましたので、この点を業界としては非常に心配いたしましたのですが、幸いにメーカー筋におかれましても、セメントはここ数年間非常に設備を増設されましたので、特殊のものは別でございますが、昨年はあまり価格高騰しないで過ぎました。お話のように、私ども、主要資材でございますので、これが及ぼす影響は大きゅうございますから心配しておりましたが、その点はまあ安心したわけでございます。しかし、昨年の暮れに至りましてセメントの資材不足の問題が起こりまして、先ほど来辻さんなんかのお話のように、今日、全国的にでもございますが、特に東京方面品不足によるセメント価格高騰ということが起こって参りまして、非常に心配しておりまして、先般来、セメント協会の方に、私どもの建設業者協会としましては、今後の工事をやって参りまするに非常に業者が不安になっておるので、この点について強力な増産体制を講じていただきたいということを強く申し入れまして、セメント協会からも二度にわたりましてそれぞれ努力しておるというようなお話も伺っております。また安藤協会長にも最近お目にかかりまして、今後の見通し等について伺ったわけでありますが、これは一つ増産によって極力価格高騰を押えていただくようにお願いしておるわけでございます。  それから、何かいい名案がないかというお話でございますが、これはどうも他の業種のことでございまするので、私どもとしましては、今後工事量は相当続くと思いますので、一そう生産設備の増強にお努め願って、極力資材価格の上がらないように、まあある程度工事量がピーク時にふえることがありましても、それによって値段が上がらないような余裕のあることにはしておいていただきたいと思っております。一方、私ども今日一番心配しておりますのは、骨材、砂、砂利でございます。これは従来は天然資源を取っておったわけでございます。川の砂や川の砂利に大部分依存しておったわけであります。これは御承知のように、昨今これを非常にたくさん取り尽くしましたので、関東方面、特に川砂利、砂、この値段が非常に上がってきております。これは底がついておるということなんであります。これにつきましては、そういう業者の方あるいは私ども自身も研究いたしまして、人造骨材、それから相当遠方でございましたら、まだ川砂利の生産しているところがございます。しかし、今の砂利業者のやっておられるような方法では、なかなか遠隔の土地へ運んでこれませんので、そういうような輸送方法も考えまして、遠方のものを安く、距離は少し長くなりましても、何か大型の方法で大量に持ってくる方法を考えれば、まだ打つ手はあるのじゃないか。一方人造骨材、いわゆる砕石の砂、砂利を使用するように、これはぜひ私建設省にお願いしたいのでございますが、標準仕様書に掲げてありまする骨材の基準を、そういう人造のものでも建築、土木ともに差しつかえのないように適当に改訂を願うということと、それからそういう設備業者がやりますときには、一時的にはやはり相当な資金がかかりますので、あるいはこれは建設省だけでなく、通産省にも御関係があるかもしれませんが、何か補助的な、補助資金のようなものをお考え願う、あるいはそういう方面から業者にそういうことを勧奨していただく、勧めていただくという手をぜひ打っていただかないと、これはおそらく私ども民間だけでなくて、直接仕事をなさっておられる発注官庁も非常にお困りになるのじゃないか、むしろそういう点を建設資材としては非常に心配しておるわけであります。  最後に、中小建設業者に対しての問題でございますが、これは私どもの全国協会としましては、常に非常に心配しておりまして、今全体といたしましては工事量は相当あるわけでございます。ただ、これが適正に中小建設業者にも量的に配分をされておるかということが一番問題でございます。これは私ども民間といたしましては、極力、上の方からの何か統制的な方法でなくて、あくまで自主的に業者同士がお互いに協力し合って解決していかなくちゃならぬ問題だと思っておりますので、私は業協会の会合等におきましては、常に規模の大きい業者の方と規模の小さい業者の方がお互いに協力し合っていけるような、工事受注の仕方を全国各地において十分に、大きい方は小さい方のことをよくお考えいただくということでやっていただくように、地方規模の小さい仕事まで大きい全国的な業者の方があまり手を伸ばさないように、やはり地方では地方業者の方のことを考えて仕事をやっていただくように、お互いに協力するように申し上げておるわけでございます。  中小建設業者のことにつきましては、その他どういう形でというお話が二つ先生からございましたが、下請の問題につきましては、総合工事業者が総合工事の下請をするということにつきましては、建設業法に一括下請の禁止の規定がございますが、これはほんとうの、いわゆる私どもの言葉でまる投げという場合の、何もかもすべてそこに請け負わせてしまうということを禁止しておるのでありまして、私どもとしましては、工事資金であるとか、それからある程度の技術者の援助であるとか、また工事機械を貸与するというような援助をしながらであれば、その工事を小さい規模業者の人が下請することまで禁じておるものではないという解釈で、そういうことも今後あり得ることだ、またそういうことも一つの方法であるというふうに考えておるわけでございます。  それから、独立の業者方々規模の小さい業者が独立でお仕事をなさいます場合の資金の問題、機械の問題につきましては、中小関係の問題を研究いたします委員会、経理関係委員会で、協同組合の方法とかあるいは資金の問題であるとか、だんだんと委員会等作りまして検討はいたしております。これはもう今後もずっと続けて、でき得る限りの対策を検討して参りたいと思っておりますが、一方において、一番最初申しました工事配分の問題につきましては、あくまで自主的に業界内部で十分一つ協力し合って解決していくということで努めなくちゃならぬと考えておる次第でございます。御参考までに……。
  57. 二階堂進

  58. 兒玉末男

    兒玉委員 時間がございませんので、一括して御質問したいと思います。  まず第一点は、大林参考人にお伺いしたいのでございます。今資材の問題等についても若干の説明をいただいたのでありますが、建設業協会から出されておる主要な建設資材価格の推移表を見ますと、大体今お話がありました骨材のセメント、砂利等は別といたしまして、他の木材とかあるいは鋼材は、ほとんど昨年の十月あたりを契機として価格が安定し、もしくは低下の傾向をたどっておるわけであります。そういう点から考えますならば、先ほど三宅先生からも質問がありましたように、特に骨材の中心をなすセメント等については、通産省等の資料によりましても、その需要供給の関係については大体応ずるだけの生産規模があるということが明らかにされております。そういう点等から、特に業界としては、この価格安定のためにどのような積極的な努力をされておるのか。第二の問題としては、これは私の聞きそこないかもしれませんが、特に失対事業に関連する中におきまして、労働意欲なりあるいは能率低下ということと関連しまして、炭鉱離職者の吸収については八五%の率を七五%に引き下げをお願いしたい、一〇%の引き下げを要望したいということをたしか申されたと思うのでありますが、この点についてはきわめて重大な政治問題でありまして、昨年の第三十九臨時国会においても、福永労相等は、特にエネルギー政策の推移に伴う炭鉱離職者の救済については、職業訓練等を通じて十分に一つ対応するようにやるということを明確にいたしておるわけであります。特にこのような単純労務者の救済ということは、建設業等のような業界以外にはなかなか炭鉱離職者等を救済する弾力性というものはないわけでありますが、いまさっきの大林参考人の発言はきわめて重要な発言だったと存じます。この点について、一般の特質なり、あるいは臨時就業関係労務者との間にどういうふうな能率なりあるいは労働意欲等の面において欠陥があるのか、この点についての見解を明確にお聞かせ願いたい。まだほかにたくさんお聞きしたいのでありますが、時間の関係もございますので、これらの点については後日機会を見て御質問したいと存じます。その二点。  それから、横浜内藤参考人に対しましては、局部的な問題としてこれは参考にしたいと存じますが、現在横浜市内におけるところの公営住宅の進捗状況はどういうふうになっておるのか、それから先ほど来問題となっているこの標準単価の中に占める土地の価格、これは大体何%を占めているか。この二点。  それから、先ほどきわめて貴重な御意見を伺いました日本不動産銀行鑑定部長である嶋田参考人に対して、一点だけお伺いしたいのでありますが、銀行の性格上一般建設業者等が相当アパートなり住宅等建設資金の借り入れをやっておると思うのでありますが、不動産銀行として今問題となっているこの公営住宅等の基準価格と、現実に貸付を行なっている不動産銀行の貸し出しになっているところの一般業者等の基準単価との開きは、どの程度開きがあるのか。これはそれぞれ建築物の種類によっても違うわけでありますが、概略の割合でもいいので、もしおわかりであれば、この一点についてお聞かせ願いたい。  以上総括数点についてお伺いしたいと思います。
  59. 大林芳郎

    大林参考人 建設資材価格の安定のために業界として、どういう手を打っておるかというお尋ねでございますが、その点は先ほどもちょっと一部触れたのでございますが、セメントの問題につきましては、先ほど触れましたので省略させていただきます。  骨材のことにつきましては、これも現状につきまして、また将来の私ども業界側から見ました心配と申しますか、そういうことを先ほどちょっと触れたのでございますが、こういう点も今後協会としまして十分研究をいたしまして、関係方面要望するなり、私ども自分自身の力で、業者自身の力ででも生産方面にも十分注意をして参らなくてはならぬと考えておるわけでございます。  大体こういう建設資材の問題につきましては、協会の内部に委員会を設けまして、そういう方面でそれぞれ対策を講じておりますので、その方面で十分関心を持って価格安定のために努力をして参りたいと考えております。  それから、炭鉱離職者の問題につきましては、これは別に他意はないのでございまして、他の特殊臨就対策事業労務者と同じように趣旨で申し上げましたので、むしろ私ども、この炭鉱問題が起こりましたときに、でき得るだけ吸収いたしましょうということで、大いに受け入れ態勢と申しますか、関係方面と連絡をいたしまして、そういうことも考えておったのでございますが、むしろ逆に、いろいろと伺ってみますと、案外御希望者が少ない。建設業の事業内容等をだんだんお聞きになりましてこれは建設業の私どもふだん非常に悩んでおるところでございますが、炭鉱関係労働者の方は大体一定地で住宅をお持ちになって仕事をしておられる。建設業はなかなかそういうなまやさしいものでございませんので、非常な山間僻地で、しかも家族と離れて仕事をしなくてはならぬことも間々ございますし、相当重労働であるという点等もあるいはお聞きになられましたのか、私どもの建設業界はむしろ逆にきらわれたとまでは申しませんけれども、やや敬遠されたのではないかというようなことで、実は私どもこういう状況でございまして、大いにそういう方から御協力いただく方が来られればけっこうだと思っておったのでありますが、ちょっと期待に反したようなことでございますので、格別他意があったわけではございません。
  60. 二階堂進

    二階堂委員長 参考人に申し上げますが、本会議のベルが鳴りましたので、お答えはなるべく簡単にお願いいたします。  内藤参考人
  61. 内藤亮一

    内藤参考人 横浜市に関する限り、公営住宅の進捗状況は用地は約三年分確保いたしましたので、若干工事がおくれて一部繰り越しもございますけれども、おおむね順調というように御承知いただきたいと思います。  また第二の、用地費が全体に占めるパーセンテージはどうかということでありますが、横浜は五大市の中ではまだ比較的郊外は地価が安いのでございまして、建設省の補助単価では大体六十万円に対して六万円、約一割であります。しかし実施いたしますのは百万円に対して二十万円、二割くらい。坪一万三千円の補助単価に対して造成いたしますと、現在は一万円。しかしそれは二、三年前に買った土地でございます。現在買えばその比率はもっと大きくなるということを申し上げておきます。
  62. 嶋田久吉

    嶋田参考人 アパート等に対する金融の問題でございますが、内藤さんの方の公営住宅の方も、やはり賃金水準との見合いの負担力の点において比較的低地価のところを選んでいかれる、または高層化されて見合いをとっていかれるのではないかと思うのでありますが、われわれの方に参りますいわゆる木造アパート的なものは、比較的立地条件のよろしいような採算主義のところに比較的参ります点と、それから住宅とはちょっと離れますけれども、その上に住宅を乗せられるいわゆる足つき住宅等もございますので、申し上げておきます。それは、事務所等におきましては、今までは相当の権利金または保証金、敷金的なものを取って、それから申し込んでこられる方も相当ございましたけれども、当今におきましては金融面が窮屈になりましたので、そういう融資は少し弱って参りましたことを申し上げておきます。  それから、一般のアパートの敷地におきましては、前申し上げたような次第でございますので、公営住宅の場合よりも割方地価の高い二、三万以上、または駅付近になりますと十万円くらいのところがございますことと、それから比較的借地上の方がそれを利用して申し込まれる方が多いことをちょっと申し上げておきます。
  63. 二階堂進

    二階堂委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本調査の上に非常に参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は来たる七日水曜日午前十時理事会、同三十分より委員会開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十八分散会