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1962-02-16 第40回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月十六日(金曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 加藤 高藏君 理事 薩摩 雄次君    理事 瀬戸山三男君 理事 田村  元君    理事 石川 次夫君 理事 中島  巖君       逢澤  寛君    綾部健太郎君       井原 岸高君    金丸  信君       木村 公平君    徳安 實藏君       松田 鐵藏君    山口 好一君       岡本 隆一君    佐野 憲治君       實川 清之君    日野 吉夫君       三宅 正一君    田中幾三郎君  出席政府委員         建設政務次官  木村 守江君         建設事務官         (都市局長)  前田 光嘉君         建設事務官         (住宅局長)  齋藤 常勝君  委員外出席者         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 二月十五日  委員田中幾三郎辞任につき、その補欠として  片山哲君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員片山哲辞任につき、その補欠として田中  幾三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十四日  公共工事前払金保証事業に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第九五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公共工事前払金保証事業に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第九五号)  住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第四〇号)  阪神高速道路公団法案内閣提出第五四号)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。  まず本案趣旨説明を聴取いたします。建設政務次官。   〔発言する者あり〕
  3. 二階堂進

    二階堂委員長 ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 速記を始めて。      ————◇—————
  5. 二階堂進

    二階堂委員長 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案及び阪神高速道路公団法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  この際、住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案に対し、政府当局より補足説明を聴取することにいたします。
  6. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案につきまして、逐条的に御説明申し上げます。  この法律案は、住宅金融公庫法におきましては、宅地造成等規制法による勧告または命令を受けて宅地防災工事を行なら資金貸付をすることを公庫業務に加え、防災建築物に対する公庫貸付金額限度を広げ、災害復興住宅及び地すべり関連住宅貸付金償還期間を、構造により延長し、並びに雇用促進事業団から公庫委託を受けた業務の一部を金融機関等委託することができることといたしたものであります。また、北海道防寒住宅建設等促進法におきましては、北海道における災害復興住宅及び地すべり関連住宅貸付金償還期間を、構造により延長したものであります。  まず、住宅金融公庫法第十七条におきましては、第七項を新たに加えまして、公庫業務として、宅地防災工事資金貸付ができることを規定いたしました。  すなわち、公庫は、住宅部分を有する家屋の用に供する土地について、宅地造成等規制法第十五条第二項、第十六条第一項もしくは第二項の規定による宅地造成工事規制区域内の危険宅地排水施設の設置または改造その他の災害防止のための工事を行ならべき勧告または命令が発せられたものにあっては、その勧告または命令のあった日から、それぞれ二年または一年以内に、当該工事を行なおうとする者に、必要な資金を貸し付けることができることとしたものであります。  また、これに伴い、第十七条及び第十八条中、関係条項整理いたしました。  同法第二十条第四項の改正は、ただいま御説明いたしました宅地防災工事に対する貸付金限度額を、政令をもって定めることといたしたものであります。  第二十条第五項の改正は、防災建築街区内において相当の住宅部分を有する防災建築物の非住宅部分に対する貸付金限度を、その住宅部分床面積政令で定める率を乗じて得た面積とひとしい床面積までの建設費について算定することといたしたものであります。  同法第二十一条第三項及び第四項の改正は、災害復興住宅及び地すべり関連住宅貸付金利率及び償還期間規定いたしておりますが、昨年六月以降、これら貸付金金額限度を引き上げるとともに、不燃化を促進する趣旨で、耐火または簡易耐火のものにつきましては、木造その他より高い限度額を定めましたことに伴いまして、それらの貸付金償還期間をそれぞれ次の通り延長したものであります。  まず、第三項におきまして、災害復興住宅貸付金償還期間を、従来は、一律十八年以内でありましたのを、耐火構造のものにありましては、三十五年以内、簡易耐火構造のものについては、二十五年以内、木造その他のものについては従来通り十八年以内といたしたものであります。  また、第四項におきまして、地すべり関連住宅のらち、耐火構造及び簡易耐火構造のものについては、右と同じく、それぞれ三十五年、二十五年以内と延長いたしたものであります。  同法第二十一条の改正は、第十七条第七項に規定する宅地防災工事にかかる貸付金利率を年六分五厘、その償還期間を十五年以内と定めたものであります。  同法第二十一条の二の改正は、条文整理でございます。  同法第二十一条の三の改正は、宅地防災工事貸付金について、当該工事にかかる土地を他人に譲渡した場合、公庫は一時償還を請求し得ることといたしたものであります。  同法第二十三条の改正は、まず第一項におきまして、公庫地方公共団体に対し、貸付金にかかる宅地防災工事審査並びに貸付金の回収に関連して公庫が取得した宅地防災工事中の土地にかかる宅地防災工事施工委託することができることといたし、次に第七項に新たに、雇用促進事業団から公庫が受託した雇用促進のための労働者住宅建設資金貸付業務の一部を、金融機関または地方公共団体委託することができることといたしたのであります。また、この場合においては、同条第二項から第六項までの規定を準用することといたしたものであります。  同法第二十四条の改正は、公庫業務方法書に記載する項目に受託業務に関する準則、宅地防災工事にかかる工作物維持補修の義務及びその大修繕を行なら場合の公庫の承認を受ける条件等を加えることとしたものであります。  同法第三十三条の改正は、主務大臣が報告を求め、または検査をすることができる受託者中に、第二十三条第七項の雇用促進事業団受託業務にかかるものを加えることとしたものであります。  同法第三十四条の改正は、宅地防災工事融資関連した条文整理であります。  同法第三十五条、第三十五条の二及び第三十六条は、条文整理であります。  同法第四十七条及び第四十八条の改正は、第二十三条第七項の業務委託に関する罰則規定整備をいたしたものであります。  次に、北海道防寒住宅建設等促進法第八条の二におきまして、北海道における災害復興住宅及び地すべり関連住宅貸付金償還期間を、従来の一律三十年以内としていたものを改め、耐火構造については、三十五年以内に延長し、簡易耐火構造については、従来通り三十年以内といたし関連条文整理したものであります。  次に付則について御説明申し上げます。  付則第一項は、この改正法施行期日昭和三十七年四月一日としたものであります。  付則第二項は、改正後の住宅金融公庫法第二十一条第三項及び第四項並びに北海道防寒住宅建設促進法第八条の二第二項の災害復興住宅及び地すべり関連住宅貸付金償還期間規定は、昭和三十六年六月一日以後に公庫申し込みを受理したものから適用し、同日前に受理したものは、なお従前の例によることといたしたものであります。  付則第三項及び第四項は、産業労働者住宅資金融通法及び地方税法中開係条文整理をいたしたものであります。  以上、この法律案について逐条的な御説明をいたしましたが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さるようお願いする次第であります。
  7. 二階堂進

    二階堂委員長 岡本隆一君より発言を求められております。これを許します。岡本隆一君。
  8. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 住宅金融公庫法改正案と直接関係はございませんですけれども、住宅問題について資料をお願いしたいと思います。  けさの新聞によると、老朽アパートが焼けまして七人の人が焼死いたしております。これと同様のことが数日前の新聞にも報道されております。最近はひんぱんに起こるところの火災とともに、その火災でもアパート火災が非常に多く、そのために焼死する人が相当多数に出るようになって参りました。きょうの新聞の報道を見ますと、このアパートは三階建でずんぶん多くの人が住んでおります。それから焼死した家族の状況を見ますと、七人が四畳半に住んでおる、こういう生活環境。それからアパートの中の通路は一メートルない。一メートルないところにげた箱だ、炭俵だ、さんざんいろいろなものが置いてあるために通路をふさがれておる。だから逃げ出すことが非常に困難であったというような状況が報道されておるのであります。従いまして、そういう住環境というものを見ますときに、名はアパートであるけれども、実質的にはこれは非住宅であったというふうに理解せざるを得ないのであります。住宅問題はなお解決にはほど遠いのでございますが、こういう犠牲者が出るということは、まことに悲惨なことと言わなければなりませんから、私はこの機会に、最近焼けたところのアパートの間取りがどういうふうなものであったかということを、一つ調査していただいて、それを委員会資料として出していただきたい。  それからもう一つは、こういうふうな住環境というものがもちろん過密住宅ということにはなっておるでございましょうが、しかしながら一応住宅不足数の中にこういうところに住んでおる人が入っておるのか入っておらないのか。さらにまた市町村で第二種住宅を建てた場合に、まずこういう非常に危険な状態の中に住んでいる人を移さなければいけないと思うのです。抽せんでもって一般から募集する、それも大事だと思いますが、同時にこのような、もう火災にあえば何どきこういうような惨禍にあうかわからないような環境に置かれた人たちを、早急に安全なところに移してやるということも考えていかなければなりませんが、一体全国の市町村でそういうようなことが考えられておるのかおらないのか。あるいはまたそういうことが行なわれるとするならば、どういう形でどの程度のことが事業として進んでおるのか、そういう点のことを調査していただきまして、それを委員会資料として出してもらいたい、こういうふうに思います。
  9. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 資料として提出いたします。      ————◇—————
  10. 二階堂進

    二階堂委員長 公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、審査に入ります。
  11. 二階堂進

    二階堂委員長 まず本案趣旨説明を聴取いたします。建設政務次官木村守江
  12. 木村守江

    木村(守)政府委員 ただいま議題となりました公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  公共工事前払金保証事業に関する法律は、昭和二十七年制定以来、公共工事の適正な施工前払金保証事業の健全な発達に寄与して参ったのでありますが、近時建設事業量増大に伴い、その適正かつ円滑な実施を確保することの緊要性がますます増大しつつありますとともに、最近における保証事業会社自己資本の充実と経営基盤の安定にかんがみ、保証事業会社前払金保証をすることのできる公共工事範囲を拡大して、新たに国、地方公共団体等の発注する測量並びに土木建築に関する工事設計及び工事に関する調査を加えるとともに、保証事業会社保証債務弁済能力を充実するために設けられていた保証基金制度廃止することにいたしました。  以上がこの法律案を提出した理由でありますが、その要旨について御説明申し上げます。  まず、公共工事範囲の拡大についてでありますが、現行の公共工事前払金保証事業に関する法律におきましては、保証事業会社前払金保証をすることのできる範囲は、国、日本国有鉄道日本専売公社日本電信電話公社または地方公共団体その他の公共団体の発注する土木建築に関する工事、資源の開発等について重要な土木建築に関する工事であって建設大臣の指定するもの及びこれらの工事の用に供することを目的とする機械類の製造となっております。  ところで近時の建設事業増大に伴いまして、建設工事施工の前段階をなします調査及び設計並びに測量等がますます重要性を帯びて参りましたので、これに対応しまして、国、地方公共団体等がこれらの業務請負に出した場合、これらの業務公共工事範囲に加えて、その前払金保証事業会社保証対象となり得る道を開き、もってこれらの業務を行なう者の金融円滑化をはかり、公共工事の適正な施工に寄与することといたしたのであります。  次に、保証基金制度廃止について申し上げます。従来、保証事業会社は、その設立の当初から、保証債務弁済能力を充実するため法律に基づいて保証基金を設けなければならず、また、この保証基金に充当するため、保証契約相手方である請負者から保証契約に基づいて保証料と同時に保証料の二分の一の額に相当する金額を徴収できる措置が講ぜられておりました。しかしながら、幸いに保証事業会社業績設立以来順調に伸び、特に最近におきましては、公共工事増大に伴い、業績も著しく向上し、経営の基礎は確立し、自己資金も充実してきましたので、保証基金を今後引き続いて設定しておく必要がなくなりました。従って、今後は保証基金制度廃止して保証契約相手方である請負者の負担の軽減をはかることといたしたのであります。なお、保証基金廃止に伴い、必要な経過措置としまして、本法施行の際現に積み立てられている保証基金につきましてはなお従前の例により、保証契約締結の際の保証約款に定められている保証基金の払い戻しの方法によって払い戻すことといたしました。  このほか、以上の措置関連いたしまして、所要の改正を行なっております。  以上が公共工事前払金保証事業に関する法律の一部を改正する法律案提出理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  13. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  14. 二階堂進

    二階堂委員長 引き続きまして、住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。石川次夫君。
  15. 石川次夫

    石川委員 先般提案になりました住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案につきまして、若干御質問したいと思うのでございますが、この法案は、すでに説明を受けましたように、宅地防災工事資金貸付を行なうということになっておりますけれども、これは限度額政令できめるということになっておるわけでありますが、この政令できめる限度額というものはどういうふうに予定されておりますか、一応御説明願います。
  16. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 宅地防災工事に対する貸付をいたします場合の限度につきましては、政令で現在予定しておりますのは、限度額をおおむね四十万程度にいたしたいというように考えております。
  17. 石川次夫

    石川委員 予算額としては総額幾らになりますか。
  18. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 工事額全体の七五%程度融資することを考えております。
  19. 石川次夫

    石川委員 それではなくて、防災宅地工事にどの程度予算化しているかを伺っているのです。
  20. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 この貸付金に対しまする予算といたしましては、三十七年度におきまして総額一億円を予定しておりまして、これを公庫予算に計上する次第であります。
  21. 石川次夫

    石川委員 一億円程度では大したことにはならぬと思うのですが、それでは次に雇用促進事業団から委託を受けて、それをさらに金融機関あるいは地方公共団体の方に委託をする、その委託を予定される業務というのはどういうことになっておるか。それから、さらに金融機関あるいは地方公共団体委託をするということになっておるようでありますが、私の方も炭鉱関係で相当こういう仕事が出てくるということが予想されるものですから、この内容について一ついま少し詳しく御説明を願いたいと思うのであります。
  22. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 地方公共団体あるいは金融機関委託をいたしまする場合の中身といたしましては、われわれの考えておりますのは、工事審査等につきまして、公共団体委託をする、そういうようなことでございます。
  23. 石川次夫

    石川委員 工事審査といいますとどういうことですか。
  24. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 工事がどのように行なわれるか、どの程度必要性があるかというような点につきましては、公共団体委託して審査してもらうことが、公庫貸付業務上最も確実な心証を得られますので、そういう点を委託するわけでございます。
  25. 石川次夫

    石川委員 それから、ついでにちょっとはっきりさしておきたいと思いますが、中高層耐火建築物というのは、現在予算に対してどのくらいの申し込みがあって、どのくらい消化されておるかということを伺いたいと思います。きょうわからなければ、資料として提出していただいてもけっこうでございます。
  26. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 中高層融資に対しまする申し込みの実績というようなものを考えてみますると、これは三十六年度におきましては、計画の戸数が九千戸でございましたが、これに対しまして、三十六年度は、申し込みは約二万七千戸の申し込みがございます。
  27. 石川次夫

    石川委員 そうすると足りないということになっておりますが、私勉強不足で恐縮でございますけれども、ことしの予算は一体何戸になっておるか、それと金額はどういうふうになっておりますか、ちょっと教えてもらいたいと思います。
  28. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 三十六年度の予算は、中高層におきまして戸数において九千戸、坪数におきまして九万坪ということになっておりまして、金額としましては九十五億を予定してございます。三十七年度におきましては、戸数において一万戸、坪数におきまして十万八千二百坪、金額におきまして百十六億六千九百万円ということになっております。
  29. 中島巖

    中島(巖)委員 今のに関連してお尋ねしますが、前は市街地においての中高層は、住宅部分店舗部分とで一対一比率ではなかったかと思うのですが、これは住宅金融公庫だけでなしに、都市局関係にも大きな影響があるわけです。つまり、市街地改造法なんか出して、市街地整備というようなことに大きな重点を置いておるのですが、この都市局関係住宅局関係、そういうような関連について打ち合わせなどしておられるかどうか。打ち合わせなどしておられるとしたら、どういうような方向打ち合わせをされたかというようなこと、それから、たしか今度の改正案に出たと思ったのですが、店舗部分住宅部分との比率をどういうふうにされたか、その点について具体的にわかりやすく一つ説明願いたいと思います。
  30. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 御質問の第一点の、都市局と十分に調整をしているかどうかという点につきましては、中高層貸付制度を運用していく上におきまして、都市局とも十分に連絡をしながら進めておるのでございます。  第二点の、中高層内容がどうなっておるかという御質問でございますが、従来は、ただいまお話のように、法律店舗部分住宅部分とは一対一ということになっております。今回改正いたして参りたいという点は、防災街区内建築物につきましては、御承知のように、店舗部分が実際建築する場合に大体住宅部分倍程度なければ、なかなか防災街事業が進捗しないという点がございます。そういう点を考えまして、今度は政令で定める率まで店舗部分を上げてもよろしいということでございまして、具体的に申し上げますと、現在考えております点は、住宅部分二でありますならば、店舗部分が三程度までは融資対象にいたそう。と申しますことは、住宅部分の一・五倍程度まで店舗部分として融資対象にしてていくことによりまして、防災建築の十全が期せられる、それから、建築しようとする方々の希望に沿うことができる、あわせて市街地防災化が達せられる、こういうような観点から、その非住宅部分比率を上げようということがこの改正趣旨でございます。
  31. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで、さらに突っ込んでその点をお尋ねしたいと思うのですが、結局、ただいま局長説明がありました防災街区は、おそらく各都市においても一番の中心地になっておる場所だと思うんです。そこで、そういうような繁華街においては、東京だとか大阪だとかいう中心地は知らぬけれども、地方都市では、住宅部分はある一定の家賃しか上がらぬわけです。しかし、そこを店舗にすれば、非常な高率な家賃が上がるわけなんです。従って、名前が住宅金融公庫であるから、住宅という観念に縛られると、どうしてもある程度住宅をこしらえなければならぬわけであるけれども、防災という見地から、そういうような雑然たる繁華街を、高層建築物耐火建造物改造するということは、非常な意義のある話で、そのかね合いが非常にむずかしいと思うのであるけれども、やはり政府資金をある程度貸して、そしてごみごみした昔ながらの繁華街防火建築帯にするということは、非常に必要だと思うわけです。従って、住宅金融公庫の中にそういうような制度を設けて、住宅がなくてもある程度融資をして、繁華街都市改造をする、そういうような方向にもはや踏み切るべきところの段階ではないか、こういうふうに考えるのですが、この点については住宅局長都市局長の御意見をお伺いしたいと思うのです。また、そういうようなことを考えたことがあるか、あるいは大蔵省とそういう折衝をしたことがあるか、それらの点についてもお伺いしたいと思うわけです。
  32. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 ただいまのお話の点はまことにごもっともでございまして、私ども考えておりましたのは、特別の地区につきましては、住宅部分のない建物でありましても、市街地高層化あるいは防災化というような観点からいたしまして、これに対する融資の道を開くべきではなかろうかということを、かねがね考えておりまして、現実に三十七年度の予算要求におきましても、これを要求したわけでございます。そういうことで、そろそろ踏み切るべき段階であろうということで折衝いたしましたけれども、なかなか意見がそこまで折り合いませんで、とりあえずのところは、まずそこまでいかぬでも、まだまだ住宅部分がある程度あってもいいではないかというような意見もいろいろございまして、まだそこまで機が熟さなかったわけでございますけれども、そういう点を考えまして、せめて防災街区内防災建築物につきましては、住宅部分を少なくして、都市防災化高層化ということに道を開いていこうということで、このような措置をとったわけでございます。御趣旨のような将来の方向というものについては、私どもも従来そう考えておるのでございます。その場合におきまして、住宅金融公庫がそういう仕事をやっていいかどうかという問題につきましては、これは政府部内にもまだいろいろ意見がございまして、統一された意見にはなっておりません。そういうような次第でございます。
  33. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 都市改造関連いたしまして、現在の木造建物改造し、同時にその付近の街路を広げていく、あるいは公園を作るということは、好ましい望むべき方向でございまして、先般の国会で成立いたしました市街地改造法も、その方向に基づくところのものでございます。現在その市街地改造法によります場合には、街路に相当する部分についての資金は街路関係の道路費から出す。その資金によりましてその地区一帯を改造いたしまして、街路を広げ、同時に、建物を作るわけでございますけれども、建物を作る資金につきましては、目下のところは特別の措置はございませんが、ただいま住宅局長から話がございましたように、都市の一定の地区を改造し、都市防災化あるいは高層化をはかるためには、国家資金をある程度投ずることが必要だと考えております。われわれは資金の融通という方向でこれを助成する、あるいは一部公共的事業については、補助という形でいくべきだという点につきまして、関係当局とも折衝を重ねてきておりましたが、まだ具体的には結論を得ておりません。しかしながら、単に民間資金だけにたよりますことは、膨大な資金を要する建築物につきましては不十分と考えますので、今後あるいは公的機関による資金の融通、場合によっては助成という措置を考えたいと考えております。
  34. 中島巖

    中島(巖)委員 これはだんだん都市局の方へ質問が発展していくわけなんですが、昨年市街地改造法を出しまして、東京は三軒茶屋、大阪は大阪駅前なんかの改造に乗り出したわけなんです。この資金も微々たるもので、これぐらいな改造をしても、私数字忘れましたけれども、三軒茶屋なんか、たしか三、四千人程度のものだと思ったのですが、毎年三十万から膨張する東京都で、三千や四千の一区画を改造したくらいでは、とうてい追いつくものじゃないという議論を僕はこの前したことがあったのですが、そのわずかの三軒茶屋ですら、なかなか難航して都市改造ができない、こういうような状況にあるわけなんです。従って、東京都の改造というものに対して、こんな微温的な計画でもって改造ができるつもりで建設省はおるんだろうかどうかという点ですね、これを都市局の方になるか、計画局の方になるか、あるいはそれよりさらに政務次官にお尋ねして、そしてその他の各局の方々にお伺いした方がいいかと思うのですが、こんなわずか三千人程度のものの改造予算をもって、年間三十万もふえていく東京都の改造が、市街地改造法なんかによって行なえるかどうかということです。建設省もある程度この逼迫した情勢に対処して、大所高所の見地に立った立案をすべき段階にきておるのじゃないかと思うのですが、建設省としてどんなようなお考えを持っておられますか。それから、都市局長としては、三軒茶屋、大阪駅前の現在の状況は予定通り仕事が進んでおるのかどうか、この点をお伺いしたいと思うわけです。
  35. 木村守江

    木村(守)政府委員 ただいまの中島委員からの御質問でありまするが、先ほどの御質問関連いたしまして、まことにごもっともな御質問だと考えております。本年度の予算要求におきましては、住宅金融公庫の、住宅店舗費との割合を考えて、いま少し拡張いたしたいというような考え方、これも都市改造の一環といたしまして考えて参ったのでありまするが、何と申しましても、現在の住宅の状態というものは、先ほど岡本委員が指摘されましたように、全くまだまだ道遠しの感がありますので、住宅金融公庫本来の使命である公的資金は、住宅に最重点的に投資すべきだというような考え方から、満足ではありませんが、住宅に対する一・五倍というような線で今回はとどめるに至った次第であります。  なお都市改造の問題につきましても、御指摘の大阪並びに三軒茶屋等の問題につきまして、八億四千万円程度予算を計上してありますが、これをもって所期の目的通りにやれるというようなところまで参っておりませんので、今後努力いたしまして、御趣旨に沿うような線にいたして参りたいというような考え方を持っている次第であります。
  36. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 先ほど中島先生から、都市改造市街地改造予算都市計画事業全体のことに関連しての立場から御質問がありました。御承知のようにこの市街地改造によります予算と申しますのは、特に都市内におきますところの重要な街路事業を実施する場合に、特別に特定の地区につきまして、街路事業と同時にその地区一帯を改造いたしましてりっぱな町にしようという分でございまして、これは改造事業一部の予算となっております。  そこで、三十六年度におきましては、ただいま政務次官から御説明いたしましたように、一応東京及び大阪等につきまして八億四千六百万円ほどの予算を予定いたしました。ところが、東京につきましては、ただいま御指摘の三軒茶屋その他の地区、これは赤坂見附から渋谷を通りまして、三軒茶屋を通り、駒沢の方へ行く道でございますが、いわゆる放射四号線、これを拡幅するために起こりました費用でございます。この三軒茶屋の地区は、御承知のように店舗が密集しておりまして、これを広げるためには、市街地改造法の施行によりまして、一定の地区の人々が建物を建てて、その中に適当に入り込むという形が一番よかろうと思いまして、市街地改造法の適用を考慮したわけでありますけれども、最近になりまして、地元の方々の意見が相当分かれてきまして、むしろ市街地改造法という法律によるところの手段よりも、お互いの話し合いによってやろうじゃないかという話がまとまってきまして、一定の地区の方々が相談をいたしまして、実際上道を広げる、そうして道を広げたあとの地区にビルを建てて、そのビルに話し合いで入ろうというふうになってきまして、実際上市街地改造法という法律の手段を用いずに、この街路事業——街路が予定通りに拡幅できるという見通しが立ちましたので、目下三軒茶屋につきましては、市街地改造法という法律を適用しないで——この考えました予算では、あの地区は大体五億ほど予算を考えておりましたが、これは街路の買収費に回す、そうして買収によって得た補償金でお互いに相談し合って建物を建てるというふうに進んでおります。  それから大阪につきましては、これは大阪駅前のいわゆる曾根崎地区と申しますか、あの地区の市街地改造事業は順調に進んでおりまして、本年度は予算で約二億三千六百万円予定いたしておりますが、これはことし用地の買収に全部充当したいと思っております。  その他放射四号線につきましては、その三軒茶屋の地区の以外の渋谷の上通地区あるいは青山の地区で若干市街地改造の実施を計画いたしましたが、これも大体三軒茶屋と同じように、法律の適用よりもむしろ話し合いでいこうという話になっておりまして、これも実は市街地改造法という法律が出たので、その精神によっていこう。多少違いますのは、土地の所有権に対する考え方、どうしても自分で所有権を持ちたいとか、あるいは建物に対する所有権の考え方につきまして、やはり法律によるものよりも話し合いでいった方が、円満に話が進んでいくような傾向にありますので、目下のところ東京都におきましては、そういう線で話し合いを進めております。しかしながら、この道路はいずれもオリンピックまでに完成すべき道路でございますので、そういうような話し合いが順調にいかないという場合は、市街地改造法によってぜひとも実施をしたいと思って、目下努力をしておる段階でございます。
  37. 中島巖

    中島(巖)委員 きょうは計画局の方は見えておらぬようですが、いろいろと部分的な手は打っておるのですか。年三二十万ずつも膨張するところの東京都をどうするか、この問題なんですが、これは建設省が担任してやるのか、東京都が担任してやるのか、首都圏整備委員会が担任してやるのか、こういうような問題もありますけれども、いずれにいたしましても、予算を握っておるところの建設省が、一つの案をこしらえなければいかぬと思うのです。そこで、私が今ここで質問をしても、皆様にはおわかりにならないと思うので、要求をいたします。それは東京都をどうやったらいいかにつきまして、内部改造で済むのか、あるいは首都圏整備委員会で、昨年学校、教育機関だけは多摩なんかのグリーン・ベルト地帯に七十万からのものを移すとか、あるいは最近においては、川島さんが、小さな出先機関を郊外に移すとかというようなことを言われて、すでに四十幾つかの官庁が移転の申し込みをしておるとかというようなこともいわれておるのです。また、大学なんかでも、日本大学なんかは他県の方へ移るとか、あるいは第一生命がどこへ移るとかいって、こういうような状態になっておるのですが、ここでもそろそろ、この段階にきて、しかも人口一千万を突破したというような段階になれば、政府として何とか東京都に対する十年、二十年先の見通しをつけた方針というものを立つべきである。あまりにも怠慢じゃないか。たとえば三軒茶屋の一部を改造したくらいで、とうてい追いつくものではなのです。従って、すぐといっても無理でしょうが、今月一ばいくらいに建設省としては東京都の対策に対してこういう案をもって臨むのだというくらいな、大ざっぱのアウト・ラインくらいなものは資料をもってお示しを願いたい、こういうことを要求いたしまして、私の質問を終わります。
  38. 三宅正一

    ○三宅委員 今中島君からお願いがあったのですが、私もそれに関連して一つ。  今まで東京都の過大都市化についていろいろな意見が各方面から出ておりますが、おそらく参考として建設省としてはあらゆるものを収集されていると思います。あらゆるオーソリティから出ております意見につきまして一つ一式まとめて、こういう改造意見があるということをまとめて資料として、中島君の御要求の資料を出されますときに、これも一つ提出していただきたいと思います。
  39. 木村守江

    木村(守)政府委員 ただいまの中島委員並びに三宅委員の御質問は、ごもっともでございまして、政府といたしましてもただ終始傍観しておるような状態ではありませんので、御承知のように首都圏整備委員会の方針に従いまして、衛星都市の建設とか、あるいは工場の地方分散とか、また工場の都内侵入を防止するとか、あるいは新産業都市の建設によりまして過大都市の建設を防止するような、いろいろな方法はとっておりますが、現在のところ御趣旨のように目的のような状態には立ち至っていないというのが実際の状態であります。かようなところから政府におきましてもいろいろ検討いたしておりますことは御承知の通りでありますので、御趣旨に従いまして、なるべく早い機会に、政府で持っておるような案、参考資料を皆様方に提出いたしまして、いろいろ御検討をお願いいたしたいと考えております。
  40. 石川次夫

    石川委員 今のことは、すでに三宅さん、中島理事から話がありましたから繰り返しません。  実は私も今度海外へちょっと行って参りまして、東京みたいにひどい交通ラッシュというものはないと思うわけであります。これは政府としてもおそまきながら真剣に対処しようという体制は作りかけてはおるようでありますが、よっぽど抜本的な対策を考えないとどうにもならぬ。交通ラッシュということもありますが、一つは音の暴力、一つはあまり人に言われませんが、色の洪水というものがあるわけです。ネオンなんか非常にはなばなしくアメリカ並みにできておるようでありますが、この点は世界一とかいって誇っていいのかどうかという点について、私は非常に疑問に感じております。フランスのシャンゼリゼーの通りではありませんけれども、とにかくあのようにやたらに過当競争の現われのネオン・サインなんかの目の暴力というもの、あるいは音の暴力、あるいは交通ラッシュ、こういうものがかみ合って参りますと、東京都の連中というものは多少の刺激ではどうにもならぬという状態になって参ります。従って、そういう非常にヒステリカルな環境の中から日本の流行のトップというものが生まれてくるということになりますと、日本に対する影響、大げさにいえば、今後の民族の将来に対する影響というものは非常に大きいものがあるのではないかというようなことからあわせ考えて、ちょっとやそっとの対策では東京都はどうにもならぬ。これはやはり抜本的な、東京都の持つ機能を一つ一つ分析してそっくり移してしまう。一つの機能を二つに分断しますと、両方の交流があってかえって交通が輻湊するということがありますから、今部分的に考えているような研究機関の移設なんというような程度では、私はどうにもならないと思う。この前も、都市改造の問題に関連をいたしまして、そのことについての資料を要求してあるわけでございますので、ぜひ中島委員あるいは三宅委員から言われたような対策につきまして、交通対策というものは、一特別委員会で処理するということでなく、政府全体ということで、特に建設委員会としては重大なる関心を持ってこれに対処したい、こうわれわれとしても今真剣に考えておりますので、ぜひ資料の提出方につきましては特に御配慮を願いたいと思います。  それから、先ほどの続きでございますが、住宅金融公庫関係で、この前の災害で六甲山麓で非常な住宅のがけくずれによる悲惨な状態というものを、まのあたりに私ども見て参りました。宅地規制法をやらなければならぬということで宅地造成等規制法という法律ができましたが、私の見たあの六甲山だけの例によりますと、これは花崗岩層でありまして、非常に風化してしまっておりまして、あれは全体が非常に危険ではないかというようなことの意見を取り入れられて、あそこは大体八割程度はほとんど規制法の対象にするということになったと思うのです。そこで宅地造成等規制法によって指定をされた地域というのは、全国で大体代表的なものの名前及び個所というのはどの程度になっておるかという点を、一つお教え願いたいと思う。
  41. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 宅地造成等規制法は、この前の国会で御可決をいただきまして、その後政令を準備いたしまして、二月の初めに政令が施行された。同時に法律が施行されたわけでございます。それで、その後私どもといたしましては、公共団体等の担当の主管課長等を招集いたしまして、この内容を周知徹底させるとともに、どのような地域をどのような形で指定していくかということについても、今十分に指導しておるところでございまして、かつ公共団体におきましても十分にこの趣旨にのっとって、どの程度の地域をどのように指定するかということを目下調査中なのでございまして、現在のところでどのくらいの地域でどのくらいの面積になるか、あるいはその内容がどうであろうかということは、まだ具体的に十分わかっておらない段階でございます。もう二、三カ月いたしますると、その点が十分に明確になってくるものと思いますが、現段階におきましては具体的な資料を持ち合わしておりません。
  42. 石川次夫

    石川委員 先ほど伺いましたところが、昭和三十七年度の予算で一億数千万ということになっております。六甲山だけ取り上げてみても、これは一億円なんかじゃとてもできる仕事じゃない、こういうふうに考えます。しかし、六甲山は単なる災害のあった一つの事例としては目立ちますが、日本的には大へんな数になるので、そうなりますと、この程度予算で一体まかなえるというふうにお考えになっているか、その点を伺いたいと思います。
  43. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 今回一億の予算を計上いたしまして、これで勧告または命令の出た場合の救済措置ができるというようにわれわれが推定いたしましたのは、一億という予算総額でございますけれども、平均いたしますると、大体一件二十万円程度融資額になるであろう、こういうことでございます。これはある程度の擁壁等を前提にいたしまして積み上げておった数字でございます。そういたしますと、一億でございますから、全国で五百件の件数を予定しておるわけでございます。地域の指定は相当広範囲に行なわれるということは予想されますけれども、その中で既存の宅地について改善命令なりまたは勧告などが行なわれるであろうというものは、ある程度しぼられて参りますし、その中で特に融資を必要とするというものにつきましては、五百件程度あれば十分であるというように考えた次第でございます。
  44. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 関連して一点お伺いしたいと思います。  こういう融資の道が開けて参りますと、宅地造成業者があらかじめこれを当てにして不十分な工事をしておる。それで長期の低利の融資を受けて完全なものにする、こういう抜け道が出てきはしないかということが感じられるのでございますが、これに対する予防の方策というようなものはお考えになっておられますか。
  45. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 お話の点まことにごもっともでございます。私ども一番おそれましたのは、その点でございます。そういうことで、この法律には命令を受けた者あるいは勧告を受けた者に対して融資をするということでございますから、法律上は業者をはずしておるということでございません。しかしながら、実際の運用上どうなるかと申しますと、これは金融公庫の建前からいたしまして、資金に困難を感ずる者、言いかえてみますと、勧告を受けましても、あるいは改善命令を受けましても、自分の資金ではその命令通りに実施することが困難であるというような者に対しまして、この融資の道を開くことによって防災の効果を上げていこうという趣旨でございますので、現実の問題といたしましては、主たるものは個人になっている。従いまして、業者につきましては、当然資金調達が可能であるということが大部分でありましょうし、あるいはまた業としてやっている以上は、今岡本先生のおっしゃいましたように、当然りっぱな宅地を造成して、これを売り渡していく、しかもこの宅地造成法でいきますと、検査済み証がありますと、これを相手方に売るということは困難であるというような制度になっておりますので、そういう点からいろいろ考えて参りますと、業者に対しましては、そういうような融資をするというようなことは、原則としてやらないというように考えておる次第でございまして、全く実質上個人の場合と同様な条件になったという場合につきましては、これは考慮しなければならぬと思いますけれども、原則としてはそのように考えて、一番心配の点を防止していこうというふうに考えておる次第でございます。
  46. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この前にも私が委員会で一人反対したのですが、そこが肝心なんです。それで、今のような場合でも貸付対象は個人である。業者には貸さない、こういうことでございますが、しかしながら業者がでたらめに宅地造成をやる。もとより罰金も何も覚悟です。また他人の名義を借りて幾らでも商売できるのですから。そうすると次から次へそういう形でもって不十分な宅地造成をやっていく。そして早く売り払っちゃう。あとは個人が買い受けておるのですから、買った後は速成で不完全な宅地造成をやって個人に次々と売りつけていって、結局業者の跡始末をこの法律改正でやっていく。こういう現象になりはしないかということも考えられますが、そういう点はどうなのでしょう。
  47. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 その点につきましては、前回の国会でも御審議いただきました宅地造成等規制法審議の際にも御説明を申し上げましたように、新たに宅地造成をいたします場合には許可が要るということは、御承知の通りであります。許可制になりまして、その後造成工事が行なわれまして、最後に完了の検査がくる。その検査によりまして検査済み証というものを交付するということになっております。従いまして、その造成された宅地を買われる方の方から申しますと、検査済み証のないものにつきましては、買えば損をするということになるわけでございますから、この点を刑罰を課することによりまして、買い手の方において検査済み証を十分見なければ買わない、しかもそれが発行される場合は、十分な完了検査が行なわれておるというようなことで予防手段を講じていきたい、こういう建前であります。
  48. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 手続上はその通りでけっこうだと思います。しかしながら、現実に東京都内でも建蔽率を超過して建てて売ったりしておる。あるいは無許可の建築をやって建て売りをどんどんやって、あとでもって買い受けた者が非常に迷惑を受けておるということは、すでに新聞なんかで報じられており、あなたも御承知の通りだと思う。だからそれと同じようなことで、より以上簡単な宅地の売買の場合は、そういうことが行なわれますし、また今のお説の通りではございますが、しかしながら、一般買い受けをする者は、宅地を買うというようなことは一生に一ぺんのことが多いわけでございまして、そこまでのことを大衆は知らないと私は思います。だから、もしそういうことでありますならば、私は登記の場合にそういう検査済み証がなければ名義の変更はやらないとか、あるいは手続上どうしても検査を受けた後でなければ、建て売りの場合でも私はそういうことも考えていただきたいと思うのですが、金銭の授受をやる場合には、これは必ず登記と一緒ですから、登記をやる場合に、住宅については建築の許可がはっきりしたものがないと登記ができない、それからまた新たに造成した宅地については、やはりそういう規制法上の検査が済んでいなければ登記はやれないというふうな、何か手続上そういう点不正が防止できるような方針なりを一つ考えていただきたいと思うのでございますが、どうでしょうか。
  49. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 登記の要件といたしまして、このような検査済み証の写しがあるかどうかというような、あるいは検査済み証を提出させるとか、そういうようなことにつきましては、これは相当検討を要しませんと何とも申し上げかねると思います。登記制度は別個のものでございます。直ちに関連させるということは、なかなか困難ではないかと私は思いますけれども、これは検討を要することだと思います。ただ問題は、宅地造成等規制の区域ということは相当限定されておりますし、また当該市町村におきましては、明確にこれを告示することにもなっております。公共団体の側におきまして、住民一般にどこが指定区域になっているのかということを十分周知徹底いたさせますとともに、今申し上げました検査済み証というものが発行されるのだということも、十分公共団体を通じまして啓蒙いたしまして、そうして買い手方が不測の損害を生ずることのないように今後行政指導を十分にやっていきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  50. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それはだめです。口ではおっしゃる通りです。それでいいんです。しかしながら現実問題としては、それは私は空文にひとしいと思います。だからほんとうに実行し得るためには、やはり名義変更をやるときに、そういう土地については検査の何がなければできない、そういう制度を設けなければ私は実害が防げないと思う。それは一つ真剣になって研究していただきたいと思う。今すぐにそれを立案してくれ、これは今すぐに私はお答えを得ようとは思いません。しかしながら、一つ今国会中に研究していただきまして、こういうふうな道がある、建て得るというような点について、研究の結果を委員会に御報告をお願いしたい。
  51. 二階堂進

    二階堂委員長 次会は来たる二十一日水曜日午前十時より理事会、同三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十分散会