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1962-02-14 第40回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月十四日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 加藤 高藏君 理事 薩摩 雄次君    理事 瀬戸山三男君 理事 田村  元君    理事 松澤 雄藏君 理事 石川 次夫君    理事 中島  巖君       逢澤  寛君    綾部健太郎君       大倉 三郎君    徳安 實藏君       丹羽喬四郎君    廣瀬 正雄君       前田 義雄君    松田 鐵藏君       岡本 隆一君    兒玉 末男君       佐野 憲治君    坂本 泰良君       三宅 正一君    田中幾三郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         建設事務官         (都市局長)  前田 光嘉君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建 設 技 官         (道路局長)  河北 正治君         建設事務官         (住宅局長)  齋藤 常勝君         建 設 技 官         (営繕局長)  川合 貞夫君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局次長) 伊藤 三郎君         建設事務官         (計画局参事         官)      志村 清一君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 二月十二日  委員西村榮一君辞任につき、その補欠として田  中幾三郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月十三日  阿佐ケ谷駅南口改正道路の延長及び特別都市計  画街路放射補助線編入請願花村四郎君紹  介)(第九三五号)  一級国道二〇号線の整備促進に関する請願(羽  田武嗣郎紹介)(第九八三号)  同(唐澤俊樹紹介)(第一〇四八号)  同(中島巖紹介)(一一二一号)  貸家組合法改正に関する請願徳安實藏君紹  介)(第一〇七八号)  地代家賃統制令撤廃に関する請願徳安實藏君  紹介)(第一〇七九号)  福井海岸道路の二級国道編入に関する請願(  植木庚子郎君紹介)(第一二五六号)  二級国道福井、岐阜間の一級国道編入に関する  請願植木庚子郎君紹介)(第一二五七号)  放射一四号線全通促進に関する請願天野公義  君紹介)(第一二五八号)  同(佐々木秀世紹介)(第一二五九号)  同(島上善五郎紹介)(第一二六〇号)  同(島村一郎紹介)(第一二六一号)  同(林博紹介)(第一二六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  まず、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  阪神高速道路公団法案審査のため、来る二十八日火曜日、午前十時三十分より参考人の出席左願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、人選、出頭手続等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  5. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、建設行政基本施策に関する件について、調査を進めます。  前会に引続き質疑を続行いたします。岡本隆一君。
  6. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 先般建設省の方から今度の国会に対する提出予定法案をいただきましたが、その中にビル用水くみ上げ規制法案が予定されております。しかしビル用水だけを規制しても地盤沈下は防げないと思うのですが、そのほかにどういう対策をお考えになっていらっしゃるか、その辺をまず建設大臣から伺いたい。
  7. 中村梅吉

    中村国務大臣 お説の通りビル用水規制だけでは地盤沈下防止に全きを期することができないのでございまして、特に工業用水等も重要な関係があるわけでございます。しかし私ども所管である建設省といたしましては、特にビル冷房用水について規制をしていく以外にはございませんので、もちろん国会におきましてビル用水規制について立法措置をぜひ講じたい、かように考えまして、一応の草案を考えまして、目下関係各省庁に協議中でございます。工業用水につきましても工業用水法がございますが、これらもまた地盤沈下防止するのに十分である措置には達しておらないのでありますが、通産省所管としてこの方は進められており、また経済企画庁調整役立場に立ちまして、いろいろなそういう関係方面を調整いたしておるわけでございます。ただ工業用水につきましては、われわれ所管外ではございますが、考えまするに、工業用水整備ということと関連をいたしませんと、既存使用状態を一挙にとめるということはむずかしいのではないか、こう思っておるわけでございます。従いまして、そういう点から総合して考えますと、地盤沈下を絶対に防ぐという上からいえばゆるい点がございますが、いろいろ諸般事情でやれる限りのことを進めて参りたい、こう考えておる次第であります。
  8. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ビル用水規制される場合は、どの程度揚水設備規制されますか。
  9. 中村梅吉

    中村国務大臣 地盤沈下を防ぐという目的だけに集約して考えますと、絶対に禁止をする方が効果的であることは間違いございませんが、そういう行き方もいろいろ憲法上あるいは法律制度問題点がございますので、絶対に地下水は使わせないということも非常に困難でございますから、くみ上げまするパイプ制限相当に強度にいたしまして、どれだけのパイプ以上のものはいけない、こういう方法にいたしたいと考えておるのが現在の骨子でございます。詳細につきましては、目下立案に当たっております住宅局長からお答え申し上げたいと思います。
  10. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 ただいまビル用水規制の中身につきまして御質問があったのでありますが、ただいま私ども考えております大体の方向といたしましては、ビル用水規制する地域指定いたしまして、その中で今後新たに揚水をするというものについて許可制をとるということと同時に、既存のものにつきましては一定猶予期間をもって転換をするようにしていきたい、こういう構想でございます。
  11. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 既存のものについては転換する、新たには一定規模以上のものは許可制にする、こういうことになると、片一方を転換させながら片方許可していたのでは、何しているかわからないということになってくると思うのです。だから、今後作るものについてはもう許可しない、そうして既存のものについては転換させる、こういう考え方でなければならないと思いますが、その辺聞き違いか何かあるのじゃないですか。
  12. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 ただいま申し上げましたのは言葉が少なかったためにそういうふうにお考えになったと思いますけれども、私ども考えております最初の新設許可と申しますのは、非常にきつい制限でございまして、非常に小さなポンプで、あるいは小さな吐出口でとっていくというような場合で、地盤沈下にほとんど影響がない、あるいはまた生業上どうしてもこの程度は使わなければならぬ、たとえば八百屋さんが洗い物をするときに使うといったような水でございます。そういうようなものを除きましては、原則として許可をしないという建前でございまして、今御質問の御趣旨に沿っておるつもりでございます。
  13. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうすると、ある程度の深さと、それからパイプの太さというものが問題になってくると思うのでございますが、どの程度の深さ、あるいはまたどの程度パイプというものを考えておられますか。
  14. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 この点につきましては目下検討中でございますけれども、現在われわれが考えておりますのは、パイプの太さにつきましてはせいぜい一インチ管程度、それから深さにつきましては、その地盤々々によりまして違いますけれども、ストレーナーの位置が地盤沈下影響がないようなところからとるようなものであるならばいいだろう、相当深いものであるというように考えております。
  15. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そこで、ビル用水規制の問題を今取り上げておられるのは、地盤沈下防止という考え方の上に立って取り上げられてきておる。そうなって参りますと、この地盤沈下対策として考えていく場合に、工業用水を抜きにして考えたのでは地盤沈下対策にならないと思うのです。それで今建設大臣からのお話によりますと、工業用水については通産省所管だからというふうな御意向のようでございますけれども工業用水がどこの所管であろうと、たとえば温泉になりますとこれは厚生省になると思うのです。またもう一つ別には地下ガスの問題がある。それで各省に従来は所管がまたがっておりましたけれども、しかしながら、これは一つ考え国土保全という立場から地盤沈下対策考えていく、こういう方針をやはり立てていただかなければならない。だから国土保全観点から地盤沈下対策と取り組む、こういうかまえをとっていただきますならば、これはガスであろうと工業用水であろうと、ビル用水であろうと、とにかくおよそ地盤をささえているものという考え方に立って、そういうものの採取は厳重な規則をやって、それでもって国土保全をはかる、こういう態度に出ていただかなければならないのに、ビル用水だけをもって当面の問題を糊塗していこう、こういうふうにうかがえるのは非常に残念に思うのでございますが、その点について建設大臣としては、なぜ国土保全という大きな見地に立ったところの法律を止していただけなかったか、地盤沈下防止に関する法律というふうな形でもって、どうしてこの問題と取り組んでいただけなかったのか、その辺の理由一つ御説明願いたいと思います。
  16. 中村梅吉

    中村国務大臣 われわれとしましては、国土保全及び防災ということに万全を期していかなければならぬことは、お説の通りでございます。現在はまだ、俗に申します国土省というような性格になって国土保全はすべて建設省ということにはなっておりませんが、しかし、われわれの自覚としましては、国土保全に関することはわれわれの最も重要なる任務である、かような角度に立ちまして考えておることは間違いないのであります。ただ、工業用水につきましては、すでに工業用水法という法律が制定されておりまして、ビル用水よりは一歩先にこの法律ができまして、現在新規の工業用水使用規制いたしておるわけでございます。ただ、すでに工場が立地されており、そしてその工業の性質上、工場用水を必要として使っておるものに対しましては、代替物を与えないで即刻禁止するというわけには参りかねますので、この現在の工業用水法としては、転換をはかる一までの期間、いわゆる猶予を与えておるといいますか、見送っておるという状態でございます。かような意味からいいましても、さいぜん制定を見ました水資源開発のごときものは非常に重要な事柄でございまして、これができまして代替用水というものが整って参りますれば、さらにこの工業用水法というものもできるだけすみやかに改正をせらるべき運命のものである、また、そういたすようにわれわれたとい所管外ではございましても、国土保全及び防災見地からこれを推進いたしまして、政府部内でその達成を期するようにいたさなければならない、こう考えておるわけでございますが、現段階におきましては、今申し上げたような事情で即刻禁止するということに参りかねておるというのが現状でございます。これらの問題について、場合によって国土保全あるいは防災を重要な重点として考慮をいたしております建設省通産省の間に意見の相違あるいは未調整等がございますれば、これは経済企画庁国土総合開発等任務をにない、また調整官庁としての任務をになっておりますので、経済企画庁に中に入ってもらいまして、十分われわれの趣旨の立ちまするように推進をして参りたい、こう思っておるわけでございます。
  17. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 工業用水法があって、既存のすでに使っておる水については既得権があるからやむを得ないのだ、こういうふうなお話でございますけれども工業用水法が制定されたのが昭和三十一年です。昭和三十一年当時にありましては、なるほど新潟におけるところの地盤沈下の問題が非常に大きくクローズ・アップされた。それから東京大阪方面地盤沈下しつつあるということはすでに問題視されておりましたが、今日ほどそれが急速に進んできておるということはございません。さらにまた、地盤沈下原因地下水くみ上げによるのであるという決定的な結論は当時出ておりませんでした。ことに新潟地盤沈下については非常に大きな問題になりまして、新潟では天然ガス採取に伴うところの地下水くみ上げがその原因だと主張しておるし、またガスを扱っておる業者の方からは、そんなことはないのだということでそれに対する反論が出ておりました。そうしてそれについての委員会までできて、係争されておったことは御承知通りです。しかしながら、ようやくここ二、三年前に結論が出まして、地盤沈下地下水くみ上げ原因するものだということが、はっきり結論づけられた今日になりますと、やはりこれは問題の考え方というふうなものについて、次元を異にしたものとして考えていかなければならない。だから、工業用水法が制定された当時のものの考え方というものと、それから後の、現在の考え方地盤沈下の問題が決定的に原因が究明されたという段階に立ってのものの考え方とは、おのずから異なるわけでありまして、従って、既得権としての工業用水くみ上げというものを認めていくということは、これは大きな政治の誤りである。だから、この際やはり新しい観点に立って、そのような地盤沈下原因となるものは一切防除していく、こういう観点に立っていかなければならないと思うのでありますが、どこにそういうふうな工業用水くみ上げ規制するということについての隘路があるのか。私どもにとっては、率直にものを考えていけば不思議でならないのでございますが、建設大臣は、そういう観点に立って今度の地盤沈下問題に取り組むために閣内でいろいろな話し合いをされたのか、あるいは、もう頭からあきらめて、工業用水規制することには困難があるから、まあビル用水だけで当面いこうじゃないかという安易な気持でこの問題に取り組まれたのか、どういう態度で臨まれたのか、その辺のところを承りたいと思うのです。
  18. 中村梅吉

    中村国務大臣 御承知通り、この地盤沈下問題が非常に重要な問題になって参りましたので、地盤沈下対策審議会が設けられまして、ここであらゆる角度から地盤沈下対策及びこれに関連をする地下水利用等の問題が論議をされたわけでございます。その結果、昨年の十二月になりまして、この地盤沈下対策審議会から一つ結論ができて、答申政府にされたのであります。この答申の要旨を見ますると、工業用水につきましては、工業用水道が布設された場合には、これを全面的に転換させるように措置を講ずべきものである、こういう趣旨答申が行なわれているのであります。従いまして、識者の方々がいろいろ論議を尽くした結果こういう結論を出したということは、いろいろ産業に及ぼす影響及び国民の生活に関係のある物価、生産コストとの関係、いろいろな点を考慮して、こういう結論を出されたものと私ども見ざるを得ないわけでございます。ただ、そこで残された問題は、同じ地下水使用するにいたしましても、先ほど住宅局長から申し上げましたように地下水深度というものがどの程度影響があるのか、今一応言われておるところでは、地表に近いところの水をくみ上げることによって地盤沈下は激しくなるが、もっと深度が深くなれば、沈下に対する影響は非常に少ないのだという説が出ておるわけです。この実体も、まだわれわれつかむ努力をしておるのでありますが、こういうことがはっきり結論づけられれば、使用はやむを得ないとしても、その深度を改善させるとかいうような道も具体的に出てくると思うのです。われわれとしましては、そういうような結論を得られたならば、所管は違いますが、通産省とも協議をいたしまして、地盤沈下防止に相なるような方向推進をいたしたい気持でおることは、やまやまでございます。ことに工業用水につきましても全面的禁止ができるものならば、そうすることによって防災国土保全目的を果たしたいのは、私ども立場としてはやまやまなんでありますが、いろいろそういったような諸般事情がございまして、地盤沈下対策審議会においても識者人たちがいろいろ議論を尽くした結果、こういう結論しか出せなかったというところを見ましても、むげにこれはけしからぬともどうも言いかねるような事情がございます。しかしながら、今後とも御指摘のような点に十分留意いたしまして、あらゆる角度から努力して参りたいと思います。
  19. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 地下水というものについての考え方でございますが、従来はこれは自分の土地の下にあるもの、つまり掘って使うのは勝手次第、こういう考え方に立っておったと思います。だからそういう立場に立って、工業用水法も組み立てられておると私は思うのでございますが、通店名では地下水というものをどういうふうに理解されておりますか、お伺いしたいと思います。
  20. 伊藤三郎

    伊藤説明員 地下水考えられますのは、地下流水浸透水というふうに分けて考えられるのではないかと思います。地下浸透水として考えられますのは、大体天水が比較的地表近いところにたまったもの、もう一つ地下流水というのは相当深いところへ流水として地下に流れておるというふうに、一応分けて考えられると思います。土地所有権内容としまして地下浸透水の方でありますが、これをくみ上げるというのは、これは土地所有権内容であるかと思います。また地下流水につきましては、これは鉱物であるかどうかというような議論もございますが、その点について別に学説もまだ確立しておりませんが、やはり地下流水についても、これをくみ上げるのは土地所有権の行使の結果としてくみ上げるというふうになると思うのであります。ただそういう地下流水くみ上げることについて規制ができるかできないか、土地所有権制限になるかどうかという点については、法制局意見も聞かなければなりませんが、通産省としては一般的に地下流水くみ上げについて制限を加えるということが、公共の福祉のために必要であるという場合には、制限を加え得るというふうに考えております。
  21. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 通産省のお考えも、地下水くみ上げに対して制限を加え得るということでありますと、この工業用水法改正して、現在相当大きな設備まで無許可でもって採取することを、この工業用水法では認められておりますが、これでは大体六平方センチメートル程度のもの、ところがこの工業用水法では、二十一平方センチということになっております。そうしますと、ビル用水で六平方センチというのは、こんな小さなものを規制しても、片方でそれの三倍の大きさの二十平方センチまでは野放しでくんでよろしいのだ、こういうことになっておるのです。ビル用水だけは規制することになっておる。しかしながら相当大きな口径のものまで野放しでくんでよろしいということに工業用水法ではなっている。それでは何のための規制かわからないということになってくるわけです。だからもしビル用水でもってそれだけの小さな口径まで圧縮していこうというのであれば、少なくも工業用水も同じ程度まで規制をしなければならないし、同時に規制した上で、転換を早くせしめるような措置を講じていくという方針をとっていただかなければならないと思いますが、工業用水法改正するという御用意があるかないか、また改正する必要がないともしおっしゃるならば、その理由を御説明願いたいと思います。
  22. 伊藤三郎

    伊藤説明員 工業用水法吐出口面積二十一平方センチメートルときめておりますのは、先ほど申しました浸透水をくみ得る程度ポンプというふうに考えて、そういう規定になったと考えております。従いまして、工業用水法の二十一平方センチという程度では深い井戸は掘れませんので、地盤沈下に対する影響はほとんどないというふうに考えております。この点を改正する考えは目下のところございません。ただ工業用水全面的禁止の問題でございますが、現在大阪東京、川崎、尼崎というようなところ、工業用水法地域指定をいたしまして、それについては新設井戸を一切禁止をしております。二十一平方センチ以上の一ものは許可制ということで法律上はなっておりますが、事実上の運営としては全然許可しておりません。さらに進めてそういう地帯へは全面禁止するかどうかということになりますと、特に問題になっております大阪等につきまして、今後——現在指定をしております地域工業用水利用者というものは、中小企業相当な比率を占めております。生産用水をとめるというためには、どうしても代替用水を供給しなければなりません。現在は代替用水をできるだけ早く供給するように、従来の計画も繰り上げ、さらに地域の範囲も拡大して代替用水を供給するように実施をいたしております。しかも工業用水の場合に問題になりますのは、水の量はもちろんでありますが、温度と、いう点も実は非常に問題がございまして、冷却用水等を使っております工場等におきまして、工業用水温度というものがどうしても上がりますので、そういう点も十分考慮を加えなければならない点でございます。また工業用水下水処理水等使用しました場合に、染物工業というようなものに対しては、どうしても影響があるのではないかというふうにも考えられます。そういう点もいろいろ考慮いたしまして、現在としては行政指導でありますけれども、なるべく転換を早川に大幅にやるようにということで施策を進めておる次第であります。
  23. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 今の御答弁には二つの内容があると思うのでございますが、一つには代替用水を供給せぬと困るということが一つ、それからもう一つは、現在許可しておる大きなパイプのものは、これは浸透水で、表層のもので影響がない、こういうふうな御議論でございます。しかしながら、すでにもう地盤沈下というものが地下水くみ上げに起因する、そしてたとえば大阪では七六%が工業用水で、ビル用水は二四%程度影響である、こういうふうなことがはっきり結論として出されておる段階にある。だから、あなたのおっしゃる工業用水は、浅いところからくんでいて、影響ないのだ、こういうようなことは通用しないと思うのですが、それはあくまでも通産省地盤沈下工業用水くみ上げというものは影響ないのだという考え方に立っていらっしゃるのですか。もう一度お伺いしたいのです。
  24. 伊藤三郎

    伊藤説明員 私が申しましたのは、二十一平方センチメートル以下の井戸というのは、浸透水を対象としておるものであるから、この点については地盤沈下にはそれほど影響がないというふうに申し上げたわけであります。既存井戸影響がないということは申しておりません。既存井戸につきまして、たとえば大阪の場合でありますが、現在指定しております地区で、一日に十九万トンくみ上げておったのでありますが、それを三十六年度末までに十三万二千トンを転換する、さらに三十七年度末までには全量を転換し得るというふうな工業用水道の布設の事業を進めております。そういうわけで、既存井戸と申しますのは、二十一平方センチ以上の面積吐出口を持った井戸、これについては影響ありということで転換するように、工業用水道の布設を実行しておるというわけであります。
  25. 二階堂進

    二階堂委員長 ちょっと岡本君に申し上げますが、ただいま建設大臣は参議院の予算委員会から出席の要求がございましたので、向こうの方に行かれることになりますが、大臣に対する質問は次回に……。
  26. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 これはしかし大きな問題ですからね。それじゃできるだけ端折ってやりますから、もう少しいていただけませんか。——今のお話でありますと、既存井戸の大きなものは浅いところから揚水しておる。そうすると、現在工業用水を深いところからくみ上げているものは、全部二十一平方センチ以下なんだ、こういうふうに聞き取れますが、そうしますと、工業用水くみ上げの大部分というものは非常に深いところからくんでおって、しかもそれは今後もずっと野放しで、転換規制の対象にならないのだ、こんなふうにとれるのですが、聞き違いか言い違いか、どちらでしょうか。
  27. 伊藤三郎

    伊藤説明員 二十一平方センチメートルよりも細いパイプくみ上げておりますのは、いわゆる浸透水ということで、非常に浅いところ——先ほど建設省の方から浅い深いと言われましたけれども浸透水でございますので、まあ大体地下数メートルぐらいのものをくみ上げる場合には二十一平方センチ以下のものでできる、従ってこの場合には地盤沈下についてはさほど影響がない。ところが工業用水の場合には、その程度では必要量をまかなえませんので、どうしてももっと太いパイプを使いまして、さらに地下浸透水よりも深いところでとるわけです。二十一平方センチを三十一年度のとききめましたにつきましては、通産省の地質調査所あるいは建設省の方も一緒に入ってもらいまして、技術的に検討をして、その程度井戸であれば規制の対象にしなくても差しつかえないということで、今のような規定になったと承知しております。
  28. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういうことになりますと、二十一平方センチ以下の細いパイプだったら深いところへ入らない。だからそれはごく表層のものとか、伏流水とか、そういうようなものであって、地盤沈下原因にならない。こういうことになりますと、今度規制をされようとするビル用水というものは、六平方センチではるかに細いのですね。そういうものは地盤沈下影響がない、細いものなら影響がないということだったら、ビル用水規制のために今度出される法律案というものは、出す必要がないことになってくるじゃありませんか。それからもう一つは、工業用水法を見ますと、吐出口の断面積が二十一平方センチ吐出口が二以上あるときは、その断面積の合計と書いてある。だから、これは太いのはいかぬ、細いのならいいということだったら、細いのを何木でも掘ればいいのでありまして、細いのであろうと太いのであろうと、とにかく排出口が一定面積をこえるものはいけないというふうな規制の仕方をしておられるということは、パイプの太さに関係ないという考え方に立ってこの工業用水法は組み立てられております。今のあなたのお話と全然話が違いますが、これはどういうことですか。
  29. 伊藤三郎

    伊藤説明員 これは通常の場合は吐出口一つでありますけれども、それを、この規定を逃げようと思って吐出口をたくさんつけて、それで地下へ入っていくパイプは太いのをつけるというような脱法的な措置を防ぐためにこういう規定を置いたものと考えます。
  30. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 吐出口というのは出口のことですね。そうすると、出口だけで規制して、中のパイプとは全然無関係にこの法律はできておるのですか。
  31. 伊藤三郎

    伊藤説明員 通常の場合、吐出口面積地下へ入るパイプの太さというのは比例といいますか、ある程度バランスがとれたものであるのが普通でございます。そういうことから吐出口面積で規定をしたものと思います。
  32. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 吐出口だけを問題にするということになりますと、あなたの今のお話ですと、太いものでなければ深くまで入れられないのだ、細い小さな設備は深くは入れられないのだから、小さな設備については規制する必要はないのだというふうなことだったわけですが、吐出口だけでいくとするならば、ビル用水だって吐出口を小さくしてうんと深くまで掘ってやっていけばそういうこともできるわけです。だから吐出口が小さければ制限は受けないが、しかしながら深度関係があるのだということになって参りますと、今の吐出口だけの規制ではだめでしょう。だからそういうことと無関係に、ある程度以上多くの容積——時間と容積との関係において、秒何立方センチになりますか、何立方メートルになりますか、とにかくある程度の容積の地下水くみ上げ得るような能力のものは許さない、こういう考え方に立たなければならないのであって、今あなたのおっしゃる、それは別々なんだという、お考えは成り立たないと思います。どうしても私にはそういうあなたのお考えが成り立つようなことが理解できないのですが、もう少しわかりやすく説明して下さい。
  33. 伊藤三郎

    伊藤説明員 機械の技術的なことになりまして、なかなか岡本先生の御満足の得られるようなお答えになるかどうか、私もその技術の方はよくわかりません。私が承知しておるところでは、三十一年当時地質調査所の専門家、建設省の専門家も入りまして、検討した結果、今ありますような規定になった。大体その場合にくみ上げの量としましては一日五百トン程度以下のものになるというふうなことを当時考えておったというふうに聞いております。
  34. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それ以上にこまかいことについては、これは時間をとりますから、大臣お急ぎのようですから次へ進みます。
  35. 二階堂進

    二階堂委員長 岡本さん、予算委員会が開かれないというので、再度大臣の出席要求がございましたが、どうでしょうか。
  36. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それでは通産省の局長にお尋ねいたします。  工業用水法で二十一平方センチ規制しているのは、それはやはりある程度の、一日五百トン以上の量はくみ上げさせないのだ、こういう考え方の上に立っている。それはそれ以上くみ上げることが地盤沈下ないしは地下水の水質を汚濁したりあるいは水源が枯渇したりする危険があるからくみ上げさせない、こういうふうな考え方に立つなものである。ところがそういうふうな程度の規模のものであろうと、それが密集して、一地域相当な密度においてそういう揚水設備からの水のくみ上げが集積して参りますと、これは地盤沈下に大きな影響があるということが近年になって明らかになってきたわけです。工業があまり発達しない間は、そのような揚水施設というものが密度が高くなかったが、だんだんその密度が高くなってくれば地盤沈下影響がある。結局そのことはみずからの土地を沈めていくことだ。だから極端な例は大谷製鋼所ですか、もう今は沈んでしまって使えなくなってしまっておりますが、ああいうふうなみずからを滅ぼすような現象になってくる。しかしみずからが滅んでいくのなら、これはやむを得ませんけれども、同時に周辺の人も沈めていく。だからそのようなものは、もうこの段階になっては、これはくみ上げさしてはいかぬ。だから代替水を与えるということは、これは必要です。仰せの通りです。しかしながら代替水を与えるということよりも、このことは公共の福祉というものに非常に重大な影響がある。大阪では、このごろ中之島では一年に十五センチ沈んでいく、それでは十年間放置すれば、現状のまま続けば、一メートル五十という大きな沈下になってくるわけです。だから一日も早く地盤沈下を食いとめなければいかぬ、こういうことはもう大阪をあげての問題になってきておる。そういう段階に立って、今国が地盤沈下対策というものに取り組んでいくときに、単にビル用水の小さなものだけ規制して、そして工業用水の大きなものは野放しにしておく、野放しというよりも、従来のままを認めていく、こういうことでは地盤沈下対策目的は達せられない。だからもし代替水が必要なら、これはやはり国は国土保全対策として、工業の発展を続けさせるためには、もちろん早急に通産省は、工業用水の施設をおやりになるべきでしょう。しかしながら、自分らの打つ手が打てないから打てるまでは地盤が沈んでいくのは仕方がないんだ、こういうふうなお考え方は、これは公共の福祉というものを全然無視したお考えであるというふうに私どもにはとれるのです。だからそういう点で、やはり施設を急ぎ、一面その規制を何らかの形で、ビル用水についてやるのなら、同時に工業用水についても——たとえば工業用でもいろいろなものがあると思う。冷却用のものはすぐにクーリング・タワーにかえられる。あるいはそれを何べんも回転して使うというような設備というものもあると思うのです。あるいは、大阪なんかは川に近いですから、そういう川に近いところについては、その川から特別にポンプで引かせるとか、いろいろな道が私はあろうと思う。だからそういうふうな対策を、工業用水道が早急に困難であるとするならば、それまでの方法はそれまでの方法として考えて、やはり一応規制をしていくのだという考え方だけは貫いていかなければならないと思うのですが、通産省ではどう考えていられるか。
  37. 伊藤三郎

    伊藤説明員 水の使用につきまして、使用方法を合理化して、水の原単位を下げて、消費量を少なくする、あるいは一度使いました水をもう一度利用するというようなことにつきましては、それぞれ主要な業種別に指導基準を作りまして、そういう使用の合理化について指導の強化をはかっておるわけでございます。ただこの工業用水法目的にもありますように、「工業用水の合理的な供給を確保するとともに、地下水の水源の保全を図り、もってその地域における工業の健全な発達に寄与し、あわせて地盤沈下防止に資することを目的とする。」 というふうに、工業の健全な発達ということを目的といたしておりますので、現在工業用水で使っておりますものを一ぺんに使用をとめるということは、その工業に対する影響から見てどうかというふうに考えておるわけでございます。先ほど来申しましたように、とにかく転換用水をできるだけ早く、しかも広い地域に供給をして、そうして工業用水転換をさせるということに施策の重点を置いておるわけでございますが、今後用水法につきまして、御指摘のような点は、われわれとしては、十分検討して参りたいと考えております。
  38. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この工業用水法ができた当時は、さっきも言ったように、地盤沈下というものは、もちろん当時気づいておったことではあるが、しかしながら、今日ほど深刻な問題とならなかった当時のことなんです。だからこういうふうに工業用水くみ上げというものが地盤沈下の大きな原因だということがはっきりしてきた場合には、やはり地盤沈下原因を起こした者にそれの復旧はできないでしょう。一たん沈んだものは復旧できない。しかしながら、それの対策として防潮堤を作ったり、あるいは橋をかけかえたり、さまざまなことをやらなければなりませんが、そういうふうな費用というものは、これは当然水をくみ上げ地盤沈下を起こしておる、それによって生産をやって、しかもそれによって利潤を上げておる、その業者が、その結果について責任を負わなければならない、こう思うのです。ところが、今はそういうようなくみ上げはどんどんやらせる。地盤沈下して橋が傾いてきたり、あるいはどんどん浸水するから道路を上げていかなければならない。パラペットを建てなければならない。そんな費用は全部、その土地の住民あるいは国民が負担しておる。これは住民の感覚からいって、どうも間尺に合わない。そんなばかなことがあるか。業者はどんどん地下水くみ上げて金もうけしているのです。どんどん自分らも一緒に沈められていっている。工場の横にはやはり住宅がある。道路もある。それはみんな一緒に沈んでいる。そして数年に一回は大災害を受けて、非常な迷惑をこうむっておる。迷惑をこうむっておるだけでなしに、それを防ぐためのいろいろな費用は、全部住民が負担している。国民が負担している。業者はそれについては知らぬ顔だ。これはどうも割り切れないのですが、通産省では、そういう点は割り切れるのですか。
  39. 伊藤三郎

    伊藤説明員 大へんむずかしい御質問なんですが、工場側としましては、数が少なければ地盤沈下はなかったであろうというようなところに、逐次工場がふえて参りまして、そうしてくみ上げ量がふえたために地盤沈下が起きてきたというような事態が多いのじゃないかと思います。そういう場合に、地盤沈下原因を与えたものと、その地盤沈下による被害との間の因果関係というものをはっきりとつかむというのは、非常にむずかしい問題でございます。そういう点もあって、従来現在のような形になっておると思うのであります。法律論としまして、そういう場合、相当多数の加害者、しかもその加害者間の原因に対する責任の度合いというものがはっきりしないというような場合に、どういうふうな補償なりその他の措置をとるべきかということになりますと、なかなかむずかしい問題でございまして、ここですぐお答えできませんので御了承願いたいと思います。
  40. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 これはおかしいと思うのですね。一人でなぐったから責任の所在がはっきりして、大ぜい寄って袋だたきにしたら、これはだれがやったかわからぬから責任はない、こういうような論法のように聞こえますがね。今のお話はそうでしょう。最初は、一つだったら水をくみ上げても影響はなかった。しかし大ぜい寄ってくんだらどんどん沈んじゃった。そうすればこれはどうも責任のとりょうがないじゃないか、こういうふうなお言葉ですが、これはやはり大ぜいの井戸を掘った者全体が、くみ上げた量に応じて責任を負うべきであって、これは当然地盤沈下を起こした原因を作った人ははっきりしているのです。そういう揚水設備を持っておる者ということがはっきりしているのです。その原因のはっきりしている者がやはり沈下原因に対する責任を当然負うべきだ。それでは、たとえばこういう傾斜地があって、ここからここまで自分の土地で、こっちが違う人の土地だとすると、土地の所有権があるからといって、ここからおれの土地だからといって、ぼんぼん掘ります。掘って平坦にしますね。そうしますと当然がけくずれが起こってきますよ。それに対しては、この掘った者はがけくずれを起こさないように擁壁を作って、隣の土地保全をやるということが、やはり掘る人の責任だと思うのです。だから、自分の土地だから幾ら掘ってもかまわない、こういうことにはならないと思うのです。掘ったことによるところの影響が他の者に及んだときには、それは当然責任を負わなければならぬ。たとえばビルを作る場合に、隣地との境界点にぎりぎりに掘っていった。それによって隣の家が倒れてきたというようなことがあった場合には、それはやはり、深く掘り下げてそういう倒れるような原因を起こした者が責任を負って、復旧をやらなければならぬのは当然でしょう。これは水だからといって、結果においては同じことが起こっておるのですよ。すぐに結果としては見えないだけのことで、結果としてすぐに見えないから、おれは知らぬといってすましておられるだけでは——実際はこれは水をくみ上げた人が地盤を沈めた人になる。だから沈めさした者は当然責任を負うべきだ。そのことが現在までの法律にないからといって、法律にないからおれは知らぬというようなことを言っていいという問題ではないと思う。地下水くみ上げ地盤沈下原因だということが明らかにされなかった場合においては、そういう議論が通用したかもしれません。地盤沈下原因地下水くみ上げだということが明らかになった現段階においては、もうそれは通用しないのであって、もしそれが法的な規制がなかったとするならば、この際、そういうことが明らかになった段階において、新たな法律改正をやるべきである。そういう点については、やはり政府の方がそういう法改正をやらないということが怠慢なのであって、その責任が免れ得るという性質のものではないと思う。だからこれは原則的には、地下水くみ上げ人たちが、地盤沈下の復旧費あるいはその他について一応責任を負わなければならないという立場のものだということだけは、明確にしておかなければならないと思いますが、どうお考えになりますか。
  41. 伊藤三郎

    伊藤説明員 先ほどお答え申し上げましたが、多少言葉が足りなかった点もございますが、地下水くみ上げの行為自体は違法性はありませんし、また地盤沈下をさせようというような行為もなかったわけでございます。そういういわば適法な行為、過失のない行為、それと一般的な地盤沈下と結びつけて、直ちにそれに対して責任ありということを言い得るかどうか、民法上の不法行為の責任を負うべきであるかどうかという点については、私は疑問だと考えるのであります。先ほどの、隣の家のがけくずれのような場合、これはたしか民法の相隣関係のところで規定があったかと思うのでありますが、そういう点からいきまして、そういう工場が直ちに地盤沈下に対して責任を負わなければいかぬという点については、疑問があると考えておりますが、工業用水法の今後のあり方につきましては、先ほど来申し上げましたように、御指摘の点も十分考えまして、さらに検討をいたしたいと思います。
  42. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 適法な行為ですね、またそういう公共に迷惑をかけるような意思がなかったという行為、それに基づいて起こったんだから、こういうことでありますが、それは先ほどから何べんも言っているように、地盤沈下問題というものが大きくクローズ・アップされない時代において、地下水くみ上げ人たちは、それでいいでしょう。しかし現在くみ上げている人は、とにかく今現実に自分がくみ上げている土地を——一キロ平方メートルの土地が何ミクロンか知らぬ、土地沈下さしておる、こういう認識の上に立っておると思うのです。だから今のことについては、なるほどあなたの言う、過去に遡及してそういう議論を成り立たせようと私は言うのではございません。しかしながら、今後はそういう考え方に立たなければいけないということを言うんですね。だから地下水くみ上げをする人については、今後は地下水くみ上げるために、今は施設費と電力費だけで水は使えるという考え方に立っておりますが、私はその人が使う水というものにやはりある程度地下水くみ上げの課税を行なっていてもいいと思うんです。地盤沈下があるというふうなことが明らかにされる、あるいはこれはもう地盤沈下が当然予想されるというふうな地域については、地域指定をやり、そこでの地下水くみ上げについてはある程度の課税をやる、それでもって災害復旧費の一部に充てるということは、政府としても当然考えてもいいんじゃないか。同時にまたそういうものを財源として、今度は工業用水道の早期な布設をやるところの財源を作っていく。これはやりたいが、ないそでは振れないというのが、いつの場合にも出てくる政府側のお答えでありますが、なるほどそれは各方面にこういう金の要ることですから、そう早急に工業用水道だけをどんどんというわけにもいかないでしょう。しかしながら、現実に地下水くみ上げている人については、やはりそういうふうな面についての、少なくも自分たちの水を作るための費用というようなものは当然負担さしていいと私は思うのです。地下水は、ただ自分の土地にあるから自分のものだというのでなしに、これはやはり公共のものである。そしてまたそのくみ上げは公共の福祉に大きな阻害を与えているのだということを考えた場合に、そういうことは当然考えなければならない。だからそういう観点に立って、ビル用水規制をやると一緒に工業用水についても同時に規制をやる。しかしながら、ある一定期間については従来のくみ上げは認めてはいくが、それについてはやはりそれだけの課税をするとか、あるいはある場合には課税の形によらなければ工業用水道を作るための債券を発行して、その債券を買わせるとか、何らかの形でもって早期に地盤沈下防止するための財源を作ることに寄与せしめるというくらいの措置は当然とらなければならないのではないか、こういうふうに私は理解するのですが、通産省の方もそういう面で、地盤沈下一つ建設省だけに心配させないで、あなたの方も地盤沈下対策というものについてはもっと積極的に御協力を願いたいと思いますが、お考えを承りたいと思います。
  43. 伊藤三郎

    伊藤説明員 実は工業用水につきましては、コストのうちに相当な比率を占めておりますので、私どもとしましてはなるべく安い工業用水、しかも量も十分に供給したいという考えでおるわけでございまして、国庫補助金を出しておるのもそういう意味から、工業用水の価格を低く押えたいという趣旨から出ておると考えております。地盤沈下対策に対する考え方でございますが、この三十一年の工業用水法にありますように、地盤沈下対策も大いにやるんだという趣旨が書いてございまして、私どもとしましては、三十一年当時からその面も大いに考え施策をやってきたつもりでございます。今後におきましても十分努力をいたしたいと考えております。   〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕
  44. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 三十一年にも工業用水法では地盤沈下防止をうたっているということでございますが、なるほど工業用水法には「あわせて」ということで、第一の目的工業用水の確保だ、ついでにまあ地盤沈下の方にも役立つんですよというふうな表現がしてございますが、これじゃいかぬと言うんです。もっと地盤沈下について積極的な熱意を持たなければ、工業そのものが沈んで滅びるんです。工業自体が、たとえば二十年間、十五センチずつ沈んでいくのをそのままにしておけば、三メートルになっちゃうんです。だから工業そのものの存亡の問題です。しかし、それはひとり工業だけの問題ではございません。これはあわせて——あわせてというよりも、これは付近住民の、都市全体の大問題です。あなたは問題を工業というものに重点を置いて考えられますが、私たちは住民全体という立場に立ってものを考えていかなければいかぬ。しかし、工業を住民の福祉の犠牲にしようというのではありません。工業の繁栄の中でなければ住民の福祉はございませんから、あわせてもちろん工業の繁栄というものも考えていきますが、やはり何よりもまず住民の生活のほんとうの基盤である土地保全というものをはかっていくためには、もっと考え方を変えていただいて、工業用水法も一緒に改正をして、地盤沈下防止というものに大きく主眼点に置くというふうな形の立法に切りかえていくというふうにしていただきたいと思うのであります。どうもだいぶ考え方が違うかもしれませんが、もう一度念のために承っておきたいと思います。
  45. 伊藤三郎

    伊藤説明員 三十一年に工業用水法ができましたときには、私が聞いておりますところでは尼崎地帯の地盤沈下対策ということを最も重点に考え、そして国庫補助金も交付されるようになったというふうに聞いております。もちろん通産省としまして、工業の健全な発達ということは当然考えるわけでございますが、地盤沈下ということもきわめて重要な問題であるというふうに考えております。従って、三十一年以後も補助金の交付等につきまして、地盤沈下地帯を特に重点にして処理するようにいたしております。先生の御趣旨に沿いまして、さらに努力をいたしたいと思います。
  46. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 もう一つ地盤沈下の問題について、去年でしたか、新聞で見たのでございますけれども新潟からガス東京パイプで持ってくるというふうなことですね。それはいつから実施されて、現実にパイプがしかれて東京ガス新潟天然ガスがまじってくるのですか。
  47. 伊藤三郎

    伊藤説明員 私その方を担当いたしておりませんので、いつ工事ができるかということは承知いたしておりませんが、ただ、新潟から東京に持ってくる天然ガスは水溶性ではございませんで、構造性の天然ガスでございますので、これによって地盤沈下が起こることはないというふうに聞いております。
  48. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それは、私も新潟ガスがどんなガスかもう一ぺん研究して、地盤沈下関係があるかないか調べてみたいと思いますが、この辺で地盤沈下の問題は打ち切りたいと思います。  次に、ことしの予算の問題で二、三お尋ねをしておきたいと思います。下水道の計画でございますが、もう二、三年前から下水道整備の十カ年計画ができて、それで早期に下水道を普及させるのだというふうに承っておったのでございますが、ことしの予算を見ましても、相変わらず下水道予算はきわめて少額でございますが、その問題はどうなっておりますか。
  49. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 下水道の整備がおくれておりますことは先生の御指摘の通りでございまして、建設省といたしましては、この下水道予算を大幅に増額したいと思いまして、数年前から努力をいたしておるわけであります。本年度の予算におきましては、下水道におきまして三十六年度の三十一億に対しまして四十七億、前年比にいたしまして四九%の増加をはかっております。もちろんこれだけの増加をもっていたしましても、下水道の整備は完全ではございませんけれども、予算といたしましては相当大幅に増額いたしましたので、このテンポでもちまして、できるだけ予算を増額し、わが国の下水道の整備に努力いたしたいと思います。
  50. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 とにかく日本という国は、こういう公共設備にかけるとヨーロッパ諸国に百年くらいおくれておると言われておる。すでにベルリンやロンドンというようなところでは百年前から下水が完備しておるのに、日本じゃまだ東京大阪あたりでも二〇%程度より下水が普及しておらないというような現状、しかも今度オリンピックを迎えようというようなことなんでありますが、これは大臣がおられるところでよく聞きたかったと思うのですが、政府部内では下水道問題というものを一体どう考えておるのか、これは下水道についての長期計画というものをある程度策定しておられると思いますが、それがどういうふうな見通しなのか、いつごろから長期計画の第一歩が踏み出されるのか、そういう点についての建設省側の見通しを伺いたい。
  51. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 下水道が諸外国の例に比べまして、非常に立ちおくれておるということにつきましては、建設省のみならず大蔵省も含めまして政府全体として強く認識をいたしております。これの整備につきましては、できるだけの投資を増額したいという考えで、われわれが当初数年前から長期計画考えて、これの実現につきまして、関係方面と折衝してきておりましたが、公共事業全体の投資のワクもございまして、下水道につきまして、先ほど申しましたように、今年度は四九%、前年もそれ以上の伸びがございましたが、こういう工合に相当大幅に伸ばしてきておりますけれども、遺憾ながら現在の全体の下水道需要の状況に比べますと、三十六年度現在では市街地面積の下水道整備をしたいという面積に対しまして、わずかに一六%にしかすぎません。これを大幅に一定の長期計画でもちまして整備を促進するためには、相当飛躍的な大幅な増加をいたす必要がございますけれども、財政の都合もありまして、今年度は四九%という一般の公共事業には例を見ない大幅な増加でございますけれども、将来しなければならないような事業量にかんがみますと、この程度ではまだ足りませんので、本格的な長期計画につきましては、さらに本年もう一度検討いたしまして、下水道につきましては、単に国の予算のみならず、財源といたしましては、あるいは下水道の使用料とか、あるいは地方公共団体の分担分、あるいはこれに対する地元の受益の問題とか、いろいろ下水道財源につきまして問題がございますので、そういう点もさらに勘案いたしまして、予算を大幅に伸ばすと同時に、そういう一般的な財源措置もさらに検討いたしまして、一刻も早く下水道整備計画が完遂するように努力したいと考えております。
  52. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうすると、治水であるとか、道路なんか特別会計を作っておられますが、下水道整備の特別会計でも作ってやっていこうというふうな構想でも持っておられるのですか。
  53. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 国の会計におきまして特別会計を作る必要があるかどうかにつきましては、まだ私の方で具体的には検討しておりません。ただ、下水道だけは御承知のように国の予算のみならず、むしろ地方の公共団体の起債でもって相当事業を伸ばしております。しかも、その起債を償還する財源といたしましては、単に使用料だけではなくて、あるいは地元における受益者からも応分の負担をすべきであるという議論もありますので、そういう財源をどうかみ合わせるか、何%程度をその財源に充てるかにつきまして各公共団体の実例もまちまちであります。これに対する学者の意見もまちまちでありますので、こういう点をすっきりいたしまして、それぞれ適当なる団体なり適当な受益者あるいは国というものが適当な割合で財源を持ち合うということが、やはりこの下水道長期計画に対する資金問題の根本である、こういうふうに考えまして、検討しておるわけであります。
  54. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 これはここで何するよりも予算委員会で取り上ぐべき問題であると思いますので、この程度にしておきます。  次に、宅地制度審議会というものが今度置かれる模様でございますが、この宅地制度審議会というものは大体どういう構想を持ったものか、承りたいと思います。
  55. 志村清一

    ○志村説明員 宅地問題につきましては、かねがね先生方も御心配いただいておりますし、われわれとしてもいろいろ検討を重ねておりましたが、三十五年度に、宅地のうちの特に公共用地問題につきましては、公共用地取得制度調査会というふうなことで出発いたしまして、ある程度結論を得たわけであります。なお、公共用地の価格の問題というようなことにつきましては、本年度に公共用地の補償の問題につきまして審議会をもちまして、ただいま検討を重ねております。今後は公共用地に限らず、一般の住宅用地、工業用地等につきましても、いろいろな問題点がございます。その問題点の解決をはかるためには、われわれ政府部内の者だけでなく、広く学識経験者、学者あるいは土地の提供をされる方あるいは土地を必要とされる方、各方面の代表の方々にお集りを願いまして、十分御検討いただきたいという趣旨によりまして、本年度の予算におきましても宅地制度審議会の予算を要求いたしまして、設置法の一部改正もお願いしておるような次第でございます。
  56. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 どういうふうな規模、大体何名くらいの委員で、どういう人を委員にし、さらにまた主としてどういう問題を検討するというふうなことを考えておられるのか、もう少し具体的に御説明を願いたいと思います。
  57. 志村清一

    ○志村説明員 宅地制度審議会の構成でございますが、大体ただいま考えておりますのは、委員と専門委員で構成したらいかがかと考えております。  なお、委員でございますが、従来の公共用地の審議会におきましての経緯もございまして、大体委員の数は十名内外が適当ではなかろうかと考えております。委員の人選でございますが、これは国会の御承認を得てからいろいろ検討せねばならぬと思っておりますが、ただいまのところは、宅地問題につきまして学識を持たれております方々、たとえば大学の民法あるいは公法の関係の先生方あるいは経済学者の方々とか、あるいは経験の十分な方々、たとえば不動産関係の金融機関というふうな方々とか、その他いろいろおられるわけでございますので、そういう学識経験を有する方々のうちから選任いたしたいと考えております。  なお、専門委員関係行政機関の職員のうちからお願いいたしまして、専門的ないろいろな事項についての調査検討をわずらわすというようなことにいたしたいと思います。  それから、宅地制度審議会の審議事項でございますが、宅地問題につきましては、いろいろな問題点があるわけでございますが、基本的には、やはり宅地問題の解決をはかるためには、宅地の需要と供給のアンバランスを是正するための有効、適切な措置は何かということになろうかと思います。こういった問題はいろいろ複雑な問拠点がございます。そのうち特に宅地の価格の安定とか流通の安定といったものをはかるための制度の確立の問題が、一つの大きなテーマになるわけであります。また既存宅地の利用の促進あるいは宅地開発のための制度の確立といったようなことも非常に重要な宅地制度審議会の問題点になろうかと考えます。
  58. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 宅地問題というのは、国民にとっては焦眉の問題だと思うのです。このまま放置しておけば、何ぼでもウナギ登りに上がっていきますから、早期に地価の安定というものをはかっていただかなければならぬ。従来審議会というものは、ややもすれば政府の無策の隠れみのになって、いずれ審議会でなにしていただいてからというふうなことで、お茶をにごすようなことになっておりますが、そういうことが起こらないよう早急に結論を出していただき、しかも強力な手を打っていただく、こういうような性格のものでなければならぬと思います。またそういう意図で運営していただけると思いますが、それで間違いないでしょうか。
  59. 志村清一

    ○志村説明員 先生の御期待に沿えるように努力いたしたいと、かねがね考えております。
  60. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 もう一つは、それはまたそういう審議会の中でも出てくる議論であろうと思いますが、やはり既成都市の再開発というものが大きな問題になって参ると思います。そこで、既成都市の再開発の中で、私は、戦後に応急に建てられた公党住宅、きわめて雑な、すでに耐用年数も過ぎたような、しかも、もうそろそろ荒廃しかけておるというのが相当出て参っていると思うのであります。こういうようなものについては、このごろややもするとその一部が居住者の求めに応じて払い下げられている傾向がある。払い下げを希望する人の気持もわからないではないのです。十年前に住んだ人が、だんだん子供も大きくなる。だから居住面積が広くないとやり切れない。十年以前と今とは家族構成が違う。だから子供にそれぞれ部屋の一つも与えていかなければならないというような段階になると、やはり建て増しをしたい。そうしないとまた日常生活に非常に支障があるということで、建て増しをするためには、やはり自分のものになるという安定感を持ちたい、これは当然のことであります。一方また、住宅が豊富にあれば、より大きなものへ移り住んでいくということもできるでありましょうが、それも不可能な現在、私はそういう人たちが払い下げを希望される気持はわかるのです。しかしながら、そういうふうな払い下げを行ないますと、もうそのまま再開発は全然できない。だからもうそろそろ年期が来たというところから順繰りに高層化していく、一時一部分だけ建てて順繰りに移しては高層化していくというふうに、既成の公営住宅用地の再開発ということをやる必要があると思うのでございますが、住宅局ではそういうことを考えておられますのか、あるいはまだそこまでは考えておらないということなのか、その辺のことも伺いたいと思います。
  61. 齋藤常勝

    齋藤(常)政府委員 ただいまの公営住宅の建てかえの問題でございますが、その前に、払い下げの問題ももとよりおっしゃる通りでございまして、払い下げにつきましては、私ども原則として払い下げをしない。しかしながら、いろいろな事情があって払い下げをしなければならぬということにつきましては、今のお話にもございましたように、都市計画上の関係でございますとか、あるいは目の前に建てかえの計画があるというふうな場合は、これは認めておりませんが、ケース・バイケースできわめて幅狭く慎重に検討してやっていることでございます。  ところで、しからば老朽化した公営住宅の建てかえの計画はあるのかないのかということでございますけれども、これは老朽化したものにつきましては、逐次建てかえていくことを原則にいたしておりまして、現在でもぽつりぽつりとやっております。非常に古くなりまして公共スラムといったような格好になって参っているものもございますので、そういうものから順次手をつけまして建てかえる。建てかえの場合におきましては、もとより不燃化、高層に原則として持っていくということで漸進的にそういうような方策をとっている次第であります。
  62. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 もう一つ、あれこれ私の考えていることを聞いておきたいのですが、これは道路局長住宅局長両方にまたがる問題だと思うのです。都内でももう首都高速道路というようなものでスラブ式の高架の道路ができております。それからまた市街地は相当高速道路が名神その他どんどん建設されていきます。その道路の下の問題でございますが、私はやはりああいうものを、相当な用地買収費を支払い、それから同時にまた両方に側道がついているというふうな場合に、国土の広いアメリカなんかではそんなせちがらいことを考える必要はないと思うのですが、しかしながら日本のように土地が狭い、しかもどんどん都市周辺は開発されて、もう今は都市周辺ですと、たんぼの用地買収費でも坪当たり一万円、二万円は見なければならぬということになって参りますと、相当な用地買収費を使っているというような場合、道路の下の面積利用ということも相当真剣に考えなければならないほど私は日本の土地は狭い、こういう考え方の上に立っているのでございますが、道路局の方では、いやそんなせちがらい、じじむさい根性を出す必要はないんだ、道路は道路として専用にしていくべきだというふうにお考えなのですか、あるいは道路のスラブの下はできるだけ有効に使っていきたいというお考えなのか、これはどちらの方ですか。
  63. 河北正治

    ○河北政府委員 ただいま御指摘の通りで、高架構造になる部分の下は店舗、事務所その他に占用を許可することができるように考えております。
  64. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 店舗、事務所もいいと思いますが、むしろ私は住宅にどうかしらんと思うのです。住宅局の方では道路の下では都合が悪いというふうな考えですか。
  65. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 都市内におきまして、先生御指摘のように、たとえば首都高速道路のようなものにつきましては一部密集地を通ります。その際に高架にいたしまして、その付近の立ちのきをしていただいた方々を収容する必要もございますが、そういう場合には、場合によっては住宅施設も作りまして立ちのきを容易にし、同時に環境整備と申しますかをいたしまして、有効な土地利用を考えておりまして、目下検討いたしております。
  66. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 これは、これから後も道路建設をされる場合に、都会の中を開発していくのにはいろいろ問題点はあると思います。だからそういう点を十分住宅局でも道路局でも検討していただきまして、もし有効に使えるものなら常にこれをできるだけ有効に使っていただくようにお願いしておきたいと思います。  質問はこれで打ち切ります。
  67. 松澤雄藏

    ○松澤委員長代理 石川次夫君。
  68. 石川次夫

    ○石川委員 岡本委員が大へん熱心に質問されたために、時間が経過しておりますので、私もあとの予定がありますものですから、簡単に二、三点お願いをしておきたいと思います。  今質問がありました宅地制度審議会についての要望を一つしておきたいと思います。ということは、学識経験者を集めてこういうものが発足したことは、非常におそきに失したということはあるけれども、われわれとしては非常に期待をしておる。そこで問題になりますのは、現実に対処してどうするかというこの現実的な対策だけでは、この問題の解決にはならないのではないかというふうに考えられます。ということは、地価がどういうもので形成されているかという理論的な根拠、なぜ地価というものが現在上がりつつあるか、高騰してとまらないかという現実的な問題、そうして地価というものはどうあるべきかという一つの理論的な根拠というものをここではっきり確立をしてもらいたい。そしてその自信を持って確立した理論の上に基づいて、国家権力をある程度強化発動をいたしましても、自信を持って対処できるところの理論的な根拠というものの上にその対策をどうするかということに発展をしてもらわないと、現実に堕した対策というものではまたうやむやになってしまうということを非常に懸念いたしますものですから、この点について一つ注意と要望を申し上げておきたい。  あと一つ、これはきょう解決をしようということではございません。公営住宅その他の公共事業につきまして、ある程度の値上がりが認められております。これは木造は一九%とか、住宅については用地費は一九%プラスというようなことで、若干の値上がりというものは見られておるようでございますけれども、私は別に業者の立場を擁護しようというような気持は毛頭ございませんが、この程度では私はなかなか公共事業というものは推進できないのではないかと思う。業者の実態を見ましても、ある程度赤字になっても、公共事業の需要というものは前からの因縁も相当古く長いし、また赤字を忍んでも将来に備えて一つやろうじゃないかというふうなことのために、ある程度手を抜くというような実態が出てきているということも、私は偽らざる現状ではないかというふうに考えるわけであります。この公共事業のいろいろな値上がりを見込んだところの根拠が一体どうなっているのかということの資料をこの次までに出していただきたいということとあわせて、はたしてこれでもってできるかどうかということについては、私はしろうとでよくわかりませんけれども、どうも赤字でできないということになる懸念が非常に強いのではなかろうか、そうなると公共事業それ自体が、予算に盛っても推進はされないということを懸念をいたしますものですから、この点について、たとえば大蔵省の主計官かだれか知りませんが、その関係者の方をここに呼んでこの点について徹底的に一つ究明しなければならぬというふうに考えるのですが、この措置をこの委員会においてとるように、この次の理事会にでも議題に載せて善処をされたいということを要望申し上げておきます。  それから最後に一点、都市局の関係でございます。実はこの前の国会におきまして市街地改造法という法案が非常に熱心な審議の上でもって成立を見たわけであります。われわれもちろん非常に問題は多いと思う。現実的には立体換地ということはぜひ必要なことであります。それによって道路を拡幅をいたしまして、そうして東京都の交通難に対処するという、アイデアとしては非常にけっこうであるけれども、現実の問題として立体換地というものはいろいろな点で難点が出てくるという点を懸念をしておりましたことは、今さら申し上げることもないのであります。ところで市街地改造の昨三十六年度の予算では、大体三軒茶屋あるいは大阪の駅前というふうに考えておりますが、その内訳はどうなっておって、三十六年度の三月の末までに一体どのくらいこれを消化できるという見込みがあるか。新聞などによりますと、市街地改造法の適用ができない。強制発動をやってしまうというようなことも新聞の記事には出ておるように思うのでございますけれども、現状について一つ伺いたいと思います。
  69. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 市街地改造につきましては、御指摘のように非常に問題がございまして、当初予定しておりましたたとえば放射四号線、東京都内でございますが、これにつきましても、市街地改造法でやるよりも話し合いで同様の効果の出る措置をしたいという動きがあったりいたしまして、当初われわれが予定した通りの事業にはいっておりません。しかしまた今お話しのように大阪あるいはその他東京で申しますと、新橋地区につきましては、ぜひこれは市街地改造法によって実施をしたいといって実施を進めておるものもございます。いろいろ改造法による道路によりまして、新しく広がる道路の前に出てくる前の側におる人の利害関係と、うしろにおる人の利害関係とは非常に輻湊いたしまして、なかなかむずかしくはございます。しかし現在放射四号線の例にありますように、この法律の精神によりまして話し合いでやっていくというケースが相当出てきまして、一部はある程度りっぱなものができて、お互いに話し合いの上道路を拡幅し、同時にその周辺の人々はその建物に一緒に入っていくという例がございます。しかしまた法律によって実施したいというところもございますので、ただいま本年度の数字をちょっと持ち合わせておりませんけれども、引き続き来年度以降につきましては、全国相当の都市につきまして事業を実施したいと考えております。
  70. 石川次夫

    ○石川委員 あとでまたゆっくり審議したいと思っておりますけれども、現実の問題としては非常にいい着想であるけれども、今都市局長の言われたような形での困難性が相当あるのではないということは、あらかじめ法が通るときに予想されておったところであります。私の言いたいのは、ですから市街地改造法は間違いであるということを言おうとしているのではないので、市街地改造法という非常にいいアイデアがありながら、こういうものがなかなか実現に移せないということになると、東京都における交通難は非常な話題になっておりますけれども、これを一体どう打開するかという問題に突き当たらざるを得ないと思うのです。従って、いろいろな方法は考えられるでございましょうけれども、われわれとしてはこの前広域都市といいますか、そういうものの調査会を作ろうじゃないか、道路交通などというものを含めて東京都というものは相当行き詰まるということは、だれが見ても当然の成り行きでございますから、市街地改造法というようなものを用いてすらも、なおこういう問題の打開ができないということになると、よほど抜本的な対策考えて対処せねばいかぬという結論に到達せざるを得ないわけです。そういう点を、市街地改造法それ自体を問題にするということではなくて、そういうものをもってしても打開できない抜本的な対策を、一体どこに求めていくかということについて、いずれまたあらためてここで審議をし、ここで質問をし、私の疑問を解きたいというふうに考えておりますけれども、きょうは時間がございませんからこの程度にとどめたいと思います。
  71. 松澤雄藏

    ○松澤委員長代理 次会は、来たる十六日金曜日、午前十時より理事会、同三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九分散会