○中村国務
大臣 ただいまの問題は非常に重大でございまして、私の一存ではお答えいたしかねる大きな問題でございますが、ただ私どもとしましては、先ほど御
指摘のありました学校の都心部からの転出、あるいは官庁の、東京に立地しなくても任務の達成ができるような機関に一括して他に出ていただくというようなことを、首都圏整備の一環としてかねがね
考えておったわけでございますが、学校の問題は強権ではどうにもなりませんしいたしますので、まず機運の醸成をする必要があるということで、学校を移転したならばどういうことになるか、また、そのためにはどのくらいの規模のものが必要かといった構想だけをまずまとめまして、そして学識経験者等のお集まりを願って、都市問題を懇談をする機会に、実行は
政府の力ではむずかしいことであるけれども、一応こういう構想も成り立つんだということを
発表してみようじやないか、そうすれば、かなりそういった機運の火つけ役だけは勤めることができるだろうということで、昨年でございましたか、学識経験者の方々に多数お集まりをいただいて、いろいろな御
意見拝聴をいたしました懇談会の際に、首都圏整備
委員会で
策定をいたしました一応の構想を御
説明を申し上げたというわけでございます。富来、学校が外に出ようという機運がかなり高まってきておることは事実でございまして、この
程度の効果はあったと思うのであります。
政府としてできますることは、東京に立地しなくても使命の達成できる試験所、研究所等を中心とした機関を、一カ所なり二カ所なりに、集中的に他の
地方に移しまして、むしろ試験研究等をされます方々におかれてもその方が便利である。また理想的な
設備を、今までのように分散してタコの足のようになったり、あるいは古い施設でやっているよりも、集結して近代
設備をした方が効果も上げられるというような機関を移すことの実行に移ってみようではないか、こういうことを企画いたしまして、しかし、これは首都圏整備
委員会だけの力ではとうていできませんから、まず行政管理庁に呼びかけをいたしまして、行政管理庁にも非常な共鳴をいただき、ことに川島長官が御就任以来熱心な御協力をいただきまして、最近活発にその具体化をはかり、そういった各機関に対してそれに賛成をしていく気があるかないかということの照会などもいたしまして、すでに約四十機関——三十九機関が賛成をしてきております。そこで、一挙に実行に入りたい熱望をわれわれは持っていたのでありますが、やはりほかの方から、大局的に
考えればもっと煮詰めた具体策を持つべきじゃないかという
考えが起こるのも無理のないことでございまして、三十七
年度予算編成にわたりまして、大蔵省に一挙に実行に入る
予算措置はしていただけませんでしたが、それでは三十七
年度調査費を計上して、もっと綿密な具体的な実行手段についての
調査研究をしたらどうかということで、
調査費をわずかでございますがつけていただきました。首都圏
関係としましては、この
調査費に基づきまして、三十七
年度中に、三十八
年度から実行に入れるような準備をいたしたいという心がまえで目下努力をいたしておるのでございます。
一方、東京の現状を解決しますのには、衛星都市の育成、建設でありますとか、あるいはそういったような、今申し上げたような措置を講じていくにいたしましても、御
指摘のありましたように、東京が産業立地の上から非常に立地条件がいい。港もあるし、交通機関もいいというようなことのために、集まってくる自然流入の人口というものは、なかなか人為をもっては解決ができないことでございますから、これを根本的に解決する道は何か。結局他の東北なり北陸なりその他の
地方に、産業立地にも適した魅力のある都市を作るということが、東京や大阪への過度の集中を避ける根本的な要素ではないかということで、
建設省としては広域都市建設の
調査費をいただいて、すでに
調査をやっておりますし、あるいは
通産省は産業立地の
調査をする、自治省は自治省の立場から
地方都市育成の百万都市の
調査をしておるというようなのも、いずれもそういった角度から出発をしておると私は思うのであります。これもばらばらではいけませんので、今
国会に
政府から
提案をいたしました新産業都市建設促進法は、結局これらの構想を取りまとめ、そうしてできるだけ立地条件のいい
状態を他の
地方に作り、また、その立地条件に応じて
地方に魅力のある都市を作って、まず
地方から、山村、農村から、あるいは、漁村から出てくる人が、いきなり直通で東京や大阪へ集中するのでなしに、その魅力ある
地方都市に一応集結される、こういう形になれば、過度の集中を排除する、根本を解決することができると思いますので、私どもとしましては、この新産業都市建設促進法に大いに期待をいたしておるわけでございますが、これらもその構想の
一つでございます。いろいろな知恵をしぼりまして、さような努力を今日はしていくべき
段階であると思います。
なお、東京から首都を移すべきであるかどうかというようなことは非常に大きな問題で、われわれ一存ではとうてい結論を出しかねる問題でございますが、先ほど申し上げましたように、既成市街地再開発の構想を
一つ検討してみよう、そうして
一つの何かの
考えを打ち出してみようということの中には、たとえて申しますと、東京都内におきましても、ずっと古い時代から都市
計画というものがありまして、都市
計画の
予定路線は全都下に網を張られておるわけでございます。これが戦争で見送りになり、戦後は生活に追われておったために見送られ、あるいは教育施設の整備のために見送られいたしまして、これらの理想的な都市
計画予定路線が長年みな塩づけになってきておるわけでございます。そこでこれらをほんとうに全部実行したならば、一体東京の交通なり都市
状況はどうなるか、また、それをやるのには一体何兆円の——どのくらいの金が積算してかかるか、そういったことも
一つの問題点として取り上げまして抽出をしてみたい。そうすれば、そんなに金をかけるなら首都の移転をした方がいいということになるかもしれません。いずれにいたしましても、そういったような研究をするにいたしましても、基本的な
資料が必要でございますから、そのような角度に立ちまして、現在の行政部費なり
建設省に与えられておる経費の
範囲内におきまして一もちろん経費がありませんから十分とは参りませんが、その
範囲内で、われわれとしては
一つそういった構想のもとに努力してみようというような方向に現在あるわけでございます。いずれにいたしましても、今日の
状態は非常に大きな問題でございますから、われわれとしましても、現在の制度下においてやれる限りの努力を
一つしてみたい、こう思っておるわけでございます。