○宇ノ沢
会計検査院説明員 それでは、
農林省所管の三十五年度一般
会計、各特別
会計の
検査の件について御
説明申し上げます。
一般
会計の方から申し上げます。
まず、
補助金のうち公共事業
関係分につきましては、従来
関係当局の指導監督の強化及び事業主体の自覚等によりまして、
工事及び
経理の状況は逐年改善されてきておりましたが、三十六年の
検査の結果指摘した不当
事項は、前年の四十三
工事、三千五百十五万円に対し、百四
工事、五千五百十六万余円となっておりまして、件数において一四一%、
金額において五六%増加している状況でございます。これは三十四年発生災害復旧
工事の施行量が三十五年度において最盛期に当たっていたため、現場監督の手不足等もその一因と認められますが、県が事業主体となって施行した海岸復旧
工事、治山
施設、漁港
施設等の
工事においても、
工事の施行がきわめて不良なものが見受けられ、このうちには現場に
事務所が設置され、監督員が数名常駐しているものもあって、
工事の指導監督は十分行なわれる態勢にありますのに、このような事態が生じたことは、はなはだ遺憾であり、今後は監督及び検収を十分に行なうとともに、
工事の施行にあたっては、
工事の全工程を全般的に把握し、重要な工程については中間
検査の励行に努めるなど、指導監督を一そう厳にする必要があるものと認められます。
三十五年災害復旧事業費の査定額の
検査につきましては、復旧事業費が比較的多い青森県ほか七府県を選びまして千六百二
工事、二十四億六千五百九十五万円について実施しました。この結果は、同一個所を重複査定しているもの、被害が軽微であるのに災害復旧の査定を受けて改良
工事を施行しようとしているもの、
積算過大のものなど、四百八
工事、国庫
補助金相当額にして六千十万四千円を指摘し、当局はこれを減額是正いたしました。
次に、公共事業
関係を除いた一般補助について申し上げます。
本年度
検査にあたりましても、事業量が大きく、しかも従来から不当事例の比較的多い農山漁村建設総合
施設事業に重点を置きますとともに、本年度は風水害対策、チリー地震津波対策の災害
補助金等をもあわせて
検査を実施いたしましたが、農山漁村建設総合
施設費
補助金につきましては、依然として
積算過大、事業量不足などの事例が見受けられる状況で、今後この種事業の適正な実施について
関係当局の一段の努力が望ましいと思われます。
次に、保険の
関係について申し上げます。農業共済保険事業の運営につきましては、三十六年も主要農作物共済に関し、青森ほか九都県の六十四農業共済組合及び四市町村につきまして調査を行ないましたが、従来見られましたように、共済金の一部を支払わないもの、またはこれを正規の
基準によらないで補償
対象外の組合員をも含め共済面積割等で配分しているものなどの不当な
経理が二十六組合、
金額にして八千五百六十四万八千二百七十七円ありまして、共済保険事業の運営は依然として改善の跡が見受けられない状況でございます。
次に、漁船再保険金の支払いにつきましても、
検査の結果は、組合の損害調査が十分でなかったために填補額が過大に認定されているものをそのまま認めて再保険金を支払ったりしているものなどあり、今後
関係当局の
事務処理にあたっての適切な指導を要するものと認められます。
工事関係につきましては、特定
土地改良
工事特別
会計所掌の分で国の直轄施行分につき七農地
事務局、四十二建設事業所代行施行分につき、宮城ほか十八県、五十地区につき実地に
検査を施行いたしました結果、概説に記述いたしましたように、現行の
土地改良法附則第十五項の規定によれば、国が農地とするため買収した未墾地等を農地としないことを適当と認めたときは、買収前の所有者に買収の対価に
相当する額で売り払うことを原則としていますが、国が当該
土地に多額の費用を投じている場合は、不合理な結果を来たすこととなるので、法令改正の要があると認められるもの、不当
事項として
検査報告二二二号に掲げました、干拓にあたり盛土
工事の施行が適切を欠いたため漁業補償を支払うことと
なり不経済な結果を来たしたもの、及び二三〇号に掲記しました、八郎潟干拓
事務所において、職員の
不正行為により国に損害を与えたもの二件がございました。
次に、自作農創設特別措置特別
会計所属財産の管理につきましては概況に記述しましたように、その管理する財産に境界不明または所在不明のもの、長期間無断で使用または転用されているものなどがあるのに、これにつき適切な処理を行なわないで長期間そのままとしているものなど、財産の管理は全般的に適切を欠いており、これにつきましては、三十三年度及び三十五年度
検査報告で改善方
注意を促しましたにかかわらず、依然として改善の成果はほとんど上がっておらないと認められますので、財産の管理について特段の努力を払い、すみやかにこれらの事態を改善することが緊要と認められます。
国有林野事業特別
会計につきましては、立木及び林野加工品の処分、林道
工事、治山
工事の実施及び
経理に
検査の重点を置くとともに、
国有財産の管理処分を中心とし、国有林野整備臨時措置法及び新市町村建設促進法等によって民有となった林野の管理、延納代金の徴収、民有保安林の買い入れ、素材の生産等につき
検査した結果は、
検査報告一三三号に掲記しました、
土地の交換にあたり処置当を得なかったため不利な交換を行なったと認められるもの、二二四号、
土地の売り渡し
価格が低廉と認められるもの、一三五号、立木を不法伐採されたもの三件を不当
事項として掲記いたしました。
以上であります。
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