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1962-04-26 第40回国会 衆議院 決算委員会 第24号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十六日(木曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 鈴木 仙八君    理事 木村 公平君 理事 田中 彰治君    理事 高橋 英吉君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    久保田藤麿君       鈴木 正吾君    藤井 勝志君       久保 三郎君    芳賀  貢君  出席政府委員         法務政務次官  尾関 義一君         検     事         (大臣官房経理         部長)     新谷 正夫君         大蔵事務官         (関税局長)  稻益  繁君         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君  委員外出席者         検     事         (公安調査庁総         務部長)    宮下 明義君         農林事務官         (農林経済局参         事官)     松岡  亮君         通商産業事務官         (通商局次長) 山本 重信君         会計検査院事務         官         (第二局長)  樺山 糾夫君         会計検査院事務         官         (第四局長)  宇ノ沢智雄君         最高裁判所事務         総長      下村 三郎君         判     事         (最高裁判所事         務総局経理局         長)      栗本 一夫君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 四月二十五日  委員勝間田清一君、森本靖君及び矢尾喜三郎君  辞任につき、その補欠として久保三郎君、日野  吉夫君及び山田長司君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員日野吉夫君及び山田長司辞任につき、そ  の補欠として森本靖君及び芳賀貢君が議長の指  名で委員に選任された。 同月二十六日  委員藤井勝志辞任につき、その補欠として中  村三之丞君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中村三之丞辞任につき、その補欠として  藤井勝志君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十五年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十五年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十五年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十五年度政府関係機関決算書  昭和三十五年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十五年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十五年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 鈴木委員長(鈴木仙八)

    鈴木委員長 これより決算委員会を開会いたします。  閉会審査申し出の件についてお諮りいたします。  会期も切迫して参りましたので、この際、委員各位のお手元に配付いたしております印刷物通り昭和三十五年度決算外九件について、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木委員長(鈴木仙八)

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————    閉会審査すべき事件  一、昭和三十五年度一般会計歳入歳出決算    昭和三十五年度特別会計歳入歳出決算    昭和三十五年度国税収納金整理資金受払計算書    昭和三十五年度政府関係機関決算書  二、昭和三十五年度国有財産増減及び現在額総計算書  三、昭和三十五年度国有財産無償貸付状況計算書  四、昭和三十五年度物品増減及び現在額総計算書  五、歳入歳出の実況に関する件  六、国有財産増減及び現況に関する。  七、政府関係機関経理に関する件  八、公団等国資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件  九、国又は公社が直接又は間接に補助金奨励金助成金等を交付し又は貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する件  一〇、国会決算審査に関する件     —————————————
  4. 鈴木委員長(鈴木仙八)

    鈴木委員長 なお、お諮りいたします。  ただいま御決定のありました閉会審査申し出の各件が、本委員会に付託になり、調査のため現地に委員を派遣する必要の生じました際には、議院運営委員会決定基準範囲内において、委員長において適宜取り計らうことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鈴木委員長(鈴木仙八)

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  6. 鈴木委員長(鈴木仙八)

    鈴木委員長 昭和三十五年度決算外三件を一括して議題とし、本日は裁判所所管法務省所管及び農林省所管について審査を行ないます。  この際、お諮りいたします。  裁判所所管決算審査に関し、国会法第七十二条の規定による最高裁判所長官の指定する代理者から出席説明要求がありました場合は、その承認に関する決定につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 鈴木委員長(鈴木仙八)

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  まず、裁判所所管決算概要説明を聴取いたします。  最高裁判所事務総長に発言を許します。下村事務総長
  8. 下村最高裁判所長官代理者(下村三郎)

    下村最高裁判所長官代理者 昭和三十五年度裁判所所管決算概要につきましては、お手元印刷物をお配りしてございますので、それによって御承知をいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  9. 鈴木委員長(鈴木仙八)

    鈴木委員長 次に、法務省所管決算概要について説明を求めます。尾関政務次官
  10. 尾関政府委員(尾関義一)

    尾関政府委員 昭和三十五年度法務省所管決算概要につきましては、お手元印刷物をお配りしてございますので、それによって御承知をいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  11. 鈴木委員長(鈴木仙八)

    鈴木委員長 各位のお手元に配付いたしております昭和三十五年度裁判所所管及び法務省所管決算概要説明は、便宜委員会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。
  12. 鈴木委員長(鈴木仙八)

    鈴木委員長 続いて、会計検査院当局より、裁判所所管及び法務省所管決算検査概要について説明を求めます。樺山第二局長
  13. 樺山会計検査院説明員(樺山糾夫)

    樺山会計検査院説明員 裁判所及び法務省所管検査につきましては、歳入歳出のほかに供託金あるいは領置金等多額の現金を取り扱っておりますので、これらを中心として検査を行なっております。  検査の結果、検査報告に掲げましたものは、裁判所関係において工事一件、法務省関係において不正行為一件でございます。  まず、裁判所関係工事は、検査報告十六ページの一号でございまして、これは裁判所の庁舎の冷暖房工事におきまして、そのボイラーの機械設備につきましては、メーカーから据え付け渡し価格見積書が出ておりましたのに、これを積算する場合に、さらに諸経費を計上いたしましたために、約三百万円高価となったものでございます。  それから、法務省関係不正行為は、検査報告の二十七ページの一〇号でございまして、これは領置物に関する問題でございますが、担当者の印鑑の保管に不注意の点があったことなどによるものでございます。その他の予算の執行につきましては、若干手続等に不備な点がありまして、注意をいたしましたものがございますが、特に不当と認めた事項はございません。  以上でございます。     —————————————
  14. 鈴木委員長(鈴木仙八)

    鈴木委員長 これより質疑に入りますが、裁判所所管については後日に譲り、法務省所管について質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。小川豊明君。
  15. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 法務省関係について二点お伺いしたいと思いますが、今の検査院報告基礎にしてやりたいと思いますが、この資料として「昭和三十五年度決算検査の結果発した注意書の件名および概要」、この中に法務省関係で「(土地建物購入契約について)名古屋福岡刑務所で、国庫債務負担行為により土地建物等購入契約を行なうにあたり、契約目的である購入対象物の詳細について明確に取決めがなされておらず具体的な評価が不可能であるのに契約金額を約定しているものがある。」こういうことを注意事項として出されておるわけです。これは、おそらく今までの刑務所というものは、おもに市中になってしまって、繁華街等になってしまった。そこで、刑務所性質からいって、できる限り郊外等に移そう、こういうことから、これらの名古屋福岡の両刑務所等郊外地を選定していこうというところで、こういうあれが起こってきたと思うのです。そこでこの「購入対象物の詳細について明確に取決めがなされておらず具体的な評価が不可能であるのに契約金額を約定しているものがある。」これについて検査院からもう少し詳しく説明をしてもらいたいと思います。
  16. 樺山会計検査院説明員(樺山糾夫)

    樺山会計検査院説明員 昭和三十五年度の予算国庫債務負担行為に基づきまして、三十六年の三月三十一日に名古屋刑務所福岡刑務所につきまして、それぞれ名古屋市と福岡市、この間に、在来の建物にかわる施設を建設させて、三十九年の八月末までに引き渡しを受けるということを内容とする購入契約を締結したわけでございます。その金額は、名古屋につきましては十億円、福岡につきましては五億五千万円となっておりますが、その購入契約につきましては、ただ金額がきまっておりますだけで、その建物内容につきましては、簡単に申し上げますと、鉄筋の建坪何坪である、その他簡単な構造を示しておるだけでございまして、現在われわれの調査しましたところにおきましては、設計書もその契約当時にはできておらなかった、そういうような契約をいたしたわけでございます。従いまして、実際に建物が作られます際に、その建物構造等につきまして明確な取りきめがないものでございますから、はたして十億円相当のものが、実際に建設されて引き渡しを受ける場合に、物価の値上がり等によりましていろいろの問題が起こってくるのではないか、そういうような問題があるわけでございます。  もともと国の契約につきましては、予算決算及び会計令等によりまして、契約目的は詳細に契約書をもって定めるというのが原則でございます。従って、こういう異例な契約をやることは、国の契約として妥当ではないという意味におきまして、事務総長から法務次官あて注意書を発したわけでございます。
  17. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 今の説明ではよくわからぬのですが、これは契約をしたのはいつなんですか。三十九年の八月に完成をして引き渡すという条件のもとに契約をしておるわけなんだが、契約は三十六年の三月に契約したのですか、いつ契約したのですか。
  18. 樺山会計検査院説明員(樺山糾夫)

    樺山会計検査院説明員 三十五年度の予算国庫債務負担行為によって契約したのでありまして、契約しました日は三十六年三月三十一日でございます。従って、十億円及び五億五千万円の額は、この三月に契約した時点においての価格計算をいたしております。
  19. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 そうすると、三十九年の八月にこれらの建築物を引き渡すという約束のもとに、三十六年の三月三十一日に契約したのですから、この十億という物件と五億五千万という、この二つ評価というものは——これは今度は法務省にお尋ねするわけですが、何を基準にしてするのか。今お聞きすると、設計も何もできていない。にもかかわらず、これが十億であり五億五千万という、この二つ刑務所物件は、何を基準にして評価なさったのですか。
  20. 新谷政府委員(新谷正夫)

    新谷政府委員 評価につきましては、国庫債務負担行為として御承認いただきました趣旨に従いまして、政府側といたしましては、十億円あるいは五億五千万円の範囲内で施設購入をし得る、その最終時期が昭和三十九年ということになっております。契約を締結いたしましたのは昭和三十六年三月でございます。  今お尋ねの点は、何を基準にして評価したかという御質問でございますが、まず私どもの方といたしましては、十億円あるいは五億五千万円の範囲内で契約をしてよろしいという御承認をいただきましたので、その範囲内のものを契約相手方に作っていただいて、これを購入する、こういうことになるわけであります。そういたしまして、契約いたしますには、そのものを特定させなければなりませんので、昭和三十六年三月三十一日の契約時点現在におきまして、かくかくのものを作っていただくというふうな契約にしておるわけであります。まだ現実にその建物はでき上がっておりませんので、そのもの自体評価というものは、現段階ではまだできないわけでございます。昭和三十九年の引き渡し時期におきまして建物完成し、その際にさらに評価いたすわけでございますが、契約昭和三十六年の契約時点における評価、これが十億円あるいは五億五千万円相当のものということになっております。従いまして、この物件ができ上がりました上でこの評価にかかりまして、三十六年三月現在の価値にこれを直してみた場合に、十億あるいは五億五千万円相当のものであればよろしい、かようになるものと私どもは了解いたしております。  評価につきましては、これはあげて財務局の方でやっていただきますので、でき上がったものがどのように評価されますか、これはものができました上で財務局担当官評価されることになろうと思います。それに従って契約通りのものであればそれを国が購入する、かようなことになろうと思います。
  21. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 これはどういうことなんですか。十億とか五億五千万とかというのは、この範囲内で名古屋並び福岡刑務所を新しく作るというのですけれども、これは予算要求というものはされておらないのですか。これは予算はないのですか。ただ、それだけのものをやってよろしいという了解というようなことでかかってやるのですか。予算というものはこれはないのですか。
  22. 新谷政府委員(新谷正夫)

    新谷政府委員 現時点におきましては、一般予算としては予算は計上されておりません。国庫債務負担行為性質上、当該年度契約を履行し、代金を支払うということはできませんので、これは三カ年あるいは四カ年にわたって建設工事をいたします。それができ上がりましたところで、国がこれを購入いたすわけでございますから、三十九年度の完成時を目標といたしまして、その際に予算を計上して買収する、かようなことになる次第でございます。
  23. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 そうすると、会計検査院、今お聞きしていると、まだ予算は上げていないのだ、ただ、十億と五億五千万というこの範囲内でこういう建物を作ってよろしいということでやったんだというのですが、あなたの方でこれに対して注意を発しているわけですが、そうなると、注意を発する焦点はどこになるのですか。
  24. 樺山会計検査院説明員(樺山糾夫)

    樺山会計検査院説明員 これは、三十六年の三月三十一日に、鉄筋何坪の建物を十億で購入するという契約でございます。そういった確定契約をこの時点でやったわけでございますが、そういった十億という積算が、設計書もないような時期にこういう計算を出すということは、実際上はできないじゃなかろうかということが、われわれの注意した焦点でございます。
  25. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 そうすると、十億なり五億五千万なりという積算をしていくには——設計も何もないにもかかわらず、十億なり五億五千万なりという積算をしたのは、これは全く根拠のない積算である、だからこれは注意すべきだ、こういうことですね。違いますか。
  26. 樺山会計検査院説明員(樺山糾夫)

    樺山会計検査院説明員 その点と、さらにもう一つは、この鉄筋何坪ということはきまっておりますが、どういう構造のものを作るかということは、設計書もない関係上きまっておらないわけでございます。従いまして、値上がりがしてきますので、結局、質を落としていくということのほかに方法はないじゃなかろうか、そういった契約やり方そのものが、会計法規から見まして、少し妥当ではないんじゃなかろうかというのがわれわれの考え方でございます。
  27. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 今、検査院からお聞きしますと、設計書も何もなくて、金額十億というものをきめていくことに対して、これは時点の問題もあるわけですが、そういう点から、これは非常に疎漏な契約じゃないか、こういうことだと思うのです。あなたの方ではこれはどうお考えになるわけですか。やはとこれは正しいというお考えなんですか。
  28. 新谷政府委員(新谷正夫)

    新谷政府委員 福岡名古屋刑務所の移転問題に関します契約につきまして、検査院の方から御注意をいただきましたことは、まことに私どもとしても遺憾に存じておるわけでございます。  国庫債務負担行為というような、このような長期にわたる工事というふうなものを、法務省といたしましても従来やったことがございません。初めて福岡名古屋につきまして、国庫債務負担行為という形式の契約をさしていただくことになったわけでございます。まあ準備も十分でございません点もございましたが、一方では、地元名古屋市あるいは福岡市の方からも、早急に移転してもらいたいというような御要望もございまして、昭和三十五年度の予算におきましてこの御承認をいただいた次第でございます。  事務の方といたしましても、できるだけ完備した形において契約いたしたいと思いまして、そのような準備をできるだけ進めてこの契約にこぎつけたわけでございますが、何分にもふなれな点もございましたし、どの程度の契約内容にしたらよろしいかというふうなことも、実はなかなか見当のつけがたいような点もあったわけでございます。しかし、こういう重大な契約につきまして、万一契約が無効になるとかなんとかいうふうなことがあっては、これは申しわけございませんので、その点は、部内でも慎重に協議を遂げまして、私法上の契約についての有効、無効の問題、あるいは妥当性の問題、そういったことについても、法務省内部部局の民事局あるいは訟務局等の専門の意見もただしまして、これならばものが特定し得る、従って契約は無効にはならないという判断を得まして、今回の名古屋福岡契約にこぎつけたわけであります。  ただ、先ほど申し上げましたように、初めてのことではございますし、準備が必ずしも万全でなかったということは、私どもとしても非常に遺憾に存じております。そういった意味で、検査院から御注意をいただきましたことは、これはごもっともなことでもあろうと思いまして、今後についてはそのようなことのないようにいたしたいということでやっておるわけでございます。  そこで、福岡名古屋の場合でございますが、確かに検査院から御注意いただきましたように、疎漏であったじゃないかと言われますと、今考えてみますと、まことにそのようにも感じるのでございますが、この契約当時におきましては、これが無効にならないようにという観点から、できるだけ契約対象を特定し得るような形にはしたつもりでございます。この契約をごらんになればおわかりになるのでございますけれども、この建物の全体構造、それから各部屋、たとえば事務室とか医務室とか面会室、この構造鉄筋にするかブロックにするか、あるいは天井とび壁をどういうふうな仕訳にするが、コンクリートにするとか、あるいはモルタルにするとかというふうな、それぞれの種類につきまして、こまかく仕訳表を作りまして、さらに仕様書によってその材料等の明細を掲げてあるわけでございます。その単価積算いたしますのは、三十五年度の予算単価基礎にして、この範囲であれば十億あるいは五億五千万円の範囲内のものができるという目安をつけまして、実は全体構造を作ったわけでございます。ただ、設計図をこれに間に合わせるということになりますと、相当の期間もかかりますし、そこまでの手が届かなかっということは、まことに申しわけない次第でございますけれども、少なくとも契約として無効にならないように、こういうものにあるということが特定し得る範囲仕訳仕様書を作った上で、この契約を締結したわけでございます。それでもなお、設計書がないので不十分だというふうな御注意でございます。これもまことにごもっともだと思っておりますので、今後さようなことのないように、十分の準備を整えてやりたい、かような考えで現在おるわけでございます。
  29. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 鉄筋で何坪でどうだこうだと言われてみても、設計書がないでしょう。設計書がなくて——鉄筋であるとかモルタルであるとかということになっていれば、設計書というものができなければならぬはずですがね。これはどうもその答弁ではおかしい。設計書ができていないにもかかわらず、こういう契約をしたのは疎漏じゃないかということ、会計検査院意見を要約するとそうなっておる。  そこで、私がここで問題にしてお聞きするのは、刑務所というのは、大体郊外郊外へと出ていく、これは当然だと思う。どうも三十五年に十億なら十億という一つ目安をつけてやっていったとして、今度市内にあった刑務所というのは、お聞きしますが、これは大蔵省へ返ってしまうわけですね。それで新たにこっちで作るということになるわけですけれども、そうすると、三十五年の契約でやった場合に、あなたの方で契約が無効になるということを非常に心配しておられたわけですが、これはいずれも福岡なり名古屋なりでしょう。公共団体との契約じゃないんですか。そうでしょうね。公共団体との契約で無効になるというのはどういうことですか、それを心配するというのは。
  30. 新谷政府委員(新谷正夫)

    新谷政府委員 契約相手方は、御説の通り名古屋市あるいは福岡市という公共団体でございます。しかし、契約そのものは、あくまでも個人間の契約と同じように、私法上の契約でございます。従いまして、これが民法上のいろいろの事由に該当いたしますと、無効になりましたりあるいは取り消しの原因が発生することも、これは絶無じゃないわけでございます。国と公共団体との間の契約と申しましても、個人間の契約契約性質としては法律的に全く同一だと私ども考えておりますので、そういうそごのないように、あやまちのないようにということをもっぱら私ども心配いたしたわけでございます。
  31. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 そこで、契約が破棄される、契約がこわされてしまうことを心配したがゆえに急いだということですが、それじゃ契約がこわれてしまう、だめになるという要素は、この場合どういうところが心配される要素なんですか。
  32. 新谷政府委員(新谷正夫)

    新谷政府委員 三十五年度の予算におきまして、名古屋福岡国庫債務負担行為承認されたわけでございますが、これは昭和三十五年度内に契約を締結するという条件になっております。そこで、承認されまして、いろいろ土地確定、その他につきまして地元公共団体ともいろいろ話し合いを続け、さらに刑務所の全体的な配置計画その他についての検討等を続けて参りましたために、日時がだんだんと切迫して参ったわけであります。そういたしましたために、十分な準備も実は間に合わなかった、言いかえれば、ただいま御指摘のような設計書も作る余裕が実はなかったわけでございます。さりとてとの契約を締結しないということもできませんので、この契約が無効にならない範囲でものが特定し得るならば、設計図はそれに即応して仕上げるということになりますので、こまかい仕様書をまず作りまして、それをもとにいたしまして、福岡市、名古屋市と契約いたした、かような経過になっております。
  33. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 くどいようですが、設計書がなくて仕様書ができてしまって、それで契約したというのは、私はその点からいうと、会計検査院注意に対して同調せざるを得ないのだな。設計書があって初めて仕様書ができるわけでしょう。それが設計書がないのに仕様書ができちゃって、それで契約したということになると、これは国の、いわゆる国民の血税から支払われるものである。ことに法務省ともあろうものが、契約するのに設計書がなくて契約——幾ら急ぐからといっても、相手が市でもあることだから、設計書ができて契約することがやはり当然じゃないか。従って、やはり会計検査院注意をされることが当然じゃないかと思うんですが、どうお考えですか。
  34. 新谷政府委員(新谷正夫)

    新谷政府委員 まことに小川委員の御説の通りだと私どもも実は現在考えておるわけなのです。設計書ができないのに仕様書ができ上がるのはおかしいじゃないかということも、まことにその通りだという感じが現在はいたしておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたような事情に迫られまして、三十五年度中にこの契約を締結しなければならぬという私どもの責任もございましたために、日時が切迫いたしましたために、数カ月を要する設計図完成ということを見ないままに実は契約をいたしたわけでございます。設計図もなしに、仕様書だけで契約を締結するのはおかしいじゃないかという御批難もまことにその通りだと思うのでございますが、実はこのような契約の締結が、はたして瑕疵のない、契約そのものとして有効かどうかということについて、先ほど申し上げたように、省内の専門の部局の意見も徴しまして踏み切ったわけでございます。  ごく常識的に申し上げますと、たとえば木造かわらぶきの建坪三十坪の建物一つ注文して作ってもらいたいのだというような場合に、今申し上げたような木造かわらぶき二階建ての建坪三十坪の家を一つ作ってくれというだけの契約でも、契約としては有効に成立するわけであります。ただ、その際に、こまかい設計については請負人と注文者の間でこまかい相談をいたしまして、その金額範囲内で設計図を作ることも不可能ではないわけでございまして、これも必ずしも違法とはいえないと思うのでございます。ただ、理想を申し上げれば、設計図ができ、さらに仕様書もできて、完備した形で契約されればこれに越したことはございませんけれども、いかんせん時期的な問題もございましたために、今申し上げましたように、三十五年度の資材の単価基礎にしてまず仕様書を作りまして、坪数、構造仕訳の模様等をきめました上で全体の計画を作った、このような次第になっておるわけでございます。
  35. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 今の御説明では、あなたが言ったのは、契約するのに木造かわらぶき三十坪の家を契約しても違法ではない、これは違法でないかもしれない。しかし、それじゃどんなかわらを使おうと、どんな材料を使おうと、建坪三十坪あればいいというような契約をするわけで、私は契約の常識として言いたいのは、どういう材料を使ってどうやっていくというように、設計書並びに仕様書が出てきて初めて契約が作られていくのが契約の常識じゃないか。それを役所が、急ぐのあまりとはいいながら、設計書も作らずに契約したということは、違法でないとあなたは言われる、違法であるないの問題ではなくて、契約そのものがきわめてずさんだということになりはしませんか、どうなんですか。
  36. 新谷政府委員(新谷正夫)

    新谷政府委員 先ほど来申し上げておりますように、確かに御指摘の通り設計図もなしに契約したということにつきましては、私どもの方にも手落ちがあった、かように考えておるのであります。今後は検査院とも十分協議して検査院の御指導のもとにこういったことも遺漏のないようにやっていきたい、こういう方針で現在おるわけでございます。まことに申しわけない次第でございますが、先ほど御指摘のように、私どもの締結いたしました福岡名古屋契約につきましては、確かに完全でなかったということは申し上げられると思います。
  37. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 これは契約したことだし、急ぐ事情もわからないわけじゃないが、今後もあることだから、質問したのは、こういう設計書なしの契約というのは、どこだってやらないことなんですから、違法であるないということでなくて、——たとえばお嫁さんをもらうのだって、見合いか何か、どっちかするわけでしょう。てんで見ないでお嫁さんをもらうという人はない。これは常識はずれなんですよ。それと同じことで、こういう契約は、今後もっと慎重に慎まれるべきではないか、こういうことで、私は一応この点での質問は終わります。  次に、公安調査庁の方に質問するわけですが、公安調査庁は、その組織としては、調査庁設置法の二条に「法務省の外局として、公安調査庁を設置する。」そうして任務としては、三条に「公安調査庁は、公共の安全の確保に寄与することを目的とし、破壊活動防止法の規定による破壊的団体の規制に関する調査及び処分の請求等に関する国の行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。」そこでこれが五条に「公安調査庁に、左の三部を置く。」として、総務部、調査第一部、調査第二部となっておる。それで「調査第一部においては、破壊活動防止法第四条第一項第一号〔内乱、外患関係の暴力主義的破壊活動〕に掲げる暴力主義的破壊活動を行った団体に関する調査に関する事務をつかさどる。」それから「調査第二部においては、破壊活動防止法第四条第一項第二号〔内乱、外患関係以外の暴力主義的破壊活動〕に掲げる暴力主義的破壊活動を行った団体に関する調査に関する事務をつかさどる。」こういうことになっておって、十四条には「公安調査庁に、長官及び次長の外、公安調査官その他所要の職員を置く。」となっておる。私の調べたところによると、現行の実態は、調査庁の調査官数というのは千三百八十五人あって、このうち左翼関係が千百二十六人で八二%、右翼関係が二百五十九人の一八%、これに対する予算が、三十五年度の調査活動費というのは五億三千百万円、三十六年度が六億一千三百万円、三十七年度予算では、前年に比して三千六百万円増になっておる。人員も八十七人増になっておる。そして調査の対象としては、左翼関係では日共、それから朝鮮総連、全学連、共産主義者同盟、こういうのがあげられておるわけですが、これについてはお聞きした通りでございますか。
  38. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 ただいま御指摘の通りでございまして、公安調査庁は、破壊活動防止法に申します暴力主義的破壊活動の調査をいたしまして、要件がございます場合には、公安審査委員会にこれらに対する規制請求をする職責を持っておるわけでございまして、現在は左翼関係の団体といたしまして日本共産党、在日朝鮮人総連合会、普通全学連と申しております全日本学生自治会総連合、それから社学同と申しておりますが、日本社会主義学生同盟、次に、共同と通称いたしております共産主義者同盟、この五つの団体を左翼関係の調査対象団体といたしまして調査をいたしております。  右翼関係につきましては、護国団、大日本愛国党、治安確立同志会、日本青年連盟、全アジア反共青年連盟の五つの団体を調査対象団体として調査をいたしておるわけでございます。
  39. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 予算や人員は私がお聞きした通りですか。
  40. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 御指摘の通りでございまして、現在の右翼関係に当たっております調査官が総数二百五十七人ぐらいになると思いますが、昭和三十五年度におきましては、その数よりも少し少なかったのではないかと考えております。  御案内のように、右翼関係の活動が漸次活発矯激になって参りまして、浅沼、嶋中事件等が起って参りましたので、公安調査庁といたしましても、従来より以上に右翼関係に力を入れることといたしましたので、昭和三十五年、六年、本年度もさらに右翼関係を重点に置いて調査をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  41. 西村(力)委員(西村力弥)

    ○西村(力)委員 ちょっと関連しまして。三十五年度の資料が出ておりますが、これを、三十七年度の分も説明してもらいたい。本庁が三百三十五名、地方支分部局が一千十七名、こういう一連のものは三十五年度の予算関係ですから。すぐ出ないとすれば、調べておいていただいて、適当な時期でけっこうです。
  42. 鈴木委員長(鈴木仙八)

    鈴木委員長 それではお調べを願っておきます。
  43. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 ここにいわゆる法務省の報償費というのがあるわけですが、これの支出は、本庁からブロックの局長、それから府県の局長——名称が違うかもしれないが、この調査活動費というのはどこまで——いわゆる調査活動費だから会計検査院等において全部の——この調査活動費の各個々にわたった費用まで調査できるかできないか、私にはこれは聞いてみなければちょっとわからぬ。あなたの方で答弁のできるものはどこまでか。いわゆる担当官と呼びますか、支出官と呼びますか、本庁からブロックの局長にいくまでが報告できるのか、ブロックから府県の局長までいくのが報告できるのか、それとも調査官に渡ったところまで報告できるのか、報告のできる範囲というものはどの辺まで報告ができるように法律では規定されておりますか。
  44. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 公安調査庁におきましては、本庁におきましては総務部長、地方の公安局におきましては公安局長が支出官に指定されております。そういたしまして、本庁におきましては、次長及び調査部の各部長、それから地方の支分部局におきましては、公安調査局長と、その下にあります各県の地方公安調査局長が調査活動費の取り扱い責任者に指定されておるわけでございます。支出官からその取り扱い責任者に調査活動費が渡されまして、取り扱い責任者が一切の責任をとって調査活動費を使用いたしておるわけでございます。  公安調査庁といたしましては、会計法規に従って調査活動費の支出及びその経理をいたしておるわけでございますが、事柄の性質上、調査活動費はいろいろ秘密を要する調査活動に使いますので、会計検査院にお願いをいたしまして、簡易証明手続を承認していただきまして、正規の領収証等は、それぞれ公安調査庁本庁及び各公安調査局に保管をいたしておきまして、会計検査院の実地検査の際には、それらすべてについて詳細な検査を受けておるわけでございます。
  45. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 本庁からいわゆる近畿、東北あるいは東海とかのブロックの局長がいるでしょう。その下に、府県に、名称は何というか知らぬが、やはり局長を通じての機関がある。そこまでは、府県の責任者は取り扱い責任者になっているという御答弁です。会計検査院に対しては簡易証明手続によって云々と言われていますが、そうすると、会計検査院が調査をする場合には——いわゆる簡易証明手続というのはどういうことなんですか。領収証はとらないのですか。ただ、これだけの金を局長なり責任者が受け取った、それをどう使ったということは省略するということが簡易証明手続なんですか。簡易証明手続というのはどういう取り扱いの仕方をさしていうのか。それから、それを会計検査院に了解を得てというが、それの了解を得たりする法律はどういう法律になっておりますか。
  46. 樺山会計検査院説明員(樺山糾夫)

    樺山会計検査院説明員 計算証明としてどういう書類を出すかということにつきましては、会計検査院法の規定によりまして会計検査院がきめることになっております。それによりまして計算証明規則という会計検査院規則が作られておるわけでございますが、それによって、一般の歳入歳出についてどういう書類を出せということがきめられておるわけでございます。この計算証明規則の第十一条に「特別の事情がある場合には、会計検査院承認を経て、」一般と違う取り扱いをすることができるという規定がございます。この公安調査庁の調査活動費につきましても、先ほど御説明がございましたような特別の経費でございますから、これの規定によって承認をしておるわけであります。
  47. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 特別の仕事であるから簡易証明でいくようにしているというお話ですが、私のお聞きするのは、それは府県なら府県の機関から調査官に渡り、調査官から一般に流れていくのでしょうが、この点、調査官に渡り、調査官から一般に出ていく間は、これは込み入った秘密というものもあるかもしれませんが、本庁からブロックに、それから県にいくまでは、これは当然あなたの方では調査の対象になる資料等はおとりになれるじゃないですか。どこまでが会計検査院に出す責任があるのですか。
  48. 樺山会計検査院説明員(樺山糾夫)

    樺山会計検査院説明員 先ほど御説明がありましたように、本庁につきましては総務部長が支出官でありまして、地方におきましては、各公安調査局長が支出官となっておるわけでございます。それに対しまして、取り扱い責任者が本庁では次長、地方では調査局長ということになりますが、会計検査院に提出されております証明は、支出官が取り扱い責任者に幾ら支出したという受け取りが参っております。さらに付属書類として、取り扱い責任者から各取扱い者に対して幾ら渡したということの内訳は書類としてとっております。それ以上のことは、先ほど御説明がありましたように、実地検査の際、領収証につきまして十分な検査をいたしておるわけでございます。
  49. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 そうすると、取り扱い責任者というのは府県にある機関だ、こう思うのです。そこでここまではあなたの方で見ておられわけですね。そうすると、調査庁の方にお尋ねしますが、本庁が総務部長、それからブロックの局長、府県の取り扱い責任者、ここまで流れていく。その下の調査官に渡って一般に出ていくのはこれはいいとして、ここまでの金額の、いわゆる支出の報告というものは国会に対してできますね。どうですか。
  50. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 先ほど少し言葉が足りませんでしたので、あらためて申し上げますが、本庁の支出官が総務部長、それから地方局の支出官が公安調査局長、そのもとに本庁では次長が取り扱い責任者、地方におきましては、公安調査局長が取り扱い責任者というふうに指定されておるのでございます。その下にさらに取り扱い者として、本庁では次長、総務部長、調査第一部、第二部の各部長、それから公安調査局におきましては公安調査局長、地方局におきましては地方局長がそれぞれ取り扱い者に指定されておるわけでございます。  会計検査院に対しましては、月々支出官から取り扱い責任者に支出いたしました詳細を支払い明細書としてお送りをいたして、書面の御点検を願っておるわけでございます。各取り扱い責任者のもとにおきましては、さらにそのこまかい内訳と領収証を取り扱い責任者の手もとに保管をいたしておきまして、実地検査の際に、おいでを願った検査官の検査を受けておるわけでございます。
  51. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 いや、私のお聞きするのは、本庁からブロックに、ブロックから各府県の取り扱い責任者まで流れた、この渡った金額は、あなたの方で国会報告できるかできないか。できないならば、それは法律の何条によってやらなくていいようになっておるかということをお聞きしておるのです。
  52. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 先般小川委員からの御要求もございまして、資料を提出いたしておいたわけでございますが、公安調査庁といたしましては、昭和三十五年度において本庁で使用いたしました総額が一億七千八百……。
  53. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 ちょっと、それはいいです。金額の点はあとでお聞きしますが、そういう資料として国会報告できるかできないか、これを私はお聞きしている。できないならば、それは法律の何条によってそういうことはできないのか、こういうことをお聞きしておるのです。
  54. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 公安調査庁として当委員会に御説明申し上げ得る限度は、資料として提出いたしました本庁の総額が幾ら、公安調査局が八つございますが、それの総額が幾ら、それから地方公安調査局の総額が幾らというところまで御説明できるわけでございますが、それ以上さらに詳細な——とこの地方局が幾ら使っているかという問題になりますと、公安調査庁の調査活動がきわめて秘密を要するものでございますので、国会に対する御説明を御容赦願いたいと考えております。
  55. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 私ども一応は常識を備えておるつもりなんです。ですから、ただ地方まで、いわゆる取り扱い責任者までいったのは報告ができる、それ以上は報告を御容赦願いたい——するしないという問題ではないので、しないということは、法律の根拠はどこにあってしないでいいのか、根拠はないけれども、それは聞かれて困るから報告をさせないでくれというなら、それはそれでいい、そのどちらですかということを聞いておるのです。
  56. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 公安調査庁の調査は、犯罪捜査と同じように、きわめて秘密の調査活動をいたしておりますし、また、いろいろ任意の協力者の御協力を得まして、資料、情報を集めておるわけでございます。こういう活動を遂行いたしますためには、きわめて秘匿した形で事務を行ないませんと、公安調査庁の活動自体ができませんし、また反面、こういう協力者が表に現われるということは、その協力者の人権等も十分考えなければなりませんので、従来とも、具体的に調査官が個々に使っております調査活動費の詳細がわかるような御報告は、御容赦を願いたいというふうに国会の方へ申し上げて参っておるわけでございます。
  57. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 その点はわかりました。そうすると、本庁から府県の取り扱い責任者までの分は報告できる、それ以上は御容赦してもらいたい。いろいろ機密もあることだし、協力者の人権も重んじなければならぬから、そうしてもらいたい、こういうことで、これはわかったのですが、私のこの解釈——いわゆる府県の取り扱い責任者までは出せるわけですね。
  58. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 御質問の点につきましても、さきに資料として御提出申し上げましたように、公定調査局の総額、それから地方公安調査局の総額という点で御容赦をお願いいたしたいと思います。その平均は大体出て参ると思います。
  59. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 さっきのあなたの答弁とちょっと違うじゃないですか。地方公安調査局まで——府県にあるのは何という名称か知らぬが、そこの取り扱い責任者の分までは総額として出せるんじゃないですか。あなたはさっきそういう答弁をしたのじゃないですか。   〔委員長退席、西村(力)委員長代理着席〕 それが今度ここで急に地方公安調査局までで切るというのはどういうことですか。私どもも、それから先の調査官の活動というものは、いろいろ秘密があるだろうし、かたがたするから、問題があるであろうことは認めます。この府県までの総額というものは、——府県というのはおかしいが、府県にある機関があるでしょう、それまでは出せるんじゃないですか。さっきあなたは、そこまでは資料として出せる、こういうことをおっしゃったじゃないですか。
  60. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 各県にございます公安調査庁の出先機関が地方公安調査局でございます。その地方公安調査局に昭和三十五年度におきまして渡しました調査活動費の総額が一億四千七百八十一万一千円、一局平均にいたしますと三百五十一万九千円になるわけでございます。この限度までは差し上げられるわけでございます。
  61. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 地方公安調査局に、今御答弁になった一億四千七百八十一万一千円という、これは総額です。これが府県に、いわゆる地方公安調査局別に幾らいったか——あなたは平均で言われていますが、これは違っていなければならぬはずです。これをお聞かせ下さい。
  62. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 地方公安調査局は、対象団体の数の大小にもよりまして、あるいは対象団体側の活動の活発状況いかんにもよりまして、定員におきましても、使用いたしております調査活動費におきましても区々でございます。どこの県へ幾ら、どこの県へ幾らということで申し上げますと、非常に調査活動に支障が出て参りますので、総額で御容赦をお願いいたしたいと考えております。
  63. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 私のお聞きするのは、これで容赦して下さい、これはわからないわけじゃないんだが、これで容赦してくれというのか、それとも、これはあなたの方では出さなくてもいいのか、そこまでは国会に対して報告する義務はないんだ——ないならば、それは法律の何条によって、ないからしなくてもいいのか、こういうことなんです。御容赦をして下さいでなくて、国会でこれを審議するのに、地方別に——総額で一億四千七百万というものを発表しているのだから、それならば、それがどこへ幾らいってどこへ幾らいったということにならなければ、一億四千七百万というものをわれわれは納得することができない。それ以上の、地方公安調査局からさらにその下部に対してまで聞こうとしても、これは調査活動に対する支障になるだろうから、私どももそれは聞きません。しかし、ここまではあなたの方で答弁なさっても一つも差しつかえないことじゃないですか。また答弁すべきことじゃないですか。もし答弁して困るというなら、何がゆえに困るのですか。一億四千七百八十何万というものの府県別の内訳、地方公安調査局別の内訳がどうして発表して困るのですか。
  64. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 公安調査庁の調査活動は、先ほども申し上げましたように、きわめて秘匿を要する活動をいたしておりますので、会計検査院にもお願いいたしまして、簡易証明手続の御承認を受けておるような次第でございまして、各地方公安調査局それぞれが幾ら幾ら使っているという詳細まで申し上げますと、調査の秘密に触れてくるわけでございます。従いまして、その各県の個々の金額等については御容赦をお願いいたしたいと思います。
  65. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 委員長として申し上げます。  これは幾ら言っても、かんべんして、かんべんしてと言うのですが、しかし、いかに秘密だからといっても、もう一歩前進して、小川委員要求は、各地方公安調査局ごとのあれを出してくれというのですから、これくらいは出せないはずはないと私は思うのですが、秘密にも限度があると思うのです。その点になりますと、ここで決議をした場合には、そういうものは出せますか。出せないと言わせないということになりますが、その点は一応念のために聞いておきたいと思います。
  66. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 調査活動費と同じような性質予算を持っておる機関がほかにもあるわけでございます。従いまして、今、委員長の御質問の点につきましては、内部でいろいろ協議もいたしてみなければなりませんし、担当大臣の御指揮も受けなければなりませんので、現在におきましては、資料として提出いたしました程度の報告で御容赦をお願いいたしたいと思います。
  67. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 重ねて申し上げますが、他にこれに類する取り扱いがあるということを示して下さい。
  68. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 たとえば法務省所管におきましても、検察関係にもそのような費用がございますし、それから警察庁等におきましても、同様な費用が予算として認められておるわけでございます。
  69. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 ただいまの小川委員からのお話は、各地方公安調査局ごとにお示しを願いたい、こういう要求だと思うのです。私は別に額は秘密じゃないだろうと思うのです。その使い道が、いわゆる外部に機密を要するものであるから、これは発表できないというならば理由の一つにはなりますが、額は別に秘密じゃないでしょう。幾ら使ったか調べるのが国会の責任であります。公安調査庁も、その中身については一部公開をはばかるとか、あるいは捜査の段階にあるものもありましょうから、これを一々ここで、公開の席で発表することはいかがかと思うのは理屈が通ります。しかしながら、額を示すというのは、しかも今日ただいま使っておるものでなく、既往の決算の額をお示し願いたい、こう言うのですから、これを拒否される理由はないと私は思います。ほかの役所においてもそういう種類の費用がございますと言うが、それを問うておるのじゃなくて、あなたのものを発表願いたい、こう言うのです。ですから私は理屈が通ると思います。いかがですか。  ついでに、関連でありますからもう一つ申し上げておきますが、調査費あるいは報償費というのかわかりませんが、これは一々目的を示して調査費を支出するのですか、その目的を示す場合は、きちっとその目的通り使っているかどうかは、いわゆるだれがこれをチェックするのか、そういう点はどうなっておりますか。
  70. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 各地方局別の金額の詳細を公表いたしますと、それぞれの地方局の調査活動がうかがわれるわけでございます。従いまして、そこまで参りますと、公安調査局の調査活動がやや公然になって参りますので、そこまでの詳細の御説明は御容赦を願いたいというふうに申し上げておるのであります。  それから、各地方公安調査局に対しましては、総額で従来の実績等を検討いたしまして本庁から送付をいたすわけでありますが、その使途の内容につきましては、公安調査庁長官以下われわれも、常に実際に現地に臨みまして、正しく使われているかどうかを日常監査をいたしておりますし、また、会計検査院の必要なつどの実地検査も受けておるわけでございます。
  71. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 額を示すということはいかがかと思うというお話でありますが、これは私は絶対に認めるわけには参りません。はっきり申し上げます。これくらいなことが発表できなくては、決算委員会として審議ができません。  なお、お尋ねしますが、いわゆる過去の実績に応じて渡すというのだが、調査活動は機動性を帯びておる。実績とはどういうことであるか。実績に応じてやるのかどうか。公安調査の対象は、いわゆる破防法に基づくところの調査が主眼でありますから、この調査はやはり機動的である。そうだとするならば、いわゆるこの予算の使い方は、いずれも機動性を帯びておらなければならない、こういうふうに考えますが、その使い道はどうなんですか。あなたのおっしゃることを聞いておると、予算の配賦を受ければ、全部過去の実績に応じて配賦するということだが、こういう予算の使い方をされたのでは、私は破防法についても問題があると思います。それは問題がないという立場に立っても、これはおかしいと思うが、どうですか。
  72. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 それぞれの地方公安調査局におきまして、従来調査のためにそれぞれ調査活動費を使って参っておるわけでございます。もちろん御指摘のように、対象団体側の動きによりまして、あるいはその活動の変化によりまして、調査活動も違って参るわけでございまして、調査活動費もおのずから高低があるわけでございます。そういう場合には、もちろん本庁に相談をいたしまして、その額が上下することもあるわけでございます。
  73. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 私は関連ですから、もう一つだけにしておきますが、いずれにしても、先ほどの額の問題は、小川委員から結末をつけていただきましょう。  ここで申し上げたいのは、たまたま新聞などに公安調査局のこの種の費用の使い方で非常に問題が出る場合があるのですが、これはどの範囲まで使えるのですか。たとえば調査のためには手段を選ばずだから、芸者を買う金まで出してやってもいいのですか、いかがですか。
  74. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 公安調査官の調査活動費の使途を大きく分けますと、大体四種類になるかと思います。第一の種類は、この調査活動に協力をしてくれる人たちに対しまして、その人たちの協力に応じて実費弁償的に渡す金、それから第二番目には、そういうような協力者に協力をお願いするまでに、いろいろな活動を調査官がいたすわけでありますが、そういう協力者の協力を得るまでの活動の実費。それから第三番目には、公安調査官自身が飛び歩きまして、直接その調査官の五感によりましていろいろな調査活動をいたすわけであります。そういう調査官自身が行ないます調査活動の実費が第三になります。それから第四番目には、公安調査庁といたしましては、警察その他関係機関と連絡、協調をとりながら調査を推進しておるわけでございまして、こういう関係機関との連絡のために調査活動費を使用いたすことがございます。従いまして、われわれといたしましては、もちろん戒心をいたしまして、この調査活動費を使用いたしておるわけでありまして、今申し上げましたような目的に向かってこの活動費を使っておるわけでございます。
  75. 久保委員(久保三郎)

    久保委員 私の質問は、具体的に例を一つあげたのです。四つの問題をお出しになりました。四つの中には、たとえば、必要によれば手段を選ばずということで、いかなる方面にも予算を使うことができるのかどうか、そういうことをお尋ねしているのです。例としては、手段を選ばずでありますから、こいつは芸者を買った方がいいと思えば芸者を買わせる、こういうことまでやっていいのかどうか。あるいは協力を得るためというのは、早い話が、情報を提供してもらうように協力してもらう、協力してもらうためには手段を選ぶはずだから、自分の認定によって、これは一万円でいい、あるいはこれは十万円やった方がいい、そういう限界まで許しているのかどうか。たとえば協力を求める場合には大体どの程度で押えているのか、あるいは一銭もやらぬでも協力を求められる場合もあるでしょう。こういう名前を使えばどんなにも金は使えるのです。われわれは、調査そのものについてこの席でとやかくは申し上げません。しかしながら、その予算の使い方について、この委員会としてはやはり審議をしなければなりません。こういうどこにも報告できない、自分のところだけでチェックしているというか、判断でやっているというのではちょっと困る。  それから、警察との連絡のために金が要ると言うが、どういうわけで要るのです。同じ役所で、官庁同士でやはり一ぱい飲ませなければいかぬという場合でもあるのですか。そういう金ですか。それとも、おつかい物でもしなくてはだめなのですか。いかがです。  それから調査官自身の行動費、これは公務員にはちゃんと旅費規程がございます。出張命令に基づくところの旅費がある。調査については、やはり出張を命ずるのでしょう。どういう形式かわかりませんが……。そうすれば当然出張旅費でこれはまかなうべき筋合いです。調査官自身の費用というのはあり得ないのです。  さらにもう一つは、情報提供者に対する実費弁償というか、実費弁償も官庁の規制によればきちっときまっているはずです。あなたの御説明では、この実費弁償というのはいいかげん——いわゆる適当な裁量に基づいて予算の中から出していくというのでしょう。こういうルーズな使い方はどうかと思うのです。いかがなものですか。
  76. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 協力者に交付いたします調査活動費は、もちろんその協力者が物心両面にわたっていろいろ苦労をいたすわけでございますから、それに対する実費弁償的な意味を含んでおるとともに、その提供いたしました情報の価値等も十分に考えまして、上司が調査官に指示をし、調査官が上司と相談をいたしまして、適切な金額をそれぞれきめておるわけでございます。従って、ただ一調査官の独自の判断で、その場合は幾らというような支出の仕方はさせておらないのでございます。  それから、公安調査官が自分自身でいろいろ調査活動をいたすわけでございますが、場合によっては尾行することもございます。あるいは長時間にわたって監視することもございますが、そういうような場合に、いろいろな諸経費がかかるのでありまして、あるいはタクシーを使うこともございましょうし、調査官自身が歩き回ります際に、調査実費としていろいろな金がかかるわけでございます。そのような費用をこの中から使用いたします。  関係機関との連絡につきましては、もちろん簡素を旨といたしまして、昼になりますれば食事等は出さなければならないわけでございますが、その程度のものでございます。
  77. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 先ほど、検察庁あるいは警察で同じような取り扱いをするものがあると宮下説明員は申しましたが、各地方の検察庁にいっていますこういう種類の金は、どこの検察庁には幾ら、これは明らかにしておるのではないですか。
  78. 新谷政府委員(新谷正夫)

    新谷政府委員 検察庁につきましても、先ほど宮下部長説明申し上げましたと同じような扱いになっております。
  79. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 今、関連で久保君がお尋ねしたわけですが、私はこの点でちょっと了解できないわけです。この決算というのは、国の予算が適正、妥当に使用されたかどうか、またその経済効果、行政効果があがっておるかどうか、単に不正、不当ばかりでなく、こういう点に力を入れてわれわれは審査しているわけです。今の答弁によると、これは調査活動に支障を来たすからと言うけれども、今は三十五年度の決算を審査しておるのであります。三十五年度の決算を審査しておるのに、三十五年度の各地方公安調査局別に渡した金額報告することが何で調査活動にそごを来たしますか。われわれ理解できないのはここなんです。これからの分ならば、問題があるということも一応理解できますが、三十五年度に地方公安調査局に出した金を国会報告して、どうして調査活動にそごを来たしますか。その点答弁して下さい。
  80. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 公安調査庁は継続的に団体の破壊活動を調査いたしておるわけでございます。従いまして、たとえば日本共産党をとりましても、数年来継続をいたしまして調査を続けておるわけでございまして、その年度限り、一年限りというわけではございませんで、協力をしてくれる人たちにいたしましても、あるいは調査活動にいたしましても、過去から引き続き今日まで調査活動を続けておりますので、お尋ねのような点が公表されますと、調査活動の上に非常に支障を来たすわけでございます。
  81. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 私はこの点についてもう少しお尋ねしたいのですが、あと農林省の関係もあるので、この点ばかり聞いておられませんから、今度は具体的に例をあげてお尋ねします。  さっきあなたの方では協力者の人権を重んじなければならぬという答弁でしたが、これは全くごもっともな答弁だと思います。従って、公表できないということも理解します。そこで私がお聞きするのは、新聞にずっと出ていたのを抜粋したのですが、昭和三十一年の十一月七日には、兵庫地方公安調査局のスパイ第六号事件というのがあったのは、あなたの方で御承知通りです。また昭和三十二年十月三十日には、中国公安調査局第一課田中孝調査官が、民家に対して盗聴器を使った事件というのがありました。それから昭和三十二年十月二十六日には、中部公安調査局のアンケートの事件というのがあるのです。それから昭和三十三年の七月三十一日には、公安調査庁による共産党大会の盗聴器取りつけ事件というのがあった。昭和三十四年四月十二日は、埼玉公安調査局によって、埼玉県の川口市の安行小学校の教員の横田広司という人に対してスパイを強要した事件がありました。それから昭和三十六年六月二十四日には、神奈川地方公安調査局によって、横浜市鶴見区潮田の飯尾剛氏に対してスパイを強要した事件がある。  そこで、こういうふうに幾多の事件を起こしているが、こういうのは、あなたがいう調査に協力してくれる人の人権を重んずるという点からいって、今度は一般の市民の人権を重んずるということも当然考えなければならぬはずだが、こういう事件をあなたの方では妥当な調査活動だとお思いですか、どうなんですか。
  82. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 ただいま御指摘の中で、三十三年に日本共産党の会合に公安調査庁が盗聴器を使ったということはございません……。
  83. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 私は、こういうふうに出ているが、個々のこういうことは、あなたの方でやってないことはいいんだ。これに該当したことに対して、さっきあなたは、協力者に対する人権を重んじなければならないと言ったが、一般市民の人権を、こういうことをしてあったのは重んじてないことになるんではないか。一々の例に対するあれはいいです。一体どうなんです。
  84. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 質問に合うような答弁を頼みますよ。
  85. 宮下説明員(宮下明義)

    ○宮下説明員 冒頭に御指摘になった事実で、特に違いがありましたので、お答えをいたしたわけでございますが、それ以外の点について、公安調査庁庁といたしましては、破防法の二条、三条等につきましても、特に日本国憲法に基づく基本的人権を十分に尊重して、調査活動を進めるようにという規定がございますので、私どもの調査活動におきましても、個人々々人権の侵害になりませんように、十分、注意をいたし、指導もいたし、調査活動をいたしておるわけでございます。  御指摘のように、ときどき各地でいわゆる紛争事件というのが起きまして、お互いに主張をし合うわけでございますが、これらの事件も、そのつどあるいは国会の御審議を受け、あるいは法務省の人権擁護局の調査も受け、あるいは場合によりましては、告発を受けて検察当局の取り調べも受けるわけでございますが、結果におきましては、私ども考えといたしましては、それぞれ主張の違いはございまするが、特に間違った調査をいたしておるという事実はないように考えております。あくまで根本的な態度としては、破防法に基づいて人権を尊重し、いろいろな人権問題に関連を持って参ります調査活動でございますから、特に注意をいたしてやっておるわけでございます。
  86. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 あなた今そういう御答弁になりました。私はこれから、私の調べた事実に基づいて具体的にお尋ねしなければならぬわけです。  ただ、ここで一点お聞きしたいのは、公安調査庁は、破防法の第四十五条によると「公安調査官がその職権を濫用し、人をして義務のないことを行わせ、又は行うべき権利を妨害したときは、三年以下の懲役又は禁こ(、)に処する。」こういうことになっておるわけです。  そこで、これから私は事例をあげてお尋ねするわけですが、ただ、今農林省関係の方が来ておられて、他との関係で早くきめたい、こういうので、これに対する質問者が芳賀君になっておりまして、皆さんには恐縮だが、芳賀君の質問が三、四十分で終わると思います。その終わるまでお待ち願って、質問を続けたいと思います。委員長、そういう事情ですから、芳賀君に一応質問を許していただきたい。
  87. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 それでは法務省関係、お待ち願いまして、通産省山本説明員、大蔵省の稻益関税局長検査院の宇ノ沢第四局長、着席を願います。  それでは、農林省所管について審査を行ないます。  まず、所管決算の概要について説明を求めます。中馬農林政務次官
  88. 中馬政府委員(中馬辰猪)

    ○中馬政府委員 昭和三十五年度の農林省所管決算の概要につきましては、お手元印刷物をお配りしてございますので、それによって御承知いただきたいと存じます。  何とぞ御審議のほど、よろしくお願いいたします。
  89. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 それでは、各位のお手元に配付いたしております昭和三十五年度の農林省所管決算の概要説明は、便宜委員会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。五千トン、てんさい糖は買い入れ予定四万トンに対し実績は三千トン、売り渡し予定七万一千トンに対し三万九千トン、飼料は輸入計画八十二万八千トンに対し実績は八十六万二千トン、売り渡し予定八十五万一千トンに対し実績は九十一万五千トンとなっております。  以上、昭和三十五年度のおもな事業の概要について御説明申し上げましたが、これら事業の執行につきましては、いやしくも不当な支出や批難さるべきことのないよう、常に経理の適正なる運営について極力意を用いて参りましたが、昭和三十五年度決算検査報告においても、なお不当事項として相当件数の指摘を受けておりますことはまことに遺憾に存じます。今後とも指導監督を徹底して事業実施の適正化につとめる所存であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  90. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 続いて、会計検査院当局より、検査概要について説明を求めます。宇ノ沢第四局長
  91. 宇ノ沢会計検査院説明員(宇ノ沢智雄)

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 それでは、農林省所管の三十五年度一般会計、各特別会計検査の件について御説明申し上げます。  一般会計の方から申し上げます。  まず、補助金のうち公共事業関係分につきましては、従来関係当局の指導監督の強化及び事業主体の自覚等によりまして、工事及び経理の状況は逐年改善されてきておりましたが、三十六年の検査の結果指摘した不当事項は、前年の四十三工事、三千五百十五万円に対し、百四工事、五千五百十六万余円となっておりまして、件数において一四一%、金額において五六%増加している状況でございます。これは三十四年発生災害復旧工事の施行量が三十五年度において最盛期に当たっていたため、現場監督の手不足等もその一因と認められますが、県が事業主体となって施行した海岸復旧工事、治山施設、漁港施設等の工事においても、工事の施行がきわめて不良なものが見受けられ、このうちには現場に事務所が設置され、監督員が数名常駐しているものもあって、工事の指導監督は十分行なわれる態勢にありますのに、このような事態が生じたことは、はなはだ遺憾であり、今後は監督及び検収を十分に行なうとともに、工事の施行にあたっては、工事の全工程を全般的に把握し、重要な工程については中間検査の励行に努めるなど、指導監督を一そう厳にする必要があるものと認められます。  三十五年災害復旧事業費の査定額の検査につきましては、復旧事業費が比較的多い青森県ほか七府県を選びまして千六百二工事、二十四億六千五百九十五万円について実施しました。この結果は、同一個所を重複査定しているもの、被害が軽微であるのに災害復旧の査定を受けて改良工事を施行しようとしているもの、積算過大のものなど、四百八工事、国庫補助金相当額にして六千十万四千円を指摘し、当局はこれを減額是正いたしました。  次に、公共事業関係を除いた一般補助について申し上げます。  本年度検査にあたりましても、事業量が大きく、しかも従来から不当事例の比較的多い農山漁村建設総合施設事業に重点を置きますとともに、本年度は風水害対策、チリー地震津波対策の災害補助金等をもあわせて検査を実施いたしましたが、農山漁村建設総合施設補助金につきましては、依然として積算過大、事業量不足などの事例が見受けられる状況で、今後この種事業の適正な実施について関係当局の一段の努力が望ましいと思われます。  次に、保険の関係について申し上げます。農業共済保険事業の運営につきましては、三十六年も主要農作物共済に関し、青森ほか九都県の六十四農業共済組合及び四市町村につきまして調査を行ないましたが、従来見られましたように、共済金の一部を支払わないもの、またはこれを正規の基準によらないで補償対象外の組合員をも含め共済面積割等で配分しているものなどの不当な経理が二十六組合、金額にして八千五百六十四万八千二百七十七円ありまして、共済保険事業の運営は依然として改善の跡が見受けられない状況でございます。  次に、漁船再保険金の支払いにつきましても、検査の結果は、組合の損害調査が十分でなかったために填補額が過大に認定されているものをそのまま認めて再保険金を支払ったりしているものなどあり、今後関係当局の事務処理にあたっての適切な指導を要するものと認められます。  工事関係につきましては、特定土地改良工事特別会計所掌の分で国の直轄施行分につき七農地事務局、四十二建設事業所代行施行分につき、宮城ほか十八県、五十地区につき実地に検査を施行いたしました結果、概説に記述いたしましたように、現行の土地改良法附則第十五項の規定によれば、国が農地とするため買収した未墾地等を農地としないことを適当と認めたときは、買収前の所有者に買収の対価に相当する額で売り払うことを原則としていますが、国が当該土地に多額の費用を投じている場合は、不合理な結果を来たすこととなるので、法令改正の要があると認められるもの、不当事項として検査報告二二二号に掲げました、干拓にあたり盛土工事の施行が適切を欠いたため漁業補償を支払うこととなり不経済な結果を来たしたもの、及び二三〇号に掲記しました、八郎潟干拓事務所において、職員の不正行為により国に損害を与えたもの二件がございました。  次に、自作農創設特別措置特別会計所属財産の管理につきましては概況に記述しましたように、その管理する財産に境界不明または所在不明のもの、長期間無断で使用または転用されているものなどがあるのに、これにつき適切な処理を行なわないで長期間そのままとしているものなど、財産の管理は全般的に適切を欠いており、これにつきましては、三十三年度及び三十五年度検査報告で改善方注意を促しましたにかかわらず、依然として改善の成果はほとんど上がっておらないと認められますので、財産の管理について特段の努力を払い、すみやかにこれらの事態を改善することが緊要と認められます。  国有林野事業特別会計につきましては、立木及び林野加工品の処分、林道工事、治山工事の実施及び経理検査の重点を置くとともに、国有財産の管理処分を中心とし、国有林野整備臨時措置法及び新市町村建設促進法等によって民有となった林野の管理、延納代金の徴収、民有保安林の買い入れ、素材の生産等につき検査した結果は、検査報告一三三号に掲記しました、土地の交換にあたり処置当を得なかったため不利な交換を行なったと認められるもの、二二四号、土地の売り渡し価格が低廉と認められるもの、一三五号、立木を不法伐採されたもの三件を不当事項として掲記いたしました。  以上であります。     —————————————
  92. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。
  93. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 この際、国産の雑豆に対する輸出並びに雑豆の輸入リンクの措置と、その運営について、特にこれは農林省並びに通産省当局にお尋ねしたい。  第一に、山本通商局次長にお尋ねしますが、国産雑豆のリンク輸出制の措置は、三十三年産の雑豆から制度的に実施されておるわけでありますが、このリンク制の実施の目的は、一つは国内産の雑豆の国内価格の安定をはかるために行なう目的と、もう一つは外貨事情に基づくもので、雑豆の輸出振興によって外貨の獲得を行なうという二つ目的で、昭和三十三年から三十五年産の雑豆に至るまでこれが適用されたわけでありますが、われわれの承知するところによると、三十六年産の国産雑豆についてはこのリンク制を廃止するということを、昨年の九月の下旬に通産省並びに農林省の合議でこれを決定したということを聞いておるわけでありますが、従来リンク制を行なってきた経緯にかんがみて、三十六年度においてこれを廃止した理由がどこにあるかという点について、要点を明らかにしてもらいたいと思います。
  94. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 雑豆の、輸入に関しますリンク制の制度は、ただいま芳賀委員がお述べになりましたような目的で、三十三年から運用して参ったのでございますが、本来、輸入につきましてはできるだけすっきりした形をとることがいわば理想でございますので、従来も、このリンク制につきましては、できるだけ早い機会にすっきりした形に持っていきたいということで考えて参ったわけでございます。従いまして、毎年そのつど、ことしはやるかやらないかということを、農林省と相談をしてきめて参ったわけでございます。三十六年度産につきましては、できるならば廃止をしたらどうかという意見もあったのでございますが、時たまたま国際収支がきわめて悪い状況になりまして、従来より以上に輸出振興ということが大事になって参りましたので、その辺の情勢を勘案いたしまして、引き続き農林省と相談をしました結果、今回もさらに続けてリンク制を適用しようということに決定いたしたわけでございます。
  95. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 私の質問しているのは、三十三年、三十四年、三十五年産の雑豆についてはリンク制を実施してきたが、昨年の三十六年産については、通産省の考えが主体になって、農林、通産の合議によって、昨年の九月の下旬にリンク制は廃止するということが決定されておるので、その廃止の理由のおもなる点は何であるかということを尋ねておるわけであります。その点を明らかにしてもらいたい。
  96. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 リンク制は三十三年から始めたわけでございますが、これは今後ずっと継続してやるということをきめたわけではございませんで、毎年そのつど、そのときの情勢を判断して、いわば一年ずつきめて参ったわけでございます。従いまして、三十五年度産についてのリンク制をきめます場合にも、三十五年度分についてきめましたわけでありまして、三十六年度以降については、またそのときに御相談をするということになっておったわけでございます。
  97. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 私が尋ねているのは、昨年の九月の下旬に通商局が頑強に主張して、三十六年産の雑豆については従来行なってきたリンク制を行なわない、廃止する、非常に強い態度でこのことを主張して、ついに農林省もそれに同調したという経緯になっておるわけであります。あなたの答弁を聞くと、いやずっと引き続きやることにしてあるのですということを言っております。これはおかしいじゃないですか。やらないということをきめたのは去年の十月ですよ。今あなたの答弁を聞くと、いやずっと以前から継続してやることになっておりますというのはおかしいじゃないですか。それは去年の十月、一番輸出しなければならぬというときに——農産物の場合は出回り期においてその価格が低落するというのが通常の形でしょう。ですから、そういう大事な、国内の農産物の価格が低落するような時期に、特に過剰傾向にある場合には、輸出振興の措置によって、一面においては外貨の獲得もはかるし、一面においては国内農産物の価格安定をはかるという、両様の目的を持って実施するわけであって、そういう場合に十月以降というものは非常に大事なときになるわけですが、その大事なときに、三十六年産についてやらないということを決定したことは事実でしょう。そういう決定を行なったことはないですか。
  98. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 三十五年度につきましてリンク制を採用いたしますときには、三十五年度産の分についてだけ決定をいたしたわけでございまして、三十六年度以降どうするかということについては、何ら決定をいたしていなかったのであります。  それから、なぜ通産省が、従来リンク制につきまして、できるだけ廃止した方がいいということを申したかと申しますと、一つには国際的な関係もございまして、輸出入の制度について特殊なリンクというような制度を行ないますことが、ともすると外国から、特別な輸出補助制度をやっているというふうに見られるおそれもございますので、でき得ればそういう制度はとらない方が理想論としてはいいわけでございます。そうした一般論から、通産省としては、従来も機会あるごとにそうした主張をして参ったわけでございます。しかし、昨年の下半期から、日本の国際収支が従来予想しなかったような困難な状態になって参りましたので、いわば若干異例な措置ではございますけれども、この際可能な範囲で輸出振興に寄与するような制度でやっていこうということになったわけでありまして、雑豆もそうでございますが、そのほか加工用の綿花の割当等につきましても、輸出の実績を加味しておるというような制度を採用しまして、結果において輸出振興に寄与するような方向に持っていく、こういう考えで、今回も三十六年度産についてリンク制を採用するということになったのであります。
  99. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 どうもあなたは中心をはずして答弁しているのではないか。私の聞いておるのは、三十六年産の雑豆の出回る時期は十月以降です。その時期に、全販連並びに輸出農産物組合等が従来リンク制の対象になっておった団体だと思う。特に全販連というのは生産者団体です。これらの団体が熱心に従前通りやらしてもらいたいという要請を行なった際に、三十六年度はやらない、やらない理由としては、一つはガットの条約上やはりいろいろな問題、支障がある、そういうことで、これは本来はやるべきでないが、従来いろいろな事情でやってきた、これを理由の一つに掲げて廃止する。もう一つは、貿易自由化を前に控えて、こういうリンク制の発券をした場合には、それらの発券をした現品が到着するまでに相当の時間もかかるので、貿易自由化を前に控えてこれは特に廃止しなければならぬ。いろいろ理由があったと思うが、この二点を理由にして、これは絶対にやめるということで、全販連等の要請というものは拒絶して、そうして廃止の態度を明らかにしたととは事実なんでしょう。そういうことはなかったのですか。
  100. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 三十六年度産につきましては、ただいま御指摘の九月、十月ごろには、でき得ればそういう制度はとりたくないという気持を持っておったことは事実でございます。その後、国際収支が極端に悪くなって、なかなか改善の見通しがつかないというようなことから、新しい事態としてさらに再検討いたしまして、この際、それならばリンク制を再度適用してみようじゃないかということになったわけでございます。
  101. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 それでは、一たん廃止することにきめたが、その後の事情の変化によってリンク制度を復活することにして、今後、これは毎年きめるとしても、継続するという方針ですか。
  102. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 このリンク制度につきましては、そのつど、そのときの情勢によって検討して参りたいと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、ただいまの国際収支の状況がきわめて困難な状況にございまして、これがそう簡単に改善されるという見通しもございませんので、ここしばらくの間は、あらゆる手段を講じて輸出振興をはかる必要があると思いますので、そういう状態が続きます限り、できるだけ積極的にこうした制度を活用するという考え方で検討して参りたいというふうに考えております。
  103. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 そうすると、池田内閣がまだ当分続いて、この経済政策の失敗が政府の責任によって根本的に是正されない限り、この状態は当分続くわけですね。これは予見されることは、この状態は続く。そういうことになれば、三十七年産の雑豆等については、当然、むしろこれを重点に、今後日本の輸出可能の農産物については、単にこれを限定して、雑豆だけだなんというちゃちな考えではなくして、輸出可能の農産物については今後輸出振興を大きく進めていきたい、そのためには、取り得る輸出振興の措置等については、政府としてもその裏づけ措置もあわせて講じたい、そういうことですか。
  104. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 御趣旨に同感でございます。
  105. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 いや、同感だって、われわれ社会党は、こういう間違った経済政策はとるべきじゃないということを言っているのであって、あなたの方で同感なんて言ったって、こっちは迷惑ですよ。池田内閣の経済政策が大きな失敗を起こしておる、破綻を来たしておる、そういうことを国会で追及されても、いや、まだ大丈夫だというふうに、彼は強引に居すわっておるのですからして、この政権が根本的に問題の欠陥を反省して、根本的に政策の是正をしない限り、この国際収支の事情等も、これは好転することはなかなかできないわけです。ですから、そういう場合には、これは農産物の輸出等も積極的にあらゆる方法を講じて進めたいということになれば、当然三十七年産の雑豆初め、それ以外の農産物等についても、輸出可能というようなものについては、積極的に、あらゆる万般の措置を講じて輸出振興に当たる、そういう方針であるということでしょう、同感じゃなくて。
  106. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 雑豆につきましては、ただいま申し上げましたように、三十六年度産につきましては、リンク制を採用することを決定したわけでございますが、さらに引き続いて、三十七年度についてどうするかにつきましては、そのときの国際収支の状況も勘案して、さらに検討をしたいと存ずるわけでございますけれども、ただいまのような輸出振興の緊要性というものが続いておる限りは、できるだけ積極的な考え方で検討いたしたい、このように考えます。  それからなお、雑豆以外の農産物につきましては、個々の品目によりまして、いろいろ特殊事情もあると思いますので、その点につきましては、農林省の方と十分に協議をして、個々のケースについて検討いたしたい、このように考えます。
  107. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 三十六年については、これは全販連とか農産物輸出組合に対しては、三十六年はやらぬと言って断わったじゃないですか。だから、全販連等は、政府がそういう強硬な態度でやらないと言うならやむを得ぬということで、これはあきらめて、その意思を失っておるわけでしょう。今ごろ、今度三十六年はやりますとか、やるようにきまったと言ったって、これは何を対象にしてやるのですか。今まで主体になって扱った団体に対してはもうやらせない、廃止したということを明らかに通告して、今になってこれをやりますと言ったって、だれも対象になるものはないじゃないですか。その点はどう考えるのですか。これはあわせて農林省からも答弁してもらいたい。
  108. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 三十六年度産につきましては、昨年の十月から今年の三月までの期間につきまして、その間の輸出実績を反映さして輸入の割当をすることにいたしておるわけでありますが、この短期間だけとりますと、いろいろ片手落ちな点も出て参りますので、情勢の許す限り、さらに四月から九月までの分につきましても同じような制度を適用して参りたい、このように考えております。
  109. 松岡説明員(松岡亮)

    ○松岡説明員 ただいま通商局の次長からお話のありましたように、できるだけ三十六年産の期間を長くとりまして、そのリンク制が活用されるようにいたしたいと考えております。また、それを決定するときに、若干空白ができましたのはまことに遺憾でございますけれども、できるだけ早くきめるように努力いたしたい、このように考えます。
  110. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 ただ問題は、生産者団体をわざわざボイコットしておいて、今になって、実際の効果の上がらないようなリンク制をやるというのは、ちょっとふに落ちないのですね。何か特別の意味があってこれは考えたのでしょう。一番大事なときに——去年の十月だって、外貨事情が悪いということはわかっておったじゃないですか。そのときには、これはガット違反の疑いがあるとか、あるいは貿易の自由化を前に控えておるというような、こういういかにも一応そう言われればなるほどというような理由をつけて、そうしてリンク制をやらないということを、通産、農林当局が合議してこれは決定したわけですね、だから、生産者団体においても、それが政府の動かしがたい方針であるならばやむを得ないということで、ですから、国内の消費機構の面にいろいろ努力して、幸いといいますか、その後国産価格が好転して、大体五千円程度を持続しておるので、別にこれはわざわざリンク制の輸出をしなくてもいいというような、三十六年産についてはそういう事情に置かれておるので、これはそれほど問題は起きないが、そういう事情のもとで、突如として今度は三十六年産に対してリンク制を復活する、やるというその理由というものがわれわれはわからないのです。単なる外貨事情の悪化によってまたやることにしたというだけでは、ちょっと納得ができないですから、どうしてもこれはこれこれの事情があってやらなければならぬことだとすれば、ここで率直にその内容を明らかにしてもらいたい。
  111. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 リンク制の適用につきましては、本来ならばもう少し早目にただいまの方針を打ち出して、関係業界の協力を得るということが、より妥当であったと思うわけでありまして、その間時期が若干おくれましたことは、私たちも遺憾に思っておる次第であります。国際収支の見通しが当時必ずしもまだ十分にはっきりしておりませんために、たとえば輸入の方の面におきましても、機械の輸入のワク等は、下期のワクを当初は四億五千万ドルに組んでおったのでありますけれども、十二月の終わりごろになりまして、国際収支がどうも予定のように改善されないということから、途中で方針を変更いたしまして、下期の四億五千万ドルのワクを、さらに実行予算としては三億二千万ドルに圧縮して運用するというようなことをした例もございまして、国際収支の見通しが、必ずしも十月の下期の発足当時に考えたように、そのままいかなかったという事情の変更がございましたので、期の途中でいわば方針が変更になったということでございます。そういう事情でございますので、本件は若干その点タイミングがずれた点、必ずしも適当でなかった点があったわけでございますけれども、そういうことで御了承をお願いしたいと思います。
  112. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 農林省にお尋ねしますが、リンク制を去年の十月通産省が廃止したいと言ったときには、われわれの判断では、農林省は継続すべきだという説を相当述べたと考えておるのです。そういうふうに信頼しておるのです。しかし、通産省がこれは主管省だからやむを得なかったのかもしれないが、今度また勝手に通産省の方で復活したいと申し出た場合に、ああそうですかと言って、これに簡単に同意したわけですか。その前後の事情はどうなっておるのですか。
  113. 松岡説明員(松岡亮)

    ○松岡説明員 これが発足しました当時の経緯につきまして、私がその当時から関係しておりましたので申し上げますが、この制度を通産省に持ち込んでやってもらいたいと言いましたときに、やはりこれは暫定措置として、雑豆の輸出振興をはかり、国内の価格安定をするために、これは永続的な制度としてはむずかしいかもしれないが、経過的に大体私どものめどとしては、三年くらいをめどにしてやりたいということを申しておるのでございます。そういったいきさつもありまして、当時農林部内ではこれを続けたいとの希望もかなりあったのは事実でございますが、いきさつもありまして、やむを得ないから、この際それではやめようということで一応引き下がった次第でございます。その後、これもまた通産省からやろうじゃないかという話がありましたときには、そういう農林部内の空気から申しましても、これに対してしいて反対する理由もございませんし、輸出振興をはかられるという点からいいますならば、これをさらに続けるという点においては、むしろ一致した意見を持ったのでございます。
  114. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 その場合三十六年度に限ってということで同意したのですか。むしろ問題は三十七年度にあると思うのですよ。
  115. 松岡説明員(松岡亮)

    ○松岡説明員 農林省としましては、これはさらに、三十六年産についてもやるとするならば、三十七年産についてもやりたいということを申して参りました。今でもさように考えております。
  116. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 それでは、それは了解するときの一つの了解事項になっておるのですか、三十七年度についてもやろうということは。
  117. 松岡説明員(松岡亮)

    ○松岡説明員 明確な了解事項にはなっておりませんが、通産省の方としても、できるだけ農林省の考えに従うようにしたいという当時の話し合いでございました。
  118. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 これは山本さん、間違いないですね。三十七年度についてもということは。
  119. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 ただいまの点につきましては、必ずしも文書ではっきり確認をするとかいうような手続はいたしておりませんけれども、先ほども申し上げましたように、輸出振興が現在のように緊急性を持っておる状態が続きます限り、私も前向きで考えて参りたい、このように考えております。
  120. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 三十七年度の問題はそれでわかりましたが、ただ三十六年の国内の雑豆の価格は、過去数カ年の平均価格から見ると非常に高値を維持しておる。大体五千円台ですが、そういうことになると、国内における価格安定措置としてはリンク制を別にやる必要はないということになる。国内で五千円なら五千円、四千五百円なら四千五百円の安定価格を持続しておるということは非常に喜ばしいことであって、もしそれに政府の施策が加わっておるとすれば、まことにこれはけっこうなことですが、しかし将来ともそういう状態というものは続かないと思います。やはり国際的な豆の生産事情も変わっていくと思いますので、そういう場合には、従来のリンク制が若干筋の通らない点はわれわれも認めるが、しかし政策としては相当効果的な政策であるので、われわれもこれは従来認めてきたのですが、ただ三十六年の場合は、国内の価格が安定しておるということになれば、外貨事情だけでどうしてもまた復活してやりたいということに理由が限定されてくるわけですね。そうすると、これは急に思いついてやったのか。そのリンク制はやらないということを決定した以降に、たとえば雑豆の輸出を行なった商社に対して、これを擁護するというような目的で三十六年産もやるということにしたのか。その中身はいろいろ事情があると思います。  そこで、おわかりになれば示してもらいたいのですが、たとえば三十六年の十月以降今日まで、雑豆の輸出がどういう状態で行なわれておるのか、その主たる商社とはどういう商社であるかということを、これは事前にこちらから要求しておけばよかったのかもしれませんが、この点について、関税局長も来ておられますが、今即答ができなければ、数字の点はやむを得ないとしても、この主たる輸出雑豆を扱った商社等の名前がわかれば、これは通産省でも大蔵省の関税局でもいいですが、ここで明確にしてもらいたい。
  121. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 今ちょっと手元に資料がございませんので、後刻報告させていただきたいと思います。
  122. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 大蔵省はわからないですね。
  123. 稻益政府委員(稻益繁)

    ○稻益政府委員 手先に資料がございませんので、後ほど申し上げます。
  124. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 それでは山本さんにお尋ねしますが、数量は別として、商社の名前くらいわからないですか。とにかくリンク制を認めるということになれば、去年の十月以降輸出した商社に対して、あるいは輸出量と等量のリンクの輸入割当を行なうか、あるいは三十四年、三十五年は輸出数量に対して八割の数量の輸入を認めるということがリンク制のやり方ですからして、当然だれにリンクの輸入割当を預けるかということが頭になければ、復活しますとかやりますということは言えないと思うわけですね。その点いかがですか。
  125. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 商社の名前も実は私記憶いたしておりませんが、期間を短く切りますと、とかくたまたまそのときに輸出をしておった一部の商社が、いわば不当にもうけるということにもなりますので、期間をなるべく広くとって、そういう片手落ちのないようにしようという趣旨で、とりあえず今回は十月から三月までの期間を対象にいたしておりますが、次回の発券の場合には、ことしの九月までを対象にして同じような制度を適用するということで、そうした片手落ちが生じないように配慮をするつもりでおります。
  126. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 それは山本次長はわからぬらしいから、こちらから参考までに申しますが、たとえば笠井貿易あるいは三菱等は、去年の十月以降雑豆をキューバ等に輸出しておるとわれわれは承知しておるのですが、そういうことも全然わからぬですか。
  127. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 先生のお話で思い出したわけでありますけれども、その当時そういうような会社の名前を耳にしたことはございます。しかし、先ほども申し上げましたように、ごく少数のものだけを対象にして、そういう人たちだけが利益を得るような制度は、これは好ましくございませんので、今回の制度は、私たちは輸出振興という観点から取り上げたわけでございますが、同時に一部のものだけが受益をしないような配慮をすることにいたしまして、期間を、昨年の十月から実質的には少なくともことしの九月まで、一年間はそういう制度を適用していく、そうして少なくともその輸出振興に努力する人は、だれでもその利益がもらえるように配慮をいたしておる次第であります。
  128. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 これは資料として関税局長委員長から要望してもらいたいのですが、三十六年の十月以降、雑豆の輸出の通関実績について、商社名と数量について、これは後刻でいいですから、資料を一つ……。
  129. 稻益政府委員(稻益繁)

    ○稻益政府委員 商社別というお話でございましたが、通関統計では、国別、商品別の貿易統計しか作っておりませんので、商社別の方は私の方ではちょっとわかりかねます。
  130. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 輸出の許可をしているどこかの役所でわかるでしょう。通産省、いかがですか。
  131. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 今度この制度を適用いたしますときには、輸入割当を輸出とのリンクによって受けようとするところは、輸入発表に基づきまして申請を出して参りますので、そのときには全部的確につかめると思います。それまでは、私たちが気づきのところを個別に当たって調べるという程度でございまして、場合によると調査漏れがあるかもしれないと思いますが、一応可能な範囲で資料を整えてみたいと思います。
  132. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 それでは資料を後刻出してもらいたいと思います。  ただ、私が指摘した笠井貿易、あるいはこれは日進貿易との関係もあるかもしれませんが、この点は記憶しておいてもらいたいと思います。笠井と日進との関係、それから三菱、私の手持ちの資料では、この二つの商社の関係で現在まで五、六千トン台の主としてキューバ向けの輸出が行なわれているように認めているわけですが、これらに対してはもうリンク制を認めるという約束ができているのじゃないですか。
  133. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 私たちは、個々の商社に対しては、特にそういう約束をいたすようなことはしておりません。これはすべて公平にやらなければいけませんので、最終的に決定した上で輸入発表をして、だれでもが承知できるようにしておくつもりでおります。
  134. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 商社別の輸出数量を漏れなく至急出していただきたいと思います。
  135. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 そこで、もう約束ができているのではないかということは、従来は、全販等の扱い分については、ジェトロの輸入調整金の二〇%はリンク制の場合には免除しているでしょう。
  136. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 その通りであります。
  137. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 今度の分については、ジェトロの調整金の二〇%は取るが、しかし、リンク制の数量については、輸出数量と等量の数量の割当を行なう、そういうことにしているわけですか。
  138. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 ただいまの方針はそのようにいたしております。
  139. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 それから、リンク制の割当は、本年度の下期の商割と同時にやるのか、あるいはまた明年度の上期においてこれは発券することにするのか、その点はどうですか。
  140. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 今年の五月に商社割当をいたしますときに、一緒にやる予定にしております。
  141. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 それでは、これは二月に行なった三百八十万ドルの商割の中には入っていないわけですか。
  142. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 入っておりません。
  143. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 そうなりますと、どうしてこれは来年度の割当の場合に延ばすのか。三十六年度であれば、二月の割当のときにあわせてやればいいということになるのですが、ことさらにこれを行なわないで、五月以降に繰り延べしている。そこにも理由があると思いますが……。
  144. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 輸出実績を取る期間をできるだけ長くして、公平にいたそうということから、期間を、昨年の十月からことしの三月まで、この六カ月を対象にしようということで広げましたので、それをまとめまして、この五月の発券のときに対象にする、このようにいたしております。
  145. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 私の定められた時間がありませんから、締めくくりをしたいと思います。  これは率直にお尋ねするわけでありますが、今回のリンク制の復活の件については、特に佐藤通産大臣からこうやれというような指示があったと思いますが、その点はいかがですか。
  146. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 新しい制度を作るような場合には、問題の重要性に応じまして、大臣にも申し上げて、御意見を承ったりしてやっておりますので、本件も、決定する前に大臣に申し上げて、大臣の御了解を得て決定をいたしております。
  147. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 そういう通常の事務扱いではなしに、今度の件については、特に佐藤通産大臣から、これこれの商社に対して、三十六年度のリンク制を認めるというような取り扱いをすべし、こういう指示が上から流れたのではないですか。
  148. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 特定の商社についてのそういう指示は受けておりません。
  149. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 もう一つお尋ねしますが、それでは、たとえば与党のある特別委員会等において、これらの取り扱いをすべきであるというような、そういう決定に似たような政府に対する指示等が行なわれたことはないですか。
  150. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 そのような事実は私承知いたしておりません。
  151. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 もう一つは、私が先に述べた商社等が、もうすでにリンクの割当を受けることができるという確信の上に立って、たとえばそのリンク輸入の輸入権等の売却とか、そういうことをもしやっておるような事実があれば、あなたはこれをどう処理しますか。
  152. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 輸入権の売買と申しますのは、実はただいまの管理法の関係からいきますと、これは認められないことでございます。またそうした事実は、実はほかの物資等についてもたまにあるように聞くのでありますけれども、正直のところ、その事実の捕捉はほとんど不可能でございますので、私たちとしては、もしはっきりそうした事実があれば、これは管理法違反でありますから、そのように法律に従った処理をいたしますけれども、ほとんどの場合にそういう事実は全然つかめないというのが現状でございます。
  153. 芳賀委員(芳賀貢)

    芳賀委員 きょう私は、雑豆の輸入割当の問題について、疑問のある点だけを実はただしたわけですけれども、後刻また、問題の推移によっては、当委員会等において取り上げる機会もあるかもしれませんが、事は貿易政策上の問題である以上、あるいは外貨の割当等についても当然これは利害の伴う問題ですから、われわれとしては、従来これらの取り扱いとか、あるいは行政運営に対しては、政府当局においても、まじめな態度で忠実に行政の運営をやっておるというふうに、実は信頼もし期待をしておるわけです。今後もそうあるべきだというふうに信じたいわけですが、たまたま疑惑の起きるような問題も、実は絶無とは言えないわけです。ですから、今回のリンク制の復活措置についても、ただいままでの質疑の中において、私は全部を了解することはできないのです。しかし、問題が問題である性質上、これ以上の追及はしませんが、問題は今後このリンク制の復活にからんで、通商局次長が当委員会で答弁した通りの正しい形でこれが運営されるかされないかということは、今後の事態によって明らかになる点であるからして、その点は山本さんとしても忠実な態度で終始するということだけは、ここで言明しておいてもらいたいと思いますが、その点はいかがですか。
  154. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 従来も、通商局が担当いたしております輸入事務につきましては、いろいろ業界の利害が関係いたしておりますので、私たちは全力を尽くして公正な取り扱いをすることに努力して参っておるわけでございます。ただいまなお御叱正をいただきましたので、今後ともさらに一そう公正な取り扱いをするように努力をいたしたいというふうに存じます。
  155. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 僕は法務省にお聞きしたいと思ったのだが、時間がないから、そこで、今芳賀さんの問題で農林省、通産省が来ておられるので、時間の許す限りその方でお尋ねしたいと思います。  いわゆる輸入商社、輸出商社、こういうものを指定する場合、これは通産省では認可なり許可なり何かそういう制度をとっておりますか。
  156. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 輸入割当をいたします場合の対象なります商社は、商品によりましていろいろ違う点はございますが、最も一般的な方式といたしましては、過去の輸入実績のあるものを対象にして、そして輸入実績の数量の比率によって配分をするというのが、ごく通例のやり方でございます。
  157. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 私の聞いたのは、これだけ輸入するがどうだこうだという輸入数量でなくて、新しい輸出なり輸入なりの商社がその業務を開始しようとする場合には、当然通産省の認可なり許可なりがなければ輸出、輸入というようなものはでき得ないのじゃないか、こういうことなんです。
  158. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 輸入割当を受けますために特別な認可とか許可は必要ございません。ただ、従来の取り扱いといたしまして、輸入の実績によって割当をいたして参りますために、新規の商社が新しく割当をもらおうということは、必ずしも簡単にはできないわけであります。しかし、私たちは、できるだけ貿易自由化という方向に進みますために、輸入の割当数量が大幅にふえる場合には、従来の輸入実績者に従来の輸入実績の比率によって割り当てるもののほかに、ある数量を新規業者のために開放する。その場合には、たとえば類似の商品を取り扱っている人とか、あるいは輸入でなくて輸出をしている人とか、そういう一定の資格を設けまして、その資格に該当する者で希望する人に申し出てもらって、多くの場合そういうときは均等割で、わずかずつですが割当を行なっておる、そういう方法をとっております。
  159. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 農林省からおいでになっているのはどなたですか。
  160. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 経済局の松岡参事官です。
  161. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 それではお聞きしますが、今、芳賀さんは雑豆の点でお聞きしたのだが、私は飼料の問題でお聞きします。実はきょうこういう問題が出ると思わなかったので、資料を持ってこなかったが、ここでお聞きするのは、あなたの方の先輩で——時間がないから端的にお聞きします。あなたの方の先輩で畜産局長をしておった安田さんが、今度参議院に立候補しますね。それでやめます。それと同時に、えさの輸入商社を安田さんが作って、そしてこれにえさの輸入を許可するというので、いわゆる実需者団体というか、農業協同組合方面では大へんに脅威を感じているということですが、あなたは、農林省の経済局におられて、そういう出願なり要請なりのあれは聞いていませんか。
  162. 松岡説明員(松岡亮)

    ○松岡説明員 簡単にお答え申し上げますと、全然そういう話は聞いておりません。これは大体実務は畜産局と通産省でおやりになっておりますので、私の方の経済局としては特によくわからないせいもございますけれども、全然聞いておりません。
  163. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 もちろんこれは畜産局に聞かなければわからぬことだと私は思っておったが、あなたは経済局におられるのだから……。ことにきょうは、この問題で質問する時間があるかないかわからなかったので、私は出席を求めておかなかったのですが、今言ったように、安田局長は参議院に立候補するためにやめる。と同時に、農林省では、このみやげに、このえさの輸入の指定を——これは輸入商社なんでしょうね、今までこのえさというのは、全酪というのだから、全酪農のことでしょう。それから全畜産、それから日鶏連、日本養鶏とでもいうのでしょう。それから全購連、全開拓連、こういうところで扱っていた。ところが今度安田さんがえさに踏み出す。これは農林大臣河野一郎に大忠誠で、農林省の河野探題を勤めていた安田さんだから、そのくらいのみやげは持たしてやらなければならないということでしょうが、あなたの経済局で、——こういう動きところじゃない、既定の事実になって、各実需者団体が、これは大へんだというので騒いでいるんだが、あなたは経済局の方で、こういうことをてんでわかりませんでしたか。
  164. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 ちょっと、答弁の前に、山本通商局次長が忙しいそうだから……。  ちょっと私からお聞きしますが、リンク制を廃止して、わずか半年くらいでまたリンク制に返すということ、そういう見通しの誤りはとにかくとして、リンク制に返したならば、その実績はわずか半年の間の実績か、前からの引き継ぎの実績を重視するのか、こういうところはどうなのかということ。わずか半年でも、今言ったような商社が実績を作ったということになりますがね。前には長いこと全販連その他がやっておったということになるわけです。一体どこにその実績を求めていくか。
  165. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 輸出実績のとり方は、そのつど、たとえば過去六カ月の間に輸出した実績をその次の機会に対象といたしまして、それに比例した輸入の割当をいたしておりまして、一回限りそのつどやっております。従来三年間そういう方式で、そのつど一回限りの取り扱いをいたしております。今回も従来とその点は全く変わらない、同じやり方です。
  166. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 そうすると、リンク制をはずしたというのは、そういう商社に実績を作らせる意味だった、こういうことになるんだが、こういうようなことを結論として私たちははっきりしてよろしゅうございますか。
  167. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 たとえば昨年の四月から九月までの実績、これは従来の制度によって輸出実績を勘案して輸入割当をしておるわけであります。今回は、去年の十月からことしの三月までの期間を対象として、六月に割当をする……。
  168. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 いや、僕が言うのは、そうなれば商社の実績しか出ないでしょう。そうじゃないの。
  169. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 これは、非常に短い期間をとりまして制限をいたしますと、そういうことになりますけれども、今回は時にそういう点にも十分な考慮を払いまして、昨年の十月からことしの三月までの輸出実績、さらにことしの四月から九月までの実績も次の機会に取り上げようということで、最小限度この一年間というものがございますので、その間、商社であれ、団体であれ、輸出の努力をしたものは、それ相当の輸入割当がもらえる、こういう制度になっておるわけでございます。
  170. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 その点はまた後刻……。
  171. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 ちょっと局長、あなた忙しいそうだが、今実績でやるとすると、僕はくどいようだが、お聞きしますが、役人の安田さんが新しく会社を作っても、これは実績がありませんね。従ってそこへは割当になるようなことはないわけですね。輸入がふえるとかなんとかということなら、これはあなたの答弁で了承いたします。しかし、今までのような輸入を続けていくというなら、実績で割当をしていくというなら、これは実績は一つもない。割当になることはありませんね。
  172. 山本説明員(山本重信)

    ○山本説明員 ただいまの御質問は飼料のことでございますので、私が先ほど申し上げましたのはいわば一般原則でございまして、そのほか、実は過去の輸入実績に基づく商社割当のほかに、需要者割高等がございますので、その辺の詳細につきましては、農林省の方から御説明いただきたいと思います。
  173. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 それじゃ、輸出の実績は資料として出してもらうようになりましたから、それを見て……。  われわれが今印象として持っておる——商社に実積を作らせるために政策変更を短期間にやった、こういう印象が正しいか正しくないかということは、やはりその資料に基づいて検討してもらわなければならぬと思うのだが、ぜひ早急にそれを出していただきたい。それをお願いしておきます。山本さん、けっこうです。——松岡説明員。
  174. 松岡説明員(松岡亮)

    ○松岡説明員 今のお尋ねの点は、飼料の商社割当でなくて、需要者割当のことであろうかと思いますが、これは御承知のように、畜産局で需要者に対して割当をやっておるのでございますが、全然新しく需要者になるものが参加ができるかできないかという——ちょっと私要綱を持っておりませんので正確なお答えはできませんが、通常は、需要者割当は従来の実績主義で、新しく入れないというのが、砂糖の場合でもほかの場合でも、通常そうなっております。
  175. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 安田局長はまだ局長だろう。(「もうやめた」と呼ぶ者あり)安田さんは、全飼商連というのだから全飼料だろう。そういう商業団体を作ったのだ。そうして実需者団体の指定を申請したわけです。そうすると、二十三日の飼料審議会で、これはやらない、指定しない、こう言明している。ところが、二十一日の省内の稟議では、安田さんにやらせると決定している。省内の稟議で決定したというが、そういう会議にはあなたは出ませんか。列席しないですか。
  176. 松岡説明員(松岡亮)

    ○松岡説明員 割当方式等の要綱等については、私どもに協議はございますけれども、具体的な商社をどうするかというような、その相談はございません。
  177. 小川(豊)委員(小川豊明)

    小川(豊)委員 これは、畜産局でもないあなたに、きょうここに来ているからといって僕が聞くのは、あなたにとっては迷惑千万だろうし、僕にとっても要領を得ないことになるからあとにしますが、僕が一言言っておきたいのは、最近いわゆる役所の高級官僚といわれるこれらの方たちが、ことに農林省の方、林野庁だのそういうところで、みんな参議院に立候補する、何に立候補するというと、農地局長でも、林野庁の長官でも、こういうのが一年三百六十五日のうち二百日も出張しておる。日曜を取ったら、あと勤めているのはありやしない。二百日も出張しているという、こんなばかなことがあるはずがない。それは選挙運動をやっておるのだ。いわゆる国の費用で選挙運動をやっておる。そうして、やめると、今のように、こういう商社を作らして、そこへ権限を与え、みやげを持たしてやる。そういうやり方がいかに政治を腐敗させるかということを、私ども考えなければならぬと思う。従って、きょうはあなたにそういうことを言うのではないが、これはわれわれは重大な問題として、いわゆる役人の綱紀をただす意味において、次会、農林省に対してこの問題を質問しなければならぬ。きょうは時間もなし、係も違うからやめます。
  178. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 農林省所管についての本日の質疑は、この程度にとどめます。  なお、先ほど中断いたしました法務省所管の残余の質疑は、後日に譲ります。      ————◇—————
  179. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和三十五年度決算中、総理府所管の調査委託費関係審査のため、参考人の出頭を求めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選及び出頭日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 西村(力)委員長代理(西村力弥)

    ○西村(力)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十一分散会