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1962-04-17 第40回国会 衆議院 決算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十七日(火曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 鈴木 仙八君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 高橋 英吉君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    久保田藤麿君       濱田 正信君    森本  靖君       山田 長司君    古賀  了君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       菅  太郎君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  曾田  忠君         通商産業政務次         官       森   清君         通商産業事務官         (軽工業局長) 倉八  正君  委員外出席者         総理府技官         (経済企画庁総         合開発局東北開         発室長)    浅間 一彦君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局東北開         発株式会社監理         官)      財前 直方君         検     事         (刑事局刑事課         長)      羽山 忠弘君         通商産業事務官         (重工業局次         長)      熊谷 典文君         会計検査院事務         総局次長    平松 誠一君         会計検査院事務         官         (第五局長)  白木 康進君         参  考  人         (東北開発株式         会社総裁)   伊藤保次郎君         参  考  人         (東北開発株式         会社総裁)  山中 徳二君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 四月十三日  委員久保三郎君及び芳賀貢辞任に  つき、その補欠として岡良一君及び  勝間田清一君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員岡良一辞任につき、その補欠  として久保三郎君が議長指名で委  員に選任された。 同月十七日  委員勝間田清一辞任につき、その  補欠として山田長司君が議長指名  で委員に選任された。    ───────────── 本日の会議に付した案件  東北開発株式会社会計に関する  件      ————◇—————
  2. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これより決算委員会を開会いたします。  東北開発株式会社会計に関する件について調査を行ないます。  本日も、本件調査のため、東北開発株式会社より、伊藤総裁山中総裁の両君に参考人として御出席願っております。  両参考人には、御多用中たびたび御出席いただき、ありがたく存じております。  これより関係当局並びに参考人に対する質疑を行ないます。  なお、藤山経済企画庁長官は、本会議散会後の委員会出席の予定でございますので、さよう御了承願います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。西村力弥君。
  3. 西村力弥

    西村(力)委員 大体きょうで東北開発株式会社の件に関する当委員会の審議を一応打ち切ろうかという段階に入っておりますので、きょうは個々の問題よりも、より多く今後いかに東北開発株式会社の改善をはかり、再建の方途を立てていくか、こういうところに問題の焦点を置いて、これからいろいろお尋ねして参りたいと存じます。  最初に、刑事課長がおいででありますので、これに関する検察当局捜査の現況、それから今後の見通し、そういうことについて御説明をまずお願いしたいと思います。
  4. 羽山忠弘

    羽山説明員 これまでの東北開発株式会社汚職事件捜査経過につきまして御説明申し上げます。  東北開発株式会社業務運営につきましては、かねてよりいろいろな風評がございまして、宮城県警察本部におきまして内偵いたしておりましたところ、昨年十二月に至りまして、元同会社営業部勤務野口芳輝が、昭和三十四年三月ごろ、同会社セメント販売代理店である東光物産株式会社専務取締役青砥信夫より洋服一着の供与を受けましたほか、数回にわたりまして一万三千五百円相当の供応を受けておるという嫌疑が濃厚となりまして、さらに取り調べの結果、他にも同種事犯があるという嫌疑が生じて参りましたので、同警察本部におきまして、本年一月三十日東光物産株式会社事務所等押収捜索を行ないましたと同時に、ただいま申し上げました青砥信夫の逮捕を行ないまして、その後これを端緒といたしまして捜査を継続してきておるわけでございます。  本日までに仙台地方検察庁及び盛岡地方検察庁で受理いたしました人員は、去る四月十日現在におきまして、収賄が九名、贈賄が十四名、合計二十三名と相なっております。そのうち二名が盛岡地検の受理でございます。  処理状況は、公判請求をいたしましたもの、すなわち、起訴が十二名、起訴猶予が一名でございまして、そのほか未処理が十名と相なっております。一番多いのは現金で、一口にいたしまして五十万円というような収賄が出ておりまして、目下捜査を継続中でございます。  今後の見通しにつきましては、さしあたり予想が困難な状況でございますので、よろしく御了承をいただきたいのでございます。  なお、これまでに捜査いたしましたのは、贈収賄関係だけでございまして、背任とか横領とか商法違反というような事実につきましては、これまでのところ報告が参っておらない次第でございます。
  5. 西村力弥

    西村(力)委員 そのほかに任意出頭という形式で取り調べられた方も相当あると思うが、それは、会社関係者及び業者側はどのくらいに及んでおりますか。任意出頭でありますから、氏名をこの席で発表するということはどうかと思いますが、できるならばそういう氏名を発表していただきたいと思います。
  6. 羽山忠弘

    羽山説明員 現地地方検察庁から報告が参っておりますのは、きわめて簡単な報告でございまして、被疑者となっておりますもので任意出頭、すなわち、在宅の関係調査いたしましたのは、ただいま申し上げました数のうち二名でございます。そのほかに、お尋ねのように、どの程度の数の人間が任意出頭の形で取り調べられているかという点につきましては、これが犯罪の容疑がある程度固まりましたならば、報告が参ると思うのでございますが、さしあたり捜査中でございまして、その点につきましては、まだ報告を受けていない状況でございます。
  7. 西村力弥

    西村(力)委員 今後の見通しは、今とやかく断定はできぬ、こういうお話でございましたが、警察当局の動き、あるいは検察庁担当者に当たってみますと、大体はこれで終止符を打たざるを得ないような状況にあるやに話を聞いているのです。断定的ではありませんけれどもね。ところが、検察当局としましては、今後まだどうなるか未知数である、こういうことでありますが、そういう観測は、検察庁自体において、こういう贈収賄関係もさることながら、そのほかの背任あるいは商法違反、そういう問題についての疑義を今十分に持って、その問題の解明について努力している、こういうようなことでありますが、そういう点、もう少しはっきりした見通しを立てるわけにいかないか、御答弁願いたいと思います。
  8. 羽山忠弘

    羽山説明員 御承知のように贈収賄事犯と申しますものは、贈収賄事犯に限りませんで、一般犯罪捜査と申しますものは、意外なところで端緒がつかめまして、意外に進展するものでございまして、見通しを立てるとか、計画を立てるとかいうことがなかなか困難な状況でございます。  去る三月二十六日に仙台次席検事報告しておりますが、その中にまだかなり余罪があるように予想されると書いてございますが、その程度でございまして、具体的に見通し報告して参っていない状況でございます。
  9. 山田長司

    山田(長)委員 関連して、ちょっと伺いますが、今までの捜査の過程の中において、捜査支障があって、この場でお答えができない場合は、これは除いてけっこうでありますが、捜査の線上において、砂鉄の山の買収計画の事実が出ているかどうか、伺いたいと思います。
  10. 羽山忠弘

    羽山説明員 砂鉄鉱業権譲渡等に関連いたしまして、昭和三十四年十二月に、三倉鉱業の社長から、東北開発理事でありました富塚誠に対して現金三十五万円の贈賄が行なわれたという事実が出ております。
  11. 山田長司

    山田(長)委員 その地形はどこの地形をさしておりますか。鉱区地形場所です。
  12. 羽山忠弘

    羽山説明員 はなはだ恐縮でございますが、現地からの報告は、ただ砂鉄鉱業権取得に関し便宜の取り扱いを受けたことの謝礼として、となっておりまして、具体的に場所を書いていない状況でございます。
  13. 山田長司

    山田(長)委員 私の調べた範囲では、鉱区場所というものは、一カ所だけでないように考えられて、その問題になっている個所がどこであるかによって、新たな事実が現われるという印象を持っているわけです。今の場所秋田県山本郡琴丘町鯉川であるかどうか。これはあなたの方で調べなければわからぬということであるならば、その地形個所はまだほかにもあるのですか。このことはわかっておるのかおらぬのか、ちょっとお伺いいたします。
  14. 羽山忠弘

    羽山説明員 恐縮でございますが、さしあたり報告書によりましてはわかっておりません。
  15. 山田長司

    山田(長)委員 それではまたあとであらためてお伺いいたします。
  16. 西村力弥

    西村(力)委員 これはあなたの方にお伺いするのは筋違いかもしれませんけれども、こういう法的な組織にこういういかがわしい問題が発生するというような事例は、今までにもあっただろうと思うのですが、検察当局から見まして、こういう事態の発生する原因というものは一体どこにあるか。今までの長い間の体験を通して、また今回の事件を通して、一つの見解というものがあればお示しいただきたいと思うのですが、これはあなたの方の職掌からちょっと離れておる問題でございますけれども、長い体験から通して、こういうような機関にそういう悪の巣というか、そういうものが巣くう原因というものはどこに存在しておるかということを、何かお考えがあればお話しを願いたいと思います。
  17. 羽山忠弘

    羽山説明員 一般的に贈収賄原因というものはなかなかむずかしいのでございまして、この東北開発株式会社関係犯罪原因につきましては、もうしばらく捜査の結果を待ってでないと何とも申し上げかねます。
  18. 西村力弥

    西村(力)委員 検察当局にはその程度にしたいと思いますが、私は多くの人々がこういう事犯に問われることを、興味的に望むというわけではありません。そういうことを望むがごとき気持がしておるということは、やはり徹底的にえぐらないと、あともずるずるべったりになってほんとう意味の再生というものはむずかしいのだ。ほんとうに真剣に、健全な再建を望むということは、私たちの気持であるばかりでなく、この事件をそれぞれの新聞等によって知った国民諸君気持でもあるだろうと思う。そういう点から言うて、よりよき将来の発展を望むという意味において、やはり徹底的な取り調べというものが願わしいものであるという気持がするわけなんであります。それだけを一つ申し上げまして、検察当局関係は終わりにしたいと思います。  それでは伊藤参考人並び経済企画庁にお尋ねいたしますが、三十六年度決算見込みはもう試算段階に入っておるだろうと思うのです。大体どういう見込みになりますか、赤字はどのくらい出るような情勢にあるか、こういう点についてお話を願いたいと思います。
  19. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 最近三十六年度にまとめました赤字につきましては、以前考えたことと多少違うところがあります。それは試算をいたしました結果を申し上げるわけでありますが、以前はわれわれは十億程度と申しておったのでありますが、最近出ましたものを克明にまとめますと、大体十二億ということになります。
  20. 西村力弥

    西村(力)委員 十億が十二億になった、その二億のプラス分はどういうことで出たのか。その前に、十億という赤字は、どういうところからそういう工合に出ておるか、その内容について、赤字はどこから出たかということ、それから十億と見込んだのが十二億にふくれ上がった、こういうものはどういうところからそういう結果を招いたか、これはどう御検討になっていらっしゃるか。
  21. 山中徳二

    山中参考人 私から御説明申し上げます。  三十六年度損益予想におきまして十二億の赤字予想いたしておりますが、特殊の理由として赤字原因になりましたのは、先般来御指摘になりました硬化セメントによります損失が一億一千万円、秋田木材に関します売買契約の解除によります損失が二億七千二百万円でございます。それが本年度の特殊の理由によりまして発生いたしたものであります。  そのほかの損失額は、セメント事業におきまして、ただいまの赤字原因でありました一億一千万円の硬化セメントを加えまして五億三千万円ばかりの赤字になっておるのでございまして、これは本年度におきますセメント工場収支が、工場原価市価と比べまして、本年度の後半に入りまして一般市況がすでに回復しておるのでございますが、前のときからの契約の期間が相当ありましたので、やはり本年度では収支のバランスをとるわけにいかなかったのであります。  それから会津ハードボード工場におきまして、一億三千万ばかりの赤字になっております。これも工場原価に比べまして、市価との差が、やはり生産数量等制約等もございまして、本年度収支は一億三千万の赤字に相なったのでございます。そのほかに、これは例年とあまり変わりございませんが、木友亜炭鉱業所が、やはり三千万円程度赤字を出しております。  先般この委員会で、十億程度赤字と申しましたのは、十一月末におきます資産の整理をいたしました結果でございますが、その後、本年度におきます建設事業の進捗がおくれました関係上、一般管理費建設事業に配賦する割合がほとんどなくなりましたので、一般管理費が本年度の経費で落とさなければならなくなりましたものが、一億円程度になって参りました。当時予定いたしましたよりも、カーバイドにおきまして、売り上げが約二千七百トン減少いたしました反面、売り上げ単価におきまして、若干の低下がございました。福島工場収益——これは利益を上げておるのでございますが、期待利益よりも減少いたしましたこと、それから木友鉱業所におきまして折渡鉱を廃鉱にいたしましたので、本年度におきまして、これを除却いたしましたことによります除却損を計上いたしましたこと、ハードボー工場におきまして、当時の予想よりも千三百トンばかりの売り上げ減。と同時に、売り上げ単価におきまして、四千四百余円の減少を生じたというようなことを整理いたしました結果、過般申し上げました数字よりも増加いたしましたような結果になりました次第でございます。
  22. 西村力弥

    西村(力)委員 そうしますと、それぞれの事業すべてが、販売価格原価を割っているとか、あるいは売り上げ減少だとかいうようなこと、そういうことであって、どれ一つとして経営面において将来性を明るく見出すことができない、こういうようなことになるように聞こえるのですが、これは三十六年度の特殊な事情によってきたのではなくて、事業それ自体の問題としてこういう赤字が生み出されておる、こういうように結論づけられるように思うのです。そうですと、この経営の面から言うと、採算の十分にとれるという工合に立て直すということは、実際において不可能事に近いのではないか、こういう気持もするのですが、今列挙せられました赤字原因を見まして、こういう十何億という赤字、これはそれぞれの経営の好転によって将来黒字に転換可能なんだという、こういうはっきりした確信ある見通しを持ち得るのかどうか、こういうことなんです。今のお話ですと、やるだけ損だというような工合にも聞こえるわけです。どうですか。
  23. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 ただいまの御質問は大へんごもっともな御質問と思いますが、私ども考えますのには、仕事が十分な軌道に乗らないうちにこういう問題が起こったということが、一つ出鼻をくじかれたということが過去においてあったと思うのであります。それから、もし開発会社がやる仕事がみんなやれない仕事だということであれば、おそらく東北地方における仕事考えましても、ほかにりっぱに経営している仕事、たとえばセメントもありますし、木材仕事もありますが、これと比較いたしましても、開発会社だけがやれない仕事であると断定を下すのは私は早いと思います。  ここに至った原因はいろいろありますが、やはり私ども考えますところは、営業活動といいますか、産業の全体の活動というものが、開発会社におきましては、まだそこまで訓練といいますか、あるいは軌道に乗っていないために、こういうことになったので、これがために、将来は開発会社仕事をしてもだめだということにはならないと思います。たとえば、先ほどあげられましたいろいろな決算内容を見ましても、不幸にして硬化セメントを出したとかいうこともありますが、これもほかの会社が出していないものを東北開発会社だけ出したということは、やはりそこに十分な訓練なりあるいは操作が不十分であったということを意味しております。それが解決すれば、そんな硬化セメントとかいうことは私は出さないと思います。  私が責任をもってやりましたことは、一例をあげますと、木友亜炭鉱業所、あそこは閉鎖する、あるいは他人に譲渡するという方針を前の幹部においてきめておったのでありますが、私、就任しましてから、その封鎖を中止いたしたのであります。これは、ただいま申し上げましたように、全体の損害が、三十六年度までの決算におきましては、三千万円という赤字を出しております。これはまことに矛盾しておるのではないかという御批判があると思いますが、しかし、これも私の考えでは、東北亜炭というものは——木炭をどんどん燃やしておる、あの家庭燃料にかわるものは亜炭のほかないのではないか、亜炭埋蔵量が、東北地方においては三億トンといわれております。莫大な埋蔵量を持っております。これをただやめるということは、しかも、代表的な山として木友東北の第一の山です。そういうものをやめた日には、亜炭というものはみなもうだめだという極印を押されては困る。しかも、東北の唯一の資源であるパルプ事業資源木材を、家庭燃料に使うということと矛盾するわけであって、どうしてもこの際亜炭を生かして、これを家庭燃料の中に持ち込んで、木材を節約して、それを工業化するということに着目したわけでありますが、不幸にして、現状におきましては、それも黒字を出しておりません。しかし、黒字を出していないからといって、また逆戻りして、あの炭鉱を閉鎖した方がいいという結論考えられないのであります。そのように、やはり従来のことをかれこれ申し上げる資格はありませんけれども、しかし、今後の立て直しにおきましては、やはり生産販売機構、あるいは代理店の問題、あるいは代理店のこげつきの問題とか、そういうものをいろいろ改善していけば、東北開発なるがゆえにこういう経営はできないという結論はないと思います。そういう意味から、私ども微力でありますけれども、一致協力しまして、十分そういう点を支障のないようにしたいと思っております。しかし、何しろ十二億という赤字というものは、これは莫大な金であります。小さい会社ならば五社も六社もできるような金でありますが、こういうものを、国家の資金からわれわれがマイナスを出したということに対しては、十分な責任を感じておりますが、いましばらく、もう少しの間われわれに検討する時間と努力を与えさせてもらいたいと思います。雑駁な内容でありますが、決して東北開発産業経営資格がないのだということには、私は同意しかねます。
  24. 西村力弥

    西村(力)委員 私もその東北開発重大使命からいいまして、経営資格がないのだということを断定しようとするんじゃないのです。私としましては、懸命な経営をやりましても、それでもなおかつ赤字が出るという場合においては、これは後進地域の、経済ベースからはずれているような仕事も、国策的立場でやらなければならぬ会社でありまするから、前提として懸命な努力があったとするならば、赤字なんということも意に介さなくてもいいんじゃないか。それでなければ開発の真の目的は達せないのじゃないか、こう思うのです。それであるから、もうける必要もないし、ただ赤字は好ましいことではないので、やはりこういう赤字が、今回に限って出たということであるならばとにかくとしまして、企業自体収支面において償わないということからくる赤字が大きくたまっていくと、やっぱりその企業自体が存在する可能性というのはないのか、こういうことに考えがいくわけなんでありまして、その点は長い目でとおっしゃいますが、十分に御努力を願わなければならぬと思うのです。  それで十二億の赤字の中には、土地造成評価というものは、利益として全然入ってない、こういうことになるのだろうと思うのです。この件は工事進行基準による損益計算は不当だということ、これは秋木の場合から指摘されてあったわけですが、だから今度の試算にはそれは加わってないだろうと思うのですが、これが完全に売れたということになりますると、現在土地造成として持っておる未売却土地評価は、全部売れたとすれば、十二億の赤字はどれくらい解消しますか、どういう計算になりますか。
  25. 山中徳二

    山中参考人 秋田に持っている土地十五万坪が、坪五千五百円で売れますとすれば、約三億の利益が出るわけです。それから塩釜、大浜高砂等は大体明年度でも売却可能でありますし、ある程度収益が入ってくることになっております。その方では、明年度損益計算で約三千万円の利益を見ております。
  26. 西村力弥

    西村(力)委員 酒田の大浜地区でありますが、あれはああいう工事の手違いから、売却単価というのは非常に上がったということがあるが、一坪一万円以上というようなことになりますと、企業者も、それを買ってそこで企業経営を成り立たせようということは困難だというので、なかなか買わぬ、こういうことになっているはずでありますが、そうしますと、東北開発趣旨でやった土地造成が、造成土地が高いために、いつまでも買い手がつかないということになると、むしろその町の発展を阻害するという結果になってしまうじゃないか。これは全く趣旨に反することになるのじゃないか。そういう場合には、国策会社として、地域開発という目標のためには、やはり適正な価格まで引き下げる、そういうことだってあり得べきことであろうと思うのです。これは企画庁の許可事項であるかどうか知りませんが、会社としてはそういうような英断をやる考えはないかどうか。国策会社という趣旨は、そういう点においてかりに赤字は出ても、それは許容される問題であると思います。現実にあるああいう地域開発をむしろ阻害するような障害というものは、これを除去する、こういう方式もやはり考えていかなければならぬと思う。それについては総裁はどう考えるか、監督官庁はどう考えるか。
  27. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 それは、土地は、買う方から言えば安い方がいいにきまっておりますが、しかし、従来の処理した関係から言いますと、坪六千円というものがあるのです。それを今県あたりでは、高過ぎる、今、先生のおっしゃったような意見はあります。ありますが、前に六千円で売ったものを、すぐ三千円に落とすということは、これは取引という関係から言いましても、いかにもどうも東北開発は貧しているというようなことにもなりかねません。しかし前の人に六千円で売って、一年もしないうちに三千円に落としたとか三千五百円にしたかということになりますと、まことにどうも信頼できない会社であるという印象を与えると私は思う。  それから、やはり土地はだんだんに値上がりしています。値上がりしているに比較しまして、東北開発仕事はだんだんに値下げしていくんだということも、これは世の中の一般の風潮をいいますか、そういうものにも沿わないことになるので、多少の——今私の考えておりますのは、五千円か四千五百円くらいまではやむを得ないだろう、つまり一括して買って下さる人にはその通りでいいだろうということです。しかし、わずか五千坪だとか一万坪というような場合には、やはり五千円程度で売らなければ、商売としても、土地状況から見ましても、土地の値上がりから見ましても、その程度は無理じゃないじゃないかという判断をしております。しかし、こういう問題が起こったのも、やはり買う方から見れば、どうも東北開発土地はうっかり買えないぞという警戒心を起こさしたと思います。ですから、その点の解消を私どもはこれから努力すべきであって、ただ値段を下げたから売れるというものじゃないと思います。会社と安心して取引ができるようなところまで持っていくのがわれわれの第一に努力すべき点ではないかと私は考えまして、もちろん高い値段であればよろしいわけですが、ほかとのつり合いもあります。秋田県庁あたりでも、少し高いじゃないかということを言っておりますから、十分その点は考えてやるつもりであります。
  28. 西村力弥

    西村(力)委員 六千円程度ですとまあまあということでしょうが、具体的に、酒田の大浜地区は、えらいかかって、原価をはじくと坪一万円以上につく。それだから一万円以上でしか売らぬという具合にがんこにやっておれば、だれも食いつかぬということになる。酒田市としては、せっかくの望みをかけたものが、いつまでも野ざらしになって、お客さんは来ないで、かえって開発の阻害になる。ですから、具体的には酒田の場合なんかは、一万円以上に原価はついておるけれども、原価以下では売らぬという方針なのか、それとも、そういう法外な場合には、適正な価格に引き下げても開発に沿うべきである、こういう方針をとるのか、そういうことを具体的に一つ
  29. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 ただいまのお話に対しましては、きわめて簡単に申し上げることができると思いますが、酒田の大浜地区の問題は、やり直したりなんかしまして、余分な経費を使っております。ですから、多分に高いものになっておりますが、私どもは、かけたから高く売るということは、商売の上からもできないのです。そういう土地というものは、おそらく買う人もないだろうし、われわれもその点は十分考えて、やはりあそこの土地も、今の秋田土地と大体同じような価格で売るという方針をきめております。
  30. 西村力弥

    西村(力)委員 こういうことをあまり詳しくここで問題にすると、商取引のお里が知れてしまうことになると思うのですが、いずれにしましても、私ども、やはり東北開発というそういう趣旨に進みながら、その障害になっているものの除去という場合には、開発趣旨を最も大事に考え処理せられるべきであるという主張、そういう主張から、一応その問題を提起しておったわけなんです。  ところで、今度の問題は、検察当局の問題ともなり、また、当委員会としても、相当の時間をかけて、精力をかけて審議をしてきたわけなんです。そして結局、三十六年度決算は十二億程度赤字だ、こういう結論を見ざるを得ない、こういう段階に参っておりますが、これについて新総裁以下役員の方々は懸命に再建の策というものを考えられるわけなんですが、再建の策を考えるにあたって大事な点は、やはり何がゆえにかかる結果をもたらしたかという原因の究明、こういうことがまず先行しなければならぬではないか、こう思うわけなんです。その点については、副総裁は、前の監事をなすっていらっしゃったわけなんですから、今までの内部から見た自己批判的観察ということがあるでしょうし、また、新総裁は、自分の今までの経験を生かして、ここの会社に入ってみての問題点、何がゆえにこういう結果をもたらしたかという問題点、そういう点についての観察がおありだと思うのです。これはお二人から、ここに至らしめた原因というのはどこにあるのか、どう考えていらっしゃるか、それを一つお話を願いたいと思います。
  31. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 私から申し上げたいと思います。  これはきわめて抽象的にものがなるので、こういう事実があったからこうだということにはなかなか説明がつかぬ問題だと思うのです。私は、まあ自分なりに考えたことは、やはり会社の最高幹部として、こういうことにもっと反省力というものをはっきりしておかなかったということ、つまり、やはり内部が一致していないということが、こういう問題を招きやすいし、原因になっていると、私は過去の経験から見まして考えるのであります。  それはどういうことかといいますと、その重点は、やはり人事問題というものが、ほんとうに協力態勢をしいておれば、勝手なことをして損害を大きくするとか、そういうことは互いに防げる問題ではないかと思うのです。その点については、人事問題と申し上げましたけれども、やはり人事問題の一番の極致は、どうしても最高責任者たる総裁においてあると思うのです。その点、やはりこういう問題を招く最大の原因がそこにあったんじやないか。決して金の勘定が間違ったとか、そういうことじゃなくて、そういう内部の一致態勢というものがないと、とかくそういうそごを来たして、みんなに協議すべきものを協議しないで売ってしまったとか、そういうことがありはしないか。そうしますと、そういう問題がいろいろ破綻してくるというところに、こういう問題の根本原因があったんじゃないか。私は、この東北開発会社の経験じゃなくて、他の自分の過去の経験からそのように考えておるわけであります。どうも具体的に、一々、この問題は何のために起こったということは、私は説明の材料がありません。ただ、自分の反省資料として考えるところはその程度であります。
  32. 山中徳二

    山中参考人 ただいま伊藤総裁お話のありましたようなことは、私も同感でございます。会社経営がうまく参りませんことにはいろいろの原因があろうと思いますが、私どもといたしまして反省しなければなりませんことは、特に会社のトップのマネージメントが適正的確に動きますことが、これは非常に大事なことでありまして、十の力が十あるいは十以上に出るには、全くそういうことに対する関心が十分払われているかどうか、その実績が十分上がっているかどうか、そういうことによりまして、おのずから会社の内部の機構なり何なりが、その通り折り目が正しく、本来の機構なり運用の方法で進められていくということに、今後十分注意を払わなければならないのじゃないかと思いますし、また当初、東北開発会社に改組になりまして、相当急に機構なり予算が膨張いたしまして、仕事の面も一ぺんに非常に窓口が広がったというような点と、一面、かねて御指摘がありましたように、当社が東京と仙台に分かれておりまして、重要事項を常務的に緊密に連絡をとるということに、やはり若干手抜かりがあったのじゃないか。今後の事業の運営につきましては、会社のこなし得る能力に即応して事業計画を取り上げて、また、事業計画を取り上げます際には、事前に十分調査をいたしまして、事業の的確な運営が予定通りやれるということで、重点的に事業を実施することが、今後一そう大事じゃないかというふうに考えているわけであります。  まだいろいろあろうかと思いますが、気づきました重点と思いますことを申し上げました。
  33. 西村力弥

    西村(力)委員 山中さんのあれとしましては、もう一つ、監査制度のほんとう意味の確立ですね、こういう反省はないものですかどうか。まあ今まで審議した過程においては、監事はたな上げされたとかなんとか——そうでないとおっしゃるでしょうが、またそうおっしゃったでしょうが、そういう内部監査制度というものは実にスポイルされて骨抜きにされていた、こういうこともやはり一つのものの反省としてないものかどうかですね。山中さんは監事をなさって、ことにそういう点は御指摘になるお気持はございませんか。
  34. 山中徳二

    山中参考人 御注意を受けましてまことに恐縮に存じておりますが、私は、この会社事業の実態監査と申しますか、そういう面につきましていろいろ問題のありましたこと、これはまさに御指摘の通りでございます。その面につきましても、会計面の監査というものも強化しなければならぬことと思います。従来、会社で取り上げるべき重要な事項は、これは理事会等の正規の手続できちんと審議をし、また、理事会で取り上げられたことが、その通り行なわれておるかどうかということを確認することが必要であろうかと思います。そういう面につきまして、機構なり運営なりが、その通り行なわれなかったことを先ほど申し上げたのでありますが、御指摘の通り、会計の監査につきましても、不十分だということは認める次第でありまして、今後その点については十分強化していかなければならぬと思っております。
  35. 木村公平

    ○木村(公)委員 ただいま会社の反省の問題が出ておりますが、この中で一番大きな反省の一つでなければならないことが、伊藤総裁からも山中総裁からも承れないことは残念でありますが、会社を反省なさるについて、一番大きな障害は、官僚出身の方が幹部におられて、そうしてこれが産業経営の実権を握っていらっしゃる。昔から武士の商法ということがございますが、失礼ながら、長い間官界におられた方が、いきなり産業経営をおやりになるということは無理なことなんです。なるほど、日本の各産業界を見てみますれば、役所から天下ったような人もありますが、それは数にいたしますれば幹部の一部分であります。ところが、東北開発の実態を見てみますと、幹部の大部分が官僚の出身である。ことにそこにおいでになります山中総裁のごときは、監事をやっていらっしゃる。しかも行政管理庁から天下った——と申してははなはだ非礼でありましょうけれども、転出されて監事をやっていらっしゃって、しかも——理事会に除外されておられたかどうかは知りませんけれども、今日刑事問題が続出しておる。しかもその刑事問題は、贈収賄というまことに忌まわしい、おそらく商人にしては風上に置けないような犯罪でありますが、その犯罪を、監事の現職におりながら察知することもできず、犯罪は今日ますます拡大せんといたしておる。しかも余罪があるやもしれないというようなことを刑事課長が言明いたしておる。そのような段階において、監事から副総裁に昇格された。前身を洗ってみれば行政管理庁の幹部である。その人が監事をやりながら、このような事件が内部に包蔵されておったことを察知できなかったということだけでも、一つの重大な責任であると私は思うのです。今、伊藤総裁並びに副総裁からの反省の言明によりますれば、官僚から会社に天下った者の数が非常に多いことには一言も触れておられない。これは理事会がよくなかったとか、監査のやり方も多少悪かったというように、顧みて他を言われるような印象をわれわれは受けざるを得ないのであります。  この際、特に伊藤総裁から、今日の人事構成というものに対して、忌憚なき御反省の弁明を承っておきたいと存ずる次第であります。
  36. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 ただいまの御質問に対しまして、私申し上げます。  官僚出身の幹部ということに触れておりますが、やはりこの会社の性格を考えてみなければならぬと思います。普通の商事会社であれば、おそらくそういう点は問題にならぬと思います。しかし、この会社はやはり国策会社として、一般の国土開発という国家の責任を持ち、使命を持っておる会社であります。従って、どうしても官庁との連絡、あるいは官庁的指導というものは、この会社から払拭することはできないと私は思います。ただし、問題が人のすわりどころといいますか、土俵というものは、おのずから考えなければいかぬと思います。その点を従来考えたかどうかということは、私は率直に言いますと、企画あるいは管理というものは、やはり国策会社としては、どうしても官庁関係と密接な関係を結ばなければ、予算の問題も解決しませんので、ただの商売人上がりのものがやっても、これはできない仕事じゃないかと思います。従って、そういう部署に対しましては、やはり私はそういう人材をこの会社で要求していると思うのです。工場長でも何でもいい、官庁出身はどこでもいいということは、これは非常に間違った考え方で、適材適所ということをはっきり考えて人事の部署をきめなければ、この会社の使命というものは達成できないことは私は十分自覚いたしております。従って、今申し上げましたような部署には、どうしてもそういう人材を必要とすると考えます。今後も優秀な方がこの会社に入られまして、そうして会社の機能をどこまでも高めていくという人材を私どもは要求したいのであります。従って、ほんとう生産活動にはりっぱな技術者、あるいは営業活動に至りましては、りっぱな営業マンというものがなければ、先ほどのお話のように、どうしても気のつかないところに赤字の線が忍び込んでおるということも見通しがつかないことになると思います。その点はやはり専門は専門として、その会社の性格上、ただ官僚出身の人は困るとか、排斥するとかいうことは、簡単には結論が出せない。また、そういう方々も、どうしても会社の性格上必要だと私は思います。
  37. 木村公平

    ○木村(公)委員 大体お話はわかりましたが、これは国土の開発上、国策会社でありますことは十分われわれは承知いたしておりますが、この国策会社が、国土開発の一環として産業経営もやっていらっしゃることは事実であるのです。従って、産業経営の部面をも含めて、すべてが官僚出身の者によっていすが占められ、そうして官僚的センスをもって産業経営がなされるということに対しては、私は一つの危惧を持つわけです。国策的の大見地から、大きな構想を立てられるという最高の総裁であられる以上は、その下には、産業経営の部門には、産業経営に適する者がおのずからいすを占めるべきだと思います。あなたのただいまの御答弁の中で、人を得ればよろしいのだ、いきなり官僚出身であるからこれはいけないというような考え方を排除して、そうしていわゆるいすに人を得ればよろしいではないかということは、私は一部賛成です。一部賛成でありますが、今の段階における人事構成を見てみますと、ほとんど大部分が、全く産業経営関係のない官僚の方々が、産業経営のいすを占めておられる、そのことに対しては、私は東北開発の今後の産業経営の部門におけるところの将来性に対して、一まつの危惧を感ぜざるを得ないわけでございますから、その点一つ誤解のないように十分御反省の一端にしていただきたいと思う次第でございます。
  38. 西村力弥

    西村(力)委員 内部反省といたしまして、内部の不統一人事の問題、これが一番重点であるということのお話が二人からございましたが、それではこの段階にあたりまして、国民の負託にこたえる再建策をどうしようとするのか。これは新聞にも総裁一つの構想が発表になったり、また昨日は、総裁監督官庁藤山経済企画庁長官にもお会いになっていらっしゃるということでございますが、そこでも自分の構想というものを述べられただろうと思いますが、将来この段階でどう改善なさろうとするのか、お考え一つ述べていただきたいと思います。
  39. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 きのうも私長官にも申し上げましたし、政務次官にも申し上げたのでありますが、この点は事業構造といいますか、これをどういうふうに持っていったらよいかということを主として申し上げたのであります。その構想から言いますと、やはり今木村先生の御指摘になったような点もむろん関係しておりますが、人事の配置という点も長官に申し上げてあります。  ただ、ここで新しく申し上げることは、これにはいろいろ批判もあると思いますし、まだ決定的なものじゃないと思いますけれども、私はこの東北開発のやっているいろいろな産業活動というものは、将来の基盤となる活動の基礎を築いてやるというのが私どもの使命だと思っているわけです。ここで、どんな仕事でもやり得る仕事は、何でもやってやる、そしてこれを独立して東北開発仕事であるということは、長くそういうことを継続すべきじゃないと思います。一定の基盤を築くのがわれわれの仕事であって、それがほんとう軌道に乗る見込みがつきましたら、やはり産業というものは、専売事業はともかくといたしまして、大体の線は民間の事業だと思うのです。そういう関係から機構の問題は申し上げてあります。  それから、具体的に申し上げますと、国家の資本を使わなければならぬ、東北には資本が少ないですから、その線で仕事を始めることは当然私は必要だと思います。しかし、いつまでも調子がいいからやってやるとか、調子が悪いからやめるというのではなくて、一定の基盤ができましたならば、これを民間なりあるいは民間との合同経営なりに移しまして、その資金を利益のあるところから吸収しまして、その資金をさらに他の方に向けてやるようにしますれば、国家の資金効率から見てもいいし、それから産業基盤が次々にできていく。東北の現状からいいまして、やはり大企業はむずかしいと思います。中小企業的な形態が生まれると思うのです。それが生まれるには、先ほど申し上げましたような機構でいくことが、東北の将来を大きくするゆえんじゃないか。東北開発が何でもかんでもがんばっておって、他人の入る余地をなくするというのじゃなくて、むしろわれわれは、誘致をする手引きをしていくんだというところにわれわれの使命があると思う。むろん前任者も考えたでしょうが、私は私の考えた構想を申し上げました。  そうしますと、大体東北開発はそういう産業的な活動をすべきじゃない、こういうことはやめたらどうだという意見を発表された人があります。しかし、これは私どもの考え方を相当誤解した意見だと思います。別に反駁もしませんが、しかし、私の申し上げることは、国家の資金をどういうふうに効率的に動かすかということが第一の問題、それから産業別——一社でもってあらゆることを多角経営をやるということは、雇用の問題から見ましても非常に無理な点があります。今の労使のトラブルを見ましても、みな産業別に動いている。東北開発だけは十ぱ一からげにやれるという理由はない。そういう点から見ますと、産業の基盤を築いてやる。基盤を築くというのは大きな意味があります。基盤に乗せてやる。他人が経営してこれはできるというようなところに誘致をしてやるというのが私どもの責任じゃないかと思いまして、その構想を申し上げたわけであります。それに対しましては、別段反対もありませんでしたが、しかし、最後の決定にはまだ至っておりません。これを十分主管官庁にも検討していただきまして、その線でよろしいということになれば、われわれはその線にはっきり乗り出して、今度のいろいろな赤字解消の問題もその線につながるわけでありますから、全体の問題が相当面貌が変わってくるんじゃないかと思います。そういう構想でございます。
  40. 山田長司

    山田(長)委員 話を伺っておりますと、将来の基盤を作り出すという大きな構想のもとに進められておる東北開発が、調べれば調べるほど、どうも食いものにされておるという印象なんです。その点食いものにされないという厳然たる基盤が、東北開発の今後の運営に出ない限りにおいては、また同じような事態を繰り返すのではないかという印象を持っておるのです。やはり仕事の衝に当たる人たちは、厳然たる経営方針を持って——幾ら国策会社であるからといって、赤字を出していい筋合いのものは一つもないですよ。その点この間から話を伺っておるのに、どうも一つも指針がないと思うのです。そういうことで国民の血税をむやみに東北に持ち出していいという理屈は一つも成り立ちませんよ。私が調べた範囲だけでも——さっきから方針を伺っておるようだから伺わずにおるのですが、大体砂鉄なんというものは——砂鉄が全然出ていないところに一億数千万円も投じておるという事実が明らかになっておるのです。そういう今までの赤字内容について、この間うちずっと重役諸公連中が集まったときに伺えなかったが、新たな事実として上がってきたのでこの場で伺うのですが、こういうものを買収するとき方針がちっともなかったと私は思うのです。どういう方針のもとにいろいろな部門をお立てになられたかということについては、みんな政治的圧力をかけられて部門を一つ一つ作ったという印象を持つのですが、そういうことはなかったのですか。
  41. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 過去の詳しいことは私は承知いたしませんけれども、しかし、全然無方針でやったということはないと思うのであります。  それから、食いものにされたとかいう点は、どういう点をさして言われるか知りませんけれども、過去において、砂鉄事業をやるために一億数千万円の金をすでに使っているということは事実です。しかし、東北一面に最も地下資源として膨大な資源を持っているのは砂鉄であると私は思っておりますが、それを調査し、鉱区の買収とかそういうことに対しましては、相当な——これに三年前から取り組んでいるわけでありますから、その間に毎年準備費として、あるいは調査費として、あるいは鉱業資源の獲得のために政府から予算をもらっているわけです。ですから、一億円の金をそれに使って何も現在ないじゃないかというようなことをおっしゃるようでありますが、しかし、これは準備行為であって、今後砂鉄事業に着手した場合に、やはりそのくらいの準備行為はどうしても必要でなかったかと思うのであります。しかし、それは事件が起こってからいろいろ攻撃の材料、世間の非難の材料にはなっておりますけれども、あの程度の準備行為は、こういう大きな事業においては必要であると思います。しかも砂鉄事業というものは、今日の日本の事業ではなくて、むしろ将来どうして鉄鋼界に貢献するかという大きな使命を持っている事業でありますから、やはりそれに対しては準備期間も相当要るわけであります。過去にも要ったと思いますが、もう今日では過去のおかげで大体の線がまとまったと思うのです。ここまでまとまるには、やはり一億何千万円の準備費を使うのは無理でなかったのではないかと思うのであります。ただ問題が起こったのはまことに遺憾でありますが、問題はそういう調査のために起こったのではなくて、別途の感覚からこういう事件を起こしたと思います。そのために調査費は要らなかったのではないかというお含みだったら、私は先生に対してはどうも異論があるようであります。
  42. 山田長司

    山田(長)委員 私が伺いますのは、実にばかにされたという印象を持っておるのです。なぜかというと、五、六年前東北開発セメント工場の場合なとも、始めるときは——私は現地調査に行きました。そのとき、要するにセメントというものは、今独占資本家がかなりもうけておる、従って、このセメント工場ができることによって、セメント界に革命的な単価を引き下げたものができ上がるのだという説明を当時受けたのです。ところが、そのセメントをほとんど食いものにされておる。この砂鉄の場合、あなたは何カ所砂鉄工場を知っておるのですか。この砂鉄工場を、わかっておる限り場所を言って下さい。
  43. 伊藤保次郎

  44. 山田長司

    山田(長)委員 そうです。
  45. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 まだ仕事は始めておりません。
  46. 山田長司

    山田(長)委員 準備期間中のことであって、経費は一億何千万円も使ったが、この砂鉄事業は現在始めておらないという話なんですが、それが問題なんです。始めたって砂鉄が全然出ないという実態があるのだ。それは始められないのですよ。今何カ所が砂鉄事業計画の中に入っておるのか、場所がわかっておるならその場所を言ってごらんなさい。私は場所を聞いているんだ。
  47. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 そういう意味場所ならばはっきりわかっております。ここはこういうふうに経営する、こういうふうに採掘していく、この場所から何千トン、何万トンのものが出るというはっきりした調査はできております。ただ、まだ炉ができませんから、炉の持っていく操作はやっておりませんけれども、その計画的なものは全部詳しく何回も調査しまして、その調査費用というものははっきりしたものが出ております。これは当局にも出してありますが、必要であれば先生のところへもお届けしてかまいません。そういう問題ははっきりしています。ただ、鉱区の売買に関してどうであるとかいうような問題が起こって、いろいろ疑惑を招きましたけれども、その資料の、鉱原の獲得につきましてははっきりした線が出してあります。
  48. 山田長司

    山田(長)委員 どこの場所にそういう金をかけているかということを聞いているのです。
  49. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 場所は、私も地図を見なければわかりませんが、すっかりはっきりしたものがありますから、これはだれかに説明させます。
  50. 山田長司

    山田(長)委員 今の総裁の様子では、これはおそらくわからないかもしれませんが、だれか知っている人がいたら、現在の砂鉄を買収した場所を言ってごらんなさい。
  51. 山中徳二

    山中参考人 現在までの取得鉱区についてのお尋ねかと思いますが、最初に取得いたしました鉱区は下北の大畑地区ほか八鉱区でございます。それから第二回はやはり下北の石蕨鉱区ほか二鉱区でございます。それから第三回目といたしまして、やはり下北の田名部鉱区ほか一鉱区、それから第四回目といたしまして秋田県の鹿渡と申しますところですが、そこの鉱区を買っておりますが、そのほかに開発会社自体といたしまして別途鉱区を出願し、そのうち一部登録済みになっておる鉱区がございます。
  52. 山田長司

    山田(長)委員 鯉川の砂鉄鉱区はどうです。
  53. 山中徳二

    山中参考人 それは秋田県でございましょうか。
  54. 山田長司

    山田(長)委員 秋田です。山本郡琴丘町、あるいは何か大きな鉱区の中に入っているかもしらぬですが……。
  55. 山中徳二

    山中参考人 先ほど申しました鹿渡鉱区は一括して買収いたしておりますが、その鹿渡鉱区は十九鉱区に分かれておりますが、そのうちに琴丘町の鉱区が二カ所入っております。
  56. 山田長司

    山田(長)委員 秋田県の北秋田郡鷹巣町の鉱区はその中に入っておりますか。
  57. 山中徳二

    山中参考人 当方で買収いたしました鹿渡鉱区の中には入っておらないようでございますが……。
  58. 山田長司

    山田(長)委員 担当の人が松本さんで、この松本さんがこれらの担当なんです。その松本さんは、東北開発会社でこういう失態を起こしていながら、今度農地開発機械公団の総裁になったわけです。実はきょうの本会議後の農林委員会でこの機械公団のことがかかるのですが、この松本さんの担当です。そこでどうも私は、こういう東北開発会社赤字を出してきた人が、また今度次の機械公団の総裁になってくるなんということで、国民をばかにしているという印象なんですよ。  それで尋ねるわけですが、ただいま申された十九鉱区一つだと言うが、あなた方は知っているかどうかわかりませんけれども、一体この鉱区の売買にあたって、だれがこの鉱区の売り込みに開発会社へ行ったのです。大体私は名前はわかっているのですが、一億からの金を払っているからには、もし間違いがあるといけないから。ただ、東京鉄鋼という会社に金を払ったという筋合いのものではないと思うのですよ。これに関係している人の中には、早稲田大学の教授の村井資長という人が入っていますが、一体これらの人たちについての東北開発会社で折衝した人はだれです。
  59. 山中徳二

    山中参考人 事務的な折衝は、鹿渡鉱区の売買につきましては、当社の鉱山部を窓口として折衝して話を固めて参りましたようでございます。その前後にどういう者が関係したかということは、私ちょっと今つまびらかにしておりません。
  60. 山田長司

    山田(長)委員 どうも窓口で折衝するといったって、郵便局へ貯金を納めにいくのと事が違うと思うのですね。また、千円や二千円の金を郵便局の窓口で下げてくるのと事が違いますよ。やはりもう少し、だれがその衝に当たっているのかということがなければ、窓口折衝だけで解決つく筋合いのものではないと思うのです。
  61. 山中徳二

    山中参考人 鉱山部長の大松沢社員が交渉の責任者として、事務の責任者として当たっておりましたことを申し上げたつもりでございます。
  62. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、その折衝部長の上にいる担当理事というものは、今度機械公団の総裁になっていかれる松本さんが担当していると思うのです。その部長だけでそんな一億もの金の取引が進められる筋のものではないし、松本理事はどういうことでやられたのか。
  63. 山中徳二

    山中参考人 話の起こりました当時の鉱山部の担当は雲野理事でございます。何かあれじゃないかと思いますが……。
  64. 山田長司

    山田(長)委員 そうしますと、雲野理事の担当部門は工業用地部の部長という名に当時なっていると思うのですが、鉱業所は松本理事の担当なんです。そうすると、工業用地の買収等については全部雲野理事の担当範囲と見ていいわけですか。
  65. 山中徳二

    山中参考人 鉱区の買収につきましては、鉱山部の所掌でございまして、工業用地部の関係はないのでございますが、工業用地部も鉱山部もいずれも雲野理事が担当いたしておりました。
  66. 山田長司

    山田(長)委員 どうも今の話の範囲では、私は理解ができないのです。これは与党の大物の名前をこの際あげることはどうかと思うのでありますが、やはりあげなければいかぬと思うのです。もう少し詳しく買収経緯について話して下さい。私は名前をあげなければならぬ事態だと思うのですよ。この鉱区の価値というものは、世間で一般評価されている額が判明している以上、当然もう少し具体的に話さなければならぬと思うのです。おそらくさっきの検察当局の人たちでも、この鉱区の今度の場合における事態はわかっていないのですから、もう少し前後の事情を明確にしてもらいたいと思うのです。だれがその衝に当たって、だれが行ったのか、いつからこれが始まって、どういう契約書に従ったものか、もう少し明確に願います。
  67. 山中徳二

    山中参考人 はなはだ申しわけないのでございますが、ただいまのところ、私先ほど申し上げました以上に承知いたしておりません。
  68. 山田長司

    山田(長)委員 今の答弁だけではさっぱりふに落ちない。こういう莫大な金が支払われているのに、どうも窓口折衝だけの話であったり、前所有者が東北開発に売り込んだ経緯をもう少し明確にお話し願いたいと思う。雲野理事が検挙されたからといって、雲野理事にこれを押しつけてしまったのでは——どうも雲野理事一人でやったものと私は考えられないのです。その点委員長からも、やはり前後の事情というものを明らかにするように御発言を願いたいと思います。
  69. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今、私も山田さんの調査された書類を拝見したのですけれども、、これを見ると、今、山田委員が言われた秋田県の鹿渡ともう一カ所あるようです。そこは知っている人なら千円でも買う人のない、いわゆる砂鉄がないところを、砂鉄があるような報告書を作って、そしてそれを五千五百万円で東北開発に売りつけた。それが二カ所もある。しかも、その売りつけにあたっては、名前は省略するけれども、政界の大物がその陰にいて動いたということなんで、今、山田さんがそのことを中心にしてお聞きしようとしておるわけです。ところが、あなたの方では、それに対する資料がそこにないから答弁できないでしょう。ですからこれは、きょうは午後も本会議が済んでから開かれるわけですから——われわれの今までの方針としては、きょう一応この問題は結末をつけようという話で進んできております。といって、そういう疑問のものを残していっても、あなた方も、またわれわれとしても、立場が立ちませんから、午後に再開される委員会までに、時間もあることですから、あなたの方でその点の事情を調査して報告して下さい。
  70. 西村力弥

    西村(力)委員 東北開発自体東北のいろいろな産業を全部多角的にやって、自分の仕事としてやっていくというよりも、基盤を造成して、その見通しが立てば、逐次民間にそれを移譲していく、こういう基本的構想を持っているんだという伊藤総裁お話でありました。そのことは一つの見識として、私たちも、完全に賛成ということではありませんけれども、十分に拝聴すべきであると思っておるわけですが、ただその場合に問題になる点は、民間に移譲しても、東北開発の目的を十分に達成せられるような基礎条件ができた、こういう認定がなければならぬと思う。今までですと、赤字になると、これは自分たちの経営のマイナスであるから、これは切り捨てた方がよろしい、こういう立場で内輪で民間移譲をやった。そういうことと、それから、その移譲に伴っていろいろな地域に対する影響、それからそこに働いておる労働者の労働条件の切り下げ、こういうことが付随していくということはやはり避けなければならぬ。そういうことの確認がしばしばなされなければならぬのじゃなかろうか、そういうことを前提としてやらねばならぬ。また、譲渡の場合には、往々にして国の財産的なものは、評価がとかくそこに問題を介在するということでありますので、これは厳正なる、適正なる価格というものが、認められる状況下において払い下げなければならぬ、こういうことを条件として、今のお話は、やはり基本構想として大いに傾聴すべきであると思うのです。それは基本構想としてはよろしいですが、現実に内部不統一ということがお二人から一番大きなガンであったということを指摘されておるのでありますが、この面に対してはどう考えていらっしゃるか。その面については、山中総裁はトップ・マネージメントという言葉も使われておりましたが、これがさしあたってやはり内部不統一を排除する、人事面に清新の気と一致態勢というものをもたらしていくために、それじゃどうするのか、この点についての御見解がありませんでしたが、それはどうですか。
  71. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 ただいまのお話は基礎的なお話で、私どもは十分心得ております。  第一番の問題の民間の経営に移すという場合も、これは下手にすると問題が起こるわけです。汚職も悪いことをすれば起りましょうし、これに対しましては、十分な厳正な審議機関というものを、今時間がありませんから申し上げませんでしたが、これは絶対必要条件です。たとえば東北開発委員会であるとか、あるいは特別な審議選考機関であるとか、ことに各県にまたがっておりますから、時に厳格な資格審査といいますか、あるいは経営能力といいますか、これは審議してきめて、公にしなければいかぬ問題である。ただ、ある方面と交渉して切り捨ててしまうということは、絶対に避くべき問題と思います。そういう考えをもって申し上げたのであります。  それから、会社の内部の不統一ということに対する考えはどうかと言われましたが、これはすぐあしたからどうということは、われわれの力ではできませんので、やはり会社の内部の協力態勢というものはどうしても時間がかかると思います。幸いに今日まで、家が困ってくればみんなが一致すると同じことで、気分的には私は相当みんな一緒になっていこうじゃないかという気分が盛り上がっているように思います。責任の痛感も、幹部から責任問題に対して申し出がありました。まことに感心なと思っています。それから、一般従業員といいますか、職員といいますか、その方面も、組合は組合で声明書、要望書をもって、自分たちの態度をはっきりしております。そういうわけで、あと残るものは、要するに私を中心にしました私のグループが、ほんとうに協力して意思の疎通を完全にしていくということになれば、一応今お話がありました体制に乗るような準備行為ができたと私はそういうふうに信じております。  しかし、今現にそれではどの程度までできておるかということは、これは相当抽象的な問題でありますから申し上げかねますけれども、私どもひいきに見る点もありますが、気分としては、会社の内部にこういう問題が起こっていますと、従来の点はみなわかっているわけでありますから、その点は是正していくという気分に持っていこうと考えております。その点は私は責任を持っておるつもりであります。御期待に沿うようにしたいと深く考えておる次第であります。
  72. 西村力弥

    西村(力)委員 今のところそれは一体的にやっていこう、従来のあり方を続けておったのでは、この会社自体の存亡という問題になるという、こういう強い反省から一体的な気持が出てきておるようです。それはけっこうなんですが、しかし、それだけの心がまえで将来ともそういう一体の体制というものが保証されるかどうかという問題になりますと、この内部不統一の根源というものは、個人々々の性癖や何かの問題ではなくて、やはり理事の選任だとか、職員の任用とかにあたってのお話が今もありましたが、幹部のあまりに極端なる感情とか、端的にいえばいわゆる派閥人事、こういうところに根源があるわけなんでありますから、それをいかにして排除するか、こういうことまで問題を進めて参らないと、将来にわたって今の一体的な気持というものが、本物に育て上げるということはなかなか望み得ない事態に至るのではないか、こういうことも考えられるのです。  そういう点は、総裁一つの決意というか、そういう問題でもありますけれども、なお一つは、企画庁としても——まとめて最後に聞こうと思っておったのですが、企画庁としても、監督官庁としても、この事態から立ち直らせる方式というものは具体的にないにしろ、相当の構想を立てなければならないと思うのです。それは会社が主体になって、それと協力してほんとうの実効のある再建策を立てなければならないと思うのですが、そういうことについて、もう少し今の気持で一体性が可能だということではなく、もっと突き進んだ病根の芟除方策というものについての考え会社側としてないかどうか。ついででありますから、企画庁としても今の事態にあたっての再建方式をどういう工合考えておるか。これを一つ述べてもらいたいと思うのです。
  73. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 ただいまのは政府当局にも関係しておりますが、私の関係の範囲だけを申し述べたいと思います。  内部統一ができるかできないかということは、人事問題の処理といいますか、これに重大な関係があるわけです。それで私は、せんだっても大臣に申し上げたことがありますが、会社には人の淘汰のためではありませんけれども、定年制というものを実施しておりますが、これがいろいろ人がないことのために定年制を延ばしたというようなこともあります。これはやはり定年制を実施した以上は、定年制を確実にやるということも、人事の交流といいますか、そういう点から、延ばしたから不公平になったという意味ではありませんけれども、考えようによっては、いろいろ疑惑を持つ点がありますから、この点は確実に実行するということをいたします。  それからあとの統制の問題でありますが、よそから人がつぎ込まれてきたときにどうするかということは、今の先生の御質問にも入っておったかと思いますが、これは要するに、総裁ほんとうの唯一の責任だと思います。私自身がぐらぐらしておればこういう問題は解決できないのであって、ほんとうに正しい気持をもって断行していくというところに問題がある。他人にかぶせる問題では絶対にないと思います。やはりこれは総裁ほんとう責任の重点が人事にあるということでありますから。しかしながら、人の推薦された人事を断わっていくのがいいというのではありません。正当な判断から人の採用というものを慎重にやっていく。それから他の力から操縦されていっておる人事では、私どもの責任は果たせませんので、そういう点は、私たち十分自分の会社における一番大きな責任の重点は、りっぱな正しい気持をもって人事の配置をきめるところにあるのではないか、そういうふうに考えております。  あとの政府関係のことは私は申し上げられません。
  74. 菅太郎

    ○菅政府委員 ただいま会社の内部統一の問題につきまして御質問がございましたが、企画庁といたしましては、今日までの成績の上がらなかったこと、及びいろいろな不祥の事態が起こりました最大の原因が、今、総裁がおっしゃいましたように内部の不統一といいますか、内部の不和、派閥の抗争、暗闘、そういうことにあったと思うのであります。  そういう意味では、総裁の御意見と同じく、内部の統一を保つために全力をあげるつもりでございます。監督官庁の立場からそれに努めたいと思うのでございます。しかもその一番根本が、会社の最高幹部の人事にあると存ずるのでございまして、さきにも申し上げましたように、先般の理事の任期の終了にあたりまして、旧理事全部御退任願いまして、新理事の御就任を願います際には、これは総理大臣の任命になっておりますけれども、新総裁の御意見を大いに尊重いたしまして、人の和がとれるような人選をいたしたつもりでございまして、おそらくその後の会社の運営は、これによって面目を一新しつつあると考えておるのであります。今後もその方針を貫いていきたいと存じております。外部からの不当な干渉等は、努めて監督官庁として排除する決心でございます。また、職員以下の人事につきましては、新総裁を御信頼申し上げまして、新総裁が十分人の和を得るような見地から手腕を発揮されることを監督官庁としてお助けしていきたい、こういうふうに存じておる次第でございます。
  75. 西村力弥

    西村(力)委員 役員を一新される、普通の会社としては異例な措置が行なわれたわけですが、それでも、現在でもなおそれぞれの役員は、それぞれの派閥、系統を引いておるというようなことが、まだ一般の見方です。  そこで問題は、一方解決に向いたかというと、なかなかもって私たちはこれを首肯するというわけには参らない。それでそれは、今後なお一段と完全に、そういう不統一をもたらすようないろいろ外部的なひもつき的な疑いを持たれるものを断ち切る方式というものを、具体的に今後検討されていかなければならない、こう思っているわけです。総裁の御決意は、われわれは大いに期待を申し上げるわけですが、それとともに、やはりそういう機構上の、法的なというか、そういうところまで問題を進められて、解決の道を確実ならしめるということが必要ではなかろうか、こう思うわけなんです。  それとともにもう一つお聞きしたいのは、新しく会社では機構改革の案を出しておられるようでありまするが、この機構改革というものも、やはり経験に徴してのことであろうと思うのですが、販売面、営業面の強化ということがクローズアップされて参っておりますが、それも大事でございましょう。大事でございましょうが、もう一歩大事な、もっと根本的に考えられる点は、やはりこの会社の総合的な運営あるいは企画、そういうものをやる、いわゆる山中さんのおっしゃったようなトップ・マネージメントというような、今の進んだ形、そういうものが編み出されていくということがぜひ必要ではないか、こう思うんです。  当委員会の審議にあたりまして、各理事諸君の答弁を聞いておりますと、私はその担当でありませんからわかりません、私はわかりません、私はわかりませんと言う。会社内においては自分のそのセクト的な主張をやりましょうし、当委員会に参りますと、他のことはわからない、自分のことしかわからない、そういうようなあり方では、理事という職責を十分果たしていないのじゃないか。また、理事会の記録を見ましても、担当の理事が発言すると、それに対して総合的な建設的な意見というものは何も言わない。そしてすらすらとそのままいっている。大浜地区土地造成の問題なんかにも、極端になんぼも請負金額を上げることには何も論議がなく進んでいるという事例が、その通り現われているわけですが、そういう工合であっては、ほんとうのトップの理事諸君が、単に一部局長であるがごときあり方では、これはほんとう会社の運営としては正しくないと思うのです。  ですから、そういうところに責任をとる一つのグループがあって、全体的な観点に立って、そこで問題を提起していく、あるいは計画していく、こういうことで、それを全理事が全体的な責任で受けてそれを決定する、こういうようなあり方までやはり機構改革は進めて参らなければならぬじゃなかろうかと思う。総裁からまだお聞きしませんからわかりませんが、この機構改革の案を見ますると、営業部を増員をして強化する、これだけにすぎないではないかという気がするのです。その機構改革についてはどういうお考えを持っていらっしゃるか、総裁のお答えを願いたいと思う。
  76. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 この機構改革の案は、検討はいたしましたが、現状におきましては、やはり製造面と販売面が赤字の一番大きな原因であります。これを第一番に考えなければならないということで、その強化をねらったわけであります。しかし、それだけではもちろんいけませんので、内部の結束といいますか、そういう点はやはり全従業員の融和といいますか、協力を求めなければこの赤字解消ということは非常に困難だと思います。その意味におきまして、これはどこでもあることでありますが、多少おくれておったためだとは思いますが、いわゆる労務管理の方面にも十分力を入れてやるという案を出してあるわけであります。  それから、その他の面におきましては、いろいろ担当をかえてあります。事業面は、やはり工場は一体でありますから、工場長に大体その支配をまかせておりますけれども、担当理事がおりまして、十分それは協議をすることになっておりますから、そう支障はないものと思うのです。  ただ、ほかの意見を聞きますと、この会社に縦割り制度を実行した方がいいじゃないかという御意見があります。これも検討いたしました。縦割り制度を一番盛んにやっておるのはアメリカだと思いますが、やっておる例がたくさんありますので、それも一応検討してみましたが、それに対しましては相当熟練した人がいなければ——縦割りというものは統制制度ですから、君主政治みたいなものですから、その人の命令によってはっきり動いていく、横にはいっていないということで、確かに能率的なものだと思いますけれども、遺憾ながら、今当社におきましては、縦割り制度をやるだけのベテランというものはそろっていないと思う。そういう意味におきまして、そのプリンシプルそのものには反対ではありませんけれども、まだその実力が備わっていないという意味において、縦割り制度を実行するのは早いという見解をとっております。しかし縦割り制度を捨てたわけではありません。  先ほど、将来の企業転換ということを申し上げましたが、これも企業はあくまで民間企業に劣らない競争力を持った、抵抗力を持った企業を進めていくのには、もっとあらゆる部門の技術者を充実し、あらゆる部門のマネージメントの人を充実しなければ競争できないと思うのです。何もずるいことを考えたわけではありませんけれども、力のないものをもってやれったって無理でありますから、それで基盤を作って、これならばハードボードならハードボードをやれるということであれば、一つ民間参加を求めていくのがほんとうじゃないか。そうしますと、やはり民間とのよけいな競争をしなくてもいい。たとえばセメントの場合を言いますと、開発会社セメントはあまり売ってもらっちゃ困るというような話も当時出たということを聞いております。従って、シャフトキルンといいますか、縦型の炉を作る場合にも、あまり優秀なものでない方がいいというような話もされたということも、これもうそかどうかわかりませんけれども、ありそうな話だと思うのです。国策会社からあまり優秀なものを作られると、われわれの商売が困るというようなことは、民間として言いやすいことなんで、そういう点も考えますと、会社には、それだけのスタッフをそろえるということは、これはなかなか大へんなことだと思います。それで私は、この会社の性質から考えて、先ほど申し上げましたこの企業の構造というものを考えたわけであります。  今のお話は、画期的な案というものは、実は口では私どもよく言われましたけれども、実際やってみますと、人をどういうふうに配置するかということが第一、問題です。それで機構改革を、案は大体できまして、当局の御了解も得てありますが、なぜこれをまだ実行に至らぬかというと、やはり先ほど御当局からお話もありましたが、今の事件の結末がどうもまだはっきりしていないので、人の配置は非常にむずかしい段階にあります。われわれじゃわかりませんから、われわれの考えだけで人の配置を今すぐして済ましても、もしその人が、かりにそういうことで支障を来たすような人であったら、また改めなければならぬというのじゃいかぬので、いましばらくそこに余裕を置いていきたい。決して実行を怠っているわけではありません。どうしても早く、その機構になれば能率を上げる——しかし支障のない販売機構の増強というようなことは、支障のないところはもう実行に移しております。ですから全体の問題が、いかにももたついているのじゃないかというようなお感じがあると思いますが、これはやはり現在の問題の結末をもう少しはっきりした上で、人事を適材適所に配置した方がいいのじゃないかというふうに考えておるわけであります。なまぬるいという御批判があるのはごもっともと思いますが、やはり人の問題も、人がそろわなければ、画期的な問題はなかなか実行できない面があります。そういうことで、一応のわれわれの及ぶ範囲においてやったという案を立てたわけであります。
  77. 西村力弥

    西村(力)委員 大体これで終わりにして午後に譲りたいと思いますが、とにかく理事会に直属する頭脳というもの、そういう優秀なスタッフが——社内の登用化を大いにやってもけっこうですし、それは望ましいことであると思いますし、その他からもやはり優秀な者を入れて、理事会に直属する頭脳というものがやはり確立されていくことが必要じゃないか。そうでないと、やはり担当々々の問題がばらばらに、全理事責任であるはずのものが、実際はそうではなくて、おまかせ次第、おれはこっちだ、こういうような形の経営方針ということになってしまいますので、そういうような点を解決することを中心とした機構改革というものがやはり必要じゃないか。その際はやはり社内の登用というものは相当思い切ってやるべきじゃないか。そういう希望を持たせなければいけませんし、新社員の教育でも何でも、それに情熱をつぎ込むことのできる態勢というものを作らなければならないと思うのです。何か半ば役所の役人になったがごとく、東北開発の社員になるということであるとすれば、これは根本的にもう発展を望めないというガンが、原因が、そこから発生するということがありますので、そういう点を中心とした機構改革というものは、やはり考えられなければならぬじゃないか、こういう私の考えであります。まあ、これはまだ確定的なものじゃないし、事件の終末を見なければ、人間の登用もできないということですから、これは御苦心その通りだろうと思うのですが、そういうことを一応申し上げておきたいと思います。  それで、午前中で総裁、副総裁はこれでと思いましたけれども、先ほどの問題もありますし、やはり午後も出席していただくことが必要じゃないか、こう思います。  午前中はこの程度にして終わりにしたいと思います。
  78. 鈴木仙八

    鈴木委員長 午前の会議はこの程度にとどめます。  参考人及び政府当局の方々は、御苦労ですが、再開後の委員会に再び御出席いただきたいと存じます。  本会議散会後再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十五分休憩    ────◇─────    午後四時四十九分開議
  79. 鈴木仙八

    鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  山田長司君の先刻の質問に対し、山中総裁より答弁があります。山中総裁
  80. 山中徳二

    山中参考人 調べました結果を御報告申し上げます。  鹿渡鉱区買収の交渉がございましたのは、三十四年の秋ごろから東京鉄鋼社より申し入れがございまして交渉に入りました。交渉に当たりました者は、東京鉄鋼社側は吉原社長、吉原専務、坂本部長、当社側からは主として大松沢鉱山部長が交渉の衝に当たりまして、交渉の結果、同社の申し出のあります鉱区につきましては、すでに三十四年の五月から十月にかけまして、東京鉄鋼社側におきまして九十三本のボーリングを実施いたしまして、埋蔵精鉱量におきまして百九万トンあるという申し出がございましたので、同地区の鉱量につきましては、別途仙台通産局におきましても、通産局の付属の委員会等におきまして二十九年、三十二年、三十四年の三回、それぞれ調査をされまして、百二十万トン前後の鉱量ということになっておりましたが、当社といたしましては、買収に応じまして、その際、またあらためてチェック・ボーリングを二十本ばかり実施いたしました。三十五年の九月に実施いたしまして、その他の可採条件につきまして、一カ月にわたって全地区を調査いたしました結果、先方の調査よりは若干の誤差が生じましたが、それに基づきまして予想鉱量を加えまして、六十八万五千トンというふうに推定いたしたのでございますが、評価にあたりましては、さらにこの予想鉱量を除きました四十八万三千トンを基礎にいたしまして、これに可採率、選鉱実収率等を乗じました結果、実収精鉱量三十六万六千トンを算出いたしました。これを基礎といたしまして、鉱区買収の一般方式でございますホスコールド方式と申しますか、収益還元方式によりまして算出いたしました結果、鉱区価格は八千四百六十五万円と出たわけでございますが、これを整理いたしまして八千万円ということで話し合いをつけまして、政府に認可を申請いたしました。これが鉱区買収に至ります経緯でございます。  なお、そのころ鹿渡鉱区の近隣に、やはり東京鉄鋼社の所有しております砂鉄鉱区がございまして、当時その鉱区が八郎潟の東岸地帯に当たっておりますので、同干拓地域の補償対象といたしまして、農林当局との間に五千五百万円程度で補償の話が進んでおるということを別途聞いておりますが、御参考までに申し上げておきます。  大体以上でございます。
  81. 鈴木仙八

  82. 山田長司

    山田(長)委員 私から特にこの際力を入れてお伺いしたい理由のものは、新しい役員ができ、それから今までの赤字の実情から、さらに疑惑が持たれない会社にしていくためには、たとえば今の鉱区の問題一つにいたしましても、これが真実の調査がなされておらなかったとするならば、次の段階においてまた同じような結果が生まれてくるという危惧の念のもとに、私はいろいろ伺うわけでありますが、ただいまボーリングをされて埋蔵量の問題で結論が出たようでありますが、聞くところによると、このボーリングの個所というものは、しば山にしたり畑の中にしたり、ボーリングの数だけは九十三本やっておるが、実際においてそれらのボーリングをした個所というものは、いずれも埋蔵量があったものかどうかということについては、どうも疑問があるということが流布されておるわけです。  それで埋蔵量の問題は、このボーリングをしたことによって明確に数量が出たものであったかどうか。デスク・プランであったとするならば、これはこれから役員の人たちがお仕事をされる上において、二度とまた問題が発生する危惧がありますので、念のために伺っておくわけでございますが、ボーリングをした個所等については、いずれも明確なボーリングをしたのですから、個所があると思うのでありますが、問題がこまかくなってきて幹部諸公にお答えができないかもしれませんが、このボーリングの個所についてはむだがなかったのかどうか、明確な線がそれによってほんとうに出たのかどうか、これはやはりこの際総決算をすべき段階にきておると思いますので、私は念のためにこのことも伺っておきたいと思います。
  83. 山中徳二

    山中参考人 同地区の鉱区調査につきましては、それぞれ各鉱区ごとにボーリングをやりました個所を記した資料の提供がございましたが、このころから鉱山部の陣容もだんだん整備して参りまして、専門技術屋も十名をこえるようになりましたので、このころから鉱区を買います場合には、うちの手であらためてチェック・ボーリングをするという方針をとることにいたしまして、先方で先ほど申し上げたような調査もいたしましたのですが、私どもの手でチェックする意味で二十本ばかり調査をいたしました。なお三十四年の五月ごろ行ないました仙台通産局の未利用鉄の調査には、通産局が同地を調査いたしたのでありますが、わが社の社員もこれに随伴いたしまして調査をいたしました。一応当時の私どもの陣容といたしましては、念を入れておるつもりでありますが、ただいま先生の御注意のありましたように、鉱区の買収につきましては、念の上にも一そう念を入れなければならないと思っておりますので、今後はさらに一そう慎重にこの種の問題に取り組んで、調査に遺憾なきを期したいと考えております。
  84. 山田長司

    山田(長)委員 これはやはり通産省当局もこれについてかなりの助力をされていると思うのです。これから再び東北開発会社に、今まで起こったような事態が発生しないためにも、通産省当局の助力を必要とすると思うのでありますが、この点についてボーリングの個所等における鉱区の量、これの明確さについて、はたして確信が持てるのかどうか。ただいまの答弁でもどうも確信を私は得ていないのですが……。
  85. 森清

    ○森(清)政府委員 このたびの東北開発の問題につきましては、私どもといたしまして、まことに遺憾でございます。今、山田先生から御質問のありましたボーリングの点につきましては、私たちももちろん東北開発のおい立ちからいきましても、十分慎重に今日まで御協力をしてきたつもりでございます。今後とも慎重にこの東北地方開発のために、あるいは東北開発自身の業績も上がるように努力を続けていきたいと存じます。
  86. 山田長司

    山田(長)委員 どうもただいまの答弁等では了解できないのです。ボーリングした個所が、いずれも有望な個所であったのかなかったのか。この九十三本というのは、どれだけのボーリングをした個所が有望であったか、あるいはどれだけがまずかったというものが出るべきだと思います。こういう点が、どうもさっきからの答弁では納得ができかねるのです。しかし、これはこれでいいです。  次に伺いたいことは、吉原社長及び吉原専務と東北開発会社の大松沢部長とでこのことの取引をする折衝をされたと思うのでありますが、これについては、どちらから話を持ちかけたのですか。
  87. 山中徳二

    山中参考人 東京鉄鋼社の方から申し出があったと聞いております。
  88. 山田長司

    山田(長)委員 申し出た当時における額はどのくらいであったか、同時に、ただばく然と吉原社長が申し出たのではなくて、東北開発会社の方に相当積極的な働きかけがなされていると思うのでありますが、この点については、吉原社長とだけの折衝であったのかどうか。
  89. 山中徳二

    山中参考人 私の承知いたしておりますところは、当初は約二億円くらいというような金額であったというふうに聞いております。  なお、私の承知しておりますところでは、大松沢社員が先方の社長と折衝を始めたというふうに聞いております。その間の今お話がありましたような点につきましては、私は承知いたしておりません。
  90. 山田長司

    山田(長)委員 東京鉄鋼の吉原社長が、取引するにあたって、この会社独自の調査報告書を、東北開発会社の方へ出していると思うのです。東北会社としては、その調査報告書に従って取引価格というものを出していると思うのです。この調査報告書会社の方で出していただくように、委員長から一つお取り計らいを願いたいと思います。
  91. 鈴木仙八

    鈴木委員長 適当に善処いたします。
  92. 山田長司

    山田(長)委員 どうも今まさにこの東北開発会社調査が終わりに近くなってきたときに、きよう私が発言することは、委員会の進行上の問題についても大へん御迷惑がかかっているだろうと思いますが、新たな事実として出てきたことでありますから、大へん恐縮でございますけれども、このことの資料をどうか会社側でも出してもらいたいと思います。国民の血税が支払われている以上、査定の基準になったものでありますから、当然これは出していただかなければいかぬと思うのです。
  93. 鈴木仙八

    鈴木委員長 会社側、一つ出して下さい。適当に善処いたします。
  94. 山田長司

    山田(長)委員 この問題は、なぜ力を入れているかと申しますと、私が調査した範囲によりますと、大した価値のない畑や草っ原にボーリングをしております。そしてそれに莫大な金を支払われるということについては納得できないというので、地元の農民たちは、政治力の偉大さに感服しているというんですよ。ですから、事実においてボーリングした個所というものが明確になって、その調査報告書に従って埋蔵量というものが明確になっている場合には、国民の血税が支払われることにやぶさかではないと思いますけれども、そのことがどうも明確さを欠いている。これを私はここであらためて申し上げるわけです。  次に、先ほど八郎潟の問題は、仙台農地局の方の問題で五千五百万円の支払いをしているという話であるが、このことについては、東北開発会社関係がないような話でありますが、境界線について、あなた方の場合と八郎潟の干拓事業場所、この場合この鉱区について明確に言うことができますか。
  95. 山中徳二

    山中参考人 当方が開始しました十九鉱区のうち十七が鉱業権が明らかになっております。二鉱区がそれぞれ鉱区の図面がついておりまして、それによって十分明確にできるものと思っております。
  96. 山田長司

    山田(長)委員 この点についても、どうも明確さを欠いているという話です。実はこの点の資料もお出し願いたいのです。なぜそう申し上げるかというと、八郎潟の干拓されているところは、実際は鉱区と称されているところを一生懸命埋めているという。一体五千五百万円の支払いをして、砂鉄もチタンも取らずに埋めてしまっているということであれば、それが東北開発会社の部分であろうと、また仙台農地局の買収した土地の部類に属しようと、私は実に不可解な問題だと思うのです。その点について境界線の明確さというものはあると思いますけれども、この点の資料も委員長からお取り計らい願いたいと思います。
  97. 鈴木仙八

    鈴木委員長 承知しました。  山田長司君に申し上げますが、この東北開発の問題については、十分に審査をしていただきたいのが私どもの考え方で、時間もかなり長くかけて、七回にわたって委員会をやったのですが、また今になると、会社側の理事もすでにもう投獄をされているような方もありまして、実にあなたの御発言に対して残念に私は思うぐらいなんでございます。そうして悪いことがあれば、また本日かりにこれが終わりましても、新しい事実としてこれは取り上げるのが当然と思いますから、資料は要求しておきますから、どうぞさよう御了承下さい。
  98. 山田長司

    山田(長)委員 委員長の御発言もあることでありますから、私はこれ以上続行することをやめますが、これは新たな問題として農林委員会の方で、農地局の問題は農林省の部類に属するのでありますから、伺うことにしますけれども、この点についてやはり地元ではどうも納得できぬこととしていろいろ世論が出ているわけなんです。そういう点でただいま地図の要求をしたのでありますが、最後にこの鉱区の問題について東北開発会社の方で御存じでありましたならば、この関係者の中に早稲田大学の教授がいるわけなんです。これは東北開発会社としてこの人に会って話をした人がいるかどうか、これは部長なりあるいは雲野理事であったかわかりませんけれども、このことを知っておるか知らないか、この際お答えしておいていただきたいと思うのです。
  99. 山中徳二

    山中参考人 ただいまのところ私承知いたしておりません。
  100. 山田長司

    山田(長)委員 それでは、おそらくこういう仕事のブローカー的な役割をしている人だと思うのでありますが、吉野という人を知っておるかどうか。これはいずれあらためてほかで伺いますから、参考に一つ
  101. 山中徳二

    山中参考人 承知いたしておりません。存じません。
  102. 山田長司

    山田(長)委員 では委員長、打ち切ります。
  103. 鈴木仙八

    鈴木委員長 質疑を続行いたします。西村力弥君。
  104. 西村力弥

    西村(力)委員 藤山企画庁長官がまだ参りませんので、通産省当局に伺います。  通産省当局においで願ったのは、通産省のこういう国策会社の扱い方なんですが、民間企業との競合ということだけが重点になって、どうも民間会社より一歩おくれた、それだけのハンディをつけて出発させる、そうして民間企業を守ろうというようなきらいがあるように見受けられるのです。そういうことでは、ことに東北開発株式会社なんかは、後進地域で困難なところにいくのに加えて、おくれたシステムの機械や何かを使って出発しなければならぬじゃ、なお困難性が増すのです。このことについて、そういう指導方針をとられるとするならば、これは是正されなければならぬと思うのです。なぜそういうことを言うかというと、岩手のセメントがシャフトキルンというものを購入した。購入したのはそれがいいから購入したのではなくて、通産省がこれ以外は許可しないという意向であるからやむを得ずシャフトキルンを採用した、こういう工合に私たちは聞いておるのです。その話は渡辺前総裁から直にそういう工合に受け取れる話を私は聞いておるのです。ですからそのあとシャフトキルンを入れてもどうもうまくないから、レポールキルンを入れた、今度の予算でまたレポールキルン一基を加えて、それを両方混合して、そうして製品として売り出ししておる。こういうことをせざるを得ない結果になってきておる。また、岩手のセメント工場に行ってみますと、シャフトキルンのそばに三、四人の工員がおりまして、長い鉄の棒を持って、そうしてときどきあれを上からつついておるのです。これがいいセメントを作るコツだという。今の世の中に、コツでやるようなことではとんでもない話じゃないか、こういう感じを私は持って参ったのです。ですから、そういうことは是正せられなければならない。近くは米沢のプリントボードというのですか、そういうこともありますし、また、社の運命をかけるであろうといわれる砂鉄事業に今度は取りかかるということになりますね。その場合に、機械購入なんかの場合、一歩おくれた旧式のものしか認可しないということになったら、またぞろよたよたと追っかけなければならぬ、苦しまなければならぬということになってくるわけなんですよ。こういうことが私の偏見であるかどうか、そういう点を一つ明確にして、今後の方針というものをはっきりしてもらいたいと思うのです。
  105. 森清

    ○森(清)政府委員 こういう国策的な会社を作る場合、あるいはそれが仕事をする場合に、私どもが民間と競合しないかどうかということを考えることは当然でございますけれども、しかしそれが主たるものではございません。特に、今例を申されましたところの例のセメントのシャフトキルンの問題でございますが、これは渡辺さんがどういう意味でそういうことを申されたのか、私は非常に不審に思っているのでありますが、当時の状況からしてみますと、セメントは大体が横型でございます。ただし、宇部がドイツと特別契約をいたしまして技術提携をしまして縦型をやった。そこで、そのあとを受け継いで東北もそれと同じような仕組みでやりたいということがございましたときに、通産省としては、非常に危険な橋を渡るよりも、むしろ国産を使ってやられたらどうかということは慫慂したことがございます。しかし、あくまでも縦型をしなければならぬというふうなことを通産省が強く要請したことは、毛頭ございません。従って、私どもの考え方といたしましては、たとえば東北開発のような場合には、その地方の開発のためにできた会社であって、国策的な目的を持っている会社でございますから、従って、競合しないかどうかというふうなことは、十分慎重に考えなければなりませんけれども、本来の目的に従ってその地方の開発を一日も早く願わなければなりませんので、その立場から、われわれは常にその会社に対して臨んでいるつもりでございます。砂鉄の問題にいたしましても、実は御承知の通り、東北におきましては、日曹製鋼だとか、あるいは日本高周波、東北砂鉄というような会社も現在ありまして、年間十八万トン程度生産をしておりますので、特にこのすべての会社が電気銑を作っておりまして、東北もやはり同じ目的でこれからスタートしようというふうなやさきでございますので、電気銑そのものが、今や曲がりかどにきているような状況にあるときでもありますので、ことさらにわれわれは、できてしまって失敗したというようなことのないように、慎重に取り組んでいるようなつもりでございます。
  106. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう立場で進められたとすれば、これは私の偏見、誤解ということになるのでありまして、今後そういうことがないということがはっきりして参りますれば、まあそれでけっこうなわけなんです。  ただ、そこで国産を買ったらどうだと言ったということは、結局やっぱりシャフトキルンということじゃなかったのか。それが、外貨節約という意味からだけでなく、シャフトキルンという一つの型、こういうことを一つ制限としての意向ではなかったかということ、やっぱりそこでもシャフトキルンのような縦型のものを慫慂している、こういうことになりますからね、その関係はどうなんですか。
  107. 森清

    ○森(清)政府委員 私は当時在職したわけではございませんので、もちろんいろいろと調査した結果、こういう発言をするわけでありますが、おそらく東北開発としてみれば、いわゆるセメント業に進出するということは非常におくれておるわけであります。おくれているのにこの際セメントをやりたいとおっしゃるからには、何か一つ従来のと違った、画期的なものをやりたいという御希望があったのだろうと思います。そこで、縦型ということに着目なさったわけでありまして、当時縦型の利害得失というふうなものを会社側としては大いに宣伝なさいまして、そしてその意味で宇部と同じような縦型をしたいというお話がありましたので、同じ縦型をやるならどうでしょうか、宇部はすでにドイツと技術提携をしておられるのだから、あなたの方は国産でやられたらどうですかということは慫慂したらしいのでありますけれども、しかし、これはあくまでも東北が縦型でやりたいという希望があったからでありまして、われわれはその場合に縦型にしなければならぬとか、あるいはそれの方がより有利だというふうなことも申し上げてはおりません。
  108. 西村力弥

    西村(力)委員 次に会津のハードボードの機械ですが、これの購入の問題もこの委員会においていろいろ問題になりましたが、あれは日本の間取りに合わない寸法の製品が出てくる。それで日本式な家屋建築やなんかについては、それと合わせるために端切れが出る。端切れを売れるだけ処置して売っている、こういうことになっておるわけですが、これはどうですか。日本的な家屋に寸法の合う機械というのは、こういうことは不可能であったのかどうか。あれだってやはり僕らとしては、何がゆえにそんな機械を買って、わざわざ端切れを作って、そしてそれをこま切れにして安く売って完全ロスになるのを何とか防いでいるというようなぶざまなというか、ちょっと考えられないことをやっているわけですが、これについては通産省はどういうお立場の指導をしたか。
  109. 森清

    ○森(清)政府委員 これまた、これは会社側の強い希望でございまして、私どもはその会社側の希望をいれただけでございます。なお、その四尺に九尺というサイズは特殊だと申されておりますけれども、しかし、これは他の主要な工場でもこのサイズを採用しておりまして、別に事新しく東北開発のみが採用したというわけではございません。ほかでもやっておるわけでございます。
  110. 西村力弥

    西村(力)委員 それで大体通産省の基本的な御態度がわかりました。  こういう会社段階にある重大なときでありますので、何かとやはり全面的な協力をしてもらわなければならぬと思う。ことに砂鉄の成功かいなかという問題は、会社の死命にかかわる問題だから、これについて、砂鉄業というのはどれだけの見込みがあるかということを通産省としても相当検討されておるだろうと思うのですが、いずれにしましても、これが完全に成功するという方向に総力を結集せられなければならぬときだと思うのです。そういう点については、一つ今お答えになったような心がまえをなお一段とはっきりせられまして、それぞれのお立場における協力というものを念願をしておきたい、こういうふうな気持でございます。通産省からたくさんおいで願いましたが、以上のようなことだけをお尋ねする予定でございました。
  111. 勝澤芳雄

    勝澤委員 通産省に一つだけお尋ねしたいのですが、国策会社の公共性と企業性という問題でいろいろとやりにくい面があると思うのですけれども、経済企画庁は、その窓口として事業の運営その他はやはり通産省と御相談しなければできないということになると思うのです。そのためにまた会社理事の中にも通産省からもお入りになっておる、あるいはまた、たとえば三倉鉱区の問題なんかでも、仙台通産局の鉱山部で調査した。その鉱山部長がおやめになって、また東北開発株式会社の鉱山部長をおやりになっておる。砂鉄鉱区埋蔵量の問題についていろいろずっとやってきたわけですけれども、そういう点から考えてみますと、やはり国策会社ではあっても、あるいは公共性のあるものではあったとしても、企業採算といいますか、民間ベースといいますか、そういうものを相当大幅に取り入れた形で会社運営をしていかなければやっていけないのじゃないだろうか、こう思うのです。特にこれは通産省の関係じゃないでしょうけれども、経理の仕方なんかについても、役所の経理の仕方と変わったものがあるのじゃないか。それから、予算の問題でも同じことだと思うのです。そういう点から通産省が、通産省の立場から、今、政務次官は、やはり民間との問題は考えるけれども、それによってこれをどうこうする考えはないと言われましたけれども、その点が一番大きな問題点になると思います。そういう点については国策会社のあり方、通産省の監督の立場はどうあるべきかという点などについても、今明確な御答弁があったようですけれども、やはり今後の監督として十分御検討あるいはお考えをいただきたい、こう思うわけです。
  112. 森清

    ○森(清)政府委員 東北開発のような国策的な会社になりますと、どうも採算を度外視してでもその地方の開発に挺進しなければならぬというようなことになりますと、非常にむずかしい部面がたくさん出てくるわけであります。しかし、現在やっておりますセメントにいたしましても、その他の事業にいたしましても、私どもが通産省の立場でこの仕事を見ましたときに、私は率直に申し上げて、ここに藤山長官もおられますけれども、ああいうふうになったら、直接に私どもが専管してごめんどうを見た方が、むしろ簡単で済むのじゃないかということも私はしばしば口にすることもございます。そこで、いずれにいたしましても、国策会社といえども、やはり他の企業を圧迫する場合もありますし、また他の企業に負ける場合もあります。従って、採算点につきましては、あくまで十分採算が合えるような経営の仕方をしていかなければならぬと思います。そろいうようなところで、東北開発の場合にも国策会社の看板は掲げておりますものの、非常に御苦労は多いと思いますが、しかし、本来東北地方開発ということに大きく看板を掲げております以上は、その目的に向かって他の企業とも調整をしながら進んでいくべきものだ、私はこう考えるものであります。
  113. 西村力弥

    西村(力)委員 藤山長官おいでですから、藤山さんにお尋ねをしますが、午前中は伊藤総裁に対する質問を中心としてやりました。総裁はこの前の委員会で、自分は出資はしてないけれども、からだを出資した、こういう異常な決意を表明されておるのです。その立場からいろいろ会社再建についての構想というものを承ったわけなんでございますが、この東北開発株式会社に関する問題は、検察当局の手が入りまして、当委員会としても相当な時間をかけて審議を重ねて参ったわけなんです。そうしてここに至って、この会社が今後いかにすれば、ほんとう開発趣旨に沿う会社として立ち直り得るかということに、私たちの関心と論議が進められて参っておるわけであります。それで監督官庁としましてこの事態をどう考え、どうこれをこれから持っていくように考えておられるか。藤山さんは経済界のそういう経験者でもありますし、また、大臣としての立場、そういう立場が二つ混合せられましていい御意見がおありかと思うのです。一つ示していただきたい。
  114. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 東北開発会社の問題につきまして、問題を始終提起いたしましたことは、私としてもまことに残念でもあり、遺憾でもございます。同時に、この種会社がこういう状況でありますことは、国策会社もしくは公団その他全般の関係にも影響を及ぼします問題でございますから、従って、今後の問題については、私ども十分な関心を持って、事態に対処して参らなければならぬと考えております。  幸いにして、会社自身の再建につきましては、伊藤総裁のような有力な、民間の経験を持ち、しかも長年の財界における経験のみならず、そう申してはあれでありますけれども、清廉な剛直な方を得たのでありますから、この総裁を中心にして、完全にこの際会社の状態を洗い出して、少しの曇りもないような状態に置いて、そうしてそこから再建に出発していくことが必要だと考えております。  同時に、企画庁といたしまして、国策会社を監督いたしておりまして、こういう不始末を招来いたしましたことについては、十分な責任を感じておるのでございますが、ただ単に、過去の問題について、責任を感じただけでは相ならぬのでありまして、再びこの種の問題が起こらないようにしていくためにはどういうことを考えていったらいいかということが、過去を反省いたし、あるいは過去について各方面におわびを申し上げると同時に、われわれの考えていかなければならぬ問題だと思います。  国策会社、特に東北開発振興をはかりますことでございますから、ある場合には若干の経過的な期間においてのある事業赤字は、これはやむを得ない場合があろうと思いますけれども、それが今回のような、当然われわれ産業界におりました者の常識としては考えられないような状況下において起こりますことは、これは厳に、今後再びそういうことが繰り返されないようにして参らなければならぬと思います。  そこで、おそらく会社自体の問題と、監督官庁としての企画庁のあり方と、二つの問題についてわれわれはこの際考えて参らなければならぬかと思います。企画庁がこれを監督して参りますという組織その他につきまして、いま一段の考慮をしてみなければならぬのではないかというふうに私どもは考えるので、今後それらについてあらためて検討をしてみる必要があるかと思います。  御承知の通り、民間会社におきましては、監査役以外にも一億円以上の会社は計理士がおりまして、経理監査をした上で、その諸表をつけて提出することになっております。国策会社においてはそういう点がないのでございますから、そうした意味の厳重な監査というものを、一体会社自体の監査の過程においてするか、あるいは企画庁自身が、監理官を出しておりますけれども、そういう立場においていま少しく監査を厳重にやっていくかという問題につきましては、新しい法制措置も要りますし、円滑な会社当局との連絡のもとに、運営を阻害することなしに、経理監査が厳重にやれるという方法はどういう方法であるかということを、私どもはここで再検討してみなければならぬと思うのでございます。従って、そういう意味において、一つ何らかの形で検討を加えまして、そうして新しい開発会社の運営を円滑に遂行しながら、かつまた、経理内容が再びこういう状態の起こらないような監査機能の問題を取り上げて、そうして結論を得ますれば、私としては国会等に、もし法制上の処置を必要とするならばやはりやって参らなければならぬと思います。  また、事業の問題につきましても、一体東北開発という使命は、東北の方方のおくれておる産業あるいは地域経済の発展開発に寄与するためにいたすのでありまして、東北振興会社自体が民間の事業会社と同じように事業だけを終始一貫していくのではないのでありまして、ある場合には、事業が育成されますれば、それをいわゆる地方の人たちの資本に移管しまして、その移管によりまして得られた資金によって、さらに新しい開発に手をつけていくということも一つの方法でなければならぬと思います。また、開発内容等につきましても、必ずしも民間と競合するような仕事だけに手を出すことがいいかどうか、国策会社らしい仕事内容が私はあり得るのではないか、こう考えるのでございまして、そういう面についてやはり考えて参らなければならぬと思います。  そういう点から申しまして、企画庁自身の事業に対する監督——経理の監督でなしに、事業に対する監督あるいは心がまえというものもやはり変えてかからなければならぬのではないかと思うのでありまして、こういうことを契機にして、その点について十分な考慮を払わなければならぬと思います。私ども承知している範囲内においても東北開発会社の歴史というものは非常に長いのでありますが、その長い歴史の間、決してよき成績を上げているとは申しにくい点があるわけでありまして、そういう意味から申しますれば、やはりこの際、東北開発会社がその長い歴史のうちで十分な成績を上げ得なかった理由を、事業の方面からも探求いたしまして、そうしてそれらの問題についてここで再検討をして参らなければならぬと思います。  幸いにして、伊藤総裁の御見識というものは、私どもの考えておりますこととほとんど同じ線にあるように思っておりますので、会社当局の方々とその事業の運営内容あるいは事業の方法、事業の目的等について十分今後再検討をいたして進めて参ると同時に、先ほど申し上げましたような経理監査その他の監督の制度等についても、単に監理官を置くことの可否、また監理官の位置というような問題についても、これまた再検討をしていく必要があろうと思うのでございまして、そういう点について再びこういうことのないように、私は組織、制度等に触れて十分今後改善を加えていきたい、こう考えておるのでございます。
  115. 西村力弥

    西村(力)委員 今、藤山さんのお話ですと、監査制度の強化ということが第一点で、それから東北開発会社自体が各般の事業をやっておる事業をその最大の仕事とする会社という性格でないんだから、基盤ができれば、これは民間移譲に逐次移したらいいじゃないか、こういうことと、それから事業の選定の場合にはいろいろ問題がある、こういうような三点にわたってのお話だとお聞きしたのです。ところが、午前中の伊藤総裁山中総裁お話では、これまた、私たちもそう考えておるのですが、こういう不始末の結果を招いたのは内部の不統一だ、人事面における公然たるひもつき的なものがあって、そうして内部統一というものがほとんど行なわれない。山本多市前理事の当委員会に提出した書類なんかによると、あまりにもひど過ぎて、百鬼夜行のごとき観を呈しておるということ、それが一番のガンであるのだ。これを総裁責任として内部統一ということをやるのだ、それをやらなければどうにもならぬのだということでありましたが、この点について藤山さんはどう考えるか。その点は確かにある。あるならば、それならばあなたの方で、これからどうそれを改善していこうとするのか。そこにメスが入らないと、問題はほんとうの解決にはならない、こういう考えを持つのです。これはいかがです。
  116. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 これはこの東北会社の過去の制度からきた問題だと私は思いますけれども、お話のような点があったと思いますし、新総裁としても、そういう点に気づかれておられるのではないかと思います。われわれ民間におきましても、会社経営して参ります場合に、やはりすべてが社長中心で、社長がある程度の人事権を持ちませんければ、運営の万全を期し得ないことは当然でございます。しかし国策会社のようなものが社長の人選を誤りますと、非常にむずかしい問題にもなるわけです。その人選自体は、企画庁長官の責任において人選を誤りないようにすべきではないかと私は思います。しかし、これはまだ私が検討しております段階でございますから、確定的にこうするということは申し上げかねますけれども、しかし、この種の会社の運営から申しますと、総裁もしくは副総裁、あるいは社長、副社長、あるいは公団なら理事長、理事というようなものが、当該官庁の大臣の責任においてよき人選をして任命をいたしました以上は、その他の役員——これは監査役は別でございますけれども、その他の役員は、やはり総裁が自分の目的を達し得るように選択もし、任命もしていくというようなことが運営の普通の常識でもございますし、現状におきましては、各理事が全体として内閣総理大臣の任命ということになっておるのでございまして、そういう点については、私も実ははたしてそのままでいいのかどうかという点について、いささか考えなければならぬのではないか。そうして総裁、副総裁は、あるいは総裁は企画庁長官が責任をもって推薦する。その人選を誤ったならば、当然企画庁長官として責任をとるべきであると思います。また、監事もしくは監査役の問題は、当然これはそういう立場でございますから、内閣が任命して差しつかえございませんけれども、しかしそういうふうに総裁、副総裁ができますれば、その他の人事というものは、やはり総裁の見識をもってやっていただく。その総裁の見識が間違っておったら、その総裁を推薦した責任は、当然推薦した企画庁長官がとるべきである、こういうふうにするのが一番すっきりした、しかも内容も充実した方法になるのじゃないかというふうにも、これはまだ未定稿の私見でございますけれども、私も反省をしてみますと、過去のいろいろないきさつを見てみますと、そういうことも一つ考え方ではなかろうかというので、今すぐそうするとまでここで言明をするわけにはいかない。ですからそういうことを含めまして、監査役の地位の向上なり、あるいは監理官の監督行政のあり方、そういうものを含めて、今後全般にわたって、これらの東北開発会社の機構及びそれに伴います企画庁の管理機構等について再検討をして、適当な結論を得て、皆様方に御相談する機会があることが適当ではないか、こういうふうに私は考えております。
  117. 西村力弥

    西村(力)委員 ところで、監督官庁としていろいろ心配なさっておられるようでありますが、現実に監督権の発動については、当委員会における論議は、監督が不十分だという意見と、非常にさまつな問題までも監督がうるさくて、ほんとう企業の機動性とか創意性というものが阻害される。一見相矛盾するような二つの意見が出ているわけです。不十分だというのと、やり過ぎるというのと、二つ意見が出ているわけです。この問題を表面的に考えると、これは監督官庁としては非常に困ったように見えますが、私たちは、決してこの二つのことが矛盾しているとは思わない。監督と称して、ほんとうに自分の責任にふりかかるようなことになると、ほんのさまつな問題でもうるさく認許可の問題にするなり、あるいは話し合いをしないとどうこうというような問題、こういう工合にして、大綱において誤っておる。その大きい例なんかは、僕らに言わしめるならば、秋田木材に対する土地売却の問題で、五月十日に成約して、三月三十一日の契約とごまかして、それを全部利益勘定に入れたという問題など、これも企画庁も大蔵省ものんでいる。こういうところが非常に大事な点であって、それは検査院も指摘された。そういう大事な点においては欠けるところがあって、ほんのさまつな問題についてうるさくこまかく言うというあり方、これは一つのものと相反するものでないのだという立場を確立してもらう必要があると思うのですが、そういう点に対しては藤山さんはどう考えておりますか。
  118. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 お話のように、監督行政につきまして、今お話しのような二点が、両面から考えられるようです。しかし、これは私の個人的な考え方でございますけれども、事業をどう遂行していくかというのは、むろんこういう仕事を新しく始めるのだというような御相談は、当然監督官庁としても高い見地に立って御相談をしなければならぬと思いますけれども、その事業の一々の運営については、人よろしきを得れば——私は何か会社ほんとう活動しにくいような意地悪いこまごました事情内容の監督をすべきではないと思います。がしかし、それが事経理に関しました問題になりますれば、これはやはり厳重な監査をいたして、そうしてその点が適当であるかどうかというような点については、率直に監督行政として、あるいは会社自体の監査役の機能を強化して、御相談をいただくというようなことが必要になってくるのではないかと思うのでありまして、何か監督官庁がしゅうとめの嫁いびりみたいな状態になりますと、ほんとう仕事はりっぱにできません。そうかといって、あまり事業の日常の運営について監督をしないから、それでは経理全体の運営について最大の関心を払わなくてもいいのだというわけには参らないのでございまして、その点は、要するに監督行政というものは、一つの重点と申しますか、境目と申しますか、個人の場合でも同じことでありますが、人生行路において出処進退の折り目を正しますということが大事であって、その折り目というものは、やはり会社経営の上においては、経理と決算の上に折り目が出てくるわけであります。それを正すということが私は一番大事なことじゃないかと思うのであります。それに適応するような監査制度あるいは監督制度というものがどういう点にあるか、また、監督をする人自身の心がまえも、そういう点になければならぬのであります。何か日常のさまつな事態に対して一々口を出しましたら、それは会社経営者としてはやっていけないし、またそういうことでは萎縮してしまうのではないか。ですから折り目を正すということが非常に大事だ、監督官庁としては、私ども監督に当たります者に対して、かりに制度はいかように改善されましても、そういうような心がまえというものを育成していくことに努力をいたして参らなければならぬ、こう考えるわけであります。
  119. 西村力弥

    西村(力)委員 先ほど長官は、民間企業では考えられないような現状を生み出しておる、こういうことでありました。その発言の陰には、この責任がどこにあるかということまで含まれておると思う。どう考えますか。
  120. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 この責任というものは、むろん企画庁が一半の責任をある程度負いますことは当然でございまして、企画庁としてそれを避けるわけには参りません。しかしながら、今いろいろお話もございましたように、その責任遂行の上において、はたして制度上、あるいは法制上完璧であったかと申しますと、私はまだ改善する余地が相当あるのじゃないか、従って、そういう点を改善することによって、企画庁の責任を——軽くするという意味ではございませんけれども、しかし企画庁が、今日まで起こしましたような責任に対する明らかな今後の態度としては、そういう点についての改善を加えて、そして真に国策会社らしい方向に進んで参らなければならぬのじゃないかと存じております。
  121. 西村力弥

    西村(力)委員 企画庁の責任の話がありましたが、前役員というものの責任はないのですか。あなたは監督官庁としてやっぱりそこまで一つの判断は可能であると思うのでありますが、どうですか。
  122. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 前役員の責任という問題については、今日の事態が起こりましたような状況下におきまして、私は決して前役員に全然責任がなかったということは、それは言えないと思います。が、しかし今日の事態において、前役員がいけなかったからということだけをただ単に追及いたしましても、問題の解決になるわけではございませんし、従って、われわれとしては、過去の問題を反省すると同時に、将来の問題に向かって、再びこの種のことが起こらないように監督をしていくということが最大の努めじゃないか、こういうふうに存じております。
  123. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう考え方の通りであると思うのです。私たちが、事こまかに、検察当局であるがごとく問題をえぐったということは、そうすることが結局新しい出発のためにいい方法なんだという立場に立ってやったのです、先ほどあなたは、折り目を正すということでありましたが、私たちは、温情的に過去をとやかく言うよりも、将来の問題に集中するんだという考え方も確かに一つあるかもしれませんが、やはりほんとうにけじめをつけてよりょくやるには、その責任というものをはっきりしておかなければならぬのじゃなかろうか、こういう考え方に立つのです。  そういう点から言いますると、前理事であった方々が他に転出されて相当の地位についておられる例もあります。政府一般の方針としてここでお聞きするのは無理かもしれませんけれども、お答えを願いたい点は、本日ですか、きのうですか、農林水産委員会においてもこの問題が問題になっておるのです。それはどういうことかといいますと、農地開発機械公団の前理事長であった成田さんという方が、千二十九万六千円の退職金をもらって愛知用用水公団の理事長に転出しておる。しからば農地開発機械公団の事業成績はどうかといいますと、三十五年度の欠損金がずっと累積されまして、一億三千九百二十四万七千百五十円、こういうことになっておる。こういうようなことで莫大な退職金をもらって他に転出していく。この理事長はおそらく二十五、六万円の月俸をもらっての仕事だろうと思うのですけれども、こういうようなことを平気でやるということは、国民としてはとうてい納得できないことだろうと思うのです。このあとがまには松本理事がすわっておるということは、その通りなわけなのですね。こういうような公団、公社あるいは国策会社から転々とそのつど退職金をもらっていくというのでは、その事業の成否に自分の精力のすべてをかけて、おのれの努力によってやるのだ、こういうことが出てこないのです。こういう点なんかも国民感情からいってはっきりしてもらわなければならぬじゃないかと思う。これは私たちとしてはどうも納得できないことなのです。政府として、公団、公社などの役員が、こういう工合に転々としておるというようなことは、はっきり断ち切るという工合にしなければならぬと思うのですが、お考えはどうですか。
  124. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 今回のような問題が起こって参りますと、そういう点について綱紀粛正の上から、政府としても十分な考慮を払って参らなければなりませんし、これは、ただ単に企画庁という問題ではなく、内閣としてこれをすべき問題だと私は思います。私としては、はなはだ申しわけない次第でございますが、七月十八日に企画庁長官に就任をいたしまして、そして迫水長官から、東北開発の改善についてのことが引き継ぎ事項にございました。八月一日に総裁をきめなければならぬ、従って、急速にこれをきめて参る、そうして全役員を更迭するということで、当時の事情から申しますれば、必ずしもこういうような事態が起こってくるということを私は実は予想しておらなかったわけでありまして、その点は私の不明と申しますか、あるいは私の注意が足りなかったという点でございますが、少なくとも新しい構成をしてやっていかなければということで、過去におけるいろいろなあれがあったという事実に立ってやったのでございます。しかし、その後こういう問題が起こって参りますと、過去の役員の単に就職等の問題につきましても、やはり企画庁の長官としては、相当な責任を感じるわけでありまして、今後再びこういうことのないように留意して参らなければならぬことは当然でございます。内閣自体としてこの問題は考えていくように私どもも考えたいと思っております。
  125. 西村力弥

    西村(力)委員 これは考えたいということでありまするが、私たちはやっぱり信賞必罰ということがはっきりしなければ、綱紀粛正の実はあげられない、こういう観点に立ちまして、内閣の人事行政においてこういうことが平気で行なわれるという状態というものは、はっきりこの際断ち切るという強い考え方に立ってもらいたいと思いますが、国務大臣として、あなたの担当の分野は当然でありますが、内閣一般の問題として、大平官房長官を呼んでありますが、きょう都合で来れないので、あなたがかわって、そういうはっきりした態度というもの、立場というものを、ここに明示してもらわなければならぬと思うのです。
  126. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 内閣が政治をやっております上において、信賞必罰、綱紀の粛正をいたしますることは、これは政治の要諦でございまして、それなくして人心をつないで参ることができぬことは申すまでもございません。従いまして、今後、この種のことが起こらないように、政府としても考えて参らなければなりませんし、起こっている事態等に対して今後対処していくというようなことも、内閣としては考えて参らなければならぬのでございまして、刑事事件もございますので、それらのすべての問題が一応解決するような段階におきましては、信賞必罰の問題を考えて参らなければならぬ、こう考えております。
  127. 西村力弥

    西村(力)委員 それじゃ最後にお聞きしておきたいと思うことは、東北、北海道の開発公庫の金ですね、この金がやはり東北開発という趣旨において融通されるわけですが、これも、ひどい例を言いますると、あるところなんか二億何千万の金を出して、操業を半年で完全にストップした、滞貨は山のようにたまっている、こういうようなところがある。そんなところに二億何千万円を貸し付けるということは、結局、これは縁故融資、政治融資だ、私たちはやはりそう見ざるを得ないのです。事業というものの見通しを持たずに、そんなことは——あるいはこのところで問題になりましたが、資料としてございました南部鉄道に対する融資の問題にしても、これは開発会社からも出す、公庫からも出すという工合になっていますが、両方から出さないで、一方にするというだけの方針というものが、そこにゆがめられている。こういうことか何がゆえにゆがめられたかということは、やはり政治的な融資が濃厚だ、こういうことになりますので、そういう開発のための融資、公庫の金ももっと効率的に、これがほんとう企業育成という効果を現わし得るようにやってもらわなければならないと思うのです。まあそれは一つの私の意見として申し上げておきましょう。  以上で終わりますが、何としましても、私たちとしましては、先ほどあなたが御答弁のように、信賞必罰、厳正であるべきだという態度、これをはっきり確認しておきたい、こう思うのです。以上で私の質疑を終わりにしたいと思います。
  128. 鈴木仙八

    鈴木委員長 勝澤芳雄君。
  129. 勝澤芳雄

    勝澤委員 一つだけ長官に要望いたしておきますが、先ほど西村委員から言われましたように、この会社自体国策会社で、実は監督行政の立場から言うならば日の丸会社で、損したって得したって変わりはないということになって、そして結論的に、おやめになった人たちが、今言われますように出世をしていく、そしてそれがいいか悪いかというのは、経済企画庁以外のところですから、長官が権限がなくて、なかなか言いにくいと思うのです。  そこで、経済企画庁長官として、一つだけ私はできることがあると思うのでございます。それは、総裁に一任されている役員の方々の退職金だと思います。総額で約四千万か五千万近く、これは赤字会社で役員に慰労金を払うというのは、これもおかしな話で、慰労金を払わないのが普通ですね。赤字会社であっても、この慰労金を払うのは、政府の管掌している公社とか公団とか株式会社だけだと思うのです。その点については私は、この際、責任という立場から言うならば、これは考えるべきだということを一つ要望いたしておきます。答弁は要りません。
  130. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これにて本問題についての質疑は終了をいたします。    ─────────────
  131. 鈴木仙八

    鈴木委員長 この際、私から一言委員各位の御同意を得て発言をさしていただきます。  そもそもこの東北開発株式会社問題に関しましては、常に同会社に関する好ましからぬうわさを耳にいたしたのでありますが、たまたま軌を一にして、会計検査院提出の昭和三十五年度決算に関する検査報告が国会に提出をされ、その中にも東北開発株式会社の経理内容が著しく不適正であることが掲記されていたのであります。  そこで、私が独自の調査に基づいて、会社の経理及び業務運営等に関し調査をいたしました結果、去る二月五日当委員会で御報告を申し上げましたごとく、昭和三十五年度決算について、会社の発表した六千八百余万円の黒字が、事実は約三億円余の赤字となっていることで、これは善良な第三者の判断を誤らしめる虚偽の決算であることが判明したのであります。  さらに、セメントの販売及び倉庫管理の取り扱いが当を得ず、ために、約三万トンの硬化したセメントを発生させており、代理店等に対する売掛金においても、数千万円に上る回収不能の債権が生じていたことであります。  また、砂鉄鉱区の買収、投資会社に対する問題、経営陣の企業性に対する欠如及び監督官庁のあり方等々について、その経営執行にきわめて遺憾な点が多々あったのであります。  これらの諸点については、当委員会において、数回にわたり、多数の参考人及び関係当局の御出席を求め、委員諸君が、終始熱心に、この東北開発株式会社が国民の血税によって設立された国策会社であることを深く認識されて、慎重なる審議を進められてきたことは、私としても、その態度に敬意を表するものであります。  これらの審議を通じて、特に私が感じたことは、同会社が、でたらめな官僚のひもつき人事及び派閥的人事を行ない、また、大企業及び関係官庁による事業に対する制約によって、企業内容がきわめて薄弱なものとなっていることであります。  さらに、会社経営成績にマイナスの結果を招致さした幹部職員が、かえって以前にもまさる地位を得たり、あるいは他の政府機関に栄転するに至っては、まさに正直者はばかを見るのたとえに尽きるもので、私は、これが社会の風潮となることを深くおそれるものであります。  また、われわれがこの審議を行なっているさなかに、会社幹部職員を含めた多数の職員が贈収賄容疑による汚職事件すら発生させるに至ったことは、世上周知の事実であります。  今後同会社がりっぱな再建策を講ずるために、人事問題について、適材適所主義により、その管理面では、信賞必罰の精神に立ち返り、企業経営においては、監査制度等の確立によって、抜本的改善策を講ずることが必要ではないかと考えるものであります。  これらのことがなし得てこそ、ほんとう意味における東北六県のための東北開発株式会社と言えるのではないかと思うのであります。  本問題の審議を終わるにあたって、簡単ながら私の所感を述べさしていただいた次第であります。  当委員会は、本件に関しまして、本日を含めて、七回にわたって調査を続けて参りました。調査を通じ、会社の経理及び経営の実態も、おおむね明らかとなりました。委員会としては、各委員質疑を通じて、問題の所在、改善を要する点も指摘し、監督官庁会社当局者の反省と自戒を求めて参ったのでありますが、理事会における協議の結果、今回における調査は、本日をもって終了することとし、ついては、警告の意味を含めた決議を行なうことに決定いたしており、その案文の起草は、委員長に一任をいただいております。  つきましては、委員長において作成いたしました案文は各位のお手元に配付いたしてありますが、この際私が朗読をいたします。    東北開発株式会社の経理等に関する件(案)   東北開発株式会社は、   昭和三十四年度並びに同三十五年度決算において、会計検査院の指摘の如く、企業の真実な内容を表示しない虚偽の決算を行っていたことは極めて遺憾である。   東北開発株式会社は、多額の血税によって、設立された国策会社であり、その経営成績と財政状態については、国民が常に重大な関心をもって見守っているものであるから、いやしくも、企業の真実をゆがめて報告し、国民の判断を誤まらしめるが如き決算をなすことのないよう厳に戒しむべきである。   また、義務の運営に当っては、会社内部の対立及び外部の圧力等により、公正を欠き、   その他各般の事業においても、幾多の不適正な点が認められるほか、   理事を含む幹部職員等の多数が、贈収賄容疑による汚職事件まで惹起し、国民に深い疑惑と不信の念を抱かしめるに至ったことは誠に遺憾である。   かかる事例にかんがみ、前役員等の関係者並びに監督官庁は、会社設立の趣旨にてらし、深く反省するとともに、その責任を明らかにすべきである。   なお、新役員及び職員は、現在、会社が存亡の重大な岐路にあることを十分に認識し、社内の派閥的対立を解消し、外部の圧力等を排除して、綱紀を刷新するとともに、この際、人事については、適材適所主義にのっとり、信賞必罰を厳にするほか、機構、経理及び業務各般においても抜本的改革を行い、近代的経営管理の責任体制と強力な内部監査制度を確立し、以って企業の健全化と内部規律の厳正化に努めるべきである。   さらに、政府は、監督行政において、会社の公共性を強調するの余り、役員人事、認可事項等に必要以上の干渉を行い、ために、株式会社としての経営の自主的機動性の発揮を妨げていることは遺憾である。   政府は、この際、理事選任方式及び会社運営の在り方について根本的再検討を加え、東北開発株式会社法及び関係規則の改正等の適切なる改善措置を講ずべきである。   以上、政府並びに会社当局は、過去の事実を反省検討し、以って国民の期待に応えるべきである。   右決議する。    昭和三十七年四月十七日         衆議院決算委員会  以上でございます。  次に、これを採決いたします。  お手元に配付の決議案、すなわち東北開発株式会社の経理等に関する件を本委員会の決議とするに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  ただいまの決議の字句の整理及び関係当局への参考送付等の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  経済企画庁長官より、ただいまの決議に対し発言を求められておりますので、この際これを許します。藤山経済企画庁長官
  134. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 ただいま御議決になりました御決議の趣旨は、まことにごもっともでございまして、長い間決算委員会がこの問題について調査、検討をされました結果の結論として、この御決議はまことに尊重すべきものだと存じます。従いまして、私どもといたしましては、この御決議を尊重いたしまして、これに沿いますように、今後対処いたしまして、再びかかることのないように善処して参りたいと存じております。
  135. 鈴木仙八

    鈴木委員長 次に、東北開発株式会社総裁より発言があれば、これを許します。伊藤総裁
  136. 伊藤保次郎

    伊藤参考人 本日のこの決議文を拝聴いたしまして、私は会社の最高の責任者としまして、この決議文はあらためて私の責任を国会において明示されたものと感じます。従来ももちろん責任はあったと思いますが、今回の結末をつけるには、過去のことを論ずるよりも、今後の措置について論ずるのが当然でありまして、この点からいいますと、私は最も大きな責任を背負ったということを痛感しております。従って、ここまで皆さんの御努力によって会社の基礎を固め、われわれの責任をはっきり明示された以上は、その点に対してはどうしても全力をふるって御期待に沿いたいと思います。  しかしながら、私のような無力な者は、単独ではできないと思います。ここに明示されましたように、社内の派閥を解消し、どこまでも信賞必罰の精神を貫くというには、やはり私ども一体になって、これから畢生の努力を傾けなければならぬということを、皆さんの前に誓いまして、この決議を私は尊重いたします。
  137. 鈴木仙八

    鈴木委員長 さらにこの際、委員長より一言申し上げておきます。  東北開発株式会社に関する当委員会結論は、ただいまの決議の通りでございますが、会社並びに関係当局者は、当委員会の決議はもとよりのこと、今日までの委員会調査に現われた本委員会の意向も十分体せられ、全力をあげて会社の改善、再建努力せられ、一日も早く国民の付託にこたえられんことを強く要望をいたす次第でございます。  なお、本日をもって一応調査は終了といたしますが、当委員会といたしましては、今後の会社のあり方等につきましても重大なる関心を持つものであることをつけ加えておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十七分散会