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鈴木委員長 この際、私から一言
委員各位の御同意を得て発言をさしていただきます。
そもそもこの
東北開発株式会社問題に関しましては、常に同
会社に関する好ましからぬうわさを耳にいたしたのでありますが、たまたま軌を一にして、
会計検査院提出の
昭和三十五
年度決算に関する検査
報告が国会に提出をされ、その中にも
東北開発株式会社の経理
内容が著しく不適正であることが掲記されていたのであります。
そこで、私が独自の
調査に基づいて、
会社の経理及び
業務運営等に関し
調査をいたしました結果、去る二月五日当
委員会で御
報告を申し上げましたごとく、
昭和三十五
年度決算について、
会社の発表した六千八百余万円の
黒字が、事実は約三億円余の
赤字となっていることで、これは善良な第三者の判断を誤らしめる虚偽の
決算であることが判明したのであります。
さらに、
セメントの販売及び倉庫管理の取り扱いが当を得ず、ために、約三万トンの硬化した
セメントを発生させており、
代理店等に対する売掛金においても、数千万円に上る回収不能の債権が生じていたことであります。
また、
砂鉄鉱区の買収、投資
会社に対する問題、
経営陣の
企業性に対する欠如及び
監督官庁のあり方等々について、その
経営執行にきわめて遺憾な点が多々あったのであります。
これらの諸点については、当
委員会において、数回にわたり、多数の
参考人及び
関係当局の御
出席を求め、
委員諸君が、終始熱心に、この
東北開発株式会社が国民の血税によって設立された
国策会社であることを深く認識されて、慎重なる審議を進められてきたことは、私としても、その態度に敬意を表するものであります。
これらの審議を通じて、特に私が感じたことは、同
会社が、でたらめな官僚のひもつき人事及び派閥的人事を行ない、また、大
企業及び
関係官庁による
事業に対する制約によって、
企業の
内容がきわめて薄弱なものとなっていることであります。
さらに、
会社の
経営成績にマイナスの結果を招致さした幹部職員が、かえって以前にもまさる地位を得たり、あるいは他の政府機関に栄転するに至っては、まさに正直者はばかを見るのたとえに尽きるもので、私は、これが社会の風潮となることを深くおそれるものであります。
また、われわれがこの審議を行なっているさなかに、
会社幹部職員を含めた多数の職員が
贈収賄容疑による
汚職事件すら発生させるに至ったことは、世上周知の事実であります。
今後同
会社がりっぱな
再建策を講ずるために、人事問題について、適材適所主義により、その管理面では、信賞必罰の精神に立ち返り、
企業の
経営においては、監査制度等の確立によって、抜本的改善策を講ずることが必要ではないかと
考えるものであります。
これらのことがなし得てこそ、
ほんとうの
意味における
東北六県のための
東北開発株式会社と言えるのではないかと思うのであります。
本問題の審議を終わるにあたって、簡単ながら私の所感を述べさしていただいた次第であります。
当
委員会は、本件に関しまして、本日を含めて、七回にわたって
調査を続けて参りました。
調査を通じ、
会社の経理及び
経営の実態も、おおむね明らかとなりました。
委員会としては、各
委員の
質疑を通じて、問題の所在、改善を要する点も指摘し、
監督官庁、
会社当局者の反省と自戒を求めて参ったのでありますが、
理事会における協議の結果、今回における
調査は、本日をもって終了することとし、ついては、警告の
意味を含めた決議を行なうことに決定いたしており、その案文の起草は、
委員長に一任をいただいております。
つきましては、
委員長において作成いたしました案文は各位のお手元に配付いたしてありますが、この際私が朗読をいたします。
東北開発株式会社の経理等に関する件(案)
東北開発株式会社は、
昭和三十四
年度並びに同三十五
年度決算において、
会計検査院の指摘の如く、
企業の真実な
内容を表示しない虚偽の
決算を行っていたことは極めて遺憾である。
東北開発株式会社は、多額の血税によって、設立された
国策会社であり、その
経営成績と財政状態については、国民が常に重大な関心をもって見守っているものであるから、いやしくも、
企業の真実をゆがめて
報告し、国民の判断を誤まらしめるが如き
決算をなすことのないよう厳に戒しむべきである。
また、義務の運営に当っては、
会社内部の対立及び外部の圧力等により、公正を欠き、
その他各般の
事業においても、幾多の不適正な点が認められるほか、
理事を含む幹部職員等の多数が、
贈収賄容疑による
汚職事件まで惹起し、国民に深い疑惑と不信の念を抱かしめるに至ったことは誠に遺憾である。
かかる事例にかんがみ、前役員等の
関係者並びに
監督官庁は、
会社設立の
趣旨にてらし、深く反省するとともに、その
責任を明らかにすべきである。
なお、新役員及び職員は、現在、
会社が存亡の重大な岐路にあることを十分に認識し、社内の派閥的対立を解消し、外部の圧力等を排除して、綱紀を刷新するとともに、この際、人事については、適材適所主義にのっとり、信賞必罰を厳にするほか、機構、経理及び業務各般においても抜本的改革を行い、近代的
経営管理の
責任体制と強力な内部監査制度を確立し、以って
企業の健全化と内部規律の厳正化に努めるべきである。
さらに、政府は、監督行政において、
会社の公共性を強調するの余り、役員人事、認可事項等に必要以上の干渉を行い、ために、株式
会社としての
経営の自主的機動性の発揮を妨げていることは遺憾である。
政府は、この際、
理事選任方式及び
会社運営の在り方について根本的再検討を加え、
東北開発株式会社法及び
関係規則の改正等の適切なる改善措置を講ずべきである。
以上、政府並びに
会社当局は、過去の事実を反省検討し、以って国民の期待に応えるべきである。
右決議する。
昭和三十七年四月十七日
衆議院
決算委員会
以上でございます。
次に、これを採決いたします。
お手元に配付の決議案、すなわち
東北開発株式会社の経理等に関する件を本
委員会の決議とするに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕