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1962-04-12 第40回国会 衆議院 決算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十二日(木曜日)    午前十時二十六分開議  出席委員   委員長 鈴木 仙八君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 高橋 英吉君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君       宇田 國榮君    久保田藤麿君       椎名悦三郎君    鈴木 正吾君       古井 喜實君   山口喜久一郎君       久保 三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         防衛政務次官  笹本 一雄君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (経理局長)  木村 秀弘君         防衛庁参事官         (装備局長)  久保 忠雄君         調達庁長官   林  一夫君         総理府事務官         (調達庁総務部         会計課長)   大濱 用正君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     沼尻 元一君  委員外出席者         内閣調査官         (内閣官房内閣         調査室長)   古屋  亨君         総理府技官         (内閣総理大臣         官房参事官)  八段麒一郎君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  芦田 一良君         防衛庁事務官         (調達実施本部         長)      三原  桂君         会計検査院事務         官       樺山 糾夫君         (第二局長)         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年度一般会計歳入歳出決  算  昭和三十五年度特別会計歳入歳出決  算  昭和三十五年度国税収納金整理資金  受払計算書  昭和三十五年度政府関係機関決算  書  昭和三十五年度国有財産増減及び現  在額総計算書  昭和三十五年度国有財産無償貸付状  況総計算書  昭和三十五年度物品増減及び現在額  総計算書      ————◇—————
  2. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これより決算委員会を開会いたします。  昭和三十五年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管中、防衛本庁及び調達庁関係について審査を行ないます。  まず、決算概要について説明を求めます。藤枝防衛庁長官
  3. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 昭和三十五年度防衛本庁及び調達庁関係決算概要説明につきましては、お手元に印刷物をお配りしてございますので、それによって御承知をいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 鈴木仙八

    鈴木委員長 各位のお手元に配付いたしております昭和三十五年度防衛本庁及び調達庁関係決算概要説明は、便宜委員会会議録に掲載いたしたいと存じますので、さよう御了承願います。
  5. 鈴木仙八

    鈴木委員長 続いて、会計検査院当局より、検査概要について説明を求めます。樺山第二局長
  6. 樺山糾夫

    樺山会計検査院説明員 防衛庁関係昭和三十五年度の歳出決算額は合計千六百七億円でありますが、このうち会計検査院としましては百三十四億五千三百三十四万五千九百六十九円につきましては、前金払い、または概算払いの精算が済んでいないために未確認といたしましたが、その他の決算額につきましては、検査を了して確認いたしております。  検査は、書面検査のほか、要検査個所四百三十三カ所のうち百三十五カ所につきまして実地検査施行いたしております。実地検査施行率は全体では約三一%でございますが、支出官の所在する個所等重要なる個所につきましては、約五〇%の施行率となっております。検査の結果、検査報告に掲げました事項は八件であります。  その概要を簡単に御説明いたしますと、まず工事関係が四件あります。検査報告十八ページ二号は、自衛隊芝浦分屯地で、従来隣接の東京水産大学構内のタンクから給水を受けていたものを、都の水道から直接供給に切りかえる工事施行しておりますが、この分屯地東京水産大学の建物は、ともに大蔵省普通財産を一時使用いたしておるものでありまして、給水施設大蔵省の承認を得れば共同で使用できるものであり、また、給水能力も十分あるものでありますから、このように新たに給水工事を行なう必要はないと認められるものであります。  次の三号は、滑走路等新設工事予定価格の積算におきまして、基層材などとして使用する赤土の運搬費につきまして、トラック一車当たり積載量を過小に計算したことなどのため、工事費が高価となったものであります。  四号の問題は、送油施設工事におきまして、監督や検収が十分でなかったために、送油管設計より浅く施行されていたり、ドレーンピットが地上に七十センチも露出している個所があるのに、これを設計通り施行されたものとしてそのまま受領したものであります。  七号は、関係職員不正行為でありますが、最近自衛隊におきます職員不正行為は、従来に比べて減少してきてはおりますが、なお、金額は少額でありますが、このような事例があったことは、将来注意を要すると思われます。  次に八号でありますが、これは航空機部品修理契約におきまして、交換用部品の在庫があり、これを業者に支給したとしても、別に安い価格で補充することができたのに、内部の連絡等が不十分で、この方法をとらなかったために不経済となったものであります。  九号は、ジェットエンジン修理契約についての経費率の算定の問題でありますが、防衛庁ではこの種の契約においては、経費率についていわゆる中間確定方式をとっておりますが、その方法は、一般には受注会社における各決算期ごと部門別の実績または見積もりの直接工数加工費によって加工費率を出します。そして契約ごとに、その契約期間に応じてその加工費率防衛庁関係発生工数によって加重平均して経費率を算出することといたしているのでありますが、ひとり本件契約におきましては、契約期間とは関係のない決算期の分まで計算に入れて経費率を定めるという異例の方法をとっております。受注会社との価格の折衝が難航をきわめたということがたといあったとしましても、国の契約においてこのような方法をとることは妥当ではないと認めるものであります。  次に調達庁関係を申し上げます。  検査報告二十一ページの五号の問題は、ヘリコプター基地移設工事におきまして、契約してすでに工事を着工した後におきまして、原設計のアスファルト・コンクリートの固詰量を増加する設計変更を行なったのでありますが、この工事は、入札の際に現場説明を行ない、入札者は測点と測点との間の地盤に多少の不陸があるということは承知の上で入札したものでありまして、しかも着工した後において、もと地盤状況が明らかでなくなった時期に設計変更をして、契約金額を増額することは妥当でないとするものであります。  六号は、特別損失防止対策工事補助金の問題でありますが、駐留軍の演習に原因する土砂用水路に流入して被害が発生するが、その取入樋門が施錠されていて、洪水時に閉鎖することができないので、用水路改修をする必要があるとして、その工事に要する工事費に補助したものでありますが、本院で現地を調査したところ、取入樋門は開閉できるものであり、洪水の際にはこれを閉鎖して、土砂の流入を防止できるものであり、また一方、本流につきましては、別途調達庁の同種の補助金河川改修工事施行中でありまして、その洪水時の計画流量から見まして、このような措置をとっても、下流に支障を及ぼすとは認められないものでありまして、本件のような工事特別損失補助対象とすることは妥当でないと認めるものであります。  以上で検査報告概要説明を終わります。
  7. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これより質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。小川豊明君。
  8. 小川豊明

    小川(豊)委員 長官はほかに用があるそうですから長官にお聞きしたい点だけ先にお聞きします。あとはそれぞれ担当の方からでけっこうです。  そこで、これは長官と非常に懇意にしていて聞きづらいことなんだが、最近飛行機事故というのは——よく世の中に年中行事とか年間行事とかいいますが、これは月間を通り越して、日間行事みたいになっているということが新聞にも出ておりますが、五日に一回ずつ事故があるということです。これは気流が悪いとかなんとか、いろいろ気象の条件もあるでしょう。しかし、これはもとからきまっているものです。やはり機材欠陥があるのか、あるいは訓練とか、そういう点に欠陥があるのか、どこかに原因があるだろうと思う。防衛庁としては、一体どこにこの欠陥があるとお思いになるか。さらに、訓練を非常に猛烈にやらなければならぬとすれば、そういう事故が起こるであろうことも考えられるし、それだけに訓練を一生懸命やられていることも認めるけれども、しかし、事は人命に関することですから、こういう点をどうしたら排除できるかということは考えなければならぬ問題です。従って、原因がどこにあるのか、そしてそれに対する対策はどうなさるつもりか、この点をお聞きしたいわけです。
  9. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 最近、航空事故が相次ぎまして、特に最近におきましては、とうとい人命をなくし、あるいは財産被害を与え、被害を受けられた方にはまことに申しわけないことでございまして、心からおわびを申し上げるわけでございます。  ただいま御指摘のように、実は、たとえば昭和三十六年度一ぱいを考えますと、三十五年度に比べては事故の比率、われわれは十万時間で幾らというのをとっておりますが、それによりますと、減少の方向はとっているわけでございます。ただ最近、本年に入りまして相次ぐ大事故が起こりましたことをはなはだ遺憾に存じております。  原因等につきましては、さっそく調査をいたすわけでございますが、中にはなかなか原因を突きとめ得られないものもございます。しかし、今までの統計を見ますと、やはり。パイロット過誤によるものが相当部分を占めているわけでございます。しかも、そのうちには、これから育っていく若い。パイロット過誤等もあります。こういう点につきましては、事故のたびにその事故原因を十分突きとめまして、再びそうした事故を起こさないように注意をし、あるいはまた事故対策についての委員会等も開いてやっているわけでございます。特にそうした若いパイロット過誤等につきましては、その一人々々の能力の把握に教官が十分努めまして、そうしてあらゆる場合に対処できるような訓練重点を置いてやろうとしているわけでございます。ことに最近航空自衛隊航空機事故が多うございますので、三月に入りまして各責任者会同等も開き、またそうした事故対策を中心にしました各部隊監察等も現在実行をいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、こうした事故の絶無を期して、貴重な人命並びに機体の損傷を減少することが必要でございます。ただいま申し上げましたようなこと、さらには、資材その他につきましても、十分に念には念を入れさせまして事故防止に当たって参りたいと思いますが、最近に起こりました事故につきましても、たとえば小田原付近に落ちましたあの事故等は、今までちょっと考えられていなかったような気象状況でございます。しかし、やはりああいう事故がありました以上、気象探求等にもさらに今までより以上に努めまして、そうしたことを予知するというようなこともやっておるわけでございます。  いろいろ事故原因は違いますが、主としてその多くの部分を占めるものが若い。パイロット過誤によるというようなことは、やはり今後そうした一人一人のパイロット能力練度というものを上官がよく把握いたしまして、そうしてそれに適切な指導を与えるということに重点を置いて参りたいと考えておる次第でございます。
  10. 小川豊明

    小川(豊)委員 こういう点が私はちょっと考えられないのですが、それは航空機が進歩し、発達し、従ってその機材の精密度というものは非常に高くなっていくわけですから、それだけに大へん高度の技術を要する、こう思うわけですが、そこで、日本としては、ジェット機の取り入れというものも最近のことであるので、従って諸外国に早く背並びをしようと思って背伸びをして訓練をしている。ちょうど昔の軍では猛烈な訓練、人力以上の訓練をやったというのですが、やはりそういう点が今でも残っておって、早く背並びするためには背伸びをさせなければならないというので、まだそれほど訓練を積んでいない者に、かなり高度の技術を要するものをさせているために起こってくる事故ではないかということが考えられる。やはりこういう点については、段階を追っていかないと、いたずらに機材人命損傷になってきて、むしろ恐怖感——そういうこともあるまいが、そういう問題さえも起こってくるんじゃないかということが心配されるから……。  いま一つの点は、これはそれとは直接の関係はないが、私は日本の場合には、民間飛行場米軍自衛隊も使っているところがあるんじゃないかと思う。そういうふうに、それぞれ目的が違うものが一つ飛行場を使われるために、管制その他の問題についてかなり無理が出てくるのではないか。そういうところから起こる点がありはしないかという二つの点が心配されるが、そういう点はありませんか、どうなんですか。
  11. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 非常に無理な訓練をして、先進諸国に追いつく背伸びをしているんじゃないかという仰せでございますが、これは諸外国ジェット機に対する訓練その他の例を十分参考にいたしまして、そうして段階的に、しかも合理的な訓練をやっておるわけでございまして、特に非常にあせりがあって、何か訓練の度が無理な訓練をしているということはないと思います。むしろ相当合理的な訓練重点を置いてやっているわけでございます。ただ、何分にも一人々々によってやはり能力が違うわけでございますから、そういう個人々々の能力の限度あるいは練度、そういうものを十分上官が把握しまして、その個人に適した飛行方法をやるというようなことについては、さらに努力をいたさなければならないんじゃないかというふうに考えております。  それから、飛行場各種飛行機が共用しておる、それから生ずる管制その他の過誤はないかということでございます。この点は、現在までいろいろ事故が起こりまして、原因探求をいたしておりますが、そういう飛行場が共用されておるためによる管制過誤その他で起こったということはほとんどございません。例の小牧飛行場で衝突をしたものがありますが、それ以外はございませんので、共用からくる事故発生というものはないのではないか。しかし、これも御指摘のような点もありますから、さらに管制その他についての運輸省、防衛庁、それから米軍、この連絡につきましては、十分努めて参りたいと思います。
  12. 小川豊明

    小川(豊)委員 後段の問題ですが、私は輸送用、いわゆる商業飛行的な輸送用のもの、それから防衛用のもの、あるいは訓練用のもの、そういう目的の違うものが、それぞれ一飛行場で使われるということは、やはり変則ではないか、こう思うのです。これは予算の問題、経費の問題、いろいろな問題があるからそうなっているのだろうが、自衛隊としては、努めてそういうものを解消していくようにしないと、たとえば今、小牧に一件あったと言うが、それは事故としては小牧一件であったかもしらぬが、そういう不便と不安と危険というものは絶えずつきまとってくるものではないか。従って、この点については、私はもっと真剣に対策考えるべきではないか、こう思います。  それから次に、これは新聞を見るとこういう点が出てきているのですね。自衛隊隊員の充足問題なんですが、ただし充足するだけでいいわけではなくて、あくまでも、少数の人が行くからには、そこには質の点が一番問題になってくると思う。ところが新聞を見ると、上野駅では、何か自衛隊幹部諸君が、平服で、おりてきた人が浮浪者かあるいは駅員か知らぬが、そういうのを勧誘しているのを、これはおかしいと思って警察が調べたら、自衛隊幹部であったということ。それからもう一つは、これはやはり新聞を見ると、何かこれは私の県らしいのですけれども、家出の窃盗少年に対して平井の駅で——これは自衛隊の千葉の地方連絡部発行ですから私の県なんですが、そこで仮合格決定通知書というのを渡してあった。そしてこの少年窃盗警察にあげられたが、おれは仮合格書までもらっているのに、ここでこんなことをされては、自衛隊へいけないというので、警察があわてて補導せずに放したら、またどこかへ行ってやったというような、上野駅の事態といい、こういう事態といい、これは自衛隊隊員募集するについて——足らないから募集しなければならぬのもわかるが、やはり質の非常に高度なものを要求しなければならないのに、こういうことをしてまで募集しているということ、これは自衛隊として慎しむべきことだと思う。もっと適当な方法があるはずだ、またなければならぬはずだ、講じられなければならない、こう思うのです。  そこで、お尋ねしたいのは、今自衛隊としては一体どのくらい不足しているか。予算の方で見ると、かなりの、何万という人が足らないということになっている。ことに最近の経済事情からいって、工場や会社に行く率が多くなるから、この充足というのは、あなたの方ではかなり困難であろうことも認める。困難な中で質のいいものをとらなければならぬというのは、さらに困難であろうことも認めるけれども、これは放置しておけない問題だと思うのです。とすると、これに対する対策というものを一体どうお考えになっておるか、との点をお尋ねするわけです。
  13. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 自衛隊員募集がなかなか困難であることは御指摘通りでございます。ことに、空と海とは大体よろしいのでございますが、陸上自衛隊においては、十七万一千五百人が定員でございますが、二万五千程度の欠員が現在ございます。これは、御指摘通り、一方において経済が非常に発展をいたしまして、特に若年労働者の需要が非常に多い。従って、自衛隊適格者と給源において競合するというようなことが相当な理由になると思います。この募集方法について、ただいまお話がございましたが、ただそういう非常に困難なところでございますので、単に役場その他一般にポスターをはるとか、そういうことだけではなかなかできないのでございまして、やはり適当な適格年令の者に対しましては、直接自衛隊事情説明して勧誘するというようなこともあるわけでございます。もちろん入隊をせしめるときには、十分な身元調査その他をいたしますので、いわゆる前科者その他を入れるようなことは万々ないと心得ております。なお十分注意をいたして参りたいと思いますし、そういう勧誘の方法につきましては、一般の誤解を招くような、何か上野の問題のごときは、浮浪者かなんかを募集しているような印象を与えましたが、実はそうではないのでございまして、集団就職等で東京に来たけれども、勤め先があまり思わしくない、帰郷しようかどうか迷っているような人についても自衛隊説明をするというようなこともありますが、しかし、この方法その他につきましては、十分今後は注意して参りたいと思います。  それから、募集対策でございますが、そういう一般的な社会情勢もとでございまして、特効薬はないのでございますが、しかし、たとえば自衛隊を除隊した人が第二の人生スタートを切るときに、やはり有利なところにいける、そのために一応安心して自衛隊に入って、そしてそれを除隊したらばまた会社その他に自衛隊の経験が十分生かされながら入っていけるというようなこと、いわゆる除隊後の就職問題につきましては、経営者側あるいは関係各省、すなわち労働省や通産省とも十分連絡をいたしまして、そうして経営者側の要求する技術等も、入隊中にある程度職業補導をやるというようなこと、あるいはまた除隊する者の場所、数等を経営者側連絡いたしまして、そうした者をできるだけまとめて採用してもらうというようなこともいたしております。あるいはまた昔の下士官、現在の曹のクラスでございますが、その曹のクラスをふやしまして、一般隊員がさらに昇進の道を希望して、早く退職しないで長く隊にとどまるような方法を講ずるとか、なかなかこうした社会情勢の中では十分な対策は得られませんが、そうした考えられる各種各般対策を講じまして、とにかく自衛隊に入ってもその後の別の第二の人生スタートを切るのに不利でない、むしろ有利になるというような点を、十分各方面と連絡をいたしまして対処をして参りたいと考えている次第であります。
  14. 小川豊明

    小川(豊)委員 御答弁でお考えはわかったのですが、これはいわゆる党の持っておるイデオロギーは別にして、自衛隊というものは現にあるのですから、それならそれには一つの権威というものがなければならぬ。自衛隊隊員がいくら足らないからといって、上野駅へ平服を着て行って、かっぱらって持ってくるようなことをしたり、窃盗をした少年に仮合格証を与えておるというようなことが伝われば、ますます逆に、自衛隊に行こうと思う人さえも、ああいうところへ行ってはと、こういうことになるので、その点では、困難な中でももっとプライドを持った募集方法をなさるべきじゃないか。これはいかにも拙劣な弥縫策であり過ぎると思うのです。  それからもう一つ、これは長官にお聞きしておくわけですが、今小田急沿線向ヶ丘防衛博覧会をやっておるわけですが、この経過を聞くと、小田急では自分の沿線でぜひ何かやりたいというので、向ヶ丘遊園防衛博覧会を企画したが、防衛庁では応じなかった。そこで小田急の方では、産経が関西でこういうことをやったことがあるじゃないか、そういう前例があるというので、産経とタイアップして、産経主催者として申し込んだ。そこで、あなたの方でもこれに応ぜざるを得ないし、また応じてもいいでしょうが、応じた。経過はそうだと聞いておるのですが、この私どもの聞いておる経過に誤りがございますか。
  15. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 多少その経過は違うのでございまして、私どもとしまして、適切な企画であり、自衛隊の真の姿を知っていただくようなPRの機会を与えてもらう場合につきましては、これに協力を惜しまないわけでございます。ただ、何分自衛隊という公のものでございますから、これがいわゆる営利の目的に利用されるというようなことになりますと問題がございます。従いまして、できるだけそうした催しにつきましても、公共的な性格を持ったものに協力をするという方針を立てておりまして、すでに数回にわたってそうした博覧会等協力をいたしたわけでございます。今回の問題も、産経新聞におきまして主催になり、そして自衛隊のふだんの姿を国民の皆さんに知っていただくという計画でございますので、これに協力をいたしたようなことでございます。今後も、そういう性格のものですから、公共性を持った催しについて協力をしていきたいと考えておる次第でございます。
  16. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは主催産経新聞で、協力防衛庁、協賛が小田急ということになっている。ところが、この主催産経は金は一銭も負担はしない。防衛庁も一銭も——負担しないとは言わないが、防衛庁負担していない。小田急が、一切の費用を負担してやった、これには間違いございませんか。
  17. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 防衛庁主催者との間に協定をいたしてやっておるわけでございます。防衛庁は、一銭も負担をしないということでございますが、実はあれは、主催者側防衛庁のいろいろな物品無償で貸して展示をしているというのじゃなくて、あそこの場所無償で提供させて防衛庁が出陳をしている、従いまして、戦車や飛行機の模型やその他を出陳しておりますが、これはあくまで防衛庁が警護に当たり、管理をしているという形でございます。従いまして、現在も約三百人の自衛隊員をあそこに派遣をいたしまして、これらの説明とそれから警備に当たっておるというようなことでございます。
  18. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは、出ているものを見ますと、やはり相当いろいろなものが——博覧会と銘打ってやるのだから、当然役に立たないものを出すわけにはいかない。防衛思想の普及という一つの大きな目的があって出されたのでしょうが、ジェット飛行機が三機、それから高射砲、自走砲戦車、無反動砲、ヘリコプター、それからM4の戦車、九〇ミリのエリコン、一五〇ミリのミサイル、こういうものが出ているわけです。これは当然あなたの方で管理しておられるものですから、あなたの方で運ばなければ運べないだろうが、そのためには二百人でも三百人でも人をつけて警備をしなければならない。これは防衛庁として協力したわけですから、その点はわかるのです。しかしその他一切の費用というものは、主催団体である産経負担してない。小田急だけで負担している。こういうことです。そうすると、こういう出品がずっと長い期間置かれて、そして乗せてみたり、運転してみたり、行ってみると子供らは喜んで乗っかっていたずらをやっておる。そこには損傷というものが当然出てくるわけです。そういうものを見て、こういう負担は当然防衛庁負担してやらなければならないわけです。その場合に、ことにミサイルとかこういうものは、三カ月も雨風の中にさらしておくならば部品の損傷もすると思う。せざるを得ないと思う。そういう摩滅とか損傷とかいうものに対しては、防衛庁の方で御負担になるわけでしょう。
  19. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 これは協定で、防衛庁協力したことに関連いたしまして生じた損害の補償については、両者が協議して定めるということに相なっております。従いまして、ものによっては賠償させる場合もございますし、ものによっては防衛庁負担する場合も出て参ると存じます。
  20. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、ここで入場料をとっているのですが、この入場料収入というのは当然主催団体である産経にいくのか、協力団体である小田急へいくのか、これはあなたの方で関知したことでないといえばそれまでですが、せっかくやるならば、こういう入場料をとっていくことはどうかと思うことと、もう一つは、私の言いたいのは、博覧会と銘は打っているけれども、どうもあそこはショー化しているということなのです。たとえば、あなたの方には栄誉礼というのがあるでしょう。これは長官だとか総理大臣だとかいう人、あるいは外国の人が来たときに、栄誉礼という式をやられるわけでしょう。ところが、あなたの方では、ここへ俳優なんか連れてきて、最初それに少尉か中尉の服を着せた、ところが少尉か中尉の服では栄誉礼ができないというので、急いで将官の服を着せて栄誉礼をやったというようになってくると、これはちょっと防衛庁防衛博覧会と銘を打ってやるには、少しくショー化してしまっているんじゃないか。さっき僕は、人員の募集の問題でも触れたごとくに、自衛隊というものは、今非常に困難な立場に置かれていますから、あなたの方でもいろいろ頭を使ってこういうことになるのだと思う。私は自衛隊の将来のことを考えた場合に、自衛隊の権威なり品位なりというものはやはり保持しなければいけない。大衆に浸透しなければならないということは、大衆にこびるということではないはずなんです。その点であなたの方の人員募集のやり方といい、今度の博覧会の運び方も、防衛博覧会といってみても、まるでショーを見るような形になってくるので、その点は私は防衛庁としていささか行き過ぎになってきはせぬか、大衆に浸透するためのあれはいいけれども、もっとその意味では厳粛なもの、あるいは気品のあるものということで一もちろんこれから本博覧会はおやりになるでしょうが、そういう点の配慮をしてなさるべきではなかろうか、とう思うわけですが、いかがでしょう。
  21. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 もちろん自衛隊の本質は、団結と規律とをその信条としておるわけでございます。従いまして、権威と申しますか、そういうものを常に保っていなければならぬことは仰せの通りだと思います。こうした自衛隊の真の姿を国民の皆様方に知っていただくためのいろいろなPRにつきまして、そうした権威を一方において保ちつつ、なお国民の皆さん方に親しくされる、その限度というのはなかなかむずかしいのでございますが、今御指摘のように少しショー化しているんじゃないかというようなお話でございます。このごろの青少年など、なかなか単なる模型では満足しませんで、実際のものをいじったり動かしたりするというようなこともありまして、できるだけそういう方向には進んでおりますが、しかし、その底には、やはり自衛隊の権威というものを、常に国民に信頼されるようにやって参らなければなりませんので、そういう点につきましては、十分今後も留意をして、御注意の点等を勘案いたしましてやって参りたいと存じます。
  22. 小川豊明

    小川(豊)委員 今度指摘された点についてお尋ねしますが、ここの報告と説明書を見ますと、因の補助金の場合、それからその他の(九)の場合ですか、この点で自衛隊の見解と会計検査院指摘とに、いささか食い違いがあるのではないか。会計検査院はこれこれこうだと指摘しているのに対して、あなたの方では、それはやむを得ないことであって——これはあなたの方の説明書を見ると、全部まことに遺憾であり、今後十分に注意いたしたい、こういうことを言っております。これは全く形式的なものですが、今後注意するということでなくて、今起こっているこの問題に対して、どうするかということが私は問題だと思うのです。  それはそれとしておいて、今の六の補助金の場合と、その他の中の九の「ジェットエンジンの修理請負契約にあたり処置当を得ないもの」というこの二点は、会計検査院の見解とあなたの方の見解とがいささか異なっているように思われますが、この点についての説明をしてもらいたいと思います。
  23. 林一夫

    ○林(一)政府委員 御質問の点は、六の福地用水の工事補助金のことであるかと思います。この点につきまして、ごく簡単でありますが、経過を申し上げたいと思います。  福地用水の件は、御承知のように、富士演習場の米軍訓練に基づく問題でございます。富士演習場で米軍が演習をやっております。そのためにあそこの原野が荒廃しまして、その土砂がふもとを流れております桂川に流入するのでございます。その桂川から樋門を通じて取水しておりますのが福地用水でございますが、その福地用水の中にこの土砂が流入するというような現状でございます。ところが福地用水に入るところの樋門というものには開閉機があります。ところがその開閉機というものは、地元の利水慣行によりまして、開いたまま管理しておるわけです。従いまして、豪雨時に土砂が流れるという場合においては、その樋門を通じて福地用水の中に土砂が多量に流入しまして、周辺の農耕地に被害を与えておるというのでございます。  そこで、調達庁といたしましては、この福地用水をコンクリートの三面壁にして、そうしてその土砂の流入を、流水に速度を与えまして土砂のはけをよくするという工事をいたしたのであります。そのために相当の効果が上がりまして、現在においては土砂等の流入は防いで、周辺の農耕地には悪い影響を与えていないというような状態にあるのであります。  会計検査院の方の御指摘は、そこに樋門があるから豪雨の場合にはその樋門を閉じればいいじゃないか、そうすれば桂川の本流の方に土砂が流れていって、福地用水の方に土砂が入らないというような御指摘でございます。  ところが、これは県の方の意向あるいは地元の意向によりますと、ここには利水慣行がございまして、先ほど申しましたように、その取入口の樋門というものは、常時あけておくという慣行になっておる。そういうことで、地元慣行を尊重いたしまして、県に補助金を与えて、県の工事として今の福地用水のコンクリート巻きをいたした次第でございます。調達庁といたしましては、どこまでも地元の慣行を尊重いたしまして、この福地用水の工事補助金を支出したということでございます。その点は一つ御了解いただきたいと考えます。
  24. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたの方の御説明ですと、当然ごもっともだということになる。それならば、「現地の調査あるいは設計等なお検討の余地があったことは今後十分に注意いたしたい。」というのは、現地の調査設計等にやはり疎漏な点があったということはお認めになりますか、どうですか。そういうことになるならば、あなたの前段の主張というものは成り立たないのじゃないか。
  25. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この工事は、ただいま申し上げましたように、福地用水の方の防水工事をいたしたのでございますが、この土砂が福地用水の方に流入するのを防ぐ方法といたしましては、たとえば福地用水の取入口に至るまでの間に大きな貯水池でも作って、そこで土砂どめをするというような設計上の考え方もあるかと思うのであります。考え方として、この土砂を防止するにはいろいろ方法があると思うのであります。調達庁といたしましては、この福地用水の防水工事をするのが最も適当であるという考えもとに、このような設計をいたし、とのような工事補助金を支出したような次第であります。
  26. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは、今度はこれを指摘された会計検査院の方にお尋ねしますが、今の御答弁をお聞きだと思いますが、そうすると、あなたの方の指摘は無理な指摘であった、こういうことになりはしませんか、どうですか。
  27. 樺山糾夫

    樺山会計検査院説明員 この福地用水と下流との関係で、用水を四三対五六で水をとるという協定は、書類がありましてはっきりいたしております。ただ、われわれが実地検査をいたしました際の樋門関係は、御説明では施錠されておったので閉鎖することができないということになっておったのでありますが、実地検査の際調査した際には、そういう状況にはなっておらないというようになっております。  それから、この砂が北富士の関係から相当出るということは承知いたしておりますが、そういった閉鎖できるような用水にまで補助金——この補助金は一〇〇%の補助金でございまして、そういったものまで補助金をつけることは少し行き過ぎではないかというふうに考えたわけであります。
  28. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは、結局われわれの立場から言えば、会計検査院指摘したのが正しいのか、会計検査院指摘に対して、あなたの方では、末段ではいろいろ今後注意すると言っておるが、前段の方を見ると、私の方がやったことは妥当であるということに終始しておると思うのです。いずれかでなければならないと思うわけです。そうすると、会計検査院指摘が誤っている、無理な指摘である、あなたの方ではこういう御見解だ、こう解釈してよろしゅうございますか。
  29. 林一夫

    ○林(一)政府委員 調達庁の方の考え方は、先ほど申しましたように、地元利水慣行を尊重しまして、そのためにはやはり福地用水の防水工事をするということが最も適当である、こういうふうに考えまして、施行いたしたのであります。その結果、相当の効果が上がっておるのであります。そういうようなわけで、この工事補助金を支出したわけでございます。  ただ、先ほども申しましたように、この土砂の流入を防ぐ方法としましては、ほかにも考え方があるであろうというふうに考えておるのであります。そういうような意味から、今後そういう点については、十分研究していたしましょうということでございます。
  30. 小川豊明

    小川(豊)委員 言葉じりをとらえるようだが、ちょっとわからぬのですね。これを見ると、どうもあなたの方のは、私の方のやったことによって結果がよかったんだ、こういうことになっているし、会計検査院では、そういうふうなことをやらなくてもいいはずだ、こういうことになるのです。ですから、これはやったのがよかったのか、やらなくてもよかったのかということだけなんですが、言葉が多過ぎて理解に苦しむわけなんです。一体これはどっちなんですか。こういう点は、私はもう少し意見の調整というものができるのだと思う。こういうふうに違った意見を出してこられた場合、われわれとしては、ここでそのいずれが是かということにならざるを得ない。会計検査院の方ももっともである、あなたの方ももっともであるというようなことはない。どっちかがもっともであるならば、どっちかが誤っているということになる。私にはこの点理解できない。  それから補助金ですから、全額補助というのももちろんあります。七〇%補助とか、六〇%補助というのもあるが、この場合には全額補助している。これは初めから全額補助でやったわけですか。それとも何割かの補助をするからどうか、こういうことで交渉したわけですか。その点はどうなんですか。
  31. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この基地周辺に与える被害に基づく用水工事その他の農林被害等の建設工事、こういうものに対する補助金特別損失法というものに基づいて行なっておるのでありますが、これは全額補助を建前としておるのであります。いずれの場合においても、全額補助を支出いたしております。
  32. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、自衛隊の施設をする場合に、被害が出た場合の損失ならば、建前としても全額補助になっておるわけですね、その点はわかりました。  しかし、この補助金の因と、その他にあげられた(九)と、この二つの検査院と自衛隊の食い違いは、私はどうも納得いかないのです。今(六)の御説明を聞いたわけですが、(九)の方の場合はどうなりますか。
  33. 三原桂

    ○三原説明員 (九)について御説明申し上げます。  本件は川崎航空機工業株式会社の神戸製作所のジェットエンジンの修理及びヘリコプター関係契約につきまして、おもに加工費率の問題で検査院が御指摘になっているのでございます。  この加工費率契約は、大部分概算契約を一応いたしておきまして、その履行の途中で、実績をある程度見て、実績があるものについてはその実績を勘案し、将来にわたるものについては見積もり推定をいたしまして確定をいたすものでございますが、このジェットエンジン部門の加工費率の問題につきましては、検査院が御指摘になっておられる通りでございます。ただ、私どもといたしましては、最初からジェットエンジン部門につきましても、ヘリコプター部門につきましても、検査院が御指摘のように、その契約期間に応じて加工費率をそれぞれ加重平均いたしまして契約をいたしたいという通常の方法でやるべく努力をいたしたものでございます。ジェットエンジン部門につきましては、会社と折衝の結果、両者合意ができたのでありますが、しかしながら、 ヘリコプター部門の会社の二十三期の決算期加工費率——その原因会社の作業の工数の見方と両者に食い違いがございまして、非常に商議が難航いたしました。防衛庁の方といたしましては、三十六年四月から九月までの間に約十六万工数くらい工数が出るであろうという見解をとっておりまして、会社側としては、その当時の引き合い状況から、せいぜい十二万工数くらいしか出ないであろうという推定であります。従いまして、その期の加工費率が、会社側は一工数当たり六百円、防衛庁の方としては五百五十六円という数字で難航をいたしました。当時の引き合い状況から見ますと、確かに会社が言うような工数しか発生しないと思いますけれども、過去の各決算期状況を見ますと、大体十六、七万工数が発生いたしておりますので、そのくらいをその期の発生工数と見るべきであろうという点で暗礁に乗り上げてしまったわけであります。  ところが、会社側といたしまして、防衛庁契約発生工数ではなくて会社全般の発生工数を基礎にした加工費率を認めてくれるならば、ジェットエンジン部門とヘリコプター部門について、そういう数字を認めてくれるならば、二十三決算期について、防衛庁の五百五十六円という数字をのみましょうということを申しております。私どもといたしましては、その申し入れを検討いたしまして、これは異例な措置ではあるけれども、その方法によった方が若干有利ではないかというように考えまして、この契約につきまして、そういう異例な措置をとったわけでございます。これらは非常にデリケートなこまかい数字の計算でありまして、これらの点につきまして、あるいは検査院に十分御説明の徹底しなかった点があるかとも思いますが、私どもといたしましては、当時、会社の申し出をのんで、それによって契約をした方が、少なくとも不利ではない若干有利ではないかというように考えて、契約をいたした次第でございます。
  34. 小川豊明

    小川(豊)委員 事情をお聞きしたわけですが、ここで会計検査院の方では、修理費が約百八十二万円高価となっている、こう指摘している。それからあなたの方のこの説明を見ると、川崎航空機工業株式会社を折衝したが、該修理契約の相手が同社一社に限られていた関係もあって、その折衝が難航をきわめ、歩み寄りがみられなかったので、」こういうことが説明にある。そうすると、私どもが疑問を持つのは——これはよくあることですが、この一社だけしかどうしてもできないというなら、これはがんばることもあり得ることだが、少なくとも国防を担当しておるところの防衛庁と川崎航空の間に、かりに一社だけだからといって、妥当な価格に難航をきわめるということが私には考えられないのです。二社ならばもっと安くなったのに、一社だから難航をきわめ高くなったということは、われわれ国民としては、そういう合理性のないことに対しては納得いかないのです。この点はどうなんです。一社だけだから高くなった、二社なり三社があった場合には、これはもっと安くすることができたわけで、難航をきわめたということと、この百八十二万との関係はどうなるわけですか。
  35. 三原桂

    ○三原説明員 私ども契約をやっております者から見ますと、指名競争なり一般競争をやりますと、どうしてもその間に競争意識というものが働きまして、ある場合には、われわれが考えましたより以上に安く契約ができるという場合もございます。ただ、その会社一社というふうに限られまして随意契約をいたしますと、一般的に申しまして、会社側は、自分のところと契約しなければ仕事ができないという考えになりがちでございまして、相当強く利益の追求と申しますか、強く出てくるのが通常でございます。本件の場合には、特に川崎が非常に強かったというわけではないのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、三十五年の十月ごろ、この中間発表をいたしたわけでありますが、三十六年の四月から九月までの将来の期間の発生工数の見通しにつきまして、会社側は当時の引き合い状況から考えて、工数が十二万工数くらいしかとても発生しないだろう、こういうふうに見ますし、私どもといたしましては、過去の十七期、十八期、十九期、二十期というような決算期発生工数状況を見ますと、十六万工数ないし十七、八万工数出た場合もありますので、少なくとも、十六万工数くらいを出して計算すべきではなかろうかというふうな、将来の問題についての見通しの論争になるわけでありまして、会社側といたしましても、現在取引がないヘリコプターの製造なりオーバーホールなりについて、そういう大きな工数を見て、経費率加工費率を査定されるということについては、非常な危険を持つわけでありまして、非常にがんばる。防衛庁の方としては、過去の実績から見て、このくらいは当然算定すべきであるというような考え方でがんばるというような点で難航をきわめた次第でございます。
  36. 小川豊明

    小川(豊)委員 ちょっと考えてくれませんか。これは国会に対する説明として出された書類であって、相手方が一社に限られていた関係があって、その折衝は難航をきわめ、歩み寄りができなかったということは、私は重大なことだと思わざるを得ないのです。これは同社が、おれのところしかやれないのだから高くしょうということはわかる。そういうことは多々あると思いますが、このあなたの方の国会に対する説明書の中に、この文言が入れられておる限りにおいて、川崎のこの態度というものを、われわれは軽々に看過することはできないのです。当然ここに検査院が指摘されたように、そのために百何万というものが高くなっていると言われている。あなたの今の説明を聞いても、過去の実績からいっても、このくらいのあれでやっていかざるを得ないという考え方であったにもかかわらず、向こうが応じなかった。応じなかった原因は、個々にはいろいろあるでしょう。結局一社であるがゆえに、応じなかったっておれのところにくるに違いないということでそうなったというなら、これは川崎航空機というものに対して、もっと考えをわれわれ自身今度は改めなければならぬ、こういうことになる。今の説明に対して、検査院の方では指摘してあるのですけれども、この説明であなたの方は満足なんですか。それはどうなんです。
  37. 樺山糾夫

    樺山会計検査院説明員 本件契約関係のないヘリコプター部門の契約におきまして、折衝が難航したということでございますが、先ほど防衛庁からも御説明になりましたように、防衛庁が十六万二千時間を見積もったのに対しまして、会社側は十一万九千時間ぐらいしかないということで折衝が行なわれていたようであります。しかし過去の実績から見ますと、二十一期は、防衛庁が十四万八千時間見積もったのに対しまして、実績は十八万一千時間となっております。それから次の二十二期につきまして、防衛庁は十五万二千時間を見積もったのに対しまして、実績は十六万八千時間、いずれも防衛庁の見積もりよりも増加しているということになっております。つまり工数がふえれば、それだけ単位当たりのレートが下がるということになるわけであります。そこで、本件契約関係のない時期までを合計しまして、そういったものによって平均レートを出すということは、もちろんほかの契約にもやっておる事項でございますし、本件契約にだけ適用したということは特別な措置でありまして、われわれといたしましては、国の契約である以上、もう少し筋の立った、はっきりした方法契約すべきではないかというふうに考えるのであります。  なお御参考までに申し上げますと、二十三期、防衛庁は十六万二千時間と見積もったのでありますが、われわれの調査しました会社の実績は二十万九千時間というふうに増加いたしております。
  38. 小川豊明

    小川(豊)委員 防衛庁は、国の契約ならばもっと筋の立った契約をすべきではないか、こういうことなんですけれども、従ってあなたの方の契約は筋の立たない契約だということになるのですが、これに対してどうお考えになりますか。やはりこれは筋は立たないけれども事情やむを得なかったということになるわけですか、筋は立っているのだということになりますか、どっちになりますか。
  39. 三原桂

    ○三原説明員 本件につきましては、事情やむを得なかったというふうに考えておるわけでございます。普通の単にオーバーホールあるいはヘリコプターその他をたくさん契約いたしておりますが、いずれも検査院の言われるような契約ごとの期別の工数もとにした加工費率を使っておるわけでございます。ただ本件につきましては、川崎航空機と三カ月、四カ月かかって折衝いたしましたけれども、川崎航空機としては、どうしても十二万の工数であったが、最終のときには十四万の工数までおりて参りましたが、それ以上にはとても出ないというふうに推定をしてがんばって、われわれの方としては、今樺山第二局長の言われたように、過去の実績等から考えて十六万工数くらいは少なくとも出るはずであるという観点がありまして、どうしても妥結しないというので因っておりましたときに、会社側から、前三期の全発生工数を平均していただければ、防衛庁工数なり二十三期の加工費率をのみましょうという提案があったものですから、それで計算いたしますと、決して不利にはならないという計算になりまして、それならば異例の措置として、やむを得ず本件に限り、こういった三期の工数発生の比率でいこうということに、特別の措置としていたしたわけであります。
  40. 木村公平

    木村(公)委員 ちょっと調達庁並びに会計検査院当局にお尋ねしたいのでありますが、これは例の福地用水の問題ですが、事は簡単なようなことですが、根本的に会計検査院調達庁との間には考えを異にしておるという点があるのです。指摘事項にはこれが指摘されておりませんけれども調達庁のお話によりますれば、桂川から福地用水という用水を取り入れておる。樋門があって、開閉は自由であるけれども、長年の農民の慣行によってそれは開きっぱなしで、施錠までしてあるのだ、だから、農村の慣行というものは、由来全国的に見て非常に大事なものですから、その慣行というものを重視して、特に全額補助を与えて、用水のコンクリート巻きをしたのだというお話、私はもっともだと思うのです。ところが、この指摘事項を見てみると、そういう点には触れてないのです。施錠というものがしてあったことは認めておりましょうけれども、いつでも締められるではないか。締められても、この流量の計算上からいけば、締めたところで別に下流に対して被害を与えるようなことは考えられないのだ。従って、千三百数十万円の全額補助というものはむだな費用だというような会計検査院指摘なんです。  そこで、会計検査院にまずお尋ねしたいのは、慣行ということ、いわゆる水の問題は全国の農民の重大関心事でありますが、用水の取り入れあるいは下水の排除等におきまして、農民間の慣行、農村の慣行というようなものは、会計検査院ではあまりお認めにならないのかどうかという点を伺っておきたいし、それから調達庁に対しては、一番ここで重要な問題は慣行です。慣行を認めたから全額補助をなさった。慣行を認めなければ会計検査院の言うことがむしろ妥当なんです。ところが、妥当であるけれども、従来の慣行で樋門は締めてないのだ。物理的には締められるけれども、それをやれば水騒動になるのだ、だから慣行という、農民心理というものを尊重して補助したんだ、コンクリート巻きをしたんだと言われるのですから、一番大事なことはこの慣行を認めるのか認めないのかということです。それから調達庁はこの慣行に対して、今になって大声をもって言われるけれども、その当時は慣行という点について——あなたの方の答弁書を見ておりませんが、これに対する答弁、説明、解明書において、慣行の点を重視して書いておられるのですか。まず会計検査院から……。
  41. 樺山糾夫

    樺山会計検査院説明員 私どもは昨年の八月に初めて実地検査をいたしたわけであります。当時発電の関係で、先ほど申し上げたように四十三対五十六で水をとるということは、書面で協定書があるわけであります。それからさらに、それ以上にそのとびらが締められないのだという利水の慣行につきましては、検査の当時十分な説明はもちろんなかったわけであります。少なくとも現在では、こういうふうにその樋門は施錠されておりますが、実地検査の当時は施錠されておらなかったことは事実でございます。そういった点から見まして、その利水慣行は、同時に締められないことであるということについては、十分には承知しなかったわけでありますが、少なくともこういった現地の状況から見まして、しかも調達庁は、本流の桂川について、下流の方から上流にかけてこの補助金ですでに改修工事を実施されておりますが、まずその方を先に施行して被害を除くことが先決問題でないかということを考えたわけでございます。それからさらに、福地用水の関係被害が実際にどのくらいあったかという点でございますが、農業共済の被害その他につきまして、農業共済金の関係も事実としてもらった者は、ほとんどこの関係ではないようでございまして、われわれはそういった点から見ましてこのような判断をいたしたわけであります。
  42. 木村公平

    木村(公)委員 今いわゆる高速道路あるいは東海道の新幹線等の工事を進めておりますので、これとよく似た問題が各地に起こっておるわけです。ところによっては損失補償法に便乗して、今まで何べん陳情してもできなかったような利益をもたらそう、取ろうというので、あるいは政治家を動かし、あるいは当局を欺瞞して、そうしていろいろな工事をさしたり、いろいろな利益を得ておるというところもあります。また、ところによっては、当局の不勉強、不明のために、当然損失補償を適用すべき個所があるにもかかわらず、それが適用されないで放置されておるという、国民の側にとってはなはだ迷惑な個所もあるわけです。従って、このケースは小さいことのようですが、私はこれは重大な問題だと思う。  そこで、イデオロギーの問題ですけれども調達庁の初めの説明の中に、農民の慣行ということを説明しておらない。ところが農村においては、水の問題は重大であって、水に対するあらゆる慣行があるわけです。排水についても、用水取り入れについても、いろいろな慣行がある。この慣行というものを説明しておらなかったから、会計検査院指摘を受けた。しかも会計検査院指摘は、こういうように書いてある。駐留軍の演習により原野等が荒廃し、豪雨時には桂川から土砂等が福地用水路や周辺農耕地に流入して被害を与えるが、同用水路の取水樋門が施錠固定され、洪水時にも閉鎖することができないから、用水路内に流入する土砂の滞留を防止する工事施行することとし、用水路の水路面をコンクリート張りにするなどの工事費千三百四十一万円全額を県に対して補助している。しかし、現地を調査してみると、前記の樋門とびらはこれを閉鎖して土砂等の流入を防止することができ、また本川の許容流量などからみても樋門を閉鎖しても下流に支障を及ぼすものは認められないから、本件補助金は交付する必要がなかったと認められる。こういう指摘があるわけです。これは大へん重大なことで、金額はわずか千三百四十一万円ですけれども、同じケースが全国にたくさんある。あそこでもしもこういう慣行というものを調達庁の言われるように無視すれば、おそらく私は、会計検査院の言われるごとくで、この樋門を締めたところで別に下流に被害を与えない、これは土砂の流入も避けられるじゃないか、なぜ樋門をあけっぱなしにしておくのかという理論から、樋門を締めないということが悪いんだ、しかもその流量を計算してみても、当然樋門を締めたところで、本川の桂川に影響はない、洪水量にも及ばない。そうしてみれば、問題は樋門を締めるか締めないかという一点にかかって、締めればいいじゃないか。それを締めないで、わざわざ千三百四十一万円の国費を県に補助してコンクリート巻きするということは、国費のむだ使いじゃないかと言うと、調達庁の方では、そうじゃないんだ、樋門をあけておくということは、長年のそこの農村の慣行であって、もしも強制力をもって樋門を締めるようなことがあっては、農民騒動が起きぬとも限らない、農民一揆が起きないとも限らないという見地から、この農民の水の慣行等を勘案して、この金を使ったのであるから、むだ使いではないんだ、当然であると言うのです。そうすると、根本的に、農村の水の慣行等を認めるのがいいのか悪いのかということにしぼられてくる。調達庁は、あとからかどうか知りませんが、水の慣行があった、こういう慣行があるからわれわれは全額を補助したんだ、従ってこれは適正であると、そう思っていらっしゃるだろうと思う。しかし、会計検査院に聞いてみると、これは適正じゃない、むだだ、こんな金は一銭も出さなくてよろしいんだと言う。今聞いてみると、そのときの説明には、水についてこういう施錠をしておるというような慣行があることは聞いておらなかったというととが一つ出てきておる。もう一つは、実は自分たちが行ったときは施錠もしてなかったと言う。そうすると、検査のあとになって言いわけのために施錠という問題が出たのか、慣行というようなことが発明されたのかというようなことも疑わざるを得ない。どちらなんですか。会計検査院が言うのがほんとうなのか。調達庁が言うのがほんとうなのか。これは他に及ぼす影響が大きいケースであると思いますから、まず調達庁の方からお尋ねしたいのは、慣行というのはあとからおつけになった慣行なんですか。検査のときには施錠もしておらなかったと言っておる。慣行ということは、あなた方の説明の中にもなかったと言うておるのですがそれはほんとうですか。
  43. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この問題は、重要な問題でありますので、もちろん地元の関係等については説明をいたしたのでありますが、十分でなかった点があったかとも存じます。今、木村先生のおっしゃったように、この地方には水利の問題で今まで紛争がたびたび起こったのでございます。この桂川本流の、そして今の福地用水の下流の流水の水利問題で紛争の起こった歴史が今まであるのであります。そのためにこの両方の樋門の管理者であります富士吉田市長が、調停策としまして、両樋門は平常も取水状況のままに維持するということを決定して実施してきた事情があるわけです。そういうような紛争に基づく一つの解決策として、吉田市長が中に入りましてそういう取りきめをしまして、今まで水利をやってきたというような地元の慣行があるのであります。  そのような慣行がありますので、これは県も十分尊重し、地元の意見も尊重してその慣行に沿うようにして、この福地用水の防災工事をいたしたのでございます。この福地用水は通常の降雨のときにおいても土砂が流入するという状態であったわけです。その工事をしてから土砂の流入を防ぐことができました。従って、その周辺の農耕地の被害防止ができるというような効果をあげておるのであります。  このような点から考えまして、私どもとしましては、この工事が適当であった、こういうふうに考えております。もちろん先ほども申しましたように、この土砂の流入を防ぐ方法としましては他に方法があろうかと思います。それは、たとえば福地用水の方に入る前の桂川の本流の方に水ためでも作って、そこで土砂を沈殿させるというような方法考えられるかと思われるのでありますが、当庁としましては、このようなことが適当であるというようなことで、この用水のコンクリート巻き工事に対して補助金を出したというような次第でございます。十分に地元の慣行を尊重してやった工事であるのであります。
  44. 木村公平

    木村(公)委員 会計検査院局長にお尋ねしますが、初めは、調達庁の方から、そういう重要な水利の慣行があるというような説明はなかったということ、それから施錠もしてなかった、施錠はあとからされたのだというような点のお話が先ほどあったのですが、今あらためて調達庁から私に対する答弁として説明を受けられまして、実は重大な水利の慣行があるのだ、そのために今までもいろいろいわゆる水げんかが起こった例もあるのだ、そして施錠は現在も厳密にされておる。富士吉田市長が中に入って、水の紛争を解決するためにこういう要望があったのだというお話が今出てきたわけでありますが、これをお聞きになった後に、あなたは、いわゆる農村の水利の慣行というものがある場合には、これを必ずしもむだ使いだとお考えにならないような心境になっておられるかどうか。もしもこのようなケースが今後起こった場合に、あなたの方は常に指摘をして、農民慣行みたいなものがあろうとなかろうと、そんなことは、物理的に締めれば土砂が流れないんだからいいではないかという指摘方法をされるのか。それとも慣行など知らなかったからこういう指摘をしたが、慣行があるとすればそういうことを尊重するにやぶさかでないというのか。その点の御心境を伺っておきたいと思います。
  45. 樺山糾夫

    樺山会計検査院説明員 事実そういう慣行があったとしますれば、もちろんそれは尊重しなければならないかと思うのでありますが、将来同様な事態があった場合どう考えるかというようなお話でございますが、私の方として現在基本的に考えておりますととは、特別損失の防災工事につきましていろいろな事態が発生してくるわけでございます。ことに北富士の関係は、御承知のように非常にむずかしい問題が起こっているところでございます。そういったところにおきまして、防災工事にどの程度補助金をつけるべきかということは、非常にむずかしい問題であろうかと思うのでありますが、私どもとしましては、もう少し防災工事補助金全体につきまして、一定の基準とかそういったものについては、はっきりしたものを立てられる必要があるのじゃないかというふうに考えます。
  46. 木村公平

    木村(公)委員 くどいようでありますが、今国ではいろいろな大きな工事をやっておるのですが、たんぼの中に大きな道を作る、そうすると下水路をつけかえなければならないとか、あるいは用水路を変更しなければならぬというような幾多の例が、全国各地にあります。ことに今問題の弾丸道路、世上いわれておるところの高速道路並びに東海道の新幹線、これが平野を突っ走るわけでありまして、平野といっても多く農地を走るわけです。それで農地の用地を買収して、今着々と用地買収がなされ工事にかかっておるわけですがそうずると当然それに付随して起こりますのは損失補償の問題です。それと同時に農村においては、用水路、下水路のつけかえの問題です。そこにはまたいろいろな土地片々によって慣行が違う。そういう慣行というものを考慮するのかしないのかということは大へんな問題で、会計検査院は、おそらく今の御答弁でありますれば、そういう慣行というものは知らなかったのだ。しかし知った以上は、慣行というものを尊重するにやぶさかでないという御答弁だったように私は伺っておるのであります。  私がここに、特にこの委員会を通じて政府当局にお願いいたしたいと思いますのは、農民の水利の慣行、あるいはその他農民の長年にわたる慣習というものは、法律ではございませんけれども、法律以上の重大なウェートを持っておるものがたくさんあるわけです。従って、調達庁が今度の場合に指摘される以前に、説明の場合にこの水利の慣行も全然無視してこれをつけ加えられなかったということは、私は重大な説明のミスだと思うのです。顧みて他を言うというようなことは、私は正鵠な答弁じゃないと思っております。それと同時に、そういう説明がなかったから、慣行というものを御存じなくて、会計検査院がこのような指摘をされたのでございましょうけれども、しかし、この場において長い間の慣行があるのだということがわかってきて、そうしてそれに対してあなたはその慣行がありとすれば、ときによってはそれを尊重するにやぶさかでない、ことに北富士のような、日本全国に知れわたったよらないわゆるむずかしい場所ですから、こういう場所にそのような慣行がありとすれば、それを自分たちは承認するのにやぶさかでないという御答弁であったように伺っておるのでございますが、これはひとり北富士だけの問題ではなく、全国各地にこのような農村の慣行を無視することによって大きな問題が起こるというようなケースはたくさんあると存じますので、これから会計検査院が、検査にあたりましては、都会における慣行というものはそんなに大きな意味を持っておりませんが、しかしながら、封建的な昔から土地を墨守しております農村における水利の慣行、あるいは排水路の慣行、あるいはまたその他の用地の慣行というものには、今なお牢固として抜けられないような、いろいろ意外な慣行があるわけでございますから、今後この慣行ということを一つ十分御留意の上で、会計検査院も御指摘あるいは検査をしていただきたいことを望みまして、質問を打ち切りたいと思うのであります。
  47. 鈴木仙八

  48. 勝澤芳雄

    勝澤委員 防衛庁に二、三簡単にお尋ねいたしたいと思います。  会計検査院指摘事項のうち二項でございますが、この二項は、結局総額にいたしますと百五十万むだづかいがあったということですが、この原因は、答弁書によりますと、東京水産大学の方にあるようになっておりますけれども会計検査院調査の結果、この責任はどこにあるのですか。
  49. 樺山糾夫

    樺山会計検査院説明員 もちろん直接の管理権は東京水産大学にあるわけでありますが、この東京水産大学の建物及び自衛隊の建物、いずれも大蔵省普通財産であります。従いまして、こういう施設を他に使わせるという場合に、大蔵省にそういう承認を求めれば、もちろん国と国との間でありますから、共同で使用することができるというような承認は得られたものと考えるわけであります。
  50. 勝澤芳雄

    勝澤委員 どちらの手違いによって百五十万円のむだづかいが起こったのか、こういうことです。防衛庁の答弁によると、東京水産大学の方が言うことを聞かなかったのだ、こう言っておるのです。ですからその事実行為を聞きたいのです。
  51. 樺山糾夫

    樺山会計検査院説明員 もちろん東京水産大学が、一応自衛隊の要求に対して断わったということば事実のようでございますが、先ほど申し上げたように、大蔵省普通財産をいずれも一時使用いたしておるのであります。従って、そういう場合には、自衛隊の方から大蔵省に承認を求めれば承認を得られたものと考えます。
  52. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、自衛隊の方で東京水産大学から断わられた、大蔵省の方にはそういう申し入れをしなかった、こういうことですか。
  53. 樺山糾夫

    樺山会計検査院説明員 その通りでございます。
  54. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、自衛隊の方ではそういうことを知らないのですか。
  55. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま会計検査院の方から御説明がございましたように、芝浦の航空自衛隊の第一補給処、これは支処でありますが、ここと水産大学との間にいろいろ交渉を重ねた経緯がございます。しかし、ただいま検査院から御指摘になっておりますように、あとになって考えますと、出先同士で話がつかないならば、やはり本庁に上げて——大蔵省側が両方の財産を所管しておるわけでありますから、大蔵省の管財局で両方の調整をはかってもらうべきであった、それを地方の一部局の間だけで交渉したということは、確かに手抜かりであったというふうに考えております。
  56. 勝澤芳雄

    勝澤委員 手抜かりということは、そういう手続を知らないのですか。支処の責任者というものは、そういうことによってこういうことになったのですか、どうですか。
  57. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 芝浦の支処におきましても、この財産大蔵省所管の普通財産であるということはもちろん存じておったと思います。ただ、会議の席上なり文書で出した依頼に対して、はっきりした断わりがきたということで、これ以上水産大学から水をもらうのは無理だ、そこであきらめてしまったという点については、ただいま申し上げましたように、もう少し中央に上げて折衝をすべきであったというふうに考えております。
  58. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは総額で百五十万円ですが、この程度は支処で自由に出す金があるのですか。あるいは工事の費用の関係はどうなっておるのですか。
  59. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 水産大学から水をもらえなくなったということのために、最初いたしました十六万円の工事につきましては支処限りでできることになっております。あとの施設の補強工事につきましては、所定の手続を経まして、本庁から予算の配賦を受けてその工事を行なっております。
  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 本庁でやるときだって担当官はわかるはずなんです。その十六万円だけじゃなくて、そのあとの、七十四万と五十九万ですからたくさんな金なんですよ。これはおかしいじゃないかと、そこで言えば解決する問題じゃなかったのですか。ですからそこにも手落ちがあるでしょう。
  61. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 最初の工事を実施して後の補強の工事につきましては、一たん切りかえが行なわれておりますので、その間の問題をさかのぼって検討すれば当然わかったと思いますけれども、既存の施設に対する補強工事であり、やむを得ないものとして事後の工事を認めた、こういうことでございます。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次の会計検査院から指摘された七に職員の不正があるわけですね。これは六万五千円盗んだ事件です。この処分を見ますと、懲戒免職になっている。六万五千円でこの人は首になっているのです。百五十万円という金を不注意によって——理事務がわからなかったのかどうかよくわかりませんけれども、そういう結果によってむだづかいをしているわけです。御答弁を見ると、その責任は東京水産大学にあるんだ、こういうことになっているわけです。今会計検査院から聞くところによれば、いや、大蔵省に話をすればできたんだ、こう言う。あなたの方も、それについて否定をしていないわけです。こういうことから考えてみますと、六万五千円盗んで首になった、これは当然のことだと思うのですけれども、百五十万円も大へんなむだづかいをした、こういう者については、これを見ますと、処分も何もやってなくて、何も手続をしていないというのは、はなはだものの考え方がずさんじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
  63. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 金額にいたしまして相当の相違でありますので、確かに御指摘になった一面はあるかと思います。ただ、不正行為につきましては、みずから利益を得る目的で故意にそういう事件を引き起こしたわけでございます。一方この水道施設の問題につきましては、当時の折衝に当たった係官としては、判断に誤りはあったかもしれませんが、あくまでも水産大学と数次にわたる折衝をし、また文書による依頼も行ない、それが文書できちっと断わられて、これはやむを得ぬという判断をいたしたわけでございまして、その判断が確かに軽率な判断であったということは認められますけれども、さきの不正行為の場合におけるような、故意にそういう金を支出したということではございませんので、その点動機あるいは故意の有無、あるいは施設を施すに至るまでに水産大学と行なったいろいろな交渉努力の経過等を考えて特別の懲戒処分を行なわなかったということでございます。
  64. 勝澤芳雄

    勝澤委員 会計検査院から指摘されておる事項は、なぜ大蔵省にやらなかったのだ、こう言っておるわけです。あなたの方は、東京水産大学から断わられたのだ。そこに責任のウエートを押しつけておる。結局なわ張り争いでもって百五十万円損をしたのだという結論になるように思うのです。今聞いてみますと、経理担当の人がそこまで考えてやればよかったということになるのでしょうけれども、そういう指導は十分やってもらわなければいかぬと思うのです。ただ単に百五十万円だという金額でなくて、やはりむだな金を使うということにについては、もう少し厳正にお考えをいただきたいと思います。  その次に(四)を見ますと、これも実はずさんなんです。敷設区間六千七百メートルのうち設計通り施行されておるのは三百メートルにすぎない、こういう工事がどうしても行なわれたのですか、その原因一つ簡単に……。
  65. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これは当時北陸地方に非常な大雪がありまして、湧水が増大いたしましたために工事の実施が非常に困難になって、従って請負者としては浅くせざるを得なくなったという事情がございます。ただ防衛庁といたしましては、当時の検収を行なった者がもっと慎重に検査を行なって、むしろ設計の変更が行なわれる事前に設計変更の許可をとるべきであったという点に、確かに手抜かりがあったというふうに考えております。
  66. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この答弁によると「適当な処置を講ずることといたしたい。」というのですが、具体的にどういう処置をしたのですか。
  67. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 御太子橋というものがございまして、そこから基地の外柵までの間の道の用地を小松市と交渉いたしまして、市道の認定を取り消してもらうことにいたしております。なお、旧鉄道敷地の所管がえを受けることにつきましても、財務局の了解を得ております。それで、それを行ないますことによって、送油管の補強対策を行なうことに請負者と協議済みでございます。
  68. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは協議が済んで請負者の費用で全部手直しをする、こういうことですか。
  69. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 全額請負者の負担において三月一ぱいで補強工事を終了いたしております。
  70. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは監督と検収が不十分だった、これが原因なんですね。  最近工事がたくさんあって、確かに満足な監督や検収をやっていないと思うのです。ですから会計検査院が、二、三年前までと同じような目で見るならば、今行なわれておる工事——全部というのは極端ですが、相当部分手抜き工事があると思うのです。片方の監督なり検収なりも、十分な人員の配置もないわけですから、そういう点から考えればほんとうに重大なときに来ておると思うのです。ただ単にこの問題だけではないと思うのです。ですからそこは、どこから締めるかといえば、こういうのは、たとえば監督なり検収の責任者を懲戒処分にするなり何なり、はっきりした方がいいと思うのです。懲戒処分にすれば、こんな工事量をこんな人数ではできないから、おれはこれでは責任が持てないから、あとはやめるということになる。やめるということになれば、工事のやり方を考え直さなければならぬということです。今の工事の状態を見てみれば、結局監督ができないような工事量を出さして、そして業者に一方的にやらしておいて、そうしてあとは、会計検査院指摘されれば、ここに来て皆さんがあやまっている。これでは私は繰り返しだと思うのです。特にこの問題は極端だと思うのですよ。ですから、もうちょっと突き進んだ、監督の不十分なりあるいは検収の点についての確かめというのは、会計検査院はやられておるのですか。ただ単に、監督や検収が不十分であったということでなくて、もっと突き詰めた責任を、原因というものを、しっかりしておくべきだと思うのですが、どうでしょう。その点具体的におわかりになったら、検査院の方で御答弁願いたい。
  71. 樺山糾夫

    樺山会計検査院説明員 先ほども防衛庁から御説明がありましたように、非常に雪が深い時期に工事施行しましたために、監督が十分できなかったという点も若干あろうかと思いますが、結局担当者におきまして、もう少し十分にやっておれば、こういう結果が出なかっただろうと考えるわけであります。私どもとしまして、この点特に懲戒処分をやっておられないようでありますが、まあ会計検査院から要求するという方法もございますが、そういう点につきましてはなお検討いたしたいと思います。
  72. 勝澤芳雄

    勝澤委員 雪が深かったから監督ができなかった、不十分だったといろのですが、具体的にこの件について、監督の状態がどういうふうにあったんだ、そして六千七百メートルの距離のうち三百メートルしか設計通りになっていない。それで、実際には監督を具体的にどういうふうにされたのか。詳しい調査をやられたのですか。
  73. 樺山糾夫

    樺山会計検査院説明員 二十ページのしまいの方でございますが、鉄筋コンクリート造りドレーンピット十四個のうち十三個も非常に浅く施行されております。中には地上に七十センチも露出しているというような個所があるわけであります。こういう点は、現場の監督者が常に注意をしておれば、直ちにわかった事項ではないかというように考えるわけであります。
  74. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、注意をしておればわかっただろうというのですが、なぜ注意が行なわれなかったか、監督がなぜ不十分であったか、こういう点を検査院でお調べになったかどうかというのです。ただ単に、監督が不十分であった、それだったら、この監督する担当者の勤務の状態なり、あるいは仕事の工合なり、そういう点までを確かめてみたかどうかということなんです。  そこで、一体監督が十分できるような状態にあったのか、なかったのか。個人が悪いのか、全体的にやらしておるその監督が悪いのか、あるいは国全体のものが悪いのか、その点を私は聞いておるわけです。ですから、その前提として、私申し上げました。最近のこれだけたくさんな工事に出ていて、満足な監督ができるかどうかということは常識だと思うのですよ。ですから、ほんとうに検査院が調べたら、私はこんな薄っぺらな報告書にはならぬと思うのです。もっと三倍も五倍も厚いものになる。とにかくこの工事については、指摘するようなことが私たくさんあると思う。それほどこの工事の監督の面についての、あるいは検収の面についての不十分さというのは、私は出ていると思う。ですから、そういう点で、監督の人たちが一体どんな形になっておったのかという点までお調べになったか。やるべき仕事をやらなかったのか、あるいはできなかったのか、そういう点もお尋ねしているわけです。
  75. 樺山糾夫

    樺山会計検査院説明員 お話のように、非常にたくさんの工事が行なわれておりまして、監督があるいは人為的にできなかったという点もあろうかと思いますが、少なくともこの件につきましては、こういう非常にひどいことになっておるわけでございます。従って、監督員が、非常に手薄であったにしても、気づくべきではなかったかと考えるわけでございます。  なお、お話の点につきまして、今後の検査十分注意してやりたいというふうに考えます。
  76. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私が検査院に申し上げていることは、ただ指摘をしただけでそれで終わりでなくて、その原因をしっかりしておく、深く追及をして、その次の年度にはそういう事故が起こらないようなことをしてあげなければいけない、こう思うのです。それが私は検査院の任務じゃないかと思うのです。検査院というのは、いいか悪いかを判断するだけでなくて、もう少し高い立場があるのではないだろうかと思うのです。そういう点を申し上げているわけであります。  そこで今度は、防衛庁にお尋ねしたいのですが、今しろうとが見てもわかるようなことがやられていなかった、こういうことがいわれているわけです。また、これも処分を見ると、三人の方に注意をした。これではまた何回も何回も同じことが起きると思うのです。処分が軽いとか重いとかということでなくて、やはりもう少し基本的なものの考え方というものがされていないと、同じことが幾らでも起きると思うのですが、一つこの点どうでしょうか。
  77. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 当時の監督官は、本件工事だけを監督しておったのではございませんで、本件のほかに輪島、三国、福井等、十八件の監督を兼ねておったわけでございます。従って相当多忙でございまして、上司に対する報告、それから設計変更するならば、設計変更をするという申請を適切に行なわなかったという点は、確かに監督官の不手ぎわではございますけれども、しかし、ただいま申し上げましたように、ほかに大量の散在した工事を兼ねて監督しておったという事情考え合わせまして、まず重い処分をするということは、必ずしも情においてどうであろうかということで、注意をいたす程度にとどめたわけでございます。
  78. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで今度は、監督者がいないと設計通りにやらないような業者についての取り扱いについてどうなされましたか。
  79. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 検収の際に、こういう検査院の御指摘のような実情がわかりましたので、直ちに設計変更をして工事をやり直させるか、あるいはこれを認めて契約金額を減額するか、そういう面についての判断をいたしたわけでございますが、施行がすでに行なわれておったという状況、それからこの施設を使用する時期が切迫しておったというような事情もあわせ考えまして、請負業者に対する契約金の減額をいたすことが、この際一番適当な方法であろうと判断をいたしまして、五十七万一千七百円を減額いたしたわけでございます。  それから、工事の手直しにつきましては、先ほど申し上げました通りの手直しをしたわけであります。
  80. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私はそのことよりも、極端な言い方をしますと、不正行為ですね、こういうことをやる業者は、指名を取り消すべきだと思うのですが、その点はどうでしょう。
  81. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま申し上げましたように、施行状況あるいは使用時期の切迫という点から考えまして、監督官としてはこれを認めたということで——ただ先ほど申し上げましたように、設計変更を認めたならば認めたで、上司に対してすみやかに申請をしてその手続を完全にとった後、正規の設計変更による工事を行なうべきであった。ところが、先ほど申し上げましたような事情でおくれておったという事情考えまして、業者に対しましては、先ほど申し上げましたように契約金の減額等によって一応の処置をしたわけでございます。
  82. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、責任はこうなるのですよ。設計変更の手続をしなかった監督者が悪いのだということになる。しかし、設計変更の手続をやっておれば、会計検査院から指摘されているように、相当な金額は減額できた、こういうことになるわけじゃありませんか、その点はどうでしょう。
  83. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 設計変更をしないで、当初の計画通り工事を強行させたならば、多額の経費を要したろうと思われます。従って、もう一回この工事をやらせるということになりますと、八百数十万円の経費をおそらく要したであろうという計算が出て参りますが、しかし設計変更を前提にして考えますと、ただいま申し上げました五十七万余りの金で奨約金額を減額すればよい。あとは補強工事を業者に責任を持たせるということで事が済むのではないかという判断をいたしたわけであります。
  84. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今工事がたくさん出ておりますから、今後こういう事故が、監督なり検収不十分で起きる。その場合に、監督、検収が不十分で、業務の怠慢なり、あるいは業者とのいろいろな関係でそういうことが起きたということになれば、その関係者は十分考えなければならぬ。  もう一つは、設計通りやるのが当然であるけれども、それを監督がいないことによって少しでも手抜きをするような業者については、この際厳重な処置をやらなかったらけじめがつかない。どちらからかきっちりけじめをつけなければならないと思う。  この問題は、今ここでやりとりをしていても、もう少しお聞きしなければよくわかりませんので、後ほどお尋ねしますが、防衛庁には大へんお気の毒ですが、防衛庁一つの例として会計検査院の方にも考えていただき、きっちりしていただかなければならぬ。これからの工事の問題について、どこに責任があるのか、責任の所在が明確にならず、業者にあるのか、あるいは監督にあるのか、あるいはたくさんの仕事を請け負わせておるその上の方にあるのかわかりませんので、ぜひ一つ協力を願って、この件についてはもう少し調査をさせていただきたいと思います。  それから次に、八の指摘の問題も、実はこれも考えるとちょっとふに落ちないわけです。せっかくあるものを使わせずにわざわざ買った。このまま読むと、あとから使うようになっておったので使わなかったんだ、こういうことになっておるわけですけれども、わざわざあるものを使わなかったということについては、故意に一つのことが起きれば、これは重大な責任を問われるわけですけれども、これが過失かどうかというのは、それはものの見方が甘いというか、そんなふうに私は感ずるわけです。ですから、盗んだというものについては割合重きを置くけれども、業務上の手落ちか、あるいは故意というものが含まれているかいないか、こういう問題については、皆さんが行政上の問題として過失であったというふうにしたいとは思うのですけれども、やはりこういう点も、もののけじめをつけていかないといけない。出先の工事というものは大体監督がないのです。私もある一つのところを知っておるのです。これは農林省の出発ですけれども、統計事務所を千五百万ばかりで作った。監督者はどこから来たか、本省から行っておるわけです。一月か二月に一回くらいしか行かない。現場の事務所には建築のわかる技術屋は一人もいない。そういうところで千五百万の工事をやる。県に頼んでも私の方は手がございませんということで業者にまかせきりで、でき上がってから一回か二回しか見ない。それが半年か一年たてば雨が漏ってきたという例がたくさんあるわけです。だから業者は、そこで責任をとられずにまたどんどんふくらんでいく、こういうことになっては、商業上からいってもあまり感心しないと思います。八の点については、私はただ指摘だけしておきまして、一応防衛庁の質問はこれで終わります。
  85. 鈴木仙八

    鈴木委員長 本日の防衛本庁及び調達庁関係決算についての質疑はこの程度にとどめます。
  86. 鈴木仙八

    鈴木委員長 次に、前回の委員会において質疑を保留いたしました内閣情報調査委託費及び総理府の世論調査委託費関係について質疑を行ないます。小川豊明君。
  87. 小川豊明

    小川(豊)委員 総理府所管のいわゆる世論調査委託費、この問題についてお尋ねしたいと思うのですが、世論調査というのは、私はやはり民主主義の基礎であり、世論を基礎として、背景として民主主義の政治というものは行なわれなければならぬ非常に大切なものであることは認めますが、同時に、この世論調査というのは、非常に困難が伴うと思うのです。と申しますのは、一つはこの調査機関が非常に膨大でなければならぬ、そして多岐にわたらなければならない。ですから、そういうことは、民間の経営としては非常に経営上経済的な困難が伴ってくるのではないか。ならば、これを政府の補助なり助成なりでやっていく場合には、ややともすると官製世論というものが作られてきて、逆に民主主義がゆがめられていく心配さえも出てくる、こういうことが心配されるわけです。  そこで、当時政府自身が世論調査というのをやっておったわけです。それが廃止された当時の昭和二十九年の五月十九日の内閣委員会の会議録というのを見ますと、自民党の山崎巖委員が、このことについて広く論及されて、今私の言ったと同じような質問をし、結論として、国立世論調査所の廃止はこういう意味で賛成であります、こういうことを言っております。さらに参議院の、これも二十九年六月三日に参議院の内閣委員会で、政府委員の田上辰雄氏がこれに対してやはり答えておりますが、その点を要約して申しますと、現在全国におきまして二十一の機関ができまして、それぞれ目ざましい実績を示しておる。たとえば全国的な組織を持っております朝日新聞、毎日新聞、読売新聞のようなものもございますし、それから時事通信のごときは相当進んだ世論調査をいたしておるのであります。能力といたしましては、この程度のものは委託の資格があると考えておりますというので、国立世論調査所を廃止してこれは民間に委託するという方針が出たときに、自民党の山崎さんも言われており、これに対する政府の答弁もこういうふうになっておるわけです。  そこで、そういう中で総理府所管の中で見ていくと、世論調査費というのが三十一、二、三、四と出ておりまして、三十四年度が二千六十八万八千円、三十五年度が二千四百三十四万九千円。それから広報効果測定実施委託費というのが、これまた三十五年度百八十九万二千円出されておる。それから農地被買収者問題調査委託費というのが三十五年度に三百八十八万円出されておるわけです。  そこで、この総理府の世論調査の委託先というのが、すべて中央調査社一本にしぼられておるわけで、国会で二十九年当時各新聞社やその他適当な機関があるという答弁をしていないがら、ここでは中央調査社一本にしぼっておるわけですが、この中央調査社一本にしぼった理由はどこにあるのか、なぜ新聞社その他の調査機関というのを利用しないのか、新聞社その他の調査機関というのは、まだ信用するに足らないからこういうところへは頼まないのか、なぜ中央調査社のみにしたのか、それならば中央調査社というのはどれだけ信用の置ける機構の整備した調査社であるのか、この点をお尋ねしたいわけなんです。
  88. 八段麒一郎

    ○八段説明員 今お話しになりました国立世論調査所が廃止になりましたときに、そこで世論調査の仕事をしておりました職員が中央調査社に参りまして、国立世論調査所が今まで持っておりました技術的な機能、そういうものを中央調査社で活用していただく、そういうふうになされております。それからもう一つ、中央調査社は国立世論調査所のほかに、時事通信社の調査局、そこの職員が一緒になってできたものでございます。それで、時事通信社の持っております各支局があるわけでございます。その時事通信社の支局網とそれから国立世論調査所の持っておった技術能力、それを一つに合わせまして中央調査社を構成しておるのでございます。現在の状態を申しますと、独立した調査機関の中で、全国的な規模で、正確に、早く、そして安くできる調査機関といたしましては、中央調査社が一番最適ではないか、こういうふうに考えております。
  89. 小川豊明

    小川(豊)委員 この中央調査社に対して、ほかに自治省でも地方世論調査委託費を出しております。それから、農林省も畜産物需要動向調査委託費というものを三十五年度に九十二万二千円出しておる。  こういうように各省でも政府機関がほとんど一本にここに委託をしておるわけです。私は、中央調査社というものが今あなたのおっしゃるように相当機能の充実したりっぱな調査社であろうことは認めますが、往々にして、今まで私ともが知っておる一これは政府とは言いませんが、団体や会社等で調査というのを委託すると、向こうには機能はあまりない、自分の方で調べたものを——これはここじゃないですよ、委託機関が、自分のところにいた人、役所にいた人のようなところに頼んで、いわゆる内職だな、自分の調査したものを渡して、それをまた吸い上げて、そして委託費というような形で出しているが、なぜこういうことをするんだと言うと、私どもは幾ら骨を折ったところで、給料をもらってやっておるんだ、これだけのことだ、そこへ出せば委託費が出せるからだということで、委託費をまた吸い上げている例が多々あるわけです。あなたは笑っているが、あなたも知っているだろうと思う。あなたが吸い上げているとは言わないが、そういうこともある。中央調査社がそんなものであるとは言わないが、私の言いたいことは、政府の持っていた世論調査機関が大体そっちへ移っているわけですね、それでこの時事通信とタイアップしてできているわけです。この機構が充実していることは私も認めますが、ところが、いつか私は、ここで憲法に対する世論調査をやったということを聞いたので照会してみたところが、そういうことは回答できないというので回答がなかった。やったかやらなかったかわからない。  そこで、この中央調査社というものが、一つはほとんど政府の膨大な委託費によって運営されていく、そうすると、世論というものが、中央調査社の調査ではあるけれども、いわゆる官製世論的なものができ上がりはしないかということが心配の一つ。それからいま一つは、そういう心配に基づいて、なぜこれ一本だけでやっているんだ、政府の当時の答弁でも、朝日新聞も毎日新聞も読売新聞も、それらの新聞がみなそれぞれ調査機関を持って、的確だ、こういうことを答弁しているんですから、そういうところにも時たまは頼むようにしたならば、公正が期し得られるじゃないかと思われるにもかかわらず、これ一本でやっているのは、——一本でやるからには、これがよほどすぐれた機構を持ち、人員を持っているということでなければできないはずなんだが、あなたの方で、朝日新聞や毎日新聞、いわゆる大新聞等の調査機構よりも、どこよりも、ここが最もすぐれている、機構も整備されているところというお考えがなければ、これ一本だけにしぼれないと思うのですが、そういう確信を持って、ここが一番いいんだということで言われているわけですか。
  90. 八段麒一郎

    ○八段説明員 今おっしゃいました、新聞社のようなものに委託するといったようなことは、またどうかと思われるところもあるのでございますが、新聞社に例をとってみますと、せいぜい年に二回程度の調査をしておられるわけでございます。従って、大体そのときに調査員を集めて、そのつど調査をする、そういうようなことであろうかと考えます。それから、たとえば電通などのように、広告代理業をやっておられますけれども、ここで市場調査などやっておられるのでございますが、電通などに例をとってみますと、電通の出先は、ブロックの所在地と申しますか、たとえば福岡とか広島とか、そういうところにしか出先はございません。それで、たとえて申しますと、鹿児島の調査をするのに福岡から調査員を派遣しなければならない、そういったようなことが起こってくるわけでございます。独立の世論調査機関といたしまして世論科学協会というのもございますが、これもある地域には支局網と申しますか、支社綱ができておりましても、ある地域には全くできていない、そういうところがございます。それで、経費の面などから見ましても、中央調査社に頼むのが一番適当じゃないかと考えているわけでございます。たとえば世論科学協会などにいたしましても、大阪までには支局がございますから、そういう六大都市などに地域が限定されました調査については、なるべく世論科学協会に頼むというようなことにいたしております。
  91. 小川豊明

    小川(豊)委員 ちょっと、ここでくどいようですがお尋ねしますが、電通等では全国的な世論調査をする機構が乏しい、これはわかりました。それからあなたの答弁では、新聞社ではどうかと思うと言われたが、どうかと思うだけのことですか。
  92. 八段麒一郎

    ○八段説明員 新聞社でやっておられます世論調査は、ほかから委託を受けて調査をやるということは全然やっておられません。自分の社のために、記事の材料としてやっておる、こういうことであります。
  93. 小川豊明

    小川(豊)委員 新聞社は委託を受けないですか。たとえば朝日とか毎日とか読売とか、そういう新聞は委託しても断わるのですか。受けないのならこれはやりようがない。この点はどうなのです。あなたの方でしないのじゃないですか。
  94. 八段麒一郎

    ○八段説明員 その点につきましては、私どもの方から直接ある新聞社に対しまして、あなたの方で調査の委託を引き受けてはくれないかというような申し出をしたことはございません。ですが世論調査協会と申しまして、世論調査に携わっている人たちの協会がございますが、そこやなにかでいろいろ個人的にお話もいたしておりますけれども、私どもがそこらで判断いたしましたところでは、そういうものも引き受けてやろうというような空気は感じておりません。
  95. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうするとあなたの方は、新聞社に出さないのですね。だからこれはやりようがない。そこで、世論調査協会というのがある、ここへ出していると言うが、ほとんど全部中央調査社に出ている。この中央調査社にいく政府の経費というのは、これは膨大なものなのです。膨大であってもかまいませんが、それならばこの中央調査社というのは新聞社やその他の機関に劣らないような組織、機構を持っているとわれわれは判断するわけですが、各府県にも機関が置かれているでしょうし、人も配置されているでしょうが、一体何千人くらい人をかかえているのですか。
  96. 八段麒一郎

    ○八段説明員 中央調査社の本社で働いております職員数は六十名程度でございます。そうして各県庁の所在地に時事通信社の支局員でございますが、それが現地で調査員を雇い上げ、訓練し、調査の指示をし、また回収点検をする、そういうような作業に当たっております。そうしてその各支局には登録された調査員を、小さい府県でも十数名、大きい府県では数百名持っておりまして、常時訓練をやっております。そうして各支局の調査の担当者も、東京に呼びましていろいろな訓練を施しております。
  97. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は別に中央調査社というものがいいとか悪いとか言っているのではなくて、政府が一本にここだけを利用しているということに対して、なぜほかのところでも、新聞社とかその他こういう機関があるにかかわらず、ことに今お聞きすると本社に六十名、わずか六十名で完全な調査——地方から上がってくるものを整理し、分類して、なかなかこれはでき得るはずがない。けれども、これは能力があればできるでしょう。そのことをどうだこうだではなくて、一本で行くことに対して、もっとほかにも考えられる。ことによく国会などではいろんな新聞社の調査の結果というものが多々引例されますけれども、この中央調査社の調査というものは、あなたの方の委託だけでやっておるんだから、ほかに発表というものはないわけだ。だからわれわれは、この中央調査社の調査したというものは、そう数多くは入っていない。ただここから書物はときどきもらいますが、これは大へん参考にはしておりますけれども、こういう調査社を政府だけの費用で動かしていくとすると、その世論というものは官製世論になりたがる。この点をもっと注意すべきじゃないか。  それといま一点は、従ってそのほかにもこういう機能を持っておるところがあるだろうから、そういうものを使うことで——使うというと失礼だが、委託することもこれは考えるべきじゃないか。どうやったって一カ所だけでやっていると、さっきも防衛庁で言っていたが、ある一社に頼んだが、その会社が、おれのところしかできないというので折り合わないで、国に何百万かの損害を与えた。この点は損害をかける問題じゃないが、一つだけ、おれのところだけということになれば、そこには機能を充実し、整備し、努力する意欲というものが勢い欠けてくるのです。そういう点で私はこの点はもっと考慮すべきじゃないか。さらにこれに対する細目もありますが、木村先生もここらでしまっていいだろう、こういう話だからしまいますが、そういう点を行って私の方も調べたのですが、この機構、組織というものは、あなた、この程度のものならばいいかもしらぬが、もっと膨大な調査ということになってくると、これじゃ無理じゃないかという気がするわけです。  それから畜産物需要動向調査委託費の九十二万というのは、こんなものはそこへ頼むよりも、農林省自身の方が自分の機構はたくさん持っている、調査機構まである。こういうものは、自分でどんどんやればいいことを、こういうのはさっき私が言ったように、そっちへ調査費を流してまた吸い上げる心配さえ出てくると思う。あなたの方で予算を扱っているのだから十分注意をしてもらった方がいい、こう思うわけです。
  98. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は今の中央調査社の関係の経営規模なり、あるいは役員なり、定款なり、あるいは財務諸表ですか、その資料をなるべく早く出していただきたいと思います。それはよろしゅうございますか。
  99. 八段麒一郎

    ○八段説明員 はい。
  100. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから内閣官房調査室に対する質問は、資料がまだ出ておりませんので、この次の機会に譲りたいと思います。
  101. 木村公平

    木村(公)委員 さっき聞いておりますと、農地被買収の調査はあなたの方はどこでなさっておるのですか。
  102. 八段麒一郎

    ○八段説明員 審議室でございます。
  103. 木村公平

    木村(公)委員 そうすると、審議室なら——それはとういうわけだというと、その調査の結論として、旧地主の方が新地主より豊かであるという調査結果が出ているのです。それはわれわれの見るところと少し違うから、一体その調査の資料を一つこの次までに御提出を願いたいし、それからもう一つは、その調査をやられたのはおもにアルバイトの学生というのだが、アルバイトの学生にそういう調査能力があるかどうかということも、私どももう少し深く伺いたいから、その調査をされた人員並びにその調査員の素質というのか、どんなような人が調査したということ、その人員並びににその調査の内容をこの次までに資料として一つお願いしたいと思う。
  104. 鈴木仙八

    鈴木委員長 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後一時八分散会