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1962-03-29 第40回国会 衆議院 決算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十九日(木曜日)     午前十時十三分開議  出席委員    委員長 鈴木 仙八君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 田中 彰治君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    久保田藤麿君       椎名悦三郎君    鈴木 正吾君       濱田 正信君   山口喜久一郎君       石田 宥全君    久保 三郎君       芳賀  貢君    森本  靖君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      新井  裕君         経済企画政務次         官       菅  太郎君  委員外出席者         総理府技官         (経済企画庁総         合開発局東北開         発室長)    浅間 一彦君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局東北開         発株式会社監理         官)      財前 直方君         会計検査院事務         官         (第五局長)  平松 誠一君         参  考  人         (前東北開発株         式会社総裁) 加藤祐三郎君         参  考  人         (前東北開発株         式会社理事)  松本  烈君         参  考  人         (前東北開発株         式会社理事)  本郷 寿次君         参  考  人         (前東北開発株         式会社理事)  山本 多市君         参  考  人         (前東北開発株         式会社理事)  小柳 勝蔵君         参  考  人         (前東北開発株         式会社監事)  中村 清英君         参  考  人         (東北開発株式         会社総裁)   伊藤保次郎君         参  考  人         (東北開発株式         会社総裁)  山中 徳二君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月二十七日  委員芳賀貢君及び森本靖辞任につき、その補  欠として東海林稔君及び松平忠久君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員東海林稔君及び松平忠久辞任につき、そ  の補欠として芳賀貢君及び森本靖君が議長の指  名で委員に選任された。 同月二十八日  委員久保三郎君及び芳賀貢辞任につき、その  補欠として栗林三郎君及び中澤茂一君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員栗林三郎君及び中澤茂一辞任につき、そ  の補欠として久保三郎君及び芳賀貢君が議長の  指名委員に選任された。 同月二十九日  委員芳賀貢君及び森本靖辞任につき、その補  欠として山田長司君及び石田宥全君議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員石田宥全君及び山田長司辞任につき、そ  の補欠として森本靖君及び芳賀貢君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  東北開発株式会社会計に関する件  ────◇─────
  2. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これより決算委員会を開会いたします。  東北開発株式会社会計に関する件について調査を進めます。  本件調査のため、本日参考人として御出席を願っておりますのは、各位のお手元に配付いたしております参考人名簿通りでございますが、前総裁渡辺参考人は、病気入院のため、本日出席できない旨、診断書を添え欠席届が提出されておりますので、委員各位の御了承をいただきたいと存じます。  参考人各位には、御多用中にかかわらず、再度御出席をいただきまことにありがたく存じます。  質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。
  3. 木村公平

    木村(公)委員 私は、東北開発株式会社会計に関する釈明書が、前東北開発株式会社経理担当理事山本多参考人から先般配付を受けましたので、その内容について若干の疑問がございますので、質疑をいたしたいと思いますが、これに対しまして前総裁がきょうは病気で御欠席だそうでございますので、前副総裁から御答弁をいただければ幸いに存ずる次第でございます。  この山木参考人釈明書の中で、二十一ページでございますが、「セメント代理店に対する債権管理が不適正であり、多額売掛金回収不能となる危険を持っているという事について」という見出しで「本件について東光物産(株)青森建材(株)等に対するセメント売上代金多額回収不能という御指摘の点については、代理店認定当初における対外的なつながりの他、千葉営業部長等内部役職員つながり、及びその背後関係等があり、複雑な問題(後述)も包蔵しておりますが、これを最終的に代金回収担当立場にある経理の面から釈明を申し上げます。」ということでいろいろ書いてあるわけです。その中に「当社においては代金回収事務営業部の所管であって回収金経理に持込む制度となっております。従って経理としての直接の事務手形期日において回収をはかることにあるわけであります。当初、経理部代理店代金回収に重大なる関心を持っておりました趣旨は、回収不能を生ぜしめざることもさることながら、全体的資金回収が順調に行われ資金の還流を正常に保持することを第一の眼目としていたわけであります。然るに漸次、一部の代理店の中に売掛金が固定する傾向が見えて来たのでその強力なる整理が必要であると考えられたが、むしろこの際、専門的営業マンの主掌する販売会社を設置し、独自にその発展をはかることが東北開発という本来の事業が進む所以と考え、これを部内に進言し、会社案として三十五年度において政府に要請したところセメント代理店等反対によって実現を見なかったのであります。」まずこのセメント代理店等反対内容についてお伺いいたしたいと思います。  続いて、時間がございませんので、あわせてお伺いいたします。「経理としては営業部の陣容の強化、特に販売回収に当る人材拡充によって整理を促進することを進言し、これが実現を見て実行段階に移ったところ、かなりの障害もありましたが相当程度の効果を挙げつつあったところ、前役員の退陣後はなにびとの進言によるものか回収努力を停滞せしめる如き人事を行った模様であります。」この点についてもお伺いいたしたいと思います。ここが重大だと思いますが、「なお、この際一言したいことは、御指摘のあった硬化セメントにつき当社前任者がすでに備えつけていた師別機等により品質向上対策を講ずることなく、」講ずることができたけれども、それを講ずることなく「資金難折柄資金化の為か真相は不明なるも、すべてをトン二、〇〇〇円にて売却しその損害(一億二、〇〇〇万円)が前任者責任に帰するものの如く釈明しておることは甚だ遺憾とするところであります。」ということが述べてありますが、この三点について、まず第一点は、先ほど申しましたように、一部の人事をやろうと思ったところが反対があった、営業部事業強化、特に販売拡充人材拡充等にあたって反対があったというようなこと、それから回収努力が現在は停滞せしめられておるというような実態、それからもう一つは、セメント代理店等の猛反対によって会社案が葬られたという経緯、それからさらに、篩別機という機械を購入したにもかかわらず、それにかけることなく、不良のままで一トン当たり二千円の安値で売り急いだ、そして一億二千万円の損失会社に与えたという点について、加藤前副総裁お答えをいただきたい。
  4. 加藤祐三郎

    加藤参考人 大村先生の御質問お答えを申し上げます。  第一点の代理店売掛金の停滞と申しますか、これは月日は私はっきり覚えておりませんので、月日の点はごかんべんいただきたいと思いますが、御指摘のように、特に仙台の代理店でございました東光物産というのと、それから青森代理店でございました青森建材というのが相当多額回収がおくれた事実は間違いなくございます。それがおくれ出しました傾向がようやく出て参りましたときに、ただいまお読み上げになりました経理担当でございます当時の理事山本君から、経理立場からもこの回収を促進しなければならぬという強い意見の表明がありましたことは間違いございません。同時に、私もその点に対しましては強く申し上げまして、東光物産会社内容的にも刷新をし、再建をするようにということを、たびたび担当理事並びに部長にも申したことを記憶しております。青森建材についても同様でございます。その方策といたしまして再建案を出させるように指示いたしまして、その折衝をやっておった事実はございます。  それからもう一つは、山本参考人が申しましたように、回収を円滑にして、さらに迅速にするために、当時、確かに営業部のその方面の組織と申しますか、準備が完全でなかったことは間違いございません。そこで、急いでそれを整備いたしますために、当時——今でもそうだろうと思いますが、定員増は官庁が非常にやかましく申されておりまして、実はほとんど不可能な状態でございましたので、やむを得ず他の部の職員を浮かしまして、それをもちまして販売計算課を作りましてやった事実がございます。そういう努力をいたしておるのでございます。  それから、第二点の販売会社に関連いたしましては、セメント販売を主といたしまして、販売をもっとよくやるということにつきましては、当初からかなり役員の間では論議が出ておりました。こといわゆる硬化セメント等が出ましたのと、それから回収金の方が停滞しがちになりました際に、あらためてこれを問題といたしまして、みんなで研究いたしました結果、独立の販売会社を作る方が的確にいくということにつきましては、各役員の一致した見解で、全会一致——何回かの理事会ないしは理事懇談会で検討いたしまして、そうして政府に対しまして計画をもって予算のお願いを申し上げたわけでございます。これが予算として政府にお認めをいただけなかった事情につきましては、あまりはっきりした理由を私承知いたしておりませんが、全体の事業予算ワクという点から、思うように政府としても踏み切られなかったのではないかと思います。反対といたしましては、代理店が作っておりました東北開発セメント東北会という名前だったと思っておりますが、任意団体があるのでありますが、その任意団体反対をいたしたことは事実でございます。その反対中心は、私の記憶しております限りにおきましては、青森建材反対中心だったように覚えておりますが、これに対しまして理事会をやっておりました際に陳情に参りました。それに対しまして、実は理事会終了後、私が答弁をいたしました。全然誤解だ——つまりそれによって指定された代理店が指定の取り消しを受けるのではないかということですね。圧迫を加えるつもりじゃないか、既得権の侵害をするのではないかということが表面の反対理由でございましたから、そういうことはありません、しかし、どうしても業績が上がらなくて悪ければ、それは整理される時期があるかもしれませんが、そういうことを意図して販売会社を作ろうとしておるのでは全然ないのだ、販売会社開発会社の品物を売っていただくいわば子供みたいなものですから、お互いに仲よくやるべきじゃないかということで、そのときは納得して帰ったのでございます。しかし、反対をやっておられたことは事実でございます。  それから、硬化セメントの問題とその他のあれは、実は御質問が私どもが退任した後のことのように私拝聴したのですが、その後の、私どもが退任しましてからどうなされたかということは、実は私存じませんので、今、現副総裁おいでになりますので、お聞き取りいただきたいと思うのでございます。
  5. 木村公平

    木村(公)委員 それならこの硬化セメントの問題については、山本参考人から一つ伺いたいと思いますが、篩別機等によって品質向上対策がはかれるにもかかわらず、はからないで、そうしてトン当たり二千円で売って一億二千万円の損失をかけた、その責任者は一体だれであるかというような点について、一つ山本さんから……。
  6. 山本多市

    山本参考人 ただいま木村委員から御質問がございましたが、実は私は先般いろいろ御質問を受けまして、資料等の不備でうまく答弁できなかったので、それを要約した釈明書——今の問題も書いてございます、釈明書に対する説明書きをこちらでまとめておりますので、これも参考にお取り上げ願えればありがたい。そうしませんと、またちょっと時間がかかりますので、いかがでございましょうか。——これは後ほどにいたしまして、今、その話は若干私から答えます。  その硬化セメントの問題は、ここにおいで小柳理事も、私はずいぶんお願いした点でございます。と申しますのは、硬化セメントを作るということは、会社の不名誉ではないか、むしろ技術的な不名誉ではないか、販売というものはそういう技術を知らないのだ、相呼応して助け合うのがほんとうではないか——私は実は百姓の苗の話までして、赤いレッテルをつける、黒いレッテルをつけるというところまでやりまして、うんとこの問題をやった覚えがあります。そういうことから、実は硬化セメントができるはずがないと、私としては考えておったのであります。ただし、残念ながらセメントのサイロというものを認めて下さいませんので、非常に残念ながら倉庫を使った事実がある。ある程度生産も上げなければならぬ、このジレンマに陥って、営業部の弱体ということから、ある程度首肯できますけれども、当時の営業担当雲野理事に対しまして強硬にこれを言うたわけであります。その結果、これはたしか雲野さんの発案ではなかったかと思いますが、それでは倉庫の中だってそんなに悪くなるものではないのだ。機械を買ってそれをさばけば、かなりいいものができて、四千円、五千円には売れるのだ、どんなに捨て売りにしても二千円だということを聞いておりました。そこで、機械を買うことを承認しまして、できるだけその機械を買ってそうしたらどうかということで、その機械を買ったと記憶しております。従って、それらによって十分に仕分けしてやるべきではなかったかということを私は申し上げた。ただ、会社として、今非常に資金に困っております。そこで私は、場合によれば、実はいいものでも、金がないからやむにやまれず売るのだ。ちょうど子供で言えば、あした授業料を払う金がないから、八百屋があすになれば百円で売れるものを今晩五十円で売ることもあり得ると思います。そういう緊迫した会社状態で二千円に売ったのかどうか、これはなぜか、私はこう書いた次第であります。
  7. 木村公平

    木村(公)委員 そういたしますと、特に篩別機械雲野理事等協力によってお買いになった、そうしてそれを会社に備えつけたわけですが、この筋別機械によって硬化セメントをふるい分ければ品質が非常に向上して高く売れるということは十分わかりながら、ことに雲野さんなんかは、それはよかろうというので、篩別機械を買う方に回っておったのですから、理事の諸君は、当然すべての方々がこの篩別機械を使うことによって硬化セメント品質向上がはかられる、品質向上すれば、トン当たり四千円にも、あるいはそれ以上にも売れるということを承知の上で、篩別機械によって品質向上をはかることなく、一トン当たり二千円で売ってしまって、その結果国家に一億二千万円の損害を与えたというふうに理解してよろしいですか。
  8. 山本多市

    山本参考人 私は、その損害背任的行為であるかということはしばらくおいているわけでございまして、ただそれが、伊藤釈明によりますと、前役員が一億二千万円の損害を与えたというふうにとれましたので、さにあらず、私どもある程度そういう事実は知っているけれども、もっと防止できたはずではないか、こういうことを申し上げた次第でございます。
  9. 木村公平

    木村(公)委員 これは大事なところでございますので、くどいようでありますが、この山本参考人からの釈明書によれば——役員責任があったか、あるいは新しい役員責任があるのか、そのことはおのずから結論が出てくると思いますからどうでもよろしいので、実態をお伺いしておるわけでありますが、硬化セメント品質向上のために高価な篩別機を買って、それを手持ちをしながら、それを使うことなく、硬化のままで一トン当たり二千円で売ってしまって、その一億二千万円という損害を生ぜしめたということは、法律上の背任云々というようなことは別にしまして、それだけ国民の血税によるところの国家資金というものに損害を与えたことになるわけです。篩別機というものは硬化セメント品質向上のために買ったのです。それを使うことなくして、一トン当たり二千で売り急いだ、それがために一億二千万円の損害が出たということを山本さんははっきり言っておる。その責任者前任者ではないとかなんとかという問題は、私はどうでもよろしい、実態はこの通りですから。篩別機を買って、それを使用する方が、硬化セメント品質向上ができる見きわめがあるにもかかわらず、それを使用することなくして硬化セメントのままで一トン当たり二千円で売ってしまった、そういうことですか。
  10. 山本多市

    山本参考人 お断わり申し上げておきます。実はそこに書きましたのは、前段の伊藤釈明によって、私は被害人と考えて、私個人の立場で書いておりますから、御了承願います。  木村委員のおっしゃるように、個々の問題でなく、全体としてお聞きいただく、それはごもっともであります。そこで私は、その篩別機以外に、検査院の御指摘等から考えてみても、どうも不思議だ——それはその釈明書に書いてございます。なぜならば、当時私どもは、これはだれにも申し上げるのですが、渡辺総裁は、かつて鋼管の営業部長をやったので、少数精鋭主義と申しますか、五人か六人でできるのだと言いますが、ところがわが社の実態を見ますと、実は、残念ながら営業にたんのうな方がないわけであります。従って、数でこなすしか方法がないというので、一時五十人も大蔵省とけんかしてあやしたことがございます。そのときに営業部長は交代いたしたのであります。三十五年の四月一日でありますが、交代いたした際に、現在の部長たちもみな当時次長として赴任したわけでありますが、部長をふやしたのであります。そして、当時私は倉車が問題だということで、それを専門にやるように進言したわけです。それらの結果から、当然私は、その倉庫管理というものは、篩別機がなくてもできるはずではなかったかということを思っております。にもかかわらず、その篩別機一つすら使っていないというのはどういうわけだろうかという感じを抱いたのですが、これは営業部もてんやわんやで忙しくて手が回らなかった、あるいは資金が枯渇してたたき売りだというなら、それもやむを得ない、私どもはそういう感じを持っておる次第でございます。
  11. 木村公平

    木村(公)委員 さらにお伺いをしますが、この売掛金が固定する傾向がだんだん見えてきた、これは大へんだというので、販売会社案も出されたが、セメント代理店等反対会社案がつぶれた。そこで内部的に人材拡充によって整理を促進した。ところが、だんだんうまくいくようになったけれども、現在では回収努力を停滞せしめた。新役員によるところの今の新しき東北開発では回収努力を停滞せしめているということが書いてある。この点についてもお伺いしたいし、さらに、ここにこういうことが書いてある。売掛金が固定するので、これはすみやかに強力な整理が必要であるということは、当然だれが考えてもあたりまえのことなんです。ところが、「債権処理代理店認定とにからみ山中中村両前監事態度は極めて、消極的であった。(東光物産(株)は実際は三福商事(株)矢野商事(株)とに分れているが、これら複雑な関係からこの二店は正式の代理認定はなかった。)私は山中監事に対し、強く監督を強化すべきことを要請したことがある。」と書いてある。そうすると、山中君、中村君という、ここにも参考人して出てこられておる方ですが、その人たち売掛金が固定する傾向が見えても、これの回収ということに反対しておったのですか。
  12. 山本多市

    山本参考人 私は、直接反対したとは書いておりません。ただ、しかし、監事会計を監督する職責を持っております。従って、経理以上に私は実態がわかるものと考えている。なぜならば、私は経理であって、そうこまがいものはわかりません。しかし監事は、その事後、事前において理事会に出ておりますので、実態によっては調べ得ると私は感ずるのであります。そこで、当時その問題は非常に問題になったわけでありまして、いかに整理するかが大問題であった。その関係上、三福商事というものが東光物産関係がありまして、整理の一環として何かそこからすぐ回収したいというのが私の腹でございました。また、矢野商事というものは県庁に納めておりますから、非常に資金が固いのでございます。それが東光に合併されたままで持っていきますと、龍頭蛇尾にしてしまう。かかる見地から、一本としてこれは整理すべきものであって、個々の問題ではない。これらについて、私ども経理立場ではなしに、監事としても厳重にやってほしいということがあったが、その件についての監事進言、いわゆる強制的に引っぱっていくということがなかったように私は感ずる。そこで私としては、経理だけが苦しんだ、こういう感じを持っている、こう申し上げたわけでございます。
  13. 木村公平

    木村(公)委員 山中中村両前監事態度はきわめて消極的であったということは、私は重大なことだと思いますが、時間がございませんので、それはあとに回しまして、もう少し先に進みます。  今は逮捕されていると思いますが、千葉という部長がおったはずですが、千葉部長は、経理部書面を回すな、あなたの方に書面を回すとうるさいから、経理部には書面を回すなという非協力態度であったと書いてある。「あるときはセメント横流し事件に関し非協力であるので、経理としては総裁の特命のもとに、これを粛正したことがあった。」これは司法事件になっておらないとすれば、一つセメント横流し事件実態を教えて下さい。
  14. 山本多市

    山本参考人 何も私は好んでそういうことを書きたかったわけではございません。ただ私は、釈明書にも書いておりますように、伊藤総裁から非常に疑われておりましたので、そういうことも言わなければ、残念ながらわからぬのではないか、たまたま私は——千葉部長を書く意思は持っておりませんでしたが、残念ながら千葉君は、刑事被告人として起訴されたわけでありますので、むしろこの際は、はっきりした方がいいのではないか、こういう意味で実は書いたのであります。  そこで、経理の私の部下で横山という人がおりました。これはなかなか剛直な男でありまして、経理になかなかきびしい。というのは、経理は、山本横山できびしいということで、ある意味では私は迫害を受けた立場にございます。しかし、会社経理が強くなければ持っていけないというのが私の信念でありました。そこで横山君もそれを守りまして、たとえば一切の贈収賄について、私はしたら承知せぬぞというふうにしかりつけてきたのであります。そういう立場でありました関係上非常に外部から憎まれていたことは事実であります。その際に、営業部へは書類を回すなということが見つかったわけであります。横山君も私のところに来まして、当時回すなと言った人も実はおりまして、それは左遷を進言いたしまして営業部から出てもらいました。そういう実情があるわけであります。  それらの関係者が一連となったような横流し事件が実はあったのであります。それがまた、私は経理立場でございますから、場合によっては、何人にも教えないで粛正しなければならぬ。これはむしろ私は監事の役目ではなかろうかと存ずるのであります。しかし、第一次責任経理でございますから——その際にはそこだけではございません。岩手セメント工場に非常に大きな横流しのあることも承知しております。しかし、あまり拡大しては、この際内部の粛正をはかるためにはどうか。その当時倉庫を幾つか借りておりましたので、一ぺんに管理することはなかなかむずかしいのであります。そこで幾つかに分けまして、全然営業部には教えずに、他の人に協力を願ってやりましたところ、その事件がわかったのでございます。その結果、その人をどう処分するかにつきまして理事会にもかけております。これは秘密理事会でございまして、当時これを懲戒にするかどうかという議論が出たのでありますが、私はこういう者は、気の毒だけれども、将来のために懲戒とすべきだということを主張した覚えがありますが、理事会の決定は、これはたしか依願免職だと思います。しかし、その記録は、会社——総務の秘書が持っているはずであります。そういう事実でございます。
  15. 鈴木仙八

    鈴木委員長 ちょっとこの際御了解願っておきます。松本参考人は、午後当院の農林水産委員会にも参考人として出席を求められておりますので、松本参考人に対する質疑がございますれば、午前中にお願いをいたしたいと存じます。
  16. 木村公平

    木村(公)委員 そのセメント横流し事件というものは、数量はどのくらいのものであったのですか。
  17. 山本多市

    山本参考人 結論としては二十五トン程度の事件でおさめました。しかし、当時いろいろ調べますと、まだあるような感じを私は持っておったのでございます。そこでその問題は、先ほど書いておきましたように、営業部販売計算課の記録と経理の記録というものはなかなか符合しないのであります。そんな関係から、不符合の点でそれが風評とともにわかったのでありますけれども、当時の問題としては二十五トンと記憶しております。
  18. 木村公平

    木村(公)委員 そういうセメント横流し事件もあったし、経理部書面を回すなというような千葉部長という人、この部長は、またさらに、理事会が満場一致できめたセメント倉庫を各地に設置するという会社の方針に反対して、製品を独断で東京に送るというようなことで、こういう営業部長のもとでは回収整理など期待できないので、その配置がえを要望した。しかるところ、これを動かすことに監督官庁の有力者が反対し、遂にこれが粛正はできなかったということがありますが、監督官庁の有力者とはだれですか。
  19. 山本多市

    山本参考人 今ここで公表することははばかりますが、すでにその方は今監督官庁におりません。それは、私がたびたび総裁にこの人事経理立場から進言しておりましたので、それを迫ったところ、そういうような、動かしてはならないということを聞いたのでございます。
  20. 木村公平

    木村(公)委員 それから、東洋物産というのがあるのですが、この事件というものは、私はけしからぬと思うのです。これは釈明書によりますと、「三十三年セメント売上増強対策として冬期(三月三十一日迄)買上のものにトン当り六〇〇円を割戻す販売方法をとっていた、(但し、当社の都合にて期限内に引渡しができない場合は、期限後においても、この条件が適用されることになっていた。)」すなわちトン当り六百円を割り戻すという条件が適用されることになっておった。こういう状態のもとに「たまたま、東洋物産(株)より年度末に、当社の生産能力よりみて、とうてい引渡し不能な二万トンの注文を営業部は引受けた。」その結果、結局引き渡しができないと見えて「東洋物産(株)は強硬に割戻し請求権を主張し」、トン当たり六百円の割り戻しだけよこせ。「現在、その一部は当社売掛金回収に応じないという形で残っている。経理部は割戻しの請求があって始めてその事実を知った。」こうある。しかも、参考人にお伺いいたしますが、東洋物産の幹部には現在の役員が入っておるのじゃありませんか。そのこともついでにお伺いしたい。
  21. 山本多市

    山本参考人 後段のどういう方が東洋物産におるか、私は承知しておりませんが、当時の問題といたしまして、セメントができたばかりでございますので、品質その他についても非常に問題があったときでございます。しかし、何とか第一回が売れなければいかぬというので、私自身も大いに売れということは営業部にお願いしておきました。その結果、冬期対策というのは二月ごろできたのであります。二月ごろの理事会にかかっております。そうして注文を受けてやるというのがありました。しかし、代理店は全国で二十幾つもあるのですから、特に一代理店に全額をやることはどうか。しかもまた、その問題であとから私は非常に怒った事件がございます。と申しますのは、要するに、ものが出なければとれないわけですから、そういうことから、今その二万トンは不合理だということはしばらくおきまして、そのものをとらなければいけない、それを強引に東京に送ったのであります。その結果、東京では熱いセメントが出まして、技術的に非常に非難を受けたことがございます。それを私は耳にいたしましたので——それは確か総裁の公邸でやった理事会の日だと思います。そこで私は、ここにおいで小柳さんに言うたのであります。あなたは技術家としてそういう熱いセメントを出していいのですか申しましたところ、いや、これは営業部の要求だから仕方なかった。しかし、あなたはどう考えますか、こう御質問申し上げたところ、少なくとも一月は置かなければいけないのだ。それではあなたは、これから熱いものを幾らやったって、出ないものはやる必要はないじゃありませんか、こういうことは弊害になるから、熱いセメントは送らないようにしてもらいたいということを、役員会の決議をもって——はなはだ変な決議でごさいますけれども、私は弊害防止をするという意味で非常にきつく申し上げたのであります。しかるに、その後また熱いセメントを半分送ったという事実を聞いて私は慨嘆に耐えませんでした。(「だれが送ったのかと」呼ぶ者あり)それは営業部長の要求だと思います。
  22. 木村公平

    木村(公)委員 今ここに現役の役員の方は、山中さんがおられるが、あなたは東洋物産に御関係になっておるのじゃないですか。
  23. 山中徳二

    山中参考人 関係しておりません。ほかにも、現役員で東洋物産に関係している者はいないはずでございます。何かの間違いではございませんでしょうか。
  24. 木村公平

    木村(公)委員 前の役員も入っておりませんか。
  25. 山中徳二

    山中参考人 前の役員も入っていないと思いますが……。
  26. 木村公平

    木村(公)委員 私は、どう考えてもこの問題は、はなはだ不可解な問題だと思うのです。年度末に引き渡しほとんど不可能だ、現に理事山本さんがそれを言っておるのですから、不可能なような状態のときに、二万トンの注文を受けて、営業部はこれを引き受けてしまった。その結果、結局実行ができないというので、トン当たり六百円の割り戻しを二万トン分払わなければならぬということになったわけでしょう。大へんなことなんです。金額は千万か千二百万のことでしょうけれども、何か初めから割り戻し金を目当てに売買契約が結ばれたようなことも——これはわれわれの考え方が下劣であるとお笑いになるかもしれぬけれども、世間では、何も知らない国民の方では、ほとんど売る品物もない、とても二万トンなんてあるわけがないような状態のときに、これを引き受けて、しかもそれには、もしも契約が実行できなかった場合には、トン当たり六百円の割戻金がついておるのだ。そうすると、トン当たり六百円の割戻金を目当てに、できない相談であることを承知の上で二万トンの契約を営業部長もしたのであるまいか。相手方の東洋物産もそれを承知の上で、なれ合いでやったのじゃないかというようなことを、さもしい考えかもしれない、想像かもしれませんが、そう疑わざるを得ない。この点については、山本さんは遠慮してきょうはばかに口が重いようでありますけれども、しかし、山本さんがここに表現されておるところをそのまま私は読んでおるわけでありますから、これについてもう少し詳しいことを知っている方はないのですか。
  27. 加藤祐三郎

    加藤参考人 お答えいたします。  今お話の問題は、一番よく事情がわかっておりますのは——経理経理立場で意見はあったわけです。それから販売は、きょうおらぬから工合が悪いのですが、雲野君が担当いたしまして、この間も申し上げましたが、そのもとのやつは奨励規程というのを設けたわけなんです。それは当時製品が出て間もなかったことと、多少品物も悪かったことも事実なんです。それで売れなかったわけです。これではいけないというので、いろいろ考えた結果、奨励規程というものを設けまして、御承知の通り予算関係で、官庁などでは年度末の事業を四月、五月くらいまでやることが多いわけです。そういう点もありますので、それを含めて、普通の場合には、新しい予算による事業は五月ころまで実際ございませんから、そういうことを見て、どうしてもそれを売りさばこうということで、理事会で慎重審議をして、方針といたしまして奨励規程を設けたのです。  それにはもちろん私ども全部参加しておるわけであります。詳しいことは私今記憶しておりませんが、その奨励規程によりまして、三月三十一日までの期限を切りまして、それまでの契約についてそれが実行された場合には割戻金をやる、一種のリベートですね、そういう規程を設けたわけです。その規程によりまして、各社から注文がきたのですけれども、東洋物産が非常に多かった。それをどう処置したかは、その品物を熱いのをやったとかなんとかいうことは、私詳細には存じません。それは雲野理事担当で、現実の仕事は全部そういうふうにやっておりましたから……。  そこで相手も商売人で、おれの方はもらうのだという人もおって、幾ら品物が現実に出て、幾らあれしたか詳細な点は記憶しておりませんが、相当開きがあったわけです。開発会社としては、それは負けてもらうのだ、片方はあれだ、そういうことで、代金支払いは向こうがしなければならないわけです。それからリベートの方は、こっちが払わなければならぬということで意見が違ったわけです。そこで経理営業部がしばしば相手方と折衝をしておったということをよく覚えておったわけです。それは早く解決しなければならぬということを申したわけでございます。私どもの方ではそういう事情でございます。
  28. 木村公平

    木村(公)委員 私どもの審査の一番の根本は、悪意をもって国民の血税をむだに使っておるという疑いがあるというところから、私どもは国民の名においてあなた方に御足労をかけていろいろ伺っておるわけです。今あなたの御答弁では、そういうことがわからない。私の最も聞きたいのは、営業部がとうてい二万トンというような販売能力がないということを十分知悉しながら、引き受けて、そうして二万トンの契約をして、結局、契約が実行できない場合は、トン当たり六百円の割戻金があるという状態のとき、年度末でいよいよそういう条件が三月三十一日以降においては適用されない。ただし、この条件が適用されないというのは、引き渡しができない場合には期限後においてもこの条件が適用されることになっておるという一項があるわけです。だから、こういう状態のときに、引き渡し不能な二万トンの注文を営業部が引き受けたということに対する理事会責任というのか、お考えというのは、おそらく山本さんがここにいっておる通り、二万トンというものは当時とうてい引き受け不能な数字だと思うのです。それを承知の上でしょう。経理担当理事すらも知っておるのですから、おそらく営業部担当理事営業部長も、とうてい二万トンはむずかしいということを承知の上で引き受けた。それならば、おそらくこれはトン当たり六百円の割戻金が目当てじゃないかと疑わざるを得ないのは私は当然だと思うのですが、当時の営業担当理事雲野さんであったかどうか知りませんが、あなたも副総裁ですから、何かこれについては御記憶がないですか。
  29. 加藤祐三郎

    加藤参考人 お答えいたします。  今の先生のお疑いと申しますか、それはごもっともだと思うのですけれども、しかし、当時の実情は、私の記憶しておる限りでは、もちろん営業部は、こまかいことは別としまして、大筋において、今のお疑いになるような何か裏にあってそういうふうにやったとは、私はどうしても考えられないのです。  それから、品物が二万トンだったかどうか、あるいは二万トンあったでしょう。それが当時出荷ができるかできなかったかということは、ちょうど当時セメント専門担当として生産方面をやっておられた理事小柳さんがおられますから、小柳さんから御説明をしていただければ、実際上全然問題にならない数字であったかどうかということははっきりすると思うのです。問題にならないという数字だったら、それはおかしいという御疑問は全くごもっともだと思いますけれども、少なくとも会社関係者に関する限りは、そういう表に言えないようなものがあって、そうしてやったとは私にはどうしても考えられないのです。ですから、いま一つ小柳理事に当事の生産状況を御答弁していただければ、あるいはある程度先生の御疑問の点はおわかりになると思うのです。
  30. 山本多市

    山本参考人 ちょっとその前に、私が書いた趣旨について釈明させていただきます。  雲野部長の所管は、生産も所管しております。それから、当時、代理店が、先ほど申しましたように各地に二十数軒あるわけでございますから、代理店としては、一日も早くたくさん各自が売りたいのが念願でございます。従いまして、一部にそういう売り方をすることはどうかという点を当時私は非常に問題にしたわけであります。  それから「当社の都合にて」云々というのは、ずっと小さい方に書いてあるのですが、表題は「冬期対策」と書いてある。それで私は憲法論までやったわけです。表題がまず問題になるんだ、私の都合においてできない場合というのは、それは通常貨車繰りだとかなんとかいうのが当たるのであって、それを当社の都合と称して、実はその問題は約一年間運ばれたのであります。そういう事実から、どうもそういうことは承服できないので、これは雲野理事も入れて、非常に営業部の人と渡り合ったのであります。ある程度妥協すれば承服するけれども、全額では絶対いやだと申しまして、半分妥協論まで実は出したが、東洋は絶対に応じなかったのであります。その結果、ただいま申したように、約一年かかってそれが運ばれて、この線を要求されたわけであります。従って、そういう事実に対しては当然これは監事も問題にすべきじゃなかろうかと実は私も考えておりましたので、経理のあらゆるものは公平無私に書いたつもりであります。伊藤さんだから、渡辺さんだから、あるいはだれさんだからというのでなしに、経理が見たままを私の趣旨書に書いてございます。
  31. 小柳勝蔵

    小柳参考人 当時の状態を申し上げます。  その時期におきましては、営業部のそういう奨励策がございましたために、非常に出荷が旺盛でございました。工場の生産能力がその時分で大体月一万五、六千トンでございます。ところが、ストックが一番少かったときは三千トンに減って参りました。三千トンというとほとんどサイロの下はすれすれになる。そこで私は、理事会でもって、最低六千トン、それ以下は出してもらっちゃ技術的に非常にこちらは危機を来たすということで、理事会の決議をごらんになるとわかりますが、六千トンという決議をしてあるわけです。ところが、やはり営業部の方が非常に売り急ぎましたものですから、その六千トンの制限を工場で守ろうとしても、営業部からのさしずが旺盛のために守れない。やむを得ず、最低の場合には三千トンくらいまで減ったことがあると思います。御存じの通りセメントというものは、焼きましてすぐに出荷をいたしますと、熱過ぎて非常に早く固まるような性質を持ちます。多分そういうときの事情ではなかったかと私は記憶しております。
  32. 木村公平

    木村(公)委員 この問題については、勝澤委員からもいろいろ御質問があるようですから、もう一点、東洋物産のセメントの問題だけ伺いたいと思うのです。今の小柳参考人のお話によりますと、月産一万五千トンくらいの製造能力はあった。しかしながら、一万五千トン作っただけ売ってしまったのじゃ、倉庫の中に幾らも残らない。はなはだしいときは三千トンくらいより残らなかったというお話でございますので、一万五千トン作って、それを二十一社の代理店に回すとすれば、一軒に二万トン契約するということはおかしいじゃないですか。二十一社も代理店がある。それに対して一万五千トン作る能力がある。そういうものを一切無視して、一社だけに二万トンの契約をなさるということは、なるほど「とうてい引渡し不能」という言葉が使ってあるのです、山本経理理事のあれに。とうてい引き渡し不能である二万トンの注文を営業部はあえて引き受けたわけです。しかも、今伺ってみると、営業部というものは生産も所管しておる。生産の方の所管でもあるということになってくると、大体生産能力も何も知っておる。そうすると二万トンはとうてい引き受け不可能だということを知りながら引き受けておいて、そうして割戻金のトン当たり六百円をとうとう取られたということになるんじゃないですか。これは小柳さん、どうですか。
  33. 小柳勝蔵

    小柳参考人 私は営業の方には全然タッチいたしておりません。ただし、二万トンの注文といっても、これは一月一万六千トンですから、その注文を三月、四月かかって納めることにしますれば、一店二万トンも決して不合理なことではないと思います。
  34. 木村公平

    木村(公)委員 「とうてい引渡し不能」という言葉は、山本さん、どうですか。
  35. 山本多市

    山本参考人 実は販売代理店から、会社の能力が——技術も非常に関係しますが、あとで控えようと思ったのですが、会社の能力が一万五千トンかそこらですから、せっかく代理店になっても、首を長くして待っているという格好でございます。そのために代理店からもいろいろ陳情があったということも記憶しております。そういうことであるならば、先々はいいにしても、なるべく私ども——注文がなければいいのでございますが、みなを満足させることがいいことではないか、それが代理店の培養ではないかと考えておったのです。しかるに、その事実を見まして、私はそのときは非常に怒りました。営業部全員を対象にして、この問題で非常に私は当たりました。
  36. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関連してお尋ねしたいと思いますが、冬季対策はいつおきめになって、期間としてはいつからいつまでになっておるんですか。
  37. 山本多市

    山本参考人 ただいま原則で申し上げたのでありますが、二月から三月一ばいというふうに承知しております。ただし、当方の都合で引き渡すという問題に議論になったのであります。つまり引き受ければ、一年でも渡していいのか、あるいは貨車繰りか、そういうことでございます。
  38. 勝澤芳雄

    勝澤委員 毎年ですか。
  39. 山本多市

    山本参考人 その年だけでございます。
  40. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この年だけ特別な措置がとられたわけですね。そうして月産一万五千トンというにかかわらず、大へんなのが出たのでありますが、冬季対策で注文をとったのは、大体何トンぐらいですか、何店くらいですか。
  41. 山本多市

    山本参考人 私は実は詳しい資料をここに持っておりません。記憶でございますが、当時営業部からは全体で四万トンしか売れないという申し出がありまして、私は一万五千トンの生産能力から見て、三月までには九万トンくらいは売ってほしい、できなければ七万トンくらいでもやむを得ない、こういうことを営業部に申しておりました。従いまして、その冬季対策は、すでに四万トンくらい売れたあとでございますから、そのときの実績は、その年度で七、八万トンだと思いますが、冬季対策に入れたのは、それから計算いたしますると、何軒もないと思います。せいぜい二、三軒ではないかと思います。
  42. 勝澤芳雄

    勝澤委員 、その二、三軒の中に東洋物産の二万トンが入っておったのですか。
  43. 山本多市

    山本参考人 さようでございます。  誤解を受けるといけませんので申し上げますが、二万トンというのは、受けた当時、営業部はやっぱり気持が悪いと見えて、一割くらい減らして注文を受けたようなことを聞いております。
  44. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、加藤さんにお尋ねしたいのでありますが、東洋物産は、加藤さんが存じておるというのは、この前の私の質問に対する御答弁にあったと思うのです。あなたの御答弁を見ますと、資本金はよくわからないけれども、肥料と飼料とたばこをやっている会社だ、こう言われている。それが冬季対策で二万トンという膨大な注文があった。それが冬季対策の金が支払われないからということで、売掛金を向こうが逆に差し押えてきた、そうして経理担当としては困っている。それにもかかわらず、その取り立てについては、あなたの担当でないからということで協力していないというのが、この前の私の質問に対するあなたの答弁であったと思うのです。東洋物産からそのような莫大なものがきたということはどういうことですか。それから東洋物産というのは、あなたは、ただ単に存じておる、こう言っているんですが、一体どの程度のものですか。
  45. 加藤祐三郎

    加藤参考人 先ほど申し上げましたように、東洋物産の営業内容というものは、そういうあれなんですが、二月の冬季対策が始まります前に、つまり三、四の代理店が指定されましてからの業績が各社にあるわけです。その業績を見ますと、東洋物産というものは、当時初めてですから、みな各代理店とも苦労したんです。かなりよく売っているわけですね。支払金もきちっと払っておるはずです。先生の最初の御質問の際にも申し上げましたように、私の知っている限りでは、いわゆる非常な商売上手であることは間違いない。そういう状況で、今申し上げましたように、冬季対策は全体としてそれをもらわなければならぬ。これは当時、悩んでおったものですから、社の何人も異論はなかった。それを円滑にやるために冬季対策を作ったわけです。その冬季対策に基づいて、それだけの注文が東洋物産からあったということは、ある程度時間がたってから私ども承知した。というのは、今言うように、お互いの交渉の問題が出てきたものですから。先生のお話では、私があまりやらなかったというふうにお聞きとりのようでございますが、もちろんそういうことはございません。東洋物産に限らず、先ほど申し上げましたように、青森建材の問題でも、東光物産でも、やかましく私は申しておった。ただ、私が直接にどうこうするということでなく、全般の問題ですから、担当理事がきちんとおりますし、営業雲野理事が全部——全部やると申しては何ですが、総裁のそういろお話もございますし、経理経理であるわけですから、従って、その人たちに、早く解決すればいい、とるべきものをとって、払うべきものは払うということを強く申しておったわけです。営業部の方に対しても、私はそういうことを申しておりまして、決して消極的であったとかいうことはちっともありません。そういうことであります。
  46. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これはあなたのためにも、それからこの委員会の議事録に載っておる立場からも、もう一度お聞きしておいた方がいいと思うのですけれども、あなたと東洋物産の社長とは懇意だったというふうにあなたも答弁しているわけです。ですから、その点をもう少し詳しく御説明願いたい。
  47. 加藤祐三郎

    加藤参考人 お答えいたします。  東洋物産の社長と申しますのは名取という人です。その人とは、私が、昭和二十五年かと記憶しておりますが、少し違うかもしれません、私が追放になりまして浪人をしておった時代のことですが、紹介される方がありまして、そして事業を一緒にやったことがあるのです。そういうことでございます。  それで、私は、その人の人となりなり手腕をなりをよく知っておったわけです。商売人としてはすこぶる敏捷な、商人として生まれてきたような人だということを、私よく承知しております。何かオリンピックの最初の選手なんかやりまして、早稲田を出た人ですが、そういう人に似合わず——ですから、会社があのセメントをやる場合も、ほかの業績も全部調べたわけです。当時の資料では非常にいいのです。それから、銀行も全部特に念を入れて調べさせて、そうして候補に入れて皆さんに諮りまして、それでいいということになったわけでございます。
  48. 木村公平

    木村(公)委員 またこの山本さんの釈明書の中のことを、重要なことだと思いますのでお伺いいたしたいのですが、売掛金がたまってなかなかお困りだった。そこで、いよいよ整理しなければならぬということになったのですが、「この整理に当っては棟方セメント東北会長、丹野同顧問の反対があったため東光物産(株)並びに青森建材(株)の処理について竹内課長の苦心は並々ならぬものがあった。」と書いてあります。こり青森建材とか東光物産に対する多額会社側の取り分、売掛金に対して、これを整理しようと思うと、棟方セメント東北会長や同丹野顧問が反対して、これをやろうとする課長あたりにまでいろいろ言っておるようなことが書いてあるのですが、これは大へん重大な問題なんです。おそらく東北開発株式会社というものが、売掛金のために資金難にまで陥ったというような事情の裏には、こういうような、いわば、言葉は悪いけれども、ボス的なものが蟠踞しておって、これらが会社の幹部に働きかけて、課長や部長の正義派がこれを整理しようとすると、整理させない。こんな者がいつまでもいつまでも巣くっておったのでは、東北開発の今後も非常にお困りだと思う。こういうのには、会社側としては何か弱点を握られておるのかどうか。こんな者は、国会で幾らでも締めつけますから、事情をもう少しよく話して下さい。こんなやつは、ここへ連れてきてやったらいい。ですから、こういう者が一体どういうふうに反対したのです。売掛金整理しようというのに、青森建材とか東光物産の味方になって、そうして整理担当者であるところの竹内課長とかという——どうせこういう人は善良な人なんでしょう。それは非常になみなみならぬ苦心をしたということが書いてある。かわいそうなことです。それで、会社のためにも、こういうものをいつまでも残しておいたのでは私はよくないと思う。また、こういうやつは、東北六県の県民の全体の敵ですよ。会社売掛金を取ろうと思うとじゃまをするとはけしからぬ。これは山本さん、もう少し詳しく話して下さい。
  49. 山本多市

    山本参考人 私としてはそこに大へんこまかいことを書いたと今思っておりますが、その真相がわからないと……。それで、この棟方というのは、青森建材の社長でございます。それから丹野は、丹野実さんとおっしゃいますが、これは東光物産の株主であったわけでありますが、その後丹野さんが関係されては困るということを強硬に私ども主張しまして、そのとき実は営業部長総裁をだましたようなことを言ったのは、そこでございます。丹野は関係しておらぬと、こう言うたのでございます。ところが、調べた結果、丹野は関係しておるではないか。総裁が怒りまして、それではあの会社整理は困難じゃないか、こういうことでやめてもらったのであります。丹野さんが関係している以上は、セメントを回すわけにはいかぬということで、はずしたわけであります。ところが、その後、東北会というのがございますが、そこの顧問でございまして、まあいわば事務局長と申しますか、そういう立場にあり、あるいは青森建材も若干引きずられたかもしれませんけれども、私たちは、やはり会長は会長でございますから、そういうことからすべてに——まあおそらく私ともだけではなく、企画庁方面にもずいぶん働きかけたと思います。そういうことで、その実態を見ましたので、非常に私も——これはお互いが力ですから、青建さんも東光さんも、自分が生きるためには、少しでも回収金を延ばしたいというのは人情だと思います。しかし、われわれは限界があるのだ、その一線は引けないのだ、こういうことを申して、別になにするのじゃないのだ、そうしてこの整理に乗ってくれということを言うたわけでございます。しかし、これについて私は——雲野理事も非常に弱かったのであります。雲野さんは、そうでなしに、私のような狭い人間と、雲野さんのように幅の広い——雲野さんは大きく言われて、先般の答弁では、たしか八木の財産は五十億とか、あれは間違いじゃありませんかな。五十億と書いているが、とんでもない。しかも八木さんというのは実は本家じゃないのです。ただ名前だけで、本家じゃないのであります。財産はないのであります。そういう人を、ただ看板としているのであって、それでは困るのではないか。そこで、そのときに最初の計算課長は横田という人です。そうしてそれについて私どもまた、経理的配置で、わざわざ経理から人を回して計算課長の次席にしております。けれども、さっぱりうまくいかないので、私どもやむを得ず——竹内というのは、何か資材関係で最近逮捕されましたけれども、これは東興時代からの人間でありまして、相当剛直な男でありますから、丹野さんを相手にしても絶対にひけをとらないような心臓男であります。それで私目をつけました。竹内以外は、どうも部長さんも理事さんもみな紳士でけんかには向かないので、やはり強いのを立てなければならぬ、こういうことで、竹内の任命を強引に申請したのであります。当時松本さんは総務担当理事としてこれを御了承なされ、理事会も承認しで通った人事であります。しかし、その人事というものは、そこに持っていくということはとてもむずかしい人事であると私は思っておりました。そこで、その竹内は、たびたび私のところへ来まして言うのには、丹野さんに非常にやられている、もう参っちゃったというような——まあ君、参らずに、会社のためにがんばれと、こう言って実は激励しておりました。従って、私どもに対する迫害はもう目に見えてわかっているのであります。しかし私は、敢然と、そういうことはいかぬ、守るべき限界の一線がある、こういうことでやってきた次第であります。
  50. 木村公平

    木村(公)委員 もう一つ伺っておきたいのですが、このセメントの問題ですが、セメントは原価にその他の経費を加算すると、売値よりも高くなっておる。売ったことによって経理的には会社が損をすることになる。これはいつまでこういうような状態だったのですか。
  51. 山本多市

    山本参考人 木村さんの御質問は、その部分を見ますと——私の書いた趣旨は、実は私ども経理が、いかにもから売りをして、契約主義と称して、売れないものまでも売ったように言われたのでございます。しかし私は、そういう苦労をしておりますので、こういう国策会社は、一日も早くなるべく契約したものが経理のわかるようにしてもらいたい、そういうことから、契約主義を主張しましたけれども、これは今日の一般の事業会社会計経理は引き渡し主義でございますから、とうてい私のような会計論理には納得していただけません。けれども私は、今日の国策会社の弊害のあるところは、そういうふうにしなければいかぬ、こういうふうに主張してきたのですが、内外の私どもの顧問がいますけれども、あまりそういうことはどうかという意見でありました。それでは、もっと早目にわかる方法はないか、ということが、できるだけ早く売れることにもなるし、そういうことになるというのが、私ども当時の経理部全員が毎晩夜業して議論して得た結論だったのであります。その結果出たものが、伊藤釈明によって、いかにも経理が、そういう弊害を防止するのを、逆にやられたと私は思いましたので、私はふんまんにたえなかったのであります。その趣旨を申し上げました。従って、それを、いかにも利益を上げるための操作だというようにも一面見られました。しかしそれは、絶対そうじゃないので、むしろ私は、その場合はちゃんと計算しましたが、小野田その他の競争のために売り値が非常に下がったときであります。従って、原価は——償却、金利その他でも二千五百円につくのであります。従って、原価は、五千円近くになるのであります。そういたしますと、経費その他輸送費が東京に持ってくるのに千三百円かかりますから、そうすると、それをやったことによって売買差益は出ますけれども、決算書に出る場合には損金に出るのである。損でもやむを得ない、そういう損でなくて、こういう形で粛正をしなければいかぬというのが私のねらいだったわけです。それが、見る方が見ることでございますが、逆にとられたのは私は心外だということを実は書いたのであります。
  52. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 ちょっと関連して……。今、山本さんの釈明書をずっと通じて木村委員質問されましたが、私もこれを見たわけで、いろいろ問題になる点があります。そこで、この釈明書山本さん個人がお出しになったわけですけれども、これは前役員の方々も当然ごらんになっているわけですが、この事態を、この釈明書を、前役員の方々はお認めになりますか、どうですか。
  53. 山本多市

    山本参考人 それは、先般、委員長さんからも御質問がありましたが、あくまでも私は、私が被害人であるという立場から、会社ということを離れてそれは書いたものでございます。どなたにも示しておりません。
  54. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は、山本さん個人で書いたのは認めるのです。ただこの出されたことに対して、ほかの前の御関係役員の方はこれをお認めになるかどうか、こういうことをお聞きしておるわけです。
  55. 加藤祐三郎

    加藤参考人 お答えいたします。  山本参考人のお出しになったのは、もちろん私どもに何も御相談があったわけでも何でもありません。山本さん個人で、全然関知いたしません。初めてこれをここで承ったわけです。お書きになっている全体のあれにつきましては、山本参考人個人の意見も、たとえば経理のやり方に関して、個人の御意見もありますし、それからいろいろな点でも、山本さんがそういうふうに、自分で仕事を一生懸命やっておった立場から、いろいろな感想なりあるいは疑いなりお持ちになったような点が相当出ていると思うんですね。私はその全体に対して、必ずしも全部そうだというわけにはいかない感じの点もございます。  〔西村(力)委員「どこどこです、そ   んなばくとした話じゃだめです、   どことどこです」と呼ぶ〕  たとえば今の、千葉という名前が出ておりますね、それから竹内という人の名前も出ておりますね。そういう問題につきまして、まあ二人とも、今実は不幸にして司直の手にかかっているわけですから、内容が全然明らかにならなければわかりませんけれども、たとえば営業部長千葉君のやり方についていろいろお話が出ておりますが、当時の状況で全部そういうふうに悪意で裏があってやったときめてしまうのは、私は少し疑いが多過ぎるのじゃないかというような感じを持つ。それからまた、竹内君の問題につきまして、具体的に人事の問題に対しまして決定されるまで何か非常にむずかしかったと言うておられますが、あるいはそうかもしれませんが、理事会できめますときには、竹内君をやりまして計算課長にするということに対して異存を言うた人は一人もいないのです。きれいに承認しているわけですね。従って、そういう人事について、経理立場から平素非常に心配しておられるから、心配のあまりそういうふうに見えている節もあるのじゃないか。全体の調子が少し私はそういう感じがするということを申し上げたわけです。
  56. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今、加藤さんからお聞きしたのですが、これは山本さんは単独で出されたわけですけれども、これはその他の方々もごらんになっていると思うのです。その後ここに何回か出ておられるわけですが、その前にあなた方自身として、前役員の方々で御相談になったことがあって、そうしてこれもごらんになって、これはこの通りだということか、これは違っているのだということか、どういう御意見かあったならば、それは代表で言ってほしいし、そういうことがなかったら、今、加藤さんからお聞きしましたが、渡辺さんは見えておられませんから、あと四人の方に、これを御承認なさるかどうか、お聞きしたいわけです。
  57. 松本烈

    ○松本参考人 お答え申し上げます。  山本さんの釈明書は詳細に見せていただきました。で、あの釈明書の中で、経理的な立場に立ってお書きになった部分については、私も同感でございます。ただ、個人々々を取り上げて問題にされておる点がございますけれども、この点は、私、実は承知をしておりません。そういう事実があったかどうかということも、私は存じておりませんので、その個人々々を対象としてのいろいろ書いておられます点につきましては、これはここでその通りだと言うことは私はできません。ただ、経理的な立場に立って非常に詳細に申されております点は、これは私ももっともだと思うのであります。
  58. 本郷寿次

    ○本郷参考人 私はこの釈明書は出ますまで全然存じておりません。それからここへ出ましても、私どもはちょうだいいたしておりませんので、ここで内容を知りましたのは、最初にお読み願ったときと、その後御審議の途中に摘発されたことで知っておりまして、あとは新聞に出た記事等でございます。  それで、この山本さんの釈明書には、裏話と申しますか、相当書いてございまして、私、そういうことについては、大へんうかつでございますが、全然存じておりませんので、真偽は何とも申し上げかねます。  それから、事実につきましても、はなはだこれもおしかりを受けるかもしれませんが、私この当時仙台におることが多うございまして、たとえば東洋物産の二万トンという数量なども、これはよほど後になって聞いたようなことでございまして——と申しますより、私それをはっきりしましたのは、今度の事件が起こりまして聞いたようなことでございます。ただ、割り戻しの件で相当経理がもめておったというようなことは知っております。非常に長い釈明文でございますから、一々ここの点がこうと申し上げかねますけれども、その裏話の点、非常にこまかい点については、私の知らない点が多うございます。しかし、御両人が言われましたように、経理の問題でいろいろ苦心されたとか、それから、先ほど青森建材でございますか、そういうものが非常に動き回ったとかいうことについては存じております。
  59. 小柳勝蔵

    小柳参考人 私は、おしかりを受けるかもしれませんが、会社でやりました仕事が主として技術的なことでございますので、経営の事務的なことは、理事会でときどきお伺いしたという程度で、その裏とかそういうことについては、何ら存じておりません。理事としてまことに申しわけない次第でございます。
  60. 山中徳二

    山中参考人 簡単に一言申し上げますが、山本理事経理担当として相当厳重に、また東北興業の跡を継いで大へんに努力されました経過につきましては、十分私も認めております。今回、委員会で御指摘になりました三十五年度の決算につきまして、期間計算の点でありますとか、あるいは結果において倉庫売りとなりましたことが不適正であるということは、先般私も当委員会において不適正であることを申し上げました次第でございますので、この点は山本さんと若干見解を異にする点でございます。  これから、いろいろ個々人事に関します裏話につきましては、私はここに外部に公表されたような事実、信憑性があるものかどうかということは承知いたしておりません。どの程度の確度のあるものがどうかということは承知いたしておりません。  それから、御指摘になりました点で、粉砕機を使わなかったという点でありますが、これにつきましては、東京に二台買われてございましたので、約三千トンばかり粉砕いたしました。これはマル特とせずに、普通のセメントといたしまして処理いたしましたが、機械の能力が一台十五トンでありますのと、いろいろそういう三カ月以上をこえて一年未満のもののうちで、それにかけるのが適当なものを処理いたしました関係で、大体機械の能力としてはその程度で一ぱいでございました。  なお、二千円の単価につきましては、やはりマル特製品として特別に扱ってもらう必要がありましたので、当時市価六千円ないし五千五百円のところに、二〇%ないし二五%の目減り、それから粉砕費用、袋代、口銭及び横持ち料等を差し引きまして計算いたしましたのがあの金額でございまして、その金額にいたしましても、なかなか一ぺんにさばけませんで、三十六年中に二万五千トン、本年に入りまして三月までにおおむね残りの四千トンがさばけましたような次第でございまして、結果的にいろいろ単価についてはまた御意見もあろうかと思いますが、やはりこの際思い切って早く処分してしまいませんと、一日置きますとそれだけセメントの質が落ちますので、そのように決定いたしましたので、この点につきましては若干の釈明をいたす気持がございます。  それから、東光物産等につきまして、中村監事と名前をあげられまして、取り立てに消極的であったというお話がございましたが、私ども両名は、特にその代理店の問題につきまして、ことに三福と東光物産との取引の事情等につき調べたのでございます。問題点はいろいろ取引の状況等もあるのでありますが、代理店のような扱いをいたしておりますものを代理店扱いにしていないというところに、問題の根本があるのであろうという結論になりましたので、私どもは、個々の取引の一々につきまして詳細に追及することはいたしませんでしたが、結論を得まして、監査を終了すると同時に、前総裁に、この際代理店と同様の機能のあるものは代理店指名育成すべきではないかという進言をいたしました。次の理事会におきましてもこれに関連する議題が出ましたので、私ども両名はそのような主張をいたしたわけでございますが、当時東光物産の業績も相当警戒を要すべき状態でありましたので、当時の理事者側といたしましては、三福商事代理店にする方向については異存がないけれども、何らか東光物産のささえになるような方向で解決したいというような御主張がありまして、私ども監事両名の意見はいれられなかったわけでございますが、私どもといたしまして、山本理事指摘されましたように、消極的であったとは考えていないわけでございます。  なお、赤塚、竹内両名に関する人事の適正、不適正につきましては、先般の当委員会において御質問もありましたわけでございますが、私どもは、また自分たちの信ずるところで、このような異動をいたしました。  これらの点につきまして、まだ漏れがあるかもしれませんが、一応お答えを申し上げます。
  61. 中村清英

    中村参考人 山本釈明につきまして、私の考えておりますことを、ごく簡単に申し上げてみたいと思います。  まず最初に、私どもの名前が出ておりました部分につきましては、ただいま山中参考人からお答えがありました通りでございます。  東光物産の債権について非常に消極的であったということにつきましては、私どもはさようなことはないと申し上げたいのであります。すでに三十五年の十月の監査のときから指摘しておりますし、新役員になりましても、最近は書面をもって、その債権処理について進言しておるような次第もございます。  それで、私は、他の役員と違いまして、二年おくれまして入ったものでありますから、山本釈明内容につきましては知らぬところも大へん多いのでごいざますが、ただ山本さんの立場でよくわかる点だけ申し上げてみたいと思います。  あの東光の不良債権につきまして非常に苦労したということは、私どもよく認めております。それから、問題になりました三十五年度の決算につきまして、いろいろ御指摘を受けたのでありますが、その際、私どもも申し上げたのです。山本さんも非常に強調しておられるようでありますが、土地の造成なんかにつきまして、もし何らかの方法で評価増ということが認められるならば、経理上も非常にスムーズにいったのじゃないかという点が考えられるのであります。  それから、減価償却の点でありますが、三十五年度は四億四千九百万円定率法で減価償却しておるのであります。これを定額に直しますと約二億一千八百万円ほど少なくて済むわけであります。もしそういうことができるならば、これらのこともあるいは起こらなかったのじゃないかというふうにも考えられますので、そういう意味から、山本さんの立場というものはよく了解しております。  ただ、そのほかの注にうたってありますいろいろな人事の問題でありますとか、そのほか裏話と申しますか、そういうことにつきましては、私は全然関知しておりますので、何とも申し上げようがございません。
  62. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今の件について、監督官庁でも関係があるのですが、一つは菅発言ということです。菅次官、あなたについて、山本釈明も、あなたの意見に対して反対だ、これは故意に事実をゆがめておるのだという趣旨の記載がございます。それから、営業部長の更迭にあたって監督官庁の有力者がこれに反対をした、こういう項目もあります。これについては、企画庁側において、やっぱりこの釈明書に対する見解を示していただきたいと思います。
  63. 浅間一彦

    ○浅間説明員 政務次官の御発言に関する部分につきましては、政務次官からお答えをいただくことにいたしまして、企画庁の某有力者という点につきましては、私ども、いつのころのどういう件でございましたか、だいぶ前のことで、前任者当時のことだろうと思いますが、つまびらかにいたしません。
  64. 菅太郎

    ○菅政府委員 今のお尋ねの趣旨は、多分私がかつてこの席上でお答えしました前の理事の御更迭になったことに関することじゃないかと思うのでございますが、私があのとき答えましたのは、こう申し上げたわけでございます。  御承知のように、去年の夏前理事が全部退陣をされましてかわったわけでございます。そのことにつきまして、これは御承知のように、任期満了によりまして新しく新役員を選出をいたしたという形でございます。しかし、常識で申しますならば、理事が総退陣されるということは普通ないことでございますが、総退陣を願いましたのは、そのときにちょうど問題になっておりました決算の問題や、その他セメントの問題や、そういう会社の方の運営において遺憾な点がある、そういう問題になった点も含めて、普通に言う意味で、前理事は御退陣を願ったのでありますということを申し上げたわけであります。  なお、そのことの中に、当時問題になっておりましたのは、おそらく少数の理事の専断とかなんとかいう言葉があったんじゃないかと思いますが、その言葉がここで関連して、山本理事が、何か自分の退陣をしたのも、やはりそういうことに関係して私が発言したんじゃないかと思われたと思うのでありますが、私が申し上げたのは、あるいはそう解釈されるかもしれませんが、要するに総退陣を願ったのは、ちょうどここで議題となっておりましたような、会社の運営におけるいろいろな遺憾な点を含めて、任期満了の更迭時期におきまして前理事には総退陣を願ったのであるということを申し上げたのです。そのことはその通りでございまして、当然のことを申し上げたわけであります。
  65. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ここに指摘されているのは、あなたの発言では、久保委員質問に対して、「少数理事が専断で処理したことは任務違反である」という言葉、それから「この点を含めて当時の理事は全員御退任願った」という答弁、それから「会社の運営上は明らかに理事者としての義務違反だ」という発言、「こういうことも含めて幹部の更迭を致したのである」という発言、この四点が指摘されておるわけなんです。ですから、この点は大事なところですから、あなたはその場で都合のいいような工合に言わぬで、義務違反なら義務違反と考えているなら、おれはそのように今も考えているんだ、そういう工合にはっきり言ってもらわなければならぬ。その場その場の意見ではだめです。
  66. 菅太郎

    ○菅政府委員 わかりました。ちょっと今の点を私失念いたしておりましたが、はっきりそう申し上げました。つまり、あのときに問題となっておりましたのは、決算の不適正の問題と、それから正式に機関に諮らないで裏契約がしてあったという点が、特に問題となったと思うのであります。それで、私が申し上げましたのは、そういう重大な裏契約をするような問題が正式の機関に諮ってないというようなことは、正式の機関運営にあらずして、重大な社務を決定したということは明らかに義務違反である。特にその点を私は強く申し上げたわけでございます。そうして、背任かどうかということがそのときに問題になっておりました。ちょうど前総裁から、これはきわめて俗な意味で背任になると思うというようなお答えがございましたが、私はその点をはっきりさせておかなければならぬと思いましたので、立ち上がりまして、つまり刑罰法規上における背任罪の構成要件を満たしておって、従って刑事上の背任になるかどうかは疑問である。と申しますのは、つまり背任罪というものは目的罪でございますから、自分もしくは第三者を利する、あるいは会社損害を与えるという目的をもってしなければなりません。私はそうでないと思いましたので、やはり会社の利益をはかるために決算の帳じりを合わせる、こういうことをなすったんだと思うものですから、それでその問題について私が特に申し上げたのは、そういうやり方はこれは職務違反ということにはなる。しかし、いわゆる刑事上の背任になるかどうかは、これは疑問であるという意味のことを申し上げたのでございまして、職務違反である、義務違反だと申し上げましたのは、今の背任云々問題に関して明らかに理事として義務違反しておるけれども、刑法上の問題は疑問があるということを申し上げる意味で申し上げたわけであります。以上のようなわけであります。
  67. 西村力弥

    ○西村(力)委員 背任というものは刑事的な問題、そういう立場ではなく、義務違反、任務違反、こういう程度の背任ということはあり得るということになって、そういう程度の背任ということと、ここであなたのおっしゃられている義務違反ということはイコールなんだ。これは同じことなんだ。背任というのは響きが悪いから、そういう言葉を使わないだけであって、刑事的な問題を含まない意味における背任、それは義務違反とイコールなんだ、こういう立場をはっきり表明されたように私は受け取ったのですが、よろしいですか。
  68. 菅太郎

    ○菅政府委員 私はそう一緒に漫然と混同してはいかぬと思ったものですから、いやしくも立法府における言論で背任に当たるかどうかということになりますと、当然刑事事件の問題に関するものであります。そういう意味ではおのずから違う。しかも、前総裁の御発言後、私が所管のことを考えまして、正当を期する意味からそれを訂正する意味で申し上げたわけでございますから、私は区別をする意味で申し上げたのであります。俗な意味での義務違反を背任と言うのは、立法府の言論として少し俗過ぎますから、それははっきりしておかなければと思って申し上げたわけであります。
  69. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は、今まで何回かの委員会の質疑応答によって、この会社の持っておる欠陥的なもの、どういうわけでこういう事態になったかということは、大体わかったのです。いわゆる土地の造成の問題、セメントの問題、その他幾つかあるわけです。これを全部総括してみても、今すでに前役員及び高級職員等の相当数が、検察庁に召喚されて留置されておるという。これは公判を待たなければその白黒はもちろんわかりませんが、国策会社と銘を打って東北開発のために非常に国民の期待を背負って出発したこの会社がこのような事態になったことは、これは全国民、ことに東北の方々に与えた不信感というものは容易でない、私はこう思うのです。そこで、政治的にも、道義的にも、この点を明らかにする責任というものが私は全役員の方々にもあるのではないかと思う。この責任を明らかにするということは一体どういうことなんだということになるとするならば、これはやはり今までのことをお互いにあなた方皆さんでかばい合いなんかすることも美しいのかもしらぬが、この際は赤裸々に隠すことなく、この欠陥の全貌というものを、あなた方が一番知っているわけなんですから、それを明らかにして再建に寄与するということが、あなた方の今なさなければならない義務ではないのか、私はこう考える。そういう点から見て、私は、全体の質疑を通じて考えられたことは、こういうことを考えたのです。どうもこれは私の推測になるかもしれませんが、役員の構成、いわゆる皆さん方の構成そのものに、非常に失礼だが、これは役員の構成にはかなり派閥人事があったのではないか、こういうことが考えられます。従って、今度は職員人事もひもつきにならざるを得なかった。その結果が各部や課の連絡統一というものがとれなかったということは、この質疑を通じて私は明らかになってきていると思う。だから、方針も命令も二途にも三途にも出て混乱をしたというのが、私は総括して言えることじゃないかと思うのです。監督官庁の責任とかなんとか、それはありますが、この際、私はそのことはあとでお聞きしますが、そういう点が看取されるのですが、皆さんは、おれはひもつきだとは言えないでしょう。またないことを望むのですが、しかし、職員の人事というものはやはり役員とのひもつき人事であったから、連絡とか何かがとれなかったのではないか。さもないとするならば、これは失礼だが、あなた方大ぜいの理事が並んで仕事をなさっておって、今お聞きしても、この山本さんの釈明書一つに対して、ある部分は認めるけれども、認める部分はどういうことかというと、苦心を払った点、努力をした点は認める。苦心や努力はそれぞれ皆さんやっておられることですが、この事態そのもの、この中には苦心や努力ばかりでなく、事態をあげておられるこの事態そのものを認めるのか認めないのか。知らなかったという答弁が大多数です。そうすると、ここに一つも連絡というものはなかった、統一がなかったということが、ここにはっきり出てくる。理事会も開かれているのでしょう。相当理事会も開かれているであろうにもかかわらず、こういうことが、この席上で、私も知らなかった、私も知らなかったということは、これは連絡がなく、統一がなかったということになる。下から上がってこなかったのか。こういう各部といいますか、そういう職員の方から上がってこなかったのではないかということが一つと、それからもう一つは、理事会にかけられないのではないか、かけられないから知らなかった、こういう疑いを持たれるわけですが、副総裁加藤さん、これはあなたどうお考えになりますか。この仕事をしておられて、そういうこの点だけ——私は、セメントはどうだとか、何がどうであるとか、個々の問題よりも、最も重要な点は、ここにあるのではないか、こう思うのです。その点を一つこれは正確にお聞かせ願いたいし、またお聞かせ下さることが、あなた方の義務じゃないか、私はこう思うのです。
  70. 加藤祐三郎

    加藤参考人 御指名もございましたし、今の御意見を伺っておりまして、私も、国権の最高をあずかっておる国会の御審議でございますから、やはりはっきり申し上げるべきだと存じますので、申し上げます。最初にただお断わりさせていただきます。皆さんそうでしょうが、私は特に自分を清くしようとか、きれいにしようとか、自分をあれしようという考えは絶対に持っておりませんから、なるべくそういうことは申したくないのです。しかし、今の問題は、ほんとうに御審議、御調査になりまして、今後の会社のあり方にも関しますので、私は四年間副総裁として勤めさせていただきました経験に照らして申し上げたいと思います。  第一の問題は、全部四年間を通じてのことでございますが、さよう御承知いただきたいと思います。私は、これもいろいろ誤解があると、私が申し上げることが御理解いかぬと思います。私は、東北開発株式会社の副総裁に御任命をいただく前に、諸先生方も御承知のように、自由民主党の東北開発特別委員会の事務局長をさせていただいておったわけでございます。しかし、開発会社に任命になりますときには、総裁になられた渡辺さんから直接に実は交渉を受けたのです。そのことを申し上げておきます、そうでありませんと、また誤解が出て参りますので……。しかし、あの当時諸先生御承知の通り東北開発三法がこの国会で議決されたわけですね。そのときの精神、私も関係者の一人として、自民党ではありますけれども事務局長をやらしていただいておりましたから、あの国会の精神というものを体して開発会社は出発しなければならないということを、第一に私は思ったわけです。  そこで、第一の問題は、とにかく新しい役員がいろんな方面から来るわけですから、そこで、あのときに非常に強く附帯条件でうたわれましたことは、東北興業時代の業績にかんがみて、開発会社は第一線において陣頭指揮を役員はとらなければいかぬということが、非常に強くうたわれたのです。私もその思っておりましたし、国会の総意でございましたから、時の総裁にも御進言申し上げまして、本社は仙台でございますから、従って全役員は仙台に常駐をして見張るということを強く申し上げたわけなんです。それが第一点でございます。これは大事な問題だと思います。ところが、それが半年、一年といううちにくずれてしまったのです。そうしてむしろ実際上の経営の枢機をあずかるような役員の方は東京に常駐になってしまった。仙台ではむしろそうでない関係の者がおったということで、最後の状況をごらんになるとおわかりになりますが、仙台では、わずかに私と総務を担当しておりました松本理事と、それからセメントの技術を担当をしておりました小柳理事だけで、あとは全部東京になったということです。これは四年間私は——これは会社でも皆さんはっきり御承知のことなんです。私は強く、それを是正しなくてはいかぬ、それでなければいろんな運営の失敗が出てくる根本になりはしないかということを、私は常に四年間実は申し上げてきたのです。  それから、第二の点は、とにかく全然種類の違う製品、たとえばカーバイドをやっておるかと思えば一方ではあれをやっておるというように、内容的にいえばいろんな種類をやる会社なんですね。従ってその担当理事というものはよほどそれに専念しなければやれない。そうして、それぞれ理事があるのですから、前身はともかく、できる限り専門部門を持ってやるようにということが非常に望ましいと私は言ったのですが、最初から重要な部門というものは一人の理事が二つも三つも持つということになってきておったわけです。これはどうしても是正をしなければ、いかにすぐれた人でありましても、二つも三つも、しかもそれが開発会社の最も重要な部門をあずかることにつくことは、とうてい体が間に合うものではない。そうすると目が届かなくなるという点が第二点。ところが遺憾ながらそれが是正されなかった。  それから、もう一つ、機構の問題なんです。人間の問題もそうでございますが、機構は今申し上げるような全然違った種類の事業をやるのですから、そういう平面的な機構でずっとあったのですが、そうではなしに、縦割りと俗に言っておりますが、そういう制度を一日も早くやらなければいけないということを申し上げたわけです。それが第三点になります。  この三つの問題につきましては、開発会社が創立して一年もたたないうちから、私は、機会あるごとに総裁にはもちろん、各理事諸公にも訴え続けてきたのですが、ずいぶん賛成者もあったのですけれども、結局は実現されないでしまった。それから政府当局にも私ははっきり申し上げたのですが、それが行なわれなかった。  それから、もう一つ、忌まわしい事件、これは先生のお話の通り公判になってみなければなりませんが、しかし、たとえば資材とか、当時二十億になんなんとするお金を、建設ですから全部資材に当たるわけですね。そういうような大事な資材とか、あるいは営業もそうなんですね。大事なのは企画と営業とそれから最初は資材、後には土地造成ですね。そういうものを担当する人は、どんなにすぐれた人でありましても、とかくすると誘惑に陥る可能性がどう考えても多いと思うのです。お尋ねの際にも申し上げましたように、私は二年目だったと思うのですが、その前から私は申し上げておったのです。寄り合い世帯だから、やはり公正に公平に、愛憎の念を去って——何か偉そうなことを言っているようでまことに申しわけありませんが、そうして部下を信じて、まず信を相手の腹中に置いてやるのでなければ会社はうまくいかない。部長クラスにおいても、今のように重要な部長クラスが、同じ人が二年も続けているということでは弊害が起こるし、いろんな芳しくない話もちょいちょい耳に入りました。それで人事の異動をやらなければいかぬということを、総裁が外国から帰って参りました際に、私は、だれかれのことではないんだ、その中に問題になっておる千葉君や石田君も入っておるのですが、そういう人たちを、だれかれの問題ではなしに——本人に傷をつけるおそれがある。当時そのことで開発会社に万一のことがあったら大へんだ。私は当時法案の草案を多少調べてきましたし、人一倍重大な責任感じておりました。従って、それを断行しなければいかぬ、だから人事について全面的に断行をなさい、そうでないと大へんなことが起こらないとは保証できない。とうとうこれも用いられずにしまったということなんですね。  この四点は、今考えてみましても、これさえできておったならば、おそらく私は今度のような忌まわしい事態は起こらなかったであろうと思います。  ただ、会社の業績そのものにつきましては、これは私もしろうとでありまして、必死になって研究して、たとえば販売対策等についても私は意見を実は申しておったのです。最初からここで問題になっておりました硬化セメント販売の問題についても、私は、五つの方針を、問題になりかけたときから強く、総裁や首脳部は東京常駐でしたから、東京まで申し上げて、そうして理事会を開いてやってくれということを何べんも言うたのですが、これも理事会で取り上げられなかった。そういうような状態だったのでございますが、私は繰り返して申し上げますけれども、人そのものが問題だと思います。いかなる組織でも人そのものが問題でありますが、これは政府が御任命になったものですから、私はとやかく申し上げるものじゃない。そういう人でやる場合には、その人がみなそれぞれ持っている力を百パーセント発揮させるためには、片寄った、ある一人の人だけにたくさんの部を持たせることはいけない。それから、東京と仙台に分かれておって、ほとんど会社の中枢の人が東京におられると、どうしても物事が東京で実質的にきまってしまうわけです。仙台はあとで結果を聞くということになる可能性が多いことは、御了解できるだろうと思います。また、そうなっておりますと、月一回の理事会でございますから、前の日に懇談会がありましても意思の疎通を欠き、世間から派閥だなんていわれるおそれが出てくるわけなんですね。だからその点に一つ問題がある。  それから、第二の問題は、今申し上げるように、やはり理事はなるべく一つの部を持つということ、それから機構そのものが、内容的にいろんな事業をやっておるのですから、民間の業界の趨勢を見ましても、いろいろな事業をやっているところは事業別部門にやりまして、全体の平面的なものは経理とか総務だけにして、あとは専門部になっておるのが実態なんですね。私の承知いたしておりますところはそうだと思うのです。それがそうでなかったところに、私は将来の問題として考慮さるべき問題があるのじゃないか。  それから、人事の問題につきましては、今申し上げましたように、どんなにしても警察権があるわけじゃありませんから、うわさがあったからといって、自分の部下をいろいろなことで調べることができるものではありません。またそんなことをしては社内に暗雲が低迷するわけですから、従ってそれにはやはりある時期がきたら私はかえてやる方が、手腕はかなり落ちましても、国策会社がいやしくも汚職の疑いを起こすというようなことは、私はそれだけでも全然自殺だと思うのです。それをやらない方法を私どもはやるべきだったと思うのです。将来にわたって私はそれをやらなければいかぬと思うのです。  会社の全体の業績の問題につきましては、私は遺憾ながら政府御当局もお考えいただかなければならぬ問題じゃないかと思うのです。あまりに小さなことを言われますけれども、大事な今の機構の問題なんか内面的に賛成しておられたのです。はっきり申しますと、監理官も加藤の言うことが正しいといって、そうしてきまる瞬間にだめになっているのです。私は非難する意思は毛頭ありません。けれども、私の四年間の経験にかんがみて——今にしてほんとうを申しますと、山本さんが出されましたけれども山本さんのあれ以上のものがあるわけです。しかしそんなにおのれをよくしたいとは思いません。ただ、今諸先生方が真剣になって御心配になっておられる、再び開発会社にもしものことがありましたら、もう東北はやみでございます。日本の国民全体が疑惑を持っている。あたりまえだ。それを防止するために、そういう大局的な点を政府が監督されるべきなのに、そういう大事な点は政府の御監督はなかった。はっきり申し上げます。こまかいことだけやかましくついてくるのですね。従って、政府に書類を出すだけのために、東京に何十人という人がおるのです。こんなことはあるべからざることだ。東京には理事が一人おればいいのだと私は思うのです。その人が全責任を持って政府と折衝する。あとは全理事がちゃんと仙台におる。仙台ですと、町が小さいですから、飲んだり食べたりすれば翌日すぐわかるのです。そういう意味から私は罪人を出さぬで済むということを四年間言ってきたのですが、残念ながら行なわれなかった。私はおのれを清くするためでも何でもありません。今日までの審議であまり行なわれなかったようですが、四つが根本の問題なんだ。それを私といたしましては及ばずながら、東北の出身でもございますし、開発の三法にも携わらせていただいたのですから、二年目ごろから、不祥な事態が起こらぬように、いかに心配しておったかということを私は申し上げたいのです。実に残念で残念でならない。私は私としてのやるべきことは尽くし切ってきたのですけれども、何しろ理事会理事会でございまして、一人の意見できまるものではございませんし、いわんや副総裁は女房役でございますから、あくまでも社内の平和も保たなければならない。しかし、尽くすべきことは、最後の去るまで尽くしてきたつもりでございます。これだけ申し上げておきます。
  71. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は、この東北開発というのは一つ政府の政策に基づいて作られたものですから、今まで非常に赤字が議論され、欠損が議論されたのですが、私は、欠損というのは、もし東北開発が前向きの仕事をしていったならば、これは東北開発のいろいろな基幹的な仕事をするわけですから、欠損が出るのはその点ではあたりまえだと考える。出ない方がいいけれども、出ることもある時期においてはやむを得ないと考える。ただ皆さんのやった仕事が前向きの仕事であったかないかというと、この欠損は、遺憾ながら、先ほど申し上げたように、前役員や職員の多数が検察庁に召喚されているという点、留置されているという点からいえば、これは前向きの仕事じゃないのですね。むしろうしろ向きの仕事になる。これは私は非常に遺憾であったと思うのです。今、前副総裁から御答弁をいただいたわけですが、そこで運営方法の問題、人事の問題、機構の問題、もう一つ政府の指示監督といいますか、この四つの点があげられたわけです。この政府に対する責任というのは当然あとで出てくることで、われわれ自身もこれを聞いていて、そのためにわざわざ監理官制度というものまで作ってそこに置いてある。この監理官は一体何をしていたのかということは、聞かなければならぬことですけれども、皆さんそれぞれなかなか御多忙なので、それはあとで聞けることですから、きょうは皆さんだけについてお聞きしたいのですが、今、前副総裁が申されたことは、きょう御出席の各理事はお認めになりますか。
  72. 松本烈

    ○松本参考人 前副総裁がただいま申し上げましたことは、私も実はかねがね主張をしておったところでございまして、私といたしましても、実は全面的に賛成をいたすわけでございます。  ただ、そのほかに、これは東北開発会社に対する根本的な問題でございますけれども、要するに今、小川先生からおっしゃられたような営利性と公共性という問題が、東北開発会社に残されておるわけでございます。これは結局株式会社でございますので、政府の監督が非常にやかましい。そうして、何でも採算ベースに乗らなければいかぬという非常に強い営利性を要求されておるわけでございます。ところが、開発事業というものは、直ちに営利がすぐ目の前に出てくるものではございません。これは東北においては、御承知の通り、すでに東北開発会社が手をつけた事業というものは、それぞれ民間会社が全部手をつけております。それで、比較的工場のないようなところに、東北開発会社東北開発のために  一応工場を立地するわけでございます。それが、一年や二年で営利が非常に増していくというような、非常に短兵急な考え方をとられると、これは会社を経営している方々も非常に苦心をされ、また、無理をされるのじゃないかという考えを、実は現在も持っております。  それで、今小川先生がおっしゃったように、たとえば東北開発会社が基本的な事業をそこへやる、これは大体一次産業だ、そしてその一次産業は、そのもの自体としては欠損でもいい、ただそこへ民間会社がどんどん入ってきて、そこに二次産業が起こり、三次産業が起こり、二次産業、三次産業において東北の住民を多くそこへ雇用し、東北の住民がもしそこで幸福になれるならば、東北開発会社自体がやった事業はたとい欠損でも、二次産業、三次産業において東北が潤うということであれば、これは東北の繁栄になるのだということを実は私は考えておるわけでございます。  もう一つ、これは東北開発株式会社法の根本的な問題でございますけれども、今言ったように東北開発会社が、東北の産業の中核体としてその仕事をしていくことがいいのか、それとももっと公共性を持たして、いわゆる地域開発の方に専念させ、産業開発の方は民間にまかせる方がいいのか、これは非常に大きな問題でございます。こういう問題が、やはり将来東北開発会社を考える場合に、先生方に特にお考えを願うべき点ではないかと考える次第でございます。
  73. 本郷寿次

    ○本郷参考人 ただいま加藤、松本両参考人の言われましたことには同感でございまして、また私の申し上げんとすることも大体それに尽きるかと思います。
  74. 山本多市

    山本参考人 加藤前副総裁の御意見について述べろということでございますが、その前に私は、今加藤さんからもお話が出ましたように、釈明書で自分が清いようなことを云々というようなことはございません。しかし私は、釈明書を個人的に書いた趣旨は、被害人であるということをうたっておるのであります。もしそういうことがなければ、何もこういう必要はなかったのだ。そこで、非常に残念なことですけれども、菅政務次官に対しても——わざわざ当委員会が、担当理事と称しているのに、なぜ少数の理事と書いたか、監事の触手を回避するがごときとなぜ書いたか、私は疑問だと思う。それを菅さんは、先ほどの御答弁ですと、私などは事実眼中になかったようですね、なかったのだが、含めてまあまあそういうことだということでございまするけれども、しかし私は、この官報に出るものを見ますと、そこに私も一連の共謀者であるというように見られることは常識であると思うのであります。その意味で、そういう事実を認めて私をやめさせたのかということを、菅さんにお聞きしたいということが私の念願であります。  もう一つ、今回の問題で加藤前副総裁から非常に高遠なお話がございました。この点も私もかねがね聞いております。けれでも私どもは、一体その実体がそうなのか、それが問題なのです。実態がそうなのか、これはだれでも言えることです。その通りであります。そうでなければならないのであります。しこうしてまた、仙台と東京との問題は、参議院の決議にもありましたように、全部行ったわけであります。ところが、いろいろ官庁、金融その他の問題からも若干がこっちにおった。それにはいろいろ問題がありましょう。けれども、その間においての出張の命令簿を見ればわかることであります。私に言わせると、仙台におった方々が、それでは一カ月仙台におったかどうか、これが問題であります。ですから、そういう理想を掲げていくべきだが、実態はどう動いたかということを今後やっていかなければ会社はよくならない。それを私は叫びたいのであります。もちろん私ども官庁の弱さを知っております。官庁では限界があります。従って私は、今日の官庁ということを申し上げますと、一番問題になるのは、むしろそういう背後に対する遠慮と申しますか、それ以上に問題なのは、私は事務的の問題としてあると思います。というのは、一千万円以上の取得財産は認可を受けるべし、これは官庁は責任を感ずるわけでありますから、長いのであります。その間にもたもたする。その間にそれを利用せんとする者がある。そこで混線することが問題だと思います。従って、加藤さんが今おっしゃることが、事実実行されておれば、この会社は何ら問題がなく、発展したと思います。
  75. 西村力弥

    ○西村(力)委員 松本さんにお尋ねいたしますが、今加藤総裁がおっしゃったように、あなたは賛成だとおっしゃったと思います。賛成したということですか、賛成だということですか。それから本郷さんも、やはり同じことですが、賛成だという、こういう見解の表明ではなくて、事実そういう時点において賛成をしたのかどうか、各理事一つはっきりしてもらいたい。
  76. 松本烈

    ○松本参考人 機構の縦割りの問題については、実は総務担当理事といたしまして私が起案をいたしました。それで、そういうようなことを会社の内部で実施するように、これは副総裁ともよく御相談を申し上げまして、そういうことをやる方が会社事務が明朗化する、こういう点につきまして、実は私からも副総裁にはしばしば申し上げておったわけでございます。ですから、その点については、全面的に私も賛成というよりも、私自身が発案者であったと言ってもよろしいと思います。  それからもう一つ人事の異動のことでございますが、これはやはり副総裁がきれいな言葉で御説明をしておりますけれども、これは同じ非常に重要な地位に、たとえば職員なら職員でも、部長、課長でも、それを二年以上置くというようなことは、どんな大きな会社でも現在やっておりません。たとえば資材担当営業担当というような者は、大体二年くらいでみんなかえておるわけです。ですから、そこにそれを長く置くということは、やはりそとにコケもはえてくるでありましょうし、おかしな事実も出てくるわけだと思います。ですから、先ほど副総裁が……。
  77. 鈴木仙八

    鈴木委員長 簡単に委員質問に答えて下さい。あなた方がいろいろおっしゃるけれども、何かおかしな形になるから、簡単に要旨を述べて下さい。
  78. 松本烈

    ○松本参考人 賛成しておったわけでございます。
  79. 本郷寿次

    ○本郷参考人 ただいま松本さんも言われましたが、私は会社発足の初めから二年ばかり仙台におりまして、総務、人事の補佐をしておりました。機構の点は、加藤さんが申されましたように、われわれは二度くらい機構改革案を出したわけでございますが、結局通りませんでした。人事のあれも通らなかった、こういう事情でございます。
  80. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私の方は、そういうものが議題になった時点において、賛成したのか、反対したのか、これだけ聞いているのです。
  81. 本郷寿次

    ○本郷参考人 私は賛成いたしておりました。
  82. 鈴木仙八

    鈴木委員長 ちょっと申し上げます。あなた方、どういうふうな事実に対していろいろおっしゃっているようだが、そうでなく、委員質問に対して簡単に要旨を述べていただきたい。
  83. 山本多市

    山本参考人 趣旨は賛成しておりました。具体的事実の問題についての意見を述べたわけでございます。
  84. 小柳勝蔵

    小柳参考人 趣旨は私も賛成しました。かねがね、もちはもち屋にまかすべきだということで申し上げました。しかし、どういうことにするかということについての具体案については、あまり御相談にあずかっておりません。
  85. 山中徳二

    山中参考人 私も、大綱におきましては、前副総裁のおっしゃいましたことに賛成です。
  86. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと、今伺いますと、副総裁理事と七人中五人が賛成をした。賛成しておきながら、なぜそのことが通らないのか。加藤さんはいろいろおっしゃいますけれども、企画庁の監督があまりにこまか過ぎるというような問題、そういうようなことは、これから私たちもほんとうに開発会社が正常な形で発展する方式というか、そういうことについては検討しますが、そういうこともありますけれども、あなたは熱心に善意をもっていろいろな案を出されて、それを通そうとなさった、しかも七人中五人が賛成しても通らない。その理由はどこにあるのか、それに対するあなたの見解というものは述べられなければならないと私は思うのですよ。こうやって一生懸命やったけれども、通らなかった。なぜあのような状態にありながら、なおかつ通らないか、あなたはこれに対するはっきりとした分析を持っているだろうと思うのです。それをはっきりしてもらわないと、ほんとうのこの問題の根源というものは浮かび上がって参らないと私は思うのです。その点について、副総裁は、会社を熱情をもって愛していらっしゃった、今もその気持はお変わりないということですから、その大事な点について、あなたはここで堂々と発言していただきたい、私はそうお願いしたい。
  87. 加藤祐三郎

    加藤参考人 申し上げます。  機構の問題、それに伴う人事の問題——人事の問題はもちろん役員も含まれるわけです。役員人事の問題と申しますのは、役員担当の問題、それから高級社員の問題、これは私は先ほど申し上げたようなことで参ったのですが、不幸にして、総裁でありました渡辺さんは別の御意見をかたく持っておられました。やはりああいう事業を営む会社ですから、総裁が自己の信ずるところでいかないで、多数決というようなことはどうしたって好ましくないわけです。従って、結局私の意見はいれられずにしまった、今でも非常に残念にたえないことだ、こういうことであります。
  88. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうなると、総裁反対だから、大多数の理事が賛成であっても、それが通らないという実情、そういう工合に運営されたというふうにあなたはおっしゃいますが、それは総裁の好まないことはやれないという事情からだと言いますけれども、なぜそういうふうに総裁が頑強に、ほとんどの理事が賛成することに反対するか。皆さんの意見を押える、それだけの力を持つということが、やはり根本になって参るのではなかろうかと思うのです。そういう点について、もっといろいろ端的なお話があってしかるべきと思うのです。今大へん表面的な——総裁の意見が違うからこれが実現しなかっただけだというお話でありますが、それ以上にそれをささえておる大きな力に抗し得なかった事情がなかったのかどうか、そういうことをもう少し率直に端的におっしゃることはできませんか。
  89. 加藤祐三郎

    加藤参考人 お答え申し上げます。  前総裁渡辺さんは、諸先生方御承知のように、ずっと民間でお育ちになって、ことに日本鋼管の社長までおやりになったわけであります。従いまして、事業経営について、一個の信念と申しますか、かたい意見をお持ちになっておるわけです。それはもう当然といえば当然であります。従って、総裁をお引き受けになりまして運営をされるにつきましても、たとえば雲野理事とか、資材部長石田君とかいう人を特に連れておいでになったわけです。それは絶対の信頼を置いておられればこそ持ってこられたわけです。先生がお調べになった通り、私の前歴はいわゆる役人出身でありますから、世間様もみなそう申して、官僚々々という言葉で、仕事はできないのだ、こういうふうな強いあれがあったと思うのです。総裁御自身が事業家の出身で、事業の経営はおれがやるのだ。——同時に、信頼する者を初めから連れてこられておるわけでありますから、従って、ある理事に二つでも三つでもいろいろなものをやらせるというようなことは、やはり渡辺さんとしてはどうしても強い意見を持った原因だと思いますが、私は必ずしもそうではないのです。幾ら役人でありましても、役人であったからというだけで仕事ができないとは——私も十年間食うや食わずの生活をしましたから、副総裁に任命された以上は、必死になって勉強もやったわけですけれども、そういうことで、私が申し上げても、絶対に最後は聞かれなかったわけであります。
  90. 西村力弥

    ○西村(力)委員 渡辺総裁の信念とか事業経験とかいうことで、彼の決意がかたいために、それを破り得なかったということでありますが、私がそれ以上のものを求めておる私の気持は、東北開発株式会社の内部はまことに不統一である。百鬼夜行である、こういう工合に私たちは見て受け取らざるを得ない。山本さんの釈明書によってこの感をまことに深くしておるわけなんですが、先ほど本郷、小柳、前理事の方々は、裏話の件については全然知らないということを言われました。ところが、加藤前副総裁は、裏話のことについても事実に反することがあるという工合に言われました。それで、一つ一つ加藤さんにお聞きしたいのですが、これについては、知らないとか、それは事実に反するとか、みなその通りだとか、この三つのうちどちらか一つでけっこうですから、それを答えてもらいたい。  まず第一に、山本参考人釈明書の中には、日本ゼオンとの契約の場合、内部からの密告で私どもえらい迷惑をこうむったということがあります。これについてお答え願います。
  91. 加藤祐三郎

    加藤参考人 私は全然存じません。
  92. 西村力弥

    ○西村(力)委員 第二点は、青森建材の売上代金回収不能の点で、千葉営業部長等内部役職員つながりがあって、それがなかなか実行が困難であり、不可能であった、こういうことがありまするが、この点はどうですか。
  93. 加藤祐三郎

    加藤参考人 お答えいたします。  役職員とのつながりでありますが、役職員とのつながりということをしいていえば、あれは雲野理事が特別に推薦をして、たしか中学の後輩だったと思います。推薦されてきたということしか私は存じません。
  94. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、山本参考人は今の答弁通りでよろしいですか。
  95. 山本多市

    山本参考人 今、非常にこまかく御指摘を受けておりますが、私の根本的に言わんとするところは……。
  96. 西村力弥

    ○西村(力)委員 いや、その一般論はいいです。
  97. 山本多市

    山本参考人 そうですか。それは千葉さんとの関係は、東洋物産その他の背後でございます。
  98. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それは役職員じゃないでしょう。
  99. 山本多市

    山本参考人 これは、私はもちろん加藤さんも深い関係があると思っております。
  100. 西村力弥

    ○西村(力)委員 加藤さん、それをお認めですか。
  101. 加藤祐三郎

    加藤参考人 私は何も深い関係はございません。部長に任命されて初めて会ったくらいですから……。
  102. 西村力弥

    ○西村(力)委員 山本参考人、今否定されましたが、どうです。
  103. 山本多市

    山本参考人 それは見解の相違でございますから、やむを得ません。
  104. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それから、売掛金回収に消極的なものがあって、回収努力を停滞せしめるものがあったということ、これは山中監事をさして言うのだろうと思いますが、回収努力を停滞せしめるごとき人事云々、こういうこともまことに不明朗なことであると思うのでありますが、これについては、加藤参考人、どうです。
  105. 加藤祐三郎

    加藤参考人 特に両前監事について何かあったわけですね。私の承知している限りでは、私もたびたび監事さんのところに参りまして、監事さんの監査の状況なども聞いておりましたから、私は一生懸命でおやりになっておったと思います。それに関する人事は、先ほど申し上げた通り、私はそんな人事でやったとは思ってないのです。満場一致で通っておったんですから、竹内君も……。
  106. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その次は、経理部に書類を回すなと、千葉営業部長が言うたということ、これも山本参考人の供述書の中に書いてありますが、これについてはどうですか。
  107. 加藤祐三郎

    加藤参考人 それは全然私は存じません。しかし、非常に感情的にまで先鋭化しておったということは認めます。私も非常に注意しておりました。
  108. 西村力弥

    ○西村(力)委員 感情的に先鋭化した、その原因は何ですか。
  109. 加藤祐三郎

    加藤参考人 原因はわからないのですけれども、この御審議の過程でも申しましたように、山本参考人は、以前経理担当しておられましたし、当然経理からもそうでしょうし、山本参考人の性格からも、そうでしょうけれども、きびしくやられたことは事実なんです。これはいいことで、何も文句を言われるわけはないんですね。しかし、それは人情のいたすところで、あまりやかましく言われたということじゃないかと思いますが、部下の部長、課長同士でも、少しあれになっていたわけです。何も山本理事にどうこうということよりも、それは人間にありがちではありますけれども、感情的になったということだけは私は否定できないと思います。
  110. 西村力弥

    ○西村(力)委員 山本理事はどうですか。あなたがそのどうこうした、きついことを言っておるから……。あなたが正しいと思って、本気になってやっておるにもかかわらず、向こうが感情的になった、こういう発言ですが、それはどうですか。
  111. 山本多市

    山本参考人 これはお互いの見解の相違でありますが、経理としては、何かそこに経理に言われては工合が悪いから反対するのだろうと思っておるわけであります。
  112. 西村力弥

    ○西村(力)委員 経理としては、そういうことは工合が悪いから反対し、なおかつ感情的にまでなってきたということをあなたはおっしゃっているわけですね。そういうことはどうです。加藤参考人どうです。工合が悪いということはどういうことなんです。
  113. 加藤祐三郎

    加藤参考人 どうもそれが私にはわからないのですけれども、検挙されておりますからね。検挙されておる以上は、疑いを招いたのですから、疑いを招くような行為があったと考えなければならぬわけですね。全体的には当時注意はしておりましたけれども、私はそのころは気がつかなかったわけです。
  114. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それから、会社役員の中において公然と、私は自民党の何派に属する、こういうことを公言しておった方がある、こういうことを聞いておりますが、それは加藤元副総裁、御存じですか。
  115. 加藤祐三郎

    加藤参考人 私は存じません。そういうことはなかったと私は思います。
  116. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それから、自民党東北開発特別委員事務局のある幹部、これが千葉営業部長と密接な関係がある、同人は監督官庁に呼びかけ、私に対し、会社幹部に犯罪ありと称して、犯罪捜査の手段を用いるがごときこともあった、これは営業に対して山本理事が強く究明というか、やった場合、あるいはそれをやろうとした場合、こういうことがあったということですが、これについてはどうです。
  117. 加藤祐三郎

    加藤参考人 お答えいたします。私は存じません。
  118. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次は、この粛正人事に意欲を燃やした場合、「闇夜もあるから気をつけろ」と、会社幹部から脅迫された、こういうことがある、その点はどうです。
  119. 加藤祐三郎

    加藤参考人 それは、たしか前回か前々回かにもございまして、全然私は知らない。私はだいぶ仙台におりましたから、もちろん東京へ出張で出てはきますけれども、私の記憶する限りでは、全然そういう話は、そんなえげつない話は聞いたことがございません。
  120. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それから青森建材東光物産回収に苦労した、その理由は、棟方セメント東北会長、丹野同顧問、これの強い反対があった、そのために苦労をしたのだという、こういう供述がありますが、これはどういうことです。
  121. 加藤祐三郎

    加藤参考人 お答えいたします。  これは丹野という方がたしか顧問になっておられまして、そうして先ほど申し上げましたように、棟方セメント会社反対したと申しましたけれども、一緒になって確かにそれは反対をした。それで私も非常に当時あれしまして、東光物産の改組をさせるためには、どうしても——政治に多少タッチしておられた方ですから、政治と商売は別だ、だからこれはやはりやめてもらわなければいかぬじゃないかということを、強く私申したことを覚えておるのでございます。
  122. 西村力弥

    ○西村(力)委員 いや、しかしこういう会社に直接関係のない人々でしょう。これは商売の相手があった、それが反対している、それを押し切るに苦労する、押し切り得ないということ、それが私たちは百鬼夜行の最たるものだと思うのです。これは一体、そういう人々が、開発会社の正当なる請求を妨害する力がどこから出てくるのか、どうです。これは加藤元副総裁山本理事と両方からお聞きしたい。
  123. 加藤祐三郎

    加藤参考人 お答えいたします。これは山本参考人の御説明が少し私は不足だったと思うのですよ。それは今三福商事とか三つた問題を山本さんから出されて、最初から理事会で問題にしたわけですよ。ところが、担当雲野理事は、一ぺんにやってしまうと東光物産がつぶれてしまう、そうすると、とれるものもとれなくなるから、もう少しおれにまかせてくれ、そうして何とか担保もとれるようにするし、三福ともうまいことやるからということが、再三再四理事会にかかりました際にその話が出まして、そうして、ともかくおれにまかせてくれということで延び延びになっておったのです。それで、決して今お疑いになるようなことではなくて、だれも一もちろんわれわれは相当の大きな焦げつきで前から心配していたわけですから、だからそれは、今のような状況だったのです。それを山本理事が御説明にならなかったようですけれども、そういう当時の状況なんです。
  124. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これは前副総裁から答弁がありましたが、そうしますと、山本さんの釈明書に盛られているいろいろな具体的な問題、今私が指摘したような問題について、これはあなたの被害妄想からきておるのだ、こういう工合にきめつけられるようになりますがね。一体それでよろしいのですか。あなたは、はっきり公式に文書でもってこう言われたのですから。あなた被害妄想でかっかとなってしまってこれを書いたんだ、こうなってしまいますよ。
  125. 山本多市

    山本参考人 被害妄想という考えも、それは出たでございましょうが、私は私の信念で書きました。それは、先ほども千葉加藤総裁とは私以上に関係が深い。それから、丹野実という方は、これはもちろん代議士もされた方でございますから心臓で、それ自体としても相当力を持っておることは事実であります。しかし丹野さんにもやはり背後があります。そういう意味で私は、この問題が解決できなかったということを遺憾に思うのであります。  もう一つそこに言いたいところは、ただいま前副総裁から雲野理事の話もありました。そこで私は雲野理事に対しても非常に議論を戦わしたことがあるのです。ところが、雲野さんはずいぶん幅の広い人ですから、まるくおさめようじゃないか。しかし、これはまるくおさめる問題じゃない。これは見解の相違もございましょうし、そういう意味で実は理事会に提案されてだめになったと思います。三福と同じじゃないかというのが勝澤さんの御質問です。これはその前の日の理事会で大激論をした場面なんでございます。そういう意味において、私は率直にその問題を、この際会社として、もう一丸としてやらなければならぬ時期になってきておるということを申し上げたのです。
  126. 西村力弥

    ○西村(力)委員 あなたの信念でやれるならば信念を通したらどうか。それでなければ、私との今の応答によって、あなたは被害妄想のような一時的な感情でこれを書いたのだときめつけられますよ。ですから、はっきり信念を通す、そこまであなたは踏み切るべきだろうと思うのです。それが、今言われているように、われわれの期待する、またほんとうの意味東北開発再建のいしずえとなり契機となる、こういうふうに考えるので、私は強くそれを要望したいのですが、いかがですか。
  127. 山本多市

    山本参考人 私は、ここで刑事被告事件のようなこまかいことまで言う必要はないと思っております。それはその場所に行ったら言いましょう。先ほどの企画庁の某有力者、これも現にちゃんとおります。出るところへ出れば言いますが、ここではそういうことまで言うあれはないのじゃないか。ですから、おそらく先生から私は誇大妄想と見られればやむを得ませんが、でも別に何でもありませんが、ちょっとここで申し上げたいことは、具体的な名は申せませんが……。
  128. 鈴木仙八

    鈴木委員長 山本さん、ちょっと待って下さい。あなた、ここでは申し上げられないと言うが、あなたのおっしゃることは、どんなことでもおっしゃっていただくように取り計らっているのですが、そう当委員会を軽々に考えられては困りますよ。あなた、かりに何にでも幾つかの理屈があるというように——こういう大きな問題を引き起こして、いろいろ加藤さんも率直に言われておりますが、いろいろあなた方の方では——あなたばかりじゃなく、何か決算委員会のこういうふうな問題に対して、自分たちに相当の理屈があるというふうにいいふうに考えておっしゃっておりますけれども、今のような、出るところへ出ればというふうな——それはあなたの見解でしょうが、ここであなたがああいうふうな釈明書まで出したことを委員会は取り上げて、あなたに朗読をさせているのですから、勝手なときには、べらべらおしゃべりになって、そして重要な問題はちっとも言えないというのでは、東北開発会社をほんとうによくするという意味になりませんよ。あなたも同じようなふうに見られますよ。清廉とは思いませんよ。はっきり一つ答弁願います。
  129. 山本多市

    山本参考人 今、私の発言は、非常に誤解されたわけでありますが、やはり御信用願うにも限界があると思います。私は、釈明書に書いたことはもちろん責任を持ちます。そういう意味で、あまりこの審議に御迷惑をかけない範囲でという考慮でございます。誤解のないようにお願いいたします。  そこで、今中途で委員長から御質問でございましたが、これはやはりその背後にはある政党の方がおるわけであります。
  130. 西村力弥

    ○西村(力)委員 山本さんにこれ以上その点踏み切っていただくことも不可能なようでございます。私たちも、いささか人間としては無理のような気もないわけでない。それでその程度にとどめたいと思いますが、企画庁に僕は言いたいが、今も僕が言うように、現に人事更迭で粛正しようとする場合に、あなたの方が強く反対した。ところが、それは前任者の問題で私は知らぬとおっしゃる。しかし、公式にこのように監督官庁の圧迫ということを指摘されたら、それについて直ちに調査するということが必要であろうと思いますが、調査していないのか、知っておっても黙っておるのか、知らぬのか、どうなんです。
  131. 浅間一彦

    ○浅間説明員 経済企画庁の監督系列の中には、上は総理大臣から私どもに至るまであるわけでありまして、どの段階の方がいつごろどういう場でおっしゃったのか、その辺についてつまびらかにしていないことを御答弁申し上げまして……。
  132. 鈴木仙八

    鈴木委員長 警察庁刑事局長に出席いただいておりますので、この際勝澤委員に御質疑願います。
  133. 勝澤芳雄

    勝澤委員 刑事局長にお尋ねしたいのですが、私は東北開発株式会社の決算につきまして、決算委員長の報告に基づきまして過去数回にわたって質問してきたのでありますけれども、実は調査をすればするほど複雑怪奇な会社内容にあきれているわけです。なお、現場の東北の人たちからは、大へん貴重な意見が私のところに寄せられておりまして、実は驚いておるわけです。また、ここに御出席をいただいておりました前理事雲野さん、また今の理事であります富塚さん、こういう重要な仕事をしてきた人たちが、今容疑者として取り調べをされておるようであります。まだ捜査は続けられておるようでありますし、私の大へん至らない調査でありましても、その資料によりましても、まだ相当不明確な部分がたくさんあると思います。万一これが、なまはんかな形で捜査が打ち切られるということになれば、それこそ東北一千万の人たちの不信はますます高まるでありましょうし、なお東北開発再建すら私は不可能だと思う。  そこで、相当部分について実は疑問を投げかけて質問をして参りました。しかし、その結果参考人同士の重大な意見の食い違いがありますし、それは単なる決算委員会調査参考人としては困難であります。しかしまた、証人として調査すべきだとは思いますけれども、やはり決算委員会としてのある程度の限界があろうと思うのであります。従って、私はこれ以上の問題については別の機会に、別の形で調査を進めたいと存じておりますが、聞くところによると、今捜査当局として現理事、前理事を含めて、収賄側が七名、業者側が十三名、いろいろお取り調べになっておるということでございますので、一つどういう人がどういう容疑で逮捕され、あるいはお取り調べ、あるいは起訴されておるか、こういう点について、捜査に支障のない範囲でお聞かせ願いたい、こう思うわけであります。
  134. 新井裕

    ○新井政府委員 飛び飛びになりましてお聞き苦しいかとも思いますけれども、総ワクは御存じのようでありますから、項目別に分けてお話しをいたします。  第一は、セメント販売代理店の契約並びに販売代金回収をめぐる不正事件でありまして、これにつきましては千葉不二男が収賄者、贈賄者は東光物産矢野商事、いわゆる東光物産の青砥信夫、八木洋太郎、矢野商事の矢野栄作ということでございます。これはこの四名ともいずれも起訴されております。そのほかに同じ事件で石田長蔵、これも起訴されております。  それから、第二のグループがセメントの製造機械の納入をめぐる不正事件でありまして、これは収賄側は石田長蔵、それから雲野午三、竹内正光、贈賄側は森岡興業専務の森岡謙次、江商の営業部員の浅岡高義、中塚工業の榎戸良平、これは起訴になっております。それから日本コークスの北口利男、同じ日本コークスの大友要。  それから、第三のグループになりますが、助成会社に対する助成金融をめぐる不正事件でありますが、これは収賄者側が鈴木精七、これも起訴になっております。贈賄者側が東興石灰の松浦磐城、これも起訴になっております。  それから、第四のグループが土地造成工事をめぐる不正事件でありまして、収賄者側は石田長蔵、富塚誠、雲野午三、この三人であります。贈賄者側が本間組の本間石太郎、新田建設の油井和夫。  それから、三倉鉱業、これは第五のグループに属するわけでありますが、三倉鉱業の鉱区の買収をめぐる不正事件で、収賄者側は東山昌美、贈賄者側が三倉鉱業の草野忠雄、同じく助川直人、以上であります。草野は起訴になっております。
  135. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで一つだけちょっとお尋ねしたいのですが、三倉鉱業の関係会社側は東山だけですか。もっとほかの情報なり新聞によりますと、もう一人書かれておりますが、その点どうでしょう。
  136. 新井裕

    ○新井政府委員 ただいまのところは東山だけでございます。ただお断わりを申しておきませんといけませんのは、この十三名の贈賄、七名の収賄ということでありますけれども、今申し上げましたのは、逮捕して取り調べをしている者を申し上げたのでありまして、任意で取り調べをして、取り調べの進展に伴ってさらに新たな措置をとるかどうかきめかねておる者は入っておりません。
  137. 勝澤芳雄

    勝澤委員 刑事局長に対する質問はこれで終わりまして、それに関連をして副総裁以下にちょっと質問をしたいのです。  そこで、今の捜査の状態に対する理事会関係を少しお尋ねしたいのですが、助成会社に対する融資の関係でございますが、これは東興石灰に千八百万円の融資をした、これに伴うものであるわけでありますが、これはむろん理事会にかけ、監督官庁の承認を受けておると思います。いつの理事会で、それからどんなふうな形になっておりますか。山本さんおわかりにならなければ監督官庁でよろしいし、監督官庁でおわかりにならなければ、これは、東興石灰の社長はたしか本郷さんですから、本郷さんが社長で、その下の常務が関係しておるのですから、その点でもしおわかりになりますれば御答弁願いたいと思います。
  138. 本郷寿次

    ○本郷参考人 私は社長をいたしておりますが、社務は三月ごろから一切タッチしておりませんので、実は今度の事件の内容も具体的にわかっておりません。今御質問の件は、おそらく前から話は何かあったようでございます、その事業について。しかし、その決定は、山中さん、新役員になってからでしょう。——われわれがやめた後の理事会でございますので、山中さんから一つお聞き願いたいと思います。
  139. 山中徳二

    山中参考人 東興石灰に対します融資は当社からいたしておるのでございませんので、東興石灰が珪岩の開さく事業をいたしますので、それを買い取ってもらいます先の東邦産業に珪岩を販売するわけでございます。その東邦産業から千五、百万円の融資を受けておりまして、その債務の返還につきまして当社が保証をしておる、こういう関係になっております。
  140. 勝澤芳雄

    勝澤委員 理事会はどういう形で……。
  141. 山中徳二

    山中参考人 これは昨年の十二月の二十五日の保証契約でございまして、当時予算折衝等の関係もありましたので、持ち回り理事会と申しますか、全理事の判をいただいて、持ち回り理事会でこの融資の保証の承認を得た、こういう手続をとっております。  〔木村(公)委員監事はタッチして   おるのですか」と呼ぶ〕
  142. 山中徳二

    山中参考人 監事は一々の契約についてタッチしておりません。
  143. 勝澤芳雄

    勝澤委員 担当理事はだれですか。
  144. 山中徳二

    山中参考人 担当理事と申しますか、総務は私が担当しております。
  145. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、この融資を受けたときには、本郷さんはやはり社長なんですね。
  146. 本郷寿次

    ○本郷参考人 私昨年退任いたしましたときに辞表を出してございましたので、その後は会社の方におまかせいたしてありましたが、先日ちょっと御説明いたしましたように、いろいろ仕事をしておる現地の重役とはいろいろ話があって、私が知らないうちに延長されておりましたが、一切その仕事にはタッチしておりませんので、詳しい内容は存じておりません。
  147. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この容疑の内容は、新しい役員が改選をされてからの融資に対する問題なんですか、山中さん。
  148. 山中徳二

    山中参考人 取り調べの内容ははっきり承知しておりませんが、珪岩採掘を東興石灰が始めたいという話はかなり前からありましたようでございます。その関係で当時の助成課長が、東邦産業なり東興石灰の間に立ちまして、いろいろ奔走しておったわけでございます。この間に、そういう努力に対してと申しますか、そういう関係によって会社法違反になったと思いますが、いつごろ金銭の授受がありましたのか、その点はちょっと承知していないのでございます。
  149. 勝澤芳雄

    勝澤委員 結局、事実が明確になりますと、一課長がかりにやったとしても、その結果については、理事会が承認をしているわけですね。ですから、そういう点では理事会が融資を承認しているわけですか。
  150. 山中徳二

    山中参考人 融資に対する保証を承認しておるわけであります。
  151. 勝澤芳雄

    勝澤委員 理事会が融資に対する保証をしている、その下工作がどうなっておったかわからなかった、こういうことですね。
  152. 山中徳二

    山中参考人 はい。
  153. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで次の問題は、酒田の大浜地区の問題です。酒田の大浜地区の問題は、前回私が本間組の問題を申し上げました。これは三十四年十二月十六日の理事会にかけ、翌年の二月三日、二月二十五日、十二月十七日、こういう形で理事会でかけるたびに予算が上がっていったわけです。かけるたびに予算が上がっていって、今容疑になっているのは、設計変更なり入札なり、そういうのに便宜をはかってもらったという容疑で、今事件になっておることは御承知の通りです。理事会がもし正確にそういうものについてもっとメスを入れて事実をお調べになるならば、こういう事件というものは未然にわかるはずなんです。これこそ私は理事会——監事を含め、あるいは監督官庁を含め、明らかに重大な責任があると思うのです。加藤前副総裁、どういうふうにお考えになりますか。
  154. 加藤祐三郎

    加藤参考人 お答えいたします。  この前の前でございましたか、その問題が出まして、先生御承知だと思いますが、第一回に施行したものが、できたかできないときにこわれたわけです。そこで、こわれたときに、責任追及といいますか、真相の調査を、この前申し上げたように私はやったわけです。   〔委員長退席、木村(公)委員長代   理着席〕  結局そのときは、社外の専門家の意見も聞きまして、土地としては不適当だ、ああいう三角地帯で土地造成をするのは、どちらかというと不適当だが、工事の設計そのものとしては責任を負わせるというところまではいかぬだろうということです。それから、工事の施行についても、格別えらかったとまでは言えないということが当時の結果でございました。まことに残念ながら不可抗力というふうになったわけであります。そこで、それに基づいて今度はどうするかということは、日本海岸のものは、ものすごいあれがくるところがあるのですね……。
  155. 勝澤芳雄

    勝澤委員 答弁中ですが加藤さん、私はそれを聞いているのじゃないのです。あなたたちが眼光紙背に徹しておったら、こういう事件は起きなかっただろう。あなたの言っているのは、だれか石田さんか富塚さんですかが説明されたのを私はここで聞いているのではない。それは言いわけだ。理事会がこんなに何回も開かれるようなことになったならば、理事会の中で責任者——重大な金額なんですから、今でき上っているのが売れるか売れないかということは、高過ぎてわからぬ、こう言われているのですから、それすらわからなかった、そのわからなかった責任というものは、あなたはお感じになっているかということを私は聞いているわけです。富塚さんや石田さんがやられた理事会の説明を私はここで聞く必要はありません。
  156. 加藤祐三郎

    加藤参考人 わかりました。先生仰せの通りです。今事件になっておるとすれば、不正があったと考えなければなりませんから、それを見通し得なかったということは、全体として研究が足りなかったということは率直に認めます。仰せの通りだと思います。
  157. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから砂鉄の問題ですが、砂鉄の埋蔵量の問題は今もって疑問になっております。案の定、砂鉄で三倉鉱業の社長、それからこちらの方は今出ておるのは部員の東山さん——しかしまた、伝えられるところによると、企画調査部長責任者である富塚さんも砂鉄に関係があるのじゃないだろうかということがいわれております。事実はよくわかりません。しかし、片一方は社長ですから、一部員で二十八才の東山さんとつながるということは、あまりにもおかしいと思います。ですから、これを考えてみますと、この砂鉄の問題についても、また理事会においてやはり不十分な点があったということを私は言わざるを得ないわけです。あるいはまた、東光物産矢野商事売掛金がなかなかとれなかったという問題、そうしてここで明確にできない背後の関係と言われた山本さんのことを裏づければ、まだまだ根の深いものだということが明確になると思います。  あとで西村委員からも質問がありますので、最後に申し上げておきますが、あなたはさっき四つの項目を言われましたが、そんなきれいごとでは東北開発再建できないですよ。あなたがこの四つのことしか言っていないということでは、ほんとうに東北民として東北を愛するという気持というものは私ははまだまだ不十分だと思います。まだまだあなたから聞かなければ、東北の問題について真相がつかめてこないと思います。  なぜ私がそういうことを言うかというならば、ここに渡辺前総裁が十回にわたって談話を出されたという河北新報の切り抜きがあるんですよ。これを見てみなさい。いかに政争の泥沼の中でまみれまみれてやってきたかということが、みんな名前まで書いてあるじゃないですか。ここに書いてある。今背後関係と言われた渡辺さんが、堂堂と功成り名遂げて、もう大丈夫だろうというところで、あとの総裁に引き継ぐためには、やはり東北開発の創業期の苦労を残しておくことがよいだろうということを、あなたはお読みになっていないでしょう。いないほどあなたは東北開発について、やめたあとの熱情がないのですよ。私のようなものでさえ、とにかく東北開発というものが一体今日までどうやられてきたか、東北のありとあらゆる新聞を全部見ましたよ。そうして東北開発がどんなことになっておるかということを調べてみました。驚くじゃないですか。第一の問題は人事の問題、事業は人だといわれております。その人が、私はあえて言いますけれども、渡辺前総裁が、何とかして自分の腹心をということを先輩から言われて、雲野さんと富塚さんを選ばれた。そうして外から入れようとしたけれども雲野さんは理事になったが富塚さんは理事にならなかった。だから理事待遇の仕事を与えた。そうして雲野さんを副裁総にしようとしたのじゃないかということで、あなたが副総裁の点で妨害したとかしないとかいうことで、総裁、副総裁というものがどうも仲が悪くなったのじゃないかといわれております。これは私の推定です。あなたは、東京群と仙台群の主流派、反主流派の争いだ、こう言っております。それに基づいて自民党の東北開発の特別委員会の人たちがみんなくっついて、そうして東北振興について努力をし協力をしてくれたと言っておる。人事はどうなったかといえば、ちゃんとここで前の総裁が言われております。会社の社員は、むろん役員政府の任命でありますが、職員は大体三分の一が旧東興時代からきた人、それからあとの三分の一くらいは官庁であるとか各方面から入って参りました人、あとの残りは各方面からの御紹介あるいは御推薦できた人々であります、とにかく、こう渡辺前総裁は私の質問に対して答弁しておるのです。その人の問題で今日なおかつまだ派閥人事、ひもつき人事だといわれる人事が続いておりますと、今山本さんの新しいメモには書かれております。書かれておるでしょう。富塚さんを入れ、理事にするならば、おれの方からも理事にしなければならないといって青木さんが今理事になった、こう言われておるじゃありませんか。こういうことを明確にあなたが言い、政治のひもつきの中で、泥沼の中でやられてきた旧東興時代があのような状態になった。今なおそのようになっている。それをここで何とかしなければならぬ。そのためには、ひもつきになっている人たちについては、大へんお気の毒ですけれども、自発的にやめてもらわなければならぬ。それじゃ今の藤山長官のもとでやめさせることができるか。これも困難ですよ。それほどからみ合っている人事です。これはもう私が言わなくても、あなたがよく知っている。こうからみ合っている人事は、池田総理ができるかどうかも私は疑問だと思う。  とにかく、ここに政治のうみがみんな寄り集まっている。せめてその寄り集まっているのを、東北の一千万の人たちのしあわせを願い、ほんとうに東北開発というものをやるならば、あなただってここでからだを投げたらどうです。もっと投げて真相を明確にしたらどうですか。かりに片寄ったと言われても、渡辺前総裁がこう言っているのです。名前が全部出ています。代議士の名前が全部明確に出ています。どういうふうになっているかということは、これは筋を引けばみなはっきりするじゃありませんか。こうなっていっている一番の問題は、何といっても人事ですよ。二番目の問題は、大体資格のない経済企画庁が監督しようといったってこれは無理なんです。仕事をやろうとすれば、どこへ行くかというと、みな通産省の許可を受ける。通産省は、民間を圧迫してはいけないから、事業認可は延び延びになっているわけです。そうしてまた国の予算もそうでしょう。時の経済企画庁長官に頼まなければならぬ。経済企画庁長官だけではだめだから、東北開発に熱心な人たちにやってもらわなければならぬ。血みどろになってこの東北開発というものは、とにかく政治の中で努力をしながら、その努力というものは、片一方で人事の面につながっているわけです。そしてたまたま汚職という問題が出ているわけです。個人の汚職か、あるいはその汚職がどこにつながっているかは、これからの発展でありましょう。だれが何と言っても、それがつながっていないとはだれも言えぬですよ。言えないほど複雑怪奇なものなんです。それをあなたがここできれいごとばかり言っておって、私は東北の過去の経験から言っても、何もならない。あなたはもうやめたことであって、今はもう何もされておらないようでありますし、なおかつ、やはり東北開発をこの際ほんとうに東北の一千万の人たちの輿望にこたえるものにするためには、どうしたらいいかということを、もし真剣にお考えになるならば、やはり私は、あなたが堂々と建白書でもあるいは何でもけっこうです、よくお考えになって、この委員会にお出し願いたいと思うのです。  私はそのことで経済企画庁長官を叱咤激励して、うずくまっているいろいろな問題を洗いざらいしなければならぬと思う。また、もしそれができないならば、まだまだ捜査が続きますし、われわれはまた決算委員会として独自の立場で、このようなたくさんの血税がほんとうに一千万の東北民のために使われていないという事実をもう少し明確にして、あらゆる形で反省を求める。やはり株式会社本来の目的——あるいはたくさん作られている株式会社というものも、必ずや私はこういうととは行なわれていくと思うのです。それを防がなければ、これはやっぱり重大な問題だと思うのです。私は言いっぱなしですが、あなたがもし私の申し上げたことについて少しなり賛成ができるならば、ぜひいずれかの機会に、あなたの心境を伝えたものをわれわれ決算委員会に出していただくことを、私は要望いたしておきます。
  158. 木村公平

    木村(公)委員長代理 西村力弥君。
  159. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ただいまのにちょっと関連しますが、酒田の大浜地区の土地造成の問題でありますが、それについて、これは質問じゃありませんけれども、前回松本理事は、本間組に請負させたのは県側と相談した、こういう工合になっておりますが、県側としては、県会開会中で、その公式の場で、そういうことは一切受け取りませんということを言っておりますから、その点ははっきりしておかれたらよかろうかと思うのです。私はそれはどっちかわかりませんけれども、それは松本理事が言ったのですから……。これはそれだけにしておきます。  ところで、この大浜地区で一番問題になるのは、私たちとしては、あの風浪のために仮の防潮堤がくずれたということ、これを不可抗力と認めた、そして全部会社側がこれを負担したということです。これが一般の民間会社でありますとそう簡単にはいかない問題じゃないかろうかということなんですよ。それは勝澤委員が前回に指摘しましたが、理事会では何ら論議もなく、すらすらと予算の増しを、通しておるというようなことでありますが、一体そういう工合に不可抗力と断定したことは、どういう根拠に基づいておるか。加藤総裁はさっそく現地に飛んで心配して調査をしたということになっておりまするし、また山本理事経理面から、そんなに莫大な金をつぎ込んだら、今度は単価が上がってしまって売れやせぬし、また、金をそんなに払ってはたまらぬという立場があるだろうと思う。それでもなおかつ不可抗力と見た。監事としましても、書類を出すときには、ほんとうに全役員が真剣にこの問題を検討して、やむを得ないという決断は、最後の最後に出されたと思うのですから、監事としても、この点については十分に責任ある検討をしただろうと思うのですよ。そういう工合にして、なおかつ不可抗力と認めざるを得なかった根拠は何であるか、御三人に一つそれを述べてもらいたいと思います。
  160. 加藤祐三郎

    加藤参考人 お答え申し上げます。  前々回、勝澤先生の御質問の際に申し上げたと思いますが、設計は建設省の新潟にあります……(西村(力)委員「それは聞いてますからよろしいです」と呼ぶ)まあそういう設計だったのです。そこで、社外の、今ちょっと名前を忘れましたが、宮城県の土木部長、それから今民間におるのですが、この人はああいう海岸のこと、ことに日本海岸のことをかなり仕事をやった経験があるということで、建設省の方でも、それから当時の宮城県の土木部でも、権威者だろうというので、特に来てもらいました。そして聞きました。それから地元の県の土木部の方の人の意見も聞いたわけです。その結果、今のように非常な金をかけてうんとこ高くすれば別ですけれども、そういうことは事実上売り値の関係でもできなかったといろ点で、工事として、ないしは設計としては、まあ不可抗力と認めざるを得いと中いうことなんです。  それから、今先生がおっしゃいました、私、正確に覚えておりませんが、金は全部、そのこわれたによる直接の損害は、たしか五百万円ですか、半分は、会社にも話をしまして、請負先に持たせたはずであります。しかしその額は……(西村(力)委員「その半分は何ぼですか」と呼ぶ)これは前々回のどなたかの答弁——直接のは全体で約五百万円、そのうちの半分ですね。それは金額はわずかでございますけれども、その点は……。
  161. 山本多市

    山本参考人 これは経理立場からでございますが、当時あれは二万坪程度だから採算にならぬだろうという議論がずいぶんありました。しかし、結論としては、各地区の開発上必要だということできまったと記憶しております。その後二万坪の問題がああいうことになりましたが、それは波殺しで、本来はよほど厳重にやらないとできない問題だ、ここに一つの不可抗力の問題があったようであります。  それから、一つは、内部の問題でありますが、これは雲野理事からの発言でございましたが、あれにはわが社のセメントを実は使っているのです。そこで、その問題で、実際そのセメントはいいんだ、いいんだが、これをもしいろいろな理屈をつけられると、全体に非常に影響する点もあるのだということが実はあったのでございます。しかし、形式的にはその問題は決してどこの問題でもないのだというような点がございました。そこで私どもといたしましては、波殺しをやるには、今度は非常に大きなテトラポットと申しますか、それを厳重にやらないとできないということになったわけです。それではやめるかどうかということになったわけです。そこで、しかし地方開発のためにできたものだからやろうではないか。しかし、それには一つ条件がある。県はもう少し協力すべきではないか。そこでだんだん迫ってきますから一万五、六千坪になっちゃうんですよ。うしろに何とか物産というのがございますが、それの配置がえをしていただいて、わが社に協力すべきだということは、理事会総力を上げて県に交渉すべきだ。そしてわが社の採算が立つように、しかしてまた、酒田港がいくようにということで問題はきまったと記憶しております。
  162. 山中徳二

    山中参考人 私が理事会等で聞きました説明によりますと、あの場所の設計につきましては、波高一・五メートルにたえる護岸ということで、山形県及び第一港湾建設局の専門家に設計をさせましたところ、あの場所が長く港の入口にありましてほってありましたのは、要するに、今話がありました波殺し場として特別の構築物によりますと、激浪が起こるということの予測が不十分であったのではなかったかと思います。その後、設計変更では、これを五メートルに上げておるわけでありますのと、当時季節的に非常に激浪でございました。そのために、あの災害はまず不可抗力と見てよろしい。ただ、結果から見ますと、やはり工法などを護岸に近い方から先にやっておったならば、被害も大きくならずに済んだんではないかというようなことも、結果論的に考えられます点もありましたので、護岸の直接損害四百八十万円を折半して負担するということにきまりましたように承知しております。
  163. 西村力弥

    ○西村(力)委員 山本参考人山中参考人のお話は、設計の不備ということですが、テトラポットが軽かった、あとでは六トンのテトラポットにしていますね。だからそういう点はやはり設計の不備というか、見通しが足らなかったというか、山中参考人もそういうことですが、そうしますと、それは一体不可抗力という断定と結びつきますか。大体酒田の方面は風速十三メートルなんというのは、まあ普通だといっていいくらいに風が強いところなんです。  〔木村(公)委員長代理退席、委員長   着席〕 そういう設計をしてそれを承認した、そういうところに一番問題があるという工合に仰せられたが、そうすると、これは不可抗力ではないという工合になるんじゃないですか。また、私の聞いておるところによりますと、あの際設計書にはうしろにぐり石をたくさん置いて、水がオーバーして裏側からえぐられるのを防ぐという設計書であったのです。ところが、そのぐり石を据え付けることが手抜きされておったということも聞いておる。そうすると、これは設計書に反する手抜きが行なわれていた。たまたまそこがそういうことのために倒れた。そうすると、設計書の不備な点を認めたという問題と、また、工事施行者が設計書通りに事をやらなかった、こういうような問題が出て参るわけなんです。そういう点、私としましては、ああいう事故というものを不可抗力という工合に断定するということがあまりに軽く扱われておるのではないか、こういう考え方をせざるを得ないわけなんですが、時間もありませんから、次に移ります。  ところで、あの大浜地区は、最初泥をあげて埋めるということであったが、それが不可能になったために、よそのところから土砂を持ってくる、こういうことで、設計書によりますと、高砂地区から一万五千立米持ってくる、その他からも持って参りまして、全体で六万五千立米運ぶのだ、こういうことになっております。ところが高砂地区からは三万立米運んだ、こういうことを私は聞いておるのです。そうしますと、高砂地区の整地の設計書というのは一万五千立米払われたんじゃなくて、三万立米払われたもの、こういう設計書によって請負契約が行なわれなければならない。それを一万五千だけ高砂地区から大浜地区に運ぶ、こういうことにして一万五千運んだものを運ばないとして高砂地区の請負をやれば、それだけその業者を利するということになるわけです。そういう関係はどういう工合になっているか。皆さん方おわかりにならないかもしれませんが、企画庁ではどうですか。お知りであったならばそれをお聞かせ願いたいと思うのです。この点につきましては、会計検査院も後日検査をなさるでしょうが、一つの話で私も確信を持って言うわけじゃございませんけれども、こんな問題が許されているというところに問題があると思うので、一応提起しておくわけです。お知りの方はどちらからでも一つお話しを願いたい。
  164. 浅間一彦

    ○浅間説明員 ちょっと詳しいことはわかりかねます。
  165. 西村力弥

    ○西村(力)委員 理事者の方おわかりになりませんか。——それじゃそれは後日の問題にいたしておきたいと思います。  最後の問題でございますが、山本参考人の、セメントのから売りの問題あるいは秋田木材との土地の売買契約の問題、こういう点に対する釈明書についてでありますが、まずその点については会計検査院にお尋ねをしたいと思うのです。  山本参考人は、会社経理に対する個人的見解として、日本ゼオン、秋田木材に対する土地の売り上げ時期は、正式契約書が作成された日でなく、工事の進行工合によって利益に計上すべきである、すなわち、工事進行基準にあるべきであるとして、逆に会計検査院指摘が不適当であるかのように主張しているようであります。また、セメントのから売りについても、出庫基準でなく、契約基準にあるべきであるとして、会社の決算処理の正当性を主張しているかのようであります。会計基準の適用については、個人的には各人各様の見解を主張されることは何も問題はないわけでありますが、当決算委員会としましては、山本参考人経理担当理事として、個人的見解ではなく、決算書作成にあたっては、会社経理規程等の準拠すべき基準に従って忠実に決算業務を処理したかいなかを問題にしているわけなんであります。会計検査院は、これらの基準に照らして、会社の決算は不適正であったと指摘していると思うが、どうでありますか。山本参考人は、会社に対する個人的見解をもとにして、まっ正面から会計検査院に対し反論しているように思われるのでありますが、この際詳細に会計検査院の見解を承りたい。
  166. 平松誠一

    ○平松会計検査院説明員 まず最初に、セメントの売り上げ計上の時期についての問題でございますが、山本参考人は、契約の時期をもって計上しても差しつかえないのじゃないか、しかも、経理関係におきまして、販売がどの程度に販売されておるかということを早く掌握するためにも、契約の時期が適当であるというふうな弁明書になっておると考えております。この点につきましては、一般の企業会計の原則によりますと、製品の売上高の損益の計上の時期をいずれにするかということにつきましては、引き渡しの時期をもって損益計上の時期と見るというのが一般の取り扱いでございます。従いまして、会社経理規程におきましても、その七十一条におきまして、引き渡しの時期をもって計上するということを明文にうたっておりますので、その規程に反するばかりでなく、一般の会計処理の原則からいたしましても、引き渡しの時期をもって計上すべきものであるというふうに考える次第でございます。  なお、山本参考人の見解によりましても、同じ営業年度の分については、一部は引き渡しの時期をもって計上し、一部はそうした契約の時期をもって計上するというような、同じ年度におきましても統一的な方針にはよっておられないわけでありまして、しかもまた、三十六年営業年度におきましては、また引き渡し主義に戻っておるというような、継続性の原則が一貫しておらないという点がございます。  それから、次は、土地造成の関係の損益の計上時期の問題でございますが、これにつきましては、山本参考人は契約の合意があったという時期で計上する。その理由といたしましては、一つには、工事進行基準というものがあって、そういうものでそうした計上の仕方を認めておる。もう一つには、東北開発株式会社資金難であったために、土地売買等によって一刻も早くその資金の調達をはかる必要に迫られておったというような事情からして、そういった処置をされたというふうに述べておられるわけでございますが、この工事の進行基準が適用されますのは、二つの条件が兼ね備わった場合に初めて妥当であるというふうに考えられます。その一つは、たとえば建物なりあるいは土地の売買にいたしましても、その売買の相手方がはっきりきまり、その売買の請負金額もはっきりしておるということ、それからもう一つの点は、工事をする期間が長いので、工事が完成いたしましたときに利益を計上いたすといたしますと、その工事にかかりました経費と、それから経費に対応いたしまして利益というものが発生していくわけでありますが、その経費と利益との対応という点から見まして、完成したときに一時に利益を計上するということは不均衡になるではないかという点を考えまして、工事進行基準によりまして、工事の進行の度合いに応じてその期間の利益を計上することが認められているわけでございます。ただいまの秋田木材、日本ゼオンの関係におきましては、そういった第一点の契約が、明確にはまだ年度末には成立しなかったというふうに私どもは見ておるわけでございます。何がゆえにそういうふうに見たかということは、先般来二、三回にわたりましてその理由は御説明した通りでございます。  それから、次は資金難を解決するためにそういったことも考えられるという点でございますが、秋田木材に対する土地の売り払いの点につきましては、実際契約が成立いたしましたのは三十六年の五月十日でございまして、このときに手付金といたしまして現金で五百万円、それから約束手形で五千万円、これをとっておるのであります。現金の五百万円については、この間もお話のありましたように、資金難関係もあって、三月三十一日にさかのぼって利子の八分をとるというような約束がしてあるということでございますが、それほど資金難ならば、その五百万円については、現金が入りましたときにすぐとるべきものでございますが、その点は何もとられておらない。あとの五千万円の約束手形につきましては、これはすぐに決済をしないというような約束になっておりまして、三十五年度におきまして、それが資金面で何らのプラスにもなっていないという点があげられるかと思います。  以上の点から申しまして、検査院は検査報告に掲げてある通りの見解をとっておる次第であります。
  167. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に、企画庁に対してお聞きいたしますが、会社会計処理基準として、セメントの売り上げは出庫日、土地については正式契約書作成日となっておると思うが、その通りでありますか。
  168. 財前直方

    ○財前説明員 規程は先生のおっしゃる通りになっております。
  169. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますと、今会計検査院が言いましたように、セメントの場合は、売り上げは出庫日、そういうことだというのは経理規程にある。他の土地についてこれは企画庁の指示であるか、理事会の申し合わせがその通りになっておるのか、その点はどうですか。
  170. 財前直方

    ○財前説明員 ちょっと御質問の趣旨がよくわからなかったのでございますけれども、当方からそういうふうな決算をしろというような指示はいたしておりません。
  171. 西村力弥

    ○西村(力)委員 加藤前副総裁にお聞きいたしますが、セメントの売り上げは、先ほど申し上げましたように、会社経理規程にはっきり明示されておる。ところが、土地は新しい事業でありますから、これをどういう基準に従って会計経理をするかというようなことは、これは正式契約、そういうことを基準にして扱う、こういうことは理事会としてはっきりこういうことになっておるはずでありますが、どうですか。
  172. 加藤祐三郎

    加藤参考人 お答えいたします。  ほかの問題もそうですが、土地の問題にいたしましても、契約すれば売買契約でございますから、それは先生のおっしゃるような原則であることはその通りであります。今の御質問になっております秋木の土地の問題は、何べんもここで問題になったが、私どもが受けた報告、従ってそれに基づいて理事会が審議した報告は、事実上ほとんど契約ができることになっておるのだということで私の方は取り扱っております。
  173. 西村力弥

    ○西村(力)委員 企画庁監理官は、経理基準はそういうふうになっておるとはっきりおっしゃっておる。指示はしたことがないということでありますが、そうすると、そういう基準によって経理すべきだということは会社の内部においてきまっておる、これは何に基づいて言っておるのか。加藤前副総裁に聞きますと、理事会でそういう経理にしようということに申し合わせをしたような内容でもないようでありますが、そういう点はどういうことになっておりますか。
  174. 財前直方

    ○財前説明員 あるいは御質問の趣旨をとり違えておるかとも存じますが、土地造成につきましては、前のときに日本ゼオンの件がございましたので、非常に企画庁といたしましては危惧いたしておりまして、こういうことを二度と繰り返すことのないようにはっきり会社の方に申し、なおかつ、利益金処分の形で私どもは認可いたすわけでございますけれども、その場合に、提出される決算書類その他の作成にあたって、契約書がはっきりあるということを前提にしております。しかも契約書は、会社の方からはっきり提示をしていただきまして、見せていただいて、確認いたしております。  〔委員長退席、小川(豊)委員長代   理着席〕
  175. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういたしますると、今のお話は、日本ゼオンの前轍にかんがみて、正式契約書によるべきだということを指示したということと何ら変わらないはずですね。
  176. 財前直方

    ○財前説明員 そうでございます。
  177. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今の企画庁の言われたことと、山本理事は御承知ですか。すなわち、もちろん経理規程で物品の販売は出庫主義によるべきだと規定されておる。それから規程にはまだないけれども、土地造成の場合には、正式契約に基づくべきだ、こういう指示があった。こういう二つのことについては御承知になっておられただろうと思うのですが、これは時間がありませんから、詳しくは要りません。
  178. 山本多市

    山本参考人 私は前提に、官庁がきめた規程はないんだ。だから、わが社の規程を了承しておるだけだ。そこに、ある意味の日進月歩が、進み方があるんだ。だから私は、そこにも書いておきましたが、おのおのの会社によってやり方は違うということを申し上げておる。それで、会計検査院としては、一般的なことで、それはごもっともだと思う。それで私どもの方は、ああいう土地造成に関しては、規程にないから、そこでどういうことによるべきかということは、やはり国策会社の性格によるべきだ。もちろん、商品については、一応規程があって、引き渡し主義ということになっております。しかし、これは改正したいというのが私の考え方であります。そういうことで契約というものをおのおのの違い方でやるんだ。それで私は償却のこともそこに書いておきましたが、全体として見てやらなくちゃだめだということを申し上げておるのです。
  179. 西村力弥

    ○西村(力)委員 あなたは御承知になっておられたわけですが、そういう規程とか指示というものを守って経理するということが、あなたの責任というか、任務というか、そういうものではありませんか。それを個人的見解で、そのつどそのつど変更してよろしいと思うかどうか。
  180. 山本多市

    山本参考人 ただいまの言葉は、私はこの補足説明にその趣旨を書いておきました。それは、まだそういう未熟なものなので、お互いに意を尽くしてやるべきだ。しかし、きまったことは守っていきたい。それでいいとも限らぬ。こういう問題は、こうしたらどうでしょうかということをお伺いを立ててやるべきだということを、ここに書いております。従って、私はきめたことは必ず守るということを考えておりますが、ゼオンの場合は、いろいろ問題になりまして、資産がある、そういうもので一部計上するからというのが趣旨でございます。官庁の御意見は、厳格に契約をとっておけということでございましたから、秋田木材の場合は絶対に契約でいきましょうということにしたのが、経理としてはそうしたけれども、たまたま例の問題があったので、われわれはそれについて実は関知してなかったので、実は誤解を受けたのではないか、こういうことを申し上げておるのです。
  181. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今そういうことを仰せられましたが、企業会計原則には、継続性という同一基準で継続する、それを変更する場合には、正式の手続を経て、また一般に誤りないように、それをはっきり示して、その経理基準の変更ということをやっていかなければならぬ、こういう工合に私たちは考える。ことに私たち会計に暗い者は、黙って今のような工事進行基準による経理をして出して参りますと、東北開発はえらい利益を上げている、ただそれだけを見て、国会の審議も誤りにさしてしまう危険性がある。東北開発は一般の民間企業とは違う。そういう点も重大な問題としてあるわけです。ですから、継続性という問題は、あくまでも守る、これを改めるときには、繰り返して申しますが、正式の手続を経て、また一般にこれを周知させる姿において行なわれなければならない。ところが、あなたのやっていることは、そのつどそのつどのように、たとえば日本ゼオンの場合は手付金、その場合も、今のような工事進行基準でやったら、全額 益に計上するなら話はわかるが、あのときは全額計上したいが、前受けの手付金だけを利益に計上した、こういうことで、正当性があるがごとく言っておられる。ところが、今度は、秋木の場合は、正式契約でなければならないと言われたから、仮の繰り上げた契約書で経理したという工合になっておる。今度は新理事諸君に引き継ぐあなたの書類の中には、小名浜地区の土地を東邦亜鉛というものに売った。これは相当な金が入っておりますが、内金という工合に入っておるために、これは仮受金として経理している。そういう工合に、そのつどそのつど変わったんじゃ、これは真実を一般の人々に知らしめるということにはならない、こういうわけなんです。ですから、個人的見解ではあるけれども、そのつどそのつどそういう工合に勝手な基準でやられては、経理は真実を示さなければならぬという大原則に反する結果になる。しかも、そのことは国会の審議にも誤った影響を与える可能性を持つということになるわけでありまして、その継続性というものはかたく守らなければならないと思う。  〔山本参考人「それは非常に誤解が   ありますから、一言言わして下さ   い。」と呼ぶ〕
  182. 小川豊明

    ○小川(豊)委員長代理 西村君、いいですか。——ではどうぞ。
  183. 山本多市

    山本参考人 今継続性の問題が出ましたけれども、これは守る趣旨は当然ある。ただ私は、進歩があるんだということを申し上げておる。そこで、私の裏には、そういう考えを持っているが、官庁は許さぬから、契約主義でいっているのです。小名浜の問題は、工事進行過程でありまして、まだ完成しておりません。ところが小名浜のものはお金は先にとっているが、工事は大部分残っておる。そういうものは利益に上げるということはいかぬというので、一貫した理論を持っているんでございます。
  184. 西村力弥

    ○西村(力)委員 小名浜地区は、だいぶ残っているけれども、工事はやっているんじゃないですか。
  185. 山本多市

    山本参考人 ほとんど五月ではあまり進んでいないです。
  186. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そこではっきりしたいのは、とにかく東北開発理事としては、経理規程、それから監督官庁の指示なら指示に忠実であるべきで、これを変更するというのには、所定の手続をしなければならぬということは認められますか。
  187. 山本多市

    山本参考人 ごもっともです。今申し上げたように、当然私どもそうしております。
  188. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしておるとはちょっと受け取りかねますが、そこで、秋木の契約が年度内に大体合意ができておった。こういうことから、五月に正式にきまったのを、三月に繰り上げた、これは不自然でも何でもない、こういうことを仰せられますが、私としては、これはやはりごまかしだ、これはみんながそう感じて、今までそういう意見も相当出ましたが、ごまかしだというその根拠をいろいろあげてみますると、一番目には、四月の中旬になって初めて十条製紙の見込みがなくなったといって、その後猛交渉を秋田木材と始めている。これは前回雲野理事がここで述べております。ただ形式手続をするのに猛交渉というものがあるはずがないじゃないか、こういう問題がある。それから事実上三月前に合意しておるならば、十条製紙と交渉するというようなことは商業道徳上私はあり得べきことではない。ところが、秋木の土地も含めて十条製紙に売却しようとしたときには、秋木との了解があった、こういうことになっておる。自分がほしくてたまらぬ土地を、十万坪あるいは十二万坪、そこはまだ未確定でありますが、それを合意しているならば、秋太というのは簡単に、おれの分を含めて売ってもかまわぬからということは、これは言うはずはないのです。これはおかしいのですよ。そういうようなことが第二点。  それから第三点としては、五月に成約したのを三月に繰り上げると、会社側は何らか利益があるでしょう。資金の手当によかったということは、これは会計検査院はそのことは考えられないし、私もそういうことは考えられない。ところが、反対に秋木側は、何の利益をそれによって受けるのか。売買契約というのは相互利益のはずだ。会社側が利益があるけれども、秋木は一切利益がない。むしろ三月以降の利息を出さなければならぬというような、そういう損な立場に追い込まれている。相互利益というのは何らないじゃないですか。会社側は利益があるけれども、秋木側は何ら利益がない。むしろ損失だ。そういう契約が、これが合意した合法的な契約だとは私らには考えられない。そもそも売買契約というのは、はっきり相互が利益するところの立場において結ばれてあるのが自然です。それが、一方が利益するけれども、一方が損をするというような契約が、そのときに合意しておったというような言い方は、これは実際として私たちは絶対に納得できない。だから、そういう無理をするから、裏契約でなければだめだということになってしまう。こういうことになると思うのですよ。だから、これはもう三月末に合意しておったという言い方、それは決して正しい経理ではないのだ、私はそう思うのです。  そういう点もありまするし、もっと言いますると、この裏契約の場合の雲野理事のここで述べられたことを見ますると、秋田木材としては子会社をここに持ってきたい、あと三カ月待ってもらわなければだめだ。それから、子会社を持ってきたい、外国との資金関係もまだきまっていない。そういうようなことを理由にして、裏契約でなければ絶対にこの契約はできないということを、裏契約をするときに強く主張した、そういうことを雲野理事がはっきりここで言っているのですよ。そんな状態で、五月になって、なおかつ三カ月以後でなければ契約ができない。今言ったような事情をずっと述べているということを、担当者の雲野理事それ自体がそういうことを言っている。そういうことを考えますと、これは三月に正式契約が成立したということは、これは明らかに虚偽、虚構の経理である、こう私たちは言わざるを得ない。それに基づいて、そして経理をやって黒字決算にするというようなこと、こういうようなことははなはだ誤らしめることになるのではないか、こういうことを私は考えるのです。  でありますから、私たちは、この三十五年度の決算を虚偽の決算であるのだ、こういう判定を持たざるを得ない。  〔小川(豊)委員長代理退席、委員   着長席〕  それに対して山本理事は、それを反発をせられておりまするが、一方が利益をするだけで、一方が損をするような契約があったというようなこと、そういうことでこれは正式契約だというようなことは、この世の中には存在しませんよ。それは昔ならばともかく、そういう契約も無理じいをしたかもしれません。しかし、それは相互利益で、その意を合わせたことでなければ、それは正式契約とは言えないのです。しかも、事実としては、五月になってもなおかつ三カ月待ってくれなければだめだ、こういうことを言っているということをこの席上で言われているのですから、だから、これは明らかに虚偽の決算だ、虚偽の経理だ、私たちはこう言わざるを得ないわけなんです。  だから、こういうことを私たちいろいろ考えまして、いろいろ御苦心のあったことは、私たちもたくさんあなたから聞きました。負債のたまっている東興のあれを引き受けてなさったこと、また会社の金の正常なあり方についていろいろ御苦心のあったことを聞いておりますけれども、そういう点については、それはそれとして、認めないというわけではありません。ただ、そこで一つ問題のある点は、三億ですか四億ばかりの東興からの引き継ぎの負債がありました。しかし現実にこの三十六年度の決算は、幾ら赤字が出るだろうかということを考えると、あなたが東興から引き継ぐときに苦労された以上に、新役員というものは苦労するのじゃなかろうか、苦労せざるを得ないだろう。しかも、こういうふしだらなというか、非常に忌まわしい事態が全国民に知られまして、そういうことからくるマイナスというものははかり知れないものがあるのじゃないか。現実に三十六年度の決算においては、三億、四億の騒ぎじゃない、三十六年度の決算というものはすごい赤字を見るであろうと思うのです。私はそう思う。とにかく、秋木に対するあれも落とさなければならぬでしょう。売ったということで売れないのですからね。そういうこともありますから、今度の決算は相当の赤が出るだろうと思う。そうすると、今度の新役員諸君も、これは大へんなことだ、こういう工合にも考えられます。そういうようなことは、それは現実の時点からみんなで協力してやっていくということが大事でありますから、それをもって前役員責任云々ということを現役員があまり言うことになれば、これは好ましいことじゃないと私は思うのですが、いずれにしましても、私はそういう秋木との契約が三月三十一日に引き上げられたということは、これは明らかに虚構の経理だ、こう私は断ぜざるを得ないのです。その点については何か御意見があるだろうと思うので、私の一方的なきめつけで終わるということもいけないだろうと思いますから、御意見があれば言ってもらいたい。
  189. 鈴木仙八

    鈴木委員長 山本参考人、時間がありませんので、一つ簡単にお願いします。
  190. 山本多市

    山本参考人 簡単にいたしますが、今のこと、まあある意味のことはわかります。そこで、私釈明書にも書いて・おきましたが、経理そのものがそういうことをしたかどうかということが、私は非常に残念に思っていたわけです。そこで、私どもは、そういうふうに伝えられた。経理そのものとしては、十分に雲野理事実態を聞いて、確実に実態があったと見たのだ。しかしよく調べてみたら——それはないといえば、これはある意味の虚偽決算となるだろうけれども、その時点においては正しいことがあったということを申し上げているわけです。  それから、合意の問題のお話がございました。確かに両方が合意がなかったら成立するはずはありませんけれども、そこは企業家の実態として、もしあれから金融引き締めその他がなかったら、みなが殺到してきて、あれは倍になる値段のものでございますね。金融引き締めその他の事態がなかったら、むしろ会社が損であって、秋田木材の方がうんと利益をするわけでございますね。この点についての御認識をいただきたいと思うわけであります。  それから、資産の問題がございましたが、私は経理引継書におきましても、まだその土地の——非常に苦労して作りましたけれども、まだその土地は利益には出していないのであります。  〔委員長退席、小川(豊)委員長代   理着席〕  そこで、それらが、まあ形式的欠損ではなく、いわば含み資産を相当持っているのです。そういう意味合いで実態を見ていただかなければ困るじゃないかと思います。また、償却というものも考えてもらいたい。それは東興時代の経理とは全然違うのだということを、ただいま提出しました釈明書に対する説明にも書いておきました。
  191. 小川豊明

    ○小川(豊)委員長代理 石田宥全君
  192. 石田宥全

    石田(宥)委員 私は、委員長にお願いいたしますが、只見川地域開発関係の資料を要求をしていただきたい。経済企画庁からも見えておりますが、数がたくさんありますので、その番号を申し上げておきますが、最初に、只見川地域開発に関する昭和二十八年七月二十八日第十回電源開発調査審議会で決定された電源開発基本計画書。二番目には、電源開発基本計画、今申し上げたものでありますが、これに基づき電源開発促進法の規定によって公表された公表事項。三番目は、政府決定計画の内容。四番目は、奥只見地点の当初計画と許可の内容。五番目は、奥只見地点の昭和三十三年計画変更事項と許可内容。六番目は、奥只見地点の昭和三十四年計画変更事項と許可内容。七番目は、黒又川第四発電所地点の計画と許可内容。八番目は、以上のほか当初計画中変更になったものがあれば、その計画変更事項と許可内容。九番目は、只見川地域開発計画の概要図を付していただきたい。十番目には、奥只見、黒又川開発計画に基づく信濃川沿岸耕地の灌漑用水、上水道、工業用水の計画書、これは水系と関係地域、面積、灌漑水量等を別にしていただきたい。十一番目には、三十六年十一月十一日、電源開発株式会社と新潟県との基本計画変更に関する覚書。十二番目は、三十六年十二月七日、電源開発株式会社と新潟県との基本計画変更に関する協議書。十三番目は、三十六年十二月十八日、新潟県知事と関係五カ町村との覚書。以上でありますが、早急に提出を願いたい。
  193. 西村力弥

    ○西村(力)委員 山本さんにちょっと言いますが、三月三十一日に繰り上げることによって、秋木が、値段が上がるから元に契約した方が利益になるのだというような意見を言われましたが、ところが、五月に契約を結んでも、三月三十一日に契約を結んでも、その契約を結ぶことによって対抗しなければならないという事情は何もなかったでしょう。他のものが、そこに契約が五月以前にできておる、それが仮契約だとか、そういうことで三月にしないと正式なものができないというようなことはなかった、そういうことでありますから、あなたの今言われたような工合に、秋木も三月に繰り上げることによって利益があったのだというような言い方は、私は正しくないと思います。私はそれだけを申し上げておきたいと思います。
  194. 小川豊明

    ○小川(豊)委員長代理 ただいまの石田委員の資料要求につきましては、委員長が席を離れていて私が代理をしているのですから、その件につきましては、理事会に諮り、委員長において善処されるようにしたいと存じます。さよう御了承を願います。  午前中の会議はこの程度にとどめます。  参考人各位には、長時間にわたり御苦労さまでございました。厚くお礼を申し上げます。委員会を代表し一言ごあいさつを申し上げます。  なお、山中参考人には、本会議散会後再開する委員会に御出席を願います。  この際、暫時休憩をいたします。    午後二時五分休憩      ————◇—————    午後三時二十九分開議
  195. 鈴木仙八

    鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午後の委員会は伊藤現総裁山中現副総裁参考人として御出席を願っております。  質疑を続行いたします。小川豊明君。
  196. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 午後西村委員質問することになっておりましたが、ちょっと今出ていますから、私かわってお尋ねします。これのお答えは、現総裁より山中総裁の方がよくおわかりではないかと思います。  この前、これは経理担当理事の引継書として山本さんから出されていますが、山本さんの、いわゆる経理担当理事としてこういう引き継ぎがなされていたとすると、これは業務担当、それから総務担当とか、それぞれの各理事が自分の所管する引き継ぎというものはなさったわけですか。これは経理担当だけがこういう引き継ぎをなされて、ほかの担当理事は引き継ぎはあったのでしょうか、ないのでしょうか。
  197. 山中徳二

    山中参考人 正式の引き継ぎは前総裁と現総裁の間に正式の引継書の交換がございました。なお、経理担当山本理事からお示しのあったようなものが別に出ております。それと、総務担当の松本理事からも、自分の担当事務について参考のためというので、正式の引継書ではございませんが、やはりまとめまして私が受領いたしております。それだけに承知しております。
  198. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、これは経理だけが出て、総務は出ているが、最も重要なる業務の方も本来ならばこういうものは出さるべきじゃなかったかと思うのですが、それは出ていないわけですか。どういうことなんでしょう。
  199. 山中徳二

    山中参考人 営業その他の方は出ていないのではないかと思います、全部まとめまして総裁の引継書になっておりますので。
  200. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 いや、前総裁と新総裁の間にあるのは、これは当然だし、そう思いますが、現にこういうのは経理担当理事として引き継ぐというからには、新しい理事に引き継ぐ——その当時新理事経理担当とか業務担当とかきまってはおらないと思うのです。かりにきまっていたならば、その方に引き継がれたか何かされたわけだ。そうすると、これだけがなされたわけではなくて、やはり業務、総務それぞれが引き継ぎをなされるというのでないと、何か非常に統一のない、まちまちなことをしているような感じを受けるので、あるならば——これは経理担当というのでは、引き継ぎはもらってよくわかりました。見たわけですが、業務や総務にもおありでしたら、一つ次会までにお出し願いたいと思うわけです。
  201. 山中徳二

    山中参考人 総務の関係は私がたしか控えがあると思います。その他のやつがありましたら、次会までにお出しいたします。
  202. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それから、今度は新しい理事としての立場でお尋ねするわけですが、この引き継ぎで一番先に問題になった——木村委員から質問されたわけですが、経営はこういう状態である、にもかかわらず旧役員に膨大な退職金を議決している、こういうことが言われていると記録にあるのですが、この引継書の経理担当を見ると、やはり新理事にこれが引き継がれて一任されています。株主総会では新理事に一任されています。そして新理事はその後何回か理事会を開かれたと思うのですが、この退職金が議決されておるならば、幾らをどういふうに議決されたか、この点をお尋ねしたいと思います。
  203. 山中徳二

    山中参考人 退職金の支給方法、時期、内容等につきましては、新しい役員理事会総裁に御一任するということになっております。
  204. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今のそれは株主総会で新理事、いわゆるあなた方に一任するという議決をされている。八月二十五日です。されているから、その後何回か理事会を開かれたはずですが、その理事会でそのことが議決されたかされないか、されたとすればどのくらいの額をどういうふうに議決されたか、これをお尋ねしておきます。
  205. 山中徳二

    山中参考人 お答えいたします。  総額だけが株主総会にかかっております。それでその額の範囲内で支給の時期及び方法について理事会に一任されて、その理事会でそれを提案いたしましたところ、その支給の時期、方法等については、会社経理状況その他等もあることでありますので、総裁に御一任をするということで、総裁一任ということに議決しております。
  206. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 伊藤総裁にお尋ねしますが、これは、最初一回か二回総裁おいで下さったと思うが、その後のいろいろのここの委員会における論議、ことにきょうの質疑等においても、会社内容というものがだんだんはっきりしてきたわけです。ことに、あなたも御承知のように、その後において会社の前役員並びに職員の相当数の方々が、収賄といったような容疑、背任といったような容疑で、警察の方へ召喚を受けている。中には起訴された方も何人かある。そして同時に、これは公判を見なければその白黒は断言できないことは当然ですが、そういうように起訴されておる。さらに会社内容も、経営が非常にずさんであって、かなりの欠損を出しているにもかかわらず、それを黒字決算をしておる。このこともここの質疑で大体明確になってきた。そうすると、そういうふうに赤字であるのに黒字決算をしたということは、これは経理を欺瞞したということになるだろうと思う。一方において、それとは無関係に、すでに司法権が前役員あるいは現職員にも追及されてきておる、こういう現状の中で、今御答弁を聞きますと、株主総会は新役員に一任した、新役員総裁に一任した、こういうことになっておりますが、総裁は、これに対して、この措置をどうなさるおつもりですか。
  207. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 ただいまの問題は、話の段階がありまして、初めは、こういう問題が社内に伏在しているということは私は全然考えておりません。また知らなかったのです。それで、普通の官庁とでもいいますか、こういった会社に勤めたのは初めてでありますから、株主総会なりで退職金が退任した役員に対してきまれば、これは当然なるべく早く支払うのが、私どものとってきた態度であります。従って、その株主総会できまりまして、その後理事会を開きましたときに、その時期、方法——金額は大体わかっておりましたから、総裁に一任するというお話でありましたから、私も、その当時は何も問題が起こっていないときでありますから、なるべく早く払うのがいいんじゃないかと思いました。しかし、だんだんに聞きますと、前の役員がやめたときでも、相当期間、一年以上二年くらいあとに払われたということも聞きましたが、しかしそのときやめた方々から、われわれも生活が決して楽じゃない、困っている、それでなるべく早く払ってもらいたいのだ、こういう話がありました。それで理事会において、それを促進するように総裁からもう一ぺん念を押してもらえないかという話はありましたが、しかし、聞いてみますと、会社も赤字で大へんであるし、四千四百万円ほどの金ですから、相当多額な金を払うのだ、しかもばらばらに払ったのでは不公平になるということで、これは二、三の人からもその後催促がありましたけれども、私は非常に気の毒だとは思ったけれども、払う力がないものですから、延ばしておったのです。延ばしておる間に、こういう問題がちらちら出てきたものですから、こういう問題は全部の人がその責任を負うかどうかということは、私はその当時疑問でありましたけれども、しかし、役員というものは、理事会できまった以上は、一蓮托生ということが一つの問題じゃないかというふうに考えておりましたから、催促がありましたけれども、ずるずる延ばしておったのが実情であります。しかるに、その後こういう問題がはっきりしましたので、私は、これはけがの功名といいますか、払わなくてよかったのだなと自分で考えておったのであります。しかし、今日は、この段階ではむろん払うような措置をとるということは、今すぐその時期じゃないと思います。また、この前の例を見ましても、去年九月にやめた人が約半年間のうちに払われたということになりましては、この前の振り合いから見ましても、非常な優遇を受けたということになりまして、優遇という意味はバランスがとれないような格好になるので、私は、現在としましてもまだ——これを払わなければならぬという委託をされました株主総会に対する私の態度というものは非常におかしいじゃないか、きめておいてなぜ払わぬのかという、もしそういう話がありましたならば、それに対して自分の所信をもって答えるつもりでおります。
  208. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それはよくわかりました。これはやはり会社に入って努力されて退職になさるのですから、退職金は払うことが当然であると思いますが、この会社は、いわゆる辺陬の地の東北の開発のために基礎的な仕事をするという、非常に重大な役目を持った会社であるわけです。しかも債券の発行まで国の保証のもとにできるという特権を持っているわけですから、これは東北開発株式会社となっていますけれども、私は単なる営利会社だとは思っておりません。そこで、しかもこの会社がいろいろ困難のあることはわかりますが、しかしながら、今までの審議では、困難は困難としても、この中には役員の間の不統一、従ってそれから生ずるところの職員人事がひもつきであった、そして連絡も統一も何もない、全くがたがたな形で運営されていたのが今日の結果を引き起こした最大の原因ではないか、こう思われる。しかも、たとえば今までのこの委員会の質疑でも、これはだれが担当だ、かれがこうだ、こういうことで、私は従っていない、そのことは私も知らない、こういう答弁に終始しているわけですけれども理事会が開かれて一つの方向がきめられる限りにおいて、私は理事全体の責任だと思うわけです。その中にいい人とよくない人があったとしても、これは今後出てくる問題としてわれわれはそこまで議論しませんが、少なくともさっきおっしゃったように、一蓮托生の責任というものが私はあるべきだと思う。こういう政府もまた国民も期待して作られた会社が、こういうさなかに退職金だけは議決して持っていってしまったということになったら、これはまさに無責任な食い逃げと言われても仕方がないと思うのです。株主総会の議決、理事会の一任、こういうことがあるわけですから、立場としては苦しいし、問題もあると思いますけれども、この点は私はやはり会社の信頼を保つという上からも、総裁は、一大決意を持って、こういうものに対しては、私は出すなとは言いませんけれども、国民の納得のいくまでこれは留保されて、十分慎重な検討の上に出されるべきだ、こういうふうに考えるが、お考えいかがですか。
  209. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 今あなたのおっしゃったことは全く同感であります。私もそういう考えでこれを善処するつもりであります。
  210. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 次に、それでは新しく選任された役員として引き継ぎを受けられたわけです。そこで、引き継ぎを受けられて、その引き継ぎで、この引き継ぎを受けた形でやっていったらば、先々よくなるというお思いであったか。これではだめだ、これは改善しなければならぬとお考えになったか。これでいいというなら、これは別です。改善しなければならない、これではだめだというならば、原因はどこにあったか、そうしてその原因を取り除くためにはどういう方法をおとりにならなければならないかということは、就任されてもうかなりたっておりますから、早々ではありませんから、その結論的なお考えは一応固まった、こう考えて私はお尋ねをするわけです。
  211. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 ただいまの御質問の問題は、これは重大な問題でありますが、引き継ぎを受けましたときは、何しろ引継書類は相当分厚なものでありました。ただいまの経理担当理事の、何というか覚書のようなものは私は見ておりません。見ておらぬように思います。なぜかというと、膨大なものを読むひまがありませんので、そのとき前総裁に対しましては十分重要なことは口頭で一つお願いしたい。これはもう追って読むつもりでありますけれども、なかなか僕らのようなものはこれは読みづらいので、一つお願いしますと言って引き継ぎを受けたわけです。引継書類は私の手元にあります。あとでちょっと見ましたけれども、そのときに引き継ぎの——この前も委員長に対しまして私の答弁書を出しました。その中にも書いてありましたが、この会社は大へんよくなってきた、順調にすべり出してきた、先期も六千八百万円でしたかの利益を計上することができたので、もう何もそう心配なくなったというお話が冒頭にありました。これは大へんけっこうな話だと私も言いましたし、そう心から思ったわけであります。それで、そのままずっと仕事を継続してきている間に、いろいろな問題が私の目にも入りましたが、それから以後は自分もいろいろな疑念を持ったわけであります。持ちましたけれども、研究をしなければ、ただ自分の目に映ったからどうというわけにもいきませんので、相当改善策といいますか、やってきたつもりでありますが、そのとたんに今年の初めごろからこういう問題が出てきまして、それで初めて、そういうのは気がつかなかった。つまりもしこれがほんとうにわれわれがわかっておったとすれば、私のような力のない者は、こういう問題は引き受ける資格がないのじゃないかとまで自分は考えたのであります。しかしながら、いまさらそういう責任のがれなことは言うべきじゃないと思って、内部の結束といいますか、全部の協力を求めてきた現状であります。従って、当初は、引き継ぎを受けたときは、引継者の言を全部私は信じてきたわけですから、何らの疑念を持ちませんでした。赤字である会社が初めて本年度は六千八百万円の利益を上げた、それから事業も着々進んできた、それから新しい事業もすでに予定路線に入っておるというような話がありましたから、その通りと思って参ったのでありますが、その後の情勢から見ると、決してなまやさしい情勢ではないということがわかりましたので、今日に至って皆さんにも一そう御鞭撻を受けなければならぬような情勢になったと、私はそういうふうに感じております。ですから、引き継ぎを受けたときの情勢と今日の考えとは全然違っております。それに対しましてのことなり、あるいはどうするかということは、われわれの、現在もそうでありますが、今後に引き続いてこの問題はどこまでも真剣にやっていかなければ、引き継ぎを受けたときのような感じを持たすことは実に至難な問題じゃないかとは思っております。しかし絶対不可能な問題とは思っておりません。
  212. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今御答弁を聞いていますと、私どもが何を引き受けて就任するとしても、これは就任する前にその会社なり団体なりがどういうものかということは、一応も二応もわれわれは研究しなければ、これはなかなか引き受けの決意というものは出てこないわけですが、今お尋ねをしておると、引き受けをした、就任を承諾をした、そうして引き継ぎを受けた、引き継ぎを受けたときには六千八百万円の黒字になっている、けっこうなことだ、そこまでやってくれたならば、このままやっていったらいいと思っていたところが、いろいろな事態が出てきて、その後において総裁の心境は変わってきた、こういうように、今の答弁を要約するとそうなると思うんですが、そうすると、この東北開発株式会社というものの総裁をお引き受けするまでは、この会社を引き受ける内容はどうだ、引き受けてどうしていこうかというようなことは、別にお考えにならなかったわけですか。漫然と引き受けられたわけですか。
  213. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 その点は私の人間の性格からも来ていると思いますが、はなはだどうも簡単にできておりまして申しわけないと思っておりますが、東北の開発の会社であるということが、一つの魅力として考えられたわけであります。それから、幸いにして会社が好調にいっているということと、それから私をいろいろおだてる人といいますか、持ち上げる人といいますか、実は私にそういう裏面を考えるだけの余地がないほど、この問題が促進されたわけです。それで、私も、あなたのおっしゃる通りもう少し慎重に考えた方が、これは国家のためにもよかったかもしれませんけれども、とにかく一カ月半ほどのこの問題がきまらぬでおりましたけれども、最後にはいろいろな方面の話もありまして、どうしてもこれは引き受けなければいけないのだという観念をしてしまったので、その会社の内情をさらに詳細に検討するというような時間は、私は実は自分として持たなかったのであります。そういう点ははなはだ軽率だと言われても、これは私の責任でありますから、割合最後は簡単に落ちたということを申し上げるほかにありません。
  214. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私ども、この委員会は、東北会社の内情というもの、実態というものを知ってから、いろいろこれが表面化する前にそれぞれ打ち合わせをしてきたわけです。しかしながら、会社を作る趣旨というものは、これは当然国が必要で作ったわけであります。従って、これをあまり取り上げて、逆に会社自体を参らせてしまうようなことがあってはいけないじゃないか、同時に、会社の内部にはいろいろなうみを持っている、このうみは出し切って、そうして健全な経営に持っていけるようにわれわれ自身も協力すべきではないか、こういうことで今日までこの会社実態というものに触れてきたわけです。私はその点は誤解のないようにしておいてもらって——私自身も、まだ実は新しい総裁にさえもいささか不安を持つのは、こういういわゆる国策会社——政府が九〇何%という出資を持っているこういう会社が、実にはなばなしくスタートするが、その先というものは案外よくない。世上に問題を投げる。その原因というものは一体どこにあるのかということになってくると、たとえば私なら私が何かやるとするなら、これは私自身が資本を出しますし、自分でやれるかやれないかも十分に検討するわけです。ところが、この場合は、政府の出資なんですから、総裁が新しくこの会社をお引き受けになるとするならば——通例の会社ならば、あなたは出資の五〇%以上を大がい持つということが通例だと思うのです。ところが、これはあなた自体は出資は持たないわけですから、この点では損得はありません。ですから、就任するまではこの会社実態というものはよくわからなかった、就任しても、六千八百万かの黒字になっているのだと聞けば、その通りだと思っていらっしゃる。そうして、いよいよ今日になってくると、これは容易ならざるものであったということをお考えになられだとすると、あなたのようなりっぱな有名な実業家がもしそういう会社を引き受ける場合には、おそらく会社実態あるいは株式の構成、そういうものを調査調査を重ねなければ容易にあなた方は引き受けるはずがないのが、これは実業人の通例なんです。この場合、伊藤総裁さえも、これは四囲の事情でやむを得ず引き受けさせられたのだろうとは思うけれども会社内容はほとんど知っておらなかった。引き受けて、今日になって、その実態のあさましさというか、非常に複雑怪奇であるのに対して、あなた自身がびっくりされているのじゃないかと思うのですが、それはどうお考えでしょうか。
  215. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 ただいまのお話には多少誤解があると思います。つまり、出資しないから早く引き受けたのじゃないかというふうに聞こえますけれども、私は自分のからだを出資したつもりであったのです。けれども金は出しませんでした。今でもそうでありまするが、ただそのときなぜ疑問を持たないかということは、全然疑問を持たないわけじゃありません。そのときの所管大臣が私に申されたことは、今度は全部役員も更迭するつもりである、東北開発という会社は非常に大事な会社であるけれども、今度はすべて政府の方で、つまり粛清といいますか、改造して、責任を持ってやることに決定をしている、それで今度就任した場合には、新しい仕事をやってもらうことも決定しているということでありますから、それに信頼したといえば信頼したわけでありますが、もう実は期限がない、すべて準備はすでに整っているのだ、人事問題もすべての点において遺漏のない措置をとっているのだ、最高の責任者から私にそういうお話がありました。それで、私も、感激したといいますか、適当な言葉がありませんが、それならば自分は就任してやってみようかというような決意をしたのが、慎重を欠いたという批判はあると思います。しかし、私のそのときの心境というものは、全くそれ以外のことはあまり考えませんでした。つまり、もったいぶるのじゃありませんけれども、強い要請を受けたということが一つの私の機縁と思います。もう少し詳細に——普通の商事会社ならばおそらくこんなに簡単に引き受けるものじゃないと思うのです。第一もうかるかもうからぬかということ、これは非常に考えると思います。この会社は国策会社である、東北開発という問題をひっさげている会社だ、ですから利益の配当はこうしなければならぬというようなことはあまり念頭に置きませんでした。それで引き受けたことが、早くやったんじゃないか、今そういう考えでおります。別にほかにどうも非常に深く考えたことはなかったということは、やはり私の欠点と私は思っております。
  216. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 いや総裁、せっかく就任されたんですから、これは事情の経過はどうあれ、あなたの御努力とお力によってこの会社をりっぱな会社にして、所期の目的を達成されんことをわれわれも期待するわけです。従って、今の私の少し用意周到さを欠いたではないかということ、これは取り消してもいいわけです。特にあなたは、おれは金は出さないけれども、からだは出資しているということは、これは私はりっぱな言葉だと思う。どうかこれはそういう心組みで、一日も早く会社再建方途を立ててもらいたい、そう私も念願します。  そこで、最後に私一点お尋ねしたいのは、いずれにしても事態はここまで落ち込んできた。そして、その原因は、突き詰めていくと、先ほど前副総裁は、やはり機構の問題、人事の問題、運営の問題、それから政府のこれに対するてこ入れの足りなさというような四点をあげられていましたが、しかし、突き詰めていけば、この会社政府がてこ入れすることも、運営も、機構も、それはほとんど私は人事の一点に最後は帰してしまっていたのではないか、こういう考えを持ったのは、さっき冒頭に申し上げたように、この問題はどうだと言っても、それは役員のそれぞれが——役員ですからね、理事会も開かれているわけです。にもかかわらず、それがわからない、それは私の担当ではないからわからないというと、これは一体だれがわかっているかということです。きょうは前総裁は見えませんでした。前副総裁は見えておられた。そうすると、副総裁さえもそれはわからない、理事もさらにわからないということになってくると、だれがわかっていたかというと、担当部長というようなのがあって、それらがほとんど仕事はしていたんだ、しかもその部長は、部長同士の派閥というか、ひもつきの人事というか、そういう点で一つも連絡なしに、むしろ連絡どころではない、相剋していた、それがまた役員の内部にも反映していたのではないかということは、はっきり看取されるわけです。これは私自身のあれですけれども、そういう抗争の原因というものをそこに持っておったということを私は考えたわけですが、総裁はその点に対して着眼されたかされないか。その他の点でも、こういうところが最もこの会社の病根であった、この点が欠点であった、どういう点が欠点としてその後お考えになられ、さらにそれをどう改善なさる御決意であるか。そのことをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  217. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 今お話しの点でありますが、人事が根本じゃないか、これはもうどなたが考えても私はそう思います。私は現在もそう考えております。ですから、会社の立て直しというような言葉を使えば、人事の粛清という問題がだれしも言うことですが、私ももちろんそう考えております。ただしかし、粛清々々といっても、はたしてそういう人が入れば、ひもつきだとかなんとか言われるようになりますと、人間は憶病になりまして、総裁は勇敢にやれなんと言われても、やはり多少迷うところもあると思うのです。そういう点はもう少しやっぱり社内の現在の態勢を協力態勢に持っていかない限り、新しい有能な人を持ってくればいいのだという考え方よりも先に、私はやっぱり社内の協力態勢を整えなければいかぬと思います。それには会社にも従業員組合もありますから、そういうものの態勢なり、職員がこの事態にかんがみて、そして一致団結して仕事に励んでもらうということ、その上なお必要なのは、われわれ一番最高の責任におります総裁、副総裁理事監事、その他管理職におります部長、その程度のところは、ほんとうにがっちり、かけ隔てなく組んでいかなければ、この問題は解決しない。今の人はだめだから新しいいい人を早く持ってこいということは、私は第二の問題だと思う。今までの人は経験者でありますから、どういうふうにして協力してもらえるかというのが、私の一番大きな責任であると私は思っております。  それから、機構の問題が今お話がありましたが、機構といっても、その当時はいい機構だと思ってやったに違いありません。ただ、事態が変化しましていろいろ弊害が起きているものがあるわけで、たとえばセメントの問題にしましても、セメント代理店をきめるときには、どういう国策会社であるから、各県知事に、各県に二軒ずつの代理店指名願いたいということは、その当時としては最も公平な措置かもしらぬと思いました。しかしながら、知事さんがセメントのどれだけの経験があるか、販売の経験があるか、現在わかりませんけれども、とにかくそういう官選といいますか、ほんとうの商売にあまりタッチできないような人がそういうふうなことに当たるということが、やはり今日では適さないと思います。やはりほんとうのセメント商売なりセメント販売なりにまっ黒になって働いてくれるような販売店でなければ、との競争には打ち勝てない。これがやはり機構の一つの、今過ぎ去ったことでありますけれども、それも一つの欠陥だと思います。  それから、もう一つは、こういう問題が起こったのを考えますと、会社の仕事は相当たくさんの仕事がありますが、やはりいろいろな土建工事、建設工事がありますけれども、そういう場合の会社態度というものは、もう少し十分これは反省しなければならぬ。反省という意味は、やはり大きな仕事になると、どこでもこれはりっぱな入札の請負というものをやります。これをどこまでもりっぱに、そしてだれに見せてもこの通りだ、つまり入札の結果この通りですと、それぞれにそういったところに掲示までしてその取捨をきめるというような態度が、全然欠けたわけでは決してございませんが、その辺のことが、うやむやしたものが多少あったのじゃないかというふうに考えられたり聞いたりしておりますが、これもやはり機構の一つの欠陥といえば欠陥である。この点もわれわれは十分自戒してやっているわけであります。  その他のことにつきましては、あと今会社が機構改革というものにも着手して、適材適所ということを十分考えておりますが、問題は、こういう大きな騒動といいますか、問題が起こったあとですから、どうしても会社の結束態勢というものをきめるのが一番の大きな問題だ。その上にさらに検討し直しまして、そして人事も、有能な人もそれは迎えなければならぬ。それから、機構問題というものも、直すべきところはさっそく直さなければいかぬというふうに私どもは考えております。その点につきましては、今私だけの考えだといえば仕方がありませんけれども、各理事監事その他の最高の責任者はみんなそういう決意にはなっておられるだろうと私は信じております。
  218. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 しまおうと思ったが、いま一点お聞きします。実は午前中からおいで願っているわけなんで、御一緒に前の役員の方々と同席されて、この委員会の質疑状態をお聞きになって下さると、その実態というものはなおよくつかめたのじゃないかと思うわけです。ただ、われわれは、新旧の役員をここへ来てもらってかみ合わせるようなことはしたくない、こう思って、総裁には午後に回ってもらったわけなんです。しかし、今の御答弁でいくと、午前中の審議からいくと、東北開発という会社はなまやさしい状態ではないということだけは、われわれしろうとでもはっきり看取したわけです。で、その中で一番おやっと思ったような点は、仙台に本社があるわけですけれども、ほとんどの役員は東京におって、仙台には二人しかおらない。だから連絡がとれなかった。それに対して改善意見が出た。改善意見を出したが、それは一つも実行されていないのです。遺憾であったということを前の副総裁が言われておる。ほかの御列席の前理事方に聞きますと、私も賛成であった、私も賛成であったと、ほとんど賛成なんです。そうやって賛成であったことがどうして実行されなかったのか、これは私どもの疑問に思うところです。そうすると、午前中は前総裁はおりませんでしたが、副総裁初め各理事がみな賛成であったことが実行できないところに、役員以外のさらに大きな陰の発言力というものがこの会社にあるのじゃないか、こういう疑問さえ持ったわけです。それから、もう一点は、たとえば代理店というものが、これはセメントでしょうが、方方にある。この代理店がみんなひっかけて、会社を今日の危殆に瀕せしめた一つの原因になっている。そうすると、その代理店の推薦も、どうも聞いていると、役員の方々で協議して、こうしよう、そうしようと言っていたのではなくして、ほかからどんどん入り込んできていた。人事の点でも、その感をさらに深くするわけで、これはだれ理事にくっついた部長である、これはだれ理事にくっついた部長である、こういうふうな派閥抗争がやられてきた。それからもう一点は、こういう計画立案をしたけれども、それは上級監督官庁というと、通産省、直接は経済企画庁、そこの了承というものがとてもとれなかったということを言っておられるのですね。そこに原因というものが伏在していることはわかるわけです。従って、それを取り去ることが最も必要となってくると思います。一方において私ども心配しているのは、東北開発がこういう事態になってきた。千何百人という大ぜいの従業員があります。これらの人はまじめに働いて、いわゆるあなたのおっしゃる通り、まっ黒になって働いていながら、会社は一体どうなってしまうのだろうかというので、さだめし萎縮しているだろうと思うのです。これも早く元気を回復さしてやらなければならないわけですね。そういう点から、機構いじりばかりをやっていることが能でもなければ、人事の入れかえばかりが能でもない。私がここでお聞きしたいのは、そうではなくて、役員会できめたことが、人事においても、機構においても、あるいは業務の開発においても、そういうことが役員会以外で、どっかほかから、たとえば政府から、あるいは政党からそういうものがささって——普通の株式会社ならば、株主のきめたこと、役員会のきめたことは、これは急速に果敢に実行されていく。これはあなた御承知の通りです。にもかかわらず、この東北開発では、きめたことさえが実施できないというのは、何か原因、要因というものが私はほかにあったのではないか、こういうことを心配し、これはどんな困難があっても取り除かなければならない、こう思いますが、あなたはそういうことはお考えになりませんですか。
  219. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 まことにごもっともな話であります。第一役員が、本社が仙台にある関係上、どこの会社も同じでありますが、本社にはあらゆる機構が集中しております。それからおもなる職員が全部おります。その会社が、仙台の本社の所在地に役員が常駐しないというふうな会社は、私はめったにない会社だと思っております。それで、私は、就任しましたときに、今度は皆さん、非常に御不便があるかもしれませんけれども一つ役員は仙台に常駐を願いたいというて、宣言といいますか、したのであります。多分それはばかにかたくなってきたもんであると感じた方があるかもしれませんけれども、私は、やはり自分のいろいろな経験から見ましても、どうしても東京へ集まって取引をするというようになってくると、仙台の本社というものはどうなるかということを考えたので、そのことを実行に移したわけです。しかし、やはり監督官庁その他の官庁は全部東京にありますし、それでこちらも用事もありますので、こちらにくることもありますし、これはやむを得ないことであります。私の実際の事情を申し上げれば、なるべく仙台に私は常駐したいと思って、私から言い出したことですけれども、現状はやはり半分は東京に時間を取られます。半分は仙台におります。しかし、私の本旨は、どこまでも本社所在地にわれわれは常駐して仕事をするのがほんとうじゃないか。しかし、いろいろな仕事もありますから、全然そこにくぎづけされるということは、これは非常に問題があります。しかしながら、その趣旨におきましては、私どもはそう考えて現在やっておるということです。それで、なるべく理事の方々にも仙台に一つおいで願いたいというふうな、ときどきいやみを言うことがありますが、しかし、皆さんは、現状はそれに対してだれも不満を持っておりません。ただ仙台は住宅も完全でありませんし、いろいろ不便はあると思いますけれども、しかしこれは会社の指令でありますから、会社が指令をすれば、そういう問題の解決はできると思います。それからいろいろ家庭上の問題もありましょう。これは相当年輩の人ですから、がまんもできるんじゃないかと思いますが、これだけはやはりそうしないと、どうもすっきりいかぬじゃないかと思いまして、そういう方針を、みんなから了解を得て、相談の上でやっていくつもりであります。  それから、あとの問題でありますが、それ以上の問題というものはあまり現在考えておりません。人の問題について先ほどあなたはお触れになったのでありますが、ひもつきだとかなんとかということも言いますけれども、これはどうも私から考えますと、やはりだれか推薦者がないと、ただ自分が玄関に来て、おれを使ってくれと言ったって、なかなか人間は信用しませんので、やはりしかるべき人が、こういういい人間がいるから一つどうだというのが、普通の状態じゃないかと思うのです。ただ、それを受けて会社に入った人の中で、それをいかにも得意がっている人がそういう風評を高めたんじゃないかということも、私は考えております。つまり、何の悪意もなくて、非常に親切からあっせんしたのに、それを自分の名誉と考えて、おれはだれだれを知っておるのだということを言うもんですから、あれのおやじさんはあの人だというような誤解を招くことも多分にあったと思います。ですから、一がいにひもつき人事だとか、そういう言葉で表現されることは、むしろ私は非常に困ると思っています。しかしながら、その点につきましては、十分私どもは今度企画庁にもいろいろ意見の交換といいますか、御相談申し上げましたが、そういう点は十分われわれも気をつけてやることを私は申し上げてあります。人事が一番大事ですから、そういう点において疑義を持たれるようなことは、私は努めてしないつもりであります。
  220. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 大事なところをおっしゃって下さい、総裁。大事なところというのは、役員会の決定を実施に移す。これには人事もある。運営もある。いろいろある。そういうとき、あなた方の立案したこと、計画したこと、考えたことがそのまま移せないで、ほかの責任のない立場から、それではだめだ、こうやれとかいうような影響があったのではこれは大へんなんで、あなた方が責任を持てなくなる。私は、あなた方が責任を持って、あなた方の手によって再建するのが当然だと思うが、そういうものがあるならば、この際これは勇敢に出してもらって、そういうものをなからしめるということが私は大切だと思うので、この点をお尋ねしたわけです。
  221. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 ちょっと今その点忘れたものですから申し上げなかったのですが、現在はそういう点はないと私は信じております。役員会、理事会なりのきめたことは、ほかの人間が出てきて、たとえば部長反対意見を出したといっても、すぐそうかと言って改めた例はありません。最高の機関でありまして、その中には経済企画庁からも参加しておられますから、そういう一たんきめたことは、すぐ翌日変えるというようなことは全然ありません。この点ははっきり申し上げておきます。
  222. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連。  新総裁が、今度の役員は原則として仙台に常駐だ、こういうことを要請して、それに異議はなかった、こう言うのですが、それは異議はないが、実際それに応じて何人仙台に移られたか。そういうことをなさらない人々は、個個の事情がはっきりしておるのかどうか。それはどういう工合になっておりますか。あなたは今度、役員は仙台に常駐するように願いたいといつ言われたか。その後それの要請にこたえた方は何人おられるか。こたえないで、なおかつ東京におられるという人々は、それぞれやむを得ない事情があるのかどうか。総裁のそういう要請をしたということに対して、役員の快い協力がどんな形で今進められているか知りたい、こういう意味です。
  223. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 それは、日ははっきりしていませんが、私、就任直後、同時に言いました。現状は、東京もこの通り東京事務所というか、支社というようなものを持っておりまして、そこにもやはりだれかおった方がいいということがあったので、それからいろいろな要請もありましたので、今は監事を二人置いて、その一人の監事が東京に駐在ということになっております。しかし、東京事務所の担当理事は別にあります。ありますけれども、東京担当理事といいましても、東京に常駐ということではありません。やはり理事ですから、そこにいかなければならぬ、仕事ができないというわけじゃないのですから、そういう区別はしておりませんから、先ほど申し上げましたように、監事が二人のうち一人は東京におってもらって、すべてのそういう監査権の問題のめんどうを見てもらう。つまり管理監督といいますか、そういうような要請があると思いますが、そういう状態です。しかしながら、あとはみな、先ほど申し上げたように、一カ月全部向こうにおるということもできませんので、用があるときは東京にも来ますし、あるいはよそのところへも出張がありますが、大体その原則は守られております。それで、私からも、なるべく仙台におってもらうようにと要請もしております。しかし、こっちにおる人が相当多いのではないか。これは用があれば、現にこういう決算委員会に呼ばれれば、われわれは大ぜいここに来なければなりませんから来るわけですが、そういうときをとらえて、おかしいじゃないかと言われてもちょっと因ると思うのです。その原則は強く守っています。実行をやっておるということを申し上げます。
  224. 西村力弥

    ○西村(力)委員 東京に御用があっておいでになるのはいいのですが、総裁の言われたことは居も仙台に移してもらいたいということではないのかどうか。居を移さなくても、現実に向こうにほとんど常勤するという形はすでにとられており、監事だけはあちらに一人こっちに一人ということになっておりますが、そうでない方は、居を移さなくても、仙台に常駐しておるということで満足すべき状態にあるということですか。
  225. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 その点はあなたの御質問からいえばあいまいな点だとおっしゃるだろう、そう考えるだろうと思いますが、常駐という意味は、仙台にみな一家族が居を移すいうことまでは徹底しておりません。そのかわり宿舎は会社が用意する。ほかの職員は必ずしもそうじゃありませんけれども理事が常駐ときまった以上は、会社においてすべて泊まる宿舎は用意するということをきめました。仙台におる間は、家族全員じゃありませんけれども、その担当者は宿舎あるいは会社の寮もあります。それから旅館の一室を借りておるのもあります。とにかく家族と一緒でないということは、少し影が薄いじゃないかというふうに考えられるかもしれませんが、確かに仙台常駐という線は通しております。ただ普通の状態からいえば、ほんとうに安定しないのではないんじゃないかという疑問が起こるかもしれませんけれども、そこまで追及するならば、これは就任する前にちゃんと条件を出しまして、家族、一家眷族みんな仙台に持ってこなければいかぬぞというふうなことをきめておけばよかったのですけれども、あとで言ったものですから、そこは相当なアローアンスというものがある。しかしながら、だれも、仙台常駐は困るということを今言うておる人もありません。これは実情に照らしていかないと、人の生活をあまり拘束しても仕事をやっていけませんので、それほどきちょうめんに、お前どうして家族をつれてこないのかということは言っておりません。
  226. 西村力弥

    ○西村(力)委員 東北開発株式会社は、東北地方の熱烈な要望で四年前に発足したわけであります。ところが、四年後の今日、当委員会で問題になっておる、検察当局の手にかかっておるということで、東北各地の人々は非常な失望あるいは疑惑、そういうものに包まれて、会社自体の信用というものは落ちるところまで落ちてしまった、こういう工合に思えるのです。そこで、総裁中心とした新役員責任は重大だし、われわれも期待するところは大きい、こういうことです。ところで、具体的に、そういう信用が落ちたばかりでなく、現われておる具体的なことはどんなことが今起きておるか。これは山中総裁から答弁してもらいたいと思うのですが、たとえば取引先が取引を拒否してきた、あるいは銀行面における融資の問題で、事実としてこういう障害ができておるということ、あるいは従業員が見切りをつけて去る者が多いとか、そういうようないろいろな不利な事態というものがさまざま現われておるのじゃないか、こういう工合に私は推察するのですが、具体的にそういう点はどういう工合に現われておりますか。
  227. 山中徳二

    山中参考人 ただいま先生の御心配になりましたように、今回の不祥事件の影響は社の内外に逐次現われておりますことは事実でございます。それだけに私ども再建に本腰を入れなければならぬわけでありますが、御心配の金融方面につきましては、直接本社との関係は、まだ表面に出ておりませんのでございますが、子会社が相当あるわけでございます。これには相当資金繰り等でぎりぎりに動かしておるというところがございます。運転資金の一部は、当社が保証をしてつないでおるというものもございます。これらにつきまして、従来比較的簡単に話がついたものにつきまして——これは一つは最近の金融引き締めが、御案内のように東北方面には、その影響が少しおくれて参る関係もございますので、そういうこともあろうかと思いますが、それらの点で相当私どもの従来のあっせんよりさらに一そうの口添えを必要とするというような事態が二、三現われておりますので、十分その点については警戒をいたしております。  なお、社内一般にはやはりこういう問題で非常に意気が阻喪しておりますし、ことに積極的に仕事をいたしますといろいろ問題が起こる。清廉剛毅の社風のもとにやっていけば差しつかえないけわでございますけれども、えてしてこういうことのあとには、事なかれと申しますか、それでやった方が無事だというような空気が社内に流れてくることをおそれております。そういうことのないように私どもも注意いたしております。  なお、関係方面に、たとえば国鉄の車両の特配をお願いするとかいうようなことをお願いに参りましても、従来よりもやや警戒的にいろいろ折衝なさるというようなことがございますが、先生のお話のように、ただいまの状態でこの会社に見切りをつけてどうこうするというような気配はないわけでございまして、新総裁再建の決意、指導力を期待いたしまして、一日も早く前向きの仕事に向かいたいということは、社内の強い希望でございまして、組合員もたびたび会合を開いて、そういう決意をもって、むしろ私どもを鞭撻しておる状況でございますので、ただいま申し上げましたような消極的な見方は、一応のわれわれの老婆心かもしれませんが、そういう面と、それからまた、このあらしを踏み越えて、ほんとうにわれわれ働く者が中心になってやっていくからしっかりしろという激励を受けておりますことも、事実でございます。私どもも、こういう積極的な声を背景にいたしまして、前進していくようにいたしたい、かように考えております。
  228. 西村力弥

    ○西村(力)委員 セメントとかハードボードとか、そういう取引関係が、先方様から断わられてきているとか、あるいは減額されてきているとか、そういうことはないのか、あるいはまた貨車繰りなんかにつきまして、国鉄でも東北開発会社に、その窮境はわかるけれども、特別なことをやると、われわれもまたその渦中に巻き込まれる危険性があるから、そのようなことはお断わりする、すべてこういう工合に関係を断つ、あるいはそれを薄くする、そういうような動きが今出ていないかどうか、その点はどうですか。
  229. 山中徳二

    山中参考人 ただいま御指摘になりました国鉄の場合は、私も事例として社員の一部から聞いております。どのくらいの話かは確かめておりませんが、そういう話し合いがあったということを聞いております。ただいまセメントは、むしろ品物が足りないくらいでございまして、そういうことはございません。ハードボードにつきましては、今値段がやや下がって参りましたものですから、そういう取引条件について話し合いが出ておりますが、今回の事件の直接の影響とは見ておりません。
  230. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ところで、三十七年度予算もあさって成立するということに見通しが立っておりますが、三十七年度の事業計画というものがすでにして固まって、年度初めからほんとうにここに全力が注がれて、それの実現にいかなければならないはずなんですが、その事業計画は現在どうなっておるのか。これは企画庁側にお尋ねしましょう。こういう事態であるから、その対処策でもうそういう新しい展開の道なんかに頭を向ける余裕がない、こういう状態であるのかどうか。私としましては、それはそれとして、やはり一定の仕事というものは、やはりどんどんと進めることが必要であると思うのですがね。企画庁、どうですか。
  231. 財前直方

    ○財前説明員 三十七年度の事業計画につきましては、会社の方からすでに一応の申請を受けております。まだ十分私の方で検討いたしておりませんけれども、速急に検討いたしまして認可をするようにいたしたいというふうに思っております。ただし、内容はいろいろございまして、たとえて申しますれば、バーチクルボート赤につきましては、ある程度認可の準備段階が済んでおりますので、近く認可ができるだろうと思っております。それから砂鉄等につきましては、目下検討中でございまするので、若干おくれると思います。いずれにいたしましても四月一ぱいくらいには認可ができるというふうに考えております。
  232. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これは常態では、年度内には次年度の事業計画というものがはっきり定まる、認可がおりるということが、今までの状態でいいますと、そういうことではないかと思うのです。予算でありますから、成立後でなければ認可はできないということが、官庁の責任立場からあるかもしれませんが、それはどうなんですかということです。  それから砂鉄については調査をする必要があるというのはどういうことですか。砂鉄の点については、鉱区買収についていろいろ問題点が指摘され、なおまた埋蔵量、それの継続事業としての可能性、こういう問題にえらく論議が集中し、疑惑が向けられたわけなんです。そういう点についての検討なのであるのか。砂鉄事業というものが、完全にだめになるということになれば、これは東北開発会社の相当死命に関する問題にもなるではなかろうかという工合に考えるわけなんですが、今御答弁の砂鉄問題についてはなお調査の問題点があるからというのは、どこの点にあるのか、その点についてお答えを願いたい。
  233. 財前直方

    ○財前説明員 事業認可につきましては、新年度の一カ月前に事業計画が出ることになっております。これにつきましては一カ月前に一応申請書の御提出をいただいたのですが、本年度はいろいろなごたごたがございまして、それ以上の詰めが十分できませんので、それを詰めていくという作業が若干ございまして、一応申請はいただきましたけれども、さらに詰めていただくというあれが三週間ほど余分にかかっております。従前の例からいうと、会社の御準備その他の点でもって、いろいろ説明を十分するだけの資料が整わなかったというようなこともあったようでございまして、必ずしも三月三十一日までに準備全部がそろって認可をするということではなかったようですけれども、もちろん私たち本年度については相当急いでおったのでございますけれども、たまたまいろんな事件がございまして、予定より三週間ほどおくれました。  それから砂鉄問題の御質問でございますけれども、ただいま私たちが検討いたしております点は、疑惑があったというようなことももちろん私たち深く反省しなくちゃならないところでございますけれども、そういう点じゃございませんで、一体経営としてこれがどういう格好でもって行き得るだろうか。将来十分経営として成り立っていくだろうか、技術の面とかあるいは経営形態の面とか、企業としての将来の見通しが立ち得るかどうかというような点を検討いたしておるのでございまして、不正事件その他を考慮してのあれではございません。
  234. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今のお答えは、相当重大な問題があると思うのです。砂鉄事業として東北開発でやることを承認する、それを企画庁が事前に承認し、国会においてもその予算のつけ方について承認を与えてきたのは——これから与えるのではなくして、承認を与えておるのです。そうして相当の、十七億ですか、その事業計画というものに対してわれわれ承認を与えておるのですよ。それが今に至って継続性があるかどうか、採算性があるかどうか、再検討しなければならぬというような、そういう答弁というものは、まことに重大であると私は思うのです。しかし、それは重大だからいっても、それは事実じゃないか、あなたは正直にそれを言っているのではないか、こういう工合に私は思える。事の順序から言うと、今ごろそんなことを言って何だ、こう言いたいところなんですが、しかし、あなたは正直に言っているのではないかと思う。そうだとすると、きまったからといって、あなたは、そんなことは目をつぶってやるよりも、再調査ということは徹底的に行なわなければならぬのではないか。やりかけてしまってから、原料もない、継続もできない、採算も合わない、鉄骨をいたずらに雨ざらしにする、工場を雨ざらしにするということは、なお一そうあやまちを重ねるということになります。そうしますと、今の答弁は私はまことに重大に聞いているんですが、砂鉄につきましては、徹底的な再調査を必要とするということを証明したと私は聞く。だから、これはそういう方法をとる。われわれは今まで採算性と継続性があるというように言われて、事業を承認し、予算を承認してきたということを裏切られたという言い方はありまするけれども、それをじっと押えて、これ以上のあやまちのないようにするためには、徹底的な再調査をしなければならぬ、こういうことを主張したい。これは、自分たらはごまかされたということに対するふんまんを押えながらそう言いたいのです。それはもう次官のお立場では荷が重過ぎるかもしれませんが、いやしくも大臣代理ですから、今の証言というものに対して、次官、あなたの答弁一つ求めたい。
  235. 財前直方

    ○財前説明員 私の舌足らずで、御説明が不十分であったかと思いますけれども、砂鉄事業につきましては、まだ認可ということはいたしておらないのでございまして、それで予算編成とさらに認可というものは分離されてやっているわけでございます。予算がつきまして、実際にこれが認可をするという段階は、予算の御審議が終わった後に各事業ともやるわけであります。たとえば。パーチクルボードあるいはセメント等、予算の御審議があって予算がつきまして、いざ認可ということになりますと、私どもの方といたしましては、相当検討をして、大丈夫だということで認可をするということでございますので、舌が足りませんでしたので、ちょっと申し上げます。
  236. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうしますると、砂鉄事業に関する鉱区買収を含めて今年度から新しく予算がつく、こういうことですか。
  237. 財前直方

    ○財前説明員 鉱区関係につきましては、準備調査費として別に三十三年から五億ついております。これはすでにおのおの認可をしているわけです。本年度の使用残四億、新しい十六億五千万円、これは三十七年度につく予定でありますが、これは工場を建設するための予算でございまして、これにつきましてはまだ認可をいたしておりません。
  238. 西村力弥

    ○西村(力)委員 工場建設以後が砂鉄事業だとは私は考えられない。前にも調査費として四億数千万円使われたと今言われますが、そういう金ですでに鉱区買収を行ない、かつあなた方はそれを承認しているわけです。だから、これから調査して、工場を建てるかどうかを検討するんじゃない、もうスタートしている。そうして途中でストップをかけるというようなぶざまなやり方がどこにありますか。それはずっと見通しをつけ、買収を許容してきているんでしょう。すでにスタートは切っているんですよ。ですから、その段階にあたって、工場建設を認可するか、操業を認可するかいなかということを、あらためて検討しなければいかぬ。その検討しなければならぬ根拠というものは、採算性があるか、永続性があるか、こういう二点にわたって再調査をしなければならない。こういうことでは、そういう不確定の状況下において国費四億数千万円をただあなた方はつぎ込んだ、それを認めたということに相なるわけであって、その責任は重大だというふうに相ならざるを得ないわけなんです。  そこで、私の言いたいのは、何と言われましても、工場建設を認可するかしないかということは、もう一ぺん腰を落ちつけて調査をする必要があれば、やはりそこで一ぺん足踏みをして調査をしてもらいたいということです。その点は委員会でも相当疑義を持たれた点でもあります。せっかくそういうことを企画庁が考えられるならば、これ以上進めて、償うべからざるあやまちというものを大きくするようなことがないようにするためには、ここでストップして再調査をするべきだ、そういう方法を次官として、企画庁としてはっきりとれるかどうか、それに対する次官の見解、企画庁としての見解というものを述べてもらいたいと私は思います。
  239. 菅太郎

    ○菅政府委員 お話のように、砂鉄の問題は東北開発株式会社で取り上げるという根本方針は何ら変わっておりません。ただ、率直に申しまして、従来ああいう会社の運営でございまして、いろいろ問題もあったものでありますから、新総裁が就任されて幹部が一新されました後、新しい幹部においてもう一ぺん態勢を整え直して、この問題とどう取り組むか、十分腹案を作っていただいて、そうして出発をしてもらいたい、こう考えておるわけでございます。若干不明確な点があったり、問題があったりする点もございますから、そういう点の検討を今やっておるのでございます。  それで、すでに予算もついておりますので、いよいよ工場の建設その他事業の本格的実施にかかるわけでございますが、その基本方針は変わっておりませんが、ただ、事業の認可につきましては、工場を建てる、鉱区の開発に手をつけるにつきましては、いろいろな具体的な条件なりやり方がございますから、そういう点について事業の認可をしなければなりません。同時に、製鉄業界全体の動きも絶えず注意をして見ておらなければいけませんので、最近の鉄鉱業界の情勢その他において砂鉄、製鉄のあるべき地位というものも絶えず検討いたしております。そういうものも考えまして、いよいよこれから実施にかかるわけでありますから、ここで、従来も調査しておりますけれども、あらためて新幹部と企画庁とが、再発足にあたって今検討して、そうして事業認可をこれからやろうというところでございます。  もちろんそういう意味で、この段階において相当調査はいたします。しかし、これをひっくり返しやめてしまうとかなんとかという意味ではございません。あくまで前向きの姿勢で調査をやって、いよいよここで力強い出発をいたすという意味調査でございますので、御了解をいただきたいと思います。
  240. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、新総裁もやはりそのようにこの際再度念入りに調査あるいは検討というものを加えて、企画庁と一体となってやるかやらないかということ、やはり再調査というものは、これ以上進むか進まないかということを決定する調査でなければならぬと思うのですが、そういう趣旨で検討される。しかし、あなた自身は、そういうめんどうなことをしなくても、事業に着手してどんどん成果を上げた方がいいという工合にお考えなのかどうか、企画庁は慎重に再調査をして、本格的操業に入る前になお徹底的な調査をしよう、こういうことなんですが、会社側としてはどういうお考えですか。
  241. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 ただいまのお話は、こっちの方が何か矛盾しているような点があるようにおっしゃられたのでありますが、私そう聞きましたが、しかし鉱区調査というものは相当時間がかかることであります。そうして認可するかしないかわからぬものを鉱区だけの用意をしたというのはおかしいじゃないかというのですけれども、私どもはやはり鉱山をやったことがありますが、そういう意味から言いまして、企画庁、関係主管官庁としましては、相当この事業に対して親切に扱っておるという感じを私は抱いております。それは今度の事件にも相当関係いたしまして、今度の事件で一番大きな問題は、やはり砂鉄鉱区に関する問題が相当大きな分野を占めておる。その内容からいっても、取り扱い金額からいいましても、ただ普通のセメントをどうしたとかいうのではなくて、相当大きな国費を投じておるということでございますが、その出発のときは、やはり工場ならば、機械が来れば、建築資材が来ればすぐできますけれども、鉱区には相当かけ引きが要りまして、いいか悪いかということは、相当綿密な専門家の調査が要りますので、許可をする前提のもとにそれだけの余裕をそこに与えたと思うのです。それじゃもしやらないことになったらどうなるかという問題もありますけれども、やらない場合には、この鉱区を政府が持っておるか、あるいは他に売却するかという問題はもちろんありましょう。ありますけれども、工場の建設と鉱区の買収といいますか、これを一緒にやることは時間的におそらくできないと思うのです。鉱区というものは——みな山師でありますから、山には相当なベテランがおります。買う方もぼやぼやしておられないのですから、それに対しては相当時間的な要素というものが要るということであります。  それで今までお話しになりましたように、もし鉱区だけ買っておいて、こっちは今からやるかやらぬかわからないからおかしいじゃないか、理屈は全くその通りだと思いますけれども、しかしながら当初は、砂鉄事業というものは東北の大きな開発として必要な事業であるという認定に立ったことは、これは間違いないと思うのです。ですからその線が、今政務次官のお話しのように、私はくずれたとは思っておりません。あくまでわれわれの仕事を担当する熱意があるかないかということも一つ問題のインジケーターになると思うのです。こういう事件が起こったからどうもさっぱり熱がなくなったという認定がもし当局にあるとすれば、われわれに対して、あるいはこういう者にまかしたってだめだという判定を下されるかもしれませんけれども、われわれは今そういうことは考えておりません。どこまでもできるものならば早く見込みを立てて、そうしてこの問題を前向きにしてもらいたい。この事件のため非常に影響を受けました。皆さんお名前も知っておると思いますが、非常に影響を受けたことは事実でありますけれども、これは解決すればよくなる問題ですから、一ぺんその汚名を受けたからこの問題はだめだという判定は下し得ないと思うのです。ですから私どもはその熱意はちっとも失っておりません。ただ矛盾する点は、それは親切からきた矛盾であって、用意というものがある。その点に多少理屈に合わぬところが出てきておるのではないかと思います。私どもはどこまでも、この砂鉄事業というものは、東北の地下資源といいますか、東北の開発のためには非常に大きな分野を占める、しかも日本の将来の製鉄業界に対して非常に大きなプラスになる問題じゃないかと思っております。そういう意味でこの問題をどこまでも進めていただきたい、また調査ができ次第なるべく早期に許可をしてもらいたいというふうに考えております。
  242. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これでやめますが、とにかく伊藤総裁はからだを出資してあったという、これは決意の表明だろうと思うのです。しかも御自分の栄誉栄達とかいうことが眼中にあるような方でもないし、実業家としてすばらしい社会的な地位を築かれた後の最後の御努力というくらいにも言えば言えるのではないかと思うのです。それでやはりいろいろなからみ合わせられてくる干渉とか圧迫というものは断固として排除していかれる——私たちずっと見ますると、この開発会社の内部というものは、先ほどから指摘もありましたが、不統一であり不明朗である。まるで乱脈そのものであり、百鬼夜行の状態である、こういう工合に私は先ほど言いましたが、こういう状態にあって、企業成績よりも自分たちの関係する人事的なひもというか、コネというか、ルートというか、そういうものが大事だ、そういうことが現在までの東北開発の内部に支配的ではなかったかということを思っておるわけであります。そういうようなことを、この際災いを転じて福とする、その大きなきめ手というのは、総裁があらゆる干渉とか圧迫とかいうものは排除するという断固たる決意というものが、一番大事ではなかろうかと思うのです。この点を強く要望申し上げたいし、私たちいたずらにこの問題点をほじくり出すことを好んでいない——これはだれでも言われることでありますが、そういう点からこの審議を進めておるし、よかれと願っておるのでありまして、そういう将来の正常なる発展の方向に向かって最大の努力をするというととは、各位の一致した心境である、そういうことでありますので、総裁には一つその点ぜひ断固としていくという立場をとっていただきたいというような気持が、私の現在の気持であります。  そういうことを一つ申し上げまして、私からのお尋ねは終わりたいと思います。
  243. 鈴木仙八

    鈴木委員長 勝澤芳雄君。
  244. 勝澤芳雄

    勝澤委員 時間もございませんし、大へん重要な問題が二人の方から行なわれましたので、私は簡単に、これから前向きに解決すべき問題がより解決しやすいような立場質問をいたしたいと存じます。  山中総裁にお尋ねいたしますけれども、築地会館の問題です。築地会館は、御承知のように、山本さんからきょう出されたメモによると、実は虎ノ門ビルに行くつもりであったけれども、監督関係官庁のところから築地会館がいいだろうと言われて築地会館に行った。そうしてあとは理事会の議事録によると、金がなかったから個人的に、雲野さんが、元総裁がおったところの会社から借りて保証金を払い、それをまた一年ぐらいたってから加藤さんの名前に切りかえて、今日では仙台の土地造成によって収入が生まれたから、その金で肩がわりをしてその保証金が入っておる。今築地会館そのものも、いろいろ聞いてみますと複雑なもののようで、二千万円の保証金というものは何か凍結されているとか、裁判にかかっているという話を聞いたのですが、どうなっておりますか。また、大へん場所としても適切でないようなところですし、これは今日変えることができますか。もしあなたの方が御都合が悪ければ、これは政務次官の方で、変えさせるようにすると一口言ってもらえばいいのですよ。それから二千万円のこと、どうなっていますか、おわかりになりますか。
  245. 山中徳二

    山中参考人 二千万円は確かに保証金と敷金で入っておりますが、築地会館自体の経営が最近不良であるということを聞いておりますが、それ以上のことはちょっと今私はっきりいたしておりません。
  246. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは、私がせっかくここで申し上げておるわけですから、この問題が解決できないだけでも、副総裁あるいは総裁もやめる気になって——築地会館を引っ越すことができないのだということだけでも出すことが、やはり——これはほんのわずかの問題です、わずかの問題ですけれども、大きな問題なんです。背後にある問題というのは大きな問題です。これはやはり明確にされる方がいいと思うのです。ですから、その点は、東北開発のこれから事業をやっていく上の立場で御検討を願って、自主的な立場でおきめになればいいことだと思いますが、まあそこまでおわかりでないならば、それ以上質問はいたしません。  それでは、次の問題は中外鉱業の問題です。これは政治的にどうなっておるかよくわかりませんけれども、この五千万円の問題もなかなか困難なようです。それは向こうとしては八分で貸してくれればいいわけですから、政治的にこの融資をしたかどうかという点については、私はつまびらかじゃありませんけれども、これはやはり解決すべき問題だと思います。  それから、売掛金回収の問題で一番困っておるのは、何といいましても、東光物産なり青森建材だと思うのです。これは贈収賄事件が起きておるわけですから、そしてまた、取り立てそのものについても、これはいろいろむずかしい点があったわけですから、また、政治的にも介入があって、取り立てをすれば政治家の方からたたかれる。極端に言えば、総裁から首になるのじゃなくて、とんでもない方から首にさせられるということになったかもしれないと思う。東洋物産の冬季のセメントの問題も同じです。ですから、これまたやはり問題はある。今私は一番いい点は、今一番東北で騒いでいるわけです。騒いでいて、何かやろうとして妨害をされたら、妨害をされたとたんに、それは世間の目が承知をしないわけです。今だれも、入って、東光物産青森建材やあるいは東洋物産を解決しようとしても、妨害しようとしても、今できないはずなんです。もしやろうとしたら、おやめになればいいのですよ。そのおやめになることが、腹を切ることが、何も責任がないのです。おやめになることが、これはもう東北の一千万の人たちの利益になることなんです。この点をまず第一に私は申し上げておきたいと思う。これは回答は要りません。  二番目の問題です。これは事業の運営の問題です。これはやはり監督官庁の関係を見てみますと、実にむだなことをやっている。東北開発株式会社理事会できまったら、経済企画庁の監督官が文句を言うことはないと思うのですよ。あとは事務的手続をやればいいのですよ。それ以上の力は私はないと思うのに、それ以上のことをやる。暴力といってはいけないかもしれませんが、事務的な配置になっていないのですよ。また、事業をやろうとする人が一番真剣に考えているわけです。それ以上のことをやろうとすると問題があるのです。ですから、ハードボード工場を会津若松に作るか米沢に作るか、もみにもみくり返って、これは渡辺前総裁の書いたものですが、その手記によると、当時の政務次官が入って、おれは山形の出身だから米沢にせにゃいかぬということを言って、そうして知事の関係もあって、いろいろな人が入って調べた結果、どうしても会津若松がいいのだということが理論的にも裏づけられて、仕方がないか何か知らないけれども、会津若松にきまった。そのかわり、米沢には何か作りますよということを約束した。何か作りますということは、企業採算を無視しているということです。米沢に作ればもうかるかもうからないかということは、何も考えられていないわけです。東北開発株式会社のことを考えてそうきめたわけじゃない。そこに問題がある。  もう一つ申し上げておきます。これは渡辺さんのメモです。これは河北新報に出した記事ですから、河北新報には東北開発株式会社がたしか相当な部分投資をしておるわけです。そのところが出したものですが、この中で私は一つの問題は、銀行の融資の問題です。経済企画庁政務次官から受託銀行をどこにしたかと聞かれた。大蔵省出身である山本多理事案に従って、三井、三菱、興銀、七十七など従来社債を引き受けてくれた銀行名を並べ立てたところ、埼玉銀行を含めないのはけしからぬと小言を言われた。再び帰って割り振り変更するなど実にくだらぬケースもあった、こう言っておるわけです。埼玉銀行というのは、御承知の通り、武州鉄道で一躍有名になった銀行であります。ずっとこうやって、当時のことを思い浮かべてみると、それはもう政治的な力というものを、これは否定しても否定できないことなんです。ですから、こういうことが行なわれてきたと総裁のメモにも書いてあるわけですから、行なわれてきたのでしょう。  それから、人事の問題です。人事の問題でも今言われております。大へん総裁にはお気の毒ですけれども、現理事の富塚さんが、これは今容疑者として逮捕されております。富塚さんの逮捕はどうかと調べてみますと、これは私が言わなくてもおわかりになっていますように、渡辺総裁がお入りになるときに、腹心の者を二、三人入れろと言われた。そうして腹心の部下として——部下といいますか、腹心として考えたのは、雲野理事と富塚理事だった。雲野理事は副総裁で入れようかとだれかが言ったために、あとからきまった加藤総裁との間が不仲になったということです。富塚さんが理事にできなかったために、理事待遇を与えた。ですから、渡辺総裁と、それから雲野理事と、それから富塚さんは当時企画調査部長ですね、それからまた一番自分の子飼いとして入れた石田さんですか、こういう形のものがみんな出ちゃったわけです。ですから、富塚さんを理事に起用するとき、新しい人事が私は問題だと言うのです。ですから、新しい人事はあなたがやったと表面的には言われるでしょうし、あるいは監督官庁の経済企画庁も承認をしたでしょうし、これは株主総会にもかけたわけでしょうし、最終的には内閣総理大臣が任命したのでしょう。それから、山本メモに出て参りました赤塚営業部長です。この人は何かといったら、あの念書の裏契約を立案をした人であるということは、山中総裁山本理事と一緒に認めておるわけです。そうすると、富塚理事の問題も、赤塚部長の問題も、あなたがかりに——これはかりというのです。あなたが知らないとするならば、まだそのなごりが残っておって、その人事が行なわれておる。私は、あえて山中人事とこの前言ったかどうかわかりませんけれども、行なわれている。そうして富塚さんに対するものは何かといえば、富塚さんを理事にするなら青木さんも理事にしろという強引な力があって、富塚さんと青木さんとのつり合いで、富塚さんが理事になって、また青木さんが出てきた、こうなっている。これは私が言わなくても御存じの通りです。ただ、私は、ここでわれわれが言うことは、あなたがお仕事をやられるときに一番やりいい、やりよくなるように私は言っておるわけです。これは東北の人たち、あるいは心ある、私たちが政治に関与しておるのを見た人たちにみんな聞いていただきたい。人事の構成を見ましても、これは認可の関係がありますから、事業の仕事をやってもらわねばなりませんから、通産省から理事が入って、予算関係もありますから大蔵省から入って、監督官庁の経済企画庁からも監事で入れている。こういう配置ですね。ですからこういう配置の中で、結局なぜこういう人事が起こるのか、なぜ、あるいは銀行一つについて毛そういうことが言われるのかといえば、結局予算をとってもらうからということなんです。予算をとってもらうためにどれほどの苦労をしたか書かれております。三木経済企画庁長官に五億の出資を約束してもらって、それはできた。第一次のときは十億しか出なかった。第一次査定は十億しかなかった。河野長官のところに行って頼んだら、平大臣だったらせいぜい十五億どまりだろうけれども、おれが三十億とってやると、三十億とってもらった、こういう、裏話までずっと出ております。結局、なお東北開発の特別委員人たちからたくさんの人にいろいろとお願いし、努力してもらって予算ができるわけです。ですから今年度の予算もたしかそういうような形で努力してとったと思う。結局それが全部ひもについておる。あなたはそのひもの点については、それはもうほんとうにきれいな考え方をされておりましたけれども、結局あなたの命令を守るよりも、おれのうしろのひもの代理者としておれはこの会社に来ているんだ、こういうことなんですよ。それから副総裁の話を聞いてみますと、まさに東京派と仙台派という形に分かれておりましたね。今までの理事は東京派と仙台派に分かれて、それからなおかつ主流の中心総裁で、反主流の中心加藤さん、こういう形で協力するなんということはやっていなかった。ほかの理事はどうかといえば、責任ある部門を持たされて責任ある仕事をやっていたかどうかという点についても私は疑問です。ですから、こういう点を私は考えてみますと、あなたが人の和をお考えになることは、それはけっこうです。信用なされることもけっこうです。また当然だと思うんですね。しかし、ちょっとでも政治的な圧迫を食うようなことが、かりに銀行の指定一つを取り上げてみても、ただ単なるその問題だけではない、一職員、一役員が言っている分には大したことはないんです。しかし、大きな権力を持っている人が言う、それは大きなものなんです。ですから、そのときにはあなたが理屈は言う必要はありません。辞表を出しておやめになることが、これは一千万の東北の人たちのためになることです。それを今までおった理事人たち監事人たちはできなかったのです。きょう言って、加藤総裁は、私は事業ごとの経営にしたい——このごろはそうです、どこでも……。松下電器でも、事業ごとに重役がおって責任体制をとっているのですから、それは当然です。ここにおった方々は全部一致して賛成されたのです。賛成されたけれども、それが実行されない。まさにそれは言いわけなんです。千葉営業部長をかえようとして理事会で満場一致きまったけれども千葉営業部長をかえることについてはまかりならぬと言ってあらゆる個所から迫害を食った。あらゆる個所というのは、結局今の理事よりももっと大きな力があるわけです。ですから、今この中で力があるのはあなたしか私はないと思うのです。ほかの副総裁以下理事、大へん恐縮ですけれども、お力がないわけです。あなたはお力があるわけです。それはあなた以外にこれから東北開発を受ける人がない、こう言われておるわけです。これは渡辺さんが一番最初に任命されるときにこう言っております。東北でもってこの東北開発総裁になる人は郷古さんか、それからあなたか、内ケ崎さんか、渡辺さんだ、この四人の中で選ばれた。私が一番年が若かったので、私に白羽の矢が立って私がやったのだ、こう本人が言われておるのでありますから、そういう中で渡辺さんがやられてきて、渡辺さんはいろいろ御苦労をされた。御苦労された結果は、魔がさしたか、あるいは民間企業の仕事のやり方がああいうものであったかはわかりませんけれども、結果になったわけです。大へんお気の毒なことだと思う。役所の中で役所の仕事のような形でやるならけっこうですけれども、それではやっぱり事業は伸びません。営利事業ですから、もうけにゃいけないわけですから、幾ら公共性、公共性と言っても、その公共性はそれは東北の人たちのためにならぬということははっきりしているのですから……。米沢の会津若松と比べて会津若松がいいということで、公共性だといって米沢に持っていった。指定業者がりっぱな者があるにかかわらず、公共性だということで県知事の推薦で不良な業者を推薦した。それに屈服したら屈服した人が悪いと思う。屈服さした人も悪いかもしれませんけれども、やっぱり屈服した人が悪い。そんなのは男じゃないですよ、事業をやろうとするには。ですから、私はそういう意味で、これからの問題をあなたは裸になって命がけでやってもらいたいと思う。経済企画庁だって、大体何も事業のわからぬ者がつべこべ言って、そうして理事会に出て何もそれについて追及ができない。むしろ経済企画庁も、大蔵省の監督官も一緒になって、私はこういうことをやってきたのではないだろうかと実は言わざるを得ないようなことなんです。まあ、こういう点から考えてみましても、やはり今重要なキー・ポイントに立っていると思うのです。その重要なキー・ポイントに立っているあなたが、人の和の問題を叫ぶのもそれはけっこうだと思う。しかし、それはよく知っておってやはり言われていると思います。けれども、やはり大へんなところだ。だけれども、それはもう再建をするためには、私は三回や五回くらい辞表をお出しになって、まあ藤山さんが平身低頭して元に戻るくらいのことがなければ、再建ができないようなところにきているのじゃないだろうか。私は午前中、藤山さんが今の東北開発のその後の建て直しができるかどうかという点についても、まあ大へんだろう、池田総理でもどうだろうか、それはまた大へんだろう。実はこういう私だけの独断的な発言をいたしましたけれども、しかし、それは私の見解でありまして、そうでない部分もあろうと思いますけれども一つ私が申し上げましたいろいろな諸点について、一括してあなたの御所見を賜りたい。
  247. 伊藤保次郎

    ○伊藤参考人 今のあなたのいろいろおっしゃって下さったことは、大体人事問題に集中された御意見であると思います。まことにごもっともだと思いますが、最初に、今度問題になりました富塚君のことです。富塚君は、私は理事に就任してもらうときは、圧力のためにお願いしたのでもないし、大へんりっぱな人だと思いました。従来の担当の仕事から見ましても、この人は理事の資格はある、しかし、資格はあるといっても、必ずしもその人をやらなければならぬという意味じゃありません。なぜあのとき社内から二人の理事をあげたかといいますと、やはり従来いろいろ言われました問題は、上の方の派閥というものは私の耳にも入っていました。しかしながら、むしろその影響が、上のやることは下が従うという言葉もありますが、それを下に及ぼしてはいかぬ。つまり内部が対立状態になってはいかぬと思いまして、そうしてこの際二人の理事を、ちょうどありましたから、社内の優秀な人材をあげて、そうして社内の——従来ほんとうにあったかどうか、それは私はほんとうに認識したのじゃありませんけれども、そういうふうに考えましたから、二人の理事を推薦する場合に、他にも候補者があったのでありますが、社内の状況から考えまして富塚、青木両氏をあげたのであります。これで社内のそういう派閥的な傾向も一応治まるものじゃないかと言うて、多少治まったと私は信じておりました。それで今日まで来たわけでありますが、その一人の中からああいう人が出たということは、まことにこれは私の選定が、このことから言えば誤ったわけでありますが、動機は社内のそういう協力体制を十分ほんとうに現わしてもらいたいと思ってやった人事であります。しかし、ここまで参りましたから、私としては大へん遺憾に思っておりますし、その善後処置につきましては、十分皆さんの御納得のいくように処置したいと思っております。  その他のことにつきまして、今るるおっしゃられましたことも十分わかりました。わかりましたが、私の考えといたしましては、大いなる決意をもってやって、そうしてだめならばもうやめるつもりでやったらどうかという御忠告がありました。これも一つの方法だ思いますが、しかし現在は、私はまだそこまで考えておりません。この問題のさなかに、そういうふうな考え方ではいかぬと私も思っておりますし、もう少し皆さんから御鞭撻を願いまして、そうしてこの時局をほんとうに収拾して、どこまで仕事が前向きに行くかということはわれわれに課せられた試金石です。それはいやなこともたくさんありましょうが、しかし今の先生の御忠告に従って一つあばれてみないかという御忠告だと思いますが、そこまでは私まだ考えておりませんが、やはりこの際私は、いやしくも最高の責任者として立った以上は、この責任者がどうも最近ぐらついておるぞ、委員会に出て、ごもっともだというような賛意を表したということになりますと、どうも少しおかしくなりますので、その点はもう少し私どもはがんばらせてもらいたいと思います。それ以外に方法はないように思います。  社内の体制は、決してほめるわけではありませんが、大体協力的な方向に、これは自分のひが目かもしれませんが、向いておるじゃないかと思いますから、これはこれからも十分がんばって参りたいと思います。これはいろいろ欠点がございましょうが、その点は十分直しましょう。富塚君のことは、再言いたしますと、大へん遺憾なことでありますが、これの収拾については責任を持ってやるつもりであります。
  248. 鈴木仙八

    鈴木委員長 本日における本件調査は、この程度にとどめます。  両参考人には、まことに御苦労さまでございました。      ————◇—————
  249. 鈴木仙八

    鈴木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  東北開発株式会社会計に関する件の調査のため、なお参考人の出頭を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  250. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選、出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  251. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  252. 鈴木仙八

    鈴木委員長 なお、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和三十五年度決算中、外務省所管特にドミニカ移住問題について、明三十日の本委員会に、参考人として関係者出席を求めたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  253. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会