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1962-03-26 第40回国会 衆議院 決算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十六日(月曜日)    午前十一時二十分開議  出席委員   委員長 鈴木 仙八君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 田中 彰治君 理事 高橋 英吉君    理事 小川 豊明君 理事 勝澤 芳雄君    理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    鈴木 正吾君       福田 赳夫君    藤井 勝志君       古井 喜實君    久保 三郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         内閣参事官         (内閣総理大臣         官房会計課長) 多治見高雄君         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     宮地 直邦君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  原田  正君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     佐藤 正二君         大蔵政務次官  天野 公義君         大蔵事務官         (主計局次長) 谷村  裕君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      佐々木達夫君         大蔵事務官         (管財局長)  山下 武利君         文部政務次官  長谷川 峻君         文部事務官         (大臣官房会計         課長)     安嶋  彌君         農林事務官         (大臣官房経理         課長)     筒井 敬一君         林野庁長官   吉村 清英君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      大村 筆雄君         東京大学学長  茅  誠司君         文部事務官         (東京大学事務         局長)     鶴田酒造雄君         会計検査院長  芥川  治君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月二十三日  委員久保三郎君、芳賀貢君及び森本  靖君辞任につき、その補欠として帆  足計君、中澤茂一君及び楢崎弥之助  君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員中澤茂一君及び楢崎弥之助君辞  任につき、その補欠として芳賀貢君  及び森本靖君が議長指名委員に  選任された。 同月二十六日  委員帆足計辞任につき、その補欠  として久保三郎君が議長指名で委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十五年度一般会計予  備費使用調書(その2)  昭和三十五年度特別会計予  備費使用調書(その2)  昭和三十五年度特別会計予  算総則第十一条に基づく使  用総調書(その2)  昭和三十五年度特別会計予  算総則第十二条に基づく使  用総調書         (承諾  昭和三十六年度一般会計予 を求め  備費使用調書(その1) るの件)  昭和三十六年度特別会計予  備費使用調書(その1)  昭和三十六年度特別会計予  算総則第十一条に基づく使  用総調書  昭和三十六年度特別会計予  算総則第十二条に基づく使  用総調書  国有財産増減及び現況に関する  件(東京大学検見川総合運動場の問  題)      ————◇—————
  2. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これより決算委員会を開会いたします。  国有財産増減及び現況に関する件、特に東京大学検見川総合運動場の問題について調査を行ないます。  本日、本問題調査のため御出席願っておりますのは、荒木文部大臣川島行政管理庁長官芥川会計検査院長茅東京大学学長山下大蔵省管財局長、その他関係当局方々でございます。  質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。木村公平君。
  3. 木村公平

    木村(公)委員 当決算委員会におきましては、東京大学検見川総合運動場の問題に関しまして、去る二月十二日、二月二十六日、三月六日の三回にわたって慎重に審議をいたし、さらに、二月の十七日にはわざわざ現地視察を行なって参ったことは御承知通りであります。本日、この総合運動場問題に関係する当局最高責任者でありまする文部大臣初め、行政管理庁長官会計検査院長の御出席が得られましたので、われわれの審議を進めまする上において、また、御出席最高責任者方々の御参考にもなると思いますので、数次にわたりまする当委員会審議経過の概要を申し述べ、その後に二、三の質疑を私より行ないたいと存ずるのであります。  現在の東京大学検見川総合運動場は、昭和十四年千葉市より無償寄付を含めまして約十万二百二十二坪を二十六万八千円で購入した土地であります。これが戦中、戦後の幾多の経過をたどりまして今日の姿になったものでありますことは、すでにこれまた御承知のことと存じます。  ここでわれわれが、この土地あり方運営方法等について問題とするに至りましたことは、一つは、これが国有財産であり、また行政財産であるこの土地が、東京大学検見川総合運動場建設使用のためという美名のもとに、約八万坪を、昭和二十八年以来ゴルフ場として、数名の学生ゴルフ修得者のため施設を施したばかりでなく、昭和三十五年度には、一万三千八百余名に上る職員、卒業生その他一般のビジターと称する方々使用に供して、本来の使用目的を逸脱して利用されている点であります。  また、これらの土地によって、昭和三十五年度の収益二千八百五十九万余円を上げるに至ったのでありますが、これが一銭も国庫に納入されていないという状態であり、法人税事業税についても、昭和三十二年以降については、昭和三十六年に一括納入しておるという横着な現状であります。  さらに、この使用目的に対して、昭和三十年会計検査院実地検査による指摘があり、昭和三十四年十二月には、大蔵省関東財務局指摘するところともなって、その後昭和三十六年十一月には、行政管理庁勧告するところとなったことも、あるいは御承知の方が多かろうと思うのであります。これら指摘勧告に対する大学当局態度は、文書あるいは口頭によって回答されておりますが、きわめて誠意に欠くるところが多いと思うのであります。  これらの諸点に関しましては、私はもちろんのこと、委員諸君が、審議の過程において、その使用目的の逸脱は、財政法並びに国有財産法に照らして違反しているではないか、本来の行政財産の姿に返すべきであると述べ、現在の日本国情等考えるとき、国民の血税であがなわれ、また、将来日本指導的立場に立つべき学生諸君最高の府である東京大学が、かようなことをしてよいのであろうか等々、詳細にわたって関係当局お尋ねをいたしておる次第でございます。  それに対し文部省並びに学校当局から得ました回答は、東京大学検見川総合運動場整備計画案なるものに尽きるのでありますが、この計画によりますると、全敷地面積十万二百二十二坪のうち、現在ゴルフ場として使用している七万九千九百八十四坪について三万六千三百九十五坪をラグビー場野球場サッカー場等に、残余の四万三千五百八十九坪は依然としてゴルフ施設として残す計画となっておったのであります。この計画に対する委員諸君意見の中には、縮小しても国民感情はこれを許さないじゃないかという旨の意見もあったのであります。  以上の諸点は、国民代表でありまするわれわれの意見でありますが、かような経過をたどって本日の審議となったことをあらかじめ御承知おきをいただきたいのであります。  そこで経過を申し述べましたあとに一、二の点について質疑を行ないたいと思うのでありますが、まず最初に、東京大学責任者でありまする茅学長お尋ねをいたしたいと存じます。  茅学長は、東京大学の中に財団法人東京大学運動会があり、この中に東京大学検見川総合運動場運営委員会を設けて、特別会計をもって現在の検見川ゴルフ場運営管理していた実情をどうお考えになっておったのでございますか、まずその点を茅学長より御答弁をいただきたいと存じます。
  4. 茅誠司

    茅説明員 お答え申し上げます。  東京大学検見川総合運動場運営管理が適正でなかったという点につきましては、私ははなはだ遺憾であると存じます。こういう国有財産管理する上におきましては、大学当局が直接に管理運営すべきものであると私は考えておるのであります。今までとりました態度に遺憾の点があったことをはなはだ残念に存じます。
  5. 木村公平

    木村(公)委員 日本学界最高の府でありまする東京大学茅学長から、遺憾の意を表されましたことは、わが国国会といたしましてもまことに残念でありますが、それと同時に、その御誠意に対しましては、私より感謝を申し上げなければならないところでございます。  次に、東京大学は、この国有財産使用について、東大東大運動会とは表裏一体であるとの理由から、文部省との協議を行なわなかったと言われますが、今後の運営あり方としては、財団法人東京大学運動会に主体性を預ける従来のやり方ではなくして、東京大学自身が自主的な立場でこれを運営することが私は本筋ではないかと思うのでございますが、茅学長はこの点についてどのようなお考えでありますか、これも伺っておきたいと存じます。
  6. 茅誠司

    茅説明員 先ほどのお答えにも申し上げました通りに、私どもといたしましては、大学当局が直接に管理運営に当たりたい所存でございます。
  7. 木村公平

    木村(公)委員 さらに、このゴルフ場を経営されることは、前述いたしましたいろいろの事情等を御考慮されるときに、むしろ廃止の方向に進まれることが、東京大学のためにも、国民感情の点からも、当然のことと思いますが、これに対する茅学長の御見解はいかがでございましょうか。
  8. 茅誠司

    茅説明員 お答え申し上げます。  私は、この決算委員会の前後三回にわたる御討論を、速記録によって熟読してよく承知しております。皆様のお考えを勘案いたしまして、東京大学といたしましては、この検見川総合運動場におきまするゴルフ場を廃止いたします。
  9. 木村公平

    木村(公)委員 次に、私は荒木文部大臣に一、二の点をお尋ねいたしたいと存じます。  この東京大学検見川総合運動場現状を見まして、これが国立大学のうちで最高の府であるといわれる東京大学が、かような実態を露呈いたしましたことは、監督官庁であります文部当局としていかなるお感じを抱かれておるのか、あるいはいかなる責任をおとりになる考えであるか、その御所見を伺っておきたいと存じます。
  10. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 行政財産として東京大学が自主的に管理運営する立場にあります、その管理運営の仕方がだらしなかったことは認めざるを得ないと思います。同時に、第一次的には文部省が、大学自主的管理運営下にありとはいいながら、機会を得て知り得る機会もあったはずであります。このことを知り得ないままに、また、知っても適切な処置をしないままに今日まで推移いたしました文部省も、あまりほめた姿じゃない、こう思っております。
  11. 木村公平

    木村(公)委員 特に文部大臣に、これは質疑と申しますよりも、要望とも受け取れる問題でございますが、戦後、大学自治ということが叫ばれておる。私ども大学に大幅な自治を与えることは好ましいことであると考えておるものでございます。しかしながら、この自治の名のもとに、行政財産としてのあるべき姿を不当に曲げて、その使用を行なうという今回のような場合が、これまた自治の名のもとに公然とまかり通るということになりますれば、自治とは何ぞやということに根本的な疑念を持たざるを得ないことになって参りますが、東京大学に限らず、他の国立大学に対しましても、文部大臣は厳正な態度で、共通のこのような事案に対して事に処すべきではないかと存ずるのでございますが、この際文部大臣の御所見を伺っておきたいと存じます。
  12. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 いやしくも国有財産が、それぞれの行政目的使用される必要あればこそ、それぞれの責任者に委嘱せられ、管理運営することをまかされておると思います。そういう一般的立場から申しましても、ひとり東京大学に限らず、また、大学学校等に限らず、文部省所管の範囲に関する限りは、同様の不当な、適正を欠くような管理運営を絶無にするようにいたしたい、こう思います。
  13. 木村公平

    木村(公)委員 文部大臣に対する質疑は、御答弁によって十分了解いたしましたので終わります。  次に、行政管理庁長官に若干お尋ねをいたしたいことがございます。  昨年の十一月二十九日付をもって、行政財産運用状況について、大蔵大臣並びに文部事務次官に対し監察結果を通知しておられますが、その中に今回の検見川総合運動場利用状況が適当でないので、総合運動場とするか、あるいは普通財産として処理すべき旨をお述べになっておるわけでございます。これに対し、文部当局からいかなる回答が参っておりますかということを、長官みずからおわかりにならない場合は、後ほどでもよろしゅうございますから、その点について御答弁を伺いたいと存じます。  さらにまた、東大検見川総合運動場実態を、今日ここでも私から経過を申し上げましたが、さらに、いろいろ御調査のことでございましょうが、この実態を御調査され、あるいはわれわれから聞知をされまして、その御感想、御所見をこの機会に、全国民に知らせる意味において、一つ長官からお述べをいただきたいと存じます。
  14. 川島正次郎

    川島国務大臣 私は行管長官に就任以来、日本行政財産である土地が未利用に——活用されていない点が膨大にあるということを考えまして、いろいろの角度から観察をいたしたのであります。その一つの現われがただいまのお話の検見川東大ゴルフ場なのでありますが、この機会でありますから、簡単に国有地その他に関する問題を申し上げて、今後の御審議の御参考に資したいと思うのであります。  国有財産につきましては、利用計画が不備でありますために、膨大な未利用土地が存在をいたしております。しかもそれらは、管理がきわめて不適切、また責任の所在が不明瞭等のために、無断使用されている点なども少なくないのであります。これらはすみやかに解消して利用価値を発揮したいと考えるのであります。  それから次に、大蔵省管財局管理しておる土地で、当然これを地方公共団体あるいは民間等払い下げをして活用するに適当だと思う土地が多いのであります。しかるに、これの取り扱いが非常に緩慢でありまして、たとえば宇都宮財務部の例を申し上げますと、三十六年十二月現在で売り払いを申請しながら未処理のものが約千件あります。しかも、そのうち七百七十件は五年以上書類を受理したまま放置してあるという現況であります。これらのうちには、民間よりも地方公共団体として、県もしくは市町村として、ぜひ必要とするものが少なくないのでありますが、そういうものすら放置してあるという状況が、各地の財務部に多々ある例があるのであります。これらもすみやかに解決する必要があると思うのであります。  それから、公有水面埋め立て、最近各地方土地造成事業が行なわれておるのですが、これに関しましても資料として差し上げてございますけれども埋め立て関連事業が完全にできませんで、従いまして、埋立地が有効に利用されていないという点、もしくは埋立権というものが権利の売買の対象になっておるという点につきましても、私ども指摘せざるを得ないのであります。  それから、農地に関しましても、都市周辺では、地価が高騰するのを見込んで、転用の許可なくして売買しておる実例がたくさんございます。また、実態を十分に把握せずに転用を許可し、そのために営利目的で他に転用されたなどの例もあります。これらにつきましても改善を要すると思うのであります。  また、ゴルフ場につきましては、最近ゴルフ場建設が非常に多くなりまして、東京周辺関東七県で百二十一ゴルフ場があります。これはごく小規模のイン・ドアもしくは都心にあるゴルフ場等は除いての数であります。千葉県のごときは一県で二十二もあるという状況なのであります。百二十一のうち資料として集まりましたのが百カ所ありますが、その百カ所の総計は大体二千五百三十一万六千坪なんであります。このうち農地転用しましたのが六十一万一千坪、河川敷を転用したのが百七十五万二千坪なのでありまして、他の二十一カ所については面積をまだ調べてありませんが、百カ所だけについてもこれだけあります。これがはたしていいか悪いかということは、私は判断にまだ達しておりませんけれども、ただこういう実情にある。その一つとして検見川ゴルフ場が浮かんだということをこの機会に御報告申し上げて、御参考に供したいと思うのであります。  なお、行政管理庁としましては、今後とも未利用国有地を高度に利用することにつきましては、監察を十分いたしまして、ことに最近では東京都内における未利用地監察させまして、これを供出させて交通問題解決の一助に資したい、かように考えて着々やっておるわけでございます。
  15. 木村公平

    木村(公)委員 ただいま行政管理庁からの御答弁は、まことに時宜を得たものでございまして、おそらくこれが電波を通じて全国民に知らされましたときには、国民は快哉を叫ぶことと私どもは信じておる次第でございます。  一言この機会行政管理庁長官に申し上げておきますが、わが国国民性とでも申しますか、法に対する知識がいまだ低いためでありましょうか、原因は詳細ではございませんけれども私有財産に対しましては、昨今これが非常に尊重をされる傾向をたどっております。いやしくも隣家の一塊の土くれでも、これを無断使用することがあれば、隣家はこれを承知しない、また世間もそれが当然のことであるというような考え方から、私有財産に対しましては、大いに尊重の気風があるようでございますけれども、一たび国有財産になりますと、まことにこれ管理も適正を欠いておるようでありますし、これを使用する方も、ことに私有財産とは違いまして、非常にこれを軽く見る。国のものはどうでもよろしい、国のものだから安く払い下げを受けるべきであるとか、国のものであるから無断使用してもよろしいとか、目が届かないからこれは勝手に管理してもよろしいというようなことで、国有財産に対する軽視の念が非常に多いように私は存ずるのでございますが、これは国家といたしましては、まことに重大なことでございますので、国有財産に対しましては、長官ただいま仰せの通り、大いに一つ管理を厳重にしていただくと同時に、これを公共性の有益な方に使用するよう、この上とも何分御努力と御協力をいただきたいと思う次第でございます。  そこで、行政管理庁長官の御答弁は大体了解をいたし、むしろ国民が喜んでおるというふうに私どもも了承いたしますので、その程度にいたしまして、次に、会計検査院の……。
  16. 川島正次郎

    川島国務大臣 ちょっと答弁を落としましたが、昨年十一月の勧告に対しまして、文部省からまだその処理についての報告が何もございませんから、この機会に申し上げておきます。
  17. 木村公平

    木村(公)委員 次に、会計検査院長お尋ねをいたしたいと思いますが、会計検査院は、昭和三十年以来数回にわたって、東京大学当局に対して、国有財産使用目的が適当ではない、またゴルフ場管理運営東大運動会が行なっておる理由、さらに使用料国庫に納入されていない事実に対し照会を行なっておりますが、再度にわたる照会の結果、効果が上がらない場合、なぜこれを検査報告に掲記しなかったか。また、違反のある場合、検査院はもっと厳正な立場で臨むべきではないかと私どもは存ずるのでございますが、これに対する検査院のお考え方、御所見を承っておきたいと存じます。  さらにまた、各官庁役人が、ゴルフメンバーとして名を連ねている実態に目を向けてこそ、検査院の役割は尊重され、綱紀の粛正になるのではないかと思うのであります。ひとり検見川だけではございませんが、このゴルフメンバーの名を出すということを非常にいやがるわけです。しかし、私どもに対してこれを明らかにすることが、いろいろの障害があるとすれば、それはしいて聞こうといたしませんけれども、あなた方検査院は、ことにこういう東大検見川ゴルフ場のような問題が起きた場合には、そのメンバーとして名を連ねている実態を御研究になっておくということは、これは私は必要だと思うのですが、その点について御調査があったのかどうかというようなことの御所見も承っておきたいと思います。
  18. 芥川治

    芥川会計検査院長 お話しの通り検査院といたしましては、昭和三十年に照会を出して以来、毎年経過に注意していたところでありますが、今日に至るまでその改善が行なわれていなかったことは、まことに遺憾に思っておる次第であります。今後は、かような場合には、もちろん慎重に検査官会議にかけまして、必要があれば改善要求をするなり、あるいはまた、その改善要求をしたものを決算検査報告に掲記する等、そういう方向で努力して参りたいと存ずる次第であります。  なお、公務員がゴルフをどの程度しているかということについては、私も個人の問題でありますので、そこまで調査いたしておりません。
  19. 木村公平

    木村(公)委員 最後に一言申し上げますが、ゴルフのようなことをこの場で申し上げるのはいかがなものかと思いますが、私どもゴルフが健全な娯楽として、あるいはレクリエーションとして行なわれることに反対するようなものではございません。そのようなやぼなことを申すわけでございませんけれども、昨今のゴルフメンバーあり方を見てみますと、これが役人業者につながったり、あるいは会社につながったり、むしろ汚職的傾向があるわけです。すでにその傾向のうちで表面に出ている幾つかの事件があるわけです。ことに、はなはだ失札な言い分でございますけれども課長部長あたりの安月給——安月給であるからこそ、常に公労委あるいは地労委に訴えて、そうしてベース・アップを要求されているのでございますが、月給が安い人たちには、今日の段階におけるゴルフというものは、むしろぜいたくなものでありまして、ゴルフ道具を一そろいするにも大金がかかるし、ゴルフを遊ぼうとすれば相当の費用を要するのですが、そんなものはなかなか課長月給ではあがない得ないことが多いのです。従って、結局は業者におんぶしてゴルフをやるとか、あるいは自分の金でなく会社の金でやるとか、あるいは役所の交際費でもってこれをあがなうとかいうような、情けない、いやしい、さもしいことが、実はわれわれのところへ聞こえてくるわけでございます。ゴルフそのものをここで私は排撃するわけではございませんけれども、行き過ぎた今日のゴルフ場あり方ゴルフ・フアンのあり方——元来日本人というのは行き過ぎるわけです。自動車がいいといえば、自動車がはんらんするほど借金して買いかける。長うたがいいというと長うたがはやる。小うたがいいというとネコもしゃくしも小うたをやりかける。今はゴルフです。そしてあらゆる階級、あらゆる者がゴルフをやっている。単に楽しむならばよろしいけれども汚職につながるようなゴルフ風景が各所に見られることを、われわれ国民として残念に思うのです。ゴルフの階層が三百万あるといったって、一億の人口からいえば微々たるものです。三百万のゴルフ族のために、あとの九千数百万の国民は、あるいは心中ひそかに不快の念を抱いておらないとも限らないのです。そのようなことも、為政者でありますところの長官なり、あるいは会計検査院の院長なり、あるいはここに文部大臣もおられるようでありますので、幸いきょうは日本における最高方々、ことに東大学長さんまでおいででございますから、この点を十分一つ熟読翫味をしていただきまして、ゴルフあり方等についても御見解をお漏らしをいただいたならばと思う次第でございます。  以上をもって私の質問を終わります。
  20. 鈴木仙八

    鈴木委員長 田中彰治君。
  21. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 ここに川島行政管理庁長官、それから荒木文部大臣、長谷川文部政務次官芥川会計検査院長、茅東大学長、鶴田東大事務局長山下大蔵省管財局長、安嶋文部省会計課長、原田行政監察局長と、こういう工合に非常にわが国においても最高の方方がぞろっとお並びになっている。ここで私は、皆さんに非常に申し上げにくいことを申し上げなければならないのですが、私は、この問題が決算委員会で取り上げられなければならないような事態になったということを、私も国会議員の一人として、あるいは国民の一人として、非常に悲しむものであります。  それはなぜかと申しますと、少なくとも東大は、わが国最高学府の第一位にあるわけです。そこの学長がおられ、あるいはまた、事務局長等がおられておりながら、こういう法を無視し、そうしてその関係にある官庁の言うことを全部無視して、これを何というのですか、踏みにじって、そうしてそこに国有地無断でいろいろ使用し、そこへ民間人を入れてゴルフ場施設し、そうしてそこで上がった収益を、税金も納めないで脱税した。こういう工合になりますと、全くこれは常識上判断できないような問題が起こっておる。しかし、あなた方の方で、これに対して、いろいろ聞くところによると、協議をされて、そうして国有地をもとの姿に戻してうまくやっていく、こうおっしゃるのですから、きょうは詳しい質問をいたしませんが、ただ、ここに川島長官も来ておられるし、学長も来ておられますし、文部大臣も来ておられますから、この方々は、ここへ出席なされていないから事情をお知りにならない点があると思うのです。ただ、悪い悪いと言っても、どこが悪いかというような疑点もあろうかと思います。  一体、この土地というものは、千葉県の畑町、浪花町、花園町、朝日ケ丘町の所在に関するものであって、約十万坪ある。これを東京大学総合運動場施設の目的で、昭和十四年千葉市から購入したものである。そのほかに約二千坪は無償で借り入れておる。この右土地に対しては寄宿舎あるいは学園の実験場などを施設しておったのですが、予算が非常に不足したために総合運動場として施設が進捗しない。そのうちに戦争になった。そこでますます経営が困難になったから、学生のために食糧難を融和するために野菜を作ってこれを耕作せしめていたが、たまたま同地から草炭すなわち燃料、これが出るということがわかったので、当時燃料の不足のおりからなので、東京都と契約をして草炭を採掘せしめた。このときも、これは国の財産だから、これこそ食糧難、燃料難なのだから、こういうときにはそういう深い契約をしなくても——こういう場合は、今のゴルフ場にしたよりはもっと常識的に許すべきことなんですが、そのときでも、ちゃんと昭和二十年十二月十一日付で東京都の長官と内田総長が無償貸付の期間の契約をしている。そうしてその契約には、これを掘ったあとは原状に復するようにするということがちゃんと契約になっている。これが二十三年の十二月の末までこの契約をちゃんと実行していた。ところが、都が採炭をする必要がなくなった。そこでこれを中止したのですが、返すときにこの原状に復するには相当骨を折った。しかも、ここに人夫として、おもに韓国人の人たちが家族とともに約三十世帯、この中にバラックを建て、そうしてこれに居住しておった。その後との人たちを移転させるのにとても困難な問題があったが、ちゃんとあなたの方と東京都では、契約書に基づいてりっぱにこれを原状に復さした。それまでしたにもかかわらず、今度は財団法人の東大運動会の申し出によって、総合運動場としての施設の寄付を受けることになり、東大運動会の手によってまずゴルフ場施設することになった。国有地を回復さすのに——戦争中燃料不足のときに働いた韓国人の人たちの家族をみな追っぱらって、そうしてもと通り回復させるのにとても困難な方法をしながら、それだけ国有地であるというので正し、いろいろな犠牲を払われた。そのしたあとは、今度は運動会にこれを貸し付けた。運動会は、これらの施設について経費の負担はもとより、貧弱な財団法人であったので金がない。そこで、特別の資金を集めるために、一応卒業生のそういうところにたよったり、入会金とか、あるいはゴルフ場使用権等でそういうものをまかなうことにして、今度は、国有地であるかゴルフ場であるかわからぬようにして、そういうことをやった。そうしてゴルフ場にして相当な権利をとったり、あるいは会費をとったり、国有地の建物をみな改造したりしてやった。これは非常に法の違反なのです。  この土地国有地であって、東大は国家の東大なのです。運動会は一財団法人である。しかも、このゴルフ場を借り受けるときに、この法人は力がない、貧弱で金も何もない、いわばゴルフ人の貧弱な者が寄り集まってこういうものを便宜上作った。そうしてゴルフ場を乗っ取るようになった。これに対して、驚いたことに、会計検査院は、昭和三十年十月二十四日付で当時の矢内原大学総長に対して、そういうことをしてもらっちゃ困る、こういう忠告を大学に対して与えておる。また、行政管理庁は、大蔵大臣に対して、国有財産の適正使用管理について勧告しておる。あるいはまた関東財務局長は、昭和三十四年十一月五日付で総長に対して善処方を要望しておるが、これに対して文書による回答一つもされておりません。こういうことをしちやならぬといって公文書でいろいろなところから勧告しておるにもかかわらず、これに対して文書の回答がない。ただ口頭で当時の岸本管財部長の了解を得て、そうして何とかするというようなことでそのまま放任していた。  そこで、この方法は非常に不当だというので決算委員会が取り上げた。これは委員長大学にうらみを持ったからでもなく、われわれがあなた方にうらみを持ったわけでもない。私が申し上げるまでもなく、また、皆さんの御存じのように、国有財産というものは、池田内閣のものでもなければ、東大のものでもない、大蔵省のものでもない、国民全部の共有財産である。だから、国民を代表する国会のこの委員会において、これを守るために取り上げた。  ところが、取り上げて調べてみると、実に驚く。一体、法を知っておる者、法を教える者、法を教える最高学府、しかも文部省あるいは会計検査院、大蔵省、行政管理庁も放任したのですが、こういう方々がおられるのに、こんな方法が行なわれるということは、全く常識上考えられない。なぜかと申しますと、大学当局は、財団法人東大運動会大学とは同じものと考えておるようでありますが、これは違うのです。東大は国立で、東大の運動会は単なる一法人にすぎない。法律上の何らの関係もない。従って、大学が運動会から寄付を受けたと言うけれども、これと交換条件で土地とか建物とかを無償で貸し付けたり、しかも、運動会はこれをもととして入会金、使用料を取る何らの根拠もない。全部違反なんです。これは大学だからいい。ほかの者がやったらうしろに手が回る。のみならず、東大の運動会は、まず使用に関する契約を締結しなければならない。たとえば東大が運動会に貸すとしても——東京都とでさえも、草炭を掘ったらもと通りにしてくれ、そこに人が住んだら立ちのかせる、こういう契約をしたにかかわらず、運動会は東大と何の契約もしてない。運動会は契約してないから、権限がない。これが、長年にわたって国有財産使用して、利益を得て、しかも管理者たる大学は、これを黙認しておった。これは、会計検査院長もおられ、しかも財務局の方もおられ、行政管理庁もこれを監督され、文部省大学に対してはかなり手こずっておられるようだが、こういうときこそ、帝大の総長だってだれだって、文部大臣なら相当きついのだから、呼びつけて徹底的に調べて——告発でも何でもしたらいい。何もしてない。そうして、しかも将来大学と運動会がたとい契約をしたとしても、現在の収益は認められぬ。これは無効なんだ。契約してあったとしても、国有地を使ってゴルフ場を作って得た収入というものは無効なんだ。にもかかわらず、運動会からの寄付の申込書には、完成後の使用権設定条件も何もしてない。これはちゃんと運動会から——寄付の申込書にはそういうものをしなければならない。それもしてない。完成後は大学管理に属し、その後においては許可なくしては立ち入ることもできないと、ちゃんと法律によってきまっている。それにもかかわらず、ゴルフ場使用の目的で各種の施設を施し、国有財産を改造しているが、法律というものを無視して、法人も国も同じものとしている。全くめちゃめちゃなことだ。  しかも、ここに不思議に思うのは、寄付の申し出というものは昭和二十八年の三月十二日、これに対する承諾は三月二十七日である。しかるに、この寄付の申し出より以前にもう運動会は、国有財産である大学土地建物の中に許可なくして入って、これを改造している。それよりもっと驚くべきことは、運動会はすでに昭和二十七年十二月十五日に清水建設に対して、改造その他の工事に着手せしめて、そしてこれが昭和二十八年四月十日に施行している。そうすると、寄付を申し出て、こういうことをしようではないかといって、あなたの方が承諾されたのは昭和二十八年の三月二十七日、寄付の申し出があったのは三月十二日、まだそんなものはない二十七年十二月十五日にはもう清水組にこれだけの請負をさしておる。そして二十八年の四月十日にこれが施行しておる。寄付の承諾の日から十四日間で二千三百六十四万円の工事が完成したことに、あなたの方の書類はなっている。それはそうではない。事実は一年前にちゃんと清水組がこういうことをやっているということなんです。こういうようなことを考えますと、これは国有財産だとか、あるいは国家だとか法人だとかというものを、全く一つにしてしまっていろいろなことをやっている。二十七年十二月十五日、寄付の申し込みも何も受けない前に、清水組は入って着工して、これを改造してゴルフ場にしてしまった。  最高学府の大学の監督する所に、国家の財産とも関係のない、国家とも関係ない貧弱な一法人が入って、こういうことをしていいのか悪いのか。しかも、今度あなたの方にそれを報告するまでの間に三カ月か四カ月ある。それまでに得た収入というものは脱税になっている。この間事務局長が言っておったが、文部省の会計の一つだ、それは全部納めてありますと言ったが、全部調べてみると、あとでこういう騒ぎが起こったから、納めたことにしてみな一ぺんにやったんだ。税金なんか納めてない。みな脱税だ。しかも、金額もそう小さくない。こういうことになりますと、運動会は一法人、そしてその土地国有地、こういうものを混合してしまって、そして契約書も何もないうちに、一法人が請負師を連れてきて、土地を改造してしまって、ゴルフ場にして、金を取って、それを脱税してぽっぽにしている。大学とか皆さんがおられて、これを放置されたということは、国民がこれを見ても、目の前に証拠をもって申し上げれば、そうかなと思うが、普通の常識のある人は、新聞に書かれても、そんな非常識なことがあるのかといって本気にしない。そうやって、会計検査院からも忠告しておりながら、会計検査院課長級の人が喜んでゴルフ場に行ってゴルフを打っているということがあがってきている。  あなたの方で、もとの国有財産に戻して、学校がこれを有益にお使いになり、文部省でそれに対して異議がない、こういうようにきまったようなことを政務次官がさっき言っておったが、それならこれ以上申し上げない。私が持っておることを全部申し上げると大へんな問題になります。こういう点を一つ今後少しお考えになって、大学の総長におかれてもお考えになって——文部省が力がないから何をしてもいいのだということにならないで——学生自治運動と監督する官庁の権限はおのずと違っているということは御存じでしょう。また文部大臣におかれてもそうだ。東大であろうが、京大であろうが、違反したことがあったら、どんどん摘発して洗うということをなさらないといけない。川島長官の地元でこんなことが起きたということは、長官も全く困っておられるようだが、これは重大な問題である。どうか一つこういうことについて、官庁の監督権ということも総長は御存じでしょうから、よくそういうことをお認めになって、こういう問題が再び起こらないように申し上げて、私の質問にかえます。
  22. 鈴木仙八

  23. 久保三郎

    久保委員 私は主として会計検査院長にお伺いするのですが、最近決算委員会では、人を食った話というのが二つほど出て参りました。一つは、本日のこの東大ゴルフ場の問題。東大学生の運動場だといって、十万坪の用地のうち八万坪にいわゆるゴルフ場としてやっている。これくらい人を食った話が、今までの各委員からの御発言でわかっておる。一つは、東北開発という会社がありますが、この会社は、赤字なのに黒字の決算をしたという、これも人を食っておる。  そこで、私はお尋ねしたいのでありますが、こういう国有財産管理は、もちろん大蔵省がおやりになる、あるいは財産を移管されておる文部省なり東大なりがやるわけでありますが、この当、不当の判定は、会計検査院がおやりになると思う。ところが、三十年の九月五日に、会計検査院の井上文部検査課長実地検査をいたしまして、実はこれは不適当ではないだろうかということで、当初大学等に注意をしているわけです。ところが、そのほか会計検査院の実地調査は何回か行なわれておる。行なわれるたびに、当初の使用目的に相反するのではなかろうかという見解が薄らいできております。一つには、使用料をとらなくてはおかしいではないか、学生利用率をもう少し高めるべきではないだろうか、こういうようなふうにどんどん変わって参った。そこで、いわゆる政府機関の中で適切な最後のとどめをさしたというか、結論を出したのは、川島長官のおいでになる行政管理庁であります。これが昨年の十一月。そこで、私は会計検査院の検査に疑念を持つわけです。行政管理庁も、もちろんそういう立場もおありでしょうが、まずもって会計検査院がたび重なるところの検査の結果、今日のような結論を得られないままに、途中でぼやけてきておる。これについて会計検査院としていかに考えられておるか、いかがでしょう。
  24. 芥川治

    芥川会計検査院長 だだいまお話のありました通り会計検査院といたしましては、三十年に照会を発しまして、その後実地検査に行くたびに注意は喚起いたしまして、その改善の結果を待っておったということは、ただいま久保委員からお話の通りでございます、ただ、事務的にそういう段階でとまっておったということは、不備な点があると思います。今後は検査官会議におきまして、国有財産の問題等は、一般的に慎重に、しかも厳正にこれを取り上げて審議をして参りたい、かように存じております。
  25. 久保三郎

    久保委員 時間もありませんから、私の考えていることを二、三申し上げたいのでありますが、ただいま検査院長お述べになったように、手続上欠陥があると言うその欠陥は、人間にあったのではなかろうかと私は思う。  そこで、大へん失礼でありますが、とのゴルフ場利用されておる会計検査院の高級役人というか、そういう立場の方が多少おられるようにわれわれは聞いておる。検査官の中にはおられる、あるいは課長局長の中にはおられる、いかがです。
  26. 芥川治

    芥川会計検査院長 院長といたしましては、先ほど申し上げました通り、個人的の問題になりますので、実は私も詳しくは承知いたしておりませんが、かりにそういう職員の中にゴルフをやる人がおりましても、検査官会議が十分指導監督をいたしておりまして、そのために検査に影響があるということは、断じてございませんことを申し上げておきます。
  27. 久保三郎

    久保委員 芥川さん、大へんきっぱりとお答えになりましたけれども、断じて影響はないと言うが、私は実際に、断じて影響があったと認めている。大体、当初の三十年九月五日に井上課長調査した事項からだんだん変わってきている。このあり方を是認しながら、ゴルフ場の入場料、使用料を取れ、学生利用率を少し高めたらどうだろうか、本質にはちっとも触れないで話しておる。検査官会議というものが——もしも検査官の中にこのゴルフ場利用している者があったとするならば、残念ながら、人間でありますから、こういう結果にならざるを得ないのではなかろうかと思います。いかがです。  それから、担当の二局の中にこのゴルフ場をしょっちゅう利用されておる会員あるいはその他の方々がおられるとするならば、人情としてまあまあ指摘はしたけれども、何とか格好はつけて、一つ利用はやっていこうじゃないか、こういう結果がいわゆるこの会計検査院の中身ではなかろうかと私は承っている。  それから、こういうことを申し上げるのは失礼でありますが、会計検査院といえば、綱紀を正す基本の官庁——行政管理庁もそうでありますが、基本の官庁の中にそういう疑いを国民に抱かせる要素があったとすれば、私は、検見川だけはけりがついても、あとの問題は断じてけりがつかぬ、こういうふうに考えるので私は申し上げておる、いかがです。
  28. 芥川治

    芥川会計検査院長 ただいま久保委員の言われた通りだと私は存じます。ことに検査院といたしましては、検査に影響があるのではないかというふうな御意見が、当委員会久保委員から出るということは、私どもといたしましても、今後十分指導監督に力を入れて自粛するようにいたしたいと思います。
  29. 久保三郎

    久保委員 十分御注意をいただきたいと思います。  さらに、重ねてお伺いしますが、たとえば、今までそういう結果について影響はなかったにしても、かかるゴルフ場に出入りをされた担当の課長なり局長なり、もしも検査官その者があるならば、あなたの方は、各官庁の会計検査については処分を要求しておるわけですから、みずから身を正すということで、これを機会に、処分といっては語弊があるが、何らかの処置をとるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  30. 芥川治

    芥川会計検査院長 私といたしましては、十分自粛する方向に持っていくよう指導監督をいたしたいと思います。
  31. 久保三郎

    久保委員 会計検査院長、自粛を要望しておるわけじゃないのです。そこまではまだ入りません。処置をどうされるか、大へんむずかしい問題かもしれませんが、適切な処置を講ぜられる御意向でありますか、いかがです。
  32. 芥川治

    芥川会計検査院長 私は、検査院の職員の中にゴルフをやっておる者が、ことに検見川の関係で入会しておる者があるということは、まだ聞いておりませんが、かりにそういうことがあるにいたしましたら、私どもといたしましては、厳重に個々に注意をいたします。ことに検見川ゴルフ場は、先ほどのお話の通り、本委員会において論議を尽くされておる段階において、私といたしましては、十分指導監督に力を入れて参りたいと思います。
  33. 久保三郎

    久保委員 どうも芥川さんの御答弁は、調査をされておらないから今後は厳重に注意すると言われるが、もうなくなるのです。先ほど東大学長はきっぱり言明されました。なくなるわけですから問題はない。私は今までにおいての問題を言っておる。適切な処置を講ぜられるというのは、注意を与えるというのではなくて、何らかの形を整えて姿勢を正すべきだということを私は申し上げておるのです。これ以上申し上げませんが、適切な処置を講ぜられることを強く要望いたします。  最後に、川島行政管理庁長官に一言だけお伺いするのですが、かかる問題の発生した原因というものはいろいろあると思うのでありますが、一つには、三十年に会計検査院の方で実地調査の結果指摘しておるわけです。ところが今日まで、長官の方で昨三十六年の十一月に、はっきりこれは使用目的が相反するという結論を出すまでうやむやにきた。しかも、この国会にかかってからもこれをうやむやにしようという御答弁がたくさんあった。しかし、今日の結論を得たのでありますが、なぜうやむやになったかというその原因の一つには、これは関係する役人と言っては語弊があるが、そういう方が当該のゴルフ場に出入りをしておったということであります。でありますから、私は、この際厳重に——廃止するといっても、時間的にまだあしたからすぐには廃止にはならぬだろうと思うのです。そういうことになると、その間また、まあまあ国会で問題になったが、一応落着だというので、そろそろゴルフのクラブをひっかついで出かけるということがあってはならぬ。でありますから、この際行政管理庁長官としては、この政府関係の全体の高級官吏その他が、こういうところには出入りをしないように注意をされるのが妥当ではなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  34. 川島正次郎

    川島国務大臣 公務員の人事管理の問題につきましては、行政管理庁としまして、常に監察をいたしまして、それぞれ警告を発しておったのでありますが、ただいま久保さんのお話、私はよく内容を存じませんが、そういうことのないようにこれからすることにして、総体として公務員が間違いのないような行動をするように努めたい、かように考えております。
  35. 鈴木仙八

    鈴木委員長 西村力弥君。
  36. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この東大検見川ゴルフ場が本来の目的に反して私用に利用されている、しかも、累次にわたる会計検査院あるいは大蔵省、行政管理庁、そういうところの勧告があったにかかわらず、それが実際に取り上げられないままにずるずると使用されておる、こういう点から、当委員会としては、この問題を国有財産の問題として取り上げたわけなのでありますが、その際に、私たちが一番警戒いたしましたのは、大学自治、こういうことであります。大学の自活を絶対に侵してはならないし、これは侵されてはならない、こういうことに警戒してやって参ったのでございますが、東京大学ゴルフを正科にするかどうかという問題、これを左右するような発言というもの、そういうものは、大学自治に関係する問題であって、慎むべきである、ただ、その東大行政財産が本来の目的に沿うようにわれわれがこれを要望するということ、あるいは文部省がこれを監督するというようなこと、こういうことは大学自治には触れない、こういう考え方で、この審議をやって参ったわけなのでございます。  先ごろ大学側から第一次の改善案が出されて参りました。そのときには十八ホールでしたか、それを九ホールに縮小して、他の残余分を総合運動場として使用するといった青写真でございましたが、それでも私たちは納得しなかった。こういうことはやはり大多数の学生利用する分野というもの、あるいは面積というものは非常に狭くて、なお相当部分というものが、わずかの単位を得る人々のために設定されているというようなこと、こういうことも、やはり本来の総合運動場としてのあり方とはおよそかけ離れておるのだ、こういう立場から、私たちは納得ができない、こういう全員の気持でございました。  そこで、大学の総長さんにお尋ねしたいのですが、私たちが持っているそういう気持、ゴルフを正科にするかいなかという問題は、これは大学自治の問題である。しかしながら、その総合運動場使用の仕方について、本来の姿にあるべきであるということをわれわれが主張し、また、文部省がこれを監督するということは、決して自治の侵犯ではない、こういう立場をとってきたことに対しまして、茅総長の御見解を一つお聞きしたいと思うのです。
  37. 茅誠司

    茅説明員 ただいまお尋ねがございましたが、私も全く同意見でございます。研究と教育の問題につきましては、大学自治ということが慣習的に守られて参りましたけれども行政財産を本来の目的通りに使うかどうかという問題につきましては、これは全く大学自治とは別の問題でございます。私どもは、大学全部がそう考えておることを申し上げたいと思います。
  38. 西村力弥

    ○西村(力)委員 茅総長も私たちと同じお考えでありまして、私たち大へんうれしく思っておるわけなんです。  ところで、先ほど今度検見川ゴルフ場を廃止するという工合に仰せられましたが、これは念のために、そういう廃止するということは、直ちにという意味か、何カ月か後ということでございますか、その点を一つ明確にしていただきたいと思います。
  39. 茅誠司

    茅説明員 私は、先ほど廃止するということをはっきりと申し上げましたが、いつ廃止するかという問題につきましては、よほど検討しませんと、従業員の問題がございますので、私は決して長い期間ということは申し上げませんが、しばらくの間お待ち願いたい、必ず大学責任において廃止するということをいたします。
  40. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に、文部大臣に、これは要望的なことになりますが、ゴルフ場にほとんど大部分あの検見川の運動場を使用した、こういうことを逆説的に言いますと、あそこに運動場を建設しようとしても、国の側において、その財政的な措置をとらなかったということ、そういうところにもやはり一つ別な利用の面に踏み出した、そういうことも言えるではないか、こういう言い方はちょっと逆説的な言い方でありますけれども、そういうことも言えるわけなのでありますが、いずれにしましても、文部省東大側が御協議をいただいて、廃止に踏み切るということになった場合には、今度は早急にあの敷地というものは本来の目的に沿うた施設、設備を行なって、学生生徒の単位あるいは学力、社会生活、そういうものに寄与するという姿を早く打ち出していただかなければならぬ、こう思うのです。そういう点に対して私は強く文部省当局にこれを要望したい。せっかくやりましたけれども、いつまでたってもその財政措置ができずに、ぺんぺん草がはえているという状態であったならば、これは考え方通りましたけれども国有財産がただいたずらに遊んでいるということにもなりますので、本来の目的というものはいつまでたっても成就されないということになりますので、文部省当局の一段の御配慮があってしかるべきだ、こういうふうに要望しますが、これに対して大臣の御所見がありましたら、承りたいと思います。
  41. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 西村さんの最初言われました逆説は、逆説としてわかるような気がします。そもそもは、今田中さんの御説明で具体的な記憶を呼びさまされましたが、戦争直前に総合運動場を作るための土地として入手した。ところが、だんだん戦争気がまえ、戦争に突入して、どうにもならなかった。さらに、戦争が終わったら、食糧難でイモを作り、菜っぱを作るということで、いわば実質的に活用された。次に今度は、戦争中でございますから亜炭も掘り出した。そういう段階までは一応納得ができると思います。それ以後の管理運営が——だらしがないという言葉は、あまりいい言葉ではありませんけれども、法規を無視した運営がなされたところに皆さん方の非難も集中しているし、国民的な関心もそこにあると思うわけでございます。それが本来の総合運動場としてスタートを切らなかった点について、逆説的に言われても、ある程度うなずける気持がするのであります。  ところで、検見川総合運動場の敷地というものは、本来の目的に活用する意味において、学問の自由という立場からする大学自治の一部分でありまして、総合グラウンドとして活用する、案画する立場大学側にある、その計画に従って予算の概算要求を文部省に提出されるまでは大学側にあるわけであります。それを遠慮しておられた点が、文部省たのみがたしと思われたかどうかわからぬが、出されなかったのが事実のようでありまして、その点は結果的に残念に思うわけでありますが、今度、今までのゴルフ場としては廃止されて、新たに学長総合運動場としてはかくありたいという案画のもとに三十八年度の予算要求を出されることと思います。思い切って出していただきたいと思っているわけでありまして、それを受けて予算折衝をしますのは、文部省責任になる。出していただかぬことにはどうにもならぬ。すなわち、自主的な管理運営にまかされたその国有財産の活用の仕方の具体案というものは学長側に責任がある。だから、理想的に活用する案を出していただいて、ベストを尽くして——一ぺんにはできないと思いますけれども、事情の許す限りベストを尽くしまして、着々本来の総合グラウンドに完成するスタートを切ることが、この問題を災いを転じて福となすものだと私は思っております。
  42. 西村力弥

    ○西村(力)委員 けっこうです。
  43. 鈴木仙八

    鈴木委員長 この際、委員各位の御同意を得て、私から一言申し上げたいと存じます。  本日の議題であります東京大学検見川総合運動場の問題につきましては、先日来、当委員会において、委員各位の御指摘通り、その管理及び使用現況財政法並びに国有財産法に照らして当を得ていないということであります。  私が考えますのに、大学とは学問の最高の府であり、りっぱな人材を養成し、将来国家、社会のために貢献していただく学生諸君を育成するところであると思います。特に東京大学は、教育の機会均等を目的として設立された国立大学で、国民の血税によってまかなわれております。  今日、わが国は、第二次大戦後十五年余を経過いたしまして、国の経済状態はとみに上昇の一途をたどっているとはいえ、反面、中小企業者、農漁民、勤労者等、幾多の経済苦にあえいでいる方々もある実情であります。  また、わが国としては、外国に対し多くの賠償、経済協力等を通じて過去の戦争による償いのための誠意を示さねばならない事柄があります。  このような四国の情勢を考え合わすとき、用地取得難な今日において、国立大学が約八万坪の広大な土地を、しかも財団法人東京大学運動会なる部外団体を設立して、ゴルフ場施設を施し、過去数年にわたりゴルフ場営業をさせてきたばかりでなく、土地使用料も徴収未決定のまま放置してきたことは、ただに国有財産法に違反するばかりでなく、国民感情の上からも断じて容認し得ないところであります。  従って、このゴルフ場使用を直ちに廃止し、文部省並びに大学当局はもちろん、関係当局においても、この際、真剣に国民感情等を考慮し、少なくとも世上の疑惑を受けることなく、また、関係諸法規に違反しないように、この土地の効率的使用のため、これが改善措置を要望するものであります。  本問題の調査はこの程度にとどめます。  午後一時三十分より予備費八件の審査を行なうこととし、暫時休憩をいたします。    午後零時三十四分休憩      ————◇—————    午後一時四十二分開議
  44. 鈴木仙八

    鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十五年度一般会計予備費使用調書(その2)外七件を一括して議題とし、審査を行ないます。  前会に引き続き質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。小川豊明君。
  45. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 質問に入る前に、この前の委員会で要求した資料が法務省の方から出るわけになっておりましたが、あれはまだ出ませんか。
  46. 鈴木仙八

    鈴木委員長 法務省からきょうじゅうに出すそうなんですが……。
  47. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それじゃ、せっかく林野庁がおいでになっていますが、ちょっと林野庁にがまんしてもらって、私、谷村次官にお尋ねしておきたいのは、この点をはっきりしておかないと、どうも議論の進め方に因るのでお聞きしますが、予備費の使用については、私は、どうしても二つの柱があるんだ、一つは、いわゆる予測し得ざる緊急の事態というのが一つの柱であり、一つは、二十九年だかいつかきめられた閣議の決定の、国会開会中には使わない、これは例外は認めてありますよ。それはいいですが、この二つは、予備費使用に対する二つの柱になるんじゃないか、こういう考え方のもとに、私は自分の質問を進めているんですが、私の二つの柱というこの考え方は違いますか。あなたの方ではそれに同意されますか。
  48. 谷村裕

    ○谷村政府委員 おっしゃる意味が、予備費の使い方については憲法なり財政法なりの定めておるところに従って、確かに弾力的に使うためではあるけれども、みだりにやるのではない、確かに予算がきまったあとで、緊急の予測し得ない事態が起きたときに使うべきだ、そういう意味のことをちゃんと念頭に置いてやれ、これが第一点。第二点は、国会の審議期間中に例外的なものを除いてはやらないのだということをよく考えて実行しなければならない、柱というのはよくそこをわきまえてやれという意味であるとすれば、その通りだと思います。
  49. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 この点に対する御同意が得られたとすると、大へん審議を進めるのに都合がいい。そうすると、私は、この前からお聞きしている中でその焦点となるのは、予備費が予算の抜け穴であってはいけない、予備費に便乗して、予算のいいかげんな使い方をするようなことがあったのではいけないということが、私の質問の実は焦点になってくるわけです。  そこで、私がここでお尋ねするのは、今度は内閣所管になるが、内閣がきておられなくてもおられても、これはあなたにお尋ねすることなんですが、この前の予備費の承認のときにも私が申し上げたのは、たとえば三池の争議のときに、あれは争議ですから予測しあたわざる事態、これはわかります。安保もその通り。ところが、三池の場合には、この予備費で車両を七十台か買い入れていますね。こういうので予備費を使うべきではないんじゃないか。それから安保のときにも、装甲車が二台か三台焼かれたのは認めますけれども、それで何台か購入しているのは、予備費便乗ではないか、こういうことを私は言った覚えがある。そこで、今度ここでお尋ねしたいのは、昨年総理がアメリカ、カナダを訪問されていますし、さらに、帰られてから東南アジアを訪問されておるわけです。一国の総理が国会中によそに行くことのできないことはわかっておる。従って、国会終了後においでになられることもわかります。しかし、総理がアメリカなり東南アジアなりに行くということは、すでに三月も四月も前から発表されているわけです。一国の総理が出るのですから、どういう使命を持って、幾日間ぐらい、どういうスタッフで行くということはわかっていなければならぬはずです。であるから、アメリカへ行く経費あるいは東南アジアへ行く経費、こういうものは、予備費でなく、通常の予算として、補正してもいいから、そうすべきではないのか。というのは、この前も申し上げた通り、予備費そのものには、政策もなければ性格もないわけです。これに項目がつけられて初めて政策となって現われ、性格となって現われてくる。予備費は総ワクで議決されるのだから、これはない。ところが、総理がアメリカへ行くとか、あるいは東南アジアを訪問されるということ、これはやはり重大な性格があるわけです。こういうものは、国会でそのもの自体が予算委員会なりその他の委員会で論議されてしかるべきだと思うのです。そういう点からいって、予備費からこれを支出していくということに対して私は一まつ——全部ではないが一まつの疑点を持つのですが、こういう費用は、早くからわかっておることなんだから、予算は補正しても、予備費で使うべきではないのじゃないか、こういう尋ね方なんですが、どうですか。
  50. 谷村裕

    ○谷村政府委員 おっしゃるような意味で、一国の政策というようなものは、あらかじめ予算を必要とするものは、予算に組んで国会の議決を経て執行するのが筋道であろうと思います。しかし、これに全然例外がないわけではなく、予備費も予備費として組まれておりますときには、その中に何が入ってくるかわりませんが、少なくとも予算の不足を生ずるような事態が予算作成後に起こったときに、それに対応するためのものでありまして、その中身が政策的色彩の絶対にないものである、いわば義務的なものの、いわば数量的な追加であるというふうに、非常に技術的に考えてしかるべきかどうかという点になりますと、必ずしもそうではなく、ある意味においては政策的なものも、その後においてこれによって処理し得ることがあろうかと存じます。例は、ほかの方になりますが、たとえば例の小児麻痺がひどくなって参りましたようなときに、急遽これに手当をするというときに、たとえば生ワクチンを入れるというふうなことは、やはり一つの大きな政策的な決定であろうかと思います。それは予算に不足を生じておりますので、予備費でまかなった。問題は、その程度が常識的に見てどうかというふうなことでありましたり、あるいはそれが一体いつごろからちゃんとわかっておったのかとかいう点になろうかと思います。原則的なものの考え方としては、小川委員のおっしゃることはよくわかりますし、私どももできるだけそういう気持でやっておるわけでございますが、現実の実際の面にぶつかって参りますと、ただいま御指摘になりました総理の海外にいらっしゃるというふうなお話は、予算作成の際にはまだ具体的になっておらない、予算作成後、そしてまた予算成立後に非常にはっきりとしてきた、こういう内容でございます。もし御指摘の意味が、今後とも一国の総理大臣というのは、大体年に一ぺんか二へんくらいはどこかへ出かけていくであろうというふうなことが大体考えられるようになって参りますれば、要求があればそれをどう扱うかということだと思いますけれども、必ずしもいまだ日本の総理大臣は常に何かどこかへ行くということもきまっておりませんので、いつも予算の面では当初からは組んでいないという扱い方になっていると思うのであります。
  51. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは今の生ワクチンとは例が違うと思う。生ワクチンは、小児麻痺が急速に発生してきたから、これは緊急の事態だと思う。ただ総理の場合には、これは国民に対する発表はもう四カ月も半年も前から発表されているのです。ですから、こういうのは、これを予備費でまかなうのではなくて、予算編成時にはこれがはっきりわからなかったとしても、私は補正ということもあると思う。そういう形で予備費というものに対してもっと厳密な考え方をすべきじゃないか、こういうあれなんですが、ただ、これから外交というものは、どうしても会議外交になり、従って招待外交になって、これは総理に限らず、日本の政治に当たっておられる主要な方々が、おそらく年に二回や三回は必ず出なければならないことは、これは予測されることなんで、そういうところに予算をもらうからそこに論議もできるわけです。予算にはてんで現われてないで、性格のない予備費からこういったものをまかなっていく例は、私はなるべく作らない方がいいんじゃないか、こういう意見なんです。これは意見ですからいいです。  そこで、内容について伺いますと、総理のアメリカ、カナダ訪問は、四百六十八万円というのが六月十三日に閣議決定されているんです。これは私の調べがずさんであったらばおわびしますけれども、予備費で見るとそうなんです。そうすると、一国の総理が大勢の人たちを連れてアメリカ、カナダを訪問して、そうして四百六十八万円くらいで一体足りるのかどうか、足りるはずがないじゃないか、こう思うのですが、これはあなたの方でそれでまかなえた、十分であったというのなら何も言うところはありません。どう考えても私には四百六十八万円くらいの費用でアメリカ、カナダを訪問できてくるはずはない。しかもこの中には、報償費というものが百四十二万五千円入っているわけです。  ついでにお尋ねしますが、この報償費というのは一体何なんだということですね。機密費的な性格を持っておるのか、機密費ならその使途を明らかにする必要がないかどうか。一体この報償費というものを明確にできるものかどうか。この報償費というものは報償なんだから、あちらへ行して何かいろいろな、そちらへもこちらへも礼したりすることだろうと私は通念的に考える。そうすると幾らも残らない。それで一体こういう長い日時にアメリカ、カナダ訪問というものをまかなえるのか、まかなえないのか。まかなえるはずがないじゃないか。まかなえないとすると、一体どうするのだ。私の心配するのは、会計検査院は予算も少ないし、人員も少ない。従って、在外公館の経理というものは、これは調査していません。書面ぐらいでは調査しておりますが、調査していません。従って、在外公館の割り振った費用をまた出させて、そっちを流用してこれをまかなうか何かしないことには、まかなえないはずだと思うのですが、一体この四百六十八万円で、どう考えても私は足りないと思う。あなたは使う方じゃなくて、出す方だから、少ない方がいいでしょうが、一体どういうことになっておりますか、もし、内閣の方がおられたら伺いたい。
  52. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 お答えいたします。池田総理がアメリカ、カナダを御訪問になりました際の経費につきましては、旅費、航空賃の経費といったようなものは予備費で全額いただいておりますが、お尋ねの報償費、庁費等につきましては、できるだけ既定経費を節約して、そこからも生み出させておる、こういうことで足りない部分を予備費からいただきまして、既定経費の中からできるだけ他を節約いたしまして使用した部分がございます。
  53. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 足らないものは、既定経費を節約してそこから出したと言っておる。予備費というものでこれをまかなっておる。これは予算には初めからないのです。だから予算の足らない分だけ予備費で出したのじゃないでしょう。外遊というのは予備費でまかなっておる。四百六十八万というのは従って総ワクなんです。総ワクの中で百四十二万は報償だとすると、それを差し引いたものでとうていホテルの費用を払ったり、招待もあるでしょうが、旅費からその他足りるはずがない。大勢の人が行くのに足りるはずがないじゃないか。どうやってこれをまかなったのだ。総額四百六十八万で足りたのか足りないのか。
  54. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 池田総理の外遊に必要でありました経費全部が予備費だけでまかなっておるということはございませんで、予備費で足りない部分は既定経費の節約から出しております。
  55. 谷村裕

    ○谷村政府委員 今の政府委員の方からの御答弁は、予備費で足りないところを既定経費でまかなったという言い方になりましたが、そうではなくて、既定経費と予備費と両方でやっていただいたということになると思います。と申しますことは、外遊されるにいたしましても、たとえば車馬類を雇う金といったような庁費は、これは一般的に総理府なり内閣なりの所管のために必要なものとして組んでございます。それは必ずしも外遊に使ってはいけないというわけのものではございません。たとえば庁費などで、その他いろいろあるかと思いますが、庁費などは既定のものの中からも一部使っていただいておる。そうして予備費も合わせてそれにプラスをしておる、そういう形になっておるというふうに御了解いたきだたいと思います。
  56. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは次長の答弁が正しいので、予備費を使って足らない分を既定経費で充てるなんというのはべらぼうな話で、こんなことあるべきじゃない。これはやはり既定経費の足らない分を予備費でまかなったというなら一応筋は立つ。外遊というものは既定経費にはない。そうすると、ほかからこれは流用して持ち寄ってやったということですか、どういうことですか。
  57. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 既定経費から、これをまかなっていくということであります。
  58. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこで、私のお伺いするのは、四百六十八万なんかで足りるはずはないじゃないか。だれが考えたってわかっている。従って、経費は幾らかかったか。ここで四百六十八万、そのうちから百四十二万引いてごらんなさい。幾らもないです。私が行ったってそのくらいかかるかもしれない。それを一国の総理が、大ぜい連れて行ってこんなでまかなえるはずはない。だから総額は幾らかかったのだ、こういうことです。
  59. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 お答えいたします。総理のアメリカ、カナダ訪問に関しまして支出いたしました金額の総額は、千七百十三万八千円でございます。
  60. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これはそのくらい当然かかるはずです。そこで千七百十三万というのは、これは予算というのはないはずですから、内閣所管のさまざまなところからかき集めて金を使われた、そういうことになりますね。かき集めたけれども足りないから、四百六十八万だけは予備費を出してもらった、そういうことになりますね。そうすると、これはどこからどういうふうに流用なすったのですか。
  61. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 既定経費は、内閣及び外務省の既定経費から出しております。
  62. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 もっと時間を節約するためにはっきりおっしゃって下さい。内閣及び外務省から出したと言うのですが、外務省のどういう費用をこっちに流用したのですか。外遊費というのはないのです。出すからには、どっかからか流用しなければ出しようがない。どういうところから出したのですか。
  63. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 お答えいたします。総理の外遊に関しましては、いつも総理が——前の総理のときもそうでありますが、いらっしゃるときにはいろいろ——第一に外務省の人間が随員としてついて参りませんといけませんので、その旅費を出すのであります。それから、総理のいらっしゃいますときに、いらっしゃった効果を最大限に発揮するために、啓発関係の経費を、在外公館の方から出しております。これは啓発宣伝関係でございます。と申しますのは、たとえば新聞関係に工作いたしましたり何かして、向こうで総理の外遊の効果を上げようという趣旨であります。それから、外務省から参りました人間及びその他いろいろの民間からもいらっしゃるようなことがありまして、在外公館でどうしても庁費的なものが必要になりますために、その点をまかっております。従って、啓発宣伝関係などの経費は、総理がいらっしゃったために必要になったかどうかということは、はっきりは申し上げられませんけれども、総理がいらっしゃった際に支出したというお話ならば、千三百万円ばかりのものを在外公館の経費でまかなっております。はっきり申し上げますと千三百万八千円でございます。
  64. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それはあなたの方で予備費を承認を求めるといって出てきているのです。出されているのですが、予備費の中には四百六十八万ほかないのです。四百六十八万ではとうていまかなえないのではないかというようなことで、どうなさったかと言ったら、それは内閣の費用、今の御答弁で、その他外務省の費用で充てている、こういうふうに——これもわかります。そうすると、それは内閣の費用、外務省の費用はどういう費用からそういうものが出るのか、そういうふうに充てられるものが初めから充てられるようにあったのか、今度予算の編成の問題になっている、そういうことを見越して初めから組んでいるのか。この前からの答弁を聞くと、あなたは、主計局次長はかなり詰めてやっているような答弁だった、今聞くと、ふんだんに隠し金というか、ふところ金を持っているような印象を与える、一体どういうことなんですか。
  65. 谷村裕

    ○谷村政府委員 私どもといたしましては、外務省が外交活動を十分にいたしますために——それが十分であるか十分でないかという点はいろいろ議論もありますが、ある程度の在外公館としての活動に必要な経費を見ているわけであります。そしてその活動に必要な経費が、どういう機会にどういう程度支出されるかということは、ただいま外務省の政府委員の方から御答弁申し上げましたように、たまたま総理のアメリカまたはカナダ訪問という機会に、私どもとしては有効適切に使用されていただいたと考えております。
  66. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 あなた、主計局の次長、そんな美辞麗句を並べなくてもいい、有効適切だなんて。私は、外務省の在外公館の既定経費からまかなったとするならば、初めから総理が行くということは予測し得なかったから予備費でやったわけですね。だから、予算を編成するときに、総理があっちへ行かれるかどうかわからない、にもかかわらず、そういうものがまかなえる予算というものを、あなたの方では在外公館に対してはふんだんな予算を充てている、そういうふうに判断してよろしゅうございますか。
  67. 谷村裕

    ○谷村政府委員 総理が外国へ行かれます際に必要と考えられ、かつその場合にこれを予備費として、支出してまかなっていただこうというふうにして処理いたしましたのが、ここに出ております四百六十八万でございまして、その中には、いわゆる旅行のための航空賃でありますとか、いろいろなおみやげ類といったようなものもあるいは入っておったかと思います。また同時に、向こうに行かれまして、外交活動のいわば一環と申しますか、あるいはそのもとになるような活動をされる経費は、これはたまたま外務省の一般的な外交活動のために必要な経費として、あらかじめ総理が行かれるということを予定して組んだわけではございませんが、外務省全体の活動のために組んでございます。それをちょうどいい機会だから、こういうので使えばいいじゃないか。たまたま外務省としては、極端なことを申せば、アメリカの大使館におきましては、当時総理が来られれば、総理を中心としていろいろな活動が展開されるわけでございますから、総理が来られないときに使われたであろうと思われる金がたまたま総理がおいでになったときに使われる、こういう形になって、ちょうどいいじゃないか、何もそのためにわざわざこっちへ予備費を追加することはないじゃないか、外務省さん、自分で持っていらっしゃるそれでやって下さい、こういうことでお願いをいたしまして、結論的に申しまして、じゃぶじゃぶ、だいぶ、あらかじめ、ふんだんにとっておいたのだろうということではございませんで、外務省の活動に必要と思われるところを外務省と話し合った結果見ておった、その経費を使っていただいたわけでございます。
  68. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこでこの四百六十八万の中の百四十二万だかの報償費というのがある。さらに、ここでこの次にお尋ねいたしますが、東南アジアへ行くのは十一月の十日に閣議で、これは三千九百一万という、四百六十八万とはてんでけたの違う三千九百一万八千円、こういうあれが組まれておる。この中に報償費がある。これは二百九十八万三千円というのが報償費として使われている。私はここでお尋ねしたいが、報償費というのは一体その内容は何か。
  69. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 お答えいたします。総理の外遊に伴いまして支出いたしました報償費は、先ほど外務省の方からも御答弁がありましたように、啓発宣伝とか、あるいは接宴、贈りもの、それから今御説明した謝金、チップ、そういったものを内容としております。
  70. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これはみやげものだとかチップだとか、そういうものだということですが、これはいいです。これは報償ですから、この報償費の内訳というようようなものは、これは機密費ではないわけですね。どうなんですか、機密費なのか、機密費でないのか。
  71. 谷村裕

    ○谷村政府委員 今報償費というので予算のいろいろな科目が庁費とか何かとか、こうありますときに報償費という名前であがってございますが、機密費という名前のものはたしか予算の科目としては現在はなかったと覚えております。そして報償費というのはある場合には、たとえば納税功労者に対する表彰というふうにして出すような場合に、大蔵省にも計上されておりますし、たとえば内閣におきましていろいろな総理の特別の関係の支出に充てるために用意されておるという場合もございまして、おっしゃる意味における、俗な意味における一種の機密費的な性格を持つ場合もございます。しかし、接待費でありますとか、外国に贈りものをする場合でありますとか、外国に出ていかれたときに、たとえば孤児院とか病院みたいなところに寄付をしてこられるとか、そういう場合のものとしても使われておりまして、広い意味での機密ということはちょっと当たらないかもしれませんが、非常な広い意味での機密に使えるお金というふうな意味になっておると思います。詳しく内容は別の方から申し上げます。
  72. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると日本の予算には機密費はないわけですから、これはそういう点では報償費となっていますが、従ってこの報償費というものは、この使途について会計検査院の検査も受ける義務がありますかどうか、公表、公開はできるのかどうか、この点はどうですか。
  73. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 お答えいたします。報償費は先ほど大蔵省の方からも御答弁がありましたように、いわゆる戦前における機密費、会計検査院の検査を要しないという機密費とは違いまして、現在会計検査院の検査を事実上受けております。ただその性格上われわれといたしましては極度の機密性といいますかを保ちながら使用しなければ、予算の目的を達成することがむずかしいというふうに考える経費というふうに考えておりますので、その使途の公開は御勘弁願いたいと思います。
  74. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは会計検査院の検査を受けるわけですね。受ける義務があるわけですね。そうすると会計検査院にはそういう書類の提示はしない、会計検査院の検査も遠慮してもらう、こういう措置をとっておるのですか、一国の政治ですから、外交ですから何かあると思いますよ。それ相当にあることはわかります。建前として機密費のない今日、それはどう取り扱うのですか、ここで公開できないのはいいです。けれどもそれは会計検査院の検査は受けるのか、それともあなたの方で会計検査院に話をして、その検査だけは遠慮してもらうのか、どういう措置をとっておりますか。それはどういう法律上の論拠に立ってそういうことをなさっているのか、その点もあわせて……。
  75. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 先ほどお答えいたしましたように、会計検査院の検査は受けております。
  76. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それから、これは公表をはばかるというのは、これは一国の外交の問題だからそういうことは世間に知られたくないということはわからぬのじゃない、わかります。そういう建前でやっておるわけですね。会計検査院の検査だけは受けておるわけですね。
  77. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 検査は受けております。
  78. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関連して今の問題をお尋ねいたしますが、そうすると、報償費というのは、これは大蔵省に聞いた方がいいと思いますが、報償費というものは公表できない、こういうことになるのですか。今のやりとりから聞いてみますと、そういうように思うのですが、そうなんでしょうか。
  79. 谷村裕

    ○谷村政府委員 報償費は、今お話し申し上げましたように、いろいろな目的のために使われておりますが、その使う使い方について会計検査院の検査を受けておりますし、また、どういうふうに使ったかということも、きちんとそれぞれの所管の省では記録していることと存じます。ただ従来の政府のやって参りましたいたし方といたしましては、その報償費の使った内容については表に出さないという扱いにしてきております。この点はすでにしばしばいろいろお話が出ておりましたが、ずっと一貫してそううい建前をとっておると私は存じております。
  80. 勝澤芳雄

    勝澤委員 公表しないということはわかるのですけれども、われわれの国政調査権の立場から言うならば、それは当然国政調査権が及ぶものであって、資料の要求があるならばそれは提出しなければならぬ、こういうことでございますね。
  81. 谷村裕

    ○谷村政府委員 国政調査として御要求になった場合に、政府側がこれに対していかにいたしますかは、一般に国政調査に対して政府が高度に機密の保持を要する場合にとられる措置と同様に扱われることになると存じます。
  82. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今の答弁は明確になっているようですけれども、不明確なんです。もし報償費の問題、あるいはあとで申し上げる交際費の問題、これらについてわれわれが国民の代表である国会議員の立場調査することが不可能だというならば、今日内閣官房だけ見ましても、一億七千万の実は報償費があるわけです。ですから、国全体で相当莫大なものがあるということになるわけです。ですから、こういう建前から言うならば、それは当然報償費についてもいろいろ政治的な、あるいは対外的な問題はあるとしても相当な部分についてはやはりわれわれの要求があるならばそれは発表する義務がある、こういうように私は解釈する。あなたはどう思いますか。
  83. 谷村裕

    ○谷村政府委員 仰せのように報償費は内閣官房あるいは外務省その他各省等におきまして、大小の差はあれついておるわけでございます。そして国政調査の御要求で報償費の内容いかんというお話になりました際に、報償費の内容によりましては、もちろん喜んで御報告申し上げ、内容をつまびらかにいたして差しつかえないものもあると存じます。また、そういうことをはばからなければならないというふうな、高度の政治的な機密性を持ったものもあるいはあろうかと存じます。さようなことで、扱いといたしましては、従来ともそういうお話がございました際に、内閣あるいは外務省等の報償費については公表を避けておった例がございます。
  84. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今あなたが言うようなものについては、喜んで公表することもあるし、また内容によってはごかんべん願いたいとかなんとかいうことなんでしょうけれども、一体そういうことは法律的にはどこにきまっているのですか。
  85. 谷村裕

    ○谷村政府委員 おっしゃる意味は、国会の国政調査の要求に対して、政府側として一定の限界を引くことができるその根拠でございますか——ただいま直ちに私は即答いたしかねますが、調べた上でお答え申し上げます。
  86. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこでもとへ戻りまして、池田総理のアメリカ、カナダ訪問の経費でありますが、総額は幾らなんでしょうか。とにかく総理が行ったことについて総額幾らかかったのか。そしてその費用は、外務省やらあるいは在外公館やら、いろいろつけかえをしたようですけれども、この予算費目に従ってどこから幾ら出たんだという総額を一つ説明してくれませんか。
  87. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 お答えいたします。  先ほど、池田総理のアメリカ、カナダ訪問につきましては、総額千七百十三万八千円と申し上げました。このうち予備費が四百六十八万円、外務省の既定経費から出しましたのが、先ほど外務省から御答弁のありました千三百五万円であります。
  88. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先ほどから説明を聞いているのですが、実はわからないのです。あなたもわからないで答弁しているのじゃないですか。外務省は千三百五万だと言っておるのですが、予備費の四百六十八万を加えて千七百十三万になりますか。ならないですよ。ですから私はとにかく総額で政府は幾ら使ったのかということを言っているのです。それが外務省のことは外務省、内閣官房のことは内閣官房ということでなくて、一括予備費を出して、それは担当なんでしょうから、四百六十八万使った、それ以外にどこから幾ら出たかということは、わかっているはずですよ。外務省に聞いたって内閣官房に聞いたってわかる。それくらいがわからなくて一体予備費の提案ができるのですか。常識でしょう。とにかく池田総理がアメリカ、カナダを回って総額が幾らかかったのか、その金はどういうふうに予算の中から出したのか、こういうことを私は聞いているのです。どこかわかるところはないのですか。
  89. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 総額は千七百十三万八千円でございます。そのうち、先ほど私から御答弁いたしました通り、外務省側から出しましたのが、千三百万八千円でございます。それから予備費の使用額と申しますか、いわゆる予算額というようなものでございますか、それが四百六十八万円でございます。らち支出額が四百十二万五千円でございます。従って予備費使用額と支出額との差は不用に立ったわけであります。
  90. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 総額は千七百十三万円でしょう。そのうち外務省から千三百万八千円、それから予備費が四百六十八万円、そうすると少し合ってきたかな。まあそれはいいでしょう。  そうすると、その次は東南アジアの訪問です。これは今度べらぼうに金額が上がって三千九百一万八千円ということになって、そのうち報償費が二百九十八万三千円となっておりますが、これも外務省はこれですっから足りたわけですか、それとも足りなかったわけですか。足りなくていわゆる在外公館からも外務省からも出したのですか。
  91. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 池田総理の東南アジア訪問に関しましては、先ほど申し上げました通り、これは総理がいらっしゃったからというはっきりしたものではございませんですが、それに関連いたしまして外務省から支出した総額は千七百八十万八千円であります。
  92. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これはこういうふうに答弁して下さいよ。総額は幾ら、外務省は幾ら、そうして既定経費は幾らで、足りないのが予備費で三千九百万円ということで合うように一つ答弁して下さい。
  93. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 お答えいたします。  池田総理の東南アジア訪問に要しました経費は、総額五千六百五十三万六千円、その中で予備費が三千九百一万八千円、残りが外務省で支出いたしました千七百八十三万円であります。それで金額的に申しまして、アメリカ訪問の場合と非常に変わっております点は、東南アジアの場合は、ジェット機をチャーターいたしましたので、航空機のチャーター料が三千七十万円かかっております。
  94. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 その総額が五千六百五十三万六千円ですね。そうすると、そのうち既定経費から出して足りないのは、これは足りない方が多くなってしまったのだけれども、三千九百万円というものを予備費から出した、こういうことですね。それで今の飛行機のチャーター料というものは五千六百万円の中のに含まれておるのですかどうですか。
  95. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 総額の中に含まれております。
  96. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 幾らですか。
  97. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 三千七十万八千円であります。
  98. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、ここでは五千六百五十三万円のうち飛行機のチャーター料は三千七十万円であるから、これを差し引いた金が向こうで要った費用だ、こういうことになると解釈していいのですか。
  99. 多治見高雄

    ○多治見政府委員 そういうことでございます。
  100. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そこで、主計局の次長にお尋ねいたしますが、これはあなた切り詰めてこうやったと言うが、どうも理屈が——総理が東南アジアに行くのは予定にはなかったのだ、従って、やむを得ないから予備費で出したのだと言うが、外務省予算というものは、こういうものを初めから見込まなければこういう予算は組めないはずだと思います、そうすると。さだめしあなたの腹の中で、行くことは事実だから組んでおかなければならないだろうと思って組んだからこれが出せたのであって、そうでなかったら、予算としてそんな予算はないと思うのだが、どうなんですか。
  101. 谷村裕

    ○谷村政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、腹の中にそう思っておったろうがと言われるのでございますが、そうではございません。外務省が在外活動として、あるいは東南アジアにおいてあるいはまたアメリカにおいて、あるいはまたヨーロッパにおいてそれぞれ啓発あるいはその他いろいろな外交活動をいたしますために必要な経費というものを、別途見ておるわけでございます。そうしてたまたま総理がそういう地域に出られます際に、先ほど外務省の方からもお話がありましたが、総理が行ったから要るようになったわけではないのでありますけれども、たまたま総理が行かれれば、総理の外遊ということと一緒になって、より有効にその外務省の活動経費というものは使われるわけでございます。従ってわれわれとしては、総理が行くことを予定して組んでおいたわけではなくて、当然平素要るであろうと思われておった外務省の経費を、こういう機会により有効適切に使っていただいた、かように考えておるわけでございます。
  102. 勝澤芳雄

    勝澤委員 アメリカの場合と東南アジアの場合と、外務省から、アメリカの場合は千三百万、それから東南アジアの場合は千七百万出ているわけですが、これは費目をちょっと説明してみて下さい。
  103. 佐藤正二

    ○佐藤(正二)政府委員 アメリカ、カナダの場合でございますが、報償費から八百三十三万出ております。それから庁費から二百十五万二千円出ております。それから外国旅費から二百五十二万五千円出ております。  それから東南アジアの関係でございますが、報償費から千百七十四万四千円出ております。庁費から百九十五万六千円、外国旅費から四百十万八千円出ております。
  104. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと結局これはこういうことなんですね。主たる経費はこの外務省予算で、とにかくどれだけ出るか知らないけれども計算をして、そして足りない分を今度は予備費で、それは内閣官房の方にくっつけた、こういうことなんですね。それはどういうことになるのですか。これは見ていると、内閣官房の予算の中で、実は報償費、庁費という費目があるわけですね。ですから外務省の方は、池田総理が出かけるについて合計三千万の金をひねり出しているわけです。しかし内閣官房の方では一銭もひねり出しはしていない、全部予備費でまかなってておる、こういうことなのか、その間の事情のことはどういうことになっておりますか。
  105. 谷村裕

    ○谷村政府委員 ただいま勝澤委員の御質問には、外務省の経費でまずやって、足りないところを予備費でというふうにおっしゃったわけでございますが、ある意味でいえばさようなふうにもいえるのでございますけれども、もう一つ別の角度から見ますと、われわれの立場からいたしますれば、こういうのは、本来外務省の経費としてではなくて内閣の経費で見てもらった方がよかろう、こういうのは既定の外務省の活動の経費の方から見てもらった方がよかろうというふうな考え方があると思います。たとえばここでお気づきのように航空賃といったようなものでありますと、これはたまたま航空機をチャーターして行かれるようなことは、これは本来池田総理が日本の国から外に出ていかれる、そしてまた帰ってこられるためのものでありまして、これは一つ内閣の経費で見てもらおう、それから向こうに行って、向こうでいろいろと活動されるときのものは、これは外務省の経費で見ていこう、こういうふうな一応の概念的な区別がございます。そうしてそのあとで、それじゃ国内ではどういうふうに見るかというときに、今御指摘のように内閣の既定の報償費というものが使えるか、あるいはこの際別途そういうものを見るかという話になって参りまして、この際外国に出かけるために必要な事柄一般のものは、これは予備費として追加しよう、こういうことになったわけでございます。
  106. 勝澤芳雄

    勝澤委員 理屈はそうなっているのですが、決算をした結論というのは逆になっているわけですよ。もしそういう考え方ならば、内閣官房の中の報償費や庁費の方からもう少し生み出して、予備費がもっと減っているはずなんですけれども、そうではなくて、総額の中から外務省がまかない得る額を差し引いて、その残りを全部予備費にくっつけているわけです。領収証だけくっつければあなたの言われるような理屈にはなるのですけれども、実際の取り扱いはそうなっていないわけです。ですから内閣官房の会計課長に詳しく聞けば聞くほど、おれの方はとにかく外務省でまかない切れない残りを予備費でまかされて、何も金についての権限がないもので、聞けば聞くほどわからなくなるというのが中身じゃないかと思うのです。ですから、これはやり方として少しおもしろい出し方だなと思う。なぜならば、足りぬ分を予備費で、その予備費はみな内閣官房にくっつけた、こういうやり方でしょうから、先ほど小川委員もいろいろ指摘しておりましたけれども、予備費の出し方について一つの疑問を私は生じているわけです。関連ですからこれで終わります。
  107. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私はこの問題はこれで終わります。
  108. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連。外国に出る場合はそれでいいですが、これを見ますと、アレキサンドラ内親王、それからアルゼンチンの大統領夫妻、ソビエトの第一副首相のミコヤン氏、こういう人たちが来た場合にそれを迎えているわけですが、こういう場合には今のように出せるだけは出して、あとは予備費で見る、こういう工合になっておるのかどうか。ところが、ミコヤンの場合は、警備費だけが予備費として見られて、その他の接待や何かは一切見られていない。予備費として出されていない。そういう相違は一体どこからくるのか。それから警備費というのは一千九百万、大体二千万出しておる。これは相当の規模で警備と称する活動をやっただろうと思うのです。内容について詳しく説明してもらいたい。
  109. 谷村裕

    ○谷村政府委員 西村委員お尋ねは、宮内庁所管のところで、たとえば外国から国賓が見えたような場合の扱い方の問題が第一、第二がミコヤン副首相の来日の際の警備費の問題であろうかと思います。  最初の点について私から申し上げますが、大体宮内庁関係でありますと、年に一ぺんか二へんそういった国賓の方が見えられるであろうということを予定いたしまして、そのために必要な経費は組んでおります。たしかそうだったと記憶いたします。しかしながら、招待外交と申しますか、そういったようなことが非常に激しくなって参りまして去年のように予定しておりました以上にお見えになりますと、そこに予備費を出しましたわけで、その際には、私も今急な御質問でちょっとはっきりいたしませんが、宮内庁予算でお着きになってからお立ちになるまでの、いろいろお泊まりの費用でありますとか、贈りものの費用でありますとか、お接待の宴会の費用でありますとか、そういったようなものを予備費で追加して、外務省の予算あるいは総理府の一般の方の予算、そういうことでは処理していなかったと記憶いたしております。
  110. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 ミコヤン副首相の来日に伴います警察費の内容についての御質問でございますが、その総額は一千九百九十万四千円でございます。その内訳は、活動旅費といたしまして一千二百七十八万九千円、その活動旅費の内訳を申しますと、捜査活動に要するものが三百六十四万二千円、それから警戒に当たりました出動の警察官に要する経費が八百万一千円でございます。なお、私どもは警護と申しておりますが、ミコヤン氏の身辺及び宿泊にあたりまして直接警備につけます者の経費が百十四万六千円でございます。その他に、ここに記載されておりますように捜査費といたしまして七百十一万五千円があるのでございます。
  111. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう一般の警備活動経費の中から今言ったような費用を出す余裕というものがなかったのかどうか。私は、ミコヤン氏が来てから帰るまでは、全部予備費でやっているように見えるのです。そういうような行き方は、先ほどからの池田総理の外国旅行の場合なんか、既定経費の中から相当出して、そうして不足分を予備費として計上した、こういうことになっておりますが、警察関係は、去年は三池、安保のあれで自動車が少しこわれたから、えらい便乗購入をやったというような問題がありました。今度は便乗でもないでしょうけれども、かかっただけ全部予備費で見てもらうというのでは、少し虫がよ過ぎるのではないか、こういう気がするのです。これは既定経費の中から全然見ていないのかどうか。今の御説明ですと、一千九百九十万四千円が総額だ、こういう工合に言われたわけだろうと思うのですが、どうです。
  112. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 今申しました経費は、直接警備に当たりました東京、大阪、京都、その他沿道の五都道府県に配った数字でございます。直接これらの警備に要した費用でございますが、広いことで申しますならば、ミコヤン氏が参りますにつきましては、日本の全警察をあげまして不祥事件の発生を防止いたしたのでございます。そういう意味の経費につきましては既定経費でまかなったわけでございますが、ただいま御説明申し上げましたように、直接これの警備に要した経費をここに予備費としてお願いいたし、そうしてその予備費は直接関係府県に限定して配賦いたしたのでございます。
  113. 西村力弥

    ○西村(力)委員 直接であっても、沿道の警備とかその他ミコヤン自体の警護とかいっても、必要な場合はそういう活動は当然やるわけですから、こういう経費は既定経費の中に相当見込まれているはずだと思う。ですから、そういうものから捻出して、それでも不足を生じたということになって、後日そういう費用の追加、こう願うなら話はわかるのだけれども、ミコヤンが来たからこの関係費用は一切予備費から出してもらおう、こういうような行き方というものは、予備費の扱い方として私は好ましくないと思う。同じ項目の予算がまだまだふんだんに残っておる。残っておるにかかわらず、そこからひねり出さないで全部予備費におんぶするというようなやり方は、ちょっと予備費の立て方としては正しいやり方ではないと思うのです。一体大蔵省はどうなんです。
  114. 谷村裕

    ○谷村政府委員 既定の経費をもってできるだけまかなって、それ以上どうしても足りないということが明らかになった場合に埋めたらいいじゃないか、端的に言えばさような御質問であろうと存じます。一つの扱い方としてそういうことはもちろん考えられるわけでございますが、私が記憶しておりますところによれば、ミコヤン氏の警護等のために必要な経費として要求がありました際に、私どもとしましては、かなり詳細にその内容なり、またどうしても既定の経費以上にこれだけはみ出さざるを得ないかどうかという点を検討した記憶がございます。そうして、それはそこまで突き詰めてみまして、通常われわれが必要とされておると考えられる警備関係の経費を予定いたしまして考えたときに、どうしてもその際予備費として措置していく方が妥当であると考えまして、したわけでございます。
  115. 西村力弥

    ○西村(力)委員 谷村さんの言うことは、先ほどの言い方と今度逆な言い方なんです。先ほどの審議の場合には、できるだけ既定経費から出して、そして不足しそうなときには予備費としてお願いするのだ、そういう方針だとあなたはおっしゃった。今度はそうじゃない。それはまた去年の九月二十二日に閣議決定しているのですから、まだ前半期しか終わっていない。警備関係の費用というようなものは豊富に残っておる。ですから、そういうところから出し得るし、相当あとになって不足を生ずる場合においては補正で埋める、これが正しいのです。ミコヤン副首相来日歓迎費というような項目がもう使い切ってないからというわけじゃないのでしょう。そういう項目は予算にあるはずはない。これは警備費なんです。ですから、あなたは、前とあと、まだ十分も過ぎないうちに言い方が変わっている。そんな言い方をされたのでは納得ができないわけですよ。こういう予備費の立て方というのは私たちは不当であると思う。
  116. 谷村裕

    ○谷村政府委員 先ほど申し上げました際には、総理が外遊された際に、どうしても既定の経費でまかなえないものを予備費でやったのだというふうに申し上げたつもりではなくて、本来総理が外遊される際に、こういうものは外務省の既定経費で外交活動の中に織り込んで処理していただいてしかるべきもの、そしてまた、たとえば外国旅費、航空賃のようなものは内閣の経費として見た方がよかろうと思われるもの、そして内閣にも、既定の、たとえば庁費あるいは報償費あるいは外国旅費というようなものがあると思いますが、それはしかしほかにも年度内に一応予定されたものがあるから、従って総理の外遊のためのそういう経費はここで予備費として追加しよう、そう見たわけでございまして、最後に足りなくなったしわをそこでもって見たということを申し上げたつもりではなかったと思います。  本件につきましても、警備費は、おっしゃる通り、九月の当時でありますと、年間全体として見れば、まだ余裕があると存じます。しかし、それはおおむね通常の予定される状態におきましては、この程度のものははみ出るであろう。内幕を話すようなことで恐縮でございますが、たしか先方が言ってこられた分をそのままそっくり見たわけではなかったと思います。この辺はどうだ、少し従来の一般のものを食ったらどうだとかいうふうなことを、たしかいろいろ警察の方と折衝いたしましたあげく、かような予備費をきめたものと記憶いたしております。
  117. 西村力弥

    ○西村(力)委員 外務省の場合、総理が外国に行かれた場合に、本来の庁費とか、あるいは報償費とか、そういうものを組まれているのを、総理が行ったら総理を中心として支出する、こういう趣旨で支出したということでありましたが、これについては、そういう本来的な意味における支出というものを全然やらぬで、全く予備費だけにたよっているというふうに僕は見て、そうして予算の組み方としては、このくらいの警備活動というものは——警備というのは、中身についてはわれわれはわからぬわけですが、大蔵省においてもその微細についてはわかっていないだろうと思うのです。そういうことでありますから、なおこの予算の立て方というものは、やはり使用現況を見て、その分を補正予算で補うという立て方をやってもらわなければいけないと思う。その点、今後の予備費の立て方として、こういう場合警備費というものはたくさんかかったら、まだよけいに残っているんだけれども、これは一年間使う分だから取っておいて予備費で全部埋めてというような行き方は、これは相当膨大な警備費でしょうけれども、これよりも少なかった場合にはそうしないじゃないか。だれか別の人が来たら、たとえば五百万なら五百万の既定経費でやっちゃえとあなたの方で言うに違いない。そういうふうに言うならば、警備費の中から五百万というものは出し得るわけなんです。そういう関係になっていくわけですね。ですから、私は、やはり本来の姿としては、あるだけ使ってみて、そうして臨時国会もあることですし、当然これはそういう場合に補正する、またその補正チャンスがない場合には、使用現況と照らし合わせて予備費計上というものをやっていくべきではないか、こういう工合に私は思うのです。そういう考え方に対して、一体大蔵省と警察庁はどう考えるか。この警備費は、おれたちは部外から一切の干渉は排除する、一ぺんきまったらばそれ以外の支出は全部予備費だというようなやり方は、これは自分たち本位な考え方になるんじゃないかと思うのですが、それはどうでしょう。
  118. 谷村裕

    ○谷村政府委員 西村委員のおっしゃいますように、非常に極端に言いますと、そういうふうなことになるわけでございますが、もとより私どもも、予備費の実行等につきましては、基本的には十分ただいまおっしゃったような気持で考えているわけでございます。ただ具体的な実行の問題といたしまして、たとえばただいま御指摘の警察の点でございますが、どの程度のときならばこれを予備費として追加使用することを決定し、どの程度のものなら既定のもので間に合わせていく、あるいは現在ならまだ既定のものをどんどん食っていって、いよいよ足りないときにそれでは見ようという判断になるかということは、これは非常に程度の問題でございまして、私どもといたしましては、私どもがとりました処置は正しいものと存じておりますが、なお西村委員のような基本的な予備費使用についての考え方というものは常に念頭に置いてやっておりますということで、御了承いただきたいと思います。  なお、警察の方からもう一ぺん今の点について……。
  119. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 西村委員にお答えいたします。  ミコヤン氏の来日に伴います警戒と申しますのは、その当時の国内状況及びその他客観状況を総合いたしまして、警察といたしましては、いまだこういう警戒をしいたことのない程度のきわめて異例な厳重な配慮のもとに警備を実施いたしたのでございます。従って、あらゆる場合において警備をやったから、これを予備費にするというふうな点において、そういう考え方のないことは、今大蔵省御当局の御答弁通りでございまして、これは全く異例な、いまだかつてない警戒であったために、通常のわれわれの方の予算をもって支出はできないという状態であるという判断のもとに予備費を要求したものでございますし、また、先ほどもお答えを申し上げましたように、この予算自体を配賦いたしましたことは関係府県に限定いたしましたけれども、全国的に警戒をいたしたのでありまして、それらの費用につきましては規定経費を十分活用いたしておるのであります。御了承いただきたいと思います。
  120. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この中の警備関係は、左翼の動向、右翼の動向、さまざま捜査対象にしたのだろうと思うのですが、その区分は一体どんな工合ですか。金額的にいえば、右翼関係を対象とする警備費、左翼関係の捜査及び警備、こういう問題はどうなっておりますか、これはあなた方には警備あるいは保安なんかみなあるでしょう。そういうところから出したところを見れば、それは区分ができると思うのです。それはどうです。
  121. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 この捜査費の内容を、いわゆる右翼、左翼を対象に分けまして、どういうふうに使ったかと申しますと、ちょっとこれは数字をもってお答えすることは困難かと思いますが、このミコヤン氏の警備中に発生した事案、その他警備の性格から申しまして、これらの警備の重点が右翼関係方面にいったということは言えることじゃないかと存じます。
  122. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今に至って考えてみて、少し大げさ過ぎたと考えませんか。
  123. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 結果的にはいろいろ御批判があろうと思いますけれども、われわれは全力をあげ、ミコヤン氏の身辺に不祥事のないように努力いたしたので、われわれの努力を多としていただきたいと思います。
  124. 勝澤芳雄

    勝澤委員 平常の警備と違って、約二千万円の予備費が出ておりますね。一体異例な警備態勢というのは、具体的には平常の場合とどう違った警備態勢なのですか。それと、金額的に二千万円かかったという点について御説明願いたいと思います。
  125. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 ミコヤン氏の来日に至りますまでに、相当不穏当な、われわれといたしましたならば、相当事前措置を要するような情報を多数入手しておりました関係上、今参考までに数字を申し上げますと、直接ミコヤン氏の行動に伴いまして、沿道等に警戒配置につきました警察官の延べ数におきまして約六万、それから警護、今申しました宿舎その他に直接警備に充てましたものが三千六百名、こういうふうに警備規模において従来ない大規模な態勢をしいたということでございます。
  126. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、今ケネディ司法長官が見えましたし、あるいは韓国から参っておりますけれども、こういうときには経常費でまかなえるような警備態勢——そうすると、今後ソビエトから来る人がありますと、一人来ると二千万ずつかかる、こういうことになるのでしょうか。
  127. 宮地直邦

    ○宮地(直)政府委員 朝鮮から参られたときにも非常に厳重な警戒態勢をしたいことは、これまた事実でございます。しかし、この場合には期間が短かったということもあり、あらゆる面において総合的に判断いたしまして、今度のミコヤン氏の来日の警戒が従来にない警戒であったということを申し上げておるのでありまして、一々の例につきまして判断いたしませんと、予備費を要求するかしないかということは、その状況によって判断するのでございまして、私ども今ちょっとお答えしにくい点でございます。
  128. 勝澤芳雄

    勝澤委員 警察庁の年間予算の活動旅費といたしましては、十五億八千百三十三万、十五億ある中の千二百万円ですね。それから捜査費は八億八千六百九十七万三千円ある。その中の七百十一万、これは、先ほどの外務省の、池田総理がアメリカ、カナダ、東南アジアに行かれたひねり出しの出し方を見ますと、大蔵省は甘いじゃありませんか。外務省の方ではぎゅうっと出て、相当な部分まかなっているわけですが、これはこれだけのたくさんの予算があるにかかわらず、予備費を立てなければならぬというのは、便乗的な予備費の支出じゃないだろうか。また極端に言うならば、いや前年度から少し削られたから、削られた分がここでプラスになったんじゃないだろうか、こういうふうに見ざるを得ないわけなんですけれども、その点どうですか。
  129. 谷村裕

    ○谷村政府委員 いろいろものの見方だと存じますが、これだけの金がひねり出せぬわけはないじゃないか、というふうにごらんになる立場もあろうかと思います。しかしながら、捜査活動費あるいはいろいろな警備のための捜査旅費等、今お話しのようにたくさんございますけれども、警備だけでなくて、いろいろな警察全般の活動に必要なものとして一応考えられておるものでございまして、本件は、ただいま警察当局からお話の出ましたように、われわれから拝見しましても、どうしてもやむを得ずこの程度のものは飛び出さざるを得ないと見たものでございまして、予備費の使用を決定いたしたわけでございます。甘いという御批判に対しましては、われわれ今後一般的には戒心いたしますけれども、本件につきましては私は適切であると存じます。
  130. 勝澤芳雄

    勝澤委員 終わったことですから、今さら申し上げても仕方がないと思うのですけれども、先ほど西村委員も言われましたように、あまり大げさ過ぎるやり方であった。そしてその結論がここに出ている。その点は、官房長の方は、警備が十分であったから、その点ほめてくれ——それは大へん警察の力があって、何もなく済んだことはよかったと思いますけれども、しかし、一体これだけ膨大な金を費やしてやったことについては、やはり私は少し考える余地があるんじゃないだろうか、こういうふうに思うわけなんです。これ以上言っても仕方がありませんから……。
  131. 木村公平

    木村(公)委員 これは私今気がついたのですが、従来この委員会でも、予備費についてはほとんど内容を十分審議することなく承認したものです。ところが、きょうは初めて正鵠を射た議論が小川委員を初め他の諸君から出まして、初めて予備費の重要性というものが大蔵省にも認識されたと思うのです。各役所も、予備費に繰り込めば、大体ほとんど決算委員会でも文句なしにほおかぶりで通してくれるというようなイージー・ゴーイングな思想がようやくここで啓蒙されて、そうじゃないんだ、予備費といえども一顰一笑われわれは審査の対象にするぞという心がまえがここで十分わかりましたので、大蔵省その他のきょう御出席の諸官庁の代表の方は、今後といえども、予備費であるなら、内容は機密費的のものであって、ほとんどほおかぶりで決算委員会も通してくれるというような甘い考えでなく、予備費の使用、あるいは予備費というものの承認にあたっても、大蔵省側並びにその他の各役所においては十分心を用いてやっていただきたい。これが私どもの希望でございますので、三百委員長を通じて皆さんに申し上げておきたいと思うわけです。
  132. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私も、この予備費の審査を今大村委員が言ったような気持で始めたわけです。木村委員に結論を先に出されたような気がするのですが、私これから二、三点お尋ねいたします。これは時間がありませんから、私も繰り返し聞かないようにいたしますから、答弁の方もそういう点なるべく簡単にやっていただきたいと思います。  ここ一、二年林野庁関係というのはほとんど審議の対象になっていなかったということから、林野庁の方にお尋ねするわけです。林野庁としてまかなわれたものの中で、たとえば三十六年度の九十七ページを見るとわかる通り、「木材増伐対策林道開設事業に必要な経費」というのに三億一千四十一万円出されておりますが、この予備費が民有林の緊急伐採のために林道開設費として計上されているわけです。この増伐対策というものは価格対策である、価格対策として民有林の緊急伐採をするという点自体はわかるのですけれども、これを緊急予備費として使う緊急性がどこにあったのかということが、私のお尋ねしたい一つです。
  133. 吉村清英

    ○吉村政府委員 この価格安定緊急対策でありますが、御承知のように昨年の八月十五日の閣議で承認を得たものでありまして、それに基づいて実行をしたわけであります。国内の対策といたしまして、国有林の増伐対策、それから民有林の増伐対策を立てたわけです。国有林が三十六、七年度にわたりまして八百万立方メートルの増伐、民有林が両年度におきまして四百万立方メートルの増伐を期待いたして、早急にこの実施を必要とすることになったわけでございます。既定の林道計画におきましては、この増伐の効果の実績が十分あげられないということで、特に三十六年度におきまして早急に実施をいたさなければならない部分につきまして、ここに計上しております三億一千万の予備費をいただいたわけでございます。
  134. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは木材の急速な値上がりに対処するために早急に民有林を伐採しなければならぬ、そのために林道の経費を出したということですから、これに対する緊急性がどこにあるかということは、もし太材価格のあの値上がりに対する急速な対策をするというならば、直接国有林の伐採をする、あるいは持っているものを売り払う、輸入ももっとふやす、さらには列車等の輸送も迅速化するし、あなたの方の貯木しているものを出すということが、早急対策としては一番とらるべきことであった。ところがあなたの方では民有林を伐採するために林道を作っている。これはくつを隔ててかくというたとえがあるが、そういううらみがあるのではないか。従ってここに緊急性というものを認める点に疑問があるわけです。あなたの方ではそういうことで林道開設補助金を出しているわけです。この補助金は各地方公共団体に三億一千余万円出している。ところが、木材の価格の推移を見ると、昭和二十七年を一〇〇とした場合に、三十五年は一七〇、三十六年は二五〇くらいまで異常な値上がりをしているわけです。そこで、政府としては、先ほど御説明のように、二年間の計画で国有林を八百万立米、民有林を四百万立米伐採する、そういう計画を立てておったわけです。ところが、あなたの方のそういう計画とはあまり関係なく、いわゆる経済界の金融引き締めという、その金融事情の悪化で太材はどんどん下がってきてしまった。今では林野庁の入札に応ずる人がなくなってきた、あるいは幾つかの営林署では、もう伐採を取りやめた方がいいではないかという意見まで出てきているという。そうなってくると、あなたの方の木材価格安定の緊急対策の林道の金額というものは、別な事情で木材の値段が下がってしまって、何ら効果がなかったということが言えるのではないか。そこでこの三億一千万円の林道開設補助金というのは、一体民有林の開発をどの程度行なえるとお考えになったのか、さらに具体的には、民有林の伐採によって木材の値段というものをどの程度まで引き下げる方策と、さらにその効果というものがあったのか、どうなのか、いわゆる予備費の目的であるこの緊急性というものは、この林道開発によってその経済効果をどう上げたかということをお尋ねしたいと思います。
  135. 吉村清英

    ○吉村政府委員 最初に、御指摘のように輸入その他太材の利用の合理化という面で、まずこの増伐をいたしますに先だちまして、そういう対策、それから国有林の貯木場等にあります木材の放出といったことは、同時に行なっておるのでございます。  次に、この価格がはたしてこの対策によって下がったかどうかという問題でございますが、私ども、この木材の価格は、木材の需給の調整されることによって安定されてくるというように考えておるのでございます。従いまして、この増伐の対策によりまして供給が増加をされる、それから一面、御指摘のように設備投資等の抑制によりまして若干建築等の抑制がなされておるということは、確かに事実のようでございます。そういうことによっての需要の減退というものも同時にあったかと存じておるのでございますが、いずれにいたしましても、最近の木材需給のアンバランスというものは決して解消されたわけではないのでございまして、従いましてこの対策は引き続き弾力的に——と申しますことは、先ほど御指摘がございましたように、やはり市場の混乱ということも十分考えなければならないかと思うのでございます。最近におきましては、営林署等の入札等は順調に進んで参っております、一時御指摘のようなこともあったかと思いますが。さようなことで、私どもといたしましては、この対策は緊急対策を二カ年間続けますと同時に、さらに恒久的な対策を講じて参らなければならない、かように考えております。
  136. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これはあなたの方は林野庁ですから、木材の価格の上昇に対して林野庁の立場から対策を講ずるとすれば、あなたの方のとった措置というものは、これはとらざるを得なかっただろうと思う。しかし、現実に木材が下がったのは、林道をこしらえていくという計画で下がったのではなくして、金融引き締めという経済界の事情が木材の値段を下げてしまったのだ。これはあなたの方の林野庁としてはとらなければならない措置であったろうという点では私は了承します。ところがこういう補助金は地方公共団体を通じて出されているんですね。私どもが憂えるのは、たとえば東北、北海道において、王子製紙だとか十条製紙だとか、あるいは本州製紙だとか東北パルプとかいう大きな会社がある。すると、この林道の費用は、地方公共団体を通じてそういう巨大な——いわゆるこれも山林所有地主ということになるのでしょうが、そういうところへ使われている心配はないのか。もしあったとしたらそういう対策は立てられたのか。あくまで林道ですから、そういう巨大な資本を持っている、かなりまだ膨大な配当をしているところに林道開設費を補助する必要はないと私は思う。補助するならば、それは地方公共団体を通じて補助するのだから、たくさんの小山林地主の木材の搬出に利便なようになされるべきじゃないか。この点はどうなんですか。
  137. 吉村清英

    ○吉村政府委員 この森林の分布でございますが、分布の状態といいますのは、御案内のように大小さまざまが揮然と分布をしておる状態でございます。これを開発をして参りますためには、特定の所有者というものを基本にしてと申しますか、よりどころとして開発をしていくということはむしろ考えられませんで、この開発の効果、たとえば林道をつけることによって、よりこの開発がいかに合理的に行なわれるかということを主体にして参っておるのでございます。従いまして、小山林所有者の集団をしているところへも計画はされますし、また大きな所有者がありますようなところへも実施がされてくるということは、あり得ると思うのでございます。
  138. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 ちょっと今隣がうるさくてよく聞きとれなかったのですが、小山林所有者のところに補助金を出して林道を開設するのはけっこうだが、いわゆる巨大資本を持っているパルプ業者というのは、山林地主というよりもパルプ業者なんだ。そういうところまで、しかも高額な配当をしているところへ国の補助金を出してまで林道を作らなくても、これはその会社それぞれが必要ならばどんどんそこへ林道を作っていくはずなんだから、この林道の金の使い方というものは、そういうところをきちんとしていくべきじゃないかと思うのです。僕は急ぎますから、それ以上聞きません。  次に、あなたの方のいわゆる森林開発公団です。これは直轄ですね。「災害復旧事業等に必要な経費」として四千百五十七万八千円というもののうち、開発公団が三千二百九十四万九千円の事業補助金を受けているわけです。これは森林開発公団だからいいとして、この目的は熊野、これは和歌山でしょうね、それから剣山というのは四国でしょうね、ここに二つの林道を復旧事業として実施されたわけですが、この昭和三十五年に発足した開発公団が、初年度に林道開発の仕事というのはやったばかりだ。そこへまたさらに三千二百九十四万という——これは災害復旧だから災害が起こったわけです。剣山も、熊野も三十五年にできて工事を始めたばかりで災害を引き起こすというのはどういうわけですか。たちを悪く考えるならば、仕事を始めたから災害が起こってしまったのではないか、こうも考えられるわけなんで、何か土砂くずれがあり、民家や山林が埋没したということですから、その対策を立てなければならないのはわかりますが、しかし、この熊野と剣山だけが始めたら災害が起こった。ほかはないのですから、この点一つと、それからもう一つは、この事業費のうちに、わずかではあるけれども、九百二十八万円というものは管理費として使われているわけですね。復旧事業のほかに管理事業というものを予備費で支出することが妥当であるかどうか、この点です。
  139. 吉村清英

    ○吉村政府委員 この熊野及び剣山の公団林道を作りました趣旨は、御承知通りだと存じますが、この施行は昭和三十一年から始めまして三十五年に終わったのでございます。あるいはその三十五年の施行のところにも被害があったかと思いますが、三十五年に始めたのではなくて、三十五年に終わったところがございます。そういうところでございまして、この五千六十九万円に対しまして三千二百九十四万九千円の補助をいたしたわけでございますが、この第二点の管理事業の九百二十八万円というのは、補助の対象にはなっておらないのでございます。これは十万円以下の小災害でございまして、管理費のうちでまかなっておるということでございますので、御了承をお願いしたいと思います。
  140. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 これは大蔵省もおられるのでお聞きします。林野庁にも関係してきますが、予備費の関係についてお尋ねしたいのですけれども、大蔵省は、当初予算、それから予算補正、予備費——この予算補正と予備費の性格、あり方というもの、それからこの区分、これはどういうふうにあなたの方でお立てになるわけですか。
  141. 谷村裕

    ○谷村政府委員 一般的に申しまして、まず先ほど小川委員が第二の柱であると言われたような意味において、国会に御審議を願える機会がありますときには、そして内容が新たな政策的なものの追加であるような非常に大きな内容のものを含んでおりますようなときには、これは補正予算を出して処理いたすことが、できればその方がよろしいと考えるわけでございます。ただ、補正予算は、その事柄の性質上、作成からさらに国会に提出し、その議決を得るまでに、相当の時間を経るわけでございます。そしてまたその期間も、たとえば臨時国会といったような場合には限られておりますので、従いまして、急を要する場合、あるいはその調査に手間をとるような場合、内容が十分確定していなくて、補正予算にはまだなかなかうまく組めないといったような場合には、たとえばここに出ております同じ一般的な災害のような場合でありましても、あるものは予備費で早急処理し、あるものはわかった程度において補正に計上し、さらにまた、それから先のことは十分調査した上でないと出せない。しかし、およそこのくらいのものが要るであろうという意味において、たとえばまた、ちょうど去年の補正のときはそうでございましたが、室戸台風あるいはその後において発生する部分のために、予備費をさらに追加計上さしていただく、さような扱いをしたわけでございます。
  142. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は、この補正と予備費とを見ていると、どうもあなたの答弁を聞いていると、まことにそうだろう——あなたの答弁の技術がいいのかどうか、そう思いますが、今度書類を見ていると、予算補正と予備費というもの、これをあなた方両方のふところに入れておいて、どうも補正予算と予備費を使い分けをしているのではないかということが感じられる。主計局次長の自由裁量でどうも使われているのではないかということがうかがわれるのは、今度ここでお尋ねするわけだが、林野庁の予算補正と予備費の例を見ますと、昭和三十六年度の予算補正として、「国有林野事業特別会計へ繰入」として、緊急治山治水事業費の財源経費として二億八千九百十幾万というのが組まれておる。昭和三十六年度の予備費で同じく国有林野事業特別会計、同じ理由で二億九千四百六十五万かを計上されている。それからまた、昭和三十六年度発生の山林施設災害復旧事業費の必要経費が補正一号で二億九千二百二十六万、同時に三十六年の予備費で同じ目的で、これは金額はわずかですが、六十二万七千円組まれている。これを受ける林野当局の方では、補正予算でも予備費でも、実は私はどっちでもいいだろうと思う。来さえすればいいだろうと思う。そこでいささか予算の補正と予備費というものが混同しているのではないか。大蔵省としてはこの区別というものをどう明確にしているのか。この点を林野庁の例をあげてあなたにお尋ねする。
  143. 谷村裕

    ○谷村政府委員 まことに申しわけございませんが、予備費一般の方は私所管いたしておりますが、林野庁の具体的な個々の予算につきましては所管いたしておりませんので、一般論でお答えしてよろしければ、一般論にさしていただきたいと思います。この林野庁の具体的に予備費にし、かつまたあるものは補正で見たという内容は、おそらく私が先ほど申し上げましたような意味において、一般的な扱いの例と違っていないと存じますが、具体的にこの例についておっしゃるのであれば、私ちょっと今御即答申し上げかねます。
  144. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 この問題はまた決算があるわけですから、そのときに林野庁に伺うとして、最後に一点お尋ねしておきたいのは、いわゆる材木の特売制度——これは林野庁です。随意契約の制度なんです。この随意契約というものは、国有林がある地方自治体の財政を援助する、それから山村住民の生活を擁護する、それから次に平常取引のあるところに特別随意契約をする、こういうのが一つの趣旨になっているわけです。そこで、昭和三十五年度の決算説明を見ますと、ここに林産物の収入として、ページでは百六十八ページです。総額としては五百三十三億五千三百四十何万というのをあなたの方で業務収入として入れている。その内訳的なものとして、木竹が幾ら——立米ですよ。素材で幾ら、製材で幾ら、木炭で幾ら、たきぎで幾らというのを出していますが、これに対して金額でなく数量だけ出しています。これは一体どういうわけですか。私はその金額が幾ら幾らあると聞かなくても、総額が五百三十何億と出ているのですからわかりますけれども、五百三十何億の収入をここへ出すならば、ここにそれぞれ大竹で幾ら、素材で幾らと数量を出しているのだから、金額で出すのが丁寧なやり方ではないか、それを出してないのはどういうわけかということです。
  145. 吉村清英

    ○吉村政府委員 この事情をちょっと今私十分承知いたしておりませんが、御指摘のように考えますので、検討いたしまして金額を出しますことが適切でございますようでしたら、金額をあげるようにいたしたいと思います。
  146. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 適切であればというのではなくて、これは出すのがあたりまえだと思う。従ってこれを今後出すべきだ。  その他、私は、各省おいで下すっておるということですが、もっとお聞きしたい点もあるが、きょうは予備費でもあるし、きょう上げようということが申し合わせになっているから、各省にはそれぞれ帰ってもらいまして、最後にもう一つ谷村さんにお聞きします。これは労働省のことだが、労働省は帰ってもらって、あなたに聞きたい。  失業保険給付に必要な経費として、三十六年二月二十三日に二十億円、三十六年の三月十一日に十五億円、三十六年の三月二十日に十六億九千万円、このように同一内容の経費を、しかも年度のごく詰まった十日前後に三回にわたってこれを小刻みに支出している。この理由というのは一体何です。どうしてこんな手数のかかるやり方をしなければならないのか。さらにもう一つは、三月ですから、年度が押し詰まってから急いでさあ出せ、さあ出せといって出したのではないかと考えられる点があります。これは特別会計の予備費なんです。なぜこんな金の使い方をしなければならないのか、もっと計画的に使わるべきではないかということが考えられるが、これは使った方の労働省はさっき帰ってもらいましたので、支出したあなたに聞きたい。
  147. 谷村裕

    ○谷村政府委員 確かに御指摘通り、本件は義務的な経費でございまして、財政法の建前からいえば補充的な使途として使い得るものでございますので、昭和二十九年の閣議決定にもありますように、例外的なものとして扱ったわけでございますから、形式的に言えば国会開会中でございますが、かような支出をしたことについて正しいと存じます。  ただ、今おっしゃいましたように、なぜこの期に及んでこんなばたばた出したかと言われますと、私も、実は同じようなことを、係の者に、何で今ごろ急に出てきたんだということを実は申したことを記憶いたしております。いろいろしさいを聞いてみますと、たしかこうだったというふうに記憶いたします。というのは、たしかあのときに失業保険の給付が、早く就職してしまうとそれだけ少なくて済んでしまうから、給付を——本来なら六カ月分あるんだから、それのかわりに就職支度金といったものを出したらどうかということがたしかきまりまして、その前の国会で法律が直ったわけであります。そこで、就職支度金というようなものが出るようになって参りますと、実行してみますと、ちょうど第四・四半期になって参りまして、だんだんそれがはっきり出るようになってきまして、なぜもっと早くから目をつけておらなかったかと言われれば、まことにその通りでございますが、その当時の実情といたしましては、実行いたしてみまして第四・四半期に入りまして、やはりこれは相当大きく出ていくということがわかったような次第で、実績を見ては追加し、見ては追加しというようなことをいたしましたために、御指摘のようにやや格好の悪い姿になっております。御指摘通りでございます。
  148. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 最後に、今の答弁はあなたとしてはそう答弁するのは当然だ。予算があり、また年度内なんだから、これは法律的に問題があるとは私は思いません。しかし、こういう年度が押し詰まってから、こういうふうに十日ばかりの間に三回も刻んで出すようなやり方というものは、もっと注意すべきだ。それできょう時間があれば、あなたと例の予備費その他の出し方の問題をもう少し議論してみなければならないのですが、これはまだこれから会期があるわけですから、そのときに譲って、きょうはこの予備費についての私の質問は打ち切ります。
  149. 鈴木仙八

    鈴木委員長 他に質疑はございませんか。——なければ、これにて各件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  150. 鈴木仙八

    鈴木委員長 次に、討論に入る順序でございますが、討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。  昭和三十五年度一般会計予備費使用調書(その2)、昭和三十五年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和三十五年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用調書(その2)、昭和三十五年度特別会計予算総則第十二条に基づく使用調書昭和三十六年度一般会計予備費使用調書(その1)、昭和三十六年度特別会計予備費使用調書(その1)、昭和三十六年度特別会計予算総則第十一条に基づく使用調書及び昭和三十六年度特別会計予算総則第十二条に基づく使用調書の八件を、それぞれ承諾を与えるべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、承諾を与えるべきものと決しました。  なお、ただいま承諾を与えるべきものと決しました八件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十六分散会