○田中(彰)
委員 ここに
川島行政管理庁長官、それから
荒木文部大臣、長谷川
文部政務次官、
芥川会計検査院長、茅東
大学長、鶴田
東大事務
局長、
山下大蔵省管財局長、安嶋
文部省会計
課長、原田行
政監察局長と、こういう工合に非常に
わが国においても
最高の方方がぞろっとお並びになっている。ここで私は、皆さんに非常に申し上げにくいことを申し上げなければならないのですが、私は、この問題が
決算委員会で取り上げられなければならないような事態になったということを、私も国
会議員の一人として、あるいは
国民の一人として、非常に悲しむものであります。
それはなぜかと申しますと、少なくとも
東大は、
わが国の
最高学府の第一位にあるわけです。そこの
学長がおられ、あるいはまた、事務
局長等がおられておりながら、こういう法を無視し、そうしてその関係にある
官庁の言うことを全部無視して、これを何というのですか、踏みにじって、そうしてそこに
国有地を
無断でいろいろ
使用し、そこへ
民間人を入れて
ゴルフ場を
施設し、そうしてそこで上がった収益を、税金も納めないで脱税した。こういう工合になりますと、全くこれは常識上判断できないような問題が起こっておる。しかし、あなた方の方で、これに対して、いろいろ聞くところによると、協議をされて、そうして
国有地をもとの姿に戻してうまくやっていく、こうおっしゃるのですから、きょうは詳しい質問をいたしませんが、ただ、ここに川島
長官も来ておられるし、
学長も来ておられますし、
文部大臣も来ておられますから、この
方々は、ここへ
出席なされていないから事情をお知りにならない点があると思うのです。ただ、悪い悪いと言っても、どこが悪いかというような疑点もあろうかと思います。
一体、この
土地というものは、
千葉県の畑町、浪花町、花園町、朝日ケ丘町の所在に関するものであって、約十万坪ある。これを
東京大学が
総合運動場の
施設の目的で、
昭和十四年
千葉市から購入したものである。そのほかに約二千坪は無償で借り入れておる。この右
土地に対しては寄宿舎あるいは学園の実験場などを
施設しておったのですが、予算が非常に不足したために
総合運動場として
施設が進捗しない。そのうちに戦争になった。そこでますます経営が困難になったから、
学生のために食糧難を融和するために野菜を作ってこれを耕作せしめていたが、たまたま同地から草炭すなわち燃料、これが出るということがわかったので、当時燃料の不足のおりからなので、東京都と契約をして草炭を採掘せしめた。このときも、これは国の財産だから、これこそ食糧難、燃料難なのだから、こういうときにはそういう深い契約をしなくても——こういう場合は、今の
ゴルフ場にしたよりはもっと常識的に許すべきことなんですが、そのときでも、ちゃんと
昭和二十年十二月十一日付で東京都の
長官と内田総長が無償貸付の期間の契約をしている。そうしてその契約には、これを掘った
あとは原状に復するようにするということがちゃんと契約になっている。これが二十三年の十二月の末までこの契約をちゃんと実行していた。ところが、都が採炭をする必要がなくなった。そこでこれを中止したのですが、返すときにこの原状に復するには相当骨を折った。しかも、ここに人夫として、おもに韓国人の
人たちが家族とともに約三十世帯、この中にバラックを建て、そうしてこれに居住しておった。その後との
人たちを移転させるのにとても困難な問題があったが、ちゃんとあなたの方と東京都では、契約書に基づいてりっぱにこれを原状に復さした。それまでしたにもかかわらず、今度は財団法人の
東大運動会の申し出によって、
総合運動場としての
施設の寄付を受けることになり、
東大運動会の手によってまず
ゴルフ場を
施設することになった。
国有地を回復さすのに——戦争中燃料不足のときに働いた韓国人の
人たちの家族をみな追っぱらって、そうしてもと
通り回復させるのにとても困難な方法をしながら、それだけ
国有地であるというので正し、いろいろな犠牲を払われた。そのした
あとは、今度は運動会にこれを貸し付けた。運動会は、これらの
施設について経費の負担はもとより、貧弱な財団法人であったので金がない。そこで、特別の資金を集めるために、一応卒業生のそういうところにたよったり、入会金とか、あるいは
ゴルフ場の
使用権等でそういうものをまかなうことにして、今度は、
国有地であるか
ゴルフ場であるかわからぬようにして、そういうことをやった。そうして
ゴルフ場にして相当な権利をとったり、あるいは会費をとったり、
国有地の建物をみな改造したりしてやった。これは非常に法の違反なのです。
この
土地は
国有地であって、
東大は国家の
東大なのです。運動会は一財団法人である。しかも、この
ゴルフ場を借り受けるときに、この法人は力がない、貧弱で金も何もない、いわば
ゴルフ人の貧弱な者が寄り集まってこういうものを便宜上作った。そうして
ゴルフ場を乗っ取るようになった。これに対して、驚いたことに、
会計検査院は、
昭和三十年十月二十四日付で当時の矢内原
大学総長に対して、そういうことをしてもらっちゃ困る、こういう忠告を
大学に対して与えておる。また、
行政管理庁は、
大蔵大臣に対して、
国有財産の適正
使用、
管理について
勧告しておる。あるいはまた
関東財務
局長は、
昭和三十四年十一月五日付で総長に対して善処方を要望しておるが、これに対して文書による
回答は
一つもされておりません。こういうことをしちやならぬといって公文書でいろいろなところから
勧告しておるにもかかわらず、これに対して文書の
回答がない。ただ口頭で当時の岸本管財部長の了解を得て、そうして何とかするというようなことでそのまま放任していた。
そこで、この方法は非常に不当だというので
決算委員会が取り上げた。これは
委員長が
大学にうらみを持ったからでもなく、われわれがあなた方にうらみを持ったわけでもない。私が申し上げるまでもなく、また、皆さんの御存じのように、
国有財産というものは、池田内閣のものでもなければ、
東大のものでもない、大蔵省のものでもない、
国民全部の共有財産である。だから、
国民を代表する国会のこの
委員会において、これを守るために取り上げた。
ところが、取り上げて調べてみると、実に驚く。一体、法を知っておる者、法を教える者、法を教える
最高学府、しかも
文部省あるいは
会計検査院、大蔵省、
行政管理庁も放任したのですが、こういう
方々がおられるのに、こんな方法が行なわれるということは、全く常識上
考えられない。なぜかと申しますと、
大学当局は、財団法人
東大運動会と
大学とは同じものと
考えておるようでありますが、これは違うのです。
東大は国立で、
東大の運動会は単なる一法人にすぎない。法律上の何らの関係もない。従って、
大学が運動会から寄付を受けたと言うけれ
ども、これと交換条件で
土地とか建物とかを無償で貸し付けたり、しかも、運動会はこれをもととして入会金、
使用料を取る何らの根拠もない。全部違反なんです。これは
大学だからいい。ほかの者がやったらうしろに手が回る。のみならず、
東大の運動会は、まず
使用に関する契約を締結しなければならない。たとえば
東大が運動会に貸すとしても——東京都とでさえも、草炭を掘ったらもと
通りにしてくれ、そこに人が住んだら立ちのかせる、こういう契約をしたにかかわらず、運動会は
東大と何の契約もしてない。運動会は契約してないから、権限がない。これが、長年にわたって
国有財産を
使用して、利益を得て、しかも
管理者たる
大学は、これを黙認しておった。これは、
会計検査院長もおられ、しかも財務局の方もおられ、
行政管理庁もこれを監督され、
文部省も
大学に対してはかなり手こずっておられるようだが、こういうときこそ、帝大の総長だってだれだって、
文部大臣なら相当きついのだから、呼びつけて徹底的に調べて——告発でも何でもしたらいい。何もしてない。そうして、しかも将来
大学と運動会がたとい契約をしたとしても、現在の収益は認められぬ。これは無効なんだ。契約してあったとしても、
国有地を使って
ゴルフ場を作って得た収入というものは無効なんだ。にもかかわらず、運動会からの寄付の申込書には、完成後の
使用権設定条件も何もしてない。これはちゃんと運動会から——寄付の申込書にはそういうものをしなければならない。それもしてない。完成後は
大学の
管理に属し、その後においては許可なくしては立ち入ることもできないと、ちゃんと法律によってきまっている。それにもかかわらず、
ゴルフ場使用の目的で各種の
施設を施し、
国有財産を改造しているが、法律というものを無視して、法人も国も同じものとしている。全くめちゃめちゃなことだ。
しかも、ここに不思議に思うのは、寄付の申し出というものは
昭和二十八年の三月十二日、これに対する承諾は三月二十七日である。しかるに、この寄付の申し出より以前にもう運動会は、
国有財産である
大学の
土地建物の中に許可なくして入って、これを改造している。それよりもっと驚くべきことは、運動会はすでに
昭和二十七年十二月十五日に清水
建設に対して、改造その他の工事に着手せしめて、そしてこれが
昭和二十八年四月十日に施行している。そうすると、寄付を申し出て、こういうことをしようではないかといって、あなたの方が承諾されたのは
昭和二十八年の三月二十七日、寄付の申し出があったのは三月十二日、まだそんなものはない二十七年十二月十五日にはもう清水組にこれだけの請負をさしておる。そして二十八年の四月十日にこれが施行しておる。寄付の承諾の日から十四日間で二千三百六十四万円の工事が完成したことに、あなたの方の書類はなっている。それはそうではない。事実は一年前にちゃんと清水組がこういうことをやっているということなんです。こういうようなことを
考えますと、これは
国有財産だとか、あるいは国家だとか法人だとかというものを、全く
一つにしてしまっていろいろなことをやっている。二十七年十二月十五日、寄付の申し込みも何も受けない前に、清水組は入って着工して、これを改造して
ゴルフ場にしてしまった。
最高学府の
大学の監督する所に、国家の財産とも関係のない、国家とも関係ない貧弱な一法人が入って、こういうことをしていいのか悪いのか。しかも、今度あなたの方にそれを
報告するまでの間に三カ月か四カ月ある。それまでに得た収入というものは脱税になっている。この間事務
局長が言っておったが、
文部省の会計の
一つだ、それは全部納めてありますと言ったが、全部調べてみると、
あとでこういう騒ぎが起こったから、納めたことにしてみな一ぺんにやったんだ。税金なんか納めてない。みな脱税だ。しかも、金額もそう小さくない。こういうことになりますと、運動会は一法人、そしてその
土地は
国有地、こういうものを混合してしまって、そして契約書も何もないうちに、一法人が請負師を連れてきて、
土地を改造してしまって、
ゴルフ場にして、金を取って、それを脱税してぽっぽにしている。
大学とか皆さんがおられて、これを放置されたということは、
国民がこれを見ても、目の前に証拠をもって申し上げれば、そうかなと思うが、普通の常識のある人は、新聞に書かれても、そんな非常識なことがあるのかといって本気にしない。そうやって、
会計検査院からも忠告しておりながら、
会計検査院の
課長級の人が喜んで
ゴルフ場に行って
ゴルフを打っているということがあがってきている。
あなたの方で、もとの
国有財産に戻して、学校がこれを有益にお使いになり、
文部省でそれに対して異議がない、こういうようにきまったようなことを政務次官がさっき言っておったが、それならこれ以上申し上げない。私が持っておることを全部申し上げると大へんな問題になります。こういう点を
一つ今後少しお
考えになって、
大学の総長におかれてもお
考えになって——
文部省が力がないから何をしてもいいのだということにならないで——
学生の
自治運動と監督する
官庁の権限はおのずと違っているということは御存じでしょう。また
文部大臣におかれてもそうだ。
東大であろうが、京大であろうが、違反したことがあったら、どんどん摘発して洗うということをなさらないといけない。川島
長官の地元でこんなことが起きたということは、
長官も全く困っておられるようだが、これは重大な問題である。どうか
一つこういうことについて、
官庁の監督権ということも総長は御存じでしょうから、よくそういうことをお認めになって、こういう問題が再び起こらないように申し上げて、私の質問にかえます。