○新谷
政府委員 法務省の経理
部長でございます。お尋ねの訟務費のうちの保証金あるいは登記諸費の供託金利子の問題でございますが、これにつきましてはお説のように毎年
予備費をちょうだいいたしまして、事件の処理をいたしておるわけでございます。
まず、この当初
予算の
状況について申し上げますと、三十一年度六百万でございましたのが、三十二年が九百万、三十三年九百万、三十四年千二百万、三十五年度千八百万とだんだん当初
予算の額は増加いたしております。これは
予算編成時におきまして、なるべくかたく従来の実績を基礎にして
予算を組もうという配慮が実はございまして、たとえば
昭和三十六年度の
予算の編成にあたりましては、
昭和三十五年の年間の途中において私
ども作業にかかるわけでございます。ところが三十五年度の実績というのは、まだその当時出ておりません。三十四年度のがようやくわかっておるという段階におきまして
予算の編成をいたしますために、どうしても二年ばかりさかのぼってとの実績を見ていかざるを得ない。もちろん将来の見通しとしては、ふえるということであればその増加の趨勢も見越しまして、そこに
予算の
要求額をきめて参るわけでありますが、まず第一にそういった事情がございますことと、それから訟務の事件につきましては、事件全体としては年々増加しておりますけれ
ども、この保証金を使いますのは、裁判所の保証金の
決定がございまして、その裁判所からの
決定に基づいて、当事者として国の方が保証金を供託するという
関係になっておる次第であります。ところが、この保証金を支出いたします件数といいますのは、必ずしも増加の趨勢をたどっておるということは申し上げられないのでありまして、具体的に件数で申し上げてみますならば、三十一年度におきましては五十五回保証金の供託の事件がございました。三十二年度は百一回、三十三年度は九十八回、三十四年度は七十回、三十五年度は七十八回、こういうふうに上がったり下がったりするような件数の実情でございます。そこへもって参りまして、この保証金と申しますのは、御
承知のように訴訟の特別性に基づきまして、それぞれの相当と認められる保証金を裁判所が
決定いたすわけであります。極端な例を申し上げますならば、わずか二千円くらいのものもございます反面、大きいものは五百万円に達するような例もございまして、これが年度の途中いつどの
程度のが出るかということは、実は予測が非常に困難でございます。おおむね保証金として供託されます
金額は十万円から三十万円くらいのところが、
通常の状態だろうと
考えられるのでございますけれ
ども、今申し上げますように、高いもの、安いもの、さまざまの形態をとって、そのそれぞれの事件ごとにこの
金額が裁判所で
決定されますために、どうしても
一般の事件の増加のように単価をかけて
予算を積算するということが、非常に困難な実情にございます。供託金の利子につきましても、大体同じようなことが申し上げられる次第でございます。御
承知の
通り、供託たしいまして
——これは弁済供託もございますし、また裁判所の訴訟
関係で保証金の供託もございます。供託されました金が、還付とかあるいは取り戻しの手続によりまして当事者に返って参りますが、長いものになりますと十年くらい据え置かれているものもございます。これは訴訟あるいは法律上の紛争の解決いたしました段階で供託金が払い渡されるものでございますから、どうしてもそういった期間的な見通しというものもなかなかつけがたいものでございます。と同時に、供託金そのものにも
金額の多寡がございまして、どの事件がいつ還付あるいは取り戻しになるかというふうなことも、実は見通しがつかないわけでございます。そういう事情がございますために、保証金にいたしましても、供託金利子にいたしましても、まあ一定の率でこれを算出するということがはなはだ困難でございますために、従来こういう実績を基礎にして、それでも年々増加して参っておるという事実は、これはおおいがたいのでございますので、そういった点も加味いたしまして年々増額はいたしてございますけれ
ども、年度の途中で出て参りますそういう極端な例もございますために、どうしても
予備費をお願いしてこの事件の処理に当たりたい、当たって参った、こういう実情でございます。