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1962-03-22 第40回国会 衆議院 決算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十二日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 鈴木 仙八君    理事 木村 公平君 理事 田中 彰治君    理事 小川 豊明君 理事 勝澤 芳雄君    理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    正示啓次郎君       鈴木 正吾君    田中 榮一君       藤井 勝志君   山口喜久一郎君       久保 三郎君    芳賀  貢君  出席政府委員         検     事         (大臣官房経理         部長)     新谷 正夫君         外務政務次官  川村善八郎君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     佐藤 正二君         外務事務官         (移住局長)  高木 廣一君         大蔵政務次官  天野 公義君         大蔵事務官         (主計局次長) 谷村  裕君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      佐々木達夫君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     今村  讓君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     黒住 忠行君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     三橋 信一君         建 設 技 官         (営繕局長)  川合 貞夫君  委員外出席者         検     事         (大臣官房経理         部主計課長心         得)      安田 道夫君         検     事         (訟務局第一課         長)      武藤 英一君         外務事務官         (国際連合局管         理課長)    太田 正己君         外務事務官         (移住局業務課         長)      高良 民夫君         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      大村 筆雄君         厚生事務官         (公衆衛生局企         画課長)    穴山 徳夫君         厚生事務官         (引揚援護局庶         務課長)    福田 芳助君         海上保安庁次長 吉田善次郎君         運輸事務官         (海上保安庁経         理補給部長)  竹中  薫君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月十六日  委員芳賀貢辞任につき、その補欠として中澤  茂一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中澤茂一辞任につき、その補欠として芳  賀貢君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員久保三郎君及び芳賀貢辞任につき、その  補欠として和田博雄君及び中澤茂一君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員中澤茂一辞任につき、その補欠として芳  賀貢君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員久保田藤麿君、古井喜實君及び和田博雄君  辞任につき、その補欠として正示啓次郎君、田  中榮一君及び久保三郎君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員示啓次郎君及び田中榮一辞任につき、  その補欠として久保田藤麿君及び古井喜實君が  議長指名委員に選任された。   ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件昭和三十五年度一般  会計予備費使用調書(その2)  昭和三十五年度特別会計予備費使用調書(そ  の2)  昭和三十五年度特別会計予算総則第十一条に基  づく使用調書(その2)  昭和三十五年度特別会計予算総則第十二条に基  づく使用調書承諾昭和三十六年度一般会  計求めるの予備費使用調書(その1)  昭和三十六年度特別会計予備費使用調書(そ  の1)  昭和三十六年度特別会計予算総則第十一条に基  づく使用調書  昭和三十六年度特別会計予算総則第十二条に基  づく使用調書      ————◇—————
  2. 木村公平

    木村(公)委員長代理 これより決算委員会開会いたします。  本日、鈴木委員長所用のため出席がおくれますので、委員長指名により私がその職務を行ないます。  昭和三十五年度一般会計予備費使用調書(その2)について承諾を求めるの件外七件を一括して議題といたし、審査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。小川豊明君。
  3. 小川豊明

    小川(豊)委員 予備費審査をする前に、予備費に対する考え方、こういう点を申し上げて、大蔵省見解をお聞きすると同時に、もし私の考えが誤っていたとしたら、これは直さなければならぬと思うわけです。  そこで、国会内でも、予備費審査をするというと、これは往々にして、使ってしまったものを審査したってどうにもならぬじゃないか、こういうことをよくいわれるわけですが、私はそうは思わない。予備費というものは、これは予算の一部であり、国に災害がある、あるいは緊急の事態がある限り、好ましくはないが、やはり必要な費目である。使用の目的がわからないままに総ワクとしてこれを保持して、大蔵大臣がこれを管理して、事態に応じて支出の項目をきめるわけです。従って、予備費そのものには、政策性格もなく、事態が生じて初めて政策となり性格を持つ。であるがゆえに、初めから予備費を大幅に計上するということは、予算編成の上からこれは好ましいことではないではないか、こういう考えを私は持つのですが、これに対してどうであるかということ。そこで、そういう点からいって、通常予算の中に占める予備費計上比率、これは一体何%ぐらいが適当であるか、あなたの方ではどういう見解を持っておられるか、この点をお尋ねするわけです。
  4. 谷村裕

    谷村政府委員 小川委員の御質問の第一点でございますが、もとより、ただいまのお話通り予算の、あるいは財政の問題というものは、これは憲法にも明記してございますように、国の財政を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使するという建前でございまして、これを行政府責任において執行する部分を認めております点は、お説の通り緊急の事態に弾力的に対応するためでございますから、これをいたします際には、十分国会のお考え方等政府としては考えました上でやらなければならないことと思います。従いまして、国会に対して事後承諾を求めるということが——仰せのように、もう使ってしまえばあとはいいじゃないかというようなことであってはもちろんいけませんので、大蔵大臣の管理に属してはおりますが、大蔵大臣といたしましては、十分その使用について慎重を期する必要があると思います。そうしてそのあと国会事後承諾を得るというわけでございますが、もちろんそのためには資料も提出いたし、十分な御審査をいただいて、もしそこでいろいろ御批判を受ければ、それはそれなりの一つの政治的な責任があるわけであります。今日もたくさん各省各庁の方が御質問に備えて見えておりますが、そういうことも、一つ審査に対して十分お答えする意味であろうと思います。  第二点でございますが、予備費についてどの程度のものをどうしておいたらよろしいか、あまりたくさんの予備費をとることは、仰せのように行政府のいわば国会権限に対する侵犯になりますから、そう大きなものもとれないわけでございます。さりとて、あまり少なくても困る、程度がどうだということは、歴史的にいろいろ見るわけでございますが、大体戦前でございますと、一般会計予算のほぼ一%見当のものが予備費でございました。最近の状況を見て参りますと、だいぶ予備費比率が落ちて参りまして、御承知通り昭和二十九年以来八十億という数字で三十五年度予算まで参っております。昭和二十九年度に八十億というのは、ちょうど一兆円予算でございましたからほぼ〇・八%でございましたが、そのままで財政規模がふくらんで参りまして、一兆五千億という数になりましたために、比率は〇・五%くらいまでに落ちておりますが、そこで、大てい災害等が起こりますと、補正もいたしましたが、予備費の追加などもいたしておるような状況でございまして、三十六年度には百億とややふやし、また、三十七年度予算では二百億にお願いいたしておりまして、それで比率はちょうど〇・八%くらいでございます。大体一%くらいのところは予備費として留保しておきませんと、弾力的な執行はできないと思いますが、それ以上多くなることは——適当な辺に限定を設けるべきだと思います。
  5. 小川豊明

    小川(豊)委員 予備費見解については、私の考えておったことと大蔵省見解は一致しておりますが、そこでお尋ねいたしたいのは、通常予算というのは、これは国会の厳密な審査の結果承認されているわけです。ところが予備費は、さっき申し上げたように、政策は持たない、従って性格もないわけですから、総ワクとして、その多寡は論じられるだろうけれども内容は、これは審議するわけにいきません。そこで、予備費通常予算抜け穴になるという危険が考えられるわけです。この出された三十五年度、三十六年度にわたる調書を見ていっても、あとでこれは申し上げますけれども予備費ではなくて当然通常予算に計上されてしかるべきものではないかと思われるものが、予備費によって支出されている点が幾多見受けられるわけです。この点から予備費通常予算抜け穴になってはいけない。ところが、そういう傾向が、全体を見るときに幾多見受けられるのですけれども、あなたの方では、そういう危険というものは感じませんですか。
  6. 谷村裕

    谷村政府委員 一番初めに御質問がありました通りでございまして、決して、予備費性格というものは、今仰せのような意味において使用してはならないことは明白でございます。予見しがたい予算の不足に充てるため、あるいは緊急に生じたことにどうしても対処しなければならないという必要を認めて、行政府責任においてやるわけでございますから、その使用につきましては、厳にわれわれとしても戒めており、また、各省におきましても、乱に流れるような要求はいたしておらないと私ども思っております。
  7. 小川豊明

    小川(豊)委員 その点は後刻お聞きしますが、そこで、よく私ども地方の自治体、あるいは県庁とか市役所等へ行って陳情等を聞いていると、これは予算として計上すると問題が出るから、そのぐらいの金額ならば予備費の方で何とかしよう、こういうことを部長さんや課長さんがよく言っているのを聞くわけです。そういうことは、これは予備費の便乗になるわけですね。予算を編成する場合に、そういう安易な考え方でなく、もっと厳粛な意味予算は編成されるべきだ。予備費がそういうふうに使われていくところに、これも予備費でまかなえるだろう、これも予備費でまかなえるだろうという考え方がもしあったとするならば、これは予算そのものがもはやおかしくなってくる。そういう予算に対するもっと厳粛な考え方というものを持たなければならぬと思う。やはりその点は、さっき地方のことを言いましたが、これを見ても、予備費でまかなうべきものでなく、当然通常予算で編成すべきだ。それで足りなかったら予算補正すればいい。補正をする手間を省く、国会を召集したりなんかする手間を省くために、予備費でまかなっているのではないかと思われる点があるわけです。これに対するあなたの考えはどうなんですか。
  8. 谷村裕

    谷村政府委員 実例はつまびらかにいたしませんが、今小川委員のおっしゃったように、予算ではなかなかむずかしいけれども予備費でやっておけばいいじゃないかというふうな安易な考え方が、予算執行にあたってあるとは私ども考えておりません。私どもといたしましては、予備費の非常にわずかな要求でありましても、これを厳重に審査いたしまして、むしろ厳格過ぎると思われるくらいな厳格な気持予備費使用決定をいたしておるような次第でございます。それは、たとえば補充費途と申しまして、いわば義務的に出さなければ、ならないような、大蔵大臣限りでもって処理できるようなものでございましても、あるいは閣議にまでかけて予備費使用決定をいたすような場合でありましても、いずれも同じように十分に慎重に審査しておるつもりでございます。決しておっしゃるような気持であってはならないと存じます。
  9. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは私はこの席上におけるあなたの答弁としては、それはそれよりほかにないわけで、これはぼくもそう思う。しかし、事実として、あなた自身が腹の中で、こういうものまで予備費で支出するということはどうかと思っているであろうことは、想像にかたくないのだが、しかしまあそれはいい。  そこで、次にお尋ねするのは、財政法では、予備費は、大蔵大臣が、これを管理するとなっています。そして、各省庁から要求された調査に調整を加えて予備費使用書を作成して閣議決定を求めるというのが、財政法三十五条の規定になっています。そこでお尋ねしたいのは、大蔵大臣が所要の調整を加えて予備費使用書を作製したとき予備費使用が可能になるのではなくて、閣議決定で初めてこれは可能になるわけだ、こう思うわけですが、これはその通りですね。
  10. 谷村裕

    谷村政府委員 各省予備費使用要求が出て参りますのに対して、大蔵大臣といたしましては、予備費を管理する立場から、その使用内容を検討し、あらためて閣議予備費使用付議案を作るわけでございます。そして閣議できまりましてその使用決定いたします。もっとも、ただいまの財政法三十五条の三項のただし書きでございますが、あらかじめ閣議決定を得られました特定の使途のものについては、これは大蔵大臣限りで予備費使用決定することができるわけであります。
  11. 小川豊明

    小川(豊)委員 従って、閣議というのは、予備費使用に制限を加え得るわけであるが、同時に各省閣議決定を尊重する義務があるわけです。そうすると、これはこの前の繰り返しになるのだが、昭和二十九年の四月十六日の閣議決定は、国会開会予備費を使ってはならないということで、こういう閣議決定が守られていない。いないのは、今あなたが言った三十五条の三項を適用してそれをやっているだろうと思うのは、大体この要求を見ると、三十五条三項のただし書き規定に基づいて云々という要求がされているところから見れば、それだろうと思うのです。しかし、この中で、国会開会中は予備費使用をしない、してはならないというこの決定は、今度はこの調書を見ると、国会開会中にずいぶん出されている。これは三項の規定というものをあなたの方ではあまりに使い過ぎているのではないか、こう思われますが、どうですか。
  12. 谷村裕

    谷村政府委員 予備費使用につきまして、ただいまおっしゃいました通り昭和二十九年四月十六日閣議決定がございまして、そうして開会中には予備費使用原則としてやらないということはきまっております。ただし、それでは非常に弾力的に実行ができない場合もございますので、例外を設けております。それは御承知と存じます。ただいまお話がございましたのは、いわゆる補充費途と申しますか、財政法三十五条の三項ただし書きによりまして、「予め閣議決定を経て大蔵大臣の指定する経費については、閣議を経ることを必要とせず、大蔵大臣予備費使用書決定することができる。」この部分について国会開会中に使っておるという点であろうかと思います。この義務的と申しますか、御承知かもしれませんが、裁判関係の件数が伸びたために当然必要になってくる経費でありますとか、あるいは義務教育国庫負担金関係でありますとか、いろいろと補充費途部分がきまっておりますが、このようなものにつきましては、国会開会中の場合であると、あるいはそうでない場合もございますけれども予備費使用建前といたしましては、本来予備費でもって迅速に支弁する方が、そうでなくて扱うよりはより適切であろうと判断される経費として、そういうふうに扱っているものと存じます。
  13. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは二十九年四月の閣議決定原則なんです。それで、その原則だけでは困るだろうからというので、緩和条項的なものとして、大蔵大臣云々と入れた。ところが、予備費のこれを見ていくと、その原則が無視されて、この条項だけを適用して、盛んに国会開会中といえども、これは仕方がないだろう、これも当然であろう——僕は当然であろうということを認めるので、認めながらも、なぜそれならばそういう原則を立てたか。そういう緩和条項だけを使っていくことを、少なくとも大蔵省——あなたとしてそういうことはあまりにも僕は緩和条項を使い過ぎるのじゃないか、こういう気がするのです。
  14. 谷村裕

    谷村政府委員 考え方の問題でございますが、おっしゃる通り緩和条項ではございます。そして事業量の増加に伴う経常の経費でありますとか、あるいはその他比較的軽微と認められる経費でありますとか、そういう例外的な扱いとして考えられておりますもののうちに、この三十五条三項のただし書きに属するような経費があるものとわれわれは考えてやっておるわけでございまして、また、さようにいたしますことが、何か非常に不都合な結果を起こしておる、あるいはそういうことはやらずもがなであったというような実体的な内容があれば、御指摘を受ければわれわれといたしましても十分内容を検討いたしますが、さような実体的な意味合いにおいてでなくて、形式的な意味において国会開会中にやるのはよろしくないという御指摘であるとすれば、それは私どもといたしましては、やはりただし書きによる実行閣議決定において例外として規定されているものであり、これに従って扱って差しつかえないと存じます。
  15. 小川豊明

    小川(豊)委員 それはあとで事実に基づいてお聞きしましよう。  そこで、大蔵大臣調書を作製する、そして閣議の了解を得てこれを配賦する、使用後は国会承諾を求める必要がある、これだけのものをこういう理由でこう使ったから承認を得たいというのが順序になるわけです。ところが、この使った金額理由よりも先に、すなわち承諾承認を求める行為である報告書よりも先に決算書をここへ出してきていますね。この理由、根拠はどこにあるか。承認を求める報告書よりも前に決算書が先に出てきています。これはどういうことですか。たとえば、予備費使用について国会承認を求めることを必要とする規定というのは財政法にあるわけです。ところが、三十五年の決算報告書が出されたのは去年の十二月二十七日です。承認を求めてきたのはことしの二月の十三日、承認を求める方が二カ月もおくれているのです。これは無責任というのか、投げやりというのか、あるいは国会軽視というのか、いかにも私には納得のいかない行為で、使うのはおれたちだ、承認してもしなくても、使ってしまったものはどうにもならないじゃないか、こういうような思い上がったみたいな態度というものは、私は是正しなければならぬ。こういう態度官僚独善態度とも言わるべきじゃないか。前回もこの点を私は質問した。そうしたら、あなたの答弁速記録で見ると、そういう改善を加えよという御意見ならば、検討するにやぶさかでない、こういう答弁をしていますが、全くこれはあなた自身が、支配者でもあるかのような態度で、そういう答弁をしているわけです。  それからまた、これを改善する一つの手段として、会期というものが、戦前と違って百五十日もあるのだから、すみやかに承認を求めるということならば、これを二回にわたって報告をすることによって、国会承認をすみやかに求められるのではないか、私はこういう提案をした。ところがあなたは、財政法一つ意見として承りたい、こういう答弁であったわけです。私も私の意見が正しいという自信はない。しかし、問題は、財政法上の手続の問題ではなくて、すみやかに承認を求めなければならないというこの規定からいって、国会に対する軽視の問題というものが出てくるのじゃないか。というのは、承認を求める報告書よりも、使ってしまった決算のあれが二カ月も早く出てきているということは、この規定からいったらまことに前後矛盾した行き方ではないか。だから、この点については、あなたの答弁はこの前そうであったが、私の質問も細密に入ることを留保しておいたわけですが、すでにあれから幾日かたっております。そこで大蔵省は、あのときの私の質問に対してどう態度決定されたのか、このままでいいというお考えなのか、それとも、これは改善する、改めるという態度なのか。改めるとするならばどう改めるかということは、これは私は大へん大きな問題だと思いますので、あれからすでに幾日かたっているわけですから、あなたの方は、ここへきて、ただ聞き流して帰ったわけではないでしょう。だから、どういう検討をされ、どういう態度をおとりになろうとするのか、この点を承りたいわけです。
  16. 谷村裕

    谷村政府委員 小川委員の御質問の点は、要するに一月−三月に属します部分が年を越えまして、次になって決算よりおくれて出てくるという点がはなはだおかしいではないかということでございましょう。ただいまの財政法の三十六条の規定によりますと、「内閣は、予備費を以て支弁した総調書及び各省各庁の調書を次の常会において国会に提出して、その承諾を求めなければならない。」ある年度に属する予備費使用内容というものは、その次の常会において国会に提出して承諾を求めよ、こういう形になっておりますので、今までのやり方は、これの読み方のいかんでございますが、十二月までで一応切りまして、一月一ぱい整理しまして、二月の半ばごろでございますか、ただいま御指摘がありましたような時期に国会にお出ししておる。それじゃ、一−二月分はどうかというと、その次の常会ということで、一年たってしまったあとで出てくる。これでは、はなはだ分割されてしまって、審議に不便を感ずる、かようなお話かと存じます。確かに従来はそういう扱いでやって参っておりましたし、また、格別の御意見をいただかなかったわけでありますが、小川委員からの御指摘もありまして、たとえば、ただいまのこの財政法規定で一−三月に属する部分はまた追っかけて四月初めに締めて、五月半ばごろになりますか、さようなときでもよろしいが、まだ国会会期は若干余しておるからとにかく出せ、そうすればかりに——かりの話でございますが、継続審査というような形になっておっても、その次の常会早々に、決算書よりは先に読めるではないか、かような御意見であろうかと思っております。私、率直に申しまして、従来この規定につきましては、従来の扱い通りでやって参っておりましたが、もしさような御意見国会全体として、あるいは決算委員会全体として、その方がよろしいのだ、そういう方が予備費審査の都合としてはかえって便利であるということでございますれば、さような扱いにこの法律でも、第三項の規定も読めないことはないのではないかというふうに考えております。まあどうしても時期的には四月は整理にかかって、提出は五月になるかと存じますけれども、それからでもよいから出せというような、一般的にさようなお考えであるとすれば、かようなことは一つ扱いとして考えてみようかと、この間も実は帰ってから内部で議論しておったようなわけでございます。
  17. 小川豊明

    小川(豊)委員 そういう答弁でなく、国会でこの二つにまたがって審査しなければならぬ。あなたの方も繁雑なんです。われわれの方もこの点はまさに繁雑なんです。だから、二つのものを二回に出しても、予備費審査というのは、あなたも御承知のように、そんなに時間がかかってやっていることじゃないのです。ですから、それによって国会予備費審査を急速に進めればいい。また、あなたの方では、五月半ばでなければ時間的にできないのだと言う。それはあるいはそうかもしれぬが、これを急いでやっていくなら、国会審査の期間があるなら、予備費がそんなにあなた、十日も二十日もかからなければ審査ができないというほどのことではない。国会がそういうことならばということばかりでなく、あなたの方も、それが便宜不便宜の問題でなく、筋としてその方がいいのではないかということに、あなたの方とわれわれの方の意見が一致しないでやろうといっても、これはできないですよ。だから、あなたの方の考えはどうなんだということを私は聞いていたのです。だから、国会がそうならばそうしますと言う、その点は国会尊重でいいのですが、都合のいいところだけ国会を尊重して、自分の都合の悪い方は国会軽視するなんていうばかなことでなく、これはもっとまじめに考えて、国会審査の点からいって——さっき言ったような私の意見が正しいのだという自信は私にもないのですが、一つの方法としてそういう方法をとり得たらいいではないか、あなたの方でそれ以上にもっと、こうしたらいいというのがあれば、それをあなたの方で出してくるべきだ。ただ聞きっぱなし、あんなことを言ったが、これでまたもう一年ほおかむりしたっていいのだというような態度でなくて、予備費というものは予算の一部なんですから、もっとこの点については国会において審議のしいいようにしてほしい、こういうことです。
  18. 谷村裕

    谷村政府委員 ただいまの点は、従来のやり方では国会軽視したやり方であるというふうにあえて私どもは思っておりません。法律に定められたところに従って、十分国会にすべきことをしておると思います。また逆に、今お話しのような点を採用することが、非常に何か抵抗を感ずるのかと言われますと、別に抵抗は感じません。やればやれることでございます。そこで、結局、従来ともずっとやってきたようなやり方を改める方がよろしいかどうかという点でございまして、われわれは一年分の予備費を整理するのに相当の時間をとりますけれども、三カ月分くらいの予備費の整理であれば、あるいはもっと早く処理できるかもしれません。さようなわけで、そういうふうな扱いにいたしますということは、私の立場としてここでまだ申し上げかねますけれども、さようにした方がよろしいという大方の御意見であれば、私どももさように考えてみたいと思います。
  19. 小川豊明

    小川(豊)委員 くどいようだが、私はもう一ぺんどうしてもあなたの方に言っておかなければならぬのは、少なくとも、予備費審査するというならば、その予備費を使った報告というものが先に出なければならないわけです。請求書よりも領収書が先にくるというのはないはずなんです。決算書が二月も先に出て、そのあと報告書がくるというのは、請求書があとになって領収書が先にきているわけでしょう。商店なら金をとってしまえばそれでいいかもしれないが、国の会計の扱い方として、私はこの点、何ともはや納得いかない。納得いかないが、それじゃどうしたらいいのか。あなたはこれで納得して、これでいいのだというなら別です。しかし、そういうことはないでしょう。これは承認を得たいというものを、会計検査院の決算を経たものが出てくる、そんなあれはないでしょう。これは直す必要があると思います。直す必要があるならどう直したらいいかということを私はお聞きしているのです。しかし、そのことを今あなたが答弁していいとも私は思っておりません。しかし、聞き流しでなく、これはこのままでいけば来年も繰り返す、再来年も繰り返す。だから、こういう矛盾した、本末転倒した行き方というものは、これは改めるべきだと私は思います。だから、この点については、あなたの方も持ち帰ってけっこうだが、国会でもこういう意見があるのだが、この点については検討しようというぐらいのことはあってしかるべきで、ここで答弁のしっぱなしでなく、検討してもらいたい。
  20. 谷村裕

    谷村政府委員 再三申し上げました通り、私どもとしてもさようなことを検討いたしたいと存じます。
  21. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうするとさっきも申し上げたように、あと私は、せっかくおいで下さったようだから、細目にわたっていささかお聞きしたいと思うわけです。しかし、たくさんの方が立っておられるのですが、これは僕が聞いておるのと関係のない人が立っておったって仕方がないのですが、どうします、委員長
  22. 木村公平

    木村(公)委員長代理 ちょっとお待ち下さい。——ちょっと小川君に申し上げますが、あなたの質疑のためにお呼びしておる方々は、外務省、農林省、厚生省、運輸省、労働省、総理府、建設省、大蔵省、郵政省でありますが、この順序でやっていただいたらどうですか。
  23. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは外務省の方からやります。  外務省にお伺いします。これを見ると、三十四年度で国連警察軍コンゴ派遣負担経費一億九千九十一万円というのがあります。これは御承知のように、第十五回の国連総会の採択によって各国の分担金がきまったわけです。それで日本の負担がこうなったということですが、お尋ねしたいのは、各国の分担金の総額は幾らであるかということ、それから各国別の分担金の内訳はどうか。それから日本の分担金の積算基準というものはあるのかないのか、これはどうなんですか。それからもう一つ、共産圏の諸国は分担金を拒否しているということを聞いているが、それと一億九千万というのは関連があるのかどうか。国連のコンゴ派遣経費はそれでも国連としては実質的に赤字だということも聞いているが、実態はどうなのか。そうなってくると、赤字補てん分はさらに追加分担としてかかってくるのではないかという心配がされるわけで、この点はどうか。それから、国連軍の、いわゆる国連警察に各国で派遣した、その国別にその人員はどうなっているのか、日本は幾ら、イギリスは幾ら、何人ずつおるんだ、そしてこの派遣の国々は、実際に自国の負担経費を支出しているのかどうなのか。こういう点をお聞きすると同時に、これによって日本ではどのくらいの人を派遣したのかということがわかってくるわけです。その任務というのは、一体具体的にはどういう任務についたのか、まずその点をお尋ねしたい。
  24. 川村善八郎

    ○川村(善)政府委員 ただいまの小川先生の御質問は、非常に内容が多岐にわたりますので、事務当局から説明させていただきます。
  25. 太田正己

    ○太田説明員 御質問のポイントが非常に多岐にわたりまして、あるいは私お答え落とす点がございましたならば、御注意いただきたいと思います。  御質問の一億九千万円と申しますのは、一九六〇年七月から十二月までのコンゴにおきましての国連の活動に要する経費の分担金でございます。この事の起こりは、御承知のように、一九六〇年、一昨年七月、突然コンゴであのような動乱が起こりまして、そのために国際連合安全保障理事会は、事態収拾のために、事務総長に必要な権限を与えまして、事務総長は、これに基づきまして加盟国に軍隊を現地に派遣するように要請いたしました。  私、所管が国連の財政でございまして、国連の政治問題の方は別の課長になっておりまして、きょうははっきりとその国の名前を全部申し上げることはできかねるのは残念でございますが、二十八カ国から軍隊が出ております。  その軍隊は、一番多いときは二万人近く、約一万五千から二万人くらいの間を動いております。場所がアフリカでございまして、動乱の性質があのような性質でございましたので、事務総長といたしましては、これをなるべくアジア、アフリカの加盟国から出てもらうということで、ほとんど全部がそうでございますが、ヨーロッパ、北米から出ておるのもございます。カナダとアイルランドであったかと承知しております。あとは全部アジア、アフリカの国でございます。一番たくさん出ておりますのはインドで、大体四千人以上、日本はもとより出しておりません。  このお金が全部で大体六千万ドル一九六〇年はかかったのでございます。国際連合の会計年度は暦年でございまして、毎年一月から十二月でございます。それが大体原則になっております。そこで、このときは一種特別会計のようになりましたので、七月から十二月までの間に六千万、ドルかかった、その六千万ドルのうちの千百五十万ドルは、一番最初に一万何千の軍隊を急遽コンゴに派遣いたしましたための飛行機のお金でございます。これではとうてい間に会いませんので、事務総長がいろいろな国に呼びかけて、この飛行機を出してくれということを申しまして、幾つかの——十何カ国であったと記憶いたしますが、国が飛行機を提供いたしまして、一番たくさん出しましたのは米国でございます。このうちの約一千万ドルは米国一国の負担でございます。ソ連も提供いたしました。これらの国は、いずれもこのお金は、国連が一時雇い上げたような形になるわけでございますけれども、自発的に全部の国がこの請求権を放棄いたしました。このお金は払ってもらわぬでもいいということで放棄いたしましたので、六千万ドルから千百五十万ドルを引きました四千八百五十万ドルというお金が残ったわけであります。このお金を国際連合の分担率で分けたわけであります。国際連合の加盟国は、その国の総国民所得を基礎といたしまして分担率というものができております。当時日本の分担率は二・一九%でございます。一番多い国は米国で、大体三割と御承知いただきたいと思いますが、どんな小さな国でも〇・ ○四%は出してもらうという規則になっております。そこで、分けたのでございますが、これも普通のやり方と同じようにその分担率で割りかけたのでございますが、何分にも非常に意外な、どの国も全く予見しがたい事態でございまして、どの国も容易ならぬ財政負担でございますので、国連の総会でみんなの意見がまとまりまして、後進国はさらにその半分をまけてやろうじゃないかということになりました。後進国と申しますか、国連の拡大技術援助計画というものをもらっている国は、大体財政的にもどちらかというと豊かでない方であろうということで、それは半分にしようということになっております。日本はこの援助を受けておりますので、その二・一九%の半分を分担することになっております。四千八百五十万ドルの二・一九%のさらに半分というのがちょうどこの一億九千万円に当たるわけでございます。さてそこでこのお金でございますが、当時国連九十九加盟国のうち七十二の国が半分にしたのでありますが、その差額の金をどうしたかというと、米国一国が拠出してこれを埋めたわけでございます。  そこで、お尋ねの中に、ソ連等はそれを払わないそうであるがという点、ソ連などは主義上払わないということで払っておりません。そこでその分が割りかけられるかというと、ずっと赤字のままで残しておく、ただいまのところそうなっております。赤字の部分を払う国から取り立てるということはただいまのところではできません。従って現在の情勢では、日本に人の払わない分がさらに割りかかってくることはございません。
  26. 小川豊明

    小川(豊)委員 一九六〇年の派遣負担金が一億九千九十万円、そうするとこの六一年に千七百四十八万円ですか、これは負担金の不足を補うとなっておる。この不足を補う経費というのは「国連警察軍コンゴ派遣経費の確定に伴い、わが国の負担金が増加した」、こういう説明になっております。そうすると、去る六〇年のときにはこれが確定したわけではなくて、六〇年の一億九千九十万円確定に伴って千七百四十八万円追加されている。この関係はどうなんですか。
  27. 太田正己

    ○太田説明員 申し上げます。私ども、まことに技術的な困難な点を申し上げますと、国際連合の総会は、御承知通り九月の半ばから十二月の大体終わりまでやるのでございますが、十二月の終わりぎりぎりに大体こういう予算承認されるという慣例になっております。ちょうど政府が出しております予算に間に合わないというのが毎年のことでありまして、私どもその見当をつけなければならない、その見当は十分な資料がございません。国連の事務局に聞いてもわからないわけです。一九六〇年当時におきましては、ただいま申しました秋にございました第十五回総会で、ぎりぎり年末の押し詰まったところでこの数字がきまったわけでございます。これは全額いかなる加盟国も全く予見しておらなかったわけでございます。全く予算にないことでございまして、この払い込みの通知というのが大体一月ごろ毎年国際連合の事務総長から政府あてに、貴国の分担額はこれこれであるから、これを払っていただきたいというのが参りまして、それで確定するわけでございますが、全額なかったわけでございますので、日本は義務費でございますので、全額予備費でお願いした。一九六一年度分につきましては、もはや動乱が始まっておりました。予算の編成のときにこれを予算に組み込まなければならないわけでございますが、何分にも私ども資料がございませんが、あちこちからいろいろ情報を集めまして、一番最初のときには空輸経費を除きまして、毎月八百万ドルかかっておる。そういうようなことから試算いたしまして、大体この辺ではないかというような予算を用意いたしたのでございます。それが昭和三十六年度予算額の三億七千五十四万八千円という額でございますが、これは大体私どもがこの程度ではないかと思って用意いたしておりましたわけでございますので、国連の方では軍隊のお金が意外にかかりまして、三十六年の総会で議決されましたのは、私どもの見積もりよりやや多い額が要るということがきまりまして、一月から十月までの経費として一億ドルというものが必要であるということになりましたので、この一億ドルを先ほど申した二・一九、そのまた日本は半分でございますので、百八万四千六百九十五ドル、円に直しまして三億九千四十九万一千円というものが、日本の昭和三十六年度、一九六一年の分担金であるという通知が参ったのでございますが、これが千九百万ばかり不足するわけでございます。そこで、ほかの流用し得る国際機関の分担金から流用し得るだけ流用いたしまして、どうしても流用し切れない千七百四十八万六千円が不足になりましたので、これをお願いいたした、こういうことでございます。第一回のときには全額全く予想しておりませんでした。そういう事態の発生は予想していなかったのでこういうことになった。その次の昭和三十六年度におきましては、すでにコンゴに動乱がございまして、国連の軍隊が駐兵いたしております。お金がかかることはわかっておりましたが、どのくらいかかるかということを百方調べましても、多少の私どもの見込み違いがございまして、予見し得ざることが起こったので、この差額をお願いした、こういうことでございます。
  28. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると国の経済力に応じて日本は二・一九%を出し、それが一億九千万何がしである、そしてそれに不足を生じたから千七百四十一八万円は六一年度において追加負担をした、こういうことですね。そうすると一つお尋ねしておきたいのは、負担金を要請されても、その負担金に応じなかった国があるからその分を持ったのではない、こういうことに解釈してよろしいわけですね。
  29. 太田正己

    ○太田説明員 その通りでございます。払わない国は、まことに残念ながらございます。いろいろな理由がございまして、主義上払わないという国と、払う意思は十分ありますけれども、会計年度などの都合で今ちょっと出せないという国もございますし、今ちょっと財政難だ、いろいろの場合がございましょうけれども、相当たくさんの国が払っておりませんが、払わない国は全部赤字のままでおきまして、その分をほかの国に転嫁するということは、ただいま国連は絶対できないようになっておりますし、また、国連の側でもする意思はないはずでございます。
  30. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、ここで確認しておきたいのは、説明でわかりましたのは、払わない国があるから国連軍の経費は赤字になっておるが、その分は追って日本にまた負担してくれというようなことはあり得ない、こう解釈してよろしゅうございますね。
  31. 太田正己

    ○太田説明員 その通りでございます。それではついでに、そこまで御質問になっていらっしゃらないと伺いますが、じゃあその赤字をほうり出しておいて国連はどうしておるのかということを申し上げませんと……。国連は非常な準備金をまず第一に持っているわけでございます。二千五百万ドル準備金を持っております。これはどういうわけでこういうお金を持つかと申しますと、全く加盟国の拠出に依存しておる財政でございますが、この加盟国は、すぐ払ってくれといいましても、たとえば日本の場合でございますと、一月に払い込み通知を受けて払ってくれと言われましても、そのお金は一番早くてその次の年の予算につける。四月以降の会計年度でお願いするということが一番すみやかなときでございますから、普通の状態では四月まで払えない。たとえば米国のような国は、七月まで払えないのでございます。そういうようなことがございますので、二千五百万ドル金を持っておりまして、現金がない場合にはそれから引き出して使うけれども、お金が加盟国から入ってくると埋めておくという金がございますが、国連はそれを使っております。これでは全然足りない、これは全部使い切っておるようでございますが、足りませんので、国連は、それ以外に後進国の援助のために毎年一億ドル以上の金を各国から自発的に拠出してもらいまして、その金を預かっておられるのでございますが、その預かっておる金の中に、長期の計画などのために相当な金が——現在遊んでいるわけじゃございませんが、現在国連の手持ちになっている分がございます。これを全部使い果たしております。それから、額その他こまかいことは発表されておりませんけれども、私ども承知いたしておりますのは、国連は市中銀行からですら借り入れておるようでございます。それで補っている。それでも赤字になりますので、先生、新聞で御承知かと思いますが、ただいまウ・タント事務総長は、二億ドルの国連公債を発行することを考えております。これで一応埋めていく。とにかく各加盟国は、自分の分担の額しか払わないでいいことになっております。その中で払わない国と払う国が出て参ります。だからといって払う国に払わない国の分を持たすことはできないようになっておりますから、何としても赤字のままでいくよりない。赤字を埋めるには公債を発行するほかない。こういうような状態で、幸いに公債も相当引き受けが多いようでございます。思ったよりもむしろ相当いいくらいの引き受けがあるようでございますが、そういう非常に困難な財政状況ではございますが、そういうふうにして何とか切り抜けていく見通しは立っておるということを申し上げたいと思います。
  32. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは、今あなたに初めて聞いて、国連が国際緊張を緩和するには大へん大きな役割を果たしていることは私は認めますが、財政的には国連は破産してしまうじゃないかという心配が感じられるわけです。  それはきょうの問題ではないからいいとして、次に外務省に、中南米諸国よりの移民の帰国費として送還者旅費が四千百二十七万円、ドミニカ移民の帰国及び援護費として送還旅費が四千八十四万円、それから移住振興費八百八十一万円計上されているわけですが、この移住振興費八百八十一万円というのは、この海協連に対する補助金は援護費と解釈していいのですか。どうなんですか、これは。そこで、援護費であるならば、送還旅費に四千万かかっていながらこれが八百八十一万というのは、これではとてもどうにもならぬじゃないかという気がするのですが、この点あわせて説明して下さい。   〔木村(公)委員長代理退席、正示   委員長代理着席〕
  33. 高木廣一

    ○高木政府委員 在外邦人の保護救済のために毎年予算をとっております。三十六年度は、われわれ移住関係及びその他一般在外邦人の保護救済費として年三百八十万円いただいておるのですが、三十六年度のドミニカ移住者の引き揚げがございましたり、及びドミニカ移住者以外の地域の在外邦人で保護すべき移住者もございましたので、四千百二十七万六千円予備費の解除をお願いしたのであります。そのうち、ドミニカ移住者が四十七家族、二百四十五名で三千三百五十五万九千円、そのほか、ブラジル、サンパウロから二家族、パラグァイから一家族、ボリビアから一家族、キューバから単身十名、これを合わせまして四千百二十七万六千円でございます。  それから、この保護費の八百八十一万円と申しますのは、ドミニカから特殊事情によって帰りました移住者の上陸後郷里へ帰りますまでの援助費でございまして、見舞金その他宿泊旅費等の援助費といたしまして八百八十一万円予備費から解除をお願いしたわけであります。
  34. 小川豊明

    小川(豊)委員 移住振興費として日本海外協連に補助金が八百八十一万円。そこで私どもはちょっと疑問に思うのは、この連合会、援護のために使われておると思われる金を補助金の形で支出しているのは、これは一体どういうわけなんだ。この八百八十一万円というのは、純然たる補助金だろう。この補助金は援護のために使う補助金だと私は解釈する。そうすると、当然国が援護してやらなければならないにもかかわらず、これを海協連に補助の形で出して、そこで援護措置をとらせるということは一体どいういきさつがあるのですか。  さらに、この八百八十一万円というのは、帰国旅費でさえも四千万円もかかっておるのに、八百八十一万円という少額で、これで一体援助というものが完全にいくのかいかないのか。聞くところによると、ドミニカの帰国者に対しては、一人一万円程度の金でおやりになったという。平均一家族四人として四万円、現在帰国者が八十三家族あったとわれわれは聞いている。今後の引揚者を入れると百三十家族程度にはなるではないか、こういうことを聞いておるわけですが、これはここに予備費で出したのだから、今までの分であって、今後のものは別としても、八百八十一万円という金額は非常に少ないではないか。これで援護の実績を上げることができるのかどうか。何でこれを補助金の形で援護費をやったのかという点と額の点、この二点を伺いたい。
  35. 高木廣一

    ○高木政府委員 八百八十一万円を海外協会連合会の補助費として海外協会から引揚者の援護をせしめます趣旨は、海外移住者に対する海外移住の実務推進機関及び移住者のいろいろの援助は海外協会連合会が実施機関として担当しておりますので、これに対する補助としてやる。外務省が直接にやるものは非常に少のうございます。一応原則としては、海外協会連合会が政府から補助金をもらって移住者に必要ないろいろの補助、援護あるいは推進措置を講ずるということになっておるわけであります。  それから、この金額が非常に少ないじゃないかという第二点でございますが、これは一応百二十家族帰るものといたしまして、ただいま先生が申されましたように、おとな一人一万円、子供五千円のほかに、横浜に上陸いたしました場合の宿泊費及び郷里へ帰りますまでの旅費あるいはその小づかい等といたしまして、大体一家族当たり七万三千円の費用を使うことになっております。これは上陸地から郷里へ落ちつくまでの援護費用でございます。
  36. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはあなたも御承知のように、この委員会でドミニカの帰国者にも来てもらい、またあなた方にも来てもらっていろいろ審査を続けたわけですが、その窮状というものは大へんで、今後の移住政策からいっても、これはやはり援護というものは相当やっておかないと、うかつに外国には出られないぞということになってしまう影響がある。従って、この援護は、いろいろ議論もあろうと思うが、やはりやっておくべきものだ、そういうふうに思う。そういう点をおもんばかったのだろうと思うが、全国の知事会も何か要望をして、あなた方の方へすみやかに援護してくれと何項目かあげて出てきている。私もその文章を見た覚えがある。従ってこの対策というのは、これが完璧を期して日がおくれてしまうよりも、ある程度安心させていくということが、一つの社会問題としても必要ではないか、こう思うのです。そういう点からいって、私はこの額の八百八十一万円は、今後また外務省としてどうするかもあるでしょうが、これで終われりというようなことであってはならない。と同時に、これは今月の末か何か、あなた方の方でもっと対策を立てるというような話があったと思うのだが、すみやかにこの援護対策というものは立てて、今後の移住行政に支障なからしめることが必要であろうということを私はつけ加えて、外務省に対するお尋ねを終わりたいと思います。
  37. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ちょっと関連して。外務省の関係でちょっと関連をしてお尋ねをしたいのですが、これは移住者の送還に必要な経費二つ上がっているわけですけれども、結局移住者の送還がなければこういう経費は上がらない、こういうふうに理解してよろしいのですか。それで、これは三十六年度決算書はまだでき上がっていないのでよくわかりませんけれども、三十六年度決算書との関係で、これは予備費で出ておりますが、これは予備費で出すべきものなのですか、本来、こういうものはあらかじめ予測できるのですか、その辺の点をもうちょっと詳しく御説明願いたいと思います。
  38. 高木廣一

    ○高木政府委員 在外の邦人の保護救済につきまして、毎年この予算をとっておるのです。それがさっき申しましたように、三十六年度は三百八十万円でございましたが、これは引き揚げだけではございませんで、在外における邦人が、あるいは病気になるとか、その他救済を要する場合に、この予算の範囲内でやっているわけなんであります。それから、この三百八十万円と申しましたのは、移住局関係だけではございませんで、在外邦人全部でございますから、あえて南米だけに限定せられないというわけでございます。そういう点で、たとえばブラジルあたりでは非常に邦人が多くて救済を要する場合もずいぶんあるわけで、それをこれで全部カバーするのかというような御疑問もあるかと思いますが、その点はわれわれとしては、原則として、サンパウロあたりでありましたならば、あそこの邦人社会ができる限り援助する、そして日本政府はやむを得ない部分だけ補うんだという形で考えております。さきの八百八十一万円は、これは帰りましてからだけの援助でございます。
  39. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これはちょっと質問がおわかりにならなかったようですが、私の申し上げているのは、この四千百二十七万六千円と、それからそのあとの四千八十四万二千円ですね、この関係で、これは中南米へ行った人が帰ってきた、ドミニカへ行った人が帰ってきた、こういう事態がなければこの経費は必要がない、こういうふうに理解してよろしいのですか。そうしますと、今度は逆に言いますと、移住政策がうまくいっておればこの経費は要らないのだ、こういうことになりますけれども、その点はどうなんですか。
  40. 高木廣一

    ○高木政府委員 簡単に申しますればその通りでございます。ただ、たとえば今の四千百万円の中には、戦前古く行きましたキューバの移住者ですか、海外在留邦人の引き揚げというようなことも考えたわけであります。
  41. 久保三郎

    久保委員 ちょっと外務政務次官に一言。この前ここで、先ほどお話があったドミニカの問題を審議した最後に、三月中にそれぞれ要望される点、問題の点は解決したい、こういう御意向をお漏らしになったわけですが、その後その通りにいっておらないようにわれわれは見るわけです。先ほどの質問にあったように、知事会からも相当具体的な要望事項が外務省に出ていると思うのでありますが、これらについてもう少し何か的確な措置というものをとってほしいと思うのですが、どうですか。
  42. 川村善八郎

    ○川村(善)政府委員 去る三月の三日に当委員会から要望事項が四つ出ております。これらに対しては、いずれもこれは妥当なものと判断をいたしまして、ただいま鋭意検討中でございますので、近くその案ができ上がろうかと存じます。従って私は、当委員会のお約束はこれを実行したいと考えて鋭意努力をしておるような次第でございます。
  43. 久保三郎

    久保委員 高木移住局長にお尋ねいたしますが、先般もドミニカからの引揚者というか帰還者が、どうも思うようではないというような意向を漏らしているのでありまして、その点について非常に不安に思っていると思うし——誠意のほどはわかるわけでありますが、先ほども話があったように、どうも非常におそいのではなかろうかとわれわれは思っている。こういう点についてどうなんですか。具体的に進めておりますか。
  44. 高木廣一

    ○高木政府委員 援護の方は進めております。たとえば就職なんかも、その後相当の就職数がふえております。それから、生活保護法適用等もふえております。それから、住宅につきましては、この前も申しましたように、三十七年度の予算からということになって、一部余裕がある場合に三十六年度の予算でということで、神奈川県の篠原さんでございましたかの場合は、三十六年度予算一つ適用しようということで具体的のラインに乗っておりましたが、最後の瞬間になりまして、三十六年度ではどうしてもだめだ、三十七年度まで待ってくれというようなこともございました。それで、結局、われわれの方といたしましては、県及び地方海外協会に、積極的に移住者の方にその更生を呼びかけて、更生計画についての相談にあずかるということでやっております。  なお、関係省寄りまして、移住者に対する補償という形でなくて、できる限りの援助措置は、現在講じております措置を進行せしめるだけでなくて、もしそれ以上のことがあればやろうということで、せっかく協議しております。  また、この前もお話のありました国民金融公庫の融資につきましても、保証の問題でまだ解決しておりませんが、この保証人の問題を何とか移住者に有利な方に解決したいと思って、せっかく話を進めておるという状況でございます。
  45. 小川豊明

    小川(豊)委員 きょうは二時から本会議があるので私も急いで、せっかくおいで下さっておるのですからお聞きしますが、答弁もなるべく簡単でけっこうです。  それでは厚生省にお願いします。  厚生省のソ連地域日本人墓地訪問等に必要な経費というのが六百六十万ばかり計上されております。ソ連邦訪問の際に使用した航空機航空運賃で、聞くところによると、航空運賃については不用額を出しているという話だが、航空運賃については不用額を出しているのかいないのか。出しているとすればそれはその間のどういう事情によるものか。初めから幾らということで契約しておるので、必要額は出るかもしれないが、不用額が出るとは思えない。これは一体どういうわけか。
  46. 今村讓

    ○今村政府委員 お答え申し上げます。  先ほど御指摘のように、総額六百六十四万一千円、それと使用済み額が四百五十万円で二百十四万一千円の不用額を出したわけであります。このうち二百十三万七千円というのが外国旅費の不用額でございます。この大きなのは、日本からハバロフスクまで参ります行きが全日空、帰りが日本航空、これは非常に意義のあることでありますので、無料で奉仕したいという要望がございまして、初めからただということで大蔵省要求はしておりません。航空賃で二百十三万七千円という大量の不用額を出しましたのは、最初話がありましたときに、ハバロフスクからチタまでの航空機のチャーター料が、代表部の話では、二機で一万ドル、三百六十万円という話でございましたので、大蔵省に事情を申し上げて一万ドルもらったわけであります。ところが、その後、出発直前になりますが、ソ連のインツーリスト、これは交通公社みたいなものだと思いますが、そこの日本の代理店である交通公社にもう一ぺん厳重に調べてくれということを申し上げましたら、交通公社に対してソ連の方から、チャーター料は二機で四千四百ドルでよろしい、従って、これが百五十九万一千九百二十円ということで、予備費決定が一万ドルできまっておりましたので、その一万ドル、三百六十万円と百五十九万一千円の差で、二百万ちょっとこす残が出たわけでございます。事前にもっと詰めればよかったのでありますけれども、最初の一万ドルということで大蔵省と話がついたあとの変更でございますので、そういうことになった次第であります。
  47. 小川豊明

    小川(豊)委員 私はこの点と関連して日ソの航空協定についてお尋ねしたいと思うのですが、それをお聞きしている時間がないので、最も疑問に思う点をお尋ねするわけです。行きは全日空、帰りは日本航空機だ、こういうやり方は一体なぜなのか。こういった疑問はだれしも持つと思うのです。私もそういう疑問を持った。これは聞くところによると、航空会社の航路合戦に遺族を利用した、こういう批判さえあるわけです。この企画は、あなたの方の企画でもなければどこの企画でもなくて、航空会社の企画であったということさえいわれておるのです。そこで私は、行きに全日空を使って帰りは日本航空を使う、こんな使い方というのはちょっと納得がいかない。これはどういうわけでこういう二つの会社をお使いになったのか。これは航路合戦に遺族を利用したといううわさがあるが、どうなんですか。
  48. 福田芳助

    ○福田説明員 無償提供飛行機の航空会社の決定につきましては、厚生省、運輸省、外務省の三省で協議してきめたわけでありますが、その決定に至る事情を了解していただく御参考に申し上げますと、ソ連墓参の許可がありました際に、全日本空輸からいち早く航空機の往復無償提供の申し入れがあったわけであります。これに引き続きまして日航からも無償提供の申し入れがありました。そういった事情におきまして、私の方の厚生省としましては、航空行政を担当していただております運輸省の方に主としてきめていただく——もちろん三省協議でありますが、実際上は主として運輸省の方でそのどららを先に使うかといったような点をきめていただいたような実情でございます。
  49. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は、ソ連に遺族が墓参をするということは、もっと厳密に考えてやらなければいかぬと思っておる。ここでこの話を聞いて私が不愉快に思ったのは、航空機会社のいわゆる航路合戦に——今聞くと、三省で協議した。それじゃあなたのところばかりじゃなく、三省が航路合戦に利用されたのではないかということなんです。往復全日本空輸が出すというならそれでいいじゃないですか。何も二つが、送っていってからで帰ってきた、また迎えに行くというような繁雑なことをしなくともいいのです。これはただだから文句がない。金を払ってやったとしたら、こんなばかげたことをなぜやるんだということになってくる。そこにこの企画は厚生省の企画ではなくして航空会社の企画でこういうことになったのだといううわさがもっぱら出ておる。これはもう行ってきたことで、行ってお参りしてくることに対しては、私は非常にけいこうだと思いますが、そういうような航空会社に乗じられるようなことではいけない。今後おやりになるなら、もっとこの点についてはあなた方の方も慎重な態度で臨むべきじゃないか、こう思うわけです。  次に、原爆障害者医療費の不足を補うために必要な経費、原爆障害対策費として二億九千八百万円計上されておるわけです。終戦後十五年余りもたった今日、被爆者の数は具体的に把握できていないのじゃないか、こういう疑問を持つわけです。昭和三十二年の法改正以後、医療給付を受けるものが増加したということは、この点から言って計画性の欠如ということにいわれるのではないか。三十五年度、三十六年度における予定の受付者と実際の受給状況とは一体どうなっておるか。三十五年度には増は三万九千人、三十六年度には増は七万四千人、予定が十六万三千人、それに対して二十三万七千人、こういうことに数字はなっているわけです。これはあなたの方でこの実態というものを把握してない結果はこうなるのではないかと思うが、これはどういうことなんですか。
  50. 今村讓

    ○今村政府委員 お答え申し上げます。実際原爆にかかった人数というのは、非常に把握がむずかしいのでございますが、昭和三十五年五月一日の国勢調査のときの附帯調査として総理府に頼みまして調べましたのが、総数二十九万一千九十二名、こういうふうな数字になっております。ところが三十六年三月三十一日現在における、いわゆる原爆法の適用の手帳をもらっておる人が二十三万五千百八十九名ということで、厚生省の統計によりまして、手続をまだとってないのが五万七千人という数字がございます。これはいろいろ手を尽くして調べておるのでありますけれども、三つくらい原因が考えられると思います。  一つは、非常に頑健で、私はそういう必要がないというような人がおるかもしれない。それから社会保険の適用者本人でありまして、これは全額見てもらえるということで、手帳をもらわぬでもけっこうだというような人があるようでございます。それからもう一つは、非常に申しにくいのでありますが、原爆を受けたと言いますと、会社、工場で、お前は原爆だ、それじゃいつ出るかわからぬから雇用しないというふうな動きもあるんだそうでございまして、やはり隠しておるというところがあるようでございます。これは人命に関するものでありますから、極力督励をいたしまして、手帳をもらい、精密検査をやるという指導をやっておりますが、何しろ強制ではございませんので、そこで五万七千人の差がありまして、二十三万五千というのを現在つかまえておるという状況でございます。  それから三十五年八月一日に国会の御決定によりまして、ほんとうの肝臓機能障害とか白血病とかいうふうな、いわゆる原爆疾病以外にも、爆心地二キロ以内にいたというものは多少なりとも原爆を受けておるので、関連疾病の医療費を国が持つという制度を作れということでございましたが、三十五年度の予算にはこの関連疾病というものが一体どの程度出るものか、どの範囲まで広がるものかというふうな具体的な数字が予算のときにきまりませんでしたので、とりあえず、割合に低目でありましたけれども、三十五年度の予算に入れていただいた。三十六年度の予算の掌握は十二月まででございますけれども、三十五年八月からすぐにPRがききませんで、関連疾病患者というものはどんどん出てこない。出て参りましたのが十二月、一月、二月、その辺からいい制度があるというのでどっと出てきたという事情でございまして、やはり最初の把握、いわゆる推定というのはできませんので、予算面から見ますと、医療費がどんどんふえておる、こういうふうな実態だろうと思います。それで三十六年度につきましては、三十五年の推定通りに行きましたもので一応組みまして、それでほんとうにこれが普及されてどんどん患者が出るということならば、補正をいただくという話し合いで出発したのでありますが、二億九千何百万というふうに本予算を上回るような予備費をいただいた、こういうふうな事情でございます。
  51. 小川豊明

    小川(豊)委員 了解。厚生省の方はけっこうです。
  52. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 ほかの委員の方はよろしゅうございますか。
  53. 小川豊明

    小川(豊)委員 法務省は見えておりますか。来ていなければ、法務省はあとにしましょう。   〔正示委員長代理退席、木村(公)   委員長代理着席〕  オリンピックの東京大会実施準備経費一億一千三百五十四万円。このオリンピックの東京大会に備えて米軍からワシントンハイツ、リンカーンセンターの住宅地区の代替施設建設のために三十六年十二月八日の閣議決定により使用決定された、こうなっております。そうすると、代替地はどこですか。代替地の建設費はどのくらいか。代替地の完成の見通しはいつか。この二つの住宅地区の返還の見通しはいつか。これに対して調達庁との関係はどうなっておるか。この点を説明していただきたい。
  54. 川合貞夫

    ○川合(貞)政府委員 米軍施設の代替予定地は、調布の水耕農園跡でございます。  次に米軍の代替施設の総工事費は、全施設の移転をやりますと、約百二億円かかります。  全施設の代替施設の完成は、来年の九月を予定しておりまして、十一月までに米事か移転を完了するように打ち合わせ済みでございます。
  55. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、その百二億というのは、こちらの要望によって向こうが変わるんだから、日本側で持たなければならぬようになりますか、どうなりますか。
  56. 川合貞夫

    ○川合(貞)政府委員 日本側で代替地の建設費は持つことになります。
  57. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると来年の九月完成の見通しだということですから、すでに建設にかかっているものと思われますが、この予算はすでに通常予算としてとられてあるわけですか。
  58. 川合貞夫

    ○川合(貞)政府委員 すでに設計の大部分を終わりまして、特に急ぐ部分につきましては、年度内発注の予定で、目下現場説明が済んだ程度でございまして、二、三日じゅうに決定し、工事に着工する予定でございます。予算につきましては、予備費一億一千三百余万円によりまして、設計、調査、その他事務費に充てておりますが、さらに第二次補正予算八億八千八百万円によりまして、第一期工事の発注をいたすことになっております。三十七年度予算は約六十七億計上されるものと予定しております。
  59. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはそうすると、補正予算でいく、こういうことですね、了解しました。  それから、これに対して調達庁の関係はどうなりますか。
  60. 川合貞夫

    ○川合(貞)政府委員 総理府に連絡協議会がありまして、そこで敷地、たとえばただいま申し上げました調布の水耕農園の返還問題とか移転問題その他につきまして、共同作業をやっております。
  61. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは大蔵省の方にお聞きしますが、この代替地に対する建設費が百二億、所要経費百二億、こうなりますが、これはまさか予備費から出ないでしょうね。そうすると、予算補正するわけですな。どういうふうにやるのですか。
  62. 谷村裕

    谷村政府委員 今建設省の政府委員から御答弁がありましたように、この予備費とそれから三十六年度補正で八億八千万、これがすでについた予算であり、それから現に提案しております予算、三十七年度予算では、今お話が出ましたように六十七億予算を計上してございます。これはもうしばらくすると、成立すれば、三十七年度予算に六十七億というわけでございます。残余は、これは工事の進捗状況を見てさような区切りをしたわけでございますが、三十八年度予算に計上するつもりでございます。
  63. 小川豊明

    小川(豊)委員 建設省にお聞きするのはこれ一点だけですから、ほかの委員が関連があったら……。
  64. 西村力弥

    ○西村(力)委員 三十六年度の国土地理院の四百九万二千円、これは非常に小さい額ですが、これは地図の印刷を増した、需要が増加したためにこうやっておるのだ、こうありますが、これは有償頒布じゃないですか。有償頒布であって、予備費支出をしなければならぬということは、どういうことかということですね。  それから、こういう地図が、どこからそういう需要が増してきたのかということです。
  65. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  三十六年度に国土地理院で、ただいま御指摘予備費をお願いしたわけでございます。これは通常地図の印刷につきまして予算を組みます際には、普通の年度でございますと、五%ないし六%の伸びがあるものということで、翌年度の予算をお願いしているわけでございます。ところが、この三十六年度におきまして、ちょうど十月にこの結果を締めてみましたところが、約一六%の増加になっておりまして、通常の年よりは非常に伸びておった。それで、これが何に原因するかということでいろいろ調べてみますと、やはり最近山登りその他で非常に地図がよく売れてきたということが一つでございます。それからもう一つ、これは文部省との関係になりますが、中学校の教材として国土地理院発行の地図を使うのだということになりまして、従いまして、ただいまのような伸び方で、地図にも何面も——大てい二万五千あるいは五万の地図でございますが、これに虫食いのように足りないところが出てきた。そういうようなことで、売れ行きが非常に多い。さらには、新学期の四月の学校の教材に間に合うように準備しなければいかぬというような事態がございました。ところが、地図を印刷いたします際には、紙をすかせましたりあるいはできておるものは買ったりいたしますが、これの養生と申しますか、印刷にかけますまでに二、三カ月さらしておかなくちゃいかぬというような事態もございますので、そこでこの予備費をお願いいたしまして、四月の、特に新学期に備えておくというのが実情でございます。  そこで、第二のお尋ねでございますが、有償頒布であるが、その関係はどうかという点でございます。この有償頒布につきましては、地図を主として販売いたしております会社がございます。そこへ国土地理院からおろしておるというような格好でございまして、それの上がりは全部歳入に入ってしまいます。従って、地図の紙を買い、あるいは印刷をするという金につきましては、これは予備費をいただかないと四月に対処しきれないというのが実情でございます。
  66. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それから、米軍の要請に基づくいろいろな印刷もやっておると思うのですが、そういう関係はどうですか。
  67. 三橋信一

    ○三橋政府委員 米軍からの要請に基づきまして、若干の地図の印刷をいたしております。これとただいまの予備費とは別でございまして、ただいまのお願いいたしました予備費は、普通の市販されております二万五千あるいは五万という関係でございます。
  68. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その多少要請に基づいてやっておるということは、これはどのくらいであるか、どういう地図であるか。これは機密に属してここで話すことはできませんか。
  69. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申します。米軍から頼まれてやっておりますものは、日本の普通の地図を英語に直した、その程度が日本の普通の地図と違う点でございまして、あとは国土地理院では、そういう特別の地図を作っておるというような格好にはなっておりません。
  70. 木村公平

    木村(公)委員長代理 建設省はよろしいですか。——それでは建設省お帰り下さい。  それでは法務省。小川豊明君。
  71. 小川豊明

    小川(豊)委員 法務省の方にちょっとお聞きします。これは三十五年度の十一ページ、十二ページにありますが、訟務費の不足を補うために必要な経費が二百六十四万九千円、それから登記諸費の不足を補うために必要な経費が六千二百三十一万七千円、それから同時に三十六年度、これは七十九ページにありますが、訟務費の不足を補うため必要な経費が一千百万円。ところが、項、訟務費の中の目、保証金、項、登記諸費の目、庁費、この昭和三十年度以降五カ年間の予備費支出状況というのを見ると、これは全く同じ額程度予備費が組まれているわけです。本予算が毎年不足しているということです。これを表で見ると、昭和三十年度には予算歳出額は三千二百六十万円であって、予備費使用額が二百六十二万七千円で、合わせて支出済みの歳出額は従って三千五百万云々となるわけです。ところが、三十一年度には、これに対してやはり幾らも変わらない、歳出予算額で三千二百九十万を要求して、そうして予備費は千二百五十万幾ら使っている。だからこの点では、合計は四千五百万だ。四千五百万になっているのだから、これを考えていけばいいのに、そうでなくて、年々歳出予算ではそう変わらない、幾らかずつふえてはいるけれども、そう変わらない。予備費というものは、例年のように予備費が使われていっている。こういう形が出てきている。従って私は、この場合にはなぜ一体歳出予算としてそういう必要な経費——これは私は三十年から三十五年までを調べたわけですが、それならばなぜ一体こういうのは歳出予算として初めから計上しないのか。これは予備費をもってこれに充てるものという頭でやっているからこういうことになるのではないか。  それから訟務費の保証金を見ても、この点はやはり三十年から三十五年をとってみると、三十一年には六百万の予算額に対して百五十万の予備費を使っている。だから、これは合計しては七百五十万になっているのだから、これと見合って要求して編成していけばいいのに、やはり六百万を要求して、今度は予備費で九百万使っている。千五百万だ。こういう形がとられているわけです。これは部長、よくわかるでしょう。これは一体なぜ予備費というものをこういう形にしていくのか。予備費というのは、冒頭に申し上げたように緊急な事態に対するものか、それでなければ義務的な経費だ。ところがこれは義務的とは言えると思うんですけれども、こういう配慮は——しかも毎年不用額を出しているのを見てごらんなさい。それならばこういう点は、予算要求し、編成するときにもっと考慮が払われるならば、こういう形はとられなくても済むのじゃないか。こう思うんです。この点について説明して下さい。
  72. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 法務省の経理部長でございます。お尋ねの訟務費のうちの保証金あるいは登記諸費の供託金利子の問題でございますが、これにつきましてはお説のように毎年予備費をちょうだいいたしまして、事件の処理をいたしておるわけでございます。  まず、この当初予算状況について申し上げますと、三十一年度六百万でございましたのが、三十二年が九百万、三十三年九百万、三十四年千二百万、三十五年度千八百万とだんだん当初予算の額は増加いたしております。これは予算編成時におきまして、なるべくかたく従来の実績を基礎にして予算を組もうという配慮が実はございまして、たとえば昭和三十六年度の予算の編成にあたりましては、昭和三十五年の年間の途中において私ども作業にかかるわけでございます。ところが三十五年度の実績というのは、まだその当時出ておりません。三十四年度のがようやくわかっておるという段階におきまして予算の編成をいたしますために、どうしても二年ばかりさかのぼってとの実績を見ていかざるを得ない。もちろん将来の見通しとしては、ふえるということであればその増加の趨勢も見越しまして、そこに予算要求額をきめて参るわけでありますが、まず第一にそういった事情がございますことと、それから訟務の事件につきましては、事件全体としては年々増加しておりますけれども、この保証金を使いますのは、裁判所の保証金の決定がございまして、その裁判所からの決定に基づいて、当事者として国の方が保証金を供託するという関係になっておる次第であります。ところが、この保証金を支出いたします件数といいますのは、必ずしも増加の趨勢をたどっておるということは申し上げられないのでありまして、具体的に件数で申し上げてみますならば、三十一年度におきましては五十五回保証金の供託の事件がございました。三十二年度は百一回、三十三年度は九十八回、三十四年度は七十回、三十五年度は七十八回、こういうふうに上がったり下がったりするような件数の実情でございます。そこへもって参りまして、この保証金と申しますのは、御承知のように訴訟の特別性に基づきまして、それぞれの相当と認められる保証金を裁判所が決定いたすわけであります。極端な例を申し上げますならば、わずか二千円くらいのものもございます反面、大きいものは五百万円に達するような例もございまして、これが年度の途中いつどの程度のが出るかということは、実は予測が非常に困難でございます。おおむね保証金として供託されます金額は十万円から三十万円くらいのところが、通常の状態だろうと考えられるのでございますけれども、今申し上げますように、高いもの、安いもの、さまざまの形態をとって、そのそれぞれの事件ごとにこの金額が裁判所で決定されますために、どうしても一般の事件の増加のように単価をかけて予算を積算するということが、非常に困難な実情にございます。供託金の利子につきましても、大体同じようなことが申し上げられる次第でございます。御承知通り、供託たしいまして——これは弁済供託もございますし、また裁判所の訴訟関係で保証金の供託もございます。供託されました金が、還付とかあるいは取り戻しの手続によりまして当事者に返って参りますが、長いものになりますと十年くらい据え置かれているものもございます。これは訴訟あるいは法律上の紛争の解決いたしました段階で供託金が払い渡されるものでございますから、どうしてもそういった期間的な見通しというものもなかなかつけがたいものでございます。と同時に、供託金そのものにも金額の多寡がございまして、どの事件がいつ還付あるいは取り戻しになるかというふうなことも、実は見通しがつかないわけでございます。そういう事情がございますために、保証金にいたしましても、供託金利子にいたしましても、まあ一定の率でこれを算出するということがはなはだ困難でございますために、従来こういう実績を基礎にして、それでも年々増加して参っておるという事実は、これはおおいがたいのでございますので、そういった点も加味いたしまして年々増額はいたしてございますけれども、年度の途中で出て参りますそういう極端な例もございますために、どうしても予備費をお願いしてこの事件の処理に当たりたい、当たって参った、こういう実情でございます。
  73. 小川豊明

    小川(豊)委員 説明によって件数が不同であるということはわかります。しかし、支出されている金額を見ていくと、これは年々増加していく。支出済みの金額が、三十二年度の六千百万円に対して三十三年度は五千五百万と一つ減少しているのがありますが、あとはみなふえているのですよ。ずっとふえていく傾向がある。ですから、私ども考え方からいうと、三十年度なら三十年度の支出済み額は三千五百万あったとするならば、これに大体見合ったものを編成していけば、こう予備費——これは予備費があることを初めから予定して、予備費におんぶしていくから、これはまかなっていけるんだということになってくると思う。もう少し前々年度の予算予備費を合算して予算編成考えるならば、毎年毎年予備費を組む必要というものは少なくなるのではないか。最初から不足額の予算編成を行なっているということは、渡し切り費と同じような問題になってきてしまうのではないか。予備費の本質、目的から、これは逸脱していくんじゃないか。これは極端な言い方かもしれませんが、これはまさに経常費としてもっと通常予算の編成にあたって配慮をしていくならば、こういう結果というものは生じないで済むのではないか、こう思うのです。あなたの方から言えば、訴訟だからいつ出るかわからない。従って金額も不同だ。やむを得ないから幾らかはくっつけておくんだというのは、これは目安でくっつけておくだけだ。それならば、その要求する根拠というものは、通常予算と使った予備費と合算したものくらいは要求されてきていいじゃないか。それでも不足を生じた場合に、予備費を使うということはあり得る。幾らかは本予算でふえているけれども、あなたの方では、初めから足らないのを見越しているような、いわゆる予備費におんぶしたような形というものが見受けられる。これに対してはもっと要求すべきじゃないかというのが、私の意見です。  次に、検察費の不足を補う経費として、六千五百七十一万円、これは選挙取り締まりの検察旅費であるわけです。ところが、この六千五百七十一万円のうちで、庁費が四千三百六十三万ある。そうすると、取り締まり検察旅費とかいうものは、これはきわめて少なくなってしまっているんじゃないか。この四千三百六十万というのは、一体どういうように庁費として使われているか。どういう目的で、どういうふうに支出をされているのか。この点を伺いたい。
  74. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 検察費の予備費につきましては、その大部分が道路交通違反の事件の激増に伴うものでございまして、ただいま御指摘の庁費の使用実績が非常にふえておるとおっしゃいますのも、実は道路交通違反事件の検察庁における処理のためのいろいろの用紙等を購入する経費に充てられておるのございます。
  75. 小川豊明

    小川(豊)委員 六千五百七十一万のうち、旅費等をとって四千三百万というのが庁費になっておるのですが、今の説明でいくと、それは道路交通違反が多くなってきたから、用紙等を購入する経費だと言うが、もう少し詳細な説明をしてくれませんか。どうも私はふに落ちないのですよ。用紙を買うのが庁費なんですか。支出の細目にわたって説明して下さい。
  76. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 それではさらにもう少し道路交通違反事件の実情について詳しく申し上げてみたいと思います……。
  77. 小川豊明

    小川(豊)委員 道路交通違反ではなくて、庁費というものがどういうように使われておるか。四千万の内訳ですよ。
  78. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 庁費と申しますのは、警察から送致されて参ります事件をさらに検察庁で調べるわけでございますが、それに要する調書の用紙、あるいはまた、それに関連しまして、事件処理をするためにいろいろの用紙が必要になるわけであります。そういった用紙類の購入に主として充てられておるわけであります……。(「四千三百六十万の庁費の内訳をやってくれ」と呼ぶ者あり)  庁費の内訳を科目的に申し上げますと、消耗品あるいは文具費、通信、運搬費、そういう内容になっております。その内訳の金額は、きょうちょっと持ち合わせておりませんので申し上げることができませんが、おおむねそういった道交違反事件処理のために充てられておるわけであります。
  79. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは予備費なんです。通常予算ならわからないわけではないが、予備費で四千三百六十万という金が使われておるのです。そしてそれは庁費となっていて、今説明を聞くと、大体紙を買ったということなんです。これが私どもには納得いかない。きょう予備費審査のためにあなた方ここへおいで下さることで——しかも、法務省というのはそんなにないのです。ですから、そのくらいの説明のできる資料は、お持ちになるのが当然ではないかと思うのです。お持ちにならないとすればこれは仕方がありませんが、法務省としてのあれは幾つもないのです。その中に出ている問題ですから、あなたの方でその資料をお持ちになるのが当然ではないですか。しかし、きょうそれだからといって、あとで出すほどのものでもないと思いますが……。
  80. 木村公平

    木村(公)委員長代理 そこでちょっと委員長から一言申し上げますが、今小川委員からの質疑の根本の考え方は、予備費というものは、予見しがたいもの、あるいは緊急性の非常にあるものというものを予備費でまかなうというのが原則論です。しかるに、あなたの方は、予備費というものを、検察庁の予備費として四千数百万円の金を計上しておきながら、それは道交法のために消耗品その他の用紙等が主として要るから、それだけの予備費というものを計上せざるを得なかったという御答弁なんです、結論は。しかしながら、小川委員から反論があったのは、そういう莫大な、検察庁の費用としては莫大な費用が、単に予備費として簡単に計上されるということは、どうも納得がいかないじゃないか。だから、もう少し四千数百万円の内容を緻密に、何に幾ら使ったんだ、それから夜勤のためにうどんを食ったとか、あるいは夜勤手当をもらったとかいう費用も入っておるかもしれぬ。そういうような費用を、ここで国民代表である小川委員の前に明確にされることは、あなた方の義務だと思いますので、もう少し詳しい資料をお出しになったらいかがですか。
  81. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 先ほど申し上げましたように、内訳についての資料をただいま持ち合わせておりませんために、こまかいお答えができませんので、まことに遺憾に存じますが、ただいま申し上げましたように、道路交通違反事件の増加に伴いまして、従来の庁費の一件当たりの単価というものが、当初予算できまっております。それを基礎にいたしまして——道路交通違反事件の伸びが非常に大きいものでございますから、当初予定いたしておりました件数の約三七%くらいが、年間に道路交通違反事件の増加として現われています。これはいろいろ取り締まり対策その他の関係で、事件の伸びが特別に出たものと考えられるのでございますが、その伸び率を当初の庁費の一件当たりの単価に掛けて算出いたしましたものが、この予備費金額になるわけであります。内訳はどうかとおっしゃいますと、どうも今まことに申しわけございませんけれども、ここでこまかい内訳は申し上げられませんけれども、事件を処理するために、検察庁としましては、調書をとったり、あるいは通信、運搬費に相当の金がかかるわけでございまして、そういったことに充てられておるのがその内容でございます。後刻その内訳を別に資料として差し上げることにいたしたいと思います。
  82. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は方は、金の多寡をそう議論をしようと思っているのではなくて、たとえばこういう交通違反なり交通事故というものは、突然ぽこっと出てくるものではなくて、年々増加していくわけですね。それは年によって非常に急速にあれしていくこともあるでしょう。けれども、そういう点は、私の言いたいのは、予備費でやろう、予備費でやれるだろうという考え方でなくて、必要だと思う経費というものは要求しておくべきだという建前に立っていくと、こういう交通違反が多くなったから、四千万は予備費でやったんだということになって、多くなることはわかっておるのですから、もっと要求して、通常予算として認めるということなら、これによって信用できるのです。予備費というものでは信用できないのですよ。私の問題にしているのは、予備費全体の総ワクは議論はできるけれども、この中には性格もなければ何もない。政策もないのです。従って、こういう総額を国会は認めておる。あと大蔵大臣が配分して、使っていって、初めて性格なり政策になるわけでしょう。だが、使ってしまってから国会へ出てきて、これをどうこうだと言ったって、これはさっき冒頭にも言ったように、予備費はやったってしょうがないじゃないか、こういう議論も出てくるので、そういうことをなからしめるように、やはりこれだけの金が国の交通政策として必要なんだということが、はっきり予算のときにわかるようにしておくのが建前ではないか、こういう点で私は質問したわけです。資料はあとでけっこうです。法務省関係は、私はこれで終わります。
  83. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ちょっと数字的にお聞きしますが、三十四年度、三十五年度の退官退職手当の支出現計は何ぼか、おわかりになりませんか。
  84. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 ちょっと今資料を持ち合わせておりませんので……。
  85. 西村力弥

    ○西村(力)委員 三十六年度の予算額は幾らですか。
  86. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 三十六年度の総予算額を申し上げますと、退職退官手当として三十六年度に計上されておりますものは、六億九千百二十五万二千円でございます。
  87. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それで、現在までの退官退職手当の支給実額ですね、これは締め切った十月末でも、また一月末か、きょう現在でもよろしゅうございますが、それはどうなっていますか。
  88. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 現在のところの実績はまだ締めておりませんので、お答えいたしかねるところでございます。
  89. 西村力弥

    ○西村(力)委員 全然締めていませんか。
  90. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 本年の退官退職者の数、一応予定はございますけれども、まだ年度内ぎりぎりのところまで、その発令が全部済んでおりません。そういう関係で、本年度の分を全部幾らということを、確定的な数字は今申し上げることはちょっと不可能でございます。
  91. 西村力弥

    ○西村(力)委員 じゃ予想としましては、この予算で三十六年度はまかなえますか。
  92. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 この現在の六億九千万円の予算額では不足するというふうに考えております。
  93. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、それもまた予備費ということになるわけなんですね。
  94. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 その通りでございます。
  95. 西村力弥

    ○西村(力)委員 三十七年度の予算要求は幾らにしていますか。
  96. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 三十七年度は、七億三千三百七十五万三千円でございます。
  97. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これは三十四年度の実績を基礎にして三十六年度の予算要求をした、こういうことでありますが、現実には三十五年度の予算予備費二千万円を追加してまかなわざるを得なかった、こういうことになっておるわけですね。二千万円というと、百万の退職金としても、二十人の人が、その予算よりもオーバーしたということになります。三十六年度は、ことに民間企業がなかなか活発でありますので、そちらの方に移るという傾向が、三十五年度以上にあると思うのです。ですから、やはり三十五年度に対比して、三十六年度はそれを見て、相当上回った額というものが組まれなければならぬじゃないか。また、三十七年度は、どういう見通しを立てる考えでありまするか。今のところ、まだ求人の関係が相当活発でありますので、やはり官業関係から他に移動するという傾向は強いのじゃないかと思われるのです。そういうことをお聞きしたのは、三十六年に比較しまして、三十七年度予算では約四千万円ほど退職退官手当は増しておりますけれども、これはベースのアップや何かで、これを上回ったというのは、人数を上回った額として現われたのじゃないという工合に見えるわけですよ。ですから、この退職手当の予算の見積もりは、どうも実情をはっきり見ていないのじゃないか。そこで問題になるのは、谷村主計局次長予備費で見るからというようなことは一切ないと言われましたが、こういうところにやはり問題があると思うのです。三十五年度からずっと見ますと、退官退職手当は、全部といっていいほど予備費でまかなわれておる。おそらく三十六年度もそういう形に出てくるだろうと見ざるを得ない。主計局の方では、いや予備費で見てやるから、まずまずこの程度に押えておけ、こういう工合にそこでやっておるのじゃないか。先ほど絶対にないと言われましたが、そう言わざるを得ないのですよ。三十七年度は、予算としては七億三千万円に組まれましたけれども、その前の、省としての要求額は幾らですか。三十六年度は、予算は六億九千万組まれましたけれども、そのときの要求額は幾らですか。
  98. 新谷正夫

    ○新谷政府委員 その要求額は、ただいま手元にございません。
  99. 西村力弥

    ○西村(力)委員 法務省の要求に対して切られたか、切られないか。先ほど小川委員質問に対してもいささか不足な点がありましたが、それでは先ほどからのものをずっと出して下さい。三十六年度の退職金を締めたら何ぼ出たか。これだけ要求して、それに対してこう削られた。それから三十七年度の要求額はこうだけれども、実際盛られた数字は七億三千万だ。そういう一連の関係を明らかにしていただきたいと思いますが、どうです、谷村主計局次長
  100. 谷村裕

    谷村政府委員 西村委員の御指摘になった点でございますが、私が先ほど申し上げましたことは、小川委員が、何か地方の出先などでいろいろ事業費その他を使うときに、これは予算で組んでも無理だから、予備費ならば何とかなるからということを言っておるがどうだというお話でございましたので、さようなことはないつもりでやっておる、こう申したわけでございます。今西村先生が御指摘になった点は、先ほどの訟務費でも検察費でもそうでございますが、見積もりのむずかしいところをどう見積もって予算に組んでおるかという問題でございまして、この際、どうせ足りなくなれば予備費を使うのだからいいさというふうなことでお前らやっておるかと言われれば、私たちもさようなつもりはございません。どうせ予備費になってもかまわないさという安易な気持は、決してございません。しかしながら、事柄の性質上、やはりほかにも御要求がたくさんございまして、これは予備費を使っては申しわけないから、うんと多い目に見ておいた方がよかろうというようなことにして多目に出しますと、また百万、二百万の金でもほかに回したいときもございますので、この程度が一応合理的に説明できるかと思われる数字だけを前提といたしまして、一年くらいぽっかり大きな金が出て参りましても、これは例外だろうというふうに考えたりいたしまして、これならば一応説明がつけられるというところでこういうものは組んでおりますので、それがはずれたじゃないかといえば、そういうはずれたときに役に立つのが予備費ということでございまして、決して予備費を使うことを当てにしてやっているわけではございませんことを御了承いただきたいと思います。
  101. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そんなような答弁だろうけれども、退職金なんかは、現在の民間の盛んな状態からいいまして、前年より上回るという予想は、だれでもはっきり立てなければならぬはずです。だから、そういう点からいいまして、一応現状を正しく分析した上に立つ要求を切ったとなれば、これは実情を無視したもので、そういうことになりますと、結局何ともしようがないときには予備費でとる、こうなる。突然多くの人が死ぬとか、多くの人が集団的に退官するなんということはありません。ただ、民間の就職の窓口が大きい場合には、大きく動く、そういう関係だけで動くわけですが、現実にはそういう関係が今一番強く動いておるときですから、そういう実情を的確に打ち出しての要求を切ったとなれば、それはどうしても予備費でまかなうということを腹の底に置いて、お互いにそれを了解し合っておると私どもは言わざるを得ないわけです。そういう考え方が他の方面にもあるかどうか、これは私どもの非常に関心を持つところでありますが、その資料を出してもらって、その間の皆さん方の動きを、その資料をもとにしてもう少し分析したいと思うのです。以上です。
  102. 小川豊明

    小川(豊)委員 法務省関係は終わって、ほかに移りますが、ただ私が申し上げたいのは、きょうここへ来られるのですから、あなたの方から出ておるのは三つか四つなんだから、それに関する資料だけはやはりお持ち願いたい。以後気をつけてもらいたいと思うのです。  次に、運輸省の海上保安庁関係に移ります。  海上保安庁の南極地域観測事業に必要な経費二千七百七十五万円、この経費は目は船舶運航費で予算化されておりますが、これの実際に使用されたのは、南極地域の観測事業に使用予定であった航空機が墜落して海の中に沈んでしまった。そこで代替機を急に買う必要があって、これを船舶運航費で予備費によってまかなったことになっておるわけです。この船舶運航費というのは、本来燃料費その他であるべきはずだ。燃料費で資材の購入を行なうということは、これは費目の混乱ではないかと私は思うのです。なぜ別途に航空機購入費という目を起こさなかったのか。この点で大蔵省、海上保安庁の考え方を聞きたい。船舶運航費が、一体燃料費その他以外に使われた例があるのかないのか。そういう目を起こしたらいけないのかどうか。ともかく海上へ墜落して海没した飛行機を補充しなければならないのはわかるが、それを燃料費で購入するというのは、費目の混乱ではないか。なぜ目を起こして資材購入費の目でやらなかったか。お伺いしたいのはこの点です。
  103. 吉田善次郎

    ○吉田説明員 それではただいまの御質問に対しまして、そういう必要が生じました事実関係をまず私から申し上げてみたいと思います。   〔木村(公)委員長代理退席、宇田   委員長代理着席〕  第六次の南極地域観測事業に使用を予定されておりましたビーバーと申します飛行機でございますが、これは三十六年の二月十七日に北海道の丘珠飛行場におきまして、冬期の南極地域におきます特殊な事情を予想しました離着陸の訓練飛行を行なっておったのであります。その訓練が一度終わりまして、回航する帰途でありましたが、天候の急変に遭遇いたしまして、きわめて残念でございましたが、岩手県の釜石東方海上に不時着水をいたしまして、ついに海没いたしました。おかげさまで乗組員だけは付近の漁船に救助された次第でございます。その代替機を至急購入する必要があったということでございます。  それから、もう一つ、南極地域観測用に予定されておりましたシコルスキーS58型というヘリコプターがございます。これが、三十五年の九月十六日に、新三菱重工業小牧工場におきまして、航空局の耐空証明検査中の地上運転の際に異常振動が起こりまして、ついにそれが横転して破壊したのでございます。その復旧修理のために必要な部品の調達は、三十五年度におきまして、翌年度にわたる必要がありますので、二千二百十五万三千円をもちまして契約をいたしたのでありますが、さらに、その後になりまして、いろいろ調べ、また応急に部品等を入手する必要上、八百五十万八千円の部品をさらに調達する必要があるということが判明いたしたのであります。  以上のような事情がありましたので、いずれもこれらは早急に予算措置を講ずる必要がありましたので、先ほど申し上げましたビーバー機の代替機につきましては三十六年の五月二十日に、またヘリコプターの部品につきましては三十六年の七月一日に、それぞれ予算総則三十六条に定めるところに従いまして、文部省所管に計上されております南極地域観測事業費から移しかえを受ける予算措置を講じまして、そのために、全体といたしまして第六次の南極地域観測事業経費に不足を生じまして、南極事業経費のうちに船舶運航費に不足が生じましたので、これを補うために予備費要求するということになりまして、三十六年九月五日に閣議承認を得た、こういう経緯になっております。
  104. 谷村裕

    谷村政府委員 補足して簡単に御説明いたします。  なぜ目を立てなかったか、船舶運航費から何か飛行機を買ったように読めるではないかということでございますが、三十六年度予算二億二千八百万ほど南極観測事業費として組んでございますので、これの中にはもちろん船舶運航の燃料費もありましょう。その他いろいろな観測機材費等々も入っておるわけでございますが、これは実行にあたってそれぞれ機材費、これはたとえば飛行機の購入費、運航費というふうにして、それぞれのととろに移しかえるわけでございます。  そこで、この点は、結局今海上保安庁の方からお話がございましたように、飛行機を早急に整備購入しなければならぬということのために、そのとき立目いたしまして、これから海上保安庁の方に、この文部省計上の中から出しております。そして、今お話しのように、全体として南極地域観測事業費が最後になって不足したことが明らかになり、その不足した中身は何であるかというと、この船舶運航に充てらるべきところがちょうど不足しておるということで、そこに予備費として追加をしたという形になるわけでございまして、例は悪うございますが、大きく申しますと、南極観測事業費というのが一つワクみたいになっておりまして、その中から飛行機ということでそのとき出す。  それで、なぜそのときに飛行機のためにすぐ予備費を出さなかったか、飛行機は飛行機で予備費を出せばいいじゃないかということでございますが、そのときに船舶の運航費、たとえば宗谷の燃料なら燃料というものが一体どの程度要るかということは、まだ確然としておるわけではございませんで、もう少し使ってみて、たとえば流用——流用というと言葉は悪うございますが、いろいろやりくりをしていけば、うまくいくのではないか。金額もいきなり飛行機の方に金を出してしまいまして残ってしまいますと、あとの方で全体の南極観測事業費が残るのではもったいのうございますから、そういう意味で、飛行機の分は南極観測の事業費の中から立目してそれを使う、全体としてやってみて詰めてみたら、結局船舶運航費が足らなくなった、こういうことで予算をできるだけ効率的に使うというつもりで、そういうふうにされておるわけでございます。
  105. 小川豊明

    小川(豊)委員 頭のいい有能な役人というのは、予算を取る技術、それをうまく使いこなすことだそうですが、主として予算を取るところにある。あなたは予算を繰り回すのがなかなかうまいようですが、今の説明を聞いておると、やはりこれは一つの言いわけにしかすぎないのではないかと思うのです。予算が余ればもったいないとかなんとか言われるが、必要なものは使い、余ったものは、要らないものは残すというのはあたりまえでしょう。そこで問題は、飛行機が沈んだから文部省の方にある予算を持ってきた、南極観測だから一緒くたになっておるからそっちに持ってきて、それを埋めておいて、こっちが足らなくなったからこれでやった、だから船舶運航費だ。たどっていけば沈んだ飛行機を補充したことでしょう。そういう事態は緊急の問題として予備費を使っていいと思う。そこで、予算使用の行き方からいって、ことに議論があるのは、船舶運航費というもので飛行機という機材を購入していいのか悪いのか、こういうことなんです。あなたの方はそれがこういうふうに繰り回して、飛行機の方は何か残っておる文部省の方にある船舶運航費の方の金が多分余るであろう、それで買った、こっちに穴があいたから、だから船舶運航費を埋めたのだ。一体大蔵省の主計局の次長ともあろう人が、こういうような繰り回しをやっていいのか悪いのか。そうすると、あなたのやり方は、全部日本の予算というものは繰り回しておるのじゃないかということをかんぐると、そうなってくる。頭のいいのもいいかげんにしてもらわなければいかぬ。なぜ目を起こさなかったのです。
  106. 谷村裕

    谷村政府委員 南極観測事業費と申しますのは、その実施にあたりまして、むろん積算の根拠はある。積算の根拠はございますが、最初から何が幾らかにが幾らというふうに目を立てておりませんので、実施にあたりまして、このくらい要るということがはっきりしたところでだんだんに使っていく、こういう形をとっております。すべての経費について、私が今申し上げたように、何でも勝手に繰り回しておるということでは決してございません。南極観測事業費というものの特殊の性質にかんがみまして、文部省に一括計上しておきまして、当初もこの飛行機など買うなどということは夢にも思っていなかったわけです。ところが飛行機を買わなくてはならぬようになった。これはやはり南極観測事業費として使うものであります。たとえば観測機材や何かがさらによけいふえてくれば、観測機材の方に使うかもしれない。急に飛行機の話が出てきたものですから、全体二億二千万の金の中から飛行機を買う金をまず出したのです。なぜそのときに予備費を使わなかったかといえば、飛行機の金でいきなり予備費を追加するよりも、南極観測事業費として二億二千万円の全体のその後における使う必要がどの程度どういう内容のものになってくるかということをずっと見ておきまして、そうして最終的になって参りますと、結局言葉は悪うございますが、最終的に整理して見れば運航費が足りないという形になって出てきたので、運航費を埋めるという形をとったわけでございます。目はそれぞれについて設定されておりますから、飛行機購入費は飛行機購入費という目を南極観測事業費の中でそのとき立てまして、そして飛行機を買ったわけでございます。それで、この船舶運航費の方も、結局最終的にはそこを埋めるという形になりましたけれども、それぞれの目をここで何を埋めたか、何がどうだったかということとして御理解いただくよりも、南極観測事業費というものが全体として足りなくなったというふうに御了解願えればよろしいと思います。
  107. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなたはそう言うが、予定していた飛行機が故障を起こして沈んでしまった、だから南極観測費全体が足らなくなるのはあたりまえです。これはわかるのです。それから、あなたは結局予備費が不足したのだと言うが、そうじゃないんです。結局は資材費が不足したんです。飛行機がなくなってしまった、それを補充しなければならないから、繰り回してそこに持っていった。それだけは事実でしょう。だから、そういうわかりにくいようなことをせずに、なぜ目を起こして、予備費で使うなら——結局予備費を使っているんですから、予備費を使うなら、資材購入費として飛行機を買ったら一番簡単明瞭じゃないですか。ところが、そうではなくて、われわれから見ると船舶運航費という名で飛行機を買っている。事実買っているんです。とすると、あなたの予算に対する態度というものはかなり繰り回しをやっているんじゃないか、こういうふうに考える。こういうのはもっと明確にすべきじゃないか。
  108. 谷村裕

    谷村政府委員 説明が不行き届きで申しわけございませんが、飛行機を買う金は、やはり飛行機を買う目を立てまして使っているわけでございます。船舶運航費から飛行機を買ったわけではございません、形式的にでございますが。先生のおっしゃる意味は、お前それじゃ何かを繰って飛行機を買っているじゃないか、こういう実際の点にあるかと思いますが、私どもがこういうふうにいたしましたのは理由が二点ございます。  第一点は、そのとき飛行機を買うための金が幾らということは大体わかっております。わかっておりますが、それをそのままそっくり予備費としてその際計上するのがいいか、南極探検事業費全体を通じてみて、結局どの程度足りなくなったかということを見て追加するというやり方がいいか、どっちがいいかという点をまず第一点として考えたわけでございます。第二点は、幸い南極観測事業費というのは、他の経費と違いまして、何をどう買うということを最初からきめないで、そのつど実際にあたって使える金という形になっております。そこで、その経費のすべてをそうしておるのではないかと言われますけれども、南極観測事業費というこの事業費のいわば特別の性格でございますので、こういう使い方をしたわけでございます。
  109. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、私はわからないんだが、南極観測の経費というものは、幾ら幾らというものはあるわけですね。これは積算されているんでしょう。ただ目見当で、ふところ勘定で出しておるのですか。積算はあるんでしょう。
  110. 谷村裕

    谷村政府委員 積算はございます。
  111. 小川豊明

    小川(豊)委員 積算があるならば、飛行機が事故を起こしたから、それで予備費を使わなければならなかったということは、これは事実でしょう。そうじゃないですか。あなたは、船舶運航費の方が足らなくなったから、それで出したと言われるんですか。南極観測に対する船舶運航費というものは、積算した結果これくらい必要だというので予算を作っているわけでしょう。ところが、たまたま飛行機が事故を起こした、その飛行機はどうしても急速に作らなければならないから、そこで船舶運航費の方から持ってきて埋めた。だから船舶運航費の方に穴があいたから、船舶運航費として予備費を使ったのだ、こういうことでしょう。そうじゃないんですか。そうならば、結果は飛行機の事故に対して予備費がこれだけ使われたということになるんじゃないですか。
  112. 谷村裕

    谷村政府委員 結果的には不測の飛行機の購入費のために船舶運航費が足りなくなっているという姿になっておりますが、その過程では、その途中での状況はどうであるかといえば、船舶運航費から飛行機購入費の方に回したのではなくて、南極観測事業費という全体の事業費の具体的使用の際の目を飛行機購入というものに設定したわけでございまして、いわば南極観測事業費全体の中から飛行機購入という目が新たに生まれたわけでございます。従って、南極観測経費全体が足りなくなったわけでございまして、おっしゃる通り、そのときにすでにわれわれは予備費を使ってもよかったのでございます。予備費を使ってもよろしゅうございますが、南極観測事業費全体が足りなくなったところで予備費を使おうという考え方をしましたわけで、船舶運航費のために予備費を使おうと考えたわけではございません。全体が足りなくなったその一番のしりを船舶運航費に持っていっただけでありまして、足りなくなったのは、事業費全体が足りなくなったわけでございます。従って、もう一ぺん申しますと、飛行機が落ちたときに、お前は予備費を使うつもりでなかったのかといえば、いずれは予備費を使わなければなるまいと思っておりました。その金額がどのくらい——ほかの方を詰めていったり何かした場合に、飛行機購入のために直ちに予備費を出すよりも節約できるかということは、そのとき、もう少したってみなければわからないということでございました。
  113. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうするとおかしいですよ。あなたは、おそらく南極観測の経費は足りなくなるだろうということを予想していたわけですね。足りなくなるだろうから、そのときに予備費考えなければならぬから、そこで船舶運航費から出した。予算を作るときに、要求する方からは、これでも足りないといけないからといって過大に要求してくることもあり得ると思う。しかし、あなたの方では、あなたの立場としては、それは厳密に査定してやるのがほんとうでしょう。あなた自身が、大よそ足りなくなるだろうから、そういう頭で予算を作るのですか。そんな予算の作り方ってありますか。
  114. 谷村裕

    谷村政府委員 南極観測事業費は、観測器材を買ったり何かする方、これは大よそわかっております。一番わからないのが船舶運航費でありまして、これは天気がよければ——天気というのではございません。天候と申しますか、気象条件その他がよければ案外使わないで済んだりするかもしれませんし、非常に悪戦苦闘いたしますと、よけいにかかるということかもしれない。それを、一応当初は、過去の実績等から見まして、この程度でよかろうかと見たわけでありますが、最後まで詰めてみませんと、はたして余るか足りなくなるか、宗谷の燃料等、その他いろいろございましょうが、わからないわけでございます。そういう意味で、そんなしっかりしておらぬじゃないかとおっしゃいますが、なかなか計算はむずかしいと思いますけれども、一応の見当はつけておく、しかし余る公算もあり得る、足りなくなる公算もあり得るという、そこはかなりゆれのある事業費の内容でございます。
  115. 小川豊明

    小川(豊)委員 代替の飛行機の購入費を船舶運航費から出した。それは幾らなんですか。幾らで飛行機をお買いになったのですか。
  116. 吉田善次郎

    ○吉田説明員 申し上げますが、ビーバーの代替機として買いました飛行機の代金は千九百五十六万四千円に相なっております。そのほかに、先ほど申しましたもう一つのヘリコプターの関係で、部品その他の関係としましては、先ほど申しましたように、最初二千二百万余りで契約を結びましたのに、不足が八百五十万出て参っておりますので、三千万余りに相なっております。
  117. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、運輸省の海上保安庁としては、三千何百万を出させられて予備費で裏づけされたのが二千七百七十五万円だ。そうしますと、船舶運航費というものはそれだけしわ寄せされて減額された、こういうことになるわけですか。   〔宇田委員長代理退席、委員長着   席〕
  118. 竹中薫

    ○竹中説明員 お答えいたします。  ただいま次長からお答えがありました、昨年度の補正予算でヘリコプターの復旧に必要な部品等について二千二百万円ほどお認め願いまして、その後本年度になって不足部品分が判明したので、要求したこの金額が八百五十万八千円であります。それとビーバー機の代替機として購入いたしました代金が千九百五十六万四千円でございます。従いまして、この千九百五十六万四千円と、部品の不足分の八百五十万八千円を加えましたものが、二千八百七万二千円に相なりまして、ちょうどこれと相当分の金額が南極観測費に不足を来たしたということであります。
  119. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、先ほどの次長の答弁と違ってくるようですが、これは宗谷の渡航、船舶運航費の中から一時飛行機の購入費を立てかえておいた、それを今度は運輸省、海上保安庁の方に裏打ちをした、こういうことになっておるのじゃないですか。問題は、私はこのところをあまり詳しく知ろうとも考えませんけれども、こういう工合に海上保安庁でこれだけ出させたのに、満額予備費で出さないというところに、金を預けたら全部使ってしまうのだから、なるべく減額しようという、こういう谷村次長の言うようなことが現実にあるのだということ、現在の予算というものは、つけてしまったら何かの名目で必要の度合いを問題にせず使われるから、それはできるだけ削ろうというわけで、こういう操作をやったんだということになるのですが、現状はやはりそういう工合に、予算執行の面は非常に過大にこれをやった場合には、ルーズに行なわれるのだということを、天野次官も認められるかどうか。こういう現状から今のような操作をやったんだということに結論がなるように聞こえるのですが、それはどうですか。
  120. 谷村裕

    谷村政府委員 ちょっと御質問がはっきりしなかったのでありますが、要するに私どもは、予備費使用をいたしますに際しましては、もし流用でできるものがあれば流用でやったらどうかとかいうことで、いろいろな状況が起こって参りますので、極力切り詰める方針をとっておりますので、今のような場合にも、結論的には結局足りなかった分が運航費に食い込むことになりましたけれども気持としては、今西村先生がおっしゃったように、できればうまく——というとあれですが、何が少しでも少なくて済めばいいというつもりでやったわけであります。
  121. 天野公義

    ○天野政府委員 予備費は、大体常識的に考えまして、その事業をする当初につけるものじゃなくて、やはりしりぬぐい的な性格があるのじゃないかと思います。これは常識的な考え方でございますが、この件につきましては、先ほどから谷村次長が申し上げておりますように、いろいろなものと見合いながら、結論的に事業の運行が全部うまくいくようにという考え方で最後に処置をした、こういうことだと思います。
  122. 西村力弥

    ○西村(力)委員 できるだけ少なくしょうという考え方はあるでしょうが、やはり流用させた分はそれだけ埋めるというのが原則じゃないか。予備費の操作において、予算がきめられておるのに対して、少なくしか実際に使えないような工合に予備費の操作でやっていくというのはおかしいじゃないか。これは相当特殊の事情があればとにかくとして、そうでなくて、普通の場合においては、予備費予算の実額というものを下げていくというようなことはおかしいじゃないか。こういう点が大蔵省のやり方としては少し度が過ぎるのじゃないかという気がするのです。その考え方の陰には、そういう予算をつけてしまえば、何とかかんとかいって金をみんな使ってしまうから、できるだけあらゆるチャンスにしぼっていこうということがあることをあなた方は認めておる、われわれも推測しておる、こういうことになるのです。
  123. 谷村裕

    谷村政府委員 簡単に申しますと、南極観測事業費という一括された経費であるから、さようなやりくりをしておるのでございます。どんな場合でも、やり切ってしまったならば、どんどん勝手に使ってしまうから、しぼれしぼれというような極端なことはいたしておりません。できるだけちゃんといくようにいたしております。
  124. 西村力弥

    ○西村(力)委員 海上保安庁にちょっと聞きますが、新島に警官をだいぶ海上保安庁の船で送っておりますが、これはどういう法律のどういう条項でやっているのですか。
  125. 吉田善次郎

    ○吉田説明員 お答え申し上げます。  治安関係の面は相互に相協力するという建前に相なっておりまして、特に交通手段を持たない警察当局からの依頼によりまして、今お話しのような警官を新島に輸送したわけであります。
  126. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私はそういうことを聞いておるのではない。これは海上保安庁法ですか、そういうもののどういう条項に基づいてやっておるのですか。
  127. 吉田善次郎

    ○吉田説明員 ただいまちょっと手持ちを持っておりませんが、海上保安庁法の何条でございましたか、警察機関と相互に相協力するという明文がございます。
  128. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ちょっと今の問題ですが、そうすると、この百七ページの予備費は目が船舶運航費と上がっておるが、説明と食い違っておるからこれは直さなければならない、こういうことになるのですか。
  129. 谷村裕

    谷村政府委員 別にさようなことはございません。
  130. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、船舶運航費は二千七百七十五万円予備費で充当をした、説明は、飛行機が落ちた、それでその金を全体のワクの中で支出したらこれが減った、そういうことですね。しかしこれは目が当てはまらないと思います。あなたの方は当てはまると言い、私の方は当てはまらないと言うので、意見が食い違っておりますから、あとでよく検討いたします。
  131. 小川豊明

    小川(豊)委員 逆に聞きますが、船舶運航費は予備費で支出したのだ、これはあなたの説明通りです。そうすると、飛行機が落ちて沈んでしまった補充は何でするのですか。飛行機は現に買いましたね。これは何費でやったのですか。
  132. 谷村裕

    谷村政府委員 南極地域観測事業に必要な経費として計上されておりますものの中から立目いたしまして、たしか航空機購入費とかあるいは修繕費とかいう目を立てまして、そうして運輸省に移したわけであります。
  133. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはどう聞いても納得がいかない。私の事実に対する認識が誤っておれば別なんです。飛行機が落ちて沈んでしまって、どうしても要るんだから、やむを得ないからいわゆる南極観測費の中からこれに充当した、それで船舶運航費が足らなくなったから、それを予備費で出したんだ、こういうのがあなたの説明なんです。ところが、私の方は、飛行機が落ちたから、これを補充しなければならないのはこれは認める。認めるけれども、それは船舶運航費という費目でやるべきでなくて、新たに目を起こしてやるのが当然ではないかと言っているんです。それだけのことなんです。
  134. 谷村裕

    谷村政府委員 何かよその経費から持ってきて飛行機を買ったようにお考えになりますけれども、飛行機を買う経費もすなわち南極地域観測事業に必要な経費なんでございます。そして、南極観測事業費というその経費の中に、実行のときに航空機購入に必要な経費という名前になっておりますか、航空機購入費とか修繕費という目が立ったわけでございます。例は悪うございますけれども決算委員会に必要な経費というのがございまして、その中で小川委員が非常によけいにお使いになるということになりますと、小川委員のために必要な経費というのが出まして、全体としてやってみると、たとえば鈴木委員に必要な経費というのが一番最後には足りなくなった、しかし全体として決算委員会のために必要な経費というものはあるわけでございます。いずれもこの南極観測事業に必要な経費でありまして、ただ中身が違ったわけでございます。
  135. 小川豊明

    小川(豊)委員 そこで、議事進行になりますが、今一時半です。二時から本会議があります。そして私どもはこれを採決しようというので急いでやってきたわけですが、いろいろ出てきている。まだ私はこの中で幾省も触れてない。さらにお聞きしたい重要な点が二、三点まだ残っているのですが、これをやっていったんでは、きょうとても間に合わないので、きょうはこれで打ち切って、理事会によってあとの進め方を相談していかなければならぬと思うのですが……。
  136. 谷村裕

    谷村政府委員 技術的に補足だけさせていただきますと、要するに目の区分をしないで配賦した予算であります。実際には執行のときに目をそれぞれつける。こういうことが財政法附則の第一条の二の二項というのに書いてあります。それで、南極観測費は御承知通り文部省に一括計上しておいて、それぞれ必要な目を立てていける、必要なところが必要な目をもらって使うということになるわけでございます。
  137. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはあなたはそう言うが、おかしいじゃないですか。南極地域観測に必要な経費として予備費を二千七百万円出しておる。それなのに、なぜこのところにあれをしないで、目の中でも船舶運航費として出しておるのか。この点取り扱い上の問題であれば疑点なしと言えない。あなたのような専門家がこういう取り扱いをすることに対して私は納得がいかない。
  138. 谷村裕

    谷村政府委員 予備費支出をいたしますときには、すでにそれぞれ実施がきまっておりまして、それぞれの目、それぞれの金額がきまっております。そこで足りなくなったものは何であるかといえば、船舶運航費という形になっておりますので、それを計上したという形になっております。
  139. 小川豊明

    小川(豊)委員 あなた説明を読んでごらんなさい。説明とあなたの答弁と違っております。
  140. 谷村裕

    谷村政府委員 もしおっしゃる意味でありましたならば、こういう墜落をしたとかなんとかしたということは一切言わないでおいて、何となく南極観測事業費が不足したということかもしれませんが、丁寧になぜ足りなくなったかということの実態的理由を御説明する意味において、航空機が入ったということを書いたわけでございます。
  141. 小川豊明

    小川(豊)委員 私の方も、ただ運航費が不足したからこうやったというなら、これでいい。ところが、あなた、ここに書いてあるように飛行機が海没したから仕方なく購入したのだ、こういう説明があるから、従って私は何で船舶運航費で飛行機を買ったかと聞いておるのです。私の聞き方が間違っておりますか。
  142. 谷村裕

    谷村政府委員 誤解を生ずるような書き方をしたという点はまことに申しわけございませんが、要するに南極観測事業費というものが当初は一括計上されて、実行の途中においてそれぞれ目が立つという特別の実行上の経費になっておりますから、こういうことになりましたので、あるいは私どもの説明の書き方が不十分であると御指摘を受ければ、よくわかりやすく書いてなかったという点についておわび申し上げなければならぬかと思います。
  143. 鈴木仙八

    鈴木委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  144. 鈴木仙八

    鈴木委員長 では速記を始めて。  予備費使用調書八件についての本日の審査はこの程度にとどめます。      ————◇—————
  145. 鈴木仙八

    鈴木委員長 この際、参考人出頭要求についてお諮りをいたします。  東北開発株式会社の会計に関する件の調査のため、参考人の出席を求めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なお、参考人の出頭日時、人選は委員長に御一任いただきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十一分散会