運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-03-13 第40回国会 衆議院 決算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月十三日(火曜日)    午前十時二十八分開議  出席委員   委員長 鈴木 仙八君    理事 木村 公平君 理事 田中 彰治君    理事 高橋 英吉君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    久保田藤麿君       鈴木 正吾君    藤井 勝志君       久保 三郎君    田中織之進君  出席政府委員         経済企画政務次         官       菅  太郎君         総理府事務官         (経済企画庁綜         合開発局長)  曾田  忠君  委員外出席者         総理府技官         (経済企画庁総         合開発局東北開         発室長)    浅間 一彦君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局東北開         発株式会社監理         官)      財前 直方君         会計検査院事務         官         (第五局長)  平松 誠一君         参  考  人         (前東北開発株         式会社総裁)  渡邊 政人君         参  考  人         (前東北開発株         式会社総裁) 加藤祐三郎君         参  考  人         (前東北開発株         式会社理事)  雲野 午三君         参  考  人         (前東北開発株         式会社理事)  松本  烈君         参  考  人         (前東北開発株         式会社理事)  本郷 寿次君         参  考  人         (前東北開発株         式会社理事)  山本 多市君         参  考  人         (前東北開発株         式会社理事)  小柳 勝蔵君         参  考  人         (前東北開発株         式会社監事)  山中 徳二君         参  考  人         (前東北開発株         式会社監事)  中村 清英君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月十三日  委員森本靖辞任につき、その補欠  として田中織之進君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員田中織之進君辞任につき、その  補欠として森本靖君が議長指名で  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  東北開発株式会社会計に関する件      ————◇—————
  2. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これより決算委員会を開会いたします。  東北開発株式会社会計に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として、東北開発株式会社の前役員九名の方が出席をされております。  参考人各位には、御多用中御出席をいただきまして、ありがとうございました。  質疑の通告があります。順次これを許します。勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、東北開発株式会社の三十四年度、三十五年度決算をめぐって会計検査院から指摘された事項について、今まで質問をしてきたわけでありますけれども、内容にわたりますと、やはり担当の方でないとおわかりにならない点がありますし、それからまた、回答の中にも、いろいろと食い違っている点がありますので、きょうはぜひ一つ率直に実情について御説明を願い、一体こういう決算というものが、どうして生まれてきたのか、あるいはまた、今盛んに司直の手によっていろいろと問題になっておりますが、こういうものが一体なぜ起きてきたのかという点を究明し、今後、東北開発株式会社というものが、ガラス張りの、真の目的に沿った運営がされるように、ぜひ御協力をしていただきたい、こう思う次第でございます。  それでは、前会に引き続きましてお尋ねをいたします。最初山本さんにお尋ねをしたいのですが、三十四年度決算にあたって、会計検査院から、日本ゼオン決算のやり方について指摘をされました。そしてまた、この決算については関係官庁も御了解の上で作られたのだということが、前会の私の質問に対して御答弁があったわけであります。従って、この問題に対しまして、三十五年の十一月九日の理事会で、会計検査院から指摘されて、それに対する回答を出されておるわけでありますが、大体どういうことを回答しておるのでありますか、その点をまず最初にお伺いいたしたいと思います。
  4. 山本多市

    山本参考人 私は経理担当いたしておりました山本でございます。  ただいま勝澤委員の御質問でございましたが、その御質問に答えるにつきまして、私は、前提といたしまして、二月五日、それから二月十五日の当委員会速記録を熟読いたしました。その結果、わが社の伊藤総裁から非常にゆがめられた弁明書がございまして、さらにまた、監督官庁であられます企画庁を代表いたしまして、菅政務次官から、ある程度そのようなことが認められ、また私がそのようなことによって責任をとってやめさせられたというような発言もございましたので、これらの関係は、私としましては、お調べ願うには相当長時間かかる問題である、従って、今御質問がございましたけれども、これは即刻御質問に答えられますけれども、その全体の空気というものがわからぬと、その問題は私は解しかねると思います。従いまして、私がここでちょうちょう申し上げるよりも——いろいろ誤解もありますので、また時間も相当かかります。御多用中の国会をこのようなことでお騒がせするのは申しわけない。私としましては、わずかの問題で済むと思うのであります。しかし、それがいろいろ御質問によりまたお答えによりまして、誤解を受けるということが残念でございますので、書面化いたしましてここに持参いたしております。そこで委員長、これをお取り上げ願いたいのであります。
  5. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今そういう要望がありましたので、私は委員長に取り上げていただいて、その問題については御報告を願いたいと思います。読ましていただきたい。
  6. 鈴木仙八

    鈴木委員長 ただいま山本参考人から、御発言中に、東北開発株式会社会計に関する釈明書が提出されましたので、御希望により、これを朗読をせしめます。
  7. 山本多市

    山本参考人 それではお許しを得まして、私から朗読させていただきます。  今般東北開発株式会社に関する件について参考人として出席方を依頼されましたが去る二月五日の鈴木委員長調査報告及びこれに関する質問応答、更に二月十五日の東北開発株式会社伊藤総裁釈明書及びこれに関する質問応答について決算委員会議録を熟読致しました結果、関係ありと認められる事項書面に記述し、御参考に供する次第であります。   なお、私は主として会社経理部面担当しておりましたので、その記述も経理的観察となりますことを御諒承願い度いと存じます。  一、伊藤総裁釈明書菅政務次官答弁に対し、再度、調査要望するの件。  私は、伊藤総裁釈明書菅企画庁政務次官答弁によって名誉を傷けられたものと存じますので、その疑を更に徹底的に御調査されるよ う要望致します。 (1)伊藤総裁釈明書に依れば、渡邊総裁引継説明会計検査院の審査結果と矛盾し、特に秋田木材会社解除条件付契約に関する経緯少数理事専断なりとし、経営に関し一層疑惑と不信の念を強くしたと説明すると共に、これに関する監事責任態度に言及し、今回の決算中の指摘事項については監事触手を回避するが如き状態において為された結果なりとし、会社経営態度に対し不信感を強調しておるのであります。私はこの見解が伊藤総裁の不見識を表明するものであり、甚だ遺憾に思う次第であります。思うにいずれの事業においてもそのよって来たる複雑な沿革があるのであります。従って決算そのものも突如として発生するものではないと思います。伊藤総裁事業家出身と聞くが東北開発会社が旧東北興業会社という破産的な会社から発足したものである位は御存じの筈と思います。四年前の破産的な会社から今日の発展をもたらしたその経過についても、一言も触れることなく、また最も大事な資金事情資産内容等に深い洞察を加えることなく、当委員会で問題となっている、いわゆる裏契約等を捉えて、会社経営の万事を判定しているのであります。即ち、今少し思慮ある総裁ならば釈明書作成に際しては、直接に処理に当った前役員意見を徴するくらいの配慮は当然と思うのであります。私は昨年の九月一日会社を去るに臨み、経理部より見た会社経営に関する重要問題点を含む引継書を作成し、伊藤総裁山中総裁経理担当田所理事に手交した筈であります。然るに釈明書作成に当り、これを採択した如き節もなく、当時の経理担当の私の意見も徴しないのは悪意をもって臨まれているのであるか、または、背任行為者と認めておるかの何れかであると断じられても弁解の余地がないと思います。  また、裏契約に関しては委員長報告によれば「担当理事と二、三の幹部職員のみ知っておる」とあるのに、総裁釈明書は「少数理事専断」として複数の理事が居るごとく表現し、久保委員質問に対しては、「理事の資格を持った人々の専断」…「自然とそういう隠れたような審議」…などと説明しこれに対し監事触手を回避するが如き状態で行われたとして恰も、私もこの一員であるかのような印象を与えておるのでありましてその真意奈辺にありや疑惑を持たざるを得ないのであります。然して最後にこの事実を会社最高責任者たる伊藤総裁は自ら背任と断定しており世間に一層疑惑を抱かせるに至ったその責任はまことに重大であると考えます。 (2)次に久保委員質問に対し菅政務次官は、いわゆる裏契約に関し「少数理事専断処理したことは任務違反である」とし「この点を含めて当時の理事は全員御退任願った」と答弁、又、次の答弁においても「会社の運営上は明らかに理事者としての義務違反だ」と発言、「こういうことも含めて幹部の更迭を致したのである」と、あたかも、全理事がこの責任に依って解任された如き印象を与えたのであります。  二、昭和三十五年度決算は赤字であるに拘らず黒字にし、虚偽の決算を行ったということについて。本件については別紙『秋田造成土地売却益を三十五年度決算に算入した理由』に説明しておきましたが、これを算入するについては当社発足以来の沿革損益並資金事情)と各年毎の損益の取扱、造成土地資産特殊性等綜合のうえ決定致した事情もありますので、何卒この点につき、御考察願い度いと存じます。 (一)会社発足以来の損益及び資金状況  昭和三十二年度は旧東興資産内容整理に終始し、三十三年三月末の決算においては未処理欠損約二億円を補填して資本金四億円を維持することとしました。  即ち、表面一億余の積立金ある会社が未処理の損金約二億円を包蔵しており、更に事業資金セメント工場建設資金)の内約四億円も流用しておったのでありますが当社の自力をもって補填する計画を立てたのであります。(興銀を中心とする協調融資、台ノ原土地処分、その他の不用資産処分)当時は資金の不足を一気に補填できなかったので、社債を早期に発行することを政府に要請して辛くも経営を維持して来たのであります。三十三年度、三十四年度損益状況に応じてその資金繰りも漸次好転し、当初四億円の流用額も三十四年度末においては二千七百万円と減少しましたが、三十五年度においては取引量の増嵩のため三億一千六百万円と流用額は増加したのであります。同年度手持手形二億三千七百万円の資金化対策中に三十六年度に入り、大蔵省の社債大型化方針により、一度に十三億円の資金の受入れがあったので、一時資金難をまぬかれましたが、設備の進渉と共に資金手当を必要とするため、極力、セメント代金回収造成土地売却により資金化を図る必要に迫られておったものであります。  (以上次頁別表損益および建設資金流用状況調」参照)  これは省略してもよろしゅうございますか。(「いいよ、いいよ」と呼ぶ者あり)それでは省略させていただきます。  (二)各年度損益決定実情について  当社としては旧東興の引継時よりの巨額の資金不足に鑑み、資金化対策を第一策として来たものであり、従って損益状況よりする資金化対策も亦重要度を占めているわけでありまして、少くとも償却前においても利益を生ずる程度の損益状況を期待して来たものであります。この際において、その償却定額法とするか、或いは定率法とするかによって表示上の損益に相当の幅を生ずるのでありますが、資金蓄積決算堅実性の見地から償却額多額定率法を用いて来たのであります。三十二年度東興整理の年であるので、前任者の名誉のためにあらゆる努力を払い収益をあげ差引損益を零とし資本金維持当期資本金四億円)につとめたのでありますが、三十三年度は三億二千万円という多額欠損計上するに至りました。この主たる原因は定率法による償却影響もあり、工事進行中の土地利益計上できぬ為にもありました。従って実質的にさほどの欠損といえないのであり、むしろ過当の欠損を示すものとしてよい意味で真実でない面もあるのでありますが、外見、三億円の欠損という事で、その影響は意外に大きかったのであります。もっとも、本欠損を出し、将来、各方面に注意を喚起するというねらいも意図されておったわけでありますが、上述の事情に鑑み、三十四年度においては土地利益について工事進行基準によることを主張致しましたが、官庁の認めるところとならず、土地については契約あるものについてのみその計上を認めるという事情にありました。しかし、仮契約日本ゼオン土地利益計上経緯につきましては、先ず資産として十分であるということ、仮契約も実行できる見通しであること、利益計上もその一部たる手付の範囲であること等を勘案されまして官庁もこれを認めたのであります。ところが、これが色々と問題となりましたので(注)、三十五年度は実質的にも、正式に契約したものを利益に入れるという方針で臨んだのであります。    (注)日本ゼオンの仮契約利益算入は無効であること、三倉鉱業に関連して三浦代議士が三百万円収賄していることなど事実無根のことが流布されて、会社としても大いに迷惑をしたので、三十五年度秋田木材関係土地売却においては日本ゼオンの如きことのないよう極力注意を払って参ったのであります。   (三)造成土地資産特殊性について   造成土地工場誘致目的売却するのであり、従ってその会計学的性質は商品と認められます。しかしながら流動資産とも取扱いかねるので、当社流動資産固定資産の中間に造成土地資産勘定を設け、造成土地に関する債権債務その他の資産、負債を整理しております。   完成後一、二年は手持となる実情から、先ず会計処理として未完成までは工事進行基準によってその見積利益計上することが適当と思われるのでありますが、目下のところ官庁はこれを認めておりません。   又工業用地売却代金回収額は、三十五年より自己資金として事業設備資金に引当てられているので完成後は一刻も早く売却する必要があります  三、セメント代理店に対する債権管理が不適正であり、多額売掛金回収不能となる危険を持っているという事について。  本件について東光物産(株)青森建材(株)等に対するセメント売上代金多額回収不能という御指摘の点については、代理店認定当初における対外的なつながりの他、千葉営業部長等内部役職員つながり、及びその背後関係等があり、複雑な問題(後述マル注)も包蔵しておりますが、これを最終的に代金回収担当立場にある経理の面から釈明を申し上げます。  当社においては代金回収事務営業部の所管であって回収金経理に持込む制度となっております。従って経理としての直接の事務手形期日において回収をはかることにあるわけであります。当初、経理部代理店代金回収に重大なる関心を持っておりました趣旨は、回収不能を生ぜしめざることもさることながら、全体的資金回収が順調に行われ資金の還流を正常に保持することを第一の眼目としていたわけであります。然るに漸次、一部の代理店の中に売掛金が固定する傾向が見えて来たのでその強力なる整理が必要であると考えられたが、むしろこの際、専門的営業マンの主掌する販売会社を設置し、独自にその発展をはかることが東北開発という本来の事業が進む所以と考え、これを部内に進言し、会社案として三十五年度において政府に要請したところセメント代理店等反対によって実現を見なかったのであります。経理としては営業部の陣容の強化、特に販売回収に当る人材の拡充によって整理を促進することを進言し、これが実現を見て実行段階に移ったところ、かなりの障害もありましたが相当程度の効果を挙げつつあったところ、前役員の退陣後はなにびとの進言によるものか回収努力を停滞せしめる如き人事を行った模様であります。なお、この際一言したいことは、御指摘のあった硬化セメントにつき当社前任者がすでに備えつけていた篩別機等により品質の向上対策を講ずることなく、資金難折柄資金化の為か真相は不明なるも、すべてをトン二、〇〇〇円にて売却しその損害(一億二、〇〇〇万円)が前任者責任に帰するものの如く釈明しておることは甚だ遺憾とするところであります。   マル注(1)東光物産(株)に関する千葉営業部長特殊関係より、元横山経理部長が当初強硬に整理に当ったため非常な反感をもって見られる結果となった。この債権処理代理店認定とにからみ山中中村両前監事態度は極めて、消極的であった。(東光物産(株)は実際は三福商事(株)矢野商事(株)とに分れているが、これら複雑な関係からこの二店は正式の代理の認定はなかった。)私は山中監事に対し、強く監督を強化すべきことを要請したことがある。   マル注(2)千葉部長は「経理部書面を回すな」という非協力態度であり、あるときはセメント横流し事件に関し非協力であるので、経理としては総裁の特命のもとに、これを粛正したことがあった。又、各地にセメント倉庫を設置することにきめた会社方針反対、製品を独断で東京に送るということもあった。かかる営業部長のもとにては回収整理など期待出来ないので、その配置換要望した。然るところ、これを動かすことに監督官庁有力者反対し、この粛正人事が出来なかった。  マル注(3)自民党東北開発特別委員会事務局のある幹部は特に千葉部長と密接な関係にあり、同人は監督官庁に呼びかけ私に対し、会社幹部に犯罪ありと称して、犯罪捜査の手段を用いるが如きこともあったが、これは、犯罪捜査機関により行わるべき事を理由に拒否した。   マル注(4)これら粛正人事に当り、私は、会社のある幹部職員により「闇夜もあるから気をつけろ」と脅かされたこともあった。   マル注(5)営業部における回収責任者たる横田販売計算課長回収処理について消極的であるので、その配置替と後任に竹内課長を任命することを進言、同課長の就任後はかなり整理が行われた。この整理に当っては棟方セメント東北会長、丹野同顧問の反対があったため東光物産(株)並びに青森建材(株)処理について竹内課長の苦心は並々ならぬものがあった。   マル注(6)前役員退陣後、竹内課長配置替され、また不成績代理店の支持ありと認められる赤塚営業部次長営業部長に栄転している。  尚、赤塚部長土地造成部次長時代において秋田大材(株)との土地売買契約裏契約起案者立場にあったと聞くが当時の横山工業用地部長責任を問われたのに、反対営業部長に栄転している。  四、セメント倉庫売について。  三十五年度決算に際しセメントの空売りを決算計上したとの御指摘でございますが、経理立場から釈明を申し上げます。  売買契約により成立し、これによって債権債務関係が発生するので経理的にも、財産に変動を及ぼすものであるから、経理処理として契約主義をとることが望ましいばかりでなく、経理内部統制立場からも、その取引を早目に把握できる長所を持っているものであります。当社経理処理としては従来セメント売上については、引渡し主義をとっていたため弊害の事例(一例として東洋物産(株)に対する冬期対策売り問題。マル注後述)も見られたので、私としては可及的速やかな契約主義への移行を腹案として持っておりました。然し、対外的、対内的関係から、その機熟せず、三十五年度においても依然、引渡し主義を継続した次第でありますが、ただ、その前進として、少しでも早くその契約関係を把握し、また、その売上げの促進にもなる方法を営業部に求めた結果、いわゆる倉庫売りの制度が出て来たわけであります。経理としては倉庫において引渡しが行われたものとの営業部よりの連絡によりこれを売上計上することとしたのでありまして、当初から空売を損益計上する考えは毛頭なかったのであります。尚、本件は原価にその他の経費を加算すると売値よりも高くなっており売ったことによって経理的には損が出ておったと思います。  マル注東洋物産(株)冬期対策売り問題。当社は三十三年セメント売上増強対策として冬期(三月三十一日迄)買上のものにトン当り六〇〇円を割戻す販売方法をとっていた。(但し、当社の都合にて期限内に引渡しができない場合は、期限後に、おいても、この条件が適用されることになっていた。)たまたま、東洋物産(株)より年度末に、当社生産能力よりみて、とうてい引渡し不能な二万トンの注文を営業部は引受けた。東洋物産(株)は強硬に割戻し請求権を主張し、現在、その一部は当社売掛金回収に応じないという形で残っている。経理部は割戻しの請求があって始めてその事実を知った。
  8. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは参考資料として委員長の方に全部出して下さい。
  9. 山本多市

    山本参考人 それでは、次に土地造成の方の売却益を三十五年度決算に算入した理由を読み上げます。  秋田造成土地売却益を三十五年度決算に算入した理由。  (一) 契約経過   (1) 事実として昭和三十六年三月三十一日以前(三十五年度中)に売買合意があった。(交渉は三十四年度中からあったが一時とだえ、三十五年十二月頃、この話が復活、年度末において合意が成立した。)故に、法律的には、年度内売買契約が成立したものと認めた。   (2) 更に、当社は、資金の必要上、最低一割の手付金を取ることを希望し、又、売買の事実を対外的、対内的に確認するために、書面化することを必要としたので、この手続と、手付金の収入を、五月十日に確定したものである。   (3) 五月十日に契約書を作成したがこれは年度内における実質約合意に形式を与える趣旨であった。従って、疑を避けるためには、文書の作成日を五月十日とし、その内容口頭合意のあった年度内に効力が発生する趣旨であるとするのも一方策であった。然るに相手方は、合意日付書面作成日付同一にすることに応じたので、強いてかかる配慮をする必要と実益を認めず、これを三月三十一日の作成日としたものである。   (4) 売買契約の成立には手付金の有無は関係ないが当方の要望として出来るだけ資金を入れたいということで交渉したものであるから、従って、手付金年度内に取ったと同一経済効果をもたらすようにする必要があった。そこで、契約書に、手付当社了解を得て払込を延ばすことが出来ることと、更に、この場合、三月三十一日から、実際の払込日までの期間に対する年八分の遅延利息を徴する旨を記載したものである。  (二) 経理処理会計的根拠   (1) 東北開発株式会社経理規程政府承認のもの)   第四条、会社会計処理は企業会計原則その他一般に公正妥当と認められる基準に従って行う。即ち、基本的には企業会計原則によるのであるが、その他、一般公正妥当な基準としては会計学的常識とか、あるいは、企業会計の実務の中に慣習として発達したものが考えられる。従って、当社においても、この原則の適用として年々改善を加えた取扱例を残して来ている。   (2) 経理処理の実際取扱   当社経理処理については、政府が定めた経理処理の基準がないので、当社の前記経理規程に準拠して行うべきであるが決算書類の官庁の具体的承認の段階においては、企業会計原則にもよらないものもあり、一般公正妥当と認められる基準という見地からか、その都度監督官庁の係官により解釈が左右される実情である。企業会計原則マル注によれば寄附を受けた財産(当社セメント工場、ハードボード工場敷地)は資産計上すべきものとされているが政府は、これを計上することを認めない。   マル注 資産の貸借対照表価格D欄贈与によって固定資産を取得した場合は公正な評価価格による。   (3) 当社会計処理に関する私の考え方。   当社会計処理規程は上述の如く、企業会計原則及びその他一般に公正妥当と認められる基準によることになっているが、この公正妥当の基準を何処におくべきかが問題となるのであって、東北開発会社が国の出資を受け、政府保証債を発行する国策会社たる性格に鑑み、評価の如何によって内容の判断を左右されることのないよう、また、不正防止にも寄与するよう時価主義の原則をとり、資産の実価をできる限り現わすことに主眼をおくべきものと思う。同時にこの原則に反せざる限度において、資産の堅実を期することとすべきである。このことは、帳簿外資産や、秘密積立金を置かないこと、同時に、不良資産を置かないこと、という趣旨である。即ち、商法の資産評価の原則に抵触せぬよう、(1)評価資産については時価を超えない限度迄は評価を出来るものとし、秘密積立金を置かない配慮をするすると共に、一方においてその資産内容の堅実を期するためには、(2)営業用固定資産につき、多分に償却を行うため定率法によるものとする考え方である。(当社においても三十二年八月の新発足以来定率法に従っている。三十五年度末の償却累計は約九億円となっているが、定額法による場合は約五億五千万円となる。)   (4) 土地造成に対する会計処理基準  上述の趣旨よりして、当社造成土地会計処理については、その土地造成事業が、全国に類例なきものであり工業用地として、短年度処分(認可もこの精神)を予定しておる実情に鑑み、工事進行基準により一定の見積り利益計上することが妥当と思考する。長期請負工事基準は、企業会計原則並びに法人税課税においても認められておる。工事進行基準による利益計上は商法の資産評価の原則−時価以下主義−に抵触するものでもない。しかるに上述の如く、監督官庁はこれを認めず専ら売買契約主義の態度をとっている。  (三) 結論  前述の如く工事進行基準による利益計上工業用地の評価基準として妥当なものであり、商法の原則に抵触するものでないにも拘らず現段階においては官庁がこれを承認せず契約主義をとっておるのでこれらの経緯に鑑み、実質契約あるにおいては官庁の考えの趣旨にも合致するものと思考され且つまた当社経理規程(その他公正妥当なる評価基準による)及至商法の評価原則に抵触するものに非ずと考え三十五年度利益計上したものである。従って会計検査院が検査に当り、当該土地売買益を翌事業年度利益計上すべきであると判定したことは、見解を異にするものであり決算は適正に処理せられたるものと信ずる。   ─────────────     —————————————
  10. 鈴木仙八

    鈴木委員長 ただいまの山本理事釈明書につきましては、山本理事の個人的所見とも考えられますが、前役員相談の上の一致した御所見であるか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  11. 山本多市

    山本参考人 今の御質問でございますが、これは私が経理担当して、全く個人的な立場でございまして、何ら前役員と相談したものではございません。ただここに至りました原因は、主として今回の問題はすべて経理に収束されたと私は感じたのであります。従いまして、私なりの答弁が何かその方面の問題の解決に参考になるのじゃないか、こういう事情から私は個人的に出したものであります。
  12. 鈴木仙八

    鈴木委員長 それではあなたの個人的な御意見ですね。ただ参考のためにおっしゃったということですね。
  13. 山本多市

    山本参考人 さようでございます。
  14. 鈴木仙八

    鈴木委員長 さように御了承願ってよろしゅうございますか。
  15. 山本多市

    山本参考人 その事情を、非常にぐるぐる回りしておりますので、そう申し上げたのであります。
  16. 鈴木仙八

    鈴木委員長 会計検査院報告委員長報告並びに官庁側の答弁に対してはなはだ批判的のようなこともございますが、また一面会社内部のおもしろからざるような実情もお話しのようでございます。これらに対しては委員会の質疑には何ら拘束をされないということを申し上げておきます。
  17. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今山本参考人発言を聞いておりまして、これは非常に重大な発言だと思うわけです。従って、ここで質疑その他を進める前に、一応私は理事会を開いて、理事でこの問題を中心とした取り扱いについて検討した上で再開したらどうか、こういうことを提案いたします。
  18. 鈴木仙八

    鈴木委員長 それでは、これより理事会を開きたいと存じます。  暫時休憩いたします。  理事の方は委員長室にお越し願いたいと存じます。    午前十一時二分休憩      ————◇—————    午前十一時十三分開議
  19. 鈴木仙八

    鈴木委員長 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。勝澤芳雄君。
  20. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今、前山本理事から大へん重要な発言がなされました。発言の詳細につきましては、まだ検討をいたしておりませんのでよくわかりませんが、一応予定いたしました質問によって、私は今の釈明といいますか、それについての解明をいたして参りたいと思っております。そして、なおかつ今の山本理事釈明の中で、今参考人として出ておられる方々についてのいろいろの経過報告があったわけでありまして、もしその方々が、山本理事発言に伴って、自分としても一言釈明をしておかなければならないという点がありましたら、一番最後のときに全部お聞かせを願いたい。もしお聞かせ願えないと、山本理事発言というものについては、出席された方々は、一応御了解をされておる、こういうことになるわけでありますので、その点はぜひお考えおき願いたいと存じます。  それでは、私が一番最初質問いたしました三十四年度決算について、日本ゼオンを収入に上げたことについては間違いであった、収入に上げることについては、関係官庁了解してやったけれども、しかし、最終的には、検査院から指摘されて間違いであった、このことについては、三十五年度決算ではこういうことがないようにしよう、こういうことが今言われたわけでありますが、その通りでありますね。
  21. 山本多市

    山本参考人 ただいま勝澤さんの御質問でございまするが、その経過もるる述べましたように、資産評価というものは年々継続してやっていることでございますので、もちろんそれ自体の問題もございます。しかし、私どもは、土地土地として大きなところで評価法を決定すべきものと思いまして、そういう案を立てたのでございます。従いまして——もちろん会計検査院の考えは、なるべくそういうことをしないように堅実にせいという趣旨と私は考えまするけれども、私の理論は、それは正しいものである、ただ、しかし、幾ら私が正しいと思いましても、監督官庁、権威ある会計検査院を納得せしめない限りは、私どもの仕事は実行できないのでございますので、私、個人的には、この決算は間違ってないと思ったわけでございまするけれども、そういう御指摘もあれば今後はやめた方がよろしいということを申し上げたわけでございます。
  22. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、三十四年度決算の不適正な決算であったということを指摘された、指摘されるようなことはやらない方がいいけれども、私としては、このやり方は間違いでない、こう言っておられるのですね。
  23. 山本多市

    山本参考人 私としては、当時の会社事情から見まして、まだまだ十分資産価値もあることでございまするから、一部そういうものを入れることは、むしろ会社の年間の企業の実績を表わす意味にもなるということからしたのでありまして、そういう意味で、私としては間違いではないということを申し上げたのであります。
  24. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたは経理担当ですから、会社経理規定や何かいろいろ・作られたでしょうし、また、監督官庁からもいろいろ言われていると思うのですが、この会社の勘定科目を見れば、勘定科目表にこう書いてあります。前受金という欄がありまして、「通常の取引に基いて受入れた手付金その他の前受金」、まさに日本ゼオンは前受金に該当するものです。あなたはこの前受金に該当するものを収入で計上したわけだ、これは明らかにこの経理の規定には違反をしておるじゃありませんか。
  25. 山本多市

    山本参考人 お答えいたします。  現在の経理規定をごらんになりますと、まだまだそういうものが直っていないものがあるのでございます。と申しますのは、企業会計原則においてすら年々改善を加えております。従って、最終的な処理が違反かどうかというわれわれの感覚は、最後は商法であります。商法違反になるかどうかが一番問題であります。従いまして、そのワク内において逐次改善を加えておるわけであります。今御指摘手付けは仮受けだ、それは手付けそのものとしての経理としては仮受けだが、損益計算に入れる話はこれまた別でございまして、ただ、たまたま手付けと同額を収益に上げた、つまり当時は原価が売り値の半分ぐらいだったから、売り上げ収入としてはその手付けの倍額ぐらいが上がっておるはずであります。それではいわゆる政府の御方針にも反しますし、そんなにたくさん入れる必要はない、まあ手付程度の基準をもっていけば、まあまあ間違いなかろう、それ以上にあとから利益が出るのだから、こういうことで手付けに相当する——ちょうど倍額ぐらいの収益を上げたわけであります。秋田の土地は国の払い下げ財産だったものですから、原価は安いのであります。従って、売り上げは一億何千万になっております。手付けそのものは、利益勘定という意味でございませんで、資産勘定という意味ではお話の通りでございます。
  26. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私はあなたと決算のやり方について論争しようとは何も思っておりません。決算のやり方については、監督官庁からいろいろと規定や達がきて、そのワクの中であなたは与えられている仕事をやるわけなのです。それ以上のことはあなたは考える必要もないし、責任もないわけです。あるいはその任務もないわけです。ですから、与えられたワクの中で規定に当てはまった決算をすればいいわけです。その決算が法律では違法であったということは、監督官庁である経済企画庁も、大蔵省も、前会の質問で認めたのです。あなただけが認めていないのです。日本ゼオンの問題で認めていないのです。しかし、あなたは会計検査院から指摘されて、三十五年十一月九日の理事会には、これは誤りだったから、こういう決算はしないということを会計検査院に一本入れたのです。入れてあるのにかかわらず、まだ基本的に考えておるのは、おれのやったことは間違いないのだ、こう言っておる。そうすると、簡単な言い方をしますと、おれは間違いがないのだというあやまり状を出したのですか。その辺がよくわからないのです。それがまた三十五年度で同じことを繰り返しているわけですから……。
  27. 山本多市

    山本参考人 私の個人的な考えでございますが、経理処理の考えをそこに述べてございます。そこで、とかくこういうものは、見解の相違等も出るわけでございますが、当時の責任ある官庁あるいは会計監督機関、それらに私どもは逆らう趣旨は毛頭ありません。ただ、しかし、こういう問題は、お互いに意を尽くしてよく説明すれば、わかるものも場合によってはあるわけでございます。ただ、その問題については、そういう意味で私どもが非常に軽く考えたと申しますか、財産数が相当あるにかかわらず、一部そういうことをしたために非常な弊害をこうむっておる、会社経営上も非常に迷惑する、それではこういうことはむしろ今後やめた方がいい、こういう意味でやったのでございまして、政府はそれに対して不適正であるという御判定がございました。それで、私どももそういうことは避けて、なるべく仮契約をとらないで契約というものを持っていこうではないかということにした、こういう趣旨において私はお答えしておるのであります。
  28. 勝澤芳雄

    勝澤委員 会計検査院も、経済企画庁も、大蔵省もよく聞いておいていただきたいのですが、法律に違反をしているからこうしなさい、不適正でありますと注意したにかかわらず、まあ仕方がない、なるべくならというような人を、会計担当理事にしておくこと自体が、大きな間違いではありませんか。あなたの方も、これは間違いだ、大蔵省も間違いだと認めており、会計検査院からも指摘したにかかわらず、なるべくとか、まあとかいうようなものの考え方でやられたら、経理事務はやっていけないと思うのです。これは重大な問題ですよ。だから三十五年度も同じことが起きているのです。これは会計検査院の平松さん、こういう注意をするときに、この人は一回注意をしても、この次にどうなるかということを考えて注意せぬと、これはいかないと思うのですよ。同じことでも、言葉で言ってこの次に直るか、あるいは言葉で直らないから書面で出すか、書面だけではだめだからもっときっちりしなければならぬかということをやらなければ——今、仮契約だから今度は正式契約、こうなっているのですよ。この点は解明されましたから、次の問題に移りますが、秋田木材の問題です。これは土地を収入にされたわけですが、秋田木材の話し合いの進められている状態というのは、三月三十一日現在では、これは議事録になっていません。この前の私の質問に対する答弁ですが、総裁でしたか、副総裁でしたか、総裁は三月の末ごろに話し合いが始まっていたように思う、こう言っておる。雲野理事は、いや四月に話し合いが始まっていたように思う、と食い違っておるわけです。それから現総裁も、どうも三月三十一日現在で話し合いが進んでおったようには言っておらないと思いました。それから会計検査院の検査の結果でも、三月三十一日現在では話し合いが進んでいない、こういう判定が下されました。そこで、今あなたのお話を聞いていますと、正式には五月一日に書面は交換されたのだけれども、会社と話をした結果、口頭では三月三十一日で話が進んでおったのだから、それでいいじゃないか、こう言われたのですが、その点をもう一度明確にしていただきたいと思います。
  29. 山本多市

    山本参考人 私はこの決算のことについて、会社沿革ということを申し上げたので、勝澤さんの直接の御質問に非常に迂遠な答えになるように感ぜられたわけですが、これらに関係ある事柄から、その釈明書にいろいろな当社沿革を書いたわけであります。それは、私の方の経理直接の問題ではございませんが、私の方の資金事情から申しますと、とにかくその資金がなければ事業資金にも回っていかないし、下手をすると会社がとまる。私は経理としては決算事務だけを担当しておるわけではございません。むしろ決算というよりか資金の方に重点を置いておるということを書いておきましたが、そういう意味から雲野理事に対しては、ちょうど雲野理事は外に出てかせいでくる、私は早くそのお金をもらいたいという立場でございますので、そこで、顔を見るたびに早く売ってくれということを言うわけであります。その売ってくれという意味は、早く契約して次々に資金化されることを望んでおるわけであります。そういう趣旨から一日も早いことを望み、この問題は実は前々年からあったのでありますが、雲野理事としては、十条製紙の方にも一つやった方がよいというので、並行的にやっていったわけであります。しかし、もしそれが成功しない場合は、会社としても資金的に参ることになりますから、小さくても早く前の話のものをまとめた方がよいのじゃないかという意見を出したことも私はあります。そのようなことから、ときどき雲野理事から進行状況のお話を聞いておりましたので、そういう趣旨からその実体はある、こういうふうに私は考えたわけでございます。そうしてそれを経理的に処理するとか、法律的の問題については、これはやはり監督官庁その他すべての法規に違反できないことでありますので、それは合理的でなければならない。しかし、いろいろ研究してみると、そういうこともある。ただ前年、ゼオンの問題で非常に悩みましたので、そういうことではだめだ、むしろ十月ごろにきめてほしいということでやったわけであります。しかし、雲野理事としては、たくさん売りたいということもございましょうし、両方進んでおったように聞いておりました。そのことから、実体がある、早く次々にきめれば金も入ってくるということから、資金の問題はそれといたしまして、清算事務の方におきましても、私の考え方を一応裏づけといたしまして、官庁方面にも御迷惑のかからないようにそれを実行したという趣旨でございます。
  30. 勝澤芳雄

    勝澤委員 どうも答弁がはっきりいたしません。私の質問についての答弁とはちょっと違っておるように思います。そこであなたが決算の対策上早く実施をせよということを、要望をしたことは、三十六年二月二十四日の四十二回理事会の議事録に載っておりますから、今のあなたの言われたことだと思います。しかしあなたは、先ほどの釈明書の中で、五月十日に契約したのだけれども三月三十一日にさかのぼったのだ、そしてなおかつ、あなたは三月三十一日から五月十日までのおくれておった分の利子をとったというお話ですが、それはとったのですか、どうですか。
  31. 山本多市

    山本参考人 突然八分と言ってもわからないと思いますが、実際に話が出たわけで、私どもとしての方針は、漫然と契約するわけにはいかないのでありまして、やはり経済効果を伴わなければいけないという趣旨から、非常に相手さんも資金事情に困るようなことは聞いておりましたが、最低一割はその契約をしたときにちようだいしないと困るということを申し上げたわけであります。その結果、事実上の契約が起こりましたので、もしそういう契約をするならば、三月の初めから金が入っておらないのでございますから、その期間中の年八分の金利はちょうだいするように、土地造成部としては交渉してくれということを申し上げたのであります。契約書はたしかそうなっておると思います。  それから、最後の御質問の、それが実際に入ったかどうかということは、私も今少しく記憶がはっきりしないのでありますが、そのときには秋田木材も、いろいろな事業をしておりまして、資金相当よそにも出しておるので、できればその金利を負けてくれないかというような陳情があったやに聞いております。従って、あるいはその部分を最後的には負けたのではないか、私ちょっとそれは書類を見なければわかりませんが、そういう趣旨であります。しかし、そこでやったのは、できるだけ正しくとりたいという趣旨にほかならないのでございます。
  32. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これを三月三十一日に契約をして、実際の契約は五月十日なんです。三月三十一日からさかのぼって年八分の利子をとるようなことはしていないはずです。またそんなことはあり得べからざることなんです。それはなぜか、三月三十一日現在では日本ゼオンとの話は進んでいないのです。これは雲野さんの関係でしょう。幾らあなた方が進んでいる、進んでいると言っても、進んでいない。経済企画庁と皆さんが相談したあれではっきりするでしょう。四月二十八日に四十四回の定例理事会であなたが提案をされて、九千七百四万二千二百三十一円の黒字で試算をして、これを経済企画庁とあなたたちが相談されておるわけです。九千七百四万二千二百三十一円、この数字は十二万坪が入っている。秋田木材は十二万坪という計算をしている。それがその次の五月十日のときの決算では、今度は約八千百二十万の試算表を出したわけです。そして、それに基づいてこまかい計数整理をして、正式に出されたのが六千八百二十七万の黒と、こうなっているわけです。ですからこの間の経緯を見れば、四月二十八日現在の試算表を見れば、秋田木材は十二万坪と、こういうことだ。それが五月十日のときには十万坪の試算になっているわけです。ですから、その間を会計検査院から指摘をされて、これは検査院の平松さんからの答弁の中でもはっきりしているわけです。そこで三月三十一日にさかのぼって、三月二十一日からの金利をもらうようにしてくれと言ったというのも、それも私はどうもおかしいように思う。どうでしょうか、もう一回その記憶をはっきりさせて下さい。
  33. 山本多市

    山本参考人 私の答えは、前提申し上げましたように、経理の面ということで申し上げました。もちろん理事として私の責任、これは感じておりますが、ただいまの私のお答えは経理の面であります。従って、業務の面その他については私もよく存じません。経理の面としてはそれらを取り上げて、まあまあ間違いなかろうというのを理事会報告して総会にかけるわけでございます。その趣旨から、ただいまお話しの十二万坪ということでございますが、当時の話し合いは、雲野理事報告によれば十二万坪、それ以上二十万坪もその値段で売ってくれということがあったように私は記憶しております。しかし、別に秋田木材を疑うわけではないけれども、そんなに大きなものを会社として一ぺんに売ることはむしろ危険ではないか。ただそのときに、最低十二万坪で話はきめたいということでありましたので、当時の経理部にそれが連絡された結果そういう資料が出ておると思います。  それからもう一つ申し上げたいのは、いずれの会社におきましても、会社というものは継続性を持っていることでございますから、やはり総会にかける前にいろいろ決算の処理事務というものがございます。もっともその期間中に、全然ないことをやるということは、明らかに違法でございますけれども、実体があるものを、形式を与えて整理するということがある。そういう意味で、一応十二万坪も出たのではないかと今記憶を呼び起こしております。しかし、それ以上に、当時は二十万坪全部買いたいというのを、たしか理事会で雲野理事から報告があったけれども、そこまでいかないでいいだろうということでそれはきまったと思います。  もう一つ、九千何百万か出たのに、さらに六千何百万か出たということでありますが、これは非常に事務的な話であります。ここがまだ日本の会計制度発展していないゆえんでございます。私の理想としては、官庁会計規定があればいいということ、たとえば銀行ならこういうふうに評価せよ、何ならこういうふうにせよということでありますが、それなら、先ほど勝澤さんがおっしゃるように、ただ守っていけばいい、そして法律改正という問題にいけばいいのでありますが、今日の会計制度は若干の幅があるのであります。問題は、それが不当なものであるか、事実内容がないものであるか、会社財産のないものをいかにもあるかのごとく表現する、そういうことからこまかい会計的なものがそれぞれの関係者によって一つの考え方がある。それをわれわれはわれわれなりに説得する、官庁はまた官庁として十分に検討して、君の考えは間違いだからこうせよということになる。  そこで九千万の御質問で記憶に現われましたが、当時私どもはそれを運用益、つまり政府資金をちょうだいしましてこれを二銭三厘で運用する、社債以上に回すのであります。その利益が二、三千万あったかと思います。そういうものを入れて実は九千何百万であったと記憶しております。しかし、監督官庁の方も、なるべくそれは建設費を安くすべきではないか、そういうものは建設資産を落とした方がよろしいということで、私はこの問題に対して一つの信念を持っておりますけれども、そういうことならばやむを得ませんでしょうということできまった問題で、いろいろそういう意味での折衝があるわけであります。その結果、今十二万坪という問題が出たのだが、そういうように実質的にそれをうたって買うということについては、実際はあったと私どももそれを認めて決算を作った、こういう建前であります。
  34. 勝澤芳雄

    勝澤委員 時間がないから、私は簡単に質問しておりますから、簡単に御答弁願います。あなたのお気持はよくわかっているのです。あなたの言わんとする八割は承知しておりますから。あなたは初めてですが、これで四回か五回やったわけです。  三月三十一日の秋田木材との契約書はどなたがお作りになったのですか。
  35. 山本多市

    山本参考人 私の知る限りでは土地造成部でございます。
  36. 勝澤芳雄

    勝澤委員 担当理事はどなたですか。
  37. 山本多市

    山本参考人 雲野理事でございます。
  38. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この契約書によると、第五条に「甲はこの契約締結後三カ月以内に、乙の立会のもとに売買土地を実測して乙に引渡し、且つ所有権移転登記の申請手続をするを要する。」こう書いてある。契約締結後三カ月以内と書いてある。三月三十一日の契約書です。三月三十一日の契約ですから、三カ月以内というと四、五、六です。実際の解約を申し出てきたのは八月になってからです。そこで、この契約書がもしほんとうに三月三十一日で正しいものだとするならば、これは明らかに契約そのものが履行されていないのです。  それから一番最後になって契約解除する場合が出ているわけです。契約解除を東北開発がやる場合においては手付金が倍になる、向こうが解約するときには手付金は没収する、こうなっておるわけです。ですからこの三月三十一日の契約書というのは明らかにインチキだということがわかるわけです。インチキであるかないかということを聞いたって仕方がありませんから聞きません。   その次にこの契約書に基づく決算状況については、四月二十八日の理事会でこういう発言がされているわけです。川崎経理部長から「三十五年度決算については内容につき更に検討を加え五月七日より十一日まで経済企画庁、大蔵省に対し説明を行い五月十二日開催の臨時理事会に於て正式に決定することとしたい。尚、雲野理事より造成土地販売状況につき詳細に説明するところがあった。」とこうなっておるわけです。ですから、秋田木材の土地というのは、とにかく四月二十八日ごろ確かにネックになっておった。見通しは五月にならなければ解決できない。しかし、このときの状態は、もう十二万坪売れる状態として仮計算がされておって、それに基づいて関係官庁との話し合いが進められておった。そして五月の十二日の理事会の前の日に正式な契約になった。これは明らかに経済企画庁も大蔵省もこういう決算のやり方については承認をした。ただ三十四年度と違うことは、三十四年度は仮契約であった、三十五年度は正式契約だ、この違いがあるわけです。しかし、かりに正式契約であるとしても、これは明らかに会計規則でいう仮受金に計上すべきものであるという点は、これも規則を調べていけば明確になると私は思う。  そこで、次に山本理事から言われました念書の問題ですが、念書の問題についてはあなたはいつお知りになったのですか。
  39. 山本多市

    山本参考人 私は九月一日会社をやめたわけでございますが、それを知りましたのは八月の終わりごろと考えております。やめる一日か二日ぐらい前だと思います。
  40. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、あれですか、手付金を取って、現金を取って、解約するときには利子をつけてその手付金を返してやる、これが東北開発株式会社の慣習ですか。
  41. 山本多市

    山本参考人 これも、私は経理担当ですから経理的な面の問題でございますけれども、通常の常識をもってすれば、もちろん手付は倍戻しとかということになるわけであります。しかし、その当時の担当理事のいろいろ交渉の経過があると思います。それは、一つは値段に響き、支払いにも響き、いろいろするわけであります。その場合に、それをつけるつけないの判定は、理事においてあり得る、ただし、通常はないことであろう、こう思っております。
  42. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、三十四年度決算について不適正であったという指摘をされた。三十五年度についても、会計検査院から、不適正な決算だ、こう言われておるわけですが、あなたはどう思いますか。
  43. 山本多市

    山本参考人 私は、私見としてこの書面の各項目に書いてあるわけでございますが、確かに私としましては、ものの考えは、もう少し会計原則とかそういうものによりまして、また国の規定があって、そうしてやってくれることは望ましい、こう考えるわけであります。しかし、現在はそれがない。そういうことで、今日の一般の事業会社のような会計のいろいろなものの考え方が行なわれておると私は思います。そのようなことから、検査院の御指摘は御指摘として私は尊重いたします。けれども、その当時の私どものものの考えは、何も検査院の目をのがれるとか官庁の目をのがれるとかいうことでなくて、それが承認していただけるものという気持で進んだものでございます。そこに、私個人といたしましては、見解の相違を——会計学的理論としましては、私は検査院とも考えを異にするのである。しかしそれは、何も私はそのものの権威者でございませんので、それは当時の方々の権威として判定なさる。いよいよ問題になりますれば、最後には裁判的判定を願わなければならぬこともございましょうけれども、その程度の実務は、やはり検査院がそういう考えならそれに従うのがほんとうではなかろうかと考えております。
  44. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 関連して。山本参考人にお伺いしますが、あなたが先ほどお読みになったあれを、私個人の見解だ、こうおっしゃってお読みになったのですが、そして委員長初め決算委員の人たちの中にも、個人の見解ならばそれでいいじゃないかというようなこともあるのですが、しかし、私は個人の見解だとなるとなお重大だと思うのです。この山本参考人は、東北開発経理面の担当を全部しておられた。しかも経理に関しては相当の体験者です。この方が会計検査院あるいは企画庁から指摘されたことについて一書を入れたというけれども、それは権力を持っておる会計検査院であり、そういう官庁である人から言われたから一書を入れたのだが、自分の見解としては、その人たちの経理の考え方よりも自分の考え方の方が、会社を運営していく上に正しいのだ、これは非常にいいことなんだ、しかも会計検査院とか、あるいはまた企画庁とかいうものは、会社内容をよく知らないで、ただ経理面からこういうことを言うのだけれども、会社内容を知り、会社の運営の状態を知っている私の考え方が正しいのだ。指摘されたから仕方ない、争ってけんかをする必要はないから一書を入れたのだ、こういうことになると非常に重大である。そういう考え方をして、この東北開発というものが、経理面においてもいろいろな運営をされてきた——今言われる通り、営業も大事でしょう、いろいろな組織があって、会社の運営ができるのですけれども、その会社の運営の大半を握るものはやはり経理だ、経理がしっかりしておらなければ、会社の運営は、いかに売れてもうまくいかない。その経理担当している山本参考人が、そういう考え方をされているということは、私は重大な問題だと思う。そこで、会計検査院指摘されたことが当を得ているのか、あるいは企画庁指摘されたこと、忠告されたことが当を得ておるのか、また、この山本参考人の考えが——今でもそういう考えを持っておられるのだから、それが当を得ておるのか、これは重大な問題だと私は思うので、これは委員長におかれても、今プリントもできますから、一つ徹底的にこの白黒をつけておいていただきたい。もう一つ、秋田木材に売られた土地を、これは会社の都合によって解約したのですか、それとも向こうから解約を申し込んできたのですか、どうです。
  45. 山本多市

    山本参考人 私は経理担当でございまして、その解約問題は、私はタッチいたしておりません。
  46. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 これはまたあなたとしてはおかしいですね。その解約問題ということにおいては、向こうから解約してきたのだ。普通手付金を、あなたは今商法のいろいろのことをおっしゃったが、商法の例としては、手付金を没収していただいておく。話し合うにしても、まず半分返せばいい方です。ところが、解約したときに、その手付金に利息をつけたということになると、よほど会社が、その土地を、ほかにいい売り口があったとか、売る約束をしたけれども、その土地がどうしても自分の方で必要だとかという問題が起こってこないと、こちらからそういう問題で解約しないと、手付金というものに対して利息をつけてやらない。利息をつけてやったことはあなた御存じなんでしょう。
  47. 山本多市

    山本参考人 田中委員の御質問は、少し事情誤解しておいでになるんじゃないかと私は思います。と申しますのは、私は、はっきり申しますが、裏契約にはタッチしておりません。ただ、契約面は土地造成部が持ってきますけれども、経理はめくらというわけにはいきません。やはりそれぞれの契約については、会社契約が有利にいくように進言するのが任務だと思っております。そこで、三月三十一日に実際の契約があるとしましても、ただそれを、一割取るのを漫然と延ばした意味でやるということには、もう少し交渉の余地がある。もしほんとうに買っていただけるものならば、金は実は五月十日にしか入っておりませんので、その間入らない金を返せとは申せません。そこでそれに相当する、その期間の利息を入れる契約をするのが至当でないかということで、いわゆる本契約についてそのことを私は注意を申し上げたのです。そうして、そういうものが本契約となったと記憶しているわけです。その後解約したのは、私どもじゃなくて、新総裁のもとに解約されたと聞いております。
  48. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 それはどうも不思議ですね。契約金はほんとうはもらうんだ。また、裏契約をした契約金をもらうのは、契約金が向こうから出ないから、もらったことにして、とにかく利息だけをもらうことにして契約した、こうおっしゃるんでしょう。そこで、今度は向こうが解約してきたなら利息は返さないで当然もらい、解約に対する損害金を、あなたが言われるような経理面であれば——ばかなことを言うな、経理担当して、契約の金が入らないからその金を入ったものとして利息をもらうんだ。今度は向こうから解約を申し込んできたのを、それに対して利息をいただいて解約したのだ、損害を受けた、いろいろな手違いを起こしたから、それに対する損害金はもらわなければならぬと言って——あなたが経理担当して、会計検査院から指摘されても、あるいは企画庁から指摘されても、あなたが堂々と自分の経理に対する抱負を持っておられるぐらいの方であれば、金を出すにしても、やるにしても、あなたの判がなければできないわけだから、それに対してあなたがあれだけのことをされるのは当然であるのに、解約をあとでしたから金を返したのは、自分は知っていないというのはちょっとおかしくはないじゃないですか。
  49. 山本多市

    山本参考人 今の田中さんの御質問は、金を返したのは知っているか。金を返したときに私はいないのであります。そこが誤解のもとなんです。つまりきれいにしました——勝澤委員意見は、私はよくわかる。というのは、私は実は経理のことを書いているが、こういうものを作りまして、私は八月三十一日でもう任務は終わっているんです。そうして一日付で依願免官——願いにより職を免ずるとなっておるのであります。そこで、これを三十一日に作りまして、それで当時ほとんど終わりということになりましたものですから、残務整理に追われていたわけです。その残務整理のさなかに解約の話が出ているのを知っていると先ほど申し上げた。しかし、契約そのものには私も十分意見を入れて作った。ただその場合に、金がおくれて入った。ただおくれっぱなしじゃ君困るじゃないか。現実の金はほんとうは三月に入れるような経済態勢を作るべきじゃないか。それなら、非常に異例なことだけれども、金がおくれたのだから、それだけ金利をよこせ。金を貸したようなものですから金利をよこせという契約にしたのです。つまり、会社を思うがゆえに、それを私が言うたんだ。だいぶ八分でごたごたしておりますけれども、私が強硬にそんなのに負けるな、金を取れ、こうやったんです。けれども、それは取ってないということでございましたね、それは私も記憶しておったんです。何かそのとき向こうの資金繰りその他の問題で、どうもそのくらいまけてもいいじゃないか、そんなやぼなことをしなくても、やかましい契約をしなくてもいいじゃないかということで、別個の立場から雲野理事の方からあったというふうに記憶しております。そういう事情でございます。
  50. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 そうすると、山本参考人、あなたがおやめになって金を返した、解約も向こうが申し込んできた。それに対して、あなたが取ると約束された利子ですね、それを返したということは、正しいとお思いになりますか、そんなことをしなくてもいいんだ、取っておいていいんだというようにお思いになるか、それを一点……。
  51. 山本多市

    山本参考人 これは裏念書の解釈ということになると私は思います。当時の事情……。従って、念書をどう作ったかというのは私は存じません。ただしかし、私が当時会社——それが検査院に指摘されたが、お前は関係しているかどうかということで、会社から私に質問状が来ました。そのときに初めて私は、正確なる念書は——頭で理解する念書でございますよ、そのときよく読んでみたんです。それにはやはり八分返すということはございました。それをそんたくいたしまして——私の考えを今聞かれておりますから、そんたくいたしますと、私としましては、八分返すよりも、むしろあの契約は、資金事情その他官庁が認めない場合に解約をするとあるのだから、まずその努力を第一にすべきであって、会社としては、資金が非常に重大なんですから、次々に、土地を売っていかなければならぬのですから、それを売るのがほんとうだ、どうしてもいかぬというなら、その事情に顧みて、その当時、ある意味でこちらからお願いして買った形になったかもしれませんし、会社がたくさんもうけてやるという考えであったかもしれない。そういう見地から私は、土地造成担当の人との話し合いだと思う。従って、その場合に、資金事情が悪かったとか、官庁が認可しなかったという事実がはっきりしていれば、はっきり判定されたなら八分の金利は返すべきであると思います。
  52. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 そうすると、あなたが手付金が入らぬから、手付金に対して利子を取れという意見を出されて、それがいれられた。そうしてそのとき、もし解約でもあった場合に、向こうから解約しようと、こっちから解約しようと、そういうのがあった場合に、取った利子というものは返すのだというような、そんな裏契約の念書があったのですか。
  53. 山本多市

    山本参考人 今、田中さんが非常に誤解された質問をしておりますので、私はそういうことは一切知らなかったということを申しております。ただそのあとで、お前はこれに関係しているかということがございましたときに、私はその書面を読んだのであります。そこでそういう意味で……。
  54. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 返すと書いてあったのですか。
  55. 山本多市

    山本参考人 書いてありました。けれども、ただ返すとは書いてありませんでした。それは何か速記録を読みますと、無条件解約ということになっていますが、私から言わせますと、無条件解約じゃないのですね。というのは、官庁の認可、これは秋木ですから多分通産省でございましょうか、の認可——あれはそれを設備するためのお金が、どうもそれまでに間に合わないということがはっきりした場合は、会社の言うように、私の方はすでに金を取ってもうけていますから、その不当利得的なものは返すのだという気持じゃないでしょうか、若干はあった。それならば私は返すこともやむを得ない。私見でございますよ、今質問されましたから……。
  56. 田中織之進

    ○田中(織)委員 議事進行。参考人は、山本さんに限らず、質問には簡潔に、端的にお答え願いたいと思うのです。  それと田中彰治委員からも指摘されましたけれども、会計検査院指摘事項あるいは企画庁からの指摘事項等に対する山本参考人の受け取り方というものは、私これは非常に重大な問題だと思うのです。会計検査院は最高裁判所——裁判所のようではございませんけれども、一応やはり行政機関から独立して厳正な立場会計検査を行なっておる。その意味で会計検査院は、国会に対して責任を負うている国の重要な機関なんです。私は、参考人でありまするから個人的な見解を述べる自由は認めたいと思いますけれども、そういうことであれば、この委員会としても、場合によれば証人として喚問をして、宣誓の上で真実を述べていただかなければならぬようなことになるのではないかと思う。本日は、山本参考人は、前東北開発理事という立場で出ておられるのでありますが、現職を先ほど調べてみますと、公営企業金融公庫の理事なんですね。言うてみれば政府機関の役員なんです。そういう立場にある人が、会計検査院あるいは企画庁というような監督官庁からの指摘事項というものに対して、一応それは尊重しなければならぬとは言うておりまするけれども、その言葉のしりから、会計検査院と異なる見解を持っておるのだ、今日の段階においても持っておるのだというようなことを言明せられることは、私はこれはこの東北開発にまつわる問題の真相を究明する委員会立場から見ても、きわめて重大な問題だと思うので、委員長において、この点については後ほど理事会等を開いて御協議を願うと同時に、重ねて山本参考人から、先ほど勝澤委員から質問をいたしました三十四年、三十五年の決算に対して、現在においてもそれをどう会計検査院指摘を受けているかという点を明確にお答えいただきたいと思います。
  57. 山本多市

    山本参考人 大へん私は誤解を受けた立場でありますが、私が先ほどからお答えしておりますのは、二月の五日、二月の十五日の決算委員会会議録を読んでおるわけです。すると、すべてそれは虚偽の決算ということになっておるのであります。そういうことは伊藤総裁からも答弁されておるわけです。そういう非常に重大なる関係にございますので、従って、私どもが検査院のことを非難する、そういうことでは毛頭ございません。ただ、経理というものは、それぞれの、また会計的に熟しないものがあるので、私個人としてそういうことを考えて、それが開発会社方針としてきまったわけでございますが、今呼ばれてみると、私どもがやったことが、虚偽のものを総会にかけたというふうになっているように私は承知するのでございます。  しからば、その場合のいきさつはどうかということは、どうしてもこれは個人的な見解も言わなくては真相がわからない。ただし、私が検査院に対して答弁しておることは、会社として決定されたことですから、これは私は当然なことだと思うのです。私はただそういうことしか申し上げていないのでありますが、そういう次第があるのです。会計検査院としては、私どもがやめた後に答弁ができたのですが、それによりますと、決して虚偽決算というふうには表示しておりません。検査院は、それは適正でない、そういうものは採算もあるけれども、何もあわててその年度に入れなくてもいいのじゃないか、それは三十六年度に入れたらどうなんだ、だからそれは、しいて言えば、虚偽とは言えないけれども、今日の情勢ではもう少しかたくやったらどうだ、それが今日の会計原則ではないか、そういう意味では私はもっともだと思うのです。だから、検査院そのものを指摘しているのじゃないが、経理面から見て、個人的見解ということはそういう趣旨でございます。誤解のないように願います。
  58. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ただいまの山本参考人の御答弁を伺っておりましても、会計検査院指摘事項に対する弁解は、それは許されるかもしれませんけれども、むしろ強弁的な御答弁だと私は思うのです。その点は、前回の委員会でも、あなたも速記録をごらんになっておるだろうと思うのでありますけれども、われわれ特に野党側の委員——与党側の委員も大多数はそうでありますけれども、たとえば三十五年度決算というようなものは虚偽のものである、こういう見解をわれわれは現在も持っています。しかし、菅政務次官なりあるいは会計検査院当局としては、それは不適正だ、こういう形でそこのところは意見の食い違いがあるわけなんです。しかし、会計検査院が不適正であるという指摘をされた事実は、あなたとしても認めなければならぬと私は思うのです。不適正であるという事実は、あなたがいかに限弁されようとも、それを合理化する理由はないと私は思うのです。会計検査院というものには、それだけの権威を法律に基づいて持たしておるのでありますから、不適正な決算をやった責任者に対して、刑事上あるいは法律上、政治上の責任追及がどう及ぶかという問題は別問題なんです。会計検査院指摘ということについては、これはやはり監督官庁がこの決算を承認しておる、了承しておる、後に会計検査院から指摘をされたから、今あなたが指摘したように、期限の問題等で、その期の決算に載せるべきであったかどうか、それが間違いであった、あるいはそのことが、三十六年度決算で持たせばいいのだというような理由は、問題がこういうように火がついたから、その意味から見れば、行政官庁としても、あなたたちを救済するための妥協的な処置だ、われわれはそういうように受け取っている。しかし、会計検査院が、少なくとも不適正だということを指摘した点については、あなたもやはりそれを認める立場に立って事実を申し述べていただかなければ、われわれの追及しようとする真相は発見することはできないのではないか。
  59. 山本多市

    山本参考人 今、田中さんから御指摘がございましたが、私は検査院のやったことに対しまして、不適正ということは認めます。それは認めますけれども、ただ私の個人的見解ということは、当時の事情——問題は、虚偽の決算とまで事言われておるのでありますから、そういう事情のもとにできたんだということを御了承願いたいのだということで申し上げているのです。従って、私の個人的見解でございます。しかし、会社としては、それぞれ機関によって出して、適正としてそれに異議の申し立てもなくきまったことでございます。その事実は私は認めます。
  60. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 もう一点、これで終わりですから……。  雲野さんという参考人おいでになりますか。——あなたは、この売買の念書のことに関係なさっているのですね。——ここに委員の方もたくさんおられるし、傍聴の方もおられるし、委員長なんかも、なかなかこういうことに対して経験者なんですが、今まで私たちも、物心ついてから、土地売買をした場合には、その資金ができなかった場合あるいは役所から許可にならなかった場合、この土地を無条件で引き取ってくれというようなことすらも、民間の売買の中には常識上ないんだ。だから、土地を君に売った、手付金ももらった、ただし、資金が銀行で借りられなかったり、あるいは許可にならなかったら、この土地をうちで引き取るというような売買はめったにない。これは国家が関係している東北開発だから認めたといたしましても、これを返す場合に、受け取った金に利息をつけて返還するなんという、しかも年八分の利息なんというのは、これは普通の土地売買——役所と売買もするしいろいろなことをするが、そういう例が一体あるでしょうか。例のないことをあなたの方でこれにおいてやられたということなら、やはりここに秋木との間にいろいろなからくり、要らぬ土地だが帳面上買うたことにしてくれ、買うたということで、われわれ同僚委員質問しているが、からくりをやっているのではないか。からくりでなければ、まことにどうも、君のところで土地を買った、手付金を入れておいたが、政府から許可にならない、あるいは資金ができないから、この土地を引き取ってくれないか、幾らかなりとも損害は出すよということがほんとうなんだけれども、そういうことで引き取った場合に、利子をつけてあんたの方に返しますという契約が、普通の今の土地売買にあるでしょうか。ないことを東北開発だけがやられるということはおかしいじゃないですか。これに対してあなたは、今どういう見解を持っておりますか。東北開発だけ別な契約をしたと思っているか。世間にないことだけれども、東北開発だけこういうことをやったんだということなのか。ここでほんとうにあなたの偽らざるところを聞かして下さい。それによってわれわれも考えなければならない。今まで、私も土地会社の顧問なんかしておりますから、土地売買のことは知っておりますが、こんな売買はございません。君の土地を買う約束をして手金を入れたけれども、あとの金が間に合わない、政府が許可しない、まことに済まないけれどもと言って、菓子折り一つ、酒一升でも持っていってあやまるのがあたりまえです。許可にならないから利息をつけて返すよなんていう念書を入れる土地売買の例があるでしょうか。御答弁願います。
  61. 雲野午三

    ○雲野参考人 ちょっとこれに対する釈明をさしていただきます。  実は先ほどから山本理事もるる述べておられるように、この土地の問題では、三十五年の十月か九月ごろから話があるのです。そして十一月ごろの理事会の議事録にあると思うのですが、あるいは理事懇談会であったかもしれませんが、四千五百円で売ってくれぬかという話があった。それを諮りましたところ、これはどうしても五千五百円、隣りが六千円……(「そんなことはいいのです」「念書のことだけ言えばいい」と呼ぶ者あり)その念書の点に至りましても、非常に忙しかったのでございます。これはこの前申し上げましたが、総裁と電話連絡をようやくとりつけまして——念書がなければ買わぬと言うのです。ということはどういう事態が惹起するかわからぬ、土地も見てない。自分は秋田生まれだからほぼ見当はつくが、それからなんだという話があったのでございます。それはたまたま専務が五月二十日ごろ入院しました。専務が中心でございまして、外国との機械の輸入について交渉中でございましたが、中心人物がいなくなったのです。それを予想しての話かどうか知らぬけれども、どうしても念書を入れてもらわぬとわれわれれは進めない、こういう話だったのです。われわれから申しますと、田中委員質問されたように、はなはだおかしい念書になりますけれども、無条件降伏になっても、こういう念書のあるなしにかかわらず売れると思って、自信満々だった。向こうも買い気が非常に盛んだった。ところが専務が入院してしまった。今でも入院中でございますが、それと六月の公定歩合の引き上げ、八月の引き上げが発表になって、がく然として、九月に、先ほど山本理事が申された通り、念書を延ばしてくれぬかと会社に来られたのです。そして金融機関に相ともに働いてくれぬか、こういうことだったのです。私は、五日か六日に退院するので、その件を総裁に諮りましたところ、新総裁でございますが、よかろうじゃないかという話があったのでございまして、私は何とかしてそれを売って会社のためにしたい、こういう念願から、念書というものは、むしろ私は眼中になかったのです。ところが、その後の事情の大へんな変化で、特に金融の異常な引き締めがございまして、向こうが泣きついてきたのでございます。そういう事情のもとに、不思議な念書だとお思いになりましょうが、私はこの点も了承しております。
  62. 田中彰治

    ○田中(彰)委員 あなたはそんなことをおっしゃられても、そんなに急ぐなら、土地を売った、もし資金ができない場合は、こっちは無条件に引き取る。しかし向こうで破約されてきたのに、年八分もつけてやるという念書を書かなくても、それは双方で甲乙の間で相談するとか協議するとかいうことが当然なんです。これはあなたが何を言われても、念書ということに対して書かれたということが非常に幼稚な考えで、また何かそこにからくりがあったと言われても仕方がない。また、それをつけてやったということもおかしい。また、新総裁が来られたばかりでそういうことはお知りにならないんだから、あなたの方でそういう事情を言われれば、あの方は三菱なんかでよく経験されておるから、こんな契約というものはない。これは日本始まって以来、土地売買にない売買方法東北開発がやった。これをあなたは平気で、いやあれは何でもないんだとお考えなのか、あれは落ち度だとお考えなのか、どうなんですか。
  63. 雲野午三

    ○雲野参考人 あれはなはだ幼稚で、われわれのミスでございます。
  64. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、山本さん、会計検査院は、不適正な決算だ、こう言っておる。それから、今の総裁は、虚偽決算のような言い方をされました。今おいでの前総裁は、間違いの決算だったと認めたんです。その間違いだということは、秋田木材の問題と、セメントのから売りの問題です。これは先ほどあなたが言いました契約か引き渡しか、そこで計上の仕方が違う。これは引き渡しで契約完了とする、引き渡しで収入にせよ、これもまた会計規則に出ているわけです。引き渡しでやれ、契約で収入に上げるということではないわけです。これはちゃんと出ていますから、もしおわかりにならないのでしたら、もう一回読んでいただいて、お考えになっていただけばいいと思います。そういうことから類推をすると、これは不適正な決算ということは免れない。間違いの決算ということは免れない。そこで、結局善意ある作為であったかどうかということが問題になる。この問題は、まだまだあなたがお出しになった釈明書によってきっちりやりたいと思いますが、たくさん質問がありますから、この程度にして進みます。一つ問題になりますのは、総裁釈明書を読むと、「監事触手を回避するが如き状態下において」これはあなたは経理担当理事として大へんな問題だと思うのです。この点は簡単にしか言われておりません。あなたも簡単にしか釈明されておりません。これは平常の状態において別に監事を忌避するようなことはなかった、こういうことでございますか。簡単でいいです。
  65. 山本多市

    山本参考人 私は、伊藤総裁釈明書の「監事触手を回避するが如き」態度ということに対して異議があります。
  66. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次の問題に入ります。セメントの指定店の問題でございます。三十四年の十一月二十七日第二十七回の定例理事会で宮城県の三福商事が保留になっております。理事会に提案されて保留になっているのは珍しい議事録でございます。大体二カ月くらいたったら何とかなるだろうとその当時言われたのが議事録に載っておりましたが、約一年半くらいたちまして、三十六年六月の十五日の七十六回の臨時理事会で、矢野商事と三福商事と二つ出て、そうしてこれを指定するなら同時にやれ、こういうふうに言われたと書いてある。あなたの釈明書によると、これまた重大なことがここに書かれている。東光物産の場合に、東光物産株式会社は実際三福商事株式会社と矢野商事株式会社に分かれている、こうなっておる。宮城県はこのときは東光物産一つしか指定がなかった。セメント指定店を県下に大体二つか三つ指定をしようという。そこで三十四年十一月二十七日には三福商事を指定せよと出したところが、異議が出てきた。そうしてそれが三十六年の六月十五日に出て、今度は二つ並んで出た。出たけれども、これについても、どうも一つは問題があるから、指定するなら二つだ。こういうことになって、結局指定には、とのときならないけれども、実質的指定と同じようなことでやろうじゃないかということで、理事会として決定しているわけです。ところが東光物産の売掛、それから手形で、これは三カ月おきに書きかえをやっている不良なところだったことは御承知の通り。あなたも指摘されたと思う。あなたは山中中村監事に、これは代理店の問題と債権処理の問題については強く要求をしたけれども、どうもそれについては消極的であったと言われておるわけです。ですからこのセメントの指定をめぐっての問題は、どういういきさつになって、どこに問題があったかという点を御解明いただきたいと思います。  もう一つは、三十五年十二月二十七日の四十回理事会で飯田商事セメントが指定になっておる。資料によると、できたばかりの会社のようになっておる。この資料はよくわかりませんので、あわせて……。もしあなたのわからない点は、担当が雲野さんでありますから、雲野さんの方から一つ。
  67. 山本多市

    山本参考人 私は何も代理店のその問題をそこまで書く必要はないと実は考えておりました。ただし、私は伊藤総裁から背任と思われたので、私個人としてはこれは解明しなければならない。従って、東光物産のこともある程度言わないと、真相はわかっていただけないだろう、そういうことを申し上げた。その代理店には、やはり当時の職員が関係しておりまして、経理としては手をやいた。私の立場でございますよ。よそはやいていないでしょう。私の経理立場から手をやいた。そこで、いろいろ見ると、どうもその中が実は三つあった。内容が、一つと称して三つだった。非常に複雑で、経理として手が出なかった。そういうことで三福商事は実質的に分かれた。分かれたけれども、正式の認可はなかったけれども、実際動いている。それらの関係で、今度の矢野商事というものが出た。ところがだんだん本体の東光物産というものは非常に悪いということになって、どうして整理するかということで、いろいろ調べた。その結果は、これはどうしても東光物産だけの整理では進まない。そういうことから一連の問題としてこれは決定すべきであって、その認可があったから三福を認めるとか、矢野を認めるとかいうことはまずいじゃないか。よって、これは東光の整理としての問題において考えるべきだ。むしろ私は三福商事というのは資産内容がよくて当然これは認めるべきものだというようなことも聞いております。けれども、それは前々、東光の下請をしていた、そんな関係で、資産関係もある程度見なくては、東光の整理というものはできぬのじゃないかということから、私は経理立場から理事会として反対してきたわけです。まあしかし、それはいろいろ見解といいますか、三福を認むべきだとかいろいろあったと思いますが、それは一連のものとして整理をしてもらいたいんだということを話したために、そういうことが出ているわけであります。
  68. 雲野午三

    ○雲野参考人 どうも少し御説明申し上げないと……。
  69. 勝澤芳雄

    勝澤委員 簡単にやって下さい。
  70. 雲野午三

    ○雲野参考人 三福というものとその他二店が当時の大沼知事からの推薦であったのでございます。ところが三福は日立セメントを売っていたのでございます。そしてもっぱら鋼材の代理店でございます。そこでわれわれ考慮しなくてはならないのは、日立セメントをかたわら売りながら東北開発セメントを売るということは、どうも感心しないということで、当時の大沼知事にお断わりしたのであります。その次に現われてきたのが東光物産でございます。東光物産は内容そのものは悪いのでございますけれども、背景は、仙台の財閥でございまして今でも五十億ぐらい持っておるのでございます。前後しますが、あとの始末は土地を売ることになっております。それで払う。その東光物産にもとの秘書課長である矢野を入れろというような大沼知事から推薦があった。そうすれば東光物産を認めようじゃないか、それからついでに三福も一緒にしようじゃないか、一丸になってやったらどうだということがそのときの案でございます。内部にはいろいろ感心しない人がおりまして暗躍された結果、われわれの理想通りいきませんけれども、そういうことがごちゃごちゃ出てきたのであります。
  71. 勝澤芳雄

    勝澤委員 飯田商事はどうなんですか。
  72. 雲野午三

    ○雲野参考人 飯田商事の点は、実は何年でしたか……。
  73. 勝澤芳雄

    勝澤委員 三十五年の十二月、暮れです。——これは東京でございますね。
  74. 雲野午三

    ○雲野参考人 東京です。当時は市況がよくなくて、どうかして早く販売店を多少ふやしても売りたいという企業意欲からきたものと思います。
  75. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連してお尋ねしますが、きのう山形県議会で代理店の指定の問題についていろいろ論議があったのです。山形県では開発会社の依頼に基づいて三十三年の五月二十一日に四社を推薦した。それは富士鋳鉄管、三島建材、黒井電機、佐藤電機、この四社ですが、その中から黒井電機と佐藤電機が選ばれた、こうなっておるのですが、法務省の登録を調べてみますと、この黒井電機なるものは開発セメント販売KKというものを設立した。佐藤電機は開発商事というものを設立した。ところが開発セメント販売KKの方は、設立が三十三年の十二月二十三日で認可指定なんです。三十三年の十月二十二日、二カ月早く実体のない開発セメント販売KKというものを指定店としておる。こういうことが法務省の記録によってはっきりしておるわけなんです。開発商事の方は、設立が三十一年の七月二十四日で指定認可が三十三年の十月二十二日、同日で、これは実体のあるものを指定したということになりますが、前の方は指定した後に登録されている、こういう会社なわけなんです。それで、その四社の中から二社を選定した事情、それから今言った開発セメント販売KKというものが、実体がなかったのを実体があったとして指定をした経緯、その点は一体どうなのか。
  76. 雲野午三

    ○雲野参考人 この前も申し上げましたが、私は非常に頭が悪くて、その間の事情は一切部長にまかせまして、県当局の御相談の上やったはずでございまして、それを報告を受けました。問題点を回避するのじゃございませんけれども、東京に常駐しておりまして、月に一回程度行って報告を受けておる次第でございます。いずれにしても県から、黒井さんという方が非常に営業力があるという報告を受けておったのであります。人物についてはあまり感心しないというつけ足しもございました。けれども、その辺はあなたも御承知と思いますが、県御当局からこれならいいというお話でまとまったと私は思っております。
  77. 西村力弥

    ○西村(力)委員 よくわからないのですが、これならいいということは、四社は表面の推薦であって、実際は二社にしぼって推薦をしてきた、こういうことですか。
  78. 雲野午三

    ○雲野参考人 大体山形県で消費するセメントは二万トン末満でございます。それを四店立てるのは、私は営業面から見て無理だと思っております。そこで多分安孫子知事が華山さんに御相談したと思いますが、その御推薦せっかくですが一店ぐらいにしぼっていただきたいという意見を述べたことがございます。けれどもどうしてもだめだ、二店はやれ、それにはどなたの意見か、黒井さんの方がいいんだぞというようなお話を記憶しております。いずれにしてもわれわれの方針は、各県二店という点にしぼっておった、四店出ましてもこれは二店にしぼったわけです。先ほど申し上げましたが、宮城県からは大沼さんから強力に三店ございましたけれども、先ほど申し上げましたように、競合する点がございましたので、私は三福は非常にいいが、二次店に落としてあきまして、大沼さんと相談の上、一店にまとめよう、こういう考えでございます。山形のはそういう事情のもとに四店の御推薦を二店にしぼったと私は記憶しております。
  79. 西村力弥

    ○西村(力)委員 繰り返して申しますが、まだ会社が設立されていない開発セメント販売KKというものを指定したということは、これはどういうことなのですか。黒井電機という実体があるからこれを指定したということで、それは説明がつくのです。しかし、実際の前後から言いますと、実体のないのを指定しているということになっておる。
  80. 雲野午三

    ○雲野参考人 全くわれわれもその当時の何ははっきり覚えておりませんけれども、黒井というのはしっかりした態勢を持っているぞ、そこでその名前ではまずいから、開発の方を標榜するために、実は名前もまた忘れてしまったのですが、そういう代理店の名前に変更したのも県からの御推薦でやったと私は思っております。だから、時間的にはずれておりましょうけれども、実体はもうすでにあった、力はある、こういうことでございます。
  81. 勝澤芳雄

    勝澤委員 セメントの問題についてもう少し続けたいと思いますけれども、まだ問題がありますから次に譲って、次に、東北天然スレートというのがありますね、これはどういう会社でしょうか。私理事会の記録を調べても実にわからない。それで、雲野さん個人で理事会に諮っては金貸しをやっているわけですね。東北開発株式会社理事会にかけて、雲野個人で約三回ですか、融資をやっているのです、これはどういう御関係になっているのですか。副総裁なりあるいは雲野さん、どちらでもけっこうですから……。
  82. 雲野午三

    ○雲野参考人 天然スレートの問題では一番詳しく承知なさっておるのは渡邊総裁でございます。それからその間に私の名前をかりに出したいきさつも、これは当時のお役所の御承認を得ておることです。総裁に御答弁を求めていただきたいと思います。
  83. 渡邊政人

    渡邊参考人 お答え申し上げます。  東北天然スレートは宮城県の登米に本社がございますが、あの天然スレートというものは世界に三カ所しかない。特に北上山脈、あの登米地方にありますところの天然スレートと申しますか、学名で申しますと、玄晶石、これを以前から鉱業組合があそこにできておりまして、多数の鉱業組合が県のいろいろな助成のもとにあれを進めておりました。ところが私ども東北開発株式会社ができましたときに、この多数の組合員がいろいろやっておるけれども、非常な複雑した関係になっておるので、あれを何とか開発会社の一つの仕事の対象にして、やってくれないかという要望がございました。それで私どもはそれを考えまして、そうして三十三年でございますかのころから東北天然スレート株式会社を作って、これを助成会社にしていきたいという考えでいろいろ企画庁の方面にこれを相談いたしておったのでございます。そらしてその当時すでにあの企業診断をし、それからいろいろなスレートの鉱量等も日本鉱業の大谷鉱業所に依頼しまして、そうして企業計画も立っておりました。それを検討しまして、これならどうやらやっていけるんじゃなかろうかという考えのもとに私どもも取り上げ、さらに開発会社としましては企画庁にお願いして、これをただいま申しました通り、助成会社にしようと思っていろいろと折衝をいたしました。ところが、企画庁の方では御了承を願いましたのですけれども、だいぶ大蔵省の方で、予算との関係からもう少しこれは実体を強固なものにして、その実績のもとに今度は助成をしたらどうかというような意向も仄聞いたしました。それで当時は小野田セメントであるとか、あるいは日本鉱業等もその中に加えて株主とし、そうしてその企業体を強固にしたいと考えておりましたが、すでに相当下話も進めておりましたので、それならばあそこに約一千万円でございましたか、ちょっと金額は忘れましたが、それだけをとりあえず投資をする、しかし、これは正式に役所の認可がなければだめなので、とりあえず理事会に諮りまして、それなら雲野個人を一つわれわれの方としましては正式じゃないのでございますけれども、代表者として、そうしてあそこに役員を出す。そして経営上にもいろいろな意見を出してもらってやろうという考えであれを設立をいたしましたのです。そのときも全部これを過半数をもってこっちが完全にコントロールするような状態に置かなければならないというので、先方の鉱業組合員の持っておりまする採掘権の評価、こういうことにつきまして、いろいろと七十七銀行等あるいは大学の先生等にも診断を願いまして、それから評価も銀行を通じていたしました。そうしてあれを先方は、もちろん最初は千四、五百万のことを申しておったのでありますけれども、その評価を七百万にし、こちらは八百万持って、そうして過半数の株を持ってこれをコントロールしていく、こういうような条件のもとにあれが始まりましたのでございます。そらして、その一千万の融資につきましては、当時企画庁了解を得ておると思っております。
  84. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、理事会の記録をゆうべ借りただけですから、まだ不十分な点があると思いますので、その点は御了承願いたいのですが、そうすると、東北天然スレートの株を見ると一万六千株ですが、その株を三人で持っているのですが、そういうことなんですか。その点をちょっともう少し説明して下さい。雲野さんが一万四千株、それから山口さんというのが千株、佐々木さんというのが千株、こう持っておって、この一万六千株を対象に助成会社に移す、こういうような議事録になっているようですが、それは違いますか。
  85. 渡邊政人

    渡邊参考人 この三名になりましたのは、大体山口という人はその天然スレート会社の社長、それから佐々木というのが向こうの常務ということ、それから雲野氏、こちらの持ち株を三名の名義で持った、こういうことでございます。
  86. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、認可が出ないうちに雲野個人で一万四千株持たしたということですか、あるいは雲野さんが持っておった会社をこっちが助成会社にしたというのですか。その点どうなんですか。
  87. 渡邊政人

    渡邊参考人 これは先ほど御説明申し上げました通り、私の方では今後助成会社としてやろう、こういうことで向こうの理事会の相談で雲野氏にまずその八百万の株を持ってもらって、そうしてやろうということで、雲野氏の持っておったものを新たに助成会社としようというのではなかったのでございます。最初から、それは助成会社としてやりたいということで、そういうような処置をしたのであります。
  88. 勝澤芳雄

    勝澤委員 助成会社にするということをきめたのはいつですか。
  89. 渡邊政人

    渡邊参考人 これは三十三年度の予算の当時から地方産業の開発、地下資源の開発というようなことで、しかも地方の特産資源でありますので、これをやりたいということは当時の予算要求にもこれは出ておるのでございます。
  90. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、この一万四千株雲野さんが持っておるのは、その金は雲野さん個人から出たのですか、東北開発から出て株を買わしたのですか、名義は個人になっていますが、この点どうですか。
  91. 渡邊政人

    渡邊参考人 それは最初は、会社の方がその会社に結局一千万円の限度で融資をするということになったのでございますけれども、当初はとりあえず雲野さんに七十七銀行でしたかの方面から金を借りてともかく払い込んでもらって、それで追ってそれらに対する政府了解を得まして、一千万円の限度でその株を持つ、こういうことになったように思いますが、なお雲野さん一つ事情を少し……。
  92. 雲野午三

    ○雲野参考人 渡邊総裁もぼんやりして頭が、何か記憶が薄らいでいるようですが、実は三十二年の暮れから、この予算を編成するのに、三十三年にこの予算を計上したのであります。その当時大蔵省からの注意がありまして、それだけではだめだ、だれかいいもっと力のある者を呼んで来い、そうしてやるならわれわれの予算を認めようというお話が最初あったのであります。いずれにしても、特殊の産物をやろうじゃないかという御了承はあったのであります。そうして私の個人のものではございません。私は登米というところに、生まれて初めて参りまして、その発会式か発起人会かに出席を命じられまして行ったのでございますが、あくまで会社了解のもとに金融とかあるいは株を持つ、こういうことは全部会社の意向で、理事会の意向で、私が出たわけでございます。それでなお、この組み相手を総裁は小野田セメントと日本鉱業と申しましたが、小野田セメントと日満鉱業でございます。いずれも八百万円から一千万円を出そうというお話が進んでおったのでございますけれども、いろいろな事情で今日に至ったのであります。
  93. 勝澤芳雄

    勝澤委員 こういうことなんですか、これはずっと見ますと全部雲野個人でやっておるんですよ。ですから、雲野個人が借りるのは雲野個人が借りて、そして裏書きなり何なり東北開発でやったのか、それから株式取得の金はどこから出しだのか、それをこっちが買い取るときに金利その他はどうなったか、その点おわかりになりませんか、どなたでもいいですよ、わかる方なら……。
  94. 雲野午三

    ○雲野参考人 この株も、山本さんが一番事情に明るい人でありますけれども……。何か私が個人的に深入りしているように勝澤さんお考えのようですけれども、毛頭そういうことのないことを一つ頭から去っていただきます。  それで、そう言っちゃおかしいのですけれども、これには運転資金や何か非常にちょいちょいかかるのでございます。そうすると月一回の理事会に私が参りますと、向こうの理事営業部、常務とか経理の方が参られまして、資金不足しているということなんです。会社に泣きついてくるんです。けれども会社は出すわけにいかない。一千万円最初認可を受けまして出した以外は……。そうすると、地方銀行で顔のきくのは私一人であります。そこで私理事会に諮りまして、こういう保証をしてよろしいという認可のもとに、そのつど理事会の認可を得まして七十七銀行で私の判を使って立てかえておったのでございます。私は毛頭あれを食いものにしようとか——あなたどういうふうにお考えになっておりますか、全然知らないのでございます。ただ現物を見ております。それから、事業も有望である、専門家が数回参りましたが、これも有望である、ただ営業マンが足りない、こういうことでございます。
  95. 勝澤芳雄

    勝澤委員 金の関係の金利その他は、開発会社とどういう関係になっているのかということなんです。
  96. 雲野午三

    ○雲野参考人 その営業資材だけ私見ているので……。金利は正当に払っておりますね。あと山本参考人から……。
  97. 山本多市

    山本参考人 大へんどうも、私の知っている範囲、これも経理立場でございますが、総裁が先ほど沿革を話しましたが、あの通りでございます。ただ当時四千万円の認可申請に対して、それはまだ少し早過ぎる、千万円程度のところということで話がきまりまして、いずれそれが正式になったときはきめようじゃないかという政府立場でございました。従いまして、とりあえずそういう方向で進んだものですから、会社としては、一応これは政府責任がないことである、内々のそういういわゆる内認可みたいなものでございまして、政府としては責任のない問題だが、一千万円の範囲ぐらいならばよかろうということでございましたので、四千万円の会社を急に圧縮しまして、ずいぶん相手を泣かせたようでございます。そうして理事会は一千万円に対して、私ども当時資金不足しておりますから、保証しまして、一千万の保証——役員会であったと記憶しております。そうして雲野理事に対する保証をしたわけであります。それを役員会が認めて、その金で、つまりそれはいずれ子会社となるわけだから、雲野理事会社の委任を受けて株主になる、雲野氏が代表していくということであったと思います。ただ雲野さんに対しては一千万の範囲で保証する、こういうことであります。その後政府の正式の認可が出ましたので、その収支の借金は返した、こういうことでございますね。ただ今雲野さんが少しごちゃごちゃこまかいことを申しておりましたけれども、その間の運転資金は雲野さんの顔で借りて、会社のめんどうをみたというようなことを申し上げましたのです。ちょっと当時の出発を誤解しておったようでございます。
  98. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、この議事録を見ると大へんおもしろく思うのは、何か雲野個人で金を借りることについて理事会が承認を天然スレートに与えているわけです。このやり方が、責任の所在がどうなるか、内認可というのは、実際には内認可でないわけです。聞けば聞くほどこれは実はわからない。  そこで次にもう一つ問題をお尋ねしたいのですが、築地会館というのがあります。これは総裁の前に関係をしていた極東何とか何とかという会社のものなんですね。それを東北開発に貸した、こういうことになるのですか。
  99. 渡邊政人

    渡邊参考人 築地会館を借り入れますときの事情は、よく山本理事が御承知であります。それも、いろいろ大蔵省等の折衝によって、どうしても君たち、自己資金でやり得るならばそれはいいけれども、あるいは他に金融の方法があるならよろしいけれども——政府としては容易に認めなかったのでございます。その以前に、約一年半以上、私どもはごく狭いところに、机もなしにやっておったものですから、どうしても事務所を他に移転しなければならぬ、人間も多くなって参りますし、二カ所も三カ所もに分かれていては事務取り扱い上非常に不便だというので、どうしても部屋が一つにまとまったものがほしい、こういうことで、いろいろ政府の方にもお願いしておったのでございますが、そのときに、自分で金融といいますか自己資金と申しますか、その事情はよく山本理事が承知なんでございますが、それが金がないというので、結局、それならば私が認可を得てやっておりました極東マックグレゴー株式会社というのから二千万円貸してあったのでございます。そしていろいろな賃貸借に対する保証金を入れるとかいろいろなことをやりました。その事情山本理事が詳しゅうございます。
  100. 山本多市

    山本参考人 今の総裁のお答えは、大体いいのですがちょっと食い違いがございますので、私から御説明申し上げます。  実は、東北興業というものが破産的な会社で、自由になる金が一文もない。私どもも実は二カ年間机もなかったくらいの会社でございます。事務所もとても狭くて、来た人は病気をするというくらいな状態でありました。それが、なかなか政府からは事務所も認められなかった。たまたまその話が出て、認めることになったが、セメントが生産を開始するまではお前の方は四億円もの資金不足があるなら、それを早く返せ、それまでは事務所を認めるわけにはいかぬということで、そういうことでしたが、事務上どうしてもそこに移らなければならぬ事情にもなった。ところが自己資金が一つもない。もし自己資金が借りに行けるならば流用金の補てんを先にやらなければならぬ。そんなことから、金はなし、事務所は確保しなければならぬし、私としては、一体国策会社でこんな会社があるだろうかと実は考えた。私も約二カ年間机がなかったのでございます。机がなくてもまあ頭でわれわれ仕事ができますからいいのですけれども、職員はそうはいかない。結局それで移ることになりました結果、そのときでもなおかつ自己資金がなかった。金を借りてもそれは流用金の補てんに入れなければならなかった。それでは何でそれを出すかということになったので、私は、将来台ノ原の土地というものを——これは台ノ原の問題はちょっとおわかりにならぬと思いますが、それは流用金の補てんのために約二億円をもうける見込みで売った、私ども政府に出した予算以上にもうけた。それで、やがてそれを入れるということで、とりあえずそのつなぎとしてやるには個人的にだれか——政府は認めないし、だからといって事務所もやらないわけにいかぬ。個人的の顔でやってはどうかということで、総裁等は当面の大責任者でありますから、財界人でもあるし、その顔で一つ金を出してくれ、その敷金は国策会社総裁である総裁個人が、個人的な義侠と申しますか、それで出すといういきさつでございます。それがその後だいぶ資金が余ったので振りかえました。振りかえまして、現在はないと思います。その後それを返したと思っております。
  101. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、極東マックグレゴー株式会社から二千万円を渡邊さん個人名で借りた、そしてそれを副総裁の加藤さんが保証した、こういうことですか。
  102. 山本多市

    山本参考人 それは当時雲野理事の名前でマックから借りたのです。渡邊さんは借りたのではない、貸し方です。雲野の名前で借りましたところが、これがまた問題となりまして、雲野がけしからぬことをしている、つまりあそこで何か権利でもうけておるのじゃないかというので、だいぶ投書がございまして、非常にやかましい事件でした。それで、これは敷地も何もなくて、金がなくて犠牲的にやったものをたたかれる手はないということで、この際は雲野という名前は誤解を受けるから、むしろ副総裁の名前をとった方が公明である——当時加藤さんの名前を出すということは公明でございまして、雲野さんでは不公明ですから、全部疑惑の人なんですから、だめなんです。極端なことを申して、雲野さんではこれはまずい、やはり世間の誤解というものは大へんだから、加藤さんが借りるんだったら、だれも心配しないのじゃないかというので、加藤さんに当時お願いしましてやったことを私は記憶しております。
  103. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、築地会館というのは、築地産業株式会社のものなのですね。
  104. 山本多市

    山本参考人 さようでございます。
  105. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そしてお金がないから、マックグレゴーから雲野さんの名前で借りておったのを、雲野さんでは悪いから加藤さんの名前に切りかえた、こういうことですね。
  106. 山本多市

    山本参考人 さようでございます。
  107. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、ハードボード工場の操業開始がおくれておりますけれども、これはどういうわけでございますか。
  108. 雲野午三

    ○雲野参考人 今考えますと、おそらく機械の内地着がおくれたからだと思います。
  109. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは私も承知をいたしております。機械がおくれた理由を聞いているわけです。どういう関係でおくれたか。また聞いてみますと、日本にスエーデンのガディース社という代理店があるにかかわらず、丸紅飯田を通じたということですが、機械がなぜおくれて、どういうことになったとか、代理店関係はどうなのか。代理店の手数料の問題で、丸紅飯田とそれから向こうの直接の関係の手数料が少し高過ぎるじゃないかという交渉が議事録には載っておりますけれども、その間のこと、これは監督官庁でも、どなたでもいいですが、どうなんですか。大体私の言っているのは、問題になったことを聞いているのですから、何も問題になっていないのに聞いているのじゃないのですから、そう皆さんもわからないはずはないと思うのですがね。
  110. 雲野午三

    ○雲野参考人 どうも勝澤さんは書面をもってお尋ねになっておるのですが、私どもは非常に数字の点はぼんやりしておるのです。何しろ三%の手数料というのに対してだいぶやかましくいっていたことと、外貨を送るのがおくれたのか、何かそんな事情もあって、それからわれわれの方の契約がおくれたんじゃないかと今になって思いますが、いずれにしても、スエーデンの方では相当うるさい問題が起きたように記憶しております。  それからもう一つは、船の問題になりますと、私の得意の場でございますが、向こうに、スエーデンに回る船が内地にはないのでございます。そこでドッドウェルというのに交渉しましたところ、その定期便が、われわれが交渉してから一カ月半くらいで入りました。そんなことが総合しておくれたのではないか。  もう一つは、不幸にも横浜へ機械をあげたときに、何かはしけが転覆しました。そこで、それを洗うか何かしましたが、それもおくれたことの一つの原因であったと思います。
  111. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そのときの契約状態はどういう契約になっているのですか。これは据付になっているでしょう。据え付けて引き渡しということになるでしょう。それがおくれたときには違約金の問題が出て参りましょうし、それから日本の代理店をだれにやったかという問題も出て参りましょうし、それから私が言ったように、向こうの直接会社があるにかかわらず、丸紅飯田を通じた、この辺のところはどうなんですか。
  112. 山本多市

    山本参考人 どうも私が全部知っているようでございますが、私の立場は、最後の金を払うということですから、全部には関係がございますが、しかし、それはとても私の頭ではのみ込めないのでございまして、資材担当の方が当時それをやっていた、それは雲野理事がやっていたと思いますが、その後私の聞いておりますところでは、おくれたというのは、やはり手数料の関係で、雲野氏はまけさせるように非常に努力したと私記憶しております。何か向こうの言いなり次第ではだめだ、これを徹底的にまけさせようというので、もみにもんだのですが、それがいろいろなことで向こうがなかなか承知しないために交渉が長引いて、それでおくれたというように聞いておりますが、それ以外の、金以外の面については、私にはちょっとわかりません。
  113. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今の答弁は、私の承知している範囲では違います。ですから、ここにもしどなたかおわかりになる方がおいでにならなければ、何部長がよくわかるということをここではっきりしておいていただきたい。
  114. 雲野午三

    ○雲野参考人 その事情に詳しいのは石田部長でございます。
  115. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、どういうわけで直接に日本に代理店があるにかかわらず、丸紅飯田を入れたのですか。その点はわかりませんか。
  116. 雲野午三

    ○雲野参考人 これは私が思うのに、丸紅飯田をわずらわしたのは、いろいろな外国商社がございますが、日本語の方がぴんとくる関係と、丸紅飯田が向こうとの特約店でございますので、それと折衝したと聞いております。
  117. 勝澤芳雄

    勝澤委員 直接日本にいるんですね。ガディース社というのですか、いるわけですね。
  118. 雲野午三

    ○雲野参考人 はい。
  119. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それにかかわらず、これを入れたために手数料が上がっているわけですね。高いわけですね。ですから、そういう点がおかしいわけですね。それはわかりませんか。
  120. 雲野午三

    ○雲野参考人 その点で私は、約二カ月か三カ月かかって手数料をただにさせるようにという交渉に移っていたのであります。
  121. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから今度は、ハードボード工場の代理店ですが、こういうような話が出ている。このハードボード工場は、おそくとも十月初めにできるということを理事会で何回も言われておった。ところが実際は翌年の四月の二十五日になっている。ですから、それでおくれた。このおくれた原因というものは、今言われましたようないろいろな点があると思いますが、しかしその契約の問題も何も実は出されていないわけです。実際には契約があれば、これは何かあるはずです。その中で、今度は代理店の問題では、工場建設当時の経緯もあるので、製品の販売については、半分は丸紅飯田、半分は三菱商事に取り扱わせるようにしたい、こういうことが理事会で決定になっているわけですが、聞くところによると、値段が開発ボードが一平方尺十四円五十銭だというのに、市価は十六円だ、こう言っているのです。ここのところはどうなんでしょう。代理店には特別安くしている。
  122. 雲野午三

    ○雲野参考人 まずあなたの御質問の前半にあるおくれたという問題です。十二月にやるのが四月になったというのは、一月から試運転をやっているわけです。先ほどの海没もございまして、おくれた原因もそこにございますが、何しろ試運転して作ってみない限りは、製品のいかんがわからなかったわけでございます。それで多分四月に販売に移ったのではないかと思うのでありますが、市価より安いという点は私は承知しておりませんけれども、新しい製品でございますので、当時あるいは勉強したということがあったかもしれないと思います。  代理店は三菱及び丸紅がこの種の扱いには日本でも相当数量がいっているという報告によって、理事会で諮ったと記憶しておりまます。
  123. 勝澤芳雄

    勝澤委員 おもな点に来るとあまりよくわからなくなってしまうのですが、次に、この前お聞きしました仙台に三和土地という会社があるわけですね。これが仙台でだいぶ宅地造成をやっているわけですね。これは先ほど山本理事の方からも言われたのですが、この宅地分譲というのは、東北開発株式会社法の事業内容のどこに当てはまるのですか。この点を、監督官庁の方でもいいです。
  124. 山本多市

    山本参考人 どうも私ばかり申し上げるようになりますが、これはここに書いておきましたが、東北開発株式会社東興時代に事業資金が四億も流用されて、とても動けない状態だった。たまたま私は全部一晩で回ってみたら、一千万で担保に入っておったのがあの土地でございます。そこで私も若干土地に経験があるのですが、これはものになるということで、とにかく四億の計画を立てなければなりませんけれども、あらゆるものを全部売って何もないところからやるのですから、四千八百万の値打ちがあると官庁報告した、正味は七、八百万でございましたが……。それも一つ流用金を補てんするものの一部に入れてくれということを内々事務当局にお願いしました。それが今度は一つ三和土地というのが前に東興時代に関係した人でありますが、割とまじめによくやるということで、それに頼んで、全部住宅地にして売ればかなり収益が上がるのではないか、——当初は四千八百万よりなかったわけですね。普通ですと、請負業者にやりますと、一億かかるとか二億かかるとかいって、とても問題にならない。金がほしいのですから、それじゃだめだ。逐次やりながら売っていくということで、金を補てんしなければならぬということで計画を立てたわけです。そこで、三和土地というものを——社長はたしか田中というまじめな男ですが、それを信頼して与えた。そこで、そのときはもちろん事業ではない。会社からいえば雑種財産といいますか、会社のくずだったわけです。くずをものにする計画であったから、事業という考えはなかった。千万くらいしか入ってなかったわけですね。私ここで二億くらいはもうけてみせようということで、そう言って理事会にかけると、なかなかいい案が出ない。わしはわしのものの考えでやってみるから、流用金の補てんまではやるから、わしにまかせてくれということで、私は東京勤務でしたが、ときどき行って監督して、それをどんどん次々にやって、結局これは二億くらいになったと思いますが、そういう意味で補てんもし、またもうける計画以上の金で事務所を認めてもらったということを記憶しております。その後その会社の問題はたしか総務か何かで、流用金問題が解決したら、私は経理なんか事業にタッチする必要はないのだということで、総務にまかせたような記憶があります。そういういきさつがあるのであります。
  125. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私の聞いているのは、株式会社法の十条のどの項に当てはまるかという質問をしておるのです。おわかりになりますか。経済企画庁の方で言って下さい。
  126. 浅間一彦

    ○浅間説明員 これはちょっと前のことでございまして、やってよろしいという詳細な内容については承知いたしておりませんが、おそらく当時の監督官庁立場としては、事業内容としては明記されておらないことでございますが、当時の会社資産内容等から考えて、いわゆる事業ではない、廃品処分と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、何かそういうような意味でやってもよかろうというような承諾を与えたものだと思うのです。
  127. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は十条のどれに当てはまるかということを聞いておるわけです。当てはまらぬということですね。
  128. 浅間一彦

    ○浅間説明員 十条の項目には当てはまりません。
  129. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、微々たるものだから、こういう言い方をしましたけれども、今、山本理事発言によりますれば、旧債を補てんするために有利な事業だと考えてやっておるわけです。私は内容がいい、悪いを言っておるのではありませんよ。とにかく株式会社法というのがあって、事業が一から六項まできまっておるにかかわらず、それ以外のようなことまで見のがしてやっておったわけではない。有利だからやりなさい。調べると東北開発株式会社というものは何でもかんでもやっておる。みんなそれが手詰まりですよ。こうなっておるから私は言っておる。  その次に、前回質問しました中外鉱業に対する融資の問題です。三十五年度末までで五千万、これは何か鉱区を買うための仮払金で払っておるというようなことを聞いておるのですが、これはどうですか。この前聞きましたが、よくわかりませんでしたが、山本さんわかりますか。わかったら言って下さい。
  130. 山本多市

    山本参考人 私は経理でありますからこの範囲で申し上げますが、鉱区の取得ということが砂鉄事業に重大な関係があるが、今価格その他の問題でなかなか認可がおそいために、時期を失するというようなことがかねがね当社の考え方であったわけです。そこで、当社もさらに鉱区がほしいというので、担当理事は雲野さんですが、とにかく認可はそのときに持っていって認めてもらえばいいのではないか。そこで一時そういうものに鉱区を押えてもらう、金を貸して、そこで有利にやって、それを事実上今度買い取るときには、官庁にその値段をよく審議してもらってやるという方がいいのではないか。私もいろいろな見地から、当時たしか鉱区取得の金が三億か認可されておりましたので、その意味のことならば内容が——相手の中外鉱業もとにかく上場株にもなっておる会社だし、相当権威があるということを総裁も言われておるから、それならたしか五千万ですか、一時貸して、それぞれ鉱区を買うときに事実上の認可をしていただければいいのではないか。しかし、それは取得の前提であるけれども、ただ貸すわけにはいかない、無利子ではだめですよ、いよいよというときに取れなくなっては困るから、それでその金がただでは困るから、八分たしか金利をつけてくれということの記憶があるのですが、金利をつけて貸してやったのであります。ところが、それは実は私の記憶では、その後これが企画庁で非常に怒られたのでございます。これは認可事項ではない。私も失念して申しわけなかったのだが、私もそういうことはできると思ったが、ずいぶんしかられまして、ここにおいでの局長さんにも、ずいぶん怒られて、それじゃ困るじゃないかということを言われた。ただ私ども釈明申し上げたのは、何も悪意はないんだ、実際に鉱区取得認可のときに官庁がよく御監督になればいいんじゃないか、そういうことを言われると、われわれも営業のやり方としてつらいということを申し上げまして、一応それは局長にもあやまりましたのですが、これは債権のためとかそういう気持の金でなかったように私は記憶いたしております。
  131. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今そのものはどうなっておりますか。山中総裁おわかりになりますか。
  132. 山中徳二

    山中参考人 中外鉱業の所有鉱区につきましては、両方から調査委員を出し合いまして、こちらが買収し得る鉱区があるんじゃないかということについて、ただいま調査中でございまして、たしか鉱区が全部で六十四件になりますが、そのうち青森県の田子地区と秋田県の大湯地区、これが相当有望でありますので、先方と実収精鉱量について数量の詰め合わせをやっておりますが、可採条件等による数量の食い違い等がありまして、なお計数を事務的に詰め合わせておる段階であります。それとその地区からとれます砂鉄につきまして、ただいま東北大学の方に依頼いたしまして、品質等の試験をやっておる、こういう段階でございます。
  133. 勝澤芳雄

    勝澤委員 五千万円は今どうなっておりますか。
  134. 山中徳二

    山中参考人 ただいまはこの買収の問題と申しますか、買い取りの問題の解決のつきますときに、その貸付の問題を整理するということで、今貸付の状態そのままになっております。
  135. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先ほどから山本理事が金繰りの問題をたくさん言っておりまして、そういう立場から監督官庁にもしかられた、こう言われております。今もってまだ五千万円そのままの状態だ、利子をもらっているからいいじゃないか、こういうものは私はちょっとと理屈が通らないと思う。監督官庁としてどうお考えになっておりますか。
  136. 財前直方

    ○財前説明員 この件につきましては、企画庁といたしましては、先ほど山本参考人からお話がございましたように、法の許す範囲のというお立場でもってやっておられると思いますけれども、資金繰り予ての他の状況から見て好ましくないというあれでもって、至急一応返してもらいたいというような措置をとってくれということを会社側には言っております。ただ、実際問題といたしまして、会社処理に非常に苦慮しておられるというふうに思います。
  137. 山本多市

    山本参考人 その問題で引き継ぎ書に官庁から言われたということも書いてございます。私の会社資金繰りの問題では二つの面があるわけであります。つまり事業資金の部と一般の部です。とにかく一般の部は最初からもうまるでてんやわんやでございます。だんだんよくしたということを私は申し上げております。そこで、そういうものは、先ほど申し上げた三億円の鉱区取得認可を得ているその範囲の中なら別に理由をきめないのだから、そういう意味であまり御迷惑をかけることじゃないからよろしいのじゃないかということを私は考えた。それが後ほどだいぶ怒られまして、まあそれならそれで善処すべきじゃないかということでこの事務引き継ぎは——もちろんあのときは正式書面は参りませんでしたね。単に口頭の御注意であるということを私もここの引き継ぎに書いておきました。しかし、それはよく御検討願っていただかなければならぬと、当時の事情をるる、あのときは総裁みずからが御説明申し上げた。確かあれは局長さん、総裁みずからでございますね、局長さんに申し上げたというふうに私は記憶しております。
  138. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私はこの話一つ取り上げてみても、大へんおかしな話だと思うのです。とにかく調べなければわからぬにかかわらず、五千万円、まあ貸付業を東北開発はやっているようなものですよ。それで金利を取っている。それで今調べている。まだわからぬ。これはまだ相当わからないでしょう。相当わからないことが中外鉱業が有利なんですよ。これは安い金を借りていて一番いいわけですからね。しかし、それも監督官庁から言われたにかかわらず、そのままになっている。なかなか解決が困難だ。いや、先ほどの会計検査院なり監督官庁に対する東北開発の考え方をもってすれば、大したことはないということになると思うのです。まことに私は残念だと思うのです。  次に今度は私は砂鉄の埋蔵量の問題、これは引き受けられてから新総裁のもとでやった埋蔵量百万トンというやつですね、これが食い違っている、確かに前回渡邊総裁から聞いたときも食い違っておる。一体あの埋蔵量というのは、ほんとうは幾らなんでしょうかな。山のことだからわからないとあなたは言う。わからない話だったら、しなくてもいいと思う。それだったらなぜ百万トンを根拠にして買ったかというのです。だから、わからない話で山をかけて買った、そういうようなことをやるような会社運営になっているのかどうか、その点まで含めて一つ御答弁を願いたい。
  139. 渡邊政人

    渡邊参考人 お答え申し上げます。私ども最初三倉鉱業の山を買収しよう、こういう考えで、これはまず第一番にはやはり山の鉱量の計算でございます。その鉱量は、やはりそれぞれの一応専門家によって調査をいたしまして、それは学識経験者に依頼をしまして、そうして最初の九鉱区、大畑外八鉱区で約百万トンと推定しましたのは、当時の学識経験者の調査によりますと、精鉱量が百五十万トンあるというような報告に基づいて、これをだんだんと先方に折衝をいたしまして、百万トンにこれを下げて、そして単価九十五円、九千五百万円で最初の鉱区は買収したのでございます。それから、その鉱量を一々やるということは、これはどこの鉱山業者でも、またその鉱業者でもむずかしいことでございまして、一応やはり学識経験者の地質の方面であるとか採鉱の学者であるとかあるいは実際家であるとか、そういう人々の意見を徴しまして、大体の鉱量をきめてやるのが現状でございます。これを全部量があるとかないとかいうことは、ほんとうは最後にいって採掘してみなければわかりませんので、やはりそれに非常にうまく当たることもあります。多少食い違ってくることもありますが、あのあとからやりましたというのをちょっと見ますと、あの九鉱区で八十七万幾らになったようにちょっと承知いたしております。私どもは、それを折衝しまして、百万トンということにきめたのでございます。そのときの折衝のやり方については、全部やはり調査資料を基礎にして、理事会にかけて、そしてこれもあの値段に値切りますのには、予算関係等もありまして、だいぶ山本理事が過酷だと思われるほどの条件を出して、あれは取りきめたように思っております。
  140. 勝澤芳雄

    勝澤委員 経済企画庁お尋ねしたいのですが、この山は百万トンと言われておるけれども、実際にはいや十万トンぐらいだとも言われておるし、また前会の総裁の話でも、いや七、八十万トンという話が出てみたり、まことに不可解千万な埋蔵量なんですが、監督官庁としては一体どの程度まで確信を持って、この埋蔵量を——問題になってきたのですから、一体どの程度と確定をされたのですか。その経過を見てみますと、この衝に当たった人が、今司直の手で調べられておるわけですね。ですから、ますます実はわからなくなっている。それで、これは一体どの程度までわかるものなんですか、あるいはどの程度まで不明確なものなんですか、その点を一つ。
  141. 渡邊政人

    渡邊参考人 その前に、今勝澤委員の言われたことはちょっと私の言うたことと違うようでありますから……。私どもは、最初いろいろな鉱量を計算して、これを精鉱量と申しまして、大体は鉄の五五%までのものにしてこれが何トンあるか、こうきめるのでございます。それが、たしか百五十万トンといったものを百万トンにまで値切って、そうしてその量をきめたのですが、たしか鉱山部の者が検査をして、その九鉱区のうちの一鉱区の分だけを非常に少ないものだと言ったのが、非常に誤解のもとのようでございますが、その後私ども退任しましてから、九鉱区全部についての調査をしますと、これがやはり大体八十七万トンある。これは今の総裁になってから後の話でございまして、私どもは、当時百万トンというふうにして買ったのでございます。
  142. 財前直方

    ○財前説明員 先ほどの御質問に対しましてお答え申し上げます。  私たちの承知しております範囲では、あの山の取引は、若干の調査ぐらいで売買が行なわれているということだそうでございますけれども、東北開発株式会社のように国策会社である場合は、そういうことが許されませんので、相当綿密な調査をいたす。この調査につきましては、お手元に「三倉鉱業関係鉱区の埋蔵鉱量について」というのをお届けしてあると思いますけれども、このように一応ここに出ております先生方は、みな権威者だと思います。こういう方々の御調査の結果を信用するという以上のことは、私たちはちょっとできないわけであります。
  143. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今まで砂鉄事業に導入した資金と今後の計画、これはどうなっていますか。
  144. 財前直方

    ○財前説明員 準備費として三十三年以降五億円計上し、支出されております。それから三十六年度に四億円、三十七年度に十六億五千万円の予算が計上されておるわけでございます。事業関係だけで、製鋼所を作るという関係の予算が、大体三十六億円というふうに予定しております。それからそのほか、鉱区等につきまして、なお若干の予算を計上しなくてはならないと思いますけれども、この点についてはまだよくわかっておりません。
  145. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでどういう形で経営をやるのですか。
  146. 財前直方

    ○財前説明員 この点につきまして、会社の方に急速に御検討いただくということをお願いしてあるわけでございます。本来ならば、もう今ごろある程度見通しがついておるわけでございますけれども、いろいろ会社のごたごたがあったり何かして、検討がおくれておるようでございます。
  147. 勝澤芳雄

    勝澤委員 砂鉄の今後の事業がどういうふうに進んでいくかということは、私はこの会社には大へん重要なものになっていると思うのです。そういう点で埋蔵量が食い違っている問題についても質問をしたわけでありますけれども、今後のやり方についても、今までと同じようなやり方でやれば、これは金をつぎ込むだけで採算がとれないものになるんじゃないかと、私は実は懸念をしておるわけです。その点については、監督が不十分であったというようなことをこれから持ち出されないように、一つ気をつけていただきたいと思うのです。  それで次に、今度は土地造成の問題に入るわけですが、この土地造成の中には、先ほど私が質問しました宅地造成というのは資料に入っていないのですが、これは入っていないのですね。
  148. 山本多市

    山本参考人 入っておりません。
  149. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで、東北振興株式会社当時の負債は、どのくらいあったのですか。それをどういうふうな形で引き継ぎを受けたのですか。
  150. 山本多市

    山本参考人 実は私ども、任命が三十二年の九月の七日でございました。その前に、総裁は、八月一日でございましたか、かわっております。その際には、私はあとに経理としていきましたが、総裁は何も引き継ぎがなかったということでございました。そこで、総裁としては何か公認会計士に頼むという考えは持っておったが、私が来て、初めていろいろ調査に乗り出したわけでございます。その結果、再評価積立金と申しますか、あったと思いますけれども、決算上はりっぱな会社だということになっておったところが、その当時は、ほとんど職員の退職金も払っていないほど、いわゆる四面楚歌と申しますか、ひどい会社になっておった。そこで調べてみたら、何せもう銀行でも金を全然貸してなかった。ある意味では借金ばかりである。これをどうしていくか。しかも、先ほど申しましたように、政府社債等の消化は、その当時たしか十二億ぐらい消化しておったと思いますが、セメントの方には七億ぐらいしか出てなかったと思います。従って、それが要するに利用されておったということなんです。そこで実は大蔵省でも驚きまして——何か前の蓮池さんが一札出しておったようです。絶対利用しないのだということだったらしい。私も、こういう男ですから、総裁を前に置いて、蓮池さんをくそみそみたいに言ったことがある。あなたはけしからぬじゃないか。もっと公明に引き渡しなさい。蓮池さんには言い分があって、前々悪かったのを私たちは苦労してやったのだ——さてそれでどうすればいいかというと、どうにもならぬ。銀行は三井の築地と三菱の丸ノ内しかなかった、ほかは全然動かない。形は二十五億か何かの設備資金がつきますけれども、それは建設に使う金であって、しかも、先ほど申しましたように、建設資金はすでに使われておる。四億足りないということは、それを全部補てんしても零となるだけで、それは動かない。さらに四、五億を必要とするのである。そこで苦労していろいろお願いしまして、社債の、何と申しますか、必ず迷惑をかけぬということで、社債が出て、その金で少しつなぎをしてきまして、どんどん補てんをしていった。その大部分は、鉱業を中心とする協調融資と申しますか、その当時二億一千万円がまとまりましたが、それは各銀行こぞって反対したが、幸い興銀が非常に同情的でございまして……。
  151. 勝澤芳雄

    勝澤委員 旧債がどれだけあったかという質問をしておるのですよ。
  152. 山本多市

    山本参考人 旧債としますと、ちょっと私も書類を持っていないが、債務としますれば、社債の発行が当時二十億とか何とか、債務があるわけですね。その他いわゆる資材等の債務とか、こういうものがあるわけです。そういう程度でございます。しかし財産としてはもうない、こういうことでございます。
  153. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先ほど私が質問いたしました三和土地のを見てみますと、ここでもうけたもので、ある程度旧債について補てんをするような措置を考えられておったようなふうに見えるのですよ。ですから、私は、旧債を今度の会社はどういう形でやられたか、大体幾らくらいでどうなっているか、それをお聞きしているわけです。
  154. 山本多市

    山本参考人 当時東光の資料を持ってくるとわかるのですけれども、私は、要するに債務が、あるべき金が——債務というのは、やはりその当時政府社債だったわけです。それから各県のも、たしか預金部資金から出ておりまして、各県が二億か三億貸しておったと思います。それがセメント資金にもなっておった。ちょっと計数が違うかもしれませんよ。それが設備費として実際出ておるのが、七億しかない。それが現状でございますから、それを補てんしなくてはならないわけです。設備が進むと、金の持ってきどころがない。そこで債務とすれば二億か三億、あまり金を貸す人がいない。ですから、そういう意味の金は、大体政府債務くらいしかなかった。その程度しかなかった。ただ金が、設備資金が、そういう工合にその中で使われておった。やがてそれが返してやらなければならぬ金になるんだ、こういうことでございます。
  155. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、相当の借金の引き継ぎを受けた、こういうことなんですか。
  156. 山本多市

    山本参考人 さようでございます。ちょっと説明しますと、普通の民法でいう限定相続をしなかった。限定相続すれば、こんな苦労はなかったのだ。当時大蔵省も考えて、これならむしろ開発会社の子会社に指定した方がよかったんではないかという、ある一部の意見もございました。それを一本にして出さないのに、今日私どもが非常にもたもたしておるというふうに見られた節もあるのじゃないかと、私ども非常に残念に思っております。
  157. 勝澤芳雄

    勝澤委員 本会議の時間も近いようですし、あとまた土地の造成に発展をしますと、だいぶ長くなりますから、また、先ほど出されました山本理事釈明書も、もう一回審査さしていただきますので、一応ここで私はあとの質問を保留さしていただきます。  きょうは終わります。
  158. 西村力弥

    ○西村(力)委員 山本理事が引き継ぎの場合に、伊藤総裁山中総裁に、それですが、それを送られた。それを全然見てもおらないわけです。いずれにしましても、それも一つ資料として出してもらいたい。
  159. 鈴木仙八

    鈴木委員長 この際、委員長より経済企画庁当局に申し上げますが、去る三月八日の委員会において、勝澤芳雄君より要求のありました資料、すなわち昭和三十四年度以降の理事会の議事録の写し及び土地造成関係の資料をできるだけすみやかに御提出いただきたいと存じます。     —————————————
  160. 鈴木仙八

    鈴木委員長 参考人出頭要求についてお諮りいたします。  東北開発株式会社会計に関する件の調査のため、なお参考人出席を求め、調査を続行いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。  なお、参考人出頭の日時及びその人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  さらに、西村委員から要求がありました資料の提出をお願いいたします。  本日はこの程度にとどめ、来たる十五日、引き続き調査を行なうこととし、これにて散会をいたします。    午後一時三十五分散会