運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1962-03-03 第40回国会 衆議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月三日(土曜日)    午前十時十七分開議  出席委員   委員長 鈴木 仙八君    理事 荒舩清十郎君 理事 木村 公平君    理事 高橋 英吉君 理事 小川 豊明君    理事 勝澤 芳雄君 理事 西村 力弥君       字田 國榮君    鈴木 正吾君       濱田 正信君    藤井 勝志君       久保 三郎君    芳賀  貢君  出席政府委員         外務政務次官  川村善八郎君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     佐藤 正二君         外務事務官         (移住局長)  高木 廣一君         農林政務次官  中馬 辰猪君         農 林 事 官         (振興局長)  齋藤  誠君  委員外出席者         外務事務官         (移住局外務参         事官)     鶴我 七藏君         農林事務官         (振興局拓植課         長)      三善 信二君         会計検査院事務         官         (第一局長)  秋山 昌平君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月二十七日  委員久保三郎君、芳賀貢君及び森本  靖君辞任につき、その補欠として堂  森芳夫君、高田富之君及び山口丈太  郎君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員高田富之君、堂森芳夫君及び山  口丈太郎辞任につき、その補欠と  して芳賀貢君、久保三郎君及び森本  靖君が議長指名委員に選任され  た。 同月二十八日  委員久保三郎君、芳賀貢君及び森本  靖君辞任につき、その補欠として永  井勝次郎君、高田富之君及び山花秀  雄君が議長指名委員に選任され  た。 三月一日  委員永井勝次郎君及び山花秀雄君辞  任につき、その補欠として久保三郎  君及び森本靖君が議長指名委員  に選任された。 同月二日  委員久保三郎君及び森本靖辞任に  つき、その補欠として長谷川保君及  び矢尾喜三郎君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員長谷川保君及び矢尾喜三郎君辞  任につき、その補欠として久保三郎  君及び森本靖君が議長指名委員  に選任された。 同月三日  委員高田富之辞任につき、その補  欠として芳賀貢君が議長指名で委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和三十五年度一般会計歳入歳出決  算  昭和三十五年度特別会計歳入歳出決  算  昭和三十五年度国税収納金整理資金  受払計算書  昭和三十五年度政府関係機関決算書  昭和三十五年度国有財産増減及び現  在額総計算書  昭和三十五年度国有財産無償貸付状  況総計算書  昭和三十五年度物品増減及び現在額  総計算書      ————◇—————
  2. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  昭和三十五年度決算外三件を一括して議題とし、外務省所管について審査を進めます。  まず所管決算概要について、外務政務次官より説明を求めます。川村政務次官
  3. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 昭和三十五年度外務省所管一般会計歳出決算につきましてその概要を御説明申し上げます。  歳出予算現額は百三十七億九千四百五十八万三千三百三十九円でありまして、支出済歳出額は百二十五億五千三百五十一万七百七十四円、翌年度繰越額は九億七千六万四千二百六十六円、不用額は二億七千百万八千二百九十九円であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額百二十九億四千百九十七万一千円、前年度繰越額六億三千九百六十五万七千三百三十九円、予備費使用額二億一千二百九十五万五千円でありまして、前年度から繰り越したものは、技術協力実施委託費一億四千二百九十五万二千二百五十一円、海外技術センター等事業実施委託費一億六千百二十五万一千円、国連児童基金拠出費六十六万七千九十四円、移住者渡航費貸付金二億四千三百九十九万九千九百十四円、在外公館施設費五千八百十二万八千円、在外公館職員宿舎施設費九百六十五万九千八十円、ローマ日本文化会館建設費二千三百万円であります。  予備費使用額は、退官退職手当の不足を補うために必要な経費二千二百三万六千円、国連警察軍コンゴ派遣費負担金に必要な経費一億九千九十一万九千円であります。  支出済歳出額のおもなものは、国際連合その他各種国際機関に対する分担金等に十二億四千五百七十五万四千円、国際情勢に関する国内啓発海外に対する本邦事情啓発宣伝、及び文化交流事業を通ずる国際間の相互理解促進に要した経費二億六千四百十万円、貿易振興の一環として輸入制限対策の強化及び経済技術協力関係経費としてコロンボ計画実施中南米中近東等に対する経済技術協力等のため九億九千五百六十二万一千円、中南米諸国への移住者及び派米農業労務者を送出するために要した経費十二億九千九百八十五万二千円であります。  そのおもな実績について申し上げますと、貿易振興のための諸施策につきましては米国においては議会、公聴会等への出席陳述貿易団体との連携、対米輸出促進のためのPR活動等方法により、またカナダ、豪州及び欧州においては業界の動向に関する情報の収集、日カ日豪及び対欧州貿易促進必要性PR等を行ない輸入制限運動の阻止に努めたのであります。  技術協力実施につきましては次の通りであります。一、技術研修生受け入れでは、コロンボ計画によるもの十二カ国二百四十三名、中近東アフリカ地域十一カ国六十九名、中南米地域十二カ国三十五名、原子力関係七カ国二十三名、その他のアジア地域一カ国四名、計四十三カ国三百七十四名、二、専門家技術者派遣コロンボ計画によるもの十三カ国百九十名、中近東アフリカ地域七カ国三十三名、中南米地域七カ国十名、その他のアジア地域一カ国四名、計二十八カ国二百三十七名、さらに移住振興につきましては、中南米等への移住者送出実績は八千三百八十六名で他に派米短期農業労務者六百二十名が送出されております。  次に、翌年度繰越額について申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定による明許繰越額は八億五千二百五十三万一千九百六十七円で、その内訳は、技術協力実施委託費一億七千四百七万九千五百七十六円、海外技術センター等事業実施委託費二億一千九百四万五千三十八円、メコン河開発事業調査委託費二千三百二十九万七千円、移住者渡航費貸付金一億七千七百五十万七千五百六十五円、移住者支度費補助金一千三百二十一万七千三百円、在アメリカ大使館事務所増築工事費六千七百万五千円、在オーストラリア大使館公邸営工事費二千三百五十万二千五百四十六円、ローマ日本文化会館建設費一億五千四百八十七万七千九百四十二円、また、財政法第四十二条ただし書きの規定による事故繰越額は一億一千七百五十三万二千二百九十九円で、その内訳は、海外技術センター等事業実施委託費五千七百九十一万一千円、横浜移住あっ旋所新営費四千七百六十二万一千二百九十九円、アマゾニア日伯会館建設費補助金一千二百万円であります。  不用額のおもなものを申し上げますと、国際分担金その他諸費では、国連総会で決定されたわが国の国際連合分担金が当初予定した額より少なかったこと等、在外公館では職員手当が当初予定した額より少なかったこと等のためであります。  以上、当省所管一般会計歳出決算についてその概要説明申し上げました。
  4. 鈴木仙八

    鈴木委員長 続いて会計検査院当局より、検査概要について説明を求めます。秋山第一局長
  5. 秋山昌平

    秋山会計検査院説明員 昭和三十五年度外務省関係決算検査は、書面検査によるのほか、実地検査は、外務省本省につきましては、昨年の七月、また在外公館につきましては、アメリカカナダ、メキシコの大使館等公館について、五月から六月にかけて行ないました。検査の結果、在外公館渡し切り費におきまして図書購入費等の立てかえ払いをいたし、その清算が未了であったものなど、事務的手続の不習熟によりますか、適当でないと思われたものがございましたので、注意をいたしましたほか、特に不当と認めた事項はございません。      ————◇—————
  6. 鈴木仙八

    鈴木委員長 本日は、先般来審査を行なって参りましたドミニカ移住問題について質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  7. 久保三郎

    久保委員 ドミニカ住移問題を中心にした審議を、参考人等意見をお聞きして行なって参ったわけでありますが、審議の途中で、外務省を代表する高木移住局長からもお話がありましたが、ドミニカ問題一つだけをしぼって考えますれば、要約して、今回のこの事故というか、帰還せざるを得なかった最大原因は、事前調査にあった、こういうふうにわれわれ思うのでありますが、外務省としていかように考えられておるか、あらためてお答えいただきたいと思う。
  8. 高木廣一

    高木政府委員 われわれといたしましては、ドミニカ政情経済事情が大きく影響したと思いますが、ただいま久保先生がおっしゃったように、調査の点についても決して万全であったとは存じませんので、その点あえて否定はいたしません。
  9. 久保三郎

    久保委員 ただいまお答えがございましたが、当決算委員長あてに、いまだハラバコア地区におる帰国同志会の会長なる人から、ドミニカ移住の真相を御報告として先般書簡があったようでありますが、これについても——高木局長がただいま申されたことは、前のお話とは少し違うと思うのでありますが、いわゆる政情急変というか、そういうものが重大なる支障となってかかる結果を招いたというさきの答弁には、承服しがたいというような書簡が参っております。なるほど私も、政情急変ということが原因でないということは、言い切れないと思うのでありますが、たとえば、政情急変がなかったとすれば、それでは安定するかという逆な見方をすれば、残念ながら、やはり事前調査が不十分であったというふうに認めていくべきではないかと思うのです。その反省の上に立たないと、移住政策というか、その行政というかは、前向きにならぬと思うのであります。そういう意味で一半の責任は、現地調査専門家派遣した農林省にもありはしないかと考えるが、農林省はいかに考えておられるかをお聞きしたい。
  10. 中馬辰猪

    中馬政府委員 農林省といたしましても、十分に調査をいたしたつもりではありますけれども、結果を見れば、多少遺憾の点もありますので、今後は十分に気をつけて、移住行政については、農林省として、今後再びかような間違いがないように十二分に研究をいたし、勉強をいたさなければならぬと考えております。
  11. 久保三郎

    久保委員 関係各省の言い回しの相違はあると思うが、事前調査が不十分であったということは、いずれもお認めになったと思うのでありまして、この問題の最大原因というか、これはここにはっきりしたと思う。  そこで、当面やらねばならぬ政府責任は、これら帰還を余儀なくされた者の再起を早急にはかるための責任を考えてもらわなければいかぬと思うのであります。これは外務省の手に負えない部面ももちろんありましょう。そうなりますと、外務省中心とした政府全体の責任においてこの再起をはかるべきだと思うのだが、これは外務政務次官、いかように考えられますか。
  12. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 ドミニカ移住者の引き揚げせざるを得なかった事情につきましては、事務当局から御説明しておりますからおわかりのことと思います。いずれにしろ、だれの責任だとか、どこの省の責任だとかいうことは、私はこの際言いのがれはいたしません。政府責任として、各省庁とも相談をし、各都道府県とも十分相談をいたしまして、早急に将来の問題等も片づけなければならない責任があるものと私は考えております。従って、できるだけ政府におきましては、親切丁寧にそれらに対して善処いたしたい、かように考えております。
  13. 久保三郎

    久保委員 そこで、ただいまの外務政務次官お答えに従って重ねてお尋ねをするわけでありますが、帰還者はそれぞれ団体というか、そういうものも作られておるやに聞いておりますが、それらとの折衝の窓口はどの省でやるか、もちろん私に言わせれば、当然外務省の方が窓口となって、それぞれ意見を聞くなり、対策に対する方針を示すなり、こういうことをしてもらわなければいかぬと思うのでありますが、その窓口外務省で具体的に引き受ける考えでございましょうか、いかがでございましょう。
  14. 高木廣一

    高木政府委員 外務省中心になりまして、そして関係各省とも話し、協力を得、また地方府県及び海外協会連合会移住者と接触いたしまして、直接移住者事情を聞きながら、それの立ち上がりを積極的に助けていく。必要に応じて、外務省におきましても、関係各省が話し合って、さらにこれを推進する、こういうふうにいたしたいと思います。
  15. 久保三郎

    久保委員 一応われわれが不安に思っているのは、今までの審議の過程から見ると、その立ち上がりの問題については、何かしら自分の方の権限というか、範囲ではないような言葉も各方面から聞かれるのであります。帰還者としては非常に不安だと思う。それと同時に、この責任というのは、単に、法律に基づいてやることも一つでありましょうし、あるいはそれ以前に、やはり国の責任というのは、道義的の責任を感じてその衝に当ってもらわなければ、ほんとうの生きた政治というふうには私はならぬと思う。くどいようでありますが、そういうものを十分体して、政府は道義的な責任感を強く持って対処してほしいということを重ねて申し上げます。  そこで、移民政策というか、移住行政について若干続いてお尋ねをしたいのでありますが、具体的なものを二、三先にお伺いしたいのであります。  その第一は、農林省関係に類するものでありますが、幾多の移住あるいは移民という形式があるようであります。そこで、これは大体大別して農林外務あるいは建設というふうな方面になるのでありますが、きょうは農林外務両省に関係するものだけをお尋ねするわけであります。そこで、さしあたり農林省お尋ねしたいのでありますが、全拓連に対する助成政策がございますが、この効果はいかように判定されておるか。今日までの全拓連事業、それを通しての国の助成策というものがどういうふうに効果が現われているか、お答えをいただきたい。
  16. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 お尋ねのように、農林省といたしまして全拓連に対して毎年助成をいたしております。この主要な助成の対象といたしましては、町村あるいは農村指導者に広く現地についての認識を深めてもらうという意味におきまして、海外に視察に行きます場合における助成全拓連を通じて出す、全拓連はそれのあっせんをする、こういう内容になっておるものでございます。私が全拓連からたびたび聴取したところによりますと、やはり入植地域につきましては、百聞一見にしかずといいますか、現地を見て、そして開拓入植についての判断をする、あるいは理解を深めるということが一番適切な方法であろうというように——行った人の意向もそのようである、こういうふうに聞いておるわけでありまして、私といたしましては、現地における認識を深める意味におけるある程度の効果としては、十分目的を達しておるのではなかろうか、かように考えております。
  17. 久保三郎

    久保委員 ある程度の効果を発揮しているだろうという御推測でありますが、私は、効果を具体的に聞いているわけであります。この助成事業をやりまして、今局長がおっしゃるようなねらいが、実際に具体的にどう現われてきているか、私が聞きたいのはこういうことなんです。たとえば、それぞれ十五県くらいに助成をして、移住地におけるところの実情等調査あるいは視察させているわけであります。そういう当該県のたとえば意欲というような、そういうものは具体的に上がってきているのかどうか。もしも単なる海外移住地PRなら、特定の県にこれをやる必要はなくて、従来のたとえば外務省にある海外協会といいますか、そういうものを通してPRをやればいいのでありまして、その指導者現地派遣して、あるいは一カ月半、その程度やっているのでありましょうが、そういうものがはたして効果があるというならばこれはいいのであります。単なるPR手段であって、その面では、具体的な効果をねらっていないというのならば別だと私は思うのですが、いかがでしょう。
  18. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 お話の点、全くごもっともな御意見でございまして、一般的なPRというだけであれば、御指摘のような方法もあると思うのでございます。しかし、われわれといたしましては、農村から海外移民をするといったような方法といたしまして、やはり特定町村をつかまえ、あるいは特定農業団体等協力を得て、端的に推進する必要があろう、こういう考え方に基づきまして、実はそのうちの一つ促進的な手段といたしまして、毎年度農林省予算におきまして、千四百町村と、それから百町村を特に指定いたしまして、一方は、今後移住を大いに推進してもらう一般的な町村、それから百町村につきましては、特に移住について集中的に計画を立ててそれをしてもらうような推進意味を含めた町村という町村をきめまして、そこで移住促進をやってもらうというような措置をとっておるわけでございます。そこで、そういうふうな町村になる場合、あるいはそういう町村になってもらうような町村を選ぶ意味におきまして、そういう当該町村指導者あるいは町村長組合長、そういったような方なり、あるいはそれに関連した上級の団体の役員が、海外で現に見てもらうというようなことが、全般として推進するのに非常に効果があるのじゃなかろうか、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 そこで、先般グアタパラの問題は片がついたのでありますが、グアタパラが非常に軌道に乗るまでに、数多くの各県の関係者あるいは地方自治体から数多くの関係者現地に行っておる。それは振り返って考えれば、そういう費用もむだではなかったかとも考える。むだを許した大きな原因は、いわゆる農林外務両省におけるところの完全とした意思統一というか、事業推進に対する連携が保てなかったとわれわれは考えるのでありますが、外務省としてはいかがでございますか。
  20. 高木廣一

    高木政府委員 問題がきわめて重大な問題でございまして、農林省意見の交換、調整をやりました次第でございますが、最後に大蔵省も入れまして、三省で意見がまとまりまして推進した、かような実情でございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 高木局長の御答弁は、結末のお話でありまして、私が聞いているのは、そういう各県から拓連あるいは県の役人、そういうものが数多く現地に行っておるわけですね。これはなるほど推進になったのです。しかし、それをやらぬでも、事前両省事業推進に対する意見が一致しているならば、いわゆる移住行政そのものが一致しているならば、そういうむだはなくて済む。と同時に、先ほど農林省振興局長からお話がありましたように、各県のPRというものの内容は、そういう現地調査が十分ではなかったとわれわれは考えているのです。だから、それに対する反省をまずしていただかなければならぬ、こう思うのです。いかがでしょう。
  22. 高木廣一

    高木政府委員 その点で、グアタパラ仕事は、最終的に移住会社がやり、海協連とも十分な連携をとってやるということでおさまりましたが、将来は、この問題は重要でございまして、われわれ外務省といたしましては、外の事情を非常に心配しております。農林省の方は、日本農業事情というものを考えていろいろやっておるのでありまして、こういう点が完全一体になるように、移住推進方法につきまして、できましたら海外移住審議会その他関係各省意見をさらに十分練って、将来問題のない推進態勢をやりたいと念願しておる次第であります。
  23. 久保三郎

    久保委員 次に、農林省お尋ねしますが、農林省所管農業労務者派米協議会事業助成がございますが、この効果はいかなるものであるか。いうならば、この事業目的の中にあるように、アメリカ農村等派遣しまして、そこで働いて得た勤労収入余剰をもって、帰ってきてから自立できる、あるいは海外移住資金にするのだが、そういうものの効果はあったのかどうか。単に行って帰ってきただけなのか。それとも、この目的にいうところの勤労収入余剰をもって何がしかの前進をはかられたものがあるのかどうか、それをお尋ねしておきます。
  24. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 派米労務者派遣につきましては、一つには、向こうに行きまして、三年間向こうで働き、そうして一定収入を得て帰ってくるということも一つ目的でありますが、同時に、向こう農業事情につきまして、いろいろ近代化された農業経営なり、農業作業なりにつきまして十分修得しましたものを、日本に帰りまして、それらにつきましての体験を生かしていくというような意味も十分あると思うのでございます。御指摘の、どのような結果が現われておるかということでございますが、これは詳細には資料を持っておりませんけれども、帰って参りました連中の約半数は、従来の日本農業経営に携わっておる。それから、一割か二割くらいだったと思いますが、向こう農業事情を見て、再びほかのところに移住して行きたいというような希望を持っておるというふうな調査の結果が現われておるわけでございます。私といたしましては、やはり一定収入を得るということも目的でございますけれども、同時に、こちらへ帰りまして、自分体験なりを生かし、さらにまた、農業者として海外に雄飛するというような効果があれば、この目的としては十分効果を上げておる、こう思うわけでございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 局長、あなた何か勘違いをされておるのじゃないですか。あなたがおっしゃるように、収入を得て帰るというだけが目的ではなくて、帰ってきてから、向こう農業を経験したその経験を土台に、日本経営改善をやる、こういう目的があるというそのあとの方は、これは農業労務者派米協議会仕事ではない。農村更生協会事業ですよ。それならば農村更生協会というものの事業は必要ないのです。同じことをやっている。だから、私が聞きたいのは、農業労務者派米協議会の主たる目的であるのが勤労収入を得て帰るということ、それを土台にして、帰ってから自立するなり、あるいはさらに海外移住資金に充てる。だから、それらが何人か行って帰ってきたが、それらは年間にどの程度の資金を得て帰ってきているのか、その資金はどういうふうに利用されたのか、その効果を聞いているのであります。持って帰った技術日本の内部において植えつけていくという仕事は別ですよ。いかがです。
  26. 高木廣一

    高木政府委員 カリフォルニアで三年働いた青年が、大体平均いたしまして百万円から百二十万円の金を持って帰ってきました。そうしてその金で、あるいは土地を買ったり、あるいは農業機械化というようなことに、地方農村農村運動推進者となっているというふうに聞いております。
  27. 久保三郎

    久保委員 局長は、金の方はあまり勘定しないようだから、まあ金も一緒に勘定してやってほしい。三年間で百万から百二十万と言うが、それなら、移住局長資料をお持ちでしょうから、過去における帰国者の携帯してきたドルは幾らだったか、総計を一つお示し願いたい。
  28. 高木廣一

    高木政府委員 ここに資料ございませんから、あとで御報告いたします。ただ、青年はほとんど持って行かないで、単身のままで行っておりますから、普通の移住者と違うようでございます。
  29. 久保三郎

    久保委員 それでは派米する場合の労務契約というか、労務契約は、出発前にきちっとなって送り出すのかどうか、この点いかがでしょうか。
  30. 高木廣一

    高木政府委員 出発いたします前に、派米協議会が行く方を代表いたしまして現地受け入れ者契約をいたしまして、たとえば労働につきましても、先方で労働のない場合も八割までは賃金を保障する。その他移住者のための条件を確保いたしまして、これを青年たちに十分徹底さして渡米さしております。
  31. 久保三郎

    久保委員 そこでその労働契約というか、雇用契約というか、そういうものは外務省なら外務省で一応承認というか、そういうものをした者について派米を許可するのですか、いかがですか。
  32. 高木廣一

    高木政府委員 外務省で見ておりますが、認可という方式をとらずに、派米協議会自身がやっておる次第であります。
  33. 久保三郎

    久保委員 私は、この派米協議会によるところの送り出した青年たちの雇用条件等にからんだトラブルを聞いてはおりませんが、単なるアメリカ留学というか、そういう格好で行くなら別として、目的がドルを持ってくるということであるとするならば、その雇用条件が正しくその目的に沿うものであるかどうかは、やはり責任を持った官庁、いわゆる政府が認定を与えてやるべきであって、単に派米協議会の自由意異にまかせるがごときは、断じて前向きの移住政策とか、こういう政策ではないと思うのですが、外務省はいかがですか。
  34. 高木廣一

    高木政府委員 その点われわれも十分注意しております。それから、御承知の通りアメリカでは、アメリカ労働団体等も、派米青年労働については非常な関心を持っておりまして、そういう点からも、一般の労賃より低い労働賃金で働くということに対して、アメリカ労働団体自身が反対しております。それによって現在では大体一時間一ドルから一ドル十セントくらいの給料をもらうというふうに非常に有利な条件で働いております。
  35. 久保三郎

    久保委員 それじゃ、もう時間もあまりありませんし、こまか過ぎますから、資料の要求をしておきますが、この派米協議会の手にかかる雇用条件というか、そういうものの見本というか、サンプルを見せていただきたい。具体的なサンプルですね。  次に、農林省に入りますが、先ほどお話のありました農村更生協会事業は、先ほど局長お話があった通り、これはまことにその通りなんです。アメリカの農場に行きまして、技術を修得して帰ってきて、地域社会において新しい農法を広めるというか、振興するというために、助成なり事業をしているのでありますが、この効果はどうなのか。帰ってきた場合には野放しか、それとも、農林省として、それに対して、帰ってきてからの問題についても、それぞれめんどうを見ているのかどうか。はたして効果は上がったのかどうか、一つそれを御答弁いただきたい。
  36. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほど御質問になった点につきまして、私、数字を間違えておりましたので、ちょっと申し上げますが、派米労務者の帰国後における就職状況が、三十六年十一月三十日現在で、二十府県につきまして調査いたしたわけでございます。それによりますると、帰ってきた者で自家農業に従事する者が七割、それから海外移住を試みた者が約七%、それから国内入植をいたした者が一・二%、こういうことに相なっておるわけでございます。  それから、今御質問がありましたことに関連いたしまして、先ほど、帰ってきた労務者につきましても、国内の農業に、向こうに行ったいろいろな経験を生かしておるということを申し上げたのでございますが、御質問のありました農村更生協会でやっておりますのは、派米実習生として毎年五十名程度出しておるのでございますが、これはもうすでに更生協会ではなくして、三十五年からほかの団体でこれを担当いたしております。これは国際農友会で担当いたしておるわけでございます。  そこで、派米労務者につきましても、またアメリカに行きました実習生につきましても、これは自主的に、帰ってきた人たちが、それぞれ県別あるいは全国的に協議会を持ちまして、その活動の状況なり、さらにまた、向こうで得た体験を生かすような積極的な活動をするというふうなことで、せっかくその協議会が中心になりましてやっておるわけでございます。これは労務者派米協議会とは別ではございますけれども、しかし、事実上は労務者派米協議会もいろいろ実質的に援助いたしまして、そうして派米労務者と、それからアメリカへ行った実習生と、そういう協議会を持って、農業経営に積極的な活動をいたしておるわけでございます。たとえば、農機具の導入だとかいうようなことについては、特に積極的にやっておるわけでございます。  それから、今お話になりました実習生自身についてはその後の状況はどうかということでございますが、今申し上げましたような方法で活動いたしますほかに、たとえば南米、東南ア等に対しまして、最近は非常に短期的な技術協力の要望がございまして、そういう際におきましては、これは半年とか一年とかのものでございますけれども、東南ア等の技術協力には特にこれらの行った人が——若干英語もわかる、それから外国の農業事情もわかるし、日本農業事情もわかるというようなことから、技術協力の担当者としまして、東南アジアに派遣されている者もおるわけでございます。
  37. 久保三郎

    久保委員 農村更生協会でなくて国際農友会でやっておるということでありますが、国際農友会の当初の事業は、移植民地に参りまして、その実態を把握して帰ってきて、今度は日本の国からの移民というものの事業協力する、こういうことなのでありますが、これ自身についてはどういうことなんですか。実際にそういう動きが活発になされているのでありますか。  それから、もう一つ続けてお尋ねしますが、こういう場合には、何か正式の雇用契約とか、あるいはその他の契約があってやっているのでありますか、ただ単に、向こうに行って実態を把握するということだけで、視察、調査ということで帰ってくるのでありますか、いかがですか。  それからもう一つは、先ほどの、更生協会が従来やっておりました事業というものは、やはりこれも早くいえば単なる見学というか、調査というか、そういうことだけであって、何らの雇用契約というようなものは存在しないのか、いかがでしょう。
  38. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 国際農友会は、特に移民のあっせんあるいは現地調査ということを主とした事業は、現在やっておりません。もっぱら、主要な事業といたしましては、さっき申し上げました派米実習生の送り出しであるとか、それから、派米実習生のほかに、現在アメリカカナダ、南米——これはブラジルですが、ドイツ、デンマーク、スイス、これらの国々に対しまして、農業の実習という意味におきまして、毎年農村の青少年を送り出しておるわけでございます。一年大体八十名くらいを送り出しておるわけでございます。これはもっぱら実習ということを中心におきまして、一年間くらい向こうの農家に入り込んで、そこの農業の実習にあずかる、こういう方向をとっておるわけでございます。これは政府の取りきめでやっておるところもありますし、それから現地農業団体受け入れのスポンサーになっておるということで、この農業団体に世話をして送り込んでおるというような方法で、これは労務契約とかなんとかいうものでは全然ないわけでございます。そういう方法で現在行なっておるわけでございます。
  39. 久保三郎

    久保委員 労務契約ではないようでありますが、一応の契約の取りきめはあるはずだと思うのです。ただ単に、実習させてもらうために、ノーペイということではないだろうと思うのでありますが、これはどうなんですか。
  40. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これは在外公館を通じまして、向こう受け入れ団体にいろいろ照会をいたしますと、受け入れ団体、スポンサーから、どういうふうな条件で受け入れたいという招請状が向こうから参るわけであります。その招請状によりまして、募集をいたし、選考いたしまして送り出すということでございまして、向こうに行きましても、農家で実習をしたり、あるいは学校に入ったり、研究、実習というのが中心でございますので、そういう労務契約というようなものは全然ないのじゃないかと思っております。
  41. 久保三郎

    久保委員 それでは、これも具体的なサンプルを出して下さい。  次に、外務省お尋ねしますが、やはり今言うように似通った海外実習制度というのがあるようであります。これと今農林省でやっておるのと違うのですか。
  42. 高木廣一

    高木政府委員 外務省がやっております実習生というものは、一般の呼び寄せ移住と実際的にはそう違わないのです。戦前におきましては、外務省で特別に手当も出しまして、実習いたします先で十分めんどうを見てもらうということでやっておりましたが、現在におきましては、その制度を続けたいということで、実習生としてやっておりますが、実質的にはそれだけの手当も出ない。従って、日本を出ます前に、訓練を少し加えるということ以外は、一般の呼び寄せ移住と実質的には変わりがないわけであります。
  43. 久保三郎

    久保委員 これは実習生の一つの雇用契約があると思いますが、この雇用契約の形はどういうことになっておりますか。
  44. 高木廣一

    高木政府委員 一般の呼び寄せの場合の雇用契約と同じであります。
  45. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、ブラジル等は二国間条約がきちんとできておりまして、呼び寄せの場合においても、雇用契約等も、保証人というような制度によって保証されるという面があるのでありますが、それ以外の、二国間条約がそういうものについてないところは、いかようになっておりますか。
  46. 高木廣一

    高木政府委員 在外公館を通じまして、引受者及び引き受けの条件等を承知いたしまして、そうしてこれを行く人に徹底させて出しておりますので、その場合は雇用契約はやっておりません。
  47. 久保三郎

    久保委員 どうもわれわれしろうとでわかりませんが、農林省でやっておる事業の、たとえば海外実習生制度にしても、どうもすっきりしない面があると思います。これは一つには、雇用契約そのものが向こうの一方的な形でやられる危険性があると思う。それからもう一つは、単なる協会というか、何かそういうものを通じてやった場合に、はたしてこれがその目的通り達成されるかどうかという不安があるわけです。これは今日そういう不安はございませんか。
  48. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 農林省の方で送り出しております実習生は、三十くらいまでの人でありまして、農家の子弟もありますけれども、改良普及員なんかもできるだけそれに参加してもらうというようなことをいたしておるわけであります。大体は向こう農業団体でありまして、農業会あるいはアメリカでありますとファーム・ビューロー、デンマークでは農業専門参事会でありますが、そういう農業団体から招請状が来るわけであります。その招請状が参りますと、それに受け入れ条件がいろいろ書いてありますから、それに基づいて農友会が広く各県に呼びかけまして、そうしてそこでこれに合うものを選考して出す、経費は国が半分負担し、県が半分負担するということで、単なるあっせんだけをやっておるわけでありまして、それに対する国際農友会の扱い費として若干の管理事務費的なものを補助いたしておりますが、現在のところ県と国がそういう経費を負担しておりますので、別に問題はないわけでございます。
  49. 久保三郎

    久保委員 実習生制度にしても、あるいは農林省のやっておられる事業にしても、やはり私は再検討すべき時期だろうと思うのです。これは担当されている両省とも、あまりそういう必要はないというふうにお考えかもしれませんが、移住政策というものは、今日大きく変貌しつつあるということを認めざるを得ません。そういう観点からいくならば、言うまでもありませんが、これは国際協力という土台に立っての行政でなくてはならぬ。さらに、そういう制度でなくてはならぬ。よって、言うならば、二国間条約をきちっときめた上においてやるのが、これが本筋だと思うのであります。そういう協定がなくて、個々の場合でやられるという場合には、非常に問題が複雑になりはしないか、こう思うし、それからもう一つは、移住政策というか、これは先ほど言ったベースの上に乗ってやるのだが、言うまでもありませんが、これはわが国の利益であり、相手国の利益である、そして、なおかつその上に、移住される者自身の利益でなくてはならぬ、こう思うのであります。ところが、今までの移住政策は、早くいえば、人口問題という一つの側面からのみこれをやってきた。でありますから、当然そこには棄民政策というものが出てきたと思うのです。このお考えについて、移住を担当される局長はいかがお考えですか。
  50. 高木廣一

    高木政府委員 久保先生のおっしゃった御意見に対して、全幅同感でございます。
  51. 久保三郎

    久保委員 そういうことだとするならば、さらにこの問題を検討しなくてはならぬ。すでに政府は、移住審議会でありますか、こういうところからの答申ももらっているようでありますが、その答申の部面で実現されたかにうかがえるものは、わずかに、いわゆる移住政策に対する国内におけるPRの問題だけだろうと思うのです。しかも、それはともすれば、先般問題になりました海協連の発行している、いわゆる移住政策というか、移住事務の提要というか、その中にあるところの過剰PRが重点ではなかろうかというふうに考えている。あと重点として幾つかあげられるところの答申は、今日これを取り上げられておらないのではなかろうかと思うのですが、移住局長いかがですか。
  52. 高木廣一

    高木政府委員 PRの点につきましては、まだまだ十分でないとわれわれも思っております。特に海外協会連合会によるPRのほかに、海外移住発展思想というもののPRは、教育の面から、また、社会成人教育の組織を通じてのPRというものも非常に大事でございまして、こういう点も、一昨年の移住審議会答申においては、やはりその必要が言われておるのでございます。まだそれが十分に実施されておらない点は、われわれといたしましても、力の足りないのを恥じる次第でありまして、大いにやらなければいかぬと思います。ただ、一昨年の移住審議会で、今久保先生がおっしゃいましたように、国際協力という思想を強く取り上げなければいけないとか、棄民政策的な、人口問題解決的な考え方ではいけないとかいうことは、だんだん一般の意見になりつつあり、われわれもその思想で今進めておるような次第でございまして、目に見えませんけれども、だんだんその方向で今進んでおります。
  53. 久保三郎

    久保委員 ただいまお話がありましたように、目には見えないがだんだんやっておられる。だんだんやっておられるが、ドミニカのような問題が現実に出てくるというと、どうも前向きじゃなくて、やっていることはうしろ向きじゃないかというようにわれわれは考える。そこで、両省の政務次官もおられるが、少なくともこれを機会に、前向きに直すにはどうしたらいいかということと、このドミニカの問題をどう処理すべきかということ、この二つが当面の大きな課題だと思うのであります。この問題は、先ほど申し上げた通りであります。  ところで、国際協力という観点でございますが、これはあなたも同意見であり、私もその通りだと思うのです。しかし、国際協力を実行する者はだれかというと、これは移民であります。移民されるその者です。だから、その者の労働条件なり生活条件というのが、ある程度の水準を保障されるということが、まず第一の要件だと思うのですが、この点はいかがですか。
  54. 高木廣一

    高木政府委員 仰せの通りでございます。そしてまた、各国における労働法とか、あるいは労働思想からいいましても、低賃金の労働というものは、一時は歓迎せられても、結局排斥の種になる。これはアメリカの例なんか見てみましても、アメリカの方がむしろ低賃金に反対している。南米におきましても、そういう点を考えまして、移住者の待遇というものをもっともっと向上しなければいけないというふうに痛感いたしております。実際、現在におきまして、ブラジルあたりの雇用労務者の待遇につきましても、われわれとしてはまだ十分でないという点を非常に痛感しておりまして、これをだんだん上げていくことが、移住推進することにもなり、先方の利益にもなるのだということで、その方向に進んでおりますが、相手のあることでもあり、なかなか思うようにいかないという実情でございます。
  55. 久保三郎

    久保委員 もう一つは、移住の問題は、移民の量と質との二つの面から考えてきめねばならぬ。特に最近におけるわが国の実態からいけば、質の問題があるわけです。ところが、実習生制度を一つ取りましても、何か簡単な実務を教えただけで送り出す。これは低賃金の一つの材料になるわけでありまして、良質の労働者を送り出すということには相ならぬかと思うのであります。そこで、質の問題を考えるとするならば、農業移民ばかりでなくて、最近の傾向としては、特に技術移民の問題が出てきている。技術移民の問題が出てくるとするならば、当然良質の技術提供をしなければならぬ。相手側にとってその方が利益でありますから。そうだとするならば、これに対応するところの国内態勢の整備が必要だと思うのですが、今日こういう問題についての、いわゆる職業訓練というか、そういう面についての対策はお持ちですか。
  56. 高木廣一

    高木政府委員 これは私見でございますが、移住関係が、訓練から一切やるということは、なかなかむずかしいことであると思います。労働の場合は労働省あるいは通産省、それから農業の場合は農林省というように、それぞれの訓練機関がございますので、そういうものを活用して、それを経た者が移住のラインに乗ってくるというふうにやるのが、一番能率的であろうと思っております。実際、実習生の場合は、一定の学歴を経た人を選考いたして送り出すのです。戦前の場合は、実習生は移住地における移住者の中堅になるということで、政府も補助していたのですが、今日はまだそれができておらない点、われわれの努力も足らないのですが、そういう補助も将来予算を取って進めるようにしたいと思いますが、移住関係だけで訓練を全部するということは、少し無理じゃないかということでございます。
  57. 久保三郎

    久保委員 それは無理だろうと思うのです。無理だろうというよりも、そんなことをする必要はない。しかし、国内態勢が連携がとれていないところに問題がある。いわゆる一元的運営がなされていない、こういうふうに考えるが、なされておりますか。
  58. 高木廣一

    高木政府委員 一応できております。訓練につきましては農林省にやってもらい、技術移民の場合は労働省の技術テストを経て、相当厳重な規格で決定してもらった上で、人物考査もして出しておるということでございます。
  59. 久保三郎

    久保委員 やっておりますと言うが、そのやっている中身を、あとから資料によって拝見いたしたい。  その次に申し上げたいのは、ドミニカの問題は、すでに冒頭申し上げた通り、調査不十分ということは、両省ともお認めになった。そこで、これを機会にお話を申し上げたいのは、先般来ずっと出ております両省関係の、あるいは移住協会等の関係者海外派遣されたことは数多くある。費用にしても膨大であると思うのです。外務省の役人、農林省の役人、いずれもそれぞれの使命に従って出張されたと思うのでありますが、私はこれを全面的に否定はいたしません。いたしませんが、少なくともこの移住、特に農業移民の場合が重点でありますが、最近のような技術移民も重点になってきつつあるとするならば、相手側におけるところの調査は十分にしなければならぬ。そこで、専門的な調査団を定期的に派遣してこれをやらねばならぬとわれわれは考えている。ところが、そういう専門的な調査団というか、そういうものが編成されたり、あるいは派遣されたということは聞いておりません。なるほど移民を送り出しながら、一緒について行って、ついでに南米各地を回ってこよう、ついでにドミニカの土地も見てこようか、あるいは水産庁の問題にすれば、たまたま練習船が行ったから調査をお願いしようか、こういうことであって、残念ながら、この調査については万全ではないと思う。よって私は、ここで申し上げたいのは、専門調査団というものを設置して、これらが移民者についての十分な調査をすると同時に、今日あるところの協定の改定、あるいは新しく協定を結ぶというようなところまでの事前工作を遂げるような団の構成をされたらどうか、こう思うのです。ドミニカの問題は、こういう専門の調査団が事前派遣されていて、実地において的確な情勢なり何なりを判断してくれれば、かかる間違いはなかったかと思うのでありますが、いかがでしょう。
  60. 高木廣一

    高木政府委員 昨年は、労働省のそういう職業関係の専門家中心といたしました技術調査団というものを、ブラジル、アルゼンチンの現地に出しました。一昨年は、アマゾン及び中伯、南伯に対して、農林省専門家中心といたしました調査団が参っております。ただ予算の関係もございますので、必要な人を全部そろえるだけの膨大な調査団というものは、今日まで行っておらないのでございます。オランダのごときは、聞いおるのでございますが、三年ぐらい前に、三カ月、数十名の専門家をアマゾンに出して調査したというようなこともございます。これも国の予算の関係もございまして、なかなかそこまでいかないと思います。そういう点で十分な調査団は行ってない。ドミニカの場合は、特に移住草創のときでもございましたので、十分な調査団が行ってないということは仰せの通りでございます。
  61. 久保三郎

    久保委員 行ってないから、私は提唱しているのであります。今までの費用もたくさんかかっておるようだが、全部をそれに回せとは言わぬ。新たな構想でこういう調査団を設置する必要はないのかどうかということです。これはむしろ政務次官にお尋ねした方がいいでしょう。いかがですか、政務次官。
  62. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 移住政策は最も重大な問題でございまして、これは久保さんのおっしゃるような通りにやりたいのでございますけれども、予算等の関係もあり、おそらく農林省もそのようなことでなかろうか、かように考えております。しかし、いずれにいたしましても、移民政策はもう改定をしなければならぬという時期に来ておる。従って、よいところは大いに伸ばし、悪い点は大いに改革をして、そうして移民政策の万全を期さなければならない、かように考えております。
  63. 久保三郎

    久保委員 いいところは取り入れ、悪いところは捨てるというのは、あたりまえの話でありますが、ただ予算の関係でとおっしゃいますが、予算の関係でドミニカの二の舞いはされたくないし、先ほど移住局長の承認されたように、国際協力ということでおやりになるとするならば、少なくともこれからの技術移民等も考えれば、これはやはり的確なる調査をして——しかも単なる調査というのではなくて、先ほど申し上げた、いわゆる受け入れられた後の移民そのものが、ほんとうに国際協力の立場に立ち得るかどうかという問題まで調査するのが当然だと思う。それに必要な協定なり何なりの締結の事前工作、あるいは今日必要になっておるところの協定の改定、こういうことまでの広範な、深めた、高度な調査団を私はぜひ設置すべきだと思う。予算の関係もありましてというのでは、政務次官、政治家としてのあれがないのではなかろうかと思うが、いかがでしょうか。これは一つ考慮しますとか——とにかく私は当然やるべきだと思う。だから、既定経費の一部ぐらい削ってもこれはやるべきである。むだな出張をやめて——と言っては語弊があるが、少なくとも中にはむだな出張があるやに聞いておる。事実はわかりません。そういうものはやめて、少なくともこういうところへ生きた金をお使い下さいと言いたいのですが、重ねて……。
  64. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 久保さんのおっしゃることは、一々ごもっともだと私は拝聴しております。しかし、いずれにいたしましても、やはり人を選び、あるいは派遣する調査団というものは、優秀な人でなければならないのではなかろうか、かように考えております。しかし、また予算の問題を申し上げますが、外務省にはあまり予算がありませんので、はなはだ失礼な言い分ではございますけれども、去年までは百五十二億でございます。ことしはようやく百七十億に達したというようなことでございまして、十分な予算をとることができますれば、われわれは、久保さんのおっしゃるように改善をしていきたいということを考えております。
  65. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 関連して。外務省移住局というものが設けられてあるということは、私は、国として移民政策を非常に重視したから、課でもなければ部でもなくて、移住局というものを設けてあると思う。ところが、結果から言うと、ほかはまだよくわかりませんけれども、このドミニカの場合においては、これは悲惨であり、移民政策というか、移民史上に例のない集団帰国というような問題が起こってきたわけです。この事実は、先般ここで、それぞれ帰国した人の意見を聞いても、非常に悲惨だ、従って失敗であったと、こういうことになる。ところが、あなた方の答弁を聞いていると、これは実は痛々しいまでに責任回避に終始しておった。きょうは、その点はわれわれにも責任がある、調査不十分であった、こう言われておるから、よくわかるが、この前までは、まさに責任回避に終始しておったと思うのです。ところが、事実は、一日も放置することのできないほど深刻であり、切迫しておる、こういうことが言えると思うのです、この引揚者に対しては。そこで、ここで今、たとえば責任論——農林省現地調査をやる、外務省移住条件をきめるんだというようなことを言っても、今切迫したこの事態の解決にはならない。もしここで責任を論ずるなら、人力の及ぶところにあらず、不可抗力だという立証が、あなたの方からなされるならいざ知らず、そうでない限り、責任というものはのがれることはできないと私は思う。ところが今、責任移民政策の論争をやっておっても、これは何らこの引き揚げてきた人たちの救済の措置にはならない。たとえば、空腹で倒れた者に栄養の講釈をしておったって、これは何にもならない。これはカロリーの講釈をしてもだめなんで、あるものを食べさし、とにかく命を助けて、立ち上がらして、その後に栄養談義をすべきであって、今ここで移民政策を論じても、また責任が、あなた方の責任はどこにあるんだ、ここにあるんだと言っておっても、これは解決しない。まずこの引揚者をどう措置するか、どう立ち上がりができるようにしてやるか、どう救済するかということが私は先決だと思う。それをまずやって、その後に、今までの移民政策の中でまずいところがあったら、これはさっき外務次官が言ったように、是正するなら是正すべきだ。当面対策としては早急にこの点を講じて、次に移民行政の改善とかなんとかいうことを論ずべきじゃないかと私は思う。  そこで、私の方から要望したいのは、これは外務省もある、農林省もある、それぞれの機関があるでしょう。従って、このそれぞれの機関で早急に協議をして、この引き揚げてきた人、また間もなく引き揚げてくる人たちもたくさんある、この千五百名に近い人たちを、路頭に迷わせないような措置をまず政府が急速に講じて、その案を作ると同時に、それを委員長の手元まで報告してもらいたい。それをまた、役所のことだから、承知いたしましたで、のんべんだらりとやっておられたんでは困る。きょうは三月三日だから、少なくとも三月一ぱいくらいにはその協議を整えて、こういうふうにしますということをきめて発表すると同時に、委員長のところへも報告してもらいたい。こういうことを私は考えるが、あなた方できますか。やりますか。どうです。移住局長農林次官も外務次官も来ておる。従って、それらの方々に答弁をしてもらいたい。
  66. 高木廣一

    高木政府委員 帰国せられた方々の立ち上がりのための政府の措置といたしましては、この前からたびたび申しましたような各種の措置を講じ、またこれによって、帰られた県及び地協を通じてお世話をしております。そうして足らないところは、また外務省が関係省をプッシュするということでやっております。これもこの前御報告申しましたように、求職につきましては、五十七家族帰りましたうち、就職は十八家族ができる、残りは三十九家族でございますが、これは帰られてから話を申し入れていますけれども、まだそれを取り上げられる気持になっておらない場合がずいぶんある。それから、生活保護法の適用、住宅のあっせん等につきましても、それぞれお世話をすることで進めておりまして、これにつきましては、各県からその報告を刻々してもらうことにいたしておりまして、われわれの方では、自分で案を立てて人に渡したら、それっきりということではやっておらないのでございます。
  67. 久保三郎

    久保委員 先ほど、冒頭に私から申し上げたように、また、ただいま小川委員からもお話があったが、具体的にどうやるかの問題でありますから、三月一ぱいに片をつけてというか、その返事はどうなんですか。政務次官いかがですか。
  68. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 でき得るならば、久保さんの言うように、もう三月になっておりますから、三月中には解決をつけたいと思いますけれども、おのおのの希望が、はたしてこちらで出した案あるいは県で出した案と合致するかどうか、こういうような難問題があります。従って、われわれとすれば、でき得るだけ三月中に解決をつけていきたいということで努力をしておりますが、帰国者の希望がそれで満たされるかという問題がありますので、三月中というお約束ができないことはまことに残念でありますが、でき得るだけ三月中には解決をつけたい、かように考えております。
  69. 久保三郎

    久保委員 方針を立てろという御意見もあったと思いますが、方針は再起を遂げるということでありましょう。くどいようでありますが、そうしますと、窓口外務省移住局ですね。その窓口をはっきりしないと、いや、ちょっと待ってくれ、その問題は農林省、それは厚生省、それは労働省、こういうようにやられたんでは、引き揚げてきた人は路頭に迷うから、そういうことの窓口をきっちりお願いしたいと思うのです。
  70. 高木廣一

    高木政府委員 さっきも申しましたように、各郷里に大部分が帰っておられるのでありますし、そういう意味において、外務省移住局及び海外協会連合会の地方における先端でございます地方海外協及び県の移住関係、これが窓口になりまして、個々の移住者の希望を聞いて就職のあっせんその他やっておるわけでございます。なおこれで足りないものは、東京におきましては、外務省中心になりまして、農林省、大蔵省、労働省、建設省その他関係省が常に協力いたしまして、末端における困難な点はこれを打開していくように努力していきたいと思います。
  71. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 こういうことをここで言ってよいかわからぬが、今あなたの方で各県と相談するとかどうとか言っておられたが、私はつい四、五日前、私は千葉県ですが、千葉の知事に会った。私の県では五家族であって少ないからいいようなものの、みな困っておって実に気の毒だ、何とか早くやるようにしてほしい、もしそれができないなら、私は移住を勧めた責任があり、県自身でやらなければならぬ、こういうことまで言っているのです。こういう言葉でそういうことを言ってよいかどうかわからぬけれども、そういうふうに県さえも深刻に考えているのだから、これは直接責任のあるあなたの方で具体的な方策を立てる。帰ってきた人と条件が折り合うとか折り合わないということはわかるけれども、私が言うのは、こういう形で救済をする——各機関と相談をして具体策を作って条件が合わなければ——あなたの方で誠意を持ってやるならば、どういう要求であり、どういう要望であるか知りませんが、話し合いはつくものである。ただ、全く事務的にこういうようにやったらこれで済むというのではなく、これらの人は気の毒だということで、それは今後移民される方々に対する一つの大きな目安になり、安心感を与えることだし、移民行政を進める上でも必要なことだ、私はこう思って言っているのであるから、急速に具体策を立てて示して、それに対してああだこうだというのではなくして、その努力をするということがあなたの方の責任であるべきだと私は思うのです。
  72. 高木廣一

    高木政府委員 おっしゃる通りでございます。そうして外務省が最終的に関係各省全部をとりまとめまして責任をもって進めるということで、たとえば住宅の問題に関しましても、われわれの方は建設省と話しまして、来年度第二種住宅でございますが、百戸分イヤマークいたしました。それから三十六年度余っているものがあれば、これをドミニカ移住者に回すということの了解を得まして、それを各地方に流しますとともに、海協連、地方海協連に流す。それからまた、建設省あるいは局長から地方に流してもらっているということであります。ただ、移住者がそれを十分活用できるようにするためには、どうしても、地方海協連、われわれの方に、連絡する必要があるわけであります。そういう意味において、実はきのうも代表の方が私のところにお見えになりましたので、こういうようにいろいろ手配しているが、これになるべく乗るように皆さんの方も協力していただきたい、たとえば家につきましても、百戸と申しましても、どこの県でどれだけ要るかということは、皆さんの希望を十分申していただかないと、どこへ落ちつかれるかわからない場合には、それも手配ができない。そのほか就職につきましても、あるいは国民金融公庫の融資の活用その他につきましても、こういうようなことでやっておりますから、われわれ及びわれわれの出先の連絡ラインを通じて一つやっていただきたい、それでうまくいかぬ場合には、すぐわれわれの方に連絡するようになっておりますから、それでまた話をしましょう、こういうことを申し上げた次第であります。
  73. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 関連。ただいま小川委員から質問がありまして、蛇足を省くべきですが、これは役所の仕事で、理屈だけだとなかなか進まないと思うのです。ドミニカのやり方が非常に悪かったということは、これは外務省だけじゃない、各省の手落ちで、これは大失敗だったと私は思うのです。涙を飲んで帰ってくるのですから、役所の事務的な取り扱いでなく、住宅問題ばかりでなしに、仕事の面にも、事務的なことでなく早く解決をしてもらいたい。こういうことで、もう時間もたっていますから、今小川委員の言うように、三月一ぱいにはこういうことできまりがつくぞというところまで、ぜひ進めていただきたいと思う。  それから、先ほど久保委員からきわめて適切な御質問があったのですが、私は、短い期間ではありますけれども、中南米を回って参りましたが、一体今までの移民政策が、かなり間違っていたのじゃないか。たとえば、中南米におきまして五十万の移民がある。その人たちの大部分は農業従事者である。しかも、今、農業だけの移民では、片手落ちといいましょうか、日本人全体を上手に引っぱっていく力が少ないと思う。従って、今南米で非常に望まれているものは技術者である。たとえばトラクターを動かせるとか、あるいはその修理ができるとか、それから化学肥料の使い方、そういうようなものを指導する立場の人が必要なんです。たとえば、アンデス山脈のことごとく、われわれの狭い知識で見ましても、鉱物資源が非常に豊かだと思うのです。ミナス鉄工所ができるというようなわけでございまして、その鉱石そのものを引っぱり出すについても、道路ができない。道路があればあれが全部活用できるというような点についても、道路を作る技術者が必要なんだ。今後視察団を出すというときには、そういう方面技術者を特に選んで派遣をするということと、もう一つは、これはブラジルばかりではございませんで、あらゆる国々でもそうですが、日本人は非常に働き者だ、非常に勤勉だということを各国で賞揚をし、礼賛をしている。ところが、どうも日本人は農業以外は知識がないのだというような間違った観測をしておるようです。そこで、でき得るなら、私どもが見てきた範囲では、一年か二年の短期の、下士官教育といいましょうか、実業教育をするような、日本人に対しての講習所みたいなものを作る必要がありゃしないかというようなことも深く感じてきたわけですが、そういう方向に外務省として、特に移住局で力を注いでもらいたい。そして、今までの農業移民ということよりは、むしろそれ以外のところに重点を置いて、そうして五十万の農業移民を、どうしたら上手なうまい農業経営ができるかという方向に引っぱっていくような機関が必要だ。私は、予算の問題、金の問題ばかりじゃないと思う。そういうようなことをぜひ取り入れで、ことしからの方針に入れてもらうべきだと思うのですが、そういう点はどんなふうにお考えをいただいているか、一つお聞かせ願いたいと思います。
  74. 高木廣一

    高木政府委員 ただいま荒舩先生がおっしゃったことは、われわれも全く同感であり、その通りでございます。また、南米諸国からも、おっしゃったような希望が非常に強うございます。そういう意味におきまして、昨年実は、非常にささやかではございますが、技術者の移住を始めまして、技術調査団を出しましたときも、ブラジルの邦字新聞が、これは三十六年度における移住のヒットであったということをいっております。そうしてヨーロッパの移民を見ましても、イタリアあたりからブラジルへ農業移住者が来ておったのでありますか、最近はほとんどなくなって技術移住者ばかりだというような傾向でございますので、数におきましては少のうございますが、重点といたしましては、先生がおっしゃったように、大きな重点を置かなければならない、そういうふうに思って進めたいと思っております。
  75. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 そこで、具体的なことになりますが、ぜひ移住局が中心になりまして、大きな各都市に、日本人ばかりとはいいませんが、日本人を中心にした一年とかあるいは二年というような短期養成の学校を——学校とまではいかなくても、だんだん学校にするのがいいのでしょうが、講習所みたようなものを作る計画がございますか。技術養成機関を作る計画がありますかどうか、一つお聞かせを願いたいと思います。
  76. 高木廣一

    高木政府委員 実は、移住局関係としては、そういう予算はとれておらないのですが、各地方におきましては、高等学校あるいは大学に、そういう技術中心とした拓殖科のようなものをやろうという機運は非常に強うございまして、われわれといたしましても、できたら国がこれを応援するというようなことがぜひ必要である、こういうふうに思います。  なお、これはちょっと違いますが、建設省がブラジルで産業開発青年隊訓練所を作っております。これも必ずしもうまく運営されておりませんが、考えとしては非常にいいことでございまして、これを生かすようにやりたいと思っております。
  77. 久保三郎

    久保委員 だいぶ時間もたちましたから、あと二、三お伺いしてやめたいと思いますが、一つには呼び寄せ移民の制度があるわけです。これは、今の場合、二国間協定がきちっときまっておる場合はさして問題はないと思いますが、しかし、わが方におけるところの態勢は、これに合っていないのが現実だと思う。たとえば、ブラジルの実態については、ずっと前にもこの席で話をいたしましたが、呼び寄せ移民で行ったところが、実態が違うということで、路頭に迷っている者がある。これに対する援護措置は、日本政府の出先としてはあまりやっておらない。むしろ文化団体であるところの日伯協会というものがこれをやっておる。こういうことでは棄民政策につながると思う。よって、この移民の規制というか、それに関連して、やはり呼び寄せ移民についても今日再検討の要がありはしないか、私はこう思のですが、どうですか。
  78. 高木廣一

    高木政府委員 呼び寄せ移民についても十分検討する必要があると思います。おっしゃった通りでございます。それで、昔は雇用移民でためた金で簡単に土地が買えた。三年か四年働けば土地が買えて独立していけるということでございましたが、最近におきましては、ブラジルあたりでも、開けておるところでは、土地代が非常に高いということで、なかなか独立ができないというような実情もございます。その点で、移住振興会社におきましては、雇用移住で行った人が独立する場合に、コロノ独立融資というものも五十万円のワク内でやっているのですが、こういうことをやったりいたしております。しかし、根本的に、移住者が独立できるような給与を十分もらうという必要も大いにあると思うのでありますが、これは先方の労働条件その他もございまするし、なかなか簡単にいかないのですが、なるべく、もらった金で、数年たてば独立できるような雇用移住を理想として進めていきたい、また移住地として、そういう開けたところでない、土地の安いアマゾンあたりですと、移住地で働いておりますと、数年たてば土地も簡単に買えるということもございます。そういう政策もあわせながら、雇用移住者の将来の立場の確保ということについてはまだ足らないのじゃないか、これから十分研究して、進んでいきたいと思います。
  79. 久保三郎

    久保委員 さらにもう一つは、ドミニカの経験に徴して、開拓移民というか、こういう形のものは再検討の時期に来ているのじゃないか。というのは、苦しい開拓を通して初めて自立していくということは、今日の日本の国内の事情も考え、あるいは国際協力ということから考えても、あまりにもこれは問題があると思う。まして、ドミニカにおいては、コロニア法というものが今日明るに出ましたが、そういう問題も今日再検討の要があると思いますが、そういう点いかがですか。
  80. 高木廣一

    高木政府委員 開拓移民に関しましては、たとえば、ブラジル、アルゼンチンにおきましても、先方との移住協定において計画移住というものがございます。相手の国と十分協議をして、相手の援助施策、日本の援助施策というものをあわせて、開拓地におきましては移住者が昔のような苦労をせないで、というとあれでございますが、昔のようなむだな長い苦労をせないで一日も早く発展できるような施策をやらなければいけないと思っております。
  81. 久保三郎

    久保委員 次に、最後でありますが、人種問題が移民行政の支障になっているということは今日ありませんか、いかがですか。
  82. 高木廣一

    高木政府委員 南米に関する限りは、どこの国にも人種問題はございません。むしろ各国とも非常に親日的でございます。
  83. 久保三郎

    久保委員 そう安心されておられるならば心配ないと思いますが、私は現地において十分調査したわけじゃありませんので心配しているわけです。一つは、たとえばスペイン人と日本人との差別、こういうものがはっきりは出ないにしても、暗々裏に出できておるとしたら、こういう問題は外交上の問題として解決していかなければならないと思いますが、そういう問題はありませんか。
  84. 高木廣一

    高木政府委員 人種問題はありません。たとえばブラジルあたり、南米各国ともそうですが、新興国でありますから、国の完全な統一をはかりたいという希望が非常に強いわけであります。そういう意味において移住者の同化問題ということがかなり真剣に考えられております。日本は文化的にはかなり異質でございますので、たとえばサンパウロのように非常に開けたところに日本人にあまり一つ集団移住地を許可してやっていくということになると問題になると思うのでありますが、そういう点はわれわれ十分注意しながら、摩擦を起こさないようにして、先方の同化政策に合わせながらやっていく限りにおいては何ら人種問題はないと思います。
  85. 久保三郎

    久保委員 いろいろお尋ねしましたが、このドミニカ問題を契機に、この結末を早急に完全につけて、前向きの姿勢をとられることが一番肝心だと思うのであります。くどいようでありますが、この結末のつけよういかんによっては大へんなことになろうかとも思うのであります。そういう点を考えて、先ほどいろいろ意見も出ておりますが、十分これを推進するように強く要望して私の質問を終わります。
  86. 鈴木仙八

    鈴木委員長 西村力弥君。
  87. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この前の外務委員会で私はゼ・ジジ・ニュース、これは在ドミニカ日本大使館、こう銘を打って発行されておる。これはドミニカ日本大使館が出しておる移住者向けのニュースである。これを基礎にして、レヒオン・エクストランヘーラ、これはカッコして外人部隊と書いてある、外人部隊じゃないんだというようなことを言うてもだめだ、こういうことを申しましたところが、これは海協連のニュースだ、移住局長はさように申しましたが、しかし、海協連のニュースというのは別にカリビアン・ニュースという形で発行されてある。こういう工合に発行されておる。だから、あなたの答弁は誤りだ。私はそのことがわからなかったから、外務委員会では黙っておりましたけれども、知らないことをいいことにして、いいかげんな答弁をして、その場をごまかそうなんてとんでもない、私はそういう気持がしておるのです。海協連の事務所のあれだとするならば、在ドミニカ日本大使館と書いておるはずはない。海協連の事務所は大使館の中にはない。別のところにちゃんと事務所を持っておる。だから、海協連のニュースならば、その場所をこのところに書きます。海協連支部ニュースとか、こういう工合に書くのがほんとうだ。それならわかるけれども、これは一体どうなんです。
  88. 高木廣一

    高木政府委員 現在カリビというのは海協連から発行しておりますが、今先生がおっしゃいましたのには大使館発行と書いてあるのですか。はっきりわからないのですが、現在はカリビは海協連が……。
  89. 西村力弥

    ○西村(力)委員 カリビアン・ニュースは、海協連ドミニカ支部池田源太郎発行とはっきり書いてある。これが海協連のニュースだ。こっちには在ドミニカ日本大使館とはっきり書いてある。
  90. 高木廣一

    高木政府委員 私は、先日申しましたのは、その海協連の発行しているカリビとおっしゃいましたから、カリビは海外協会連合会ドミニカ支部で発行している、確かに発行していると、こう申したのであります。
  91. 西村力弥

    ○西村(力)委員 またあなたは言いのがれをしようとするが、カリビなんて私はそのとき知りゃせぬ。言うはずはない。そんなことを言うはずはないですよ、私は。その後これを見て初めて海協連のニュースというのはこういうものだということがわかった。だから、そのときは全然知らないのだから、私の口からそういうことが出るはずはない。在ドミニカ日本大使館と銘が打ってある。これは大使館から月に二回程度移住者向けに発行されているのだ、こう申したはずなんです。
  92. 高木廣一

    高木政府委員 現在においては大使館はそういうものを発行しておらないものですから、海外協会連合会ドミニカ支部だけが出しておりますから、そういうふうに申したのでありまして、その前にそういうふうになっておると私は存じませんでした。大使館発行のものでございましたら、私の言ったのは間違いでございます。私はカリビと聞きましたものですから、そういうふうにお答えしたのです。
  93. 西村力弥

    ○西村(力)委員 聞いた聞かないはとにかく、これは水かけ論になるかもしれませんけれども、今申したように、私はカリビなんということを言うはずはない。知らないのですから、私は全然。それをあなたはカリビと聞いたなんというのはおかしい話ですよ。言いのがれ以外の何ものでもないという工合に言えるのじゃないですか。こういうことを、こちらが知らないことをいいことにして、ぬけぬけと答弁されてはたまったものじゃないですよ。
  94. 高木廣一

    高木政府委員 ごまかすつもりでは全然ございませんから、そういうあれでございましたら、おわびいたします。
  95. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それで次に、一生懸命ドミニカの引揚者の更生に責任を持って努力していると、こう仰せられましたが、今対建設省の関係で第二種公営住宅百戸、これは取りつけてあると、こういうことでございますが、第二種公営住宅というのは何坪だか、御存じですか。
  96. 高木廣一

    高木政府委員 私自身はこまかいことは存じません。
  97. 西村力弥

    ○西村(力)委員 事務当局はわかりませんか。——だれも御存じないようですが、これは九坪のはずです。いいですか。こういう住宅はだんだんと住宅政策からなくしていかなければならぬ。十一坪にしようということにある程度なっておりますけれども、そもそもは九坪であった。九坪という住宅は、一体どういう間取りをとれるか。一体引揚者の平均家族はどのくらいですか。
  98. 高木廣一

    高木政府委員 大体一家族五名ということです。
  99. 西村力弥

    ○西村(力)委員 一家族五名で、そうしてこれは引揚者で新婚早々でもない。それが五名おる限りにおいては、相当高年の子供もおる。そういうのに、第二種公営住宅を確保したからこれでよろしいなんということは、これはあまりに形式的な解決策であると私は思うのです。公営住宅もそれでがまんしてもらうという手もないわけじゃないでしょうが、もう一歩本人たちが自力でバラックでも何でも住宅を建てようとするときに、その資金の融通なり、何か——住宅金融公庫は規定がめんどうでだめですけれども、また頭金も必要ですが、頭金が必要なら頭金を何とか心配してやるという方法もないわけではない。そういうところまで持っていかなければならぬ。住宅というのはどういうものをいうのかということになると、今入っている第二種公営住宅だって、それは住宅だということになるかもしれませんけれども、それだけでは問題は解決しないと思うのです。だから、その点をもう少しほんとうに平均五人家族の一家が住み得る家というところまで何らかの方法で心配してやるという工合にしなければ、ほんとうの無責任なお役所的な仕事に終わってしまうのですよ。そういうところまで何らか方法を立てることはできないのか。先ほど小川委員から言われましたが、府県知事側においては、外務省の言うことを真に受けて一生懸命説得して送った、それが帰ってきた、だからおれが中に入って一番責任を感じているんだということで、こういうものから国の政策というものに対して強く不信を抱いて参りますよ。だけれども、地方の自治体というものはじかに自分の住民を世話しなければならぬから、政府を恨みながらでも相当程度やるでしょう。そういうのが自治体のあり方です。ところが、国の政治というと、あなた方はそういう大綱的なことを言って、そうして形式的にものごとを処理すれば、それで済むんだという考え、そういうところに直接国民のかゆいところに手の届く政治ができないということがある。今回のように、裸一貫で帰ってきて苦しんでいる、それをおれたちが責任を持って解決するというときには、もう少し血の通ったやり方がどうしてもやられなければならぬと思うが、その住宅問題については、もう少し前進させる意図はないのか。こういうことは政治的な問題ですから、政務次官から……。
  100. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 仰せの通り、九坪といえばまことに狭い住宅でございます。しかもその中に五人が住まうということについては、もう窮屈もはなはだしいものだと私は判断しております。ただいま九坪というおしかりで、私も実はびっくりしたのです。大体十二、三坪はあるんじゃないかというような感じもしたのでございますが、これも今緊急に間に合わせるために九坪の第二種住宅を建ててやろうということにしたのじゃなかろうかと思っております。しかし、われわれといたしましても、責任がございますから、鋭意住宅問題の資金の問題についても努力いたしまして、でき得るだけ一人前の家に入られるような努力をいたしたいと思っております。
  101. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それは、そういう話にとどまらないようにしなければいけませんよ。
  102. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 その点におきましては、事務当局だけにおまかせしないで、しりをたたいて、外務省責任を負って、しかも政府全体の力でやっていきたい、かように考えております。
  103. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に、労働省との交渉の重点はどこか。その交渉は現実にどこまで進捗しておるか。どういう形に現われつつあるか。
  104. 高木廣一

    高木政府委員 それは就職のあっせんの点でございます。  それから、この間も申しましたように、就職につきましては五十七家族のうち十八家族が就職がきまっておりますが、三十九家族はまだきまっていないということでございます。  それから、雇用促進事業団、この関係の協力もお願いしております。
  105. 西村力弥

    ○西村(力)委員 協力は、それは協力でしょうが、何か特別に官庁の中の守衛とかには優先的にこういう人々を採用していこう、そういうことは中央官庁でも相当考えられるわけですよ。それは現職にいる人々を排除してということはできませんが、膨大な機構の中においては、そういうようなところに吸収するということのできないはずはない。これは大いにあると思うんですよ。何かそういう工合に協力をお願いします、そうして就職を求めに行ったときに、ちょっと話のあったのが十八家族だ、こういうようなことでは、一般の職業指導あっせんの業務と何ら特別に差異がないということになってくるんじゃないでしょうか。
  106. 鶴我七藏

    鶴我説明員 私から、局長にかわりまして、補足説明を申し上げます。  実は、移住者の方々が帰ってこられて、最も早く処理しなければならない問題は、就職の問題でございます。つきましては、ドミニカからこちらに引き揚げてこられる前に、あらかじめ在ドミニカ大使館の方に訓令をしまして、帰ってきてから就職をお世話するということでは、その間に時間のロスも出て参りますし、具体的に話がきまるのに時間がかかるから、帰ってこられる方々が就職上のどういう希望を持って帰ってこられるか、あらかじめ  一つ調査してみてほしいということで、大使館に訓令を出したわけでございます。その返事が移住者の方々が帰ってこられる前に参ったわけでございますが、大体の内容としましては、まだ自分たちは帰った上で方針をきめないと、今就職の点でどうこうしたいという希望を表明するわけにいかぬというようなことでございまして、あらかじめ準備ができなかったわけでございます。従いまして、移住者が帰って参りましたときに、さっそく労働省と連絡しまして、労働省もこの問題を非常に真剣に考えてくれまして、横浜の港に職業安定所の係が二名さっそく参りまして、もし就職を希望するなら、船の中で、その場でお話を伺って、その希望を——帰ってからの落ちつき先とさらに東京もしくは横浜付近で就職したいなら、その地方の関係官庁にすぐ情報として流して、そうして就職できるような適当なところを探すからということで出かけたわけでございますが、帰ってこられた方々は、いや今のところ就職ということは考えられないということで、むしろ今までの様子を見ておりますと、政府からも補償金か何かいただいて、その上で生活の方針を考えたいというような気持があるいは強かったのではないかと思いますが、なかなかそういう面で乗って下さらなかったわけでございます。従いまして、最近になりまして、移住者の方々もそれぞれ再起方法を真剣に考えられるようになったような感じがするのでございますが、外務省としましては、さらに労働省と連絡しまして、就職希望地、さらに就職希望先等について積極的にお世話していきたいという考えでございます。
  107. 西村力弥

    ○西村(力)委員 向こうにおられる間に就職希望なんかを聴取しよう、そういう意欲を示された点は、結果は出ないにしても、そういう行き方に対しては、私たちは賛成したいと思う。  ついでですから、鶴我さん、あなたはドミニカに行ったときに、よくこういうところにがまんしたとおっしゃったということですが、そういうことを事実おっしゃったのですか。
  108. 鶴我七藏

    鶴我説明員 私は、実はハラバコアとネイバが主として一番問題があったわけでございますので、最初ハラバコアに参りまして、いろいろの意見を伺ったわけでございます。ハラバコアではもうこの土地ではどうも営農してもうまくいきそうにないから帰りたいと言う人がございます。それからどこかもう少し有利なところに転住したいという人、それからいやせっかく来たんだから、ここだって見込みがあるんだ、大いにがんばりたいというようなグループがありまして、ハラバコアではある程度腹を打ち割って、皆さんのお話も伺うし、気持もよく聞いてきたつもりでございますが、ネイバに参りましたときは、もう集田帰国一点張りでございまして、私の方から別に意見を申し上げることができないような状態で、われわれは集国帰国をする以外には考えてないんだということで、私ちょっと転住の話をにおわしてみたのでございますけれども、てんで相手に受けつけていただけずに、皆さんの言い分をよく聞いて帰った、こういう次第でございます。
  109. 西村力弥

    ○西村(力)委員 言うたか言わないかという話だから、こんなことはそれでやめますが、そこで今私が一つの案として出した官庁機構の中にこれを能力に応じて吸収する、こういうようなことは一番やりやすい、これについては川村次官どうです、検討される余地はありませんか。
  110. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 ただいま先生の御質問でございますが、そういう希望等もありませんので、なかなか容易でないのじゃないか、かように考えております。
  111. 西村力弥

    ○西村(力)委員 人に使ってくれという前に、自分たちが再生の道をはっきり確立してやるということは、やはり官庁機構の中にそれぞれの能力に応じた採用をしていくということが一番手っとり早い。こういう趣旨は、たとえば身体障害者の雇用促進の問題なんかにつきましては、身体障害者というのは条件の悪いところで、民間の方に行ってもあれだからという場合には、ある程度官庁の中においてこれを採用すべきだ、こういう規定があの中に出ておるのですね。ですから決してこれは不可能であるはずはない、特殊考慮というのは不可能であるはずはない。それがなかなかむずかしいということになると、ちょっと困ると思うのですが、どうですか、御考慮願う余地は全然ありませんか。くどいようですが、再度……。
  112. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 官庁等に就職するということは、いろいろな規定がありますので、なかなか容易じゃないのじゃないか。しかも、この際整理しなければならないというようなこともありますので容易でない。しかしながら、他の業者すなわち大企業にしても中小企業にいたしましても、その方に雇用をするという申し入れがありましたら、できるだけわれわれもあっせんをして、早く就職させたいという考えでございます。
  113. 西村力弥

    ○西村(力)委員 予算とか定員とかそういうものがあるでしょうが、大体中央官庁の昇給原資というのはどういうところに求めていくのですか。大体定員と現員との差、そこに生まれてくる予算残というものが昇給原資に回されておるはずです。ですから現実には定員と現員というものの差はいつもある。これはあるのが当然ですね。ですからそういうところにこれをかかえていくことが不可能であるということはないはずです。こういう点は一つ真剣に考慮をせられてしかるべきじゃないか。御本人たちの希望がない、あるいは何級公務員とか高級公務員とかいうことになると、これは試験を通っていかなければなりませんから、そういうことはちょっとむずかしいでしょうけれども、そのほかの単純労務者的、そういうようなものは相当あるはずですから、そういうところにこれをかかえることが不可能だというはずはない。これは責任を感じたらそのくらい一つやってみたらどうですか。
  114. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 でありますから、希望があれば大いに歓迎もし、しかもその方の採用に努力するという考えでございます。決してほっておくというような考えではございません。
  115. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これは農林省と相互責任になるから申し入れよりも合議だと思いますが、そういう農林省関係の話の重点はどこで、現実にどういう工合に進捗しておるか、高木さんに伺います。
  116. 高木廣一

    高木政府委員 農林省関係は、内地農業定着の場合に農林省の方にお世話願うという話し合いになっております。
  117. 西村力弥

    ○西村(力)委員 現在はその希望者はありませんか。
  118. 高木廣一

    高木政府委員 内地定着のまとまった話はまだ聞いておりません。
  119. 西村力弥

    ○西村(力)委員 希望があればそれをやられますか。受け入れて不安なくやらせる自信が齋藤さんありますか。
  120. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 引き揚げられた方につきまして、農業者として内地に入植したいという御希望の方がありますれば、私どもでは責任をもってごあっせんいたしたいというつもりでおるわけでございまして、現在まで四戸希望があるということがわかっておりますが、三十六年度では不可能でございますので、三十七年度からさっそく取りかかりたいということで、今各県に最終的確認を手配中でありますので、それがまとまり次第さっそく努力いたしたいと思います。
  121. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今の話は相当確定的な話で、けっこうだと思うのです。  次にこういう引き揚げられた諸君というのは、全財産を整理して行かれて、今それを全部無にして帰られておるわけです。ですから、いずれにしてもこれからまた国内において再起するには、一つの更生資金というものがどうしても必要であります。これが一つのささえにならなければなかなかもって立ち上がるということはむずかしいと思うのです。そういう更生資金手当はどういう工合に考えられておるか。私たちは国家賠償というような形は、なかなか困難だろうという工合には考えますが、考え方の基礎には、やはりそのくらいのところがなければならない。そういう考え方に立って更生の道に最大協力をする、助力をするお考えでなければならぬと思うのです。それにはやはり立ち上がり資金というものがどうしても必要だと思うのです。この点についてはどういう考えを持ち、交渉はどういう工合に進捗しておるか。
  122. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 詳しい数字になりますから、移住局長から御説明いたさせます。
  123. 高木廣一

    高木政府委員 更生資金につきましては、世帯更生資金、国民金融公庫貸付、この二つの運用でお世話したいということで、厚生省及び大蔵省と話をいたしまして、そして一部の県では具体的にお話をしていただいておるようであります。
  124. 西村力弥

    ○西村(力)委員 世帯更生資金では、最高何ぼまで借りられますか。国民金融公庫は、いろいろ査定があるでしょうが、何ぼまでの最高限度を予定しておられますか。
  125. 高木廣一

    高木政府委員 世帯更生資金の生業資金が十万円、それから住宅資金が十万円でございます。それから国民金融公庫は、個人の最高が百万円まで無担保で貸し付けることになっておりますが、大体炭鉱離職者と同じような扱いになっていると思いますし、事実上もそういうケースになっていると思います。具体的には、大体二十七万円くらいが炭鉱離職者の場合の実際だそうでございます。
  126. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、国民金融公庫で二十七万、あと十万、十万で四十七万ということになりますが、それの担保能力あるいは保証、やはりそういうものがぜひなければならぬということになります。そこを考えてやらないと、何ぼそういう工合にしてやろうといったって、絵にかいたもちだということになる。担保物件はゼロですよ。あるいは保証も、これは親類に頼んでやるということもあるかもしれませんけれども、こういうことになると、親戚もなかなか大へんだろうと思うのです。そうすると、担保とか保証というものを肩がわりするということ、それが確実になければ、こういうことを幾ら言ったって、実際は意味のないことになっちゃうのです。ここを一体どう踏み切るつもりでおるか。
  127. 高木廣一

    高木政府委員 担保は要らないですが、保証が要ることは仰せの通りでございます。そういう点で実際上問題がある場合には、またわれわれも実際の実情を伺って、困難な点があれば、それを打開することを工夫したいと思います。
  128. 西村力弥

    ○西村(力)委員 最後のことは、実際伺って、そしてどうなんだというのです。
  129. 高木廣一

    高木政府委員 保証が得られないためにこれが進まないというような問題の場合に、具体的にそのケースを聞いて、われわれ外務省中心になりまして、関係省とも十分よく協議して、それによる障害をできるだけなくしていくようにしたいと思います。
  130. 西村力弥

    ○西村(力)委員 その障害は、排除する自信というか、必ず排除してやる、こういうことをはっきりここで言明を願えますか。
  131. 高木廣一

    高木政府委員 これは外務省の一存でできませんので、関係各省と十分協議をいたしまして善処したいと思います。
  132. 西村力弥

    ○西村(力)委員 政務次官、どうです。せっかくそうやっても、個人の保証を求めても、これはなかなかできないと思うのですよ。そういう場合に信用保証協会なんていうような工合に持っていったって、これだってどうにもならぬし、保証料から払わなければならぬということになれば、そんなことはできそうもない。生業資金といったって、事業を始めるわけでもない。そういうことになると、何らかの方法で確たる保証というものを立ててやらないと、せっかくここまでやったといったって、これは実際意味のないことになっちゃうのですからね。どうです、次官、今度はいいかげんな、希望的な、抽象的な話じゃないのですよ。かちっとしたことを、この重大段階だ、一ついいところを見せてくれなければだめです。
  133. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 保証を受けるとすれば、結論的に、親戚か、かつて最も親友であった方に求めなければならないということになるだろうと思います。その方々も、ドミニカ引揚者に対しては、私は必ずしも同情がないとは判断しておりません。できるだけやはりそういう方々に願って保証を求める。しかし、できない場合におきましては、外務省中心となって各省と連絡をして、できるだけ御期待に沿いたいと私は考えております。
  134. 西村力弥

    ○西村(力)委員 できるだけでは、私はどうも満足できぬですよ。各省と相談しなければならぬということもあるかもしれませんが、この際できるだけやります程度では、同じことですよ。これは答弁用語といいまして、答弁用語では意味がない。ですから、はっきりやるという工合に言えないものかどうか。こう言うとまた責任が出てきて、外務省がやると言ったって、外務省自体が保証人になるかというと、そういうことは官庁機構ではできないし、職権逸脱ということになるから、言えないところもあるかもしれないけれども、そういうところを何らかの方法で解決してやらなければいかぬ。そういう場合には、より多く——これは逆になるだろうと思いますけれども、県とか市町村はそういう保証業的な行為をやりやすい場合もあります。これがいいというわけではないけれども、やればやりやすい場合もある。ですから、それであらゆる方法を探究して、これはかちっと、生業資金立ち上がり資金というものは本人たちの手に渡るようにするんだ、こういうはっきりした決意を立ててもらわなければいかぬ。どうです。
  135. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 御質問の趣旨は十分わかるのでございます。しかし、外務省一省で、ただいまそれは確実にやるんだという御答弁のできないことは、まことに残念でありますけれども、いずれにいたしましても、このドミニカ引揚者の問題は、政府責任において解決をつけなければならぬという答弁を先ほどしておりますから、関係当局とも御相談申し、さらに都道府県等の方々にも相談して——できるだけということは決してできないということを意味するのじゃないのでございまして、できるだけの努力を続けて御期待に沿うようにいたしたい、かように申し上げるほかはございません。
  136. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そうすると、保証さえ出れば、生業資金、住宅資金その他の国民金融公庫の金は貸されることに、もう話はついている。これは高木さんよろしいですか。
  137. 高木廣一

    高木政府委員 私はそうだと思います。計画その他の問題がありましょうが、そういうものを審査した結果、担保なしで保証だけという場合には、その保証の問題さえ解決すればできるということだと思います。
  138. 西村力弥

    ○西村(力)委員 と思いますと言ったって、思うだけでは、あなたの希望的な意見ではしようがない。じゃ、まだ不確定なんですね、そこは。
  139. 高木廣一

    高木政府委員 自動的にこれだけの金が文句なく計画も無視して貸せるということではないと思いますので、そういう点は国民金融公庫で十分御相談に応じてやることだと思います。しかし、担保なくして保証だけでできるという場合に、その保証の問題をどうするかという問題が残っていて、それを解決できるならば、これの活用ができるのだということでございます。だから、自動的にただ金を百万円なり二十七万円もらえる、こういうふうに御了解になったら非常に無理だと思います。
  140. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これは次官、一つの金融政策上の問題でありますので、あなたの方では地主にさえも怪しげな金を貸すということを言っているんだから……。ところがどうかというと、地主諸君は、調査した結果は生活困窮者はほとんどいない。あまり大したことはないという工合に調査の結果は出ておる。地主補償の問題の調査会がまだ結論を出さぬうちに、今度金を貸すと言っている。苦しくもない人に金を貸すと言うんですよ。そういう方針もとる。これは政策問題だから政策論争になりますから、僕らは今ここでやろうとはしません。ところが、現実に国の政策の誤りから裸一貫で帰ってきた人があるときに、そういうことができないはずはないんですよ。あなたの話を聞きますと、それはそういう話になっていると思います——思います程度ではだめなんです。この点は大臣同の話し合いで——そういう金はわずかであります。大したことはありますまい。そんな三、四十万か五十万くらい貸したって、何家族ありますか、百家族程度ですよ。そんなちっぽけな金ですから、出せないはずはない。それは膨大な金と違いますからね。だから一つこれは大臣同士の、事務次官同士の話でもけっこうだ。そうして確実に保証さえあれば出す、保証の件は何らかの方法で確立してやる、こういう工合にしてもらわなければならない。関係各省というのは大蔵省その他になるだろうと思うんですが、こういう工合に一つやってくれる意思はありませんか。どうです。
  141. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 関連して。  ただいま西村委員の強い質問、まことに私ども同感です。ただし、きょうは外務政務次官及び移住局長、その他農林省からも来ておりましょうが、この問題は、国の財政を全部握っているのでないので、あらん限りの力を尽くして、大蔵省、外務省あるいは関係の各省と連絡をして、でき得る限りの努力をする、こういう言明以外は、どうも権限範囲内でないからでき得ないんだと思う。しかし、先ほどから川村次官の発言中、誠意のこもったきわめて温情主義の発言があるようでございますから、これは西村委員にも、その意のあるところ、決意を御了承願って、これ以上追及しないで、一ついかがでしょう。
  142. 西村力弥

    ○西村(力)委員 とにかくこの問題の窓口外務省だ。こうなっているし、あなた方はそれを承認せられた。だから私はこう言っているんですよ。そういう点は、現在の政府の政策を根本的に変える問題でもないし、わずかばかりの金なんだから、そういうようなことに対しては、ほんとうに責任をとる気持で、ほんとうの解決をはかるという誠意と努力を私たちは要求するんです。ところが、大事な金をどうするか、立ち上がり資金をどうするかということを、その程度の話しか現在してないということになると、やはり広範な関係があるからといって、よそに少しひけ目を感じながら問題を処理しようとしているように聞こえてならない。そういう点、一つ早急に事務次官同士の話し合いでもけっこうですが、大臣同士の話し合いとしても、こういう金はやはり生業資金として出してやる、その具体的措置は事務当局でやれ、こういう工合に大臣諸君、次官諸君たちはやってもらわなければいかぬ。そういう次官同士の話、もしくは大臣同士の話に乗せる、こういう点一つどうでしょう。
  143. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 先ほど私、一省の関係でできるものでないから、関係各省相談をしてできるだけのことをやります、こう言いましたが、実は具体的に私に質問をいただきましたので、そのことは私両大臣にもお話しし、そうしてこれは絵にかいたぼたもちにならないような努力をしたいということが私の心境でございます。お答え申し上げます。
  144. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に、明日パラグァイに再渡航するという人が一人出てきておるそうです。これは岩手県の人だそうですが、この人は、やはり一ぺん苦い経験をした、それは忘れられないけれども、こちらにおってもどうにもならぬから、もう一ぺん危険を押して外国に渡ってみようという悲壮な決意をしておるだろうと思う。帰ってはみた、自分の持ち田であったものは人のものになっておる、自分の住居であったものも人のものになっておる。そういう工合だし、また金の問題や何かになりますと、親戚や兄弟も別だというところが多いのですから、帰ってきて幻滅の悲哀をしみじみと感じて、あぶないとは思いながらも、再び渡航しようという決意を立てたのだと思う。その心境は私たちは十分に察せられる。そういう人に対しては、普通の渡航の場合以上に何からの温情ある措置があってしかるべきだと思う。高木さん、どうです。
  145. 高木廣一

    高木政府委員 帰国移住者の再渡航につきましては、きわめて慎重な態度をとる必要があると思います。内地で困ったからまた向こうへ行くのだということだけでは、また同じ失敗を繰り返すおそれもあります。そういう点で、関係省が十分よく検討をしておりまして、実はまだ結論が出ないうちに、今お話しの方はパラグァイ入植——今度は福島県からは十家族ばかり出ます。この人らと一緒に行きたい、県の方では、本人は四十万円以上の現金をもち、移住適格者としても十分の資格があるからということで海協連に話をして、願書の了解を得る前に、つまりまだ大蔵省と十分話し合いがついておらないのでありますが、それを待ち切れないということで、海協連責任で、実はわれわれの知らないうちにきめてしまったわけであります。適格者で十分成功し得るような移住者が行くことはけっこうなことだと思います。この点十分検討いたしまして、できるだけ期待に沿ような結論に持っていきたいと思っております。
  146. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今度行かれる方は、渡航費の補助ですか、支度金ですか、七万円程度とかもらって行くそうですが、それは他とのバランスの問題もあるでしょうが、そういう立場にある人ですから、もう少し特別の配慮があってしかるべきじゃないかと思うのです。そういう再渡航の場合には慎重を要する、各省と今協議中で結論が出ない、こう言うが、慎重を要するために検討しなければならぬ問題点というのは、そういう場合にはどういうところにあるのか。あなたの方では、一ぺんしくじった連中というような考え方で、また帰ってくると困るというような、そういう問題点であるのかどうか。そういうことであるとすれば、移住者で今度帰ってきた者は悪者だ、なまけ者だ、こういう考え方が先行しておるのですよ。そういうことじゃなく、やはりそういう人がもう待ち切れなくて出ていくというようなことは、今後も起きる可能性は十分にある。ですから、そういう人もよりよく援護してやるという方式でなければならないと思う。今その問題点というのはどういうところを検討しているのか、それを一つ述べていただきたい。
  147. 高木廣一

    高木政府委員 実際の問題といたしましては、帰られた方がまだそこまで決断をするというところまで心境が至っておらないのが実情でございます。それから、われわれの方といたしましては、パラグァイで農業をやる場合に、やはり農業者としての十分の経験と、それから家族構成あるいは衛生その他の制限もございます。こういう点も十分考慮しなければいけないし、それからドミニカから南米に転住せられた方もございます。こういう方々との関係を十分考慮いたしました上で、万遺憾なきを期したいと思います。
  148. 西村力弥

    ○西村(力)委員 時間でありますので、そろそろやめますが、次に、問題は、いろいろ引揚者の希望を聞いておる過程においてあなたは、議員立法でもなければそういうことは解決できぬ、こういうことを盛んに仰せられたそうですが、それはどういうことであり、それを議員立法として希望するのかどうか。
  149. 高木廣一

    高木政府委員 損失補償を政府からとるという考え方は、第一政府にそういう法律責任があるかどうかという問題もございますし、それから政府がかりにそういう施策をするにしても、移住政策全般からも考えなければいけませんし、かりに裁判へかけてもなかなか簡単にきまるものでもございませんし、容易なことではないというふうに私は思うのでありますが、こういう損失補償を払うというような考え方自身に非常な無理があるというふうに私自身は考えます。しかし、議会で法律でこれだけのものを払うんだというような、立法府がそういう法律をせられれば、行政府はそれを履行せざるを得ないことになるわけであります。私自身としてはそういう立法をせられることを好ましいとは思っておりません。
  150. 西村力弥

    ○西村(力)委員 好ましいか好ましくないか、これは立法府の権限ですからいいですけれども、その点は私たちも相当考慮しなければならぬという工合に考えている。考慮というのはどういうことかということは、各般の問題ということになりますが、それで大体質問を終わります。  ところで、きょうで終わりだそうですけれども、ついでだから一つ外務委員会のときに外務大臣に向こう日本人会から直接いろいろな嘆願書が来ている。その受信のあれをずっと出してくれ、こういうことを言ってありましたが、そのついでに、この土地を購入して造成し、そこに入植させたのが三十三年から三十五年まであります。その前はあるのかどうかはわかりません。三十六年があるのかどうかわかりません。わかりませんが、どこの土地をどの程度買ったかということ、これは三十三年は二億、それから三十四年三億八千万、三十五年は三億二千万も使っているのですから、これはどこの国のどういう土地をどれだけの広さのものを買ってあるかということ、そこに日本人をどれだけ入植させておるかということ、その営農状況は今いいのかどうか、他の場合と比べて安定性、将来性というものがいいのかどうか、こういう点の資料を出してもらいたいと思うのです。ただその最後の安定性、将来性というものは、今でも答弁できるだろうと思う。他に比較してその方がいいのかどうかというのは、どうです。
  151. 高木廣一

    高木政府委員 移住会社が土地を購入いたしましたのは、パラグァイとブラジルのサンパウロ州における移住地でございます。ブラジルのサンパウロ州の会社の土地につきましては、これはブラジルの経済の中の非常に中心部におるわけでありますので、一応問題はないと思います。ただ全般のインフレーションとかそういう問題もございますけれども、あの中に移住して行った限りにおきましては、十分な安定性があるといえます。パラグァイにつきましては、これは原始林を開拓する十万町歩余りの土地を買ったわけでありまして、ここに約五千名の日本人が入っております。これにつきましては、たとえばその生産物を国内で消費する場合には、国内の市場が小さいというような問題もあります。これをどういうふうに将来の営農を指導していくかということは、なかなかむずかしい問題でございます。しかし、日本移住地の隣にはドイツ人の移住地がございまして、これがすでにアブラギリとかあるいはポメロのようなものを作ったりその他の営農をやって、大体わが方の営農もそれに準じた営農をやっております。しかし、これにつきましては、われわれといたしましては、もっとこの移住地の発展が促進されるような、農産加工とかその他の施策を施す必要がある。そしてそれがためには移住会社の融資その他ももっと積極化しなければいけない、こういうふうに思って、昨年も学者をまぜた調査団をパラグァイ、ボリビアに送りまして、これの対策を検討しております。  大体移住地につきましては以上の通りであります。
  152. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは今の資料だけたのみます。  それでは終わります。
  153. 荒舩清十郎

    ○荒舩委員 ドミニカ問題を含めて移住問題、こういうような点につきまして、当委員会の意思、総意を委員長が取りまとめて発表願って、この問題を打ち切りたいと思いますが、いかがでしょう。
  154. 鈴木仙八

    鈴木委員長 ただいま荒舩君から発言がありましたので、先般来よりの各委員の発言を、十分その要旨を尊重いたしまして、この際私から一言委員各位の御了承を得て発言をさせていただきます。  本日の議題であります移民問題に関して申し上げます。わが国の海外移住は、戦後、昭和二十七年再開以来、幾多の困難にもかかわらず、関係当局の努力によって着々と実績をおさめ、受け入れ各国においても、これらわが国海外移住者の活動が好評を博していることは、慶賀にたえない次第であります。しかしながら、移住行政を検討するとき、なお十分とは言いがたく、さらに改善を要するものが認められます。  政府は次の事項については、特に留意の上、適切な措置をとり、もって海外移住の順調な発展を心がけるべきであります。  すなわち、一、移住行政実施機構は、複雑多岐にわたり、総合的運営に支障を来たしていると認められるので、その整備、合理化によって一元的運営をはかり、もって、本事業が効率的に遂行されるように努めるべきである。  二、入植計画等の樹立にあたっては、出先現地機関等による事前調査を十分に行なって、いやしくも入植後、事故の発生することのないように努めるべきである。  三、移住者の募集、訓練、送出等の国内業務はもちろん、移住定着後の経営融資、指導あっせん等、現地における援護業務の充実にさらに万全を期すべきである。  四、ドミニカ移住については、事前調査が不十分であった等のため、引き揚げ等のやむなきに至ったものと考えられるので、これら帰国者に対する援護、更生等に十分の措置を講じて、早急に再起をはかるようにするとともに、今後、このような事態が再び繰り返されないよう、その防止に努力すべきである。  以上の諸点に関して、関係政府当局においては、十分これが推進のため改善措置を希望する次第であります。  外務政務次官より発言を求められておりますので、この際これを許します。川村外務政務次官
  155. 川村善八郎

    川村(善)政府委員 ただいまの御希望の問題は一々ごもっともなことでございます。外務省におきましては、中心となりまして、各官庁並びに都道府県の関係機関等に十分相談をし、しかもドミニカのようなことは再び繰り返さないような努力をするつもりでございます。  以上をもって終わります。      ————◇—————
  156. 鈴木仙八

    鈴木委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、東北開発株式会社の会計に関する調査のため、来たる八日の本委員会に参考人の出頭を求めたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  158. 鈴木仙八

    鈴木委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。     午後零時五十分散会