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1962-04-18 第40回国会 衆議院 外務委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月十八日(水曜日)    午後一時十九分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 北澤 直吉君 理事 野田 武夫君    理事 古川 丈吉君 理事 松本 俊一君    理事 岡田 春夫君 理事 戸叶 里子君    理事 森島 守人君       池田 清志君    竹山祐太郎君       床次 徳二君    稻村 隆一君       黒田 寿男君    帆足  計君       穗積 七郎君    細迫 兼光君       井堀 繁男君    川上 貫一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小坂善太郎君  出席政府委員         外務政務次官  川村善八郎君         外務事務官         (アジア局長) 伊關佑二郎君         外務事務官         (アメリカ局         長)      安藤 吉光君         外務事務官         (欧亜局長)  法眼 晉作君         外務事務官         (条約局長)  中川  融君         外務事務官         (情報文化局         長)      曾野  明君  委員外出席者         専  門  員 豊田  薫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会の件についてお諮りいたします。  本委員会において審査中の海外技術協力事業団法案について商工委員会から連合審査会開会せられたいとの申し入れがありました。この際、この申し入れを受諾し。連合審査会開会することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、来たる二十日、金曜日、午後一時より開会することといたしますから、さよう御了承を願います。      ————◇—————
  4. 森下國雄

    森下委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを順次許します。戸叶里子君。
  5. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私はこの前の委員会におきまして核実験禁止の問題につきまして御質問申し上げましたが、そのときにまだお答えいただけなかった問題がございましたので、きょうそれを二、三点確かめてみたいと思うわけでございます。  この前の委員会におきまして、外務大臣は、クリスマス島付近の危険区域に対する通告は受けたけれども、いろいろな手違いジョンストン島を取り囲む危険地域についての通告はもらっていないというふうなことをおっしゃいまして、その後アメリカ大使館にいろいろ問い合わせているのだということをおっしゃったわけでございますけれども、何かその後通告があったかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  6. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 この点につきましては、通告がございまして、そしてわが方で抗議をいたしました。なお、その手違いと申しますのは、先方手違いでございまして、アメリカ側としては、そういうことをする場合には事前日本に通報する、こういうことになっておったわけでありますが、先方の内部の行き違いということでございます。
  7. 戸叶里子

    ○戸叶委員 その通告内容は大体どういうことだったのでしょうか。いつからいつまで危険区域として指定するというようなことでございますか。
  8. 中川融

    中川政府委員 やはり、いつからいつまで、——いつまでというのはないわけでございます。いつから危険区域になるからということで、今のクリスマス島の場合と同じような通告でございますがジョンストン島の場合は、御承知のように、下の方が狭くて上の方が広くなるというような、いわば空間に対しても危険区域が指定されておるわけでございます。
  9. 戸叶里子

    ○戸叶委員 時間を省きまして二、三点まとめてお伺いしたいと思いますが、その通告はいつ来たのかということと、日本としてそれに対しての抗議はいつされたかということ、それから、クリスマス島の場合は十五日からということでございましたが、ジョンストン島の場合は幾日からという通告が来たか、この点をまとめてお答え願いたいと思います。
  10. 中川融

    中川政府委員 詳細な点、申しわけございませんが、アメリカ局長がじき参ると思いますので、アメリカ局長が参りましてからお答えいたしたいと思います。
  11. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それでは、アメリカ局長がいらしてからお伺いしたいと思いますが、何かラジオでちょっと伺いますと、ケネディ大統領重大発表明朝するということだそうでございますが、その内容はどういうことであるか、外務省として御存じでございますか、御存じでないでしょうかということが一点。それから、今度の核実験というものは、ジョンストン島といいますとイギリスにも関係があると思うのですが、これはアメリカだけでしようとしておるのか、英米両方でしようとしておるのか、こういう点はどういうふうに外務所としてキャッチしていられるか。そしてまた、今度そういうふうなことをすることによって、幾日くらい航行、航空の自由が禁じられるかということ、あるいはまた、実際において実験が行なわれようとしておるのか、ただ危険区域を指定されただけか、そういうこともこの際御説明願いたいと思います。
  12. 曾野明

    ○曾野政府委員 お尋ねの第一点だけについて申し上げます。先ほど外電が入りまして、明朝の午前一時、すなわちアメリカ時間の明朝の十一時、ケネディ大統領記者会見を行なうというのが入っております。その内容は何であるかはまだ全然入っておりません。
  13. 中川融

    中川政府委員 ジョンストン島につきましては、イギリスとの関係はないと承知しております。アメリカ実験をするということで、従って、抗議の方も、アメリカに対しまして、十三日、安藤アメリカ局長在日米大使館グッドイヤー参事官を招致して口上書によって抗議しております。やはりアメリカジョンストン島でも実験をすると考えられております。具体的にいつするというような際は、一々事前に十分のゆとりを持ってこれを周知せしめるということが発表にあるのでございます。従って、いつやるかはわかりませんが、現実にやはり実験があるのであろうと考えております。
  14. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そうしますと、時間がもうございませんから、アメリカ局長からの御返事をいただくことでやめますけれども外務省としては、実験があるだろうというふうなことで、そのまま手をこまねいているより仕方がないという状態でありますか。この問題ももう一度はっきりさせておいていただきたいと思います。
  15. 中川融

    中川政府委員 これは、ジョンストン島ばかりでなく、クリスマス島の際にも、実験はぜひやめてもらえないかということが一番最初の申し入れになるわけでございます。しかし、もしどうしても実験をするという場合には、これから生ずる損害については権利を留保する、こういうことが抗議内容になるわけでございます。
  16. 戸叶里子

    ○戸叶委員 私、もうやめますけれども、非常に重大な問題でありますから、やめてもらいたいということの抗議をさらにさらに強くいろいろな形で、なさるように、何としてもやめてもらうようにするために知恵をしぼって、日本国あげてこれに反対をするようにしていただきたいと思います。あとの答弁アメリカ局長がいらっしってから伺いたいと思います。
  17. 森下國雄

  18. 穗積七郎

    穗積委員 時間がありませんから、外務大臣中国問題について政府所信を伺っておきたいと思います。  この前もちょっとお尋ねいしましたが、中国に対しての政府方針は、基本は変わっていないというお話でございましたけれども、前向きの姿勢ですね。しかし、その後さっぱり前向きで動いておられないわけです。しかも、私どもの言いますことは、やはり軍縮に関する国際会議あるいは国連における代表権問題等々も含めまして、中国問題というものは、非常に重要な、世界平和外交における焦点になってきておると思うのです。そうして、同時に、日本といたしましても、国際市場における自由化問題を前にして、市場孤立化の問題は政界・財界を問わず一般国民のひとしく不安に考えておるところです。そういう意味で、大陸諸国との貿易発展の問題も重要な段階に来ておる、こういうふうに思うのです。  そこで、きょうは、この機会に、今後のそれらの平和共存政策あるいはまた国際会議における中国立場あるいは日本貿易発展構造的転換問題等も含んで政府所信を伺っておきたいと思うのです。率直に一つ積極的な方針をこの際伺いたいと思うのですが、御所感いかがでしょう。
  19. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 対中共問題は非常に重要な問題でございますが、われわれとしては歴史的にも地理的にも非常に関係の深い相手方でございますので、これに対しては常にわれわれとしては十分な誠意を持って対したいというふうに考えておるわけでございます。ただ、いわゆる分裂国家という場合には問題が多いわけでございますので、これは世界世論というものも十分考慮してこの問題に対処していきたいということで考えておる次第でございます。
  20. 穗積七郎

    穗積委員 私の伺っているのは、その繰り返しではなくて、具体的な施策を伺っておるわけですから、もう少し具体的に政府方針を明らかにしていただきたいと思います。
  21. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 今申し上げたような気持で対処したい。具体的ということでございますか、具体的な問題については、その一つ一つに対して善意を持ってこれが解決に当たっていく、こういう考えであります。
  22. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、何にもないということでしょうか。今のお話を伺うと、何にもないということですね。日本自身としての積極的な方針というものはない、情勢の動きを見て、それに従って追随をするというだけのように聞こえるのですが、それでは、前向き政策をうたって国民に訴えられて以来今日まで何もされない、重要な段階情勢は進んできているのにまだ具体的なものは何もないということでは、これははなはだしく国民失望を与え、国民を欺瞞するものだと思うのですが、大臣の御所感いかがですか。
  23. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 そういう御質問でございますけれども、私としてはただいま申し上げているようなことになるのでございますか、具体的にこういう問題はどうだということでございますれば、それに従ったお答えを申し上げるのが適当かと思います。
  24. 穗積七郎

    穗積委員 それでは、お尋ねいたしますが、外務省中国核実験に対する情報を得ておられますかどうか、どういうふうに判断をしておられるか、この際承っておきたいと思うのです。
  25. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 これはなかなかわかりにくい問題でございまして、やはり憶測の域を出ないかと思いますが、全般的に申しまして、一時一部で言われましたように、核実験がすぐにあるかもしれぬ、あるいは核兵器保有に至る時期も割合近いのではないかというようなことが言われたのでありますけれども、その点は若干その時期が遠のいたというふうなことではないかというふうな見方を持っております。
  26. 穗積七郎

    穗積委員 遠のいたとか近いということは、これは何を基礎にして考えておられるか知りませんが、私ども判断では、必ずしも遠くない。しかも、毛主席なり周総理当身が、われわれは国際会議のいかなる決定に対してもそのワクの外に立っておる中国としては何らの責任を持たないということで態度を明確にしているわけです。従って、アジアにおける非核武装地帯設置の問題は、日本の安全、アジアの平和の点から見ましても、日本から何らかの積極的な態度を示すべき問題であって、特にアメリカの出を待ってこれに追随するというようなそんなのんきな問題ではないと思うのです。従って、これらの問題についても、もっと積極的に中国国際会議への参加の問題を日本自身関係諸岡話し合いをする、中国に対してもそういう働きかけをするということが、私はこの際必要であると思うのです。どういうふうにお考えでしょうか。
  27. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 今のところさうよな特にきっかけとなるような問題もないように考えております。
  28. 穗積七郎

    穗積委員 それでは、お尋ねしますが、今度のアメリカ太平洋における核実験ですね、これらの問題は、やはりアジア太平洋における非核武装地帯設置の問題がどうしても日本自身としてイニシアをとって進めるべき問題だとわれわれは考えているのに、このアジア太平洋地域における非核武装地帯設置の問題については政府はどういうふうにお考えになっておられるか、基本的な考えを伺っておきたいと思うのです。
  29. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は、そういう問題はやはり核を保有している国がまず率先して考えるべき問題である、核を持たない国が打たないということは、むしろ消極的な意味にしかならないというふうに思っております。日本自身としては、これはしばしば政府政策として申し上げているように、核兵器を持たない、また、持ち込ませないということを言っているわけであります。
  30. 穗積七郎

    穗積委員 これはちょっとおかしいと思うのですね。核実験被害を防止するということについては日本がどこの国よりも積極的に考えるべきものなんです。それに対して、持っている国が考えなければ実行できないのだから、われわれの関知するところにあらずというのはおかしいと思うのですね。非核武装地帯アジア太平洋地域において設置すること自身について政府考え方があってしかるべきだと思うのです。そしてまた、この実験については、単に保有国の間だけで話し合いをすべき問題ではなくて、たとえば先般のベオグラードにおける非同盟諸国核実験禁止に対する積極的な働きかけ、こういうようなものは、今日の外交国際世論の上に立っているという立場から見て非常に効果的なことであることは言うまでもないことです。これに対して、日本がただそのつど核実験はやめてもらいたいという祈りのような声明を出したり、交渉をしている程度ではだめであって、もっと積極的に核武装の危険というものを防止するという立場に立って、少なくとも全世界的な核武装核兵器禁止実験禁止保有禁止というものを主張すべきものですけれども、当面としては、やはりアジア太平洋地域における非核武装地帯設置の問題は、これは非常に重要な問題だと思うのです。日本外交政策平和政策の上から見て、それに対して外務省が何ら意見を持っていない、保有国の問題だと言うのは、これははなはだしく国民失望を与え、一体政府は何を考えているのかわからないということだと思うのですが、いかがでしょうか。
  31. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 保有国の問題であるということは、保有国自身核実験の有効な停止協定から始めて、そして核兵器保有せざるに至るということをわれわれは強く期待し希望するということであるのでありまして、その意味から言いますと、今度のジュネーブの交渉におきまして、ソ連か、一昨年原則的に同意していた有効な核実験禁止というものが、やはり査察ということはもうすべてスパイ行為であるという考え方に立って、どうしても査察という問題に同意しない、従って核実験の再開かまた悪循環的に行なわれようとしているということに対して、われわれは非常に遺憾に思っておるわけです。その意味で、核保有国に対して非常に強力に働きかけておるのでありますが、私先ほど申し上げたように、そのことの方がむしろ大事であって、われわれが持たないということは消極的な意味しかない、もっと積極的に核を持っておられる国が核兵器というものを廃棄するに至ることを強く期待するのが、私どもがやるべきことではないか、期待するのみではなく、強くこれを推進することが、私どもとしてとるべきことだと思っているのであります。
  32. 穗積七郎

    穗積委員 これは非常におかしいですね。アメリカとソビエトの核実験がだんだん累積せざるを得ないような状態になってきている。しかも、今度は二十五日にアメリカ太平洋地域においてやるということの方針が明らかになっておる。それを前にして、われわれは、やはり、保有国間における査察条件とする禁止協定を作り上げてもらいたいという祈りをしたり、あるいはそれに対して要望を申し入れたりするのでなくて、それは当然のことですが、もっと積極的に働きかけるべきだと思うのです。そのような政府態度によって、日本の、あるいは太平洋地域における核実験禁止が当面実現できるとお考えになっておられるかどうか。私は、当面の問題としては、それはそれとして、同時に、われわれ非核武装国の間においても、また近接するアジア太平洋地域における諸国働きかけて、少なくともこの地域においては核実験をやらない、核武装をやらないという、そういう非核武装地帯設置を具体的に提案することが、今おっしゃいました核実験国際協定を促進するためにも有力なる手がかりになり、働きかけの糸口になると私は思うのです。問題をそらさないで、それはそれとして、アジア太平洋地域における非核武装地帯設置についての政府の基本的な考え方を伺っておるのです。真正面から答えていただきたいと思う。
  33. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 さっきからお答えしている通りであります。私は、査察を伴うことがなぜできないのか、あなたは当然なことだとおっしゃいましたが、当然なことがなぜできないのかと思うのであります。査察を受けるのは、これは双方において査察を受けるのでありますから、一方において査察を受けてもよろしいと言っておれば、他方においてもそれはいいはずなんであります。しかし、その査察をやるということがいろいろ問題でありましょうから、原則的にそういうことに合意して、さらにその方法等について、やはり核兵器というものの保有禁止を要望している国の声にこたえて、核保有国それ自身がそれをやめるという決意に至らなければ、これは、ほかが幾ら何か言っておっても、あなたのおっしゃる私に対する非難と同じ意味で、何ら効果がない、こういうことになるのじゃございませんでしょうか。政府の基本的な考えというのは、そういう考えであります。
  34. 穗積七郎

    穗積委員 査察の問題というのは、約束がいかに実行されるかということをお互いにいかに監視するかということなんです。その方法の問題なんです。条件を主にして目的を失ってはいけないと思うのですね。われわれは、あくまで、核実験はやらない、核武装はしない、核戦争はやらないという状態を作り上げることが一番必要なことでしょう。その目的を持つならば、査察々々と、アメリカのしり馬に乗るように、査察ができないからやるのだ、むしろ、査察問題についてその方法について合意ができないということを口実にして、そしてやることをエンカレッジするような態度というものは、われわれは根本的に了承するわけにいかないのです。  そこで、それでは具体的にお尋ねしますが、先般、実は、私ども社会党の第三次訪中使節団が参りまして、この問題の重要性をわれわれは感知したので、アジア太平洋地域における非核武装地帯設置の問題について中国と話し合ったわけです。これについて、先方も、その基本的なわれわれの主張なり念願というものを政治的な提案としてこれを受け取って、賛成をして合意に達しておるわけです。この合意の点についての政府の御感想はいかがでございますか。賛成ですか、反対ですか。
  35. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 中共核兵器を持たないということは、私も賛成でございます。
  36. 穗積七郎

    穗積委員 何ですか、よく趣旨が聞こえません。私の質問趣旨に答えていただきたいのです。
  37. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 日本も、核兵器は持たないということはもう前から言っておるわけですね。中共もまた持たないということが、私は非常にけっこうなことだと思います。
  38. 穗積七郎

    穗積委員 そうではないのです。アジア太平洋地域における非核武装地帯設置の問題なんです。それについてどう考えるかということなんです。自分だけが持たないだけでは核兵器被害というものを防ぐことができないから、全世界的に禁止協定をやるべきであるけれども、しかし、その段階として、現実的な具体的な方法として、各地域における、たとえばヨーロッパにおける非核武装地帯、われわれ日本立場から言えばアジア太平洋地域における非核武装地帯設置、これについては可能性があるわけですから、それについてどうお考えになりますか、ということです。
  39. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ですから、あなたのお話しになった中共とのお話内容においては、中共核兵器を持たないというのでございますね。中共以外の国がそういうことをやるということに合意されたわけじゃないだろうと思います。従って、中共が持たないということを考えられることは、私は、けっこうなことだ、こう申し上げるわけであります。
  40. 穗積七郎

    穗積委員 いやいや持たないというためには、アジア太平洋地域における非核武装地帯設置が望ましいわけです。それについてはどうかということを言っているのです。各国の内政問題として、核兵器を持つ持たぬの問題ではなくて、アジア太平洋地域お互い住んでおる地域における非核武装地帯設置しよう、これはすなわち日本外交問題です。その外交問題を聞いているのです。私は、非常にあなたの答弁は不誠意であると思うし、しかも核実験に対する反対の熱意を疑わざるを得ない。おかしいじゃありませんか。問題をごまかして、非核武装地帯設置、この当然のことに対して何らの答えができないということはどういうことです。
  41. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ですから、私は伺っているのです。あなたの前提には、中共は持たない、こういう話が前提になって、そうして、その非核武装地帯を設けるということに合意した、従って、それに対してどう考えるかということを聞かれるかと思ったのですか、そのお話を聞いておると、ただばく然と、非核武装地帯設置についてはどう思うか、こういうお話のようでございますから、私は、そのお話内容は、中共核兵器を持たないとこう約束をはっきりしておられるのかどうかということをまず伺っておるわけであります。
  42. 穗積七郎

    穗積委員 アジア太平洋地域における非核武装地帯設置の問題になれば、そこに関連する各国核兵器を持たないことはあたりまえのことなんですよ。そのことはわかっていますよ。アジア太平洋地域における非核武装地帯設置賛成しておいて、そうしてその中で自分だけが持つなんということはあり得べからざることなんです。みんな持たないことにしましょう、それが最も安心であり安全である、当然なことですね。問題は、それが安心であるということ。自分が持たないから、自分核兵器被害をこうむらないということの安心感は確立できないから、その関係する地域における非核武装地帯設置し、各国お互いに持たないことにしよう、こういうことなんです。いかがですか。
  43. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 それじゃ私はかように了解いたします。穂積さんは、中共との間に、中共核兵器保有しない、こういう約束を取りつけられた、従って、その地域を含む核非武装地帯についての構想はどうか、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  44. 穗積七郎

    穗積委員 そのことは同時なんです。同時にみんなそういうふうにやろうということなんですね。どういうわけで、私のすなおな提案に対してそういうふうにおっしゃるのか。しかも、この提案は一社会党のみではなく全国民念願です。核兵器被害というものを永遠になくせよ、これはもう全国兄の悲願なんです。その問題を実現するための最も有効な方法として、全世界に及ぶべきであるけれども、一まずその第一段階においてアジア太平洋地域における非核武装地帯設置をやろう、そのことに対して国際会議を開いて、そのお互い合意を求め合って、それを外交の上で実現しよう、こういうことなんです。そういうことになりますれば、今の中国核兵器を打つか持たないかということは重要なことですから、その日本中国を中心とするアジア太平洋地域における諸国の間でその問題についての会議を開き、そうして、アジア太平沖地域における諸国核兵器を持たないようにし、アジア太平洋地域全体の非核武装地帯設置しよう、そういう国際会議話し合いを進めよう、こういうことなんです。これをいつ始めるかということは別個の問題として、こういうアジア太平洋地域における非核武装地帯設置の問題は、これは基本として国民念願である。日本政府は、国民政府でありますならば、当然その問題についての基本的態度が明確になってしかるべきだと私は思う。それに対して、なぜ一体、そういうつかえたような、アメリカに気がねをするような答弁をしなければならないのか、私はさっぱり合点がいかない。
  45. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 日本政府として、あるいは日本国民として、核兵器というようなものが地上からなくなるということを強く希望し、この線に沿うて努力していることは、これはもう御承知の通りでございます。しからば、いかにしてそれを実現するかという方法論が問題であるわけでございます。ただいまお話しのアジア太平洋地域の非核武装化という問題に関しましては、アジア太平洋地域のみを取り出しまして、これを非核地域であると設定することが、はたして現実にわれわれの住む地域の平和と安全の維持に役立つかどうかという、こういう問題であろうと思います。核兵器保有国の間で核兵器実験停止協定がまだ締結を見ておりませんし、また、全面軍縮に向かっての具体的な前進か見られておらない今日におきましては、非核地域を設定しても、その実効性が阻害されるおそれが多分に存在すると考えざるを得ないのであります。非核地域の問題は、特定地域のみを取り出して考えるべきものではなくて、安全と均衡の観点から全世界的な規模において全面軍縮の一環として検討するのが最も妥当かつ現実的な考え方だろうと私は思っております。
  46. 穗積七郎

    穗積委員 それは一体、何か事務当局の書いたものをお読みになったようですけれども、それはおかしいじゃありませんか。あなた方は、中国の核保有というものが遠のいたから、それで、現存の保有国アメリカ、ソビエト、イギリス等にまかしておくのだというような非常に怠慢な消極的な態度です。もしそれが保有が早くなって近き将来において行なわれた場合に一体どうするのですか。それを事前にわれわれはアジア太平洋地域においてやろうというので、全世界に及ぼすことはそれは念願です。方法としては、私は、ヨーロッパはヨーロッパにおいて非核武装地帯設置をする、アジアアジアにおいてやる、こういうことが私は最も具体的であり可能性があることだと思うのです。それをなぜ一体回避されるのでしょうか。ここから始めていいじゃありませんか。各地域から始めることが実現性がなく効果がないというのなら、その論証をしていただきたい。
  47. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 地域別に非核武装を規定していくということならば、その一番必要な地域は核を持っている国の地域です。それが非核武装を宣言すること、これが一番必要なことであろうと思います。われわれは、核兵器保有すべからず、核実験禁止ということをやるべしと言っておりますのは、現実に持っている国がやめるということを強く希望するのであって、このことは、全世界的に日本の主張というものは十分効果のあるものとして取り上げております。ただ、残念ながら、これが実現に至りませんのは、査察の問題にかかっているわけです。査察方法論についてまず原則について合意し、方法論について合意し、この一点が解決されるならば、核実験停止協定ができるのであります。それをまずわれわれとしては強力に推進すべきである、かように思っておるわけであります。
  48. 穗積七郎

    穗積委員 私はこの際二つの点においてアジア太平洋地域における核非武装地帯設置日本が積極的に提案するということの重要性があると思うのですね。一つは、われわれの住んでいるアジア太平洋地域でまず始めて、そして、それを発展せしめるということで、まずわれわれの住んでおるアジア太平洋地域における平和共存と、それから核兵器被害をなくする、永久になくするという努力において、私はこの提案が具体性を持ち有効性があると思うのです。第二の点は、今言ったように、グローバルに全世界的に核禁止をやるということを実現するために、このアジア太平洋地域における非核武装地帯設置提案と努力というものが非常にこの促進に役立つという一つの面があるので、特にこのことを主張するわけです。具体的な政策政策の効用性ですね。それをあなたは一体なぜ逃げられるのか。核武装なり核実験というものを、査察問題を中心にして、保有国の間で合意に達しないということを口実にして、アメリカ核実験なり核武装の強化というものをむしろ歓迎するかのごとき態度を示すということは、これは全くさか立ちであって、われわれはこれを支持するわけにはいかない。そうじゃありませんか。私の申しました要望は全国民の要望だと思う。それに対して、あなたが言を左右にして逃避され、そうして核実験もまたやむを得ないという態度を示されることは、何らの根拠がない。
  49. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 私は、お断わりしておきますが、核実験はやむを得ないというようなことを考えたことはありません。どうしてもやめてもらいたい、こう思っておる。そこで、今申し上げたように、この実験停止協定はできるかどうかということは、一に査察の問題にかかっておるということを申し上げた。この際その問題の重要性を私は声を大にしてつくべきであると思う。この際持っていないもの同士が今度は非武装地帯を作る方がこの際大事なんだというような御議論では、かえって、私は、この核実験が今行なわれようとしている、またそれが悪循環を呼ぶかもしれないという情勢を見のがすことになるというふうにすら思うので、あります。
  50. 穗積七郎

    穗積委員 これは私は非常に失望せざるを得ない。少なくとも、人道的見地に立って、こういう核被害から日本人民並びにアジア諸国の人民、さらにまた世界の人民を救うために率先して日本が努力すべきであるにかかわらず、言を左右にし、あるいは他に責任を転嫁して、これに対しての消極的な態度というものに対しては、私は承服するわけには参りません。  そこで、これは押し問答をしてもあとの質問者もありますから、最後に締めくくりとして一点お尋ねをいたしますが、もし中国が核保有をやり、核実験を開始する段階になったときに、日本中国と接触をしませんかどうか、または、中国国際会議に参加することをむしろ促進をして、世界の平和と軍縮問題について中国の協力を求めるということに対する働きかけをしないのかどうか、その二点について政府方針を伺っておきます。
  51. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 この問題は全く仮定でございまして、私どもは、そういうことはどういうふうになるのかということについては、今後の推移を見なければわからぬと思いますが、これは十分研究をさしていただきたいと思います。
  52. 穗積七郎

    穗積委員 私は、そういう問題も含んで、国連における中国の代表権問題を次の総会においては日本はむしろ積極的に討議の中で協力をすべきだ、そしてまた、核保有が行なわれた場合においては出然ですけれども、その事前においても、中国との間において政府間でアジアの平和の問題について話し合いをする、平和共存の友好原則に立って話し合いをするということが望ましいと思うのですが、これについては外務省はどういうふうにお考えになりますか。
  53. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 外交の問題はやはりタイミングの問題もあり、より効果のある外交をせねばなりませんので、十分情勢等も勘案しつつ、重要問題については、世界的規模において重要なんでございますから、この問題は十分慎重に検討したいと思います。
  54. 穗積七郎

    穗積委員 実は、押し問答いたしましても何ですから、私は了承したわけではなくて、失望いたしまして、次の問題に移ります。  実は、日中問題の具体的な問題について一つ一つ政府方針を伺っておきたいと思ったんです。特に、近く国会も終わり参議院選挙に臨むわけですから、政府考え方というものをこの機会に国民の前に明らかにしておく必要がある。これはお互いのためであると思うのです。そういう意味でございますので、実は、先般私ども発表いたしました共同コミュニケ、それに対してあなたの力で機関紙を通じて発表されました諸点について、少し問題を明らかにしておきたいと思いましたが、時間がありませんからそれらの点は次の機会に譲って、日中問題についてただ一点だけ最後にお尋ねいたします。  一つは政府間の諸協定の問題です。たとえば、航空協定、郵便協定、あるいは漁業協定、貿易協定等々の個別の問題があると思うのです。これに対して最近は政府は何らの発想も持っておられないのかどうか。それから、もう一つ、貿易の問題について、先ほど言いましたように、日本貿易の構造的な行き詰まりというものが出てきておるわけですから、それに対しての転換として、日中貿易の問題に対して政府はどういう態度をもって基本方針としておられるか。この二点についてお尋ねしておきたいと思うのです。
  55. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 順序が逆になりますが、貿易の問題からお答えいたします。政府としては、貿易の拡大はもとより望むところでございますが、他の問題については慎重に検討して参りたいと思います。
  56. 穗積七郎

    穗積委員 貿易発展を願うための具体的な政策はどうですか。
  57. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 現在でも、いろいろな方々の御努力によりまして、日中貿易は非常に大きく伸びております。昨年の一月から十二月まででも、対中共輸出が一千百万ドル、対中共輸入が三千六百万ドル、合計して四千七百万ドルということなっております。昨年の一月から六月までの上半期に比べますと、下半期は非常に伸びておるわけでございます。そういうようなことで、だんだん伸びることは非常にけっこうなことだと考えております。なお、イギリス、西独に次いで三番目になっておるわけです。従来のフランス、イタリアよりも、この金額でも大きくなっておる、こういうことであります。
  58. 穗積七郎

    穗積委員 その事実は私は大臣に伺わなくても承知しております。そうでなくて、それをさらに発展させようということなら、政府としてどういう対策を持っているかということです。今までの実績も、政府の非協力の中においても民間の友好的な商社の努力によってこれが伸びてきたわけです。このように、非協力で政府は何もしない、むしろ妨害をしておるのに伸びておるというのは、両国の経済関係がそれほど相補う関係にあるし、それから、両国の人民が経済的な発展というものを念願としておるからできるのです。政府がやったのじゃないですよ。政府の非協力の中においてもこれが伸びる必然性があったという事実だけなんです。それでは、これに対して積極的な前向きの政策をとろうとするならば、これを促進する政府の具体的な政策がなければならない。それを私は伺っているのです。伸びている事実を伺っているのではありません。
  59. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 それらの点については慎重に研究しておるわけであります。
  60. 穗積七郎

    穗積委員 それでは、結局、正直言えば具体的政策はないということですね。
  61. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 非常に政府は非協力と言われましたけれども、やはり種々の関係がございまして、政府のなし得るこの時点における限界というものもおのずからあるわけであります。一昨年の十二月、それまで実施されていたバーター方式の原則は維持しつつも、例外的に片道現金決済を認めました。次いで、昨年四月十日からこのバーター制を廃止いたしました。中共からの輸入のみは事前許可制とするが、輸出は自由としたというようなことは、穂積さん御承知の通りでありまして、いろいろと、あなた方は何にもしないとおっしゃいますが、研究はやっておるわけであります。
  62. 穗積七郎

    穗積委員 そういうようなことは実はやったことにならない。ですが、時間がありませんので、あと質問者がありますから、すべてこの問題についてもまた次の機会に譲りたいと思うのです。  最後に、きょう情報局長に来ていただいておりますから、具体的な問題について一度外務省の確認を得ておきたいと思うのです。それは、戦時中に、旧満州国、今の中華人民共和国の東北地区ですけれども、ここの学生を日本に留学せしめるということで、小石川の後楽園のそばに学生会館を作ったわけです。これは資金も組織も両者の協力のもとにできておった。それが、終戦後進駐軍の管理に移り、それが外務省に移り、さらに外務省から下げられて今の財団法人善隣学生会館の所管になっておったわけです。ところが、戦時中、終戦後を通じて、中国の学生あるいはすでに卒業した人も住まっておりました。この立ちのきの問題について、財団法人善隣学生会舘側と在寮する中国人、その背後の世話をしておる存日華僑総会との間で、御承知の通り非常な紛争が起きました。そこで、財団の方は立ちのき訴訟を提案をいたしました。これを承服することができないというので深刻な抗争になって、昨年実はかつての長崎の国旗事件のような不祥事件を起こしまじき深刻な段階になりました。そこで、われわれ日本における日中の友好団体十八団体が寄りまして、代表者をあげて、これをあっせん者として所管官庁としての外務省によくその経過を説明したのは、現情報文化局長の前の近藤さんのときです。そして、その精神を納得されて、その上で両者の間で話し合いをした。そこで、話し合った結果、経過は御承知だと思いますから省略いたしまして、先般二月二十六日、続いて三月一日にこれを国内法律によって争うということはやめて、この会館はあくまで中華人民共和国との文化交流に重点を置いて運営する、また、在寮の学位も中国の学生を重点に優先的に考えるという大原則を三者の問で了解し合いまして、そして、その上で、訴訟あるいは国権による立ちのきを要求するというようなことではなくて、話し合いによって学生を処理してやる、そのかわり、学生でない中国人、あるいはまた日本商社がこれを利用しておりますが、これらも立ちのいてもっらて、全面的な日中間の協力のもとにこの会館を本来のそういう大精神の文化センターにしようということに話し合いがついたわけです。そして、あっせん者と財団との間でこれを確認し合う覚書を交換いたしました。これをさらにあっせん者が在日華僑総会の責任者に話をして、これとの間にもこれを確認して、この覚書に送り書きをしたわけです。それで今円満に事態が進んでおるわけです。このときに、中国側の華僑総会の態度としては、御承知の通り、訴訟を財団の方で起こされましたときに、いろいろな理由で抗弁をしたのですが、その中の一つに、この会舘の所有権は中国側にあるものだということを強く主張したわけです。今度そのことについての華僑総会側の基本的態度は変わっておりません。しかしながら、これはわれわれがよく説明をし、われわれの理解においても、この財産権の問題については中国日本との間で国交回復をするというようなときに政府において話し合うべき性質のことであって、われわれ日本の友好団体あるいは在寮の者あるいは華僑総会が日本政府と話し合うべき筋合いのものではないという点をお互いに理解をいたしまして、そして、基本的にはこの問題は政府間の問題であるということにいたして、そして、当面はこの運営の方針というものを認めて、三者の間で円満な納得がいったわけです。これは時間もありませんから説明不十分ですが、要点だけ申し上げました。  これに対して、外務省は、それらの三者の間の話し合い、また華僑総会の基本的な態度をも確認をし、これに協力しておるわけです。それについて、所管の官庁としての外務省は、この取りきめの覚書の精神を実行することに対して、これを理解し、今後問題によりましては支持と協力を仰がなければならぬこともあるわけですが、それについての外務省のお考えをこの際伺っておきたいと思います。
  63. 曾野明

    ○曾野政府委員 簡単に申し上げます。  ただいま穂積先生からお話のありました、二月二十六日、善隣学生会館に対しましてごあっせんをいただきましてでき上がりました覚書のあることは、私たちも承知いたしております。この覚書の中で、ただいまおっしゃいましたように、中国との文化交流事業に当てるということが書いてございますことも承知しております。中国との文化交流事業に当てるというふうに書いてございます。そして、この覚書の末尾に、ことしの三月一日、あっせん者すなわち穂積、細迫先生は本覚書の趣旨を説明して、東京華僑総会代表の支持と確認を得たというもののついております覚書が、私の方にも善隣学生会館から回ってきております。ただいまおっしゃいましたように、この会館は百十万円の寄付ででき上がっておるものでありまして、そのうちの二十万円が満州国、残りの九十万円の大部分が日本の商社の金ででき上がっておりまして、御承知のような紛争がございまして、そして、穂積、細迫両先生のごあっせんで円満に覚書ができましたことは、非常にけっこうなことで、ありがたく思っております。  先ほど御質問のありましたこの会館の所有権の問題でございますけれども日本の裁判所の判決によりますと、これは日本法人であるという判決が下っておるわけでございます。将来中共がこの問題を持ち出してくるようなことがあります際にどのような措置をするかということは、私たちといたしましては、今の段階ではあまり論じない方が適当ではないか、こういうふうに考えております。
  64. 穗積七郎

    穗積委員 そこで、外務大臣、お聞きの通りの経過であり、専務当局のお考えですが、中国側の態度は、この問題は、財産権の問題については今は触れない、さっき言ったように触れるべき立場のものではないわけですが、触れるときは、これは国交回復その他の機会に政府政府との間で話し合いすべきことだという態度を明らかにしておられるわけです。われわれもそれがまことに妥当な態度であるというふうに考えておるわけです。そういうことで、今申しましたように円満に中国との文化交流のセンターの気持でこれを活用していくという合意に達したことに対して、外務大臣も御同感であろうと思うのですが、この際外務省を代表してぜひこれに対する理解と支持をいただきたい、当然のことだと思いますが、念のために大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  65. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 情文局長から申し上げた通りでございます。
  66. 森下國雄

    森下委員長 アメリカ局長が見えておりますから、戸叶里子君。
  67. 戸叶里子

    ○戸叶委員 先ほど私核実験の問題で質問をいたしまたけれどもアメリカ局長がいらっしゃいませんでしたので答弁を保留しておいたわけです。  そこで、お伺いいたしたいことは、四月十一日の外務委員会で、私はクリスマス島の危険区域の指定の問題、ジョンストン島の危険区域の指定の問題等について質問いたしましたところが、それに対して、クリスマス島の危険区域の指定については通告があって、それに対しての抗議申し入れた、しかしジョンストン鳥についてはまだはっきりした情報が入っておらない、こういうふうなことでございました。ところが、先ほどの御答弁で、ジョンストン島の危険区域についての通告もあったので、日本政府からは抗議を申し込んだ、こういうふうなことでございましたが、詳しい答弁アメリカ局長がいらしてからということでございましたので、その内容について、また、日本から申し入れた日等につきまして、はっきり御答弁を願いたいと思います。
  68. 安藤吉光

    安藤政府委員 手違いで私おりませんでしたことをおわび申し上げます。  この前の当委員会におきまして、クリスマス島について事前通報があったかというお話がありましたときに、私はクリスマス島についてはそれは口頭であったかどうかちょっと記憶がないが事前通報があったということを御答弁申し上げました。それはたしか先生にお配りしたかと思いますが、(戸叶委員「まだいただいてない」と呼ぶ)それは、四月四日の午後四時に在京米国大使館のサタリン一等書記官が外務省の国連局の根本参事官を来訪いたしまして、本国政府の訓令に基づいて、米国政府核兵器実験実施に備えて四月十五日以降北緯六度五十分、西経百六十二度四十分、南緯三度十分、西経百四十九度二十分で囲まれる海域を危険区域と指定し、海空の航行を禁止することを決定し、近々発表する予定であるが、日本政府に右を事前に通報する次第であると述べた口頭の事前通報がございまして、翌日これが発表になっております。  一方、ジョンストン島につきましては、私が申し上げましたのは、あるいは私の勘違いで申し上げたのかもしれませんが、同様な事前通報があったかという御賛同だったと思うのですが、これにつきましては、結果から先に申し上げますと、九日に、これはワシントン時間でございまするが、米国原子力委員会と国防省が、ジョンストンの周辺の危険区域設定及びクリスマス島周辺の追加拡張区域の指定というものをいたし、発表いたしたのであります。そのほとんど直後でございます。ワシントンの国務省から私の方の大使館に、手違い事前通報ができなかったことはまことに申しわけなかったがと言って、その発表と同様の内容のものを大使館員が受け取りまして、それが外務省にもワシントンから電報で来ております。内容は、当時すでに発表されておりますので御存じだと思いまするが、簡単に申し上げますと、ジョンストン島、これは太平洋のハワイの西の方にございます。それで、何度々々というと非常にむずかしゅうございますから、実質をごく簡単に御報告申し上げますと、ジョンストン島を中心にして、海上では四百七十海里を半径とした円、それから、それが三万フィートの高度におきましては半径七百海里、ちょっと頭が福助みたいな格好の区域、それから、クリスマス島の方におきましては、この前に禁止区域を設定されたところの東北部に、ヤイル数で申しますと百二十マイルと百四十マイルの長方形の地域を追加設定したわけでございます。  これに対しまして、あるいは新聞等で御承知かと思いますし、また外務省もこの内容発表しておるのでございますが、ジョンストン島の危険区域指定並びにクリスマス島周辺の危険区域を一部拡張するという向こうの発表に対しまして、具体的にはワシントンのわが方の大使館からも正式に電報を打ってきておって、それを検討したのでございますが、四月十三日、私が在日米国大使館グッドイヤー参事官を招致いたしまして、口上書をもって、核実験に対する日本政府の従来の見解を述べて、要するに核実験をやめるようにということと、それから、万一そういう核実験の実施によって起こることがあるような損害及び損失については補償を要求する権利を留保するという趣旨抗議をいたしております。当時これは新聞にも出たのであるいはお読み下さったかと思います。  なお、クリスマス島の第一回のものに対しては四月六日に相当長い抗議をいたしておりますが、趣旨は同じでございます。
  69. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そこで、伺いたいことは、日本からのやめるようにという見解に対して、先方がどういう返答をしたかということが一点。それから、もう一つは、クリスマス島のときには四月十五日以降を危険区域として指定しておるようでございますが、ジョンストン島の場合にはいつから危険区域として指定してきたか。それから、ついでですから伺いますが、その期間というものは、四月十五日なら十五日という初めは指定してあっても、いつまでというようなことがないようでございますが、その点はどうなっておるのでしょうか。
  70. 安藤吉光

    安藤政府委員 申し落としまして恐縮でございました。クリスマス島につきましては、四月十五日からということが発表されておりますが、期間については言明してございません。それから、ジョンストン島及びクリスマス島の東北部のつけ加えて拡大されました両地域に対しましては、四月三十日から危険区域に指定すということを言ってきております。期間については明示してございません。  それから、向こうからどういうことを言ってきたかという御質問でございますが、私、この口上書グッドイヤー参事官に渡しますときに、口上書とともに同趣旨を口頭でよく説明したつもりでございます。これに対しまして、グットイヤー参事官は、これをノートにいろいろ筆記しまして、口上書とともにアメリカ本国にお伝えするということを約しました。まだ向こうの方から正式な回答は参っておりません。
  71. 戸叶里子

    ○戸叶委員 日本政府から正式に口上書を手渡したわけでございますが、それに対してアメリカから何ら回答もないということは、私は非常に残念だと思います。やはりそれに対する返事というものをこの際取っておいていただきたいと思うのです。せっかく日本がこうであるという意見を表示したのに対して、アメリカ政府が何とも言わないというのは非常に不当だと思いますので、その点は、さらに申し入れをする、あるいは何とか言ってきたかということをお問い合わせになる御意思があるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  72. 安藤吉光

    安藤政府委員 先ほども御説明いたしました通り、申し入れたのがまだ数日前のことでございます。今後どのような措置をとるかということに対しましては、経緯を見て慎重にやりたいと思っております。アメリカの方も、係官はもちろんのこと、日本政府立場日本国民のこの問題に対する関心というものは十分承知はしておると確信いたしております。
  73. 戸叶里子

    ○戸叶委員 そのままうやむやにならないようにしていただきたいと思います。  そこで、先ほどの御説明では、クリスマス島が四月十五日から、それから、それに付加したクリスマス島の地域を広げたのが四月三十日から、ジョンストン島も四月三十日から、こういうことのようでございますが、そうすると、結局広範囲にわたって危険区域として指定されてきたわけでございますけれども、これは期間はいつまでというように指定されておらないようでございますが、外務省としてはどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。また、もしも何とも向こうからの返事が来なければ、その間は、向こうから解除になると言われるまで、唯々諾々として、これは危険区域であるというふうな考え方でそのまま臨まれるのかどうか、大体どの程度の期間というふうな見通しを立てておられるのか、この点も伺いたいと思います。
  74. 安藤吉光

    安藤政府委員 今度向こうから来ました発表文によりますと、先ほど御説明いたしました通り、期間は指定してきておりません。われわれが口上書で強調いたしましたところは、この期に及んでもぜひ再考して、核実験をやめてくれということを非常に強く要望しておるわけであります。それで、損失、損害留保の方は、いわばつけたりといってよろしゅうございましょうが、だめ押しをしたわけであります。われわれの口上書の趣意は、やはり核実験をもう一ぺん再考してやめてくれということであります。それから、従来の慣例によりますと、核実験指定解除のときにはやはりその措置がとられておるようでございます。
  75. 戸叶里子

    ○戸叶委員 それで、日本政府としては、十五日なり三十日からの危険区域の指定というものがどのくらい続くのか、全然おわかりにならないのですか。それとも大体このくらい続くのではないかという見通しを持っていらっしゃるでしょうか。
  76. 安藤吉光

    安藤政府委員 ただいまも御説明申し上げました通り、私自身が先般の口上書でやめることを非常に強調いたしまして、それに主力を置いておるわけであります。それが主眼点でございます。従いまして、まだ向こうは核実験を始めたわけでもないし、われわれは始めることを見合わせてくれということを言っておるのであります。先生のおっしゃいます何カ月とかなんとかいうことは、遺憾ながらもし万一始めましたような際には、われわれとしてはそういうこともいろいろせんさくしなければならぬかと思いますけれども、私たちといたしましては、そんなことよりも、とにかくやめてほしいという申し入れの方に主眼を置いた次第であります。
  77. 戸叶里子

    ○戸叶委員 今のアメリカ局長のお考えは大へんりっぱだと思います。当然のことだと思うのです。これをやらせるべきではなくて、やらないということに重点を置かなければいけないのですけれども、ときどき政府態度が弱腰になるものですから、そういうことのないように、今の信念を貫いていただきたいというふうに思いますけれども、もし実験された場合にいろいろな問題が起きてくるので大へんだと思いまして、一応その点を伺ったわけです。  そこで、第二の問題としてお伺いしたいのは、この間の委員会での御答弁によりますと、まだどの程度の区域を限られておるかはっきりしないから、ジョンストン島の危険区域はどの程度になるかということを調べた上でいろいろな処置をしたいということでございましたけれども、今度の発表によりまして、危険区域が相当広げられたということによって、日航などの空路などにも非常に影響があるのじゃないかということも考えられますけれども、今度の危険区域の設定によって日航の空路が変えざるを得ないようになるのじゃないかというような問題とか、あるいは漁船が危険区域を指定されただけで出られなくなるというような問題があるのじゃないかと思いますが、そういう点はどういうふうにお考えになりますか。
  78. 安藤吉光

    安藤政府委員 お答え申し上げます。二度にわたりますこういった向こうの声明が出ました直後、われわれは、水産庁、海上保安庁及び運輸省の航空局の人たちにこれを即刻通報しております。そして、私がこの前範囲がわからないと申し上げましたのは、具体的に私の頭にございましたのは、ただハワイ島との関係がどうなるか、主として航空のことを頭に描いておったのですが、私専門知識はございませんか、過去の昭和三十三年のジョンストン島の実験のときも、これは予防措置として日航が航空路を一回だけだと思いますが変更したやに聞いております。従いまして、今度の場合、遺憾ながらもし実験が行なわれたら、そういった場合に、あるいは日航の空路を変更しなければならぬことが起こるかもわからないと思うわけです。そんな関係で、常時町航空局とは連絡をとっております。
  79. 戸叶里子

    戸叶議員 この間、水産庁の次長がお答えになりましたのも、もしも新聞にあるような範囲ならば相当の影響があるということも伺っておるわけでございますけれども、今度のクリスマス島からさらに範囲が広げられて付加されたその危険区域というものを中心として、各省の間でお話し合いか何かなさったのですか。この点も伺いたいと思います。
  80. 安藤吉光

    安藤政府委員 さようでございます。声明川がありましたとたんに各省といろいろと協議連絡をしております。今後もまた続けていくつもりでございます。
  81. 戸叶里子

    ○戸叶委員 相当、日本として、漁船の問題、それから今おっしゃった日航が空路を変えなければならないという問題が出てくるというような点から考えますと、非常に重大な問題じゃないかと思いますので、さらにさらにあらゆる知恵をしぼって、この実験をさせないようなことを考えてやっていただきたいと思いますし、国民もみんなでそれに対して非常な関心を持って、あらゆる機会に実験をやめてもらいたいような要望をしておるわけでございますから、もう補償とかなんとかいう問題じゃなくて、やめてほしいということで信念を貫いていっていただきたいということを申し上げておきす。
  82. 森下國雄

    森下委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後二時三十三分散会