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加藤(勘)
委員 実は、私、相当にこまかい資料をもってこまかくお聞きしようと思っておりましたけれ
ども、大臣も
委員長も大体四時までという話だそうですから、四時までには私の予定はちょっと終わらない予定なんですけれ
ども、端折りまして、要点だけを
中心として、できるだけ四時ころに終わることにします。
そこで、問題は、いろいろ言えば文句はあるのです。ありますが、要点は、現在の引揚島民の窮状にかんがみて、この金がいつどのようにして配分されるかということが一番
中心なんです。ところが、それについては、今日までの経過について一
通りあなた方に毛頭に入れておいていただかなければならぬことは、これは
外務大臣もちょっと聞いておいていただきたいのですが、昨年の暮れ島長に一人について二万円ずつの貸し出しがなされた。これは銀行利子で天引なんです。そうしますと、一方からいくと、自分に配分される金がその銀行に預けられておって、そうして、今度その銀行からは預金利子の倍以上の利子で自分は金を借りる、こういう不自然というか不合理というか、これではどうしても納得がいかないのです。しかも、こういうことが延び延びになりますと、今度は利子に利子が重なって、もし一年も一年半もたったら、もらうときには、何のことはない、利子に食われてしまう。銀行に利子をかせがせるためにこの定期預金がなされておる、こういうことになってしまうと言われても文句の言いようがないと思うのです。だから、私
どもは、そういう点から見ても、この金が至急に配分される方法が講じられなければならないと思うのです。ついては、従来の三団体、ことに土地
委員会のごときは、この金は土地に出されたものである、
補償ではないが土地に出されたものであると言っている。なるほど、
アメリカの
国会の速記録の写しを見れば、土地が
一つの標準になっておることは事実です。しかし、全体の評価をする場合に、土地以外に標準になるものがないから土地が標準にされたというにすぎなくて、
先ほど外務大臣もおっしゃったように、土地の移譲なんということは全然問題になっていない。おっしゃる
通り、その
通りなんです。であればこそ、土地が
日本国民のものであればこそ、これに潜在主権というものがあるのでありますから、従って、その土地
委員会の諸君が土地を主眼にしようということは、これは当を得ないものと思いますが、問題は、私は交換公文が一番具体的なよるべき根拠でないかと思うのです。交換公文は
外務大臣とライシャワー大使との間に交換された正式の
外交文書である。この
外交文書に記載されておる
内容こそが配分の根拠になる。ただ、当局として実際お困りになるのは、実際に今どういう状態になっておるかということの厳密な事実が判明しにくいというところにお困りになっていらっしゃるところがあると思うのです。土地による配分なんということは、交換公文によればそれでいいわけなんですが、そういう点でお困りだと思います。ただ、住民の側からいけば、強制疎開を命ぜられた昭和十九年の立ちのき当時を基準として配分を受けるという
考え方でおるのですが、
アメリカとの文書
関係からいけば、講和条約発効後、こういうことになっておりまして、講和条約発効後では
現実の情勢に適合しないと思うのです。もし講和条約発効後のものであるとするならば、その前の十九年からその期間に至る間の生活の
補償は一体どうするか。
日本政府は、従来小笠原の島民に対しては、何もと言うては語弊があるかもわからぬけれ
ども、ほとんど何もやっておられないのです。たまたま一億四千万円の金を出された。しかも、これは
アメリカからもらったら返すんだというので、そして、今度現に差し引いてしまった。銀行に預けるのでも、差し引いて預けてしまってある。小笠原島民としては強制命令によって引き揚げた。しかも、そのとき、壮年の人々は、強制徴発されて軍事行動に従って、約八百名の島民はそのまま戦線に使役されておる。その中の何割というものはそのために死んでおる。そういうことに対して、死んだ人に対してはどういう状態で
政府としては慰謝されておるか知りませんけれ
ども、とにかく、島民に対しては、強制疎開を命令して、それっぱなしなんです。他の
地域、たとえば奄美大島の場合でも、十億円出されている。これは暴風の問題もあったけれ
ども、十万円という見舞金が出されておる。沖縄についても、とにかくなし得ることは
政府としてもなしておられる。ところが、小笠原だけはひとりほとんど何にもやられていない。ただ、東京都から何千万円かの見舞金があった。これは東京都の住民ですから、東京都が何千万円かの見舞金を出しておる。
政府としては何にもやっていない。だから、この
アメリカの六百万ドルというものは、
アメリカ側では講和条約発効後ということに言うておるけれ
ども、私は、
日本政府はこの交換公文の建前から言っても当然強制疎開を命ぜられたときの状態を基準として配分されるべきでないか、こう思いますが、この点は、長官、どういうようにお考えでしょうか。