○川上
委員 そういう
答弁しかできないのでは、これを続けても私はむだだと思う。調べられちゃおらぬのです。調べられるはずはないのです。当時、二十四年以前というのは、GHQが
日本の
貿易もこの
援助物資の収支も全部どんぶり
勘定にしておった。わけがわからぬのです。これの書類というようなものを、似たようなものを捨てて帰ったんです。その帰った時分にこれは
日銀に保管をさして帰った。
日銀から
通産省はこれを引き受けておるはずなんです。何が何やらわけがわからぬものです。このGHQが
日本の全一的な占領支配をしておった時分にどういうことが一体起こっておったか。これはわかるはずがないというのは、ここにこういうことがある。特別調達庁発行の調達史の第一巻、これにこう書いてある。たとえば、
昭和二十四年までの時期についてはすべてが
混乱と弥縫的な跡始末の時代でありました、それは、
アメリカの独走する調達要求と、それによって発生した既成事実を
日本国の財政が跡始末をしながら追っかけて追っかけて、既成事実化された米軍の調達費やその他すべてのことを、進行するインフレーションの中でこれを何とかするために追加また追加、追っかけまた追っかけ、全く
混乱した時代でありました、特別調達庁発行の調達史第一巻にこう書いておるのです。この時代にGHQが勝手に
品物を持ってきてばらまいたんだ。これの一々がわかるはずがない。わからぬのが
当たりまえです。(「頼んだんだ」と呼ぶ者あり)
——頼む頼まぬは別問題であって、どんなことをしようとも勝手ほうだいにやって、
池田総理もここではっきりとどんぶり
勘定でありましたと言うておるのです。どんぶり
勘定がわかりますか。わかりっこないんです、二十四年以前は。それだから、私の言うておるのは、二十四年以前はわからぬからはねました、二十四年以後はこうでありますというのなら、私はまた話は違うと思うのです。そうでないんです。これには二十四年以前全部基礎
数字の中に入っておる。わからぬものが入っておる。これは
信用が置けないということをわれわれは言うておる。こういう時代だった。
さらにつけ加えて言いますが、あのGHQが、ことにマッカーサーはあの占領中にこの金をどう
操作しましたか。この
援助物資の金を、また
輸入した、
輸出したものの金をどう
操作したか、わけがわからぬじゃないですか。何をやったかわからぬ。ある人はこれは謀略に使ったと言っておる。ある人はここに使ったと言っておる。ある新聞の報道によると、
アメリカから来た
調査団は、マッカーサーは
アメリカのガリオア
予算を三重取りをしておるのではないかという報告をしたといううわさが流れておる。私はこれの真偽を言うておるのではない。この
混乱時代だと言っておる。わけがわからなかったんだ。GHQ、マッカーサーが独裁しておった。何もかにも、この時分のものは、一々書類で調べました、この書類でわかりました、こんなことを言えるものでないということは明らかだと私は思うのです。
私は繰り返して言いますが、二十四年以前はわからぬからこれはどけてあります、その以後の分についてはこうこうでありますということになれば話は別だと私は言うのです。ところが、これによると、三十四年以前が全部入っている。わからぬはずなんです。それをもとにしておる審議はできない。まるでこれは払いさえすればいいという態度ではないですか。
政府の方では、何かいいかげんに言うて、とにかくお返しさえすればいいのだ、この態度と言われても仕方がないじゃないですか。
さらに私は言いますが、大体この金は一体
援助費ですか。これは
総理にお聞きしたい。これは
援助の名に値いするものですか。
〔稲田(篤)
委員長代理退席、
委員長着席〕
アメリカの議会でたくさんの人が証言をしておる。どういう証言をしておりますか。たとえば、一九五二年、下院の歳出
委員会における聴聞会で、ヴォルヒーズ陸軍次官補は証言しております。どう言うておりますか。われわれはこの
予算を持つことによって非共産主義の
日本を作るためだ、こう言うておる。また、
予算局長のドッジさんはどう言うておる。われわれの極東
政策は
援助の拡大によって
日本を利用することを必要とする、こう言うておる。
アメリカの商務省の
説明、アイケルバーガー中将の発言、この中で一つでも、
日本の
国民を助けるのだ、
日本の
国民を
援助してあげるんだという証言が一ぺんでもありますか。一口もありません。これは全部
アメリカの占領
政策としてやるんだという証言なんだ。これが
援助ですか。これは、
アメリカのアジア
政策、極東
政策、
日本に対する
アメリカの占領
政策、これではないですか。私は、
総理はこれをどうお考えになるかとお聞きします。大体これは
アメリカが
日本を
アメリカの極東
政策の下僕にする占領の手段だ。あの当時は
日本の国情はどうですか。
国民生活は困難に陥った。隠匿
物資はいっぱいあった。国情騒然、至るところに摘発と紛争が起こった。あのときに
政府と保守勢力は何一つこれを静める手段を知らなかった。GHQはこれに対して
物資を放出しなければあかぬということを
アメリカに申請しておる。
アメリカは余りものを
日本に持ってきてこれをばらまいた。これで、一つには
日本の
国民の動揺と不満を抑える、一つには
日本をアジアにおける
アメリカの極東
政策の冷戦と干渉の基地にした。これで目的を達したんだ。これがガリオア
援助物資なんだ。このことは
アメリカの議会の証書でも明らかなんだ。こういうものを、債務であるとか、心得るとか、負けてもらうたとかいって、今ごろ払うと言う。しかも、払った金を何に使うんです。私はまとめてここで
質問しておりますが、払った金を何に使うんです。交換公文が二つあるのです。一つは
アメリカが
日本人の再教育に使う、これが二千五百万
ドル。もう一つは何に使うか、東アジアの云々に使う。この東アジアにはインドは入らぬと言う。どこが入るか。ベトナムと韓国とタイでしょう。これを何に使うのだ。しかも、この使うのは、
アメリカの外務大臣の
答弁によると、
アメリカの対外
援助法によって使うという。
日本に使う教育費というのは、
日本の
政府は関与することができない。これは、MSA
協定による積立金を何に使うておるかと見ればすぐわかる。あれを何に使うておりますか。
日本人を、どんなに教育するためにあれを使うておりますか。
政府は関与しておりますか。これはしておらぬです。こういう教育費、
——教育費といえば非常に言葉がよろしい。
日本人を
アメリカ人のように作り上げる教育費です。これと、東アジアに対する干渉と冷戦の費用に使おうとしている。そのうちには韓国が入ってる。これが使途でしょう。これをずっと考えてごらんなさい。大体、この出発からわけくそのわからぬもの、払うと言うて、講和
会議にも問題にならぬようなものを、それ以前に債務だというようなことを
承知しておいて、今になってこれを払う、わけがわからぬのに払うと言う。わからぬということは、ここにはちゃんと繰り返すように書いて出してある。そうして払った使途は何か。今言うた
通り。しかも、これがわれわれは
援助物資と思わぬ。
アメリカの占領
政策による占領費だ。十二分に目的を達しておる。あらん限りのことをやっておる。これが、GHQがやった、マッカーサーがやったやり方であり、
アメリカのやったやり方なんだ。(「討論じゃないか」と呼ぶ者あり)
——討論じゃない。
質問だ。こういうものが、
総理大臣は、まことに
国民の利益をはかるりっぱなことだとほんとうにお思いになりますか。これは言葉の先の問題じゃないです。私は、
池田さんという方は非常にものわかりのよい筋の立つ人やと思っておった。この人がこれをやっておる。正面な
答弁をしてごらんなさい。これがほんとうに
日本の
国民の将来のためになりますか。時間がないというから最後に言いますと、これが憲法に合いますか。これが
国民の誇りと名誉を全うしますか。これが国会の権威を高めますか。これがアジアの平和と
日本の独立を保障しますか。そんなものだと思いますか。私はそんなものでは絶対にないと思う。おそらくいろいろな理屈がありましょうが、これについては
総理のお考えを聞いておきたい。