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辻原委員 私は、今逆に聞いてみたのです。確かに小坂さんが言われたように、リップスに
関連をして、どちらの方にしたらリップスがリベートをもらえるか、いろいろな判断をしております。今小坂さんが言われたように、新協定とやった方がリップスがもらえるのではないかという解説をした本までここにある。「
日本の動き」という本だ。これをちょっと参考に読んでみる。それは今小坂さんがくしくも
答弁された。私は逆に聞いていた。前にひっかけてやった方がリップスがもらえるのではなかろうか。なぜかというと、三十年協定の当時はリップスは顧問として正式にきまっておったが、現在の協定には
関係があるんだろうかないんだろうか、そこの
一つの判断が率直に申して
関係があるように見えるけれども、それについては今までの交渉の中には頭を
出してきておらぬ。しかし、三十年協定が
あとで動かなくなった。その当時まではリップスは
関係しておることは事実です。そこで、三十年協定で約束しておったのだから、三十年協定に
関係があるならば、九十六億もそれに置きかわったものであるならば、そのときに交渉をしたリップスは、三十年協定から引き続いて生まれたものならば、九十六億についてはもらう権利がありますよ、こう主張してくる道があるのではないか。それに対して、小坂さんが、そうじゃなくて、それはそれとして終わったのだけれども、新しくまた
特別円の問題で、ここで
日本側が新しい金を払うということになれば、それは新事実として、リップスはもらいやすくなるのじゃないか、そう小坂さんはおっしゃる。それで、そういうふうに書いてあるのもあるのです。ここに書いてある。読んでみます。「このリプレースという珍らしい用語には可成り深い
意味があるといわれる。これについて二つ理由が
考えられる。1、
タイ側の旧協定改訂申し入れに対し、三十二年岸首相、
池田通産相は改訂は不可能だと拒否している。不可能が可能になったとの批判を避けるため「代る」という文句を用いた。」、——これは別の問題ですが、その次に、「改訂」にするとリップス弁護人に
タイが二%支払わねばならないからそれを避けるため「代る」とした。しかし、
政府の口からはまだはっきりした」
云々、こう書いてある。これは小坂さんが今たまたま言われたことなんです。「代わる」とやったならば、もらいにくくなるであろう。この事実については、これはあなた方笑っておられるけれども、
タイの新聞等にも報道されたことがあり、また、
日本の外務省の
資料にも一部出ておるほどはっきりしたことなんです。だから、われわれとしては、
タイ特別円の問題については、何かしらそういう問題と問題を持ち、単に
池田さんが言われるような経済協力とかあるいは日・
タイの将来の問題という大所高所論などだけでは割り切れない問題がある。
日本の
国民は、九十六億という新しい
債務を何もはっきりしない理由のままくれてやろうというようなことについて納得がいかぬと今日申しておるのは、そういう暗い影がこれにまつわりついているからです。私は、時間がありませんから、
タイの政情、そういった背景の中にどういう形でこの九十六億が今後使われていくであろうかということについては、きょうは触れることはできませんけれども、この協定にかわる、置きかえるという言葉
一つだけを掘り下げてみても、そういう問題に突き当たってくる。だから、今までの総理なり外務大臣の
答弁をされておるこの協定の交渉の経過、そういうことについては一切われわれ納得できないと申しておる。いま一度
一つ総理から伺いたいと思う。