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黒田委員 今
法制局長官の御
答弁になっておるそういう詭弁は、きょう私はもう繰り返して承ろうとは思いません。そういう御
答弁を承るのはむだです。そこで、後日にこの問題を留保しておきまして、私の
意見をはっきりと申し上げておきます。まだこれから何回かこれが問題になることだけは心得ておいて下さい。私は、きょうはこの問題につきましてこれ以上は
質問いたしません。しかし、私の
意見だけははっきりときょう申し上げておいて、この問題については私自身としましてはこれを留保しておいて
質問を終えることにします。
私自身の
意見を申しておきます。これはしょっちゅう私
どもが申すことでございます。新憲法によりまして
国会の地位が最高のものに高まって、従って、財政に関する
国会の権限も強化せられたのであります。そして、憲法第八十三条によって、財政に関する国
会議決主義の原則が定められまして、さらに、八十五条によりまして、
債務の負担行為も
国会の議決に基づくことが必要であるとされたのだと私は思うのです。これは、行
政府に対する
国会の監督、コントロールを私は定めたものであると思います。こういうところに憲法上の
規定の
意味があるのです。もし私の
見解に従いますれば、
国会の
承認なくして
債務を負担する
——私、今回の場合はそうだと思う。(「そうではない」と呼ぶ者あり)私はそう解釈する。そういうものであっても、後日、今回のように、事後
承認を受ければよい、もしそういう
考えであるとしますならば、不当な
債務負担行為が
国会の
意思にかかわりなくなされるということを許すことになるのです。これでは
債務負担に関する
国会のコントロールを保障しました憲法第八十五条の後段の
規定は無
意味になってしまう。
国会の
意思とかかわりなく
政府によって不当な
債務を負担するようなことを防止することによって、一そう
国会の
政府に対する監督統制を全からしめようというのが、憲法八十五条後段の
規定の趣旨であると私は
考えます。すなわち、
事前に
債務負担の段階においても
国会の議決を要することとしたのがこの
規定でありまして、
債務負担の行為とは何であるかということは、私が先ほど言ったような
意味のものであります。繰り返して申しますれば、憲法第八十五条後段は、国費の支出の原因である行為をなすこと自体について
国会の議決を得るよう要求しておるのでありまして、従って、
国会の議決のない限り
債務負担行為をすることは許されない。これに違反してなした
債務負担行為、すなわち
国会の議決なしに
債務負担行為を行なうということは憲法違反になる。さような行為をすることは、
政府に憲法違反の責任が発生するのであります。私はこういうように問題を解釈しておるのであります。
政府が
ガリオア・エロア輸入を
債務と心得ておられたということになりますれば、そうしてそういう
考えのもとで
輸入物資を受け入れられておったとすれば、そしてまた
政府は
債務性と言われるのですから、そのことによって
債務が発生して、
債務の
支払いをしなければならないということになるとしますならば、
政府が憲法違反を犯したという理屈になってくるのです。
ガリオア・エロア援助が
債務であったとすれば、憲法違反の
債務負担行為となって、このような違反行為に私
どもは事後
承認を与えるということはできないのであります。こういう
関係になっております。これは私の
意見でございますが、先ほどの
外務大臣の御
意見に私は承服することができません。
私のこれだけの
意見を申し上げておきまして、いま一つ、この
協定について発生いたしております問題を取り上げてみたいと思います。
私は、今回の
協定の中に、憲法上の見地から見て二つの
問題点があると思う。第一は、今申しましたように、
事前に
国会の
承認を経ないで
債務負担行為をしたということ。
債務と心得るということになると、こういう問題が起こってくる。それから、第二は、
内容不明のままに、とにかく将来は支払うべきものと心得ておるというようなものを
輸入したこと、これはとにかく
債務を負担したことになる。これは、何らか
内容のわからないばく然とした
債務を負担したということになるのです。
政府がガリオアは
債務性があると言われるならば、こういう二つの問題が起こってくると思います。今まで私が申しましたのは、その二つの問題のうちの一つを問題としたものであります。
そこで、いま一つの問題を取り上げてみたいと思います。
債務か
贈与かわからなかったから
承認を求め得なかったのだ、こう言われるのであれば、これは私は別だと思います。しかしながら、
内容ははっきり
確定はしなかったけれ
ども、いずれは必ず支払わなければならぬものであると
考えておった、そういうように
考えながら
アメリカのガリオア
物資を受け入れた、それによって
債務を負担行為がその時行なわれたということになりますと、これは、憲法から見れば非常に不当なことになる。その当時の政治
情勢のことは別問題といたしましょう。私は、
政府が
債務と心得ておると言われるから、こういう議論をしなければならぬことになるのです。こういうように何だかはっきりしない形で、将来どのくらい支払わなければならぬことになるかわからぬけれ
ども、とにかく払うだけは払わなければならぬということで
債務負担をした、具体的に言えばガリオア
物資の
輸入をした、こういうやり方をすることは非常に不当でありまして、憲法はこういう場合を予想していないのです。そういうことをすること自身が憲法違反である。
日本の憲法は、
政府がこういうことをやろうとは予想していない。そういう憲法の予想していないようなことが行なわれておったという問題になってくるのです。私
どもの申しますように、
債務か
贈与かわからないのだ、占領軍の一方的
意思として
物資を送ってくれる、それをわれわれは受け取っておったのだというように解釈するならば、私が今申しますような問題は起こってこない。ところが、
政府が、
債務だ、
債務と心得ておるとおっしゃれば、今私の申しましたような問題が起こらざるを得ないのです。
国会が
承認し得るのは
内容の
確定した
債務のみでありますよ。
内容の
確定しないような
債務を負担しても、それは
承認のしようがないのです。これを
承認したとすれば、こういうものを
承認したとすれば……
〔発言する者あり〕