○愛知
委員 私は、かねてから本
委員会に付託されておりますガリオア・エロア並びに
タイの特別円、この二件につきまして主として
池田総理大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
この両問題の中で、特にガリオア・エロアの問題につきましては、私は、
池田総理大臣が
日本国民の中で一番よくこの問題に通暁しておられる方であり、また、それだけに十数年にわたって非常に御苦労を承ねてこられたものと思うのでありまして、
池田内閣におかれて最終的な
処理のこの提案がなされたことについては、
池田総理としても非常に感慨が深かろうと拝察するわけでございます。
そこで、私は、まずガリオア・エロア問題について、最初に、専門的であるが同時に一般
国民大衆を納得させるようなとっくりとした御説明を
総理からいただくことがこの際最も必要なことじゃなかろうかと思うのであります。たとえば、最近におきましては、ガリオア・エロア問題も非常に大衆的な
話題になっておりまして、ある週刊誌を見ましてもこういうふうなことが書いてございます。「借りたものは返すのが当り前だと、アメリカに返す約束をしたのは
政府。もらったものだから返すことはないよと
反対するのは社会党。そこで、
国会ではまたもや激しい論戦が展開します。なんだかさっぱり分らないのは
国民です。うっかりすると税金に
関係する問題なのです。借りたものか、もらったものか、さて、読んでの上のご分別……。」、これは週刊誌でございますから、「読んでの上のご分別」とこういうふうな取り上げ方をしているくらい、
世間の、まあお台所の
話題にまでなっていると言ってもいいのじゃないかと思います。そういう点から、借りたものか、もらったものか、あるいは借りたという色彩が非常に強いものであるから、その間をとって適当に日米
両国で
話し合いをして
国民の納得のいくような
処理をするのがいいか、この三つの問題があるかと思いますので、いわゆる債務性の問題ということについて最初にお尋ねをいたしたいと思います。
まず債務性の問題について申しますと、アメリカ側の資料で
政府が特に援用されておる債務性があるということの根拠についてはたくさんの資料があるようでございまするが、主としてあげておられるのは、一九四七年六月十九日の
極東委員会の
決定、これは、申すまでもなく、援助というものは返済させる意図が明らかになっておるという趣旨のものであります。それから、一九四七年二月二十日の、マッカーサー元帥のアメリカ議会に対する証言と申しますか、メッセージでございまして、これは、やはり、援助というものは慈善でない、返すべきものである、また、
日本国民の意思から言っても慈善を受けるような
国民じゃない、こういう趣旨のものであります。それから、その次は、一九四六年七月二十九日の占領軍の指令書であります。これは、援助物資の支払いの条件については将来
決定するという趣旨のものである。私、
政府が主としてアメリカ側の資料あるいは国際的の資料として取り上げられておるこの
内容はきわめて明白であって疑いをいれる余地はないと思います。しかし、これらの疑いの余地のないものについても、先般の衆議院の本
会議での
戸叶議員の御質疑の中には、たとえばマッカーサー元帥の米国議会に対する証言にしても、これは、アメリカ
政府が
日本にただやろうとしておるから、それでアメリカの納税者としては納得ができないからいろいろ文句を言う、その文句を押えるためにこういうことをマッカーサー元帥は証言をしたのだ、こういうコメントをしておられる。そのコメントを私は格別ここで批評したいとは思いませんけれ
ども、こういうふうな明確なことについてもいろいろと理屈をつければつけ得るものだなというような感じを受けるわけでございます。
さらに進んで、私は、野党の方々のいろいろ言うておられることや発表されておることを引用しながら
一つ総理の御
意見を伺いたいと思うのでありますが、たとえば、二月十三日の「エコノミスト」に横路議員がガリオア・エロアについての論文を発表しておられる。それを見ますると、たとえば、一九四六年四月三日付の当時の連合軍司令部が貿易庁を認めるときに発した覚書には、輸入せられたものは一切そのまま受領せられることを要し、その
日本政府に輸入した品物の品質や数量や形態やその他一切のことについて何にも文句を言ってはいけないのだというような趣旨の指令が出ている、従って、特に二十四年三月までは、援助が商業ベースによる貿易だったのか援助だったのか
一つもわからないということはともかくとしても、こういったような指令が出ておるからには、このいきさつから言って当然これは贈与と解すべきである、アメリカ側の資料から見たって贈与というように見られるものが明白にあるじゃないか、だから払う必要はないじゃないかというようなことがこの「エコノミスト」の論文の中に出ておるわけでございます。さらに、
質問が長引いて恐縮でございますが、これに関連いたしまして、同じく横路氏の論文の中には、「昭和二十四年四月以降の対日援助見返資金特別会計が設定されたいきさつから見ても、贈与であることは明らかである。」、こういうことが書いてある。実は、昭和二十四年四月に対日援助見返資金特別会計が設定されたということは、
池田当時の大蔵大臣の発案によるものであり、そうして、その以後この
関係が明確になったということは世の中で認めておるところでありますが、当時アメリカ側とも最も接触の衝に深く当たられ、そうしてこの特別会計が設定されたこのことは当時の
池田大蔵大臣のお仕事であったわけでございますが、その
関係から言って、ここに横路氏が言っておるようなことはそういうふうに見得るものであるかどうかということをあわせてお伺いしたいわけであります。と申しますのは、ここにこういうことが横路氏の論文には書いてあるのであります。これを要するに、一九四八年の米
経済協力法第十五条第六項第六号の中で、援助を受けた国がその国の通貨をもって積み立てるような特別勘定を作った場合、贈与の分については特別勘定として預金することが必要なんだけれ
ども、供与されたもので返す必要のないものについてはその必要なしと定められているのだから、
日本の場合は特別勘定として預金しておるのですからこの分は返す必要がないのだ、そういうふうに解すべきだというようなことがここにあげられておるのです。これは何も知らぬ人から見ると非常にもっともらしく見えるわけだと思います。しかし、
総理はこの
関係をよく御承知でございますから、場合によりましたらこの「エコノミスト」の二月十三日のところをお読みいただきまして、
国民によくわかるように
一つ御解明を願いたいと思うのであります。