○帆足
委員 変なことを言わないで下さい。そういうことを属僚から聞こうと思わぬのです。もうやがて時間ですから一、二問だけです。
そこで、今、
沖繩の
住民は、とにかく基地問題についてもあぶないから消極的でありますけれ
ども、それよりも、まず
施政権を戻してもらいたい。ところが、
沖繩住民の
意思に反して、また
国際連合の
趣旨に反して占領政策を継続しておるとするならば、
アメリカは他国を侵犯しているということになるおそれがある。先日ある高等学校の子供たちの座談会で私はこのことを指摘されまして、われわれおとなは答えるのに非常に困ったのです。すなわち、
日本政府も
沖繩の
同胞も
三権をお預けしますと言っているならやむを得ない、しかし、みな戻してくれと言っている、本土のことを祖国と言ってなつかしみ、そして
復帰を願っている、しかるに、無理に占領軍によって他国の
支配を受けておる、それならば、それがもっと悪化すると、
アメリカは
沖繩に関する限りは侵略国だと言われるが、先生どうお答えになるかと言うのです。たとえば、キューバなどが、
アメリカは
沖繩において侵略国の体制をとっておるのではないかともし
国際連合で騒がれたら、
アメリカは困ると思うのです。そういうことにならないために、
アメリカからコンロン報告の
起草者のスカラピノ教授が来訪したのもそのためです。また、ケイセン調査団を寄越したのだろうとわれわれは善意をもって
解釈するのですが、そういうことにならないうらに早く問題を改善せねばならぬ。私は、現段階において固執されるならば、もはや
アメリカは
沖繩に関する限りは侵略国の疑いがあるということを
東南アジア諸国から提案されるおそれがあると思う。すでにわれわれはその
情勢を見てとっております。従いまして、すべて善意の警告を
アメリカに対してするわけですが、キャラウエイ君な
ども、このことを心配して、自分は一職業軍人であるけれ
ども、
沖繩住民の
意思を表明したところの
立法府の
決議についてはこれをケネディ大統領に取り次ぎますと、こういう態度をとるのが弁務官殿にとってやはりよいことである。もちろん、
アメリカ合衆国の最高政策と
日本政府との間の交渉でこれはいかようにでもなることでありますから、一弁務官の段階ではないと思う。それを、弁務官が、
立法府について、こういう提議をしたことは無用であると言うならば、そういう事情こそ、
植民地状況であるということの立証を問わずして語っていることになっていると思う。こういうことになろうと思うのです。
実は、私、もう二、三時間やりたいのですが、いかに努力しても野党の立場から
外務大臣を説得することはむずかしいでしょう。また、いかに誠意を持って説いても、与党全部を説得するということは人力の及ぶところではありませんが、この際
日本の国民に論理と正義はどこの側にあるかということだけは明確にしておきたいと思います。そして、保守党といえ
どもあまりにも目に余ることをしてもらいたくない。野党もまた同じく目に余ることはないようにわれわれも自粛自戒して努力しますが、与党も目に余るようなことをしてもらいたくない。子供との討論会で負けるようなことはしていただきたくないのです。
アメリカが
信託統治という美名のもとにだまそうとしても、なかなか賢い愛国の議員が
日本にいて、未遂に終わったということになることの方がほんとうなんです。先日コンロン報告のスカラピノ教授が参りましたときに私も会いました。そして、私はこういう例を引きました。もし
日本と
アメリカとの間に軍事同盟がやむを得ないことであって、かりに
日本の
憲法でも変わって自衛隊がサンフランシスコにやられて、そして、その兵隊のために、貧しい娘たちの何%かがパンパンとなる、子供たちはジープで引かれても治外法権だからどうすることもできない、あるいは、カリフォルニア大学のスカラピノ教授はやや進歩的であるということのために、ニューヨークに行くのにパスポートがおりる見込みがなかなかないということになったときには、
アメリカの市民としてこういう治外法権はやめてもらいたいということを誠意ある
アメリカ国民ならば主張するでしょう、東洋の言葉に「おのれの欲せざるところこれを他に施すことなかれ」という言葉があるが、このくらいの言葉は知っていなければ、
アメリカの民主主義というものも東洋では単なるから念仏に終わるおそれはないであろうかと私は語ったことでした。
最後に、時間がありませんから、せっかく防衛庁の方が来ておりますから伺いたいのですが、一体、防衛庁の方は、
沖繩及び
日本の国防のことを主として
考えておられるのか、または、
アメリカの国防のことに対して御熱心であられるのか。戦略の専門家であるならば、
沖繩の地位は
アメリカの前線基地、原爆犠牲基地になる戦略的宿命を持っておることはだれしもの常識だと思う。
アメリカの
新聞を見ると、遺憾ながら
沖繩はアッツ島にたとうべき場所であるということで、これはどの戦略の本でもそう書いてある。しかも、アッツ島ならば無人島でありますけれ
ども、
沖繩には八十万の
同胞が住んでいる。これをアッツ島なんということをあなた方は
考えたことがあられるか。前に職業軍人であったということやそうでなかったということは、これは歴史の宿命に過ぎませんが、今、私たちは、
日本をどうして救うか。これにはいろいろな方法があります。碁を打つ道がいろいろあるように、最善の方法というのはなかなか見つかりません。お互い、次善の策でもってでも、何とか数カ年の険しい世の中を切り抜けなければならぬ。防衛庁にお尋ねしますが、そのときに一体
沖繩というものをどう
考えておられるか。これはほんとうは総理に聞かなければならぬことです。
沖繩には今どういう装備がなされつつあるか。防衛庁はそれらの大綱くらいは知っておられるか。知っておられるならば、次の機会に私は外務
委員会で秘密会を開いてでも一応のことは知っておきたい。
沖繩を再びひめゆりの塔にしたくない。十分間で五千機のジェット機が飛び立つと言われておるが、その指令系統はあいまいであると言われておる。大統領の手から参謀総長または国防軍の手に移ったとも言われておる。ミサイルは二千キロとも言われ、二千五百キロだとも言われておる。ソ連の一万四千キロとの間に一万キロのミサイル・ギャップがあって、その穴埋めのために
沖繩を使っておるから、やがて
アメリカで一万キロでミサイルができた暁には、
アメリカの前線は後退してもいいとも戦術家は言っております。こういう問題に対してわれわれ外務
委員は全くつんぼさじきでおったならば、私は国民に対して相済まないと思う。従いまして、きょうは時間がありませんから、いずれこの問題につきまして
理事会の御承認を得たいと思っておりますが、これは防衛
委員会や内閣
委員会だけにまかせるべきことではない。国防というものはもはや職業軍人の専門の仕事ではありません。国民の高い良識と、自分のわが国土に対する責任感、この二つがあれば、大かたこの問題についてある見通しを立てることもできるわけですから、防衛庁
当局がこれについてどう
考えるか、同時に、正確な情報を
沖繩から得られるような仕組みになっておられるかどうか、これらのことについて、もう時間がありませんから一問だけお尋ねしたい。
同時に、私は、一番いい方法は何かとかりに防衛庁側から聞かれるならば、前にもたびたび申し上げましたように、
アメリカ上院議員の奥様とお嬢様はなるべく器量のいい方々を
沖繩に参観交代していただくことも
一つの方法であろう。先日東西ドイツの問題が激化しましたときに、在住諸君の家族は直ちに引き揚げの準備をしたということです。引き揚げの準備をする
アメリカ人はいいかもしれませんけれ
ども、
沖繩八十万の
同胞は引き揚げることはできません。行く場所もありません。こういうことに対して、私
どもからこう言われると、防衛庁は千々に心が乱れるであろうと思いますけれ
ども、張り切るばかりがさむらいではないから、今後はときどき外務
委員会に来て、こういう
議論もお聞きになって、そして、従来の武力のみがものを言わぬ原爆・水爆の時代に、どうして
日本の安全を保つかということを外務
委員会でも真剣に取り上げるべきだと思います。防衛庁の責任者が参っておりますから、ちょっと所感の一端だけでも伺っておきたい。