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1962-03-22 第40回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十二日(木曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 前田 正男君    理事 齋藤 憲三君 理事 中曽根康弘君    理事 西村 英一君 理事 山口 好一君    理事 河野  正君 理事 山口 鶴男君       佐々木義武君    塚原 俊郎君       保科善四郎君    石川 次夫君       三木 喜夫君    内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         科学技術政務次         官       山本 利壽君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   島村 武久君         総理府技官         (科学技術庁振         興局長)    前田 陽吉君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   杠  文吉君         厚 生 技 官         (医務局長)  川上 六馬君  委員外出席者         原子力委員会委         員       石川 一郎君         科学技術事務次         官       鈴江 康平君         厚生事務官         (医務局総務課         長)      渥美 節夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(科学  技術行政一般に関する問題及び原子力行政一般  に関する問題)      ————◇—————
  2. 前田正男

    前田委員長 これより会議を開きます。  この際、去る二月二十三日原子力委員会委員に再任されました石川一郎君から就任あいさつのため発言を求められておりますので、これを許します。石川原子力委員
  3. 石川一郎

    石川説明員 今回原子力委員に再任されましたにつきまして、将来よろしくお願い申し上げます。  今までは原子力委員の数も少なかったのでございますが、昨年から四人になりましたし、過去のいろいろのことを考えてみますと、多少変えていかなければならぬところがあるのじゃないかと考えておりますので、この委員会の運営その他につきまして、あるいはまた原子力平和利用の推進につきまして、委員長初め皆さん方と御相談して、少し今までと変えてやっていきたいと考えております。ので、何かお気づきの点があったならば、お教えいただければしあわせに存じます。      ————◇—————
  4. 前田正男

    前田委員長 次に、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  すなわち、南極地域観測に関する問題について、明二十三日午後三時より、第五次南極観測隊越冬隊長村山雅美君を参考人と決定し、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 前田正男

    前田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 前田正男

    前田委員長 これより科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  科学技術行政一般に関する問題及び原子力行政一般に関する問題について、質疑の通告がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  7. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣が来られましてからお尋ねした方がいいかと思いますが、大臣見えでございません。とりあえず次官おいででございますから、次官お尋ねいたしたいと思います。  過日、ある新聞に、原子力委員会原子力基本法運用に関して、特にインドにおいて今問題になっておりますコールダーホール原子力発電、その建設関連をいたしまして、その部品輸出に関して——これはかって当委員会でも中曽根委員あるいは岡委員から質問がありまして、大臣お答えになっているところであります。三月一日の委員会におきまして、岡委員が、この問題に関してはやはり統一見解を示すべきだということを要求せられておるわけでございます。それに関連をして統一見解をお示しになったのかどうか存じませんが、新聞に発表せられましたいわゆる原力子基本法運用に関する統一見解というものは、新聞に報道せられた通り内容を持つものでございますか。次官よりも、幸い石川原子力委員がお見えでございますので、石川原子力委員お尋ねいたしたいと思うのです。委員会として、この問題について何回、どういった論議をいたしました結果あのような見解に到達をいたしたのか、一つ示しを願いたいと思います。
  8. 石川一郎

    石川説明員 三回ほど、二時間くらいずつ論議いたしましたが、まだ結論に達しておりません。新聞に出たことは存じませんが、多分想像で書かれたものじゃないか。まだこちらは結論を出しておりませんから、そう思います。
  9. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、新聞には三木原子力委員長の談話というのが載っておりますが、そういう事実はないのか。大臣見えでございませんから、次官なり局長なりからお示し願いたいと思います。
  10. 杠文吉

    杠政府委員 私も、確かに新聞で拝見いたしました。しかし、新聞の伝えるところの内容は、ただいま石川委員からもお話がございましたように、おそらくは想像を交えての記事ではないかというふうに考えられます。確かにその一部につきましては、そのような議論委員会の中でなされたことはございます。しかしながら、どこが間違っておる、ここが間違っておるというようなことをここで指摘するまでには至りませんけれども、全体として私が感じましたのは、そのうちの一部の議論があるいは記事になったのではないかというふうに考えます。大臣にも確かめましたところが、大臣からも、直接発表したことはないというようなお話でございました。実は、本日大臣出席される予定でございますけれども、今は参議院の方の予算委員会に出ておりまして、こちらの方はただいまのところ欠席いたしております。私が承知している範囲では、大臣は、直接に発表したことはないということをおっしゃっておりますので、これからも原子力委員会において論議を重ねられまして、当委員会における統一見解要求に対しましては、近いうちにお答えできるということに相なろうかと思うわけでございます。
  11. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 原子力委員会では、すでに三回くらい、それぞれ二時間程度の時間をかけて論議をせられている。しかし、まだ原子力委員会として統一した見解は出ておらない、こういうふうに受け取ってよろしいわけでございますね。それでは、その問題は、また大臣もお見えになるそうでありますから、そのときお尋ねをすることにいたします。これらの問題について議論されておるそうでありますから、原子力委員会といたしましても、また原子力局といたしましても、いろいろな見解は漸次固まりつつあるという段階であると思いますので、そういう立場から、一つ私の考えをお示しいたしまして、お答えをいただきたいと思います。  インドコールダーホール建設につきましては、もちろんインドイギリスGECとの間に、相当値段の開きもあって、現在まだ入札はせられておらないようでございます。過日の委員会岡委員が問題にいたしたことは、現在の情勢からいきまして、またインド政府当局あるいは原子力関係人たち意向等から推察いたしますと、あのインドにおいて計画されている原子力発電は、その後の使用済み燃料、これについては、特にインドはその使用済み燃料を保有いたしまして、これを使用していきたい、こういう意向が非常に強いのではないか。そういった傾向が強いということを指摘せられまして、特に日本イギリスとの間に、また日本アメリカとの間に平和利用に関する協定がございます。また、これに関する議定書等もあるようでございます。そういった関係につきまして、イギリスインドとの間ではどのような協定といいますか、それが結ばれつつあるのか。そういう問題を、政府としても在外公館等を使って、やはりその方向というものを見定めていく必要があるのじゃないか。そういうことを抜きにして、軽々に議論をすることは危険ではないかということを私たちとしては考えているのです。そういう点に関しまして、科学技術庁としては、日本在外公館を使って、現在インドイギリスとの間でどのような協定が結ばれる状況になっているのか、どういう点が問題の焦点として議論されているのか、こういう点について入手いたしておることがございますなら、一つ示しをいただきたいと思うのであります。
  12. 杠文吉

    杠政府委員 お答え申し上げます。当委員会におきまして、岡委員から御指摘のこともございましたので、直ちに英国大使館を通じまして、その間の消息を知りたいということで、努力いたしました。努力いたしましたが、ただいまのところでは、インド英国との間には発表されているところの協定というものはない。しかし、それでは無協定でもって原子力関係協力関係を打ち立てられておるかどうかということになりますと、おそらく協定ということはないまでも、一つコントラクトとしてなされているのではないか。すなわちイギリスのAEAとインドAECとの間に何らかのとりきめ事項というものはあるらしい。ただし、その内容については、今の私的なコントラクトという理由をもって、公表され得るものではない。従って、イギリス大使館においてそれを追及いたしましても、知り得る手がかりはないというような連絡を受けております。
  13. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私的な契約はあるかもしれぬが、公式の協定というものはなくて、どういうものであるか察知することはできない、こういうお話であります。  私は、これまた新聞承知をいたしたのでありますが、現在の国際情勢の推移、特に最近公安調査庁調査として新聞に報道せられましたことによりますると、中国がことしの夏には核実験をするのではないか。現在中国において二基ないし三基の原子炉が現に稼働いたしておる。すでに蓄積をいたしましたプルトニウムの量は十六キロをこえておる。通常どもは、起爆に必要なプルトニウムの量は十キログラムだと、しろうとでありますからよく知りませんが、一応そういう話を聞いております。ところが最近におきましては、起爆装置の発達その他によりまして臨界量というものが現に下がりつつある。現在ではあるいは六キログラム程度臨界に達することができるのじゃないかといわれておるわけでございます。そういたしますと、公安調査庁調査が正しいかどうか私は知りませんけれども、とにかく政府として相当な経費をかけていろいろやっておられるわけでございましょうから、一応これを念頭に置いたといたしますると、大体三発分ぐらいのプルトニウムがすでに中国においては蓄積をされつつあるというふうにいえるかもしれません。そういうことになりますと、世界の核保有国がふえる。時にこの問題に関しましては大きな情勢変化というものが現われるのじゃないだろうか。  そういたしますと、当然インドにおきましても、あるいはそういった国際情勢変化に対応いたしまして、軍事利用ということをある程度表面に打ち出して原子力発電あるいは原子力開発というものを考えていくかもしれない。そうなってきました場合に、そういったインドイギリスとの協定内容は不明確でありながら、日本には原子力基本法がございます。そういうものを持っておる日本が、幾ら産業界の方が赤字だからといって、突き上げられるからといいましても、前の委員会大臣表明をされましたように、下請ならばいいだろうとか、シビアに軍事利用ということになった場合には検討しなければならないことになるかもしれないが、現在軍事利用であるか平和利用であるか明確でない、とにかくはっきりした軍事利用であるということに割り切れておらぬ現状であるならば、下請ならばこれは原子力基本法に抵触しないから差しつかえないだろうというような、もとのインドイギリスとの関係をあいまいにした中で、特に日本の大きな政策の変更とも言うべきこの原子力基本法に対する考え方を動かしていくということについては、われわれといたしましては非常に割り切れぬ気持がいたすのであります。原子力委員会としては、そういった国際的な情勢の動きなり、あるいは日本原子力基本法精神なりというものを、どうふんまえて、この問題についてどういう角度から議論をせられておりますか。この点だけ一つ石川委員からお聞かせを願いたいと思うのであります。
  14. 石川一郎

    石川説明員 お答え申し上げます。ただいまお話のようなことを考慮に入れつつわれわれは論議をしておるのでございます。要するにインドが、自分の方が兵器に使わぬということを断言しない、あるいは契約あるいは協定ができない前にどうするかということを考慮に入れつつ、今研究をし論議をしておるところでございます。
  15. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 考慮に入れつつ議論をされておるということであります。どういう点で考慮されておりますか、お答えが簡単でございますからよくわかりません。そういたしますと、この委員会では、大臣は、特に軍事利用というふうに明確になった場合はともかくとして、下請であるならば原子力基本法には抵触をしないであろう、こう言っているわけでございます。原子力委員会の方では、かりに軍事利用に使われる可能性があっても下請ということであるならば差しつかえないというような方向議論方向としては向いておる。大臣もそういったことを言っておられるのですが、こういうことなのでございますか。
  16. 杠文吉

    杠政府委員 実は大臣がここでお答えせられましたおり石川委員が御出席でなかったので、私からかわって委員会論議の空気を述べさしていただきます。実は大臣がここで、下請ならいいのではなかろうかというようなお答えをしたことも確かでございます。そのようなことも含めまして、統一見解ということでございますから、おそらくは大臣のそのお答えで御満足であるならば統一見解をお求めにならなかったろうと思います。そういう経緯でございますから、この大臣お答えも検討の対象としながらいろいろの論議がかわされているという状況でございます。ことにインドにつきましては、インドバーバー委員長が一九六〇年のIAEA総会におきまして、インド平和利用を推進するのだと、政府を代表しての発言をいたしておるのでございます。従いまして、これをいかなる方法によって確かめるか、また、どうしたならばそれが保証になるのかというようなことも論議対象になりつつある。統一見解お答え申し上げるといいましょうか、あるいは御説明申し上げますおりには、そのような見解も一同時に御説明するということに相なろうかといます。ただいまのところは、今申し上げましたように途中の段階でございまして、どの委員がどのような意見をどう述べられた、この委員はこのような意見であります、というようなことを申し上げる段階には至っていないということで御了承願いたいと思います。
  17. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その点はまた大臣がお見えになったらお尋ねすることにいたしまして、一応やめます。  ちょっと角度を変えてお尋ねをいたしたいと思うのでございます。現在のインドコールダーホール研究に関しまして、GECとの間に価格の問題について話し合いが行なわれておるということを伺っておるわけでございます。そこで、GECインドとの間に契約が成り立った場合においては、下請という言葉が適当かどうかわかりませんけれも、相当の部分日本の第一原子力グループが引き受けるというようなことがいろいろと報道せられているわけであります。聞くところによりますと、分担までがいろいろきまっているそうでございます。たとえば、輸出業務に関しては日商がこれを引き受ける。変圧器につきましては富士電機がこれを引き受ける。放射能の遮蔽鉄板については、これは神戸製鋼が引き受けるのだ。配線については古河電工であり、無気発生装置については川崎重工が引き受ける。今度イギリス原子力公社の総裁が日本にお見えだそうでありますが、こういった工場も視察をされるような御予定新聞で拝見をいたしました。その他圧力容器でありますとか、熱交換器につきましても、どこの会社が引き受けるというようなことが、すでにある程度話し合いとしてきまっているというようなことを聞くのであります。原子力委員会事務局である原子力局としては、通産省その他と連絡をとりまして、そういう状況についてはある程度承知でございますか。
  18. 杠文吉

    杠政府委員 通産当局との連絡もさることながら、直接富士電機関係者を呼びまして、私がみずから聞きました。それによりますと、ただいまいろいろおあげになりましたけれども、その辺までのところ、はっきりと固まっているというふうには承知いたしておりません。ただおそらくは四〇%程度のものを下請するのではなかろうかというようなまだ見込みでございます。というのは、まだ契約がきちっと固まっていない段階にあるようでございます。従って、四〇%と申しましても、そのうちで、どのような部分とどのような部分というようなところまでは、はっきりとはいたしてないというふうに、今日の段階承知いたしております。と申しますのは、GECそのものインド政府との間に、いろいろな設計の打ち合わせと申しましょうか、入札前のいろいろな点がまだはりきりと固まってない。その後インド政府からもGECへいろいろと注文がいっておりまして、その辺のところがきちっと固まりませんと、どの部分GECとの間に下請するということが固まらないというような話でございます。その辺のところも、十分に今回の統一見解参考といたしたいと考えて、調査は引き続き進めたいと思っております。
  19. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そういう格好で、既成事実といいますか、そういうものが業界の間では進行している。そういうところに私は問題があるような気がいたすのです。とにかく日本には厳として原子力基本法があり、その第二条には平和目的ということが完全に明記をされているわけであります。この平和目的の問題につきましては、この委員会におきまして、わが党の岡委員あるいは河野委員から繰り返し繰り返し、長官の所信表明関連をいたしまして議論をされておりますことはよく御存じだろうと思うわけでございます。それであるのに、そういった商行為が原子力基本法との関係がどうであるかということがあいまいである。通常、常識的に考えれば軍事利用に利用される可能性があるというものに関して輸出をしていくということは平和目的関連をしてどうかということは、常識ある人間が通常に判断をすれば、私はやはり問題があると思うのであります。そういった状態であるのに、一方ではそういったお話が進められておる。  また、聞くところによれば、そういった話と直接関係があるかどうか知りませんが、通産省重工業局電機課等窓口になりまして、これらの大きな契約をするにあたって当然設備投資あるいはその他運輸資金等も必要でありましょうから、そういった関係から開発銀行に対して融資の申請をされておるというような話も聞くのであります。そうすると、平和利用について厳格に運用しなければならぬ原子力委員会というものを抜きにして、政府通産省なら通産省という違った窓口の方がある程度媒介に立ってそういう話し合いをするということであれば、私は、政府の一貫した行政措置としては非常におかしいと思うのであります。そういった点については、事務局の方ではいろいろお聞きになっておるわけでございますか。
  20. 杠文吉

    杠政府委員 承知いたしておりますが、ただいまもお答えしましたように、関係者を呼びましたときに一応の警告は発してあります。警告は発してありますと申しますのは、もしも平和目的に沿わないものであるとしてキャンセルせざるを得ないような場合には、その損失はすべて生産会社側に移るわけでございますから、そのような損失をいたずらにかけることは国家的によろしくないと私は考えます。そのような問題がある。だから、その辺のところを固めてしまって、今の既成事実として押しつけられてくるというようなことのないようにということは言ってございます。ですから、生産会社としましても、その辺のところは十分に心得ておるものだと承知しております。
  21. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 承知していると申しましても、大臣の方では、この委員会で、下請ならばいいというようなことを言っているわけであります。そうすると、当然、そういうことになった場合にキャンセルというような心配はないだろうというので、業界の方ではどんどん話を進めていく。一方、原子力産業については五年間に二百五十億円も投資したけれども、収入の方は非常に少なくて頭打ちであって、原子力産業はまさに危機に立っておる。赤字だ。これを打開する方策というようなことは、やはり業界をあげて血眼になって考えるだろうと思います。そういうときに、一方で下請はよろしいというようなことになっていきますならば、原子力基本法云々ということの方針が不明確のままにそういった話がいろいろ出てくるということになれば、どうしても、原子力基本法第二条があるにかかわらず、それが何か無視されて一方的な既成事実だけが進行していく。ちょうど憲法核兵器保有の問題と同じようなわけでありまして、小型の核兵器ならば憲法上は持ってもいいんだ、政策としては持たぬのだ、ということを言っておれば、だんだんそういった問題についても不明確になるのと同じような意味で、この原子力基本法第二条の存在というものが、既成事実の積み重ねによって、なにかたな上げされたといいますか、たなざらしにされたといいますか、非常に遺憾な方向になっていくという危険性を私どもは特に憂えるわけでございます。  先ほどの局長お話からいたしますと、原子力委員会としても、この問題については統一見解をきめるべく慎重に論議しておる、従って、そういった先走ったことは当然取りやめるべきだというような、ある程度のサゼスチョンをやっておる、こういうふうに理解してよろしいわけでございますか。
  22. 杠文吉

    杠政府委員 その通りでございます。
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ついでにお尋ねしておきたいと思うのであります。過日この委員会で私は、やはり第二条の平和利用の問題に関連いたしまして、原研特許をとったといわれている問題に関して、ロケット部品といいますか、ロケット関係ある問題につきまして、アメリカからこの特許を買いたいというような話があるやに聞いておる。そういう問題に対しては、この平和目的原子力基本法精神に照らして、政府としてはどう措置をするつもりかというふうにお尋ねをいたしましたら、大臣は、そういうようなことがあれば、現在原研としては、それは平和目的の項に抵触するんじゃないかというふうに考えておる、その方向を指示して、あくまでも平和目的というものを守るために、アメリカからそういうものを買いに来た場合にはこれは受けつけぬのだ、こういう意味の御答弁を明確になされたのであります。この問題についても一方で統一見解をいろいろ議論をされておるようであります。当時三木大臣が私に答弁をいたしました考え方は、現在も科学技術庁としては変わりがない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  24. 杠文吉

    杠政府委員 御指摘の問題につきましては、これまた直ちに関係者を呼びましていろいろ調査いたしました。調査いたしましたところか、確かにアメリカの方からの問い合わせはあったのですが、あったままに終わっておる、それで今日に至っておる、というのが事実でございます。もしもアメリカの方で軍事目的のために使うというようなことが明らかな場合には、やはり大臣がお示しになったところの方針に従って扱うということは変わりないものだと思います。
  25. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣がお見えになりましたらまたお尋ねすることにいたしまして、それまで保留しておきます。
  26. 前田正男

    前田委員長 次に、西村英一君。
  27. 西村英一

    西村(英)委員 この委員会で、先般から原子力発電所のことでいろいろ質疑をやっておるのですが、これまでの質疑を通じまして聞きますと、多少不安になるところがありますので、お聞きしたいと思うのです。という根本的な意味は、せっかく原子力委員の方々がああいうような長期計画をきめていただきまして、そして前期、後期に分けてそれぞれ原子力発電の目標も定めておる。われわれといたしましては、なるべくこの目標を一つ達成したい、そういう意味原子力発電の促進のためにあらゆるトラブルを除かなければならぬ、こう思って質問するわけでございます。しかし、その原子力発電というものは、きわめて特殊な発電でございますし、また、現在の官庁の機構の中でこれを促進しようというのには、いろいろの困難があるかもしれぬと思うのです。そういう意味お尋ねするのです。  先般来、安川社長のお話を聞きますと、第一号炉は自分のところでやって、第二号炉も自分のところでやるようになった。しかし、その第二号炉を自分のところでやるようになったといういきさつは少しもわからない。どういうふうになってそうなったのか。それでは第三号炉からどうなるのか、これもあまりわからない。従いまして、安川社長に前期の百万キロを達成するその望みがあるかと言いましたら、それもわれわれにもわからぬ、二号炉だけはやってくれということだった、こういうような、非常になにか、われわれにわけのわからぬようなお答えであります。それは安川さんとしてはもっともだと思うのです。  そこで、私が第一に聞きたいことは、現在の法規の中で発電計画をやる場合には、電源開発促進法の定むるところによって電源開発の基本計画を作る、その基本計画に従って、電源開発調整審議会の議を経てきめなければならぬということになっておるのです。そこで、それとは別に、原子力委員の方々が原子力の長期計画をきめて、前期百万キロということを達成しようときめておるわけですが、その長期計画と電源開発基本計画との関係はどうなっておるのでありますか。あるいはこの長期計画の前期百万キロを開発するということは、電源開発調整審議会の議を経ておるのかどうか。議を経ておるとすれば、それはどういう機関がやるのだというようなことまでいっておるのか。あるいはそういうことはいってなくて、ただばく然と百万キロをやるという電源開発調整審議会の議を経ておるのかどうか。この辺をちょっと初めにお聞きしたいと思うのであります。
  28. 石川一郎

    石川説明員 お答え申し上げます。安川君の方がやられるのは第二基までの問題でございます。これはあの会社ができるときにそういうふうな方針がきまっておったのでございます。第三基以後の問題につきましては、長期計画にも書いてあります通り、各発電会社がやるということに期待するという言葉を使っておりますけれども、やることになっております。まだ電源開発調整審議会ですか、経済企画庁にございますあれにかかっておるのかどうかは存じませんけれども、各社は相当、原子力の炉を持ってくることに反対するところもあるようですから、ごく内密にいろいろやっていらっしゃるように思います。また、土地その他に関しても研究していらっしゃるように思います。場所ですが、これが一番問題でございます。また、われわれの方といたしましては、通産省の方でもごくわずかではございますけれども、予算を出しまして、どういうところに将来置くような場所があるか、今、場所を研究していただいております。いろいろ探してみたら六百カ所あるけれども、せんじ詰めていったならばこれの何分の一かになるだろうというお話でございました。
  29. 西村英一

    西村(英)委員 よくわかりました。一号炉と二号炉はスタートのときから今の原子力発電会社でやらせるようにしてあったのだ、そして三号炉以下は、この長期計画の開発規模に書いてありますこれらの建設は電気事業者が協調してこれに当たる。九電力ともう一つの電源開発会社ですか、これらが協調して当たるということで、どうなるかわからぬ、こういうわけですね。  そこで、それに対して私は意見はありますが、意見は別といたしまして、前期百万キロを推進するのは、まだ施行者はだれが手を着けるかわからぬというようなことでは、これはなかなか推進ができないと思うのです。しかも、その発電所のロケーション、サイトの選定にあたりましても、これも非常にあいまいなところがあるわけです。少なくとも百万キロの前期の開発の段階におけるところのサイトをきめるのは、原子力委員会がサイトをきめるのだと私たちは思っておったのですが、そうではないのですか。つまり原子炉を設置するときには許可をとらなければならぬですね。その許可はいろいろありますね。ところが、基準の中には、これは当然位置のことが言ってなければならぬと思う。ところが、今二号炉及び三号炉の状態を見ますと、どこでやっておるのかわからぬというようなことに思われますが、その辺はどういうことになっておりますか。それをはっきりお尋ねしたいと思う。
  30. 石川一郎

    石川説明員 ただいま申し上げたように、第二号炉は、結局原発の方でやることになっております。それで、土地をだいぶ探していらっしゃったのですが、いろいろ誘致運動もあるし、また反対もあるというので、極秘にやっておられましたが、最近に福井県でやるということにある程度認められたのであります。  それからなお、電力会社がどういうふうにしてやるかということにつきましては、先般実は参与会のときでございますが、中部電力の井上君がいらっしゃいましたから、今度一つ春にでもなったならば、あなた方の方では一体どういうふうなもくろみを持っていらっしゃるか、電力会社とじかにお目にかかって打ち合わをしようじゃないかというお話を申し上げておいたのであります。まだ第二号炉がきまらないのに、第三号炉に直ちに手をつけるということはないのじゃないかと思います。二号炉がきまりましたならば、それを踏み台にし、あるいはコールダーホールを踏み台にして、第三号炉を作るというお答えに電力会社がなられるのじゃないか。しかし、いろいろ研究はなさっていらっしゃるようです。お互いに話し合いをするということで、まだついこの間の話で、やっておりませんが、来月あたりになったらやってみたい、こう思っております。
  31. 西村英一

    西村(英)委員 そうすると、石川先生のお話では、二号炉のサイトは発電会社の方できめて申請を出す。第三号炉以下は今後相談していく。どれがどこにやるのかということは、だれがきめるのですか、どうしてきめるのですか。
  32. 石川一郎

    石川説明員 それはやはり原子炉をお作りになる方が土地をおきめになって、われわれの方がそれをいいか悪いかということを判定するのであります。しかし、幾らかその土地を探すことの御便利のために、通産省の方では紙上ではありますけれども研究をされておるわけであります。
  33. 西村英一

    西村(英)委員 前期百万キロを開発していこう。そうすると、相当に三号炉以下にも重点を置かなければならぬと思います。これはそうしなければできぬと思います。そうすると、あと五十万キロか三十万キロか知りませんけれども、やらなければならぬ。それはこの電気事業者が協調してやるというんですが、だれが音頭とってそれをきめるのですか。九電力会社が会って相談をしてきめるのですか、あるいは電源開発審議会がきめるのですか、あるいは原子力委員会がこういうふうなことをまた発表して、長期計画の第二段としてやるのか。一号炉、二号炉を今の会社にやらせるようになったのは、この長期計画に基づいてやらせておるのでしょう。そうすと、三号炉以下も、長期計画を改定といいますか、追加して、三号炉はきめるのですか。そのきめる人は一体だれなんですか。それがよくわからないのです。「これらの建設は、電気事業者が協調してこれに当ることを期待する」と書いてあるのですが、だれに期待しておるのですか。三号炉の問題は、電源開発審議会はただやるということだけが了解を得ておるのであって、だれがやるかということは、まだ詳しいことは審議会にはかかっておらぬと思うのです。あるいは審議会にかけなくてもいいようになっておるのか。何か百万キロを推進する上であいまいな点があると思うのですが、その辺、もしおわかりになりますればお答え願いたい。
  34. 杠文吉

    杠政府委員 先ほど石川委員からお答え申し上げましたときに、電源開発審議会にかけているかどうかはっきりしないとおっしゃいましたが、私は電源開発審議会のメンバーに入っておりますので、長期計画をきめますおりには、お諮りいたしまして調整はいたしております。  後ほどの御質問の、それでは、だれが百万キロを推進し、事をきめていくのかというようなことは、電源開発審議会にかける考えは持っておりません。持っておりませんが、おそれ入りますけれども、要務当局の私からお答えさしていただきますならば、長期計画をきめますおりの「協調して」というような表現の仕方でございましたが、これは電気事業関係の方たちに、この百万キロ達成についてはあなた方は自発的におやりになるかどうかということを十分原子力委員会の方でお確かめになりました。そうしたら、われわれは自発的に積極的にやるのだというようなお答えがございました。そこで「協調して」というような表現になっておるわけでございます。もちろん自発的にやるとおっしゃいましても、この長期計画はやはり政府の計画でございますから、その推進役は当然に原子力委員会が引き受けなけばならぬ。おやりになる主体は電気事業者でありましても、それをプロモートしていくものはやはり原子力委員会であるべきだろうと私は考えるわけです。ただ、そのプロモートしていくのを、みずからがやるというように、もっと進んだ考え方でございますならば、それは長期計画を作るおり話し合いと多少違って参りますので、そういう意味ではなしに、単純に推進役としての役割を原子力委員会がやるべきだろうと私は考えております。 斎藤(憲)委員 関連して。今の敷地の問題、これは西村委員からも御質問がございましたが、私も当局の統一見解の御発表をお待ちをいたしておるわけであります。従来のわれわれの考え方からいたしますと、原子力委員会は、原子力平和利用に関する全般の政策を御決定になることが一番大きな任務であるわけであります。前期百万キロ、後期七百万キロワットの原子力発電を行なうということは、政策的には一番大きな柱であります。そうしますと、これを直ちに実行に移しますには、原子力局がこれに対して行政的な責任を負わなければならぬ。そうすると、いかなる原子力発電計画をどういう地帯に立てていくかということは、当然国家全般のエネルギー対策に関連する問題であります。ですから、原子力発電会社が第二基目をやるといっても、それは原子力発電をやらせるのであって、原子力発電の第二基目をどういうところに、どういう型を持ってきて建設させるかということは、原子力発電会社の分野でなくして、大きな政策的な面から適地を選定して、そしてここに一つ原子力第二発電をやってくれというのが従来の行き方だろうということで、その候補地の選定は原子力局が責任を負うのだ。ですから、われわれは候補地を原子力局に申請をしているわけであります。ただいまの石川委員お話のように、土地の選定も第二基目は原子力発電会社がやるのだし、将来の原子力発電会社も九電力会社がその土地を選定していくのだということになりますと、私は大局から日本の総合エネルギー的な観点に立って考えますと、一つも一貫した政策というものがそこにはないように考えられるのであります。第一、いかなる土地を適地として選定するかという能力が今の原子力発電会社にあるかどうか。そういうことは原子力委員会原子力局に一番大きな力があるのであって、私はそういうところにやはり政策を裏づける行政というものがあるのではないかと考えておるのです。そういう点がまだはっきりしませんので、その点に対して統一見解一つ発表してもらいたい、こうお願いしておるわけでありますから、再任早々のことでございますので、もう一ぺんこの点は一つ御相談を願って、はっきりした線を出していただきたいと思うのです。そうしないと、一貫した原子力発電に対する政策としては認められないわけです。今私から申し上げるまでもなく、後進地域の解消であるとか、総合エネルギー対策だとか、いろいろやかましい国家問題が起きておるわけです。それを一つの発電会社に、場所はお前勝手に選べということは、原子力平和利用の見地から言って許されないことではないか。しかも、候補地選定を、わずかの予算を通産省につけて、通産省が図面でもってそれを調査しておるなどという状態、それをもって原子力発電候補地に対する措置を講じておるなんという答弁はもってのほかです。くどいようでございますけれども政策がきまって、その政策を実行に移すために、科学技術庁設置法では原子力委員会とほとんど同じ権限が原子力局に付与してあるわけであります。これは政策の決定を行政が担当するという建前です。それを土地の選定を通産省にまかせるなどということは、私はもってのほかだと思う。通産省の公益事業局原子力発電課というのは、こちらから申請していったものに対して、原子力発電課の責任においていいとか悪いとかの判定を下すだけであって、土地の選定能力というのは通産省の公益事業局原子力発電課にあるべきはずがないと私は思うのです。ですから、原子力発電に対して一貫した政策とこれを裏づける行政のやり方というものがなければ、これはとうていうまくいかないんじゃないか。しかも、原子力発電会社がやる土地の選定を向こうの責任に負わしておくということは、政策的ではないと私は思うのであります。これは統一見解をお願いしておるのでありますから、よく御相談の上、はっきりした線をお出し願いたい、こう思うのであります。
  35. 石川一郎

    石川説明員 これはわれわれの方で考えたのと違うようになっておる。実は京都大学の共同利用の研究用の炉ですが、あの炉について非常に京都大学はまごつかれまして、そのとき佐々木さんも一委員の中に入っておられて、それは間違いじゃないかということを言われておったくらいです。あのときに、何とか一つ原子力委員会で助けてくれぬかというなにがあったのでございます。ところが、われわれの方は、ああいうところで選んできたものを判定していいか悪いかをきめる立場にあるので、どうも公のお手伝いはできません、しかし学者仲間のことであるから、藤岡さんのような方は内密にいろいろ御相談相手になるくらいのことはいいけれども、われわれとしたら場所を選定するわけには参りませんということで、それはむしろ学術会議の方にお願いしたらいいじゃないか、こういうことであったわけであります。土地選定に対しては、それをお置きになる方がきめていらっしゃって、それをわれわれがいいとか悪いとかフリーに判断してきたものですから、今お話しの統一見解につきましてはもう一ぺんよく考えさしていただきたいということをお答え申し上げておきます。
  36. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 今の京都大学の研究原子炉は、全然性質が違うのです。これは石川委員も御承知通り原子力委員会に何らの相談なくして、文部省が単独にあの予算をとったのです。ですから、あの当時、これは文部省と大蔵省とのやみ取引きだとわれわれは言ったのです。そして今度、宇治川のところを候補地に選んだら反対を食ってまごついて、どこへいってもきまらないので、土地選定というものはどうしたらいいか、原子力委員会にきめてもらえないか、と言ってきたのです。けれども、これは大学の研究であるからノー・タッチの方がいいだろうというので、あまり深入りしなかったということです。この原子力平和利用の発電計画というものは、それとは全然別なんですよ。これは私から申し上げるのは釈迦に説法になりますからやめますけれども、原子力研究所の土地を選定するのだって、みんなこれは原子力委員会がやったのです。私はその当時科学技術庁におったのでありますけれども、正力委員長が先頭に立って、あの土地の条件というものを調べて選定をやったのです。あれは岩鼻、武山が大へんな競争をやったときに、この両候補地を不適地なり、そして今の東海村が適地なりとして原子力委員会が決定したのです。でありますから、こういういろいろな原子力平和利用に関する土地の選定というものは、政策を決定すると同時に、本来からいうと原子力委員会がこれをきめていき、その行政の裏づけを原子力局がやる、あとは私はどこにも権限がないと思う。もしこの権限をあっちにある、こっちにあるといったら、せっかく今まで保ってきた原子力平和利用に対する一貫した政策、行政のラインというものはくずれていってしまうだろうと思うのです。ですから私は、そういう土地の選定に対して原子力委員会が責任があるとかないとかいうことは絶対に許されないことだと思う。原子力の平和利用に関するいかなる決定というものに対しても原子力委員会は責任を持って、前向きになってきめなければならないものだと私は考えておるのです。こういう点に対して統一見解一つお出し願いたい。これは私は国会の最後まで待ちますから、この国会が終わってから出されては困るけれども、国会開会中は待ちますから、一つよく御相談を願って、間違いのない統一見解をお出し願いたいと思う。これで終わります。
  37. 西村英一

    西村(英)委員 様子はわかったのですが、これからは私の希望なんです。そこでせっかく原子力委員会が長期計画を出して、前期、後期と分けてやられる。前期は開発の期間だというのです。後期は、それまでにはいろいろ安くもなるだろうし、ベースにも乗れるから、一つ電力会社にやらせようという。その前期の期間を百万キロと見て、どうしてやる人もきめなかったのですか。私は、前期百万キロは今の電源開発会社に全部まかせる、そしてその位置選定等も原子力委員会で責任を持ってやる——これはやはり原子炉の設置の許可が要るものだとすれば、おそらく原子力委員会が将来に向かって、開発期間に立地の基準というものを作らなければならぬでしょう。それを、会社がやるので、出てきたら僕の方で審査するのだ、これでは基準もいいものはできませんよ。やはり原子力委員会がこの開発期間はあくまで全部の責任を持ってやるのだということでなければ、私はいかぬと思うのです。ところが、今聞くと、一号炉、二号炉の方は会社の方にやらせるけれども、三号炉以降はだれにやらせるかわからぬ。電気会社が協調してやるのだ。その協調はだれが音頭をとるかわからぬ。これでは、百万キロはいつまでたっても出ませんよ。それですから、開発期間の前期というものについては、原子力委員会がもう少し明確な線を打ち出してもいいのじゃなかろうかと思うのであります。これは私の希望でありますから答弁は要りません。  次に、この電源開発計画との関係はおぼろげながらわかりましたが、今度は許認可の問題はどうなっておるか。私たちの解釈では、リアクターの設置は内閣総理大臣の許可を得なければならぬ。原子力委員会でもって安全審査会等その他いろいろ作って審査するでしょう。それとともに、原子力発電会社は電気事業者でありますから、事業者は電気事業について通産大臣の許可を得なければならぬということですと、これはやはり二重検査になるのですか。それとも、リアクターに関する部分については原子力委員会が責任を持つのであるか。あるいは責任は両者にあるのであるか。その辺が、私はだんだん聞いてみるとわからなくなったのです。非常に関連していますから、どの見解だというのは非常にむずかしいと思うのですが、もしかりに両者にそれぞれの責任があるのだということになれば、通産省としても自分の行政上の責任として、原子力委員会と同じ建前をとっていろいろこね回さなければなりません。今度の第一号炉の様子を見ると、この両者の責任分界がはっきりしていないために、許認可をめぐってこね回す。また今施工中でありますから、設計、施工をめぐって、あるいは検査めぐって、いろいろこね回しておるので、だんだん工期はおくれるのであります。そこで、これは両方の責任になっているのか。あるいはリアクターの方については原子力委員会の責任なのか。通産省はただ趣味でもってやっているのかどうか。その辺を一つお聞かせ願いたい。
  38. 杠文吉

    杠政府委員 許認可の関係でございますから、私からお答えさしていただきます。  原子炉すなわちリアクターと御指摘になっておりますが、リアクターの設置につきましては、原子炉規制法によりまして原子力局の方で認可をする。それは御指摘通り、もちろん内閣総理大臣の認可ということでございますが、原子力局の方で補佐をして認可をしておるということになっております。そのあとでの工事の認可関係、工事に取りかかることになりますが、その工事の関係については電気事業法によりまして、公益事業局の原子力発電課の方で扱っている。もちろん通産大臣の認可ということに相なっております。おりますけれども、前回にも岡委員から御指摘がございましたように、制御棒の関係等について材質を変えるというような場合に、これがはたして通産省だけの所管であるかどうか。工事認可というだけの関係のものであるというとは、われわれはそうでないと考えておりますし、そのために当委員会におきましても中曽根委員から御指摘がございましたように、一号炉の発電に関しまして、通産省の公益事業局と原子力局との間に原子力発電合同会議というものを設けておりまして、その辺の行政上のダブリがないように、またぬかりがないようにというので会合を重ねております。つい三、三日前にもその会合をいたしました。そしてそれは、第二回の工事認可を通産直としてはしたいということでございまして、原子力局の側に詳細な説明がございましたし、また局側から注文したいことを申し上げたわけでございます。それは行政上の打ち合わせでございます。法律上の認可関係は、ただいま申し上げましたように、大きく分けて設置の関係、従いまして、設置にあたっての設計等はすべて原子力局ということに相なります。工事ということになりますと通産省ということに相なっておるわけでありますけれども、ただいま申し上げましたようにその詳細、たとえば岡委員が御指摘になったような制御棒の材質というような問題は、安全といかなる関係になっているかというようなことに相なりますと、やはり設置の問題にからんでくるというふうにわれわれは考えまして、この点は通産省も同意をいたしております。従いまして、われわれの方でこれが安全に重大な関係がありといたしますならば、原子力委員会の中に安全専門審査会が設けられておりますから、そちらの方の審査にかかるということに相なるわけでございます。われわれの間でいろいろごたごたがございまして、そして発電会社に迷惑をかけているというようなことには相なっておりませんし、また、そのようにはいたさないつもりでおります。
  39. 西村英一

    西村(英)委員 僕たちの方には少しも手落ちはないのだ、というふうなことを早く書いたいためにいろいろ言っているようですが、そんなことを言ってだましているのではないですか。あなたの言うことを聞いておりますと、とにかく許可については原子力委員会が責任を持ってやっておる。そかれら後の設計、施工、検査は通産省にやらせるのだ、やらしておるのだ、こういうわけですね。それでいいですか、ちょっとわからないですがね。許可与えて、安全委員会を作ってやっておりますね。ところが、その安全委員会調査の中にも、また原子炉設置法の中にも、設計、検査というものは原子力委員会がやはり責任を持っているのではないですか、リアクターに関する限りは。今は通産大臣に責任を持たしておる。だから、許可するだけは許可して、許可の条項に当てはまってやっているかやっていないかということについては通産大臣の方に全部やらしているのだ。そこで岡君の言うような特殊な問題が出たが、その特殊な問題については何か共同でやっているのだ。こういうような言い方に聞こえるのだが、それでどうもいいように思われない。もう一ぺん……。
  40. 杠文吉

    杠政府委員 私の御説明が悪くて御理解いただけなかったようでございます。ただいま例をおあげになりましたようなこと、すなわち設置の際に許可をしたのだから、その後々までもリアクターについては当然に監督上の責任等がある、むろんその通りでございます。だから、ただいま例をあげましたように、制御棒の関係において材質の関係というのは工事の施行関係でございますから、その関係で疑わしい点が安全の面からわかってきたならば、当然に原子力委員会が許可をした責任上、責任を持って見ていきますというお話をしたわけでございます。しかしながら、たとえば安全の点に関係のないような点、たとえばコンクリートでもって遮蔽をやる、そのような際に安全と直接的に関係のないもの、すなわちより安全になるというような際に、われわれは通産省が認可したものについてもなお取り上げてわれわれの審査会にかけなければならぬ、設計の変更としてかけなければならぬ、というふうには考えおりません。それで、現にグラファイトについてそのような問題が過去にもございました。当委員会においてもいろいろ御議論があったところでございます。これはより材質が安全を保障するような関係になっておりますので、原子力委員会の安全審査委員会に再びかけるということはしなかった、それで当委員会におきましても御了承を得ておるというようなことでございます。
  41. 西村英一

    西村(英)委員 聞けば聞くほどわからなくなるから、いいですけれども、私は希望を言います。  あなたの言うのは安全に関係がないようなところ、コンクリートなんかのところ、安全に関係ないところは検査なんかはどこでやってもいいのだから、そこで許可をする。その許可の前提になるものはいろいろある。原子炉というようなものは特殊なものだから、原子力委員会というようなむずかしい組織を作って検査をさせているのだから、最後までこれを突きとめる。その突きとめる方法としては、何も通産省の役人を呼んできては悪いということはないのです。原子力委員会の責任においてすべてを処理する、こういうやり方ならばわかるのですけれども、何かどちらに責任があるかわからないような非常にこまかいきめ方をしておるようで、それでは責任の所在というものがはっきりわからない。わからないのみならず、それはダブル・コントロールになって非常にあいまいになって、そうして工事をおくらすことになる。私は少なくとも原子炉に対して原子力委員会の許可が要るというからには、やはり許認可まで含んだところの一貫した方法をとらなければいかぬと思のであります。今後でき上がりますれば、検査がまた重要な問題になってくるでしょう。そのときには、検査の条項は通産省でやる、直接に安全に関係ないところは通産省でやる、安全に関係あるところはどっちがやる、そんなことはわかるはずがないのですよ。それですから、どうか一貫した方法をとってもらいたい。それは通産省の役人を入れては悪いということじゃない。どういう人を引っぱってきて検査をされてもかまわないのですから、それはちゃんと分明にしておかなければならぬと思うのです。それをこなすことが今後原子力委員会が後期にわたって原子力を進めていこう、一千万キロワットの原子力発電所ができようという基礎になるものですから、せっかく開発期間の前期後期をきめたのであるから、しかも原子力委員会はその道のオーソリティが集まっておるのであるから、全部原子力委員会の責任において開発期間はやる。こういうくらいのことはきめないと、三号炉に電気事業者が協調する−どうして協調するのかわかりませんが、開発期間は原子力委員会が責任を持つ、このいき方でやらないといかぬと私は思うのです。  大臣は途中からで、意味がわからなかったと思いますけれども、私今後の進め方について、今石川先生と応答をやっておるわけです。前期については、三号炉はきまっておらぬらしい、だれがきめるのかと私は言っておるわけです。電源開発調整審議会にかけたのかどうか、こういうことも言ったのですが、それはわかりましたが、何もきまっておらないようなんです。前期百万キロについては原子力委員会が開発について責任を持って、そのサイトの選び方、それは将来ベースに乗る後期の基準を作らんがために、ベースに乗らぬということですから、いろいろなことを政府はやらなければならぬ。金融の面、税制の面、いろいろ助けて開発する。それは前期ですから、それを原子力委員会が責任を持たないで、前期にいきなり民間ベースに持ち込むというようなことはちょっと考えられぬのです。大臣に私の言う意味がわかりましたら、御答弁願いたい。
  42. 三木喜夫

    三木国務大臣 おっしゃることはよくわかりました。大体おっしゃるようなことで責任の分担を明らかにすることがいいと思います。通産省との関係、それから十カ年計画、これは御承知のように何分にも今第一号炉の建設途中でございますから、民間ベースでやるという場合には、いろいろな予期せざるようなことも起こるし、採算の点等もいろいろ検討しなければならぬしいたしますので、最初のうちはどうしてもスピードがおくれがちであります。しかし、原子力委員会としても大体の百万キロワットという線を十カ年でやろうという案が出ておるわけですから、多少の時間的なズレはあっても一、今後第三号炉に対してもどういう仕組みでやるというようなことに対しては検討をいたさなければならぬ課題だと思います。これは検討いたすことにしたいと思います。
  43. 西村英一

    西村(英)委員 原子力に関する質問は大体それくらいにしておきます。  もう時間もありませんが、大臣がお見えになっておりますから……。長官の所信表明で、どうやら総合研究の事項を取り上げまして、宇宙開発だとか環境衛生だとか、あるいは防災科学だとか、その他の総合的な研究をやりたい。そのために研究調整局を作る。これは一歩前進でありまして、非常に喜んでおるのであります。宇宙科学のことにつきましても、私は先般、これは開発本部を作って大々的にやれ、そうなると調整局あたりではなかなか振り回せぬから、こういう話をしたのです。その次の環境科学、これも非常に大事なことなんです。大事なことなんでありますが、これは御承知のように、大気汚染だとか、あるいは水質汚濁とか、騒音防止ということは、ずいぶん前からの問題なんです。これは簡単なことで効果を上げるなんということは、なかなか容易にできないのです。ところが、こういうものをあえて環境科学と打ち出して科学技術庁がやるからには、相当な内容を持ち、また相当な予算を持ってスタートしなければいかぬと思うのですが、その内容、どういうふうにしてこれをやるのか。大気汚染にしても、水質汚濁にしても、騒音防止にしても、いずれも産業界でますます力を入れなければならぬと思いますけれども、今の予算の程度、しかも関係各省は非常に多いのです。それを効果あらしめるには、これは非常にいいテーマではありますが、相当に力を入れなければならぬと私は思うのです。この環境科学につきまして五カ年計画を作ってやっておるというようなことをよく聞くのですが、そういう計画があれば御発表願いたい。どうなっておりますか。ちょっとその辺をお聞きしたいと思います。
  44. 三木喜夫

    三木国務大臣 五カ年計画の内容政府委員から答弁することにいたしますが、五カ年計画というのは科学技術庁で委託研究を五カ年という年限でやる。それはまあ共通的なものについてであります。水質汚濁とかあるいは大気汚染とか、騒音の防止に対して委託研究費を五カ年続けてあげましょう、これでやってもらいたいというので、科学技術庁でやっておるわけであります。  そのほかには、こういう環境改善に関する予算の総合調整をやっておるのですが、全体として二億五千万程度のものですから、金額も少ない。しかも、各省にまたがっているわけですから、研究調整局でもできたならば、関係各省の間に研究の推進連絡会のようなものを作って、やってみようと思っています。なかなかやはり、人間の生活に非常に関係を持つものですから、環境改善に関する諸施策というものは、連絡会くらいではいけないかもしれません。もう少し飛躍的な考えを持たなければならぬ場合が起こると思います。科学技術庁で考えておるのは、今のところそういうことで推進していきたいと考えておるわけでございます。
  45. 前田陽吉

    前田(陽)政府委員 ただいまのお尋ねの五カ年計画の問題でございますが、例をあげますと、水質汚濁防止の研究につきましては、内容的にたとえば汚濁水の測定方法及び測定機器の試作、こういう問題もございます。これは今までなかなか統一されておりませんので、どういうものが一番効率的であるかというような点から、またいろいろな測定法等もございまして、多項目に同時に測定しなければならぬという点もございます。そういうふうな点が一つの問題でございます。もう一つは汚濁水の浄化及び自浄作川、こういうふうな研究につきましても相当な時間がかかる問題でございますから、これは五カ年の計画でやっておるわけでございます。なお、今まで御指摘のように、過去におきましてもかなりやられた結果もございますので、そういう関係文献の収集整備というふうな点も含まれて参りますが、こういう点を五カ年間でやりたいということでございます。それから、大気汚染につきましては、煤煙、粉塵の測定方法、測定基準というものがございます。なおそのほかに、有害ガスといたしまして硫黄酸化物、窒素酸化物、こういうものの測定方法、あるいは測定基準、こういうものが今まで統一されておりません。こういう研究を重点的に早く進めなければならぬということでございます。それからなお、煤煙あるいは有害ガスを発生する側におきましての測定方法あるいは測定機器の試作研究等が入って参りますが、こういうものを五カ年で実施したいということでございます。なお騒音につきましては、三十七年度からの予定でございますが、騒音源の性状、及び測定方法の研究、また実態調査及び対策基準に関する研究、総合対策に関しての研究、こういうものを今まで使われております研究成果に基づきましてさらに研究を急速に展開させる、こういうことでございます。
  46. 西村英一

    西村(英)委員 ちょっと聞いただけでは、こまかいことになって、なかなかわかりませんが、この三者について、今まで相当に経過したものもあるようですから、一つ五カ年計画をこの委員会に出してもらいたい。  それから、大臣にちょっと申し上げます。大臣も申されましたように、こういうものを解決するのには連絡会くらいではいかぬだろう、その通りでございます。科学技術庁で今度研究調整局ができて、いろいろ各省の調整をとっていくことも一必要でございますが、もう少し規模の大きい機構を考えて、少なくとも閣議にこれを持ち出して、これを一つ全体として取り上げる。そういうことをしないと、これはなかなか効果が上げられないと思うんです。今の法律でも、たとえば大気の汚染にいたしましても、法律はいろいろできておるわけです。自動車はある程度の制限があるとか、その他鉱山法など、いろいろあるけれども、その法律が守られていないんです。水質の点についてもそうです。それですから、研究研究で、委託費を出すことはいいでしょう。それとともに、研究の成果を行政に反映させる方法、行政に反映させなければ何にもなりませんから、これにはやはりどうしても、ただ単なる事務的な連絡会だけでは効果を上げることはできないのです。現在あるところの法律をりっぱに守ることによって、ある程度の効果は上がるのです。それが守られておらない。また、、守られておらないのは、それほどむずかしいわけなんです。それでありますから、研究研究といたしましても、それととも一に研究の成果を行政に反映させなければ効果は上がらぬということを私は申したいのです。大臣もそういうお気持でございますから、どうか一つそうお願いを申し上げたいのであります。  まだ質問もありますけれども、時間もないから、これで私の質問は一応終わります。
  47. 前田正男

    前田委員長 大臣出席されましたので、先ほどの山口鶴里君の質問を継続いたします。山口鶴男君。
  48. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣お尋ねをいたします。  時間もあれですから、しぼってお尋ねをいたします。三月十九日付の新聞で、かねてから当委員会の問題になっておりました原子炉部品輸出に関する統一見解というものが発表されたわけであります。先ほどから議論になっておりますように、たとえば原子力発電炉のサイトの問題にいたしましても、また安全審査の問題にいたしましても、政策を決定する唯一の機関であります原子力委員会とは別に通産省の公益事業局の原子力発電課が何か先行するというような感じを私どもは持ちまして、この問題に対する統一見解というようなこともいろいろ問題にいたしておるわけであります。同じような意味で、先ほど原子力局長から御答弁がありました点によりましても、原子炉部品輸出に関しましても、富士電機を中心といたします第一原子力グループ通産省重工業局といろいろ話し合いをしまして、融資のあっせん等についても通産省が動いておる。そういう中で、インドコールダーホール建設について何か先走った動きが見られる。こういうものについては、科学技術庁としても注意をされておるそうでありますけれども、しかし、こういった重要な問題に関して、統一見解が出されない前に、既成事実としてそういうものがいろいろ動いておる。こういうところに私は問題があると思うのであります。  それはともかくといたしまして、この新聞に報道せられました原子力委員会統一見解というものは事実でございますか。私の見ました新聞では、三木原子力委員長の談話というように載っているのであります。また内容につきましても、三月一日の当委員会における大臣の御答弁と相当似通った形においてこれが発表せられております。この点に対しまして、一つ大臣お答えをいただきたいと思うのであります。この報導が事実であり、すでにこういう形で統一見解が出されておるのかどうか、念のために一つお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  49. 三木喜夫

    三木国務大臣 統一見解は本委員会で求められておるわけでございますから、統一見解がまとまりますならば、当委員会に発表申し上げたいと思っておるのであります。  現在統一見解については、部品輸出についていろいろと原子力基本法にも関係をいたす部門もありますから、検討を加えておるのでございますが、まだ結論には達していない。新聞に、こういうことがきまったかということであったので、ただいま検討中できまっていないということの私の談話が載っておったことは御承知通りだと思います。なかなか日本新聞も、どういうところで取材したのか、早耳でございますから、いろいろな意見を総合して新聞として取材したのでしょうが、あれは原子力委員会でああいう統一見解方向新聞社に材料を提供したものではないので、この問題はできる限りすみやかに結論を得て、当委員会に発表いたし、そしてまた同時に新聞紙等にも発表いたしたい考えております。
  50. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣は、現池田内閣の閣僚におきましても実力者大臣でありますと同時に、私ども答弁を聞いておりましても非常に慎重であり、そつのない方でございまして、ほかの大臣ならいざ知らず、と言っては失礼でありますが、三木大臣の談話として発表されたからには、これはそういう口がすべったとか、あるいはどうしたということはないはずの大臣でありますから、私たちはこれは事実として受け取ったのであります。この点はそういう御答弁でありますから、水かけ論はやめまして、今の御答弁は了解いたしたいと思うのであります。  そこでお尋ねをいたしたいのであります。統一見解はまだきまっていない。きまればこの委員会に報告するということなんですが、しかし、石川委員あるいは原子力局長からいろいろお話を聞いたのでありますが、この新聞に載っておるような内容については原子力委員会でいろいろ論議されておることは事実だ、こういうお話であります。新聞で見ますと、原子力委員会が「まとめた統一見解によると、」この辺は今の御答弁がありましたが、「平和目的精神を脅かさない限り、輸出品がたとい軍事的に使われる可能性があっても、本質的でない部分品は輸出を認めてもよい。その場合は具体的に特定機器をきめておく。またその部品は場合によって軍事に利用されるかもしれないが、主目的は一般用に使われるなら差しつかえない、」こういうように書かれてあるのであります。「平和目的精神を脅かさない限り、」というまくら言葉がありましても、アメリカにいたしましてもあるいはソ連にしても、平和を守るためには軍備が必要である、また核実験もあえて辞さない、こういう思想がいわゆる大国の間には通用しておるわけです。また、そういう傾向は世界各国に相当あるわけであります。そういたしますと、平和の目的といいましても、いろいろあるわけでありますから、そういうまくら言葉がありましても、たとい軍事的に使われる可能性があっても特定の機器についてはいいのだということになれば、明確に、軍事に使われる面があっても主要部分でなければいいのだというふうに、これは内容としては使われる可能性が非常にあると思うのであります。そういうことになれば、日本憲法、そしてまたそのもとにできておりまする原子力基本法の第二条の平和の目的、こういうものが全く空文に帰すると同じことになると私たち考えざるを得ないのであります。従って、大臣は当委員会でもお述べになりましたが、軍事目的に利用されるという場合について、それが明らかな場合におきましては、これは主要部分でない部品輸出についても好ましいことではないのだ、こういうことについては原子力基本法の問題もあるので、十分これは検討する必要があるし、またそういうことを行なおうとする業者の傾向というものについては好ましくないのだ、こういうことをはっきり言っておるわけであります。しかし、私はそれだけでは危険だと思うのです。先ほど杠原子力局長の御答弁によりますと、インドイギリスとの間には私契約があるだけであって、正式な協定は結ばれてないらしい。従って、具体的にインドイギリスとの間で、この軍事利用平和利用、あるいはプルトニウムの処理の問題について明確になっておらないということを言われておるわけであります。そういうことがはっきりしない限り、主要な問題でなく部品輸出であったとかりにいたしましても、とにかくインド政策によっては、インド核実験に協力するという格好は明らかに出る可能性があるわけであります。そういった意味からいって、利用に使われる可能性のあるものについては、やはり原子力基本法精神に違反するのだ、こういった明快な考え方大臣としてとる必要がある、私はそう思うのです。  そこでお尋ねをいたすのでありますが、冒頭私が読みました新聞に書かれておる内容、これは大臣のお考えでございますか。そういう考え方を持っておられるかどうか、この点をお聞かせをいただきたいと思います。
  51. 三木喜夫

    三木国務大臣 私はこの問題に対して、原子力基本法というものをあまりにも拡大解釈したくない、こういう考えを持っています。原子力基本法精神というものを非常な拡大解釈をするという考えではない。まだしかし、先ほど申したように、これはいろいろ議論はなされておりますけれども結論には達しておりません。今山口委員の御指摘になったような問題は、私も考えておる点でございますので、原子力基本法精神とも照らし合わして、日本がその精神に反することのないような統一見解をできるだけすみやかにまとめたいと考えております。
  52. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 日本イギリスとの協定日本アメリカとの協定、これを見ますと、第二条の平和目的というのを非常に厳格に守っておるように私どもとしては考えるわけです。日本で生産をされたプルトニウムが、アメリカなり、イギリスなりに返還されていく。そうしたプルトニウムについても、これは平和利用をするのだということが、覚書の中にもはっきりうたわれているわけです。そのように、日本で作られたプルトニウムイギリスなりアメリカに行った先の問題についても、平和利用ということをきちっとこの協定ではうたっておる。しかるに今度は、日本から輸出される部品軍事利用に利用されるか、平和利用に利用されるかわからぬ。そういったあいまいな状態の中で、しかもイギリスインド協定についてはどういうことかわからぬ、こういうような事態の中で、軽々に、大臣が本委員会で言われたように、下請なら云々というような形で統一見解が出されるということについては、私は非常に問題があると思うのです。そういうイギリス日本との協定日本アメリカとの協定、こういったものの上に立ちまして、この問題については大臣どうお考えになりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
  53. 三木喜夫

    三木国務大臣 これはインドの場合具体的に起こった問題でありますから、外務省を通じて、インドイギリスとの関係については今調査を依頼しておるわけでございます、この問題は具体的な問題として、どういう契約でなされるかということも、これは調べてみたいと思います。ただしかし、われわれとしては、原子力基本法精神を逸脱しないということが大原則である。その場合に、何もかもいかぬというものではない。そこで、どういう点で線を引くかという点について、これが原子力委員会でも一番検討される中心の問題でありますので、現在ではここでこういう方向だということはまだ申し上げる段階ではないのでございますが、先ほど御答弁申し上げましたごとく、軍事的にこれが利用されるということがきわめて明白な場合には、これは好ましくないことは基本法の精神からいって明らかでありますから、統一解釈を決定するときには、そのことによって本本法に抵触することのないようなきめ方をしたいと考えております。
  54. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 先ほども申し上げたのですありますが、現に中国で近く核実験が行なわれるかもしれぬという公安調査庁の発表であります。そうなって参りますと、大臣が言われたような形で、平和利用軍事利用かわからぬ、インドがどうするかわからない、完全に軍事利用ということではなさそうだということで、日本部品輸出した。そうした場合に、その後そういった中国核実験の実施なり国際情勢変化によって、インドが、それでは今度は軍事利用に力を入れなければならぬということになっていった場合は、初めの日本の意図と違った格好で事態が進展をする可能性というのは、私は当然あり得ると思うのです。ですから、やはり完全に軍事利用ならいかぬけれども軍事利用平和利用か明らかでないものについてはいいのだというようなところに線を引くと、当然私は国際情勢の推移によって、当初期待をしないような事態が起こり得るということになると思うのです。ですから、一歩進んで、明確に軍事利用であるということでなければいいのだというようなところに線を引くこと自体にやはり問題が残るのではないか、こういう点を、大臣十分に一つ御検討をいただきたいと思うのです。今言ったそういう国際情勢の推移ということを念頭に置いた場合に、今大臣の言われた一つのものさしといいますか、そういうものはどういうことになるとお考えですか。
  55. 三木喜夫

    三木国務大臣 中国の核爆発実験、これは公安調査庁が、発表というのでなくして、ある情報を入手したということであったそうであります。しかし、あり得べきことでございますから、そういうことで核保有国が次第にふえていく傾向というものはあるかもしれない。日本はそういう世界の情勢変化のいかんにかかわらず、それは日本国民の願いでもあるとし、原子力基本法精神でもありますから、そういう点で日本国民の考え方を裏切ることのないような統一見解を出したいと願っております。
  56. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これで終わりますが、一つ大臣にお願いをいたし、また幸い石川原子力委員もお見えでございますから、同時にお願いをいたしておきたと思うのであります。日本イギリスとの協定日本アメリカとの協定に具現されているように、日本で生産されたプルトニウムについてもそれは一平和利用だという、先から先までの原子基本法にのっとった協定をやったのでございます。こういう過去の実績というものを十分念頭に置いていただきまして、国際情勢の推移によって、あのときは善意であったがその期待を裏切られたというような結果を来たすようなあいまいな統一見解でない、原子力基本法第二条の精神をきちっと厳格に守った統一見解を、すみやかに出していただくことをお願いをいたしたいと思うのです。そうでありませんと、現在業界におきましては何か先物買いといいますか、現にGECとの間に下請契約といいますか、これを引き取った場合においてはどこの会社が何を受け持つというような計画まで進行しているそうであります。そういったことはきわめて遺憾なことでございまして、そういった原子力委員会統一見解が出る以前に遺憾な既成事実が積み上げられるというようなことのないようにお願いいたしておきたいと思うのであります。
  57. 前田正男

    前田委員長 次に、河野正君。
  58. 河野正

    河野(正)委員 私は、科学技術の振興なりあるいはまた科学技術の開発なり、そういう面におきまする政府の指導性というような点について若干お尋ねを申し上げてみたいと考えます。  と申し上げますのは、先ほどから山口委員もいろいろ原子力行政のあり方等についてお触れでございますが、科学技術に対しまする政府の指導性いかんによりましては、非常に重大な問題も起こってくる可能性もございます。のみならず、この指導性いかんによって科学技術の振興なり開発というものが非常に促進されることもあります。あるいはまた、その指導性というものが適切でないために、この開発なり振興が阻害されるというような面もあろうかと思います。そういうように、指導性というものが非常に重要な要素を持って参っておりますので、私は最近現われておりまする一、二の現象を取り上げて、長官の率直な御意見なり、また指導のあり方についての御所信もこの際あわせてお伺いを申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、まず第一にお尋ねを申し上げておきたいし、また御所信のほども承っておきたいと思いまする点は、先般政府が宇宙開発というものを総合的に推進していこう、しかも強力に推進していこう、そういう意図で考えられたことでございますけれども、宇宙開発推進本部の設置に対しまする構想が表明されたわけです。ところが、学界の一部からは、この構想に対して研究統制のおそれがあるのじゃないかというような意見も出ておるのは事実のようであります。それが大勢であるかどうかわかりませんが、事実のようであります。宇宙開発が基本的に平和でなければならぬ、そういう意味におきましては、これは非常に重大な面でございます。ところが、その際に学界、あるいは今申し上げますように政府、さらには財界というような間に、こういうように若干でも食い違いがあることは必ずしも好ましい傾向ではなかろう。と申し上げますのは、学界のため、あるいは政府のため、財界のための開発ではないのであって、これはどこまでも世界の平和に寄与するという一つの大きな方針のもとに開発をするわけであります。従って、その基本的構想に対しては、学界も政府も財界も国民も、ひとしく一致する方向でなければならぬということは、これは否定することのできない事実であろうというふうに考えます。ところが、どういう構想をお示しになったかわかりませんけれども、学界の一部に、研究統制のおそれがありはせぬかというような声が出たようであります。この点についていかがお考えでございますか。長官の御所信のほどを伺っておきたいと思います。
  59. 三木喜夫

    三木国務大臣 西村委員の御質問であったかと思いますが、宇宙開発の研究がばらばらになって、効果を上げる上において今の体制は検討の余地があるのではないかというような御質問が・あって、私も同感の意を表して、できれば総理府にそういう何かまとめた総合本部のようなものを来年度設けたいという考えだ、という答弁をしたわけでございます。それに対して、宇宙開発の審議会がありまして、審議会の中で、今河野委員の御指摘のようなそういう懸念を持った委員発言もあったようであります。今御承知のように、米ソの間においても宇宙開発という面では、これだけ対立の激しい米ソも軍縮とか核実験などの問題とはだいぶん調子が違うようであります。米ソの間にも何らかの宇宙開発に対する協力ができるような情勢にあるわけです。そういうことを考えてみますと、この対立の頂点にある米ソすら提携して宇宙開発をやろうというときに、日本の国内において、学界が、それは研究統制になるのじゃないかというような量見で、それぞれのセクト主義というものは宇宙開発の研究を促進していく上において好ましくない。もう少し学界も量見を大きく持ってもらいたい。われわれは何も研究統制をしようなどという大それた考えはないし、できるものでもないし、そういう点で、総理府にそういうものを置くということが好ましくないとするならば、やはり今までのようなばらばらではどうにもならないのじゃないか。学界は学界、役所は役所、民間は民間、そうしてロケットを打ち上げるのでも、その場所もお互いに自由に共通して使えないようなことで、限られた経費でこの問題をやろうとする日本のあり方として、宇宙の開発研究というものが進んでいくわけにはいかぬことは明らかであります。学界の人たちも、そういう考えの人もおりましょうけれども、全体から見て役所とか民間、学界などを結ぶような何らかの体制になっていくということを期待しておるわけでございます。
  60. 河野正

    河野(正)委員 今大臣からもお話がございましたように、この技術の開発あるいは科学の振興をやっていく上においては非常に大きな効果を上げなければならぬわけですから、それがてんでんばらばらの格好では工合が悪いということは、これは当然でございます。ところが、ただ心配いたしますのは、そういう意味からは総合的にこの推進をはかる体制を作っていくということは非常に好ましいわけでございますが、やり方いかんによっては、それぞれの自主性というものが侵されるという一つ危険性もはらんでおる。そこで私はそういうところから将来を懸念して、一部では統制のおそれがあるのじゃないかという反対の声も出てきたかとも想像をいたします。けれども、この運営いかんによっては、非常に大きな成果をあげ得る。運営いかんによっては、今私が御指摘を申し上げましたように、かえって統制の傾向も出てくる。そこで要は運営のいかんにあると思います。しかし、いずれにしても、やはり学界の協力を得るということは、この科学技術の開発なり振興をはかっていく意味におきまして、非常に大きな要素を持っておるわけございますから、そういう学界の声あるいはまた学界の杞憂というものに対しましても、最大の配慮というものは当然払わなければならぬ。  従って、私はここで、それではそういう調整のために今日どういう努力が行なわれておるのか。せっかく推進本部が設立されるのでございましたならば、すみやかに設立をするということが望ましいと思う。しかし、そういう将来に対する杞憂に基づいて協力的態度を得られないということは、国家的にも非常に損失でございますから、もしそういう点に対しまする方策がございますならば、大臣も退席されるようでありますし、石川委員からもその前にぜひ一言お尋ねしておきたいというような委員長からの希望等もございますので、一言ここでお話をいただきたい。
  61. 三木喜夫

    三木国務大臣 そういうのを私も新聞記事で見ましたから、兼重審議会会長を呼びました。そういう意図ではないのだ。研究の自主性というものはみな守られなければならぬ。だからそれを一緒に、もう同じように研究をごっちゃにしようというのでなしに、そういう推進本部ができればそこで総合的な計画を立てて分担をきめてやる。今までの実績があるし、その自主的にやってきておる実績をみな御破算にして本部というものにやるというような  ことではないのだ。みな自主性を持ちながら、それをもっと予算も多くつけたり、研究の計画も立てたりして、そういう促進の大きな援護射撃になるような形の本部であるから、それを誤りなく学界の人にも伝えてもらいたい、という話をしておきました。そういう線で誤解も一解けていくものと期待をいたしております。
  62. 河野正

    河野(正)委員 大臣が御退席でございますから、一つこの際要望を申し上げておきます。  それは、今申し上げますように、科学技術の開発なり推進を行なうためには、やはり学界もそうでございますし、政府もそうでございますし、財界もそうでございましょうが、いずれにいたしましても、渾然一体の形というものが確立されなければならぬ。その中で一部でも欠くるところが出て参りますと所期の目的を達するわけに参りませんので、ぜひ大臣が今お答え願いましたような方向でさらに一つ格段の努力をお願い申し上げたいということで、その点につきましてはお願いを申し上げておきたいと思います。
  63. 前田正男

    前田委員長 河野君の質問を保留しまして、次に石川次夫君。
  64. 石川次夫

    石川委員 実は私は、先ほど来質問が出ております原子力行政の問題につきまして、科学技術庁並びに原子力委員会としては、経済性というよりはむしろ安全性という点に重点を置く行政をしなければ円滑なる原子力の開発ということは望めないのじゃないかということに関連をして、安全基準の問題、それから原子力地帯整備の問題を、東海の現地の実態に照らして御質問したいと考えておったのであります。しかし時間がありません。河野委員の時間をわずかにさいていだだきまして、ただ一点だけ緊急に一つ要望したいことだけを申し上げたいと思います。  これは、今の安全性の問題ともかなり密接な関係がありますけれども、何回もこの委員会で問題になっております射爆場返還の問題についてであります。これは国務大臣がおいでにならないこの前の委員会でも、私からいろいろ申し上げたのであります。今さらいろいろなことを申し上げる必要もない、皆さんよく御存じのことであろうと思いますけれども、とにもかくにも、原子力センターの東海村と隣接をして射爆場があるということは、われわれとしても予想しておらぬ。われわれというのは語弊がありますけれども、私、当時県議会におりまして、県知事の説明では、この射爆場が返還されるということを条件として原子力研究所というものを持ってこよう、こういうことの言明にわれわれは信頼をしてこれを了承したという経緯をたどって、あの原子力センターというものが実現をしたということは、今さら御説明するまでもないと思うのでございますけれども、いまだに射爆場の返還というものは実現を見ない。しかし、この前の委員会の話では、あれは当然返還になるだろうというようなことを三木大臣が言われたので、われわれも非常に意を強うしているわけでございますれども、現実の問題はそうなまやさしいものであろうとは考えておらないわけでございます。われわれは前田委員長を団長として先般アメリカに行きましたときも、この問題について各方面にも折衝いたしました。なかんずく国防次官補に会いましたときには、非常に力強い、これは何とか打開をしよう、せっかく皆さん方が来たのだから効果が上がるような方向で努力をしよう、こういうことで、帰りますまでには代替地に関しての条件を緩和する関係の何か指令を出されたというようなことも聞いておったわけであります。これは茨城県民の率直な声を代弁いたしますと、代替地なんというものは問題じゃないという感じが非常に強いのです。われわれとしては代替地とか何とかということではなくて、原子力センターを持ってくるときの条件なんだというような声が非常に強いということをよく御記憶願いたい。実はこの関係は、アメリカにおきましては国務省ではなくて、国防省がその実権を握っているといいますか、キー・ポイントを握っておるのだろうというふうに想像されますけれども、あくまでも窓口は国務省を通じて交渉する。こういう経緯になろうかと思うのです。  それで、私が緊急にお願いをしたいと思いますことは、今国務次官補がこちらにお見えになっております。そこで、この射爆場の返還の問題につきまして、科学技術庁長官としてはこれに対して交渉せられたかどうか。科学技術庁長官としてはこれは重大問題の一つとして考えなければならぬことなので、国防省の方がこの衝に当たる中心だとはいいましても、結局、われわれとしては国務省を通じてこれを行なうというのが建前になろう、こう考えますので、せっかく向こうから来られたいいチャンスでありますから、これはぜひ科学技術庁の、長官の責任において、この問題についてとくと懇談をする。もちろんここで確答を得られるということは、ちょっとむずかしいだろうということは想像はいたします。しかしながら、これは何にも触れないで帰らせてしまうということは一つ怠慢のそしりはまぬがれないだろう、こう思います。これについて折衝されたか。もし折衝されていないとすれば、この問題については科学技術庁長官の責務において、これを強く要望して、打開の糸口を一歩進めるということは当然やってしかるべきであろう、こう考えますので、一つ国務大臣の所見を伺いたい。
  65. 三木喜夫

    三木国務大臣 お説の通り、ああいうところに射爆場があることは好ましくないことは申すまでもないことであります。それで、日米の合同施設委員会に、日本政府が昨年正式にこれを持ち出したわけでございます。そうして、原則的には先方としても、だれが見ても原子力施設の近くに射爆場があることは好ましくないわけですから、アメリカ側としてもこれは十分な考慮に値する問題であるわけでありますから、検討を向こうはすることになっておるわけでございます。私も今事によったら日米科学合同委員会出席をしようかという予定があるわけであります。それで、そういう場合には、この問題も重要な問題の一つとして、何としてもやはり国防省の意見というものはこの問題には一番重要な一つの影響力を持つわけでございますので、もしそういうことがあれば、私自身としてもこの問題でワシントンでいろいろ関係者にも会って話をしたいと考えております。今来ておるハリマン氏ですか、これには今会う予定は持っておりませんが、その日米科学合同委員会の場合には、もし私が渡米すれば、これは交渉する重要な題目にいたしたいと考えております。
  66. 石川次夫

    石川委員 この射爆場返還の県内の最近の急激な変化というものは、今ここで御説明してもどうかと思いますので省略しますけれども、実はわれわれとしては慎重にかまえておったわけであります。ところが、自民党自体が署名運動をやろうというようなことで、われわれのお株をとられたような格好で、非常に大きな問題になっておることは御説明するまでもないと思うのです。そういうようなことも、今までのいきさつから見ればけだし当然な国民の気持を代弁したものだというふうに考えるわけでございます。それで、どんな糸口でも、どんなチャンスでも、一つつかんで、この返還問題をやらなければならぬ。向こうで、代替地の問題を言えば、この射爆場を変えるということはアメリカの戦略体制を変えることに通ずるのだというような説明まで出て参りますと、これは返らないのじゃないかというようなあせりすら県民としては持たざるを得ないわけなんです。それで、どういう機会でもつかまえて話すということをわれわれとしては非常に期待しておる。県民としてはもちろんこれを強く要望しているというような点からいいまして、国務次官補もこっちに見えていることですから、これはやはり一つそういう機会でもつかまえて——外務大臣にもお願いするつもりでおったのですが、会う機会がなく、これはお伝えしてありません。しかし、これはむしろ外務大臣の問題というよりも、科学技術庁長官としての任務ではないか、こう考えますので、何とかこういう機会もつかまえてこのこともお伝え願いたい。これは県の方から正式に私の方へ連絡のあった要望事項の一つですから、こういうことをぜひやっていただきたいということをお願いいたします。どうですか、やっていただけますか。
  67. 三木喜夫

    三木国務大臣 今どどういう予定になっておりますか、私が会うということでなくても、何らかの方法を通じてそういう意思は伝えるようにいたします。
  68. 河野正

    河野(正)委員 先ほどから科学技術振興なり開発に対します政府の指導性について大臣の所信を承ったのでございますが、私は具体的な問題を一、二取り上げて、そうして政府の所信と、今大臣が述べられました指導性に対します所信と、はたして一致しておるかどうかというような点について一つお伺いを申し上げてみたいと考えます。  そこで、第一の問題としてここに提起いたしますのは、さきに長崎県の大村湾で、気象観測用のロケットのノーズコーンの回収実験が行なわれましたことは、政府、御承知通りであります。それらの点についても若干お尋ねをしたいと思いますが、当局から、その回収実験の状況がどうであったかという、状況報告をまずもってお願い申し上げます。
  69. 山本利壽

    ○山本(利)政府委員 この問題につきましては、今係の者がおりませんので、後ほどお答えいたします。
  70. 河野正

    河野(正)委員 そのことについて、先ほど大臣といろいろ私が質疑のやりとりをいたしましたが、そういう方針と今度やられた実態とがマッチしておるかどうかということをお尋ねする、それが目的ですから、後ほどお答えではどうも話が進展しませんよ。大体の概況はおわかりでしょう。
  71. 山本利壽

    ○山本(利)政府委員 その概況につきまして、私の方で今材料を何も入手しておりませんので、申しわけありませんけれども……。
  72. 河野正

    河野(正)委員 資料を入手しておらぬというけれども、そのやり方について問題が起こっておるわけですから、単にそういう、回収実験が順調にいった、それで終わったということではないわけです。それについて問題があるわけです。指導性の問題があるわけです。しかも、それが問題が具体的に起こっておるわけですから、入手しておらぬというような不勉強では困る。実はこの長崎県の大村で行なわれました気象観測用のロケットの回収実験については、非常に成功であったといわれておるわけです。それはなるほど、一部成功ではございましたでしょう。ところが、私が冒頭に指摘いたしましたように、科学技術の振興なり開発に対する政府の指導性というものは、非常に大きな影響力を持つわけです。それらについて大臣も率直にお認めで、その指導性については十分慎重な配慮と熱意を持って臨んでいきたいというような所信の表明があったわけです。そういう意味では、長崎県の大村における気象観測用のロケットの回収実験というものは、必ずしも適切ではなかったというように私どもは理解いたしておる。ところが、おわかりでないということでございますから、その点は留保をいたしまして、いずれ機会を見てお尋ねを申し上げて参りたい、かように考えます。  そこで、第二の点として、私がきょう提起しようと思います点は、厚生省の医務局長も御出席でございますが、厚生省が最近、新医療技術開発に関します構想というものを明らかにして参ったわけであります。ところが、これは今日までの委員会でもいろいろ論議されておりますように、なおまたこの内閣で、先ほど話が出て参りましたように、総合推進本部を設立して、そうしてこの科学技術の振興については総合的に推進していこう、こういう構想も実は述べられたわけです。かつまた、委員会論議の中におきましても、この科学技術振興に対する研究開発というものが、てんでんばらばらじゃ困る。そこで総合的にやって参りたい。そのためには、ある場合には一つの線に並べる必要があるというようなことも、実は先般、兼重寛九郎さんからお話のあった点でございます。  そこで、今度厚生省が構想を明らかにいたしました医療技術の開発、特に電子、高分子科学ということでございますけれども、こういう構想というものは、科学技術庁一つ方針とそれぞれ相関連して明らかにされたものか、この点について政務次官の方からお答えをいただきたい。
  73. 山本利壽

    ○山本(利)政府委員 三十七年度予算の編成にあたりましても、各省のこういう方面にわたります予算については、それぞれの省と連絡いたしたのでございまして、この厚生省におきます電子関係の医療の研究等につきましても、三十七年度においては調査費を計上しておるようなわけでございます。それらの際におきましてもいろいろ協議いたしたわけでございますが、今後とも十分に連絡をとりながら進んでいきたいと考えます。
  74. 河野正

    河野(正)委員 協議されたということでございますが、どういう具体的協議をなさっておるのか。たとえば、これは先般の委員会でも取り上げたわけですが、防衛庁が電子開発に着手をしたというような問題もございました。今度は厚生省の方が電子医学の開発に乗り出すというようなことである。科学技術庁方針としては総合的というもことでございますけれども、防衛庁の方は、先般の委員会におきましても御指摘申し上げましたように、何ら無関係のまま推進されておったという事実があったわけであります。今度の場合は、なるほど、今次官から、厚生省と緊密な連絡をやっているというようなことでございますが、それではどういう開発をしようとしておるのか。その辺の事情を次官の方から聞かしてもらいたい。
  75. 山本利壽

    ○山本(利)政府委員 電子技術審議会の答申の中にも出ておりますが、臨床面と密接な関連をいたしますために、この方面に対して厚生省にやっていただくような方針で進んでおるわけでございます。
  76. 河野正

    河野(正)委員 それでは、このメンバーの中に科学技術庁のどなたか参加をされておるわけですか。
  77. 前田陽吉

    前田(陽)政府委員 科学技術庁といたしましては、厚生省の方から相談を受けまして、振興局長である私が出るようにということに話がついておるわけであります。
  78. 河野正

    河野(正)委員 それでは具体的にそれはどういう開発を実施しょうというふうにお考えでございますか。
  79. 前田陽吉

    前田(陽)政府委員 大体臨床面に関係いたしました電子技術と高分子等でございまするが、詳細は厚生省の医務局長がお見えでございますから、医務局長の方からお願いしたいと思います。
  80. 川上六馬

    ○川上政府委員 先ほどからお話がございましたように、この問題はすでに三十五年に、電子技術審議会の方から、医療用電子技術の研究のための研究所を設置するようにというような答申が科学技術庁長官になされまして、その審議会の方は私の方も参画いたしておるような関係で、始終その当時から科学技術庁とは連絡を密にしてやってきたわけであります。どうしてもこれは臨床面との関係が深いので、厚生省がやはりやる必要があるということで、実は厚生省の方でこれを担当して、この予算を両三年前から大蔵省に対しても要求しておったような状況にあるわけでございます。最近今度の三十七年度予算に御審議を願っておるわけでございますが、新医療技術の開発に関する調査研究に必要な経費といたしまして二百万円をいただいて、そしてそれによって、単に医学者ばかりでありません、電子工学の人、あるいは機械の人、あるいは高分子化学の人、それぞれの専門家の人に御参加を願って、十分御意見を承って、その面の開発はこれからやっていこうというふうに考えているわけであります。先ほど御質問にもございましたように、主としましてやはりエレクトロニクス、それから高分子化学の技術を医学に導入して新しい機械を作っていこうということであります。今、言うまでもなく御承知と思いますけれども、機械としてはやはり従来の実用化しておりますものもございますけれども、心電計でありますとか、脳波でありますとか、そのほか電子技術を導入したようないろいろな機械、それから高分子化学といたしましては、いわゆる人工臓器、それに特にメカニズムの必要な人工の心肺装置、そういうものを主として、そういうたぐいのものを取り入れて研究をしていこう、こういう考え方をしております。
  81. 河野正

    河野(正)委員 私は、この際、せっかくいい機会でございますから、あわせて一つお答え願えるならばお答えを願いたいと思います。これは先般の委員会におきましても、実は宇宙医学の問題について、特に私は経済力の乏しい日本においてはロケットを飛ばしたり、その他のことよりも、むしろ日本の高度の医学というものを生かして、そしてそういう生体化学の問題について格段の努力を尽くすべきではなかろうかというようなことをお導ね申し上げたわけです。ところが、世界もそうだそうでございますが、特に日本の現状を見てみますと、こういう医療技術と申し上げますよりもその前段階の基礎的な面というものが非常に欠けておる。これは大体名古屋の大学、あるいは東北、慈恵、こういうところでは若干、宇宙医学と申しますか、生体化学と申しますか、そういう方面の基礎的な研究をやられておるそうでございますけれども、現状を見て参りますると非常に微々たるものであり、ほとんど見るべきものがない。かつて戦時中あたりは航空医学というものがあり、特に今日の生体化学あるいは宇宙医学というものはこの航空医学からだんだん進歩してきたという一つの傾向がある。ところが、そういうような航空医学にかなり関心を持っていた研究者、学者というような人々も、今日の宇宙医学、生体化学の問題についてはほとんどなすべき手がない。極端な言葉で申し上げますると、どこから手をつけていいかわからぬというふうな実情にあるということが日本の現状のようでございます。医療技術の開発というものは、ある程度基礎研究というものができなければ実際にできない。ところが、その前の基礎研究というものが非常におくれているわけですね。それですから、この開発計画を承って、私どうも片手落ちのような印象を強く持ったわけです。と申し上げますのは、そういう実際面に移す前の研究というものを非常に怠っておる。私は、むしろ日本ではそういう面にもっと力を注ぐべきではなかろうかというふうな感じを持ったわけでありますが、そういう点については局長はどういうふうにお考えでございますか。せっかくいい機会でございますので、一つお聞かせをいただきたい。
  82. 川上六馬

    ○川上政府委員 私も、特に医学面ばかりではございませんけれども日本研究というものはやはり基礎研究というものがおくれておる、欧米などに比べましておくれておるということは日ごろから痛感いたしておるわけであります。この問題につきましても、御承知のように、必要なそういう研究はぜひやらなければならぬ。開発的な研究も大事でありますけれども、その基礎となる研究も必要だというように考えて、将来研究所を作る場合にはそういう考え方で作っていきたいというふうに私は思っております。
  83. 河野正

    河野(正)委員 大体私は日本の実態を知っておりますから、いろいろ聞きたいとは思いませんけれども、ただ、そういう実態を十分お聞き取り願って、そうして今まで足らない点については今後政府が大きな力を注いでいく、そういう配慮が必要だろうということできょうは御指摘を申し上げたわけです。ただ、今私が申し上げたいと思いまする点は、今の医療技術の開発という点を取り上げて参りましても、私が冒頭に取り上げましたように、やはり政府の指導性というものが若干欠けている面がありはしないか、そういうふうに感ずるわけです。そこできょうは、医務局長ばかりではなくて、実は観測ロケットについても、どうも政府の指導性というものが欠けているようでございますすので、具体的な点をあげていろいろお尋ねしたいと思ったのでございますけれども、その面に対するお答えが十分できませんでしたので、まことに残念ですけれども、きょうはこれで留保していずれ機会を見てお尋ねさしていただきたい、かように考えます。
  84. 前田正男

    前田委員長 次に、齋藤憲三君。
  85. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 私も、きょうは時間がないようでございますから、質問は後日に譲りまして——ただ、きょうは厚生省の医務局長も来ておられるそうでございますから、一言だけ御質問申し上げたいと思うのでございます。それは、きのうの朝日新聞でありますが、「中性洗剤問題に対策を」という記事が出ております。これをずっと読んでみますと、「核実験再開の脅威で、特に”死の灰”の谷間にある日本では、心を痛めないものは一人もない。しかし、その微細な”死の灰”をABS」——アルキルベンセンスルフォン酸ソーダというむずかしい名前だそうでありますが、「ABSで洗い落すことをすすめていながら、その汚水がそのまま水道水や井戸水として返ってくる可能性を考えると、恐ろしくなる。ABSの害だけでまっぴらなのに、そのうえ放射能の害まで同伴してはたまったものではない。西ドイツでは昨秋以来、この中性洗剤の使用に注意して、今年の六月三十日より使用を中止することを法律で決めたといわれるが、もう一度、心ある人びとの一考をうながしたい。」こういう結論で、中性洗剤の恐るべきこと、及び三川上水その他井戸水にも許容最以上のABSが今入りつつあるという記事なんであります。私がこの記事を読んだのではありませんが、私の家庭でこれを読んで、自分たちも中性洗剤を使っている、そうすると中性洗剤を使って手がからからになるあれは有毒か、こういう質問を私受けたのです。いやしくも科学技術特別委員会理事をしておる者が、いやそれはわからんとも脅えぬので(笑声)一つよく研究をして慎重に回答するということを家で申して参ったのでございますが、読んでみると、何かこれは非常に恐ろしいものらしい。この記事の中に、死の灰をこのABSで洗うことを当局では勧めておるということがあるのですが、このABSというものが死の灰を洗うのに非常に効果があって、もしフォールアウトが盛んになったら、これを使って野菜から何から全部洗え、その方がいいのだということを御指示になっておるのかどうか、ということを簡単に一つ……。
  86. 杠文吉

    杠政府委員 ただいま御指摘のABSでありますが、おそらくそれは中性洗剤の主体をなしていると考えます。この中性洗剤で洗うと確かに放射能が減るという事実は、実験の結果明らかに出ておりますので、私の方といたしましては、中性洗剤でよく洗うようにという注意事項は、気象庁、厚生省とも連絡の上、三者連合で発表いたしております。
  87. 齋藤憲三

    ○齋藤(憲)委員 ABSの含有量は、アメリカの許容量が〇・五PPMです。丸子多摩川のダムを東横線の電車から見おろしてあわ立って見えるのは一PPMほどのものではないか。そうすると、許容量の倍ですね。玉川浄水場は〇・九PPMと書いてある。これは横浜国立大学教授の山越という方の記事であります。  そこで、厚生省の医務局長もおられますので、委員長にお願いしておきたいのは、適当な機会に、この中性洗剤というものは一体どういうことになっておるか、これが人体に対してどういう悪影響を及ぼすか、ほんとうにフォールアウトなんか大きな問題となって、あそこでもここでも中性洗剤を使って、飲料水にどんどん中性洗剤が入って許容量をうんと越す、それが原因になり非常に障害を及ぼしたということになったら大へんなことだと思います。いわゆるフォールアウト対策としても御考究を願いたいと思いますので、適当な参考人を招致して、この中性洗剤の点にも検討を加えるようにお取り計らい願いたいと思います。
  88. 前田正男

    前田委員長 前の理事会にもその話があったように思いますけれども、さらに理事会にお諮りいたしまして、必要な処置をしたいと思います。なお厚生省は公衆衛生局が担当だそうですから、よくその方にも伝えておいて連絡をはかります。  それでは、本日はこの程度にいたしまして、明二十三日午後三時より開会することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十五分散会