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木村(睦)
政府委員 昨日
陸運局が
警視庁へ
相談に持って参りました案につきましては、ただいま
政務次官から申し上げました
通りでございまして、
運輸省といたしましても、
東京都のみならず、大阪あるいは大都市の
交通の
混雑緩和対策として、いろいろ
警察当局にお願いして、
方法を講じてもらってやってきておるのでございます。また、われわれとしましても、
事業者に対する
指導を徹底いたしまして、できるだけその
方向に
指導を強化して参っております。しかし、特に
東京都につきましては相当思い切った
規制をやらなければ、
これだけ車が輻湊しておる
道路交通においては、
交通の円滑は期せられないであろうということをかねて
考えております。この問題が
内閣に以前からあります
交通対策本部で取り上げられ、さらに
交通関係閣僚懇談会でこの問題が取り上げられまして、しばしば
内閣の
対策本部におきましても私出席しておりましたが、相当強い
規制をやらなければいけないだろうということは主張して参ったわけでございます。そこで、先般
警視庁から一応の
試案というものが出たわけでございまして、これにつきましては、
運輸省のみならず、建設省あるいは
関係各省と十分検討し合って、そして最終的にいいものを作って実施してもらうという
話し合いになっておるわけでございます。その線に沿いまして、この
警視庁案を最終のいい案にしてもらうために、
運輸省としては、当面の
責任官庁であります
東京陸運局をしていろいろ検討をさしてきたわけでございます。昨日持って参りました案は、その
試案でございまして、この
相談には私ももちろん加わって、いろいろ
陸運局と
意見の交換をしたわけでございます。
そこで、昨日持って参りました私の方の
陸運局の
試案というものの
考え方を申し上げますと、
道路における輸送というものを通じまして、その
地域の人々の
産業、
経済活動あるいは
日常生活というものがまかなわれており、非常に重要な
使命を持って行なわれておるわけでございますので、本来の
道路というものは自由に
交通の便を提供し得るというのが
目的でございますが、これを逆に、
道路がありながら、そこの
交通を
制限、
規制しなくちゃいかぬということは、これに逆行するわけでございます。それの
影響するところ、結局
産業活動あるいは
経済生活、
日常生活に非常な
影響があるわけであります。そこで、そういう意義のある
道路上の
交通というものを
規制するときには、何を
原則にして
考えていったらいいか。今後こういった
規制が必ず他の
地域においても行なわれるであろうということをあらかじめ
考えまして、
一つの
原則というか、
基本方針というものを持ちまして、常にその
方針、その
原則に照らし合わせながら、具体的な
規制案というものを作っていかなければ、
方向を見失ったり、横道にそれるおそれがあるということを
考えておるわけであります。そこで、この基本的な
考え方といたしましてまず第一に
考えましたのは、
通行の
規制の前に
駐車禁示区域を拡大するという、これがまず強化されなければいけないということを
考えておるわけでございます。しこうして、この
駐車禁示区域の拡大がさらに強化され、それに並行して次の
交通規制というものをやるべきではないか。ということは、
交通規制が何と言っても
影響するところが大きいからであります。この
交通規制をやりますにつきまして、
三つの
原則というものを常に
考えてやろうじゃないかというのが
考え方であります。第一は、
産業、
経済及び住民の
社会生活への
影響を
最少限度にとどめる。第二点は、
規制の効果をできるだけ多く発揮できるよう
考える。第三点は、
規制によりましていろいろ
犠牲をこうむる、その
犠牲の負担をできるだけ公平に分かち合う。この
三つの点を常に
考えて、
規制の
具体案を
考えていきたいという見地に立って、
陸運局といろいろ
相談したわけでございます。そこで、
流れる
交通を
規制することによりまして
交通の
緩和をはかるためには、車の両数に
規制の時間をかけて、さらに地帯をかける、
三つの
要素の乗績の結果が
交通の
緩和の大きさを表わすものである
といふうに
考えるわけであります。従いまして、車の数をふやすこと、時間を広げること、
場所を広げること、この
三つを、三
原則に照らしながら縮めたり伸ばしたりするということになろうかと思います。
まず今回やりますのは、
最初の
規制でございますので、できるだけ小範囲にやりまして、そして
実情を見ながら逐次拡大していく、これが第一回にやります場合には
考えておく必要のある
要素だと思います。こういう観点から、まず車につきまして、
東京における
実情を見ますと、昨年の十二月の
数字で申し上げますと、これは
東京都全体でございますが、七十二万両の車がございます。これを
業種別に分けますといろいろあるのでございますが、まず
営業車と
自家用車に分けてみますと、
自家用車が約六十六万両でございます。
営業車が六万六千、大体
自家用の一割が
営業車という形になっております。それから
貨物と
乗用車、この比較を見ますと、これは
東京都の特別区だけについて見ますと、大体六十五、六万両の車になるかと思いますが、そのうち
貨物について見ますと、普通、小型が合わせまして九万三千、それから
軽自動車が八万、それから軽の三輪、四輪、これが五万
——ちょっとこの
数字を
あとで訂正する必要がありますが、
乗用車が約四万両くらいでございます。
あと軽自動車が非常にたくさんございますので、
軽自動車の
数字がちょっと今わかりかねますから、その
程度にいたしますが、そういうふうに
自家用と
営業は十対一という比率にございます。こういうことも一応頭に入れまして
規制を
考えたのでございまして、負担を公平にするという見地から、
自家用車も
営業車もそれから旅客も
貨物もというふうに
考えるのでありますが、そのうち
営業車につきましては、
営業車の輸送事業というものは
道路運送法においてきつい
規制を受けております。輸送事業は、
産業経済の活動等に関連の深い意義のあるものということで、
公共性、公益性が認められておりますので、この点は十分考慮しなければいけないというふうに頭に入れて
考えたわけでございます。
そこで、
陸運局で作りました一応の
試案というものをお手元に資料としてお配りいたしたと思いますが、トラックと
乗用車、それから大型のバス、特殊な車、長大物の運搬車、長物のトレイラー、こういうふうに種類を分けまして、まず車の種類から言いますと、トラックは、大型のトラックは何と申しましても
道路交通においては相当面積をとり、
交通の支障になることが大きいのでございますから、一応七トンぐらいから大きい車を
規制の対象にしてみようと
考えたわけであります。それから、
乗用車につきましても、
乗用車の
規制をどう区分けしてやるかということは非常にむずかしい問題でございますが、とりあえず
乗用車につきましても大型、いわゆる
外車でございますが、これを
規制してみよう。これに該当いたします車は、
自家用、
営業入れまして三万二千両ほどございます。
自家用が三万で
営業が二千ぐらいでございます。なお先ほどの七トン以上のトラックは、
自家用が約二千八百、
営業用が約二千三百ございます。それで、
乗用車につきましても、しかし特殊な任務を持って走る車につきましては除外をしたい。たとえば緊急用であるとか、あるいは病院で患者の輸送に使う車、あるいは報道関係、国会関係あるいは外交官、あるいは国際観光用に使うというようなものは、除外を設けたらどうかというふうに
考えております。
それから、大型のバスにつきましては、大体定員三十人ぐらい以上の大きいバスについて
規制の対象にいたしたい。ただしこれにつきましても路線のバスはもちろんでございますが、
自家用でございましても、通勤用のバスあるいはスクール・バス、そういったものは除外いたしたい、かように
考えております。この大型のバスが大体二千四百両ばかりございます。
自家用が千両ばかり、
営業用が千四百ほどでございます。なお、
営業用のバスにつきましても、貸し切り
観光バスにつきましても、
規制時間中で修学旅行等の対象になる車もだいぶございますので、この
制限時間内におきましては全然
禁止するということも、
東京への修学旅行等の
目的をほとんどそこなうおそれもございますので、この時間中に遊覧して歩くというだけは遠慮してもらって、鉄道輸送等の関連も
考えまして、駅から宿舎への輸送あるいは車庫に帰る場合の輸送等は除外を認めていきたい、かように
考えておるのであります。
それから、長大物の運搬車、これは約三千両ございます。長物のトレーラー、これは約八百両ぐらいございますが、これは全部にわたって
規制の対象にしたい。ただし、この二つにつきましては、運行する場合に警察の許可が要りますので、許可の
段階において除外例を設けることも可能であるという
前提で
考えておるのであります。
車の種類別の
規制の対象になりますのは以上のようなことでございまして、これらの両数を一応概算合計してみますと、約四万三千両ばかりになろうかと思います。これらの
数字も二十三区内で所有あるいは使用しておる車を対象にして、一応の
数字を拾ってみたのでございますので、二十三区外から入ってくる車がどのくらいあるかということが問題になるのであります。これは三十三年だったと思いますが、一応調査いたしました
数字を見ますと、二十三区内にある車の両数に対しまして、大体六%くらいの車が外から入っておるということになっております。もちろん三、四年前でございますから、この比率は相当また上がっておろうかと思いますが、かりに六%といたしまして、その中でやはりこういった車が入ると仮定いたしますと、四万三千両がもう三千両くらいふえる格好になろうかと思います。
次に、この車の
規制時間でございますが、時間は幅広いほど効果は上がりますが、幅が広いというと非常に
影響するところが大きいのでございますので、まず第一回の試みでございますから、一応
ラッシュ時を対象にいたしまして、午前はおおむね七時半から九時半くらいまでのまず二時間くらい、これは七時半から九時半に必ずしも拘泥するわけじゃございませんが、二時間くらい、一番必要だと思われる時間帯で
規制したらどうだろうかという
考え方でございます。午後につきましても五時ごろから七時ごろまで、これもこの時間帯はどうずらしてもいいのでございますが、まず二時間くらいを
規制の対象にしたい。
東京都内の
状況は、警察の方でも言っておりますように相当
混雑しておりまして、日中ほとんどすいているときと混んでいるときと大差がないのが
実情でありましょうが、まず当初のことでございますから、一応
ラッシュ時を対象にしてみたらどうかという
考え方でございます。なお、大型のバスにつきましては、これは夕方の二時間くらいを
規制の対象にしたらよかろうと思いまして、午前中は別に
規制の対象に
考えておりません。それから、長物の運搬車あるいはトレーラーにつきましては、これは一日中
規制の対象にしておりますが、先ほど申し上げましたように、警察の許可によりまして必要なものは除外例を認められていいという
前提で、さように
考えております。
次に、
地域でございますが、
地域も広いほどいいにはさまっておりますけれども、
最初の試みでございますので、最も
混雑のひどい都心ということを重点に置きまして、おおむね環状の六号線、それから四号線、東側は隅田川、この辺に筋を引きまして、その範囲内の
道路においてこれを
規制するというふうにしてみたらどうかと
考えておるわけでございます。
こういうふうに
考えましたのは、先ほどの
三つの
原則に照らしまして、まず効果が一番多いという点からいきますと、車の両数をできるだけ多く押えられるようにした方がいい、しかしできるだけ多く押えますと
犠牲も相当大きくなりますから、その
犠牲を
地域あるいは時間等であんばいする、こういうふうな
考え方で一応の
試案を作ったわけであります。もちろんこれは今まで申し上げましたような
試案でございまして、さらにいろいろ御
意見を聞き、あるいはわれわれもさらに検討を加えていくのでございますが、要するにこの案は、
警視庁の案に対しまして
意見を求められ、こちらも進んで
警視庁と協議するために、
運輸省の
自動車局、
陸運局といたしまして
考えた案でございます。
新聞紙上におきましては、警察の案があり、
運輸省の案があり、まっこうから対立して四つに組んで、というふうな言い方をしておりますけれども、事の性質はそういうものではございませんので、両者の案を持ち寄って協議し、最終的により妥当な案を作るという
方法としてやっておるわけでございます。
簡単に御説明申し上げました。