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梶本政府委員 全くお説の通りでございまして、大体ホテルというものの
建設にどのくらい金がかかるかと申しますと、最近できましたパレスホテル、あるいはニュージャパン、それから今
建設中の東急ヒルトンホテル、こういったものを検討してみますると、大ざっぱに申しまして、一室一千万円とお考え下さればけっこうでございます。これはこういうわけでございます。ホテルにはロビーも要れば、食堂も要る。それから機械室も要れば、洗たく室も要る。そういったあらゆる付属設備というものが必要なわけでございます。ホテル全体の建物の
建設費の中で、そういった今申し上げましたような付属的なものを含めたホテル全体の
建設費を有効な部屋数で割りました場合には、一室一千万円、かようにお考え下さいましてけっこうでございます。その一室一千万円の
建設費がかかりますと、どうしてもホテルの料金というものは、やはり最低四千円以上とらなければ採算が合わない、こういうことになるわけでございます。これで間々
日本のホテルは高いというふうな悪評を生むわけでございまして、これをどういうふうにして切りくずすかというのが、私
どもに与えられた
一つの課題である、かように考えております。従いまして、なぜそのようにホテルの
建設が高くつくかといえば、普通考えられますことは、金利が高い。開発銀行から融資をいただきましても八分七厘でございまして、海運とはだいぶん開きがあるわけでございます。八分七厘でございます。それから土地というものが、
東京のようなところに物色いたしましても、なかなか手に入らないし、手に入りましても非常に高価につく。また、
日本は地震国であるというようなことから、必要以上に設計に注意を払わなければならないというふうなことが、ホテルの
建設費の高くついておる原因だと考えておりますが、まあいろいろ財政投融資をお願いするととはお願いするといたしまして、私
ども今
一つ声を大にして叫んでおりますることは、一室五百万程度のホテルの
建設に乗り出そうじゃないか、こういうことでございます。一室五百万程度のホテルと申しますことは、それ以上の高価なホテルを作ってはならないというのではございませんで、国が財政投融資の対象として考えるホテル、国が財政投融資のお世話を申し上げるホテルというものは、せいぜい一室五百万円見当を対象に考えようじゃないか。それ以上、よりデラックスなホテルをお作りになりたい方は、どうぞ増資をするなり、市中銀行から金を借りられるなり、自分でお金の都合をしていただいて、幾らでもりっぱなものをお作りいただいてけっこうです。ただ、国がお世話を申し上げるのは、一室五百万円程度を対象にしてしようじゃないかというのが、私
ども今声を大にして打ち出しておる
一つの
考え方でございます。これによりますと、大体五
ドル程度でいいのではないかというふうに考えております。五
ドルと申しますと、まあ大体二千円前後でございますが、このくらいまでホテルの料金を下げていけば非常にいいのではないかという、
一つの
考え方を持っておるわけでございまして、もう何も、あすこのホテルがデラックスのホテルを作ったからうちも負けないように作りたいというふうなことで、いたずらに競争心を刺激するよりも、手軽に低廉な料金で泊まり得るホテルというのをこれから十分考えていかなければならぬ問題だ。それで、一室五百万という
一つの合
言葉を私
どもキャッチ・フレーズにいたしまして、ただいまいたしておるわけでございます。
それからもう
一つ、
先生の
お話しのリゾート
地域におけるホテルでございますが、この
白書にも
指摘いたしておりますように、リゾート
地域におけるホテルの採算は、他のホテルに比べまして悪いわけでございます。というのは、いわゆるリゾート
地域でございますから、シーズンとシーズン・オフの波が非常にあるわけでございます。従って、シーズン中はわれもわれもとこの
地域へ押しかけますけれ
ども、シーズン・オフになりますと、閑古鳥が鳴くというふうなことで、ホテルとしては、
年間を通ずると採算がとれない、こういう情勢になっておりますので、そのシーズン・オフのときにも
観光ルートに乗っけるということが、
一つの仕事じゃないかと思うのです。それで、シーズン・オフにも、そこを
一つの
観光ルートにして、その
観光ルートで、そこを通っていく
ルートに乗っけてしまうのだ。そうすれば、シーズンとシーズン・オフの波というものがなくなるのじゃないか。これが、これからの私
どものリゾート・ホテルに対する行き方じゃないか、かように考えておるわけでございます。