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1962-04-27 第40回国会 衆議院 運輸委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十七日(金曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 簡牛 凡夫君    理事 關谷 勝利君 理事 高橋清一郎君    理事 塚原 俊郎君 理事 福家 俊一君    理事 山田 彌一君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       宇田 國榮君    川野 芳滿君       木村 俊夫君    佐々木義武君       砂原  格君    竹内 俊吉君       西村 英一君    細田 吉藏君       増田甲子七君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    田中織之進君       内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 齋藤  昇君  出席政府委員         運輸政務次官  有馬 英治君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運輸事務官         (船員局長)  若狭 得治君         運輸事務官         (自動車局長) 木村 睦男君  委員外出席者         海上保安官         (警備救難部         長)      樋野 忠樹君         運輸事務官         (気象庁総務部         長)      有田  毅君         運輸技官         (気象庁予報部         長)      肥沼 寛一君         郵政事務官         (電波監理局航         空海上課長)  三枝  豊君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 四月二十五日  踏切道改善に関する請願中島巖紹介)(第  四七三一号)  同外十四件(井岡大治紹介)(第四八〇五  号)  同外九十五件(五島虎雄紹介)(第四八〇六  号)  同(加藤勘十君紹介)(第四八三八号)  同外五件(石橋政嗣君紹介)(第五〇四四号)  同外二件(肥田次郎紹介)(第五〇八三号)  踏切事故等防止に関する請願外三十七件(山口  丈太郎紹介)(第四七六四号)  同外四十件(山口丈太郎紹介)(第四八〇七  号)  同(加藤勘十君紹介)(第四八三九号)  同外二十五件(山口丈太郎紹介)(第四八四〇  号)  同外五件(山口丈太郎紹介)(第四八七〇  号)  国鉄線建設資金等に関する請願外二件(坂本  泰良紹介)(第四七六三号)  尾道市久保地内防地口付近旅客専用停車場  設置の請願外二件(内海清紹介)(第四八三  五号)  同(高津正道紹介)(第四九一三号)  川内港整備事業費増額及び水中貯木場建設に関  する請願池田清志紹介)(第四八六八号)  国鉄生橋線建設事業促進に関する請願鈴木善  幸君紹介)(第五〇五四号)  無人踏切整備に関する請願羽田武嗣郎君紹  介)(第五〇九六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路運送車両法等の一部を改正する法律案(内  閣提出第一二九号)(参議院送付)  船舶職員法の一部を改正する法律案(第三十九  回国会内閣提出第五五号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 これより会議を開きます。  去る二十五日、本委員会に付託されました第三十九回国会内閣提出船舶職員法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。     —————————————
  3. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 まず、本案について、政府当局より提案理由説明を聴取いたします。斉藤運輸大臣
  4. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 ただいま議題になりました船舶職員法の一部を改正する法律案提案理由について、御説明申し上げます。  わが国海運企業現状は、きわめて困難な事態に直面いたしております。政府といたしましては、海運企業国際競争力を強化するため、あらゆる努力をいたして参ったのでありますが、企業強化一環として、船舶乗組定員合理化については、つとに関係各方面から強く要望せられているところであり、海運界におきましても、この点について現在真剣な努力が払われているところであります。  しかるに、船舶通信士につきましては、その乗組員数及び資格船舶職員法に定められておりますが、現行規定は、太平洋戦争中の特殊事情によって船舶通信士を増員して以来、今日までおおむねその体制を踏襲しており、諸外国に比べて船舶通信士乗組員数は相当上回っております。従って、日本海運国際競争力を強化し、海運企業合理化を促進するため、海上航行の安全に支障を来たさない範囲で、これを諸外国並みに改める必要があるのであります。  なお、船舶職員法改正に対応いたしまして、船舶無線局運用義務時間を国際水準の線に置くこととする電波法の一部を改正する法律案も、本国会に提案されて、別途御審議をいただいているわけであります。  今回の改正の第一点は、法別表第二から別表第四までを改め、旅客船を除き、船舶通信士法定乗り組みを一名にいたしたことであります。ただし、法施行の際の現存船については、諸般の事情を考慮し、三カ月間は経過措置を設け、船舶通信士員数を一挙に軽減することによって各般の支障が生ずることを避けております。  改正の第二点は、現在乙種船舶通信士及び丙種船舶通信士免許年令が満二十才以上でありますのを、満十八才以上に改めた点であります。これは、電波高等学校等卒業者が、学校卒業資格取得まで約二カ年の空白があるため、海運界に必要な人材が得られない情勢にありますので、当分の間、措置をとることによって船舶通信士需給緩和をはかろうとするものであります。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。      ————◇—————
  5. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 道路運送車両法等の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  6. 久保三郎

    久保委員 自動車局長に、本法案の改正の若干の点をお尋ねするわけでありますが、この道路運送車両法改正の中で、特に重点は、何といっても、車両検査の一部の仕事指定自動車整備事業者にやらせる、こういうことだと思うのでありまして、そのねらいは何に基因しているのか、これがまず第一です。
  7. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 お答えいたします。  今回の道路運送車両法等の一部改正は、車両検査合理化のために、その一環といたしまして、検査前提であります車両整備、あるいは保安基準に適合するための整備、こういう仕事を一部優秀な民間整備事業者活用いたしまして、検査合理化をはかろうというのが、要点の大きな一つでございます。  この理由につきまして簡単に申し上げますと、実は車両の数の飛躍的増大、終戦直後から今日に至りますまで、非常に車がふえて参っております。それと並行いたしまして、車両検査業務が当然ふえて参っておったのでございますが、その間、われわれ政府当局者といたしましても、この検査に必要な人員の増、あるいは予算増加等について、できる限りの努力はして参ったのでございますけれども、国の予算現状から申しまして、飛躍的に増加しております車の数に対応するだけの、十分な検査をやるに必要な予算定員がなかなか確保できないというのが、実情でございます。そこで、一昨年来、こういった自動車行政全般の問題につきまして、自動車審議会を設けまして、いろいろ民間有識者の意見もお聞きしておったのでございますが、この自動車審議会からも、運輸省が適当な監督のもとに、民間整備能力活用する等の施策を十分考慮してやれというふうな答申をいただいております。また一方、現在、自動車分解整備事業者が、自動車整備あるいは整備完了後の検査を一部行なっておりますが、この自動車分解整備事業者が、設備及び従業員の面におきまして、年々相当な質的向上を示しております。また、自動車使用者のほとんどが、検査を受けます前段階といたしまして、これらの整備工場に行きまして、分解整備をいたして検査に参るというのが実情でございますので、これらの実情にかんがみまして、一部この分解整備工場の中で、特に優良認定を受けております優秀な整備業者、現在約九百ほどございますが、それをさらに今回提出いたします法律に基づく省令でいろいろな基準を作りまして、この基準に合う整備業者指定いたしまして、これを指定整備事業者ということにいたしまして、この指定整備事業者に車を持ってきまして、そこで整備をする。整備の結果、保安基準に適合しておるということになりますと、この指定整備事業者におりますところの責任ある検査員が、保安基準に適合しておるという証明書を出すことによりまして、この適合証のみをもって検査したいと申しますれば、あえて車を持っていかなくても、検査期間の延伸を認めるという制度にいたしたのでありまして、あくまでも車両検査権限そのものを役所から民間工場に移す趣旨ではございませんので、優秀な民間整備能力活用いたしまして、非常に増加してくる自動車検査業務合理化を行なおうというのが、今回の趣旨でございます。
  8. 久保三郎

    久保委員 いろいろ問題点が含まれておりますが、順を追ってお尋ねしたいのであります。  現在の自動車整備事業者というか、そういうものの実態は、どういうふうに今日なっておるのか。お言葉によりますれば、大へん優秀なものがだんだん出てきているというのでありますが、特に目ぼしいものも中にはありましょうが、しかしながら、解体検査というか、修理をするような工場は、千差万別だと思うのであります。必ずしもお話のようなものばかりではなくて、しかも、その中には、中小企業が非常に多いという実態、さらに中小企業の今日の状況、こういうことを考えますと、まだまだ自動車産業の進歩というか、これに応じた自動車整備事業としては、少しバランスがとれない実態ではなかろうかとわれわれは見ているのでありますが、これはいかがですか。
  9. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 自動車分解整備事業者現状について御説明申し上げますと、現在道路運送車両法によりまして、自動車分解整備事業を行なう事業は、陸運局長認証を受けることになっております。そこで、分解整備といいますのは、自動車の原動機あるいは動力伝達装置操縦装置制動装置、これらを取りはずして行ないます自動車整備をやることでございますが、こういった整備事業をやるために、陸運局長認証を受けることになっております。なお、この分解整備事業者は、整備いたします車の内容によりまして、三種類に分かれておりまして、普通自動車分解整備事業小型自動車分解整備事業電気自動車分解整備事業、この三つの種類に分けて認証いたしております。この認証を受けております自動車整備事業者のうち、さらにエンジン、車体等自動車の一部の整備を行ないます事業者等のうちから、事業場設備技術管理組織、こういった点が特にすぐれておりますものについては、さらに運輸大臣優良自動車整備事業者として認定をすることになっております。  先ほどもちょっと申し上げたと思いますが、現在、自動車整備事業者は、大体二万三千事業者ほどございますが、もちろんお話のように、非常に中小規模のものもありますし、あるいは大規模のものも、いろいろございます。そのうちで、ただいま申し上げましたような設備技術管理組織等において特にすぐれまして、運輸大臣優良整備事業者であるという認定をいたしておりますものが、この二万三千ばかりの整備事業者のうち約九百ほどございます。これらにつきましては、今日まで長い間整備事業実施を非常にりっぱにやってきたというものを、先ほど申し上げましたような点から見まして、優良整備事業者として認定をして参っておりますので、一応このハイ・クラスにあります優良整備事業者の九百ばかりの事業者の中で、今回の車両検査前提であります車両整備をやるために必要な諸条件をさらに作りまして、この諸条件に合致するものを優良整備事業者の中からさらにピック・アップして指定いたす、こういうふうにいたして指定を受けた整備事業者、これが車両検査前提になります整備をするというふうに、いわば三段階のスクリーンを経て指定をいたすということになりますので、指定を受けます整備事業者は、第一級の整備事業者であるということになりますので、その点において、車両保安については十分担保できるというふうに考えておるのであります。
  10. 久保三郎

    久保委員 この自動車整備事業の大規模のものは別として、先ほど申し上げたように、中小企業の部類にそういうものが非常に多いようにわれわれは思うわけです。先ほどおあげになった全体の数字の中で、優良事業者というか、そういう認定をしたものは、大体九百ある、こういうことでございますから、私の指摘するようなものは、非常に多いのではなかろうかと思います。そうなりますと、自動車産業は、どんどん発展していく、あるいは技術的にも高度化していく。ところが整備事業がこれに追いつかないという実態はどこにあるかというと、早い話が、やはり昔ながらの勘にたよって整備をしていくというようなものもある。あるいはオーバーホール一つ例にとりましても、最近では、精密な機械がなければ技術的にうまくないものも出てくるだろう。そういうものを、単に技術というか、勘というか、そういうものにたよっていたのでは、最近における自動車そのもの整備には追いつかないと思うのであります。これに対して、中小企業のいわゆる近代化というか、そういうものを推進する必要はないのかどうか。これは、もちろん所管は通産省にもまたがると思うのでありますが、所管自動車局としては、どういうふうに考えておられるのか。いわゆる整備事業振興策について、いかなる考えを持っておられるのか。いかがでしょうか。
  11. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 自動車整備事業は、かなり小規模のものがたくさんあることは事実であります。これらが、それぞれ各自の努力によりまして、整備内容技術向上近代化という方面努力して、だんだんよくなることを期待しておるわけでございますが、運輸省といたしましても、たとえば、先ほど申し上げましたような認証制度、さらに優良整備事業者認定制度、こういうものを一つ刺激剤に考えまして、やはり整備事業をやるからには、認証を受ける、あるいはさらに優良工場としての認定を受けるということが、勢い自分事業の繁栄をもたらすゆえんでもございますので、そういう意味におきまして、自主的な努力を促進する意味刺激剤として設けておるのでございますが、さらに行政指導によりまして、整備事業者団体等を通じまして、近代化あるいは整備能力向上等について、陸運局を通じまして、適宜適切な指導を今日まで、いたして参っておるのが、実情でございます。  なお、今後とも、これらの点につきましては十分な指導をいたしたいと考えておりますし、なおこれらの整備工場の質が非常に向上いたした結果であろうとわれわれは思うのでございますが、自動車事故の件数が、一般的には非常に多いのにかかわらず、整備の欠陥による事故というものは、逆に年々減ってきておる、こういう事実から見ましても、一方におきます整備能力が相当充実して参っておる一つの現われではないか、かように考えて喜ばしく存ずるのでございますが、さらに、われわれとしては、今後一そう行政指導を強化いたしまして、中小整備工場近代化なり、あるいは技術向上等には、努力を続けていきたい、かように考えております。
  12. 久保三郎

    久保委員 運輸省としては、ただいま局長がおっしゃるような刺激剤というか、そういうことだけだろうと思うのでありますが、私が申し上げたいのは、中小企業そのものも、最近これを近代化していくということには、非常に苦労があるわけであります。しかしながら、ユーザーの側からいっても、優良設備を持っていて、しかも単価も安くできるということにならぬと、自動車は安くなったが修繕費が高いということは、必然的に出てくると思うのです。最近、そういう面が出てきておると思うのです。そういう点をやはり是正するための中小企業者に対する対策を、ぜひ考えてもらわなければいかぬ、こういうことでございます。まあいずれにしても、自動車整備事業そのものは、もう少し振興策をとらぬと、行き詰まりというか、ちぐはぐな形ができやしないか、こういうふうに思うわけです。さらに、この法律改正によりまして、指定自動車整備事業者制度ができますれば、これに集中をする傾向が当然出てきやしないか。いわゆる整備検査が同時にできるという魅力、さらに認定される事業者は、それぞれ優秀な設備を持っているということからして、当然これに追いつけないその他の整備事業者というものが、取り残される格好が出てきやしないか。なるほど運輸省としては、立場上からいって、あるいは整備検査というか、そういう面からのみものを考えていくことでありましょうが、整備事業全体の振興という立場からもものを判断しなければならぬと思うのでありますが、そういう傾向になることをわれわれは非常に心配しておる。これについては、どういう配慮をなさるかということを聞きたいのでございます。
  13. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 車両検査のために、一部民間のこういった工場活用しようということが、本法のねらいでございますので、主眼をその点に置いております結果、優秀な設備を持っておる整備工場をこの対象に選ぶのは当然でもありますし、またやむを得ないことでございますが、そのために、この対象に選ばれ得ない中小規模なりあるいは設備比較的程度の低い備整工場に対しまして、今回のこの制度実施する結果、それらがかえって不遇な目にあわないであろうかという点でございますが、今回のこの一部民間工場活用は、今後車両検査に必要な事柄をすべてこれらの指定整備工場にやらすというのではございませんので、車の保有者は、この指定整備工場に行って分解整備を受ければ、そこで保安基準に適合するかどうかの適合証をもらいますので、車を陸運事務所検査場まで持っていかなくても済むという便宜はあるわけでありますが、指定を受けない整備工場に行きまして、あるいはそこで整備をいたしまして、そしてその結果、車を持って陸運事務所車検場に行って、そこで最終的な検査を受けるという両方の道が開かれるわけでございますので、まあ土地によって実情は若干違うとも思いますし、それから指定を受けます工場の数が、そう最初からたくさんになるとも考えておりませんので、やはり多くのものは、この指定を受けない一般整備工場整備をいたしまして、そして陸運事務所車両検査場に車を持ってくるということの方が、依然として多いことは事実でございますので、その面では、この指定制度実施されるために、そのほかの整備工場が非常に不利な立場に立つ、あるいはそのために、今後これらの整備工場の運営その他が危殆に瀕するというようなところまではいかないものである、かように考えて、今回の活用という制度に踏み切ったのでございます。
  14. 久保三郎

    久保委員 局長おっしゃるようなことに進めばいいがと私は心配しているわけなんで、大体整備工場などは、一つの団地というか、集団的な場所が多いのであります。その中で、ずば抜けて指定になるというようなものがございますれば、その近くのそれ以下の企業者は、やはり相当な打撃を受けるのは当然じゃなかろうかと私は思うのであります。今までのように整備だけということなら、これはあまり魅力はないというか、まあ魅力もあるかもしれませんが、これは程度が低い、こう思うのです、同様に整備でありますから。ところが、検査がこれにつくとなると、そういう集中的な傾向が生まれる。これに対しての対応策はどうなのか。あなたの御説によれば、そういう傾向はございません、こうおっしゃいますが、それはどうなのか、こういうことなんです。いかがですか。
  15. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 まだこの制度実施されておりません今日までの実情を参考に見てみますと、車検に参ります車が、一体どの程度事前整備工場にいって分解整備をやるかというふうなことを調べてみますと、やはり新車等が非常に多いために、分解整備等必要性の少ない車が多いわけでございまして、全体の車の数からいいますと、一割にも満たないというふうな実情でございますので、この傾向は、この制度ができましても、そう変わるわけではございませんから、この制度ができまして、これを活用するであろうと思われる車の両数は、大体従来通りの一割以内程度の車がこの制度活用するであろう、こういうふうに考えられます。もちろん、年を追って車がふえると同時に、この利用の率もふえるとは思いますが、その程度でございますので、その他の車につきましては、あるいは他の整備工場活用いたすでありましょうし、また、検査の要らない軽自動車等につきましても、整備そのものは必要でございますし、全体の車の約半数が軽車両でもございますので、これらは自由に一般分解整備工場整備をするというふうなのが実情でございますので、この制度実施によりまして、それほど他の工場に大きな影響があるということは考えられないように思うのでございます。
  16. 久保三郎

    久保委員 私よくその整備工場のこまかい点はわかりませんので、しろうととしてお伺いするのでありますが、たとえばわれわれにしても、その自分の持っている車が、はたして分解整備をする必要があるかどうかは別として、検査時期に参りますれば、そういう工場へ入れます。こういう単純なことがしょっちゅうございます。これはしろうとでわかりませんから、悪いところがあったら、検査が通るように直してくれというのは、常識ですね。そうなった場合、検査まで付随した工場へ持っていくのが、当然だと思う。ところが、実際はそういう高級な工場でなくてもいいはずなんです。たとえばブレーキのききが少し悪いという程度なら、ブレーキだけを調節すればいい。しかし、しろうとの悲しさで、それはわかりませんから、そういうものまで持っていく。あなたの御説明だと、そういうものは一般準備工場で事足りるから、こうおっしゃいますが、私が心配するのは、そういうものまで検査が付随すれば当然こういう工場集中しはしないか、こういうことなんです。集中するしないは別として、いずれにしても、その他の工場打撃を受けることがあったのでは、整備事業界全体として困りはしないか、あるいは中小企業全体としての問題になりはしないか、こう思うのです。大体優良事業者としての認定を受ければ、だんだん需要も多くなりますから、事業者としては強大になっていく。ここに整備事業集中の問題が出てきはしないか。ところが、今までの整備事業実態は、中小企業分野であるとわれわれは考えております。大半が。その分野がいわゆる資本によって侵されていくという心配も、今日また出てくる。これに拍車をかけはしないか、こういうことなんです。そういうことについてまでは、あまり御心配になりませんか。
  17. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 今回の指定制度実施によりまして、先生の御心配になりますような点は、私は、そうそこまではいかないんじゃないか、かように考えております。と申しますのは、現状でも御承知のように、非常に車がふえて参っております。それとの関連におきまして、整備事業というものが発展して参っております。ことに分解整備をいたしますのは、もともと分解整備事業者としての認証を受けた者でなければできないという、当初において一定のワクがあるわけでございますので、この認証を受けます前提として、いろいろな諸条件があるわけでありまして、その諸条件に合格してこそ初めて認証を受けられ、この認証を受けて有効な分解整備ができるということになっておりますので、当初から全然自由放任で分解整備事業というものが行なわれるのでございませんので——現状がそうでございませんので、私は、特に今回の制度のために、中小企業におきます集中傾向というふうなものが、強く現われてくるというふうには考えられないのでございます。
  18. 久保三郎

    久保委員 それは御説として承っておきましょう。そういう事態が出ないことを希望しております。  そこで、この制度整備検査をやらせる、こういうことになりまして、非常な変革だと思うのであります。民間工場では、整備のほかに付随して検査をやる、こういうことなんです。こういう制度は、航空機に一つあると思うのであります。航空機は、耐空検査その他は、運輸大臣認定した工場で耐空検査認定をする、こういうことになっているわけでありますが、航空機と自動車の場合は少しく違うのではなかろうかと思う。むしろ航空機においても、整備検査はやはり分離するのが建前だと思うのでありますが、数量にいたしましても、あるいは能力施設、こういうところからいっても、役所としてまあ民間にやらせる以外にないということから、耐空検査などはそういう形ができたと思うのであります、制度としては。しかし、自動車の場合は、やはり整備検査は分離さるべきではないだろうか、こういうふうに思うわけです。というのは、今日までの車両検査制度は、先ほどお話があったように、確立しているわけであります。ただ、御説明の中では、能力が自動車の増加に追いつかないから、やむを得ずやるのだというふうにとれますが、これはどこまでも、早く言えばわき道でありまして、本流ではないということだと思う。しかも、この整備検査を抱き合わせることによって、弊害をかもし出す心配もあるわけなんでありますから、こういう点について、いかように考えますか。確認をいたしますが、検査の権限というのは、国自体も行政事務としてあるのだ、こういうことを確立した上においてこの検査をやらせるのかどうか。いかがでしょう。
  19. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 自動車検査は、自動車保安度を担保するという意味におきまして、従来とも、国の権力がこれを握ってやっておるわけでございまして、今回の制度によりまして、この検査権限そのもの民間のこういった工場にゆだねるという趣旨ではございません。あくまでも検査権限というものは官が持つわけでありまして、その前提であります事実上の整備、またその整備の結果によりまして、一つ一つ保安基準に合っておるかどうかということを見るかという事実行為のみを、民間整備工場活用して行なうという趣旨でございまして、最終的な検査の責任は、あくまでも従来通り運輸大臣がこれを持っておるわけでございます。  ただ、お話しのように、自動車について、車の整備というものと検査というものは、あくまでも別の機関でやるべきではないかというお話でございますが、整備は事実上行為であり、検査はそれのチェックでございますので、これが別の機関であることが、私は望ましいと思います。しかし、絶対に別の機関でなければならないということも言えないのではないか。この制度を作るにつきまして、実はよその国でもこういうふうなやり方をやっている国があるであろうかということを調べてもみたのでありますが、やはりこういった検査を一部民間工場活用しておるところが、イギリスでもございますし、それからアメリカでもございますし、西ドイツでも一部やっております。そういうふうな同じようなやり方をやっておりますので、要は、自動車保安度がこういうふうな制度によって落ちてはいけませんので、これが落ちないということをいろいろな面から考えまして、一方においては、ふえてくる車の検査に対する仕事合理化をはかろうという要請から、一部民間工場を今日のように活用いたしたいというのが、このねらいでございまして、あくまでも車両に対します検査の権限、検査の責任というものを民間工場にゆだねるという趣旨では、毛頭ございません。
  20. 久保三郎

    久保委員 検査の権限は、やはり運輸省の権限として留保しておくのだ、こういうことであります。それは、精神的にはそういうことになると思うのでありますが、実際問題としては、先般の御説明にもあったように、大体この指定事業者が、検査結果を陸運事務所でありますか、その窓口に出せば、その検査結果を見て検査証を与える、こういうことになると思うのでありまして、これは役所において不審だと思えば、もちろん立入り検査なり、その車両について再びやるということになると思うのですが、どうなんですか。私が心配なのは、そう数はないかと思うのでありますが、たとえば事業者の中でも、故意ではないにしても、過失によって検査の点が甘くなっておる。そういうものも、書類の上だけでの検査官の認証でありますから、これを看破することは不可能な場合がありはしないか。そういう場合をどういうふうにチェックするか。どういうふうにお考えですか。
  21. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 事実上の検査前提のいろいろな仕事をこういった工場にやらすわけでございますので、御指摘のように、あるいはいろいろ問題を将来起こす場合も想像しなければいけないと思います。従って、そういうことが起こらないように、いろいろな拘束を与えなければならないという観点から考えまして、まず、この指定を受けてこの仕事をやります工場につきましては、少なくとも月に二回なり三回なり、係官がこの工場に立ち入り検査をする予定でおります。なお、そこでやります整備あるいは適合証の発行事務につきましては、帳簿の整理等も規則できちんとさせて、常にその実績がわかるようにいたすことにしております。  それから不正あるいは過失によりまして、適合証の発行等が不当に、不適切に行なわれる場合には、直ちに適合証の発行を停止する。あるいは適合証を発行しますためには、省令できめられた一定の資格基準を持っております責任検査員というものをその工場に置いて、その人が出すわけでございますので、その検査員の解任を指示することもできます。なお、たとえば不正あるいは贈収賄といったような行為によりまして、不正に適合証の発行を受けようという場合には、この指定整備工場の管理者は、公務員と同じような贈収賄の条文の規定の適用も受けるように考えております。なお、指定の取り消しはむろんでございますが、そういう面におきまして、事後の監督を十分にできるような措置法律上講じまして、御指摘のようなあやまちなりあるいは積極的な不正によって、車の保安度が下がるということがないように、万全の努力をいたすつもりでおります。
  22. 久保三郎

    久保委員 次にお尋ねしたいのは、現在の車両増加の傾向、それに伴って検査の業務も多くなっていると思うのでありますが、どういう数字でふえていくのか。その見通しはどうなんですか。それから今日、これは車両検査の両数でけっこうですが、いかがですか。
  23. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 車両検査対象になります車の増加の傾向を申し上げますと、昭和三十年、ちょうど七年前になりますが、昭和三十年には九十七万両ございましたものが、昨年、三十六年には約二百三十万、つまり二十三倍くらいにふえております。なお、本年の推定は、これがさらに二百六十万をこえるものと進定されるわけでございます。このように、三十年来今日まで、三倍以上に車がふえてきておる。この傾向は、今後ともふえると思います。所得倍増計画に関連いたしまして、全体の車両の伸びを試算いたしたのでございますが、現在車が全体で四百三十万両ございますが、昭和四十五年には九百八十万くらい、大体倍にふえるというふうな推定が行なわれますので、従いまして、検査対象の車も、今後同じような傾向でふえて参る、かように考えられるのであります。  一方、検査の関係の要員を申し上げますと、昭和三十年に検査関係の要員が、全国で六百三十二人ございましたものが、昭和三十六年では、八百二十二人という、約三割ちょっとの増加にしかなっておりません。今申しましたように、車は三倍近くふえておりますのに、検査要員は三割くらいしかふえていないという、非常なアンバランスができておるのであります。  このように、車の増加傾向に対しまして、要員の増加の仕方が非常に少ない。われわれの努力の足らない点も十分反省いたしまして、今後ともこの方面には努力をするつもりでございますが、何しろ業務量の増加ということが、常に人員の増加ということに結びつくわけでございますが、政府の方針といたしまして、仕事の簡素化あるいは合理化ということによって人員の増加を押えていこうという方針もございますので、以上申し述べましたように、車の増加の傾向と人員の増加の傾向が非常にバランスを欠いてきておるというのが、現状でございます。
  24. 久保三郎

    久保委員 お話のように、検査両数はどんどんふえていく、検査要員はその割に、といっては何ですが、非常に少ない形でいく。私が聞いておる範囲では、これは事実であるかどうか、ちょっと確めたいのでありますが、品川の車検場では、大体三分間に一両の割合での検査両数になるそうであります。三分間に一両というのは、まさに神わざ的だと思うのですが、そういうことに相なりますか。
  25. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 品川の車検場におきます実情は、ただいま先生のお話になりましたのにほぼ近い実情にございます。
  26. 久保三郎

    久保委員 それで、先ほどのお話のように、今度の法改正でこれを緩和しようということであろうと思うのですが、何というか、そのつつましやかな気持はよくわかるのですが、大体において、たとえば予算面等で人員がふえないということだと思うのです。ついては、車検要員と車検の手数料といいますか、要員の人件費といいますか、そういうものと車検の収入との関係は、どの程度になっていますか。
  27. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 車両検査手数料は、御承知のように、一般会計で処理されておりますので、直接には結びつかないのでございますが、私たち今回の一部民間に委託しようという研究をいたします段階におきましては、御指摘のような点をいろいろ研究して参ったのでございますが、車両検査をいたします場合の人員、それから検査施設、この二つに予算が要るわけでありますが、現在の手数料収入と現在の車両検査関係の要員の人件費、それから検査施設の施設費、これを合わしますと、大体とんとんというふうになっております。
  28. 久保三郎

    久保委員 なるほど、とんとんでございますか。しかしながら、われわれの見る目では、とんとんじゃなくて、収入の方が多いのじゃなかろうかと思う。しかも、施設は一月や一年でなくなるものではないのでありますから、たしかその計算は、減価償却の方法はとらぬで、その設備をした年の予算計算になっているのではなかろうかと思う。そうなれば、局長がおっしゃるようにあるいはとんとんかもわかりません。これは少しくものの計算が違うと思うのです。いかがですか。
  29. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 御指摘の通りでございまして、償却その他は、こういう制度のもとでは考えておりませんので、もちろん償却等をのきましての計算でございまして、先ほどとんとんだと申し上げましたが、若干やはり赤字になっております。そこで、今回の制度をやります場合にもう一つ根本になりますのは、今回の制度は、一部民間工場活用することによる合理化でございますが、さらに根本的には、検査制度というものをどうすべきであるか、申しましたように一般会計のもとにおきましては、手数料がそのまま検査業務にも回っておる状況でございますので、特別会計制度に移しまして、これを独立採算の形でやった方がよくはないか。さらに、要すれば検査手数料の値上げ等によりまして、設備、人員の拡充がそうなればできるわけであります。またさらに一般、特別会計でなくして、国に準ずるような特殊な法人を作りまして、そうしてもっと完全な独立採算の経理のもとにおいて、しかもファンドの保証のできる機構のもとで、この検査業務をやらしたらどうであろうかというような、いろいろな研究課題として現在検討いたしておるのでございますが、現在の道路運送車両法の根本改正を考えておりますので、車両法の根本改正のときに、今申し上げましたような根本的な問題の結論を出していくということで、とりあえず民間の優秀な整備工場の能力を活用しようという考えで、今回の法改正を考えたわけでございます。あくまでもこれは、そういった基本的な前提になりますいろいろな問題の解決の一環といたしまして考えておるようなわけでございます。  なお、このままの制度におきましても、検査手数料というものにつきまして、やはりある程度の値上げをして、もう少し合理化もはかりたい、かようにも考えておるのであります。
  30. 久保三郎

    久保委員 そこで、検査手数料の問題でありますが、指定自動車整備事業者にかかるものは、総体として検査の実務と検査事務、二つになるわけです。検査実務と検査事務と一緒にしたものが、今日やっている陸運事務所車両検査の手数料だと思うのですが、今度は、分離される場合は値上げになるのかどうか、料金はどういうふうになりますか。
  31. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 実は現在でも、陸運事務所で事実上の検査をいたしませんで、車を持ってこなくても検査期間の延伸を認めておる場合があるのであります。そういう場合には、検査手数料を半額にいたしております。今回の制度によりまして、陸運事務所がみずから検査業務を行なわないで、いわば書面審理で有効期間の延伸をやるという場合には、それに準ずるやり方でございますので、民間整備工場活用いたしまして、保安基準適合証を持ってきて、そして検査期間の延伸を認めたものにつきましては、   〔委員長退席、高橋(清)委員長代理着席〕一般の手数料の例外として、手数料の額を少なくするということを今後は考えていきたいと思っております。
  32. 久保三郎

    久保委員 この法律が通れば、そういうものは政令か何かできめるのでしょうが、そういうことで決定がなされるのですね。——それで、今度こういう制度ができまして、車両検査はどの程度こういう事業者に転嫁するのか。先ほど一割とおっしゃったが、いかがですか。
  33. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 将来の見通しにつきましては、現在この程度の考え方を持っております。優良整備工場が、先ほど申し上げましたように全国で約九百ほどございますので、この法律が通りまして、準備期間がありまして、三十八年度くらいから全面的にこの制度が運用されるわけでございますが、三十八年度におきましては、こういった指定工場の数を大体六、七百、かように踏んでおります。従いまして、この六、七百の指定工場整備検査に参る件数は、大体七万件ぐらいだというふうに予想いたしております。七万件といいますと、全体の三%ぐらいになるわけでありますが、さらに三十九年になりますと、指定をこの倍くらいにふやしまして、件数も二十万件ぐらいにいたしたい、かように考えております。このように逐次指定工場の数もふやして、この工場を利用する車の数もふえるように考えておりますが、しかし、これよりも、年年ふえます自動車全体の増加傾向の方が強いわけでございまして、この制度を相当程度活用いたしましても、車の増加の趨勢よりはるかに下回るというふうに想定いたしております。
  34. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、やはりさっきの問題に入りますが、本質的には、あなたの方の御所管でじかにやる検査要員なり、検査施設の拡充強化ということがなされなければ、今日の需要には応じ切れない、こう思うのでありますが、あなたは自分の力も足りないからと反省をされたのでありますが、足りないからといって、自動車はどんどんふえます。しかも、優良指定業者はそうふえない。七万台から二十万台にしても大したことはないということになりますれば、とうてい追いつくものではないと思うのであります。これはむしろ責任ある立場にお尋ねしなければなりませんが、あなたとしては、これは要員を増加させない一つの布石としてこの制度を設けるというふうに、強要されたか、自発的にやったかしりませんが、そういう考えで政府自体はやっているんじゃなかろうかと思うのでありますが、これは本質を誤るものだと私は思うのでありまして、基本的には、その要員と施設を増強するということが並行してなされなければ、今日の需要には応じ切れない、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
  35. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 私は、今回のこの制度が全面的に実施されましても、今後陸運局におきます検査要員は、現状よりふえなくてもいいという前提に立ってこの制度を考えておるのではございません。もしこういう制度を少しでもやらなければ、さらにさらに検査要員の必要の度合いが強くなって参ります。そうしますと、在来の実情から考えましても、必要一ぱいの人員増加ということはとうてい考えられませんので、そこで、今後とも増員の必要はございますから、これにつきましては、十分いろいろ御相談いたしまして増加に努力いたすわけでございますが、それにいたしましても、なお仕事量の方がこれを上回るということは現実でございますから、その一部を民間工場活用によってさばいていこう、こういう考え方でございます。根本的には、車両検査制度そのものをどういう形でやることがいいかということは、研究問題として結論を出したいと思っておりますが、あくまでも今回の措置は、人員の増加要求は今後とも努力いたしますけれども、なおそれにもまして検査の必要の車がふえてくるという、このアンバランスの開きをできるだけ縮めていきたいというのがねらいでございまして、この制度実施されれば、人員はこれ以上必要でないということでは毛頭ないのでございます。
  36. 久保三郎

    久保委員 大体あなたのお考えはそうだろうと思うのでございますが、こういう制度を作ることによって、今の検査陣営の拡充強化はできにくくなる一つ理由になりはしないかと思うのですが、それはどうなんですか。この法律案を提案する動機は、あなたのおっしゃる通りの純粋な意味でなくて、むしろ人員の増加とか施設の増強を押えるための一つの方便として、やむを得ず出してきたのじゃなかろうかという見方もあるわけです。これについてはどうなんですか。
  37. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 この点につきましては、今回の実施によりまして検査対象になります車の数が大体見当がついておりますので、その見当のついておる数字と、今後車が増加してくる趨勢も一応見当がついておりますので、この二つの数字を対比してみます場合に、どなたが考えられましても、これでもう人をふやす必要はないのだということは言い得ないと思っております。予算折衝その他につきましても、この制度に基づく的確な数字をもって今後とも折衝いたしたい、かように考えております。
  38. 久保三郎

    久保委員 そこで、この将来でありますが、先ほどのお話しによりますれば、かような指定工場はやはりふえていくだろうし、ふやす、こういうことであります。それはそれで今の御方針を貫き通すという一つの面があるならば、これも了解できるわけでありますが、ただ心配なのは、検査だけを分離する。今のこの制度の書面審査も実はやらぬ、耐空検査のように、検査官いわゆる監督官といいますか、そういうものが人員に応じて回って歩くだけであって、指定事業者が全部検査証まで発行する、こういうことに切りかえられやしないか。あるいは検査の実務と事務、あわせて整備とは別に、そういうものができやしないかという一つの見方もあるわけなんです。これについてはどういうふうに見通しておられるか。そういう事態を予想されているかどうか。先ほど全般的な車検のあり方についてお話しがありましたが、車両法の改正も企図されておられるようでありますが、その際には、そういうものも考えられる、あるいは今日までの討議の中で、そういうところまで言及された議論が出ておるのかどうか。これはいかがですか。
  39. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 今回の優秀な民間整備工場活用します制度のもとにおきましては、検査の権限まで指定を受けました個々の工場にゆだねるということは、絶対いたさないつもりでおります。検査の権限そのものは、政府が統一してこれを持っておる。あるいは、研究課題ではございますけれども、かりに他の機関にこういった権限をやらすといたしましても、その機関は、単一の大きな一つの信用の置ける機関でないといけないのではないか、かように考えておりますので、この制度のもとにおいては、検査権限をこれに移譲するということは考えておりません。
  40. 久保三郎

    久保委員 局長の御意見はわかりましたが、いずれ権威ある、と言っては語弊があるが、運輸大臣からもその点は確かめなければならぬと思います。  次にお尋ねしたいのは、これも確認ということになりますが、先ほど御説明の冒頭にありましたように、この制度は、今の車検制度の補完的なものであって、先ほどのお話のように補完的なものであるという御方針を貫き通すお考えであるかどうか。いかがでしょう。
  41. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 その通りに考えております。
  42. 久保三郎

    久保委員 次に、損害賠償の方へ移りたいと思うのであります。責任保険の今日の財政状況は赤字だそうでありますが、この制度改正によって未加入者を全部とらえられるとしまして、保険財政の将来はどういう見通しになっておりますか。
  43. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 自動車損害賠償責任保険の現状を申し上げますと、この制度実施されましたのが昭和三十一年からでございますが、昨年の三月現在で締め切った数字によりますと、赤字の累積が約三億六千万ございます。現在保険の加入率は約八〇%でございまして、二〇%が未加入でございます。従いまして、今回の標章制度実施いたしまして、この加入率の八〇%を一〇〇%に近づけたい。われわれとしてはぜひ一〇〇%に持っていくつもりでおりますが、二〇%の穴が埋まりますと、この保険事業の収支は、大体償えていけるのではないか、かように考えております。
  44. 久保三郎

    久保委員 ただいまの御説明では、現在三億何千万かの赤字があるそうでありますが、これは元請の保険会社でその程度あるのか、それとも再保険の段階であるのか、どっちなんですか。
  45. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 先ほど申し上げましたのは訂正いたしたいと思いますが、三億六千万と申しますのは、三十六年の一年間の赤字でございまして、現在までの赤字の累積は、約二十四億になっております。これは再保険で二十四億の累積の赤字になっております。
  46. 久保三郎

    久保委員 その赤字の累積は、どういう形で処理されているのですか。しろうとらしい質問ですが……。
  47. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 繰り越しの欠損額として毎年計上して参っております。
  48. 久保三郎

    久保委員 ただいまのお話では、あと二割ほど未保険があるのだから、これを入れれば大体黒字になる、こういうお見通しのようでありますが、将来とも、道路交通の面から参りますれば、事故は多くなるという傾向だと思うのです。少なくなる傾向はないと思うのでありますが、そういうものも計算に入れての今のようなお話でございますか、いかがですか。
  49. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 ただいま申し上げましたのは、現在までの実情から推してそういうふうに考えておるのでございまして、将来の事故の増加の趨勢、そういう点を考えますと——同時に、われわれといたしましては、現在の保険金額、支払い限度額の向上ということも考えなければいけないと思っております。それに関連いたしまして、保険料そのものを改正いたさなければいけない、かように考えておりますので、できるだけ早い機会にこの方面の検討をするつもりでございますから、そのときに、将来にわたっての収支、事故の趨勢等をも考慮いたしまして、限度額の引き上げ、保険料の料率の制定、そういうものの中に含めて考えていきたい、かように考えております。
  50. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、近い将来、この制度自体に根本的な改正を考えておられるということでありましょうか。
  51. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 根本的といえますかどうか、要するに、現在の支払いの限度額は、死亡の場合が五十万円でございます。重傷が十万円、軽傷が三万円ということになっております。これは三十五年に改正されたわけでございますが、すでにただいまでは実情に合っていないというのでございますので、この限度額の改正ということを主眼にいたしまして、関連する料率等も考えたい、そういうのでございまして、この保険制度の根本的な改正とまではいかないと思っております。
  52. 久保三郎

    久保委員 最近の傾向は、いわゆる事故が増加するというか、そういう格好からいろいろなケースが出てきておると思うのです。もちろん、今御指摘のように、死亡の限度の五十万というのは、最近ではあまりにも低過ぎます。当然これには手を入れなければいかぬと思う。  さらにもう一つは、後遺症が出てくる場合がある。いわゆる傷害事故ですね。そういう場合に、一生その者が重荷をしょっていかなければならぬような事態が、最近多くなってきておる。これもこの保険でカバーしていくかどうかという問題も、これはあろうかと思う。こういう点については、何らかの考えを今日持っているのかどうか。今おあげになりました現在の保険制度では、死亡、重傷、軽傷で、これはみんな一時金であります。これらに対するあとの保障というものは、何もありません。これは社会がこういうふうになりましては、単に一時的なこういう金だけでは実際において救い得ないというのが、今日の死傷事故じゃないかと思うのでありますが、こういう点については、どういうふうに考えておりますか。
  53. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 ただいま申し上げましたように、限度額の引き上げということを早急に検討するつもりでおりますが、その場合に、後遺症につきましては、大体死亡の場合に近いところまで限度額を引き上げることによりまして、これの保険を十分にいたしたい、かような方針で考えておるわけであります。
  54. 久保三郎

    久保委員 この保険制度で、私が言わんとするようないわゆる傷痍者ですね、あとの保障について、傷痍年金というか、あるいは傷痍一時金というか、いろいろありましょうが、そういうものの保障を、この保険制度で考えるかどうかは別にして、考える時期になったと思うのでありますが、ただいまのお話では、そういうふうなことにはならぬようでありますが、これはどうなんですか。
  55. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 この自動車損害賠償保険の制度につきましては、現在きめられておりますような範囲内で被害者の救済を考えておるのでありまして、ただいまお話しのような年金的なもの等につきましては、やはり一般的な社会保障制度によって救済の道を講ずるというのが、全体のやり方ではないか、かように考えておりますので、この損害賠償保険制度の中に年金制度というものを取り入れることは、他の一般社会保障制度等との関連におきまして、今後検討いたしたいと思っておりますが、現状では、一般社会保障制度にゆだねることがあるいは適当ではないか、かように考えております。なおよくこの点も研究はいたしたいと思います。
  56. 久保三郎

    久保委員 とにかく廃疾者に対するところの何らかの方策がなくては、万全な保険制度とは言いがたいではなかろうか、こういうように思う。これは今のお話の通り、今後検討するというのでありますから、別にそれ以上申し上げませんが、さらにもう一つは、この保険制度では、物件に対しての損害補償はないわけですね。
  57. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 現在の制度では、物件に対する補償制度はございません。人身事故に対するのみでございます。
  58. 久保三郎

    久保委員 ところが、最近における事故は多種多様になりまして、一番大事なのは人命でありますから、これを優先に取り上げた保険制度は、それでいいと思う。しかしながら、最近は、それだけでは完全ではないというふうに、われわれは考えざるを得ないのです。結局この保険制度がなければ、相手側が零細企業なり零細な人であれば、この損害賠償も民事に移して、なかなかうまく解決できない。結局事故に対して被害者は泣き寝入りということが多いのであります。こういう点を改善することが、いわゆる基本的な保険制度のあり方の検討ではないかと思うのであります。もちろん、あなたがおっしゃるように、今ある制度の、死亡に対しては五十万というのを、実態に合わぬから引き上げるということも、これは当然であります。しかしながら、もっと広範に目を注いで、交通事故対策のいわゆるアフター・ケアについての責任が持てなければ、完全な責任保険とはいいがたいのではなかろうかと私は思うのであります。いかがですか。
  59. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 わが国でこの保険制度を採用いたしましてから、まだ六、七年しかたっておりませんので、現在までの考え方は、対象を人的損害だけに限ったのでございますが、もちろん、物的損害も相当重要性が強いわけでございまして、今後この制度改正のおりには、こういった物的損害についての保険制度という面も、十分に検討に入れなければならないと考えております。たとえばアメリカとかドイツといった諸外国でも、物的損害を対象に入れております。しかも、民法上から申し上げましても、同じ民事上の責任でもございますので、物的損害に対する制度としても、今後十分検討を進めていきたい、かように考えております。
  60. 久保三郎

    久保委員 運輸大臣が参りましたから、私は、自動車局長にお尋ねした重要な二、三の点について、大臣から一つさらにお話をいただきたいと思います。  一点は、この制度改正、いわゆる自動車検査一つ制度改正は、基本的には、今日大臣が持っておられる権限を補完するものであって、これを将来、検査業務まで全部移管するような考えはないと思うのでありますが、その通りでございますか。
  61. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 私は単体検査という事柄を全部民間に移譲するという考えは持っておりません。権能はどこまでも持っておらなければなりません。しかしながら、車体整備をやるについて、責任が負えると認めた工場において整備をしてきた場合には、それを一応認めることが適当であろう、かように考えております。
  62. 久保三郎

    久保委員 次に、結局この制度は、現在のあなたの所管に基づく車両検査の人員、施設が、最近の検査画数の増加には追いつかないという実態から、補完的な仕事として編み出した、こういうふうに説明がされておるのでございます。その通りだとするならば、むしろ基本的には——この補官的な制度も必要かもわかりません。しかしながら、基本的には、車両検査の要員、さらにはその施設の増強がなされなければならぬと思うのですが、今までの予算措置その他にしても、年々微々たる増加にとどまって、とうてい車両検査両数の増加には追いつかないのが実態であります。ところが、この制度を出すことによって、運輸大臣は実力者でありますから、閣内においても相当比重は重いと思うのでありますが、こういう制度を口実にして、将来にわたって要員なり施設の予算獲得には、言いのがれをされるのではなかろうかという心配をわれわれはするのであります。そういうことは毛頭ないかどうか。  それからもう一つは、基本的に、申し上げたように、将来にわたって自動車の増加に見合った人員なり施設の増加に最大の努力を注いでもらわなければならぬと思うのでありますが、そういう御決心でこの法案を出されたかどうか。いかがですか。
  63. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 私は、車両の増加に伴って運輸省としてやるべき仕事を完全に遂行するために必要な予算は、どうしても確保しなければならぬ、かように考えております。ただ、車体検査をやる場合に、特定の工場において整備したものについては、さらに検査をしないでそれをもって認めるという考え方は、今後ふえて参ります。車両数に応じて事務をどんどんふやしていかなければならぬというよりも、その事務の簡素化とか、車両に対する国民の知識なり、また車両整備会社の整備能力というものが整って参れば、それに応じた検査制度が必要であろう、かように考えております。車両が日本に入ってきた当時と今日とは相当違うわけでもございますし、ことに多量の車両を持っている会社には、みずから整備能力を持たせ、みずからの責任において整備をさせるということが、当然の建前であると私は思いますので、そういうような方向に指導をして参りたいと考えております。
  64. 久保三郎

    久保委員 あなたのおっしゃることも一つだと思うのでございますが、時代に応じてその検査制度の中身を変えていかなければならぬと思う。またそうする分野もあります。しかし、今日の実態は、大臣おっしゃるような実態ではない。なるほど、あなたのおっしゃるようなことをやりましても、なおかつ、あなたがお持ちになっている権限をフルに動かすには不十分である、こういうふうに思うのです。そういう点について、今後あなたは、やはり責任を持って努力されるのが当然ではなかろうかと思う。要員なり施設なりの増強ということについて、この制度があったから、あるいはあなたのおっしゃる通りやればあまりふやさなくてもいいということだけでは追いつかぬと思うのですが、いかがですか。
  65. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 その点は御意見の通りでございまして、今後さらに予算をふやして参らなければ、十分責任を果たすことができない、そのために大いに努力をして参りたいと思います。
  66. 久保三郎

    久保委員 最後に、この自動車損害賠償責任保険制度のことでございますが、これはただいまもお尋ねしておるように、保険制度がまだ確立していないようでありますが、事態はどんどん進んでいく。そこで、今日あるところの死亡者の限度が五十万、これでは少し時代に合わないということも一つあります。それと同時に、人体に対する保険だけでなく、物的損害に対する保険も考えるべき時期ではないかということと、もう一つは、単にこの一時金的な十万とか三万とかの、けがをした人にやることだけでは、今日の時代に合わぬ。いわゆる後遺症とか廃疾者に対する対策、こういうものも、この保険制度の中で考えるか、あるいは広範に考えるかは別にして、これを考慮する時期にきていやしないかと思うのですが、これはいかがですか。
  67. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 ただいまの問題は、保険制度の問題でありますとともに、社会的の問題だと考えます。十分検討をいたして整備をいたしたいと存じます。
  68. 久保三郎

    久保委員 そこで、重ねてその保険制度の問題でありますが、交通関係閣僚懇談会では、各般にわたって交通問題を取り上げていらっしゃる、いろいろやっておられるようでありますが、これは交通問題の一つとして、やはり閣内においても相当論議をされて、早急にこの制度自体にメスを入れて手をつけることが必要かと思うのですが、そういう御意思はございますか。
  69. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 さように扱って参りたいと思います。
  70. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 肥田次郎君。
  71. 肥田次郎

    肥田委員 私は、ごく要点だけ二、三お伺いしておきたいと思います。  運輸大臣にお伺いしますが、先ほどの久保委員の質問に対して、こういうふうに了解したらよろしいのですか。運輸省は監督権限を民間に移譲する考え方がない、こう言われましたが、しかし、実際には指揮、監督の権限という範囲ですか、それとも現在の陸運局がやっておるそういう範囲のものは、そのまま残していく、こういうように理解をするのですか、どう理解したらいいのですか。
  72. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 車体検査につきましては、ただいま御審議をいただいております法案の次第によってやって参りたい、こう考えておるわけでございます。
  73. 肥田次郎

    肥田委員 そうすると、自動車局長にお伺いいたします。この新しい法案では、要点的にはこういうふうに理解をされることになると思うのですが、間違いかどうかお答えをいただきたい。  それは、要するにこの事業者検査をするという、この形態がはっきり文章の上では出ておる。そのあとで検査員と称するものがあるけれども、この検査員については、事業者が選任をすればよろしい、こういうことになるわけですね。だから、検査員というものの資格は、実は何もこれに対する特定の資格というものが必要ではなくて、事業者がこの人間を検査員にするんだ、この処置だけで済むことになるのですか。この文章で見ると、そう私には考えられるのですが……。
  74. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 指定されました整備工場におきまして、保安基準に適合するかどうかを認定いたします人のことを、ここで検査員と一応呼んでおるわけです。この検査員は、この指定工場整備基準と同様に、省令をもちまして、こういう資格のある者の中からこの指定工場検査員を選任する、そしてこれを届け出る、こういうふうにいたすつもりであります。従いまして、無制限に指定整備工場の自由判断で選任さすということにはいたしておりません。
  75. 肥田次郎

    肥田委員 もう少しお伺いしますが、この文章でということを私は考えるのですが、文章のままで、今言われたことは説明を一々聞いてわかるわけですけれども、要するに、この形態から見ると、施設が適格であれば、もう事業者が勝手に検査員の選定ができる。要するに、せんじ詰めていくと、指定を受けたところの事業所の設備がこの検査をする、こういうことになってしまうのですが、人というものは実はあまり重要ではない。設備が所定のものにかないさえすればということになるのではありませんか。
  76. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 提案いたしております車両法の一部改正の中で、九十四条の二というところに、今御質問の文言が書いてあるのでございます。これによりますと、「陸運局長は、申請により、自動車分解整備事業者であって、運輸省令で定める基準に適合する自動車検査設備を有し、かつ、確実に第九十四条の四第一項の自動車検査員を選任すると認めるものについて、」陸運局長指定自動車整備事業指定をするということになっております。そこで九十四条の四第一項と申しますのは、「指定自動車整備事業者は、事業場ごとに、自動車検査について運輸省令で定める一定の実務の経験その他の要件を備える者のうちから、自動車検査員を選任しなければならない。」となっておりますので、ここで省令で、一定の実務の経験はどういうものである、あるいはその他の要件はどういうものであるということをきめるわけでございます。この基準に合うもののうちから選任するというふうになるわけであります。
  77. 肥田次郎

    肥田委員 そうすると、この検査員と称するものの資格というものについては、省令で定めるということになりますか。それとは関係ありませんか。
  78. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 その通りでございます。
  79. 肥田次郎

    肥田委員 そうすると、これもやはり何か国家試験のようなものをするか、あるいはまた何か——ただ経験だけで検査員として指定するわけには参らないだろうと思うのですが、その点はどうなんですか。
  80. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 省令の段階できめます資格要件は、現在考えておりますのは、選任の検査員は、一定の期間以上実務経験を有する、また陸運局長の行なう検査の知識、技能についての教習を受けた者、あるいは国の行なう自動車検査業務に関して経験を有する者、こういった項目につきまして省令できめて、これに該当する者というふうにいたしたい、かように考えております。
  81. 肥田次郎

    肥田委員 省令の内容を一々ここで何するわけにいかぬと思うのですが、それはまたの機会にしまして、この中で考えられていることは、要するに事業者自身が検査員を選定するということになるわけでありますから、従って、陸運局検査員を派遣するということは将来ないわけですか。
  82. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 この検査ということと車検ということとはよく誤解が起きますので、その前提で申し上げておきますと、われわれが車両検査を受けなければいかぬ、いかぬと申しておりますが、法律的に申しますと、車両検査の有効期間が一年ときめられております車につきまして、その一年の期間が来て、さらに一年間有効期間を延ばすという措置をするわけでございます。そこで法律検査に合格ということは、今日で一年間の有効期間が切れたのを、さらに一年間延ばす期間の延伸の処分をやるということが、最終的な検査の処分でございます。その前提といたしまして、今後一年間検査の期間延伸をしてよろしいかどうかというために、今日持ってきた車が十分に整備されて、しかも保安基準に合っているかどうかということを、その前提として見るわけでございます。この前提がよろしいということになりますと、陸運局長が向こう一年間の車両検査期間の延伸を認める処分をするのでございまして、そこで指定整備工場では、その整備と、それから整備の結果、保安基準に適合しているということの認定をする仕事が、指定整備事業者仕事でございまして、この保安基準に適合しているという認定をする資格のある者を、指定整備事業者の主任検査員として、省令で資格をきめて、選任さすというふうになっておるわけでございます。従いまして、これはあくまでも、指定整備事業者がみずから省令の基準に従って選任をして、届け出て、この検査員がその仕事をやるのでございまして、陸運局は、この指定整備業者に対しまして、立ち入り検査等により監督を十分にいたす、こういう仕組みになっておるのでございます。
  83. 肥田次郎

    肥田委員 私の質問がちょっと足りなかったと思うのですが、車検という制度をこれに移譲するようなことにはならないのかということも、実は聞きたかったのであります。ですから、車検とこの新設されたこととの関係で、将来そういうような心配がないのか、そういうことをする意思はないのか、これを区別してお答えを願いたいと思います。
  84. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 車を整備いたしまして、しかも保安基準に適合しております車につきまして、向こう一年間この車は走ってよろしいという検査の有効期間の延伸処分そのものを、こういった指定整備事業者に委任するという考えは、毛頭ございません。これが運輸大臣の権限を受けまして陸運局長がやる仕事でございまして、権限に基づく行為でございます。これは今後とも、こういった指定整備業者にまかすということはいたさないのでございます。
  85. 肥田次郎

    肥田委員 そこで、実は予算のときにちょっと質問をしてそのままやめておったのでありますが、先ほど久保委員の質問の中でも、実際この陸運業務というものが非常にふえたということについては、あなたの方も否定をされておらないように思います。そこで、ことしのごくわずかの増員という問題と、実際に必要だということで、はっきり言うと、陸運局の職員の中から、これだけほしいという人員の要求等があったように思います。これは実は一割にも満たないような数字で、そのままになっておる。こういう関係について、新たにこういう業務がふえたから、当然これらの所管仕事もふえてくるし、従って、次年度において、これらについての増員対策というものについて、どういうふうにお考えになっておるか。これを参考のために一つお聞きしたいと思います。
  86. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 この制度実施いたしましても、依然として車両検査業務はふえるのでございます。ただ、この制度をしないでいくとどうかということを、私の方で一応推定いたしますと、たとえば三十七年度、今年度におきまして、当初増員要求の計画を出したわけでございますが、そのときに、この制度をやらなければ、あのときの要求にもう八十名ばかり人が要るのでございます。この制度をやるという前提でございましたので、必要な人員のうちから八十名を引きまして、残りの要求をやったわけでございます。今後とも指定整備工場を逐次ふやしていきますが、やはり絶対量がふえて参りますので、職員の増員要求は、今後とも続けていかなければならないというふうな実情になっております。
  87. 肥田次郎

    肥田委員 そういうお考えのようですからあれですが、実はこの要員という問題は、陸運局の場合は、幾ら事務能率を上げようというふうに御工夫をなさっても、これは電子計算機を買うてみてやれるわけじゃありませんし、やはり直接人間の能力というものが必要だと思います。ですから、この要員確保という問題については、これはぜひ今のお考えのように、さらに当の職員組合あたりが考えているような、要員の必要性というものを十分検討される必要があるのではないかと思います。それでなかったら、せっかくこうしていろいろな計画をされるけれども、それらが実は、法律だけ作れても、実際何もできないというような結果になると思います。運輸大臣にも、この点は、特に要望いたしておきたいのは、予算で要員が削られるということは、これは当然起こり得ることだと思いますけれども、そのために角をためて牛を殺すというような、実際に作業ができないというようなことになっては大へんだと思いますので、要員問題については、予算の中でも、次年度においても、十分確保されるように特に要望しておきたいと思います。  質問を終わります。
  88. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 關谷君。
  89. 關谷勝利

    ○關谷委員 こういう質問が出たか出ないかわかりませんが、同じ事件に対しまして、この条項によりますと、二重刑罰を課するというようなことになってくるのです。今の車両法についてみますと、車検を受けなければ運行の用に供してはならない、これは第五十八条にあるのですが、そして「検査証を備え付けなければ、運行の用に供してはならない。」これが第六十六条。改正法によりますと、この同一の性格の標章を表示しなければ運行の用に供してはならない、これは改正法の第六十六条。こういうことになっておりますが、これは検査証の一部と見られる標章のために、重ねて、運行の用に供してはならない、そうして刑罰規定をまた課するということになると、二重刑罰を課するようなことになるのですが、これらの点をはっきりしておきませんと、将来いろいろな問題で非常に複雑になってきますが、そこらの点どうですか。これは、保障法によっても同じようなものが出てくるわけであります。第五条、それから第八条というふうなものがあって、改正案によると、改正法第九条の三というようなことで、保険証明書の一部を見られる保険標章のために、重ねて運行の用に供してはならないということになっておるのでありますが、そうすると、同じ事件に対しまして、二重の刑罰ということになってきます。これは大ていよく検討せられておると思うのでありまするが、こういうことになります。現行車両法の関係は、かりに六十六条でありますというと、罰金三万円、そうすると、この標章を表示しなければ運行の用に供してはならない、これについても罰金三万円ということになって、六万円になるのか。それとも一回だけが三万円で済むのか。これはどんなことになりますか。保障法でも、両方とも同じことになってきます。
  90. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 御指摘の点、問題の点でございますが、今回の改正ですと、標章を張るということを義務づけておる、その義務の違反に対する処罰でございますし、それから、たとえば現行車両法の六十六条は、自動車検査証を備え付けなきゃいかぬという義務でございまして、この義務違反、一応これは別個の法律によって課せられた義務である、かようになりますので、両方に違反した場合には、両方の処罰がそれぞれ併科されるというふうになると思います。
  91. 關谷勝利

    ○關谷委員 そうしますと、これは一方はそれを備え付けなきゃならぬ。その備え付ける結果、出てきますのが標章の制度なんですけれども、その一つのある部分だというふうな解釈も成り立つと思うのですが、そのある部分とそのもとになりますものと両方併科されるということは、これはどうもおかしいような気がしますが、その点、法制局あたりとよく打ち合わせばできておりますか。
  92. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 この点は、確かにそういう問題がございまして、法制局と十分検討打ち合わせをいたしまして、今私が申し上げましたような改正になったわけでございます。
  93. 關谷勝利

    ○關谷委員 この前にこの標章の制度をやるというので、一応大蔵省、運輸省等が相談をしてやりかけたことがありましたが、それが成立せずに終わったわけでありまするが、その際に、議員立法でもやろうかと言うた際に——その際私も多少そういうことに関連をしておりましたのでわかっておるのでありますが、その際、保険会社として言うのは、このステッカーを渡すというこのことが行政権の一つである、その行政権行使の責任を営利会社の立場で引き受けることは、これは重大なあやまちを起こすおそれがあるから、これをやりたくないのだというふうな意見であったのでありますが、今度の場合には、それは保険会社の方は言うて出ておりませんか。これは前言うておったことと今のことがちょっと違うのですがね。
  94. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 今回のこの法律改正に関しましては、今お話のような意見は、私聞いておりません。
  95. 關谷勝利

    ○關谷委員 そういたしますと、保険会社というのは勝手なもので、自分がやりたくないときはそういうふうなことを言う。それから自分たちがやりたいときには、またそれは差しつかえないのだというふうなことで黙っておるということのようでありますが、そういうふうな、保険会社の立場からというふうなことの意見がいつも役所を左右しておるようでありまするが、これからはそういうふうなことのないように、一つよく保険会社に言っておいていただきたいと思います。  なお、この保障法の関係でありまするが、これは最初にできましたときに、私たちも付帯条件をつけております。すみやかに組合保険といいますか、相互保険に移行しなければならないというふうな意味のことをつけておったのでありますが、すでにこの法律が施行せられて七カ年、その間に何ら政府としては手を打っておらないようでありますが、そういうふうな相互保険といいますか、組合保険といいますか、そういうふうなものに持っていこうとする努力は、一体その附帯決議の線に沿うて考えたことがあるのかないのか。もしそういうふうなことを多少でも考えたことがあるのなら、その点伺っておきたいと思うのです。
  96. 木村陸男

    木村(睦)政府委員 これは、この保険制度の根本にさかのぼる問題でございますので、この保険をさらに社会保障的な性格の強いものに持っていくかどうか、大きな問題でございますので、実は今日までまだ結論ももちろん出ておりませんので、今後各方面の意向も十分聞きまして、慎重に検討いたしたい、かように考えております。
  97. 關谷勝利

    ○關谷委員 最後に言うておきますが、国会においてはその方向に進めるべきだということで附帯決議をつけて要望しておるのでありますから、それをするのがいいか悪いかというのじゃなしに、国会の決議を尊重するというなら、その面についての研究が行なわれておらなければならぬと思う。今の局長の御答弁というものは、国会の決議があろうがなかろうが、それが適当であるかどうかを検討しておるというふうな御答弁のように聞こえるわけでありまするが、私たちはそうではないと思う。あのときには、非常に議論になって、その結果が、これはなるべく早い機会に相互保険に持っていけというふうなことになっておりました。その点、文句がそこにどういうふうに出ておるか知りませんが、その当時の私の記憶は、はっきりと間違いなくそういうふうなことになっておるのでありますから、これからは急いでその方向に進めていただきたい、これが一つの要望。  それともう一つは、あの当時にユーザー団体のみに取り扱わすというようなことになっておったので、「その他」と三十条に入っておりますのは、これは万一どこかでそういうものが、多少の余裕がなければならないような事態が起きた場合に困るのだから、「その他」だけ置いて下さい、そのかわりユーザー団体に取り扱いは全部させるのだという約束があったが、できてしまうと、それを平気で破ってしまうという実情なんでありますから、その点、今度の場合においても、ユーザー団体等を極力これに協力せしめて、ユーザー団体にさせるような方向に進めていってもらいたい、その要望をつけて私の質問を終わります。
  98. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 ほかに御質疑はございませんか。——ほかにないようでございますので、本案に対する質疑は、これにて終局いたしました。     —————————————
  99. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 これより討論に入りたいと存じますが、討論の申し出もございませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 御異議なしと認め、これより採決いたします。  道路運送車両法等の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  101. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。     —————————————
  102. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 この際、久保三郎君より発言を求められておりますので、これを許します。久保三郎君。
  103. 久保三郎

    久保委員 ただいま可決になりました、道路運送車両法等の一部を改正する法律案に対する三党共同の附帯決議の動議を提案いたします。  決議の案文を朗読いたします。  政府は、現行車両検査制度において激増する自動車数に対応する要員及び予算の確保がなされていない状況にかんがみ、検査要員の増加、検査設備の充実、検査技術向上など車検業務の能率化のため、速かに適正な予算措置を講ずべきである。  なお、指定自動車整備事業者制度は、あくまで国の行なう車両検査を補うものであることを確認し、その指定にあたっては、特に厳格な能力認定を行なうこと。 無保険者に対する対策を効果的にするため標章交付事務は運輸大臣指定する使用者団体にも取扱はしめるよう努めること。 以上であります。
  104. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 ただいまの久保三郎君の動議のごとく、道路運送車両法等の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。  この際、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。齋藤運輸大臣
  106. 斎藤昇

    齋藤国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、政府といたしまして、極力この決議の趣旨に沿うように努力いたして参りたいと思います。     —————————————
  107. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 なお、本案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。  暫時休憩いたします。    午後零時四十三分休憩      ————◇—————    午後三時四十二分開議
  109. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 再開いたします。  船舶職員法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  110. 久保三郎

    久保委員 引き続いての委員会でありますから、先ほど要求いたしました郵政省の関係局長、早急に出席されるようにあらためて要求しておきます。  それで、まず第一に、先ほど運輸大臣から提案説明がありました船舶職員法の一部を改正する法律でありますが、この法律のねらいとするところは、船舶通信士を減らそうというのが第一眼目というか、それがすべてのように考えていられますが、これはその通りでございますか。
  111. 若狭得治

    ○若狭政府委員 その通りでございます。船舶通信士につきましては、戦争中三名に増加いたしたわけでございますけれども、船団航行をいたす関係から、船団間の連絡あるいは航空機の襲撃あるいは機雷の襲撃等の関係がございましたので、そういう点の連絡のために二十四時間の当直を戦争中行なっておったわけでございます。終戦後におきましても、当時の船舶運営会が雇用をいたしておりましたので、当時の社会情勢からこれを減少することは困難であたっわけでございまして、昭和二十六年に船舶職員法改正の問題があったわけでございますけれども、その当時におきましても、当時の社会情勢から、これを減らすということはなかなか困難であったわけでございます。同時に、船舶通信士の乗り組みにつきましては、電波法がございまして、電波法において運用の義務時間をきめております。これによりますと、五千五百トン以上の船舶は二十四時間の運用時間をきめておりますので、そういう関係から、船舶職員法もそれにに対応して三名にするということにいたしまして、今日まできたわけでございます。  なお、昭和三十二年に職員法の改正がございましたけれども、この場合におきましてもやはり通信士の減員が問題になったわけでございます。国際的に見ましても、貨物船については、一名以上の乗船を義務づけているところは世界的にどこにもないわけでございますので、国際水準に従って一名にするという趣旨改正を行なうわけでございます。
  112. 久保三郎

    久保委員 船舶通信士の乗り組みが非常に多いから減らすのだということでありますが、減らすについては、多い少ないの基準はどういう基準でもって多い少ないを見られているのですか。
  113. 若狭得治

    ○若狭政府委員 まず国際水準の問題でございますけれども、これにつきましては、先ほども申し上げましたように、国際的にはこの貨物船の通信士は一名になっておるわけでございます。現実的に仕事量の問題につきましては、大体におきまして一日の通信量、事務量というものを詳細に調査いたしまして、通信量の関係から見まして一名の乗船で十分であるというふうに考えたわけでございます。
  114. 久保三郎

    久保委員 その十分だといういろいろな調査の結果を御発表いただきたいのでありますが、たとえば通信の量あるいはその他どういうふうになっておりますか。
  115. 若狭得治

    ○若狭政府委員 船舶通信の現状を申し上げますれば、公衆通信が一日に四・七通平均でございます。これは無線の義務船舶の平均でございますけれども、一日に四・七通という状況でございます。そして、一件を処理する時間といたしましては、大体五分程度というふうにわれわれは聞いております。なお、公衆通信以外に、気象の受信、それから航行安全通信の受信というような問題があるわけでございまして、そういういろいろな詳細なデータをとりまして、八時間の労働時間に十分処理し得るというふうに考えたわけでございます。
  116. 久保三郎

    久保委員 ただいまお述べになりました一通大体五分というが、われわれが調べた範囲では、そういうように簡単にはいっていないように思うのであります。特に日本の船舶とその受信あるいは発信の基礎である海岸局との関係からいって、あなたの言うような五分というのは、公衆の方では多少あるかもわかりませんが、平均してというか、そういう調べになりますとだいぶ違うと思うのでありますが、これは何によってお調べになったのでしょう。
  117. 若狭得治

    ○若狭政府委員 電電公社におきましては、無線電信局との交信の状況について詳細な調査をいたしておりますので、これによって調査いたしたわけでございます。
  118. 久保三郎

    久保委員 電電公社のその五分という計算は、受信局なり海岸の局が、受信が始まってから終わるまでの時間、こういうものでとれば、なるほど呼び出しをして、応答があって、その間では一通話あるいは五分であるかもわかりません。しかしながら、その前後というか、呼び出すまで相当時間がかかるとか、輻湊してそのあくのを待っているとか、あるいは混信でなかなか連絡がとれぬとかいうようなものが、今日の状態ではしょっしゅうあるというふうにわれわれは聞いているのであります。そうだとすると、そのとり方自体にも問題があると思うのですね。そういう問題については、どういう内容で調べたのですか。これはむしろ電電公社においでいただいた方がいいでしょう。
  119. 若狭得治

    ○若狭政府委員 今お述べになりましたような問題、たとえば通信が非常に輻湊して、待っている時間が相当多い、通話まで待たなければならない時間が多いというような問題につきましては、われわれといたしましては、郵政省に対して、海岸局の整備をお願いいたしております。従いまして、法律におきましても、三年間の暫定期間を置きまして、その間に海岸局の整備をお願いするということにいたしておるわけでございます。  なお、電波の割当の問題ですけれども、これにつきましても、郵政省において割当の電波を増加させるということを現在決定いたしておるということでございますので、そういう措置が講ぜられるならば、通信に阻害を受けるというふうには考えられないわけであります。
  120. 久保三郎

    久保委員 今局長がおっしゃるような、電波の割当をふやすとか、あるいは海岸局の機能を拡充するとかいう計画があるそうでありますから、これが前提になって、今の船舶通信士を減らす、こういうことのようにお話がなっているようですが、これはいわゆる郵政省でありますか、あるいは電電公社でありますか、その方を一つお呼びいただいて、そういう計画の裏づけがあるのかないのか、ちょっとお聞きしたいと思います。これは来るまで保留しておきます。  それから、その次にお伺いをしたいのは、業務量とおっしゃいましたが、これは電報四・七通が平均だから大体一人でいい、こういうことであります。通信というか、電報の数でおっしゃいましたが、電報の数だけが船舶通信士の職務でございましょうか。いわゆる電波を打つということと、受けるということだけですか。よくわかりませんけれども、職務内容でたとえば考えられるのは、緊急の場合にあなたがおっしゃるような執務体制に切りかえた場合、今二十四時間というが、無給で当直をされておるわけでありますが、天候が悪い場合とか、あるいは遭難があるとかいうような場合に、そういう通信の問題も非常に大事だと思うのでありますが、そういう問題については、どういうふうに対策を考えておるのか。いかがです。
  121. 若狭得治

    ○若狭政府委員 船舶通信士の職務の内容につきましては、詳細に御説明いたしますれば、まず第一に、船舶無線局の運用に関する仕事があるわけでございます。これは五百キロサイクルを聴取するということから始まりまして、遭難信号、緊急通信、安全通信の発受信、気象通信、発信及び受信、傍受信号の受信、無線方位の測定、衛生情勢の受信、入出圏通知、港務通知というような仕事があるわけでございます。また無線の設備整備する仕事があるわけでございますが、これらにつきましては、たとえば電池の充電であるとか、補助設備の機能試験であるとか、救命艇の無線電信等の機能試験、オートアラームの機能試験、水路用補助電池の充電というような非常にこまかい仕事でございますけれども、こういうような仕事があるわけでございます。これらの仕事は当然八時間の勤務時間の中に十分消化し得るものとわれわれは考えております。  なお、現実の問題といたしましては、たとえば船内の新聞を発行する。これは、船員の情操あるいは教育というような面からいたしまして、もちろん重要なことではございますけれども、現在の汽船の勤務体制が二十四時間制ということになっておりまして、しかも本質的な通信士でなければならないという仕事というのは、先ほど申しましたように非常に時間的に少ない関係からいたしまして、そういうような仕事もやっておるわけでございます。またレーダーの調整というような仕事もやっておる例が非常に多いわけでございます。しかし、こういうような問題につきましては、当然船内の作業の合理的な再配分というような問題が出てくると思いますけれども、法律といたしましては最低限度必要なものを決定するわけでございますので、無線通信士としてどうしても行なわなければならない仕事につきまして、その仕事を検討いたしました結果、一名の乗組員で十分であるというふうに考えたわけでございます。
  122. 久保三郎

    久保委員 私の手元に、船舶通信士の任務を書いたものがございませんので、後ほどまた調べてお尋ねしなければなりませんが、その中でも、この電波法の六十五条かどこかにあるようでございますが、五百キロサイクルの周波数で常時聴取しなければならぬ。常時ということは、しょっちゅうということであります。そういう義務が課されている局が今日あるわけですね。その中身は、あとで電波局が来ますからお尋ねしますが、そういうものは当然今度の改正でやらなくてもいい、こういうことになるわけですね。
  123. 若狭得治

    ○若狭政府委員 現在の電波法におきましては、五千五百トン以上の船舶につきましては常時運用するわけでございます。それから、五千五百トン以下千六百トン以上の船舶につきましては、十六時間の運用でございます。聴取すべき時間はいずれも二十四時間でございます。しかし、その聴取につきましては、千六百トン以上五千五百トン未満の船舶におきましては、オートアラームをつけてそれにかわることができるという、電波法の規定があるわけでございます。それによりまして十六時間の運用、二十四時間の聴取ということを行なっておるわけでございます。今度法律改正いたしまして、運用時間八時間ということになりましても、当然聴取は二十四時間運用でございます。それは現在電波法の規定にあります五千五百トン未満の船舶において適用されておりますオートアラームの規定をそのまま適用するわけでございまして、八時間運用のそれ以外の時間につきましても、オートアラームをもって聴取を行なうということになるわけでございます。
  124. 久保三郎

    久保委員 そのオートアラームというようなもの、これはどんなものだかわかりませんが、これは人間にかえ得られるようなものでございますか。
  125. 若狭得治

    ○若狭政府委員 オートアラームは、現在できておりますものは遭難信号、SOSの信号でございますが、その前置信号を一分間にわたって発信いたしました場合には、それを受信いたしまして、無人の場合におきましても警報が鳴るという装置でございまして、現在わが国においてできておりますものは、郵政省におきましても世界水準にまさるとも劣らないということを申しております。また、現実的に今日までわが国のオートアラームは百隻以上の輸出船に装置したわけでございますけれども、これについては今日までのところ何ら支障を来たしておらないということでございますので、十分信頼できるものとわれわれとしては考えております。
  126. 久保三郎

    久保委員 船員局長、あなたはそういう検査のデータを持っておりますか。いつ検査をしましたか。今あなたがおっしゃるように、輸出船のことでお話がありましたが、私が聞いておるのは国内船の話でありまして、国内船に取りつけたものが優秀だから、輸出船にもつけて問題ないという話だと思うのであります。そういう調査をいつどこでやって、その成績はどうだったかということを、お確かめになっておられますか。
  127. 若狭得治

    ○若狭政府委員 輸出船の例をとりましたけれども、これは国内のメーカーが生産をいたしましたオートアラームを輸出船につけておって、何ら支障がないということを申し上げたわけであります。国内船につきましては、大部分の船舶が現在二十四時間運用でございまして、オートアラームをつける必要がないわけでございますので、国内船の実験例は比較的少ないわけでございます。ただ五千五百トン未満、千六百トン以上の船舶につきましては、現在約九十隻の船舶がオートアラームをつけておるわけでございます。しかしながら、オートアラーム自体につきましては、すでに三十年前から国際人名安全条約によりましてこれを認めて、各国がこれを使用いたしておるわけでございまして、そういう実験例等につきましては、もちろん郵政省において昭和二十八年ないし九年に行ないましたけれども、そういう実験例だけではなしに、諸外国におきましてはすでに三十年前からこれを使用いたしておるというその実績によりまして、この機能については全然心配ないと考えるわけであります。   〔簡牛委員長退席、高橋(清)委員長代理着席〕
  128. 久保三郎

    久保委員 郵政省の意見というか、調査の結果は、郵政省から来てもらいましてあらためてまたお尋ねしますが、あなたのおっしゃられた限りでは、昭和二十八年から二十九年ころに調査したデータを持っている、こういうことでありますが、時代は進歩したからそれよりよくなっているのだろう、こういうお話に例を引かれたのだと思います。私の手元にある調査というか、こういうものがありますが、これは昭和三十六年の九月に調べたようでございますが、故障の事実について五十一ぱいの船について調べた。そのうちの二十一隻がこれまで故障があった、なかったのは三十ぱい、こういうデータも一つあるわけであります。それから、故障の内容としては、いわゆるリレーの接触が不良であった、あるいは発電機の故障で誤差等を起こした、こういういろいろな原因があります。こういうことについては御存じございませんか。
  129. 若狭得治

    ○若狭政府委員 私のところではそういう調査はいたしておりませんけれども、オートアラームにつきましては、そのときの空中の状態、航海の状態によりまして、機械の調整をいたさなければならないわけでございまして、その場合にどの程度の調整が行なわれた結果そういう数値が出たか、というような問題ももちろんあるわけでございます。われわれといたしましては、現在は五千五百トン未満の船舶約九十隻にオート・アラームが最近において急速につけられてきたというような事情でございますので、まだそのような調査はいたしておりません。
  130. 久保三郎

    久保委員 そういう調査をいたさぬで、それを前提にして、緊急通信というか、SOSの場合は、そういう目ざまし時計が鳴るようなものがあって鳴るから心配ない、ということにはあまりならぬのではなかろうかと思うのです。そこで、お尋ねしたいのは、なるほど提案理由にもありましたように、今回の船舶通信士の削減は、海運基盤強化ということもあって、先ほどの御説明では、国際水準を上回って乗っておるから、これを一つ減らして合理化していこう、こういうことでありますが、一面航行の安全というか、それは当該船ばかりでなくて、航海をする船の全体の安全、あるいは気象業務、これもやはり航行の安全に広くは含みましょう。そういうものについて配慮した上での結論であるかどうか、いかがでしょう。
  131. 若狭得治

    ○若狭政府委員 船舶通信士の問題につきましては、先ほど申しましたように、昭和二十年以来長い間郵政省及び運輸省において検討いたしたわけでございます。航行の安全及び気象の問題につきましては、海上保安庁及び気象庁において、通信士の減員に伴う後の措置につきましては、十分その対策を講ずるということでございます。海上保安庁におきましては、航行の安全には支障がないという結論を出しておるわけでございまして、そういう結論に従いまして、郵政省と連絡いたしまして、電波法等の改正案を提出いたしたわけであります。
  132. 久保三郎

    久保委員 郵政省はあとから来ますから聞きますが、同じ部内である気象庁長官は、参議院の本問題の審議にあたりましての御答弁では、あなたがおっしゃるように必ずしも安全だとは言っていない。むしろ、海上における気象通報というものは日本の気象を割り出すための非常に貴重な資料であるので、これが減るということに相なると大へんだ、こう率直に述べております。あなたも同席されておるので聞いておられると思うが、あなたの先ほどの答弁の通りではないと思うのです。いかがですか。
  133. 若狭得治

    ○若狭政府委員 私が同席いたしまして聞きましたところでは、気象通報としてはもちろん減少することは好ましいことではございません。ただ、気象庁といたしましては、船舶を運航する者にその責任を負わせるということも適当ではないので、気象庁としては、一名に削減された場合には、これに伴う必要な措置を講じて、最少限度の気象通報は必ず確保するという措置をとる、同時に気象事業というものは国費をもって現在行なっておるわけでございますので、そういう措置を講じまして、国において責任を持って処理すべき問題であるというふうにお答えになったと考えております。
  134. 久保三郎

    久保委員 気象庁長官の答弁は、あるいはそういうふうにも言い回しをしておるかもしれませんが、事実、気象業務はあなたの責任じゃありませんけれども、今までの体系をくずすというにはその前提がなければならぬ。しかし、その体系についてはそうでなければならぬと言っておりながら、これについては何の対策もありません。そういうことも考えなければならぬ。これは自分に直接関係がないといえばそれまででありましょうが、しかしながら、今度船自体について気象業務あるいは緊急通信、こういうものが阻害されると、これは問題は別だと思うのです。航行の安全という問題になってくる。これについては何ら心配がないというだけであって、その裏づけとなるものはあまりない。それから、もう一つは、先ほど言った海岸局との間の通信が輻湊しておるというが、その対策はどうなんですか。今度時間を切りますね、十六時間のものは八時間、四六時中やっておるものは十六時間、こういうふうにだんだん下げてくるわけです。そうなった場合当然予想されるのは、そこに通信が集中してくるという可能性、今まででさえ、先ほど申し上げたように相当な待ち時間がある、あるいは混線もある、こういうようなときにさらに集中させるような方向は、これを解決する道は何かあるのですか。
  135. 若狭得治

    ○若狭政府委員 先ほど申し述べましたように、一名になりまして通信の時間が一時に殺到するというような問題につきましては、現在三年の経過期間を設けることによりまして、電電公社において必要な海岸局の設備を行なうと同時に、郵政省におきましては必要な電波の周波数の割当を行なうという対策を考えておるわけでございます。また、海運業界といたしましては、それに呼応する態勢で、無用といいますか、比較的重要度の少ない通信はできるだけ節約するという、この三つの対策でもって処理していきたいと考えておるわけであります。
  136. 久保三郎

    久保委員 無用というのは訂正されたからいいですが、用があるから通信しているのでありまして、疎通状況が悪いのに用のない通信などはやるはずがないのでありまして、いずれにしても海岸局を拡充強化するということでありましょうが、これは電波局長が来ますから、お尋ねします。  そこで、結局あなたの御意見だというと、こういうふうな改正をして人間を減らしても、航行の安全には支障にならぬという一点に尽きますか。
  137. 若狭得治

    ○若狭政府委員 さようでございます。航行の安全につきましては、海上保安庁において十分時間をかけて検討いたした結論でございますけれども、大体におきまして日本の海難事故の九五%は五十海里以内の海域において起こっておるわけでございます。従いまして、海上保安庁が、海上保安庁の巡視艇及びその岸の信号所が無休の執務体制を行なっておるわけであります。そういう面から見まして、遭難通信の受信についてはほとんど問題はないということでございますし、また海上保安庁の受信の状況を見てみましても、九〇数%は海上保安庁においてSOSを受信しておる、そういう状況でございます。
  138. 久保三郎

    久保委員 海上保安庁から聞かなければわかりませんが、あなたがおっしゃる通りで、すべての遭難事故の九五%は全部海上保安庁が処理しているのだから、あとの航行する一般の船舶の御厄介にならなくてもいい、こういう自信を持って海上保安庁長官はおっしゃっておられるのでありますか。
  139. 若狭得治

    ○若狭政府委員 海上保安庁といたしましては、SOSの受信の能力という、この可能性という面から考えまして、この削減によってほとんど影響は受けないという結論を出しておるわけでございます。
  140. 久保三郎

    久保委員 先ほどの話と違うのですか。影響を受けないというのですが、影響を受けないというのは、海上保安庁で全きを期しておるから心配ない、そういう意味ですね。
  141. 若狭得治

    ○若狭政府委員 受信につきましてはそういう考えでございます。
  142. 久保三郎

    久保委員 では、ちょっと大事な点でありますから、海上保安庁の長官にも時間を見て間もなく来てほしい、こういうように思います。  さらに申し上げますが、郵政省はどうしましたか。
  143. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 迎えつつあります。
  144. 久保三郎

    久保委員 現在船舶通信士は需給状況がアンバランスだと聞いておるのですが、その通りですか。
  145. 若狭得治

    ○若狭政府委員 船舶通信士の需給の関係を申し上げますと、現在の法定の通信士の数は約二千八百人、そのほか見習い等も乗っておりますし、またそれに対して約二割程度の陸上における予備員があるわけであります。合計いたしまして約四千名の通信士が海運界に活躍いたしておるわけであります。その減耗補充と申しますか、自然退職者その他を含めまして、毎年大体三百名程度は減少していくわけであります。これに対する供給といたしましては、電波高校卒業生で海運界に就職する者は、昨年一昨年約六十名程度でございます。本年におきましても大体同じ程度の予想しか考えられないわけであります。それから、電気通信大学におきましては、毎年四、五名程度の卒業生が海運界に就職しておるというような状況でございますので、これはほとんど期待できないわけであります。従いまして、高校の新しい卒業生だけではなしに、現在職を離れて勇退しておる人とか、あるいは他の方面において活躍しておる人々を、船会社におきましては一生懸命探しておるわけであります。これらのものをいろいろ考えましても、おそらく百二、三十名程度の供給しか考えられないのではないかと思われるわけであります。さらにその上に、昨年の十月から本年の九月までの一年間に、新しくできて参ります船舶に乗り組ませなければならない通信士の数は、もちろん千六百トン以下の小さい船も含めまして、約三百名必要になるわけであります。もし法律改正になりますれば、これは百五十名程度でいいわけでございますけれども、もし現状のままでございますれば、約三百名の新規の需要が必要になってくるわけであります。従いまして、減耗の補充と新規需要とを合わせまして、年間約六百名程度の通信士の需要があるわけであります。これに対しまして、先ほど申し上げましたように、供給の方は百二、三十名程度しか考えられないという状況でございます。
  146. 久保三郎

    久保委員 ただいまお話があった六百名程度必要なのに、とてもそんな数は補充ができないということですが、船ばかりでなく、全体として無線通信士の毎年の需給関係はどうなっておるのですか。
  147. 若狭得治

    ○若狭政府委員 郵政省の資料によりまして調査いたしました状況を申し上げますれば、昭和三十五年におきまして、電波高校の卒業生及び電気通信大学の卒業生、合計いたしまして五百七十名程度の新規の卒業生が出ておるわけでございますけれども、これはたとえば陸上の電機メーカー等には約二百名程度が吸収されておるわけでございます。また電電公社関係に約九十名、放送関係に約百三十名というような状況でございまして、商船関係に参りましたのは百三名というような状況でございます。
  148. 久保三郎

    久保委員 その数字をごらんになりまして、どういうふうに考えられますか。いわゆる全体として需給関係がアンバランスと思うのか、それとも船自体だけがアンバランスなのか、どちらですか。
  149. 若狭得治

    ○若狭政府委員 全般的に通信士の需給は逼迫をいたしておるわけでございます。しかしながら、船舶関係につきましては、逐年海運界に参ります者が減少いたしつつあるというのが事実であります。これは、最近の陸上の産業のいんしんに伴いまして、非常に給与その他の待遇条件をよくいたしまして、無線通信士の吸収に努めているというような関係で、逐年海運界に吸収するのが減少しているということは事実でございます。
  150. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、結局海運界におけるところのアンバランスということに帰着するわけでありますが、そのアンバランスを今日ただいまではどういうふうにして消化して、規定の通り全部乗せているのか。それはどうなんです。
  151. 若狭得治

    ○若狭政府委員 現在の船舶通信士の定員は法定定員でございますので、これを減少するということは、現行法がある限り、電波法の関係もございますので、できないわけでございます。従いまして、海運会社は、いろいろな方面に手を伸ばしまして、無線通信士を獲得いたしておるというような実情でございます。
  152. 久保三郎

    久保委員 海運界だけアンバランスだというのは、これは陸上の方が最近の産業の伸展によってそちらに大半が流れていく傾向がある。海運にとっては、海運基盤強化の議論も長年続けられているように、海運産業というか、それが早くいえば今日下積みというか、先行きわからぬ産業である、こういうことからいって、自然の流れともとれるわけであります。しかし、見のがしてならないのは、こういうことがないか、意識的に海運界に来られないような条件が今日作られつつあるのではなかろうか。もう少し申し上げまするが、海運界では、法律できめられたから、最少限度どうしても定員だけ確保しなければならぬということでありましょうが、積極的に、海運界もそれから運輸省も、これをスムーズに補充していけるような策を、今日まで意識的にサボタージュしていたんではなかろうかということなんです。これはどうなんです。
  153. 若狭得治

    ○若狭政府委員 船員の需給につきましては、船員教育審議会というものが、運輸大臣の諮問機関として運輸省に置かれておるわけでございます。教育審議会におきましては、毎年々々船員の需給状況を検討いたしまして、新しい学校の設備等につきましても必要な要望も行ない、また文部省の関係とも連絡いたしまして、商船学校、電波高校の募集人員について必要な要請を行なっておるわでけございます。従いまして、今日までのところ、無線通信士につきましても、教育審議会におきまして策定された需給計画に基づいて、われわれは文部省と必要な調整を行なってきたわけでございます。しかしながら、今日の無線機器の発達の状況、弱電産業のいんしんというものは、われわれの想像を越えて大きな発展を遂げたわけでございます。そういう面から今日通信士の需給は非常に逼迫をいたしてあるわけであります。
  154. 久保三郎

    久保委員 海運局長お見えでありますから、関連してお尋ねするのでありますが、私が見るところでは、船舶通信士の需給関係が特に悪い。船員局長は文部省と連絡をとっていろいろおやりになっているとおっしゃいますが、文部省の管轄にあるところのかかる通信士の学校というのは、実際いうと数少ないと思います。そうでしょう。しかも、先ほどの御説明では、何といいますか、電気通信大学、その中の通信関係の卒業者は全然船の方へはおいでいただけないという御説明です。じゃ、何を今まで文部省と運輸省は話していたんですか、わかりません。しかも、私が言いたいのは、結局船をきらうというのは——船をきらうというと語弊がありますが、結局は労働条件の問題だと思うのです。それももう少し掘り下げて、海運という産業の問題だと思うのです。だから、こそくな手段によっては海運界合理化はできかねると私は思っておる。政府自体に海運基盤の強化の基本線がまだ出てこない。基盤強化の基本線の中の一つの問題として取り上げていくならば、あるいは問題としてはなるかもしれません。先ほど話に聞けば、私が知らない三十二年にも、この船舶通信士の定員削減の話が出たそうであります。そのころから出たとするならば、結局少なくともわれわれが推測する限りにおいては、こそくな手段によって、海運の基盤にはならないが、幾らでも人間を減らしてうまくやろう、こういう策がずっときていると思う。そこに船舶通信士の今日のアンバランスもあるのじゃなかろうかと思うのです。たとえば真剣に養成したところで参りません、もっといい条件があるのですから。それから養成に対する運輸省自体の強い要求もなかったのではなかろうか。さらにそれにもまして、船主はとにかく既成事実を作って、この辺から減らすような方策をとろうじゃないか。これでは本末転倒だと私は思うのだが、海運局長としてはいかがお考えですか。
  155. 辻章男

    ○辻政府委員 お答え申し上げます。  私どもは、今御指摘がございましたように、非常に海運企業の基盤が弱体でございまして、現状のままでは国民経済の要請にこたえることができないということで、実は昨年の年末以来、政府部内におきまして、運輸省の考え方といたしましては、開発銀行の金利の猶予措置という考えを中心にいたしまして、財務当局等と種々折衝を重ねて参ったのでございますが、遺憾ながらまだ政府部内の統一した見解まで達しておらない状況でございます。何とか私どもとしましては、これを政府としまして海運の基盤強化のための根本的な方策として具体化していきたい、かように考えておる次第でございます。今、御指摘がございました無線通信士の削減の問題でございますが、私どもは政府としても極力海運の立ち直りのために、助成の措置を講じますとともに、もちろん企業に対しましては従来から合理化を要請して参ってきておりますが、なお一そうの合理化を要請するつもりでおりまして、この無線通信士の問題も、いわば企業の合理化一環としてぜひともやっていただきたい。国際水準を上回ったような法的な措置の問題につきましては、政府においてこれを是正いたしまして、その上に立って労使の話し合いの上で合理化の線を進めていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  156. 久保三郎

    久保委員 私が聞いているのは、先ほど申し上げたように、基本線というものをお示しになっておらぬじゃないか、うわさに聞けば、利子の五カ年間たな上げというようなことで政府部内がまだまとまらないという話ですが、それだけでいいのだろうかというのです。それも一つの論議の対象にはなりましょうが、今日たとえばヨーロッパ航路一つとっても、欧州経済共同市場というか、こういうものがすでに問題に上って参りました。海運もその通りだと思うのです。そうなった場合に、この欧州航路についてどういう対策を立てるべきかという問題が出てくる。さらにはニューヨーク航路は、御案内の通りオープン・コンファレンスが、最近はアウトサイダーの跳梁にまかせざるを得ないような事態になっておる。そういうときに四面海に囲まれていながら、四面全部巨大なものになってきている日本の海運の中で、利子補給だけ追求していってどうなりますか。だから、そういう基本線をまず論議の対象として出していかなければうそじゃないか。船舶通信士が何名減るかはあとで聞きますが、そういう減らすことによってのみ、この海運基盤を幾らかでも前進させようというのは、少なくとも本末転倒じゃないかということを申し上げておるのでございますが、私の意見は違うのでありますか。
  157. 辻章男

    ○辻政府委員 もちろん先ほど申し上げましたのは、政府の助成の考え方を主として申し上げたのでございますが、外航の海運につきましては、今御指摘がありましたように、欧州あるいはアメリカ等の諸外国との関係も非常に密接でございまして、これらに対して相手の出方によりまして、日本の政府といたしましても、対外的な態度を考えていかなければならぬということはかねがね考えております。今お話がございましたいわゆる欧州の経済同盟の成立に関しましては、現在のところ、特に海運におきましては、どこの相手におきましても提携的な動きは出て参っておりませんが、私どもは絶えず細心の注意を払いまして、その欧州海運諸国の動向を注視しておりまして、この出方によりましては、わが国もそれに相応した措置をとらねばならぬと考えております。またアメリカ航路のアウトサイダーによりまして現在不況にあることも事実でございます。これはアメリカとわが国との海運に対する考え方が非常に異なっております。これにつきましても、事あるごとにアメリカ政府に対しまして、日米間の航路の安定上、お互いに協議すべきじゃないかということを絶えず主張して参っておるのでございます。なお、推移を見まして日本としてとるべき最善の道をとりたいと考えております。なお、繰り返して恐縮でございますが、そういう手はもちろん打つのでございますが、そういうふうな一つの大きなめどがつかないのに、この問題を取り上げるのはおかしいじゃないかというふうな御趣旨かと思うのでございますが、現在の海運界の不況は、長年の種々の原因の累積でございますが、これは健全なる国民経済の発展に対応し得るような企業力を持たせますためには、企業の合理化も、あるいは人員の合理的な再編成も、政府の助成措置も、また政府の対外措置もみんな合わせて講じなければならないと考えておるわけでございまして、基本的な問題でない限りは、この問題に手をつけるのは本末転倒じゃないかという御趣旨に解せられますが、私どもは、いろいろな点につきまして並行して考えていかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  158. 久保三郎

    久保委員 いずれ海運基盤の問題ではあらためて論議をしますが、並行して考えると言うが、並行して考えておるのではなくて、片一方は出てきた、片一方は考えておるということを申し上げておるのです。しかも大きい問題はあとにして、小さい問題をやっていこうというのでは本末転倒だ。本末転倒ということは、日本語でいえばそういうことであるということです。わかりましたか。  そこで船員局長に伺いますが、この改正案というものは、われわれはあまりこういう条文をしさいに検討するのは得手ではありませんので、そこで一つかいつまんで解明していただきたいのでありますが、今度は改正にしても、区域やトン数が全部今までと中身が変わってきております。そこで大まかに見ると、大体旅客船は従来通り、貨物船、漁船は変わってきておる、こういうことにとってよいのですか。
  159. 若狭得治

    ○若狭政府委員 旅客船についても多少修正いたしておりますが、これは国際人命安全条約に合わせまして修正をいたしておるわけであります。実際的に変わりますのは、今御指摘のように、貨物船は千六百トン以上の船舶、漁船につきましても同じく千六百トン以上の漁船ということでございまして、総トン数千六百トン以上五千五百トン未満は、先ほども申し上げましたように、二名の乗り組みを法律では要求いたしておるわけでありますが、これを一名にするわけであります。それから五千五百トン以上の貨物船、漁船につきましては、現在法律では三名の定員を要求いたしておりますが、これを一名減らしたいということでございます。これは国際人命安全条約の規定によりまして、それと大体同じ歩調で修正していきたいと考えておるわけでございます。
  160. 久保三郎

    久保委員 先ほどのお話では、現在予備員も含めて約四千名の船舶通信士がおるということでございますが、この法改正をすれば、どの程度で間に合うのか、何人ぐらい減らすことができるのですか。
  161. 若狭得治

    ○若狭政府委員 本年の四月現在の定員数からいきますと、先ほども申しましたように、貨物船におきましては二千七百八十名でございます。法律改正になりました場合には、現存船舶については五千五百トン以上は二名、五千五百トン未満は一名になるわけでございますので、千八百七十五名に改正されるわけであります。そして、三年後には千三百人に減少するわけでございます。
  162. 久保三郎

    久保委員 今二千七百八十名いる、それが千三百名になる、そうするとこれは半分以下になるということですね。予備員も含めてですね。
  163. 若狭得治

    ○若狭政府委員 これは法定定員でございますので、これ以外に当然二割程度の予備員があるわけござざいます。また先ほど申し上げましたように、法定定員のほかに、現在見習等の資格によりまして乗船いたしておるものがあるわけでございます。
  164. 久保三郎

    久保委員 貨物船だけをおっしゃいましたが、その他もありますね。漁船、旅客船は変わりませんか。
  165. 若狭得治

    ○若狭政府委員 旅客船につきましては、現在三千トン以上の旅客船につきまして、遠洋及び近海二百五十人以上の定員を有するものは七局ありまして、定員数は二十一名でございますが、これは改正案におきましても現状のまま据え置くわけでございます。またそれ以下の二百五十人未満の遠洋の船舶が一隻ございます。現在は三名乗り組んでおります。また近海区域を航行する旅客船の二百五十人未満のものがこれも一隻ございます。それから近海区域を航行する三千トン以上の旅客船でございますが、これは七隻ございます。これらはいずれも暫定期間も改正後も二名になるわけであります。  なお、漁船につきましては、先ほど二千七百八十名と申しましたが、これは漁船を含んだ数字でございます。旅客船につきましては、今申し上げましたように、遠洋、近海区域を航行する二百五十人以上の定員を有する七隻の船舶が従来通り三名、その他につきましては二名に減少するわけでございます。
  166. 久保三郎

    久保委員 これからの新造船に対してはどういう程度になりますか。
  167. 若狭得治

    ○若狭政府委員 新造船につきましては、旅客船につきましては遠洋及び近海区域を航行する二百五十人以上の旅客定員を有する船舶については三名、その他の二百五十人未満の定員を有する遠洋区域及び近海区域の船舶は二名、近海区域における二百五十人以上の船舶については二名というふうに、二名及び三名のものがございますけれども、貨物船及び漁船についてはすべて一名になるわけでございます。
  168. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、この法律は暫定経過措置として三年ということですが、三年後における人間の需給関係はどうなりますか。  今あなたがおっしゃった漁船を含めた貨物船は、二千七百八十名が船舶通信士としておられるわけですね、それが三年後には千三百人になるとおっしゃいます。それにプラス新造船というものがある、そういうものを含めて三年後にはどういう形になるのか、計算というか、それの推測をしておりますか。
  169. 若狭得治

    ○若狭政府委員 今後の新造船につきましては、船腹の拡充計画の進展の模様とも関連いたしますので、まだ正確な需給の見通しを立てるという段階ではございませんけれども、もし一名になりました場合には、大体の需給関係の考え方といたしましては、現存船につきましては先ほど申し上げましたように千三百名の定員がございます。これに対して約二割の予備員がございますので、その減耗補充という問題を考えていかねばならないわけでございます。同時に今後できて参ります新造船につきましては、一名の人員を準備していかなければならないというような状況から見まして、現在のように毎年電波高校及び電気通信大学の卒業生で海運界に参ります者が約七十名足らずというような状況では、そういう改正が行なわれましても、決して需給関係は楽観することができないのではないかというふうに考えておるわけであります。
  170. 久保三郎

    久保委員 三年後における見通しというか、これについて今お話がありましたが、結局三年後においても今のような需給状態では足りないのだというお話です。そうだとすれば、今までのような養成関係では残念ながらこれを充足することは不可能だと思うのです。ただ、文部省と連絡しておるというだけでは話にならぬのではないですか。これは具体的にどう立てておるのですか。
  171. 若狭得治

    ○若狭政府委員 船員の需給関係につきましては、先ほど申し上げましたように、教育審議会におきまして毎年々々その需給の調整を文部省及び郵政省との関係で行なっておるわけであります。なお、当面の問題といたしましては、定員の減少によりまして、予算上の人員が出て参りますので、これを新規需要に充てて参るというような関係がございますので、少なくともこの三年の期間には大体において需給関係の調整はとれていくというふうに考えておるわけでありますが、それ以後の問題につきましては、電波高校の卒業生の養成数の増加等につきまして、最近の陸上関係の産業の状況とも関連すると思いますけれども、文部省とも十分連絡をとっていかねばならないと考えておるわけでございます。
  172. 久保三郎

    久保委員 いずれもこれからの話でありまして、ただ問題は、三年間における配置転換というか、そういう問題を今あなたがおっしゃいましたが、そういうことがスムーズに簡単に行くと御承知の上で考えておられるのでありますか。
  173. 若狭得治

    ○若狭政府委員 もちろん配置転換につきましては、関係の船主及び関係の労働組合等の御協力も得なければならないと考えるわけでございますけれども、御承知のように、労働組合は全日本海員組合の一本の組合でございますので、むしろこういう配置転換については、積極的に協力していただけるものとわれわれは考えて、期待をいたしておるわけでございます。
  174. 久保三郎

    久保委員 全日本海員組合一本だから御協力いただけるという、大へん御期待を持っておられるようでありますが、先般労働時間の調停案が労使ともに受諾なされております。ところが、最近新聞等であなたも御承知のように、あなたは新聞以外に御承知だと思うのでありますが、ストライキに入っておりますね。こういう実態を見ると、そう簡単には参りません。というのは、今日ただいまの問題があるじゃありませんか。これを解決する自信がありますか。目の前の問題が解決できないで、今日やっております——最近聞くところによれば、船主がロックアウトを食らわせるというようなこともあるそうでありますが、この問題が目の前にあるじゃないですか。そう簡単にいくと思っていらっしゃるのはどうかと思うのです。いずれにしても、せっかくお呼びした、やっと郵政省からおいでになったそうでありますから、郵政省にお尋ねをしたい。郵政省、来てますか。
  175. 三枝豊

    ○三枝説明員 実は局長今他出しておりまして、どうしても連絡がとれません。私も他出しておりまして、ただいま参りました。
  176. 久保三郎

    久保委員 他出をしているところを急遽お戻りいただいて大へん恐縮でありますが、われわれの方もあなたの方で出している法律を、短時間の間であっても、何とか慎重審議をしていこうというので、そういう誠意から出て呼び戻しをしたわけですから、あしからず。  ところであなたにお伺いをしたいのですが、こちらは専門家じゃございませんから、ずぶのしろうとでありますから、一つ懇切丁寧に御答弁いただきたいのでありますが、今度の電波法改正というのは、船舶職員の定員を減らすことが目的で電波法改正なさるのでございますか。
  177. 三枝豊

    ○三枝説明員 お答えいたします。電波法の今回の改正は、海運企業合理化という線によりまして、運輸省の方から要請もありますし、当省といたしましても、その要請に基づきまして、いろいろ検討しました結果、従来は船舶通信士面で、諸外国に比べて、手厚い手当がしてあるというわけで、これを国際水準並みにするというのが目的で、今回の改正をいたしたわけでございます。
  178. 久保三郎

    久保委員 言葉じりをとらえるわけではありませんが、今までは手厚いあれをやっていたが、今度は引き下げるというのですか。これは時代に逆行でございますが、いずれにしてもあなたの方は自動的に電波通信の観点から、海上通信の関係から改善するという電波法改正ではなくて、運輸省の御要請に基づいて、いわゆる海運の中の企業合理化というか、そういうところからいって要請を受けたので、検討した結果、それもそうだろうということになったわけですね。そういう意味なんですね。
  179. 三枝豊

    ○三枝説明員 大体その通りでございますけれども、やはり私の方といたしましても、十分に検討の結果、やはりそうすることが現下の情勢にマッチしているということで、改正をしようとしたわけでございます。
  180. 久保三郎

    久保委員 現下の情勢にマッチしているとおっしゃいますが、外国の船舶の通信ですね、いわゆる海外の無線局というか、中継局というか、そういうものがいわゆる外国の船舶には指定があるそうでありますが、日本の船にはそういうものはなくて、海岸局というか、日本のそういうものとの間の交信だと聞いておりますが、その通りでありますか。
  181. 三枝豊

    ○三枝説明員 ちょっと今の御質問の趣旨がよくのみ込めませんでしたが……。
  182. 久保三郎

    久保委員 しろうとですから、用語その他はわかりませんので、専門家が解釈していただきたい。やはり日本の船は銚子あるいは長崎といいますか、そういう固定した日本の無線局との間の直接の交信でしょう。外国の船はそうじゃなくて、たとえばボンベイならボンベイにイギリスの船が行けば、その近くと交信してそれをやるのでしょう。そういう中継局というか、そういうものがあると聞いているのですが、そういう違いはございませんかと、こう聞いている。交信の道筋、経路。
  183. 三枝豊

    ○三枝説明員 国々によって異なると思いますけれども、今先生の御質問の分は、おそらくイギリスのリジョン・スキムというものを若干御承知でおっしゃったのではないかと思います。イギリスは世界を七つのリジョンに分けまして、そうしてそのリジョンの中心の局に電波を送り込みますと、すぐそれが本国へつながるという、そういうシステムになっております。しかし、それ以外の国ですと、たとえばノルウェーだとかフランスだとかイタリアだとかいうところは、本国と——日本の近海に来ておりますノルウェーの船はノルウェーの本国の海岸局、ちょうど日本の長崎、銚子に匹敵するような海岸局と連絡をとっておる、そういう点においては変わりがないのであります。
  184. 久保三郎

    久保委員 若干知っていると言うが、若干知っているわけです。ノルウェーは日本と同じでしょう、そうなんですね。
  185. 三枝豊

    ○三枝説明員 だと思います。
  186. 久保三郎

    久保委員 あなたの方も若干知っている。あなたも若干しか知っていないですよ。あなたは海上通信の専門家でしょう、オーソリティでしょう、その方の関係でしょう、違いますか。
  187. 三枝豊

    ○三枝説明員 今のノルウェーの本国通信は日本と変わりございません。
  188. 久保三郎

    久保委員 それでは若干じゃなく、全く知っている。  ところで、それじゃ日本の交信状況、いわゆる電信の疎通状況は今日どうなっておるか。良好なのか不良なのか、いかがですか。
  189. 三枝豊

    ○三枝説明員 これはやはり船の所在します海域によって若干の差異がございますけれども、ごく遠距離になりますと、電波の伝播によりまして、本国と連絡する時間もきわめて限定されますし、それから電波の強さ等も、たとえば地球の裏側になりますと弱くなりますので、そういうところから本国との連絡というものは必ずしもそう容易ではないと思います。ただ太平洋水域におります。日本近海におります大多数の船と日本海岸局との間の通信は、また個々の船の事情によって異なるかもしれませんけれども、総体的に言って適当にさばけていると承知しております。
  190. 久保三郎

    久保委員 適当にさばけていると言うが、私の手元にある資料によりますれば、これは調査の期間も約一カ月間だけでありますから、私もぴたりとは申し上げませんが、疎通状況は必ずしも完全ではない。たとえばこれは陸上では、電報局の前に列を作って受付を待っているという状態が船にもたくさんある。先ほども、船員局長はその方はしろうとでありますが、あなたの方からの調査では、いわゆる一通の所要時間は五分程度である、こういう説明をされました。五分程度というのは、呼び出しをして応答をして、そうして電報を送って終わった、OK、了解というときの、その間ではなかろうか、こういう話はしたのでありますが、あなたがおっしゃることは、そう大したことではない、良好にいっているようなお話です。もっとも、そういう状況は目では見えませんからこれは何でありますが、いずれにしても、そういう状況については、お調べになったことがございますか。いわゆる疎通そのものの時間じゃなくて、疎通に至るまでの時間というものをお調べになったことございますか。輻湊の状態いかがですか。
  191. 三枝豊

    ○三枝説明員 先ほど私が参ります前にありましたという、その電報の五分というのは、おっしゃる通り、電報送受に要する時間と、それの準備に要する時間、五分も電報はかからないと思いますけれども、大体一時間に十二通くらいがさばけるというので、五分と計算をしておるようでありますけれども、その五分の電報一通送るために、その前にどのような手続を要したかということについては、調査をいたしておりますけれども、これは海域、個々の船の事情等によりまして不確定の部分が多くて、明確に申し上げることはできません。ただ、電電公社の資料によりますと、電電公社の疎通能力にまだ現在のところではゆとりがあるということでありますので、先ほどのように適当にさばけているということを申し上げたわけでございます。
  192. 久保三郎

    久保委員 私の手元にある資料では、これは去年の十二月一ぱい調べたということでありますが、これは銚子と長崎の海岸局経由の電報です。これは各会社別ありますが、結局平均して一通話当たりの経過時間は、大体のところ銚子では二時間五十六分、長崎の海岸局では二時間五十七分。それからもう一つは、今お話の中に出て参りました海岸局別の無線電報経過時間で、これは大阪商船の三十六年の十一月から十二月一ぱい四十五日間の調査でありまして、調査船舶は二十八隻であります。そこでこれは発信でありますが、発信で、経由局が長崎、銚子、神戸、その他の局、こうなっておりますが、合計して平均して二時間四十一分、それから着信の方が、同じく平均で八時間六分、そういうことがある。こういうことを見ますというと、必ずしもあなたのおっしゃるように円滑にいっているというようなことはあり得ないのではないか、こう思うのでありますが、いかがですか。
  193. 三枝豊

    ○三枝説明員 おっしゃるような事態は私ども認識しておりますけれども、これは先ほどから申し上げます船のおります海域、それからその船の事情、それから時間、そういうものに左右されます。これはきわめて専門的なことでおそれ入りますけれども、短波の周波数によって海岸局を呼び出しますときには、その呼び出す周波数が、現在一波でなくて、あるバンドを探しながらやるという仕組みになっております。そこで一例を申し上げますと、ここで呼んでいるのとここで呼んでいるのとありますと、この長崎なり銚子が探って参りまして、ここで呼んでいるのをつかまえますと、すぐ返事をします。すると、ここで呼んでいるのには応答がない、こういうようなことがあります。それから、今は呼んでも適当ではない。しかし、電報を手持ちのものはできるだけ早く送ろう。しかし、電波の伝播状況とか、それに基づく時間的な考え方などでいくと、今必ずしも適当でない、そういう時間に呼ぶ、その呼ぶ時間まで計算しておるという向きもあるようでございます。でありますから、これは個々の船、個々の海域、及び時間によりまして、差別がございます。おっしゃるような事態がないとは申しませんけれども、総じて全般的に公社にまた疎通能力に余力があるという点から、まだ現在のところは適当にさばけている、かように考えております。
  194. 久保三郎

    久保委員 あなたのおっしゃる電波帯ですか、こういう電波帯というものを探らなければならぬ組織になっておるとすれば、こちらに能力があっても、出す電波というか、受ける電波は帯状で、一々探らなければならない。それは一つじゃないでしょう。幾つもあるわけでしょう。そうなれば、その事情が改善されなければ、あなたがおっしゃるように適当にさばける能力があるということは言えないじゃなかろうかと思うのです。これはいずれにしても専門的でありますから、あなたにおまかせしますが、実態はそういうことに聞いておるわけです。それから船員局長、あなたも私どもと同じくしろうとでありますから、おわかりでしょう。今の五分というのは、やはり始まってから終わるまででありますから、誤解のないように。  それからもう一つお伺いしたいのは、今度電波法改正して、船舶の中の無線局の資格を変更していくというか、今まで無休でやっておるものを十六時間にする、あるいは八時間にする、これが改正の要点ですね。具体的にはそうなんですね。そうだとすると、たとえば今の、余力はあるが、電波帯というものがあって探らなければいかぬ、こういう実態は解決できないと思うのです。しかし、あなたは専門家だからおまかせします。しかしながら、それが解決したにしても、今のような私の調査の実態から言いますならば、結局今度は、今まで四六時中やったものが八時間になるという場合には、御案内の通り、時間帯は狭められます。そこで、どうしても殺到してくることは、これはものの道理であります。こういうさばけ方について、いかように考えられておるのか。いかがですか。
  195. 三枝豊

    ○三枝説明員 おっしゃる通り、きめられた時間帯の中に電報送受が集中することは事実であります。従いまして、これはいかように解決するかと申しますと、まず社用通信を少なくする。電報の通数全体を減らすということが一つ。それから電電公社の疎通能力を上げるということも、一つの手段であります。それからもう一つは、電波法改正の方で用意しております第三種甲というものを設けまして、これは第二種乙八時間の船と同じものでございますけれども、これを政令で定めて、第三種甲をその集中する時間からはずした。いわゆる時差出勤のような格好で、私ども表時間と裏時間と申しておりますが、裏時間を利用するということによりまして、その三つの方法で、三年の経過後、一人の通信士の船が多くなった場合の対策として考えております。
  196. 久保三郎

    久保委員 表とか裏とかいうのはよくわかりませんが、私がしろうとなりに判断するところによりますれば、たとえば表は昼間の八時間、裏は夜の八時間、そういうふうに区別してやれば大体うまくいくだろう、こういう意味ですか。
  197. 三枝豊

    ○三枝説明員 現在八時間の執務をする船の執務時間というものは、電気通信条約の無線通信規則で定めておりまして、これは世界を六地帯に分けまして、その六地帯の大体中央において、朝の八時から十時、十二時から二時、四時から六時、八時から十時という四つのしまに分けてやるように、条約上きまっております。これを私の方では八時間の船、H8の船と申しますけれども、このH8の船は、そういうきめられた、日本の近海では午前九時から十一時、一時から三時、五時から七時、九時から十一時という四つのしまに分けてやるようになっております。この十一時から一時の間があいておりますが、こういう間を利用してやろうというのが、裏時間という考え方であります。
  198. 久保三郎

    久保委員 私がさっき理解したようなことでなくて、あき時間を裏時間とおっしゃるのですね。そうなりますと、これは船舶通信士は、必然的に、国際条約の問題とくるめて、断続勤務というような格好が出て参りますね。そういうことになりませんか。
  199. 三枝豊

    ○三枝説明員 H8になれば、当然断続した執務になります。
  200. 久保三郎

    久保委員 船員局長、あなたはそういうことをよく御承知の上で改正されようとするのでありますか。
  201. 若狭得治

    ○若狭政府委員 十分検討した上でございます。
  202. 久保三郎

    久保委員 そうすると、その検討の結果、断続がうまくいくということを具体的にお示しいただきたい。どういうところでうまくいくのですか。八時間というのは、二十四時間のうちの八時間、断続勤務をやればいいのですか。二十四時間ずっと継続でやられるような場合が想定されませんか。そういうことはありませんか。
  203. 若狭得治

    ○若狭政府委員 現在国際電気通信条約によって定められております船舶の時間帯に従って、一名の勤務を考えまして十分可能であるというふうに考えたわけでございます。
  204. 久保三郎

    久保委員 どうもそういうふうには、直ちに、お話だけでは、しろうとですからわかりませんので、郵政省と打ち合わせが、必要がなければけっこうですが、打ち合わせの必要があれば、打ち合わせをして、ものに書いて、ここからここまでは勤務時間、これは休み、これは勤務時間、そういうふうなことになるということだけは一つあとでお示しいただきたいと思うのであります。時間もありませんし、あと同僚委員が海運の問題で緊急の質問をされるということでありますから、端折って参ります。そこで、海上課長さんにお伺いするのでありますが、先ほど社用通というものを抑制していきたい——社用通も抑制したいというが、今日文化は高まって参りました。文明は高まったという、時代の進運でございまして、文明の利器を持っていながらこれを抑制するというのは、いささか時代逆行じゃなかろうかと思うのであります。しさいにわたって船内の状況なんというものを、船と船主との間で連絡を十分遂げられることによって、初めて近代的な海運ということがいえると思うのでありまして、これは乗っている乗組員自体についても同様だと思うのです。昔はそういう便利なものはございませんでしたから、船が港を出れば、港に着くまでは一切世の中から隔絶ということでありました。今日では、電波というものが非常に進歩してきておる。その進歩に逆行するような、しかも社用通も押えるということは、何といっても時代逆行のように思うのでありますが、そういう措置もとるというのでありますか。いかがでありますか。
  205. 若狭得治

    ○若狭政府委員 社用通信の節減につきましては、実は郵政省と運輸省との間で十分協議をいたしたわけでございますが、今後の通信の疎通の状況から見まして、私用の通信は削減するということは不可能でございますので、社用の通信で比較的重要度の少ないものについてはこれを節減しようということで、具体的に船主協会において現在検討いたしまして、大体の結論を得ておるわけでございます。
  206. 久保三郎

    久保委員 大体の結論を得たものをあとでお示しいただきましょう。私は、無用のものはやってはいけませんけれども、必要があれば、それが必要というならば、これには軽重の度合いはないものと考えております。ただし、それが機能に応じ切れない。たとえば無線電信のない時期に、海上から何らか連絡をしたいということではなくて、こういう時代になっては、やはりある程度こういうものを完全に使いこなせるというふうに持っていくのが、正しいあり方だと思うのであります。いずれにしても、そういうデータがございましたら、お示しいただきたい。次に、海上課長にお伺いしたいのでありますが、オート・アラームという目ざまし時計のようなものをつけるそうでありますが、オート・アラームの性能についての検査は、いつおやりになりまして、その結果はどういうふうになったか、概要をお知らせ願いたい。
  207. 三枝豊

    ○三枝説明員 オート・アラームの海上の実験は、昭和二十八年と二十九年にわたりまして、ペルシャ湾航路とインドシナ航路とニューヨーク航路にわたりまして実験をやりました。これは一九四八年の海上人命安全条約が実施になる昭和二十七年の法改正に基づいて、その後の性能試験をやったわけでございますが、そのときは、大体使用にたえるという結論が出まして、そのときの、今後さらに検討するというふうなことも聞いておりますけれども、その後これの型式検定を私の方の研究所でやっておりますので、型式検定の結果、その成績等から見まして、逐次オート・アラームの性能が向上しておりまして、現在におきましては、諸外国のオート・アラームにまさるとも劣らぬという性能を持っております。
  208. 久保三郎

    久保委員 外国との比較を聞いているのじゃないのでありまして、私が聞きたいのは、オート・アラームの機能というのは完全なのかどうか。ただいまお話によれば、その試験は、ペルシャ湾で昭和二十八年あるいは二十九年にやっただけだ、こうおっしゃいますが、実際にその後の実態というものをお調べになっておられないのかどうか。おられないとすれば、私が手元に持っておるのは、先ほども船員局長に申し上げましたが、やはり故障がある。五十一ぱいの船のうち二十一ぱいの故障があった。万が一の場合ですから、SOSの前提としてオート・アラームが鳴るということでありましょうが、そうなりますと、その際以外には使う必要がないのであります。ところが、四割ものものが故障があったのでは、これはもう万が一のときに役に立たぬということです。そういうことでは、完璧だとはいい得ないのではないかと思うのでありますが、それに対しては、絶対心配ないという太鼓判を押すわけですか。
  209. 三枝豊

    ○三枝説明員 現在のオート・アラームの海上人命安全条約に定められております規格があります。その規格にマッチしたものであります。その安全条約で要求しております程度の性能は、十分に持っております。
  210. 久保三郎

    久保委員 安全条約というが、それは最低のものをきめているのでしょう。条約というのは大体そういうことであります。条約にきめられた規格に合っているということだけで、船舶の航行安全ということには直ちになり得ないと思う。オート・アラームをつけることが、航行安全に必要な条件一つにはなると思う。条件ではあるが、それが十分なものであるかどうかということは、別個の問題であると思う。そういうことについて、あなたの御答弁からいえば、まあ条件は満たし得られるが一十分ではない、こういうふうにもとれるわけですが、そういう意味にとってよろしゅうございましょうか。いかがですか。
  211. 三枝豊

    ○三枝説明員 非常に微妙な問題でございますけれども、そういう規格に合ったものをもって人のかわりになるという国際制度のもとにおいては、十分使いものになる、かように考えております。
  212. 久保三郎

    久保委員 その通りでしょうね。そういう御解釈でしょう。だから、私の言いたいのは、いわゆる航行の安全というものは充足しかねるということはあるということですね。私がお示し申し上げた五十一ぱいの船の実験の結果も、二十一ぱいの故障があった。故障があったということは、完全でないということなんです。完全でないということは、万一のときに用に立たない。用に立たないオート・アラームは、時間の不正確な目ざまし時計のようなものでありまして、五時に起きようということでかけたところが、四時半にその目ざまし時計が鳴ったのでは、これはオート・アラームの役目は立たぬと思う。そういうことからいって、オート・アラームによって人員が減っていくということについては、相当な疑問が私はあると思うのです。これはまた、いずれ議論を展開いたします。なるほど国際条約の条件は満たしている、今日の世界の水準としては大体それでよろしいのだということになるが、目ざまし時計そのものが狂ったのでは、残念ながら万一のときに用に立たないということだと思うのです。  そこで最後に、私、あなたにもう一つお伺いしたいのは、先ほど船員局長はこういう答弁をされまして、結局、今度の電波法改正によって、いろいろ輻湊するじゃないかと言ったら、郵政省の方では、海岸局の方の機能を拡充強化するというお話がありました。その通りであるとするならば、三年間の御計画というものは、今日立っているのでありますか。海岸局の拡充強化の具体的な方策はいかがでしょうか。おありになりますか。
  213. 三枝豊

    ○三枝説明員 この問題は、電電公社の計画になりますが、この前提となりますものは、周波数を私の方で指定をする必要がございます。でありますから、この改正案が実施になりますと、三ヵ年の計画期間がございますので、その間、電電公社の施設の整備というのは、二年くらいの期間があればできるそうであります。一年間に私の方で波などを探しまして、そうして電電公社と十分な打ち合わせの上、電電公社でできる限りの設備強化をする、こういうふうな予定でございます。
  214. 久保三郎

    久保委員 電電公社の方の御計画だそうでありますから、これは別途また電電公社の御計画をお尋ねするほかないと思う。どうも最近の法律というものは、いろいろ出していらっしゃるが、法律が通ってから考えましょうというのが、最近多いのであります。国会議員としては迷惑だと思うし、かえって国会審議を妨害するものじゃないかと思うのです。電電公社にあるかもしれませんから、それはあえて申し上げません。いずれにしても、あなたがおっしゃる通り、電電公社でこれはやることだ、やれば二年間でできると言う。二年間でできるかどうかは次の機会にお尋ねすることにして、お呼び出しを申し上げて大へん恐縮でありましたが、本日のところはこの程度にしておきます。  最後に、海上保安庁から警備救難部長がおいでになっているそうでありますが、船員局長にお尋ねすると、SOSというか、救難の場合、大体今のあなたの方の機能で十分事足りる。だから、船舶職員法改正して減らしても大丈夫というのが、あなたの方の御見解だそうでありますが、その通りですか。
  215. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 お答えいたします。  私どものところの海岸局は、二十三であります。それから大体稼働船舶は六十ぱいくらいになるので、それらの海岸局からオート・アラームその他の緊急通信を受けました場合、大体私どもの現在の実績から申し上げますと、昭和二十六年度の重要通信が八十三件でございまして、そのうち五〇〇KCによるものは十五件です。それらの海難の救助の実績を申し上げますと、大体当庁及びその他の救助が十三件でございます。自力入港が二件でございます。全損その他はございませんのが実情であります。それで、私どものいわゆる海難救助に対するあるいは緊急通信を聞きます体制は、現在のままでございますので、日本周辺の海上保安業務については、別に支障はないものと思われます。
  216. 久保三郎

    久保委員 船員局長からお話があったのと、ちょっと違うのですね。違う点は、あなたの方でSOSを聞く機能としては、私の方は十分ですと、こうおっしゃるわけですね。そうですね。そういう意味ですね。
  217. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 全般的の御意見を述べろということだろうと思うのでありますが、大体日本近海の海難は、昨年度は約三千四百件ばかりでございますが、それらの中で九二%というものが大体五十マイル以内でございまして、港内及び三海里以内の海難が、六〇%を占めておるような実情でございまして、先生の御心配になっているのは、沖の場合、海難救助に間に合わない場合はどういうふうになるのかということだろうと思いますが、それらのものは、私ども、いずれの海難を救助する場合におきましても、ずっと沖合いでは、常時パトロールしておるといたしましても、なかなか現場においそれと——見に行く場合は、割合に偶発的な場合よりほかは少ないだろうと思うのでありますが、そういう絶対量は、非常に近いところであります。従いまして、当庁の巡視船で十分間に合うのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  218. 久保三郎

    久保委員 この近海五十マイル程度のところは、自分のところで耳を持っている、こういうことですから、遭難船がSOSを出せば、こっちは聞けるし、行ける、助けられる、早く言えばこういうことですね。その他の以外の問題は、もちろんハワイ沖まで救助に行こうといったっていけませんし、耳は持たぬことでありますし、それはむずかしい。船員局長、私の聞きようが悪かったかもしれませんが、今海上保安庁から部長がおいでになってわかりました。私はしろうとでありますから、何かあなたの話だけ聞いたら、すっかり、海上保安庁が、おれのところは心配ないからこれは減らしていいというふうに聞いたのだが、そうではない。私の範囲の五十マイル程度のところは、大体耳も完全だし、足も、りっぱではありませんが、まあ最近幾らか改良しましたから、幾らかりっぱになったからいけるということだろうと思うのですが、そうですね、部長、何か違うような顔をしましたが、違いますか。
  219. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 沖の方はだめか、こういうことだろうと思うのでありますが、これは私どものいわゆる海技者の常識といたしまして、それらのオート・アラームが十分信用し得るものであるというふうに確信しております関係上、その点については、私どもも船員局長と同じように考えておるわけでございます。
  220. 久保三郎

    久保委員 部長は、オート・アラームを確信しているというが、あなたがいらっしゃって、今海上課長とおっしゃる方に来ていただいて、海上課長のお話は、国際水準に合っている、条約にも合っているというだけのお話であって、私が調べた範囲では、五十一ぱいの船のうち二十一ぱいの事故があるということなんです。あなたは胸をたたいて大丈夫だ、心配ないということは言えないでしょう。
  221. 樋野忠樹

    ○樋野説明員 それは海上課長の専門家の言うた通りでございまして、私は、そういうことを救助の面におきましても非常に参考としてよろしい、こういうふうに考えておるということで、言葉足らずかもしれませんが、そういう意味であるわけであります。
  222. 久保三郎

    久保委員 時間もだいぶ過ぎましたから、一応先ほど申し上げたような資料も船員局長からちょうだいして、しろうとでありますが、国会議員として自分の手によって法案を審議するのでありますから、まあ自分の能力の限界までは一つ知らなければいかぬと思うので、大へんめんどうな資料であるようでありますが、御提出をいただきたい、こういうふうに思います。
  223. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十二分散会      ————◇—————