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1962-04-04 第40回国会 衆議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月四日(水曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 簡牛 凡夫君    理事 關谷 勝利君 理事 高橋清一郎君    理事 塚原 俊郎君 理事 福家 俊一君    理事 山田 彌一君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       伊藤 郷一君    生田 宏一君       川野 芳滿君    佐々木義武君       壽原 正一君    砂原  格君       竹内 俊吉君    西村 英一君       細田 吉藏君    増田甲子七君       三池  信君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 齋藤  昇君  出席政府委員         運輸政務次官  有馬 英治君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運輸事務官         (船員局長)  若狭 得治君         運輸事務官         (観光局長)  梶本 保邦君  委員外出席者         厚生事務官         (保険局次長) 熊崎 正夫君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      林田悠紀夫君         日本国有鉄道参         与         (運転局長)  音田 和夫君         日本国有鉄道参         与         (船舶局長)  久田 富治君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 三月二十九日  国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三八号) 同月三十日  木船運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四三号) 四月二日  国鉄大崎大宮被服工場等の廃止及び統合反対  に関する請願外十七件(和田博雄紹介)(第  三二六七号)  同(川俣清音紹介)(第三六〇五号)  同(中嶋英夫君)(第三六〇六号)  同(永井勝次郎君)(紹介第三六〇七号)  菱刈駅の貨物取扱い存続に関する請願池田清  志君紹介)(第三三五四号)  鹿児島本線及び日豊本線の全線複線化に関する  請願池田清志紹介)(第三四七五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三八号)  木船運送法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四三号)  船員法の一部を改正する法律案内閣提出第三  八号)  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 これより会議を開きます。  去る一日、本委員会専門員となられました小西真一君を御紹介いたします。
  3. 小西真一

    小西専門員 小西でございます。よろしく。(拍手)     —————————————
  4. 簡牛凡夫

  5. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 まず両案について、政府当局より提案理由説明を聴取いたします。齋藤運輸大臣
  6. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 ただいま議題となりました国際観光ホテル整備法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  外国人観光旅客わが国に誘致し、もってわが国国際収支改善に寄与するためには、総合的な国際観光振興策が講ぜられなければならないことはもちろんでありますが、その一環として、外国人観光旅客に対する接遇の充実に資するため、登録ホテル及び登録旅館料金に関する判度整備する必要があります。  今回の改正は、このような趣旨に基づき、登録ホテル業または登録旅館業を営む者に対し、宿泊料金その他の業務に関する料金運輸大臣に対する届出義務を課すとともに、これが外客接遇上不適当であり、特に必要があると認めるときは、運輸大臣がその変更を指示することができることといたし、適正な料金の確保をはかろうとするものであります。さらに、これらの改正に伴い、罰則及び行政処分適用について所要の規定整備いたすこととしております。  以上が、この法律案を提案する理由であります。  次に、木船運送業の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  最近における経済の発展に即応して内航海運国民経済において占める機能の重要性は急激に増大しつつありますが、内航海運小型船分野の大部分零細企業であり、輸送秩序も確立されておらない現状であります。  今回の改正の要点の第一は、小型船による輸送に対する信頼を向上させ、不適格者による小型船海運業秩序撹乱を排除するため、登録資格要件として小型船海運業を遂行する上に必要な能力及び資力信用に関する規定整備したことでございます。  第二に、最近における内航船舶鋼船化の傾向にかんがみまして、五百総トン未満小型鋼船木船とを一括して規制することとしたことであります。  第三に、二十総トン未満小型船活動分野は限られた短距離輸送に従事しており、その船腹量も内航海運全体としては小さいので、これらの船舶のみによる海運業届出制に改めたことであります。  第四に、営業保証金供託制度につきまして、現行法では現金供託のみしか認められておらなかったのでありますが、有価証券をもってかえることができるように改め、従来よりも有利な資金の運用ができる道を開いたことであります。  以上がこの法律案を提案する理由であります。なにとぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛成いただきますよう御願いいたします。
  7. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 両案に対する質疑次会に譲ることといたします。      ————◇—————
  8. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 船員法の一部を改正する法律案議題とし審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。
  9. 久保三郎

    久保委員 先般来、時間がありませんでしたので、御答弁を保留しておりました船員局長からの漁船関係船員の対策について御回答をいただきたい、こういうふうに思います。
  10. 若狭得治

    若狭政府委員 漁船船員労働につきましては、御承知のように漁業労働が季節的な労働であるという面と、漁獲自体自然的条件に左右されるという理由からいたしまして、労働条件の最も基本的なものであります給料及び労働時間等につきまして、いまだ近代的な形になっていないということは事実であろうかと存じます。従いまして、こういう点については、今後運輸省といたしましては改善努力をしていきたいと考えておるわけであります。  まず、給与の点につきましては、漁船船員給与実態につきまして、昭和三十三年に調査いたしました資料によりますれば、その約六九%、七〇%近くが全歩合制によっているという状況でございます。また、歩合制固定給とを併用したものが二七、八%、完全に固定給制度になっているものが三%というような状況でございます。従いまして、三十七年度以降におきまして、地方の関係官庁あるいは船員労務官等によりまして、そういう面の改善努力して参りたいと思っておるわけでございます。従いまして、その目標といたしましては、全歩合制を一部歩合制に切りかえる、そうして固定給部分を引き上げるということを目標としたいと存じておるわけでございます。固定給分俸給月額の六割を確保するということを目標として、指導していきたいというふうに考えております。なお、給与の面につきまして問題となりますのは、母船式漁業に従事しております独航船の場合におきまして、売却代金支払いがおくれるというために、労働賃金が受けられないという場合が非常に数多くございますので、そういう点につきましては、売却代金支払いを促進するように今後努力して参りたいというふうに考えております。  それから、その次は有給休暇でございますけれども、現在有給休暇規定は、船員にはございますけれども、漁業労働者には適用されておらないわけでございます。また、国際労働条約におきましても、そういう点につきましては規定はないわけでございます。しかしながら、周年漁業に従事する漁船につきましては、有給休暇を付与するように今後努力して参りたいと考えておりますし、また、それ以外の漁船船員につきましても、その休暇を分割して付与する等の奨励を行ないたいというふうに考えております。  さらに、船員の雇い入れ契約につきましては、これは季節的労働であるという特性からいたしまして、出漁期間だけ短期間雇い入れ契約を行なっているという例が多いわけでありまして、これにつきましては出漁船整備あるいは帰還後の整理期等におきましても、雇い入れ契約がなお存続するというように指導いたしまして漁船船員の身分の安定をはかっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  さらに、漁船の海難が非常に多いということは御承知通りでございますけれども、これにつきましては、船舶指揮権という面から見まして、船長漁労長指揮系統が二本立になっているということが相当影響しているのではないかという面が考えられますので、船舶指揮権を明確にするように今後指導して参りたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、三十八年度以降におきましては、最も重要な問題として、労働時間の問題及び処遇の問題について行政指導を行なっていきたいと存じております。労働時間の問題につきましては、労働基準法におきましても適用除外になっておりますし、また国際条約におきましても漁船船員労働時間については触れておらないわけでございますけれども、昨年のILOの総会におきまして、漁船船員労働時間についての基準をこの次の総会において審議するということになっておるような状況でございます。従いまして、そういう状況も見合わまして、来年度以降におきましては、漁船船員労働時間について行政指導を行なっていきたいというふうに考えているわけでございます。  以上、いろいろ申し上げましたけれども、現在非常におくれております漁船船員の保護の面につきまして、来年度以降できるだけ努力して参りたいと存じておるわけでございます。  なお、最低賃金制度につきましても、従来、昨年及び一昨年二年間にわたりまして、機帆船の船員最低賃金制度につきまして努力して参ったわけでございますけれども、明年度以降におきましては、漁船船員最低賃金制度の確立に努力して参りたいと存ずるわけでございます。もちろん、先ほど申し上げましたように、漁船船員につきましては、その大部分歩合制でございますので、歩合制労働者最低賃金を施行していくという問題につきましては、いろいろな困難があろうかと存じます。しかしながら、これも放置することは許されませんので、できるだけの努力をして参りたいと存ずるわけでございます。なお、漁船船員労働条件の向上につきましては、事業者、所管の農林省の御協力を得なければなりませんし、そういう点から両者と十分に協議を遂げまして、今後指導に当たりたいというふうに考えております。
  11. 久保三郎

    久保委員 ただいまお話がありました各般の点がお話のように的確に実施されるならば、相当な進歩であろうかと思うのでありますが、今おあげになった幾つかの問題は、今までの長い歴史と伝統というか、そういう経過がありまして、尋常一様の手段では、残念ながら、指導要項はできたが実施はできかねるという問題が多々あろうかと思うのであります。しかしながら、積極的にかような点を指導していこうという、その意気込みに対しては敬意を払うのでありますが、ついては、かかる指導要項実施の裏づけは、先ほど船員局長からもお話があったように、関係官庁である農林省水産庁、特に水産庁協力がなければ実施ができない、こういうお話がありました。水産庁は、この指導要項について、連絡はもちろんあったと思いますが、これに対してどういうふうな考えを持っておられるか、念のためにお伺いしたいと思います。
  12. 林田悠紀夫

    林田説明員 漁船船員労働条件改善につきましては、ただいま運輸省船員局長から御答弁になった通りであります。なお、私たちといたしましては、特に中小漁業船員労働条件が劣悪でございまするので、今回沿岸漁業振興法という法案を提出いたしまして、特にその中に中小漁業船員労働条件改善ということをうたいまして、そのためにいろいろ計画をして施策を行なっていきたいということを考えておる次第でございます。運輸省からの労働条件改善につきますいろいろの施策の申し入れにつきましては、私たちといたしまして全面的に協力いたしまして、積極的にこの問題に対処していきたいと存じておる次第でございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 そこで、この歩合給の問題について、先ほどのお話では、七割が全歩合給ということで、この歩合給を一部歩合給に直して、基準は、固定給を六割、大体こういう水準で指導していきたいというお話でありますが、そうしますと、これはその通りで正しいと思うのであります。むしろ今まで全歩合給というようなものを存続したところに、漁業労働関係が立ちおくれているという大きな問題があるわけであります。われわれでさえも、そういう実現を一刻も早くしてほしい、こう思うのでありますが、ついては、これに関連して、船員法第四条の労働時間というものの考え方に、初めて大きな変化を来たしたとわれわれは見るのであります。すなわち、この第四条は、外航船等を主体にしておると思うのでありますが、「労働時間とは、上長職務上の命令に基き航海当直その他の作業に従事する時間をいう。」こういうことになるのであります。この考えがすなわち歩合給に通ずるようになっていたと思うのでありますが、これはどういうふうに考えますか。
  14. 若狭得治

    若狭政府委員 歩合給の問題とこの規定とは直接の関係はございませんで、むしろこの規定につきましては、いろいろな問題がございますけれども、単純に上長職務上の命令に基づき作業するというふうに規定いたしておるわけでございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 いや、直接には関係ないが、ものの考え方変化がありはしないかということをお尋ねしておるわけです。それは、労働時間その他については、もちろん七十三条によりまして、漁船船員については例外規定になっておる。命令で定めるということでありますから、直接漁船船員が今日ただいまの問題としては労働時間には関係しない、こういうことになるわけです。そういうことですか。
  16. 若狭得治

    若狭政府委員 漁船労働時間は、先ほど申し上げましたように、非常に決定しにくい問題でございます。従いまして、この規定適用を除外いたしておるわけでございます。国際条約においても、この労働時間に対する適用はないとしているわけであります。従いまして、そういう意味におきましては、この労働時間の規定漁船労働時間の規定というものについての関連性はございますけれども、ここに規定しておりますのは、漁船労働時間のことを規定しておるわけではないわけでございます。
  17. 久保三郎

    久保委員 漁船労働時間を規定しておるわけではないが、この七十三条によって、運輸大臣命令漁船労働時間を今後きめるとすれば、やはりこの労働時間というものの解釈はこうなってきはしないか、こういうふうに思うのですが、それはどうなんですか。別なんですか。
  18. 若狭得治

    若狭政府委員 その通りでございます。
  19. 久保三郎

    久保委員 別だというお話でありますが、別だというなら、別な論拠はどこにあるのですか。
  20. 若狭得治

    若狭政府委員 この労働時間が七十三条によって決定された場合に、第四条によりましてきめられた労働時間内においては、上長職務上の命令に基づき作業する時間ということになるという御質問でございますけれども、その点についてはその通りでございます。ただ歩合給との関連の問題においては、直接関連がないのではないかということを申し上げたわけでございます。
  21. 久保三郎

    久保委員 私が言うのは、歩合給には直接関係はないが、歩合給ができたそのものは、その労働時間のとり方を、やはり魚をとる時間、すなわち魚のとり高、こういうことになる思想がここに出てきはしないか。だから今後固定給を重点に置くということになりますれば、この労働時間についても、第四条の労働時間の表現は少し不適正になってくるということを私は考えておるのです。そういう点はございませんか。
  22. 若狭得治

    若狭政府委員 この点は、今後固定給部分が増加する、あるいは全部固定給制度になりましても、労働時間につきましては第四条で十分まかなっていけるというふうに考えるわけであります。
  23. 久保三郎

    久保委員 労働時間でまかなっていけるということではなくて、この歩合給が出たその根源というものは、こういう労働時間の解釈から出ておることも側面としてあるわけだ。だから、今度お作りになるということになりますれば、この条項そのもの労働時間というものは少し思想的に変わってくるのじゃないか、いや変わるべきではないか、こういうふうに申し上げておるわけであります。いずれにしても一つのものの考え方でありますが、たとえば国鉄連絡船等においても、労働時間については非常に問題があるわけであります。長い外洋に参りましての航海というようなこととずいぶん違いますので、そういうことも考えて、この辺は今後検討すべき余地が多分にある、こういうふうに私は考えておりますが、いかがでしょうか。——やはり専門に没入しておられる専門家は、しろうとの言うことはなかなかわかりにくいでしょう。私の言うのは、労働時間というものは、いわゆる上長職務上の命令に基づき、漁船に当てはめれば、魚がいたからさあつれ、早くいえばこういう時間がいわゆる歩合給なんですよ。歩合給というものはそういう思想なんです。これは全部ではありませんが、そういうことも一つ側面になっておる。これはとれ高によるので、つれと言ってもつれなかったということが側面としてある。それでは実際固定給観念はこれから出てこないのです。ですから、一側面ではあるが、この側面も今後検討する必要があるということです。この労働時間というものは、全然魚をとらなければ全然ないのですよ。そうすると今の歩合給というものはゼロなんです。それを固定給に直すということは非常な変化です。いわゆる労働価値の問題ではなくて、労働そのもの対象になってくる。今までの歩合給というものは労働価値に対するものになってくる。いわゆる魚をどれだけとって、どれだけ売れたかということが歩合給になる。そうでしょう。今度の固定給というものは、そうではなくて、労働対象として、労働の量や質そのものではなくて、労働したということに対する反対給付なんです。固定給はそうでしょう。そういうふうな考え方に移行しなければ、漁船労働者は近代化できないということを言いたいのですよ。だから今後検討を加えるべきではないか、そうしてほしいと言うのですが、いかがでしょうか。
  24. 若狭得治

    若狭政府委員 久保委員の御見解でありますが、われわれといたしましては、たとえば労働基準法におきましては、労働時間に応ずる最低額というものを出来高払いの場合にとっておるわけであります。船員法におきましては、労働時間というものを要素にいたしませんで、雇用契約に定めてある一定額というものを、労働時間というものと関連させないで、漁獲高というものと関係しないで、これを保証するという態勢をとっております。従いまして、歩合給については、むしろ労働時間の長さということではございませんで、漁獲高によってその歩合給を定めているわけでございます。従いまして、固定給制度になりますということは、むしろこの第四条の規定によって、「上長職務上の命令に基き航海当直その他の作業に従事する時間」という時間によって給料を支給するという体制になるのではないかというふうにわれわれは考えております。
  25. 久保三郎

    久保委員 どうもあなたのおっしゃることは私よくわかりません。私の言うこともよくわかりにならねと思います。あなたのおっしゃることを基準にしてものを考えると、上長職務上の命令がない者に対しては固定給観念にもならぬ、今のお話はこういうお話ですね。そうしますと、漁船船員は魚をとることがいわゆる上長命令なんだ。それ以外の命令はない。もちろん船長なりそのほかの機関部員とがありますよ。しかし、漁夫そのものは、魚がいなければつれという命令は来ないのですよ。そうすればどこから固定給観念が出てきますか。だから、これは保証給であると同時に、労働に対する対価、そういうふうに考えていくべきだと思うのです。これは基準法関係はあります。基準法出来高払いという制度、これは漁船の場合とは違うのです。魚をとることは全然質が違う。だから漁船の場合は非常に問題が出てくる。だからこれは検討の必要がありはしないかというふうに私は考えるが、必要ないといえばそれまでです。私の方でさらに検討しますが、私は固定給観念をまずとるということが先決だろうと思う。変な理屈は言いませんけれども、その理屈の出たところは、ここにも一つ側面があるということであります。これを理解し得ないで、船主その他に押しつけるということになると、これは問題が出てきはしないかということです。今後七十三条によってたとえば作る場合に、この第四条の労働時間そのものが載った場合に、船主その他から巻き返しが来ますよ。当然、保証給とは何ぞや——労働価値のないところに銭を払うばかがあるのか。しかし、雇い入れて、とにかくそこに拘束することが一つある。これに対しても拘束時間ということで賃金は払うことになっている。その観念から来るのでありますから、この第四条だけで今の固定給を律するということは、これは非常に問題がありはしないか、こういうことです。いずれこれはまだ二、三回御答弁をいただかなければなりませんから、次の機会までにあなたの方でも御研究をいただきたい、こういうふうに思います。  そこで、この歩合給の問題でありますが、先ほどお示しになったその指導要項を完全に実施することを望みます。と同時に、歩合給の占めるところの大仲経費の問題については、いかように考えておるか。今日の大仲経費はそれで妥当なりや、あるいはどこを改善するのか、その点いかがですか。
  26. 若狭得治

    若狭政府委員 大仲経費実態につきましてはいろいろな態様がございますし、今後の考え方といたしましては、まず固定給部分を確定するという方策を打ち出しておるわけでございますけれども、この方策実施に移す段階におきまして、大仲経費内容等についても十分検討して参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  27. 久保三郎

    久保委員 これから十分検討すると言って、それで指導要項には同定給歩合給にしましようということは、ちょっと違うのではないですか。私はどうも不十分だと思うのですが、むしろ大仲経費に問題が出てくる。だから、今度固定給を六割にして、プラス歩合給にしても、歩合給そのものが、大仲経費引き方によっては何にもならぬ、マイナスになるのです。いかがでしょう。水産庁でもいいのです。
  28. 林田悠紀夫

    林田説明員 大仲経費と通常申しておりますのは、漁獲物売上高から航海に要した流動経費を引いたものでございまして、それを歩合給であとで分ける、こういうことになるわけであります。それで、現在問題になりますのは、航海ごと漁獲高とかあるは大仲経費とかいうものをきめていくことになるわけでありますが、その方式が雇用契約に明文化されていないというようなことが多いわけでございまして、またその経理内容経営者の方で一方的にきめられるというような場合が比較的多いわけであります。漁業がだんだん進んで参りまして、大きな漁業になって参りますと、そういうことはないわけでございますが、中小漁業等にはそういうことが多いというようなことが、労使間の紛争の原因にもなっておるわけでございます。従いまして、一律に大仲経費をどういうふうにはじくということがきまっていないというのが現在の状況でございます。
  29. 久保三郎

    久保委員 林田さんがおっしゃるように、大仲経費は一方的にいろいろやれる、船主は絶対に損をしない形になっておる、漁船船員はただ働きの場合もある、こういう結果が出て、いつも労使の紛争というか、そういうことがある。それから、もう一つは、最近の漁業労働者が減ってくる原因になっておるのです。近代的でない親方、船方の関係が出てくるわけであります。そういうものを改めることが一つあると思うのです。歩合給固定給に引き直すということも一つでありますが、全面的にこの賃金形態を改めていくべきである。その場合には、大仲経費というものはおよそかくなるものだというような基準を示して——これはどこの所管か知りませんが、農林省運輸省の共管になるかもしれませんが、大仲経費基準については、各船主に政府の方針としてそれを示す時期ではないかと思うのです。ただ単に自由にまかせておくということだけではいかぬと思うのですが、この点いかがでしょう。
  30. 若狭得治

    若狭政府委員 大仲経費実態につきましては、先ほど農林省から御答弁があった通りでございまして、今後の行き方といたしましては、固定給部分を引き上げるということが先決問題でありまして、それを行ないませんで、ただ大仲経費の配分その他について全国的な基準を作るというようなことを行ないましても、場合によってはその配分率を変更するという船主も出て参りましょうし、われわれといたしましては、固定給部分をいかようにして引き上げるかということが当面の問題でありますので、その力を注いでそれを必ず確保させるということによって、大仲経費の今後の行き方もきまってくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  31. 久保三郎

    久保委員 固定給部分を引き上げるということは重点かもわかりませんが、その重点を推進する場合には、いわゆる歩合給そのものにメスを入れなければ、その中でも大仲経費にメスを入れなければ、固定給を作ったという形式だけであって、全体的なプラスにならぬ、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。だから、あなたのおっしゃることは一つであって全部ではない、こういうふうに思うのです。固定給部門だけ上げてということであれば、そのもとになっておる歩合制固定給に引き直すのは全体として進歩ではない。形は進歩だが、中身は進歩ではないということになる。だから、この際せめて固定給部門を引き上げるという指導でありますから、それでけっこうでありますが、それと同時に、その基本になる歩合給そのもの歩合給大仲経費、これに対する基準を示してはじき出さないと、かえってマイナスになる部分が出てきはしないかということを心配しておる。その点がありますから、あわせて検討すべきであろう、あるいは指導すべきであろう、こういうふうにわれわれは考えておりますが、いかがでありますか。
  32. 若狭得治

    若狭政府委員 もちろん今御指摘の通りでございまして、固定給部門を引き上げるということによって、すべてが終わるわけではございません。従いまして、その残余の歩合給の問題につきましては、当然大仲経費の配分をどうするかという問題が出て参りますので、この点につきましては農林省とも十分協議いたしまして、できるだけ歩合給における船員の確保すべき部分については、これを確保するという措置を講じていきたいというように考えております。
  33. 久保三郎

    久保委員 この問題だけで時間を食っているわけには参りませんけれども、私としてはどうもいまだ船員局長は私と同じように御理解がないんではなかろうかと思うのでありますが、歩合給固定給に直す場合も、歩合給そのものの土台になるわけでありますから、これに対して相当なメスを入れるといっては語弊がありますが、分析をして、これをよりよいものに作ってほしい、こう思うのであります。と同時に、私は、歩合給に対する基準、特に大仲経費に対する基準、こういうものは何らかの法的規制をして指導すべきではないか。   〔委員長退席、塚原委員長代理着席〕 そうでなければ、お役所の指導といってもなかなか言うことをきくわけじゃございませんから、その点も一つ十分考えてほしい、こういうふうに考えます。  それから、次へいきましょう。これも研究課題でありますから、もし、御研究の結果、私の言うことが間違いであって取るに足らねものであるということなら、そうであるというふうな御見解をさらにいただくと同時に、私が御要望申し上げた点が何か支障があるとするなら、支障のある点を御回答いただきたい、こういうように思います。  次に参りますが、冒頭御回答がありました漁船船員に対する指導の中には非常に重要な問題がありますが、その項にいったときにまたやらせていただきたい、こういうように思いまして、次には、厚生省がおいでになっておりますから、二つほどお尋ねをしたいのであります。  先般船員保険課長さんがおいでになりまして、その際漁船、特に二十トン以上三十トン未満の範囲についていろいろお話を申し上げました。そこで、話の結論だけ、御承知かと思うのでありますが、申し上げますと、農林省並びに運輸省は私の意見に大体御同調いただいたのでありますが、厚生省そのものは、船員保険課長というのは、なかなか忠実というか、少し忠実過ぎて保険財政の方だけを苦慮なさっているようでありまして、明快な御答弁はなかった。一番先に次長のおいでになったときは、船員法適用のものについては当然保険に適用されるべきだ、こういう筋の通ったお話があったのでありますが、保険課長ともなれば、いろいろこまかいところに気を配らなければならねと思うのでありますが、どうも保険をやらね方が保険課長なのかというような印象を先般受けたのであります。農林省もあるいは運輸省も、かかる漁船船員には船員法適用してやるべきだという見解に立てば、なるほど保険財政のこともありましょうが、これは経過措置も約一年間ございますので、その間において十分政府部内において御努力をいただくということで、これはそういう方向にきめていただくのが当然ではなかろうかという考えを先般来申し上げているわけです。ついては、きょうは保険課長じゃなくて次長さんおいでだそうでありますから、一つその辺の御見解をお漏らしいただきたい、こういうように思います。
  34. 熊崎正夫

    ○熊崎説明員 久保先生から先般御質問がありまして、それについて当委員会でいろいろ論議がありましたことは、私はよく所管課長から承っております。また船保課長が答弁した中身につきましても、私はよく承知をいたしました。厚生省としまして、先般私がお答え申し上げましたように、船員法改正があれば自動的に船員保険法の被保険者の方に加入されるという、その建前はあくまでも堅持をいたしておるわけであります。ただ、先般御論議がありました第一種の二十トンから三十トンまでの船員をどのように取り扱うかということにつきましては、船員法の一部改正案につきまして事前に打ち合わせがありましたときに、再三私どもとしては論議をしました中身でございまして、それを一応行政庁同士では話し合いがついたということで、私どもも異議なしに賛成をいたしたのでございますけれども、しかし、中身はすべて政令段階でよく相談をするということになっておりまして、これは政令決定が相当時日的な期間を必要としますので、その問政府部内で十分調整の余地はあると存じております。しかし、お互いに官庁同士で話し合いをした場合に、大体この線で了解をするということになりましたのを、国会審議途中においていろいろ御論議があることは、私は当然であると思いますけれども、やはりその御論議のありました中身を十分関係官庁の間で調整をいたしまして、よく相談をした上で結論に持っていくというのが、私は今まで話し合いの経緯から見て当然だろうと思いますし、御意見は御意見としまして私は十分拝聴いたしますけれども、ただここで厚生省保険局がそういう御論議につきまして直ちに賛成であると言うことは、やはり若干の時日をかした上で、それぞれ関係官庁同士の話し合いの上で、正式に態度をきめる余地があるのではないか、こういうふうに存じておるわけであります。
  35. 久保三郎

    久保委員 だいぶ次長も課長にネジを巻かれてきたせいか、かたい答弁でありますが、国会議員とすれば、政令で定めるというのはこれからの話でありますから、今までどんなお話があったかわかりません。これからですから、注文を出したりなんかするのは当然じゃないですか。あなたの言うことも当然です。しかし、あなたの御答弁の前半には、今までお話のあったところでこれは出してきたのだ、そういうことでありますが、そうしますと、これは国会軽視ということで、政令の中に逃げておいて、中身はきまっている、どう審議しようがかまわない、こういうことになると思うのです。別に私は国会優位だからあなたらどうもおかしいじゃないかということじゃなくて、前進のためにわれわれは国会審議をしているのでありますから、だからここでいい意見が出れば、それは当然国会尊重という建前からいっても、その意を怖じて各省庁問において御論議いただいて、結論として出すのが当然ではなかろうかと思う。私はそういうふうに考えております。  いずれにしても、われわれは、厚生省にそういう強い抵抗というか——筋の通った抵抗かもしれませんが、少なくとも抵抗がある限りは、この案は政令に譲るのはいかがかと思っておるわけです、実際いってそういうことならば。政令にゆだねるのなら、政令にもちろんこっちで注文をつけます。注文をつけて悪ければはっきり言ってもらいたい。悪いところがあれば、政令にゆだねないで国会の手で別に書くということになりますよ。これは当然われわれが持っておる権能であります。時代は進歩しておりますから、保険財政もさりながら、私は保険制度のことはよくわかりませんが、少なくとも一つの船の船員はいわゆる船員保険が適用になる、片方はないというところがあるために、今日まで漁業の近代的な労働慣行も守られないし、あるいはその他のいろいろな支障が出てくる、こういうような実態です。それを救済するのが私は保険制度ではなかろうかと思う。もちろん船員保険法のほかにも保険があるし、それにお入りになったらいいじゃないかというのでは、実もふたもない。よりよく保護するために船員保険ができているのだから、最大限にこれを適用させるように御努力なさるのが、政府御当局、お役人の立場ではないかと思う。それを財政的にどうのこうのというのは、新たな問題であって、保険適用がいいかどうかは保険財政の問題で、別個の問題であります。別個の問題は別個の問題として推進するのが当然ではなかろうかと思う。その点を一言だけ申し上げておきます。  さらに、もう一つあなたにお尋ねしたいのは、前もって申し上げておきますが、この審議の最終にはもう一ぺん次長に来ていただきます。先般船員保険法が改正になりまして通ったわけでありますが、その際行方不明手当の問題がこの船員法にも出ております。これに対しては社会労働委員会ではいかなる注文があったか、お示しいただきたい。
  36. 熊崎正夫

    ○熊崎説明員 行方不明手当の中身につきましては、社会労働委員会で相当の論議がございまして、政府側の答弁としましては、やはり行方不明手当を直ちに船員保険の方に取り上げるかどうかにつきましては、十分検討の余地があるのじゃなかろうか。といいますのは、それがどういうケースでどのくらいの数が出てくるかというこにつきまして、すぐ直ちに私の方でその数を把握するということもできないわけでございます。これはもう少し実態を見た上で、はたして船員保険法の中身として消化していくのが適当であるかどうかといったことを、それぞれ私の方の関係審議機関がございますので、そういったところで論議をしていただいた上で、正式に採用するかどうかということをきめていくということで答弁をしまして、それで社会労働委員会の方は終わっております。
  37. 久保三郎

    久保委員 注文は別でしょう。それは御答弁はそうかもしれませんが…。行方不明手当の実態がわからね、こういうことでありますが、過去における統計その他はきちんとしているはずであります。どの程度の数が行方不明になっているか、これはおわかりだと思うのです。だから、今さらそれはどの程度になるかということは、どうもわれわれには解しかねると思うのです。当然これは、船員局長、お尋ねしますが、行方不明手当の条項を入れるについては、厚生省にも合議をなさったのでありましょう。その際の話はどうなっておりますか。
  38. 若狭得治

    若狭政府委員 行方不明手当の問題につきましては、われわれといたしましては、当然保険化救済対策ということを考えておるわけであります。行方不明事件が非常に多い漁船等につきましては、零細な事業が多いわけでございまして、船舶が沈没、滅失するという場合には、船主経済についても非常な困難な事態になるわけでございますので、これを法律化することは船員労働行政の面から見ましてもぜひ必要であるということで、厚生省に御検討をお願いしているということでございますが、われわれとしては、できるだけ早い機会に実現化をお願いしたいということで、お願いしておるというところでございます。
  39. 久保三郎

    久保委員 この行方不明手当の一番問題になるのは、今船員局長がおっしゃった通りであります。これは、船員保険課自体というか、厚生省自体も御存じのはずなんです。これは当然保険適用の範疇に属すべきものだ。あらためてここに出てきたのでありますが、能力のあるのは大きい船主だけでしょう。一ぱい船主なりあるいは漁船主、そういうものには能力がない。せっかく行方不明手当ができたが、能力がないところは、できてもどうにもならない。結局、これを救済するのは、保険救済制度以外にないと思うわけでございます。でありますから、これは当然この法律が通りまして、あと経過措置等がございますから、検討される重点だと思うのですが、次長さん、いかがですか。
  40. 熊崎正夫

    ○熊崎説明員 私の方は、この行方不明手当を船員保険の中身として取り入れないということを申し上げておるわけではございませんので、ただ、取り入れるかどうかということにつきまして、なお若干の時日をかしていただきたい、こういうふうに申し上げておるわけでございます。といいますのは、やはり発生状況につきましては、過去のいろいろな例でもってわかるはずと思いますけれども、しかし、何といいましても、久保先生の御指摘じゃございませんが、保険財政という立場は、いろいろな面におきまして、そういう新たな保険事項というものを採用する場合に、どういうふうな財政的な影響があるかということは、十分慎重に検討しなければならない建前になっておりますし、また新しい行方不明手当といったものにつきましては、新しい保険事項ということで新しい項目を採用することになりますので、これは国の保険事項をどのように把握していくか、法律的にどのように把握していくかというような法律的なこまかい論議も必要とするわけでございまして、これは、たまたま私の方では、船員保険法の根本的な再検討ということで、社会保険審議会の船保部会でもっていろいろ改正点について現在論議を続けておる段階でございます。その中でもやはり今度の行方不明手当の点をどうするかということは、検討の材料として取り上げることになっておりすので、そういったところで十分慎重に検討した上でぜひきめたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  41. 久保三郎

    久保委員 運輸大臣に一言お話を申し上げておきたいのであります。ただいま二点について厚生省を中心にして御質問を申し上げたわけでありますが、一点は、結局政令に譲る部門の第一種の漁船、この中には実態としても二十トン以上三十トン未満のものの中で相当に船員法適用すべきものがある。これは大臣のおられない委員会で両省からそれぞれ御回答があったのであります。ところが、今お話のあった厚生省では、保険財政の点から、非常に難点を示しているというのが実態であります。よって、保険財政の問題はもちろんございますが、財政の問題は問題として解決するという前向きの姿勢で、両省が私の質問に対して同意を与えてもらった点くらいは運輸大臣、きめてもらわなければいかぬ、こういうふうに考えている。  さらにもう一つは、今の行方不明手当も、せっかく制度としてできたが、適用され得ないということでは、せっかくの制度も死んでしまいます。これもまた、先ほどお話を申し上げた通り、保険財政の問題もあろうかと思います。しかし、これは前向きの姿勢でここまで来たんだから、さらに一歩前進して保険適用ということでやっていただきたい、こういうように思う。近い機会において、厚生大臣が主でありましょうが、あるいは大蔵大臣もそうでしょうが、これは閣議というようなところへ持っていくのには小さいかもしれませんが、しかし、この目に見えないこういうところに一応たくさんございますので、そういう点について御配慮いただきたいと思うが、どうでしょうか。
  42. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 久保さんのおっしゃいます二点は、まことにごもっともだと存じます。厚生省に対しましても、できるだけ可能な範囲内において、しかもその可能な範囲内をできるだけ大きくいたしまして、当然その恩恵に浴すべきものの範囲を多くし、そうしてりっぱな制度を打ち立てて参りますように、また私も一つ努力をいたしたいと思います。
  43. 久保三郎

    久保委員 次に、八条の改正であります。船長の発航前の検査でありますが、この改正は、「、命令の定めるところにより」ということで、「発航前に船舶航海に支障ないかどうか」、そういうことを検査しなければならぬという規定でありますが、特にこの「、命令の定めるところにより」ということを入れたのは、いかなるものであるか。
  44. 若狭得治

    若狭政府委員 命令で定めます内容といたしましては、船長は、船内設備の整備及び作業状況の確認、それから水密保持のための措置、海員の員数及び健康状態、食料、清水、薬品、燃料等の積み込み状況、船内備付関係書類の状況、気象、海象等に関する情報の確認、そういうような事項を命令で定めたいと考えております。
  45. 久保三郎

    久保委員 これはもともと船舶安全法に規定されている事項でもあるし、船舶安全法に移しがえをすべき条項ではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  46. 若狭得治

    若狭政府委員 御承知のように、船舶安全法は、一九六〇年の海上安全条約によりまして、今度近く改正するということになるわけでございます。改正の場合におきましては、現在省令あるいは告示において規定されておる事項を、法律事項としなければならぬというような問題が出て参ります。ここに書いてある事項につきましても、今後は法律事項として規定しなければならぬという問題が出てくるわけでございます。その場合に、船舶安全法において、規定するのが適当であるか、あるいは船員法において規定するのが適当であるかという問題でございますが、この条項につきましては、船舶の安全に関するものではありますけれども、船舶安全の施設関係のものではございません。むしろその人的な面、船長の義務の規定でございますので、船員法規定した方がより適当であるということで、船舶安全法の改正ということが間近いということを前提といたしまして、ここに挿入したわけでございます。
  47. 久保三郎

    久保委員 どうもこの法律は戦線整理ができていない一つのものがここにも現われているのですね、だから、この前段の「発航前に船舶航海に支障ないかどうか」、これはいわゆる船舶の堪航性の検査義務、これは当然船長船員法によってやらなければならぬのですね。さっき言った水密検査その他もこれは同様です。でありますから、これは戦線整理ができていない。船舶安全法にきめておきながら、これをこっちへ持ってきている。だから、しいてあなたがおっしゃる通りとなれば、「その他航海に必要な」云々というところがここへきているわけですが、これだけはなるほどここへ入れなければならぬかもしれぬ。労働基準法との関係においてもそうなんですね。だから、この船員法というものはどういう性格の法律かちょっとわからぬ場合が出てくるわけですね。そこに船員法の大改正をやはり私はやらなければいかぬ、こう思うのです。これはなるほど今日各条文とも全部改正になっているから大改正のようです。しかしいつか言ったように、大へん申しわけないが、中身は大したことはない。だから、本来ならば、この提案をしてくるのには、そういう法律そのものの戦線整備を遂げて、この船員法というものは、船員法労働基準法というようなところでやってくるべきだと思うのでありますが、どうもこれはあいまいだ、こういうふうに思うわけです。いずれにしても、この問題は、これから船舶安全法の改正もやるというから、その際には当然これは戦線整理のできるものはやっていく、こういうふうにしてもらったらいいと私は思います。別にこれはお返事は要りません。  それから、新しく十四条の二または十四条の三が出たわけでありますが、この「命令の定める船舶船長は、」というのは、これはどういうことでありますか。
  48. 若狭得治

    若狭政府委員 「命令の定める船舶」には、無線設備を有する船舶を予定しているわけでございます。これは異常気象、海象等について必要な通報をするということでございますので、そういう通報の可能な船舶規定する考えでございます。
  49. 久保三郎

    久保委員 そこで、「命令の定めるところにより、」云々と、これまたあるわけですね。付近の船舶あるいはその他に通報する義務、こういうことでありまして、新たにこの通報義務等が出てきているわけです。これは新たに出てきたわけですね。いかがですか。
  50. 若狭得治

    若狭政府委員 この条項につきましても、現在安全法に規定がございます。
  51. 久保三郎

    久保委員 この条項全部ですか。
  52. 若狭得治

    若狭政府委員 安全法の施行規則に同一の規定がございます。
  53. 久保三郎

    久保委員 そうだとするなら、これは船舶安全法に十四条の二ないし四までは全部入れてあるのでありますから、なぜここへ入れて参りましたか。これはどういうわけですか。
  54. 若狭得治

    若狭政府委員 先ほど申しましたように、安全法の全面改正ということになりますれば、当然こういう事項についても法律事項になるわけでございますので、安全法に規定すべきかあるいは船員法規定すべきかという問題がございまして、同時に法律改正を行なうわけでございますので、こういう問題につきましては、船舶の安全に関するものでございますけれども、むしろその人的組織に着目してこういう義務を課しておるわけでございますので、そういう意味で、船員法に入れるのが適当であるということで、船員法規定したわけでございます。従いまして、こういう条項については安全法から削除したわけでございます。
  55. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、これは形からいけば、船長の義務が非常に拡大された、こういうふうになるわけです。さらに一方、無線ということでありましたが、参議院の方には現在電波法の改正と並行して船舶職員法の改正が出ておりますが、これはどうもそうなりますと、思想が矛盾するのではなかろうか、こういうふうに思うのですが、それはいかがですか。
  56. 若狭得治

    若狭政府委員 現在船舶職員法の改正を参議院に提案いたしておりますけれども、これは無線の義務船舶の範囲を縮小しようということではございませんで、現在三名の定員を国際水準並みに一名にするということでございますので、そういう点につきましては、無線の義務船舶の数が減るというような問題ではございません。それから、こういう異常な海象、気象等の通報については、船舶安全のためには当然行なうべき通報でございますので、たとい一名になりましても、この程度の仕事を遂行するために支障があるというふうには考えられないわけでございます。
  57. 久保三郎

    久保委員 あなたは考えられないというお言葉でありますが、この船長なりそういう関係の者に、こういう義務拡大について意見を聞いたためしがございますか。
  58. 若狭得治

    若狭政府委員 先ほど御説明いたしましたように、現在船舶安全法によりましてこういう通報は行なっておるわけでございます。
  59. 久保三郎

    久保委員 さらに、船員法に入れてきたということになれば、新しい時点からものを考えなければいかぬと思うのです。そういう点からいって、当然、そういうものに一応の意見を聞いて、しかる後これを改正するかどうか、入れるかどうか、こういう点もやるべきだと思うのです。どうもわれわれはそういう点で少し納得しがたい、こういうように思うのですが、いかがですか。
  60. 若狭得治

    若狭政府委員 通報義務の内容につきましては、従来通りでございます。こういうふうな規定改正するということにつきましては、関係の団体、組合等の意見も十分に聞いておりますので、今後の実施につきましては支障がないと考えております。
  61. 久保三郎

    久保委員 われわれが聞いている範囲では、お聞きになっていない。どういう団体か知りませんが、この船長の団体というのはないようであります。——船長なりまあ団体というのはあるそうでありますが、そういうものは聞いておらぬ。聞いておりませんので、われわれは、適当な機会にそういう人の意見もこの場所で聞かなければならぬ、こういうふうに思っておりますが、まあいずれにしても、そういう船舶安全法と船員法との関係が、何べんお聞きしても、われわれにはどうもはっきりしないというかわかりにくい、こういうことであります。どうして入れんならぬか、あるいはどうしてそういうものをこっちへ持ってきたり、あっちへ持っていったりやっているのか、ちっともわからない、こういうのが実態でありますが、これはさらに検討を加えることにします。  そこで、この条項で一つお尋ねしたいのは、一つの例を申し上げますと、先般、ついことしになってから、私の県の漁船がみさきを出てから一日ぐらいで消息不明、これは行方不明というから、おそらく沈没したのだろうと思うのです。これは何トンの船か、非常に小さい船でありましたが、ドラムカンを十九本ほど積んでいたそうであります。結局、これはさっき言った船長の義務の一つになる発航前のいわゆる検査ということになりますれば、十九本のドラムカンを積み、さらに漁具を一ぱい積み、食料も積み、あるいは冷凍の氷を積みということになりますと、これは当然危険というか、そういうことがあるわけです。これに対して発航前の堪航検査の義務ということが船長には課せられておるわけでありますが、残念ながら、今の漁船船員のあり方からすれば、これは漁撈長が実権を持っているわけです。あるいは船主が実権を持っているわけです。ドラムカン何本積め、氷は幾ら積め、こういうことになるわけです。そうしますと、船長の実権というか、そういうものは全然ないわけです。そこに一つの悲劇が出てきたわけなんです。こういう例がある。さらにもう一つは、きめられた航路を通らなければいかぬのに、市場の関係やらあるいは積荷の関係やらからいって、荒天を冒して変更した航路をとる。そのための事故も出てくる。これは結局船長が責任の負えない立場に追いやられているわけですね。これに対して、当然その船舶の所有主、あるいは先ほどちょっと御説明があったと思うのでありますが、漁掛長自体の問題があるわけです。これに対して、船長のかかる義務に協力しなければならぬという条項を当然この船員法に入れるべきだと私は思うのですが、これはどうですか。
  62. 若狭得治

    若狭政府委員 船舶の航行及びその安全つにきましては、船長に全責任を持たすべきであるというお考えにつきましては同感でございます。今後われわれといたしましては、就業規則の改正、あるいは公認の際にそういう点を十分確認して、行政指導によりまして船長指揮権を確立するという方向に進んで参りたいと考えておるわけでございます。
  63. 久保三郎

    久保委員 船員局長、これはちょっと譲れないところなんです。行政指導によってやろうといっても、非常に無理がある。だから、これは法律で当然船長に対する義務を課するならば、こめ裏づけとして船舶の所有主あるいは漁撈長、こういうものの協力義務をきっちりきめて、罰則も入れてやらなければ守れない、こういうふうに思うんですが、いかがですか。行政指導ではだめですよ。
  64. 若狭得治

    若狭政府委員 船員法に定められております船長の航行安全のための指揮権を明確に守ることによりまして、そういう災害が防げるというふうに考えるわけでございます。たとえば先ほどの例によりましても、発航前の検査の規定がございますし、そういう権限を与えてあるわけでございますので、それを十分に発揮して行なえば、そういう問題は起こらないというふうにわれわれ考えるわけでございます。ただ実際問題として漁撈長の権限が非常に大きいというような問題があるわけでございますし、また漁撈長が船舶の航行について経験がない、あるいは識見がないというような問題があるかと思うのでございますけれども、そういう点につきましては、今後の行政指導によってやって参りたいと考えております。
  65. 久保三郎

    久保委員 漁撈長といい、船主といい、魚をとることが重点でありまして、そのための船舶の安全というものがついてくるのです。ところが船長船舶の安全航行が主たる任務です。そうでしょう。そこに食い違いが出てくる。しかも雇用関係は言うまでもございません。弱いものを保護するのが法律であります。弱いものに力をつけるのが法律であります。力をつけないでこれは犠牲になっていくという立場だけを強要しているのであります。これは法律の形態をなしていないと私は思うのであります。しかも法律は現実に即してきめてもらわなければいかぬですね。なるほど行政指導も必要でしょう。しかし、行政指導でやれるほど今の漁業実態はなまやさしいものであるかどうかというんです。いかがでしょう。
  66. 若狭得治

    若狭政府委員 先ほど申し上げなかったのでございすまけれども、今後の方向といたしましては、漁撈長に船長の資格をとってもらう、そういう人をなるべく漁撈長にしてもらう、船長の資格を持っている人を漁撈長にしてもらう、こういうような行政指導も必要じゃないかと考えております。
  67. 久保三郎

    久保委員 それでは話が逆でありまして、漁撈長の身分で船長の資格をとればなおあぶないということです。そういう指導はなさらぬ方がいい。むしろ船舶の航行安全の責任者はきちっと船長にして、漁撈長は魚をとる責任者、船舶の安全に対しては船長の指揮命令に従わなければならぬ、魚をとることは漁撈長、こういうふうに画然としておかぬと、これは大へんなことなんです。漁撈長が船長の資格を持ったらうまくいくだろう。とんでもない話です。そういう意味で、これはあまりやらぬ方がいいのじゃないかと私は思う。船長の資格をとっても、魚をとることの漁撈長だ、そうなった場合に、知識がないからこの通り能力以上にいろいろな積載をする、あるいは計画航路以外を通るというのじゃなくて、能力とかその仕事、実態はわかっているけれども、魚をとるためには万難を排すという昔ながらの漁撈をやっておる。それを考えなければこれは絶対だめだと思う。だから、私は、当然この条項の中には船舶所有主、さらには漁撈長というものに、船長のいわゆる義務に対して協力する義務を課すべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  68. 若狭得治

    若狭政府委員 漁撈長が船舶の運航につきまして相当な発言権を持っておるということが事故の原因であるということを申し上げましたけれども、これは漁撈長が海上における船舶の安全航行についての知識経験に乏しいというところに問題があるわけでございまして、当然そういう知識経験を得ることによって災害が防げるというふうに、われわれ考えておるわけでございます。従いまして、今、久保委員のおっしゃいましたように、漁撈長と船長と分立させまして、そのそれぞれの分担において仕事をしていくということも一つの行き方かと存じますけれども、船内におきまして一つの目的のために行動する場合に、その船舶の航行の目的を十分わきまえながら、かつその安全についても十分な知識経験を有する者が指揮権を持つことが望ましいというふうに、われわれは考えるわけでございます。従いまして、船長が漁撈長になるという場合もあり得ると思いますし、また漁撈長が船長になり得る場合もあり得ると考えます。また、久保委員のおっしゃいましたように、両者が分立しておるという場合もあり得るかと存じます。いずれにしても、船舶の航行につきましては、船長に全責任を持たせるという態勢を確立していきたいというふうに考えておるわけでございまして、これを法律の内容に規定するかどうかという問題につきまして船は、私は、船長船舶航行についての指揮命令権を法律によって確保することによって、十分まかない得るものと考えております。
  69. 久保三郎

    久保委員 先ほど一つの例を私が申し上げたのでありますが、これは船長が漁撈長なり船主の一方的な強要に応じなければならぬということから、沈没したと見るわけです。船長たる者はこの船でこれだけ積んで安全に航行できるかいなか、その判定ができなければ船長になれない。そういう実態になっていますから、そこを考えれば、あなたがおっしゃるように、十分この条項で安全が保てるという保証はないのです。保証がないからそういうことになってくる。だから、われわれとしては、どうしても船長に対する協力の義務を課すべきだ、こう思うのです。これは平行線ですか。どうしてもだめですか。どうしてもいやだとおっしゃるのですか。なぜいやなんです。協力の義務を課すことを法律でつけることがどうしていけないのですか。その理由を聞きましょう。
  70. 若狭得治

    若狭政府委員 船舶の航行の安全という面につきましては、漁撈長が協力することは当然のことでございますので、これを法律的に規定するかどうかという問題はございましょうけれども、われわれは現在の法律によって十分その実効を上げ得るものというふうに考えておるわけでございます。それは例外もございましょうし、また船長命令が十分徹底しないという場合もあろうかと思われますので、そういう点につきましては、今後従業規則の制定等につきまして、十分行政指導を行なっていきたいと考えておるわけであります。
  71. 久保三郎

    久保委員 大臣、お聞きの通りでありまして、これをどうして入れちゃいけないのか、私は判断に苦しんでいるわけです。ついては、大臣お急ぎのようでありますし、当面の問題がありましょうから、私は引きとめはいたしませんが、これは十分配慮してよろしい事柄だと思うのであります。ここでお尋ねすれば、今船員局長が言う通りという御答弁かしれませんが、そういう裏づけがないのに船長にだけ義務を課するのは、実際いって酷ですよ。特に漁船の場合が問題なんです。だから、これに対しては、法律できめるか別の問題できめるかは別として、行政指導というようななまぬるいものではだめだと私は思うのですが、いかがでしょう。
  72. 齋藤昇

    齋藤国務大臣 御質問と局長の答弁と聞いておりまして、私は久保さんがおっしゃるところにもごもっともな点があると思います。局長の申しておりまする点も、航行の安全の権限は船長に持たして、それが十分励行できるようにという趣旨には全く賛成である、おそらく法律に書く場合に非常にむずかしい点も出てくるのじゃないだろうか、と私は局長の答弁を聞いております。従いまして、これは十分検討いたしまして、御趣旨の点もいれまして、法律に十分表わしてうまくいけるものなら、それに越したことはありません。そこに非常にむずかしい立法上の技術があるかどうかという点をよく検討いたします。
  73. 久保三郎

    久保委員 大臣から検討を加えるという御回答がございましたので、次回までに、なぜ入れちゃいけないのか、その理由をはっきりさせると同時に、検討を加えるというのですから、これはやはり検討を加えて御披露いただきたい、こういうように思うのであります。  次に、三十四条のことであります。これは「貯蓄金の管理等」ということで改正がなされているわけでありますが、従来は認可事項ですね。今度は届出ということになるわけです。これは形の上から見れば非常な後退ではなかろうかと思うのです。特に社内貯金の強制がはやっている、というとおかしいが、非常に強要されるわけです。でありますから、むしろ法律的にはきつくしておくべきだと思うのです。これは従来通り認可事項にしておくのが当然ではなかろうかと思うのでありますが、なぜこういうふうに改正したのか。いかがですか。
  74. 若狭得治

    若狭政府委員 現在、貯蓄金の管理につきましては、労働基準法にも同様な規定がございまして、労働基準法では届出制になっておるわけでございます。その点につきましては、行政官庁の認可を受けさせる方が適当であるか、あるいは労働組合と使用者との書面による協定によってすべてを処理していく態勢がよいのか、という問題がございますけれども、われわれといたしましては、現在ほとんど大部分労働組合が行なっている労働基準法の方式に従うのが適当ではないか、というふうに判断いたしたわけでございます。
  75. 久保三郎

    久保委員 これは組織された労働組合がある場合は問題ないと思うのです。しかし、組織されない労働者がたくさんおる、特に漁船船員の場合だと、過半数の同意を得ればということになりますと、今の雇用の実態からいけば、船主が判を押させれば軒並み押してしまうではないでしょうか。そうなると、いやいやながら強制貯金のような形が出てくるということでありますから、届出と、こういうふうに具体的にいろいろなことを書いてあると、どうも悪用される面がある。今日労働組合のあるところは、別に認可制でも問題がありません。問題がないのになぜこういうことにしたのかというのです。この前から申し上げているように、大改正には幾らかでもつけ加えなければならぬということで、お持ちになったわけではないと思いますが、そういうことはあまり改正されなくても船員法の面目は立つわけでありまして、むしろこれは後退だと思いますが、いかがでありますか。
  76. 若狭得治

    若狭政府委員 労働組合の組織のない事業におきましては、被用者の過半数の同意を得て届け出るわけでありますけれども、その後の貯蓄金の運用につきましては、行政官庁におきましても、十分監督することができますし、むしろ労使の協定を基本とした考え方で処理していくという方が適当ではないかと考えたわけでございます。
  77. 久保三郎

    久保委員 どうもやはり改正に対する思想の混乱があるわけですね。特に漁船船員についてはこれから積極的に指導に乗り出すつもりだというので、敬意を払っておりますが、指導が先行すべきであって、実際はそういうものがこの改正に盛られなければいかぬ。その指導があってその上で初めて三十四条の改正は生きてくるのであります。ところが、その土台がないところでこれを改正しようとするのでありますから、後退である、こう言うのです。なるほどいろいろな制限を加えております。制限といっても、これは大した制限ではございません。今の三十四条で事足りるわけです。だから、こういうことはあまり改正しない方がよいと思うのです。改正しなくてもいいじゃないですか。いかがですか。
  78. 若狭得治

    若狭政府委員 この条項につきましては、先ほど申しましたように、実益ということよりも、むしろ労使の協議を前提にしてものを考えていく、行政官庁の介入というものをなるべくやめていこうというような考え方で、この認可制を取りやめたわけでございます。しかし、もし悪質なものでございますければ、行政指導によって十分まかない得る、またその届出制におきましても、行政指導は十分行ない得ると考えるわけでございます。
  79. 久保三郎

    久保委員 どうもあなたの御答弁だけでは、この条項の改正理由はよくわかりません。私としては、この条項は改正の必要なし、こういうふうに考えているわけなんです。今の三十四条で十分事足りるし、これが実態に合っていはしないか。なるほどいろいろな官庁の権力によって介入はしたくないという気持はわかります。しかし、介入しなければだんだん谷間に落ち込んでいくという階層がこの際多いのです。そういう階層に対して手当をするのが法律なんだから、やはり認可事項でいって監督を十分にしていくという方が適切ではないか、こういうふうに思うのです。労使間の問題等は、手を抜いていくのはけっこうなんです。しかし、労使間だけでは守られ得ない前近代的な要素が今日多分にあるわけですから、そういうものに対しては今までの法律の方がよろしい、こう思うのです。なるほどこれはりっぱに組織された労働組合、あるいは組織されないでも非常にりっぱにやっていける、対等の立場が保っていけるというような労働関係にあるものは、この三十四条でいくのが、自主性を尊重するという建前からいって当然かもしれません。しかし、実態はそうでないのであるから、実態に合わせて改正するというなら別ですが、これは改正の必要がないというふうに私は考えております。これはもちろん提案してきたのでありますから、改正する必要がないと言われて、そうですねと言うわけには参らぬ条項でありましょうが、こんなものは、大へん失礼でありますが、いわゆる蛇足と称するものではなかろうか。もっと改正すべき点がたくさんあるはずですが、それをやっておらぬということであります。いずれにしても、私の意見だけ申し上げておきまして、次に参りましょう。  次に三十二条でありますが、「船舶所有者は、雇入契約の締結に際し」「、命令の定めるところにより」というのを挿入したわけでありますが、これはまずいかなるものをさすのか、どういうふうに命令を定めるのか、伺いたい。
  80. 若狭得治

    若狭政府委員 三十二条におきまして、雇い入れ契約の締結に際しまして、船員に対して給料労働時間その他の労働条件を明示するということを規定いたしておるわけでございますけれども、この命令はそれを具体的に明示すべき内容を規定する考えでございます。具体的に申しますれば、労働条件のうちの最も基本的なもの、すなわち作業すべき船舶、その職務給料その他の報酬、労働時間、休日、休暇、退職、制裁等に関する事項を予定いたしておるわけでございます。
  81. 久保三郎

    久保委員 これはむしろ、この際、労働条件の明示という条項でありますから、本来ならば法文に大筋は表示すべきではなかろうかと考えるのですが、この点はいかがですか。
  82. 若狭得治

    若狭政府委員 そういう立法論もあるかと存じます。
  83. 久保三郎

    久保委員 そういう立法論もあるかと思いますというようなことでなくて私はそう考えるが、どうして、そう入れないか、入れない方が都合がいいかどうか、これはどうです。
  84. 若狭得治

    若狭政府委員 この命令にいたしました理由につきましては、そのときの経済情勢あるいは労働情勢によりまして、明示すべき内容というものがさらにつけ加えられるということも当然考えられますし、現在の労働基準法におきましても命令に委任いたしておるわけでございますので、そういう点を勘案いたしまして、命令に譲ったわけでございます。
  85. 久保三郎

    久保委員 この法律は命令とか政令に委任している点が非常に多い法律でございまして、船員局長の権限にゆだねられる部分が非常に多いのであります。相なるべくはその内容の御披露はきちっとしてもらいたいと思います。そういたしますと、さっきの命令の定めるところによる労働条件というものは、先ほど御披露があった点でありますね。それ以外にはございませんか。——それではわかりました。  次に参りましょう。国鉄でおいでになっていますから、たびたびお出ましをいただいて、何回もただ帰りでは大へん失礼でありますので、飛ばして国鉄の問題に入らせてもらいましょう。農林省はきょうはもうよろしいかと思います。大へん恐縮でした。  それでは、次に七十二条の二の改正でありますが、よくわかりませんので、この中身をまず船員局長から御説明をいただきたいと思います。
  86. 若狭得治

    若狭政府委員 現在船員法は、労働時間につきましては、航海当直をすべき職務を有するものは、一日八時間、一週五十六時間の規定があるわけでございます。また航海当直に立たぬ者については、一日八時間、一週四十八時間という規定がございます。こういう労働時間の規定がございますけれども、これは主として遠洋に就航する船舶対象とした規定でございますので、少なくとも定期的に短距離の航路を往復いたしている船舶につきましては、こういうような労働時間は実情にそぐわないということで、これにつきましては別の労働時間制をとるべきであるというふうに考えまして、船員法の基本的な労働時間のワクからはずしまして、主務大臣が指定する船舶につきましては、命令で別段の定めをしようということにしたいと考えているわけでございます。
  87. 久保三郎

    久保委員 そこで、まずこの法律の条文からお尋ねをするわけですが、「命令で別段の定めをすることができる。」とありますから、「することができる」のでありまして、しないこともあるわけですか。
  88. 若狭得治

    若狭政府委員 その通りでございます。
  89. 久保三郎

    久保委員 定めをしないという場合は、ただし書きの一日平均八時間以内であればよろしい、こういうことに相なりますか。
  90. 若狭得治

    若狭政府委員 命令で別段の定めをしない場合と申しますのは、もちろん一日平均八時間以内でなければならない。同時に、その場合には、船員法の基本に返りまして、航海当直に立つ者、立たない者というような時間の配分になると存じます。
  91. 久保三郎

    久保委員 ちょっとその後段がわかりません。命令で別段の定めをしない場合は、航海当直に立つ者、立たない者の区別があるということですが、どこで区別をつけるのですか。
  92. 若狭得治

    若狭政府委員 命令で別段の定めをしない場合におきましては、船員法の本則に返るということでございます。
  93. 久保三郎

    久保委員 そうですか。これは本則に返る、そういう意味にとってよろしいのですね。——そうすると、この本則通りにやるということは、七十二条の二を設定する理由はないわけですね。そうすると何がゆえにここに返ってきたか、定めることが前提か、定めないことが前提なのか、ちょっとわからなくなってきたのですが、いかがですか。
  94. 若狭得治

    若狭政府委員 特別の必要があるものについては、命令で別段の定めをするということでございます。
  95. 久保三郎

    久保委員 そうすると、特別の必要を認めるものというのはどういうものですか。
  96. 若狭得治

    若狭政府委員 具体的に申し上げますれば、たとえば国鉄連絡船、あるいは瀬戸内海航路を往復しておる船舶、あるいは伊豆七島等の非常に短距離の区間を往復しておる船舶等を考えておるわけでございます。
  97. 久保三郎

    久保委員 そういうのは航路を指定しておやりになるつもりでありますか。
  98. 若狭得治

    若狭政府委員 船舶を指定するわけでございます。
  99. 久保三郎

    久保委員 航路と船舶ではだいぶ違うのですか。船舶というのは何々丸ですか。
  100. 若狭得治

    若狭政府委員 船舶を指定するわけでございますけれども、この船舶は当然特定の航路に就航することを予定いたしまして指定するわけでございます。現在海上運送法によりまして、定期航路に就航する船舶につきましては、これらの変更は許可制になっておりますので、こういう短距離の定期的な航路に就航する船舶が常に変動するという場合は考えられないわけでございます。従いまして、一応船舶を指定して、この指定した船舶について特別の労働時間制をとるわけでございますけれども、これがもし他の航路に行った場合にどうなるかという問題につきましては、一応船舶を特定いたしておりますので、他の航路に行きましても、その労働時間制は変わらない。従って、もし他の航路に参りまして、別段の定めを受けた労働時間制を守れないという場合につきましては、あらためてこの指定の取り消しの申請を行なうことになると考えます。   〔塚原委員長代理退席、高橋(清)委員長代理着席〕
  101. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、同じ航路に就航する同じ事業所の船でも、船舶によっては違うということでありますか。
  102. 若狭得治

    若狭政府委員 同一の航路に同一の条件で就航しておる船舶につきましては、労働時間が変わるという場合は考えられませんけれども、先ほど御説明いたしましたように、航路が急に変わったという場合には、そういう場合も過渡的にはあると考えます。
  103. 久保三郎

    久保委員 航路は変わらないが、運航の形態が変わるというか、違っておる、そういうものは一々別ですか。こまかくなるわけですか。
  104. 若狭得治

    若狭政府委員 船舶を特定いたしますけれども、これは特定の航路を想定いたしまして、特定の航路に就航する船舶についてはすべて同一の労働時間で規定するわけでございますので、その特定の航路につきまして、労働時間の変わる船舶というのは普通の場合にはないわけでございます。ただ、先ほど申しました臨時的、過渡的によその航路から来たものについて直ちに同一の労働時間になることはないということを申し上げたわけであります。
  105. 久保三郎

    久保委員 今訂正をされたから、それでいいと思いますが、先ほどのお話だと、たとえば国鉄の青函一つとってみましても、航路は同じです。旅客船と貨物船は運航の形態が違うのです。それをあなたの先ほどのお話では違うように聞いておるけれども、そういうことはありませんね。——そうですね。そういう手数をかけないようにいきましょう。  ところで申し上げたいのは、現在の国鉄の運航状態は船員法にかなった形でやっておられるでしょうか。
  106. 若狭得治

    若狭政府委員 現在の労働時間の状況につきましては、現在の船員法規定にはそぐわないと考えております。
  107. 久保三郎

    久保委員 国鉄当局にお尋ねしますが、なぜこれはそぐわないのか、実態を御説明いただきたいと思います。
  108. 久田富治

    ○久田説明員 一つは沿革的な意味がございまして、国鉄昭和二十四年に公共企業体になりましたときには、船員法はすでに実施されておりました。しかし、国有鉄道は鉄道省でございましたので、適用除外になっておりました。その後公共企業体になりまして、初めて船員法適用になったということなのでございます。そうして、実質的には勤務時間をどうするかということは、労働組合と国鉄当局との間に、昭和二十五年に労働協約を結びまして、労働時間、休息時間を幾らにするかということを労働協約できめておりましたわけでございます。労使間においては、それが違法であるという意識がない。もう一つは、実際問題といたしまして、形式的にはなるほど一日八時間という、法文自体には抵触しておるようでございますけれども、それは単なる特定の二十四時間だけをとった場合には、なるほど八時間をこす部分が多少ございますけれども、それを二日ないし三日あるいは四日とっていただきますれば、決してそれは八時間をこしておらない。また、もう少し詳しく申し上げますと、出入港配置、そのときには、船長は、労働時間に算入せずに、命令をもって出入港配置を命令できるという規定船員法にございますが、その時間を入れまして、平均八時間をこえておるような状態でございまして、その出入港配置の労働時間をその部分だけ除きますれば、実質は八時間以内になります。  以上、いろいろ申し上げましたが、一つは、沿革的な理由、それから労使間で協約を結んでおるということ、もう一つは、実質的には法の精神を生かしてやっておること、それから、これが長い間平穏公然と昭和二十五年から過去十数年にわたってやっておるというようないろいろな点から、私どもは違法の気持はございまいません。もっとも労働時間というのは時勢が変わって参りますから、監督官庁におかれましてあくまでこれは違法であるということをいわれますれば、私どもは、労働組合とも話し合いまして、改正する気持は十分持っておるつもりであります。
  109. 久保三郎

    久保委員 ただいま国鉄の久田局長のお話でありますが、船長職務権限による労働時間を入れれば八時間以上になる、船員法自体そういうところに問題がある、これが実態だと思います。  それからもう一つは、二十五年以来実は平穏無事というか、そういうことでやってきた。それが三十三年四月以来、週休並びに休息四時間以上という要求が相当でてきた。しかも、それが、これは船員局長にお尋ねするが、三十四年の二月では、船員中労委の船員法改正委員会ですか、この方から一つの試案が出ているわけですね。その試案の扱いについてはどうなったか、試案の骨子は何か、これをお示しいただきたいと思います。
  110. 若狭得治

    若狭政府委員 今資料を手元に持っておりませんので、ちょっとお待ちを願います。
  111. 久保三郎

    久保委員 資料は私が持っておりますから、私からかわってと言っては語弊がありますが、この三十四年ですかの試案は、これは、正式に出ているわけです。これを労使間に示してその意見を聞こうということであります。これは「国鉄連絡船々員の労働時間一日平均八時間、一週間について四十八時間以内とすること。」こういうことですね。そういう意味のことを試案として出しているわけですね。ところがその試案の扱いがその後どうなったかという問題です。それを三十四年に出しまして、そのあとどうなっているのか。今日出てきたのは、ここにある七十二条の二でありますが、当然これはその試案を骨子として出さるべきではないかと思うのでありますが、いかがでしょう。
  112. 若狭得治

    若狭政府委員 この試案を実は中央労働委員会におきまして労使双方に提示いたしまして、御意見を聞いたわけでございますけれども、当時は労使双方ともこの試案については御同意を得られなかったわけでございます。
  113. 久保三郎

    久保委員 船員局長、それは違うんじゃないですか。労使双方とも御同意を得られなかったのではなくて、いわゆる労働者側はよろしい、こういうことでないですか。いわゆる国鉄当局そのものがこれはだめだというふうな御返事ではなかったのですか。いかがです。
  114. 若狭得治

    若狭政府委員 当時の状況につきましては私は詳細には存じませんけれども、われわれの報告を受けたところによりますと、現在の国鉄連絡船の職員の賃金につきましては、五十六時間制を前提にした賃金でございますので、四十八時間制に改めるということにつきましては、労働者側も御賛成を成られなかったというふうに聞いております。
  115. 久保三郎

    久保委員 それは違いますよ。結局結論は得られなかったということでしょう。労使双方のいわゆる結論が得られなかった。しかし労働者側はこれはぜひそうしてほしいという要望でなかったですか。しかも私が先ほど読み上げた試案というのはちょっと違っております。「労働時間(出入港作業に従事する時間を含む)は、一週問について四十八時間以内とし、一昼夜について少くとも連続した六時間を含む十二時間以上の休息を与えなければならない。」という試案がこの改正委員会から、船員中労委の方から出たんですね、これは事実でしょう。いかがですか。
  116. 若狭得治

    若狭政府委員 その通りでございます。
  117. 久保三郎

    久保委員 それで三十四年の三月十二日には、国鉄労働組合の方から、「内示の試案については特段の異議がないので次の回答を行ないました。」こういうことになって、回答が船員法改正委員会委員長あてに組合の方から出ているわけですね。だからこれは先ほどのお話ではだいぶ違うんではないですか。書面を読んでみますと、「貴委員会御内示の国鉄連絡船員労働時間に関する試案につきましては、特段の異議はありませんので、早急な機会に本案に基づく船員法改正をされたく、再度お願い申し上げます。」
  118. 若狭得治

    若狭政府委員 今当事の事情を調査いたしておりますけれども、いずれにいたしましても、その当時におきましては両者の御同意を得ることができなかったわけでありますけれども、三十六年四月二十六日国鉄労働組合中央執行委員長から国有鉄道総裁に申し入れた文書には、「船員労働時間は一日平均八時間、一週間について四十八時間以内とされたい。」という内容がございますので、この点につきましては四十八時間制を希望しておられるということでございます。当時につきましては、私の記憶では、労働賃金の問題、四十八時間制の問題、その両者の関連において、労働組合側としては、中労委の試案というのは受けられないというふうな結論であったというふうに理解いたしております。
  119. 久保三郎

    久保委員 それはきょう資料をお持ちでないとするなら、次の機会にはっきりしてもらいたい。私の持っている手元の資料では、はっきりそうなっておる。先ほど読み上げた通りの回答をしておるわけであります。しかも、週休制の問題は、三十三年四月二十四日に国鉄の当局にまず第一に要求しておるわけです。これは結論を得ておりません。だから、三十四年二月の内示案というか、船員中労委の船員法改正委員会からの内示案については、異議がないから、一つその線で船員法改正をしてくれ、こういう回答をしておる書面の写しがございます。そういうことからいっても、今までの船員局長の話は、どうも大へんな違いがございます。これは次の機会に、今週でありましょうが、その機会に一つはっきりしてほしい。  それから、もう一つ国鉄当局に資料を要求しますが、今の青函並びに宇高の要員というか、人員の実態、これの資料、それから船別があるかもしれませんが、その運航に必要な人員配置、そういうものを資料として出してほしい、こういうふうに思います。それから、もう一つは、ここで言うのは、内示案通りあるいはそれに近い線で、この際こういう連絡船は規定すべきが当然ではなかろうかという意見を持っておるわけです。これは、内示案そのものを私は百歩譲っても——内示案通りいけばそれは大へんいいと思う。しかし、これも国鉄実態、当局の実態からいえば、非常に無理があろう。しかしながら、一週四十四時間週休制という線は、ほかの船の実態から見ればずいぶん違うのでありますから、やはりその線を貫くための努力をすべきであると思う。そのためには多少双方とも譲り合って解決すべき問題点だと思いますが、これに対する意欲がなければ、これは船員法改正してもちっとも正しき改正でない。改悪です。だから、われわれとしては、七十二条の二はそのまま受け取りにくいということであります。この資料を要求して、本日のところは、あとまた同僚の質問があるそうでありますから、打ち切っておきます。以上です。      ————◇—————
  120. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 国鉄経営に関する件について、調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。肥田次郎君。
  121. 肥田次郎

    ○肥田委員 先般、三月三十一日の問題ですが、実は国鉄当局の不手ぎわだとわれわれは思っていますが、期末手当の紛争から問題があったようであります。ところが、これは三月三十一日の早朝に解決をしたということが、新聞に載っております。非常にけっこうなことでありまして、このことで当日の運行はあまり支障がなかっただろうとわれわれは思っておるのですが、その通りでしょうか。
  122. 音田和夫

    ○音田説明員 お答えいたします。  先般の闘争の場合の列車のおくれにつきましてのお尋ねでございますが、私ども列車のおくれを表わしますのに、全国の主要個所三十カ所ばかりを押えまして、そこを通過いたします列車の一日のおくれを集計いたしまして大体表わしておるわけでございますが、闘争のございませんでした三月の上旬の平常と考えられます状態の運行状態で、そのおくれの数字を拾ってみますと、大体一万分足らずでございます。ところが、三十一日には相当に列車が混乱いたしまして、ただいま申し上げました一万分に相当いたします数に対応いたしますものを申し上げますと、約十万分になっております。従いまして、それだけで全体の運行を判断いたしますのにはやや疑問はございますが、大ざっぱに申し上げまして、平常の場合の十倍ぐらいなおくれが出ておるわけであります。こういったような状態でございます。
  123. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は問題の焦点をしぼって質問いたしますから、お答えをいただきたいと思います。  当日の夕刻におけるところの影響というものは、どういうものでしょうか。
  124. 音田和夫

    ○音田説明員 当日夕刻は、ほとんど影響はございません。と申しますのは、私どもが見ておりまして、列車の運行に支障のあるような事態が発生いたしましたのは二十三時前後でございまして、それ以降からのおくれでございます。
  125. 肥田次郎

    ○肥田委員 二十三時というのは、三十一日の二十三時ですか。
  126. 音田和夫

    ○音田説明員 三十日であります。
  127. 肥田次郎

    ○肥田委員 そうしますと、これはどういうふうに理解をしたらよろしいのですか。三月三十一日の「第二つばめ」がプラットホームに入ってくるのは、大体十六時二十分ちょっと過ぎておったように思いますが、そういうふうに報告を聞きました。そうしてそれからしばらくして、「さくら」が入ってきました。「さくら」が入ってきたのは、これは十六時四十分ぐらいだったかと思います。ところが、その「さくら」が十六時五十五分くらいに先発をしまして、そうして「つばめ」はさらにおくれて、私が聞いたのでは十七時十七分くらいに発車した。いわゆる四十六、七分の遅発だった、こういうことになるのですが、これはどういうところに原因があったのでようか。
  128. 音田和夫

    ○音田説明員 具体的によく調べておりませんので、大体の見当しか申し上げられないのでございますが、御承知のように、三十一日の早朝に東海道方面の列車が非常に混乱いたしまして、車両の運用が非常に混乱いたしましたためと、列車のおくれによります東京駅の着線などの関係で、そういうふうになったように思います。
  129. 肥田次郎

    ○肥田委員 これは局長、報告はないのですか。ないのですかというよりも、御承知ないのですか。普通の一般列車ならばともかくも、特別急行という優等列車がどういう運行状態にあったかということの報告は、御承知ないのですか。
  130. 音田和夫

    ○音田説明員 とっておるのでございますが、本日持って参っておりません。
  131. 肥田次郎

    ○肥田委員 じゃ、率直に内容を申し上げますが、今私が言ったように、「つばめ」は大体十六時二十分ごろに入構した。そうして「さくら」は十六時四十分前後、三十五分か四十分前後に入構した。そうして「さくら」が先発をしたのが、先ほど言ったように十六時五十五分前後、正確には言えませんが、前後、それからさらに二十分以上おくれて「第二つばめ」が発車した、こういうことになっている。それからその列車は、大阪へ到着するまでに、大体一時間四十九分くらいおくれて大阪へ到着しました。この間の関係について、どういうふうに判断されますか。「さくら」が「つばめ」より先行したということと、それから予定通り発車できるように到着しておったところの特急列車が、予定通りに発車できなくて、十七時十七分くらいに発車した。これをさらに申し上げると、食堂車の材料を積み込むために「第二つばめ」の発車がおくれたんだ、こういうことなんです。ただし、事情を聞くと、こういうことがありました。この車は、予備車を使ったので、そういうことの準備がなかったのだ、こういうことは列車ボーイから聞きました。そこで「さくら」と「つばめ」の速力の違いというものもありますが、問題になるのはやはり数点あると思います。まず第一に、なぜ「つばめ」が「さくら」より先に、定時に発車できる状態で構内に入っておりながら、四十五、六分もおくれて発車したのか、これが一つ。それからこの理由は、一面では今言ったように日本食堂の材料を積み込むためにおくれたんだといことがある。そうすると、特急列車という看板列車が一時間四十九分もおくれることよりも、日本食堂の材料を積むことの方が大切なんだという、こういう取り扱い方を駅でやっておる。車掌が、こういうふうに車内放送をしていました。日本食堂の——日本食堂とは言わなかったと思うけれども、食堂の材料を積み込むために今しばらくお待ち下さいという車内放送をしておった。こういうことは、実際にはどういうふうにお考えになりますか。
  132. 音田和夫

    ○音田説明員 この場合、先ほど申し上げましたように、具体的な理由をよく承知いたしておりませんが、一般的に申し上げますと、ごくわずかな時間で積み込みが終わりますような場合は、全然そのために列車がおくれることがないとは申し上げかねますが、こんなにひどくおくれることは、普通のわれわれの常識といたしましても考えられないところでありまして、何かほかに原因があったことを、非常に集約いたしまして放送したのではないかと考えております。私が具体的に見ておりました一つの例で申し上げますと、当日本社で徹夜をいたしまして、気になりました「第一こだま」の出発の状態をホームに出まして見ておりますと、列車は入っておるのでございますが、電車が運転休止をいたしておりましたために、お客さんの便利を考えまして、約三十分おくらせまして出発させるつもりで私は指示をいたしまして、東京駅のホームに出たわけでございますが、見ておりますと、その前にローカルの汽車が入っております。そのあとに横須賀線の電車が出て参りまして、「第一こだま」は予定よりさらに七分おくれて出発いたしておりまして、ホームで見ておりますと、わけがわからないのでありますが、調べてみますと、乗務員が、前夜来の遅延のために、助士の方が出て参りませんで、それの手配のためにおくれておったような状態もありまして、そのような事情もあわせ考えまして、私は食堂だけではないように思いますが、なお詳しい点をよく調べましてお答えいたします。
  133. 肥田次郎

    ○肥田委員 今の答弁は、私の聞いたこととはあまり関係のない御答弁です。私が聞いておるのは、具体的な例をあげているのですよ。定時に発車できる状態で入構した車が、食堂の材料を積み込むために四十五、六分もかかっているという、この事実は運行上正しいことだと思っておられるのかどうかということ、これを聞いておるのです。
  134. 音田和夫

    ○音田説明員 私は、それは正しいことであるとは思っておりません。
  135. 肥田次郎

    ○肥田委員 そうすると、これは大切なことなんですが、私はこういうふうに考えておる。食堂車というのは、優等車ですから、なくてはならぬ面があると思います。しかし、そういうふうに四十五、六分もかかって食堂の材料を積み込まなければならぬというようなときには、食堂車はなくてもいいじゃないですか。実際には途中で積み込みをするところ、列車何とか会社というのがありますね。弁当会社がありますから幾らでも持ち込める条件がある。四十五分も六分も発車をおくらせて、ですから、入構してから大体五十分以上も、東京駅にとまったまま列車の食堂の材料を積まなければならぬということは、客へサービスなのか、日本食堂へのサービスなのか、この点が私は問題になると思います。だから、将来そういう条件が生まれてきた場合には、どうされますか。そういう際には、時間通りに発車さすということが先行すると思われますか。それとも、やはり食堂がなければいかぬというので、食堂材料を積ますために時間をおくらせますか。どっちの手段をとりますか。
  136. 音田和夫

    ○音田説明員 それは予定の時刻通りに発車するように指示いたします。先ほど申し上げましたのは、私のただいまの気持といたしましては、食堂だけのために四十五分おくれたようにはちょっと理解ができないのでございまが、この点はよく調べまして御説明いたします。
  137. 肥田次郎

    ○肥田委員 その点については、将来もあることだから、私は特別に取り上げさしていただきました。ですから、将来そういうことが起こった場合には、そういうことのないように、いわゆる発車がもう当然の建前なんだということを厳重に守ってもらいたいと思います。  そこで、こういう関係は、あなたの方で責任を持たれますか。列車に乗っている一般乗客は、当日の未明にいわゆる年度末手当の問題が解決をしたのに、まだこじれてここまできておるのだ、そういう錯覚を起こしておる。乗客こそいい迷惑だと思う。それから国鉄労働組合も、私は大へんな迷惑だと思う。何だ、こんなにおくれるのはみんな国鉄労働組合が悪いからじゃないか、こういうふうな印象を持つ。これは私はとんでもないことだと思うのです。こういう関係もありますから、国鉄労組は、被害者の立場として、当然あなたの方へ何か文句があるだろうと私は思います。  それからもう一つ、「さくら」がなぜ「つばめ」より先行したのか、これは一つ厳重に調べてもらいたいと私は思います。理由は、私はやはり食堂にあると思いますけれども、そこで列車のボーイも車掌も、みんな頭痛はち巻をやっておる。「さくら」はたしか九十キロでしょう。それから「つばめ」は百キロ、そうすると、十キロの速度差があるものだから、幾ら「つばめ」が走ったってだめじゃないですか。ちょっと走れば「さくら」が前にへたっておる、ちょっと走れば「さくら」がへたっておるということで、そのままの状態で大阪へ着いたときには、「さくら」と「つばめ」とほとんど同着で、競馬なら同着でいいけれども、列車の同着というものは、あまり感心しない。そうして一時間四十九分おくれて、零時四十九分到着でした。この「第二つばめ」の到着時刻というものについては、私は重大な影響があったと思う。当日の二十三時に到着すべき列車が、翌日の零時四十九分、いわゆる真夜中にほうり出された乗客の迷惑というものは、大へんでした。あらゆる乗り物がなくなって、残っておるのはタクシーだけ、こういう状態です。こういう問題について、どうお考えなんでしょうか。最初に私がお聞きしたときに、影響があったのは三十日の二十三時ごろであった、それ以後はあまり影響はないのだ、こういうお答えをいただいた。私は、これはもう非常にけっこうなことだと思っておる。ところが、事実また一日おくれてしまうところまで影響があったという、この理由については、相当な説明をしてもらわなければ納得できない。
  138. 音田和夫

    ○音田説明員 先ほどおくれにつきまして全般的に申し上げましたのは、三十日は二十三時ごろになりましてからおくれが出たと申し上げたのでございまして、三十一日のおくれにつきましては、先ほど申し上げましたように、大体十倍ぐらいなおくれが出ておるように申し上げたつもりでございます。
  139. 肥田次郎

    ○肥田委員 「さくら」が先に出たのはどうなっている。それを聞いているのです。
  140. 音田和夫

    ○音田説明員 それは三十一日ではございませんでした。三十一日は、先ほど申し上げましたように、特に東海道のおくれが大きく、全般的には十倍くらいなおくれになっておりましたので、早朝以来の列車の遅延のために、車両の運行が混乱いたしたことが非常に影響があると思うのであります。具体的に「さくら」と「つばめ」の問題につきましては、ここで御説明申し上げる資料を持っておりませんので、よく調査いたしてから御説明いたします。
  141. 肥田次郎

    ○肥田委員 その点は、一つ十分理由を明らかにしてもらいたいと思います。  それからこれに関連して、重要な問題なんですが、委員長、ほかにどなたかお見えになっていませんか。
  142. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 営業局長に連絡をとっているそうです。
  143. 肥田次郎

    ○肥田委員 それではちょっと政務次官にお伺いしたいのですが……。   (「関連」と呼ぶ者あり)
  144. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 それでは關谷君。
  145. 關谷勝利

    ○關谷委員 運転局長関連して一つお尋ねしておきたいのですが、昨晩ちょっと人を迎えに東京駅に参りました。そうしたところが、二十一時五十分に出る「六甲」というたと思いますが、東京——大阪間の急行のはずですが、車も入っておるし、乗客も全部整列して待っておるのに、一向乗せようとしない。もう時間がくるかと思ったところが、駅長室のマイクで、発車二分前になりましたとき客を乗せて下さいということで、ようやく扉を開いて乗せた。二分前までぎりぎり一ぱい乗せないというようなまことに不親切なことを、私がこの目で見てきておるので、間違いありません。私は口が悪いから、助役に、なぜこんなことをするんだ、ばかやろうと言ったら、何だかごちゃごちゃ言うただけで答弁なしでしたが、よく調べて下さい。そういうふうなことをいつもやることが多いのですが、愛媛県の遺族会が来て、団体がそこへ五百人ばかり集まっておる。そうすると、一般の客は先に乗せて、団体の客は別に乗せる。半分乗って、まだ乗りかけておるのに発車して、一人は大かたけがをしようというのを、抱きかかえて私の秘書が乗せた。そしてあとの分は、電車で追っかけて品川かどこかで積んだという。遺族がけがでもしようかというような状態、半分積み残して、追っかけてようやく積んだというふうなこともあって、まことに不都合な、このごろの国鉄は大体思い上がっておるんじゃないかという気がするのですが、この二つの事実、これは間違いのない事実ですから、よく調べて、将来そういうことのないようにしなければならぬが、こういう事実があったということをよく調べておいて下さい。
  146. 音田和夫

    ○音田説明員 十分調査いたしまして、そういったことのないようにいたしたいと思います。
  147. 肥田次郎

    ○肥田委員 これは次官の正しいものの見方ということで一つ意見を聞きたいのですが、御承知のように、一時間四十九分おくれて大阪駅に到着しました。そしてそれらの乗客に対する迷惑、損害というものについてはともかくとして、特急だとか、急行だとか、準急だとかいう特別列車に急行料金がそれぞれついておりますが、このついておる急行料金は、二時間以上延着した場合には払い戻す、こういうことを実際やっております。ところが、一時間五十九分でも払い戻しはしないのです。一時間四十九分でも、もちろんしないのです。こういう制度について、どうお考えなんでしょうか。私は、この問題について再検討する必要があるんじゃないか、こう考えておるのです。払い戻しのこの二時間という時間の限定、これは私は、営業関係の責任者が見えたら、一つその区分、内訳というようなものについてもう少し聞きたいと思うのですが、本質的な問題として、二時間という時間の限定をして払い戻しをやる、この根拠が非常に薄弱だと思う。ですから、そういう制度というものはここで改める必要があるのじゃないか、こういうふうに考えるのですが……。
  148. 有馬英治

    ○有馬政府委員 二時間に決定になるまでの事情につきましては、それぞれ理由があって定められたことだと思いますし、当然運輸省といたしましても、その協議をいたしまして決定になったことと思います。その二時間の制度が現状に沿っておるかどうかということについては、ただいままで現状に沿っておるという考え方のもとに続けておるわけでございますが、そのこと自体が現状において非常に迷惑をかけておるということになれば、改正の必要もあるかと思いますが、二時間と決定した以上、一時間五十九分の場合でも——まことに人情においては忍びがたいものがありますが、税金の場合の免税と同じように、きまった通りにしなければならないと運輸省の方では考えておりますが、後刻、二時間決定の根拠その他正確なことを、営業の方からお話しする機会をいただきたいと思います。
  149. 肥田次郎

    ○肥田委員 実は政務次官、私は、十年一日、同じことをやってきておる運輸省国鉄当局に考え方を聞こうとは思っていないのです。それは特に、俗に言うところの乗る身になった立場、一般の国民という立場、こういう立場でものを見たらおのずから変わってくるんですから、その変わってきたところの立場におられる次官の考え方をお伺いしたわけなんです。私は、問題を突き詰めるとかなんとかいうような、そういう固苦しい問題じゃなしに、延着に対する払い戻しというものは、何らの根拠もないじゃないか。だから、これはどう説明せられても、私はその説明を、ああそうか、そんならわかったということにはならないのです。ああそういうやり方でやっておるのかという範囲だと私は思うのですが、そういうところで次官のお考え一つ聞いておきたいということを申し上げたのです。特に、次官、こういうことをお考えになるでしょう。たとえば特急も急行も準急も、払い戻しの制限時間というものはあるのです。ところが、たとえば東京——大阪の例をとりますと、特急は六時間半で走っております。この六時間半で走っておるのが、二時間おくれたら特急料金は払い戻しをいたしますというこの考え方。それから普通東京——大阪の電車ですと、大体「いこま」だったか、「やましろ」、「せっつ」、こういうクラスは、七時間二十五分で走っております。これでも二時間。それから夜間の急行になりますと、実にぼっておりますが、夜間は十時間半から十一時間かかって、急行という看板をぶら下げておるだけで急行料金をとって、これも二時間おくれたら払い戻しをいたします、こういう。六時間半の場合も、七時間二十五分の場合も、十時間半の場合も、二時間というものは変わらない。この矛盾をどうお考えでしょうか。
  150. 有馬英治

    ○有馬政府委員 今の二時間制を決定いたしましたのは、その当時の交通事情と申しますか、配車その他の列車の事情からきまっておるものだと思いますが、肥田委員のおっしゃるように、今日では相当な変化が起こっております。従いまして、原則としては、肥田委員のおっしゃることは、私の常識から考えれば、筋としては正しいと思います。しかしながら、私はまだそのこと自体について、率直に申しまして、国鉄の方からその実情も聞いておりませんので、従いまして、御意向を承りまして、運輸省といたしましては直ちにその問題の検討に入りたいと思います。
  151. 肥田次郎

    ○肥田委員 次官、何でしょうね、正しいということじゃなしに、今おっしゃったように、今までの古い習慣が今日まで来ておる。ところが、内容は昔とは比べものにならぬほど変わってきておる。そうすると、当然改められてしかるべきものだ、こういう私の気持なんですが、これに賛成していただけますね。
  152. 有馬英治

    ○有馬政府委員 そう申したいところでございますが、実情並びに経過について、私はただいま正確な知識を持っておりませんので、その方向に努めることをお約束いたします。
  153. 肥田次郎

    ○肥田委員 どうも、次官、うまいこと、逃げられますが、おそらく次官の口と腹は別だろうと思います。腹の中では、それは君の言う通りだ、こうお考えになっておると思うのですが、実際に比率から見たってそうでしょう。六時間三十分に対する二時間、十時間半から十一時間に対する二時間というのは、理由にならぬです。説明を受けたところで、全然根拠がない。私は、こういうことはもっと合理的に改める時期が来ておるように考えるのです。その際にはぜひ一つ協力をいただきたいと思います。口はともかくとして、腹の中では賛成をいただいておると思っていますから。運転局長、あなたの方ではこういう問題について基礎的な材料を提供されるのですから、一つの定見は持っておられるでしょうが、こういう問題についてどうお考えになりますか。
  154. 音田和夫

    ○音田説明員 まことに申しわけない話でございますが、私、その点につきまして明快な御説明ができるだけの資料を持っておりませんので……。
  155. 肥田次郎

    ○肥田委員 しかし、特急料金というものは、スピードで出しておるでしょう。急行は急行料金、準急は準急の料金です。この料金は、それぞれの所要時間に対してとっておるところの特別料金です。一般鈍行列車については、そういうものはつけていないのですから。ところが、天災でも何でもない、当局の責任において起こったところの延着については、六時間半で到着いたしますという手形を発行して料金をとっておるのですからね、それが二時間おくれればということの比率と、普通急行料金の所要時間に対する二時間というものと、それからさらには普通急行でも、今言ったように七時間半で昼間走れるところを夜間では十一時間半から十二時間になっておる、さらに準急に対する料金の払い戻しが同一のもので規制されるという矛盾は、私はむしろ皆さん方の方でよくわかっておられるのじゃないかと思うのですが、どうなんでしょう。
  156. 音田和夫

    ○音田説明員 御趣旨もわからないわけではございませんが、事務的に一つ考えてみましても、ただいまは東京−名古屋間のお話であったわけでありますが、全国的に見ますと、同じ特急でございましても、運転距離が非常に長い場合もありますし、急行、準急にいたしましても、到達時間が非常にまちまちでございますので、それらの点をあわせ考えまして、ただいま先生のおっしゃったような面から差をつけますことは、いろいろな点で実際にできがたいような点もございますので、そういったことをあわせ考えまして、現在の規則ができておるように私は承知いたしております。
  157. 肥田次郎

    ○肥田委員 あなた方が平生論議をしておられることを言ってもらったらいい。今の言葉なんかやはりその一部分だと思いますが、それは確かにおっしゃる通りです。東京から鹿児島まで行く列車もあるのです。しかし、区分ができないという道理はないでしょう。東京−鹿児島間の所要時間に対する二時間という比率は、実はそう大したものじゃないのです。ところが、東京−大阪間の二時間という比率は、今言ったように六時間半で着くやつが二時間おくれるということになるので、大へんな時間的な比率を持っている。高率なんですね。これらを、めんどうくさいから十ぱ一からげにこれだけというのは、あなた方自身矛盾を感じておられるでしょうということを私は言っておる。どうでしょうか。
  158. 音田和夫

    ○音田説明員 あまりお答えにならないで恐縮でありますが、確かにおっしゃるような点も考えなければならないと思いますが、こういうふうにあるべきだというまでの勉強もいたしておりませんので、ここで御答弁いたしかねます。
  159. 久保三郎

    久保委員 関連運転局長でありますから、営業面のことになるので確かに答弁しにくいと思うのですが、鉄道陣営の幹部の一人としてお尋ねしているので、別にここで言質をとったからどうという問題でないと思って、そういうふうに御答弁いただいた方がよいと思います。  もう一つは、今鹿児島−東京間あるいは東京−大阪問というのでは、二時間のおくれでもだいぶ違うわけです。そういうところからいって、特殊な列車もあるようでありますから、そういうのを列車別の運賃とからみ合わして設定するのも、一つの方法です。それによって払い戻しの状況をきめられると思うのです。だから、そういう点もやはり考えていくべき時期だと思うのです。そういう点も考えてみたらどうか、こういうように思います。  もう一つは、さっきの食堂の積み込みで云々ということでありますが、私も、積み込みに四十五分かかったとは思っていないのです。それは五分か十分であります。そのおくれが、今度は線路あるいは列車のダイヤ、機関車に当たりがきて、心ならずも四十五分もおくれただろうと思うのです。ところが、放送がこれまた十ぱ一からげで、食堂のためということになった、そういうこともあると思うのです。一つは、運転整備の仕方も問題があろうと思います。いずれにしても、食料を品川で積んでくれば、何も東京でお客さんを待たして、おくれた列車にまたおくれを増すようなことはしないで済んだと思う。そういう積み込みの問題も考えてほしいと私は思うのです。
  160. 肥田次郎

    ○肥田委員 それでは、当の営業担当の方が見えませんので、この質問は次の機会に続けていきたいと思います。  そこで、一言運転局長に申し上げておきたいのは、私が取り上げた「さくら」と「つばめ」の関係です。問題点は、「つばめ」が先に入っており、平常ならこれが発車できる条件にありながら、「さくら」が先発した。その間各種の列車がどんどん先発して、結局四十六、七分もおくれて「第二つばめ」が発車をした。ですから、スピードを出すにも、前の「さくら」がじゃまをしているということも間違いがない。途中のいろいろな関係から列車が混乱をして、正常なダイヤ通り動けなかったという事実は、苦干あったと思います。しかし、最初の四十六、七分おくれたというのは、決して乗務上の問題ではない。これらは言うところの当日の朝までに解決した争議の延長が、その日の夕方までたまたままだ障害を来たしておった。そうしてそれが夜中まで列車の運行に支障を来たしておった、こういうふうにすべてのものを結びつけられることは、きわめて遺憾だと思います。出発点で四十六分もおくれた列車、走ろうと思っても、十キロのスピードの差というものは、御承知のように東京−大阪間五百五十キロほどでしょう、そうすると、百キロに対して十キロおくれるのですよ。だから、「つばめ」が先行できないために、あとからあとから追っかけていかなければならない。この「つばめ」自身の持っておる速度が出せないでおくれておる面がたくさんある。幾ら走ろうと思ったって走れないでしょう。現に名古屋を過ぎてから、そうなのです。名古屋でなしに、おそらく私がはっと気がついたのは、もう浜松あたりだったのです。もうそのころに、それぞれの地域に対して到着時間が来ておるのです。だから、前には列車がいない。いないのになぜおくれるのかということでボーイに聞いたところが、前に「さくら」がおるのです、こう言っておる。だから十キロのスピードの差がついておる「さくら」が先行しておるから、あとから走ってもまたとまらなければならぬ、走ってもまたとまらなければならぬ、こういう関係が出ておる。だから十キロの差を持っておる「さくら」が先行したということは、運転指導上の重大なミスだと思っておるのです。これを東京駅でどういう関係で見過ごされておったのか、これが私は問題だと思います。ですから、この点についてはその責任がまるで期末手当の紛争の後編であるかのような、そういうことではなしに、すっきりした解明をしてもらう必要がある。これが私は運転局長あたりのダイヤを指導する立場から見た責任ある処置ではないかと思います。この点だけを強く私は要望いたしまして、次回に継続して質問をさせていただくことにいたします。
  161. 有馬英治

    ○有馬政府委員 肥田委員の御質問に対しましては、この次のできるだけ早い機会に、この委員会で御答弁をさせていただきたいと思います。
  162. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 次会は、来たる六日、金曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。  なおただいまから理事会を開きますから理事の方はお集まりを願います。    午後一時二十一分散会