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1962-03-29 第40回国会 衆議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十九日(木曜日)    午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 簡牛 凡夫君    理事 關谷 勝利君 理事 高橋清一郎君    理事 塚原 俊郎君 理事 福家 俊一君    理事 山田 彌一君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       伊藤 郷一君    生田 宏一君       宇田 國榮君    川野 芳滿君       木村 俊夫君    佐々木義武君       砂原  格君    竹内 俊吉君       西村 英一君    細田 吉藏君       石村 英雄君    加藤 勘十君       兒玉 末男君    松原喜之次君       内海  清君  出席政府委員         運輸政務次官  有馬 英治君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (船員局長)  若狹 得治君  委員外出席者         厚生事務官         (保険局船員保         険課長)    中村 一成君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      林田悠紀夫君         農林事務官         (水産庁漁政部         協同組合課長) 森   博君         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     関  四郎君     ————————————— 三月二十九日  委員矢尾喜三郎辞任につき、その補欠として  兒玉末男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員兒玉末男辞任につき、その補欠として矢  尾喜三郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  船員法の一部を改正する法律案内閣提出第三  八号)  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 これより会議を開きます。  国鉄経営に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 国鉄から関常務理事だけ今のところおいででありますから、最近の問題の一つについてさしあたりお尋ねするわけです。というのは、先般も少しお話が出ましたが、東洋電機というか、そういうものにからんでの汚職というか、まだ判定はつきかねると思うのでありますが、まあいずれにしても、本社課長容疑で逮捕されているという事態でありますし、東洋電機国鉄関係の中でも有数なメーカーのように聞いております。そういう点に関してお尋ねをするわけでありますが、この問題に関連して、本社関係者として今日検察当局に招致されている者はどういう方々であるか、あるいは検察当局家宅捜査をいたしたそうでありますが、そういう家宅捜査された部門はどういう部門であるのか、それをお尋ねしたい。
  4. 関四郎

    関説明員 お答え申し上げます。  最初に、これの事実がどうであったかということは、まだ司直の手で調べられているところでありますからわかりませんですが、ただ、こういうように世間をお騒がせして、国鉄の信用を傷つけたということに対しては、大へん申しわけなく考えております。  ただいま御質問の招致、召喚された人間というのは、工作局車両課長福崎直治、これ一名でございます。それから、家宅捜索を受けましたのは、本社工作局車両課長部屋車両課部屋でございます。それからもう一つは、福崎直治の自宅、これだけでございます。
  5. 久保三郎

    久保委員 そこで、年度末を控えているわけでありますが、車両課長が召喚され、さらに車両課自体捜査されたのでありますが、その捜査をされて、当然証拠書類というか、物件押収があったと思います。これによくて、今日国鉄決算期を控え、新年度を迎える時期にあたって、業務支障はないのかどうか、いかがですか。
  6. 関四郎

    関説明員 この決算期にあたって、全然事務支障がないということは申せませんですが、しかし、決算事務とかいわゆる業者との契約関係購入関係というものは、これは資材局車両課で取り扱っておりまして、工作局車両課はそういう事務を取り扱っておりませんので、直接この年度末の業務支払い事務とかなんとかに支障を来たすということは、今のところないように存じております。
  7. 久保三郎

    久保委員 そこで、この車両課仕事というのは、特にメーカーに関してどういう仕事がございますか。
  8. 関四郎

    関説明員 車両課工作局資材局にございまして、工作局車両課と申しますのは、国鉄の中で、営業部門とか運転部門でもってどういうような種類の車がどれくらい要る、どういう性能の車がどれがほしいというような要求に応じまして、その性能に当たる車では何の車がいいかということを具体的にきめまして、これを要求に応じてどの車は何両ということを査定して、たとえば三十六年度なら三十六年度は、こういう種類の車がこれだけ要るからこの調達を頼むということを、資材局車両課の方に回してやる、こういう仕事でございます。
  9. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、やはりメーカーの一番関心の的というのは、工作局車両課車両選定あるいは両数の策定、こういうものが最大の関心の的だと思うのですが、そう感じ取ってよろしゅうございますか。
  10. 関四郎

    関説明員 車両種類数量というようなことは、この工作局車両課が非常に大きな責任を持っているわけでございます。しかし、たとえば今度新聞等によって承知いたしているような、たとえば電気機関車というような問題になりますと、これは電気局がやっております電化工事進捗状況によりまして、これの完成時期がいつになるか、そのときまでにそこのところの蒸気運転電気運転にかえるために何両の車が要るかということになりますと、これは全く車両課できめるといっても、実際は全体の電化計画そのものによってきまってくる、こういうことになると思います。
  11. 久保三郎

    久保委員 特にこの車両種類でありますが、この選定工作局車両課でやられるということでありますが、そうなりますと、聞くところによれば、車両にしても大体随意契約というようなことで、特殊なメーカーとの関係が出ているというように聞いておりますが、そうだとするならば、車両課の動向は非常に重大な関心を呼ぶところだと思うのですが、そう理解してよろしゅうございますか。
  12. 関四郎

    関説明員 これはメーカー選定その他が今これから始まるということでありますと、これは非常に重大な責任を持つことになるわけでございますが、実は、数年前に大体、各種の車が非常に多く出ますために、これを専門別車両別にその専門メーカーを分けようということでございまして、たとえば電気機関車で申しますと、これが交流式電化というものが始まって参りまして、このために従来電気機関車は、東芝、日立、三菱という大電気メーカーのほかに、川崎車輌とか東洋電機とか富士電機とか、こういうところがやっておりましたのですが、これを交流直流に分けまして、直流電気機関車は今のところ川崎車輌東洋電機の二社ということに数年前からきめているわけでございまして、直流電気機関車の製作は将来だんだん減ってきて、将来は交流電気機関車だけになっていくだろうという見通しで、メーカー直流の方は二社、交流の方は三社、こういうふうにきめたわけでございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 次にお尋ねしたいのは、メーカーを特定するということは、価格等も特定するということに相なりますか。
  14. 関四郎

    関説明員 もちろん両社の価格は同一価格にいたしております。
  15. 久保三郎

    久保委員 その価格の設定は、残念ながら二社でありますから、二社に随意契約ということになりますれば、競争入札関係というものは出てこぬと思うのであります。そうなった場合には、両数もさりながら、値段国鉄当局が一方的にきめてやるのか、それとも見積もり契約というか、そういうものでやるのか、どっちなんですか。
  16. 関四郎

    関説明員 これは従来からの購入実績価格がありまして、これに設計変更とかその他を加え、また原材料の値上がり、値下がりその他を考慮いたしまして、この価格を、原価計算資材局において精密にやりまして、これによって契約をきめております。それでありますから、最近の状態では、実質的に機関車値段その他全般的に車両値段は、一般物価騰貴にもかかわらず、些少ながら値下がりという傾向になっております。
  17. 久保三郎

    久保委員 値下がりというのはちょっとわかりませんけれども、この中には当然マージンも含めて原価計算しておるのですか。
  18. 関四郎

    関説明員 一定の基準にきめられましたマージンはもちろん見ております。
  19. 久保三郎

    久保委員 そのマージン基準というのはどこできめるわけですか。
  20. 関四郎

    関説明員 これは資材局原価計算基準でもってきめているわけであります。
  21. 久保三郎

    久保委員 こういう場合のマージン基準というのは、何か特定な計算方式でもおありですか。
  22. 関四郎

    関説明員 これの基準のもとになるところは私詳しく今承知しておりませんが、とにかくこれは一般製造業の中にきめられている基準によっているものと承知いたしております。
  23. 久保三郎

    久保委員 どうもその辺がわれわれにはわかりかねるのでありますが、いずれにしても、マージンをどこにとるかというような問題があるかと思うのであります。そこで、具体的に東洋電機の問題が出ましたが、東洋電機国鉄に占める部門というのはどういう部門で、取引関係はどのくらいになっているんでしょうか。
  24. 関四郎

    関説明員 大体車両費が三十六年度で申しますと、約六百億の車両を作り、それに車両部品が百八十億で、大体外部に対する車両関係取引が七百八十億になっておりますが、そのうち東洋電機については約二十億でございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 東洋電機は主としてどういう種類のものを納入しているのですか。
  26. 関四郎

    関説明員 東洋電機は現在車両完成品としては直流電気機関車だけでありまして、これが約九億、それからあと東洋電機が昔から得意といたしております主電動機電動発電機、パンタグラフ、輪軸抵抗カルダン式動力伝達装置、こういうようなものを納入いたしております。とれが約十一億で合わせて二十億であります。
  27. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、東洋電機国鉄関係は、品物の納入先というか、そういうものは工作局車両課ということに限定されますか。私専門家でないのでわかりませんが、それとも別な部門にございますか。
  28. 関四郎

    関説明員 納入先国鉄でありまして、その納入する受け取りは資材局が担当しておるわけであります。
  29. 久保三郎

    久保委員 それを使用というか、資材局が検収して受け取るでしょうが、今までのお話からいくと、工作局車両課で使うというか、発注元というか、原動力というか、そういうところがまずもとのように思うのでありますが、主電動機等はどの部門からいわゆる発注要求資材局にあるのですか。
  30. 関四郎

    関説明員 この主電動機は、機関車とか電車とか、こういうものの発注数量がきまりすと、これからどういう型の電動機が何個要るということを資材局で計算いたしまして、たとえば主電動機でありますと約五社ございますが、これに割り当てるわけでございます。それによって割り当てまして、それができたものは、これを各電車メーカーとか機関車メーカーの方に配給するわけであります。こういう事務は、全部工作局が担当せずに資材局になります。  それから、完成した車両ができて参りました場合には、車両管理というものは工作局でやっておりますが、使用運転局関係でやっております。
  31. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、やはり車両課は、東洋電機というようなメーカーに対しては、キー・ポイントを押えるようなところにもなるわけだと思うのであります。  私はここで資料の要求一つお願いしたいのであります。特に車両関係を重点にした過去一年間の種類別発注先ですか、その数量並びに金額を後刻出していただきたい、こういうふうに思います。  こまかいことをお尋ねするのは本意ではございませんけれども、かねがねいろいろなうわさが飛んでおりまして、特に最近の車両近代化というようなところから、いろいろ問題があるようでありますが、不幸にして今度東洋電機の問題から発展して、工作局車両課長なるものが現在被疑者として逮捕されているということは、実際言って決して軽いものではないだろうと私は思うのであります。東海道新幹線工事にからんでも、事件は私は知りませんが、いまだ結着はついていないと思うのであります。発展をするのかしないのかわかりませんが、こういう状態お尋ねする方もあまり気持のいいものではないのです。しかし、これは現在のやり方あるいはものの考え方にゆがみがあるから、こういうことが来ておると思うのでありまして、単に事務の手続や何かを変えても、なかなか防ぎおおせるものではないだろうと思う。結局その日暮らしというか、そういう考え方経営あるいは管理がなされておるというところに問題がありはしないか。いわゆる安易な方法ですべてが流れていくというところに問題があるので、今日の国鉄公社自体の機構あるいは人事の問題になろうかと思うのであります。  そこで、副総裁がお見えでありますから、お尋ねしたいのでありますが、かかる汚職というか、汚職ときめつけるにはまだ早いと思うのでありますが、少なくともそういう要素が出ること自体に対して、前回もお尋ねしましたが、単に反省をし自粛をしていきたいというだけではだめだと私は思うのであります。そこで、先ほど私が申し上げたように、精神の入れかえをする必要がありはしないか、こういうように思うのです。そういう点について副総裁はいかがお考えになられているか、あるいはこういう問題に対してどういう対策をお考えであるのか、そういう点を一つお漏らしいただきたいと思います。
  32. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 国鉄幹部職員の中から容疑者を出したということにつきましては、全く申しわけなく思っておるわけでございまするが、こういうような事柄に対する対策といたしましては、別の機会にも申し上げたことがあったかと存じますが、制度的な面におきまして、できるだけ相互牽制制度と申しますか、単独で勝手なことがきめられないような制度を、制度的には逐次強化いたしますとともに、またこの種の問題というのは、最後のところまで参りますと、やはり各人の心がまえの問題ということになりますので、そういう点に対しましては、あらゆる機会を通じて厳重に相戒めるように今まで努めてきておったような次第でございますが、それにもかかわらず、こういうような事態が起こってきたということは、まことに申しわけないと存じます。しかし、やはり人間のことでございますので、今人事のことについてお尋ねがございましたのですが、この点に対しましては、資材購入に当たるポジションのものにつきましては、特にあまり長期間にわたって同じ人間が同じ仕事をやりませんように、最大限三年以内くらいまでに必ず人をかえるというような方法もとっておるような次第でございます。そういうような点で、人事の運用ということにつきましても、細心の注意を払っておったつもりでございましたけれども、今後もなお一そう十分注意をいたしたい、かように存じております。
  33. 久保三郎

    久保委員 私は、どうも、副総裁お話もわからぬわけではありませんが、特に二つの点で、単独できめられないような制度にしてある、これだけでは残念ながらうまくないだろうと思うのです。それからもう一つは、長期間そういう部署に置かないんだ、これもまずいと思うのですね。むしろそれ以前の問題として、やはりトップレベルというか、そういう方々が、任期がくればおれはやめるんだ、こういう考え指揮監督というか、そういうことをされていること自体がやはり問題がありはしないか、こういうようにも思うのです。大へん失礼な言い分でありますが、何とか任期がくればいいんだ、平穏無事でやっていこうということでは、経営というものはうまくいかないんじゃないか。だから公社のあり方についても考える時期じゃないかと思うのです。問題は、単に東洋電機の問題で公社車両課長がどうこうということを口走るのは、ちょっとちょうちんにつりがねということになるかもしれませんが、私は、単にこういう小さな問題だけでなくて、そういうところにも問題がありはしないか、こういうように思うのですが、いかがでしょう。
  34. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 トップ人事任期性があるというようなことも問題ではないかというお話でございますが、これは一利一害でございまして、私どもといたしましては、やはり現在のような企業体制度になっております際に、トップマネージメント立場にあります役員については、やはりこれは会社の役員でも任期もあることでございまするし、任期というものがはっきりいたしておる方が、どちらかと申せばよろしいのではなかろうか、その方が妥当なのではなかろうかというふうに考えております。しかし、要は、任期さえ無事に過ごせばあとはどうでもいいというような心がまえで、もしそれらの者がおりますれば、まことに不都合なことでございまして、任期満了まで全力をあげて仕事に当たるということでなければならないと思っております。制度といたしまして、任期制度がいいか悪いかということにつきましては、私も簡単にいいとか悪いとかということは申し上げにくいのでございますけれども、全体の体制というものを考えました場合に、やはりどちらかと申せば、任期性というふうなことがはっきりいたしておる方がよろしいのではないだろうかというふうに考えております。
  35. 久保三郎

    久保委員 誤解があるようですが、私は任期がない方がいいということは言っておりません。あなたにお聞きしたいのは、結局今トップマネージメントとおっしゃいましたが、総裁初めトップレベルにおられる方は、今日経営者としておられるのか、管理者としておられるのか、どちらなんでしょう。
  36. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 管理者なのか経営者なのかということでございますが、これは日本国有鉄道法の定義するところによりますれば、別に管理者であるとか経営者であるとかいうような言葉はいずれも用いられてはおりません。そういう定義はございません。ございませんが、国民の財産責任を持ってお預かりしておる立場にあるという点から申しますれば、管理者でございまするし、またかつての国の特別会計で運営しておりました事業を、独立の企業体としてこれを継続して経営していかなければならない立場にあるという観点から見ますれば、経営者でもある、こういうことになるかと思います。
  37. 久保三郎

    久保委員 この管理者というのは、人の財産を預かって、まあまあやっていけばいいということだろうと思うのです、平たく言えば。もちろん効率よくやれということはございますが、経営という場合には、もっと広い視野に立った立場じゃなかろうかと思うのであります。今お話があったのは、いずれもということでありますが、しいて私も管理者であるか経営者であるかというきめつけ方をしようということではありませんが、少なくともこういう汚職が、まあ東海道新幹線にすれば発展をしないで済んでいるようでありますが、今度は車両関係に飛び火してきたということに相なりますと、どっちでもいいけれども、どうも効率よく財産を動かしているとは考えられない、こういうふうに思うわけです。これは結局、先ほども申し上げたように、何か狭い視野に立った管理者的傾向がずっとあるから、こういうところへくる。今の部署にいるときに、言葉は悪いのでありますが、いい意味じゃなくて悪い意味で、やれるだけやっておけ、そういう考えか下まで通っているとすれば、大へんな間違いだと思うのです。この点はどうなんですか。
  38. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 ただいまのお話の中の、それぞれの地位にある間に、悪い意味においてやれるだけのことをやっておけなどというようなことは、これはもう全くとんでもないと申しますか、絶対あってはならないことでございまして、国有鉄道役職員は申すまでもないことでございますが、国鉄企業目的というものを遂行しなければならない責任があるわけでございまして、その点は日本国有鉄道法の第一条にも書いてございますが、国鉄事業経営し、能率的な運営によりこれを発展せしめる、ということが国有鉄道設立目的でございますので、その地位を利用して、その間に、しかも悪い意味で、できるだけのことをやっておけなどということは問題にならないととだと思います。
  39. 久保三郎

    久保委員 そこで、別な問題へ変わりますが、昨日午後社会労働委員会で、現在起きている問題について参考人から意見も聞きました。初めて私はわかりました。実際きのうの当委員会でのお話は、副総裁初め皆さんからのお話だけでありましたが、われわれは推測を多少交えておりました。ところが、きのう参考人からきちっとしたお話を聞きますと、私は善意に解釈して、そんなことはないだろうと、半ば疑問を持ちながら、同僚の皆さんお話を聞いていたのでありますが、参考人意見を聞いてから、ああなるほどそうかと、私は大体頭へくるのはおそい方で、血のめぐりが悪い方でありますから、おそかったのでありますが、聞いてみると、これではどうも困ることだ、しかも見ようによっては意地の悪いとり方であるというふうに、きのうの午前中はとりましたが、今日はそうでなくて、何かやはり国鉄労働組合というか、そういうものを窮地へ追い込んでいって、明日からの、好まない不測の事態を引き起こさせようというようなコースを、どうも歩ませてきておるように私は感じてならないのであります。  そこで、もう社労委員会労働大臣も出て、あなたの結論めいたお話も伺いました。伺いましたが、もしも経営者として、お読みになりました国鉄法経営者としての立場から考えるならば、これは少しく反省すべきではないか。なるほどおっしゃるでしょう。何もわれわれは手違いないのだ、当局としては手違いないのだ、これは当然じゃないかというふうにお答えになるかもしれませんが、そうじゃなくて、経営者として広い視野に立ってものを判断する場合には、残念ながらこれでは少し欠けるところがありはしないかと私は思うのです。東洋電機問題一つをとりましても、今までのお答えは、大へん失礼でありますが、何回も聞いておりますが、形式的な、あるいは理屈は正しいが、どうもそこに何かさらに前進したものが、われわれにはうかがい知ることができないことは非常に残念だと思う。私は、そういう意味で、きのうあなたがお帰りになってから、国鉄組合責任者が来て、参考人として意見を述べられた。これはあなたも間接的にお聞きになっていると思うのであります。あなた自身は、中村常務あるいは河村職員局長から、それぞれいきさつについては、一方的ではあるかもしれませんが、意見を聞いておると思う。時間的な問題、言葉のやりとりの点からいけば、あなた自身も実際これは多少まずいと思うと思うのです。これは言うまでもありません。あなたも御承知だと思うのでありますが、組合の方は早急に団交をやろうという気がまえだったそうであります。ところが、他の公社との関係振り合いを見て、それできめようじゃないかというような、中村常務その他のお話がございまして、実は遷延したとか延ばしたという。その場合も、当然、今日の経営状況からいって、これはもちろん黒字になったから全部それをどうしろというのではなくて、当然昨年に比較してこの程度よけいになったということになりますれば、だれもが考えることは、去年よりは少しは多いだろうとか、あるいは最悪の場合でもとんとんくらいじゃないかという期待を持っているわけです。かたがた、当局からは、他公社との振り合いも見て一つ考えようじゃないかというような、なごやかな円満な話があれば、これに気を許して、と言っては語弊がありますが、当然のごとくそういうコースを歩むと思った。ところが、去る二十六日かにも、御承知のように団体交渉継続というようなことを言って参りましたあとで、夜中になって他の組合との妥結を見た。朝起きてみたら、団体交渉継続という期間中にもかかわらず、どうも出し抜かれた格好だというのでは、これは頭にこざるを得ないのではないかと、私は善意に公平に見て思うのです。そこで、これは理屈をいえば双方にいろいろありましょう。しかし、経営全体を握る者はあなたであり、あなたを含めた幹部だけなんです。だからそういう視野に立ってやるべきだと私は思うのです。きのうの社労委員会からお帰りになって、いろいろお考えをいただいたこととも思うのでありますが、この事態をきのうも私は当委員会で申し上げた。とにかく理屈を言う場所でなくて、この事態をいかに解決するかが問題であろう、こういうように私は思うのです。不測の事態を思いながら、みすみすそこへ追い込んでいくというようなことは、労使ともというか、全体から見てこれは不幸なものである。出すならば経営者としては高い視野に立ってこの解決に努力すべきではないだろうか。もちろんこれに対するお答えは、きのうと同じように、誠意を持って団体交渉は継続中でありますからやりますという御返事かもしれませんが、それじゃ少し足りないのじゃなかろうかと思うのです。私はそういう考えを持っているのですが、私が今まで述べた考えについて、いかがあなたはお考えでしょうか。
  40. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今度の団体交渉がどういう事情でこういうことになったかといういきさつにつきましては、昨日もお答えを申し上げたところでございまして、自然の成り行きでこういうことにならざるを得なかったのでございますが、率直に反省いたしまして、でき得れば、私どもとしては、国鉄部内のすべての組合と同時的に問題を解決することが一番望ましかったと思いますし、今後もできる限りはそうすべきものであろうと考えますけれども、今回の事態につきましては、昨日もるる申し上げました通りの事情でございまして、当局側の申し入れに対して、自分たちの組合はそれでよろしいという組合が先にありましたので、それらの組合と妥結する運びに至ったのでございます。私も昨日社会労働委員会組合側の参考人を呼ばれてお聞きになられたことの概要を後ほど承りましたが、実は率直に申し上げまして、多少言葉は穏当を欠くかもしれませんけれども、私といたしまして御質問を受けました際に一番気になっておりましたことは、当局が何かぺてんをやったのじゃないか、背信行為をやったのじゃないか、そういうことを意識してやったのじゃないかというような意味お尋ねがございまして、それだけは、実は私といたしまして、何と申しますか、そういう気持が毛頭ありませんでしただけに、この点は一番私としても気になっておったおけでございまするが、昨日の御質問の中に、国鉄当局側は国鉄労働組合と団体交渉をする過程において、君たちと話がまとまらない限りは、ほかの組合と妥結するようなことはしないということを言っておったそうじゃないか、こういうような趣旨のお尋ねもございました。私はそういうことは毛頭なかろうと思っておりましたが、あるいはそういうこともあったかもしれない。もしそういうことがあったとすれば、これはまことにお言葉の通り背信と申しますか、そうおっしゃられても仕方がないと思っておりましたのですが、昨日組合側の参考人が述べられたごとの概要を後ほど伺いましたところ、そういうようなことを当局側の者が言っておる事実はないということが、組合側の方の御発言によっても裏書きされたというふうに伺いまして、その点は私もよかったと思っておるようなわけでございます。しかし、組合全体を通じて問題を落着させるということが、私どもとして責任を負っておることで、ございますので、昨日もお答えを申し上げましたように、なお誠意を持って問題の円満な解決をはかりたいと思っております。ただ事柄が年度末手当の問題でございますので、時間的に制限がございます。そういう点で、私どもといたしまして少しでも早くこの問題を解決するように、なお一そう努力をいたしたい、かように存じております。
  41. 久保三郎

    久保委員 背信行為云々の問題は、それはとりようでございますが、参考人からもそれはないということであります。ただ言われることは、そういう陥穽に陥ったというふうにとられるのも当然ではなかろうかという結果を今日招来しておるということは、これは事実だと思うのです。しかし、あえて背信行為であるかどうかということについては、私は別に申し上げません。申し上げませんが、少なくとも——他の組合と妥結しようがしまいが、それは御自由でございまして、これはいいと思うのです。しかしながら、団体交渉を継続しているのでありますから、これは多少の前進か何かは実際いって考えられることなんです。まあ考えられるとするならば、あなたの方で別な組合は別として、当局として人格は一人でありますから、その当局が他の組合と妥結しようという意図がわいたとするならば、当然団体交渉を継続中の組合に対して、信義の上に立つならば、残念ながら君の方との団体交渉は決裂だというふうな通告を、私はしろうとでわかりませんが、なさるべきが本来ではなかったか。それも怠って、今日までいわゆる団体交渉継続中だということでは、残念ながらどうも、第三者が詳しい事情は知らぬという場合は、あなたのお気に召さないかもしれませんが、陥穽に陥った、あるいは背信行為、ぺてんにかけたという言葉が出るのも当然でありまして、決してあなたの人格を疑っているわけではないと思うのです。結果としてそういうものが出てくる、こうだと思います。  そこで、私は最後に一言だけ、加藤先生からもお尋ねがあるそうでございますから、申し上げたいのですが、日にちがありませんからということであります。ありませんが、まだきょうは二十九日でございまして、年度末まで、三十一日までございます。少なくともそこの事態を収拾するという高い視野経営者が立つならば、本日なり明日の、日のあるうちに事態を解決するような努力をなさるべきだと思うのだが、その点はいかがでしょう。
  42. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私どもが問題を円満に落着させるように努力をすべきことは当然でございます。今後とも引き続き誠意を持って団体交渉に当たるようにいたしたいと考えております。
  43. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 関連。今の副総裁お答えについて、ちょっと関連質問をしたいと思います。  その一は、きのうからの国鉄労組との団体交渉の過程において、他の組合との交渉が妥結した。そのときに、国鉄労組に対しては、君の方との話し合いがまとまらぬうちはほかの組合との妥結はしない、こういうことを言うたということに対しての御弁明がありまして、そうでないということを今お答えになったのであります。それは言葉だけですから、私どもはどちらがどうということを言うつもりはありませんけれども、少なくとも国鉄当局としてはこういうことはお考えにならなかったのですか。国鉄労組と一方において交渉しつつある、そうして幾つかの組合が他にもある、その他の組合と話し合って、そのことが全従業員の利害に関連する問題について一部のほかの組合とだけで話をすれば、団体交渉中の他の組合の側がどういう感じを持つかということと、結果においてはそれが明らかに従業員に対する分割支配になり、そのことが従業員相互の間にどういう感情をかもし出すであろうかということについての考慮は払わなかったのでしょうか。これが第一です。  第二には、私は、国鉄の多くの従業員諸君が幾つかの団体に分かれておるということは非常に不幸なことだと思いまするが、現実には幾つかの組合に分かれておるわけなんです。その一番大きい影響力を持つ組合——大きいとか小さいとか言えば語弊がありましょうけれども、ともかく全従業員に一番大きな影響力を持つ組合に対して、団体交渉の途中で、他の組合との話が成り立って、大きな影響を持つ方の組合が、非常な不利なといいまするか、不面目な立場をとらなければならぬようになってしまう、こういう場合において、これらの組合当局に対してどういう感じを持つであろうかということをお考えになったことがありますかどうか。  まずこの二つをお伺いしたいと思います。
  44. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今お尋ねになりましたことのまず最初の、全従業員との関係についてどうお前たちは考えるのかという点でございまするが、私どもといたしましては、問題の性質によりましていろいろございますが、特に給与の問題につきましては、これは組合の所属が違うからといって、別な扱いなどできるはずもございませんし、またそういうことをすべきものでもございませんから、いつでもでき得る限り、組合が数個ございます場合には、すべての組合と同時に問題を解決いたすように、私の方といたしましては今まで努力をいたしておりましたし、また実際問題といたしまして、組合側におかれましてもばらばらになるということは、いろいろな問題もあることでございますので、組合の相互の間においても、これは私どもの方の側からは関係のないことでございまするが、実際問題として組合側の間においてもいろいろな連絡等がございまして、大体同じ時期に問題の妥結をするというのが従来のならわしでございました。今後ともまた特に給与の問題につきましては、組合の所属によって差別をするというようなことはできませんので、今後もできるだけ一本の扱いにし、またその線で問題を妥結できるように進めて参りたいということが、私どもの念願いたしておることでございまして、こういう問題で差別をつけて今おっしゃいました、いわゆる分割支配というようなことをやるということは、これはとんでもない話だと思っております。問題が問題でありましたので、すべての四つの組合と実際には団体交渉をやっておったわけでありまするが、この四つの組合に対して私どもとしては同じことを申し上げざるを得ない、同じことを申し上げておったわけでございましたところ、たまたま団体交渉がなかなか円滑に進みませんで、国鉄労働組合はさらに明日繰り返して団交を継続しようというような話になって、それを当局側も受けておったわけでありますが、四つの組合がございますので、一つ組合の話が済んだあとで次の組合の話を受けないわけには参りません。次の組合とさらに団交いたしておりました際に、別の次の組合の方は、国鉄労働組合に対して私どもが申しておったのと同じ条件でそれでは了承しよう、こういうようなことになりましたので、それを待ってくれというわけには参りかねることでございまして、妥結をいたしたというのが正直な実情でございます。しかし、結果といたしまして、今お尋ねのございましたように、一番大きな組合である国鉄労働組合は困っておられるであろうということは、想像できないこともございません。しかし、私どもの態度といたしましては、再々申し上げますように、組合員の数が多いから少ないからということで違った態度をとるというわけにも参りませんので、同時に解決できなかったということは、私どもといたしましても遺憾には存じておりまするけれども、国鉄労働組合との間で話がまだまとまっておりませんので、この点につきましては、今後まだ若干の時日もあることでございますから、さらに誠意を尽くして団体交渉に当たるようにさしていただきたい、かように考えておるのでございます。
  45. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 今の副総裁お答えですと、こういうことが次に当然考えられる。幾つかの組合があって同じように交渉をしておいでになる。私どもも、それらの組合組合員が所属しておる個々の職場においての問題でありますれば、これはその組合個々できめられていいと思うのです。けれども、今おっしゃるように、給与というような全従業員に関係を持っておる問題については、かりに一つ組合がまとまったからというて、それで全部を押しつけるわけにはいかない。ことに数の上からいって、それを全員に押しつけるということはできない。だから、あなたがおっしゃるように、交渉は個々にされても、いよいよ今おっしゃる一つ組合当局の申し出を了承して、そこで妥結をするから、妥結するやつは待ってくれということは言われなかったから妥結した、こうおっしゃるのですけれども、私は、そういう場合に幾つかの組合があるならば一その組合に対する信義上からいっても、当然、君の方はわかりました、じゃあ、君の方のやつはそういうことにしておいて、まだ他の組合が話が進行中だから、他の組合と話をつけるようにするから、その上で一つ協定をしようじゃないか、こういうことが従業員の組織に対する尊重ということになると思うのです。あなた方の考えの中に労働組合というものを非常に軽んじられておるという潜在意識があるから、そういうことが行なわれることになると思う。これは私は非常に経営当事者としては当を得ていない態度だと思うのです。言葉ではどのようにでも言い回すこともできますし、言いくるめることもできまするけれども、具体的に現われた態度から見れば、決してそれは妥当な労働組合を尊重するという態度にはならないと思うのです。こういう点についてどうお考えになりますか。
  46. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 あるいは先生は、国鉄当局側が国鉄労働組合となお団交中であり、しかもまだ結論が出ていないということを他の組合にはよく話もせずに、他の組合とだけ妥結をしたというふうにお思いになっておられはしないかと思われますので、今まで申し上げなかったことでございますけれども、ただいま申し上げたいと思いますが、他の労働組合、三つの組合と妥結いたします際には、それぞれ国鉄労働組合との間の団交はまだまとまってはいない、従って当局側としては、年度末手当でありまするし、大勢の子供が新たに進学するというような人たちもたくさんいますし、できれば三十一日に支給できるようにしたいと考えておるけれども、これを実際に支給するのは、国鉄労働組合との話がきまってからでなければ、支給はできませんよということまで話してあるのであります。それで、他の三つの組合は、それでけっこうですから、こういうことで妥結をしましようという話になって妥結をしておるのでありまして、私どもといたしましては、事の成り行きから考えまして、これ以外に方法はなかったと思っております。しかし、大方針と申しますか、大きな考え方といたしまして、すべての労働組合と同時に解決するということが一番望ましいことでございまするし、特に給与の問題でありますだけに差別待遇をいたすわけに参りませんから、そういうふうにいたしたいということはかねがね考えておりましたし、その考えを今捨てたわけでもなし、変えたわけでもなし、いわんや分裂支配とか、そういうようなことを考えておったわけではないのでございまして、たまたま事の成り行き上問題の落着が円満に行かないような姿がここに出て参ったということにつきましては、私どもには不手ぎわな点があったかと思いますけれども、今回のことはまことにやむを得なかったのでございまして、なお今後さらに国鉄労働組合との間で誠意を持って団体交渉に当たりたいという考えでおりますから、御了承いただきたいと思うのでございます。
  47. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 今お話しのように、ただ三つの組合とかりに妥結ができたからといって、それをそのまま全員に押しつけるわけにはいかない、当然残った組合との話し合いもつけなければ支給ができないから、誠意を持ってできるだけ早くその方にも言うことを聞いてもらうように努める、こういうお話でしたね。それならば、ほんとうに労働組合というものをあなた方が尊重していらっしゃるならば、三つの組合との妥結という最終結論を待つまでもなく、それをそのままにしておいて、そういう過程において国鉄労組の方に話しかけられたらどうだったのですか。そうすれば、国鉄労組の方でも、話し合いがまだ進んでおるようだけれども、協定は結ばれていない、ことに三つの組合がそういうことを言っているならば、おれの方もそれなら聞こうかという気持になるかもしれないし、あるいは三つの組合に向かって、もっと交渉の余地がある、去年とことしと比べてみれば、ことしの方が営業成績がいいんだから、去年よりも低いということは常識上ないじゃないか、三つの組合に反省を促すということもできるのだし、そういう若干の余地を残しておいて、国鉄労組と話し合いをされることが私は常識上妥当だと思うのです。それを、一方だけをきめてしまって、そして今度は、一方の方はきまったんだ、お前の方は——言葉ではどんな丁寧な言葉を使われても、どうにでも勝手にせよ、こう言わんばかりの態度をとるということは、私はこの国鉄労組に対して経営当局者は挑発しておると思うのです。実際問題として、今後何かの問題が起これば、それは明らかにあなた方の方からの挑発なんです。そういうことは、私は経営当事者としては妥当を欠いていると思うのですが、こういう点についてどうお考えでしょうか。
  48. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私どもの考えておりましたことは、先ほど来申し上げておりますように、挑発をしようとか分割支配をやろうというようなことを考えておったわけでは毛頭ないのでございまして、それをなお挑発を受けたとして実力行使その他に及ばれるということがかりにありといたしますれば、私どもとして、こんなに心外と申しますか、残念なことはないわけでございます。三つの他の組合は、やはり年度末手当の性質上、一日も早く実際に支給してほしいという気持が非常に強く働いておられたためと思いますけれども、実際の支給期日の方は、国労との団体交渉の関係もあるしするから、三十一日にぴたりと間に合うというわけにはいかなくなる場合があることを承知しておいてくれということまで念を押したのに対して、いや、それはわかっている、わかっているが、自分たちとしては早くこの条件で話をきめてもらいたいから、当局の申し出通りでよろしいということでございますので、妥結をしたのであります。  それから、なお去年よりも少ない額でという言葉もございましたが、なるほど支給の率という点では、去年よりは少のうございますけれども、その後ベース・アップその他が行なわれておりまして、額そのものについてはほぼ昨年を下回ることのない姿になっておりますので、この点も御了承いただきたいと思います。
  49. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 私が今ここで問題にしているのは、額の問題じゃないのですよ。額はどうあろうとも、少なければ少ないで組合全部が納得すれば、それでいいのだ。問題は、さっき言うように、三つの組合が承諾した、承諾したならば、それでは調印だけは国鉄労組の方とも話し合うから、ちょっと待ってくれと言って、そういう形において国鉄労組の方に呼びかけて、幸いに団交の進行中なんだから、その進行中に、三つの組合はこうこうであるから、一つ君の方も考えてくれぬか、こう言われることが僕は常識上妥当だと言うのですよ。それを、あなたの方は、三つのものはもうあのときはこっちの言い分をいれたから、当然妥結すべきものだから妥結した、妥結してしまっておいて、さてお前の方はどうだといって国鉄労組の方に向かわれれば、どんなにあなた方が善意を持っておられても、現われた結果というものは悪意に現われてくるんですよ。これはあなたは立場を変えてごらんになるとどう思われるか。問題は経営者が従業員を大事にする、そこだと思うんですよ。言葉だけの問題ではない。結果として態度に現われることが一番重要なものです。そういう点で、私はあなた方の今度とられた態度というものはきわめて遺憾であると思いますが、いかがですか。
  50. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私どもとしましては、差別待遇をするとか、ぺてんにかけるとかいうようなことは決して考えておりませんでした。ただ、結果がこういうふうになっておりますが、それを悪意に解釈するのは当然ではないかというお言葉もございますけれども、ほんとうに事の成り行きというものを知っていただけば、私はまた釈然と了解するということもお願いできないことでないのではなかろうかと思います。そういうふうに考えますので、なお今後誠意を尽くして国労との間で団交を重ねて参りたいと思うのでございます。
  51. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 肥田次郎君。
  52. 肥田次郎

    ○肥田委員 先ほどの久保委員の質問の内容と同じ東洋電機関係で質問の継続をしたいと思います。  まず、電気機関車のことについてはわかりましたが、次に今国鉄の方で考えておられるところの気動車——客車の種類はそうでないとしても、気動車には相当の種類がありますが、今後も継続していこうと考えておられる気動車の種類というものは幾種類くらいですか。その形態はどんなものを考えておられるのでしょうか。
  53. 関四郎

    関説明員 気動車は、大体現在その系統別に言いますと、特急用、急行・準急用、それから普通のローカル列車用、この三種類、もう一つ馬力の上から申しまして、平坦線用と勾配線用、こういうふうに分かれておりまして、大体普通車用と準急行用がこの平坦線用と勾配線用とに分れておりますから、大体大分けしますと、五種類、これに一等車と二等車の区別がつきますので、正確な種類の数はちょっと申し上げかねますが、大ざっぱに申し上げまして、そういうような種類が今後も標準になっていくと考えております。
  54. 肥田次郎

    ○肥田委員 これらの車両の製造については、それぞれ違っておりますか。幾社くらいにこれらの車両の製造をやらせておられますか。
  55. 関四郎

    関説明員 気動車の製造は現在五社に割り当てております。日本車輛、新潟鉄工所、帝国車輛、東急車輛、富士重工、この五社でございます。
  56. 肥田次郎

    ○肥田委員 この車両についての価格の算定基準ですが、各社の車両の製造価格については、これはどういうように調節しておられますか。
  57. 関四郎

    関説明員 気動車の価格については、これは従来からの気動車の購入価格、それに新しい改良を加えたとか、新技術を取り入れていこうということ、それからまた原材料の価格の変動というものを、原価計算のところでもって全部精密に計算いたしまして、これによって妥当な価格を幾らにするかということをきめ、これに対して、随意契約の形をとっておりますために、これの価格をできるだけ安く、いいものを買おうという方針で進めているわけでございます。  実はこの気動車並びに電車その他鉄道車両一般につきましての車両購入価格をきめるということのために、三十四年に車両購入価格調査委員会というものを作りまして、これは一橋大学の古川先生を委員長にしまして、部外の委員約十名で、大体車両専門家または経済界の方々を集めまして、いかにしたらいい車両を安く買えるかということを御審議いただきまして、大体この答申によりまして従来から車両を買っております。随意契約という方法車両工場としての計画生産という点で車両価格を安くすることができるだろう。ただ、こういうふうなきまったところから買うということになりますと、これが今までの惰性になれてしまっては困るから、これに対して刺激を与える。しかし、あまり大きな変動を与えてはいけないというので、この車両購入につきましては数量で——そのメーカーの技術の程度とか価格についての協力の度合いとか、それから納入期日に間に合わしたかおくれたかというような協力の度合いとか、こういうようないろいろな要素を組み合わせまして、これに対して大体過去の実績を七割ぐらい、それからその後のいろいろな協力の度合いとかその他を三割見まして、これを変動数量としまして、これによって次第にいい車を、しかも期日通りに入れてくる、そして値段の交渉のときも非常に協力したというようなところに対しては、次第に発注数量がふえていくというような方式をとって、これによってほぼ妥当な線が得られている、こう考えております。
  58. 肥田次郎

    ○肥田委員 妥当な数字が得られているということは、そちらのお考え方ですから、こちらにはよく理解できませんが、そうすると、三割の変動率を持っておって、そうして価格をきめておるということになるんですね。そうすると何ですか、最初から一車両に対しての価格の指定は、限定はされておらないということになりますか。それからもう一つ、製造技術によって車両価格がやはり三〇%の変動の中に入るのですか。たとえば一つの型のものを作りなさいということでやられておるのか、そうじゃなしに、大ざっぱにこういう形態のものを作れという概念だけで、設計はメーカーにまかしておるということになるのですか、技術がどうこうという算定基準が出てくるということになると。
  59. 関四郎

    関説明員 今の技術の点でございますが、これは、その年に納められた車両の中から、抜き取り的に、ランダムに見本を引っぱり出しまして、年に一回車両のできばえ審査というものをやっております。これは各方面の——各方面というか、うちの中の、各地から集まりました車両専門家がこれを全部非常に精密に検査いたしまして、たとえばびょう一本ゆるんでおるというところまで非常に精密に検査し、また塗料——ペイントでありますと、これをはがしてみて正規の通り塗ってあるかということを調べまして、その結果全体的に採点をいたしまして、この採点の結果を品質と技術という点の基準の点数にしているわけでございます。それから、価格については、価格交渉の場合に、こちらの方で大体原価計算をして予定価格というものを持っておるわけでございます。これに対して最終的な一車当たりの契約単価というものがきまるわけですが、その交渉の間にそれを促進させるための手段として、こちらの予定価格に対して早く予定価格以下に協力してくれたところに多少数量で加減するというようなことをして、できるだけ価格の値下げの協力を促進するようにするという手段をとっております。
  60. 肥田次郎

    ○肥田委員 そうすると、三〇%の変動率を見ておるということは、実は生産奨励金というのですか。品質に対する奨励金というようなもので、ほんとうの価格というものは予想価格の七割というものに限られるというふうに理解するのは誤りですか。たとば三〇%というものを別にとっておりますね。この三〇%は、品物のできばえによりまして三〇%の中から何ぼか足してやる、だから七割というのが実際の車両価格、こういうことになるのですか。
  61. 関四郎

    関説明員 私の言葉が足りないためにちょっと誤解を生じたように思いますが、この七割、三割と申しますのは、発注します車両の数をきめる意味でございます。たとえば従来百両作っていたところに対して今年度は幾ら割り当てるか、百両といいましても、たとえば前年と同じだけの数量を今年度発注する、その場合に、前年百両注文したところに来年度は何両やるかということで、そのときには七割は従来のものをきめよう、そしてあとの三割は、期限におくれたとか品質が悪かったというところで差っ引いてしまうということで、そういうようなことでもって実際に数量はかなり変動していますが、これは全く計数的に出てくることでございまして、個人のいろいろな考え方が入らないように、最終的には私どものところで数字を検討し、これをきめるようにいたしております。
  62. 肥田次郎

    ○肥田委員 言われておるところはわかるような気がいたしますが、私が聞きたいのは、一車両に対する基準価格なんです。ですから、持っておるところ、予想されておるところの全車両生産の数字ということではないのです。それから、私はやはり、今おっしゃったところの三〇%という変動率を考えておるという、ここに問題があると思うのです。それで、さらにお聞きしたいのは、俗に汚職とか贈賄とかいうことが起こって参りますが、この汚職とか贈賄とかいうことが起こる原因というのは、やはり検収の手心という問題もあるでしょうし、それから割当数をよけい取るという面もあるでしょうが、最も大切なのは検収のときの問題だと思うのです。ですから、そこに、時期とかなんとかいろいろな問題も含みますけれども贈賄の必要が生じてくる。贈賄の必要が生じてくるというのは、贈賄の見返りがあるということです。贈賄の見返りがないのに贈賄をするというような、とほけた企業者はいないと思う。そんな点についての対策はどういうふうにお考えになっておるか。それからもう一つ、最近企業形態いわゆる企業手段の中にいろいろなものが入り込んできておりますから、そう単純には考えられない面があると思いますが、そういう際でも、いうところのリベート、わいろというものに何か区別をされて、この程度のものならというような、そういうことがある地域において——地域という言葉は不適当ですが、それぞれの関係方面において行なわれておるというようなこと、これについてはどういうふうにお考えになりますか。
  63. 関四郎

    関説明員 最初の車両価格の問題でございますが、これは今全く新しく買うというわけでございませんで、大体前からのいろいろな車両原価計算実績、これを分析しておりまして、これの変動率をかけますので、こちらの原価計算のやり方につきましては、予定価格積算についてはそんなに大きな誤りはない。むしろわれわれとしては非常に自信を持ってやっているわけでございまして、それよりも低ければ、国鉄としては一応損はないということでやっておりますから、この予定価格については、かなりほかの材料に比べて自信のあるものと私は思っております。  それから、何か購入についての手心とか、また検収の何というかお目こぼしとかいうことについて、リベートがあるかということでございますが、私どもこういうような仕事をやっておりまして、そんなことは夢にも考えたことはございませんし、そんなことは絶対にあり得ないと考えております。しかも、それがある程度そういったようなワクがあるかという御質問を受けますことは、これは言葉が過ぎるかもしれませんけれども、私どもとしては大へんに心外なことだ、こういうふうに考えております。
  64. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は、やはり当局責任者としてはその通りだと思います。しかし、くどいようですけれども、贈賄が現実にあるということは、見返りがなければ、贈賄などするそんなとぼけた企業者はいませんよ。手心を加えてもらうか、品質がよそより劣っておっても納めてもらうとか、あるいは数量をよけいもらうとか、こういうものがないのにリベートを贈る必要がどこにありますか。わいろを贈る者がどこにあるか。これはこういう問題が起きたときにだれでも考える通念ですよ。そういうことを申しておるわけです。  そこで、あなたの方ではきわめて自信を持った価格だというふうにお考えですけれども、自信を持った価格そのものが実際にはおかしいのじゃないですか。私はそうなると思うのです。一面では、いわゆるリベートというか贈賄というか、そういう運動が盛んに行なわれておる。副総裁が先日も瓜田にくつを入れずとおっしゃった。人間というものはそういう気持でおらなければならぬ。李下に冠を正さずという言葉がある通り、人間は誘惑に勝てないということは、これも小人玉を抱いて罪ありといわれておるくらいに、いかにりっぱな人でも、目の前に見せつけられるか、あるいは陰で何とか工作されれば、君子といえどもくずれるのはあたりまえだと思う。私はここが肝心だと思う。しかし、あなた方が目こぼしをしているということを言っておるのではありません。注意が足りない面がまだあるのではないか、こういうことを言っているわけです。  そこで、私実はいろいろな例を知っております。これは、あなた方よりも、むしろあなた方の方で取引を持っておる各種のメーカー、このメーカーには、無数という言葉は適当ではありませんけれども、とにかく国鉄や運輸省におった人で、中堅幹部以上の人が相当入り込んでおる。これらが何かあればすぐわれわれのところへ伝わってくる。あそこの会社ではこういうことをやっているらしいぞ、ここの会社ではこういうことをやっているらしいぞ、実にわれわれが予想もできぬようないわゆる商業戦術というような詳細な情報網を持っておる、こういうことがある。ですから、御承知のように国鉄をおやめになった、運輸省で何かあって引っかかった連中がやめた。そうすると、この人はちゃんとそれらの会社が引き取っておる。それは待遇には差がありますよ、いわゆる大きな功績で金鶏勲章並みに扱われておる者もありましょうし、傷痍軍人並みに扱われておるような者、飼い殺しのような人もおる。先般もいろいろな関係で話があったように、国鉄や運輸省からそういう関係業者その他の方面へ向かって一体何人くらい行っておるのか、どういう人がいるのか明らかにしなさいと言って、何回となく言われておったが、実際には今日までまだ明らかにされておらない。私らが調べただけでも相当数おります。ですから、片一方で何か間違いを起こしても、片一方で引き受けてくれるところがある。引き受けてくれるところがあるということは、その人が引き受けてもらえるだけの、報酬に値するだけの仕事をしておったということになる。そうすると、国鉄は、品物の質においてか、量においてか、とにかく不当に高いものを買っておった。それはなるほど車両を作る上において調査会というものがあって、どういう形態のものを作ればいいかということを合理的に計算されると思うが、商売の方はもう一つ上なんです。だから、帰するところは国鉄が高いものを買わされておる、こういうことになるのじゃないかと私は思う。だから、国鉄経営というものに皆さん方が一生懸命に努力しておられるけれども、しかもなおかつそこにむだと何か手抜かりがあるのではないか。先ほどもお話がありましたが、昨年は〇・五出した、ことしは〇・四プラス千円だ、これは昨年と同額だ、同額より下がらないんだと言う。これは民間の企業でも言っておることですが、賃金が上がって、そして上がった賃金でいろいろな手当をもらう場合には、みんな上がった率をちゃんと胸におさめておる。ことしはこれだけのものをもらえるぞ、こういうふうに考えておる。ところが、出す方は、昨年と同額だということ、昨年より減ってはおらないぞ。そうじゃない。賃金は上がっておる、うちも上がっておる、上がっておるから上がったものだけのものはもらえるだろうというふうに考えておるのに、昨年と同額だというふうに回答を出されておる。これはあなた方の考えですから、私は文句を言うわけじゃない。しかし、それはそれとしておいても、現実に片一方で、われわれが見てもどうもむだがあるような気がする。これは国鉄経営上重大な一つの検討すべき問題ではないかと思う。そういうことで片一方に手抜かりがあるから、期末手当でわずか千五百円くらいのものを押えて、そして経営上、労務管理上ごたごたが起きてくる。こういうものは比較せずに考えなさいと言われても、そういうわけにいかないと思う。そこで、こういうふうな問題が起きたあとで私は思うのですが、実際にそこまで実現できるできないということはともかくとして、副総裁、それから関常務、どうでしょう。先ほど私が言っておるように、汚職や何かの問題が起きるのはそういう関係にあるんだから、国鉄あるいは運輸省——ここに政務次官がおいでになりますけれども、そういう経歴を持った人が直接取引の対象になるようなメーカーにそのまま横すべりする、あるいは前科がついて、そして大っぴらにまたそれぞれのメーカーに横すべりをしていく、こういうようなことは防ぐことはできませんよ。皆さんの手では防げないでしょう。しかし、そことは取引しないという、何らか規制を加える必要はございませんか。私はとれが国鉄が持たれておる疑惑を一掃する一番明快な手段だと思う。どうお考えになるでしょうか。
  65. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 従来も、国鉄取引関係のあります会社との間に不正事件というようなことが起こりました場合には、取引を停止するということはやってあります。今後も、それぞれの事態に応じて、取引を停止するということは、やる場合がしばしばあろうかと思います。
  66. 肥田次郎

    ○肥田委員 そういうふうにおっしゃっておられますが、実は私が持っておる資料の中では、そういう前科者がたくさんおって、取引を現に継続をしております。名前を言えと言われれば言いますけれども、しかし、それを言ったのでは、直接その当人に影響を与えますから、それをやめます。そういう人があちらこちらの会社におります。ですから、現実にはやれないということになる。しかし、これをやらなかったら、汚職は尽きませんよ。汚職は尽きないということはともかくとして、国鉄はいつでも高いものを買いながら、しかも、これが合理的な価格だと言って、自信を持ったようにお答えになっておるけれども、そうじゃない。そういうところに無理があるから、片一方で労働者の待遇を少々手控えるにしても、これに悪い意味の手心を加えて、片一方の経営の面の調整をしなければならぬ、こういうふうな解釈をとられても、弁解の余地はない。この点については、十分一つ検討をしてもらいたいと思います。質問を終わります。
  67. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 兒玉末男君。兒玉委員に申し上げますが、副総裁の予定の時間が迫っておりますので、どうぞ要領よく、なるだけ短いお時間でお願いいたします。
  68. 兒玉末男

    兒玉委員 時間の制約を受けておりますので、簡潔に御質問したいと思っております。  実は最近非常に重大事故が発生しておるわけでありますが、総裁のところにも報告してきておると思うのですが、二月の中旬、日豊線の直川駅における二両重連の貨物列車が、砂盛り線を突破して田んぼの中に突っ込んだという事故が起きております。それから一昨日の十時十五分ごろ山陽本線の海田市と安芸中野の中間におい七、上りの特急列車「はやぶさ」が踏切事故を起こしまして、五人乗りの三輪車が下敷きになって、列車脱線、現場に約五時間二十分停車という事故が起きておるわけであります。この二つの事故について、まず副総裁にお伺いしたいのは、事故が発生してから五時間二十分してようやく発車して、しかも特急は東京どまりを品川で打ち切るということにおきまして、乗客は相当不満を漏らしていたわけでありますが、二、三日前の新聞では、特急「第二富士」に公衆電話の取り付けがあったために、非常に客の好評を博したという記事が載っておった矢先に、少なくとも特急がわずかの事故で五時間二十分もおくれるということは、相当の欠陥があるんじゃないかということを私は感じたわけであります。実際私もこれに乗り合わしておりまして、列車乗務員は非常に適切な措置をとったと思っておるわけでありますが、第一に五名の即死者が出たということから、どうしても警察なりあるいは保線区従業員の立ち合いがなければ、列車は出ることができない。それに脱線という事故が併発いたしまして、私ば状況を聞いたのでありますが、列車乗務員から直接——海田市にしても広島からわずか十キロの地点でありますから、少なくとも鉄道電話等による車内設備の必要があるんじゃないか。これが全然ないために、部落のその地区の有線放送をお借りして、国鉄関係の方に出てもらう。ようやくそれができたのは、一時間十分くらいしてからであります。しかも、今度わずか一両の車両の脱線を復旧して、しかも海田市までバックして帰るのに五時間二十分ということは、どう常識的に考えても、当局の事故に対する対策は緩慢ではないか、こういうことを私は痛切に考えておるわけであります。現在十台か二十台しか持たないタクシー会社ですら、みんな無線電話をつけて緊急措置をとっておる今日、これだけ国鉄の技術が進歩しておる時代に、少なくとも優等列車である特急の「つばめ」なりあるいは「はやぶさ」等に、列車乗務員から緊急事故の発生に対して全然連絡のとられるような設備がないということでは、これは私は重大な問題だと思うのですが、この点について、踏切事故に対する対策と、それからそういうふうな緊急事故の発生に対する無電連絡なりあるいは鉄道電話の緊急連絡等の処置を、この際考慮すべきじゃないかということを私は考えるわけですが、この点について、副総裁の見解と今後の方針を明らかにしていただきたいと思います。
  69. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 踏切事故をなくすのには、踏切をなくせばよろしいわけでございます。これは結局全部立体交差式というようなことになるのでございまして、莫大な経費が必要になって参ります。しかし、とてもそれは全部やるというわけには現在の状況で考えられませんので、ただいま実施いたしております第二次五カ年計画におきましても、特に交通量の多い踏切の立体化、あるいはこれにいろいろな警報機を取りつけることでありますとか、いろいろな設備の充実につきましては、できる限りの努力をいたしておりますけれども、まだまだこれは十分とはもちろん申せませんので、今後なお一そう努力を重ねて参りたいと思います。  それから無線電話を車両に整備するという問題につきましては、これはいろいろ部内でも今検討をいたしておりますので、詳しいことにつきましては、もし必要でございましたら、関理事からお答えを申し上げたいと思います。
  70. 関四郎

    関説明員 この列車からの通信連絡につきましては、現在線路のわきに通信線がありまして、これは五百メートルおきに線受けがありまして、列車乗務員は、必ず携帯電話機を持っていって、事故の場合には最大限五百メートル走っていけば、そこから電話がかけられるようになっております。これは先般二年ばかり前にやはり連絡が悪いために、列車乗務員は必ず携帯電話機を持ち歩くようにということにしまして、これによって連絡もできるように一応はしておるわけでございます。ところが、先般の「はやぶさ」の場合は別ですが、山陽線でちょうど年末から年始にかけて非常に雪害を受けまして、通信線が断線いたしまして、これによってそういうような線受けをつけておいても、通信線がやられてはいけないから、やはりこれを地下ケーブルにするかまたは無線連絡をするということを考えるべきであるということになっておるわけでございまして、ただ、無線電話の場合には、確かにお話のように、普通のタクシー会社なんかでも無線連絡をしておるんでありますから、列車はすぐできるじゃないか、こういう御議論ももっともなことでございますが、列車は何百キロという間を走っておるわけでございます。これに対して無線連絡するためには、その線路に沿って受電所をずっと何キロ間に作っていかなければなりません。現実に現在の東海道で特急が列車電話をやっておりますが、これがやはり約五十キロから六十キロおきくらいに地上のステーションを作っておきまして、そこで列車からの電話を受けてやるということになっておりまして、これは非常に金がかかるのと、地域が広いために周波数の割当を受けることが非常に困難だということで、この両者から、相当に重要な線区でなければ、なかなか列車から無線をかけるというようなことを全面的にやるようなふうに行きにくいという状態でございますが、これは今後の技術の進歩によって、もっと安く簡便にできる方法を現在も研究中でございまして、なるたけ早くこの無線をかけるというようなことについては、実現に向かって努力いたしたい、こう考えております。現在まで五百メートル置きに電話がかけられるということになっているわけでございます。ちょうどその乗務員が携帯電話機を持っていたかどうかということは、ちょっとまだわれわれ聞いておりませんので、これはもしも持っていない場合は、ほかの方からかけなければならないということになるのではないかというふうに考えます。
  71. 兒玉末男

    兒玉委員 私は、今の点について、私たちも長年国鉄に勤めていたし、また乗務員の経験もあるわけですが、おそらく現在特急の乗務員が携帯電話機を持っているという事実は、私はあまりお聞きしたことはないようであります。しかしながら、これは調査をしてみないと、私も確認をしたわけではないのでありますが、少なくとも事故発生から、しかも広島という救援できる態勢にある駅が十キロの近くにあるという点から考えても、一体国鉄は何をやっているのかという意見は、これはお客としては当然だと思うのです。ですから、今非常に設備の近代化、合理化ということを主張してきて人減らしをやっている国鉄当局としては、やはり肝心なところが一本抜けているのではないか。さらにまた、最近、十月一日からの白紙ダイヤ改正によって、頻発事故というものは、ほとんど踏切事故であります。これは私は確かに、鉄道線路は専用道路でありますから、自動車運転手等にも相当の責任があるということは事実でありますけれども、やはり列車密度の多い主要幹線については、なるべく無人踏切というものは解消していくような方向に最善の努力を尽くすべきだ。副総裁は簡単に、踏切をなくすればいいというふうに言われるけれども、いま少し積極的な、誠意ある態度を私は望ましい。それから、車内設備なりそういうふうな電話設備等については、どういう実態になっているかということを、後ほど当局の方から私の方に出していただきたい。  それから第二点は、日豊線の直川駅の発生は、昼の十時半の事故であります。そのために片側通行によって相当の列車の大幅の遅延を来たしておりますが、この最大の原因は、もちろん乗務員の責任にもあるかと私は思うわけでありますけれども、現在の信号方式に私は重大な問題があるんじゃないかと思うのです。というのは、日豊線も非常に密度が高くなりまして、駅における行き合い時間等を節約する。そういう関係から、通過列車を——この前の場合は幸いにこれが貨物列車だったからよかったものの、旅客列車だったら相当の犠牲者を出しているということが想定されるわけです。そこで、私が運転関係をやっているころまでは、通過列車を臨時に停止させる場合には、必ず機外に一たん停車する、それから進入する、こういうふうに運転規程がなっていたと思うのですが、最近、直川駅の重大事故に対して、私は、大分管理局の保安係長に聞いたところが、現在通過する列車を臨時停車させる場合は、場内の信号機はそのまま進行、通過信号だけを注意信号にする、こういうことを私は聞いているわけです。この点は、非常に乗務員に対して、臨停する場合は、場内が進行信号であれば、どうしても通過信号の注意信号を誤る可能性というのは、非常に強いわけです。この点は、私は、密度が高いために、少しでも列車の臨停時間を短くしようとする当局の意図であることはわかるわけでありますが、少なくともそういうふうな臨時停車の場合は、わずか二分か三分の時間で可能であるわけでありますから、もと通りやはり一たん停止の方法に信号方式をかえていかないと、この前東海道線に起きました丹那トンネル付近のああいう事故等々を考えましても、これはもちろん閉塞方式の違う場所でありますから、特にローカル線等においては、そういう危険性はきわめて多いということを、あの大分管理局の事故にかんがみて、私は痛切に感じました。これは一般の人たちは、そういう専門的なことはわからぬから、まあそのくらいのことはということで済ましておりますけれども、これが旅客列車であったならば、相当の大事故に発展しているということを考えるわけでありますが、このような事故の経験にかんがみて、信号方式を根本的に改めるということと、それから、人減らしということで合理化合理化といっているけれども、重大な事故が一たん発生するならば、人間の五十人や百人の十年間分の給料に匹敵するくらいの事故が起きる可能性というものがあるわけですが、こういう合理化の問題と信号方式について、これはきわめて内部的な問題でございますけれども、この二点についてお伺いしたいと思います。
  72. 関四郎

    関説明員 単線区間における信号方式でございますが、これが従来から、まことにお恥ずかしいことですが、タブレット方式を使っているというふうな状態でございます。これは自動信号化すると一番確実なわけでございますが、これが相当の金が要るために、なかなか単線区間に及び得ない。それで、数年前に、事故対策委員会できめまして、単線運転区間には、大体車内警報器をつけまして、この遠方の注意または場内の赤という場合に警報を鳴らすというふうな一番簡単な方法と、それからもう一つは、東海道線に現在使っておりますように、信号の注意とか赤によってブザーとかベルを鳴らすということをきめまして、これを順次実施しているわけでございます。  それからまた、一昨年あたりから、このタブレット授受のために注意がほかの方に向けられて非常に気苦労が多いということで、トークンレスの信号方式というものをやっと技術を確立いたしまして、これを全国の自動信号化できないところにやっていこう、タブレットはほんとうの単線線区だけしか残らないという状態にしまして、これを新五カ年計画の中で着々実施しておるわけでございます。そういうようなわけで、その信号を——乗務員はもちろん信号確認ということが絶対条件でございますが、もし万が一それの確認を忘れても、警報器でもって注意を促すということでいきたいというのが、現在ねらっているところでございまして、これについて順次広げていきたい、こういうふうに考えております。  それから現在の臨停の場合の機外停車の方式でございますが、これについては、お話によりまして、もう一度私どもの専門家にもっとよく聞いてみまして検討いたしたい、こう考えております。
  73. 兒玉末男

    兒玉委員 副総裁の時間がないということで、たくさん質問したいことがあるわけですが、一点だけ私はお伺いしたいと思うのです。これは年度末手当の支給に関連する問題でありますけれども、いろいろな問題につきましては、久保委員なり、また昨日社会労働委員会において質問されておりますが、私たちが考えることは、現在、現場出動の従業員は、少なくとも昨年より運輸収入が上がっている。それから、最近のたとえば団体列市の申し込みについても、四月から先のシーズンについては、なかなか車の配車ができないというのが、少なくとも私の聞き及んでいる九州関係の実態です。また、私のおりました駅でも、都城ですが、いつ帰ってみても、局が割り当てている予定の収入よりも、二割、三割、予定額よりいつも突破しているのが実情です。こういう点から考えますと、最近における運輸収入というものは、私は、相当予定収入を上回っておるということは、はっきり指摘できるんじゃないかと思うのですが、昨年度年度末手当の金額に比較して、現場の実際に運輸面に働いている従業員は、これだけ予定目標を上回っておるのに、昨年よりも手当が少ないということは、きわめて平凡な、常識的な考え方としては、納得できないですね。これが実情だと思うんです。もちろん、新幹線の建設その他、相当諸物価の値上がりによって施設面の経費が増大していることも事実でありますけれども、第一線に働いている従業員のいわゆる生活をささえている諸物価が上がっておるということも、これは副総裁十分御承知の通りであります。そういう点から考えますならば、少なくとも昨年の約十二万キロにわたる列車キロの増発を行ないました十月からこっちの運輸収入の状況はどうなのか、それから現在の段階における実績と昨年度の比較はどうなっているのか、この点についてだけ、もし数字が明らかになっておれば、それを明確にお答えを願い、わかってなければ、今後の資料にいたしたいと思うので、これは早速本社ではわかると思いますので、この二点について一つお答え願いたいと思います。
  74. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 最近の運輸収入が、相当当初の見込みよりもふえておるということは、御指摘の通りでございます。しかし、これは業務量がふえたということももちろんございますが、やはり大きく響いておりますのは、昨年御承認いただきました運賃値上げの結果、並びに優等車のお客さんが非常にふえてきておるというようなことの影響が大きく響いておるわけでございまして、業務量そのもののふえ方という点につきましては、昨年度の年初の計画と実際のふえ方に比較いたしますと——この基準のとり方は、先生もよく御存じの通り、列車キロであるとか、換算車両キロであるとか、人トン・キロその他によって見るわけでございまするが、業務量そのもののふえ方というものは、昨年度に比較いたしまして、特に今年度が高いとは必ずしも言い切れない点がございます。と申しますよりか、予定に対する業務量のふえ方というものをただいま申し上げましたような諸基準に照らしますと、むしろ昨年の方が高かったというような実績であるように私は聞いておるのでございますが、いずれにいたしましても、年度末手当は、これもよく先生御存じの通り、業績手当、業務量の増加に見合うものとして支給をいたす建前になっておりますので、まあ運賃の値上げ等によります増収分というものは、これは運賃の改定をお願いいたします際に、給与に回すというような性格のものではないということでお願いをいたしておったような次第でございまするし、業務量の増加という点を考えまして、業績手当の支給をいたしておるのでございます。それで、本年度末にただいま私どもが支給しようということで組合側に申し入れました金額は、先ほどもちょっと申し上げましたが、実額におきまして、これはベースアップ等の影響もございまするが、昨年を下回るということにはなっておりませんので、職員の皆さんの御生活のことを考えれば、それは少しでも多い方がよいということは私どもも考えないわけではございませんけれども、去年は今までにない非常に高率の年度末手当を出さしていただいたわけでございまして、それと同額程度には本年度年度末手当もなる見込みでございますので、この程度でがまんしていただきたいということをそれぞれの組合にもお願いをして、先般、一部の組合方々との間では妥結を見たという事情でございます。
  75. 兒玉末男

    兒玉委員 もう一点。私は、今副総裁の言われた中で、きわめてこれは重要な問題じゃないかと思うのですが、年度末手当のいわゆる業績賞与を出す場合は、収入よりも業務量の増加ということが基本だと言われました。では、業務量がふえても収入が必ずしも上がらない場合もあり得ると、私は思うわけです。今言われたように、幸い今度は優等車の客がふえたから収入が多かった。では、優等車が減って、二等客がふえても、運賃が上がらないという場合、近距離の客が多かったという例から考えるならば、今言われた問題はなかなか重大な問題だと思うのです。ですから、業務量と運輸収入というものは密接不可分の関係にあるものだと思うわけですが、この点は、今後の業績賞与算定の場合のきわめて重要な基本になる問題ですから、再度そういう点について一つ御回答を願いたいと思うのです。
  76. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私の言葉が足りませんで申しわけございませんでしたが、予算総則にも書いてございますように、収入が予定より上回るとか、あるいは経費が予定よりも節減できた場合、そういうゆとりが出てきた場合、その一部を業績手当として支給することができる建前になっておるわけでございまして、もちろん収入が予定よりもふえ、あるいは経費が予定よりも少なくなった場合でなければ、業績手当というものは出せないわけでございますが、それを出します際に——これは御存じの通り、政府御当局の御承認を得なくちゃならぬ事柄にもなっておりまするが、そういう際に、収入がふえ、経費の節減ができたということは、関係従業員の努力の成果がそこに表われたという意味で、そういう業績手当を出すことをお認めいただいておるわけでございますので、そういう意味におきまして、業務量が予定よりもふえたか、ふえなかったかということが、一つのものさしになるという意味で申し上げたようなわけでございます。言葉の足りませんでした点は、おわびを申し上げます。
  77. 井岡大治

    ○井岡委員 ちょっと一つだけ。私は、今度の問題について一番重要視しておるのは、労働慣行というものだと思うのです。労働慣行を正しく発展さすということが、労使間の紛争を最小限にとどめる一番大きな柱だ、こう私は考えるのです。そこでお尋ねをいたしますが、従来の労使間における労働慣行は、どういう方向、どういう方式といいますか、形式といいますか、そういうものをおとりになったか。これを一つお聞かせいただきたい。
  78. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 従来の実際にやっておりましたことは、ここ最近組合の数が複数になって参りましたので、その複数の組合を相手方にいたしまして、できるだけ公平と申しますか、甲乙のない態度で団体交渉等につきましても話を進めて参る。ただ物理的に、これを受けます方の当局側は同じ人間でございますので、話の進め方その他につきましては、そのつど打ち合わせをいたしまして、大体交互に団体交渉その他を行なう。それからそれぞれの組合について、独自の問題である場合は別でございますが、今回のような給与の問題につきましては、当局側といたしましては、いつも、どの組合に対しても、同じような態度でお話しせざるを得ませんので、同じように申し上げておるわけでございます。そういうやり方でやって参りまして、過去におきましては、やはりおのずと問題が煮詰まって妥結点に近づきます場合には、大体どの組合も同じような歩調で進んで参りまするし、実際問題として、もちろん時間的、物理的に話のまとまる前後ということは、これは今までもございましたけれども、妥結いたしますのは同日付というようなことで今まで大体やって参ったようなことでございます。また、そういうことが私どもとしても望ましい姿であるということは、再々申し上げておる通りでございます。
  79. 井岡大治

    ○井岡委員 きのうの参考人の話から明らかになったことは、二十六日の午後十一時三十分に国労と交渉を終わった、こういうことであります。その終わる際に、先ほども久保委員の方から、あるいは加藤先輩から御質問をされておりましたが、さらに交渉を続けていく。同時に、国労との間に協定が結ばれない間は、他の組合との調印その他は見合わす、こういう約束ができたということであります。そうして四時に国労を除いた各組合と調印をした、こういうことです。そうしてこの調印をしてから八時三十分に、組合の方から、これは組合は各方面からいろいろニュースが流れておりますから、国労を除いたほかの組合からニュースが流れておりますから、国労の組合員から本部にあてて、交渉の経過はどうなっているんだという問い合わせによって国労は知ったということです。そうして八時三十分に、国労の方から河村職員局長の方に、二十七日の午前四時に国労を除く他の組合との協定ができたということをわれわれはニュースその他において知ったが、それはほんとうか、こう質問をされておるのであります。初めてそのときに、その通りだという返事が出ております。先ほどから副総裁お話を承っておりますと、全く手続その他において間違いがない、こういうように御答弁をなさっておりますが、少なくとも十一時三十分に、今後団体交渉を続けるということ、同時に国労との間に協定が結ばれない間は他の組合との協定を結ばない、こういう約束をされたとするならば、四時に調印をする際に、各組合から調印をしてほしい、協定をしようといっておるが、国労はどうだと御質問をされる親切さがあって、初めて私は労働慣行が健全に発達をしていくと思うのです。こういう点で手落ちが全くない、こういうように御理解をされておるかどうか。この点は、今後の労使間における慣行樹立の上に非常に大きな影響を持ちますので、お伺いをしておきたいと思うのです。
  80. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私が承知いたしておりますところによれば、当局側は、他の組合と妥結いたします際に——これは調印ではございません。妥結いたします際に、国労との間の団体交渉がまだ済んでないから、こういう条件で年度末手当を支給するという話は、あなた方との間で妥結はするが、支給の実際の日取りとかいうようなことについては、国鉄労組との間の団交がきまってからでないと、はっきりしたことは言えないよ、それは承知しておいてくれということを、他の三つの組合に対して話したということは承知しております。しかし、国鉄労働組合と団交で別れます際に、国鉄労働組合に対して、君らとの話のつかない間にほかの組合と妥結をするとか、調印をするとかいうようなことはやらないよという意思表示はしておらないというふうに聞いておりますし、また、私、これは直接この耳で伺ったわけじゃありません、あとで報告で聞いたのでありますが、昨日の社会労働委員会における国労山田書記長の発言も、そういう約束を国鉄当局がしたとは申しておられなかった。大事な点でございますので、私はその点だけは念を押して聞いたわけでありますが、そういうことは山田書記長も言うてはおられなかったというふうに承っております。  それから、調印ということでありますが、これはもう申し上げるまでもないことで、まだおそらく正式な調印ということはしてないのじゃないかと思いますけれども、そこで問題は、その取り扱い方ということになると思いますが、私が申し上げておりますように、できるだけ全部の組合と一緒に妥結できるということが一番望ましいことでございますけれども、やはり団体交渉というものは、今さら申し上げるまでもないことでございますが、やはりその場、その場の空気ということもございますし、話をまとめるというときに、時の勢いで、待ったをかけるということはできない場合もしばしばあるのでございまして、今回の場合は、そういうことであったというのが実情でございます。もちろん、私といたしましても、できれば一緒に全体の組合と妥結できるということが一番望ましい姿であったと思っております。
  81. 井岡大治

    ○井岡委員 その十一時の問題は、私は、水かけ論になりますから、これを深く追及しようとは思いませんが、組合と今後交渉をされるときに明らかになるだろうということだけを申し上げておきます。  ただ、問題は、労使慣行を正しく発展をさすために同時解決が望ましいというあなたの御見解なんです。これは間違いありませんね。
  82. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 それが一番望ましい状態であると思います。
  83. 井岡大治

    ○井岡委員 そうであるならば、四時に他の三組合は妥結をしようと言ってきたわけですね。あなたの言葉をそのまま言っているわけです。四時に言っているわけですね。そのときに、国鉄当局は国労の方に、三組合当局が示した最後案でもって妥結をしたいと申し出てきておる、こういう通知をしてやるだけの親切さというものをなぜおやりにならなかったのですかと、こう言っている。それが八時三十分、組合から、こういうように下の方から言ってきておるが、ほんとうかと質問をして、初めてそうだという御答弁なんです。労使の慣行というものを正常に発展をさすためには、労使はもちろんのこと、特に経営者は細心の注意を払うところに、初めて正しい発展があり得ると思うのです。ですから、私は、その親切さの足らないという点については、あなたもお認めになると思うんです。ですから、昨日労働大臣から、これは必ずしも万全でなかったように私は常識的に思う。従って、今後誠意のある交渉を待ってやりたい、してもらいたい、こういうお話だったと思うんです。あなたもその通りだ、こう言われた。あなたは先ほどから、わが方は君たちから一点の文句を言われる筋合いはない、こういうようにお考えになる、その方が問題を前向きに解決をするゆえんであるかどうか、この点を私はお伺いをしておきたいと思うんです。
  84. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私の態度があるいは悪かったのかとも思いますけれども、私といたしましても、決して皆さんの方から文句を言われる筋合いはないというような言い方をしておる気持はないのでございまして、ただ、実情がこういうようなことで、こういう運びになったということを御了承願いたい。決してペテンにかけようとか、分裂支配をやろうとか、そういうような魂胆で作為的にこういうことになっておるのではございませんということを御了解下さいということを申し上げておるわけなのでございまして、何も文句を言われる筋合いはないじゃないかというような意味で申し上げておるのではございません。もしそういうふうにお受け取りになられるような点がございましたら、おわびをいたします。
  85. 井岡大治

    ○井岡委員 私は、その筋合いがあるとかないとかいうことをお尋ねしておるのでなくて、なぜしつこくお尋ねをするかと申し上げますと、職員局長は、かつて当委員会において、あなたが職員局長の時代に問題を起こされて、かなり激しく追及されたことをあなたは御存じのはずだと思うんです。私は、その当時のことを、今もその人が持っておるとは思いません。改めておいでになると思います。けれども、あの人は、かつては分裂支配をやろうとして、旅費を出して三田村学校にやった人じゃありませんか。当局一般命令で三田村学校に出したというのは、あの人が初めてですよ。そういう人です。私たちは、あの人に対しては、正しい慣行を示していただかない限り、分裂支配というものをやったあの罪悪というものをぬぐい去るわけにはいきません。従って、四時にそういう条件であるならば、なぜそのことを国労に言わなかったのかと言うんです。今日まで国労が解決をしなかったのは、兼松さん、中村さん、との人たちが山田君を呼んで、ことしはかなり収入はあるけれども、わが方がトップを切ったのではいろいろ各方面に対して差しつかえ等もあるから、ゆっくり話し合いをしようじゃないか、そうしてこの問題で毎年々々紛争が起こらないようにしようではないかということを中村さんも言っておられる。兼松さんも言っておられる。こういうようにして労使の慣行をうまくやっていこうと努力をされてきたわけです。組合もまたそういう方向で努力をしてきている。にもかかわらず、十一時三十分に団体交渉が終わって、三団体と四時に解決をして、こちらが尋ねるまで何らの通知がない。その結果どういうようなことが起こるかということは、あなた方は御存じのはずなんです。私がここで言うまでもない、起こるはずなんです。その細心の注意が欠けておったと私は思うのですが、欠けておらなかったのですか。こう聞いておるのです。お伺いしたい。
  86. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 私も、実際の団体交渉の席に出ておりませんでしたので、ここではっきりしたことは申し上げられませんけれども、おそらく他の三つの組合と話がまとまりそうな段階にきておるというくらいは、国鉄労働組合に何らかの形で活はしておったのではなかろうかと思います、十一時に別れる前にも。しかし、よその組合がどういう事情であろうが、国鉄労組としては納得できない、もう少し団体交渉をしようということで翌日に延ばされたということであろうと思いますけれども、その間のやりとりその他について、そう詳しく私は知っておるわけではございませんので、常識から考えまして、ある程度のことは、当然国労の幹部も、大体の状況というものは、これは何も当局側も隠すとかなんとかいうことじゃなしに、話は通じておったのだろうと思います。  それで、最後の妥結をした際の取り扱い方の問題でございますが、これはいろいろ考えなければならぬ点もあるかと思っておりますけれども、遺憾な点があったということを認めるか、認めないかというお尋ねに対しましては、もう少し私どもとしてもよく実情を検討さしていただきたい、かように考えます。
  87. 井岡大治

    ○井岡委員 あなたが言われたように、前段のそういう状況にあったということを察知したということは、やはり山田君も言っております。ですから、山田君は、国鉄と国労との話し合いがまとまらない限りにおいて、妥結はしないでしょうね、河村さん、あなたは、最初、国労はどうあろうとも、ほかの団体と妥結をしようというお考えお話しになったことはわかるけれども、今までの話の経緯等をあなたも理解をされて、そのお考えは白紙ですね、こう言ったら、河村さんは、白紙です、こう言っている。言いかえて申し上げますならば、再び国労との話し合いが終わらなければということに返ってきているわけなんです。だから、私は、これはここで言っても水かけ論になるから、今後あなた方が国労と交渉される中で明らかになるでしょう、こう申し上げている。だから、このことについては、私はあなたに追及しようとは考えておらない。あなたも御答弁なさったように、遺憾であったと言えと私は言っているのじゃない。親切さが足らなかったということはお認めになりますか、こう言っている。そういう経過から考えて、従来の慣行から考えて、お互いに親切さというものは、非常に微妙なところにおいて初めてそれが生きてくるわけです。ふだん元気なときに、お前からだ元気か、こう言ってくれても、これはあまり大したことにならないけれども、ほんとうに弱っているときに、お前も弱っているからきょう帰ったらいい、こう言ってくれる方が、私は、どれだけ親切というものが身にしみるかということは、お互い考えられることだと思う。この条件の中では、国鉄組合は、私の経験から考えるならは、またあなたの経験から考えていただくならば、おそらくはんとうに苦悩の最中であったと思う。それをあなた方は、苦しむのは苦しんでおきなさいという立場を、結果的においてとったわけです。こちらからとうですかということを質問をするまで、一片の通知も出しておらない。ここに慣行というものを打ち破っていくきざしがあると私は見るのです、すがめかもわかりませんが。——しかし、昔から言っておる。「へいし」というものは決して「すがめ」であってはいけないのだと言っている。「へいし」というものは一つの目であるけれども、二つを見なければならぬのだ、こう言っておる。この親切さというものがあったとするならば、今後あなた方との労使慣行の中にもっといいものが生まれてくるのではないか、あるいは今後の問題の解決にあたって、もっともっと話が通ずるのではないか、私はこういうように考えるのです。そういう意味から親切さが足りなかったのじゃないか、こうお思いになりませんか、こう言っておる。お伺いをいたします。
  88. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 団体交渉ということが行なわれております過程においては、やはりお互いにいろいろといら立つ場合もございますし、そのときの状況によりまして、本来労使関係の腹の底には、お互いがお互いに対する思いやりと申しますか、親切さというものがなければならないことだと思いますけれども、時によっては、その途中の波風でいろいろな事情が起こる場合も、場合によってはやむを得ないこともあるのじゃなかろうか、こう思うのでございます。今回の当局側の態度が親切面において欠けておったのではないかというお言葉につきましては、私どももよく事情も検討し、反省もいたしたい。そうして、今後も腹の底では、当然のことでございますけれども、お互いに親切な気持でお話し合いを進めなければならぬことだというふうに思っております。
  89. 井岡大治

    ○井岡委員 私は最後にこれだけを申し上げておきます。団体交渉をやって、お互いに腹の立つこともあります。口ぎたなく言うこともあります。けれども、当日の交渉は、団体交渉の交渉委員全部を持っていったのでは、全くこれが思わざる方向にいくと考えて、三役と、三役がほかわずかの入間を連れていって話をしているのです。そこまで配慮をしているのです。私は要求する方が正しいとか、要求される方が正しくないとかいう論議はきょうはやめます。年度末手当という制度がある限りにおいて、これは一つ要求のあることは当然であり、また要求をされる方も当然だと考えるのです。しかもこれが長い間の慣習で行なわれてきておるわけです。そういう中において、特に組合が最終の段階にあたって細心の注意を払って、大ぜい連れていったのでは、腹を割った話ができないと考えて、少人数にもっていったということは、私がもし労働組合の代表であるとするならば、そういう措置はとりません。全部を連れていきます。そうしてわれわれはやるだけやったということで、一つのわれわれの英雄的な感じを出して、そこで問題の解決をはかろうという考え方になったであろうと思います。にもかかわらず、国鉄組合の諸君は、一つ組合でない、たくさんな組合があるということを考慮して、そうして細心の注意を払っておるのです。にもかかわらず、受けて立つ経営者の方はそれらのことについて何らの配慮を行なわないとするならば、将来の労使慣行というものはだれが打ち立てるのですか。労働組合が打ち立てるのですか。労使慣行というものは、私は最初申し上げましたように、労使双方の誠意によって打ち立てられるものであると同時に、経営者というものは細心の注意を払わなければならぬ、こう申し上げておるのです。このことは、私は決して間違いでないと思います。もし間違いであれば、あなた、この点が間違いだと御指摘をいただきたいと思います。私は改めます。けれども、私は世界の労働運動史のどこをひもどいて見ても、必ず経営者の方が細心の注意を払っておるということです。しかも国鉄が一たび問題を起こせば、単に国鉄労組対国鉄本社というだけじゃない。国民の経済、産業、文化、すべてに大きな影響を与えると考えて、この人たちは非常に労働組合としてはへりくだった姿でもって、あなた方の誠意に訴えたものだと私は推測をするのです。従って、私は、あなたが今後調査をいたしまして、こういうことであろうと思います。とこで私はあなたをねじ伏せて、間違いであったなどと言わそうとは考えません。あなたも部下を持ち、今後多くの国鉄従業員をあなたの手によって掌握をしていかなければ、国鉄が動かないという立場でございますから、言わそうとは思いません。けれども人間に間違いがあった、間違いのあるということだけはお認めにならなければならないと思うのです。従って、その間違いが単に間違いで終わる場合はよろしいけれども、その間違いが間違いでない、間違いから間違いでない方に発展をするとするならば、これは私は大きな罪悪を犯したことになると思うのです。決して私は国鉄中村常務なりあるいは河村職員局長が罪悪を犯したとは申しませんけれども、そういうことになるのです。その点を十分お考えになって、先日社会労働委員会において、あなたが最後に御答弁をいただいたように、謙虚な気持でもってこの問題の解決の処理に当たってもらいたい。このことを要望して私の質問を終わります。      ————◇—————
  90. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 船員法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。久保三郎君。
  91. 久保三郎

    久保委員 きょうは時間がないようでありますが、これだけやるのにはとても十二、三分では、広げるだけでもちょっと時間がかかりますので、せっかくお出ましをいただいておるのでありますから、先般の当委員会で最後にお話し申し上げて御返答を聞くことになっておることがございます。それは漁船の適用範囲の問題でありまして、内容はおわかりのことと思いますから、御返事を先に伺いたい。まず第一に、農林省に対して、御返事を承りたい、このように思います。
  92. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 船員法の適用を受けまする二十トン以上の漁船につきましては、第一種漁業についていかにするかということがこの前問題になったわけでございまするが、この点につきましては、第一種漁業の中でいろいろ漁業の種類がございまして、その実態を十分把握いたしまして、運輸省の方と協議の上、最終的にはきめていかなければならぬ問題と存じております。それで、第一種漁業の中で、特に許可漁業にもなっていないところの突っきん棒漁業というような漁業もございまするし、あるいはまた、はえなわ、さし網、ひきなわというように三十トン以下の漁業でございますると、あまり重要ではない、また今後発展性のないような漁業もあるわけでございます。そういうふうなものにつきましては、必ずしも船員法を適用する必要はないのじゃないかというように存ぜられる次第でございます。従いまして、なお実情を十分調査いたしまして、最終的にはきめていくべきものというふうに存じております。
  93. 久保三郎

    久保委員 最終的にはそれぞれきめていくべきだということでありますが、ただいまおあげになったはえなわ、さし網、それから突っきん棒、こういうことでありますが、先般私が申し上げたのは、せめてどの程度は入れるべきだ、こう考えているわけでございます。これについては別段しっかりしたお返事は今伺うことができませんでしたが、その中で特にはえなわ、突っきん棒、こういうものについてはお返事がありましたが、その他については考慮すべきものと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  94. 林田悠紀夫

    ○林田説明員 これはもちろん運輸省と十分協議をしなければならぬ問題でございまするが、水産庁におきまする漁業の現在までの実態を調査いたしました結果では、そういうふうなものを除きましては、入れるべきものでないだろうかというように考えておる次第でございます。
  95. 久保三郎

    久保委員 わかりました。  そこで、運輸省としてはいかがお考えでございますか。
  96. 若狹得治

    ○若狹政府委員 運輸省といたしましては、このたびの法律改正に当たりました船員中央働委員会の答申の法律化ということを目途にいたしておりましたので、二十トン以上の第一種の従業制限を有する船舶を適用対象にするという問題につきましては、船員行政の面からはむしろ望ましいというふうには考えておりますけれども、その具体的な適用にあたりましては、今後農林省、厚生省にも御協議を申し上げなければならないし、また船員中央労働委員会においても検討していただく。従いまして、原則的に二十トン以上の第一種に船員法を適用するということは望ましいことではございますけれども、その具体的な業種の決定等にあたりましては、今後さらに検討を続けさしていただきたいと考えております。
  97. 久保三郎

    久保委員 水産庁からのお話は、ただいまのようなワクについて大体御賛同を得られたわけでありますが、船員局長立場はそれはあると思うのですが、あなたこそ船員を保護するという立場でありますから、むしろ水産庁より以上に積極的にこれをなさるべきはずだと思うのです。もっとも法律を審議する段階でありますから、明確にはできないというのでありますが、われわれ自体は、この法律が通れば、あなたの方の手元に壟断されるわけであります、解釈はきついようでありますが、いわゆる政令に譲るということでありますから。でありますから、当然われわれとしてはある程度明確な線をここでお話を承るのが、国会議員として当然だと思うのであります。なるほど一般の答弁ならば、今のようなお答えでもけっこうでありましょうが、具体的に提案をされておりますので、私は聞きたい、こう思うのです。
  98. 若狹得治

    ○若狹政府委員 二十トン以上の第一種の従業制限を有する船舶の適用につきましては、ただいま農林省の方から御答弁のありました通りでありまして、その範囲につきまして今後御相談をしていきたい、農林省とも十分御協議いたしまして、御相談したいというふうに考えているわけでございます。
  99. 久保三郎

    久保委員 農林省はそうやってほしいという希望であります。だから、御相談は問題なかろう。むしろ今農林省がいわゆる除外すべきだというか、これはどうかと思うとおっしゃったようなことについても、先ほど私が申し上げた船員保護という立場から御検討をいただくということであろうかと思います。まあ時間もありませんから、それで……。  そこで、厚生省でありますが、船員保険課長がおいでになっておりますが、あなたの方がどうも一番問題のようであります。あなたの御承知のように、あなたもおっしゃっておると思うのでありますが、船員保険法というのは船員法に随行するものである、こういう御答弁が今までなされている。それはその通りだと思う。特に第一回目においでになりました保険局次長は、はっきり明言された。あなたもそのような答弁をされておるのでありますから、農林省あるいは運輸省が、そういうものは法の対象である、船員法において保護すべきである、こういうことになりますれば、これは保険財政その他の問題ももちろんありましょうが、この際は高い視野に立って、先般も私が申し上げたような観点に立って、これは御協力申し上げるというのが当然かと私は思うのです。いかがでしょう。
  100. 中村卓

    中村説明員 現在の制度の立て方は、先生のおっしゃった通りになっておりまして、第十七条で、船員保険の被保険者は船員法上の船員とするということになっておるわけでありますから、従って、今回の改正法案によるところの船員の範囲の者は、船員保険の被保険者だということになるわけであります。
  101. 久保三郎

    久保委員 いや、それは課長、あなたの答弁の通りに書いてあるのですよ。書いてあることを聞いているのじゃなくて、実際は裏を聞いているのです。それをおきめになる場合は、さっき船員局長がおっしゃるように、農林省はもちろんですが、厚生省の方、あなたの力とも御相談を申し上げなければならぬ、こういうことをおっしゃった。ところが、あなたもやはり政府の一員ですから、同じですから、この船員法の一番終わりの方の百十九条の二には、「政令への委任」というのがあるのです。委任事項、これには当然、保険その他労働関係の問題もこれは経過措置をおきめになる。経過措置については十分御相談をいただくのでありますが、われわれとしてはさっき申し上げたように、この船員法適用の範囲については、明確にここで賛成をいただかなければならぬと思うのです。いかがですか。
  102. 中村卓

    中村説明員 政令の範囲につきましては、私どもの立場といたしましては、この改正法案を提出しますにつきまして、政府部内といたしましては、船員中央労働委員会における答申の範囲を範囲とするという考え方におきましてこの法案ができておりますということでございますので、そういうふうに理解をして今日に至っているわけであります。ただ、これから政令ができるわけでございますから、その政令の内容はどうするかということは、これは政府部内におきまして関係者が集まって相談をなさるわけでございます。私どもといたしましては、船員保険に直接影響する非常に重要な問題でありますので、十分関係各省と相談をいたしまして、政令をお作りになりますにつきまして御協力いたす、こういう考え方であります。
  103. 久保三郎

    久保委員 くどいようでありますが、船員保険が何のためにあるのかという問題からいって、この船員保護の立場に——もちろんあなたの方もそうなんですが、運輸省あるいは農林省が大体このワクできめようということになれば、あとは政府部内として保険財政の問題になるわけです。これはもちろん三省関係の問題でありますから、共同の作業としてこれは推進すべきだと思うのです。ただきめられたワクの中で、それは船員保険の名からいってどうも工合が悪いとかいうことだけで処理されることについては、それはどうも筋が違う、こういうふうに私は思うんです。  きょうは時間もありませんから、一つ政務次官にこのことを言っておきますが、今お聞きの通りでありまして、結局どうも奥歯にものがはさまったようなお話をいただくのは、保険の関係の——厚生省であります。これは従来も問題があったように聞いておるわけであります。でありますが、少なくとも政府が責任をもって今日御出席をいただいておるのでありますし、そういう問題は経過措置の中で十分解決が得られる、時間的な問題もあることと思います。これは今農林省及び運輸省のあなたの方の局長がおっしゃるように、ぜひここで約束してきめてほしい、こういうふうに私は思うんです。いかがでしょう。
  104. 有馬英治

    ○有馬政府委員 ただいま船員局長から答弁いたしました点につきましては、運輸省といたしまして、その方向に従って全力をあげて実現に努力いたします。
  105. 久保三郎

    久保委員 それから船員保険課長に一言申し上げておきますが、なるほど今度の船員法改正というのは船員中労委の答申に基づいて改正するという部面もございます。しかし、これは必ずしも船員中労委の答申があったから全部改正するのだというのじゃないのです、実際言うと。あなた御存じのように、船員中労委にかからないものも、それは政府自体のあれとして出してきておるのです。ですから、それだけに固執して、しかも十年もたった——十年にもなりませんが、相当な年数たった前の答申だけでそのことを解釈して、そこにいろいろお話が出ることは、ちょっと筋違いではなかろうか、こういうふうに思うのです。これを一言だけ申し上げておきます。いずれまた次の機会お尋ねしなければなりませんが、約束の時間でありますので、本日はこれだけにしておきます。  それからもう一つ実はございますが、この間船員局長、お約束しておったことは、漁船関係の労働条件の指導についてであります。私大へん失礼なことを申し上げたのでありますが、ここで若干訂正しておきます。非常に関心が薄い、こういうようなことを申し上げたと思うのですが、これは過去においての話でありまして、あなたが局長になられてからの話ではないということでありまして、ついては、この漁船船員の指導については次会に一つ御披露いただきたいと思います。以上です。
  106. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 次会は来たる四月四日水曜日午前十時より委員会を開会することといたします。なお、理事会は来たる四月三日火曜日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五分散会