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1962-03-20 第40回国会 衆議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年三月二十日(火曜日)    午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 簡牛 凡夫君    理事 高橋清一郎君 理事 塚原 俊郎君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君       伊藤 郷一君    生田 宏一君       宇田 國榮君    川野 芳滿君       木村 俊夫君    壽原 正一君       田邉 國男君    高橋 英吉君       竹内 俊吉君    西村 英一君       細田 吉藏君    増田甲子七君       三池  信君    石村 英雄君       加藤 勘十君    勝澤 芳雄君       松原喜之次君    内海  清君  出席政府委員         運輸政務次官  有馬 英治君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      岡本  悟君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  高橋 末吉君         日本国有鉄道総         裁       十河 信二君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君     ————————————— 三月二十日  委員佐々木義武君及び竹内俊吉辞任につき、  その補欠として高橋英吉君及び田邉國男君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員田邉國男君及び高橋英吉辞任につき、そ  の補欠として竹内俊吉君及び佐々木義武君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案(内閣  提出第五六号)  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 これより会議を開きます。  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。肥田次郎君。
  3. 肥田次郎

    肥田委員 先般の委員会久保委員からいろいろと質問がありまして、大体わかりましたが、なお二、三質問をいたしたいと思います。  その質問の要点と申しまするのは、実はこの文章の中にありまするように、国有鉄道運送事業と密接に関係する運輸に関する事業であって、政令で定める範囲内のものに投資できるものにする、こういう一条があります。問題はやはりこの辺にあるんじゃないかという気がいたします。というのは、民間でこの国有鉄道法の一部改正法律案に対するいろんな不安を生じてきておる。問題は、民間企業を圧迫するのではないか、こういうことがいわれておりますので、この点についての内容を少しただしたいと思います。結局この政令で定めるということは、具体的にいいますと、どういう範囲のものを考えておられるのか、この点が明確になれば、私は、いうところの一般民間業者の不安というものは一掃できるのではないか、こういう気もいたします。  同時に、将来国鉄経営のあり方というのですか、そういうことについても、やはりここではっきりした考え方というものを出される必要があるんじゃないか、こういうふうに考えます。  この二点について、少し御説明をいただきたいと思います。
  4. 岡本悟

    岡本政府委員 第一点のお尋ねでございますが、政令で定めるといたしておりますのは、改正法律案では、一体どういう理念で国有鉄道投資能力あるいは範囲を認めるかということをうたいまして、そして個々に具体的に投資対象というものは別に政令できめるんだ、こういうことでございまして、目下考えておりますのは、現在やっております自動車ターミナル事業、それから新しく急速にその必要性を認められております臨海鉄道というような程度のものでございます。もちろん、この改正法律案の解釈から申しますと、観念的にはいろんなものが考えられるわけでございますので、運輸省といたしましては、目下のところでは臨海鉄道だけを新しく対象として考えておるにすぎないのでございます。巷間伝えられております倉庫業につきましては、先般もお答え申し上げましたように、やはり民間関係業界との調整ということを待ちまして、その上で新しく投資対象事業として政令できめたい、かように考えております。なお、その他のものにつきましては、やはり情勢もいろいろ変化いたしますし、将来その必要が出てきた場合に、特に、これにつきましては国有鉄道の方からいろいろ希望が出ると思いますが、そのつど、運輸省といたしましては十分慎重にその必要度につきまして勘案いたしまして、政令対象事業として取り上げるかどうかをきめていきたい、かように考えております。  それから第二点の、経営上どう考えるかというふうなお尋ねでございますが、との点につきましては、たとえば日本国有鉄道諮問委員会あるいは監査委員会等におきましても、あるいは国会の論議におきましても、日本国有鉄道経営政策上もう少し弾力性を認めまして、必要ならば付帯事業的なものにも、その投資能力あるいは活動範囲を認めるべきだということが指摘されておりますが、運輸省としましては、かねがね一つには世論の動向を見きわめまして、国有鉄道能力といいますか、あるいは活動範囲をそういったところまで拡大するのが至当であるということになれば、われわれとしても十分考えなければならぬであろうということを申し上げておりましたが、昨今の情勢から見まして、特に臨海鉄道についてはその必要を認めたものでございまして、この問題を取り上げまして、改正法律案としてお願いいたしたような次第でございます。
  5. 肥田次郎

    肥田委員 そうすると、国鉄の方へお伺いをいたしますが、先般これについてやはり質問に対して国鉄側お答えがありましたが、先般の答えを聞いておりますと、あるいは通常いうところの逃げ言葉といいますか、目下のところは考えておらない、当分のところは、こういうようなお答えでしたが、今の岡本局長のお話ですと、国鉄側のこういうことに対する要望がいろいろ出てくる。だから、それを折衝、調節することもある、こういうふうに言われました。そうすると、やはり一部民間に不安を与えるような問題が、そこに残っておると思うのです。ですから、やはり政令というものの内容について、その点に対して不安が生ずると思うのです。ですから、国鉄側として、当分、あるいは目下のところというような、いわゆるその言葉の持っておる意味範囲ですね。これはどういうふうに理解をしたらいいのですか。
  6. 磯崎叡

    磯崎説明員 先日の委員会で、關谷先生の御質問に対しまして、一業種業種についてお答え申し上げたのでありますが、その御質問業種の中には、全然今のところ全く考えられないような業種もございますし、あるいはまた、非常に現実の問題に近い業種もございましたので、一律にお答えいたしますと、ああいうお答えになったわけでございます。今現実問題として現在考えておりますのは、御承知の通りの京葉臨海鉄道ということでございますが、倉庫につきましては、これは極力早く業界との話を終わりまして、ぜひやっていかなくちゃならない問題だというふうに、非常に強い希望を持っております。  それから、そのときお答えいたしました、今さしあたり考えておりませんが、考えるべきだと思うというふうに申し上げましたのは、たとえば乗車券委託販売事業というようなものにつきましては、現在の交通公社財政的基礎がきわめて薄弱であるというような点からしましても、これはなるべく早い機会に考えるべきである。それから、御質問のありました通運業などにつきましては、私どもの方が通運業にまで手を出してやるということは考えられないということ、ただし、通運業の中でも、東海道の新幹線に伴います貨物輸送は、全然新しいコンティナー輸送と申しますか、新しい貨物輸送の形式になりますので、それにつきましては、通運業者国鉄と一緒になった、何と申しますか、通運会社というよりも、コンティナー保有通運会社というようなものを、考えていくべきだという程度の積極的なことを申し上げたわけであります。その他は、ほとんど現在考えられないような御質問でございましたので、ああいうふうにお答えいたしたわけでございます。
  7. 肥田次郎

    肥田委員 そこでもう一つ、今度は、鉄監局長にお伺いをいたしますが、臨海工業地帯輸送について、実は先般、新産業都市建設促進法案というのが連合審査のときにかかりまして、この臨海工業地帯に対るす輸送というものについてどう考えておるのかということを聞きました。ところが、経済企画庁長官は、そういう問題について運輸省を差しおいて私の方では何とも答えられないと、こういう返事であったわけです。私が聞きたかったのは、運輸省を差しおいてということじゃなしに、将来あるべき新産業都市に対する輸送計画というものは、輸送に対する考え方というものは、鉄道によるべきなのか、あるいはトラックによるべきなのか、そういういわゆる状態についての区分、それからさらに、鉄道によるとするならば、今度は当然問題は運輸省に返って参りまして、運輸省として当面考えられておるような千葉のような形になるのか、あるいはこれが将来の固定した形になるのか、それとももっとほかに、あるいはもうその比重はともかくとして、今あやふやであるけれども、別なはっきりした形の国鉄とそれから民間との合弁によるところの鉄道敷設するというようなことが考えられるのか。それからもう一つ、そういうような状態の場合には、その審議というものは、運審を経るものなのか、あるいは鉄道建設審議会の方を経るものなのか、この点について一つ考え方をお伺いしておきたいと思います。
  8. 岡本悟

    岡本政府委員 新産業都市建設促進法関係につきましては、運輸省といたしましてもかねてから研究をしておりますが、特に運輸省関係といたしましては、ただいまの御指摘輸送の問題をどうするかということ、これに関連して一番大きい問題は、この臨海の問題については港湾整備の問題であろうと思います。そこで、この輸送の面からその次に考えてみますと、やはり臨海関係につきましては、大体御想像つきますように、主として製鉄あるいは石油関係のコンビナートが主体でございますので、原料輸送につきましては、ほとんどこれを海運に依存する、こういうことでございます。一部製品輸送は、鉄道ないしトラックにかかるものが出て参るであろう、こういうことでございますが、しかし、現在のところ、たとえば京葉工業地帯等について想像されますのは、大体昭和四十五年ころになりますと、三百五十万トンぐらいの製品輸送があるであろう、あるいは西の堺地区におきましては、五百万トンぐらいの輸送も出て参るであろう、こういうふうな推定が下されておりますが、こういった推定量から見ますと、現在の国有鉄道能力から申しますと、相当の負担でございます。単に臨海地帯における鉄道整備ということで相済まぬわけでございまして、これはやはり既設のトランク・ライン——幹線にも大きな影響を持って参りまして、その方面の増強を急速に進めなければなりませんし、あるいはそれとの連絡の操車場整備、こういったものにも相当大きな力をさいていかなくちゃならぬ、こういうことで、おそらく全国的に見ますと、二千億ないし三千億の、新五カ年計画所要資金量とは別の新しい追加投資の必要がここに起こってくる、こういうふうにわれわれは見ておるわけでございます。  そこで、この資金調達をどうするかということにつきまして、御指摘のように、国有鉄道は、ただいま年間七十億ないし八十億前後の資金をもちまして、三十八線の建設線を着工いたしておりますが、そういった新線建設の方式でいくか、あるいはまた別途の方法考えるかということでございますが、新線建設につきましては、正直なところ、現在鉄道予算規模をもってしては、これはなかなか、全国的な御要望の非常に多い問題でございまして、これに対応することは困難でございます。御満足のいける程度のことはなかなか運ばない状態でございますが、そこで、臨海工業地帯におきまして建設されつつあるところの大きな工場というものは、特定のものでございまして、ごく数が限られた工場でございます。しかも、概してその工場は、鉄道整備につきましても、半ばみずからやるべき責任も分担しなければならない、こういう考え方も成り立つわけでございまして、それに対応するところの資金的な負担力というものも十分ある。そこで、国鉄とそういった臨海工業地帯に進出する工場群とが相協力しまして、資金をお互いに出し合えば、つまり別の形でいえば、民間資金をそういう格好で動員すれば、新五カ年計画の九千七百五十億円の資金量のワクの外で新しい資金調達の方途が見つかるではないか、こういうことで、臨海工業地帯における鉄道整備は、そういう方法をもってすべきであろう、こういうことを考えたわけでございます。私個人といたしましては、これを全国的な組織といたしまして、新産業都市あるいはこの臨海工業地帯における鉄道整備につきましては、民間資金と協力しまして建設するという、全国的な組織体考えたらどうかという考え方を持っておりましたが、とりあえず国鉄投資能力範囲の拡大ということで、今回改正法律案の御審議をお願いしているような次第でございます。もちろん、たとえば京葉工業地帯におきましては、御承知のように、すでに鉄道建設審議会におきまして、品川から東京湾に沿いまして木更津に至る湾岸鉄道というものが予定線に追加されておりますが、そういった場合に、鉄道建設審議会あるいは運輸審議会等との関係はどうなるかというふうなお尋ねでございますが、これはすでに御承知のように、鉄道敷設法におきましては、たとい予定線になっておりましても、一地方交通目的とする場合にありましては、運輸大臣地方鉄道としてこれを免許することができるということになっておりまして、御承知伊東下田電鉄も、国有鉄道建設予定線でございましたが、一地方交通目的とするということでございまして、運輸大臣としては、免許申請がありましたものですから、十分審査の上、地方鉄道として免許をいたしたわけでございます。その際に、鉄道建設審議会の方で国有鉄道着工線として御建議に相なるようなことがあれば、運輸大臣がこれを地方鉄道として免許することは必ずしも妥当でないということで、あらかじめ十分そのことはお諮りいたしまして、建設審議会の御意向も聞きまして、国有鉄道新線建設の分野においての順位ははるかに低いので、従って、当分の間は着工線として建議するようなことはないというふうな御意向を一応確めた上で、地方鉄道として免許いたしております。今回お願いしております臨海鉄道整備につきましては、これは当然地方鉄道として運輸大臣免許申請が出まして、これを十分審査の上で、運輸審議会に諮った上で、その意見を聞いた上で、免許すべきものは地方鉄道として免許する、こういうことに相なるわけでございますが、やはり湾岸鉄道としてこの場合予定線になっておりますので、建設審議会の御意向をお聞きした上で、その方面の御意向も十分お尋ねした上で、地方鉄道として免許するかどうかを運輸大臣としてはきめる必要があると考えております。
  9. 肥田次郎

    肥田委員 京葉臨海線のような状態のときには、すぐそばを国鉄が走っておるのですから、これについては、条件はよその場合とは比較にならぬ状態もあると思います、ただ、こういう場合にはどうかということを一つお聞きしたいのですが、一つ国有鉄道投資する形態として、民間合弁一つ鉄道ができる。この赤字黒字経営状態のいかんによって、結局は国鉄の方へまたそれの買収方の運動が起きてくる、こういうような状態も、将来起こり得るだろうと思います。それから黒字になれば、そのまま経営をされていくというような状態もあると思います。いずれにしても、国有鉄道がしょわされるときには、只見鉄道の例ではありませんけれども、まああまりもうからないものをしょわされるのが、大体通例のように思います。そういうことに対する事前の防御措置というんですか、防御措置というたら言葉が適切でありませんけれども、概念的に、国鉄民間産業いわゆる開発の一翼をになう意味鉄道敷設する、あるいは出資する。そうしてそれが実際に経営上うまくいかないような場合には、それを今度は国鉄の方に肩がわりさせる、こういうことが将来起こることを予想した場合に、運輸大臣としては、そういう際の処置をどういうようにお考えになりますか。これは念のためにお伺いしておきたいと思います。
  10. 岡本悟

    岡本政府委員 今問題になっております。たとえば京葉工業地帯における臨海鉄道といったようなものを地方鉄道として建設した場合に、はたして経営上うまくいくかどうか、もしいかなかった場合には、一体国有鉄道は、その買い上げの希望がかりに出るとすれば、これに応ずるのか、その点については運輸省はどう考えるかというようなお尋ねでございますが、運輸省考え方といたしましては、京葉工業地帯におきましても、あるいは大阪の南の堺地区におきましても、進出する工場というものは大体確定いたしております。しかも、その生産規模もはっきりいたしておりまして、従って、鉄道にかかる製品輸送量がどのくらいになるかということは、はっきりした推定が出るわけでございます。従いまして、その推定輸送量に対応いたしまして、所要の経費なりあるいは収入なりを計算してみますと、大体、大きな利益は出ないまでも、とんとんでいける、こういうめどがついたものばかりでございます。また、場合によっては、地方鉄道でございますので、これは主として貨物輸送の場合にそういう方法を講じておりますが、営業キロ程の割増しということで調整する方法もあるかと存じますが、とにかく的確な推定輸送量基礎にいたしまして、大体採算がとれるというめどがついておりますので、この点はまず御心配いただかなくてもよろしいのじゃないか、かように考えております。  もし、将来こういった鉄道経営がうまくいかなくて非常に赤字が出るというような場合にどうするかというようなお尋ねでございますけれども、われわれとしては、さような想定のもとで、ある程度まで的確な推定量も出しますし、まず経営上不安がない、こういうふうに考えでおります。従って、目下のところでは、そういった場合の対策は考えておりません。
  11. 肥田次郎

    肥田委員 私が聞いたのは、実は京葉状態を聞いたわけではないのです。京葉の場合には、今おっしゃったように私も考えられます。ですから、この際はあまり問題かないと思うのですが、将来京葉以外の地域においてこういうことが起こった場合、こういう意味のことをお聞きしたわけです。  そうすると、こういうふうに理解をしたらよろしいでしょうか。たとえばこういう種類の臨海鉄道敷設の際に、国鉄が出資する。その考え方としては、その産業状態において計算がはっきり出るから、その出た計算の上に立って立てられるものだから、あまり間違いはないだろう。いわゆる健全な投資ということになる。こういうふうに理解をしているわけですね。
  12. 岡本悟

    岡本政府委員 さようでございます。
  13. 肥田次郎

    肥田委員 格別、われわれはこれに対して、杞憂はありますけれども、あまり反対する理由もございません。要は、冒頭に私がお伺いしましたように、これによって民間企業影響を与えるのじゃないかという不安感が生じておるので、こういうことの不安感を一掃する、いわゆるはっきりした処置というものが必要だろう、こういうことを特に考えます。将来の重大な輸送の役目をになっておる国鉄としては、なおほかに考えられることもたくさんあるでしょうけれども、私は、これから臨海工業地帯輸送と。それから新たに考えられているところの新産業都市建設、この関係に関する限りは、同一のものじゃないと思います。いわゆる新産業都市説明を聞いておりますと、過度集中を避けるということですから、この過度集中を避ける新産業都市建設された地域に、むやみやたらに鉄道が敷かれるということもないように思いますし、大体今予想されるところの臨海鉄道の数が、もうほぼここに出ておるようでございますから、そういう範囲だと心得ましてよろしいですね。
  14. 岡本悟

    岡本政府委員 新産業都市建設というものがどういうふうに行なわれるかということについては、場所の選定もこれからでございますけれども、運輸省といたしましては、むしろ輸送状態からいたしまして、もちろん、これは将来の五カ年計画進捗状態、あるいはそれが完成された状態といった場合の輸送状態推定いたしまして、積極的にその見地からの立地条件を提示したい、かように考えております。目下のところはそこまでいっておりませんが、しかし、われわれとしては十分深い関心を持っておりまして、いろいろ検討をいたしております。しかし、この臨海工業地帯につきましては、ある程度のはっきりした構想も、主要地域では御承知の通り打ち出されておりますので、これに対しては早急に新しいこういった手を打つ必要があるということを痛感いたしておるのでございます。
  15. 肥田次郎

    肥田委員 ついでと言うたら何ですが、もう一つ伺いします。  こういうことは、いわゆるケース外の問題として、今、御承知のように、予定路線というものがずいぶん残っておりますね。これはおそらく日の目を見ずに終わるのも相当あるだろうと思います。そういうものを一切抜きにして、将来の鉄道建設をすみやかにやる一つ手段として、今考えられておるような、こういう形態一つございます。私は、こういう形態を新しい一つの方策として、運輸省あたりでもお考えになっていただいた方がいいんじゃないかという気がいたします。いつまでも予定路線としてそのまま残しておくのじゃなしに、これも適当な時期に整理をする必要がある。それから緊急を要する鉄道敷設については、国有鉄道民間との合弁で、すみやかにその地域に対して鉄道敷設する、こういう手段も、私はおのずから考えられていいんじゃないかと思うのです。たとえば運輸審議会を通す手段と、それから鉄建を通すのとは、おのずからそこに相違があるのですから、そういう形を検討されていいんじゃないか。私は、そのことを経済企画庁長官にちょっと水を向けたのですけれども、運輸省を差しおいてはおそれ多いということでお答えがなかったのですが、そういう問題を考えることは、時期尚早ですか。これだけ最後にお伺いして、私の質問を終わります。
  16. 岡本悟

    岡本政府委員 御指摘のように、たとえば石炭資源開発のための新線建設、あるいはその他の鉱産資源開発のための建設、こういったものがございます。われわれといたしましては、以前御指摘のように、そういった資源開発線というものは、受益者がある程度特定されておるというようなことも想像されますので、そういった受益者から応分の負担を求めてはどうか。そのことによって、新線建設資金的に多少ゆとりが出てくるのではないか。逆に申し上げれば、今御指摘のように、スムーズに持っていけるのではないかというふうなことも考えたのでございます。これは御承知のように、工業港開発整備につきまして、同じ運輸省港湾局として、そういう方法をとっておるのでございますが、そこまで構想がまとまりませんうちに、臨海工業地帯の急速な造成ということに伴いましての臨海鉄道整備という問題が起こって参りました。そこで比較的利用者が特定されておるということ、   〔委員長退席高橋(清)委員長代理着席〕 それから利用者資金的な負担能力が相当あるということ、その二つのことからいたしまして、特にまた、国鉄におきまして、新五カ年計画の遂行について資金が多量に要る、その方からの制約があるということからいたしまして、そういった方向を取り上げたのでございますが、今新線設建全体についてこういった方法を適用するかどうかということについては、遺憾ながらはっきりしたお答えを申し上げる段階になっていないような次第でございます。
  17. 高橋清一郎

    高橋(清)委員長代理 加藤勘十君。
  18. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 大体この改正案につきましては、同僚の多くの委員諸君と当局との質疑応答の経過によりまして内容はわかったと思いますが、やはりこの改正案は、法律の条文の改正はきわめて単純でありますけれども、私は、相当刮目して見るべき大きなものを持っておると思うのであります。それらの点につきましても、先般關谷委員と当局との応答の中で、民間で疑義を感じておる十数項目の点についてその内容が解明されまして、当局が意図されておるものが大よそどういうものであるかということはわかりましたが、やはりこの法案を単に法文の上の文字が単純であるからということで、この内容を見のがすわけにはいかないと思います。  本来ならば、この改正案の審議にあたっては、国鉄自体の主体的なもろもろの条件というものがどういう状態にあり、どういうような方向を向いておるかということも、当然究明されなければならないと思いますが、この委員会においては、そういう点について触れることがほとんどありませんでした。また、私も今その点に触れようとはいたしませんが、ただ、内容の重要性にかんがみて、その内容が当局の言明によって一応この点、この点ということがほぼはっきりしたとは思いますけれども、なお内容政令によって定められるということになっておるのです。元来、日本の戦後の立法にあたりましては、政令事項というものは極度に狭められて、できるならば法律の明文の中に明らかにするという建前であったのですが、いつの間にやら政令事項がだんだん立法の中にふえてきておる。そういう一つの便乗約な風潮といいますか、風潮に便乗するというか、この法案の政令によるということも、そういう傾向が一つあると思います。この政令によるという点が、民間にも若干の不安を起こし、さらに疑義を生ぜしめることになっておると思います。従って、今のお答えの中からも、はっきりしたものはまだきまっていないけれども、政令によって定められる。その政令の定めるところは、国鉄側から要求されて、そのときに十分に慎重に考慮する、こういうお答えが今あったように聞きましたが、そうすると、政令ですから、一々立法手続を踏む必要はありませんが、省の内議においてきめられると思いますが、国鉄から要求されることに、政令はそのたびごとに変えられるということになるのですか。その点はどうですか。
  19. 岡本悟

    岡本政府委員 国有鉄道投資能力範囲を拡大するということは、先般も申し上げましたと存じますが、もともと国有鉄道経営政策上の必要から出て参ったものでございまして、同時に、運輸省といたしましても、これを運輸政策上妥当であろうと認めまして、この改正法律案をお願いしたような次第でございます。そこで、今後国有鉄道経営政策の上からは、いろいろこういう方面にも投資をして旅客、荷主の便益を増進したい、こういう要求が出ることが予想されるわけでございますが、しかし、これも先ほど申し上げましたように、運輸省といたしましては、もちろん国有鉄道活動範囲というものは、日本国有鉄道法の第一条あるいは第三条に示されておりますような活動の範囲を逸脱するものであってはならないという根本の制約のもとに、個々の場合におきまして、これがはたして運輸政策的に見まして妥当であるかどうかということを慎重に検討いたしまして、政令対象事業として取り上げるかどうかということをきめていきたい、かように考えておる次第でございます。
  20. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 そこで国鉄当局にお伺いするのですが、今の法律によりますと、輸送施設を利用する、その運営に当たるというものだけに投資するということになっていますが、今度の改正案では、密接な関係のあるということになって、ここに私は画期的な内容があると思うのです。それだけに、その密接なる関係ということが、先般来の質疑応答の中から当面問題にされておるのは、いわゆる臨海地域における工業地帯の鉄道の問題ということになっておるようですが、同時にまた、今おっしゃるようなトラック輸送による事業はやらぬということも——今やらぬとおっしゃっておるのですが、今度この新産業都市促進法が成立しますと、この内面においても産業都市ができると思うのですが、そういうときにも、やはり臨海工業地帯と同じように考慮されることになると思うのです。常に必ず鉄道黒字であるとは限らない。新線の多くの場合は赤字が多いのですから、そうすると、その赤字経営の場合でも、国鉄はやはりそれに合弁として投資をされる予定であるかどうか。もちろん、産業の面からいけば、輸送事業赤字であろうと何であろうと、とにかく輸送機関がなければ産業都市にならないという点から強く要望されるのですが、そういう場合に、赤字が出たから、今度は国鉄赤字線だけを合併吸収してくれというような要望が、将来起こらないとは限らないと思うのですね。過去の事例からいきましても、そういうおそれがないとは私は言われないと思うのです。そういう場合に対して、国鉄としてはどういうお考えをお持ちになっていらっしゃるか。それをお伺いしたい。
  21. 磯崎叡

    磯崎説明員 現行の法律では、私どもとほかの運送事業者が共同して使う輸送施設だけについて投資できるようになっておるのは、今先生のおっしゃった通りでございますが、今度は、それが若干広がりまして、国鉄と直通運輸を行なう事業投資ができる、あるいはこれらと同じ程度に密接な事業投資できるというふうになっておりますが、前回の委員会で申し上げました通り、国鉄といたしましては、私どもが投資いたします目的は、やはり何と申しましても国鉄法の第一条の範囲内のことに限るべきだというふうに考えております。具体的に申しますれば、国鉄法の第三条で、ちょうど会社の定款のような形になっておりますが、その範囲内の事業に限るということになっております。しかし、その事業の中におきましても、ただいま先生のおっしゃいましたように、私ども投資して必ずしも収益が上がるというものだけではないと思うのでございます。中には、先ほどのお話のように、赤字が当然出るような事業もあるかもしれません。しかし、そういった場合には、合弁で金を出そうという事業者もほとんど出てこないのではないかということも想定されますので、現実の問題といたしましては、たとい国鉄が金を出すといたしましても、合弁事業そのものの成立は非常にむずかしいというふうに考えられます。従いまして、考え得るケースといたしましては、一緒にやってみたが、あとになって非常に経営状態が悪くなったというケースが、先生のおっしゃったようなケースになると思います。それらにつきましては、十分事前に、合弁いたします事業あるいは関係企業者のその企業に対する将来性、あるいはその将来性の中から鉄道輸送にどういうふうにかかってくるかという現実の数字を十分確かめた上でやらなければいけないというふうに考えておりますので、一応現在といたしましては、たとえば将来の経営状態が非常に悪くなりそうな事業投資するというようなことは考えられないというふうに考えております。しかし、今後やはり具体的な問題としていろいろ問題が起こってくると思いますので、そういう際には、十分その会社自体の将来の採算性も考え、また鉄道輸送との密接な関係があるかないかも十分考えた上で投資すべきものというふうに考えております。
  22. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 内面における産業都市建設は、私は、日本の国土の状況から見て、埋め立てによる臨海地域の工業地帯のようには大工業は密集しないと思うのです。結局大都市における中小企業の分散ということが主になるんじゃないかと思います。そうすると、それの物資の輸送が、鉄道による必要があるのか、あるいはトラックで済むのかということが、大きな将来の問題になると思うのです。もし赤字が平気であるというならば、鉄道の方がいいでしょう。ところが、資金関係からいってそうはいかないと思いますので、今あなたはトラック考えていないとおっしゃったが、そういう場合のトラック事業に対してどうなんですか。
  23. 磯崎叡

    磯崎説明員 現在、国鉄自動車で若干のトラック輸送事業をやっております。車は約四、五百台の車を持ってやっておりますが、主としてこれは僻陬地の資源輸送に充当いたしておりますものと、あとは、この東京あたりでごらんになるような大都市の、鉄道輸送でやるべき手荷物や小荷物を自動車で代行していることの、二つのトラック輸送を現在私どもでやっておりますが、国鉄自体の直営の面として今後これをふやすことは考えられないことだと思います。先生のお話のように、将来日本の内面でもって工業の分散という形で新しい産業都市が興ってくる場合には、確かに大企業よりも中小企業が多いと思います。現に起こっております東京付近のおもちゃ屋の疎開とか、あるいはたび業者の疎開、そういったものは、まさに先生のおっしゃった通りの事例だと思いますが、こういった輸送の量がそれほどあまり大きな量ではない中小企業になりますと、私どもから申しましても、いわゆる車扱い貨物というものはあまりない。ほとんど小口貨物なり小荷物程度の荷物の場合が大部分でございます。もっとも、今後多少変わってくるかもしれませんが、現在輸送されておりますのは、大体そういう量の少ない荷物です。従いまして、鉄道事業そのものとしては、新しくそこに鉄道を敷くということはあまりないと思います。トラック事業につきましては、ほとんど現在の地場の、トラック輸送能力が十分ある地域にいくと思います。全く山間の僻地で、何もないところに産業都市ができることもまずまずない。ある程度の基盤のあるところに産業都市ができるようになると思いますので、その際には、現在のトラック事業の分布状態から申しましても、大体すでにトラック輸送力としては十分に近いものを持っている地域が大部分だと思います。そういうところにあらためて私どもが入りまして、鉄道輸送とあまり関係のない、当然鉄道輸送外の貨物であるトラック貨物を私どもが運ぶために投資するということは、今のところ考えられないことだというふうに思うわけであります。
  24. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 今までのお答えで、将来赤字が予想されるような線路については、線路自体が必要であったにしても、合弁事業ということは容易に成り立たないであろう、そういう成り立たないであろうという場合に、今度国鉄の単独による建設ということが問題になってくると思いますが、将来は、今までのようにいわゆる政治路線といわれるようなものがなくならなければならぬし、なくなると思いますけれども、そのことには今触れませんが、大体赤字が——だれでも初めから赤字を予想して事業をやるやつはないと思いますが、赤字が予想されるような線には、合弁事業は成り立たない。従って、国鉄投資は、そういうところにはまずないと見て差しつかえないわけですね。
  25. 磯崎叡

    磯崎説明員 先生のお説の通りでございます。
  26. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 運輸当局にお伺いしますが、先ほど申しましたように、政令の制定にあたりまして、どういうような考え方をお持ちでしょうか。それの適用の範囲とかそういうんでなくて、政令そのものの制定について、国鉄等の要求があったときに、一々そのたびごとにおやりになるのかどうか。それをお聞きしたい。
  27. 岡本悟

    岡本政府委員 仰せのように、個々について慎重に検討いたしたいと思います。その検討の基準は、やはり先ほど申し上げましたように、日本国有鉄道法第一条の国有鉄道の使命、それからそれを具体化いたしました第三条のいわば定款でございますが、そういったものに照らしまして、十分慎重に検討いたしたいと思いますが、なお、これは経済の伸展と申しますか、情勢がいろいろ変化して参りますので、そういったことからも新しい要素を加味しまして、いろいろ慎重に検討いたしたいと考えております。
  28. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 そうしますと、今さしあたって、この法律が成立するとしますと、すぐにその内容として政令が定められなければならぬわけですね。今政令の具体的な対象となっておるものは、京葉地帯における臨海工業地帯鉄道の問題だけですか。ほかにもあるのですか。
  29. 岡本悟

    岡本政府委員 仰せのように、臨海鉄道だけでございます。ただし、現在自動車ターミナル事業投資いたしておりますので、改正法案を可決いただければ、政令の具体的な対象となるものは、現在すでにやっております自動車ターミナル事業と、新しく追加する臨海鉄道事業、この二つに相なるかと存じます。
  30. 加藤勘十

    ○加藤(勘)委員 私たちも、時代とともに法律は変えていかれなければならぬと思いまするから、この法律も当面する必要によって提案されたものと思いますから、その点については別に異議を言うものではないのです。賛成してけっこうです。ただ、問題は、この問題が今までの法律では不備であるから、そこで密接なるという弾力性のある言葉がつけられて、国鉄投資範囲が広められたわけです。ということは、国鉄が、今後の国鉄運営の上において新しい分野を開いたということであります。としますと、新しい分野が開けるについては、当然国鉄自体の主体的な条件も、それに伴っていかなければならぬわけですね。今国鉄には、やはり内部的にはいろいろな問題があると思うのです。そういう問題につきまして、内部態勢を整備するという上からいって、いわゆる企業合理化ということが推進されてきておりますが、企業合理化が常に従業員の労働強化その他の犠牲において行なわれるというような方向に持っていかれるということは、私はあるまいと思いますけれども、現実にはそういう方向を向いておるわけなんです。これははなはだ遺憾なことでありまして、私どもとしては、国鉄が新しい分野を開拓して、ある意味からいうならば、投資範囲が広められた。であるから、内部の態勢を整える上からいっても、企業の合理化というものは、ほんとうに企業能力を増進するという方向に向けられていくべきであって、従業員に対するサービスその他の諸施設は、十分に完備されなければならないと思います。そういうことも、この機会にあわせて十分に含んでおいていただいて、将来内部においてそういうことから問題が起こるようなことのないように、一つ注意をしていただきたいということだけを申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。
  31. 高橋清一郎

    高橋(清)委員長代理 内海清君。
  32. 内海清

    ○内海(清)委員 ただいままでの審議内容で、大体私も了解いたしておるのでありますが、ごく簡単に一、二お尋ねいたしたいと思うのであります。  御承知のように、今日国鉄におきます新線建設は、大体七十五億くらいで年々やっていっておる。しかも、今日建設中のものは、それが急ぐものでも、五億とか十億のものはほとんどないと思う。はなはだしいのになれば、一億を切るというような建設費でもってやっていっておる。そこらにいろいろ新線建設の問題もあると思いますし、さらに、すでに何十年たって、まだ日の目を見ないという状態であります。今回のこういう法の改正によりまして、臨海工業地帯における鉄道敷設というようなことが問題になって、これが法の改正も行なわれようといたしておるのでありますが、今回起こっておる、たとえば京葉地帯におきます工業地帯にこういうふうなものを敷設することは、日本経済の上から考えまして、その他の面から考えてみても、きわめて重要なものである。急を要するものである。そういう意味から申しますならば、国鉄の公共性というふうな考え方に立ちましても、こういうふうなところにまず鉄道敷設するということが、本来のあり方ではないか、かように考えるのであります。ただ、今回のような場合には、その地元と、あるいはそこに進出いたしますような企業が、その負担能力を持っておるから、これと合弁してやろうというのであるか。そういう基本的な考え方ですね、これらについて一つ伺いしてみたいと思います。
  33. 岡本悟

    岡本政府委員 国有鉄道の当面の大きな使命は、やはり主要幹線の複線化を主体といたします新五カ年計画の遂行にあることは、申し上げるまでもございません。しかし、しばしばこれについても申し上げておりますように、出発当初におきまして、この新五カ年計画のスケールというものは、はたして日本経済の成長の伸びに対応する妥当なものであるかどうかということにつきましては、相当批判もございまして、非常に小さ過ぎるというふうな御意見も出ておるような次第でございますし、また、現に各地方におきましても、たとえば主要幹線の複線化あるいは電化につきましても、今の規模ではとてもだめだというふうな陳情が非常に多いのでございます。むしろ、もっとこの主要幹線の複線化も規模を拡大すべきであるという意見が圧倒的に強いことは、申し上げるまでもございません。   〔高橋(清)委員長代理退席、委員長着席〕 そこで、運輸省といたしましては、この第一年度、三十六年度の実績を勘案いたしまして、三十七年度に入りますれば、早々にこの新五カ年計画を再検討しなければいかぬ、かように考えております。九千七百五十億円というような規模で、はたして足りるかどうか、これは相当問題であろうかと思っております。そこへもってきて、臨海工業地帯の大規模な造成というものが予想外のスピードで出てきた。これに対応する臨港線の整備が必要だということになりまして、まず第一に問題になりますのは、資金の調達でございます。しばしば申し上げておりますように、臨海工業地帯における鉄道整備というものは、単に臨港線の整備にとどまらず、その推定輸送量のもたらす影響というものは、関係操車場整備、あるいはこれに関連するところの幹線の整備ということでございまして、たとえば、これもしばしば例にあげて申し上げておりますように、大分地区における臨海工業地帯の造成というものは、場合によっては大分以北の日豊本線というものを全部複線化しなければ、とうてい輸送能力はマッチできない、こういう体のものでございますので、これに要する経費というものは、単に臨港線の整備のみにとどまらず、既設線に及びますものですから、全国では、大体二千億から三千億はかかるであろうということが想像されるのであります。そこで、この新五カ年計画の遂行についても、資金的にいろいろな問題があるところへもってきて、この臨海工業地帯における臨港鉄道整備というものは、資金的にそういう大きな問題を引き起こす要因になっております。  そのほか、今問題になっております都市の発展に伴うところの鉄道と道路との立体交差化、すなわちこれが連続して参りますと、都市を通過するところの鉄道というものは、全部高架でなければならぬ、こういうことに相なってくるかと思いますが、これも全国的にいろいろ推算してみますと、やはり三千億から、その前後のオーダーになる。こういうふうに、新五カ年計画資金のワクでは、とてもまかない切れない大きな問題が出て参っております。そこで、やはり資金の調達については、特別の方途を講ずる必要があるということを、運輸省といたしましても痛感いたしまして、臨海鉄道整備の方策といたしましては、ちょうど工業港整備と同じように、特定の受益者の応分の、特に資金面における負担も求めて、国鉄資金と抱き合わせまして、それによって実質的に国有鉄道の行ない得るところの事業の拡大をはかる、こういうことが、当面日本経済の伸展にとって最も妥当な方法であろうと考えたような次第であります。
  34. 内海清

    ○内海(清)委員 国鉄の新五カ年計画、これは、わが国の輸送の大動脈を形成するのでありますから、これはどうしても遂行してもらわなければならぬ。もちろん、これはだんだんと経済状態も変わり、社会状態も変わっていけば、最初の予定より狂うことは当然であります。しかし、いかにしても新五カ年計画は完成してもらわなければならぬと思いますが、先ほどちょっと申しましたように、いわゆる新線建設予定線の中には、国鉄の公共性ということからいえば、やはり今日までのものが相当実現を見なければならぬ問題もあると思いますが、なおそれに優先して、今回のような臨海工業地帯のようなものがやらるべきじゃないか、わが国の経済面から申しましても、すべての面から考えてやらるべきではないか、こういうふうに考えるのであります。従って、そういうことが、むしろ今日までやられておる他の新線よりも優先しなければならぬということになるならば、これを一時今建設中のものも繰り延べまして、これは距離から申しましてもそう大した距離でないのだから、その七十億なら七十億というワクの中で十分まかなえるではないか。しかも、こういう臨海工業地帯に進出しております大きな企業におきましては、主として原材料というものは船で運ぶ。従って、国鉄によるものは製品輸送でありますから、国鉄の収益の面、そういう経理面から考えましても、あながち不利でない。そういう点が、これは公共性ということによって今まできまったものは、今日から考えればすでにあまり必要ないところでも、建設途中であるからといって、年にわずか一億か二億というような建設費を出して、これも長年かかって、今やられているものでも、おそらく今から十四、五年、これの完成までにはかかるでしょう。そういうようなものをなおやっていくか。こういうふうな、わが国として当然やらなければならぬものに先に手をつけるかということであります。その辺の考え方一つ伺いたいと思います。
  35. 岡本悟

    岡本政府委員 今の新線建設は、これは主として地域格差の是正と申しますか、後進地域開発に相当重点が置かれておるものと考えます。現に、この新線建設につきましては、全国各地におきまして非常に熱烈な要望がたくさんございます。毎日私らのところへずいぶん陳情にお見えになりますが、地域格差の是正といいますか、後進性の払拭と申しますか、そういう観点からの御希望は、非常に多いようでございます。そこで、わずか七十億円ばかりの資金を、仰せのように関係臨海鉄道整備にさくということは、これは私は、実際問題としてほとんど不可能であろうというふうに考えます。あるいは臨海鉄道というものは採算が非常によろしいから、その面からいってもむしろ積極的に、重点的に、臨海鉄道整備新線建設資金を振り向けるべきだという御説でございますけれども、しかし、たとえば堺地区においては、臨海鉄道整備だけで、概算約六十億円必要とするであろうというふうにいわれております。これだけの投資というものがはたしてぺイするかどうかということは、相当疑問でございます。今の国有鉄道の採用しております遠距離逓減制から申しますと、平均輸送キロが現在大体三百キロ近くなっておりますので、それだけの投資に見合うだけの収入というものはほとんど得られないというのが、われわれの推定でございます。従いまして、やはりそれだけの莫大な投資というものがある程度見合っていくということのためには、もちろん荷主側の負担能力というものも考慮しなければなりませんけれども、今のような投資、従って、また民間事業との共同で地方鉄道建設する、かつ運営するという方向が最も妥当であろう。かように考えたような次第でございます。
  36. 内海清

    ○内海(清)委員 これは国鉄の収益面からいうても、あながち得策でないというお話であります。もちろん、今日までの新線建設が、先ほどから申されましたような、いわゆる地域格差の是正ということもございましょう。しかし、今では、何十年も前から計画しているところは、その後の交通機関の発達状況がかなり変わってきておる。聞くところによると、アメリカでは、鉄道の時代は去って、自動車と航空機の時代に移るということであります。しかし、わが国は、こういう地勢でありますから、そういうこともなかなか困難な面もありましょうが、しかし、必然的にそういう傾向になってくると思います。国鉄でもすでにそういう点は感じておられると思いますけれども、自動車網が発達して、国鉄の乗車人員がだんだん減ってきておる。ことに近距離で減ってきておることは明らかであります。そういう点から考えまして、今後の新線建設ということは、ここに一応考慮する必要がある、再検討するときに来ているのではないかと思うのです。そういう意味から申しまして、今日の七十五億を全部さいてこっちにやるわけにはもちろんいかぬのです。いかぬでしょうけれども、考え方としては、それは負担能力があるから、受益者負担として当然やらすべきだというふうな考え方のみでは、これは私はいかがかと思うのであります。その点はどうですか。
  37. 岡本悟

    岡本政府委員 運輸省といたしましては、臨海鉄道整備をどうしてやるかということにつきましていろいろ考えました結果、こういうような方法によって実質的に国有鉄道活動範囲事業能力範囲というものを拡大していくというのが一番適当であろう、こういうふうに判断いたしたわけでございます。新線建設に関連しまして、お説のような御意見はもっともであると思いますけれども、しかし今全国的に着工いたしておりまする線が三十八線、これを七十五億円程度予算規模でやっておりますが、とてもこれで間に合わないということは、これは明瞭であります。しかもこの三十八線に、まだまだ二十も三十も、あるいは場合によっては四十も新しい着工線を追加してくれという希望が非常に強い状態でございまして、むしろそういう地域格差是正といいますか、後進地域開発という見地からの新線建設はどうするか、特に資金調達の面から見てどうするかということは、私は一つの検討すべき曲がり角に来ているというふうに考えておりますが、いずれ鉄道建設審議会でもそのことは問題になるであろうと存じます。もちろん御指摘のように、自動車運送がどんとん発達して参りますけれども、やはり鉄道輸送に対する地方関係住民の熾烈な御要望というものは相当なものでございまして、これを運輸省としては、やはり等閑に付するということはできないのでございます。相当の熱意を持ってこれに対処しなければならないという状態であることは御存じの通りでございまして、そういう点からいきましても、やはり投資という方法でもって臨海鉄道整備をはかる方法が最も有効ではないか、かように考えた次第でございます。
  38. 内海清

    ○内海(清)委員 この考え方、私も理解はいたすわけでございます。ただ従来からの新線建設の問題それらと考え合わして、こういう行き方がはたしてわが国の鉄道を中心にしました輸送機関としてのはっきりした筋が通るかどうかという問題であると思うのであります。そこらの考え方一つ矛盾がないようにしていただかなければならぬ。将来もそういう今御説明のような考え方でもって進められるのだと思いまするけれども、それらの点については一つ十分お考えおきいただきたいのであります。それを強く要望しておきたいと思います。  さらに私は最後に要望しておきたいと思いますことは、審議の過程でいろいろお話がございましたように、今度はいろいろ民間企業の方からこういう行き方に対して、ことに新線建設ということになっておりますから、多くの危惧が生まれてきておると思うのであります。従って、これに対しては十分民間企業を圧迫しないように、話し合いの場を設けて、そうして理解の上に立ってやっていただきたい。今後倉庫業にいたしましても、これはいろいろ今協議が行なわれているようでありましてけっこうでありますが、その他の関連ある事業がいろいろ出てくると思います。この点を一つ特に要望しておきまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  39. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 ほかに御質疑はございませんか。——ほかにないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  40. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 これより討論に入りたいと存じますが、別に討論の申し出もありませんので、これより直ちに採決に入りたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の御起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  42. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  44. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長 次に国鉄経営に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。増田甲子七君。
  45. 増田甲子七

    ○増田委員 国鉄当局に伺いたいのでございます。先般御高配によって信越線の電化を二カ年間繰り上げたことは、われわれ一同感謝しておるのでございまするが、その詳細について承ることができますれば、幸いでございます。
  46. 磯崎叡

    磯崎説明員 信越線の電化につきましては、長野県御当局の非常な御協力を得まして、ごく最近利用債を約十三億負担してやるというお話がまとまりましたので、とりあえず三十六年度、本年度から工事を着工いたしまして、三十七年度、三十八年度——ちょうど三十八年度に碓井峠のいわゆるアプト式の区間が新しく線増されまして別線になりますので、その開通に間に合わせるように長野までの電化を行ないたいということで、間もなく工事に着工するわけでございます。大体三十六年度一千万円、三十七年度十億、三十八年度が主として車両関係その他で約三億でございます。
  47. 増田甲子七

    ○増田委員 信越線が電化することは、ただいま申した通り、私は国鉄当局の御配慮である、また県当局、われわれといたしましても、応分の力をいたしたわけでございまして、感謝をいたしておるのでございます。感謝をしているということをまずもって御銘記の上御質問いたします。  そこで、信越線と並ぶのは中央線でございまして、中央線というものはどうしても競争路線になるわけでございます。十河さんもよく御承知の通り、小川平吉大先輩が、日本といたしましては初めて甲府まで電化をいたしたわけでございます。ところが自来幹線電化という方向に方針が変わったために、中央線は、名前は非常に幹線という意味を象徴した名前だと私は思うのですが、一応中央線という僻地線になっておる。であるからして、日本最初の電化ではあるけれども、甲府までで打ち切りであるということを非常に遺憾に思いまして、過去十五カ年間われわれは戦い続けて参ったわけでございます。  そこで、この新五カ年計画において甲府から松本まで電化されるということが一応内定しておりまするが、その際にも私は申したのでございまするが、どうも地理の関係をよく御研究を願っていないようでございまして、どうしても長野県へ参って松本でとまるということは、福島県へ参って郡山でとまるということと同じでございます。福島市まで参らぬと、中途半端ということになるわけでございます。そうして線路の名前は篠ノ井線ということになっておるそうでございますが、われわれの社会通念といたしますれば、新宿——長野間が中央線である、あるいは新宿−塩尻−名古屋間が中央線でございまして、さきの五カ年計画策定のときにも、松本−長野間をオミットしたのはどういうわけであるか、ぜひ加えていただきたいということを常に要望いたしておりまするが、この点についての御所見を伺いたいものでございます。
  48. 磯崎叡

    磯崎説明員 現在、私の方の五カ年計画を実行中でございますが、今の段階では、東北線、常磐線あるいは北陸、それから山陽線というところに非常に重点を指向いたしておりますが、ただいま御指摘の通り、中央線につきましても、最近、東京付近の若い連中が非常に山に行く、もう非常に混雑いたしております。私どもといたしましては、なるべく早くこれを手前の方は複線にする、先の方はやむを得なければ単線でもいいから電化ということを考えておりますが、一応五カ年計画では、新宿−松本間ということに相なっておるのは先生御指摘の通りであります。ただ、その後いろいろ検討いたしましたり、その後の旅客の輸送の増勢等から見まして、やはり長野−松本間をブランクのままで置いておくことはいささかどうかというふうにも考えられますし、もしあの区間が電化しますれば、信越と中央線を回って、ぐるぐる回る循環のルートもできるということも考えられますので、いずれ五カ年計画の改定の際に、そういう点につきましては検討いたしたいというふうに考えております。
  49. 増田甲子七

    ○増田委員 これは総裁に特に承りたいのでございまするが、信越線が三十八年度において完成する、つまり、上野から長野まで電化ができる。これと比較して考えられるのは、必ず山梨県、長野県を通過いたしまする中央線でございます。中央線は、今磯崎務理事のお話によりますると、松本−長野も入れて考慮する、いたしたいということでございまするから、やや満足はいたしておりまするが、信越線と並んで中央線というものは重要であるということについての御認識を承りたいと思います。それから、二カ年間一方は早くできて、一方は二カ年間おくれてできるというような場合におけるわれわれの立場というようなことも、つまり公僕というような立場も御考慮を願いたいということについて、総裁の御意見を承りたいと思います。  なお、塩尻を通過いたしまする名古屋行きの、つまり新宿−塩尻−名古屋、これは昔の道路で申しますると中仙道であります。昔は、東京−京都間には東海道と中仙道とあったわけでございまするが、中央線という名前はつけられながら、新宿から名古屋へは行かれないような状態になっております。こういうことでははなはだしく、いわゆる格差の是正その他から見ましても——日本の本州の地理の情勢は、島の形に従いまして、南から北と申しますか、あるいは西から東と申しまするか、その線の強化の方へは相当力が入っておりまするが、まん中の縦貫というようなところには力が入っておりません。そこで、中仙道に匹敵するところの中央縦貫道路というものも最近できるわけでございまして、しかるところ、中央線というものはすでに線路があるわけでございます。線路がありながら、塩尻で一方は断ち切られておる。それから一方は、長野から始まって名古屋へ行くのである。一たん緩急ありまして、いろいろな災害がありましたときに、われわれ非常に苦しんだ経験を持っております。つい最近においても経験を持っております。でございまするから、東京駅から名古屋へ行く線路は一つあるだけである。日本の東西をつなぐものはたった一つであるということは、これは非常にさびしいことでございます。もっとも、総裁が特に力を入れていらっしゃる東京—大阪間の三時間高速度広軌鉄道というものは、私も大賛成でございまして、及ばずながら御協力申し上げておるつもりでございまするが、そういたしますと、いよいよ格差がふえるわけでございまして、ぜひとも中仙道——徳川幕府時代の東海道、中仙道、その中仙道に匹敵するところの中央線というものは、現在線路があるわけでございまするから、これを電化し、新宿から名古屋を通過して大阪へ行かれるということについての御配慮はどういうふうにされておりまするか、特に総裁としての御高見を承りたい。すなわち、日本の縦貫の鉄道というものは、たった一本でございます。やはり二本あるべきであるという見地についての、その辺の近所の輸送量なんということをおっしゃらずに、日本を縦貫するととろの線路は二本くらいあるべきであるという見地から、私どもは熱望いたしておりまするが、総裁の御高見を承りたいと思います。
  50. 十河信二

    ○十河説明員 たびたびるるお述べいただきました点につきましては、私は全然同感いたしておるところであります。信越線と中央線両方とも主要な線路でありまして、できるならば両方同時に複線にし電化して、大いに輸送量を増し、近代化を進めたいところでありまするが、なかなか資金等の都合でそういうことができません。信越線の方はたまたま、先ほど磯崎理事からお話いたしましたように、当時非常に新式であるというアプト式が旧式になりまして、これが輸送のネックになっておりまして、それでこれをかえなければ信越線の先の方の輸送力が詰まってしまうということで、アプト式をかえることに相なりまして、その際に、先ほどもお話のありましたように、利用債を持つからぜひこれをやってほしい。たまたまわれわれも、前申し上げましたように、信越線、中央線はやりたいと思っていて金がないためにできなかったのですが、ちょうどアプト式の改善の際にそういうお話がありまして、それで幸いに皆さんの御協力を得まして、この方が少し先になりましたけれども、なるべく早い時期において中央線もお話のように、東海道一本でなく、名古屋へ中央線が通るということはぜひそういうふうにいたしたいと思っておりますから、なるべく早い時期に御趣旨に沿うようにやりたいと思っております。
  51. 増田甲子七

    ○増田委員 私は、磯崎君のお答えのようなことを総裁がおっしゃっておりまするが、あとの質問が実は日本的な大きな問題なんです。つまり、われわれが東北へ参るにいたしましても、常磐線と東北本線とがある。今度東北へ参りますと、仙台の方から表の方の奥州と申すと語弊があるかもしれませんが、そちらの線もありまするし、また奥羽本線もございます。ところが、東京から西へ参るというときには、今東海道一本きりないわけでありまして、中央線は現在線が引かれてあるわけでございます。ただ列車輸送が途中で切られておる。そうして一方は長野の方へ曲がってしまうし、それから塩尻の方は、特別仕立ての汽車が塩尻からと申しまして、厳密にいえば長野からでありますが、長野から大阪へ参る。こういうようなことでは、やはり日本には二本くらいの縦貫線路はあってよろしい。こういうことについての御所見を、信越線と比べるとどうもみみっちくなっていけませんから、日本には二本の縦貫道路も、これから作るのでございますから、東海道というのも法律で作りましたし、中央縦貫道路も法律で作っているわけであります。ところが、これはこれから建設するわけでありますが、線路は、中央線という線が——へんぴな線ですけれども、中央線とこう言っておりますが、そういう線があるわけでございますから、やはり日本を縦に貫く線を二つ考えるということは必要であるということにぜひとも総裁が御認識を願う御答弁がいただきたいわけでございます。
  52. 十河信二

    ○十河説明員 先ほどちょっとでしたけれども、その点に触れまして、名古屋というような経済の大きな中心地と東京とを結ぶ今のお話の縦貫線が二本あるということの必要性は、もう十分私も承知いたしております。   〔委員長退席、山田(彌)委員長代理着席〕 ただ東海道線は、御承知のように、ただいまもろ輸送が逼迫いたしまして、にっちもさっちも動きがとれないようになっておる。あれはシベリア鉄道ができまして、シベリア鉄道は東海道線ができて間もなくできたのであります。それから後にシベリア鉄道は、東海道線が複線になると間もなく複線になり、さらに今度はシベリア鉄道が電化しようというぐらいに、シベリア鉄道と東海道線が雁行するというふうな状態になっておる。今日本が非常におくれておるということであります。そういうおくれをできるだけ早く取り返さなければならぬ。われわれは現実の輸送量の増加の度合いというふうなことを主として考えまして、緩急の順序をつけておるような次第であります。決して中央の方をおろそかにしておるということではないのでございますから、どうぞさよう御了承を願いたいと存じます。
  53. 増田甲子七

    ○増田委員 どうもあまり御答弁に満足いたさないのです。というのは、すでに中央線という線路があるのです。ありますけれども、東京から関西に行こうとすれば、東海道にたよるよりいたし方ない状況でございます。途中の塩尻あたりでおろされてしまって、東京あたりのお客さんは非常に不便をなさる。大体東海道あたりに事故があったときに、もう困ってしまうのです。それから東海道に乗れないお客さまが、もう一本線路があるのであるから、との線路で行こうということがあっても私はよろしいと思います。もちろん総裁の力を入れていらっしゃる東京—大阪間の広軌の三時間急行鉄道は、私は大賛成でございまして、前から及ばずながらいろいろ御協力申し上げておるつもりでございます。これはうんとやっていただいていいのですが、ただ現在中央線がありながら、時間表の組み方がローカルで切れてしまっておる。二本の縦貫鉄道というものがあるのですから、中央縦貫鉄道なるごとき時間表を作成すべきである。そういたしますと、われわれが東京から忙しくて汽車に乗りおくれて、汽車のないときに、今度は塩尻回りで大阪に行かれるのです。それがとんでもない長岡を通ったり、金沢を通って行こうということは常識はずれでありますが、やはりすぐそばに並行した路線があるけれども、時間表の関係上行かれないことになっておる。これはちょっと工夫したらいいことでございます。そこで、その辺の近所の輸送量とかあるいはそういうことを考慮されずに——日本のまん中の一番肥えた部分には二つの従貫道路があるのである。一つは中仙道であり、すなわち今の中央線でございますし、一つは東海道線であるというごとく、貨物についても客車についても時間表を作られることをお願いしたいのです。今まで実はわれわれがうかつなくらいなんです。  それで大体近畿地方とか、あるいは中国、四国、九州等のお客さま、あるいは国会議員もそうでございますが、東海道がだめならもうあかぬというようなことではいかぬ。中央線があるから、新宿からすぐこっちに乗っていかれるというしかけにあるべくしてあらなかったのが過去数十年、これは国鉄当局の怠慢とは申しません。われわれも言い続けたのでございますが、時間表ができておりません。結局線路があるのですから、時間表を作るだけのことはぜひ御考慮願いたい。これについての御所見を、シベリア鉄道まで持ち出さなくてもけっこうでありますから、御高見を承りたいと思います。
  54. 十河信二

    ○十河説明員 お話しのように、そういうことができるだけ早い時期に実現するように、よく磯崎理事に申しておきます。(笑声)
  55. 増田甲子七

    ○増田委員 総裁が東京−大阪間のことについて熱心なことはわかるし、私どもも力を入れております。やはり総裁の鋭敏な実行力のある頭が、そういうことにならないといけないという意味質問しておるのです。これはお願いいたします。——おわかりで——うなずいていらっしゃいますから、御同感と承知いたします。  それからこれは、国鉄御当局のつとに御認識のところでありますが、ただいま昨年十二月十九日に起工式がございました辰野−上諏訪間の電化が行なわれております。これは中央線でございます。そこで、この上諏訪まで電化が完了するのはいつでありますか、これを承りたいと思います。
  56. 磯崎叡

    磯崎説明員 目下のところ、七月一日の予定であります。
  57. 増田甲子七

    ○増田委員 だいぶ早くできて非常に感謝しておりますが、しからば甲府−長野間の電化はいつ御開始になりますか、それを承りたい。
  58. 磯崎叡

    磯崎説明員 甲府−松本−長野間の電化につきましては、先ほど総裁が申されました通り、現在の国鉄の第二次五カ年計画の実施の段階におきまして、なるべく早く着手いたしたいと考えておりますが、やはり資金関係等もありまして、今すぐいつからということを御回答するわけには参りません。私どもとしては、上諏訪−辰野間の電化は、それの一環と申しますか、それの先ばしりと申しますか、そういう意味で上諏訪−辰野間をやったわけであります。甲府から先につきましても、できるだけ早く着手できるようになりたいと考えております。
  59. 増田甲子七

    ○増田委員 それで上諏訪まで電化が完了いたした場合には、遠く名古屋あるいは大阪から上諏訪まで来る直通列車ないし急行列車ができるというお話も聞いておりますが、その点はいかがですか。
  60. 磯崎叡

    磯崎説明員 目下のところ、上諏訪は、主として飯田線からの方の直通電車を入れるつもりで計画しておりますが、臨時列車その他でもって上諏訪温泉その他に行かれるお客さまが多い場合には、そういう列車を組むことは容易だと思います。
  61. 増田甲子七

    ○増田委員 そこで実は早く作ってもらって痛しかゆしという問題が起こるのであります。それはどういう問題かといいますと、中央線のうち新宿−甲府間は日本で最初に電化ができた。それからあとはずっとおくれておる。つまり幹線電化の方向に参りましたから、そこで先ほど私の申したのは、中央線という名前ですから、中央線が僻地線では困るから、中央線は幹線と心得ていただきたいということを十河総裁に申し上げまして、御了承願ったようなわけであります。頭の中にだいぶ入っております。そこで問題が起とるのであります。すなわち辰野−上諏訪間というのは、われわれが幹線と心得ておる中央線の一部が電化されるわけなんです。それが七月一日であって、開業され、電車がそこを通る。そこであとはできるだけ早くということは、間が相当あるということです。間があったときは、結局われわれがつるし上げを食うのです。これは大へんなことになります。中央線のある一部が電化されておる。あとはできるだけ早くということは、これは役人諸君や国鉄企業体の諸君ができるだけ早くといえば、これを解けばそこには一年や二年や三年はあるだろうというふうなことになる。これは大問題になります。これはぜひやってもらわないと、やはり序の口としてやったのであるから、本論に入るまでできるだけ早くということは、その間一体一年くらいの間なのか、三年なのか、とにかく五カ年計画でありますから、その間にやったらよかろうでは、七型県も困ってしまうわけですよ。すなわち、甲府から韮崎、小渕沢間は山梨県分であります。それから富士見から長野までは長野県分であります。その間にちょこっと見本の電化だけができておる。これは非常にありがたいけれども、さか恨みになってしまう。何していやがんだということになる。できるだけ早くでは困ります。信越線は十億を持ったということでありますが、信越線で十億持ったのだから、われわれは二十億持ちたいと思います。倍くらい持ちますから、できるだけ早くということのないように、それが政治でありますから——すなわち接着してやってもらうということについての御意見を承りたいと思います。
  62. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまお話しの上諏訪−辰野間は、中央線電化の一つのはしりとしてやったつもりでありますが、山梨県の中の甲府−韮崎間につきまして非常に御要望があることは十分承知いたしております。ただ三十七年度の予算のワクから申しますと、今電化しております個所が五カ所あります。いずれも電化の最盛期に入っておりますので、新しくまたここに着手いたしますことは、別の資金がなければ非常にむずかしいのじゃないかというふうに考えられます。今、先生から、利用債なら持ってやるという大へんありがたいお話がございましたが、もしそれらにつきまして、もう少し具体化いたしますれば、私どもといたしましても、利用債のワクにつきまして極力考慮することもあながち不可能ではないというふうに考えております。いずれもう少し具体的な問題として十分地元の方とも御相談していきたいというふうに考えております。
  63. 増田甲子七

    ○増田委員 これは山梨県の側においても非常に御心配なのでございまして、つまりちょっと見本を見せて、そうしてあとできるだけ早くということでは困るわけで、資金のめんどうを見ればわれわれもやるというお話でございますから、一歩進んではおりますが、少なくとも私は一年以上の間があれば大へんな政治問題になると思います。というのは、もしちょっと見本を作ってやったんだ、そしてあとは当分やらないんだということになると、これは全国に五つも六つもやっておるのだからして、なかなか間に合いもしないし、昭和三十七年度ではできにくいというようなお話があったり、だんだん御相談しましょう——国鉄当局の積極的に協力しようという心持はわかりますよ。これは前に私がよく質問いたしましたが、国鉄バスは四条件あって、四条件から離れた民間企業を圧迫するような国鉄バスは困るというような質問に対しましても、善処すると御回答がございまして、きわめて明快に善処されております。この点は敬服いたしておりますが、積極的御協力はわかりますが、間が一年以上あると、これは山梨県も長野県も、地方の利益並びに国家の利益を代表するわれわれ公僕が大へんに困った立場に置かれてしまうのです。これは実は超党派で困ってしまいますから、一ぺん作って見本を示して、そうしてあめや何かを見せてどうだ、どうだと言っていると、かえってさか恨みになるという危険がございますから、一年以上間をおいては困ります。われわれは、協力いたしますから、どうか昭和三十八年度においてすみやかに四月一日からでも着工願いたい、こういうことを強く要望いたします。  これをもって質問を終わります。
  64. 山田彌一

    ○山田(彌)委員長代理 田邉國男君。
  65. 田邉國男

    田邉(國)委員 私から国鉄当局に御質問申し上げたいと思います。ただいま増田先生から御質問がありましたが、総裁からも中央線は重要な幹線である——われわれは中央本線と思っておりますが、現在の中央線の状況を国鉄総裁十分御存じだと思いますけれども、非常に列車は込んでおります。おそらく日本の国鉄幹線の中ではドル箱だと私は思っております。ところが、この列車が非常に込んで、しかも立つことが多い。これは国鉄というものは、いつもスワローといって、すわることを条件にしているのに、それが国鉄は立つだろうということになる。(笑声)まことにけしからぬことだ。しかもこれが一番もうかっておる中央本線という重要幹線だ。今日までわれわれはだまって見ておって、国鉄というものはもうそろそろすわろうにさせていいんだろうと思っておったところが、一向に改善をしないということで、われわれ質問に立ったわけでございます。甲府−松本間の電化というものは、昭和四十年までにやるという一応の計画が立っております。そこで甲府−松本間を四十年までに必ず電化するということが一体可能であるかどうかということをお伺いいたします。
  66. 磯崎叡

    磯崎説明員 甲府−松本間につきましては、信越線と違いまして、相当トンネルがございます。信越線の方はほとんどトンネルはございませんで、非常に工事が簡単でございますが、甲府−松本間は、御承知の通り、相当大きなトンネルがございますので、また中央線のトンネルは御案内の通り非常に小さいトンネルでございますので、電化いたします際には全部掘り下げて大きくいたしませんと、普通の列車が通れないというようなことになっております。そういうこともございますので、事務的に現在いろいろ検討いたしております。三年か四年くらいはかかるんじゃないかという説もございますが、ただ金の入れ方によりましては、二年、三年くらいでできるかもしれないというふうに今いろいろ検討中でございます。昭和四十年までに必ずやれるかどうかということにつきましては、主として工事能力資金関係になるというふうに考えております。私どもとしましては、五カ年計画でお約束した線に沿って極力やらなければいけないというふうに考えております。
  67. 田邉國男

    田邉(國)委員 先ほど辰野−諏訪間の電化というものを甲府−松本間の電化の第一工事としておやりになるということですが、増田委員からの質問お答えの要旨を伺っておりますと、名古屋−辰野間、いわゆる飯田線というものが電化している、しかも諏訪へ行く関西及び中部からの温泉客というものが非常に多いので、これを利用するというお話がちょっと出ておりました。これは私は、真意だと思います。しかし、現在諏訪地方に行く温泉客というものは、もちろん東京から行く客も大へんな数でして、土曜日、金曜日の夜などは、もう新宿の駅に列をなして、これがスキー、スケート、温泉と諏訪地方にいろいろな客が殺到する、こういうときに、工事をする場合に、どうして諏訪−辰野間だけやるのか。今中央道というものが問題になっているが、第一工事を着行ずるときに東京−八王子間をやる、そういう場合に例をとりまして、上野原−大月間をやったと仮定したら、これは非常に大きな問題が起きると思います。それと同様に甲府−松本間の電化をおやりになるならば、まず甲府から韮崎をおやりになるということが本筋ではないか。もちろん私が山梨県であるから、甲府−韮崎間をやれということではございません。ただ、もしおやりになるとすれば、両方からおやりになる、松本から諏訪の方に向けておやりになる、こういうようなことなら、地域から出ているわれわれ、またその地域の住民が真にこの鉄道というものを電化するのに国鉄が誠意を持っておやりになっているのだということがわかると思います。ところが真中だけをやりますと、これは飯田線の方につなぐ一部だけやって、あとは予算がないということで将来当分見送りになるのではないか、こういうような判断を下すということが一般常識として言われるわけでございます。その点も増田先生が強く質問された要点だと思います。この点について国鉄が、七月一日に終わるから、今度は二日から一体甲府−韮崎間をおやりになるのか、松本の方からおやりになるのか、その点をはっきりと伺いたい。
  68. 磯崎叡

    磯崎説明員 辰野−上諏訪間の電化をいたしましたのは、御承知の通り、飯田線のちょうど接続点が辰野でございますので、飯田線の電車がそのまま使える、しかも上諏訪までの旅客の要請が相当あるということから、これは約一億、地上設備だけで、車両はなしで電化をいたしたのでございます。車両は一応飯田線の車両が全部そのまま利用できる前提でやったわけでございますので、これは中央線の一部ではございません。飯田線の車を使うつもりでやったものでございます。従いまして、私どもとしましては、上諏訪−辰野間の電化はごく一部だけのものだ、やはり根本的には先生がおっしゃいましたように、甲府から韮崎の方に向けて徐々にやるのが工事の当然のやり方だと思います。これにつきましては、先ほど申し上げました通り、三十七年度に着工できますように、極力今考えておりますが、何と申しましても、予算の関係上、いつから着手できるというお約束をする段階になっておりません。大へん申しわけありませんが、私どもといたしましても、先ほど総裁が申しました通り、できるだけ早く、何と申しましても東京の一番大きな旅客の行先地でございますので、商売の上から申しましても、極力早く電化いたしたいというつもりでございます。
  69. 田邉國男

    田邉(國)委員 ただいまの御答弁を私の方で解釈いたしますと、三十七年の七月一日には諏訪−辰野間ができるので、そのあとはできるだけ早い期間に甲府から韮崎に向かって電化の工事に着工したいということでございますが、その真意というものは、三十七年の間には着工をするとわれわれは解釈してよろしゅうございますか。
  70. 磯崎叡

    磯崎説明員 私どもとしては、まだそこまではっきり申し上げるわけにいきません。極力早く着工いたすようにいたしたいということでございます。
  71. 田邉國男

    田邉(國)委員 それでは、極力早くということは、三十七年度にやるということにわれわれは判断をいたします。  次に、中央線の複線化の問題でございますが、現在、三十六年度から甲府—塩山問の複線化をやっております。ここで地元の土地買収の問題がございまして、国鉄との間にいろいろのトラブルがあるように私は伺っております。また一部われわれ陳情も受けております。その場合、現在約三メートルの幅員をとりたい。そこでくい打ちをしたり立ち入りをしたいとこういうことを言っております。ところが地元の方は、一体補償をするかしないか、どの程度するかということを前提に——先にくいを打たれてしまったら困るのだ、この話し合いをしたいというのですが、なかなか国鉄側が応じてくれない。そこでもしくい打ちをしないということであれば——現在土地収用法で強制的に買い上げるのだというような意味のことが伝えられてくる。そこで地元側としては、協力しないわけではないけれども、一体どの程度にやってくれるのか。自分のうちを切られてしまう、出口をふさがれてしまうというような実情のときに、一体国鉄というものはほんとうにわれわれに対して親切に説明してくれるという道が開かれておらぬじゃないですか、こういう陳情が多いわけであります。これについて、国鉄当局は、一番最前線におられる、土地折衝をしておられる係官の人たちに対して、どういう指令を流しておられるのか、その点をお聞きしたい。
  72. 磯崎叡

    磯崎説明員 用地買収の問題につきましては、現在、先ほど来お話しの東海道新幹線につきましても、また東北線その他各地でもってずいぶん地元の方々の御協力を得まして用地買収をやっております。なれない職員などもおりまして、先生のおっしゃったようにいろいろ問題が起きているところもあるかと存じますが、極力地元の方々の円満な御了解を得た上でやっていきたいというつもりでおります。たとえば、けさの新聞に出ておりましたが、東海道新幹線が今軌道を敷いておりますが、その一部分だけ立ちのきができませんで、約五十メートルばかり工事をしていないというくらい慎重にやっておる次第であります。しかし、中にはふなれな職員がおりまして、そういう事態がございましたら、具体的な問題といたしまして、私どもの方としてはずいぶん下部の方に指示いたしたいと思いますので、先生方からお伺いいたしましたことにつきましても、さっそく取り調べ中でございますので、極力そういうことのないように、また地元の御協力を得られるようにいたしたいと思います。
  73. 田邉國男

    田邉(國)委員 大体国鉄側の御意向によくわかりました。  最後に総裁にお願いしたいことは、今の中央本線の電化の問題でございますが、三十七年の七月一日には諏訪—辰野間が終わるわけでございますから、一つ早急に、甲府−韮崎間に今年じゅうに着工するように予算を重点的に取ってここへ持ってきていただきたい。そして、やるということを強く要望をいたして、私の質問を終わりたいと思います。
  74. 山田彌一

    ○山田(彌)委員長代理 次回は来たる二十三日金曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十五分散会