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1962-02-28 第40回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月二十八日(水曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 簡牛 凡夫君    理事 關谷 勝利君 理事 高橋清一郎君    理事 塚原 俊郎君 理事 福家 俊一君    理事 山田 彌一君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       伊藤 郷一君    宇田 國榮君       川野 芳滿君    木村 俊夫君       佐々木義武君    壽原 正一君       砂原  格君    西村 英一君       細田 吉藏君    三池  信君       石村 英雄君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       田中織之進君    矢尾喜三郎君       内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 齋藤  昇君  出席政府委員         運輸政務次官  有馬 英治君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運輸事務官         (観光局長)  梶本 保邦君  委員外出席者         日本国有鉄道副         総裁      吾孫子 豊君         日本国有鉄道常         務理事     中村  卓君         日本国有鉄道常         務理事     関  四郎君         日本国有鉄道常         務理事     磯崎  叡君         日本国有鉄道参         与         (資材局長)  紙田千鶴雄君         日本国有鉄道参         与         (運転局長)  音田 和夫君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  柴田 元良君     ————————————— 二月二十八日  委員伊藤郷一君及び宇田國榮辞任につき、そ  の補欠として伊能繁次郎君及び堀内一雄君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員伊能繁次郎君及び堀内一雄辞任につき、  その補欠として伊藤郷一君及び宇田國榮君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十三日  港域法の一部を改正する法律案内閣提出第三  四号)(参議院送付)は本委員会に付討された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本観光協会法の一部を改正する法律案内閣  提出第七三号)  港域法の一部を改正する法律案内閣提出第三  四号)(参議院送付)  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。  本委員会に設置されております各小委員会における小委員辞任及びこれに伴う小委員補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 国鉄経営に関する件について、調査を行ないます。  この際、国鉄当局より、先般の東海道線における事故について発言を求められておりますので、これを許します。吾孫子総裁
  5. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 去る二十五日に、東海道線鷲津駅の構内で重大な運転事故を惹起いたしまして、多数の貴重な財貨を減少いたしましたのみならず、長時間にわたりまして、東海道本線輸送に大混乱を生ぜしめるような結果を招来いたしました。私ども、まことに何ともおわびのいたしようもないと恐縮いたしておる次第でございます。ただいまその事故原因、概況を御説明申し上げまして、今後の対策等につきまして考えております点を申し上げさせていただきたいと思います。  この事故が起こりましたのは、去る二十五日の十四時十分に発生いたしたわけでございますが、実はこの日にこの事故を起こしました一六八という貨物列車が、その場所に差しかかって参ります前に、たまたま六五八六列車という工事用臨時列車運転されておりまして、この列車線路バラス砂利を補修する作業をやっておったわけでございます。それでところどころで列車をとめまして、砂利をおろしていくという作業をいたしておったわけでございますが、その臨時工事用列車の編成の中に一両、無蓋車トムの車がごごいまして、この車は、線路砂利まき用の特別の車両ではございませんので、車両の両側の側板をおろして、シャベルでかき落とすという式の作業をやっておったわけであります。その列車が、たまたま貨車側板をおろしたままで徐行いたしておりました際に、これまた線路のわきに積んでございました八本ほどの古レールの置き方が、実は限界を侵して置かれておりましたので、そのレール側板がひっかかりまして、そのひっかかったレールがまた運悪く線路まくら木の下に刺さるというような事故が起こったのでございます。しかし、その際には、この工事用臨時列車は、一時そこで停止いたしましたが、若干の手を加えることによりまして、無事にそこを通過して鷲津の方に行くことができたのでありますけれども、その際、後続列車が間もなくあとを追ってくることがわかっておったのでございますから、十分後続列車に対しても、徐行運転をするなり、一たん停車をするなりできるような、そういう手配ができるように連絡すべきであったものが、そういう連絡もなく、また線路の修繕についても、まずこの程度損傷では大した支障はないというふうに、現場で工事しておりました者が判断をいたしたという事情もあったと思いますが、十分な連絡なしに工事用臨時列車がそこを通過してしまいましたので、そういう事実があったことを何にも知らなかった後続の一六八列車という貨物列車が、普通の速度でそこに差しかかって参りました。たまたま先ほど申し上げたような事情レールの浮き上がった場所に差しかかりました際に、前から十五両目の貨車一軸脱線をいたしました。その脱線した際に異様な音響がしましたので、むろんこの一六八列車機関手はその音には気がついたのでありますけれども、その際、後方を確認いたした際には別段異状を認められなかったというようなことから、そのまま進行して参りましたところ、一軸脱線した貨車がそのままの状態で、約一キロほど鷲津構内まで引かれていったわけでありますが、構内の駅のポイントにひっかかりまして、そこで続く九両が脱線転覆をするというような事故になったわけでございます。その結果、上下本線支障を生じまして、しかもこの転覆いたしました貨車の中に、一両、濃硝酸を積んだタンク車がありまして、それが損傷して濃硝酸が流れ出したというようなことから、現場は白煙もうもうたる状態になるというようなことで、だいぶ周章ろうばいいたしたような形跡もあったようでございますが、その結果、相当長時間にわたって国鉄本線運転支障を来たしたという結果に相なったのでございます。  今度の事故の内容を反省いたしてみますと、これは明らかに国鉄責任であるということを認めざるを得ない事故でございまして、私ども心から恐縮いたしておる次第でございます。実は、去る十五日の日に、同じく東海道本線の函南の駅で、やはり貨物列車脱線転覆事故が起こりましたのですが、これはたまたま活牛を積んだ貨車の積みつけが悪くて——その貨車社線から出た貨車であったわけでありますが、その貨車から牛が落ちるということがありましたために起こった事故でございました。やはりこの際にも、長時間にわたって東海道本線の運行に支障を来たしましたので、地元の静岡鉄道管理局といたしましては、去る十五日の事故を契機といたしまして、いろいろいろ反省の会を開いたり、あるいはまたいろいろ調査、検討いたしまして、事故防止に戒心いたしておった。その際に、旬日を出でずしてこのような事故がまた繰り返されたということでございまして、私どもほんとうに遺憾に存じております。  必要な注意につきましては、さっそく総裁名前、あるいはまた私の名前をもちまして、現場業務機関に対し注意しておりますけれども、今回の事故は、直接当面の責任立場にあった係員のみの責任とは必ずしも断じ切れない点もあると考えまして、管理監督立場にある者の責任等につきましても、根本的にこの際検討をいたしたいと考えまして、このたびは、私自身が特命を受けまして、特別の査問委員会を本社に設けまして、十分事故原因責任の所在というようなことにつきましても究明をいたしました上、今後再びこのような事故を起こすことのないよう、十分戒心いたしたいと思っておりますので、何とぞ御了承をいただきたいと思う次第でございます。  大へん世間をお騒がせいたし、多勢の荷主方々に御迷惑をおかけいたしましたことを、重ね重ね申しわけないと思っておる次第でございます。
  6. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。細田吉藏君。
  7. 細田吉藏

    細田(吉)委員 ただいま副総裁から、最近東海道に起こりました事故につきまして説明がございましたが、私は、この事故原因なりあるいは今後の対策、こういったような点につきまして、二、三御質問をいたしたいと思うのでございます。  申し上げるまでもなく、現在道路交通上の交通事故というのが非常に大きな問題になっておりまして、交通戦争などといういやな言葉まで実は出て参っておるような状況でございますが、その間におきまして、鉄道は安全だ、鉄道は大丈夫だ、特に国有鉄道は安全なんだ、こういう国民の信頼感が非常にあると思うのでございます。振り返ってみますると、桜木町の事故が起こりましてから、もう十数年たっております。大きな旅客死傷事故は、私の記憶いたしまするところでは、参宮線事故がございましたが、それ以来、非常にたくさんな人が死傷したというような事故は、跡を断っておったように見受けるのでございます。ところが、ごく最近に至りまして、旧臘十二月に常盤線の東海駅におきまして、また同じ日に山陽線の小野田の駅の付近におきまして、旅客列車のかなり悪質なと考えられる事故が起こったのでございます。引き続きまして、今回日を接しまして、二月十五日と二月二十五日に、東海道本線事故が起こりました。前の二つはいずれも死者一名でございますが、負傷者をかなり出しております。あと二つにつきましては、貨物列車でございましたために、人員の損傷はなかったのでございますが、しかし、考えてみますると、非常にはだえにアワを生ずるような事故でございまして、今にしてこの事故原因を十分に究明し、また対策を十分とられなければ、いかなる事態が起こるやもはかりがたい、こう言って差しつかえない、非常に重大な問題であろうと私思うのでございます。  そこでまず初めに、ごく最近起こりました鷲津——新所原間の事故についてお尋ねをいたしたいのでございますが、ただいま説明がございましたが、保線の専門の方が工事用列車バラスをまいておった。そしてレール損傷が起こったこともはっきりわかっておった。これを手直しをした。しろうとがやったわけではなくて、専門家手直しをした、こういうことでございますが、その直後に貨物列車が通って脱線をしておる。かりに旅客列車が直後に参りました場合に、旅客列車貨物列車とは、いろいろな車輪の関係その他車の構造も違いますから、あるいは何とも言えないかもしれませんが、しかし、脱線しないとはこれは言えないのじゃないかと思うのでございます。そこで、この間の事情につきまして、これは施設局長でけっこうだと思いますが、もう少しどういう状態であったかをお聞きかせ願いたいと思います。
  8. 柴田元良

    柴田説明員 ただいまの先生の御質問に対して、お答えいたします。  先ほど副総裁から御説明がございましたように、工事用列車側板が、線路の問に置いてありました発生の古レールの端に当たりまして、当たったレールまくら木の下に入り込んだわけであります。従いまして、工事用列車としては一たんバックいたしまして、手直しの上、徐行でそういう線路状態の上を通りまして鷲津駅に入ったのでありますが、この工事用列車あと十分後に、たまたま事故を起こしました一六八という貨物列車が追っかけておったわけであります。当時の指揮者といたしましては、そういう状態でもって列車が安全に通せるかどうかの判断は一応いたしたわけでありますが、ただ、その場合に、これは当時の判断であったわけでありますけれども、もう少し慎重に判断いたしまして、一たん後続列車をとめる。その上徐行で通すという手配がもし行なわれておれば、今回のような事故にはならなかったのではないか。このように考えるわけでございます。しかし、当時の事情といたしましては、作業員も十二、三名現地におりまして、持っておりましたショベルでできる程度の仮の整理——砂利をおろしておりましたために整理を必要といたしましたが、そういう整理はいたしたのでありますけれども、とにかくこの程度では通れる、こういう判断をいたしましたところに、結果としては非常な問題があったというふうに考えるわけであります。いずれにしろ、十分の作業時間の中でできます仮手当範囲は、ただいま申しましたような範囲以外にはできなかったのはやむを得なかったのじゃないか。従いまして、到車をとめて徐行で通すという判断をしなかったことに、結果としては問題があったのではないか、このように考えます。
  9. 細田吉藏

    細田(吉)委員 事故の具体的なところにつきましては、専門的にいろいろ御調査になることだと思いますので、これ以上申し上げませんが、いずれにしても、これは大へんなことだと思うのでございます。と申しますことは、東海道線、これはまあかねがね線路を非常に大事にしておるわけなんでございましょう。それが異常状態であったものを、仮手当は大体これでいいとだれが判断したか。その責任者判断したと思うのでございますが、この判断に誤りがあったということになりますと、これは今後とも、たまたま工事用列車がひっくり返ってどうこうということは、それは偶然のあれであまり例にならぬかもしれませんけれども、これと同じような事態が、ほかのいろいろな事情で起こらぬとも限らないわけでございまして、こういった点から特に私が残念に思いますことは、国鉄安全綱領とか安全面とか、そういうものがございますが、安全なサイドにいろいろやられてなかった。たとえば一ぺん停止をさせるとか、徐行をさせるとか、そういうことが全然なされないというところに非常に問題があろうと思うので、これは今後の事故を起こす条件をそこに胚胎しておると思うのでございます。  それから特に私この機会にお願いを申し上げておきたいと思いますことは、後続列車が続いておる。これを何とかして通そうということが、非常に強く頭にきておったと思うのでございます。東海道線に限りませず、各線ともかなり列車の数がふえております。国有鉄道の諸君が、とにかく列車を無事に通そう——無事といいましょうか、とにかく通そうという意欲が非常に強いために間違いが起こる、こういうことがあると思うのでございまして、こういう点につきましては、もちろん安全ということが第一のことは、申し上げるまでもないところでございます。いろいろ注意とか通達とか出ておるようでございますが、こういう点につきまして、少しく、事故があまりそれまでの間にないので、だれておるのじゃないかという声もぼちちぼ伺うわけでございまして、こういう点につきまして、特に一つ厳重に御配意お願いしたいと思うのでございます。御答弁を願いましても、形式的なといいましょうか、まあいろいろきまったようなことでございましょうから、特に御答弁を求めませんが、特にお願いをいたしたい。  それで、この事故に関連をしまして、私少し感じております今後の問題としてお尋ねしておきたいのですが、たとえば、今回の工事用列車に、トムという車を使っておるわけです。だんだんいろいろな点で近代化も進んでおりますが、工事用専用貨車くらいは、大したことはないので、もっと十分作られるべきじゃなかろうかというふうに考えますが、この点はどうお考えであるかということが一点。  それから、脱線をいたしております車が、小型のワであるようでります。十トン車であるようでございますが、十五トン以上の貨車にかなり統一されて参っておる中で、十トン車が貨物列車脱線原因になる場合が非常に多いように私は思うのでございます。そこで、今後における小型貨車の、十トン貨車整理といいますか、もう新しくはお作りになっておらぬと思うのでございますが、どのようにお考えになっておるか。また、事故にはそういうものはあまり影響がないということであれば、そういう御説明でもけっこうでございます。どうも、えて小型貨車——長大な貨物列車の中においてぽつんぽつんと入っておる小型貨車が、貨物列車脱線転覆の際に、偶然ではないと思うんですが、よく引っかかっておると思うんですが、こういう小型貨車について、今後の考え方としてどういうふうにお考えになっておるか、伺っておきたいと思います。
  10. 磯崎叡

    磯崎説明員 十トンの小型車につきましては、実は荷主の側から申しますと、ぜひ十トン貨車を残してくれという要請も非常に強うございますが、現在の高速の貨物列車の際に、十トンの四輪車があるということは、先生お話通り運転上万が一の際等考えられますので、もうすでに五、六年前から十トン車の新製は、一車もいたしておりません。それから、現在ございます十トン車の中には、戦時中に手を加えましたものなどもございますので、極力十トン車を早く廃車したいというふうに考えております。現在、ちょっと手元に何年間でゼロになるという数字は持ち合わせておりませんが、廃車にいたします車が、年間二千五百両ないし三千両廃車いたしておりますので、極力十トンの有蓋車無蓋車につきましては、廃車するようにいたしたいと考えております。
  11. 細田吉藏

    細田(吉)委員 時間があまりございませんので、少し急ぎますが、このごろはあまり聞きませんけれども、去年の十月のダイヤ改正によって列車の増発がかなり行なわれた。その直後において相当各線列車遅延が出たことは、新聞紙上等にも出ましたし、また私どももいろいろ承ったのでございます。列車遅延が大きな事故を起こすもとになることは言うまでもないところでありますが、その後の列車遅延状況は、どういうふうな格好になっておるかということと、それからいま一つ、最近における国鉄でいわゆる重大事故状況、また特に踏切事故につきまして、数字があれば——きのうあたりも踏切でまた事故があったようでございますが、こういうものにつきまして、運転局長から一つ御説明願いたいと思います。
  12. 音田和夫

    音田説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました時刻改正後の列車のおくれでございますが、仰せの通り、昨年の十月一日から時刻改正をいたしまして、輸送力を増強いたしましたが、かなり列車のおくれが目立ちましたことは、事実でございます。これを数字的に申し上げますと、改正直前に、私どもが全国の列車のおくれを押えます目安といたしまして、三十カ所ばかりのところを選びまして、そこを通過いたします列車のおくれの総計をもって判断いたしておるのでございますが、九月の、時刻改正をやります以前のおくれの数字を申し上げますと、大体六千分ぐらいであったのでございます。ところが、時刻改正をやりまして、それが約三倍ぐらいに増加いたしまして、これは、お説の通り事故防止に非常に大きな関係がございますし、また、御利用なさいます旅客方々にも御迷惑をかけますので、何とかして早くおくれをおさめますように努力をいたしておったわけでございますが、えて、ああいった大時刻改正をやりますと、当分の間はおくれが目立つことは従来の例にもあったわけでございまして、従来の例によりますと、日をたつにつれまして、それがだんだんおさまるのが常道でございますが、今回の場合も、同じような傾向をたどりまして、改正直後には六千分が約三倍の一万八千分くらいになっておりましたものが、十月の終わりには二倍くらいに下がっております。それから十一月はまだあまり好ましい状態ではなかったわけでございますけれども、十二月の初めになりまして、大体改正前のおくれと同じ程度になりましたので、やや愁眉を開いておったような状態でございます。ところが、その後年末年始になりまして、貨物の輻湊、またお客様がふえましたために、再び時刻改正前の九月下旬の状態の二倍くらいまで遅延いたしておるような状態でございます。しかし、二月に入りまして非常に良好な状態になりました。特に踏切事故とか、ただいま副総裁お話し申し上げました事故のような大きな事故がございました日は別でございますが、一般的に申し上げまして、大体四、五千分、時刻改正前よりは良好な状態に推移いたしております。目下そういう状態でございます。  最近の大きな事故につきましては、逆に申し上げますと、二十五日の鷲津事故でございますが、この事故によりまして、東海道線を復旧いたしましたのは、五時間程度でございます。完全復旧いたしまして、上下線が開通いたしましたのは、約十二時間ばかりたっております。
  13. 細田吉藏

    細田(吉)委員 私、お尋ねいたしましたのは、最近の事故全体といいますより、国鉄でやっておられる重大事故のたとえば去年との比較とか、そういう数字をお聞かせ願いたい。
  14. 音田和夫

    音田説明員 御質問の意味を列車関係のありました列車事故というふうに解しまして、列車事故につきまして御説明申し上げます。  大体長い目で見まして、ここ数年来ずっと減少はいたしておるのでございますが、ごく最近の例をとりまして、本年度の四月一日から一月末までを前年同期と比較いたしますと、三十五年度の一月までの列車事故で申し上げますと、百九件あったのでございますが、これを同じ期間で比較いたしますと、三十六年度の、昨年の四月一日からことしの一月までは百一件でございまして、八件減少いたしております。こんな状態でございまして、件数といたしましてはあまり増加はいたしてなくて、むしろ減少いたしておる状態でございます。
  15. 柴田元良

    柴田説明員 先ほどの車のお話に関連いたしまして、砂利散布に使いますホキ車は、現在二百両ございまして、その約七割を東海道山陽線に使っております。今後、こういった専用貨車を作りますように努力いたしたい、かように考えております。
  16. 細田吉藏

    細田(吉)委員 いろいろお尋ねしたいことがございますが、時間の制約がございますので、十五日に発生しました例の事故に関連いたしまして、お尋ねをいたしておきたいと思います。  牛が貨車からこぼれたというのは、一種の荷作り事故だと思うのでございます。たとえば、積みつけが悪いために材木が落ちた、それによる貨物列車脱線転覆といったようなものも、これまでたくさんあったわけでございます。ただ、生きたものがこぼれたというのは、あまり例を見ない特殊な事故だと思うのですが、いろいろ御説明を承ってみますと、これは社線から出た貨車についての事故のようでございますが、この積みつけ方といいましょうか、牛のつなぎ方になるわけですが、そのつなぎ方やとびらの状況などを見ますと、このようなことをやっておれば、もう二月十五日に起こらなくても、必ずいつの日か起こるという程度の非常に粗雑きわまる積みつけ——積みつけという言葉がいいかどうかわかりませんが、積み方だ、積載の仕方だと思うのであります。これは会社線であろうが、国鉄線の中であろうが、同じく重要幹線を走るわけでございますし、また重要幹線でなくても、事故は重大な問題でございますので、単に家畜だけではございません、全般的な積みつけ事故防止という点について、特段の配慮を要すると思うのでございますが、こういう点についてどうお考えになりますか、お願いをいたしたい。  それからさらにつけ加えまして希望をまじえて申し上げたいのですが、牛は、家畜車で運ばれるというのが原則でございます。この報告には、家畜車でなく、一般の有蓋車を便宜お使いになっておったように出ておるのでございますが、戦争中ならともかくといたしまして、今のような状態でございますと、これは単に牛だけに限りませんが、いわゆる特殊な用途の貨車というものは、需要に応じてもっと整備されるべきではなかろうか。また、鮮魚についての冷蔵庫などについては、かなり増備しておられるようですが、この特殊車の問題について、もう一度見直していただく必要があるのではなかろうか。戦争中からの大ざっぱなやり方がまだ残っておって、何か貨車であれば、四つ車がついておれば無理をして積むのだというようなことが、まだ残っておるのではなかろうか。私は、もうそういう時代ではないので、戦前の不況時代などには、特殊車というものは非常にこまかく注意して作られたのでありますが、さらにそれ以上に新しい時代に対応した、それぞれの荷物に応じた特殊な貨車が十分に装備されるべきではなかろうかというふうに考えるのでございますが、こういった点について、どういうふうになさっておるのか、また、今後しようとなさるのか、伺いたいと思います。
  17. 磯崎叡

    磯崎説明員 貨物輸送輸送の仕方、ことに荷主側のいろいろな御要求に対しまして、私どもといたしましては、極力その御要請に合った車を作って参りたいという点につきましては、今先生のおっしゃった通りでございます。特に最近は、冷蔵車あるいは通風車等、鮮度の高いことを要求される貨物の要請が非常にふえて参りましたので、それらにつきましての車を重点的に作ることにいたしております。  ただ、家畜につきましては、ごく最近は枝肉輸送が非常にふえまして、生きたままの牛の輸送が、実は最近減ってきております。現在、私の方で家畜車は約六百両持っておりますが、そのほかに、豚だけは、専用で二百四、五十車の車を持っております。ただ、家畜車は、御承知の通り運用効率が非常に悪くて、六百両ぐらいございますが、実際毎日使っておりますのはそのうち百車ぐらい、その百車のうちでも、実際に牛を積みますのは三十車ぐらい、あと七十車は、一般の有蓋車の代用に使っておるような実情であります。それほど、最近なま牛と申しますか、生きた牛の輸送が減ってきているわけでございまして、そういうふうに運用効率が悪いために、たまたま突発的に生牛の輸送があるというような場合には、ワムの有蓋車を代用することを認めておりますが、とびらを開いたまま輸送をするということを承認いたしております。過般のも、発駅は秩父鉄道の駅でありますが、これは一年に一車か二車しか発送しない非常にまれな例でございましたので、やはり家畜車を準備することなしに、一般の有蓋車で代用したわけでございます。この一般の有蓋車の中に、御承知の通り、牛をつなぐ環がございます。その環が八つございますうち、二つ損傷いたしておりまして、それが損傷しておったために、牛を扱う人が自分で環を買ってきまして、それを貨車に打ちつけたものが抜けたために、貨車の中で牛が二、三匹、綱がとれましたためにあばれて飛び出したようなわけで、非常にケースとしては珍しい例でございますが、今後、そういう例が全然ないとは限りませんので、生牛あるいは馬等の積みつけの際には厳重注意するように、管内一般に示達しておるわけでございます。ただ、私どもといたしましては、今後、家畜輸送は、極力枝肉の輸送にしていただきたい。その方が輸送も合理的でございますし、ことに最近、鹿児島県あたりでは極力生牛の輸送をやめて枝肉輸送にしておられるようでございますが、こういった方向を全国的に広げていただきたいということを、農林省の方ともいろいろお話いたしておりますが、まだ若干の、一日三、四十車の生牛の輸送がございますので、それらにつきましては、十分注意して参りたいというふうに考えております。
  18. 細田吉藏

    細田(吉)委員 事故の復旧について一点、伺っておきたいのです。この報告によりますと、十四時十分に発生しております。それで本線が開通いたしましたのは、次の日の、下り本線が一時二十五分、上りが一時四十五分になっておりますが、特に下り本線と下り二番線を結んで臨時に本線を作られたように——これは資料が簡単でよくわかりませんけれども、これが十九時に開通して通したようになっておりますが、この図面だけ見ますと、下り本線が非常に大きく支障しておるようには見えないのですが、実際とは違うのかしれませんが、こういう応急な措置をおとりになっております。濃硝酸が出たから非常にむずかしいというようなお話も、今副総裁からありましたが、しかし、いずれにしても、どうもこの事故の復旧の手ぎわは、私ども国有鉄道に対する常識から考えますと、非常に時間が長くかかっておるように見受けられるのですが、こういう復旧についての態勢に抜かりがないだろうかどうだろうか。よって列車遅延、運休は、このあとの資料にずらりと出ておるわけですが、これはちょうど日曜日であったかと思いますが、非常に混乱をしたようでございます。硝酸がひっくり返っただけでこれだけの時間がかかるということは、何としても私どもちょっとうなづけないのでございますが、事故復旧に対する準備態勢とかいうようなものが、いかがかと思うのでございます。こういう点につきまして、あまりこまかい事情は御説明要りませんが、大体どういうことであるとか、あるいは今後の問題、そういうことについてお伺いしたいと思います。
  19. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 事故復旧の時間が少し長過ぎるではないかというお言葉でございましたが、この点は、私どもも、場所場所でありますだけに、一刻も早く本線を通すようにしなさい、すべきであるということで、厳重に督促を事故発生の直後からいたしておったにもかかわらず、実は思いのほかに長引きまして、この点はまことに残念に存じておるわけでございます。先ほどもちょっと申し上げましたのですが、実は十五日の函南の牛の事故の際の復旧も大へん時間が手間どりましたので、地元の管理局としては、そういうようなことにつきましても、いろいろ反省の会を持って検討をしておったところへ、またこの事故が起こったということでございまして、今後のこともございますので、私どもといたしましては、今度の事故原因責任ということはもちろんでございますけれども、特に本線の輸送の復旧ということは一日もゆるがせにできないものでございますから、現地の方も、また本社におきましても、そういう点を十分究明いたしまして、遺憾のないように措置いたして参りたいと考えておる次第でございます。
  20. 細田吉藏

    細田(吉)委員 ただいまの御説明に関連しておるのですが、たとえば操重車でも、今回稲沢から持ってきたようですが、事故があってはいけないことでございまして、操重車などは要らない方がよろしいことは申し上げるまでもございませんけれども、十月一日と申しますか、何年一日と申しますか、御検討願うべきじゃなかろうか。操車場もたくさんございます。局も分割されてこまかくなっておりますから、重要な線などについては、一つの局に一つくらいあってもいいのじゃないか。特に静岡管内などは、非常に長い東海道本線を持っておりますが、ここに一つもないということ自体が——事故を歓迎するようなわけじゃありません。事故があってはいかぬですが、復旧を考えると、もう一ぺん検討される必要があるのじゃないかということを感じます。これは予算の中で大したことじゃございません。急行料金の払い戻しや一般の迷惑といったことを考えますと、平素からの準備は十分されてしかるべきだというふうに思います。これは御答弁は要りません。とにかくやっていただきたいと思うのでございます。  最後に、同僚委員からまだ御質問もあるようでございますから、簡単に……。貨物列車に起こった事故でございますが、これが旅客に起これば、非常に重大な、たくさんの死傷者を出して、天下の耳目を聳動させるような事故になったのではないかというふうに思うのでございます。先ほど来申し上げましたような、設備といわず、職員といわず、いわゆる国鉄責任に属する事故が頻発いたしておりますが、死傷事故というものは、偶然の事情からは少ないわけでございますけれども、こうした事故が次々と起こっておるということは、天が与えた警告であろうと思うのでございまして、この事故を今にして防止することは、災いを転じて福とするということになろうかと思うのでございます。こういった事故防止につきまして、今までもいろいろやっておられるわけですが、今後特段の措置をおとり願う要があろうかと思うのでございます。締めくくり的な意味で、先ほど来副総裁からお話がございましたが、特にこうした事故の頻発について、国鉄としてどう処置されようとするのか、そういう点を副総裁からお願いをいたしたいと思います。
  21. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 全く御指摘の通りでございますので、事故が起りますつど、私どもといたしましては、慎重に原因を究明し、また責任の所在も明らかにし、そのつど関係の向き向きに警告を発し、注意もいたしておるのでございますが、たまたま昨年の暮れに、常磐線、山陽本線の事故があり、また、ついせんだって函南で事故があったあと、追っかけるように鷲津構内でまた事故を起こした、こういうような状況でございますので、これではいけないということを私どもとしても深く銘記いたしておりますために、今回は、特に本社の中に特別の査問委員会を開設いたしまして、命によりまして私が委員長となり、関係者を入れまして、根本的な事故の究明、また今後の対策というようなことについて検討を加えました上、従事員全体の気持をなお一そう引き締めるように努力いたしまして、二度とこういうことを操り返さないように、万全の措置をとって参りたい、かように考えておる次第でございます。
  22. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 勝澤芳雄君。
  23. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先輩の細田委員から大へん詳しく御質問がありましたので、引き続き二、三箇年に御質問をいたしたいと存じます。  この事故の表面に出てきている原因については、大へんはっきりしていると存じます。結局新聞の報ずるところによりましても、「砂利まき貨車側板にひっかけられるような個所に古レールが積まれてあったこと、現場を応急修理した線路工手の修理の仕方がまずかったこと、線路工手が危険があるのに合図をして列車をすぐとめる処置をとらなかったこと、の三つのミスが重なって起った事故といえる」こういうように端的に書かれておりまして、そしてまた国鉄から出されましたこの事故の資料の中の対策の中にも、明確になっておるようであります。まず第一に、「作業中に、列車運転支障を及ぼす状態と認めた場合は、ちゅうちょすることなく、直ちに列車防護を行うこと。」こう書かれております。これは文で書かれますと、確かにこの通りだと存じます。そこで「列車運転支障を及ぼす状態と認めた場合」、この判断が今度の場合の一番のキー・ポイントになっておると思うのです。この判断は、大へんむずかしいわけです。これは今おいでになられておる責任者の方方でも、事故がなければよかったわけですから、事故があったら判断が間違ったという結論しか言えないと思うのです。それほど判断がむずかしいわけです。そしてまた、事故が起きるときには、いろいろなものが積み重なっておると思うのです。これを見てみますと、今ちょうど退職者がおやめになるときで、異動の時期ですから、「分区長転勤のため、保線区技術掛が代行した。」その技術掛も年配の古い人でありまして、これは十分な経験を持った技術者だと思うのです。それで十何人の線路工手も一緒におった、こういうことでありますから、結局その人たちが手直しをした。その人たちの技術的な水準と経験からいうならば、これで十分だという判断をやはりしたと思うのです。もしまた片方で、これは無理だ、汽車をとめろと言ったときに、汽車を一たん停止をさせたことにおける自己の責任といいますか、こういうことからいいますれば、これでいけるならやった方がいいじゃないかという判断をした。いや、これは汽車をとめた方がいいじゃないかといえば、とめたことの責任を追及せられる。そして東海道のように列車密度の多いところですから、よけいにこの判断は一担当者に重荷をかけられておると思うのです。そのかけられておる担当者というのは、私は十分な経験を持った人たちであると思う。そこで今、線路の保守態勢の近代化ということが、大へん問題になっておる。現場の人たちは、今でさえ足りないんだ。もっと十分やらなければ危険だと言っておる。しかし、上の方では、十分だ。最近では設備もよくなったし、品物もよくなったんだから十分だ。しかし、その事故が起きたとき、その事故の限界ということについての科学的、技術的なものは、ちっともないわけです。それは長い間の経験と勘によって行なっておる。こういう点から考えてみますと、こういうような通達で、この問題が——対策として、これ以上のものはなかなかむずかしいと思うのです。むずかしいと思うのですけれども、やはりこの辺にも、今回起きた事故の第一の問題点というものがあると思うのです。その点について、施設局長の方からでもお考えをいただきたいと思うのです。
  24. 柴田元良

    柴田説明員 ただいま先生の御指摘の点が、私どもとして一番むずかしい問題だと思うのでございます。従いまして、いずれにしろ、現場でもって線路に何らかの——もちろん、異常を認めた場合は当然でありますけれども、そういった今回の事故のような場合におきましては、平常とは変わった状態にあったことは事実でございますので、そういう場合は、考えることなく、とにかく一ぺんとめなさい、こういう指導をしたいというのが、その趣旨でございます。先生お話しの通りに、線路関係者といたしましては、列車をとめますことは、正常な運転ダイヤの面におきましては、支障を与えますから、できるだけしたくないという気持の強いことは、事実でございます。こういったことのために、過去におきまして、その判断によって列車をとめてみたけれども、どうもなかった、こういうような場合もございますので、現場としては、この点一番悩む問題でございます。しかし、そういうような悩みを持ちましては、自信を持った措置はできませんので、この際、多少輸送の障害に結果としてなりましても、安全第一、この趣旨を線路の職員に対して徹底して、安全輸送を確保する、こういう原則を確認して指導したい、このように考えております。
  25. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大へんけっこうなお考え方だと思うのです。事故が起きた当座というものは、大体安全第一というものの考え方が優先をしてくるわけです。少しでも支障があると認めたときには、ちゅうちょなくとめよ。そしてそのあとで次の対策をせよという方針が優先をするわけです。しかし、その事故が少し遠ざかって、平常の状態になってくると、今度は汽車を走らせることが中心に考えられるわけです。私たちは、よく汽車に乗って、静岡を出るときには二時間二十分くらいおくれている。東京へ入るときには一時間と五十九分で入ったという放送と同時に、急行料金の払い戻しはしませんと言って、車掌が各車内を回って、申しわけありませんとあやまっておる。こんなことを国鉄がやるから、どうも国鉄の評判が悪くなるんだ。これはいろいろむずかしい問題だと思うのです。しかし、それほど国鉄の従業員というものが、いい悪いはともかくも、とにかく国鉄の利益を考え輸送の安全を考え、なおダイヤというものを考えながらやっているわけです。この考え方というものは、明治以来つちかわれた国鉄の中に魂として残されておるわけですから、それはよほどの決意でやらなければならぬ、こういうことになって、こうなったときにはお前には責任はないんだぞ、この汽車をとめた責任というものは何もないんだということを、相当詳細に、具体的にある程度判断ができるようにしてやらなければいけないと思う。それをただ勘で、あるいは本人の推量でやって、あとで怒られている例が幾らもあるわけです。お前なぜとめたんだと、逆に怒られているわけです。それは施設局長立場では、よくとめたと言うでしょう。しかし、片方のお客の立場から言うならば、これはけしからぬじゃないかと、また言われるわけです。それがまたお客の中からはね返ってきて、どうもという形で全体的に国鉄にかぶさってくるわけですから、施設局で考えているようにはやはりいかないわけです。  そこで、この中に出てくる二番とか三番とか四番、この問題については、これは当然行なわれたと思うのです。結局最終的に出てきている二番の「道床砂利の取卸しについては、今後できるだけホキ車を使用するようにする。」結論的に言うならば、今度の事故は、ホキを使えば事故がなかったであろう、こういうことが言えるわけです。極端な言い方をすると、ホキを使わなかったのが事故原因であるから、なぜホキを使わなかったというようなところに問題の焦点があるんだ、ひっかかったのが問題じゃないんだという言い方もできると思うのです。結局分区長が転勤になった。そして技術掛が代行した。その技術掛も、十何年も経験を持った線路工手と一緒にやった。そしてひっかけたけれども、事件を見ながら十分手直しをして、これならいけるだろうということでやった。そうしたら、通った貨物列車の中で浮き上がるような軽い貨車があったというところに、結局問題がかぶさっていると思うのです。そこで最近この運輸委員会で問題になったことは、東海道は動揺が激しいじゃないか、もう少し保守を十分しなければならぬじゃないかという話が出ました。あるいは十月の白紙ダイヤ以降、列車遅延がはなはだしいじゃないか、あるいは優等列車が優先をして、通勤を犠牲にしているのじゃやないか、こういう点が出て参りました。これは三つとも事実だと思う。しかし、国鉄の方は、設備の近代化をしなければならぬという点で、今新保守体制といって、静岡では具体的に提案して、どこを何人減らすという相談がなされております。それは電気の関係も同じだと思うのです。結局異動があった、片方では新保守体制でいくということで、現場ではこれでは無理だというにかかわらず、技術的にこれは可能なんだと、上からやられようとしている。こういう状態があるわけです。そういう点から考えてみますと、今新保守体制とかいうことでいろいろ検討されておりますけれども、この際、もう少し学問的なものだけでなく、経験を持った、一番下でつるはしを持っている人たちの意見を取り入れた形の検討というものをすべきじゃないだろうか。また、それをしなければ、事故が起きたときの原因というものは、手直しが悪かったんだということで、一番末端のところに責任が転嫁されて、今まで二十人でやっていたのが十人に減らされたその原因の所在というものは、明確になってこないと私は思うのです。そういう点で、今各所でやられていると思うのです。静岡では、具体的にやっているわけです。職場の方では、おれはどっちに行くんだ、どうなるんだという不安もあるわけです。その点から考えてみますと、全体的に、この問題については、山手線のようなところは別でしょうが、列車密度の多いところは、少し検討する余地があるのではないか。この点についてはいかがでしょうか。
  26. 柴田元良

    柴田説明員 ただいまの新保守体制の問題に関連して、お答え申します。今回工事をいたしておりました工事の内容は、この区間における道床の砕石の厚さをふやすという、線路強化の工事をやっておったわけでございます。ただいま先生お話のように、私どもは、基本的には、線路程度が十分あって、ただいま作業をやっておりますように、絶えず手を入れて作業をしなくなる、このような状態になったときに、新しい保守の体制が可能である、このように考えております。静岡の局におきまして、一つの考え方として、本社はもちろん、いろいろ検討する必要があるが、実際の線路状態考えて、どのようになるかこの議論は、当然現地でもやっていると思います。しかし、今日の状態ですぐそういうことが可能であるかどうかということは、実は考えておらないのであります。この問題は、一番大事な安全につながる線路の問題でございますので、当然慎重な考え方なり、かりに実施する場合におきましても、自信を持って行なう必要があると、慎重に考えておる次第でございます。  今回のような事故はもちろん、現場のほんとうの作業責任者判断にまかされておりますことも、事実でございましす。しかし、新しい体制におきましては、今後作業の方式が少し変わるわけでございまして、もう少し強い作業の体制とより高度の判断力を備えた技術者が、さらに高度の面から判断ができる、こういうような考え方を、新しい体制では実は考えておるわけでございますので、この点につきましては、今後、十分そういうことが可能であるという観点に立って実施して参る、こういうふうな考え方をいたしております。
  27. 勝澤芳雄

    勝澤委員 明治以来、国鉄の中で近代化が進められていないのは、私は保線だということは認めます。しかし、それはなかなかいろいろな技術的なものがあるわけでありまして、そういう点から考えてみますと、やはり割り切れない、計算のできないものというものがあるわけです。そういう点から言うならば、やはり今までの経験の中から、十分な検討をされた方針が私は要るではないだろうかと思うわけであります。十分その点については御検討願いたいと思います。  そこで、これは副総裁お尋ねしたいのですが、やはり一番中心になりますのは、いつも事故が起きて問題になりますのは、もう安全が第一なんで、その次にダイヤの問題なんだ、こういうことなんです。これはどっちが優先するかというのは、私は、なかなかむずかしい問題だと思いますけれども、やはりもう少し幹部はもちろんのこと、働いている人たちにも、あまりダイヤにとらわれるな——というのもおかしいと思いますけれども、もう少し時間的観念をゆるめろというのも、これもおかしい問題だと思うのですけれども、やはりこの辺のものについて、もう少し安全ということ、それから時間の正確ということとの問題を——今の現場の従業員の中では、やはり時間というものについてのウエートが強くき過ぎていると思うのです。こういう点について、何か今回の事故にかんがみて、もう少し安全を強めたものの考え方をさす、そしてある程度ダイヤを犠牲にするといいますか、そういう言い方がちょっと問題がありますけれども、気持はおわかりになると思いますけれども、何かそういう点でお考えになられておりますか。
  28. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 今さら申し上げるまでもないことでございますけれども国鉄が非常に時間のことをやかましく、ダイヤを守れということを長年やってきておるわけでございますが、これはもう申し上げるまでもなく、時間を守るということが一番安全を期する重要な要素であるというところから、正確な運転ということを長年強調し、また、そのために努力を重ねてきておるわけでございますので、時間を厳守するということが安全の第一条件であるということにもなるかと思いまするが、しかし、またその場その場の事態によりまして、時間にとらわれるということがかえって事故を惹起する原因になるおそれを生じるような場合もございますので、そういう場合には、時間よりはまず安全という立場で、ダイヤにとらわれない処置をしなければならない事態もございますので、その辺の使い分けは、具体的な問題になりますと、先ほど来各関係理事、局長等から御答弁申し上げました際にも触れておったと思うのでございまして、なかなか問題はございますけれども、私どもといたしましては、究極の目標は安全第一ということでございますので、それぞれの事態に適応して善処し得るように、これはまた単に現場の第一線の従業員ばかりでなく、管理、監督の立場にあります者も、常時この考え方についてみずから反省をし、また訓練を重ねなければならないと考えておるような次第でございまして、今度のこの事故を契機に、管理、監着の立場にある者の責任、並びに広い意味の訓練、そういうようなことも十分力を入れて注意をいたして参りたい、かように考えております。
  29. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから、濃硝酸関係で、何か浜名湖のノリに被害を与えたということがちょっと載っておりましたけれども、この点については、これはこの事故によってこういうような被害がかりにできたとするならば、当然国鉄として補償して上げなければならない、こういうふうに思っておりますが、その点についてはいかがでしょう。
  30. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 濃硝酸によって生じました、被害の内容の詳細な点につきましては、まだはっきりしておらない点もございます。そのために、さっそく本社の方からも係員を現地に派遣いたしまして、今調べさしておりまするが、事の性質上、国鉄の責めに帰すべき事故原因になって発生した被害につきましては、国鉄として当然責任を負わなければならないものというふうに私ども考えておるような次第でございます。
  31. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから、最近踏切事故が多いようでありまして、この踏切事故によっては、特に乗務員の危険度が増しておるわけでありまして、そのために、聞くところによりますれば、動力車の前部の補強をしてくれ、乗務員の生命を守るようなことを一つ考えてくれというようなことが要望されているようでありますが、それと同時に、当然、この踏切の問題につきましては、法律もできたことですし、立体化も進められているとは存じますけれども、しかし、何といいましても専用鉄道線路へ片方からぶっつけてくるわけでありますから、そういう点から考えますならば、相当この問題についても、やはり鉄道を守るといいますか、そういう立場から、踏切道の整備はもちろんのこと、乗務員の危険からの防止ということについても、力を注がなければならないと存じますが、この点はどういうふうになされておりますか。
  32. 音田和夫

    音田説明員 お説のような状態でございまして、踏切事故は、遺憾ながらふえております。列車のスピードの関係とかというものが増加しておりますので、先生から御指摘のありましたような事柄は、考えられると存じます。ただ、幸いにいたしまして、ただいままでのところは、あまりそのために大きな被害は起きておらないのでございますが、と申しましても、そのままで置くわけには参りませんので、車両の構造につきましては、たとえばガラスの補強とか、前面の補強につきまして、一部着手したものもございます。また、今後できるだけ早い機会に改造するような措置を考えていきたいと考えております。
  33. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最後に、この事故にかんがみまして、いろいろな対策も作られているようでございますし、また、責任の問題につきましても、先ほど副総裁から御説明のありました査問委員会ども、副総裁が中心でおやりになられるようであります。そこで、私はぜひお願いしておきたいことは、事故が起きて、その事故責任者を処分するということだけで問題が終わったというふうに理解をしていただいてはいけないと思うのです。また、責任者を処分すれば国鉄責任はのがれるんだ、こういうふうにものをお考えになってはいけないと思うのです。なおさら、今回のような、特にこの鷲津のような事件というものは、これは一つの判断であります。その判断の持ち方が、おれならとめた、お前だからとめなかったんだ、こういうものでは私はないと思うのです。ですから、この一保線の技術掛を処分したことによって、私は、問題が解決するものではないと思う。むしろそれよりも、これは私は、結果的に浮き上がって脱線があったのですから、これは責任はあるでしょう。しかし、この年令からいい、それから経験からいい——これはもう五十四といいますと、もうはや鉄道の中では最高の年令ですから、技術掛の経験も深いわけですから、そうしてなおかつ、十数人の線路工手も一緒におるわけですから、そういう中でこれは大丈夫だろうという判断をしたのですから、その判断が間違ったのだ——それが技術的に立証をできる一つの基準というものを与えられておって、それでやったというなら、これは仕方がないと思うんですが、ですから、こういう点から考えてみますと、私は、総合的に、今日の東海道のあの激しいダイヤの中で列車が運行されている、そして、そこで五分とめたためにどういう影響があるかということも考えながら、また途中とめた責任の追及というもろもろのことを考えながら、国鉄の三十何年か四十年からたった経験者が判断されたことでありますから、そこだけに問題の焦点をしぼって、それを首切る、あるいは何かすればいいのだというようなことだけで問題を解決せずに、その点はやはり十分な御検討をされて、今日起きている原因は、全体的に包んでいるものにあるのだということを十分お考えになって、私は慎重な態度をもってやっていただきたいと思う。それと同時に、なかなか運輸大臣も勇ましいようなことを言われて、閣議で処分をするんだというような、断固処分をするのだというような——処分をされるなら、私は総裁でも処分をされるならこれは当然のことだと思うんですが、末端の一担当者を処分するというようなことを閣議で言って、それでおさまるような閣議だったら、池田内閣も大へんお粗末なものだと思うんですけれども、そういう処分の仕方はないと思うんです。  それからもう一つ私が申し上げておきたいことは、最近の国鉄の労働問題の中で、私は一番経験として感ずることですが、いろいろ国鉄の労使の問題は複雑になっております。簡単な話が、機関車乗務員を見ても、機関士が国鉄労働組合員だ、機関助手が動力車の労働組合員だ、そうして旗を振っている操車係が職能別の労働組合員だ、連結手が国労だ、転轍がほかの組合だ、こんなふうに入り乱れた中で、十六だか十七だかある労働組合がばらばらに、運転士が違う、運転助手が違う、操車係が違う、転轍手が違う、連結手が違う、保線が違う、電気が違う、こういうようなことで労使の問題がやられておる。そのことが直接的な原因になって事故になったということについては、私はよく知りませんけれども、これはやはりなかなか気持の上で、作業を進める中で大へん困難なものだと思うんです。これは国鉄当局がこういうような労働政策をやってこうなったんだとは私は断言いたしませんけれども国鉄当局が仕事を進める中でやはり問題として検討すべきものだ、いろいろと指示することではないんですけれども、やはり仕事を満足にやられる上からは、これは相当慎重に考えなければならぬところだということは、政務次官の方は外の方から見られているから、さっきからうなずいている。承知されている。これは常識的に考えてもだれもそう思うんです。そこでその点も、これは十分注意をして、仕事をさせる場合においては、やはり考えてやらなければ大へんな問題だと思うわけです。どうか一つ、この問題につきましては、副総裁もさっきから——世間的には査問会とかなんとか、事故対策委員会というものも作らなければ、世間が納得いたしませんから、それは言わなければならぬでしょうけれども、それがただ単に出てきている現象だけを取り上げて、そこで処分すれば問題が解決したということだけではないように、今日東海道の今度の十月の白紙ダイヤ改正から行なわれている労働強化の問題もあるでありましょう、あるいは無理なダイヤの編成もあるでありましょう、そのために列車の動揺とか、あるいは遅延だとか、いろいろな問題が出ているわけでありますから、そういう点も総合的にお取り上げになっていただいて、この問題に一つ善処していただきたい、この問題の対処をしていただきたいということを、ぜひ監督官庁である政務次官の方から一つ御答弁願いたいと思います。
  34. 有馬英治

    ○有馬政府委員 今回、引き続いて起こりました国鉄事故につきましては、国民の皆様方、また荷主方々にも、大へん御迷惑をかけましたことは、運輸省としてもまことに遺憾でございます。運輸省といたしましては、事故が起こりました直後、大臣から直ちに口頭をもって国鉄に警告を発し、また、文書をもっても手配をいたしたような次第でございまして、二度とこういうことを繰り返さず、事故を最小限度に食いとめるように、今後とも一そうの指導をするつもりでございます。  労働組合の問題につきましては、私ども答弁する立場でもないと思いまするので、御趣旨の点は十分参考にして、運輸省としても徹底的に事故防止に進みたいと思いますが、先ほど仰せのように、安易な解決だけで終わろうというような考えは、運輸省には毛頭ございません。十分事の根源をつかんで、そうして将来にがっちりとした事故防止対策を立てていきたいという考え方でございます。
  35. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 肥田次郎君。
  36. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は、きょうは主として国鉄経営について質問をいたしたいと思います。  ちょっとその前に、雑件として一つお伺いしたいことがあります。その一つは、これは結論を言いますと、公安官というものの扱い方について当局はどういうふうに考えておられるかということになります。新聞投書ですが、こういう投書がきています。国電の中で三人のハイ・ティーンが女性の背中に手を回したり、ひざの上に腰をおろしたりしておった、これを駅へ連絡したけれども、駅では処置をとってくれなかった、そこで、東京駅の公安室に行ってこの実情を訴えたところ、公安室の方では、現場を見なくてはどうにも仕方がない、相手は走っている車だから、こういう返事でにべもなく突っ放された、こういうのであります。これはほんのささいなことですが、よくわれわれでも見かける列車内あるいは電車内におけるところの酔漢のいたずらだとか、あるいはこういうグループのいたずらだとか、こういうものに対して、これを乗務員だとか駅員に取り締まれといっても、実際なかなかむずかしいだろうと思うのですが、公安委員はそういうときに役に立てる方法があるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  37. 中村卓

    ○中村説明員 当然、そういう場合には、公安職員というものは、できれば出動して取り締まりをやるべきだと思います。特に、去年の秋でございましたか、夏でございましたか、深夜の国電の中がだいぶ無秩序になっているというお話を伺いまして、特にその関係で深夜には相当な公安職員を動員いたしまして、列車特に国電内の警乗と警備を強化するというようなことで、だいぶ実績が上がった、効果が上がったということで、新聞社あたりからもほめられたことも記憶にございますのですが、その当時の事情といたしましては、やはり現行犯でないとなかなか取り締まりにくいというような意味でそう申し上げたのだと思いますけれども、あくまでも公安職員の重要な本来の使命の一つでございますので、その点につきましては、今後とも十分指導いたしたいと思います。
  38. 肥田次郎

    ○肥田委員 これは議論しようという気はありませんが、公安官に対しては、それくらいの注意は与えられてしかるべきだろうと思います。ですから、特にこの点を要望しておきます。  それからもう一言。これは、実は先般予算委員会で岡本隆一議員から質問された事項ですが、これもなかなか単純な問題のようですが、こういう問題は解決がむずかしいから、ここでもう少し申し上げておいた方がいいと思いますが、例の東海道線の富士という駅の次に、はっきり覚えていませんが吉原とかいう駅がございますね。あのあたり走っておって約五分ぐらい亜硫酸ガスの、もっと表現を変えれば、いわゆる汚物のにおい、非常にいやなにおいが五分間ぐらい続きます。これは特急で五分間ですから、普通列車なら相当長い時間です。観光を主体にするところのあの列車がこういう状態ですから、どうもあまりいい感じがいたしません。これに対しては、当然地元の製紙会社に対して何らかの処置がとられるべきだと思うのですが、どうなんでしょう。やはり外人の観光客あたりは、このにもいをあまり歓迎しないだろうと思うのですが、特に観光局長あたりこういう点はどうでしょうね。
  39. 梶本保邦

    ○梶本政府委員 ただいま御指摘の通り、これはあえて外人観光客のみならず、国内人でも、このにおいを歓迎する人はおそらく一人もいないと思います。あの付近のことを、私も詳細には存じませんけれども、製紙会社がたくさんある場所でございますので、その製紙に使う薬品類のにおいではないかと思いますが、私としましては、きようこういうお話をいただいたからということで、関係方面へ連絡させていただきたいと思います。
  40. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は観光局長から特に御返事を聞くのではなしに、国鉄の方から返事をいただきたいのが本旨です。
  41. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 線路の沿線に、ところどころくさいところがありますことは、まことに残念に思っております。私どもも、鉄道を中心にいたしまして鉄道線路あるいは鉄道の施設の中から、いろいろな汚物のにおいがしたり何かするというようなことがあっては、申しわけございませんので、昨年の秋以来でございますが、一つ国鉄をきれいにしようじゃないかというので、今きれいにする運動を一生懸命やっております。中には、だいぶおほめをいただいておるようなところもぼつぼつ出てきておるのでございますけれども、ただいまお話しの東海道本線の富士駅付近の悪臭というのは、これは国鉄がにおっているわけでもないと思いますのですが、なおよく調査いたしたいと思っています。
  42. 肥田次郎

    ○肥田委員 これは副総裁、私は副総裁はおからだもあまりよくないようですから別におっていただかなくてもと思ったのですが、私の言ったことをよく聞いておられるのでしょうね。私が言っているのは、あんなにおいが特急で五分間もしているんなら、普通列車ならずいぶん長い間におうのですから、そういうにおいが出ておる会社に対して、国鉄当局からも言えるでしょうし、運輸省からも言えるでしょうし、それから通産省を通じてその関係当該会社へ勧告ができるでしょうし、あのような異臭を平気で発散させておいて——この問題はやはり全体が注意を与え、それを改めさせていかなければいかぬと思うのですよ。おれのところの車がくさいんじゃないんだから、それは、というような御返事は、私の質問をお聞きになっていなかったと思うのです。
  43. 有馬英治

    ○有馬政府委員 副総裁は、十分質問を承っておったと思うのでございますが、国鉄立場からだけ御答弁されたのだと思います。運輸省といたしましては、まことに適切な御指摘でございます。私も再々通っておりますが、しかし、事は一般公害と申しますか、おそらく工場から起こっておる問題ではなかろうかと思いまして、そのことにつきましては、通産省がかねてから対策を立てて進んでおりますが、まだその個所においてそういったことが発生しておりますので、運輸省といたしましては、すみやかにその個所につきまして通産省側に連絡をいたしまして、十分協議をしてこれがなくなるように今後努力いたすつもりでおります。
  44. 肥田次郎

    ○肥田委員 それでは本論に入りたいと思いますが、これは本論に関係がありますので特にお伺いしておきたいのです。簡単に一つお答えをいただきたいと思いますが、やはり脱線関係する質問であります。  工事用列車がはねたレールまくら木にめり込んで、それを抜いたあと手直ししたけれども、そのあとを通った貨物列車脱線をした、しかも転覆をした。これはなかなか納得しがたい事故なんです。これについて、工事列車が通過した時間とそのあと一六八列車が通過した時間の間はどのくらいあったのでしょうか。
  45. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 後続列車との間合いは大体十分でございます。工事用列車貨車が引っかけまして線路まくら木の下には古レールの一本がささったわけでありますが、それの処置は、私聞きましたところでは、それに工事の係員が乗っておったわけでありますから、とりあえず砂利をシャベルや何かでならして——本格的に修理をするのに必要なバールとかいうような器具がなく、単なる砂利まきの器具しか持っておりませんでしたので、その場の応急の手当をして通過をしたというように聞いております。
  46. 肥田次郎

    ○肥田委員 それからもう一つお聞きしたいのは、これは簡単で、そのものずばりでけっこうです。レールがささったためにどのくらい持ち上がったのでしょう。それからその個所のまくら木はコンクリートですか、普通のクリの木ですか。
  47. 関四郎

    ○関説明員 お答え申し上げます。  このレールが差し込まれたときに持ち上がったそのときの量はわかりませんですが、その後引き抜いてならしたときに、約二十ミリというものが持ち上がりました。まくら木は木のまくら木であります。
  48. 肥田次郎

    ○肥田委員 これが問題なんですね。二十ミリぐらい持ち上がって、そのあと手直しが不完全で脱線したという、これがどうにも納得できないのです。まあいいです。  それからもう一つ、この図面によりますと、その個所から今度は三十三ポイントのところまで脱線したままで行っているのですね。そして三十三ポイントのところで今度は割っているわけですね。この間はどのくらい距離がありますか。
  49. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 レールを突つかけたところで十五両目の車ははずれたわけであります。はずれたままで約一キロ走っております。
  50. 肥田次郎

    ○肥田委員 そこでお伺いしたいのですが、二十ミリぐらいのために脱線したというこの関係は、線路関係ではどうも理屈をこじつけ過ぎるような気がするのです。私らがよく踏切などで見ておりますと、まくら木レールの間に二十ミリくらいの遊びのあることがあります。列車が通るとレールが下がる、はね上がったレールは十ミリ以上すき間ができる、ギャップができていることは踏切の場合たくさんあります。たまたまレールが刺さって持ち上がったから、あとで調べたら二十ミリで、これが脱線の理由だということは、どうしても納得できない。  そこで函南のときのもあわせてお伺いいたしますが、脱線をした貨車の製造年月日、それから検査は一体いつごろやられたのか、これをわかっておれば知らせてもらいたいと思います。
  51. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 事故のほんとうの原因につきましては、さらに研究した上でないと正確なことは申し上げかねると思います。ただ、二十ミリ程度とおっしゃいますけれども、この事故の起こりました場所はカーブだったのでございます。カーブのカントのついております内側のレールが上がったわけでございます。そういう状態でございました。まっすぐなところで片方のレールが二十ミリ上がったというのではなく、カーブのついている内側の方が上がったというところに問題があるように認められるという判断であるわけでございます。それで、十四両目までは重い貨車でありましたのですが、たまたま十五両目に十トン車の軽い貨車がありましたので、そこで浮き上がったと認められる、こういう判断でございます。  なおその貨車の製造年月日及び検査の日付でございますが、私ちょっとそこまで存じておりませんので、後ほど御報告いたすようにさせていただきたいと思います。
  52. 肥田次郎

    ○肥田委員 その点、私は詰問するわけじゃありませんが、これは大切なことだと思うのです。先ほど細田委員が言われておったように、およそ時代的にも使えなくなった車を動かしておるのじゃないかというおそれもある。それから、貨車の結合にしても、重い車と軽い車がとんちんかんにつながっておったのでは、これは中が浮いて事故を起こす例がある。そういう関係などから、特に貨車の形態とかいうものは必要なんです。だから、こういう事故が続けて二回もあったならば、そのときの貨車の製造年月日だとか、あるいはこの貨車についていつ検査したのかというような調査をするのが常識的な問題でしょう。たとえば、函南の事故から十日以上たっておりますけれども、全然報告をされないままに事故原因の追及ということを——それは専門家は行ってやっておられるでしょうけれども、あなた方の方では、そういう状態については別に必要ないというふうなお考えなんですか。
  53. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 事故の起こった貨車の製造年月日とか検査年月日とかいうものは、当然係の方ではわかっておると思います。ただ、たまたま私がこの席に持ってきておらないというだけでございます。  それから、なお、事故原因の真相の究明ということは、先ほど申し上げましたように、私が委員長になりまして査問委員会を昨日構成したようなわけでございまして、これから専門家も入れまして十分検討をいたしたいと思っておる次第でございます。
  54. 肥田次郎

    ○肥田委員 事故線路だけというふうに即断することももちろん誤りであるし、それからその他の条件というものをいろいろと混合して検討しなければ、事故というものは究明できない。ですからほんの基礎的な条件として、その脱線した車が新しいのか古いのか、車自身に欠点があるのかないのかということは、製造年月日、検査年月日というようなものを調べればわかることなんです。これが事故調査の第一の仕事だと思うのです。それがなしに、この報告書だけを私らに見せていただいても、ああそうですかという納得はどうにもできない。これはどういうつもりで書いたのか知りませんが、新聞に書いておる責任がもし追及されるなら、これに対して誤りであるという訂正をやっぱりやらすべきだと思う。ところが、朝日新聞あたりで、公然とこういうふうな発表をしておるのは、これは当局のだれかが発表しておるということになる。特にこれはこう書いております。「国鉄本社一条保安課長は」省略しますが、「このような事故が起るところをみれば線路工手などの再教育が必要となろう。」こういうふうに書いてある。それから事故原因にも触れておる。線路工手の再教育をしなければ事故が防げぬだろうということを課長が言っておる。この通りなんでしょうか。
  55. 吾孫子豊

    吾孫子説明員 一条課長が何か話したことが新聞に載っておると思いますが、その通りの発言であったかどうかは、私も実は確かめておりませんけれども、いずれにいたしましても、私ども考えておりますことは、線路工手のみならず、やはり現場の第一線の職員も、また、それの管理監督立場にある者も、絶えず作業の精度を上げて参りますためには、当然訓練もしなければなりませんし、再教育も必要なことでございますので、たまたま今度の事故に関連いたしまして、一条課長がそういう意味のことを申したのではないかと思います。私どもといたしましても、これは線路工手のみに必ずしも限定するわけではございませんけれども事故があったというような際には、当然のこととして、さらに部内職員の全般的な訓練なり再教育なりということは非常に力を入れなければならないと考えておる次第でございます。
  56. 肥田次郎

    ○肥田委員 この前の通常国会の際に、たまたま工事局の汚職の問題が出てきました。そのときに国鉄総裁が、士気が弛緩しておるんだから、たるんでいるやつを引き締めてやるんだ、そしてこういう汚職をなくしたい、こういうことをよく言われました事故が起きると、現場の職員がたるんでおるから事故が起きるんだ、こういうものの解釈は、私は決して事故をなくすることにはならぬと思う。人が悪いとかなんとか言う前に、科学的な精密な対策が検討されて、そしてそのことについて触れらるべきなのにかかわらず、工手の再教育が必要だという。それはその通りかどうかわかりませんよ。しかし、間違っておるなら当局としてはこれを訂正さすべきだと思う。こういうものの考え方で事故がなくなるとは私には思えない。  こういうことから、もう少しお聞きしますが、軌道保守の近代化という方針で当局の方では力を入れておられるようですけれども、あなたの方で言われたカーブのところでカントがどうとかいうことは別にしまして、二十ミリが脱線原因になったということ、これがもしそうなら、路線保守の関係施設局長あたりはどういうふうにお考えになっておるのですか。
  57. 柴田元良

    柴田説明員 少し話がこまかくなりますけれども、現地のカーブは半径六百でございまして、外軌側が普通のレベルの線よりも七十五ミリ高くなっております。従いまして、七十五ミリの差が内側のレールとの間にはあるわけでございます。普通の状態でございますと、四つの車がついております。車は四つとも足をつけたままでスムーズに走るわけでございますけれども、今回たまたま内側のレールのある個所が二十ミリ高くなりまして、その個所におきましても外側は七十五ミリでございますので、その差が五十五ミリになったわけでございますいそうしますと、そこで車両は四つの点でささえられなくなります。一つの足が浮くことになるわけでございます。従いまして、何らかの動揺もございましょうし、いろいろな関係も一緒になりまして、そういった状態ではその速度以上で走りますと、足をはずす。これはやはり技術的にはそういう判断をいたすわけでございます。事実落ちました場所を調べましても、私ども考えております、これを三点支持の状態と言っておりますけれども、そのような状態で落ちておりますことは、私ども認めておるわけでございます。従いまして、車両の問題もございましょうが、直接の原因はやはり線路がそのようにその部分だけ高かったことが原因だ、このように考えております。
  58. 肥田次郎

    ○肥田委員 実は、私はこれをあまり長く質問する意思はないのですが、たまたま今施設局長の言われたように、これはしかしあそこで実地にその調査をやられたわけじゃないんでしょう。そうすると、今片一方の車輪が落ちたと言われますが、しかし、六十三キロの時速で走っておるのですよ、報告を見ると。六十三だって、カントが七十五とすると、それでは浮きますか。これは速度がもっと落ちておれば、私らもそういうことがあるかもわからぬと思いますが、大体脱線するというところまでいかぬじゃないですか。これは私は専門家のあなたの言われることを信用いたします。しかし、それでもなおかつ、そういう疑義があるということです。
  59. 柴田元良

    柴田説明員 どのような線路状態脱線車両がありますか、これは確か研究所なども脱線車両をつかまえまして、過去においても絶えず原因を究明いたしております。今回の事件を見ましても、十四両目までは一応は通っております。同じ速度で走った十五両目が、そのような状態であるチャンスに落ちたわけです。しかも、一軸落ちたわけです。そうしたら、この点車両の方に問題はないか、あるいはいろいろ検討いたしますと、そういうこともあるかもしれません。しかし、私どもとしては、線路状態がとにかく正しくないことは事実でございますから、その程度状態において落ちることはあるということは、事実そのように考えておりますので、私どもとしては、原因としてはそういう線路が不工合だ、こういうふうに考えております。
  60. 肥田次郎

    ○肥田委員 どうもこういうことになりますと、私はなお意見がありますが、しかしこれは、専門家のあなたが言われておるのですから、このくらいにしておきます。ただ私は、それと貨車状態貨車の結合状態、これを見なきゃ線路が悪かったという——前の車が十何両通ったから線路が悪いんだ、こういうふうにあなたは、施設局長の自分の方へ罪をひっかぶっておられるけれども、私はやはりそんなものじゃなかろうという気がします。これは、しかしいずれにしても、あと結論が出るだろうと思います。  委員長、十二時という約束がありましたから、これを保留さしてもらいます。      ————◇—————
  61. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 日本観光協会法の一部を改正する法律案を議題として、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。井岡大治君。
  62. 井岡大治

    ○井岡委員 観光協会の会員の数がおわかりだったら教えていただきたいと思います。
  63. 梶本保邦

    ○梶本政府委員 四百十二でございます。
  64. 井岡大治

    ○井岡委員 毎年ふえてくると思うのですが、これらの趨勢を、わかればお教えをいただきたいと思います。
  65. 梶本保邦

    ○梶本政府委員 会員の数についてはあまり増減はございません。と申しますのは、法律で会員の資格要件というものを定めておりまして、発足以来満三年でございまして、まだ増減はございませんで、横ばいでございます。
  66. 井岡大治

    ○井岡委員 今度の改正で運営委員会を審議会にお変えになるということです。こまかく書いてありますが、さらにもう少し具体的に、なぜ変えたかということをお聞かせ願いたい。
  67. 梶本保邦

    ○梶本政府委員 ただいままでの観光協会は、要するに、会員制度の上に成り立っておりますいわば社団法人的な性格を持った観光協会でございます。それに対して、このたびわれわれの宿願でございました一億の政府出資がなされたということは、同時に、それだけ国家意思というものを反映していかなければならない、こういう考え方に変わってくるわけでございます。もっと平たく申しますと、協会の性格を、社団法人的な性格から財団法人的な性格に変えなければならない、こういうことになるわけでございます。従いまして、社団法人的な性格の時代における運営委員会というものは、財団法人的な性格になった場合に、その委員会の性格が変えられなければならない、こういうことになるわけでございます。現在の運営委員会は、法律にもございますように、ある種の議決機関でございます。これを諮問機関的な性格に変えたわけでございます。諮問機関的な性格にするためには、運営委員会という名前よりは、運営審議会という名前の方がよかろう、こういう考え方のもとに変えたわけでございます。
  68. 井岡大治

    ○井岡委員 そこでお尋ねをするんですが、審議会の委員が二十名以上三十名、その成立要件が二分の一で、議決をする場合はその過半数、こういうことになっておるわけです、おそらく政府は、本年の一億の出資だけでなく、将来この出資額をもっと上げていこうという考え方になっておいでになるのではないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  69. 梶本保邦

    ○梶本政府委員 お説の通りでございまして、私どもは一億の政府出資で決して満足しておりません。特に一億の政府出資の内容が、御承知の通り、総合観光案内所の施設費に使われるものでございまして、私どもは丸の内かいわいにただいま予定地を探しておりますけれども、できれば羽田空港にもほしい、将来国鉄の新幹線ができました場合には、新幹線のターミナル駅にもそういったものがほしい、こういう気持を持っておりますし、かつまた、国内を考えてみましても、京都にもぜひほしいし、あるいはまた大阪、名古屋等にもほしい、こういうふうな気持を持っておりますので、政府出資は将来とも増額をしていただきたい。これが私どもの切なる念願でございます。従いまして、法律の今度の改正案の書き方も、一億とするという書き方だけではなくして、将来予算の許す範囲内におきまして、追加して出資をすることができる、こういう条文が入ったわけでございまして、これにつきましては、関係方面といろいろ折衝をいたしたのでございますが、関係方面も私どもの意とするところを了としてくれまして、そういう書き方の改正案になった次第でございます。  なお、運営委員会は、現在の法律によりますと「三十人以内」となっておりますが、実は、この種の政府出資の行なわれております法人というものは、特別法でできておりますものが、現在二十八ございます。二十八ございますものをつぶさに全部調べてみますると、三十人の委員を持っておるというのは、ほかに例がないのでございます。それで、もう少し減らしていってはどうかというふうなことを強く関係方面からも言われたこともございますが、一挙に減らすということには、私どもは、急激な変化は好ましくない、かように考えまして、とりあえず「二十人以上三十人以内」、かようにいたしましたことは、つまり欠員が二人あって二十八人になったという場合にも、今度の改正案によりますと、補充しなくてもいい。また、五人欠員になっても、そのままでも法律的には可能である、こういうふうな弾力性を持たす意味から、さような改正案にいたしたのでございます。
  70. 井岡大治

    ○井岡委員 おそらくこれは、自分たちの仲間で選ぶことですから、かなり出席率はいいと思うのですが、少なくとも、今お話しになったように、将来観光助成をさらに発展さそうということであれば、私はかりに二十人にして、過半数で成立をし、議決が過半数だということになると、五人でものをきめていくことができるということになるわけです。従来、政府は、この種のいわゆる審議会とかいろいろのなにを作っておいでになりますが、ほとんどあまり出席されないような方々が多いわけなんです。こういう点を考えると、私は、少なくとも議決というのは、出席は三分の二ということの方がより合理的ではないだろうか、そうしてその中で過半数ということにすれば、非常にいいのではないか、こういうようには考えるわけです。しかし、私自身は、ここでこれを二を三にしようというような意思は持っておりませんけれども、少なくとも将来の発展の過程の中では、これを変えていかなければ、全く——この運営審議会は、運営の面を行なうと同時に、政府の諮問にも応じなければならぬ、こういうこと等を考慮するならば、私は、その点をもう少し厳密なものにしておく方がいいのではないだろうか、こういうように考えるわけですが、この点はいかがですか。
  71. 梶本保邦

    ○梶本政府委員 この運営審議会は、会長の諮問に応ずるということでございまして、運輸大臣の諮問機関というわけでもないのでございまして、観光につきましては、もう一つ、総理府にございます観光事業審議会があるわけでございますが、それはとにかくといたしまして、運営につきましては、そういった面は十分に考慮いたしていきたい、当然のことだと私は考えております。
  72. 井岡大治

    ○井岡委員 時間がありませんので、私は、一つ具体的な問題でお尋ねをいたしたいと思うのです。この間ちょうど私は第二こだまに乗ったのですが、そうしますと、一車両全部観光客でした。ただ一人、私だけが乗っておったわけなんです。その際に、ガイドが一人ついておるわけですが、えてしてガイドの方を独占する者は、どこの社会においても独占をしてしまう。そのために、車の端っこに乗っている人は、全く沿線の説明がわからない。こういうことで、全く英語を知らない私に尋ねられて、私は非常に困っちゃったわけなんですが、これらのことについて、実はこういうことをその際に考えてみたのです。日本の国鉄は非常に時間が正確ですから、沿線の名所とか、あるいはぜひこういうものを知ってもらいたい、こういうところがあるわけですから、これを一つの地図にしておいて、それを記入して渡しておく。そうするならば、ガイドが少なくても、かなりの人たちがなにをできるのではないだろうか。ということは、今後東海道の新幹線でわずか三時間半で走るということになれば、話をしている間に向こうに行っちゃう。そうすると、それが見たいといってもできない。そういう点を考慮して、私は、そういうことを考えてみたらどうだろうか、こういうように、この間自分で苦しんだものですから、いろいろ考えてみたのですが、それらの点について、一ぺん聞かせてもらいたい。
  73. 梶本保邦

    ○梶本政府委員 お説の通りでございまして、今の先生お尋ねに対しまして、直接的な答えにならないであるいは失礼かとも思いますが、ガイドの実態というものを一度お聞きいただきたいのでございます。  実は、ガイドで一番困っておりますのは、今ガイド試験というのは、国家試験、資格試験になっております。従いまして、語学についての国家試験を行ないますのは、このガイド試験が唯一のものだと思うわけでございますが、その資格試験に通った者は、その資格を一つの有利な条件にして民間の商社へ就職して行くという例が、非常に多いのでございます。従いまして、何のことはない、国で試験をして資格をつけてあげて、民間の商社へ行かれるのに有利なようにしておるというふうな、極端な言い方をすれば、状況がないわけでもないのでございます。現在までに合格されました方は、千八百人をこえておりますが、実際のガイドとして実働いたしております人数は、わずか五百人に満たないわけでございます。その原因は、結局、このガイドに対する需要が、年間を通じて考えますと、シーズンとシーズン・オフの間において非常に差がある。従って、給与というものが年間平均してないというふうなことから、やはり毎月定収入のある職場を選びたいという、これはだれでもの通有性だと思うのでございますが、そういうふうなことから、ややともすればガイド専業になりにくい、こういう状況なんであります。  それからもう一つは、最近の旅行の例といたしまして、私どももそういうことを非常に強く政策として打ち出しておるのですけれども、団体客で来る人はもちろん大歓迎でございますけれども、いわゆる低所得者層にまで観光客を広げていきたい。いわばタイピストが自分の給料から積み立てて海外旅行をするような、個人でやってくるお客さんも、もろ手をあげて歓迎したい、それが私どもの観光政策でなければならないと思うのですが、そういうふうな人が来られました場合に、一対一でガイドをつけるというようなことは、とても経済的には考えられないわけです。現にこういう旅行が行なわれておりますのは、交通公社なら交通公社で京都までの切符を買ってもらって、東海道は自分一人ガイドなしで乗っていって、京都に着いたとたんにまたガイドを雇う。そうすれば、ガイドの日当から、ガイドの汽車賃から、ガイドの食事代というものは、要らなくて済むわけです。従って、今の試験制度は、いわゆる全国をまたにかけてのガイドの試験でございますけれども、ローカル・ガイドというふうなものを考えていった方がいいんじゃないか。特にオリンピックを控えて、京都なら京都の地域だけを専門にするガイドさんというものがあっていいんじゃないだろうか、というふうなことを私ども考えておりまして、そういう点からも、ガイドの問題については、いろいろの問題がございますが、検討をいたしていきたい、かように考えております。
  74. 井岡大治

    ○井岡委員 私の言うのは、そういうことも当然だろうと思うし、先般柳津君の御質問にも、局長は、そういうことでいろいろ御答弁をなさっておったが、特に今言われたように、列車に自分一人乗っているような場合には、そうして上げる方が私は、より便利ではないだろうか、こういうことを申し上げているので、そういう方法も一つの案じゃないだろうか、こう申し上げているので、一つ御了解をいただきたいと思うんです。  それから、だいぶ急いでいるようですから、最後に一つだけお尋ねをいたします。主として日本の観光というのは、特定のわれわれの考えたあそこだ、こういうところに目的が置かれていると思うんですが、そうでなくて、もっと日本特有のものがにじみ出なければいけないのじゃないか。たとえば、紹介をする場合、京都なら京都の土地柄だけをなにするのでなくて、そこからどのように京都ができていったというようなもっと詳しいものを出す必要があるのではないだろうか。現在の現象、過去こうだといって簡単に書くのではなくて、そういう土地柄がもっとにじみ出るようなことを考えていったらどうだろうかということを考えるわけですが、この点を一つお願いをしたい。  それから、もう一つは、観光地をもっと開拓する必要があるのじゃないか。日本へ来たら、とにかく日光と十和田湖とそれから箱根と富士と京都と奈良というだけでなくて、たとえば九州の島原なら島原ですね、あそこの天草四郎がやった原城の方面などを開拓すれば、かなり大きな開拓ができると思うんですが、そういうところに外人か直接日本の歴史と結びついたものを考える必要があるのじゃないだろうか、こういうことを考えるわけですが、この点をお尋ねをして私の質問は終わります。いずれこの問題については、またあらためて小委員会等がありますから、そこらのところで観光全体の問題で御質問をしたい。
  75. 梶本保邦

    ○梶本政府委員 お説の通りでございまして、観光ルートの多様化という点を一つの題目として、私ども強力に推し進めております。東京から京都までの問に大半の客が来るというふうなことのないように、津々浦々にまで行ってもらいたい。それが同時に観光客の滞在日数を延ばすことにもなり、外貨の獲得にも直結するわけでございますので、お説の通り進んでいきたいと思います。
  76. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 ほかに御質疑はございませんか。——ほかにないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  77. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 これより討論に入りたいと存じますが、別に討論の申し出もありませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  日本観光協会法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  79. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  81. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 次に、港域法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  これより質疑に入りますが、別に質疑もございませんので、これより討論に入りたいと存じます。  討論の申出しもございませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  港域法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  83. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお、本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  85. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 引き続いて国鉄経営に関する件について質疑を行ないます。肥田次郎君。   〔委員長退席、高橋(清)委員長代理着席〕
  86. 肥田次郎

    ○肥田委員 引き続いて質問をいたします。  これは施設局長にお伺いいたします。今東海道線線路保守の状態はどういう進捗状態でしょうか。あまり詳しくは要りませんが、軌道保守の近代化という方針で進んでおられますね。そうして大体東海道線に非常に主力を注いでおられる。そういうものについて、いわゆる基準通りの整備が進んでおるかどうか、こういうことについてお伺いしたいと思います。
  87. 柴田元良

    柴田説明員 ただいまの東海道線線路の消化状態は、本年度大体七割程度完了いたします。三十八年度一ぱいで完了させる予定で進んでおります。
  88. 肥田次郎

    ○肥田委員 そこで、これは概略でよろしいが、東海道線山陽線における保線関係の人員の比重というものは、これはもちろん違いますね。たとえば東海道線におけるところの人員の配置と、山陽線におけるところの人員の配置、これは比重はもちろん違うだろうと思います。それはどの程度差があるのでしょうか。
  89. 柴田元良

    柴田説明員 人員をはじきます根拠になりますのは、線路の上を通過いたします通過トン数、列車の回数とか重量、こういうことが一応基準になっております。それにいろいろな条件が加わっておりますが、東海道線山陽線のキロ当たりの現在従事しております保守の人員の比と申しますか、山陽線の方が少し少ないのではないか、具体的には数字を覚えておりませんが、少し少ないと思います。
  90. 肥田次郎

    ○肥田委員 実は施設局長、こういうことを聞くのですがね。これはあくまで聞くのですから、私は、それはそうじゃありませんという具体的内容さえ聞かせてもらえば、それでいいわけですが、新幹線の建設に人がとられて、そうして、どうだこうだと言いながらも、実際には既設路線の保守の人が足りないじゃないかということを聞きます。つまり熟練者が新幹線の方に抜かれていく、だから既設路線の方は、どうにかこうにか間に合わせているという状態があるのじゃないかという疑問が一つ出てきます。そういうところから、先ほどの一条課長のように、再教育をしなければならぬのだ、こういう言葉も出てくるのじゃないかと思いますが、そういう点はどうでしょう。
  91. 柴田元良

    柴田説明員 ただいま幹線の工事で、軌道関係の工事に従事いたします者は、主として幹部職でございまして、現場の実際の作業指揮者として従事する者、この程度のものが、現在線から参っておりますけれども、これは必ずしも東海道からじかにすぐ横に行っているということではないのでございまして、ただいまの東海道線におきましては、先生の御心配になりましたような問題は、ただいまではございません。
  92. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関連してお尋ねいたしますが、定員と現在員の割合を見てみますと、施設の方の欠員補充というのが私は十分されていないと思う。いつも現在員が定員を割っておると思う。ここに私は、何か施設の方は軽く見ておるといいますか、あるいは目に見えないところなので、補充というものが十分なされていないと思うのですが、こういう点どうでしょうか。
  93. 柴田元良

    柴田説明員 先生のおっしゃる通りでございまして、全国的に見ますと、確かに現在の定員に対しまして実際の人が少し欠けておるということはございます。しかし、その中身は、特に東海道、山陽その他主要な幹線におきましては、極力そういうことがないように努めておりますが、いろいろな事情もございまして、どうしても埋められない地区もございます。しかし、こういうものは、先生も御承知の通り、将来とも労働力では作業はだんだんできなくなるということもございますので、機械あるいは輸送用の機具というようなものをできるだけ早く整備して、そういった現在の困っておる状態を追いつきたい、このように実は努力はいたしております。全般的には、おっしゃる通り、多少そういう問題が起こっておるかと思います。
  94. 肥田次郎

    ○肥田委員 実は私らの方でも、不正確ながらもある数字は持っていますが、局長は、ここにいろいろおられても、別に遠慮される必要はないと思うので、一つ正直に答えていただきたいと思うのですが、施設局の人員は、あなたが考えておられる理想の数字ですか。
  95. 柴田元良

    柴田説明員 私は別に、私どもの幹部がここにおられるからといって、私の考えておりますことを曲げる気持はございませんですが、先生の御指摘の施設局と申しますと、本社の業務でございますか。
  96. 肥田次郎

    ○肥田委員 下の全体です。
  97. 柴田元良

    柴田説明員 私は、現在のところこの程度でけっこうである、このように考えております。
  98. 肥田次郎

    ○肥田委員 それは数字がいいだろうと思うこと、それから実際に作業が思うように進むかどうかということですね。局長ともなってくれば、やはりずっと高くなってきますからね。いわゆる下の現場でほんとうに働いている人、それから課長どころ、ここらあたりとのものの考え方というものは、相当相違があると思うのですが、去年、施設の、特に保守関係で千五百名ぐらいの人員が不足であったというのは、これはその後どうなっていますか。
  99. 柴田元良

    柴田説明員 私の記憶では、現在ある程度埋められておると思いますが、依然八百ないし千程度は欠員の状態だろうと思います。
  100. 肥田次郎

    ○肥田委員 私はさっき数字の上で質問したわけじゃないのです。あなたの考えておられる通りのことを、部長、課長、それから下の作業職に至るまで、現在の手持ちの人員で実際果たし得るかどうかということを、私実はお聞きしたわけですが、依然として八、九百の人員不足があるということは、これはどういうことなんですか。
  101. 柴田元良

    柴田説明員 線路の保守の問題は、ただいまの段階ではある程度人の力によってやる、それは長い歴史がございます。しかし、御承知の通りに、特に主要な幹線におきましては、もちろん列車の回数も多くございますし、それからスピードの問題もございまして、現在の線路の構造では、とにかく保守が間に合わなくなっておる、しかも、作業をする時間もなくなってきておることは事実でございますので、こういった問題を根本的に直しますにはどうしても線路を強くする。これは御承知のように金をかけまして線路を強化いたします。これを私どもは、将来にわたってどうしてもこうしなければ、線路というものは維持できないのだ、こういうふうに現在は判断をいたしております。もちろん、人員でもってその作業をカバーするということも、当然考えておりますけれども、そのことを待っておりましても、なかなか問題もございますのと、将来を考えますと、どうしても今の線路では弱いということを私ども考えておりまして、極力早く線路を強くしたい。場合によりましては、地方におきまする欠員の問題も多少は犠牲になりますけれども、もし線路が危険であると判断いたしますれば、当然徐行なりその他の安全措置を講ずるということも、最後においては考えて処理して参りたい、このように考えております。
  102. 肥田次郎

    ○肥田委員 局長、どうも私にはよく納得できませんが、これはあらためて機会を求めて聞くことにいたします。  ただ、局長の言われておることがどうも私に納得ができぬというのは、とにかく完全なものにするために全力をあげているのだ、そのために人は少々足りなくても仕方がない、犠牲にしても仕方がない、それから、実際は補修する時間がなかなか足らぬのだ、こういうふうにもおっしゃっている。あなたの方の「軌道保守の近代化」という中にもその効能書きはちゃんと書いてあります。ところが、あなたの言われているこの言葉自体の中に問題があるのでしょう。こうしたいと思うけれども、それが十分できないのだということは、列車回数が多くてできないということも一つあるし、それから、それをするためにはどこかへ集中するから、ある部面は手抜きしても仕方がないのだというふうにもとれるし、総合的には、あなたの考えておられることは一つのものを考えておられるけれども、いざそれを具体的に個々一つ一つを当たってみると、至るところに矛盾と困難があるのでしょう。列車を走らす一番基礎の問題であるところの線路保守の問題に原因があるにもかかわらず、完全な輸送ができるとは私は思わない。ですから、たとい非公式の工事列車であろうとも、レールが二十ミリはとにかくも、たとい五ミリ持ち上がったとしても、今言うように、本来の完全な人があればすぐそれを直すという処置も講じられる。ところが、人が足りないからそれができない。それからもう一つは、列車がどんどん輻湊しておるからこれもできない。できない、できないという言葉が非常にたくさん重なっておる。こういうところに一部の職場では、当局の考えておることに非常に矛盾があって、そうして当局の考えておられるようなことをほんとうに実際やられるのだろうかという不安がある。それから、その反面では、絶えず合理化だとかいろいろな問題が出てくるから、国鉄の職員は、不安と動揺の中で働いておるのじゃないかというような気さえするのです。特に私は、事故を中心にして保守の関係というものが非常に基礎的な重大な問題にもかかわらず、あなたは一人で責任をかぶっておられるように見受けるから、私どもが感じた面でも、もっともっと軌道保守という面では充実されなければならぬのに、ある程度のものは犠牲にしてもというようなあなたのお考えはやっぱり通らない、こういうふうに思うのです。ですから、その点について十分検討してもらう必要があると思います。  そこで今度は、やはり国鉄経営の問題でありますが、実は「国鉄の工場と被服工場の合理化」という資料をいただきました。これについて私たちが見てみると、合理化という基本的な考え方はどういうものだろうかという疑念をまず持ちます。たちえば国鉄に対する第一次の行管勧告というのですか、これを見てみますと、もちはもち屋、よけいなことには一切手を出すな輸送関係あることだけやれ、こういうような勧告が出された。そうしたら今度そのしり馬に乗って、経営調査会があるいは監査委員会が同じような答申をしておる。これに対して国鉄当局としては異存はないのですか、まずこの点をお聞きしたいと思います。
  103. 関四郎

    ○関説明員 お答え申し上げます。この行政管理庁または経営調査会の勧告なり答申でございますが、こういう点につきましては、行政管理庁の勧告のごときは、もうすでに六年余り前からの勧告でございまして、その後これについて深く反省しまして、経営の改善ということに努めて参ったわけでございます。しかしながら、この勧告を受けたときには、できるだけこの線に沿ってやった場合にどうなるかということを深く反省して、とにかく検討したわけでございますが、検討を進めますにつれて、この勧告については、われわれとしてもこの線に沿って実行すべきであるということを深く感ずるようになったわけでございまして、この点、非常に卓見な勧告であったというふうに考えておるわけでございます。
  104. 肥田次郎

    ○肥田委員 これは、私の質問が非常に愚問であったと思います。当局がすでにそういう方針を出しておるのに、行政管理庁の答申が不満であるかどうか聞いてみても、不満でございますというお答えはもらえぬだろうと思います。  そこで今度は具体的にお聞きしますが、国鉄経営の中で、工場などの場合に、工場の一区域における赤字だとか黒字だとかいうような表現の仕方は、どういう基礎的な考えに立っておられるのでしょうか。
  105. 関四郎

    ○関説明員 お答え申します。  全国の工場を見まして、これらの平均的な修繕人工というものを出すわけでございますが、それに対して各工場別に乗率というものを考えまして、一人当たり一日幾らという乗率を各工場ごとに配付するわけでございます。ですから、工場によっては、管理部門は非常に多いとか、工場の設備が修繕人工に対して非常に大きな設備であるとか、その他いろいろの更新、修繕とか何かが非常にかかるような古い設備であるとかいう場合には、その乗率が非常に上がるわけでございます。それは、工場の実情に応じて配付するわけでございます。
  106. 肥田次郎

    ○肥田委員 御説明はそういうことでしょうが、赤字だとか黒字だとかという表現は、きわめて理由が薄弱であると私は思うのです。国鉄という一つの企業体の中でものを見る場合にはこれはわかりますけれども、手足、指先の末端までこれがどうだ、こうだというような注文のつけ方は、合理的にできるはずはないと思う。一現象をとらえれば、それはできますよ。しかし、それはすべて一身じゃないですか。国鉄経営という一つのからだの中でものを考えた場合に、あれが悪い、これが悪いからということは考えても、それは実際どうにもならぬものだ。一つの例をとってみます。たとえば京都の工場で、これは工場側からもらった資料ですが、赤字だとか黒字だとかいう説明を聞きました。ところが、これを本質的に分析すると、いやそうじゃない。私の方には、やろうと思っても仕事をくれぬのですと言う。町工場にあると同じ現象が出ておるのです。たとえば年度別に三十三年、四年、五年と見てみましたら、このころにはこうだった、あのときにはこうだったという数字が出ておる。だんだん減ってきて、そしてことしはこういう赤字になりました。その赤字の数を見ても、せいぜい一人当たり年額五万円くらいの赤字なんだ。これはどうした赤字ですかと聞くと、私の方に仕事がこないで、よそへ持っていかれたためなんです。じゃ、ここへ仕事を持ってきたらいいじゃないかと言うと、私らもそう思う。ところが、上の方では一つの計画がありまして、ここへ持ってこないで、よそへ持っていきます、こう聞かされたのです。それが赤字の原因で、この工場を廃止しなければならぬのだ、こういう理屈をつけられておるように思いますが、これはどうなんでしょう。
  107. 関四郎

    ○関説明員 赤字というのは、いろいろの意味がございます。一つには、外部の民間工場でやった場合に比べて国鉄の方が高いという場合に、これを比較して、国鉄の高い分だけが外注に比べて赤字であるという現わし方、これは被服工場などは、そういう現わし方をしております。それからまた鉄道工場のように、外部の修繕能力に待つことができないというようなものについては、国鉄全体の修繕をプールしまして、これも全体としては赤字、黒字というものはなくて、結局これだけのものをやるにはこれだけの修繕費が要る、これを全体的にプールしてやるわけでございまして、そのときに、その各工場に対して、先ほど申しましたような、その工場の実情に応じた乗率を配付いたしまして、これに対して努力したものは黒字になるとか、今のように仕事量の少ないところは赤字になるというわけでございますが、これは年間計画で乗率を配付するときに、大体赤字、黒字がそんなにたくさん出ないように、その実情に応じて配付しておるわけでございまして、各工場の黒字とか赤字ということ自体は、工場を廃止するとか整理統合するとかいうことの基本的な問題にはなっていないわけでございます。たとえば、京都工場で見ますと、全国の鉄道工場の平均では四千四十五円という乗率を配付しておるのでございますが、京都工場については四千七百三十円というような乗率を配付しておるわけでございます。これは一面、京都工場はこれだけの高い乗率をやりまして、大体とんとんにいったとしても、全国的に見ますと、非常に大きな赤字をほかの方に背負わしておるということになるわけでございます。これは三十五年度の乗率の実績をただいま申し上げたわけでございますが、全国平均に対して約二割高い乗率がすでに配付されておるということに問題があるわけでございます。
  108. 肥田次郎

    ○肥田委員 簡単ですから数字を読んでみますと、これは京都の工場ですが、三十二年度には二十九万七千円の黒字だった。それから三十五年には、今度は七十一万九千円の赤字になった。三十六年度は千四百六十三万九千円、こういう数字を工場側から出されました。私がさっき言ったのは、なぜこういう数字が出たかというと、仕事がなくなったということです。なくなったのはどういうことかといえば、一般でいうところの仕事をくれなくなった、こういうことなんです。仕事を出さないでおいて、そして赤字になったのはどういう点から考えておるのかというと、これは確答がございません。一つの例を今度工場にとってみても、確かに性格的に一つの考え方は成り立つと思います。それは、国鉄がもう被服工場なんか持たなくてもいいんだ、こういう考え方は、正しいか正しくないかは別にして、成り立つと思います。私らは、それはいかぬと思っておる。今日まで被服工場を国鉄がかかえてきて、急に被服工場をやめてしまおう、そういう考え方は、私は誤りだと思っておる。その一番大きな理由は、コストが高いという考え方が一つできます。コストの高い、安いということは、一体どういうものさしでこれをはかっておるのか。町の工場で作る品物が安いんだ、国鉄の労働者を使えば、給料が高いから品物が高くつくんだ、こういう解釈は、大へんな誤りだと思っておる。これからは、人件費が高くなっても、安くなるはずはない。そうすると、町の工場は、これからだんだん上がっていっても、安くなるはずはない。それを今比較しておられる。それからもう一つ決定的な問題は、高い、安いの比較というものは、規定のものさしがなければならぬ。この規定のものさしは、何によって作るかということが考えられる。私ども考えるときに、高い、安いというのは、国鉄が被服工場を持っておってそして二十万個からの仕事があるから、これとよそを比べてみてどうだ、こうだと言えるが、国鉄が工場を廃止してしまえば、今度は自由主義社会でしょう。資本主義経済の中では、高かろうと、安かろうと、あるものを買わなければ仕方がないような状態になってくるでしょう。そのときに、高い、安いのものさしは一体どうして作るのか、高かろうと、安かろうと、こちらにはそれを防ぐ手はないんだから。今国鉄は工場を持っていますから、それは高いじゃないか、おれのところはこれだけでできるぞということになる。ところが、国鉄が被服工場を廃止してしまって、相手方から品物を買わなければならぬということになると、ことしは安いかもわからないが、ことしの年度末になると、ちょっと高くなる。来年になると、またさらに上がってくる。二年くらいの間には、はるかに高いものを買わされても、もう国鉄は文句を言うところの何にもないようになってくる。そのときのものさしというものは、相手の言いなり次第、ゴムのものさしではかろうとしておるような、そういう印象を私たちは受ける。こういう理由をもって、この工場廃止の理由は成り立たない。政策というものは別ですよ。その点、どういうふうに考えておられますか。
  109. 関四郎

    ○関説明員 ただいまのお話は、被服工場の方に関連したお話のように承知いたすわけでございますが、ただいまの、たとえば国鉄で給与いたしております制服とか作業服とか、こういうものは、大体現在民間に外注した場合には、約十億円くらいのものに相当いたしております。現在の縫製業界の年間の被服の生産高を見ますと、全体で約八百五、六十億円の生産をいたしておりまして、この中からメリヤスとかのシャツ類を除くとか下着類を除くということをしますと、学生服とかその他の作業服類を合わせまして、ほぼ六百億程度の生産高かと思います。これに従事しております従業員が、大体一万四、五千名おりまして、生産高から申しまして、国鉄の発注高が大体二%足らずくらいというようなところでございまして、全体から見まして、パーセンテージも非常に少ないわけでございますから、また、競争もかなりありますので、これが全部を外注したからといって、値段が上がるということは考えられないわけでございます。現に、電電公社、または郵政省、防衛庁なんかでは、これを全部外注に出しているわけでございまして、この外注の問題は別に心配がない。また、これの時期的な、たとえば工場なんかでいろいろな問題があって、こちらの使用の時期に間に合わないじゃないかという御議論もおありかと思いますが、この点につきましても、現在の縫製業界の状態からいって、また、競争の状態からいって、全く自由競争でございますから、この点はむしろ心配がない。実際上、国鉄といたしましても、一番運転に直接関係のあります石炭をほとんど全部外注によっているわけでございまして、その他おもな資材、直接、間接に関係のあります大半の資材が外注によっておりまして、これで不安もなくやっております。被服については、最も間接的なもので、ただ、われわれとして考えておりますのは、ここに従事した連中が、今まで非常に一生懸命にやってくれたわけでございますから、これに対してできるだけあたたかい気持でもって廃止して、国鉄内で次の適当な職場を見つけてやるというのが、われわれの仕事じゃないか、このように考えております。
  110. 肥田次郎

    ○肥田委員 局長の考えておられるところと私らの考えておるところとは、残念ながらこれは全く正反対です。これを今ここでやりとりをしようとは思いませんが、私の方で言っておるのは、赤字だという赤字の根拠がないということが一つ。それから、その赤字だというのは、絶えず変動性のあるもので、あなたが言われるように、こうすれば必ずこれは安いものを買えるようになるんだ、こういうことは、被服工場の場合には考えられない。古いミシンでみんな一生懸命に働いている。作業能率を上げようと思えば、新しい機械を買ってやればいいわけなんだ。ところが、工場では、大正年間の古いミシンで、そして何らかの工夫をして能率を上げることに一生懸命になっている。当局の言うところの指示に従った作業能率を上げるために、工場に入ったら、総裁名前でこういう張り紙をしてある。きょうも一日楽しく働こうよ。あすの日にも合理化で首切りになろうというのに、こういう紙が張ってあるくらい、工場の人はみんな一生懸命になって働いておる。こういうことを私は考えてみると、国鉄が今日まで持っておった被服工場を、そう簡単に廃止できるはずがない。条件さえ整えれば、相当に作業能率が上がるだろう、こういうことを私たちは感じてきたわけです。  それから工場の問題にしても、この工場を集中するのがいいのか、分散しておくのがいいのかということは、多分に議論のあるところであります。集中という考え方は、一時のはやりもののようなことさえある。山陰線に後藤という工場がありますが、そこの人が現にそう言っている。集中の方がいいと思うが、もう二、三年たてば、上の人の頭が変わって、必ずまた分散だということになりますよ。こういう言葉さえ聞く。こういうようにあいまいだという印象を、工場で働く人は持っている。そういう中で、いうところの合理化というものを円満に進めたいとあなたの方では言っておられるけれども、円満にいく道理がないという気がする。ことに、こういうことがありますよ。これはりっぱな方が言っておられたということですが、工場を廃止する場合に、ちゃんとその工場の買い手がついているというようなことさえいわれている。これが高く売れて、それを今度はこちらの方へこうだ。国鉄は、二兆円の予算を持っておりながら、貧乏人のやり繰りするような印象さえ与えている。これも適当でない。  もう一つ、配転を円満にと言われますけれども、実際被服工場の人をどこで使いますか。保線工手には使えない。だから、こういう人は、配転ということは、自分からやめていかなければならぬ、仕方がないというふうに考える。それ以上に吸収してくれるところがないじゃないか。工場でもそうでしょう。何回か転勤して、住居の問題、子供の教育の問題、こういういろいろな問題をかかえて、京都が廃止されて、鷹取に行きたい、こういうことにはなかなかならぬ。こういう点について、実際に円満な配転が可能だというふうに考えておられるのでしたら、その妙案を聞かしていただきたい。私は、神様でもむずかしいのではないかと思う。
  111. 関四郎

    ○関説明員 作業能率が低いために赤字であるとは考えておりません。一般の縫製工業界全般を見ましても、決して低くはないわけでありまして、この赤字というのは、いわゆる外注した場合とうちの中で作った場合との差額を申し上げておるわけでありますが、この差ができて赤字になるということは、要するに、一人々々の賃率が非常に高くて、外注の乗率とうちの工場の乗率との違いがここに出てきている。そういうことでございまして、この作業能率の点は、決して低いわけではない。非常に一生懸命やってくれているのでありますが、それを外注に比べたら高いということでございます。それでは、部外の方との、何というか、賃金の差がだんだんなくなるじゃないかということも考えられますが、国鉄としても、これは将来全体の賃率を上げていくということを考えておりますので、この差は一応まだ続くものと考えざるを得ないと思います。  それから工場の分散か、集中かということでございますが、これは先ほど乗率を例にとって申し上げましたけれども、やはり集中しました方が、作業能率もよく——作業能率というのは、設備に対する作業の密度がよくなる。また、管理部門の負担も軽くなるということからいって、集中の方がよいということは当然なことでございます。これはさらに、鉄道工場というものが、蒸気機関車を主にしておりましたものが、全く内容が変わってしまいまして、現在動力近代化に伴って、この工場の内容が全く変わって、職場の大転換をするということが、工場の中でも起こっております。この場合に、新しい車両に合うような修繕設備にするために、やはり相当の投資をしなければいけない。それをどこかに集中して投資するか、現在ある工場に全部同じように投資するかということは、これはもう言うまでもなく、ある個所に集中して、特にできるだけ近代的なりっぱな設備にするということが、当然の方向だ、こう考えております。  それから三番目の問題といたしまして、工場を売却するとかなんとかいうお話がございましたが、この点については、私ども全く関知いたしておりませんし、また、配転問題とかなんとかいうことが組合との話がつかないうちに、そういうことを考えようとは毛頭考えておりませんので、この点は、私ども全く関知しないところでございます。  それから、配転対策の問題につきましては、担当の中村常務からお答えするようにいたします。
  112. 中村卓

    ○中村説明員 被服工場の配転先につきましては、もちろん、これは本人の意思を十分尊重するわけでございますけれども、われわれが提案した関係では、男子職員につきましては、駅の関係、電車区の関係、それから自動車運転手がおりますので、これを関東自動車事務所に配転したいと考えております。それから女子の職員につきましては、たとえば病院の看護婦とか、それから駅の関係で、駅手とか駅務掛とかいうような職名に配転することを考えております。
  113. 肥田次郎

    ○肥田委員 なお、答弁の不十分な面もありますが、次の時間もありますから、私、引き続いて、この質問を継続してやることにして、ここでは保留しておきます。  そこで、この機会の区切りとして私は言っておきたいのは、合理化という問題は、これは当然どこの企業の中でも起こることがあるだろうと思います。しかし、この合理化という問題ほどまたむずかしい問題はない。私は、配置転換の方法を今聞こうとしたわけじゃありません。ただ、配置転換ということは、容易なことではできませんよ。話し合いといったところで、本質的に水と油をどうしてこれを融合さすんだという、こういう困難な問題が、必ず生じて参ります。ですから、こういう配置転換あるいは合理化、こういう問題については、よくよく組合と相談をして、そうして円満なる方法を講じられませんと、これは結果において、いわゆる角をためて牛を殺すというようなことになりかねない。今日の国鉄の職員が総体に感じておることは、国鉄が逐次に出してくるところのいわゆる高度な合理化政策、こういうものについて絶えず不安を持っておるという点が一つ。それがために、労働意欲も何となしにまちまちになるんじゃないか、こういうことを私は取り上げなければならぬと思います。ですから、形だけを整えてみても、真に動くところの人間が動かなかったら、これはどうにもならぬ問題ですから、その点はよくよく慎重な方法をもって処置をされることが必要であろうということを、特に申し上げておきたいと思います。  時間がだいぶたちましたので、質問を終わります。
  114. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員長代理 次会は来たる三月二日、金曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。  なお、本日は、都合により理事会を取りやめますから、理事の方は御了承願います。    午後一時四分散会