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1962-02-14 第40回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年二月十四日(水曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 簡牛 凡夫君    理事 關谷 勝利君 理事 塚原 俊郎君    理事 福家 俊一君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 肥田 次郎君       伊藤 郷一君    生田 宏一君       宇田 國榮君    川野 芳滿君       木村 俊夫君    佐々木義武君       壽原 正一君    砂原  格君       竹内 俊吉君    西村 英一君       細田 吉藏君    三池  信君       石村 英雄君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    島上善五郎君       田中織之進君    内海  清君  出席政府委員         総理府総務長官 小平 久雄君         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     大竹 民陟君         運輸政務次官  有馬 英治君         運輸事務官         (大臣官房長) 広瀬 真一君         気象庁長官   和達 清夫君     ————————————— 二月十四日  理事山口丈太郎昭和三十六年十二月十六日委  員辞任につき、その補欠として肥田次郎君が理  事に当選した。     ————————————— 二月十三日  福島県下の国鉄貨物集約輸送是正に関する請願  (木村守江紹介)(第九六三号)  宇野、高松間海峡連絡鉄道早期実現に関する  請願外一件(赤澤正道紹介)(第九六六号)  信越本線軽井沢長野間電化促進に関する請願  (羽田武嗣郎紹介)(第九八一号)  同(唐澤俊樹紹介)(第一〇四六号)同(中  島厳紹介)(第一一一九号)  甲府、長野間国鉄複線電化に関する請願羽田  武嗣郎紹介)(第九八二号)  同(唐澤俊樹紹介)(第一〇四七号)  同(中島厳紹介)(第一一二〇号)  岩日線広瀬日原間鉄道敷設に関する請願(大  橋武夫紹介)(第一〇六一号)  同(小澤太郎紹介)(第一〇六二号)  同(櫻内義雄紹介)(第一〇六三号)  同(竹下登紹介)(第一〇六四号)  国鉄山野線及び宮之城線の貨物取扱集約反対  に関する請願池田清志紹介)(第一一五二  号)  国鉄大口機関区の存置等に関する請願池田清  志君紹介)(第一一五三号)  中小都市におけるハイヤーの大資本業者の進出  阻止に関する請願外一件(伊藤幟紹介)(第  一二二七号)  同(大竹作摩紹介)(第一二二八号)  同外五件(亀岡高夫君紹介)(第一二二九号)  同(木村守江紹介)(第一二三〇号)  同(齋藤邦吉紹介)(第一二三一号)  同外一件(八田貞義紹介)(第一二三二号)  同外四件(八百板正紹介)(第一二五二号)  福島合同タクシー株式会社新規免許申請反対に  関する請願外一件(伊藤幟紹介)(第一二三  三号)  同外二件(大竹作摩紹介)(第一二三四号)  同(木村守江紹介)(第一二三五号)  同外一件(齋藤邦吉紹介)(第一二三六号)  同外一件(八田貞義紹介)(第一二三七号)  同外三件(八百板正紹介)(第一二五一号)  離島航路補助金の増額に関する請願宇田國榮  君紹介)(第一二五〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  南大東島における高層気象観測に必要な物品の  譲与に関する法律の一部を改正する法律案(内  閣提出第三七号)      ————◇—————
  2. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 これより会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  理事山口丈太郎君が先般委員を辞任されました結果、理事が一名欠員になっておりますので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じます。これは、先例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 御異議なしと認め、肥田次郎君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 南大東島における高層気象観測に必要な物品譲与に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
  5. 勝澤芳雄

    勝澤委員 南大東島における高層気象観測に必要な物品譲与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質問をいたすわけでありますが、この譲与する場所沖繩でございますので、最初、私は、日本沖繩はどういう関係にあるのかという点から、一つ見解お尋ねいたしたいと存じます。
  6. 小平久雄

    小平政府委員 お尋ね意味が私よくのめないのですが、まあ一般的に申しますならば、米国が施政権を有し、わが国はいわゆる潜在主権を持っておる、こういう関係にございますので、わが国としても、沖繩に対しまして、できるだけの民生福祉の向上のための援助をいたして参りたい、こういうことで、ことに昨年池田ケネディ会談共同声明が出ましてからは、これを大いに強化したい、こういうつもりで、三十七年度予算編成等にあたりましては、昨年度よりも相当多額の援助をいたすべく予算を要求いたしておるところでございます。
  7. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今総務長官が言われたようなことを日本沖繩との間でいわれておるわけでありますが、その点、実は掘り下げていくとよくわからないのですが、潜在主権があるから、ケネディ池田会談によって沖繩援助というものを今までよりも進めていく、そういうことは、具体的にいうならば、一体潜在主権というもののある沖繩日本援助しなければならない、こういう点は、どういうわけで出てくるものなんでしょうか。
  8. 小平久雄

    小平政府委員 どういう関係にあるかというお尋ねでございましたので、私はその点だけ御回答申し上げたのでありますが、潜在主権があるから援助をしなければならぬといった、そういった関係だけから沖繩に対する援助ということが考えられておるものではないのじゃないか。一体潜在主権ということと援助ということが、どういう——そういうことが義務的にあるものかどうかということは、私はよく存じません。これは権利義務と申しますか、そういう関係についてはむしろ外務省からお答えするのが適当かと存じますが、ただ、私の立場からいたしますと、そういう権利義務関係もさることでありましょうが、何と申しましても、沖繩にはわれわれの同胞が九十万近くも住んでおられることでありますからして、われわれはまた、特に将来なるべく早くわが国にこれを返還してほしい、こういうことをわが国自体もこいねがっておりますし、沖繩の住民も言うまでもないことでございます。そういう関係もございますから、私は、いわゆる権利義務的な考え方を別にしても、むしろ私の個人的な考え方からすれば、そういう関係をも超越して、できるだけ沖繩援助の手を差し伸べるということが当然なのではなかろうか。私は、個人的にそういう考え援助の問題には臨んでおるのであります。
  9. 勝澤芳雄

    勝澤委員 沖繩施政権は、日本になくて、アメリカが持っている。そうして沖繩は、日本領土であって、日本人が住んでいる。しかし、日本はそれに行政をする権限がない。その行政をする権限のないところに援助をする。そこで、突き詰めていくと、一番よくわからないのです。施政権を持っておるところがやるのが、私は当然だと思うのです。もしそういう力がないならば、日本にお返しするのが私は当然だと思うのです。その辺のところをもう少し御見解を承りたいと思います。
  10. 小平久雄

    小平政府委員 勝澤委員お尋ねの点について、私も先ほど申し上げました通り沖繩に対する援助というものが、いわば理屈を越えて——こう申すと適当かどうか存じませんが、私の気持からいたしますと、むしろ日本はそういう立場でやるべきであり、また現にやっておる、さように理解いたしておるのでありまして、こちらに施政権がないから、それでは全然沖繩というものをかまわないでよろしいとか、あるいはかまうべきでないとか、こういう所論もあるいは立つかと存じますが、しかし、われわれは、さっき申しました通り沖繩わが国領土であり、たといいわゆる潜在主権であろうとも、これを持っており、われわれの同胞が九十万近くもここに住まっておる、こういう現実の姿からいたしまして、われわれは権利義務的な理屈というものをむしろ超越しても、当然これに援助の手を差し伸べるべきである、こういうふうに考えておるのであります。
  11. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで日本沖繩援助する場合というのは、日本政府琉球政府で話をきめて援助ができるということではないわけですね。日本政府琉球政府と話をきめて、そしてアメリカ民政府許可を与えなければ、それが実施できない、こういう建前になっておるのですね。
  12. 小平久雄

    小平政府委員 その点は少し違うかと思います。と申しますのは、大体正式のルートから申しますと、琉球政府外交権というものはない、こういう立場に置かれておるものでありますからして、内部的には琉球政府アメリカとがあちらで打ち合わせをいたしまして、アメリカ側から、日本外務省を通じて、その年度々々の琉球に対する援助というものはこういうものをしてほしい、こういうことでやって参るのであります。そこで日本側アメリカ側とが相談をしてやる、こういうことであります。
  13. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、結局アメリカが占領している。施政権を持っている。その場所について、アメリカ施政権を有効にといいますか、発揮することが十分でないので、日本がそれを援助していく、こういうふうに理解されるのですが、そういうことになるのですか。
  14. 小平久雄

    小平政府委員 現実の姿として、アメリカ沖繩に対する援助というものも、従来十分であったとは申しかねると思います。そこで、今申しました池田ケネディ共同声明によって、沖繩に対してアメリカも一そうの援助をいたしたい、それについては日本の協力も歓迎する、日本としてはそれに協力いたしましょう、こういう趣旨の共同声明だったことは、御承知通りであります。それに基づいて、御承知通り米側としては昨年秋にケイセン氏を団長とするいわゆる沖繩調査団をよこしまして、今後沖繩に対する援助というものをどういうふうに展開すべきかということについての調査をさせ、目下その報告書が作成されつつある、こういう段階でありますからして、アメリカ自体も、従来、沖繩に対する援助が十分であった、こうは思っておらないことだと、われわれも承知するのであります。しかし、沖繩に対するアメリカ援助が足らぬから日本がやる、こういう立場ではないと、私は考えておるのであります。  その沖繩に対する援助理由は、先ほど来申しておる通り立場において、日本が進んでやって参る。しかし、何と申しましても、現実アメリカ施政権を持っておるのでありますからして、これとの協議の上で、お互いのいわゆる理解に基づいてやって参る、こういう筋であろうと了解いたしております。
  15. 勝澤芳雄

    勝澤委員 日本政府琉球政府とのいろいろな約束ごとを見てみますと、たとえば南大東島における高層気象観測に関する覚書を見てみますと、日本政府代表である気象庁長官と、それから琉球政府代表である琉球気象台長と調印をして、そしてその上でアメリカ民政府がそれに承認を与えておる。こういう覚書が出されておるのですが、この覚書というものは、外交上といいますか、取り扱い上、どういうものなんでしょうか。
  16. 小平久雄

    小平政府委員 今お示しのように、日本からの沖繩に対する援助につきましては、日本側当局琉球政府当局、それが覚書を作成して、これを実施しておる。その際に、米側責任者がそれにサインをいたしておる。その通りでございますが、その際における米側責任者承認というものは、琉球政府側の行為に対して米側承認を与えたという意味サイン、かように私ども理解をいたしておるのであります。
  17. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今回の予算を見てみますと、総理府の中で沖繩援助というものが大きく取り上げられておるのですが、総理府はどういう権限沖繩援助ができるのでしょうか。
  18. 小平久雄

    小平政府委員 これは設置法関係がございますので、特連局長から答弁いたします。
  19. 大竹民陟

    大竹政府委員 総理府設置法によりますと、沖繩に関する問題を処理するという一項がございます。その条項に従いまして、沖繩援助問題を総理府所管といたしております。
  20. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今言われたのは、総理府設置法のたしか九条ではないだろうかと思うのですが、この九条の特別地域連絡局事務権限規定の中を見てみますと、財政的あるいは産業援助権限が明確になっていないと思うのですが、この項のどこに当てはまるのですか。
  21. 大竹民陟

    大竹政府委員 第九条の四号でございますけれども、「本邦南方地域又は北方地域との間において解決を要する事項調査し、連絡し、あっせんし、及び処理すること。」このただいま申しました最終の「処理」、この言葉でやっております。
  22. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今言われた中から考えてみますと、本邦南方地域との間に解決を要する事項調査をする、連絡をする、あっせんをする、処理する、こういう処理の中に、こういう莫大な援助というものが出せる権限は、私は明確になっていないように思うのですが、この点、もうちょっと具体的に御説明願いたいと思います。
  23. 大竹民陟

    大竹政府委員 処理という言葉の概念でございますが、これはいろいろな解釈ができると思うのでありますが、一般的に、その場合は広く沖繩日本との間において懸案になっておりますような事項処理一切を含む、こういう考え方でございまして、従来から、予算関係は、大体において総理府特連局において処理をいたしておるという慣例になっております。
  24. 勝澤芳雄

    勝澤委員 従来は、この援助金という支出はなかったわけです。三十七年度予算の中に初めて援助金というものが出てきたわけでありますから、これは私の解釈によれば、この処理という項目だけによって今後も予想される援助の問題を取り扱うということについては、少し疑問があるように思うのです。しかし、その問題は別といたしまして、そこで今度の予算にこういう事業的な財政援助というものが計上されてきたという場合においては、やはり特別な法律措置をしなければいけないんじゃないだろうか、こう思うのです。そこで、従来と変わってきた理由は一体何か、こういう点についてお尋ねしたい。
  25. 大竹民陟

    大竹政府委員 予算関係で申しますと、その処理項目で読みまして、大部分が総理府特連局予算についております。そのほか若干のものが、文部省あるいは厚生省、あるいは運輸省の予算にもついておるわけでございますが、ただいまお話しございましたように、援助金という名前をつけましたものを概して申しますと、来年度予算が初めてでございます。ただ、金で向こうに交付するというやり方は、本年度においても、文部省関係で実は実行しでおるわけでございます。育英資金琉球育英会にやるために、日本政府から琉球政府に金を渡しておる、こういうやり方をやっておるわけであります。従来、物でやっておった。たとえばマイクロにいたしましても、あるいはモデル農場にいたしましても、従来物でやっておったものをなぜことしから援助金という金でやる形に変えたかということでございますが、沖繩援助を充実いたしていきますためには、物だけの援助ということでは手段として十分でないわけでございまして、たとえば本年度上げておりますように、土地改良でありますとか、道路でありますとか、あるいは港湾でございますとか、これらは、いずれにいたしましても、こういう仕事を通じて援助をしていくということになりますと、物でやるという方式は、窮屈になってきておるわけであります。今後また、沖繩援助がだんだん増加いたしていくことと思いますが、そういう際にも、物の援助に限るということはきわめて困難でございます。今回は、ごく特殊な物品だけに限り物品譲与の形をとって、そのほかのものは財政的に援助するという方法に切りかえたわけでございます。
  26. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、今読みました援助金というのは、財政法とか、会計法とか、適正化法とか、いろいろあるのですが、そういう法律適用は、どういうふうになるのですか。
  27. 大竹民陟

    大竹政府委員 日本政府支出いたしますその支出段階におきましては、もちろん会計法、あるいは財政法、その他会計法規日本政府自身には適用されることは当然でございます。しかし、琉球政府補助事業者考えた場合、あるいは間接補助事業者考えた場合、これは、日本補助金適正化に関する法律あるいはその他の法規琉球政府に直接適用するということは、現在の情勢ではできないわけでございます。従いまして、先ほどお聞きになりましたような覚書を私ども琉球政府との間に結びまして——補助金適正化法等は当然かぶって参りません。それを補正する意味で、金は出しますけれども、しかし、これを乱用されまして援助目的を達成しないというふうなことがあってはならぬわけでございます。そういう点につきまして、覚書相互に交換いたしまして、お互いの徳義上の問題として、お互い援助目的を有効ならしめるというやり方をやっておるわけでございます。
  28. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、国内法適用を受けないで、一応のこちらの費目に従って向こうでそう使うのが望ましい、こういうことであるわけですね。かりに今まで物をやったいま一つの例を見てみますと、この観測なんかの場合は、貸付をしているわけですね。こういう場合は、結局国内法との関係はどうなりますか。
  29. 大竹民陟

    大竹政府委員 貸しておる日本政府のそれぞれの部局は、その範囲におきまして、貸付なりその他の国内法規適用を受けることは当然であります。借りておる方に対する監督規定というものは、法規的には働かないわけであります。従いまして、覚書の上にも現われておりますような、いろいろな条件をつけておるわけでございます。その条件の履行につきましては、必ず会計検査院が行って見るというようなことは不可能でございます。しかしながら、それぞれの所管の局におきまして、あるいは人を派遣し、あるいは報告を求め、あるいは相談をしてもらうというふうな、いろいろなやり方をいたしまして、実質上、たとえば譲与とかあるいは貸与とか、国内法におきましていろいろきめておりますと同じような効果を上げますのに努めておるという格好になっております。
  30. 勝澤芳雄

    勝澤委員 結局、それはあくまで精神的なものであって、実際にはやりっぱなしで、日本法規が及ばないことだ、こういうことになると私は思うのです。そうなんですか。
  31. 大竹民陟

    大竹政府委員 日本法規がそのまま適用されますと、場合によりましては、罰則がつく、あるいは金を返させるというふうな手段があるわけでございます。しかし、申しましたように、沖繩の場合は、罰則というようなことは、法律上当然には適用されないわけであります。しかし、法律できめますと同じような内容の覚書を作っております。これに違反してかりに事が行なわれたということがありますならば、相互のいわば国際的な信義の問題で、その後の援助を打ち切る、あるいは最悪の場合においては、話し合いによりまして金を返してもらうというような問題にも、理屈の上の問題としてはなり得るものである、こういうふうに考えております。実際問題としては、現地でよく見ておるわけです。今までの例といたしましては、目的外に使われたというふうなことはもとよりございません。
  32. 勝澤芳雄

    勝澤委員 琉球政府の中で使われるものについては、いろいろと琉球政府の中の物の取り扱いで、十分な管理というものがなされると思うのです。しかし、日本から行なわれるものについては、こちらから出して、出しっぱなしで、それについては、ただ道義的な、あるいは精神的なものだけであっては——これは、当然日本政府のもとにおける会計検査院が行って、国内と同じようにやるようにならなければ、私はおかしいと思うのです。もしそういうことができないとするならば、そういうことをしなくてもいいとするならば、やはりこれは法律的な措置か何かによってそういうことをしなければならぬと思うのですが、法律的な措置がなくて、こういうやり方というものはよろしいのでしょうか。私しろうとであまりよくわからないのですが。
  33. 大竹民陟

    大竹政府委員 たびたび御説明いたしましたように、私どもといたしましては、国内でやるとなるべく同じような取り扱いをしていきたいという考えでございます。国民の税負担ということがあります以上、それはもう当然のことと思うのでございまして、大東島の物品譲与に関する覚書をごらんいただいたと思うのでございますが、そのほかマイクロ覚書、あるいはモデル農場覚書、いろいろの覚書があるわけであります。これらの中にも、琉球会計検査院検査報告をつけた報告を求める、あるいはお互いに話し合って、こちらから検査のために人を派遣して検査することもあり得る、こういう条項も挿入してございます。それらによりまして、十分な、適正な効果を期待していきたいというふうに考えております。
  34. 勝澤芳雄

    勝澤委員 日本会計検査院が行って調査をすることができるというのは、具体的にはどういうことについてきまっておるのですか。そしてその場合、琉球に入る場合においては、一々アメリカ民政府許可を得なければ入れないわけなんですね。そういう点の関係はどうなっているのですか。
  35. 大竹民陟

    大竹政府委員 たとえば現在やっております模範農場に関する覚書でございますが、この覚書におきましては、譲与した物品、これは日本政府の派遣しておる管理責任者監督をして、そのもとに使用されるものである。かつ、模範農場目的のほかに使用することはできない。それからまた、琉球政府は、模範農場に対する年次業務報告書——会計検査院検査を経た検査報告書を作って、それを日本政府に送付する。琉球列島高等弁務官及び琉球政府協議の上、技術専門家を派遣して模範農場の状況を調査することができる。あるいはまた、場合によっては援助を打ち切ることがある、というふうなこまかい規定がございまして、これは、先ほどごらんいただきましたように、琉球政府日本政府、さらにアメリカ側承認をするという形で締結しておるわけであります。従いまして、これを実行いたします際に、アメリカ側あるいは琉球側は、拒むということはできないわけであります。入国の承認を与えないということも、私としてはあり得ないというふうに考えております。
  36. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今のあなたの説明の中では、日本会計検査院琉球へ行って検査をできるということが入っていないじゃないですか。
  37. 大竹民陟

    大竹政府委員 日本会計検査院と先ほどあるいは申し上げましたとすれば、私の間違いでございまして、関係行政機関の担当の入間ということであります。
  38. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関係行政機関の者が行って監査をすることができるにかかわらず、会計検査院が行って検査できないというのは、どこに問題があるんですか。
  39. 大竹民陟

    大竹政府委員 私ども気持といたしましては、ここに会計検査院検査というふうに表現してございませんけれども、これは現在の日本琉球との関係でやむを得ないことだと思っておるわけでございます。しかし、実際に必要がございますならば、会計検査につきまして熟達した、実質上の会計検査をする能力を持った人間を送って調査をするということは、困難でないというふうに考えております。
  40. 勝澤芳雄

    勝澤委員 総理府から落とした予算総理府の人が行って見たって、それは検査にならぬですよ。それは常識なんですよ。それはただ単なる監査であって、公式なものにはならぬわけです。ですから、そこで関係官庁が行ってそういうことができるなら、日本会計検査院が行って検査できるシステムにできないということが、私はおかしいと思うのです。それは、そういうことをやらない方が総理府としては都合がいいんですか、あるいはやらせないようにしているんですか。
  41. 大竹民陟

    大竹政府委員 日本会計検査院権限をもって当然沖繩会計検査ができるということは、現在ではないということを申し上げておるわけでございまして、従いまして、実質会計検査院に所属する入間でございましても、これは日本会計検査という建前でなしに、実際に各省でやっておることを検査するという建前で出かけることは、一向差しつかえない、私はそういうふうに考えております。
  42. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、私は、予算の立て方というものがおかしいと思うんです。じゃ、もう一歩進めてお尋ねいたしますが、これを見てみますと、たとえば沖繩の道路工事の援助金沖繩の土地の調査援助金、農林漁業資金援助金、港湾施設援助金、この援助金の算定は、どういう形で行なわれたんですか。そしてこの金は、どういう形で出ていくんですか。
  43. 大竹民陟

    大竹政府委員 算定を行なった方法でございますが、これは先ほど長官からいろいろお話がございましたように、もともと琉球政府アメリカ政府相談をいたしまして、こういう項目について金がもらいたい、向こうから金額を上げて言ってきたわけでございます。これにつきまして、私どもといたしましては、現在の日本国内のこういった関係の経費、あるいはまた沖縄の物の値段というようなことを勘案いたしまして、いわば査定をしたと申しますか、日本政府見解といたしまして、この程度のものがあればこれだけのものがやれる、こういう見解に立ちまして算定をいたしたわけでございます。
  44. 勝澤芳雄

    勝澤委員 予算は、どういうふうに執行されるのですか。
  45. 大竹民陟

    大竹政府委員 これは、ただいまのところ、先ほどの覚書と同様な覚書を作って交付する予定でございまして、その覚書にどういう条項を盛り込むかということを、ただいま鋭意検討をいたしておるところでございます。やはり日本の内地で政府が府県に対して補助金を出します場合とほぼ同じように、ちゃんと目的をはっきりいたしまして、また、それぞれ監督、あるいはまた報告を受ける、相談を受けるというような、いろいろな条件をつけまして、目的通り金が使われるような形にして交付したいというふうに考えております。
  46. 勝澤芳雄

    勝澤委員 金は、日本政府からアメリカ民政府へ行って、アメリカ民政府から琉球政府に渡る、こういうことになるのですか。
  47. 大竹民陟

    大竹政府委員 この弁務官のサインした覚書によりまして、日本琉球政府の間に約束ができるわけであります。日本政府としては、直接に琉球政府に金を送るという形をとっております。
  48. 勝澤芳雄

    勝澤委員 結局直接送るということは、日本円をドルにして、そしてドルで向こうへやるということになるのですか。
  49. 大竹民陟

    大竹政府委員 その点も現在研究をいたしておりますが、大部分の金はそういう形になると思います。予算を実行いたします場合に、内地で琉球政府が当然物品を買わなければならぬというふうなものもあろうかと思うのでございます。そういうものにつきましては、ドル節約というような見地もございますので、場合によりましては、ドルにかえずに、日本琉球政府が円を保有するという形になり得ないかというような点を、現在検討いたしております。
  50. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この予算に上げた援助金というのは、金で送る、あるいは物で送る、こういうことをきめるのは、どこにあるのですか。日本政府にあるのですか、あるいは琉球政府にあるのですか。
  51. 大竹民陟

    大竹政府委員 相互の合意、相談によってきまってくることであります。
  52. 勝澤芳雄

    勝澤委員 相互相談によるということは、結局琉球政府の希望によって、日本から金をもらって、その金でよその国から品物を買って、こういう工事が始まる、こういうこともあるわけですね。
  53. 大竹民陟

    大竹政府委員 金でやりました場合には、そういうことも、理屈の上から言いますと、あり得るわけでございますが、しかしながら、沖繩の実際の経済問題といたしますならば、ほとんど日本の経済圏に入っておる。全く同じ状況でございまして、いわば貿易関係におきましても、日本との、取引がほとんど大部分でございます。実際問題といたしましては、日本との経済関係だけがあるという状況になっております。
  54. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで私は、具体的にこの援助金というのがどういうものに使われるのか。たとえば道路工事援助金、こうなっております。日本の場合においては、たとえば東海道のどこそこ、こういうことになると思いますが、この沖繩の場合に、新しく出てきた援助金というものの内容については、詳細に報告をしていただきたいと思うのです。この援助金、まあ何項目ですか、十項目くらいあると思うのですが、これらの内容については、詳細に御報告できますか。
  55. 大竹民陟

    大竹政府委員 おっしゃいましたように、国内において行なっております場合と同様でございまして、道路と申しましても、どこの道路でもいいというやり方ではございません。どこからどこまでの幅員何メートル、延長幾ら、すべてそういうはっきりした基礎に立って援助をいたしております。
  56. 勝澤芳雄

    勝澤委員 その資料は出していただけますか。
  57. 大竹民陟

    大竹政府委員 差し上げてけっこうだと思います。
  58. 勝澤芳雄

    勝澤委員 予算の配賦といいますか、ウエートというものは、どういうことになるんでしょうか。私はよくわからないのですが、たとえば気象庁の例を申し上げますと、気象庁も十分の予算ではないと思うのです。十分の予算でないにかかわらず、こうやって、今度は総理府の方の別の予算で石垣島にこういうことをする。そのウエートというものは、日本国内に余裕があるからこういうことをするのか。あるいはアメリカの強要によって、どうしても日本がこういうことをしなければならぬのか。また一方にあるアメリカのドル防衛の一環として、日本がこういう片棒をかつぐのかということが、いろいろいわれておるのです。一番問題になるのは施政権の問題で、日本の土地なら問題ないと思うのですが、日本の土地であって日本が自由にできない土地だというところに問題があると思うのですが、そういうものは、どんなふうにお考えになっておりますか。
  59. 小平久雄

    小平政府委員 それは、あるいは運輸省からお答え願う方が適当かと思いますが、特に今御指摘の石垣島の測候所の関係から申せば、これは言うまでもなく、沖繩自体のためでもありましょうが、同時にまた、日本の本土と申しますか、その方のためでもありますので、このウエートが、比較的と申しますか、十分でない気象予算の中でどういうウェートを占めるかというお尋ねにつきましては、私は、全体の気象関係予算というものを存じませんが、今申しましたような趣旨から、日本本土側としても、当然これは必要なものであり、またやるべきもの、こういうことでこれを認めたものと存じます。
  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この方式につきましては、私もまだいろいろと疑問があるわけでありますけれども、これをきょうもう少し掘り下げるのは、この委員会の任務でもないし、一応この問題は別の機会に譲りまして、次に、当面出ております法律関係で、石垣島に高層気象観測所を作らなければならない理由、こういう点について御説明願いたいのです。
  61. 和達清夫

    和達政府委員 御承知のように、石垣島は、台湾の東三百キロの海上にある、気象の観測の上からは非常に重要な観測地点であるわけであります。以前には、石垣島に日本の測候所がありまして、これが太陽観測等の重要な観測をいたしておったことも、御承知のことと思います。このようにいたしまして、石垣島における気象観測、特に高層気象観測というものは、琉球政府にとりましてはもちろん、わが国の気象事業にとりましても、非常に重要な役割を果たす観測でございます。また一方におきまして、これが世界の気象観測網の一つとして非常に大切であるということで、この設立は歓迎されておるところであります。かような意味におきまして、わが国が石垣島の高層気象観測の資料を得るということは、特に、台風予報にいたしましても、非常に重要でございますので、わが国の気象事業としては、できるだけこの観測の開始を希望しておるわけであります。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで那覇にある嘉手納、これはアメリカ軍が直接管理しているんですが、どういうわけで南大東島と石垣島は日本がやらなければならないんですか。アメリカがやっているのですから、それと同じような形でやればいいように思うのですが、日本がやらなければならぬ理由、こういう点はどうなんですか。
  63. 和達清夫

    和達政府委員 先ほども申し上げましたように、これら南西諸島の観測というものは、わが国にとって非常に大切なものでありまして、たとえば南大東島の高層観測は、たとい琉球政府にはその価値が少ないといっても、わが国にとっては自力でもやる価値のある、また必要のある高層観測だと私は信じているのであります。
  64. 勝澤芳雄

    勝澤委員 マーカス島の観測は、米国の委託で日本が全面的にやっているのですが、この関係はどうなんでしょうか。
  65. 和達清夫

    和達政府委員 マーカス島の気象観測は、米国と日本との間の契約においてやっているのであります。
  66. 勝澤芳雄

    勝澤委員 やっていることの費用負担を日本がしているという問題について疑問を持っているんですが、南西諸島にしても、マーカス島にしても、日本も必要だということはわかるんです。これは世界的にどこの地域でも必要だと思うのですが、日本の周辺にある朝鮮にしても、シベリア地帯にしても、こういう点にも、お互いの国々が気象観測をやりながら相互に気象観測情報を交換し合っているということを私は聞いているんですが、こういう点から考えると、ここだけ日本でやらなければならないという点がよくわからないので、お聞きしているんです。
  67. 和達清夫

    和達政府委員 マーカス島は、御承知のように、費用全額アメリカ負担であります。南西諸島のような重要地点は、日本の気象事業にとってその資料は不可欠なものと私ども信じておるのでございます。それで、日本ができるだけこれの気象観測の遂行に対して力を尽くすべきだと私は思います。
  68. 勝澤芳雄

    勝澤委員 日本の土地ならけっこうだと思うのですけれども、さっきも申しましたように、まだここも施政権のない地域なんですが、こういうところまでやらなければならぬかどうか。順序の問題もあると思うのです。国内にまだ整備しなければならぬ問題があるわけです。その問題をやらずに、外の方の問題をやる。そのやるところがみなアメリカ施政権のある地域だ、こういう点が少し理屈として立たないじゃないだろうかと考えるのですが、どうなんでしょうか。
  69. 和達清夫

    和達政府委員 南大東島につきましては、国内と同様に、私は重要なところだと思っております。この資料は、国内としてもほしいものではないかと思います。石垣島の方は、それに比べますと多少南に入りますが、重要な点においては同じであります。この点は、琉球政府も、石垣島には相当に大きな関心を持っております。非常に琉球にとっても大切なものであります。また、日本にとっても大切なものであります。それで、今回の琉球援助のこともございまして、前と同様の趣旨において、物品譲与をできるようにしていただきたいというわけであります。
  70. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今のお話だけでは、私は、国内の方の気象観測の問題を犠牲にして、この石垣島なりマーカス島ですか、こういうアメリカに占領されている地域を先にやるという点の根拠というものが、ちょっと薄いじゃないだろうかと思うのです。まあその問題については、それは気象庁だけの問題ではなくて、政府の姿勢の問題にもなるでしょうから、その程度にいたします。  そこで私は、最近のこの気象行政についてちょっと質問いたしますと、気象現象の、たとえば地震とか、台風とか、暴風雨雪とか、津波、こういうものの探知の能力といいますか、これは世界的な技術水準から見て、日本の技術水準といいますか、施設の水準といいますか、大体どの程度のものでしょうか。
  71. 和達清夫

    和達政府委員 こういうような防災的の気象業務にかけましては、日本の技術、また施設も、決して世界の先進国に劣るものではない。ものによっては日本の方がすぐれておるものもあると思っております。もちろん、ものによっては、今後さらに充実しなければならない部面もあることは、申し上げておきたいと思います。
  72. 勝澤芳雄

    勝澤委員 こういう点はまるきりしろうとですから、一体天気予報の当たる率はどれくらいだろうといったって、私もよくわからない。最近はよく天気予報も当たるようですが……。  ですから、そういう点からいうならば、まだまだ未知の世界というか、開発すべき面がたくさんあると思う。そこで、このごろ大へん気象庁もPRが上手になりまして、これは事実だと思うのですが、たとえば一隻の大型船が沈没するのを防げば、一年間の気象庁の予算はそれだけでも浮いてくるじゃないか。だから、もう少しこういう防災対策をしっかりやらねばならぬ。大へんいいことが言われていると思う。従いまして、三十七年度予算でも、七十一億の予算の要求をやったようでありますけれども、五十五億しかとられていないわけでありまして、全体的な予算の中から、気象庁が一番伸び率は低いというように思うのです。こうなると、私は、気象庁長官が、学者的良心をもって、日本の防災対策というものは三十七年度はここまで進まねばならぬ、こういうことで出したのが、何もわからない——わからないと言っちゃ怒られるかもしれませんけれども、そういうような形の中で予算が減らされている。そのために、一隻助かるはずの船がまた沈没し、わかる台風がおそかったり、集中豪雨対策もおそかったとかいうようなことが起きてくると、これはやはり問題が起きたときに気象庁長官が呼ばれて、雨量がどうだったとか、風がどうだったとかいうことになると思うのですが、こういう点からいえば、長官としても、三十七年度予算の中では不十分であり、こういう防災対策については責任を持てないだろうと思うのです。これは長官の責任もあると同時に、政務次官が予算をとらなかった責任があるわけです。そこで、やはりこういうものについての考え方ですね、ないよりあった方がいい程度のものなのか、それはやらなければならぬものなのか、その点の問題が私たちはよくわからないわけです。一つ政務次官として、この気象庁の問題については、博学多才と思うのですが、十分なお考えを願いたいと思います。
  73. 有馬英治

    ○有馬政府委員 気象庁の予算につきましては、当初運輸省が要求した予算は妥当なものでありまして、また、気象庁としても、ぜひ三十七年度にほしいものであったことは確かでございます。ところが、国の全体の予算といたしましては、いろいろ事情がございます。また、運輸省全体といたしましても、もちろん気象庁は重要な業務をやっておりますが、その他にも重要な行政をやっておりまして、そういった諸般の事情もございまして、決して十分とは申しませんが、与えられたその予算で何とか最高の効率を発揮しなければならないと思うのであります。
  74. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、先ほどから沖繩援助の問題をいろいろ質問しましたが、沖繩援助の問題が多額に過ぎるということを言うわけではないわけで、やはり援助は十分やらなければならない。しかし、その前提となるものは、やはり施政権の問題が一番私は中心になると思うのです。そういう点から考え合わせてみますと、今気象庁長官が言われているように、石垣島も、日本領土になれば当然やらなければならぬところなんです。そういう点から考えていけば、まだまだたくさんやらなければならぬ点があるにかかわらず、国全体のものの考え方から、こういう問題がなおざりになっているというのは、大へん遺憾だと思うのです。事故があったとき大騒ぎをするのじゃなくて、やはり事故がない今日こそやらなければ、災害があったときに問題になるわけですし、その意味では、ほんとうに一隻の沈没を免れれば五十五億の予算なんかは元をとってしまうわけですから、今政務次官も、大へんよその方も考えて遠慮がちな意見を言っておったようでありますけれども、やはりこういう目に見えないものというものについては、事務的な段階における予算というものについては十分わからない面があるわけでありますから、そういう点は十分技術的な立場から、そうしてこれはもう農林、水産、あるいは交通、あらゆる部門にわたって恩恵をこうむり、また、まだまだ未知の問題がたくさんあるわけでありますから、こういう点については、一つこの法案を審議をした過程で、私は、ぜひこの気象庁の問題につきましては、もう少し重要視をしてやっていただきたいと思う次第でございます。その点について、もう一回政務次官の御意見を聞いて、あと関連があるようですから、それをやっていただきます。
  75. 有馬英治

    ○有馬政府委員 予算の問題につきましては、先ほどお答え申し上げた通りでございますが、その他気象業務全体のことにつきましては、仰せの通り、まだ多々不備なものがございます。従いまして、これは一気に解決したいものが多いのでございまするけれども、結局において、相当莫大な費用を伴うものが気象庁の問題としては多うございます。従いまして、私どもといたしましては、できるだけ平素から国会の皆様方の御協力を得まして、そういう必要性を十分各方面にわかっていただいて、そうして所期の目的を達するように、後年度に向かって全力を注ぎたいと考えます。
  76. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ただいま勝澤君の質問に関連して、ちょうど内閣総務長官もお見えですから、二、三伺いたい。  勝澤君の質問に対する答弁を伺っておるのでありますけれども、どうも理解できない点がある。今度の三十七年度予算に、この気象観測関係物品譲与を含めまして、近来にない多額の沖繩援助予算が計上されていることについて、どうも理解できないのであります。それというのも、先ほど総務長官がお述べになりましたように、昨年六月の池田ケネディ会談に従って、そのときの共同声明にもたしかあったと思うんですけれども沖繩は、現在潜在主権があるけれども、立法、司法、行政実質的ないわば施政権というものが、アメリカにあって、日本にない。従って、日本立場から見まするならば、また、講和条約の第三条の規定から見まするならば、当然内閣の方針としては、施政権の返還という問題でなければならぬと思うんですが、どうも総理の施政演説を伺っておりましても、施政権返還の問題については、全然触れられないで、日米共同して沖繩の開発なり経済に援助を与えるというようなことを演説されたのは、池田さん以外にないと思うんです。従来の岸さんにしても、石橋さんにしても、鳩山さんにしても、少なくとも日本の政治の中心問題については、やはり沖繩、小笠原の問題——あなたたちの立場から言われれば、北方領土の問題も含まれるわけでありますけれども、特にアメリカとの関係においては、やはり沖繩、小笠原の返還という問題が、日本の完全なる独立を達成するという目的から見て、あらゆる場合に政治の基本でなければならぬと思うのですが、どうも残念なことに、総理の施政演説の中に、返還のへの字にも触れないで、日米両国が共同してと、あたかも第三国を援助するような形の表現を使っておる。そういうものの一つの現われが、今度の予算で、総理府関係、あるいは文部省、運輸省の関係における若干の予算の増額となって現われてきているのですが、先ほど勝澤委員から御質問申し上げましたように、問題は、やはりそういう政府の姿勢が出ているだけに、本来ならば、特連局長が申されるように、中央政府関係から見れば地方の自治体にも当たるべき沖繩に関する関係において、どうも実質的な施政権というものがないけれども、金だけは今度出す、こういうような印象を受けるので、やはりこれだけの予算も盛られるし、積極的に沖繩援助をやらなければならぬ。アメリカは占領しているけれども、こういう面についてアメリカがやらないということをむしろ理由として、施政権を返還すべきであるという要求に向いて発展させるべきが当然のことではないかと思うんです。従って、昨年の池田ケネディ会談の発展として三十七年度予算に具体化してきた問題だと思うんですが、これに関連して、たとえば施政権の全面的な返還ということが一番望ましいけれども、具体的にいえば、たとえば気象業務の問題であるとか、従来から言われている戸籍業務の問題であるとかいうような形で、好ましい形ではないけれども、やはりなしくずし的な形で施政権の返還を求めるということも、私は、むしろそれが先行して行なわれて、初めてこういうような財政的な処置をとるということが次善の策としてうなずけるのではないか、このように考えるのですが、総務長官沖繩に行かれたようですし、最近、予算編成の前には内閣の官房長官も行かれたようで、そういう関係から、こういう予算を編成するのにあたって、今勝澤君からも指摘しましたが、私が申し上げているような形で、施政権返還が、全面的ではないにしても、部分的でも、そういう問題を日本に返してもらうべきではないかという形について話し合いが行なわれたのかどうか。これは、総務長官所管ではなくて、外務省関係だと逃げられるかもしれませんが、特連局というものがあって、地方行政団体に準ずる取り扱いを、気持の上から見てもやっておられるのですから、当然のことだと思うのですが、この点についての内容的な点を、差しつかえのない範囲で総務長官から明らかにしていただきたいと思う。
  77. 小平久雄

    小平政府委員 沖繩に関して、施政権の返還という問題と沖繩援助という問題、これらの相互関係と申しますか、そういう点についてのお尋ねと思いますが、今御指摘のように、私の公的な立場から申せば、施政権の返還それ自体は外務省所管でございまして、私が公にかれこれ申し上げる筋ではない。決して逃げる意味ではございませんが、そういう立場だと思います。ただ、施政権の返還ということは、特にそれが御指摘のように、一挙ではなくても、部分的に逐次にでも返還をしてほしいというこの気持においては、私どもも決して人後に落ちるところではございません。また、その点につきましては、日本政府益体としてもこれを望んでおるところでありまして、ただいま、施政方針演説においても総理がその点に触れてなかったというお話ですが、私もはっきり記憶しておりませんけれども、多分施政権の返還を要請しながら、それと並行して沖繩援助というものを強化いたして参りたい、こういう意味のことを私は施政方針演説においてもうたっておったと思うのです。また、機会あるごとにそれを政府としてやっておることも、事実と承知いたします。ただ、逆に申しますと、しからば、施政権の返還というものが、全般的にしろ、あるいは部分的にしろ、なければ、日本としては沖繩に全然援助をせぬでかまわぬのか、ほっておいてよろしいか、こういうことになると、先ほど勝澤委員にも申しました通りのわれわれの立場、あるいは気持等からいたして、あるいはまた現地の同胞も本土の援助を強く要望いたしておることでもございますので、そういう関係からいたしましても、施政権の問題と一応切り離してでもわが国としては援助を一そう強化していく。また、それがやがては日米間のいわゆる理解と協力を深めていき、それによって施政権返還がなるべく早く実現するようなチャンスをつかめることになるじゃないか、こういうふうに私ども考えておるのであります。
  78. 田中織之進

    ○田中(織)委員 総務長官の言われる意味はわかります。施政権返還ができなければ、それなら沖繩同胞に対する援助を本国政府としてやらないでいいかというたら、それは済まされない。従って、われわれも、いかなる状態にあろうと、やはり助けるという考え方は、むしろ、お互い同胞の責任だという観点に立って、賛成の立場なんです。しかし、問題は、先ほど勝澤委員から特連局長にも質問をしましたように、この気象関係予算にしましても、あるいはそれ以外の道路関係予算の問題にいたしましても、やはり国内の、たとえば会計検査院検査権限が及ぶかどうかという問題、それから先ほどの準地方自治団体のような形でやる、そういうことであれば、別に法律制定をしなくても、やはり地方財政法なり、あるいは地方税法なり、国内法関係でできるわけなんです。ところが、それには一種の外交——総務長官も言われたように、琉球政府としては外交権がないにもかかわらず、琉球政府日本政府との間の覚書で、それを高等弁務官が承認を与えたものに基づいてこれが行なわれるというような、これは外交的な関係から見ても、私は変則だと思うのです。変則的な形のものにもかかわらず、日本政府としてやらなければならぬ点から見て、少なくともその変則的な形というものを脱却するために、この部分は一つ施政権を返したらどうか、こういう形の交渉が当然行なわれるべきで、直接の窓口は外務省だということになっても、総理府関係から、あるいは特連局長——こういう予算から見れば、国内法財政法会計法の点から見ても、確かに疑義があるのです。こんなものをそのまま見のがしておくということになれば、これはやっぱり国民全体に対する国会の責任というものは、私は果たされないと思うのです。財政法第九条に基づいて、この前大東島の場合のことが行なわれた。それの一部改正だという形で出てきているけれども財政法の第九条の関係から見るならば、たとえば国が地方団体に国の財産を移譲する場合には、財政法第九条というものとの関係がどうなるかというような議論の問題も出てきておるのです。財政法九条に基づいて、国の財産を国の機関でないものに移譲する場合の根拠の法律を制定しなければならないということなんですから、その点から見たら、これはやはり実質的には、また気持の上では、われわれは沖繩というものを潜在主権を持っておるという観点から見て、施政権を返還させるべきだという観点に立っての気持はわかりますけれども、これはやはり財政法会計法から見れば、脱法的な取り扱いだと思うのです。その点をやはりアメリカ当局に向かって強く主張しなければならぬ点だという意味合いにおいて、私は申し上げておるのです。  そこで、特に気象観測の問題は、先ほど和達長官のお話しのように、日本の気象観測業務という点から見ても、石垣島あるいは南大東島等のウエートが高いのだという点では理解されるわけなんですけれども、それ以外の、たとえば道路の関係であるとか、あるいは住民の民生に関係があり辞すけれども、たとえば農業振興の関係であるとかいうように、先ほど特連局長が説明されたような関係のものは、これは本来、たとえばあそこは軍事的な関係アメリカがやはり基地関係だけの権限を持っておるということだけではなくて、民生をも含めた一切の立法、司法、行政権というものをアメリカが持っている立場から見るならば、アメリカが当然やるべきものを、日本がやはり肩がわりしている。それは今度タイ国なんかに対しても、特別円の処理の問題について、有償だというものを、総理がタイ国の国民感情だけを考えて、日本の国民の負担や感情というものを考えずに、九十六億出すような話を取りきめてきたことが、今国会で問題になっている。それと沖繩とは性質は違います、性質は違いますけれども、それなら民生についての沖繩行政権というものを日本に返すというようなことをアメリカがやらなければ、この部分について、先ほど長官のお話ですけれども琉球政府アメリカの軍政府とが話し合って、それに基づいてできた計画に基づいて、日本からこの部分について、たとえば道路の関係についての援助をしてもらえないかというようなことが話し合いの成り行きとして行なわれてきたというような関係になると、気象関係だとか、日本に直接関係のある部分についてはともかく、沖繩の民生安定に関する部分というようなものについては、これはまあこの委員会所管ではなくなるわけなんですけれども、私は、やはり今度のような形で、あるいはアメリカとの一種の協定、あるいはその意味において国会に承認を求めるというような関係に基づいて施政権返還というものが裏づけにならない限りは、やはりそういう処置でやらなければ、たとい十億の金にしても支出するということは、私はやはりこれは——しかもそのものは、特別円協定等については、支払うものについては日本から物を買うという条件がついているけれども、実情から見て日本でいろいろな物資を調達するだろうというだけのことで、義務づけられてもいないのです。特別円協定にはそういうことが交換公文か何かで取りきめられておるという説明を外務大臣がしているのですけれども、この部分については、私は、かりにそういうようなことが協定であるかどうかということの議論は別としても、琉球政府との間に、この日本から支出するものについては、役務や何かの関係向こうで支払うものは、向こうの金にして渡してやらなければなりませんけれども、もし物資の調達ということであれば本国で調達するというような義務規定は、当然入れるべきだと思うのです。気象関係のやつは、品物にして、物品なり設備で、それを向こうで現在設置しているものを向こうの所有に移すとか、あるいは貸与するというような関係のものでありますから、この点は理解できるのでありますが、先ほど勝澤君も指摘したような道路関係であるとか、あるいはその他いろいろな当然金から物にかえなければならぬようなものについては、タイ国との間には日本品を買うというような義務規定があるけれども沖繩関係については、本来、アメリカ施政権を返すまではやるべきものなんだから、便宜的な形で、同じ日本国民を見捨てるわけにいかないということで、政府がやるものについては、義務的な規定というか、取りきめを結んでも差しつかえないと思うのですが、その点については、予算執行上の問題にも関連するわけでありますけれども、何か向こうとの間でこれから各費目についての覚書というようなものを取りかわして実施することになるようですが、その場合に、それを入れる考えがあるかどうか。これは総務長官からお答え願いたい。
  79. 小平久雄

    小平政府委員 沖繩に対する援助の問題につきましては、御指摘のように、沖繩の政治的な地位と申しますか、それが非常に複雑な、また特殊な立場にある。そういうところから、援助の方式あるいは内容等につきまして、おそらく割り切れぬと申しますか、そういう考えになられることも、私はごもっともだと思うのでございます。今後、この援助についてどういう方式でやっていくか、また、これを法律的にもどういう方法を選ぶべきかというような点につきましては、実は率直に申しまして、内部でもいろいろ議論、検討をいたしております。先ほどもちょっと触れましたが、昨秋アメリカから来ましたケイセン調査団が、帰りに日本に寄りまして、その団長のケイセン氏と私も会いました。その際も私は実は申したのでありますが、今後この調査団の報告をもととして、また、あの共同声明を生かす意味において、沖繩に対する援助というものがだんだん大きくなる。当然これは現地でも期待いたしておりまするし、われわれもそうしたいと思っている。そうなった場合において、われわれとしては、アメリカ側と申しますか、米琉側の一方的な希望によって、それに従って、それをうのみにして日本援助を拡大していくというわけには、当然いかない。従って、報告がどういう内容になるかわからないのでありまするが、それが出た上においては、それをわが国側にもちろん提示してもらい、それに日本側がどういうふうにこたえるべきか、こういう点については、われわれとしても十分協議をする機会を与えてもらわなければ困るし、また、その前提としては、現在日本政府には、沖繩に対する資料というものが、全然なくはありませんが、きわめて不完全である。そういう点からして、まずもって沖繩の現状について日本政府としてこれをよく調査し、把握する機会を当然与えてもらわなければ困る。そういったことを私はケイセン氏にも伝えておいたのであります。また、昨年暮れに琉球に参りました際にも、キャラウエー高等弁務官にも、そういう私の考えを述べておきました。この両者とも、そういう日本側立場というものはよく理解できるし、おそらくそういうことになるだろうという趣旨の話もあったわけです。国内的な手続、あるいは援助を実施した後における、先ほど来議論になっておりまする会計検査等の問題につきましても、援助の額が大きくなればなるほど、どういうふうに処置することが一番妥当であるかということは、十分検討する余地があるというか、むしろ必要がある、さように考えておりまして、内々にはわれわれも寄り寄り話をいたしておるという現実段階なんでございます。ケイセン報告というものがどういうふうに出て参るか、今のところまだわかりませんが、おそらく民生福祉の向上という点で、ある程度計画的にやるということになるのじゃないかと、新聞報道などから想像して、私どもはそういうふうに思っているのですが、そういうことになりますならば、もう少し明確な法制的な規定というものも当然必要になってくるのじゃなかろうか、さように考えております。何分援助が去年ややわずかばかり行なわれて、ことしは去年に比べれば相当飛躍的にふえましたが、こういうことで必ずしも明確でないというか、納得しかねるような部面のあることも、今日事実だと私どもも存じております。そういう点は、今後なお御説に従って十分検討して参りたいと思います。
  80. 田中織之進

    ○田中(織)委員 もう一点。今ケイセン報告の問題について総務長官触れられたのでありますが、過般の田中角榮君の発言問題等も間接的に響いて、あるいはケネディ大統領の弟さんが日本に見えて、各界の人たちと会うたびに沖繩問題が持ち出されるというようなことで、本国へ帰れば、大統領に沖繩問題については詳しい報告をしたいというような発言がされておる関係があり、さらに、沖繩の立法院における植民地解放宣言を基礎とした返還決議というようなものから見て、私どもは、実は軍事的なものと民政というようなものと分離することには反対です。むしろ軍事的な関係は、日本の安全と平和のためにこそ沖繩から引き揚げてもらいたいという考え方があるわけでありますけれども現実沖繩アメリカが支配をしておるのでありますから、あるいはケイセン報告その他いろいろな沖繩問題をめぐる情勢から見て、民政権的なようなものが、その部分に関する施政権があるいは返還される、その返還の前提として、やはりそういうものがはっきり向こうの住民の政府に移譲せられるということに発展するというような見通しが見られる段階ですから、その点から見て、ことしの予算では、こういう形の、約十億の予算でありますけれども、計上している。これを出すのについても、やはり施政権がないというところに、しかも、それかといって第三国のような取り扱いをするわけにはいかないというところに、施政権返還要求という問題がからんでいるのだという点で、これはあらゆる機会に政府、特に特連局というものを持っておる総理府総務長官としても努力をしていただきたいということを、これは要望しておきます。  そこで最後に予算のことで、これはどういうことで出たのかと思うのですけれども総理府関係で、石垣島の高層気象観測援助金として、三千五百六十万八千円が総理府所管で出ております。片一方、運輸省の関係で、沖繩高層気象観測業務費として二千六百三十五万七千円、これは昨年は二千百四十五万四千円のようでありますが、こういう形で、気象観測関係につきましても出てきておる。運輸省の関係のものは、前年からの引き継ぎのことで、そのための経費だし、今度は、石垣島に施設を日本から譲与するという関係予算総理府関係で計上しておるのだ、こういうふうにも理解されるのですが、この関係がどういうようになっておるか。  それから、この法案の説明にあります「その観測に必要な物品譲与するため必要な経費を三十七年度予算として計上をし」それからまた、毎年定常的に——経常的にという意味でしょう。観測に必要な消耗物品譲与することができることにしたということになっておるのですが、それは私が今伺った運輸省関係の業務費の予算としての二千何百万円かは、この毎年度定常的に要る消耗品その他の経費というものと理解していいのかどうか。その間の説明を一つ、これは運輸省の方からでも、御説明をいただきたい。
  81. 和達清夫

    和達政府委員 これらの援助が、すべて財政援助方式によらないで、観測用の消耗品については譲与することにしたということであると思います。その理由は、こういうような高層気象観測は、資料の統一性を要するため、観測を同一形式で同一の消耗物品を使用する、そういう必要があるので、この消耗品に対して譲与することにした。観測用の器械類は、その設置の際に気象庁とよく連絡をとって設置すれば、現地で設置することも可能でありますので、この予算につきましては石垣島においては、毎年定常的の観測に必要な消耗品のみ現物で譲与するようになっております。二千六百万というのは、南大東島の一年分と石垣島の三カ月分の消耗品についてでございます。
  82. 田中織之進

    ○田中(織)委員 運輸省所管の二千六百三十五万が、南大東関係の業務費で、総理府関係の三千五百六十万というのは、今回石垣島において、南大東島と同様に高層気象観測を実施するためということになっておるので、これは新たに石垣島の関係の消耗品だけですか。たとえば器械設備だとか何だとかいうような関係のものは、この三千六百万円の予算の中には含まれていないのですか。その点、長官の説明ではちょっと明確ではございません。
  83. 和達清夫

    和達政府委員 総理府所管は、初度の器械とかその他の設備のために、石垣島に作るもので三千五百六十万のものが計上されております。それで運輸省の方についておりますのは、経常費で物品譲与する。つまり消耗品のようなものでございます。それが大東島の一年分と石垣島の三カ月分で二千六百万となっております。
  84. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 内海清君。
  85. 内海清

    ○内海(清)委員 今までの御質問で、私の質問したいことはなくなりましたのですが、ただ一つお尋ねしておきたいと思うのであります。今回の石垣島におきまする高層気象観測の実施、これに対する必要な援助を与えようというのでありますが、この高層気象観測というのは、これの中にもありますように「一般の気象予報はもちろん、台風予報にも航空機の運航にも重要な資料を提供する」ということであります。そういう点から考えまして、特に石垣島が沖繩の西南四百キロの海上にあって、いわゆる東シナ海の南部におけるこういう高層の気象を観測する、これがわが国におきまする台風その他の災害、これを予知するのに非常に必要なものであると思うのであります。この高層気象観測は、今申しましたように非常に重要なものでありますが、この際、私がただ一つ伺っておきたいと思いますものは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定という、いわゆる新地位協定との関係ですが、この石垣島におきまする高層気象観測費とこの新地位協定との関係はどうなのか。これを一つお伺いしておきたいと思います。
  86. 和達清夫

    和達政府委員 私の理解しておるところでは、行政協定と今回の石垣島の高層観測とは関係ないものであります。
  87. 内海清

    ○内海(清)委員 関係がなければまことにけっこうであると思いますが、この協定の第八条では、「日本政府は、両政府当局間の取極に従い、次の気象業務を合衆国軍隊に提供することを約束する。」というので、(a)、(b)、(c)、(d)と四項目に分けられておる。この(c)の中には、「航空機の安全かつ正確な運航のため必要な気象情報を報ずる電気通信業務」というような項目もあるわけであります。もしこれが、この協定によってアメリカ軍に提供されるということであるならば、これは実に重大な問題になる。いわゆるアメリカ軍の極東戦略の一端をになう形に相なるのではないか、かように私は心配いたしますゆえに質問したのでありますが、それが関係なければまことにけっこうであります。これははっきりそういうふうに相なっておりますか。
  88. 和達清夫

    和達政府委員 これらの気象業務は、国際気象機関に入っておりまして、こういう観測は、世界どこの国にでも観測結果をお互いに知らせ合うというものでありまして、この行政協定にかかわらず、どこの国でもとれるわけです。行政協定の中にある資料の中にこれが含まれますかどうかは今後の問題でありますけれども、この行政協定で送っておる資料というものも、現在世界に送られておるものとほとんど同じものでありまして、特別にそういうものを送っておるわけではないのであります。
  89. 内海清

    ○内海(清)委員 今の長官のあれは、あまりはっきりせぬのであります。ここに新しく高層気象観測をやることが、もし米軍の戦略に利用されるということであるならば、そういう懸念があるならば、——これは日本政府がこういうような直接気象観測をやることに援助するのでなしに、沖繩気象台がやることに対しては、何らわれわれがどうこうする問題でないのであります。ところが、日本政府が直接これにいろいろ援助あるいは観測に必要な経費とか物品譲与するということには、いささか問題があるのではないか、かように考えるのですが、その点いかがですか。
  90. 和達清夫

    和達政府委員 申し上げます。現在の気象観測というものは、所定の方式をもって無線で放送し、各国が受けるということになっておりまして、戦略というようなことは、全然別でございます。従いまして、この高層観測を開始いたしますれば、その資料は直ちに日本へ一番先にくるわけでありますが、日本はこれをその地域、ひいては世界にまで知らせる義務を負っておる。それを放送に乗せて、世界の気象機関に、どこでもとれるように放送するわけであります。こういうような世界の気象業務では、各国が所定のやり方に従って所定の方式で放送する、放送する場所はどこどこということはきまっておるのでありますが、その中で、石垣島は強く勧告されて、この一両年のうちにぜひとも作れという勧告があったところでありまして、それができますれば、世界気象機関の規約に従いまして、これが放送される。世界気象機関の勧告を満たすことができるということは、わが国にとっても非常に大切なことだと思います。
  91. 内海清

    ○内海(清)委員 高層の気象の問題、これは御承知のように、軍事上から考えれば、軍の機密にさえ属するような重大な問題だと思います。そういう点から考えまして、今長官のおっしゃったように、そういう気象観測は、すべて公開して交換しておるということは、よくわかるのであります。ただ、現在沖繩わが国、それからアメリカ軍とわが国という関係から考えて、これを直接日本政府がそういうふうに援助するということに、問題はないか。沖繩琉球気象台がやって、これを世界に放送しようと、わが国としてはこれは何ら問題はないと思うのです。私が今お尋ねしておるのは、そこの点がどうかということです。わが国が直接これに資金的な援助をし、必要な器物を譲与するという、このことに問題がないか、実はこういうことをお尋ねしておるわけです。これは次官からでも一つはっきりと……。
  92. 有馬英治

    ○有馬政府委員 今回の問題は、先ほど来総務長官並びに気象庁の長官から申し上げましております通りに、どこまでもわが国の気象業務に重要な影響があり、重要な利益がありますので、どうしてもやりたいということでやっていることでありまして、どこまでも日本本位のことでございます。それがひいては琉球政府、あるいは世界の気象業務に稗益する、こういうことでございます。
  93. 内海清

    ○内海(清)委員 そのことはよくわかっておるのです。わが国に必要だからやるということは、わかっておる。これは南大東島に次ぐ重要な観測地であるということも、御答弁がありまして、よくわかっております。ただ、それが軍の軍事目的にも利用されるという点において、わが国が直接これに資金的な援助を与える、あるいは器物を譲与するということに、問題はないか。琉球の気象台がこれをやるのなら、これはわが国と別個の問題、何らこちらがかれこれ言を差しはさむ余地はないと思います。その点を一つはっきりお答え願いたい。
  94. 有馬英治

    ○有馬政府委員 結果において軍事的目的に利用されるのではないかという御心配であろうと思いますが、それは先ほど長官が申し上げましたように、世界的な連絡、それから提携によりまして気象業務が行なわれております現状でございますので、もし結果において軍事的に利用されるとするならば、単にアメリカだけではなく、世界各国において、結果においてはそういうことになるのじゃないかと思います。
  95. 内海清

    ○内海(清)委員 これはどうもその点私釈然といたしませんけれども、もちろん、気象業務は世界各国にそれぞれの情報の提供がありまして、すべての国にこれが行なわれるのでありましょうが、特に今の東支那海の南部という、こういう地位にあるし、台湾、あるいは中共の問題、あるいはその他の共産圏との問題、いろいろ今問題のあるときなんです。こういう際に、そういうふうなことが行なわれるということにつきましては、そこに多くの疑惑が生まれてくるのではないか、この点を私は心配しておるのです。これがわが国の気象業務に非常に役立つということは、十分わかるわけです。わかるわけでありますが、そういう疑惑を国民に持たしめる、あるいはその他の諸外国にも持たせるというふうなことについては、最も慎重にすべきではないかという点が、私の懸念するところであります。それらにつきまして、もちろん、この観測されたものが正確に世界各国にそれぞれ流されまして、各国が共同にこれが利用されて、そうしてそういう災害あるいは航空機の航行などの安全に資するということは、まことにけっこうであります。私のただ心配いたしましたのは、今申し上げました点であります。この点については、十分一つ当局においても考えて、誤解のないような処置をとられなければならぬと思います。でありますが、私は、これは先ほど来申しますように、そういう懸念を除くためには、わが国が直接これに資金の援助あるいは器物の譲与ということでなしに、琉球気象台がやるということになれば、何らそこにいろいろ言を差しはさむ余地はないと思います。これらについて、そういうふうな形にこれができるかどうか。その点を一つお伺いいたしたいと思います。
  96. 和達清夫

    和達政府委員 先ほども申しましたように、世界気象機関で前々からこの地点の高層観測を勧告しておった理由は、世界中がこの観測によって利益を得るという意味からなされておるものでありまして、どこの国も、この気象観測は非常に喜ぶものであると私は信じておるのであります。従いまして、現在のこの石垣島が高層観測を実施するということは、直接的には軍事には何の関係もないと、私は信じておる次第であります。先生のお話、よく心にとめまして、今後善処いたしたいと思っております。
  97. 内海清

    ○内海(清)委員 今のお話はわかりましたが、最後にもう一つ念を押しておきたいと思いますことは、地位協定の第八条で、日本国から米軍にこれを提供する義務、こういう約束をしておるわけです。これの中に入るか、入らないかということです。その点を一つ明らかにしてもらいたい。
  98. 和達清夫

    和達政府委員 現在送っておるものは、世界に送っておるものをそのまま送っておるものでございます。事務的にはそういうふうになるようではありますけれども、しかし、これを入れるべきものであるかどうかは、今後やはり検討してみたいと思います。
  99. 内海清

    ○内海(清)委員 そうすると、今の長官の答弁は、これはやはり向こうに提供される、アメリカ軍隊に提供されるという解釈ですか。
  100. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ちょっと関連して……。内海委員が御質問申し上げておる点は、先ほど言われたように、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の第八条にあるので、しかも、それは先ほど内海さんが読み上げられたように「日本政府は、両政府当局間の取極に従い、次の気象業務を合衆国軍隊に提供することを約束する。」となっておる。そして「(a)地上及び海上からの気象観測(気象観測船からの観測を含む。)、(b)気象資料(気象庁の定期的概報及び過去の資料を含む。)、(c)航空機の安全かつ正確な運航のため必要な気象情報を報ずる電気通信業務、(d)地震観測の資料(地震から生ずる津波の予想される程度及びその津波の影響を受ける区域の予報を含む。)」、こういうことになっておるので、この第八条の関係から見れば、当然アメリカ日本との間の取りきめが私はあると思うのですが、その取りきめの中に含まれるかどうかという点を明らかにしていただけば、内海委員の質問にも答えることになると思うのです。
  101. 和達清夫

    和達政府委員 これは援助しておりましても、琉球政府観測でありますから、形式的にはこれに該当しないのではないかと私には思えるのでございますが、その点よく検討してみたいと思っております。
  102. 内海清

    ○内海(清)委員 それではまだ御答弁がはっきりせぬようでございますから、その解釈をはっきりして、またお知らせいただきたいと思います。  本日は、一応これでやめておきます。
  103. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 次会は、来たる十六日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十九分散会