○田中(織)
委員 総務長官の言われる
意味はわかります。
施政権返還ができなければ、それなら
沖繩の
同胞に対する
援助を本国
政府としてやらないでいいかというたら、それは済まされない。従って、われわれも、いかなる状態にあろうと、やはり助けるという
考え方は、むしろ、
お互い同胞の責任だという観点に立って、賛成の
立場なんです。しかし、問題は、先ほど
勝澤委員から
特連局長にも質問をしましたように、この気象
関係の
予算にしましても、あるいはそれ以外の道路
関係の
予算の問題にいたしましても、やはり
国内の、たとえば
会計検査院の
検査の
権限が及ぶかどうかという問題、それから先ほどの準地方自治団体のような形でやる、そういうことであれば、別に
法律制定をしなくても、やはり地方
財政法なり、あるいは地方税法なり、
国内法の
関係でできるわけなんです。ところが、それには一種の
外交——総務長官も言われたように、
琉球政府としては
外交権がないにもかかわらず、
琉球政府と
日本政府との間の
覚書で、それを高等弁務官が
承認を与えたものに基づいてこれが行なわれるというような、これは
外交的な
関係から見ても、私は変則だと思うのです。変則的な形のものにもかかわらず、
日本政府としてやらなければならぬ点から見て、少なくともその変則的な形というものを脱却するために、この部分は
一つ施政権を返したらどうか、こういう形の交渉が当然行なわれるべきで、直接の窓口は
外務省だということになっても、
総理府の
関係から、あるいは
特連局長は
——こういう
予算から見れば、
国内法の
財政法、
会計法の点から見ても、確かに疑義があるのです。こんなものをそのまま見のがしておくということになれば、これはやっぱり国民全体に対する国会の責任というものは、私は果たされないと思うのです。
財政法第九条に基づいて、この前大東島の場合のことが行なわれた。それの一部改正だという形で出てきているけれ
ども、
財政法の第九条の
関係から見るならば、たとえば国が地方団体に国の財産を移譲する場合には、
財政法第九条というものとの
関係がどうなるかというような議論の問題も出てきておるのです。
財政法九条に基づいて、国の財産を国の機関でないものに移譲する場合の根拠の
法律を制定しなければならないということなんですから、その点から見たら、これはやはり
実質的には、また
気持の上では、われわれは
沖繩というものを
潜在主権を持っておるという観点から見て、
施政権を返還させるべきだという観点に立っての
気持はわかりますけれ
ども、これはやはり
財政法、
会計法から見れば、脱法的な
取り扱いだと思うのです。その点をやはり
アメリカ当局に向かって強く主張しなければならぬ点だという
意味合いにおいて、私は申し上げておるのです。
そこで、特に気象
観測の問題は、先ほど
和達長官のお話しのように、
日本の気象
観測業務という点から見ても、石垣島あるいは
南大東島等のウエートが高いのだという点では
理解されるわけなんですけれ
ども、それ以外の、たとえば道路の
関係であるとか、あるいは住民の民生に
関係があり辞すけれ
ども、たとえば農業振興の
関係であるとかいうように、先ほど
特連局長が説明されたような
関係のものは、これは本来、たとえばあそこは軍事的な
関係で
アメリカがやはり基地
関係だけの
権限を持っておるということだけではなくて、民生をも含めた一切の立法、司法、
行政権というものを
アメリカが持っている
立場から見るならば、
アメリカが当然やるべきものを、
日本がやはり肩がわりしている。それは今度タイ国なんかに対しても、特別円の
処理の問題について、有償だというものを、総理がタイ国の国民感情だけを
考えて、
日本の国民の負担や感情というものを
考えずに、九十六億出すような話を取りきめてきたことが、今国会で問題になっている。それと
沖繩とは性質は違います、性質は違いますけれ
ども、それなら民生についての
沖繩の
行政権というものを
日本に返すというようなことを
アメリカがやらなければ、この部分について、先ほど長官のお話ですけれ
ども、
琉球政府と
アメリカの軍
政府とが話し合って、それに基づいてできた計画に基づいて、
日本からこの部分について、たとえば道路の
関係についての
援助をしてもらえないかというようなことが話し合いの成り行きとして行なわれてきたというような
関係になると、気象
関係だとか、
日本に直接
関係のある部分についてはともかく、
沖繩の民生安定に関する部分というようなものについては、これはまあこの
委員会の
所管ではなくなるわけなんですけれ
ども、私は、やはり今度のような形で、あるいは
アメリカとの一種の協定、あるいはその
意味において国会に
承認を求めるというような
関係に基づいて
施政権返還というものが裏づけにならない限りは、やはりそういう処置でやらなければ、たとい十億の金にしても
支出するということは、私はやはりこれは
——しかもそのものは、特別円協定等については、支払うものについては
日本から物を買うという
条件がついているけれ
ども、実情から見て
日本でいろいろな物資を調達するだろうというだけのことで、義務づけられてもいないのです。特別円協定にはそういうことが交換公文か何かで取りきめられておるという説明を外務大臣がしているのですけれ
ども、この部分については、私は、かりにそういうようなことが協定であるかどうかということの議論は別としても、
琉球政府との間に、この
日本から
支出するものについては、役務や何かの
関係で
向こうで支払うものは、
向こうの金にして渡してやらなければなりませんけれ
ども、もし物資の調達ということであれば本国で調達するというような義務
規定は、当然入れるべきだと思うのです。気象
関係のやつは、品物にして、
物品なり設備で、それを
向こうで現在設置しているものを
向こうの所有に移すとか、あるいは貸与するというような
関係のものでありますから、この点は
理解できるのでありますが、先ほど
勝澤君も指摘したような道路
関係であるとか、あるいはその他いろいろな当然金から物にかえなければならぬようなものについては、タイ国との間には
日本品を買うというような義務
規定があるけれ
ども、
沖繩の
関係については、本来、
アメリカが
施政権を返すまではやるべきものなんだから、便宜的な形で、同じ
日本国民を見捨てるわけにいかないということで、
政府がやるものについては、義務的な
規定というか、取りきめを結んでも差しつかえないと思うのですが、その点については、
予算執行上の問題にも関連するわけでありますけれ
ども、何か
向こうとの間でこれから各費目についての
覚書というようなものを取りかわして実施することになるようですが、その場合に、それを入れる
考えがあるかどうか。これは
総務長官からお答え願いたい。